本発明につき、一実施形態を取り上げて、図面とともに以下説明を行う。
図1に示すように、本実施形態に係るワーク搬送装置としてのパーツフィーダ1は、ベース部2上に、円盤状のボウルフィーダ3と、ボウルフィーダ3の径外に延びるように接続されたリニアフィーダ4とを備える。
ボウルフィーダ3は円盤状の部材であるボウルフィーダ側搬送部31を備える。このボウルフィーダ側搬送部31は、中央に位置する固定部32にてベース部2に固定されている。この固定は、本実施形態では、円板を介した1個のボルト止めによってなされているが、ボルトの数量は限定されず、また、他の手段によることもできる。ボウルフィーダ側搬送部31の上面は、図示のように、中央から一旦下降した上で周縁に向けて上昇している。搬送すべきワークWは、ボウルフィーダ側搬送部31において凹んだ部分に投入されることができる。ボウルフィーダ3には、ワークWを搬送するための搬送トラックとして、ボウルフィーダ側搬送部31の上面にらせん状の溝であるらせんトラック33が、ボウルフィーダ側搬送部31の内周位置から外周位置にかけて形成されている。らせんトラック33は、ワークWが接触する搬送面331を有する。この搬送面331が、進行波発生手段5により撓むように変形することで、ワークWが搬送される。らせんトラック33の外周端部332は、ワークWをリニアフィーダ4のメイントラック43に渡すことができる位置に形成されている。ボウルフィーダ3の運転中、ワークWは図2に矢印で示したようにらせんトラック33をせり上がるように移動し、ワークWの搬送方向における下流端である外周端部332からメイントラック43に受け渡される。
リニアフィーダ4は平面視で長方形状であるリニアフィーダ側搬送部41を備える。このリニアフィーダ側搬送部41は、幅方向中央に位置する固定部42にてベース部2に固定されている。この固定は、本実施形態では複数のボルト止めによってなされているが他の手段によることもできる。リニアフィーダ4における搬送トラックは、メイントラック43とリターントラック44とにより構成されている。メイントラック43は、リニアフィーダ側搬送部41の上面に送り側において長手方向に延びる直線状の溝を有する。リターントラック44は、リニアフィーダ側搬送部41の上面に幅方向の一方側(以下「送り側」)及び幅方向の他方側(以下「戻し側」)において長手方向に延びる直線状の溝と、前記各溝をリニアフィーダ4におけるボウルフィーダ3から遠い側の端部近くで接続する湾曲した溝、全体でU字形の溝を有する。戻し側の溝はボウルフィーダ側搬送部31につながっている。このように、搬送トラックは循環するように閉じた形状に限られず、一端または両端が開放された形状であってよい。メイントラック43及びリターントラック44は、ワークWが接触する搬送面431,441を有する。これら搬送面431,441が、進行波発生手段5により撓むように変形することで、ワークWが搬送される。
本実施形態では、メイントラック43とリターントラック44の一部とが平行して形成されており、メイントラック43からボウルフィーダ3に返されるべきワークWは、図示しない移動手段(エアノズル等)によって移動されることで、メイントラック43からリターントラック44に乗せ換えられる。
このように、ボウルフィーダ3及びリニアフィーダ4は、固定部32,42のまわりを周回する形状であって、前記形状を有する部分のうち少なくとも一部が、ワークWを載置した状態で搬送する搬送面331,431,441とされた搬送部(ボウルフィーダ側搬送部31、リニアフィーダ側搬送部41)とされている。各搬送部31,41は、後述する進行波発生手段5により波打つように変形できる程度の弾性を有している。なお、前記「周回する形状」とは、搬送面331,431,441及び搬送トラック33,43,44が途切れずに一周している形状のことを言うのではなく、進行波を発生する部分が周回する形状となっていることを言う。このため、この「周回する形状」は、円盤状であるボウルフィーダ側搬送部31はもちろんのこと、固定部42のまわりに長円状の領域が存在するリニアフィーダ側搬送部41も該当している。
