JP2018105261A - シリンダブロックおよびこれを備える内燃機関 - Google Patents

シリンダブロックおよびこれを備える内燃機関 Download PDF

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Abstract

【課題】潤滑油を効率的かつ効果的に冷却すること。【解決手段】図示しない吸気および排気カムシャフトなどの動弁系部品を含むシリンダヘッド2の各部を潤滑した後の潤滑油をロアオイルパン10に戻すためにシリンダブロック6に設けた第1潤滑油戻し孔36aを、ウォーターポンプ(図示せず)によって吐出された直後の最も水温が低下された冷却水が流れる連通流路32aおよび分配室34に近接配置する。これにより、第1潤滑油戻し孔36aを流下する潤滑油と、連通流路32aおよび分配室34を流れる冷却水と、の間で効率的かつ効果的な熱交換を実現し得る。この結果、潤滑油の効率的かつ効果的な冷却を実現できる。【選択図】図9

Description

本発明は、ウォーターポンプによって送給される冷却水によって複数のシリンダボアが冷却されるように構成されたシリンダブロックおよびこれを備える内燃機関に関する。
実開昭62−101024号公報(特許文献1)には、シリンダヘッドを冷却した後の冷却水をウォーターポンプの吸い込み側に導く冷却水通路と、シリンダヘッドに配置された動弁機構を潤滑した後の潤滑油をオイルパンに戻すためのオイルリターン通路と、を備えるシリンダブロックが記載されている。
上述した公報に記載のシリンダブロックでは、オイルリターン通路と冷却水通路とを隣接した状態で交差して配置し、オイルリターン通路を流下する潤滑油と冷却水通路を流れる冷却水との間で熱交換可能な構成とすることによって、潤滑油の冷却性能の向上を図っている。
実開昭62−101024号公報
しかしながら、上述した公報に記載のシリンダブロックでは、シリンダヘッドを冷却した後の冷却水、即ち、常温に対して水温が上昇した状態の冷却水と、オイルリターン通路を流下する潤滑油と、を熱交換させる構成であるため、冷却効率という点において、なお改良の余地がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、潤滑油の効率的かつ効果的な冷却に資する技術を提供することを目的とする。
本発明のシリンダブロックおよびこれを備える内燃機関は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明に係るシリンダブロックの好ましい形態によれば、ウォーターポンプによって送給される冷却水によってシリンダボアが冷却されるシリンダブロックが構成される。当該シリンダブロックは、シリンダボアを囲うように当該シリンダボアの周囲に設けられた冷却水の流路としてのウォータージャケットと、ウォーターポンプからの冷却水をウォータージャケットに導入するように構成された冷却水導入部と、シリンダボアの軸線方向と略平行な方向に沿って延在するように構成された潤滑油通路と、を備えている。潤滑油通路は、冷却水導入部に隣接して配置されている。
ここで、本発明における「シリンダブロック」とは、典型的には、シリンダボアを有するシリンダ部およびクランクケースの一部を構成するクランクケース部が一体成形された所謂ハーフスカートタイプのシリンダブロックあるいはディープスカートタイプのシリンダブロックがこれに該当するが、クランクケース部を有さずシリンダ部のみにより構成されたシリンダブロックを好適に包含する。また、本発明における「潤滑油通路」は、典型的には、シリンダヘッドに配置された動弁系部品を潤滑した後の潤滑油をオイルパンに戻すための潤滑油戻し通路がこれに該当する。
本発明によれば、動弁系部品を含むシリンダヘッドの各部を潤滑した後の潤滑油をウォーターポンプから吐出された直後の冷却水と熱交換させる構成であるため、潤滑油を効率かつ効果的に冷却することができる。これにより、潤滑性能の向上および潤滑油の劣化抑制を図ることができる。
