JP2010014025A - 内燃機関の冷却構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリンダの軸線方向に関する冷却効果を適正化することが可能な内燃機関の冷却構造を提供する。
【解決手段】複数のシリンダ6の外周に、それらのシリンダ6の並び方向に延びる複数の冷媒通路21〜26をシリンダ6の軸線方向に沿って互いに区分された状態でシリンダ6の吸気側と排気側にそれぞれ設け、排気側でかつピストン7の上死点に最も近い冷媒通路24の冷媒流量を他の冷媒通路21〜23、25、26の冷媒流量よりも大きく設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数のシリンダの並び方向に沿って冷媒通路が設けられた内燃機関の冷却構造に関する。
複数のシリンダを有するレシプロ型内燃機関のシリンダ壁を冷却するための構造として、複数のシリンダの外周に、それらのシリンダの並び方向に沿って単一の冷媒通路が形成され、その冷媒通路の一端から他端まで冷媒(冷却水)が流通する構造が知られている(例えば特許文献1及び2参照)。単一のシリンダの外周に、シリンダ軸線方向に沿って複数段の冷媒通路が形成されるとともに、それらの冷媒通路が連絡路を介して互いに接続された構造も知られている(例えば特許文献3参照)。
特開平10−153118号公報 特開2001−90533号公報 特開平2−14047号公報
従来の冷却構造では、シリンダの外周を流れる冷媒の流量をシリンダの軸線方向に関して変化させることができない。従って、筒内温度がシリンダの軸線方向に変化した場合には、部分的に冷却が不足し又は過剰となる領域が生じるおそれがある。
本発明は、シリンダの軸線方向に関する冷却効果を適正化することが可能な内燃機関の冷却構造を提供することを目的とする。
本発明に係る内燃機関の冷却構造では、複数のシリンダの外周に、それらのシリンダの並び方向に延び、かつ前記シリンダの軸線方向に沿って互いに区分されたる複数の冷媒通路が設けられ、少なくとも一つの冷媒通路の冷媒流量が他の冷媒通路の冷媒流量とは差別化されている(請求項1)。
本発明によれば、シリンダの軸線方向に関して冷媒の流量を差別化することができる。そのため、筒内温度が相対的に高い領域に隣接する冷媒通路では冷媒流量を大きく設定して冷却不足を防止する一方、筒内温度が相対的に低い領域に隣接する冷媒通路では冷媒流量を小さく設定して過冷却を防止するというように、シリンダの軸線方向における筒内温度の分布に応じて冷媒流量を変化させることが可能となる。よって、シリンダの軸線方向に関して冷却効果を適正化することができる。
本発明の一形態においては、前記シリンダの軸線方向に関して、ピストンの上死点に近い領域の冷媒通路の冷媒流量が前記領域から遠い側の冷媒通路の冷媒流量よりも大きく設定されてもよい(請求項2)。上死点付近では、燃焼開始直後の高温のガスに晒されるので、燃焼室の容積が拡大するピストンの下死点付近、あるいは、ピストンの速度が相対的高くなるシリンダの中間付近(上死点と下死点との間)と比較して筒内温度が高くなる傾向がある。従って、上死点に近い領域の冷媒通路の冷媒流量を、上死点から遠い領域の冷媒通路のそれよりも大きく設定することにより、筒内温度が相対的に高い領域では冷却効果を高め、筒内温度が相対的に低くなる領域では冷却効果を低下させることが可能となる。
本発明の一形態においては、前記複数の冷媒通路が前記シリンダの吸気側と排気側との間でさらに区分して設けられ、排気側の冷媒通路の冷媒流量が吸気側の冷媒通路の冷媒流量よりも大きく設定されてもよい(請求項3)。シリンダの吸気側では吸入空気の導入による冷却効果で筒内温度が相対的に低下する一方、シリンダの排気側は高温の排気ガスに晒されて筒内温度が高くなることがある。このような場合、排気側の冷媒通路における冷媒流量を吸気側の冷媒通路における冷媒流量よりも大きく設定することにより、冷媒による冷却効果をさらに適正化することができる。
