JP2024076572A - シュート、振動搬送装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】振幅に起因する搬送面の部位単位の起伏変化が生じる事態を防止・抑制するとともに、次工程設備への乗り継ぎ部分に到達しているワークが当該部分で停滞したり、姿勢が乱れる事態の発生を防止・抑制するとともに、次工程設備のワーク移載面への乗継時にワークの姿勢変換を防止・抑制した状況下でワークの定量供給を実現可能なシュートを提供する。【解決手段】搬送面21を有する搬送路2と、弾性変形によって生じた振動を搬送面21に伝達する搬送部3とを備え、駆動部4によって搬送部3を弾性変形させた振動モードが水平振動モードと垂直振動モードを合成した楕円振動であり、搬送面21全体が水平振動モードの腹の部分に位置するように構成して搬送面21全体に一様な楕円振動が生成されるようにした。【選択図】図2
Description
本発明は、振動によってワークを搬送する装置(パーツフィーダ)に適用可能なシュート、及び振動搬送装置に関するものである。
電子チップ部品等の小型のワークを振動によって搬送しながら整列させて次工程に供給する振動搬送装置(パーツフィーダ)として、直線状に延伸する搬送路に沿ってワークを搬送するリニアフィーダと、リニアフィーダの上流側に接続されるボウルフィーダとを備えた装置が知られている。このようなパーツフィーダでは、リニアフィーダの振動する搬送路(シュート)の先端からワークを排出して、例えば定速回転する円板テーブル上に供給する構成が採用され、円板テーブル上に供給されたワークに対して外観検査等の検査・処理を施す外観検査装置と組み合わせて用いられていることが多い。外観検査等の検査・処理を適切に行えるようにするためには、シュートの先端から排出されるワークが円板テーブル上に等ピッチで並べられることが望ましい。
しかし、通常のリニアフィーダでは、振動によって時々刻々シュート先端の位置が変動しているため、ワークが排出されるタイミングによって円板テーブルへの乗り継ぎ位置が変動し、ワーク同士の間隔にバラツキが生じやすくなる。したがって、排出されるワークを円板テーブル上に等ピッチで並べることが困難である。
このような問題を解消すべく、下記特許文献1には、リニアフィーダと回転自在の円形搬送テーブルとの間に、ワークを無振動状態で移送する無振動部を配置したワーク外観検査装置が開示されている。具体的には、搬送テーブルに向かって僅かな傾斜を有して下降するリニアフィーダの下流端に、リニアフィーダと同等の傾斜を有し且つ振動しない無振動部が接続された構成が開示されている。このようなリニアフィーダの下流端と搬送テーブルとの間に振動しない無振動部を設置した構成であれば、無振動部上のワークは後続のワークに押されて前進し、搬送テーブルに向かって少しずつ下降し、無振動部の下流端に到達すると、直後に位置する後続のワークに押されて、搬送テーブル上に移載される。
また、本出願人による特許出願の公開公報(下記特許文献2)には、超音波振動を利用してワークを搬送するシュートが開示されている。超音波振動を利用することで、ワークとシュートの搬送面との摩擦を低減しつつ搬送面の部位単位で振幅差が生じる事態を防止・抑制するとともに、搬送面と次工程設備のワーク移載面との落差を低減し、次工程設備のワーク移載面への乗継時にワークの姿勢変換が発生しないか発生し難い状況でワークの定量供給を実現することができる。
しかしながら、無振動の搬送面上においてワークを滑らせる構成であれば、ワークが搬送面との摩擦力によってワーク搬送路上で停滞したり、後続のワークによる押圧力を受けることができないワークがワーク搬送路の下流端で停止して、ワーク詰まりやワークの姿勢の乱れが起こり得る。このような問題は、無振動でワークを滑らせる態様と比較して摩擦を低減することが可能な超音波振動であっても同様に生じる可能性が考えられ、ワークの搬送に要する推進力が不十分になると、例えばワーク搬送速度を速く設定してワーク供給量が多くなる場合に、乗り継ぎシュートでワークが減速してワーク詰まりや押し圧による姿勢の乱れが生じ易くなる。
なお、超音波振動を利用してワーク搬送を行う手段として、進行波を利用する部品搬送装置も提案されている。しかし、進行波を生成するためには搬送部に進行波が循環する経路を設ける必要があり、搬送面の部位単位で進行波発生時特有の起伏(凹凸)の変化が異なり、このような制約を受けるためにそのまま次工程へワークを供給することが困難である。
