JP2018103926A - 床材の取り付け方法および床材が取り付けられたインストルメントパネルからなる車両内装材 - Google Patents

床材の取り付け方法および床材が取り付けられたインストルメントパネルからなる車両内装材 Download PDF

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Abstract

【課題】インストルメントパネルに床材を取り付ける作業が容易で、内装が汚れ難い取り付ける方法を提供する。【解決手段】領域(I)の基布と領域(II)の基布の境界で織物基布を構成する少なくとも経糸または緯糸が連続しており、領域では、フック状係合素子用糸が存在していないか、存在している場合にはフック状係合素子用糸が基布表面から浮き上がることなく基布内に織り込まれており、かつ領域内ではフック状係合素子用糸は連続している面ファスナー面ファスナー(A)を使用し、(B−1)インストルメントパネル表面に取り付け材の領域を貼り合わせる工程、(B−2)ステープラ針を基布の裏面側から打ち込みインストルメントパネルに取り付け材を固定する工程(B−3)領域に床材の裏面を重ね合わせて、インストルメントパネルに床材を取り付ける工程をこの順序で行う車のインストルメントパネルに床材を取り付ける方法。【選択図】図1

Description

本発明は、車のインストルメントパネルにフロアマット等の床材を取り付けるのに用いられる、面ファスナーのフック状係合素子が存在している領域(I)と粘着剤層が存在している領域(II)が同一面に隣り合わせで存在している取り付け材、この取り付け材を用いてインストルメントパネルに床材を取り付ける方法、さらにこれにより床材が取り付けられたインストルメントパネルからなる車両内装材に関する。
従来から、車体の床にフロアマット等の床材を固定する方法として、インストルメントパネルにフロアマット等の床材の端部を取り付ける方法が用いられており、具体的には乗車している者から見えないインストルメントパネルの奥の部分に、フック状係合素子を有する面ファスナーの一部が同パネルからはみ出しているような状態で面ファスナーをステープラ針により固定し、そしてはみ出した箇所の面ファスナーの雄型係合素子面に床材の裏面を重ね合わせ、床材の裏面の繊維と面ファスナーのフック状係合素子を係合させて、床材をインストルメントパネルに取り付ける方法が行われている。
この際、インストルメントパネルの奥の隠れた部分に面ファスナーを押さえ付け、その状態でステープラ針を撃ち付けることから、面ファスナーの位置がずれ易く、正確な位置に取り付けることが極めて困難である。
それを解消する方法として、フック状係合素子を有する面ファスナーの係合素子面の一部に粘着剤層を塗布したものを使用し、位置を確認しながらインストルメントパネルの取り付け部分にこの面ファスナーの粘着剤を塗布した部分を重ね合わせて、粘着剤により所定位置に面ファスナーを仮固定した後、ステープラ針により本固定する方法が採用されている。
しかしながら、この方法を用いても正確な位置に重ね合わせることは難しく、正確な位置に重ね合わされていない場合には、粘着剤による仮固定を剥がし、再度正確な位置に仮固定し直す必要がある。仮固定を剥がすと粘着剤がインストルメントパネル側に残り、それが正確な位置からずれている場合には、本固定後に粘着剤が露出していることがあり、乗車している者に粘着剤が触れて不快感を与えたり、粘着剤に異物が付着して美観を損なったりすることとなる。さらに剥がれた粘着剤上に再度貼り合わされることとなるため、粘着剤層が部分的に重なり、重なった部分だけが粘着剤層が厚くなり、この粘着剤層の厚さ斑により粘着力が低下することとなる。
なお、表面の一部に粘着剤層を存在させた面ファスナーは公知である。例えば、特許文献1には、カーペットを連結するための面ファスナーが記載されており、具体的には織物からなる基材の表面にフック状またはループ状係合素子を設けた第1の領域と粘着剤層を形成した第2の領域を隣接させた面ファスナーが記載されており、この面ファスナーを用いて2枚のカーペットを接合することにより、接合箇所が隙間なく、かつ縁がカールせずに接合できることが記載されている。
しかしながら、同文献1には、フロアマットをインストルメントパネルに取り付ける取り付け材として使用することについて記載がなく、さらに粘着剤層を仮固定として使用することに関して、さらに仮固定した状態でステープラ針により本固定することに関しても記載がない。