ボウルフィーダ3及びリニアフィーダ4は、各搬送面331,431,441を波打つように撓ませて弾性振動させることにより、前記各搬送面331,431,441に周回方向に進行していく進行波を発生させる進行波発生手段5を備える(リニアフィーダ4に関して図3参照)。本実施形態の進行波発生手段5は、超音波域(具体的には20kHz以上)の周波数で駆動される。進行波発生手段5の具体例としては、通電により伸縮または湾曲するように変形する圧電素子が例示できるが、通電により種々の動作をなす他の手段を採用することもできる。進行波発生手段5は、ボウルフィーダ側搬送部31及びリニアフィーダ側搬送部41の裏側、つまり、前記各搬送面331,431,441が形成された側と反対側に設けられている。
複数の進行波発生手段5は、リニアフィーダ4については、図3に略示するように、出力位相が異なる送り側の群5Fと戻し側の群5Bの2群が、リニアフィーダ側搬送部41の周回方向(ワーク搬送方向)における異なる位置に分かれて、それぞれ長手方向に配列されている。図3では各群で4個の進行波発生手段5が示されているが、進行波発生手段5の数量はこれに限られない。各群5F,5Bに属する複数の進行波発生手段5は、振動モード(波形)の腹の位置に1/2波長間隔で、かつ、隣り合う進行波発生手段5の極性(図示「+」「−」)が逆になるように配列されている。これにより、送り側の群5Fに属する複数の進行波発生手段5が送り側の加振領域(第1加振領域)を形成し、戻し側の群5Bに属する複数の進行波発生手段5が戻し側の加振領域(第2加振領域)を形成する。そして、リニアフィーダ4において送り側の群5Fに属する複数の進行波発生手段5と、戻し側の群5Bに属する複数の進行波発生手段5とは、リニアフィーダ側搬送部41の長手方向に1/4波長(図示「λ/4」)ずれて配置されている。また、図3に示すように、送り側の群5Fに属する複数の進行波発生手段5は第1アンプ611に接続され、戻し側の群5Bに属する複数の進行波発生手段5は第2アンプ612に接続されている。第1アンプ611には第1振幅調整手段621が接続されている。第2アンプ612には第2振幅調整手段622が接続されている。また、第1振幅調整手段621には加振周波数調整手段63が接続されている。第2振幅調整手段622には電気的位相調整手段64を介して加振周波数調整手段63が接続されている。また、加振周波数調整手段63には波形選択手段65が接続されている。本実施形態では、第1振幅調整手段621、第2振幅調整手段622、加振周波数調整手段63、電気的位相調整手段64、波形選択手段65が一体とされて発信器6Aを構成している。
電気的位相調整手段64により、送り側の進行波発生手段5と戻し側の進行波発生手段5とで時間的に位相が90°ずれた正弦波振動を発生させることができる。本実施形態では、第1アンプ611による加振モードを「90°モード」とし、第2アンプ612による加振モードを「0°モード」として説明する。
図示はしないが、ボウルフィーダ3についても同様であり、ボウルフィーダ側搬送部31の中央を挟んで一方側の半周分と他方側の半周分との関係がリニアフィーダ4における送り側、戻し側と同様の関係とされている。
個々の進行波発生手段5が駆動することにより、各搬送面331,431,441を波打つように撓ませて弾性振動させることができる。ここで、前述のような構成により、送り側の進行波発生手段5と戻し側の進行波発生手段5とで時間的に位相が90°ずれた正弦波振動を発生させることができる。このため、各搬送部31,41に生じた定在波(一定の位置で単に上下動する波)が空間的かつ時間的に重ね合わされることで、前記各搬送面331,431,441に、ボウルフィーダ3及びリニアフィーダ4における周回方向に進行していく進行波を発生させることができる。本実施形態の進行波は、平面視において反時計回りに進行する。本実施形態のパーツフィーダ1では、各搬送面331,431,441に、各搬送部31,41の周回方向の位置により振幅にばらつきの無い、完全な進行波が現れるのではなく、周回方向の位置により振幅にばらつき(大小)のある進行波が発生する。