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、主たる目的は、振幅に起因する搬送面の部位単位の起伏変化が生じる事態を防止・抑制するとともに、ワーク搬送速度が速く設定された場合であっても次工程設備への乗り継ぎ部分に到達しているワークが当該部分で停滞したり、姿勢が乱れる事態の発生を防止・抑制してワークの定量供給を実現可能なシュート、及びシュートを備えた振動搬送装置を提供することにある。
すなわち本発明は、搬送面に沿って搬送対象物であるワークを搬送方向下流端(終端)に向かって移動させながら所定の次工程設備のワーク移載面に搬送可能なシュートに関する。
そして、本発明に係るシュートは、上向き面に搬送面を有する搬送路と、搬送路に隣接する位置に配置され且つ弾性変形によって生じた振動を搬送面に伝達する搬送部と、搬送部を弾性変形させる駆動部とを備え、駆動部によって搬送部を弾性変形させた状態である振動モードが、搬送路におけるワークの搬送方向(以下、「ワーク搬送方向」という)と平行な方向に撓む振動である水平振動モードと、搬送面に対する垂直な直交方向の振動である垂直振動モードとを合成した楕円振動であり、この振動モードにおいて搬送面全体が少なくとも水平振動モードの腹に相当する位置またはその近傍位置となるように構成することで、搬送面全体に一様な楕円振動が生成されることを特徴としている。ここで、振動の腹とは、振幅が最大になり変位が最も揺れ動く点である。また、本発明における水平振動モードは、振動方向(撓む方向)がワーク搬送方向と平行な方向であるという条件を少なくとも満たす振動モードであればよく、一方、本発明における垂直振動モードは、振動方向(撓む方向)が鉛直方向の成分を持つ方向(搬送面に対する垂直な直交方向)であるという条件を少なくとも満たす振動モードであればよい。また、本発明におけるワークとしては、例えば電子部品などの微小部品を挙げることができるが、電子部品以外の物品であってもよい。
このような本発明に係るシュートであれば、振動モータが水平振動モードと垂直振動モードとを合成した楕円振動であり、駆動部によって搬送部を弾性変形させた振動モードにおいて搬送面全体が水平振動モードの腹に相当する位置(振動の腹部分)またはその近傍部分に位置する構成することで、搬送面全体に一様な楕円振動が生成されるため、搬送面全体に振動モードの節(振幅が最小となる点)のない一様な楕円振動状態を得ることができる。そして、搬送面が楕円振動することによって、搬送面とワークの間に摩擦力が発生し、この摩擦力が推進力として作用してワークを搬送することができ、搬送面全体が節なく同じ方向に楕円振動することで、搬送面全域で推進力が得られ、当該シュートの搬送面上においてワーク同士が詰まったり、搬送方向において相対的に上流側のワークに押圧されることに起因する姿勢の乱れ(押し圧による姿勢の乱れ)が発生する事態を回避することができる。加えて、本発明に係るシュートであれば、搬送面の終端(ワーク搬送方向下流端)から所定の次工程設備のワーク移載面にワークを排出する位置(ワーク排出位置)の変動がほとんど無いため、等ピッチでワークを次工程設備のワーク移載面に供給することができる。また、本発明に係るシュートによれば、振動振幅が非常に小さく、次工程設備との間の隙間を極小さくできるため、乗継時のワークの姿勢が安定するとともに、次工程設備への接続、位置調整において、振動振幅をほとんど考慮する必要がなく、調整が容易となる。これらの利点は、ワーク搬送速度を高速に設定しても得られるものであり、本発明のシュートを適用することで単位時間あたりのワーク搬送量の向上にも資することとなる。
また、本発明に係る振動搬送装置は、搬送対象物であるワークを振動によってメイン搬送路の終端に向かって移動させながら搬送方向下流側に搬送可能なものであって、メイン搬送路の終端に隣接する位置に上述の構成を有するシュートを配置したことを特徴としている。このような本発明に係る振動搬送装置によれば、上述したシュートが奏する作用効果を得て、全体が一様に楕円振動する搬送面とワークの間に発生する摩擦力が推進力として作用してワークを搬送することができ、ワーク詰まりや押し圧による姿勢の乱れが発生しない状態でシュートの搬送面の終端から次工程設備のワーク移載面に向かってワークを一定供給することが可能になる。