さらに、前記シリンダの軸線方向に関してピストンの上死点に最も近くかつ前記排気側に位置する冷媒通路における冷媒流量が他の冷媒通路の冷媒流量よりも大きく設定されてもよい(請求項4)。ピストンの上死点付近でかつ排気側の領域は、燃焼ガスの影響で筒内温度が最も高くなることがある。この場合、上死点に最も近くかつ排気側の冷媒通路の冷媒流量を最大に設定することにより、冷却効果をさらに適正化することができる。
本発明の一形態においては、前記複数の冷媒通路に対して冷媒を導入し、又は前記冷媒を前記複数の冷媒通路から排出するための流路が冷媒通路毎に個別に設けられ、少なくとも一つの流路の断面積が他の流路の断面積とは差別化されることにより、前記冷媒流量が差別化されてもよい(請求項5)。流路の断面積を差別化することにより、複数の冷媒通路間で絞り効果を変化させて冷媒流量を容易に差別化することができる。
本発明の一形態においては、前記複数の冷媒通路に対して冷媒を導入し、又は前記冷媒を前記複数の冷媒通路から排出するための流路が冷媒通路毎に個別に設けられ、少なくとも一つの流路に流量調整弁が設けられ、前記冷媒流量が差別化されるように前記流量調整弁の開度が設定されてもよい(請求項6)。流量調整弁の開度を調整することにより、冷媒流量をより適切に設定することが可能となる。例えば、内燃機関毎の個体差に応じて冷媒流量を適正化することができる。流量調整弁の開度制御手段を設けることにより、内燃機関の運転状態(筒内温度の分布状態)に応じて冷媒流量を変化させることも可能である。
本発明の一形態においては、前記内燃機関のシリンダブロックにシリンダボアが設けられ、該シリンダボアの内周にはライナが嵌め合わされ、前記ライナの内周に前記複数のシリンダが形成され、前記ライナの外周と前記シリンダボアとの間にスペーサが嵌め合わされ、前記ライナと前記スペーサとの間に前記複数の冷媒通路が形成されてもよい(請求項7)。この形態によれば、シリンダボアとライナとを組み合わせることにより、それらの間に複数の冷媒通路を形成することができる。
さらに、前記スペーサの内周には、前記シリンダの並び方向に延びる複数の溝が前記シリンダの軸線方向に互いに区分された状態で設けられ、前記複数の溝が前記ライナの外周にて閉じられて前記複数の冷媒通路が形成されてもよい(請求項8)。この形態によれば、溝が形成されたスペーサをライナの外周に嵌め合わせることにより複数の冷媒通路を形成することができる。ライナには冷媒通路を形成するための溝加工を施す必要がない。従って、シリンダボアにライナ及びスペーサを嵌め合わせた際のライナの応力分布のばらつきを抑えてシリンダの真円度を高く維持することができる。
以上に説明したように、本発明の冷却構造においては、シリンダの軸線方向に関して互いに区分された複数の冷媒通路を設け、少なくとも一つの冷媒通路の冷媒流量を他の冷媒通路の冷媒流量と差別化しているため、シリンダの軸線方向における筒内温度の分布に応じて冷媒流量を変化させ、それによりシリンダの軸線方向に関して冷却効果を適正化することができる。
図1は、本発明の一形態に係る冷却構造が適用された内燃機関の断面図である。内燃機関1は、火花点火式の4サイクルレシプロ型内燃機関(以下、エンジンと称する。)として構成されている。エンジン1は、シリンダブロック2とそのシリンダブロック2の上面に接合されるシリンダヘッド3とを備えている。図2にも示したように、シリンダブロック2には複数個(一例として4つ)のシリンダボア4が一方向に並べて形成されている。シリンダボア4は、シリンダブロック2を部分的に重複させながら一方向に並べて穿孔することにより形成されている。シリンダボア4の内側にはライナ5が嵌め合わされ、そのライナ5の内側に複数個(図示例では4つ)のシリンダ6が形成されている。シリンダ6は互いに独立した状態で一直線に並んでいる。図1では単一のシリンダ6のみが示されており、シリンダ6の並び方向は図1の紙面と直交する方向である。