本発明に係るシリンダブロックの更なる形態によれば、冷却水導入部は、複数のシリンダボアの配列方向およびシリンダボアの軸線方向に直交する方向に延在するように構成された冷却水入口通路と、シリンダボアの配列方向に沿って延在し冷却水入口通路およびウォータージャケットに連通するよう構成された冷却水入口室と、を有している。そして、潤滑油通路は、当該潤滑油通路の延在方向の一方側から見た場合、冷却水入口通路および冷却水入口室によって少なくとも一部が囲まれるような位置に配置されている。
本形態によれば、冷却水入口通路および冷却水入口室によって潤滑油通路の少なくとも一部が囲まれる構成であるため、潤滑油通路を流れる潤滑油をより効果的に冷却することができる。
本発明に係るシリンダブロックの更なる形態によれば、冷却水入口室は、潤滑油通路の延在方向に沿う深さを有するよう構成されていると共に、他の部分に比して深さが深く形成された深底部を有している。そして、当該深底部は、潤滑油通路に隣接した位置に配置されるように構成されている。
本形態によれば、冷却水室のうち潤滑油通路に隣接した部分が他の部分よりも深さが深い深底部に形成されているため、より広い範囲で潤滑油と冷却水との熱交換を行うことができる。これにより、潤滑油通路を流れる潤滑油をより効果的に冷却することができる。
本発明に係るシリンダブロックの更なる形態によれば、冷却水入口室は、深底部を含む部分の深さが潤滑油通路の通路長さの略半分の長さに等しくなるように構成されている。
本形態によれば、より広い範囲で潤滑油と冷却水との熱交換を行うことができる。これにより、潤滑油通路を流れる潤滑油をより一層効果的に冷却することができる。
本発明に係るシリンダブロックの更なる形態によれば、シリンダボアの軸線方向と略平行な方向に沿って延在するよう構成された第2前記潤滑油通路と、当該第2潤滑油通路を潤滑油通路に連結する連結通路と、をさらに備えている。また、第2潤滑油通路は、冷却水入口通路に関して潤滑油通路とは反対側において冷却水入口通路に隣接するように配置されている。そして、連結通路は、冷却水入口通路の上部において当該冷却水入口通路に隣接するように配置されている。
本形態によれば、潤滑油の冷却性能向上とシリンダヘッド側からオイルパンへの潤滑油の流下性能との両立を図ることができる。
本発明に係るシリンダブロックの更なる形態によれば、潤滑油通路は、潤滑油量を検知可能なオイルレベルゲージを挿通可能に構成されている。
本形態によれば、潤滑油通路をオイルレベルゲージガイドとして利用する構成であるため、専用のオイルレベルゲージガイド部を設ける必要がない。これにより、シリンダブロックのコンパクト化を図ることができる。
本発明に係る内燃機関の好ましい形態によれば、上述したいずれかの態様の本発明に係るシリンダブロックと、当該シリンダブロックの上部に接続されるシリンダヘッドと、シリンダブロックの下部に接続されるオイルパンと、を備えている。シリンダヘッドは、動弁系部品が収容される動弁室を構成するアッパーデッキを有している。当該アッパーデッキには、シリンダブロックに形成された潤滑油通路に連通するヘッド側潤滑油通路が設けられている。そして、動弁系部品を含むシリンダヘッドの各部を潤滑した後の潤滑油をヘッド側潤滑油通路および潤滑油通路を介してオイルパンに戻すように構成されている。
本発明によれば、上述したいずれかの態様の本発明に係るシリンダブロックを備える構成であるため、本発明のシリンダブロックが奏する効果と同様の効果、例えば、動弁系部品を含むシリンダヘッドの各部を潤滑した後の潤滑油をウォーターポンプから吐出された直後の冷却水と熱交換させることができるため、潤滑油の効率かつ効果的な冷却を実現することができる効果などを奏することができる。
本発明によれば、潤滑油を効率的かつ効果的に冷却することができる。
本発明の実施の形態に係る内燃機関1の構成の概略を示す概略構成図である。 シリンダヘッド2を上方から見た平面図である。 図2のA−A断面を示す断面図である。 シリンダブロック6の外観を示す斜視図である。 シリンダヘッド2を上方から見た平面図である。 図5の矢印V方向から見た側面図である。 図5のB−B断面を示す断面図である。 図5のC−C断面を示す断面図である。 図6のD−D断面を示す断面図である。 図6のE−E断面を示す断面図である。 吸気および排気カムシャフトなどの動弁系部品を含むシリンダヘッド2の各部を潤滑した後の潤滑油がロアオイルパン10に戻される際の潤滑油の流れの様子を示す説明図である。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