本発明によれば、水平振動モードと垂直振動モードとを合成した楕円振動が搬送面全体に一様に生成されるように構成するという斬新な技術的思想に基づき、振幅に起因する搬送面の部位単位の起伏変化が生じる事態を防止・抑制するとともに、次工程設備への乗り継ぎ部分に到達しているワークに対して搬送面との間に生じる摩擦力に基づく推進力を付与することで、ワーク搬送速度を速く設定した場合であってもワークが当該乗り継ぎ部分で停滞したり、姿勢が乱れる事態の発生を防止・抑制して、次工程設備に対するワークの定量供給や高速供給を実現可能なシュート、及びシュートを備えた振動搬送装置を提供できる。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態に係るシュート1は、図1及び図2に示すように、搬送対象物であるワークWを振動によってメイン搬送路(リニアメイン搬送路L1)の終端L11に向かって移動させながら搬送方向D1下流側に搬送可能な振動搬送装置Xに適用され、メイン搬送路L1の終端L11に接続可能なものである。図1及び図2では、メイン搬送路L1の一例としてリニアフィーダLのリニア搬送路L1を示すとともに、リニアメイン搬送路L1の終端L11に隣接する位置に本実施形態に係るシュート1を配置した態様を示している。
リニアフィーダLは、図2に示すように、直線状の搬送路であるリニアメイン搬送路L1を有するリニア搬送部L2に振動を与えることで、リニアメイン搬送路L1に沿ってワークWを搬送方向下流側へ搬送可能なものである。本実施形態におけるリニアフィーダLにおいて、リニア搬送部L2を振動させてリニアメイン搬送路L1上のワークWを搬送方向下流側へ搬送する具体的な構成は特に限定されず、例えば、加振源から与えられる加振力によって、リニア搬送部L2が接続された可動部と所定の固定部とを相互に連結する板バネ(駆動用バネ)を直接または間接的に起振させることで、可動部及び固定部が互いに逆方向に振動し、これによって可動部に接続されているリニア搬送部L2が長手方向に振動し、ワークWを搬送方向に沿って下流側へ搬送する構成を挙げることができる。また、他の例として、リニア搬送部L2に発生させた進行波によりワークWをリニアメイン搬送路L1に沿って搬送するリニアフィーダLであってもよい。
リニアメイン搬送路L1の始端及び終端L11は、リニア搬送部L2の外縁に到達し、適宜の断面形状に設定されている。リニアメイン搬送路L1は、ワークWを搬送する搬送面(リニア搬送面)として機能する。なお、リニアメイン搬送面の断面形状は、上向きコ字状、U字状、V字状等、適宜の形状を選択できる。リニアフィーダLは、リニアメイン搬送路L1の始端から搬送されたワークWを搬送中に一列に整列させてリニアメイン搬送路L1の終端L11から次工程装置に供給することができる。
図1では、リニア搬送部L2の上流側にボウルフィーダBを備えた振動搬送装置Xを例示している。ボウルフィーダBは、内周面に螺旋状の搬送路B1(螺旋搬送路)を有するボウル状の搬送部B2(ボウル搬送部)に振動を与えることで、螺旋搬送路B1に沿ってワークWを搬送方向下流側へ搬送可能なものである。ボウルフィーダBにおいて、ボウル搬送部B2を振動させて螺旋搬送路B1上のワークWを搬送方向下流側へ搬送する具体的な構成は特に限定されず、上述のリニアフィーダLに準じた構成(板バネを用いた構成、進行波を発生させる構成等)を適宜採用することができる。ボウル搬送部B2に振動を与えると、ワークWは螺旋搬送路B1を登坂し、そのまま螺旋搬送路B1の終端(出口部分)からリニアフィーダLのリニアメイン搬送路L1の始端に搬送される。
リニアメイン搬送路L1の始端(上流端)に到達したワークWは、リニアメイン搬送路L1の終端L11(下流端)に向かって搬送され、そのままシュート1に乗り継いで、次工程設備Yのワーク移載面Y1に供給される。図1及び図2では、次工程設備Yが回転テーブルTである態様を示している。回転テーブルTの上向き面のうち外周縁近傍に沿って規定される所定の周回エリアがワーク移載面Y1である。なお、回転テーブルTは、例えばワークの外観を検査する外観検査装置の一部を構成するものであり、このような外観検査装置では、円板状の回転テーブルT上にワークWが一定の姿勢で等ピッチで並べられていることで検査効率が向上する。
シュート1は、リニアフィーダLから乗り継いだワークWを一定区間搬送した後に次工程設備YにワークWを供給するものである。シュート1は、図3及び図4に示すように、上向き面に搬送面(搬送面21)を有し且つ下方空間が開放されている搬送路(ワーク搬送路2)と、ワーク搬送路2に隣接する位置に配置され且つ弾性変形によって生じた振動を搬送面21に伝達する搬送部3と、搬送部3を加振して弾性変形させる駆動部4とを備えている。ここで、図3はシュート1の全体外観斜視図であり、同図(a),(b)で見る方向を異ならせている。また、図4(a)はシュート1の平面図であり、同図(b),(c),(d)はそれぞれ同図(a)のF1方向矢視図、F2方向矢視図、F3矢視図である。