各シリンダ6にはピストン7が摺動自在に嵌め合わされている。そのピストン7の上面とシリンダ壁(ライナ5の内周面に相当)6aとシリンダヘッド3とによって燃焼室8が形成されている。シリンダヘッド3には、燃焼室8に吸気を導くための吸気通路9と、燃焼室8から燃焼ガスを排気するための排気通路10と、それらの通路9、10の周囲を冷却するための冷却水路11、12とが設けられている。吸気通路9及び排気通路10は、シリンダヘッド3に装着された吸気弁13又は排気弁14にてそれぞれ開閉される。ピストン7はクランク軸15とコネクティングロッド16を介して連結されている。周知のように、燃焼室8にて発生する燃焼エネルギによってピストン7が往復運動し、その往復運動がコネクティングロッド16を介してクランク軸15の回転運動へと変換される。
シリンダボア4とライナ5との間には空隙17が設けられている。空隙17はライナ5の外周を一周するように延びている。その空隙17にはスペーサ20が嵌め合わされている。スペーサ20とライナ5との間には、シリンダ6の軸線を挟んで左右に3本ずつ冷却水路(冷媒通路)21〜26が設けられている。これらの冷却水路21〜26は、シリンダ6の並び方向に沿ってシリンダブロック2の一端から他端まで延びており、かつシリンダ6の軸線方向に関して互いに区分されている。すなわち、冷却水路21〜26は相互に連通することなく、それぞれが独立した水路として区分されている。なお、以下では、図1においてシリンダ6の右側を吸気側と、左側を排気側と称してそれらを区別することがある。図2では、空隙17にスペーサ20が組み込まれる前の状態が示されている。
冷却水路21〜26のそれぞれの配置は次の通りである。まず、上段の冷却水路21、24は、シリンダ6の上端付近に設けられている。言い換えれば、冷却水路21、24は、ピストン7が上死点付近にあるときのそのピストン7の上面を取り囲むように設けられている。一方、下段の冷却水路23、26は、図1に想像線Bで示すようにピストン7が下死点付近にあるときのそのピストン7の上面よりも幾らか上方に位置するように設けられている。さらに、中段の冷却水路22、25は、ピストン7の上死点と下死点とのほぼ中間付近に位置するように設けられている。これにより、全ての冷却水路21〜26は、シリンダ6の軸線方向に関して、ピストン7が下死点にあるときの燃焼室8の範囲内に位置している。
図2及び図3に示すように、スペーサ20はシリンダ数と同数の円筒を一方向に連ねた形状を有している。上述した冷却水路21〜26を形成するため、スペーサ20の内周には溝20a、20bが設けられている。排気側の溝20bはスペーサ20の高さ方向(シリンダ6の軸線方向に相当)に適宜の距離をおいて並べて設けられている。図2では吸気側の溝20aが隠れて見えないが、溝20aも溝20bと同様にシリンダ6の軸線方向に沿って並べて設けられている。溝20a、20bのそれぞれの幅は互いに等しく、かつ溝20a、20bのそれぞれの深さも互いに等しい。但し、これらを差別化してもよい。
図3に示したように、吸気側の溝20aと排気側の溝20bのそれぞれの一端側は仕切部20cによって互いに区分され、他端側は仕切部20dによって互いに区分されている。さらに、スペーサ20には、溝20a、20bのそれぞれの一端部と連通する導入孔20e、20fと、溝20a、20bのそれぞれの他端部と連通する排出孔20h、20gとが設けられている。導入孔20e、20fは溝20a、20b毎に独立して設けられ、排出孔20g、20hも溝20a、20b毎に独立して設けられている。なお、導入孔20e、20f側の仕切部20cは、シリンダ6を吸気側と排気側に2等分する仮想中心線L(図3参照)よりも吸気側に幾らか偏った位置に設けられている。但し、仕切部20cを仮想中心線L上に又は仮想中心線Lよりも排気側に仕切部20cが位置していてもよい。導入孔20e、20fは冷媒通路21〜26のそれぞれに冷却水を導入するための流路に相当し、排出孔20g、20hは冷媒通路21〜26のそれぞれから冷却水を排出するための流路に相当する。
