以下、シリンダヘッドの一実施形態を、図面を参照して説明する。
先ず、内燃機関の概略構成を説明する。
図1に示すように、内燃機関10は、シリンダブロック13と、シリンダブロック13の上側に配置されたシリンダヘッド20とを備えている。
シリンダブロック13には、ピストンを収容するための円筒状の気筒15が設けられている。気筒15は上側に開放されている。気筒15は、3つ設けられている(図1では1つのみ図示)。図2に示すように、上側からの平面視で、3つの気筒15は一列に並んでいる。以下、気筒15の列方向(図1の紙面に直交する方向、図2の左右方向)をX方向、上下方向をZ方向、X方向及びZ方向に直交する方向をY方向と称する。
図1に示すように、シリンダヘッド20において、各気筒15の真上には、吸気と燃料との混合気の燃焼を行うための空間である燃焼室22が設けられている。燃焼室22は、下側に開放されているとともに、その下部側ほど径が大きいテーパ状となっている。燃焼室22は、気筒15に繋がっている。
燃焼室22からは、当該燃焼室22に吸気を導入するための吸気通路26が延びている。吸気通路26は、燃焼室22から、シリンダヘッド20におけるY方向の一方側(図1において右側)の側面である第1側面20aに向けて延びている。吸気通路26は、燃焼室22毎に設けられている。各吸気通路26は、シリンダヘッド20における第1側面20aの側の端部で互いに合流している。そして、各吸気通路26は、この合流部分を経て、シリンダヘッド20における第1側面20aに結合されている吸気マニホールド200内に繋がっている。
また、燃焼室22からは、当該燃焼室22から排気を排出するための排気通路60が延びている。排気通路60は、燃焼室22から、シリンダヘッド20における第1側面20aとは反対側の側面である第2側面20bに向けて延びている。図2に示すように、排気通路60は、燃焼室22毎に設けられている。各排気通路60は、シリンダヘッド20における第2側面20bの側の端部の合流部分29で互いに合流している。上記合流部分29は、X方向において、シリンダヘッド20の略中央に位置している。図1に示すように、各排気通路60は、上記合流部分29を経て、第2側面20bに結合された排気マニホールド202内に繋がっている。
排気通路60には、当該排気通路60に外気を導入するための二次空気導入通路30が繋がっている。二次空気導入通路30は、排気通路60よりも上側に位置している。二次空気導入通路30は、排気通路60から直線的に延びて第2側面20bまで続いている。二次空気導入通路30における排気通路60に接続されている側の先端部である排気側先端部30aは、排気通路60における燃焼室22との接続部分を指向している。二次空気導入通路30は、その上部側ほど第2側面20bに近い位置に配置されるようにZ方向及びY方向に対して傾斜している。二次空気導入通路30は、第2側面20bの外側に区画されている供給通路204に繋がっている。二次空気導入通路30には、供給通路204を通じて外気が導入される。外気は、二次空気導入通路30を経て排気通路60へ導入され、排気を再燃焼させる。二次空気導入通路30は、排気通路60毎に設けられている。
シリンダヘッド20において燃焼室22の上側には、混合気に対して点火を行うための点火プラグ24が取り付けられている。点火プラグ24の先端側の一部は、燃焼室22の内部に露出している。点火プラグ24は、略上下方向に沿うように取り付けられている。点火プラグ24は、上側からの平面視で、燃焼室22の中央に位置している。点火プラグ24は、燃焼室22毎に設けられている。
シリンダヘッド20の上部には、上側に開放された凹部である駆動機構取付部140が区画されている。駆動機構取付部140の下面からは、吸気通路26に向けて下側へ吸気側貫通孔110が貫通している。吸気側貫通孔110は、その上部側ほど第1側面20aに近い位置に配置されるようにZ方向及びY方向に対して傾斜している。また、駆動機構取付部140の下面からは、吸気側取付孔142が下側へ向かって窪んでいる。吸気側取付孔142は、吸気側貫通孔110よりも第1側面20aの側に位置している。なお、吸気側取付孔142は、吸気通路26には連通していない。吸気側貫通孔110及び吸気側取付孔142は、吸気通路26毎に設けられている。