本実施形態に係るシュート1は、起立姿勢で設けた弾性変形可能なプレート体で搬送部3を構成している。本実施形態のシュート1は、搬送部3の高さ方向H中央部からシュート1における搬送路2を形成した面34とは反対側の面33から搬送部3の厚み方向Eに延伸する姿勢で配置した支持部5に支持されている(図3参照)。本実施形態では、搬送部3のうちワークWの搬送方向D1に沿って所定距離離れた2箇所を支持部5で支持するように構成している。各支持部5は、剛性が低い素材で構成された棒状をなすものであり、一端を搬送部3に取り付け、他端を共通の固定部6に取り付けている。搬送部3と固定部6の間に、低剛性の支持部5を設けることによって搬送部3の振動状態に悪影響が及ばないよう構成している。なお、図4では支持部5及び固定部6を省略している。
ここで、シュート1におけるワークWの搬送方向D1は、搬送部3の背面31から前面32に向かう方向として特定することができる。また、平面においてシュートまたは搬送部3の前後方向Zと直交する方向を「シュート1または搬送部3の厚み方向E」として特定することができ、シュート1の前後方向Zに対する垂直な直交方向を「シュート1または搬送部3の高さ方向H」として特定することができる。
本実施形態のシュート1は、搬送部3の2つの側面33,34(搬送部3におけるワークWの搬送方向D1に対して平面視において直交する2つの面)のうち一方の側面33に駆動部4を設けている。本実施形態では、図3及び図4に示すように、駆動部4として圧電素子4a,4bを適用し、合計4つの圧電素子4a,4bを搬送部3の一方の側面33における高さ方向H中央部周辺に貼付処理等の適宜の処理または固定手段によって固定している。具体的には、図3(b)及び図4(d)に示すように、支持部5を取り付ける領域(支持部取付領域)を前後方向Zにおいて挟む位置に後述する水平振動モード駆動用の圧電素子4aを設け、支持部取付領域を高さ方向Hにおいて挟む位置に後述する垂直振動モード駆動用の圧電素子4bを設けている。圧電素子4a,4bは矩形状をなす薄板状のものであり、水平振動モード駆動用の圧電素子4aを縦長の姿勢で設け、垂直振動モード用の圧電素子4bを横長の姿勢で設けている。
ワーク搬送路2は、搬送部3の高さ方向H中央部において当該搬送部3の厚み方向E(幅方向E)に突出する姿勢で設けられたものである。本実施形態では、搬送部3の高さ方向H中央部において、搬送部3の一方の側面34から側方に突出する姿勢でワーク搬送路2を設けている。ワーク搬送路2の上向き面には、溝状の搬送面21を形成している。搬送面21の溝形状は特に限定されず、図5等では一例として断面上向きコ字状の搬送面21を示している。ワーク搬送路2の始端22及び終端23は、それぞれワーク搬送路2のうちワーク搬送方向D1上流側の外縁及びワーク搬送方向D1下流側の外縁に到達している。ワーク搬送路2の前後方向Zに沿った寸法は、搬送部3の前後方向Zに沿った寸法と同じである。すなわち、本実施形態のシュート1は、搬送部3の高さ方向H中央部から側方に張り出したワーク搬送路2を備えたものである。本実施形態では、搬送部3及びワーク搬送路2を一体に形成している。
本実施形態に係るシュート1は、ワーク搬送路2の下向き面に他の部品を設けていないため、ワーク搬送路2の下方空間がフリーなスペースになっている(図3(a)、図4(b),(c)参照)。本実施形態では、ワーク搬送路2の下向き面のうちワーク搬送方向D1下流側部分を、ワーク搬送路2の終端23に向かって漸次高さ寸法が小さくなるテーパ面24に設定している(図4(b)参照)。
以上の構成を有するシュート1をリニアフィーダLの終端L11に隣接する位置に配置した振動搬送装置Xは、図1及び図2に示すように、次工程設備Yである回転テーブルTのワーク移載面Y1にワーク搬送路2のうち下流端側の下向き面(テーパ面24)を近接させた状態で、シュート1とは別体の部材(図示省略)に固定部5を適宜の手段で固定した状態で設置することができる。この設置状態では、ワーク搬送路2のうちテーパ面24に設定した下流端側の下向き面を回転テーブルTのワーク移載面Y1に近接させているため、搬送面21は、ワーク搬送方向D1の上流から下流に向かって漸次斜め下方に傾斜する下り勾配になる。下り勾配の傾斜角度はワークWが重力で滑り落ちる程度であり、且つワークWの姿勢を崩さない角度であることが肝要であり、本実施形態では、搬送面21を5°乃至15°程度の下り勾配に設定している。