進行波が発生している各搬送面331,431,441の一点には楕円運動が生じている。この楕円運動の動く方向は、楕円運動の軌跡における頂部において進行波の進行方向と逆になっている。そして、各搬送面331,431,441とワークWとの間の摩擦により、各搬送面331,431,441上のワークWに推進力が生じて、ワークWは進行波とは逆方向に搬送されていく。
本実施形態の各搬送部31,41における上部には、所定間隔おきに複数のスリット34,45が形成されている。ボウルフィーダ3におけるスリット34は径方向に延びるように形成されており、リニアフィーダ4におけるスリット45は幅方向に延びるように形成されている。これらスリット34,45が形成されたことにより、中立軸(各搬送部31,41が湾曲する際の曲げ中心となる仮想軸)が下方に位置することとなり、各搬送部31,41を進行波の進行方向に変形させやすくして、前記楕円運動に係る楕円を横長形状に変形できる。このため、ワークWに働く力の水平成分を増大させると共に、垂直成分を低減させられる。よって、スリット34,45が形成されていない搬送部を用いた場合に比べると、搬送面上でワークWを跳ねさせず、搬送速度を向上させて効率的に移動させることができる。
以上のように構成された本実施形態のパーツフィーダ1では、各搬送面331,431,441に完全な進行波が現れるのではなく、各搬送部31,41の周回方向の位置により振幅にばらつき(大小)のある進行波が発生する。このため、各搬送面331,431,441には、振幅が大きい位置(波形を図4の「最大時」に示す)と振幅が小さい位置(波形を図4の「最小時」に示す)とが交互に現れる。本実施形態では、進行波による各搬送面331,431,441における垂直振幅のうち、前記各搬送面331,431,441のうち所定範囲にて最も大きく振動する位置における最大振幅に対する、前記所定範囲にて最も小さく振動する位置における最小振幅の比、として定義される進行波比が、0.13以上に設定されている。この設定値は、好ましくは0.20以上、より好ましくは0.25以上に設定することができる。ちなみに、各搬送面331,431,441に完全な進行波が現れる場合の進行波比は1である。なお、ワークWの質量により搬送面上でのワークWの跳ねやすさは異なる。ワークWの跳躍はワークWのスムーズな搬送を阻害する要因となる。このため、前記設定される進行波比は、第1振幅調整手段621及び第2振幅調整手段622による振幅の調整がなされ、搬送面上でのワークWの跳躍が抑制されていることが条件となる。
0°モードと90°モードにおける固有振動数は互いに異なる値となる。固有振動数の差に関しては、固有振動数(f1)に対する固有振動数(f2)の差の割合である固有振動数差率(Δf)として、次式のように表せる。
Δf=(f2−f1)/f1×100 (ただしf2>f1とする)
また図5に、進行波比と固有振動数差率Δfの関係を示す。図5のグラフにおける横軸(固有振動数差率Δf)は百分率(%)で表示されている。前記式及び図5より、本実施形態に関して説明した、進行波比が0.13以上となる固有振動数差率Δfの値が、固有振動数差率Δf≦1.54となることがわかる。したがって、固有振動数差率Δf≦1.54であれば、実用上支障なくワークWを搬送可能なワーク搬送装置(パーツフィーダ1)を形成できる。
ここで、本願の発明者がワークWの搬送のスムーズさを実験で確認した。実験に供したワークWの大きさは3.2mm×1.6mmで、厚み1.6mm、重量が約50mgの板状体、具体的に、このワークWはセラミック板に金属電極が取り付けられたチップコンデンサである。実験はリニアフィーダ4で行った。表1に示される条件のもとで、リニアフィーダ4のメイントラック43を搬送されるワークWの移動状況を観察者が目視観察した。評価は、ワークWがメイントラック43の途中で止まってしまった場合を「×」、移動速度が一定でないと見えた場合を「△」、ワークWが滞りなくスムーズに移動しているように見える場合を「○」とした。実験は進行波比を変えた8パターンで行った。