駆動機構取付部140の下面からは、排気通路60に向けて下側へ排気側貫通孔120が貫通している。排気通路60における二次空気導入通路30が接続されている部分よりも第2側面20bの側を出口側部分とした場合、排気側貫通孔120は、二次空気導入通路30を間に挟んで上記出口側部分とは反対側に位置している。排気側貫通孔120は、その上部側ほど第2側面20bに近い位置に配置されるようにZ方向及びY方向に対して傾斜している。また、駆動機構取付部140の下面からは、排気側取付孔144が下側へ向かって窪んでいる。排気側取付孔144は、排気側貫通孔120と二次空気導入通路30との間に位置している。なお、排気側取付孔144は、排気通路60には連通していない。排気側貫通孔120及び排気側取付孔144は、排気通路60毎に設けられている。
シリンダヘッド20には、燃焼室22への吸気の導入タイミングを調節する吸気バルブ40が取り付けられている。吸気バルブ40は、吸気通路26の燃焼室22側の開口を開閉する略円板状のバルブフェイス40aと、バルブフェイス40aから延びる略棒状の軸部40bとを備えている。吸気バルブ40の軸部40bは、吸気側貫通孔110を貫通している。吸気バルブ40の軸部40bの下端部は、吸気通路26内にまで至っている。吸気バルブ40の軸部40bの上端部は、駆動機構取付部140にまで至っている。吸気バルブ40は吸気通路26毎に設けられている。なお、本実施形態では、吸気側貫通孔110が、吸気バルブ40の取り付け位置となっている。
シリンダヘッド20には、燃焼室22から排気を排出するタイミングを調節する排気バルブ50が取り付けられている。排気バルブ50は、排気通路60の燃焼室22側の開口を開閉する略円板状のバルブフェイス50aと、バルブフェイス50aから延びる略棒状の軸部50bとを備えている。排気バルブ50の軸部50bは、排気側貫通孔120を貫通している。排気バルブ50の軸部50bの下端部は、排気通路60にまで至っている。排気バルブ50の軸部50bの上端部は、駆動機構取付部140にまで至っている。排気バルブ50は排気通路60毎に設けられている。なお、本実施形態では、排気側貫通孔120が、排気バルブ50の取り付け位置となっている。
シリンダヘッド20には、吸気バルブ40及び排気バルブ50を駆動する弁駆動機構150が取り付けられている。弁駆動機構150は、駆動機構取付部140に配置されている。弁駆動機構150には、吸気バルブ40の軸部40bの上端部が連結されている。また、弁駆動機構150には、排気バルブ50の軸部50bの上端部が連結されている。図1において図示は省略するが、弁駆動機構150は、内燃機関10のクランクシャフトの回転が伝達されるカムや、カムの動作を吸気バルブ40及び排気バルブ50に伝達するロッカーアーム等を備えている。また、弁駆動機構150は、カムとロッカーアームとの隙間(バルブクリアランス)を調節するための油圧式のラッシュアジャスタ151(以下、HLAと略記する)を備えている。HLA151は、バルブクリアランスを打ち消すように動作する。HLA151の外形は、円柱状である。HLA151には、吸気バルブ40用のHLA152と、排気バルブ50用のHLA153とがある。吸気バルブ40用のHLA152は、吸気側取付孔142内に挿入されている。吸気バルブ40用のHLA152は、吸気バルブ40毎に設けられている。排気バルブ50用のHLA153は、排気側取付孔144内に挿入されている。排気バルブ50用のHLA153は、排気バルブ50毎に設けられている。
次に、シリンダヘッド20における第2側面20bの側の構成を詳細に説明する。なお、以下の説明では、シリンダヘッド20におけるX方向の一方側(図2において右側)の側面を第3側面20cと称する。また、シリンダヘッド20における第3側面20cとは反対側の側面を第4側面20dと称する。また、3つの燃焼室22を、第3側面20cに近いものからX方向に順番に、第1燃焼室22A、第2燃焼室22B、第3燃焼室22Cと称する。そして、第1燃焼室22Aに繋がっている排気通路60を第1排気通路62、第1排気通路62に繋がっている二次空気導入通路30を第1二次空気導入通路32、第1排気通路62を開閉する排気バルブ50が配置されている排気側貫通孔120を第1排気側貫通孔122と称する。また、第2燃焼室22Bに繋がっている排気通路60を第2排気通路64、第2排気通路64に繋がっている二次空気導入通路30を第2二次空気導入通路34、第2排気通路64を開閉する排気バルブ50が配置されている排気側貫通孔120を第2排気側貫通孔124と称する。また、第3燃焼室22Cに繋がっている排気通路60を第3排気通路66、第3排気通路66に繋がっている二次空気導入通路30を第3二次空気導入通路36、第3排気通路66を開閉する排気バルブ50が配置されている排気側貫通孔120を第3排気側貫通孔126と称する。