さらに特許文献2や特許文献3には、使い捨てオムツの腰部固定用テープとして、合成樹脂製テープの表面の一端にフック状係合素子を有する面ファスナーを貼り付け、他端に粘着剤層を塗布したものが記載されている。しかしながら、これらの文献にも、インストルメントパネルにフロアマットを取り付けるのに同テープを使用することについて記載がなく、さらに粘着剤層を仮固定として使用することに関して、さらに仮固定した状態でステープラ針により本固定することに関しても記載されていない。
実用新案登録第3127668号公報(実用新案登録請求の範囲および第11図) 特開平11−18372号公報(特許請求の範囲および図3) 特開平11−18373号公報(特許請求の範囲および図3)
本発明は、インストルメントパネルに床材を取り付ける際の仮固定時に一旦剥がして再度仮固定を行っても粘着剤がインストルメントパネル側に残ることが少ない粘着剤層付の面ファスナーを提供することを目的とするものであり、さらにこのような面ファスナーを用いてインストルメントパネルに床材を取り付ける方法、さらにこのような方法により床材が取り付けられたインストルメントパネルからなる車両内装材を提供するものである。
さらに本発明は、粘着剤層を取り付けた基布部分が耐破断性に優れ、ステープラ針の針穴から裂けたりすることがなく、かつ仮固定の際の作業性に優れた粘着剤付の面ファスナーを提供することを目的とするものである。
すなわち、本発明は、インストルメントパネルに床材を取り付ける方法において、取り付け材として以下の面ファスナー(A)を使用し、取り付け方法として以下の工程(B−1)、(B−2)および(B−3)をこの順序で行うことを特徴とする床材取り付け方法である。
面ファスナー(A):織物基布の表面に、フック状係合素子が存在している領域(I)と粘着剤層が存在している領域(II)が隣り合わせで存在しており、領域(I)の基布と領域(II)の基布の境界で織物基布を構成する少なくとも経糸または緯糸が連続しており、領域(II)では、フック状係合素子用糸が存在していないか、存在している場合にはフック状係合素子用糸が基布表面から浮き上がることなく基布内に織り込まれており、かつ領域(II)内ではフック状係合素子用糸は連続している面ファスナー
(B−1)まずインストルメントパネルから取り付け材の領域(I)がはみ出しているように、インストルメントパネルに取り付け材の領域(II)を貼り合わせる工程
(B−2)その状態で領域(II)の基布および粘着剤層を貫通してインストルメントパネルに針が届くようにステープラ針を基布の裏面側から打ち込むことによりインストルメントパネルに取り付け材を固定する工程
(B−3)しかる後に領域(I)に床材の裏面を重ね合わせて、領域(I)のフック状係合素子と床材の裏面に存在している繊維を係合させることによりインストルメントパネルに床材を取り付ける工程
また、本発明は、インストルメントパネルに床材が取り付けられており、取り付け材として上記(A)の面ファスナーが使用され、取り付け部が、インストルメントパネルから取り付け材の領域(I)がはみ出すように、インストルメントパネルに上記取り付け材の領域(II)が貼り合わされており、そして領域(II)の基布および粘着剤層を貫通してインストルメントパネルに針が届くようにステープラ針が打ち込まれており、さらに領域(I)に床材の裏面が重ね合わされ、領域(I)のフック状係合素子と床材の裏面に存在している繊維が係合していることを特徴とする、床材が取り付けられたインストルメントパネルからなる車両内装材である。
さらに本発明は、織物基布の表面に、フック状係合素子が存在している領域(I)と粘着剤層が存在している領域(II)が隣り合わせで存在しており、領域(I)の基布と領域(II)の基布は両領域の境界で織物基布を構成する少なくとも経糸または緯糸が連続しており、領域(II)では、フック状係合素子用糸が基布表面から浮き上がることなく基布内に織り込まれており、かつ領域(II)内ではフック状係合素子用糸は連続している面ファスナーである。
そして、好ましくは、織物を構成する経糸、緯糸およびフック状係合素子用糸が、ともにポリエステル系の繊維からなり、かつ緯糸が、鞘成分が低融点のポリエステル系樹脂からなる芯鞘型の複合ポリエステル系繊維であって、同芯鞘型の複合ポリエステル系繊維により、フック状係合素子用糸が基布に固定されている上記の面ファスナーである。