表1において進行波比は、平均値と最小値(最小振幅値を最大振幅値で割った値)を示した。平均値は、メイントラック43の搬送面431における垂直振幅の測定に係る、複数の測定エリア(本実験では送り側と戻し側を上流側、下流側でそれぞれ1/2に分けた4エリア)における進行波比の平均値である。最小値は、複数の測定エリアにおける進行波比の最小値である。
実験の結果、複数のワークWを連ねて搬送する場合には、メイントラック43に沿う進行波比の最小値で評価して0.13以上であればスムーズに搬送できることが確認できた。つまり、搬送限界進行波比は0.13である。また、ワークWを単独で搬送する場合には、メイントラック43に沿う進行波比の最小値で評価して0.20以上であればスムーズに搬送できることが確認できた。なお、複数のワークWを搬送する場合の方が小さい進行波比でスムーズな搬送が可能なのは、複数のワークW同士が移動方向の前後に当接しており、後方のワークWに押されて移動が助けられるためと推察される。
完全な進行波の場合、各搬送部31,41の周回方向の位置により振幅にばらつきが無いため、進行波比は1である。一方、進行波が全く発生せず定在波のみの場合は、最小振幅が0(波形の節部分)であるから、進行波比は0である。このため、本実施形態で最低値(搬送限界進行波比)として設定した進行波比0.13は、完全な進行波を基準とすると進行波の発生具合が小さいため、かなり緩やかな数値と言える。この程度の設定で、ワークWを有効に搬送でき、実用上問題のないパーツフィーダ1を提供できるのである。よって、パーツフィーダ1において進行波を発生させるための機構を設計及び調整する際の厳密度(設計精度、調整精度)を緩和でき、結果として、パーツフィーダ1の製造コストを低減できる可能性がある。
進行波比は、進行波発生手段5を電気的に操作することにより出力が調整されるものとできる。この電気的な操作は、例えば、進行波発生手段5に接続された(より具体的には進行波発生手段5を駆動させる第1アンプ611及び第2アンプ612に接続された)調整手段にて位相差、振幅比、加振周波数のうち少なくとも一つを変更するための操作である。具体的には、送り側の群5Fに属する進行波発生手段5と戻し側の群5Bに属する進行波発生手段5との間の位相差の変更、送り側の群5Fに属する進行波発生手段5と戻し側の群5Bに属する進行波発生手段5との間の振幅比の変更、全ての進行波発生手段5の加振周波数の変更、のうち少なくとも一つを行う操作である。位相差、振幅比、加振周波数のいずれかを変更すれば進行波比を調整できるので、状況により調整に適した変更対象を選択でき、調整の自由度を高められる。
本実施形態の具体的な調整手段は、図3に示す第1振幅調整手段621及び第2振幅調整手段622、加振周波数調整手段63、電気的位相調整手段64である。位相差は電気的位相調整手段64で調整できる。また、振幅比は第1振幅調整手段621及び第2振幅調整手段622で調整できる。加振周波数は加振周波数調整手段63で調整できる。更に本実施形態では、波形についても波形選択手段65で調整できる。これら調整手段の調整は電気的な操作で足りるため、パーツフィーダ1の構成を物理的に変更することに比べ、調整が容易な点がメリットとして挙げられる。
進行波比は、各搬送部31,41の構成を物理的に変更することにより、各搬送部31,41に生じる進行波の発生状況が変わるよう調整されるものともできる。物理的な変更は、変更された構成が再度変更されない限り持続されるため、停電等により変更がリセットされてしまう可能性のある電気的操作による調整に比べ、安定性の高い調整が可能である点が相対的なメリットとして挙げられる。この調整は、具体的には各搬送部31,41に部分的に調整部材を取り付けることで調整できる。調整部材は例えば板状体(調整板)とできるが、形状は限定されない。また、各搬送部31,41における調整部材の取り付け位置は例えば裏面とできるが、特に限定されない。調整部材の取り付けは、複数を別の箇所に取り付けることもできるし、同一箇所に複数を重複して取り付けることもできる。取り付け態様は、接着剤等による貼付、ねじ固定、はめ込み、溶接等の種々の態様とできる。また、前記とは逆に、当初から取り外し可能に調整部材を取り付けておき、必要に応じて調整部材を取り外すように構成することもできる。