図2に示すように、第1燃焼室22Aは、X方向において、3つの排気通路60の合流部分29よりも第3側面20cの側に位置している。そして、第1燃焼室22Aから延びる第1排気通路62は、第1燃焼室22Aから合流部分29に向かうにしたがって第2側面20b及び第4側面20dに近づくように、X方向及びY方向に対して傾斜している。
第2燃焼室22Bは、X方向において、3つの排気通路60の合流部分29と略同じ位置に配置されている。そして、第2燃焼室22Bから延びる第2排気通路64は、上側からの平面視で第2燃焼室22Bと合流部分29との間でクランク形状に延びている。具体的には、第2排気通路64は、第2燃焼室22Bから第2側面20bの側へY方向に沿って延びる上流側部と、上流側部における第2側面20bの側の端部である第1曲目部64bから第3側面20cの側へX方向に沿って延びる中間部と、中間部における第3側面20cの側の端部である第2曲目部64aから合流部分29へ向けてY方向に沿って延びる下流側部とで構成されている。第2曲目部64aには、第2二次空気導入通路34が接続されている。
第3燃焼室22Cは、X方向において、3つの排気通路60の合流部分29よりも第4側面20dの側に位置している。そして、第3燃焼室22Cから延びる第3排気通路66は、第3燃焼室22Cから合流部分29に向かうにしたがって第2側面20b及び第3側面20cに近づくように、X方向及びY方向に対して傾斜している。
シリンダヘッド20には、冷却水が流通するウォータージャケット100が設けられている。ウォータージャケット100は、シリンダヘッド20の内部を全体に亘って廻るように設けられた一つながりの流路である。なお、図1では、ウォータージャケット100の図示を省略している。
ウォータージャケット100の一部は、各二次空気導入通路30と各排気側貫通孔120との間において、シリンダヘッド20のX方向に連通した第1流路部70になっている。図2に示すように、第1流路部70の一部は、第1二次空気導入通路32を第1排気側貫通孔122の側から囲むように設けられた第1バルブ側流路部72となっている。第1バルブ側流路部72は、その全体が、第1排気側貫通孔122よりも第2側面20bの側に位置している。Z方向に直交する断面視で、第1バルブ側流路部72の概略形状はV字状となっている。具体的には、第1バルブ側流路部72は、V字を構成する2つの直線部分のうちの一方部分に相当する一方側直線部72aと、2つの直線部分のうちの他方部分に相当する他方側直線部72bとで構成されている。一方側直線部72aは、シリンダヘッド20における第1排気側貫通孔122と第1二次空気導入通路32との間でX方向に沿って延びている。図3に示すように、一方側直線部72aは、シリンダヘッド20における第1二次空気導入通路32の排気側先端部30aの周囲に位置している。より具体的には、一方側直線部72aは、第1二次空気導入通路32の延設方向において、第1二次空気導入通路32の第1排気通路62側の端部から3分の1の範囲内の排気側先端部30aの周囲に位置している。また、一方側直線部72aは、第1排気通路62に対応する排気バルブ50用のHLA153Aが配置されている排気側取付孔144Aと、第1二次空気導入通路32の排気側先端部30aとの間に位置している。
図2に示すように、一方側直線部72aにおける第3側面20cの側の端部からは、第2側面20bの側へ向けて他方側直線部72bが延びている。他方側直線部72bは、第2側面20bに近づくにしたがって第4側面20dにも近づくように、X方向及びY方向に対して傾斜している。図3に示すように、他方側直線部72bは、シリンダヘッド20における第1二次空気導入通路32の排気側先端部30aの周囲に位置している。
図2に示すように、Z方向と直交する断面視で、一方側直線部72aにおける第4側面20dの側の端部と、他方側直線部72bにおける第2側面20bの側の端部とを仮想的に繋いだ仮想直線を第1仮想直線C1とした場合、第1二次空気導入通路32の一部は、一方側直線部72aと他方側直線部72bと第1仮想直線C1とによって囲まれる領域内に位置している。
