本開示の実施の形態に係る給湯システム、給湯装置および給湯システムの制御方法について図面に基づいて説明する。なお、本開示は以下の実施の形態のみに限定されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で変形または省略することが可能である。さらに、各々の実施の形態ならびに変形例に係る給湯システム、給湯装置および給湯システムの制御方法に関する構成ならびに付加的な構成を適宜組み合わせることも可能である。また、各図において共通する要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る給湯システムの概略図である。給湯システム1000は、給湯装置100と、浴槽200とを備える。また、給湯装置100は、加熱ユニット110と、タンクユニット120と、リモコンユニット130とを備える。加熱ユニット110とタンクユニット120とは、加熱ユニット往き配管301と加熱ユニット戻り配管302とを介して接続されている。さらに、タンクユニット120と浴槽200は浴槽往き配管303と浴槽戻り配管304とを介して接続されている。
加熱ユニット110は、圧縮機1と、水冷媒熱交換器2と、膨張弁3と、空気熱交換器4と、入水温度センサ5と、出湯温度センサ6と、を有する。圧縮機1は吸入口から吸入した冷媒を圧縮し高温高圧のガス状態にして吐出口から吐出する。水冷媒熱交換器2は内部に冷媒流路と水流路が形成され、冷媒流路を流れる冷媒と水流路を流れる水との間で熱交換を行わせる。膨張弁3は内部を通過する冷媒を減圧させる。空気熱交換器4は内部に冷媒流路が形成され、冷媒流路を流れる冷媒と空気との間で熱交換を行わせる。入水温度センサ5は水冷媒熱交換器2の水流路に流入する水の温度を測定するセンサである。出湯温度センサ6は水冷媒熱交換器2の水流路から流出する水の温度を測定するセンサである。
また、圧縮機1と水冷媒熱交換器2と膨張弁3と空気熱交換器4とは、冷媒配管7を介して環状に接続され、冷媒が循環する冷媒回路が形成される。より具体的には、圧縮機1の吐出口は冷媒配管7を介して水冷媒熱交換器2の冷媒流路の一方の端部と接続される。水冷媒熱交換器2の冷媒流路の他方の端部は膨張弁3および冷媒配管7を介して空気熱交換器4の冷媒流路の一方の端部と接続される。空気熱交換器4の冷媒流路の他方の端部は冷媒配管7を介して圧縮機1の吸入口と接続される。
冷媒回路を循環する冷媒としては、水冷媒熱交換器2で凝縮し、空気熱交換器4で気化するような冷媒が用いられる。このような冷媒としては、例えば、二酸化炭素、R410A、プロパン、プロピレン等が挙げられる。
圧縮機1で圧縮された高温高圧のガス状態の冷媒は、水冷媒熱交換器2の冷媒流路に流入して水冷媒熱交換器2の水流路を流れる水と熱交換を行う。水冷媒熱交換器2の冷媒流路に流入する冷媒は、水冷媒熱交換器2の水流路を流れる水と比較して高温であるため、水冷媒熱交換器2で冷却されて低温高圧の液状態となって水冷媒熱交換器2から流出する。また、水冷媒熱交換器2の水流路を流れる水は、水冷媒熱交換器2の冷媒流路を流れる冷媒によって加熱される。
水冷媒熱交換器2の水流路の一方の端部は加熱ユニット内往き配管8を介して加熱ユニット往き配管301の一方の端部と接続され、水冷媒熱交換器2の水流路の他方の端部は加熱ユニット内戻り配管9を介して加熱ユニット戻り配管302の一方の端部と接続される。入水温度センサ5は加熱ユニット内往き配管8に取り付けられる。出湯温度センサ6は加熱ユニット内戻り配管9に取り付けられる。
タンクユニット120は、貯湯タンク10と、風呂用熱交換器11と、熱源ポンプ12と、風呂循環ポンプ13と、制御部14とを有する。
貯湯タンク10は内部に水を貯留する。貯湯タンク10に貯留される水を、以降の説明ではタンク水と称する。また、貯湯タンク10には、複数の流入出口が設けられる。実施の形態1の貯湯タンク10では、第一のタンク下部流入出口10aと、第二のタンク下部流入出口10bと、第三のタンク下部流入出口10cと、第一のタンク上部流入出口10dと、第二のタンク上部流入出口10eと、第一のタンク中部流入出口10fと、第二のタンク中部流入出口10gと、が形成される。第一のタンク下部流入出口10aと第二のタンク下部流入出口10bと第三のタンク下部流入出口10cは、第一のタンク上部流入出口10dと第二のタンク上部流入出口10eと第一のタンク中部流入出口10fと第二のタンク中部流入出口10gよりも下方に形成される。また、第一のタンク上部流入出口10dと第二のタンク上部流入出口10eは、第一のタンク中部流入出口10fと第二のタンク中部流入出口10gよりも上方に形成される。
貯湯タンク10の表面には、複数個の貯湯温度センサがそれぞれ高さ方向の位置が異なる場所に取り付けられる。貯湯温度センサは取り付けられた高さにおける貯湯タンク10内のタンク水の温度を測定する。実施の形態1の貯湯タンク10では、第一の貯湯温度センサ15と第二の貯湯温度センサ16と第三の貯湯温度センサ17の三つの温度センサが取り付けられる。
第一の貯湯温度センサ15は、第二の貯湯温度センサ16および第三の貯湯温度センサ17よりも上方に取り付けられる。また、第一の貯湯温度センサ15は、第二の貯湯温度センサ16および第三の貯湯温度センサ17よりも、第一のタンク上部流入出口10dと第二のタンク上部流入出口10eに近い位置に取り付けられる。
第二の貯湯温度センサ16は、第一の貯湯温度センサ15よりも下方かつ第三の貯湯温度センサ17よりも上方に取り付けられる。また、第二の貯湯温度センサ16は、第一の貯湯温度センサ15および第三の貯湯温度センサ17よりも、第一のタンク中部流入出口10fと第二のタンク中部流入出口10gに近い位置に取り付けられる。
第三の貯湯温度センサ17は、第一の貯湯温度センサ15および第二の貯湯温度センサ16よりも下方に取り付けられる。また、第三の貯湯温度センサ17は、第一の貯湯温度センサ15および第二の貯湯温度センサ16よりも、第一のタンク下部流入出口10aと第二のタンク下部流入出口10bと第三のタンク下部流入出口10cに近い位置に取り付けられる。
風呂用熱交換器11は内部に第一の水流路と第二の水流路の二つの水流路が形成され、第一の水流路を流れる水と第二の水流路を流れる水との間で熱交換を行わせる。
熱源ポンプ12と風呂循環ポンプ13は、それぞれ水を送り出し、水の流れを形成する。
また、貯湯タンク10と風呂用熱交換器11と熱源ポンプ12と風呂循環ポンプ13とは各種配管と各種弁とを介して接続されている。次にタンクユニット120内部の配管および弁について説明する。
タンクユニット120は、給水配管18と、タンク下部水導出配管19と、送水配管20と、温水配管21と、タンクユニット内循環配管22と、温水導出配管23と、風呂配管24と、タンクユニット内浴槽往き配管25と、タンクユニット内浴槽戻り配管26と、給湯配管27と、中温配管28と、を有する。また、タンクユニット120は、第一の三方弁29と、第二の三方弁30と、第一の四方弁31と、第二の四方弁32と、減圧弁33と、風呂用電磁弁34と、逆止弁35と、給湯用混合弁36と、風呂用混合弁37を有する。なお、三方弁はaポートとbポートとcポートの三つのポートを備える弁である。また、四方弁はaポートとbポートとcポートとdポートの四つのポートを備える弁である。また、給湯用混合弁36と風呂用混合弁37は第一入口と第二入口と出口を備え、第一入口から流入した水と第二入口から流入した水を混合して出口から流出させる弁である。
給水配管18は、第一の給水配管18aと、第二の給水配管18bと、第三の給水配管18cと、によって構成される。第一の給水配管18aの一方の端部は上水道などの水源に接続される。第一の給水配管18aの他方の端部は第一のタンク下部流入出口10aに接続される。また、第二の給水配管18bの一方の端部は第一の給水配管18aの途中に接続され、接続箇所に分岐点が形成される。第二の給水配管18bの他方の端部は第二の三方弁30のaポートに接続される。第三の給水配管18cの一方の端部は第二の三方弁30のcポートに接続される。第三の給水配管18cの他方の端部は二つに分岐してそれぞれ給湯用混合弁36の第二入口と風呂用混合弁37の第二入口に接続される。また、減圧弁33が第一の給水配管18aの一方の端部と分岐点との間に設けられる。
タンク下部水導出配管19の一方の端部は第二のタンク下部流入出口10bに接続される。タンク下部水導出配管19の他方の端部は第一の三方弁29のaポートに接続される。
送水配管20は、第一の送水配管20aと、第二の送水配管20bと、によって構成される。第一の送水配管20aの一方の端部は第一の三方弁29のcポートに接続される。第一の送水配管20aの他方の端部は加熱ユニット往き配管301の他方の端部と接続される。また、第二の送水配管20bの一方の端部は第一の送水配管20aの途中に接続され、接続箇所に分岐点が形成される。第二の送水配管20bの他方の端部は第一の四方弁31のaポートに接続される。また、熱源ポンプ12が第一の送水配管20aの一方の端部と分岐点との間に設けられる。熱源ポンプ12は第一の送水配管20aの一方の端部から分岐点へと水を流す向きで設けられる。