そして、本実施形態に係る振動搬送装置Xは、リニアフィーダLと次工程設備Yである回転テーブルTの間に設けたシュート1によって、リニアフィーダLのリニアメイン搬送路L1から搬送面21に乗り継いだワークWを一定区間(搬送面21によるワークWの搬送区間)搬送した後、次工程設備Yである回転テーブルTにワークWを供給することができる。本実施形態に係る振動搬送装置Xでは、駆動部4によって搬送部3を弾性変形させた状態である振動モードが、図5及び図6に示す水平振動モードと、図7及び図8に示す垂直振動モードとを合成した楕円振動となるように構成している。
水平振動モードは、図5に示すように、搬送面21に対する垂直な直交方向に沿って腹と節が現れ、且つワーク搬送方向D1と平行な方向Zに撓む振動である。本実施形態では、搬送部3の高さ方向H中央部付近に設けた圧電素子4a,4bのうち、前後方向Zに所定距離離間して配置した2つの圧電素子4aにのみ交流電圧を印加することで搬送部3を加振すると、図6に示すように、搬送部3全体がワーク搬送方向D1と平行な方向に撓む振動(水平振動)が生じるように構成している。図6に、水平振動モードの振動方向(変位方向)を矢印で示している。本実施形態に係る振動搬送装置Xは、水平振動モードに現れる複数の腹のうち高さ方向H中央部に現れる腹の位置またはその近傍位置にワーク搬送路2を設けている。
垂直振動モードは、図7及び図8に示すように、ワーク搬送方向D1に対する垂直な直交方向Hの振動である。本実施形態では、搬送部3の高さ方向H中央部付近に設けた圧電素子4a,4bのうち、高さ方向Hに所定距離離間して配置した2つの駆動部4bにのみ交流電圧を印加することで搬送部3を加振すると、搬送面21に対する垂直な直交方向H(鉛直方向成分を含む方向)に沿って腹と節が現れ、且つ搬送部3全体が平面視においてワーク搬送方向D1に対して直交する方向E(腹と節の分布方向に直交する方向E)に撓む振動(垂直振動)が生じるように構成している。図7に、垂直振動モードの振動方向(変位方向)を矢印で示している。なお、図8(a)は、図6と同様に、搬送路2を形成した面34を正対する方向(図4(a)のF1方向)からみた垂直振動モードを示す図であり、図8(b)は図4(a)のF2方向からみた垂直振動モードを示す図である。図5乃至図8、及び次に説明する図9は、振動モードを解析アニメーションによって表示したものであり、振動モードの振動状況を把握し易くするため、無振動状態のシュートを比較対象として一部省略して示している。
本実施形態に係るシュート1は、このような水平振動モードと垂直振動モードの2つの異なる振動モードを同じ周波数で所定の位相差を与えて励起することによって、搬送面21に図9に示す楕円振動を生成する。図9は、(i)→(ii)→(iii)→(iv)→(i)…の順で繰り返す楕円振動の経時的な変遷を示す図である。なお、圧電素子4aは搬送部3のうち水平振動モードの腹の位置に設けられており、圧電素子4bは搬送部3のうち垂直振動モードの腹の位置に設けられており、交流電圧を印加することで加振する。また、圧電素子4a,4bによる加振時の周波数は水平振動モード及び垂直振動モードの固有周波数付近の周波数に設定している。本実施形態のシュート1は、振動モードにおいて搬送面21を周波数20kHz以上の超音波領域で振動させる(定在波)ことができる。
本実施形態に係るシュート1では、駆動部4(圧電素子4a,4b)によって搬送部3を弾性変形させた状態である振動モードが、水平振動モードと垂直振動モードを合成した楕円振動であり、振動モードにおいて搬送面21全体が水平振動モードの腹に相当する位置またはその近傍位置となるように構成することで、図9及び図10に示すように、搬送路2全体に一様な楕円振動が生成される。その結果、搬送路2の搬送面21全体にも一様な楕円振動が生成され、搬送面21上のワークWは、図10に示すように、搬送面2に接触する状態(同図(ii))と、搬送面2に対して離間する状態(同図(iii),(iv),(i))とを所定のサイクルで繰り返し、ワーク搬送方向D1に沿って搬送される。すなわち、ワークWが搬送面21に接触した時点でワークWと搬送面21の間に摩擦力が発生し、この摩擦力が推進力として作用してワークWをワーク搬送方向D1に搬送することができ、搬送面21全域で推進力を得ることができる。なお、搬送路2の搬送面21全体に一様な楕円振動が生成されるということは、振動モードにおけるどの時点を切り取ったとしても各時点における搬送面21上の任意の点(一例として図10中の点P,Q)の相対位置関係が一定であり、例えば搬送面21上に振動に起因する起伏が部分的に現れないということである。図10の(i),(ii),(iii),(iv)は、それぞれ図9の(i),(ii),(iii),(iv)に対応するものである。また、図9及び図10の(i),(ii),(iii),(iv)に示す楕円と楕円上の黒丸は、各図が楕円振動におけるどの時点の振動状態であるかを模式的に示すものである。また図10では無振動状態の搬送面21Aを点線で示している。