第1流路部70の一部は、第2二次空気導入通路34を第2排気側貫通孔124の側から囲むように設けられた第2バルブ側流路部74となっている。第2バルブ側流路部74は、その全体が、第2排気側貫通孔124よりも第2側面20bの側に位置している。Z方向と直交する断面視で、第2バルブ側流路部74の概略形状は角ばったU字状となっている。具体的には、第2バルブ側流路部74は、U字の底部分に相当する底側直線部74aと、底部分の一方側の端部から立ち上がる直線部分に相当する立上第1直線部74bと、底部分の他方側の端部から立ち上がる直線部分に相当する立上第2直線部74cと、によって構成されている。底側直線部74aは、第2排気側貫通孔124と第2二次空気導入通路34との間でX方向に沿って延びている。図4に示すように、底側直線部74aは、第2二次空気導入通路34の排気側先端部30aに沿って斜め上方へ延びている。なお、底側直線部74aの下端部からは、第2排気通路64における第2曲目部64aと隣り合う位置で上側連結流路部75aが下側へ向けて延びている。さらに、上側連結流路部75aの下端部からは、第2側面20bの側へ向けて斜め下方へ下側連結流路部75bが延びている。下側連結流路部75bは、第2排気通路64よりも下側に位置している。下側連結流路部75bは、シリンダヘッド20の下面まで延び、シリンダブロック13のウォータージャケットに繋がっている。つまり、上側連結流路部75aと下側連結流路部75bは、シリンダブロック13のウォータージャケットと、シリンダヘッド20のウォータージャケット100とを繋ぐ連結流路部75となっている。
図2に示すように、底側直線部74aの両端部から立ち上がる立上第1直線部74b及び立上第2直線部74cは、Y方向に沿って延びている。図4に示すように、立上第1直線部74b及び立上第2直線部74cは、シリンダヘッド20における第2二次空気導入通路34の排気側先端部30aの周囲に配置されている。
図2に示すように、Z方向と直交する断面視で、立上第1直線部74bにおける第2側面20bの側の端部と、立上第2直線部74cにおける第2側面20bの側の端部とを仮想的に繋いだ仮想直線を第2仮想直線C2とした場合、第2二次空気導入通路34の一部は、底側直線部74aと立上第1直線部74bと立上第2直線部74cと第2仮想直線C2とによって囲まれる領域内に位置している。
第1流路部70の一部は、第3二次空気導入通路36を第3排気側貫通孔126の側から囲むように設けられた第3バルブ側流路部76となっている。第3バルブ側流路部76は、その全体が、第3排気側貫通孔126よりも第2側面20bの側に位置している。Z方向と直交する断面視で、第3バルブ側流路部76の概略形状はL字状となっている。具体的には、第3バルブ側流路部76は、L字の縦辺を構成する直線部分に相当する縦直線部76aと、L字の横辺を構成する直線部分に相当する横直線部76bと、横直線部76bの端部から縦辺に沿って立ち上がる突出直線部76cとによって構成されている。
縦直線部76aは、第3排気側貫通孔126と第3二次空気導入通路36との間でX方向に沿って延びている。縦直線部76aにおける第4側面20dの側の端部からは、第2側面20bの側へY方向に沿って横直線部76bが延びている。さらに、横直線部76bにおける第2側面20bの側の端部からは、第3側面20cの側へX方向に沿って突出直線部76cが延びている。縦直線部76a、横直線部76b、突出直線部76cは、シリンダヘッド20における第3二次空気導入通路36の排気側先端部30aの周囲に配置されている。なお、X方向と直交する断面視での第3バルブ側流路部76の図示は省略する。
Z方向と直交する断面視で、縦直線部76aにおける第3側面20cの側の端部と、突出直線部76cにおける第3側面20cの側の端部とを仮想的に繋いだ仮想直線を第3仮想直線C3とした場合、第3二次空気導入通路36の一部は、縦直線部76aと横直線部76bと突出直線部76cと第3仮想直線C3とによって囲まれる領域内に位置している。
なお、第1流路部70における第1バルブ側流路部72、第2バルブ側流路部74、及び第3バルブ側流路部76は、図示しない連絡流路によってX方向に連通している。したがって、連結流路部75から流入した冷却水は、第2バルブ側流路部74を介して、第1バルブ側流路部72及び第3バルブ側流路部76へと流入する。