温水配管21は、第一の温水配管21aと、第二の温水配管21bと、第三の温水配管21cと、第四の温水配管21dと、第五の温水配管21eと、第六の温水配管21fと、によって構成される。第一の温水配管21aの一方の端部は加熱ユニット戻り配管302の他方の端部と接続される。第一の温水配管21aの他方の端部は第一の四方弁31のbポートに接続される。第二の温水配管21bの一方の端部は第一の四方弁31のdポートに接続される。第二の温水配管21bの他方の端部は第二の四方弁32のaポートに接続される。第三の温水配管21cの一方の端部は第一の四方弁31のcポートに接続される。第三の温水配管21cの他方の端部は第三のタンク下部流入出口10cに接続される。第四の温水配管21dの一方の端部は第二の四方弁32のbポートに接続される。第四の温水配管21dの他方の端部は第二のタンク上部流入出口10eに接続される。第五の温水配管21eの一方の端部は第二の四方弁32のdポートに接続される。第五の温水配管21eの他方の端部は第一のタンク上部流入出口10dに接続される。第六の温水配管21fの一方の端部は第二の四方弁32のcポートに接続される。第六の温水配管21fの他方の端部は第二のタンク中部流入出口10gに接続される。
タンクユニット内循環配管22は、第一のタンクユニット内循環配管22aと、第二のタンクユニット内循環配管22bと、第三のタンクユニット内循環配管22cと、によって構成される。第一のタンクユニット内循環配管22aの一方の端部は第四の温水配管21dの途中に接続され、接続箇所に分岐点が形成される。第一のタンクユニット内循環配管22aの他方の端部は風呂用熱交換器11の第一の水流路の一方の端部に接続される。第二のタンクユニット内循環配管22bの一方の端部は風呂用熱交換器11の第一の水流路の他方の端部に接続される。第二のタンクユニット内循環配管22bの他方の端部は第一の三方弁29のbポートに接続される。第三のタンクユニット内循環配管22cの一方の端部は第二のタンクユニット内循環配管22bの途中に接続され、接続箇所に分岐点が形成される。第三のタンクユニット内循環配管22cの他方の端部は中温配管28の途中に接続され、接続箇所に分岐点が形成される。また、逆止弁35が第三のタンクユニット内循環配管22cの途中に設けられる。
温水導出配管23の一方の端部は第五の温水配管21eの途中に接続され、接続箇所に分岐点が形成される。温水導出配管23の他方の端部は二つに分岐してそれぞれ給湯用混合弁36の第一入口と風呂用混合弁37の第一入口に接続される。
風呂配管24の一方の端部は風呂用混合弁37の出口に接続される。風呂配管24の他方の端部は風呂用電磁弁34に接続される。また、風呂用流量センサ38が風呂配管24の途中に設けられる。風呂用流量センサ38は風呂配管24に流れる水の流量を測定する。
タンクユニット内浴槽往き配管25の一方の端部は風呂用電磁弁34に接続される。タンクユニット内浴槽往き配管25の他方の端部は浴槽往き配管303の一方の端部に接続される。また、風呂往き温度センサ39がタンクユニット内浴槽往き配管25に後述するタンクユニット内浴槽戻り配管26が接続されることで形成される分岐点とタンクユニット内浴槽往き配管25の他方の端部との間に設けられる。風呂往き温度センサ39はタンクユニット内浴槽往き配管25に流れる水の温度を測定する。
タンクユニット内浴槽戻り配管26の一方の端部は浴槽戻り配管304の一方の端部に接続される。タンクユニット内浴槽戻り配管26の他方の端部はタンクユニット内浴槽往き配管25の途中に接続され、接続箇所に分岐点が形成される。また、タンクユニット内浴槽戻り配管26の途中には、風呂用熱交換器11の第二の水流路と、風呂循環ポンプ13と、風呂戻り温度センサ40と、水位センサ41と、フロースイッチ42と、が設けられる。風呂循環ポンプ13は風呂用熱交換器11の第二の水流路よりもタンクユニット内浴槽戻り配管26の一方の端部側に設けられる。風呂戻り温度センサ40はタンクユニット内浴槽戻り配管26に流れる水の温度を測定し、風呂用熱交換器11の第二の水流路および風呂循環ポンプ13よりもタンクユニット内浴槽戻り配管26の一方の端部側に設けられる。水位センサ41はタンクユニット内浴槽戻り配管26が浴槽戻り配管304を介して接続される浴槽200内の水の水位を測定し、風呂用熱交換器11の第二の水流路と風呂循環ポンプ13の間に設けられる。フロースイッチ42はタンクユニット内浴槽戻り配管26における水の流れを測定し、風呂用熱交換器11の第二の水流路と風呂循環ポンプ13の間に設けられる。なお、水位センサ41は浴水の状態の一つである水位を測定するため、浴水の状態を測定する浴水状態測定手段に該当する。
給湯配管27の一方の端部は給湯用混合弁36の出口に接続される。給湯配管27の他方の端部は給湯栓43に接続される。給湯栓43は図示を省略した給湯システム1000の使用者が温水を利用する温水利用装置に接続される。なお、温水利用装置の例としては、シャワーまたは蛇口等が挙げられる。また、以下の説明において、使用者とは給湯システム1000の使用者のことを指す。
中温配管28の一方の端部は第二の三方弁30のbポートに接続される。中温配管28の他方の端部は第一のタンク中部流入出口10fに接続される。
次に制御部14について説明する。制御部14は、給湯システム1000の制御を行う。具体的には実施の形態1における制御部14は、圧縮機1と、膨張弁3と、熱源ポンプ12と、風呂循環ポンプ13と、第一の三方弁29と、第二の三方弁30と、第一の四方弁31と、第二の四方弁32と、風呂用電磁弁34と、給湯用混合弁36と、風呂用混合弁37と、後述する排水栓204とを制御する。
また、制御部14は給湯システム1000に設けられた各種センサおよびリモコンユニット130と電気的に接続される。具体的には実施の形態1における制御部14は、入水温度センサ5と、出湯温度センサ6と、第一の貯湯温度センサ15と、第二の貯湯温度センサ16と、第三の貯湯温度センサ17と、風呂用流量センサ38と、風呂往き温度センサ39と、風呂戻り温度センサ40と、水位センサ41と、フロースイッチ42と、リモコンユニット130と通信可能に接続される。
また、制御部14は図示を省略したプロセッサとメモリとハードウェアインターフェースとタイマーを有する。プロセッサは給湯システム1000の各種装置の制御またはデータ処理を実行する。プロセッサは例えばCPU(Central Processing Unit)である。メモリはプロセッサを動作させるプログラムまたは制御に用いる各種データを記憶する。メモリは、例えばRAM(Randam Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリーなどの不揮発性または揮発性の半導体メモリである。ハードウェアインターフェースは各種センサおよびリモコンユニット130と有線または無線で通信可能に接続され、プロセッサで生成された制御情報を制御信号に変換して送信または各種センサとリモコンユニット130とで取得した情報を含む信号を受信してプロセッサで処理が可能な形式に変換などを行う。ハードウェアインターフェースは例えば有線または無線のインターフェースなどである。タイマーは任意の測定開始時点からの経過時間を測る。
次にリモコンユニット130について説明する。リモコンユニット130は、操作部44と、報知部45と、を有する。リモコンユニット130は、例えば、浴槽200が設置された浴室の壁や浴室以外の場所の壁に設置されたリモコン装置または持ち運び可能なスマートフォンやタブレット端末などが挙げられる。
操作部44は、運転動作指令及び設定値の変更などの使用者の操作を受け付ける。例えば、操作部44は浴槽200に湯を張る湯張り運転を開始する指令または浴槽200に張られる湯の温度の設定値の変更などを受け付ける。操作部44は、例えば、押しボタンまたはタッチパネルなどが挙げられる。
報知部45は、給湯システムの運転状態などの情報を使用者に報知する。報知部45が使用者に報知する方法としては、情報を文字や図柄で出力する方法または情報を音や音声で出力する方法などが挙げられる。報知部45は、例えば、液晶パネルまたはスピーカーなどが挙げられる。
次に浴槽200について説明する。浴槽200は使用者が入浴できるように内部に水を貯留することができる。浴槽200に貯留される水を、以降の説明では浴水と称する。
浴槽200には浴槽水流入口201と浴槽水流出口202と排水口203とが形成されている。浴槽水流入口201は浴槽往き配管303の他方の端部が接続され、水は浴槽水流入口201より浴槽200に流入する。浴槽水流出口202は浴槽戻り配管304の他方の端部が接続され、浴水は浴槽水流出口202からタンクユニット120へ流出する。排水口203は下水道などの排水先に配管を介して接続される。なお、実施の形態1において排水口203ならびに排水口203から排水先までの配管が排水流路に該当する。
浴槽200には排水栓204が設けられる。排水栓204は排水口203の開閉を行うことができ、制御部14によって制御される。なお、実施の形態1の給湯システム1000において排水栓204が排水流路開閉手段に該当する。
次に給湯システム1000における水の流れについて説明する。
まず、水源から水が貯湯タンク10に供給される場合の水の流れについて説明する。水源の水は第一の給水配管18aを通過して第一のタンク下部流入出口10aより貯湯タンク10の内部に流入する。したがって、水源から貯湯タンク10へ流入した水は貯湯タンク10の下部に貯められる。
図2は、実施の形態1に係る給湯システムの沸き上げ運転時の概略図である。次に図2を用いてタンク水を高温に沸き上げる沸き上げ運転におけるタンク水および冷媒の流れについて説明する。なお、図2では沸き上げ運転時にタンク水が流れる配管および冷媒が流れる配管を太線で示す。
沸き上げ運転では圧縮機1が駆動する。このため、冷媒回路を冷媒が循環し、圧縮機1で圧縮された高温高圧のガス状の冷媒は水冷媒熱交換器2の冷媒流路に流入する。