図2に矢印Aで示したように、スペーサ20を空隙17に差し込むことにより、溝20a、20bがライナ5の外周で閉じられて冷却水路21〜26が形成される。スペーサ20を空隙17に組み込んだ状態で、導入孔20e、20fはシリンダブロック2に設けられた不図示の冷却水導入路と接続される。エンジン1の冷却水循環ポンプ(不図示)から送られたエンジン冷却水は、その冷却水導入路を介して冷却水路21〜26にそれぞれ導入される。冷却水路21〜26に導入された冷却水は図3に矢印Wで示したように溝20a、20bに沿って流れ、排出孔20h、20gからエンジン1の外部へと排出される。冷却水路21〜26のそれぞれにおける冷却水の流れは互いに独立であり、いずれかの冷却水路を流れる冷却水が他の冷却水路に流れ込むことはない。なお、導入孔20e、20fはエンジン1の前側(矢印F側)に、排出孔20h、20gはエンジン1の後側(矢印R側)にそれぞれ向けられる。エンジン1の前側とは、カム駆動用のチェーンが配置される側である。
図4及び図5は、スペーサ20の排出孔20h、20gから冷却水を排出するための配管構造の一例を示している。この例では、排出孔20h、20gと位置を合わせてシリンダブロック2に排出路27a、27bが設けられ、それらの排出路27a、27bに排出管28a、28bが挿入されている。排出管28a、28bの外周はOリング29a、29bにてシールされている。排出管28a、28bの先端部はスペーサ20の排出孔20h、20gの周囲に突き当てられ、それらの後端部はシリンダブロック2の外部に突出する。それらの排出管28a、28bの後端部がエンジン1からの冷却水の戻り管路(不図示)と接続される。戻り管路に流出した冷却水は例えば冷却水用の熱交換器へと導かれて冷却される。なお、図4に例示したように、スペーサ20の溝20a、20bの周囲には、冷却水路21〜26からの冷却水の漏れを防止するためのシール30が設けられてもよい。スペーサ20の導入孔20e、20fに冷却水を導入するための配管構造は、図4及び図5に示す例と同様に構成することができる。
以上のように、本形態においては、シリンダ6の軸線方向に関して複数本(3本)の冷却水路21〜23、24〜26が並べて設けられ、かつ冷却水路21〜26が互いに区分されているため、シリンダ6の軸線方向に関して冷却水路21〜26の冷却水の流量を差別化することが可能となる。これにより、シリンダ6の軸線方向に関する筒内温度の分布に合わせて冷却効果を適正化することができる。しかも、本形態では、シリンダ6の軸線方向のみならず、吸気側と排気側との間でも冷却水路21〜26が区別されている。従って、排気側と吸気側との間で冷却水の流量を差別化し、それにより、排気側と吸気側との間の筒内温度の差に応じて冷却効果を適正化することもできる。なお、冷却水の流量の差別化は、例えば導入孔20e、20fの内径(又は断面積)を差別化してそれらの絞り効果を調整することにより実現可能である。冷却水路21〜26のそれぞれの断面積を、目標とする流量に応じて差別化し、あるいは、排出孔20g、20hの内径(又は断面積)を差別化することによって流量に差を与えてもよい。