本発明の実施の形態に係る内燃機関1は、図1に示すように、シリンダヘッド2と、シリンダヘッド2の上部に取り付けられたロッカーカバー4と、シリンダヘッド2の下部に取り付けられたシリンダブロック6と、シリンダブロック6の下部に取り付けられたアッパーオイルパン8と、潤滑油を貯留可能なようにアッパーオイルパン8の下部に取り付けられたロアオイルパン10と、図示しないクランクシャフトと図示しない吸気および排気カムシャフトとに巻き掛けられたチェーン(図示せず)を覆うようにシリンダヘッド2,シリンダブロック6およびアッパーオイルパン8に取り付けられたフロントカバー12と、を備えている。アッパーオイルパン8およびロアオイルパン10は、本発明における「オイルパン」に対応する実施構成の一例である。なお、本実施の形態では、説明の便宜上、ロッカーカバー4側、即ち、図1中の紙面上方を、「上側」ないし「上方」として規定し、ロアオイルパン10側、即ち、図1中の紙面下方を、「下側」ないし「下方」として規定する。
内燃機関1は、後述する3つのシリンダボア64a,64b,64cが直列に配置された直列3気筒エンジンとして構成されており、当該シリンダボア64a,64b,64c(図4参照)の配列方向(以下、「気筒列方向」という)が車両進行方向に対して垂直となるように車両に横置きに搭載される。
シリンダヘッド2は、内燃機関1の骨格を構成する主要部品の一つとして構成されており、図3に示すように、アッパーデッキUPRDと、ロアデッキLWRDと、を有している。アッパーデッキUPRDは、ロッカーカバー4と共に図示しない吸気および排気カムシャフトを含む動弁系部品が収容される動弁室VMRを構成する。ロアデッキLWRDには、図示しない燃焼室構成凹部が形成されており、シリンダブロック6の3つのシリンダボア64a,64b,64c(図4参照)および図示しないピストンの冠面と共に燃焼室(図示せず)を構成する。なお、アッパーデッキUPRDおよびロアデッキLWRD間には、燃焼室(図示せず)を含むシリンダヘッド2の各部を冷却するための冷却水が流れるヘッド側ウォータージャケットHWJが設けられている。
また、シリンダヘッド2には、図示しない吸気および排気カムシャフトなどの動弁系部品を含むシリンダヘッド2の各部を潤滑した後の潤滑油をロアオイルパン10まで戻すための複数のヘッド側潤滑油戻し孔2a,2bが形成されている。ヘッド側潤滑油戻し孔2a,2bは、図3に示すように、アッパーデッキUPRDからロアデッキLWRDまで貫通するように形成されている。
ヘッド側潤滑油戻し孔2aは、図2に示すように、シリンダヘッド2のフロントカバー12が締結される側の前壁20aと図示しないエキゾーストマニホールドコンバータが締結される側の側壁20bとが交差する隅部に対応する位置に設けられている。
シリンダブロック6は、内燃機関1の骨格を構成する主要部品の一つとして構成されており、図4および図5に示すように、シリンダブロック6の外郭を構成する外壁部62と、3つのシリンダボア64a,64b,64cを構成するシリンダボア壁部64と、を備えている。外壁部62およびシリンダボア壁部64の上端面は面一状に形成されており、シリンダヘッド2が当接される当接面(以下、ブロックアッパーデッキ面61aという。)を構成している。また、外壁部62およびシリンダボア壁部64間には、主にシリンダボア64a,64b,64cを冷却するための冷却水が流れるブロック側ウォータージャケットBWJが設けられている。ブロック側ウォータージャケットBWJは、本発明における「ウォータ―ジャケット」に対応する実施構成の一例である。
外壁部62は、図4および図5に示すように、気筒列方向に沿って延在する一対の側壁62a,62bと、気筒列方向に直交する方向に延在する前壁62cおよび後壁62dと、から構成されている。ここで、前壁62cには、フロントカバー12が締結される締結面63が設けられている。