以上のように、本実施形態に係るシュート1は、駆動部4(圧電素子4a,4b)によって搬送部3を弾性変形させた状態である振動モードが、搬送面21に対する垂直な直交方向Hに沿って腹と節が現れ且つ搬送路2におけるワーク搬送方向D1と平行な方向に撓む振動である水平振動モードと、搬送面21に対する垂直な直交方向Hの振動である垂直振動モードとを合成した楕円振動であり、振動モードにおいて搬送面21全体が少なくとも水平振動モードの腹に相当する位置またはその近傍位置となるように構成することで、搬送面21全体に一様な楕円振動が生成される構成であるため、搬送面21上に節のない振動状態を得ることができる。そして、振動モードにおいて搬送面21が一様な楕円振動することによって、搬送面21とワークWの間に摩擦力が発生し、この摩擦力が推進力として作用してワークWを搬送することができ、搬送面21全域で推進力が得られ、ワーク搬送速度を速く設定した場合であっても搬送面21上においてワークW同士が詰まったり、ワーク搬送方向D1において相対的に上流側のワークWに押圧されることに起因する姿勢の乱れ(押し圧による姿勢の乱れ)が発生する事態を回避することができる。詳述すると、本実施形態に係るシュート1によれば、水平振動モードに合成して楕円振動を生成する垂直振動モードの振動方向が、ワーク搬送方向D1に直交し且つ鉛直成分の成分を持つ方向であるため、鉛直下向きに重力を受けるワークWが、鉛直方向に振動する搬送面21に対して鉛直方向に接触する状態と離間する状態を繰り返し、ワークWが搬送面21に接触する時には重力によってワークが搬送面21に押し付けられ、推進力である摩擦力が生じるという作用を得ることができる。
すなわち、本実施形態に係るシュート1によれば、楕円振動により搬送面21とワークWの間に発生する摩擦力を推進力として作用させる構成であるため、非常に小さい振動振幅であっても搬送路2全体でワークWをスムーズに搬送することができ、次工程設備Yへの接続や位置調整を行う際に、搬送路2の振動振幅をほとんど考慮する必要がなく容易に行うことができる。また、搬送路2の下方空間がフリースペースであることと相俟って、搬送路2と次工程設備Yとの間の隙間をゼロに近付けることが可能であり、搬送面21の下流端23から次工程設備Yのワーク移載面Y1への乗継時のワークWの姿勢安定化を図ることができる。
さらに、本実施形態に係るシュート1によれば、超音波振動を利用しているため、振動モードにおける振幅が極めて小さく、搬送面21の終端23(ワーク搬送方向D1下流端)から所定の次工程設備Yのワーク移載面Y1にワークWを排出する位置(ワーク排出位置)の変動がほとんど無いため、等ピッチでワークWを次工程設備Yのワーク移載面Y1に供給することができるというメリットや、振動音が聞こえず、作業環境に悪影響を及ぼさないというメリットも得ることができる。
特に、本実施形態に係るシュート1によれば、水平振動モードの振動振幅と垂直振動モードの振動振幅を個別に独立して設定することができ、さらに両振動モード間の位相差も自由に設定できるため、ワークWの搬送速度の調整を容易に行うことができる。さらにまた、本実施形態に係るシュート1によれば、楕円振動の回転方向を逆転させると搬送面21上のワークWを逆方向へ搬送することが可能である。
加えて、本実施形態に係るシュート1によれば、搬送面21をワーク搬送方向D1下流端に向かって漸次下り勾配となる傾斜面に設定しているため、リニアフィーダLからワーク搬送路2の搬送面21に乗り移ったワークWが滑り落ちるように搬送されることになり、より一層スムーズな搬送処理を実施することができる。また、搬送面21におけるワークWの搬送速度をリニアフィーダLのリニアメイン搬送路L1におけるワークWの搬送速度よりも遅くなるように設定した場合には、搬送面21上でワークWを搬送方向D1に隙間の無い状態または略無い状態で搬送することができ、搬送方向D1におけるワークW同士の距離が大きくなる(ワークWの離間)事象の発生を防止しつつ、単位時間あたりのワーク搬送量増大化が可能であり、より一層安定したワークWの一定供給処理を実現できる。
また、このようなシュート1を備えた本実施形態に係る振動搬送装置Xによれば、上述したシュート1が奏する作用効果を奏し、搬送面21の終端23から次工程設備Yのワーク移載面Y1に向かってワークWを等ピッチ且つ同じ姿勢で一定供給することが可能になるとともに、搬送面21の終端23から次工程設備Yのワーク移載面Y1への乗継時にワークWが姿勢変更する不具合を防止・抑制することができる。