また、沸き上げ運転では、第一の三方弁29はaポートとcポートを連通しbポートを閉塞する状態である。この状態で熱源ポンプ12が稼働することによって、沸き上げ運転では貯湯タンク10の下部に貯められたタンク水が第二のタンク下部流入出口10bより流出する。このため、貯湯タンク10を流出したタンク水はタンク下部水導出配管19と第一の送水配管20aと加熱ユニット往き配管301と加熱ユニット内往き配管8とを通過して水冷媒熱交換器2の水流路に流入する。水冷媒熱交換器2の水流路に流入したタンク水は水冷媒熱交換器2の冷媒流路を流れる高温高圧のガス状態の冷媒によって加熱され、貯湯タンク10より流出した際の温度と比較して高温になる。また、沸き上げ運転では第一の四方弁31はbポートとdポートを連通しaポートとcポートを閉塞する状態である。さらに、第二の四方弁32はaポートとbポートを接続しcポートとdポートを閉塞する状態である。このため、水冷媒熱交換器2で加熱されたタンク水は加熱ユニット内戻り配管9と加熱ユニット戻り配管302と第一の温水配管21aと第二の温水配管21bと第四の温水配管21dとを通過して第二のタンク上部流入出口10eより貯湯タンク10の内部に流入する。したがって、加熱ユニット110で加熱された高温のタンク水は貯湯タンク10の上部に貯められる。
一般的に水は温度が高いほど密度が低く温度が低いほど密度が高い。このため、温度が比較的低い水源の水を貯湯タンク10の下部から流入させ温度が比較的高い加熱ユニット110で加熱された高温のタンク水を貯湯タンク10の上部から流入させることによって、貯湯タンク10の内部に上側が高温で下側が低温となる温度成層を形成することができる。また、それぞれ高さ方向の位置が異なる場所に取り付けられた複数個の貯湯温度センサが測定する温度に基づいて制御部14は貯湯タンク10に貯められたタンク水が有する熱量を測定することができる。
次にタンク水が浴槽200に供給される場合の水の流れについて説明する。タンク水の上部に貯められた温度が比較的高いタンク水は第一のタンク上部流入出口10dより貯湯タンク10から流出する。流出したタンク水は温水導出配管23を通過して風呂用混合弁37に流入する。また、タンク水が浴槽200に供給される場合に第二の三方弁30はaポートとcポートを接続する状態であり、水源の水が第一の給水配管18aと第二の給水配管18bと第三の給水配管18cとを通過して風呂用混合弁37に流入する。風呂用混合弁37に流入したタンク水と水源の水は混合されて、風呂用混合弁37の出口から流出する。なお、風呂用混合弁37は風呂用混合弁37から流出する混合水が予め設定された温度になるように制御部14によってタンク水と水源の水の混合比率が制御される。また、風呂用電磁弁34は開状態になっており、風呂用混合弁37から流出した混合水はタンクユニット内浴槽往き配管25と浴槽往き配管303を通過して浴槽水流入口201より浴槽200に流入する。
次にタンク水が温水利用装置に供給される場合の水の流れについて説明する。タンク水の上部に貯められた温度が比較的高いタンク水は第一のタンク上部流入出口10dより貯湯タンク10から流出する。流出したタンク水は温水導出配管23を通過して給湯用混合弁36に流入する。また、タンク水が温水利用装置に供給される場合に第二の三方弁30はaポートとcポートを接続する状態であり、水源の水が第一の給水配管18aと第二の給水配管18bと第三の給水配管18cとを通過して給湯用混合弁36に流入する。給湯用混合弁36に流入したタンク水と水源の水は混合されて、給湯用混合弁36の出口から流出する。なお、給湯用混合弁36は給湯用混合弁36から流出する混合水が予め設定された温度になるように制御部14によってタンク水と水源の水の混合比率が制御される。給湯用混合弁36から流出した混合水は給湯配管27と給湯栓43とを通過し温水利用装置に供給される。
図3は、実施の形態1に係る給湯システムの熱回収運転時の概略図である。次に図3を用いて浴水の熱をタンク水へ回収する熱回収運転におけるタンク水の流れと浴水の流れについて説明する。なお、図3では熱回収運転時にタンク水が流れる配管および浴水が流れる配管を太線で示す。
まずはタンク水の流れについて説明する。熱回収運転では、第一の三方弁29はaポートとcポートを接続しbポートを閉塞する状態である。この状態で熱源ポンプ12が稼働することによって、熱回収運転では貯湯タンク10の下部に貯められたタンク水が第二のタンク下部流入出口10bより流出する。また、熱回収運転では第一の四方弁31はaポートとdポートを接続しbポートとcポートを閉塞する状態である。さらに、第二の四方弁32はaポートとbポートを接続しcポートとdポートを閉塞する状態である。このため、貯湯タンク10を流出したタンク水はタンク下部水導出配管19と第一の送水配管20aと第二の送水配管20bと第二の温水配管21bと第四の温水配管21dと第一のタンクユニット内循環配管22aとを通過して風呂用熱交換器11の第一の水流路に流入する。風呂用熱交換器11で熱交換を行い風呂用熱交換器11の第一の水流路を流出したタンク水は、第二のタンクユニット内循環配管22bと第三のタンクユニット内循環配管22cと中温配管28とを通過して第一のタンク中部流入出口10fより貯湯タンク10の内部に流入する。したがって、風呂用熱交換器11で熱交換を行ったタンク水は貯湯タンク10の中部に貯められる。
次に浴水の流れについて説明する。熱回収運転では風呂用電磁弁34は閉状態である。この状態で風呂循環ポンプ13が稼働することよって、熱回収運転では浴槽200に貯められた浴水が浴槽水流出口202より流出する。浴槽200を流出した浴水は浴槽戻り配管304とタンクユニット内浴槽戻り配管26とを通過して風呂用熱交換器11の第二の水流路に流入する。風呂用熱交換器11で熱交換を行い風呂用熱交換器11の第二の水流路を流出した浴水は、タンクユニット内浴槽往き配管25と浴槽往き配管303とを通過して浴槽水流入口201より浴槽200の内部に流入する。
後述するように熱回収運転は風呂用熱交換器11の第一の水流路に流入するタンク水の温度よりも風呂用熱交換器11の第二の水流路に流入する浴水の温度の方が高い場合に行われる。したがって、風呂用熱交換器11の第一の水流路を通過するタンク水は風呂用熱交換器11の第二の水流路を通過する浴水によって加熱される。また、上述のタンク水が浴槽200に供給される場合の水の流れで説明した通り、浴槽200に貯められる浴水は貯湯タンク10の上部に貯められた高温のタンク水と水源の水とを混合した水である。このため、浴槽200に貯められる浴水の温度は貯湯タンク10の上部に貯められた高温のタンク水よりも温度は低く、風呂用熱交換器11で浴水により加熱されたタンク水の温度は貯湯タンク10の上部に貯められた高温のタンク水よりも低い。つまり、風呂用熱交換器11で浴水により加熱されたタンク水の温度は、貯湯タンク10の上部に貯められた高温のタンク水よりも低く貯湯タンク10の下部に貯められた低温のタンク水よりも高い温度の中温である。中温のタンク水は第一のタンク中部流入出口10fより貯湯タンク10の内部に流入するため、貯湯タンク10の内部に上側が高温で中側が中温で下側が低温となる三層の温度成層を形成することができる。
次に、使用者がリモコンユニット130の操作部44より熱回収運転を開始する操作が行われた後に制御部14が行う制御について説明する。当該操作が行われた後、制御部14は後述する第一の制御と第二の制御と第三の制御と第四の制御を同時に並行して実施する。また、第一の制御と第二の制御と第三の制御と第四の制御が行われている間、例えば液晶パネルに「熱回収中」との文字を表示するなど、制御部14は報知部45より熱回収運転を開始する操作がなされ浴槽200に貯められた浴水が排出されていないことを使用者に報知する。
図4および図5は、実施の形態1に係る給湯システムにおける第一の制御のフローチャートである。まず、第一の制御について説明する。なお、図4のフローチャートの開始の前提として、浴槽200には浴水が貯められているとする。
第一の制御の開始後、ステップS101の処理を行う。ステップS101では、制御部14は熱源ポンプ12と風呂循環ポンプ13を稼働させ各種弁を制御し熱回収運転を開始する。
ステップS101の処理の後、ステップS102の処理をへ進む。ステップS102では、制御部14は熱回収運転を行った場合に風呂用熱交換器11に流入する浴水の温度である浴水温度Tbを取得する浴水温度取得処理を行う。実施の形態1に係る給湯システム1000の浴水温度取得処理において、制御部14は風呂戻り温度センサ40で測定した温度を浴水温度Tbとして取得する。
ステップS102の処理の後、ステップS103の処理へ進む。ステップS103では、制御部14はステップS102で取得した浴水温度Tbが閾浴水温度Tb1よりも大きいか否かを判断する。つまり、ステップS103では制御部14はTb>Tb1の条件を満たすか否かを判断する。なお、閾浴水温度Tb1は使用者、給湯システム1000の設計者または制御部14によって任意の値に予め設定され、制御部14のメモリに記憶されている。なお、以下の説明において、設計者とは給湯システム1000の設計者のことを指す。
ステップS103の処理において、浴水温度Tbが閾浴水温度Tb1よりも大きいと制御部14が判断した場合(ステップS103,YES)は、ステップS104の処理へ進む。ステップS104では、制御部14は熱回収運転を行った場合に風呂用熱交換器11に流入するタンク水の温度であるタンク水温度Ttを取得するタンク水温度取得処理を行う。実施の形態1に係る給湯システム1000のタンク水温度取得処理において、制御部14は第三の貯湯温度センサ17が測定した温度をタンク水温度Ttとして取得する。第三の貯湯温度センサ17が測定した温度をタンク水温度Ttとする理由は、熱回収運転において貯湯タンク10からタンク水が流出する第二のタンク下部流入出口10bに最も近い位置に設けられた貯湯温度センサであるからである。