一対の側壁62a,62bのうちシリンダヘッド2のエキゾーストマニホールドコンバータが締結される側に対応する側壁62aには、図4および図6に示すように、ウォーターポンプ(図示せず)から吐出される冷却水が導入される冷却水導入部32と、当該冷却水導入部32に導入された冷却水をヘッド側ウォータージャケットHWJおよびブロック側ウォータージャケットBWJに分配する分配室34と、シリンダブロック6にシリンダヘッド2が締結された際にシリンダヘッド2のヘッド側潤滑油戻し孔2aに連通接続されるブロック側潤滑油戻し通路36と、が形成されている。
冷却水導入部32は、図4および図6に示すように、側壁62aのうちブロックアッパーデッキ面61aと前壁62cとにより構成される角部近傍、即ち、最も前壁62c寄りに配置されたシリンダボア64a(図4のみに記載)の側方に対応する位置であってブロックアッパーデッキ面61a寄りの位置に配置されており、図示しないウォーターポンプの吐出口(図示せず)と分配室34とを連通接続する連通流路32aを有している。連通流路32aは、側壁62aの側面からブロック側ウォータージャケットBWJに向かってシリンダボア64aの軸線方向に直交する方向に延在している。連通流路32aは、本発明における「冷却水入口通路」に対応する実施構成の一例である。
分配室34は、図4および図6に示すように、ブロックアッパーデッキ面61a側が開口された所定の深さを有する凹部として構成されており、ブロック側ウォータージャケットBWJを挟んでシリンダボア64aに近接した位置、言い換えると、側壁62aにおける冷却水導入部32が配置された気筒列方向の位置とほぼ同じ位置に配置されている。分配室34は、本発明における「冷却水入口室」に対応する実施構成の一例である。
分配室34は、気筒列方向に沿って延在しており、シリンダボア64aの直径にほぼ等しい長さを有している。ここで、図7に示すように、分配室34の延在方向のほぼ中央部に連通流路32aが接続される。これにより、連通流路32aおよび分配室34は、図9に示すように、分配室34の深さ方向(シリンダボア64aの軸線方向)の一方側から見た場合に略T字状を成す。
また、分配室34は、図7に示すように、前壁62c寄りの部分において他の部分よりも深さが深く形成された深底部34aを有している。深底部34aの深さは、ブロック側潤滑油戻し通路36の深さ方向の長さのほぼ半分となるように設定されている。なお、分配室34は、切欠き34bを介してブロック側ウォータージャケットBWJに連通接続されていると共に、上部開口を介してヘッド側ウォータージャケットHWJに連通接続されている。
即ち、図示しないウォーターポンプの吐出口(図示せず)は、図4および図7に示すように、連通流路32aおよび分配室34の切欠き34bを介してブロック側ウォータ―ジャケットBWJに連通接続されると共に、分配室34の上部開口を介してヘッド側ウォータージャケットHWJに連通接続される。これにより、ウォーターポンプ(図示せず)からの冷却水は、分配室34を介してブロック側ウォータージャケットBWJおよびヘッド側ウォータージャケットHWJに分配供給される。
ブロック側潤滑油戻し通路36は、ブロックアッパーデッキ面61a側が開口されており、ブロック側ウォータージャケットBWJおよび分配室34を挟んでシリンダボア64aに近接した位置、言い換えると、分配室34に関してブロック側ウォータージャケットBWJとは反対側の位置に配置されている。
ブロック側潤滑油戻し通路36は、図8に示すように、ブロックアッパーデッキ面61aからブロックロアデッキ面61bまで貫通する第1および第2潤滑油戻し孔36a,36bと、当該第1および第2潤滑油戻し孔36a,36bを連通接続する接続部36cと、から構成されており、連通流路32aの延在方向の一方側から見た場合に、第1および第2潤滑油戻し孔36a,36bと接続部36cとによって連通流路32aの上面および左右面を囲うような逆U字状を成している。なお、ブロックロアデッキ面61bは、アッパーオイルパン8が締結される締結面として構成されている。第2潤滑油戻し孔36bは、本発明における「第2潤滑油通路」に対応し、接続部36cは、本発明における「連結通路」に対応する実施構成の一例である。