次に、本実施形態のパーツフィーダ1の調整方法について、フロー図(図6)と共に説明する。まず、垂直振幅を、各搬送面331,431,441の周回方向(ワーク搬送方向)における複数の位置で測定する振幅測定ステップ(図6に示すステップS1〜ステップS3に相当)を実施する。この振幅測定ステップは、より詳しくは以下の順に行う。まず、0°モード及び90°モードにおける固有振動数(f1,f2)を測定する(ステップS1)。固有振動数の測定は、0°モード、90°モードそれぞれ単独で駆動させ、それぞれのモードについて、周波数を変化させながら、各搬送面331,431,441のある点(波形の腹の位置)の振幅が最大となる周波数を探索することでなされる。この探索された周波数が固有振動数である。そして、加振周波数を前記固有振動数の各測定値の中間値とし、振幅比を1、電気的位相を90°に設定してパーツフィーダ1を加振する(ステップS2)。そして、各搬送部31,41を複数の測定エリアに分け、各測定エリアで垂直振幅を測定し、進行波比を求める(ステップS3)。垂直振幅は、各エリアにて搬送トラックの上方で測定手段をワークWの搬送方向にスキャンすることにより、複数の位置での測定が行われる。本実施形態では測定手段としてドップラー振動計を用いているが、これに限定されず、振動を測定可能な種々の手段を用いることができる。
次に、前記振幅測定ステップにより得られた進行波比を所定値に調整する進行波比調整ステップ(図6に示すステップS3(繰り返し時)〜ステップS9に相当)を実施する。この進行波比調整ステップは、より詳しくは以下の順に行う。
まず、前記各測定エリアにおける進行波比(TWR)のうち最小値が、搬送限界進行波比である0.13以上であるか否かを判断する(ステップS4)。0.13以上である場合(フロー図上の「Y」)、調整を終了する。そうでない場合(フロー図上の「N」)、電気的位相調整手段64を操作して電気的位相差を変更する(ステップS5)。変更後前記ステップS3に戻る。
もし電気的位相差の変更だけでは調整不可能な場合(例えばステップS3〜S5の繰り返し回数が所定回数以上となった場合)、第1振幅調整手段621及び第2振幅調整手段622を操作して振幅比を変更する(ステップS6)。変更後前記ステップS3に戻る。
もし電気的位相差及び振幅比の変更だけでは調整不可能な場合(例えばステップS3〜S6の繰り返し回数が所定回数以上となった場合)、加振周波数調整手段63を操作して加振周波数を変更する(ステップS7)。加振周波数の変更は、0°モードにおける固有振動数の周波数と90°モードにおける固有振動数の周波数との範囲を内外に例えば1%拡張した範囲内で行う。変更後前記ステップS3に戻る。
もし電気的位相差、振幅比、加振周波数の変更でも調整不可能な場合(例えばステップS3〜S7の繰り返し回数が所定回数以上となった場合)、振動モードの次数を変更する(ステップS8)。振動モードの次数の変更は、波数(波長)が変わるような振動モード(固有振動数)で加振できるように、ステップS7が行われる周波数の変更範囲を超えて周波数を大きく変更する。変更後前記ステップS3に戻る。
もし電気的位相差、振幅比、加振周波数、振動モードの次数の変更でも調整不可能な場合(例えばステップS3〜S8の繰り返し回数が所定回数以上となった場合)、進行波発生手段5を電気的に操作することによる進行波比の調整は断念される。この場合、各搬送部31,41の構成を物理的に変更することにより進行波比が調整される(ステップS9)。例えば、各搬送部31,41の裏面に調整板が貼付されることで、各搬送部31,41の一部の振動態様を変化させる。