図3及び図4に示すように、ウォータージャケット100の一部は、第1二次空気導入通路32と第1排気通路62との間、第2二次空気導入通路34と第2排気通路64との間、及び第3二次空気導入通路36と第3排気通路66との間を通過するように設けられた一つながりの第2流路部80となっている。つまり、第2流路部80は、図3及び図4の紙面と直交するX方向に一つながりとなっている。なお、第3二次空気導入通路36及び第3排気通路66に対応する位置における、X方向と直交する断面視での第2流路部80の図示は省略する。
図3及び図4に示すように、ウォータージャケット100の一部は、第1排気通路62とシリンダヘッド20の下面との間、第2排気通路64とシリンダヘッド20の下面との間、及び第3排気通路66とシリンダヘッド20の下面との間を通過するように設けられた一つながりの第3流路部90となっている。つまり、第3流路部90は、図3及び図4の紙面と直交するX方向に一つながりとなっている。なお、第3排気通路66に対応する位置における、X方向と直交する断面視での第3流路部90の図示は省略する。
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)第1二次空気導入通路32から第1排気通路62に外気を導入していない場合、第1二次空気導入通路32には、第1排気通路62から排気が逆流し得る。第1二次空気導入通路32に逆流する排気は、燃焼室22から排出されたばかりの非常に高温なものである。したがって、第1二次空気導入通路32に排気が逆流した場合、シリンダヘッド20における第1二次空気導入通路32の周辺部分が高温になり得る。また、仮に、第1二次空気導入通路32と第1排気通路62との間にウォータージャケット100が形成されておらず、第1二次空気導入通路32と第1排気通路62との間が中実な壁部である場合、シリンダヘッド20における第1二次空気導入通路32と第1排気通路62との間の部分には、第1排気通路62からも熱が伝わる。したがって、シリンダヘッド20における第1二次空気導入通路32と第1排気通路62との間の部分は高温になりやすい。そして、この部分の温度が過度に上昇すると、シリンダヘッド20が熱劣化して、シリンダヘッド20に亀裂が生じたりする。
上記問題に対応するため、本実施形態では、第1二次空気導入通路32を第1排気側貫通孔122の側から囲むように第1バルブ側流路部72が設けられている。また、本実施形態では、第1二次空気導入通路32を間に挟んで第1排気側貫通孔122とは反対側に位置する第1排気通路62と、第1二次空気導入通路32との間に第2流路部80が設けられている。つまり、第1バルブ側流路部72と第2流路部80とで、第1二次空気導入通路32を周方向に包囲するようになっている。したがって、第1二次空気導入通路32の周辺部分を効果的に冷却できる。
また、本実施形態では、第1排気通路62と第1二次空気導入通路32との間に第2流路部80を設けていることで、特に高温になりやすいシリンダヘッド20における第1二次空気導入通路32と第1排気通路62との間の部分を冷却できる。したがって、第1二次空気導入通路32の周辺部分を冷却する効果が高まる。
このように、本実施形態によれば、第1二次空気導入通路32の周辺部分を効率的に冷却でき、シリンダヘッド20の熱劣化を抑制できる。第2二次空気導入通路34の周辺部分及び第3二次空気導入通路36の周辺部分についても同様である。
(2)第1二次空気導入通路32の排気側先端部30aの周辺部分は、第1排気通路62の熱を直接受けるため、温度が上昇し易い。したがって、シリンダヘッド20における第1二次空気導入通路32の排気側先端部30aの周辺部分は高温になり易い。この点、本実施形態では、第1バルブ側流路部72が、シリンダヘッド20における第1二次空気導入通路32の排気側先端部30aの周囲に位置している。また、上述のとおり、第1バルブ側流路部72は、第1排気側貫通孔122の側から第1二次空気導入通路32を囲むように設けられている。したがって、第1バルブ側流路部72は、シリンダヘッド20における第1二次空気導入通路32の排気側先端部30aの周辺部分を効率的に冷却できる。したがって、シリンダヘッド20の熱劣化を抑制できる。第2二次空気導入通路34の排気側先端部30aの周辺部分、及び、第3二次空気導入通路36の排気側先端部30aの周辺部分についても同様である。