第1潤滑油戻し孔36aは、図8に示すように、連通流路32aに関して前壁62c側に設けられている。より具体的には、第1潤滑油戻し孔36aは、図9に示すように、連通流路32aと分配室34の深底部34aとにより構成される隅部に配置される。これにより、第1潤滑油戻し孔36aは、連通流路32aおよび深底部34aによって円周方向の略90度の範囲が囲まれる。なお、第1潤滑油戻し孔36aは、図7、図8および図10に示すように、その長さの略半分の範囲に亘って深底部34aを含む分配室34に隣接されている。
こうして構成されたシリンダブロック6のブロックアッパーデッキ面61aにシリンダヘッド2が締結されると共に、シリンダブロック6のブロックロアデッキ面61bにアッパーオイルパン8が締結されると、図11に示すように、ヘッド側潤滑油戻し孔2aがブロック側潤滑油戻し通路36およびアッパーオイルパン8内部を介してロアオイルパン10内部に連通される。なお、こうしてヘッド側潤滑油戻し孔2aからブロック側潤滑油戻し通路36およびアッパーオイルパン8内部を介してロアオイルパン10内部まで連通された通路は、ロッカーカバー4側から挿通されるオイルレベルゲージ80のオイルレベルゲージガイドとしても機能している。これにより、専用のオイルレベルゲージガイドを設ける必要がないため、シリンダブロック6のコンパクト化を図ることができる。
次に、こうして構成された内燃機関1の動作、特に、図示しない吸気および排気カムシャフトなどの動弁系部品を含むシリンダヘッド2の各部を潤滑した後の潤滑油が冷却されながらロアオイルパン10まで戻される際の様子について説明する。図示しないオイルポンプによって吸気および排気カムシャフトなどの動弁系部品を含むシリンダヘッド2の各部に供給され、当該シリンダヘッド2の各部を潤滑した潤滑油は、アッパーデッキUPRD上を流れてヘッド側潤滑油戻し孔2a,2bに到達し、当該ヘッド側潤滑油戻し孔2a,2bを通ってロアオイルパン10に戻される。
なお、ヘッド側潤滑油戻し孔2aを流下する潤滑油は、図11に示すように、シリンダブロック6のブロック側潤滑油戻し通路36を介してロアオイルパン10に戻される。ヘッド側潤滑油戻し孔2aからブロック側潤滑油戻し通路36に流れ込んだ潤滑油の一部は、第1潤滑油戻し孔36aを通ってロアオイルパン10に戻され、残りの潤滑油は接続部36cから第2潤滑油戻し孔36bを通ってロアオイルパン10に戻される。
ここで、第1潤滑油戻し孔36aが深底部34aを含む分配室34および連通流路32aに隣接配置されているため、ヘッド側潤滑油戻し孔2aから第1潤滑油戻し孔36aに流れ込んだ潤滑油は、当該第1潤滑油戻し孔36aを流れる際に、図示しないウォーターポンプから吐出された直後の冷却水と熱交換されることになる。このとき、図示しないウォーターポンプからは、ラジエータ(図示せず)を経た後の最も水温が低下した状態の冷却水が吐出されるため、第1潤滑油戻し孔36aを流下する潤滑油の油温は、効果的に低下され得る。
しかも、第1潤滑油戻し孔36aの円周方向略90度の範囲が、当該最も水温が低い状態の冷却水が流れる深底部34aを含む分配室34および連通流路32aによって囲まれているため、第1潤滑油戻し孔36aを流下する潤滑油と深底部34aを含む分配室34および連通流路32aを流れる冷却水との間で効果的かつ効率的な熱交換が実現可能である。また、第1潤滑油戻し孔36aは、その長さの略半分の範囲に亘って深底部34aを含む分配室34に隣接しているため、第1潤滑油戻し孔36aを流下する潤滑油と深底部34aを含む分配室34内の冷却水との間でより一層効果的に熱交換を行うことができる。
一方、接続部36cおよび第2潤滑油戻し孔36bも連通流路32aおよび分配室34に隣接配置されているため(図5参照)、ヘッド側潤滑油戻し孔2aから接続部36cを介して第2潤滑油戻し孔36bに流れ込む潤滑油は、接続部36cを流れる際、および、第2潤滑油戻し孔36bを流下する際に、図示しないウォーターポンプから吐出された直後の冷却水と熱交換されることになる。したがって、第2潤滑油戻し孔36bからロアオイルパン10に戻される潤滑油も最も水温が低い状態の冷却水と熱交換されて、効果的に油温が低下された状態でロアオイルパン10に戻される。