本実施形態における駆動部4、搬送部3及び搬送路2の関係に着目した場合、搬送部3は、駆動部4(圧電素子4a,4b)が接合され、且つ圧電素子4a,4bの伸縮変位に応じて弾性変形して振動する振動部として捉えることができ、搬送路2は、振動部に隣接する位置に配置され、且つ振動部から伝わる振動によって始端から終端に亘る全面が振動する作用面(上述の搬送面21に相当する面であり、後述する二次側部材が接触する面)を有する作用部として捉えることができる。そして、圧電素子によって振動部を弾性変形させた状態である振動モードは、上述の通り、水平振動モードと垂直振動モードとを合成した楕円振動であり、振動モードにおいて作用面全体が振動モードの腹に相当する位置またはその近傍位置となるように構成することで作用面全体に一様な楕円振動が生成されることになる。このような作用面を一体または一体的に備えた振動部をリニアアクチュエータの一次側部材として捉えると、一次側部材の作用領域(作用面)と接触し、且つ一次側部材の作用面の長手方向に相対移動できるように配置された二次側部材(図示省略)を備えたリニアアクチュエータを構成することができる。このようなリニアアクチュエータによれば、作用面全体が一様に楕円振動することによって、作用面と二次側部材の間に摩擦力が発生し、この摩擦力が推進力として作用して相対移動が生じ、しかも、作用面全体が節なく同じ方向に楕円振動することで、作用面全域で推進力が得られる。さらに、作用面が直線状に伸びているため、二次側部材との間の摩擦による負荷が分散され、摩耗し難いというメリットもある。本実施形態に係るシュート1は、このようなリニアアクチュエータの一つの活用例であるといえる。
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、シュートの搬送面をワーク搬送方向に沿って下り勾配に設定した態様を例示したが、傾斜していないフラットな搬送面を採用することもできる。また、搬送面上のワークに対して十分な推進力を付与することが可能な本発明によれば、搬送面をワーク搬送方向に沿って登り勾配に設定することもできる。
ワーク搬送路に隣接する位置に配置される搬送部は、弾性変形によって生じた振動を搬送面に伝達するという条件を満たすものであれば、ワーク搬送路と別体のものであってもよい。つまり、本発明のシュートは、搬送路と搬送部を別体として備えた構成、及び搬送路と搬送部を一体に備えた構成の両方を包含するものである。なお、搬送路と搬送部が一体である構成(搬送部の一部を搬送路として形成・加工した構成)も本発明に含まれる。
また、本発明では、搬送面の断面溝形状やワーク搬送方向に沿ったワーク搬送路の長さは、適宜選択・変更することができる。搬送面の断面形状としては、上向きコ字状、U字状、V字状等の形状を挙げることができる。搬送面と所定方向に対面する規制壁を有する規制部を備え、搬送面上を搬送するワークが搬送面から外れる方向に移動する挙動を規制するように構成してもよい。
本発明では、駆動部として、圧電素子に代えてまたはそれに加えて、磁歪素子や他の素子を適用することが可能である。また、搬送部を厚み方向に挟む位置にそれぞれ駆動部を配置した構成を採用することもできる。各駆動部は、振動の節または節近傍に配置されるものに限定されず、振動モードによっては配置箇所が振動の腹または腹近傍に配置される場合もある。すなわち、振動モードにおいてより効率良く振動させるためには、弾性変形による歪みの大きな位置に駆動部を配置(圧電素子を貼付)することが好ましい。
また、搬送路を搬送部の下端付近における水平振動モードの腹に設けてもよい。この場合、搬送路よりも下方の空間に搬送部が配置されない構成になり、次工程設備に対する搬送路の相対位置の設計自由度が高まり、次工程設備のワーク移載面上にワークを容易に供給可能なレイアウトを選択することができる。また、搬送路を搬送部の上端付近における水平振動モードの腹に設ける構成も本発明に含まれる。
垂直振動モードとして、搬送部全体が高さ方向(鉛直方向)に伸縮運動する弾性変形によって生じる縦振動を採用することも可能である。
また、本発明に係る振動搬送装置は、ボウルフィーダとリニアフィーダとシュートを全て備えたものに限定されず、ボウルフィーダのメイン搬送路(螺旋搬送路)の終端に隣接する位置にシュートを配置した構成や、ボウルフィーダを備えず、リニアフィーダのメイン搬送路(リニアメイン搬送路)の終端に隣接する位置にシュートを配置した構成であってもよい。なお、リニアフィーダが、リニア搬送部の上向き面に、リニアメイン搬送路と、リニアメイン搬送路から排除されたワークを上流側(例えばボウルフィーダの貯留部)に戻すリターントラックとを形成したものであってもよい。