ステップS104の処理の後、ステップS105の処理へ進む。ステップS105では、制御部14はステップS102で取得した浴水温度TbよりステップS104で取得したタンク水温度Ttを減算した値である差分温度値Tdを導出する。つまり、ステップS105では制御部14はTd=Tb−Ttの演算を行い、差分温度値Tdを導出する。
ステップS105の処理の後、ステップS106の処理へ進む。ステップS106では、制御部14はステップS105で導出した差分温度値Tdが閾差分温度値Td1よりも大きいか否かを判断する。つまり、ステップS106では制御部14はTd>Td1の条件を満たすか否かを判断する。なお、閾差分温度値Td1は使用者、設計者または制御部14によって少なくとも0以上の任意の値に予め設定され、制御部14のメモリに記憶されている。
ステップS106で差分温度値Tdが閾差分温度値Td1よりも大きいか否かを判断する理由は以下の通りである。熱回収運転を行うと、温度による水の比重の差によってタンク水と熱交換された比較的低温の浴水は浴槽200の下側に溜まりタンク水と熱交換されていない比較的高温の浴水は浴槽200の上側に溜まる。このため、熱回収運転によって浴槽200内に高温の浴水と低温の浴水の温度境界層が発生する。この温度境界層の境は熱回収運転を行うと徐々に上側へ移動していき、浴槽水流出口202が形成された高さまで温度境界層の境が移動すると、一度熱交換を行った比較的低温の浴水が再び風呂用熱交換器11に流入するようになり熱交換効率が悪化してしまう。このため、ステップS105で差分温度値Tdが閾差分温度値Td1よりも大きいか否かを判断することによって比較的低温の浴水が風呂用熱交換器11に流入しているか否かを判断することができる。
ステップS106の処理において、差分温度値Tdが閾差分温度値Td1よりも大きいと制御部14が判断した場合(ステップS106,YES)は、ステップS102の処理に戻り、再び制御部14は浴水温度取得処理を行う。
ステップS106の処理において、差分温度値Tdが閾差分温度値Td1以下と制御部14が判断した場合(ステップS106,NO)はステップS107の処理へ進む。ステップS107では、制御部14は熱回収運転を停止させる。実施の形態1に係る給湯システム1000のステップS106の処理において、制御部14は熱源ポンプ12と風呂循環ポンプ13を停止させることによって熱回収運転を停止させる。
ステップS107の処理の後、ステップS108の処理へ進む。ステップS108では、制御部14は浴水によってタンク水を加熱することが可能であると判断する条件を満たすまで熱回収運転を停止させたまま待機する待機処理を行う。
図6は実施の形態1に係る給湯システムにおける待機処理のフローチャートである。ここで図6を用いて実施の形態1における待機処理について詳細を説明する。なお、後述で記載するように待機処理では浴水の排出は行われない。
待機処理の開始後、ステップS501の処理を行う。ステップS501では制御部14はタイマーを用いて経過時間の測定を開始する。ステップS501の処理を行ってからの経過時間を第一の経過時間t1と称する。
ステップS501の処理の後、ステップS502の処理へ進む。ステップS502では制御部14は第一の経過時間t1が停止時間tsを経過したか否かを判断する。つまり、ステップS502では制御部14はt1>tsの条件を満たすか否かを判断する。なお、停止時間tsは使用者、設計者または制御部14によって予め設定され、制御部14のメモリに記憶されている。例えば、放熱によりタンク水温度Ttが所定の温度幅減少する時間を設計者が実験的にまたはシミュレーションに基づき導出し、導出した時間を停止時間tsとしてもよい。また、第一の経過時間t1が停止時間tsを経過したという条件が浴水によってタンク水を加熱することが可能であると制御部14が判断する条件である。
ステップS502の処理において、第一の経過時間t1が停止時間tsを経過していないと制御部14が判断した場合(ステップS502,NO)は、ステップS502に戻り、再び制御部14は第一の経過時間t1が停止時間tsを経過したか否かを判断する。
ステップS502の処理において、第一の経過時間t1が停止時間tsを経過したと制御部14が判断した場合(ステップS502,YES)は、制御部14は待機処理を終了する。
図4および図5に戻り、第一の制御のフローチャートの説明に戻る。ステップS108の処理の後、ステップS109の処理へ進む。ステップS109では、制御部14は熱回収運転を再開する。実施の形態1に係る給湯システム1000のステップS109の処理において、制御部14は熱源ポンプ12と風呂循環ポンプ13を稼働させる。
ステップS109の処理の後、ステップS102に戻り、再び制御部14は浴水温度取得処理を行う。
ステップS103の処理において、浴水温度Tbが閾浴水温度Tb1以下であると制御部14が判断した場合(ステップS103,NO)は、図5に示すステップS110の処理へ進む。ステップS110では制御部14は浴槽200に貯められた浴水の水位Lを取得する水位取得処理を行う。実施の形態1に係る給湯システム1000の水位取得処理において、制御部14は水位センサ41で測定した水位を水位Lとして取得する。
ステップS110の処理の後、ステップS111の処理へ進む。ステップS111では制御部14はステップS110で取得した水位Lが閾水位L1よりも低いか否かを判断する。つまり、ステップS111では制御部14はL<L1の条件を満たすか否かを判断する。なお、閾水位L1は使用者、設計者または制御部14によって少なくとも浴槽水流出口202が形成された高さよりも高く予め設定され、制御部14のメモリに記憶されている。
また、ステップS111の水位Lが閾水位L1よりも低いか否かの判断は、浴水の状態が熱回収運転に適しているか適していないかの判断に該当する。前述の通り熱回収運転を行うと、浴槽200内に高温の浴水と低温の浴水の温度境界層が発生する。このため、浴槽200に溜まった浴水の水位を測定することで、浴槽水流出口202よりも上側に存在するステップS102で測定した浴水温度Tbよりも高温の浴水の層の厚さを測定することができる。水位が高い場合はまだ熱回収を行えるだけの高温の浴水が浴槽200内に貯められており、浴水の状態が熱回収運転に適していると判断できる。水位が低い場合は熱回収を行えるだけの高温の浴水は浴槽200内に貯められておらず、浴水の状態が熱回収運転に適していないと判断できる。
ステップS111の処理において、水位Lが閾水位L1以上であると制御部14が判断した場合(ステップ111,NO)は、ステップS112の処理へ進む。ステップS112では制御部14は予め定められた開栓時間の間だけ排水栓204を開き浴槽200に貯められた浴水の一部を排出する浴水一部排出処理を行う。なお、開栓時間は使用者、設計者または制御部14によって予め設定され、制御部14のメモリに記憶されている。例えば、排水栓204を開き浴槽200の浴水の水位が所定の水位幅減少する時間を設計者が実験的にまたはシミュレーションに基づき導出し、導出した時間を開栓時間としてもよい。
ステップS112で浴水一部排出処理を行うことによって、浴槽200の下側に貯められている低温の浴水が排出され、浴槽200内の温度境界層の境は下側に移動する。温度境界層の境が浴槽水流出口202よりも下方へ移動すると、熱交換を行っていない高温の浴水が風呂用熱交換器11に流入するようになり熱交換効率が向上する。
ステップS112の処理の後、ステップS102に戻り再び制御部14は浴水温度取得処理を行う。
ステップS111の処理において、水位Lが閾水位L1より低いと制御部14が判断した場合(ステップ111,YES)は、ステップS113の処理へ進む。ステップS113では制御部14は熱回収運転を停止させる。実施の形態1に係る給湯システム1000のステップS113の処理において、制御部14は熱源ポンプ12と風呂循環ポンプ13を停止させることによって熱回収運転を停止させる。
ステップS113の処理の後、ステップS114の処理へ進む。ステップS114では制御部14は浴槽200に貯められた浴水を全て排出する浴水全量排出処理を行う。なお、実施の形態1に係る給湯システム1000の浴水全量排出処理では、制御部14は排水栓204を開く。
ステップS114の処理の後、制御部14は第一の制御を終了する。また、ステップS114の処理が終了し第一の制御の終了する時に制御部14が第二の制御と第三の制御と第四の制御を行っている場合は、制御部14は第二の制御と第三の制御と第四の制御を終了する。
図7は、実施の形態1に係る給湯システムにおける第二の制御のフローチャートである。次に図7を用いて第二の制御について説明する。
第二の制御の開始後、ステップS201の処理を行う。ステップS201では制御部14はタイマーを用いて経過時間の測定を開始する。ステップS201の処理を行ってからの経過時間を第二の経過時間t2と称する。
ステップS201の処理の後、ステップS202の処理へ進む。ステップS202では制御部14は第二の経過時間t2が終了時間teを経過したか否かを判断する。つまり、ステップS202では制御部14はt2>teの条件を満たすか否かを判断する。なお、終了時間teは使用者、設計者または制御部14によって予め設定され、制御部14のメモリに記憶されている。例えば、終了時間teは使用者によって30分〜480分に設定可能である。
ステップS202の処理において、第二の経過時間t2が終了時間teを経過していないと制御部14が判断した場合(ステップS202,NO)は、ステップS202に戻り、再び制御部14は第二の経過時間t2が終了時間teを経過したか否かを判断する。