これにより、ヘッド側潤滑油戻し孔2aからブロック側潤滑油戻し通路36を介してロアオイルパン10に戻される際の潤滑油の流下性能と、当該ロアオイルパン10に戻される潤滑油の冷却性能と、の両立を図ることができる。
なお、分配室34においては、ブロック側ウォータ―ジャケットBWJおよびヘッド側ウォータ―ジャケットHWJそれぞれに冷却水が分配される関係上、図示しないウォーターポンプから吐出された最も水温が低い状態の冷却水が当該分配室34内で一時的に滞留することになる。こうした分配室34にブロック側潤滑油戻し通路36を隣接配置させる構成であるため、ブロック側潤滑油戻し通路36を流れる潤滑油と分配室34内の冷却水との熱交換の効率向上を図ることができる。
以上説明した本実施の形態に係る内燃機関1によれば、ウォーターポンプ(図示せず)によって吐出された直後の最も水温が低下された冷却水が流れる連通流路32aおよび分配室34に近接させた状態でブロック側潤滑油戻し通路36(特に、第1潤滑油戻し孔36a)を配置する構成であるため、ブロック側潤滑油戻し通路36(特に、第1潤滑油戻し孔36a)を流下する潤滑油と、連通流路32aおよび分配室34(深底部34a)を流れる冷却水と、の間で効率的かつ効果的に熱交換を行うことができる。これにより、潤滑油の効率的かつ効果的な冷却を実現できる。この結果、潤滑性能の向上および潤滑油の劣化抑制を図ることができる。
また、本実施の形態に係る内燃機関1によれば、第1潤滑油戻し孔36aの円周方向の略90度の範囲が、連通流路32aおよび分配室34(深底部34a)によって囲まれる構成であるため、第1潤滑油戻し孔36aを流れる潤滑油をより効果的に冷却することができる。
さらに、本実施の形態に係る内燃機関1によれば、分配室34の第1潤滑油戻し孔36aに近接する位置に深底部34aを設け、当該深底部34aを含む分配室34の深さを第1潤滑油戻し孔36aの長さのほぼ半分となるように設定する構成であるため、より広い範囲で潤滑油と冷却水との熱交換を行うことができる。これにより、第1潤滑油戻し孔36aを流れる潤滑油をより一層効果的に冷却することができる。
本実施の形態では、第1潤滑油戻し孔36aの円周方向の略90度の範囲を、連通流路32aおよび分配室34(深底部34a)によって囲む構成としたが、これに限らない。例えば、第1潤滑油戻し孔36aの円周方向の90度未満の範囲を、連通流路32aおよび分配室34(深底部34a)によって囲む構成や、第1潤滑油戻し孔36aの円周方向の全周を、連通流路32aおよび分配室34(深底部34a)によって囲む構成としても良い。
本実施の形態では、深底部34aを第1潤滑油戻し孔36aの長さの略半分の深さに設定する構成としたが、これに限らない。例えば、深底部34aを第1潤滑油戻し孔36aの長さの半分未満の深さに設定する構成や、深底部34aを第1潤滑油戻し孔36aの長さの半分よりも深い深さに設定する構成としても良い。あるいは、深底部34aを有さない構成としても良い。
本実施の形態では、ブロック側潤滑油戻し通路36が第1および第2潤滑油戻し孔36a,36bと接続部36cを有する構成としたが、これに限らない。例えば、ブロック側潤滑油戻し通路36として第1潤滑油戻し孔36aのみからなる構成としても良い。
本実施の形態では、ヘッド側潤滑油戻し孔2aおよび第1潤滑油戻し孔36aがオイルレベルゲージ80を挿通するためのオイルレベルゲージガイドを兼用する構成としたが、ヘッド側潤滑油戻し孔2aおよび第1潤滑油戻し孔36aはロアオイルパン10に潤滑油戻すための専用の通路として、オイルレベルゲージ80を挿通するための専用のオイルレベルゲージガイドを別途設ける構成としても良い。
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。
1 内燃機関(内燃機関)
2 シリンダヘッド(シリンダヘッド)
2a ヘッド側潤滑油戻し孔
2b ヘッド側潤滑油戻し孔
4 ロッカーカバー
6 シリンダブロック(シリンダブロック)
8 アッパーオイルパン(オイルパン)
10 ロアオイルパン(オイルパン)
12 フロントカバー
20a 前壁
20b 側壁
32 冷却水導入部(冷却水導入部)