冷却水路21〜26のそれぞれにおける冷却水の流量は一例として次の通りに設定される。すなわち、シリンダ6においては、燃焼が発生するシリンダ6の上端部が、中段及び下段よりも相対的に高くなる傾向がある。しかも、吸気側と排気側との比較においては、吸気側が吸気で冷却される一方で、排気側は排気ガスによって加熱されることから、吸気側よりも排気側で筒内温度が高くなりがちである。このような筒内温度分布が生じる場合には、6本の冷却水路21〜26のうち、排気側でかつ燃焼室8の上端に最も近い冷却水路24における冷却水の流量を最大に設定すればよい。この場合、上段でかつ吸気側の冷却水路21の流量、及び中段でかつ排気側の冷却水路25の流量を冷却水路24における流量に次いで大きく設定し、冷却水路22、23、26の流量を冷却水路21、25の流量よりも小さく設定してもよい。上述した流量の大小関係はあくまで一例であり、冷却水路21〜26のそれぞれにおける冷却水の流量は、筒内温度の分布に応じて適宜に調整してよい。シリンダ6の軸線方向に関する冷却水流量を適正に変化させることにより、筒内温度を適正に維持することが可能となり、それによりエンジン1の燃費性能、出力性能が向上し、冷却水あるいはエンジン1の潤滑油の暖機効率も向上する等、様々な利点が得られる。
上記の形態においては、導入孔20e、20f及び排出孔20g、20hを冷却水路21〜26毎に個別に設けているが、導入孔又は排出孔のいずれか一方の流路を冷却水路間で共通化し、他方の流路を冷却水路21〜26毎に個別に設け、それらの個別の流路の内径を差別化してもよい。さらに、スペーサ20の導入孔20e、20fは全て同一内径とし、排出孔20g、20hも全て同一内径とし、導入孔20e、20f又は排出孔20g、20hに通じる配管部分の断面積を差別化することにより、冷却水路21〜26間の冷却水流量を差別化してもよい。
図6は本発明の他の形態に係る冷却構造を図3に対応させて示した図である。この形態では、導入孔20e、20fのそれぞれに冷却水を導くための導入路31a、31b上に流量調整弁32a、32bが設けられている。なお、図6では導入路31a、31bを1本ずつ示しているが、3本の導入路31aの全てに流量調整弁32aが、3本の導入路31bの全てに流量調整弁32bがそれぞれ設けられている。そして、流量調整弁32a、32bの開度が電子制御装置(ECU)33にて個別に制御されることにより、冷却水路21〜26のそれぞれの流量が独立して調整される。なお、冷却水路21〜26を形成するための構成は図1及び図2の形態と同様でよい。本形態によれば、筒内温度の分布に相関する物理量、一例としてエンジン1の冷却水温度、吸入空気量、エンジン負荷等をECU33に入力し、それらの物理量に応じた最適な開度に流量調整弁32a、32bを制御することにより、冷却水路21〜26の流量を筒内温度分布に応じて適切に差別化することができる。なお、この形態においては、導入孔20e、20fの内径、冷却水路21〜26の断面積、及び排出孔20g、20hのそれぞれを、冷却水路21〜26間において差別化しなくとも、冷却水の流量を差別化することが可能である。
以上の形態では、吸気側の冷却水路21〜23と、排気側の冷却水路24〜26とを仕切部20c、20dによって互いに区分しているが、吸気側と排気側とで冷却水の流量を差別化する必要がない場合には、仕切部20c、20dを省略し、シリンダ6の軸線方向に関してのみ複数の冷却水路を互いに区分して設ければよい。
上記の形態では、スペーサ20に溝20a、20bを形成し、これらをライナ5の外周にて閉じることにより冷却水路21〜26を形成しているが、ライナ5の外周に溝を形成し、これをスペーサ20で閉じることにより冷却水路21〜26を形成してもよい。但し、外側に配置されるスペーサ20に溝20a、20bを形成した場合には、ライナ5の外周に溝加工を施す必要がなくなるため、ライナ5の外周にスペーサ20を嵌め合わせた際のライナ5の応力分布のばらつきが抑えられ、その結果としてシリンダ6の真円度が高く維持される利点がある。