ステップS202の処理において、第二の経過時間t2が終了時間teを経過したと制御部14が判断した場合(ステップS202,YES)は、ステップS203の処理へ進む。ステップS203では制御部14は熱回収運転を停止させる。実施の形態1に係る給湯システム1000のステップS203の処理において、制御部14は熱源ポンプ12と風呂循環ポンプ13を停止させることによって熱回収運転を停止させる。
ステップS203の処理の後、ステップS204の処理へ進む。ステップS204では制御部14は浴水全量排出処理を行う。なお、ステップS204で行われる浴水全量排出処理については、ステップS114で説明を行った浴槽全量排出処理と同様であるため、説明を省略する。
ステップS204の処理の後、制御部14は第二の制御を終了する。また、第二の制御の終了する時に制御部14が第一の制御と第三の制御と第四の制御を行っている場合は、制御部14は第一の制御と第三の制御と第四の制御を終了する。
図8は、実施の形態1に係る給湯システムにおける第三の制御のフローチャートである。次に図8を用いて第三の制御について説明する。
第三の制御の開始後、ステップS301の処理を行う。ステップS301では制御部14は使用者が操作部44より浴槽200に貯められた浴水を排出する操作を行ったか否かを判断する。
ステップS301の処理において、使用者が操作部44より浴槽200に貯められた浴水を排出する操作を行っていないと制御部14が判断した場合(ステップS301,NO)は、ステップS301に戻り、再び制御部14は使用者が操作部44より浴槽200に貯められた浴水を排出する操作を行ったか否かを判断する。
ステップS301の処理において、使用者が操作部44より浴槽200に貯められた浴水を排出する操作を行ったと制御部14が判断した場合(ステップS301,YES)は、ステップS302の処理へ進む。ステップS302では制御部14は熱回収運転を停止させる。実施の形態1に係る給湯システム1000のステップS302の処理において、制御部14は熱源ポンプ12と風呂循環ポンプ13を停止させることによって熱回収運転を停止させる。
ステップS302の処理の後、ステップS303の処理へ進む。ステップS303では制御部14は浴水全量排出処理を行う。なお、ステップS303で行われる浴水全量排出処理については、ステップS114で説明を行った浴槽全量排出処理と同様であるため、説明を省略する。
ステップS303の処理の後、制御部14は第三の制御を終了する。また、ステップS303の処理が終了し第三の制御の終了する時に制御部14が第一の制御と第二の制御と第四の制御を行っている場合は、制御部14は第一の制御と第二の制御と第四の制御を終了する。
図9は、実施の形態1に係る給湯システムにおける第四の制御のフローチャートである。次に図9を用いて第四の制御について説明する。
第四の制御の開始後、ステップS401の処理を行う。ステップS401では制御部14は沸き上げ運転を行う条件が満たされたか否かを判断する。ここで沸き上げ運転を行う条件が満たされる場合とは、例えば、使用者が操作部44より沸き上げ運転を行う操作を行った場合、貯湯タンク10に貯留されたタンク水の熱量が著しく低下し湯切れが起きると制御部14が判断した場合、または沸き上げ運転を実行する沸き上げ開始時刻が予め設定されており現在の時刻が沸き上げ開始時刻に至ったと制御部14が判断した場合などが挙げられる。
ステップS401の処理において、沸き上げ運転を行う条件が満たされていないと制御部14が判断した場合(ステップS401,NO)は、ステップS401に戻り、再び制御部14は沸き上げ運転を行う条件が満たされたか否かを判断する。
ステップS401の処理において、沸き上げ運転を行う条件が満たされたと制御部14が判断した場合(ステップS401,YES)は、ステップS402の処理へ進む。ステップS402では制御部14は上述した第一の制御を停止させる。
ステップS402の処理の後、ステップS403の処理へ進む。ステップS403では制御部14は熱回収運転を停止させ、沸き上げ運転を開始する。実施の形態1に係る給湯システム1000のステップS403の処理において、制御部14は、第一の四方弁31をbポートとdポートを連通しaポートとcポートを閉塞する状態に変更し風呂循環ポンプ13を停止させ圧縮機1を稼働させることによって、熱回収運転を停止させ沸き上げ運転を開始する。
ステップS403の処理の後、ステップS404の処理へ進む。ステップS404では制御部14は沸き上げ運転を終了する条件が満たされたか否かを判断する。ここで沸き上げ運転を終了する条件が満たされる場合とは、例えば、貯湯タンク10に貯められたタンク水の熱量が十分な量になった場合または沸き上げ運転を終了する沸き上げ終了時刻が予め設定されており現在の時刻が沸き上げ終了時刻に至ったと制御部14が判断した場合などが挙げられる。
ステップS404の処理において、沸き上げ運転を行う条件が満たされていないと制御部14が判断した場合(ステップS404,NO)は、ステップS404に戻り、再び制御部14は沸き上げ運転を終了する条件が満たされたか否かを判断する。
ステップS404の処理において、沸き上げ運転を行う条件が満たされたと制御部14が判断した場合(ステップS404,YES)は、ステップS405の処理へ進む。ステップS405では制御部14は沸き上げ運転を停止させる。実施の形態1に係る給湯システム1000のステップS405の処理において、制御部14は、第一の四方弁31をaポートとdポートを連通しbポートとcポートを閉塞する状態に変更し圧縮機1を停止させることによって、沸き上げ運転を停止させる。
ステップS405の処理の後、ステップS406へ進む。ステップS406では制御部14は第一の制御を再開させる。ここでステップS406では、第一の制御の処理のうちステップS402で停止した処理から再開する。このため、ステップS402の時点で熱回収運転を停止していた場合はステップS406では熱回収運転を停止させた状態で第一の制御を再開し、ステップS402の時点で熱回収運転を行っていた場合はステップS406では熱回収運転を行った状態で第一の制御を再開する。
ステップS406の処理の後、ステップS401に戻り、再び制御部14は沸き上げ運転を行う条件が満たされたか否かを判断する。
以上のように実施の形態1に係る給湯システム1000の構成は、タンク水を貯留する貯湯タンク10と、浴水を貯留する浴槽200と、浴水とタンク水との間で熱を交換させる熱交換器(風呂用熱交換器11が該当)と、熱交換器に流入するタンク水の温度を測定するタンク水温度測定手段(第三の貯湯温度センサ17が該当)と、熱交換器に流入する浴水の温度を測定する浴水温度測定手段(風呂戻り温度センサ40が該当)と、熱交換器に流入するタンク水の流量を制御する制御手段(制御部14が該当)と、を備え、貯湯タンク10に貯留されたタンク水は温水利用装置に供給可能であり、制御手段は熱交換器にタンク水を流入させることで浴水によってタンク水を熱交換器で加熱する熱回収運転を行わせ、熱回収運転が行われている場合において浴水温度測定手段が測定した浴水の温度からタンク水温度測定手段が測定したタンク水の温度を減算した値が予め定められた値以下になった場合に制御手段は熱回収運転を停止させ(ステップS106およびステップS107が該当)、熱回収運転が停止しておりかつ浴水によってタンク水を加熱することが可能であると制御手段が判断する条件を満たした場合に制御手段は熱回収運転を再開させる(ステップS108およびステップS109が該当)構成である。当該構成のうち、熱回収運転が行われている場合において浴水温度測定手段が測定した浴水の温度からタンク水温度測定手段が測定したタンク水の温度を減算した値が予め定められた値以下になった場合に制御手段は熱回収運転を停止させる構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯システム1000は浴水の温度が低下してタンク水を浴水で加熱することができない状態になった場合は熱回収運転を停止させて、タンク水および浴水を搬送するエネルギーを削減し、省エネルギーに熱回収運転を行うことができる効果を奏する。また、当該構成のうち、熱回収運転が停止しておりかつ浴水によってタンク水を加熱することが可能であると制御手段が判断する条件を満たした場合に制御手段は熱回収運転を再開させる構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯システム1000は熱回収運転の停止後にタンク水の温度が低下し再度浴水によってタンク水を加熱することができる場合には熱回収運転を再開し、浴水が蓄える熱量をより有効に活用することができる効果を奏する。
また、実施の形態1に係る給湯システム1000は、付加的な構成として、浴水によってタンク水を加熱することが可能であると制御手段が判断する条件を満たした場合とは、熱回収運転の停止から予め定められた停止時間tsが経過した場合(ステップS502が該当)である構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯システム1000は、放熱によってタンク水の温度が低下し再度浴水によってタンク水を加熱することができる場合には熱回収運転を再開し、浴水が蓄える熱量をより有効に活用することができる効果を奏する。
また、実施の形態1に係る給湯システム1000は、付加的な構成として、タンク水を加熱する加熱ユニット110を備え、熱回収運転が行われている場合において加熱ユニット110によりタンク水が加熱する沸き上げ運転を行う場合(ステップS401が該当)に制御手段は前記熱回収運転を停止させる(ステップS403が該当)構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯システム1000は、熱回収運転と沸き上げ運転が同時に行われ風呂用熱交換器11で加熱された中温のタンク水と加熱ユニット110で加熱された高温のタンク水とが混ざり、貯湯タンク10内の温度成層が破壊されることを抑制することができる効果を奏する。また、当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯システム1000は、熱回収運転よりも沸き上げ運転が優先して行われ湯切れが発生することを抑制することができる。