32a 連通流路(冷却水入口通路)
34 分配室(冷却水入口室)
34a 深底部(深底部)
34b 切欠き
36 ブロック側潤滑油戻し通路
36a 第1潤滑油戻し孔(潤滑油通路)
36b 第2潤滑油戻し孔(第2潤滑油通路)
36c 接続部(連結通路)
61a ブロックアッパーデッキ面
61b ブロックロアデッキ面
62 外壁部
62a 側壁
62b 側壁
62c 前壁
62d 後壁
63 締結面
64a シリンダボア(シリンダボア)
64b シリンダボア(シリンダボア)
64c シリンダボア(シリンダボア)
80 オイルレベルゲージ(オイルレベルゲージ)
UPRD アッパーデッキ
LWRD ロアデッキ
HWJ ヘッド側ウォータ―ジャケット
BWJ ブロック側ウォータ―ジャケット(ウォータージャケット)
VMR 動弁室

Claims (7)

  1. ウォーターポンプによって送給される冷却水によって複数のシリンダボアが冷却されるよう構成されたシリンダブロックであって、
    複数の前記シリンダボアを囲うよう該シリンダボアの周囲に設けられた前記冷却水の流路としてのウォータージャケットと、
    前記ウォーターポンプからの冷却水を前記ウォータージャケットに導入するよう構成された冷却水導入部と、
    前記冷却水導入部に隣接配置され、前記シリンダボアの軸線方向と略平行な方向に沿って延在するよう構成された潤滑油通路と、
    を備えるシリンダブロック。
  2. 前記冷却水導入部は、複数の前記シリンダボアの配列方向および前記シリンダボアの前記軸線方向に直交する方向に延在するよう構成された冷却水入口通路と、前記シリンダボアの前記配列方向に沿って延在し前記冷却水入口通路および前記ウォータージャケットに連通するよう構成された冷却水入口室と、を有しており、
    前記潤滑油通路は、該潤滑油通路の延在方向の一方側から見た場合、前記冷却水入口通路および前記冷却水入口室によって少なくとも一部が囲まれるような位置に配置されている
    請求項1に記載のシリンダブロック。
  3. 前記冷却水入口室は、前記潤滑油通路の延在方向に沿う深さを有するよう構成されていると共に、他の部分に比して深さが深く形成された深底部を有しており、
    該深底部は、前記潤滑油通路に隣接した位置に配置されるよう構成されている
    請求項2に記載のシリンダブロック。
  4. 前記冷却水入口室は、前記深底部を含む部分の深さが前記潤滑油通路の通路長さの略半分の長さに等しくなるよう構成されている
    請求項3に記載のシリンダブロック。
  5. 前記シリンダボアの軸線方向と略平行な方向に沿って延在するよう構成された第2潤滑油通路と、該第2潤滑油通路を前記潤滑油通路に連結する連結通路と、をさらに備えており、
    前記第2潤滑油通路は、前記冷却水入口通路に関して前記潤滑油通路とは反対側において前記冷却水入口通路に隣接するよう配置されており、
    前記連結通路は、前記冷却水入口通路の上部において該冷却水入口通路に隣接するよう配置されている
    請求項2ないし4のいずれか1項に記載のシリンダブロック。
  6. 前記潤滑油通路は、潤滑油量を検知可能なオイルレベルゲージを挿通可能に構成されている
    請求項1ないし5のいずれか1項に記載のシリンダブロック。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のシリンダブロックと、
    該シリンダブロックの上部に接続されるシリンダヘッドと、
    前記シリンダブロックの下部に接続されるオイルパンと、
    を備え、
    前記シリンダヘッドは、動弁系部品が収容される動弁室を構成するアッパーデッキを有しており、
    該アッパーデッキには、前記シリンダブロックに形成された前記潤滑油通路に連通するヘッド側潤滑油通路が設けられており、
    前記動弁系部品を含む前記シリンダヘッドの各部を潤滑した後の潤滑油を前記ヘッド側潤滑油通路および前記潤滑油通路を介して前記オイルパンに戻すよう構成されている
    内燃機関。
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