(3)HLA153Aは、高温になると、内部の油温が上昇して機能不全になるおそれがある。この点、本実施形態では、第1二次空気導入通路32とHLA153Aとの間に、第1バルブ側流路部72を設けている。したがって、排気が第1二次空気導入通路32内に逆流してその周辺部分に熱が伝わっても、速やかに冷却することができる。そのため、第1二次空気導入通路32からの熱がHLA153Aに及ぶことを抑制できる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・第1バルブ側流路部72は、第1二次空気導入通路32と第1排気側貫通孔122との間に位置する部分を含んでいれば、その形状や配置を適宜変更可能である。なお、Z方向と直交する断面視で、第1バルブ側流路部72の両端部を仮想的に繋いだ第1仮想直線C1と、第1バルブ側流路部72と、が囲む領域内に第1二次空気導入通路32の一部が位置するように第1バルブ側流路部72が設けられていれば、第1二次空気導入通路32の周囲を周方向の広範囲にわたって冷却することができて好ましい。ただし、仮に、第1二次空気導入通路32の一部を囲むように第1バルブ側流路部72が設けられていなくても、当該第1バルブ側流路部72が、第1排気側貫通孔122と第1二次空気導入通路32との間に位置する部分を含んでいれば、第1二次空気導入通路32の周囲を、少なくとも第1排気通路62の側と第1排気側貫通孔122の側との両方から冷却することはできる。したがって、シリンダヘッド20の熱劣化を抑制できる。
なお、この変更例でいう、第1バルブ側流路部72の両端部とは、一方側直線部72aにおける第4側面20dの側の端部、及び、他方側直線部72bにおける第2側面20bの側の端部である。また、この第1バルブ側流路部72の形状に関する変更例は、第2バルブ側流路部74、及び第3バルブ側流路部76についても同様に適用できる。
・第1バルブ側流路部72は、その少なくとも一部が第1排気側貫通孔122と第1二次空気導入通路32との間に位置するようになっていればよい。この条件を満たしていれば、例えばY方向に関して、第1排気側貫通孔122よりも第1側面20a側まで第1バルブ側流路部72が延びていてもよい。この第1バルブ側流路部72の形状に関する変更例は、第2バルブ側流路部74、及び第3バルブ側流路部76についても同様に適用できる。
・連結流路部75を、第2バルブ側流路部74の底側直線部74aとは異なる箇所で、シリンダヘッド20のウォータージャケット100に繋いでもよい。なお、連結流路部75は、シリンダヘッド20のウォータージャケット100とシリンダブロック13のウォータージャケットとを繋いでいれば、適宜形状を変更可能である。
・第3流路部90は、必須ではない。ただし、排気通路60の下側でシリンダヘッド20の冷却を図る上では、第3流路部90を設けた方が好ましい。
・シリンダヘッド20において、第1流路部70、第2流路部80、第3流路部90とは異なる流路部をウォータージャケット100に追加してもよい。
・ウォータージャケット100における各流路部は、必ずしも一つながりでなくてもよい。例えば、第1流路部70と第2流路部80とが、シリンダヘッド20内において互いに繋がっておらず、独立した流路として構成されていてもよい。また、例えば、第1流路部70を構成する第1バルブ側流路部72、第2バルブ側流路部74、第3バルブ側流路部76が互いに独立した流路として構成されていてもよい。
・吸気通路26、排気通路60、二次空気導入通路30、吸気側貫通孔110、排気側貫通孔120の延設方向は適宜変更可能である。ただし、二次空気導入通路30と排気側貫通孔120との間に第1流路部70を設けることができ、かつ、排気通路60と二次空気導入通路30との間に第2流路部80を設けることができるような位置関係にそれぞれが配置されている必要がある。
・第1バルブ側流路部72は、必ずしも二次空気導入通路30の排気側先端部30aの周囲に設けられていなくてもよい。例えば、第1バルブ側流路部72は、二次空気導入通路30における中央部分の周囲や、供給通路204側の先端部の周囲に設けられていてもよい。二次空気導入通路30の延設長さや、二次空気導入通路30の周辺部分に対する熱の伝わり方等を勘案して適切な箇所に二次空気導入通路30を設ければよい。
・気筒の数は、3つに限定されるものではない。気筒の数を変更した場合、それに合わせて、気筒毎に二次空気導入通路30、第1流路部70、第2流路部80を設ければよい。