また、実施の形態1に係る給湯システム1000は、付加的な構成として、浴槽200に貯留された水を排水する排水流路の開閉を行い、制御手段によって制御される排水流路開閉手段(排水栓204が該当)を備え、熱回収運転が終了した場合において制御手段は排水流路を開くように排水流路開閉手段を制御する(ステップS114、ステップS204またはステップS303が該当)構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯システム1000は、熱回収運転の終了時に自動的に浴水の排水を行い、熱回収運転終了後に使用者が手動で浴水の排水を行う必要がなくなり利便性が向上する効果を奏する。
また、実施の形態1に係る給湯システム1000は、付加的な構成として、使用者に給湯システム1000の状態を報知する報知手段(報知部45が該当)を備え、熱回収運転が行われている場合において報知手段は浴水の排水が完了していない情報を報知する構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯システム1000は、熱回収運転が長時間にわたり浴水が排水されない状態を使用者が機器の異常と誤解することを抑制する効果を奏する。
また、実施の形態1に係る給湯システム1000は、付加的な構成として、使用者の操作を受け付ける操作手段(操作部44が該当)を備え、報知手段が浴水の排水が完了していないことを報知しており操作手段より浴水を排出する操作が行われた場合(ステップS301が該当)、制御手段は熱回収運転を終了させ排水流路を開くように排水流路開閉手段を制御する(ステップS302とステップS303が該当)構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯システム1000は、熱回収運転が長時間運転し浴水が排出されない状態でも使用者が希望するタイミングで熱回収運転を終了させ浴水を排出することができるため、使用者にとって使い勝手が良くなるという効果を奏する。
また、実施の形態1に係る給湯システム1000は、付加的な構成として、熱回収運転を開始してから予め定められた終了時間teを経過した場合(ステップS202が該当)において、制御手段は熱回収運転を終了させ排水流路を開くように排水流路開閉手段を制御する(ステップS203とステップS204が該当)構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯システム1000は、使用者に不利益が生じるような長時間にわたって熱回収運転を行わず、使用者にとって使い勝手が良くなるという効果を奏する。
また、実施の形態1に係る給湯システム1000は、付加的な構成として、浴水の状態を測定する浴水状態測定手段(水位センサ41が該当)と、備え、制御手段が浴水状態測定手段で測定した浴水の状態が前記熱回収運転に適していないと判断した場合(ステップS111が該当)において、制御手段は熱回収運転を終了させ排水流路を開くように排水流路開閉手段を制御する(ステップS113とステップS114が該当)構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯システム1000は、浴水の状態を測定し浴水の状態が熱回収運転に適していない場合は自動的に熱回収運転を終了させ排水することができるため、使用者にとって使い勝手が良くなるという効果を奏する。
また、実施の形態1に係る給湯システム1000は、付加的な構成として、熱回収運転が停止する時に浴槽に貯留された浴水が排出されない構成を有する。当該付加的な構成によって、実施の形態1に係る給湯システム1000は浴水が蓄える熱量をより有効に活用することができる効果を奏する。
さらに、実施の形態1に係る給湯装置100の構成は、タンク水を貯留する貯湯タンク10と、浴槽200に貯留された浴水とタンク水との間で熱を交換させる熱交換器(風呂用熱交換器11が該当)と、熱交換器に流入するタンク水の温度を測定するタンク水温度測定手段(第三の貯湯温度センサ17が該当)と、を備え、貯湯タンク10に貯留されたタンク水は温水利用装置に供給可能であり、熱交換器にタンク水が流入することで浴水によってタンク水を熱交換器で加熱する熱回収運転を行い、熱回収運転が行われている場合において熱交換器に流入する浴水の温度からタンク水温度測定手段が測定したタンク水の温度を減算した値が予め定められた値以下になった場合に熱交換器にタンク水が流入しなくなり熱回収運転が停止され(ステップS106およびステップS107が該当)、熱回収運転が停止しておりかつ浴水によってタンク水を加熱することが可能であると判断される条件を満たした場合において熱交換器にタンク水が流入し熱回収運転が再開する(ステップS108およびステップS109が該当)構成である。当該構成のうち、熱回収運転が行われている場合において熱交換器に流入する浴水の温度からタンク水温度測定手段が測定したタンク水の温度を減算した値が予め定められた値以下になった場合に熱交換器にタンク水が流入しなくなり熱回収運転が停止される構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯装置100は浴水の温度が低下してタンク水を浴水で加熱することができない状態になった場合は熱回収運転を停止させて、タンク水および浴水を搬送するエネルギーを削減し、省エネルギーに熱回収運転を行うことができる効果を奏する。また、当該構成のうち、熱回収運転が停止しておりかつ浴水によってタンク水を加熱することが可能であると判断される条件を満たした場合において熱交換器にタンク水が流入し熱回収運転が再開する構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯装置100は熱回収運転の停止後にタンク水の温度が低下し再度浴水によってタンク水を加熱することができる場合には熱回収運転を再開し、浴水が蓄える熱量をより有効に活用することができる効果を奏する。
また、実施の形態1に係る給湯装置100は、付加的な構成として、浴水によってタンク水を加熱することが可能であると判断される条件を満たした場合とは、熱回収運転の停止から予め定められた停止時間tsが経過した場合(ステップS502が該当)である構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯装置100は、放熱によってタンク水の温度が低下し再度浴水によってタンク水を加熱することができる場合には熱回収運転を再開し、浴水が蓄える熱量をより有効に活用することができる効果を奏する。
また、実施の形態1に係る給湯装置100は、付加的な構成として、タンク水を加熱する加熱ユニット110を備え、熱回収運転が行われている場合において加熱ユニット110によりタンク水を加熱する沸き上げ運転を行う場合(ステップS401が該当)に熱交換器にタンク水が流入しなくなり熱回収運転が停止する(ステップS402が該当)構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯装置100は、熱回収運転と沸き上げ運転が同時に行われ風呂用熱交換器11で加熱された中温のタンク水と加熱ユニット110で加熱された高温のタンク水とが混ざり、貯湯タンク10内の温度成層が破壊されることを抑制することができる効果を奏する。また、当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯装置100は、熱回収運転よりも沸き上げ運転が優先して行われ湯切れが発生することを抑制することができる。
また、実施の形態1に係る給湯装置100は、付加的な構成として、当該給湯装置と通信可能に接続されている操作手段に浴水を排出する操作が行われた場合(ステップS301が該当)、熱交換器にタンク水が流入しなくなり熱回収運転が終了する(ステップS302が該当)構成を備える。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯装置100は、熱回収運転が長時間運転する状態でも使用者が希望するタイミングで熱回収運転を終了させることができるため、使用者にとって使い勝手が良くなるという効果を奏する。
また、実施の形態1に係る給湯装置100は、付加的な構成として、熱回収運転を開始してから予め定められた終了時間teを経過した場合(ステップS202が該当)において、熱交換器にタンク水が流入しなくなり熱回収運転が終了する(ステップS203が該当)構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯装置100は、使用者に不利益が生じるような長時間にわたって熱回収運転を行わず、使用者にとって使い勝手が良くなるという効果を奏する。
また、実施の形態1に係る給湯装置100は、浴水の状態が熱回収運転に適していない場合(ステップS111が該当)において、熱交換器にタンク水が流入しなくなり熱回収運転が終了する(ステップS113が該当)構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯装置100は、浴水の状態が熱回収運転に適していない場合は自動的に熱回収運転を終了させるため、使用者にとって使い勝手が良くなるという効果を奏する。