このように、前記振幅測定ステップと進行波比調整ステップとにより、実用上支障なくワークWを搬送可能なパーツフィーダ1を形成するように調整できる。
以上、本発明につき一実施形態を取り上げて説明してきたが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
また、前記実施形態の進行波発生手段(圧電素子)5は、電気的に絶縁するための絶縁体であるセラミック部とセラミック部の両側面に形成された電極とからなっており、通常は、1枚のセラミック部の両側面のそれぞれに電極を貼り付けて構成される圧電素子の必要数を搬送部に貼り付けているが、図7(a),(b),(c)のように構成して実施してもよい。つまり、セラミック部531を一体にした圧電素子5を用いてもよい。この場合、図7(a)に「+」「−」で示すように、1/2波長(λ/2)毎に分極方向が異なっている。更に、セラミック部531の両側面のうちの搬送部(導体)への貼り付け面側の電極51とは反対側の電極52を一体化する。そうすることで、セラミック部531への電極51,52の貼り付け精度の向上並びに前記反対側の電極52のコモン作業の削減を図ることができる。また、搬送部(導体)へ貼り付ける複数(図では8個)の電極51は、搬送部(導体)へ貼り付ける時に搬送部に対して導通することによりコモンになるため、コモン作業をする必要がない。更にまた、搬送部(導体)への貼り付け面側の複数(図では8個)の電極51も一体化してもよい。ただし、複数(図では8個)の電極51を一体にさせる工程は、複数(図では8個)の電極51を作製した後の工程になるので、製造コストの削減を考えると、図7(a),(b),(c)のように、搬送部の貼り付け面とは反対側の電極52のみを一体にする方が有利である。
また、前記実施形態の進行波発生手段(圧電素子)5を、図8(a),(b)のように構成してもよい。つまり、図7(a),(b),(c)と同様に、セラミック部531を一体にした圧電素子5を用いてもよい。この場合、図8(a)に「+」「−」で示すように、1/2波長(λ/2)毎に分極方向が異なっている。そうすることで、セラミック部531への電極51,52の貼り付け精度の向上を図ることができる。この場合は、搬送部(導体)へ貼り付ける複数(図では8個)の電極51は、搬送部(導体)へ貼り付ける時に搬送部に対して導通することによりコモンになるため、コモン作業をする必要がないが、前記電極51とは反対側の複数(図では8個)の電極521に対してコモン作業が必要となる。
また、前記実施形態では、複数の進行波発生手段5を2群に分け、一方の群と他方の群とで駆動させる位相差(進行波発生手段5に指示する位相差)を90°に設定していたが、これに限定されず、位相差を他の角度に設定してもよい。また、複数の進行波発生手段5を3群以上に分けることもできる。
また、前記実施形態では、送り側の群5Fに属する複数の進行波発生手段5に第1アンプ611及び第1振幅調整手段621が接続され、戻し側の群5Bに属する複数の進行波発生手段5に第2アンプ612及び第2振幅調整手段622が接続されていた。しかしこれ以外に、複数の進行波発生手段5の各々にアンプ及び振幅調整手段を接続することもでき、各振幅調整手段を操作することにより進行波比を調整できる。
また、前記実施形態では、進行波発生手段5により各搬送面331,431,441に発生する振動の波は前記実施形態では正弦波であったが、矩形波、三角波等、他の形状の波であってもよい。
また、本実施形態の各搬送部31,41は周回する形状とされていたが、搬送部の形状はこれに限定されず、直線状や周回しない湾曲線状であってもよい。
また、前記実施形態では、各搬送部31,41に複数の進行波発生手段5が並べられていたが、これに限定されず、例えば、弾性的に支持された搬送部の両端のみを、位相差をもって加振したり、一端で加振し、他端で振動を吸収したりすることで進行波を発生させることもできる。