本発明において、冷媒は冷却水に限ることなく、油等の適宜の冷媒が使用されてもよい。シリンダの軸線方向に関する冷媒通路の本数は3本に限らず、2本以上の適宜数でよい。本発明は火花点火式の内燃機関に限らず、ディーゼルエンジンなどの圧縮着火式の内燃機関にも適用可能である。
本発明の一形態に係る冷却構造が適用された内燃機関のシリンダ軸線方向に沿った断面図。 図1の冷却構造においてスペーサを組み付ける前の状態を示す斜視図。 図2のスペーサの軸線方向と直交する断面図。 冷却水路から冷却水を排出するための配管構造を示す軸線方向断面図。 図4のV−V線に沿った断面図。 本発明の他の形態に係る冷却構造を図3に対応させて示した断面図。
符号の説明
1 エンジン(内燃機関)
2 シリンダブロック
3 シリンダヘッド
4 シリンダボア
5 ライナ
6 シリンダ
7 ピストン
8 燃焼室
9 吸気通路
10 排気通路
20 スペーサ
20a、20b スペーサの溝
20c、20d 仕切部
20e、20f 導入孔
20g、20h 排出孔
21、22、23 吸気側の冷却水路(冷媒通路)
24、25、26 排気側の冷却水路(冷媒通路)
27a、27b 排出路
28a、28b 排出管
31a、31b 導入路
32a、32b 流量調整弁

Claims (8)

  1. 複数のシリンダの外周に、それらのシリンダの並び方向に延び、かつ前記シリンダの軸線方向に沿って互いに区分されたる複数の冷媒通路が設けられ、
    少なくとも一つの冷媒通路の冷媒流量が他の冷媒通路の冷媒流量とは差別化された内燃機関の冷却構造。
  2. 前記シリンダの軸線方向に関して、ピストンの上死点に近い領域の冷媒通路の冷媒流量が前記領域から遠い側の冷媒通路の冷媒流量よりも大きく設定されている請求項1に記載の冷却構造。
  3. 前記複数の冷媒通路が前記シリンダの吸気側と排気側との間でさらに区分して設けられ、排気側の冷媒通路の冷媒流量が吸気側の冷媒通路の冷媒流量よりも大きく設定されている請求項1又は2に記載の冷却構造。
  4. 前記シリンダの軸線方向に関してピストンの上死点に最も近くかつ前記排気側に位置する冷媒通路における冷媒流量が他の冷媒通路の冷媒流量よりも大きく設定されている請求項3に記載の冷却構造。
  5. 前記複数の冷媒通路に対して冷媒を導入し、又は前記冷媒を前記複数の冷媒通路から排出するための流路が冷媒通路毎に個別に設けられ、少なくとも一つの流路の断面積が他の流路の断面積とは差別化されることにより、前記冷媒流量が差別化されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の冷却構造。
  6. 前記複数の冷媒通路に対して冷媒を導入し、又は前記冷媒を前記複数の冷媒通路から排出するための流路が冷媒通路毎に個別に設けられ、少なくとも一つの流路に流量調整弁が設けられ、前記冷媒流量が差別化されるように前記流量調整弁の開度が設定されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の冷却構造。
  7. 前記内燃機関のシリンダブロックにシリンダボアが設けられ、該シリンダボアの内周にはライナが嵌め合わされ、前記ライナの内周に前記複数のシリンダが形成され、前記ライナの外周と前記シリンダボアとの間にスペーサが嵌め合わされ、前記ライナと前記スペーサとの間に前記複数の冷媒通路が形成されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の冷却構造。
  8. 前記スペーサの内周には、前記シリンダの並び方向に延びる複数の溝が前記シリンダの軸線方向に互いに区分された状態で設けられ、前記複数の溝が前記ライナの外周にて閉じられて前記複数の冷媒通路が形成されている請求項7に記載の冷却構造。
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