さらに、実施の形態1に係る給湯システム1000の制御方法の構成は、浴槽200内に貯留された浴水と貯湯タンク10に貯留されたタンク水との間で熱を交換させる熱交換器(風呂用熱交換器11が該当)にタンク水を流入させることで浴水によってタンク水を熱交換器で加熱する熱回収運転を行う第一のステップ(ステップS101が該当)と、第一のステップの後、熱交換器に流入する浴水の温度から熱交換器に流入するタンク水の温度を減算した値が予め定められた値以下になった場合に熱回収運転を停止させる第二のステップ(ステップS106とステップS107が該当)と、第二のステップの後、浴水によってタンク水を加熱することが可能であると判断する条件を満たした場合に熱回収運転を再開させる第三のステップ(ステップS108とステップS109が該当)と、を備える。当該構成のうち、第二のステップを備えることによって、実施の形態1に係る給湯システム1000の制御方法では浴水の温度が低下してタンク水を浴水で加熱することができない状態になった場合は熱回収運転を停止させて、タンク水および浴水を搬送するエネルギーを削減し、省エネルギーに熱回収運転を行うことができる効果を奏する。また、当該構成のうち、第三のステップを備えることによって、実施の形態1に係る給湯システム1000の制御方法では熱回収運転の停止後にタンク水の温度が低下し再度浴水によってタンク水を加熱することができる場合には熱回収運転を再開し、浴水が蓄える熱量をより有効に活用することができる効果を奏する。
また、実施の形態1に係る給湯システム1000の制御方法は、付加的な構成として、浴水によってタンク水を加熱することが可能であると判断する条件を満たした場合とは、熱回収運転の停止から予め定められた停止時間tsが経過した場合(ステップS502が該当)である構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯システム1000の制御方法は、放熱によってタンク水の温度が低下し再度浴水によってタンク水を加熱することができる場合には熱回収運転を再開し、浴水が蓄える熱量をより有効に活用することができる効果を奏する。
また、実施の形態1に係る給湯システム1000の制御方法は、付加的な構成として、第一のステップの後、加熱ユニット110によりタンク水を加熱する沸き上げ運転を行う条件が満たされた場合(ステップS401が該当)、熱回収運転を停止して沸き上げ運転を開始する第四のステップ(ステップS403)を備える構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯システム1000の制御方法は、熱回収運転と沸き上げ運転が同時に行われ風呂用熱交換器11で加熱された中温のタンク水と加熱ユニット110で加熱された高温のタンク水とが混ざり、貯湯タンク10内の温度成層が破壊されることを抑制することができる効果を奏する。また、当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯システム1000の制御方法は、熱回収運転よりも沸き上げ運転が優先して行われ湯切れが発生することを抑制することができる。
また、実施の形態1に係る給湯システム1000の制御方法は、付加的な構成として、第一のステップの後、熱交換運転を終了する場合において、浴槽200に貯留された水を排水する排水流路の開閉を行う排水流路開閉手段を開く第五のステップ(ステップS114、ステップS204、ステップS303またはステップS403が該当)を備える構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯システム1000の制御方法は、熱回収運転の終了時に自動的に浴水の排水を行い、熱回収運転終了後に使用者が手動で浴水の排水を行う必要がなくなり利便性が向上する効果を奏する。
また、実施の形態1に係る給湯システム1000の制御方法は、付加的な構成として、第五のステップにおける熱交換運転を終了する場合とは、使用者の操作を受け付ける操作手段(操作部44が該当)より浴水を排出する操作が行われた場合(ステップS301が該当)である構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯システム1000の制御方法は、熱回収運転が長時間運転し浴水が排出されない状態でも使用者が希望するタイミングで熱回収運転を終了させ浴水を排出することができるため、使用者にとって使い勝手が良くなるという効果を奏する。
また、実施の形態1に係る給湯システム1000の制御方法は、付加的な構成として、第五のステップにおける熱交換運転を終了する場合とは、熱回収運転を開始してから予め定められた終了時間teを経過した場合(ステップS202が該当)である構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯システム1000は、使用者に不利益が生じるような長時間にわたって熱回収運転を行わず、使用者にとって使い勝手が良くなるという効果を奏する。
また、実施の形態1に係る給湯システム1000の制御方法は、付加的な構成として、第五のステップにおける熱交換運転を終了する場合とは、浴水の状態が熱回収運転に適していない場合(ステップS111が該当)である構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態1に係る給湯システム1000の制御方法は、浴水の状態が熱回収運転に適していない場合は自動的に熱回収運転を終了させるため、使用者にとって使い勝手が良くなるという効果を奏する。
次に実施の形態1の変形例について説明する。
実施の形態1の給湯システム1000では加熱ユニット110は冷媒回路を用いてタンク水を加熱しているがこれに限らない。例えば、ガスなどの燃料を燃焼させ燃焼熱でタンク水を加熱しても構わない。また、例えば、貯湯タンクに電熱線が巻き付けられるなど、加熱ユニットは貯湯タンク内に貯留されているタンク水を貯湯タンク内に保持したまま加熱ができるような装置でも良い。
実施の形態1の給湯システム1000では貯湯タンク10は単一のタンクで構成されているがこれに限らない。例えば、上下方向に直列に接続された複数のタンクで構成されていても良い。この変形例の場合、貯湯タンクの流入出口と貯湯温度センサの位置関係は、最上部のタンクから最下部のタンクまでの全体を一つのタンクと見なし実施の形態1で説明した位置関係で配置される。
実施の形態1の給湯システム1000では、制御部14はタンクユニット120に設けられているがこれに限らない。例えば、制御部を加熱ユニットまたはリモコンユニットに備えても構わない。また、例えば、給湯装置100と浴槽200と通信可能に接続されたHEMS(Home Energy Management System)コントローラのような集中制御コントローラが制御部であっても構わない。さらに、例えば、給湯装置100と浴槽200がインターネットのような外部ネットワークに通信可能に接続され、外部ネットワークに設けられた外部サーバが制御部であっても構わない。
実施の形態1の給湯システム1000では、風呂用熱交換器11に流入する浴水の温度を測定するタンクユニット内浴槽戻り配管26と浴槽200に貯められた浴水の水位を測定する水位センサ41とを給湯装置100が備えているがこれに限らない。例えば、浴槽に貯められた浴水の温度を直接測定する温度センサ、または浴水の水位を直接する水位センサを浴槽が備えていても構わない。
実施の形態1の給湯システム1000では、使用者がリモコンユニット130の操作部44より熱回収運転を開始する操作が行われた後に制御部14は後述する第一の制御と第二の制御と第三の制御と第四の制御を同時に並行して実施するがこれに限らず第一の制御を行うのであれば第二の制御と第三の制御と第四の制御は行わなくてもよい。例えば、第一の制御と第二の制御の二つの制御を行うだけでも良い。また、使用者がリモコンユニット130の操作部44より熱回収運転を開始する操作が行われた後に制御部14が第二の制御と第三の制御と第四の制御とのそれぞれを行うか否かを操作部44から操作を行うことで設定可能にしても構わない。
また、実施の形態1の給湯システム1000では浴水の状態が熱回収運転に適していない場合に熱回収運転を終了し浴水全量排出処理を行うがこれに限らない。例えば、浴水の状態が熱回収運転に適していない場合でも、第二の制御または第三の制御のどちらか一つの制御の終了条件を満たすまで熱回収運転を終了しない構成でも良い。また、浴水の状態が熱回収運転に適していない場合に熱回収運転を終了させるか終了させないかを操作部44から操作を行うことで設定可能にしても構わない。
つまり、実施の形態1の変形例に係る給湯システムは、付加的な構成として、熱回収運転を終了させる条件を、操作手段より浴水を排出する操作が行われた場合か、熱回収運転を開始してから予め定められた終了時間を経過した場合かまたは制御手段が浴水状態測定手段で測定した浴水の状態が熱回収運転に適していないと判断した場合かの少なくとも一つ以上を操作手段を介して使用者が選択できる構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態1の変形例に係る給湯システムは、使用者によって熱回収運転を終了させる条件を変更することができ、より利便性が向上する効果を奏する。
実施の形態1の給湯システム1000の構成に、付加的な構成として、排水流路開閉手段が故障しており熱回収運転が終了した場合において、報知手段は排水流路開閉手段が排水流路を開くことができない情報を報知する構成を加えても構わない。当該付加的な構成を備えることによって浴水が排出されない理由が熱回収運転を行っているためか排水流路開閉手段が故障しているためかを使用者が判断することができる。
実施の形態2.