さらにはまた、ボウルフィーダとリニアフィーダの間に本発明に係るシュートを設け、螺旋搬送路の終端からワーク搬送路の始端に到達したワークを、ワーク搬送路の終端まで搬送してリニアフィーダのリニアメイン搬送路の始端に乗り継ぐ構成を実現することもできる。この場合、振動搬送装置は、ボウルフィーダとシュートとを備えたものであり、本発明における「次工程設備のワーク移載面」がリニアメイン搬送路の始端であると捉えることができる。ホッパからシュートに直接ワークを供給する構成であってもよい。
メイン搬送路の終端に隣接する位置であって且つメイン搬送路の終端近傍領域の下方にシュートの搬送路の始端近傍領域が位置付けられるようにメイン搬送路及びシュートの搬送路の一部同士を高さ方向に重ねた配置を採用し、下り勾配に設定したメイン搬送路の終端からワークを自重でシュートの搬送路の始端近傍に落下させるようにしても構わない。この場合、搬送路の振幅の制限がなくなり、高振幅で振動させることが可能になり、ワーク供給量を増加することができる。
また、本発明における次工程設備は、外観検査装置の回転テーブルに限定されず、適宜の検査装置或いは処理装置の一部を構成し、且つワーク移載面を有するものであればよい。
搬送対象物であるワークの一例として電子部品などの微小部品を挙げることができるが、ワークは電子部品以外の物品であってもよい。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
1…シュート
21…搬送面
2…搬送路(ワーク搬送路)
3…搬送部
4,4a,4b…駆動部(圧電素子)
L1…メイン搬送路(リニアメイン搬送路)
W…ワーク
X…振動搬送装置
Y…次工程設備(回転テーブル)
Y1…ワーク移載面
21…搬送面
2…搬送路(ワーク搬送路)
3…搬送部
4,4a,4b…駆動部(圧電素子)
L1…メイン搬送路(リニアメイン搬送路)
W…ワーク
X…振動搬送装置
Y…次工程設備(回転テーブル)
Y1…ワーク移載面
Claims (2)
- 搬送面に沿って搬送対象物であるワークを搬送方向下流端に向かって移動させながら所定の次工程設備のワーク移載面に搬送可能なシュートであって、
上向き面に前記搬送面を有する搬送路と、
前記搬送路に隣接する位置に配置され且つ弾性変形によって生じた振動を前記搬送面に伝達する搬送部と、
前記搬送部を弾性変形させる駆動部とを備え、
前記駆動部によって前記搬送部を弾性変形させた状態である振動モードが、前記ワークの搬送方向と平行な方向に撓む振動である水平振動モードと、前記ワークの搬送方向に対する垂直な直交方向の振動である垂直振動モードとを合成した楕円振動であり、
前記振動モードにおいて前記搬送面全体が少なくとも前記水平振動モードの腹に相当する位置またはその近傍位置となるように構成することで前記搬送面全体に一様な楕円振動が生成されることを特徴とするシュート。 - 搬送対象物であるワークを振動によってメイン搬送路の終端に向かって移動させながら搬送方向下流側に搬送可能な振動搬送装置であって、
前記メイン搬送路の終端に隣接する位置に請求項1に記載のシュートを配置していることを特徴とする振動搬送装置。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022188178A JP2024076572A (ja) | 2022-11-25 | 2022-11-25 | シュート、振動搬送装置 |
KR1020230164078A KR20240078364A (ko) | 2022-11-25 | 2023-11-23 | 슈트 및 진동 반송 장치 |
TW112145326A TW202421550A (zh) | 2022-11-25 | 2023-11-23 | 滑槽、振動輸送裝置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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-
2022
- 2022-11-25 JP JP2022188178A patent/JP2024076572A/ja active Pending
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