次に実施の形態2に係る給湯システム1001および給湯装置101について説明する。実施の形態2に係る給湯システム1001および給湯装置101は、実施の形態1に係る給湯システム1000および給湯装置100と比較して、停止処理の内容が異なる。なお、実施の形態2に係る給湯システム1001および給湯装置101は停止処理を除く他の構成は実施の形態1に係る給湯システム1000および給湯装置100と同様であるため同様の部分は説明を省略する。
図10は実施の形態2に係る給湯システムにおける待機処理のフローチャートである。ここで図10を用いて実施の形態2における待機処理について詳細を説明する。
待機処理の開始後、ステップS503の処理を行う。ステップS503では制御部14は貯湯タンク10に貯められたタンク水を温水利用装置に供給したか否かを判断する。なお、温水利用装置にタンク水を供給する場合、制御部14はタンク水と水源の水の混合比率を調整するために給湯用混合弁36を制御する。このため、制御部14は給湯用混合弁36を制御した際に貯湯タンク10に貯められた高温のタンク水を温水利用装置に供給したと判断して良い。
また、貯湯タンク10に貯められたタンク水を温水利用装置に供給する条件が浴水によってタンク水を加熱することが可能であると制御部14が判断する条件に該当する。これは、貯湯タンク10に貯められたタンク水を温水利用装置に供給した流量分の水源の水が貯湯タンク10の下側に新たに供給され、新たに供給された水源の水は温度が低く浴水で加熱することが可能であるからである。
ステップS503の処理において、貯湯タンク10に貯められたタンク水を温水利用装置に供給していないと制御部14が判断した場合(ステップS503,NO)は、ステップS503に戻り、再び制御部14は貯湯タンク10に貯められたタンク水を温水利用装置に供給したか否かを判断する。
ステップS503の処理において、貯湯タンク10に貯められたタンク水を温水利用装置に供給したと制御部14が判断した場合(ステップS503,YES)は、制御部14は待機処理を終了する。
以上より、実施の形態2に係る給湯システム1001、給湯装置101および給湯システム1001の制御方法は、付加的な構成として、浴水によってタンク水を加熱することが可能であると制御手段が判断する条件を満たした場合とは、貯湯タンク10に貯留されたタンク水を温水利用装置に供給した場合(ステップS503が該当)である構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態2に係る給湯システム1001、給湯装置101および給湯システム1001の制御方法は、タンク水の供給によってタンク水の温度が低下し再度浴水によってタンク水を加熱することができる場合には熱回収運転を再開し、浴水が蓄える熱量をより有効に活用することができる効果を奏する。
実施の形態3.
次に実施の形態3に係る給湯システム1002および給湯装置102について説明する。実施の形態3に係る給湯システム1002および給湯装置102は、実施の形態1に係る給湯システム1000および給湯装置100と比較して、停止処理の内容が異なる。なお、実施の形態3に係る給湯システム1002および給湯装置102は停止処理を除く他の構成は実施の形態1に係る給湯システム1000および給湯装置100と同様であるため同様の部分は説明を省略する。
図11は実施の形態3に係る給湯システムにおける待機処理のフローチャートである。ここで図11を用いて実施の形態3における待機処理について詳細を説明する。
待機処理の開始後、ステップS504の処理を行う。ステップS504では、制御部14は浴水温度Tbを取得する浴水温度取得処理を行う。実施の形態3に係る給湯システム1002のステップS504で行われる浴水温度取得処理では、制御部14は風呂循環ポンプ13を稼働させ、風呂循環ポンプ13を稼働させた後の風呂戻り温度センサ40で測定した温度を浴水温度Tbとして取得する。
ステップS504の処理の後、ステップS505の処理へ進む。ステップS505では、制御部14はタンク水温度Ttを取得するタンク水温度取得処理を行う。実施の形態3に係る給湯システム1002のステップS505で行われるタンク水温度取得処理では、制御部14は第三の貯湯温度センサ17が測定した温度をタンク水温度Ttとして取得する。
ステップS505の処理の後、ステップS506の処理へ進む。ステップS506では、制御部14はステップS504で取得した浴水温度TbよりステップS505で取得したタンク水温度Ttを減算した値である差分温度値Tdを導出する。つまり、ステップS506では制御部14はTd=Tb−Ttの演算を行い、差分温度値Tdを導出する。
ステップS506の処理の後、ステップS507の処理へ進む。ステップS507では、制御部14はステップS506で導出した差分温度値Tdが停止時閾差分温度値Td2よりも大きいか否かを判断する。つまり、ステップS106では制御部14はTd>Td2の条件を満たすか否かを判断する。なお、停止時閾差分温度値Td2は使用者、設計者または制御部14によって少なくとも0以上の任意の値に予め設定され、制御部14のメモリに記憶されている。また、停止時閾差分温度値Td2は閾差分温度値Td1以上の値であることが望ましい。さらに、差分温度値Tdが停止時閾差分温度値Td2よりも大きいという条件が浴水によってタンク水を加熱することが可能であると制御部14が判断する条件に該当する。
ステップS507の処理において、差分温度値Tdが停止時閾差分温度値Td2以下と制御部14が判断した場合(ステップS507,NO)はステップS504の処理に戻り、再び制御部14は浴水温度取得処理を行う。
ステップS507の処理において、差分温度値Tdが停止時閾差分温度値Td2よりも大きいと制御部14が判断した場合(ステップS507,YES)は、制御部14は待機処理を終了する。
以上より、実施の形態3に係る給湯システム1002、給湯装置102および給湯システム1002の制御方法は、付加的な構成として、浴水によってタンク水を加熱することが可能であると制御手段が判断する条件を満たした場合とは、浴水の温度からタンク水の温度を減算した値が予め定められた値以下になった場合(ステップS507が該当)である構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態3に係る給湯システム1002、給湯装置102および給湯システム1002の制御方法は、タンク水の温度が低下し再度浴水によってタンク水を加熱することができる場合には熱回収運転を再開し、浴水が蓄える熱量をより有効に活用することができる効果を奏する。
なお。実施の形態1から3に係る給湯システム1000から1002のそれぞれの停止処理を組み合わせ、図4に示した第一の制御のステップS108で二つ以上の停止処理を同時に行っても良い。ただし、二以上の停止処理を組み合わせた場合、いずれかの停止処理が終了した時に他の停止処理も終了させることが望ましい。例えば、ステップS108の処理を行う際に、図6で示した停止処理と図10で示した停止処理と図11で示した停止処理とを同時に行い、三つの停止処理のいずれか一つが終了した時に他の二つの停止処理も終了してステップS108の処理を終了するような構成にすることが望ましい。