本発明の面ファスナーでは、基布が織物であることからステープラ針の針穴から基布が裂けるということが少なく、しかも領域(I)と領域(II)の境界で織物基布を構成する経糸および緯糸が連続していることから、境界と直角方向に面ファスナーに張力がかかっても面ファスナーが境界部で裂けることが少ない。
さらに粘着剤層が存在している領域(II)では、フック状係合素子用糸が存在していないか、存在している場合にはフック状係合素子用糸が基布表面から浮き上がることなく基布内に織り込まれており、かつ領域(II)内ではフック状係合素子用糸は連続していることから、基布表面に存在している粘着剤は、基布を構成している経糸や緯糸に強固に付着しており、仮固定の際に、位置調整のためにインストルメントパネルから仮固定した面ファスナーを剥がしても、粘着剤の一部がインストルメントパネル側に残ることが殆どない。
従来の面ファスナーの場合には、粘着剤は、係合素子の上から塗布するとか、あるいは係合素子を根元で刈り取ったのちに塗布するとか、あるいは係合素子を溶融させた後に塗布したりするのが通常であるが、このような場合には、係合素子やその切り株やその溶融物が基布表面から突出していたり、基布表面が溶融されてフィルム化され、溶融部と非溶融部の境界で凹凸が生じているため、仮固定の際に、インストルメントパネルから剥がすと粘着剤層がインストルメントパネル側に残り易い。
それに対して本発明の取り付け材では、領域(II)には係合素子そのものが存在していないことから、従来の面ファスナーのような係合素子やその切り株が基布表面から突出したり、切り株を消失させるために行った溶融処理による凹凸を有したりしないため、粘着剤がインストルメントパネル側に残るという問題点を生じない。その結果、残った粘着剤の一部が領域(II)からはみ出してインストルメントパネル表面に露出し、この露出した粘着剤に触れることにより乗車している者に不快感を与えたり、さらに露出した粘着剤に異物が付着することより美観を損なったり、さらに剥がれた粘着剤層上に再度貼り直した粘着剤層が重なり、重なった部分だけが粘着剤層が厚くなり、この粘着剤層の厚さ斑により粘着力が低下することもない。
さらに、本発明の取り付け材の場合には、好ましくは、領域(II)に係合素子そのものは存在していないが係合素子用糸は存在しており、係合素子用糸は、太いモノフィラメントが使用されていることから、領域(II)の基布は腰を有しており、仮固定の際に、領域(II)が曲がり、自己粘着することが少なく、作業性に優れている。
本発明の取り付け材として用いられる面ファスナーの一例を模式的に示す斜視図である。 取り付け材をインストルメントパネルに仮固定した状態を模式的に示す斜視図である。 取り付け材をインストルメントパネルにステープラ針により本固定した状態を模式的に示す斜視図である。 図3に示すように取り付けられた取り付け材に床材を係合させた状態を示す斜視図である。
本発明の取り付け材用の面ファスナーについて、さらにこのような面ファスナーを用いてインストルメントパネルに床材を取り付ける方法について、添付の図面に基づき、詳細に説明する。
本発明に用いられるフック状係合素子を有する面ファスナーは織物基布を有するものである。フック状係合素子を有する面ファスナーには、織物基布を有するものの他に、合成樹脂シートからなる成形面ファスナー、編物基布を有する編物面ファスナー等があるが、成形面ファスナーの場合には面ファスナーに張力が掛かるとステープラ針の針穴から裂け易いという問題点を有しており、また編物面ファスナーの場合には、張力により形態が崩れ易いという問題点を有しており、本発明では、このような問題を有していない織物基布からなる面ファスナーが用いられる。
まず本発明の取り付け材用の面ファスナー(A)としては、図1に示すように、織物基布の表面に、フック状係合素子が存在している領域(I)と粘着剤層が存在している領域(II)が隣り合わせで同一面に存在している。
そして、本発明に用いられる取り付け材用の面ファスナー(A)として、例えば、領域(I)の基布と領域(II)の基布の境界で織物基布を構成する少なくとも経糸または緯糸が連続しており、かつ領域(II)ではフック状係合素子用糸が存在していない面ファスナー(C)と、領域(I)の基布と領域(II)の基布の境界で織物基布を構成する少なくとも経糸または緯糸が連続しており、領域(II)ではフック状係合素子用糸が基布表面から浮き上がることなく基布内に織り込まれており、かつ領域(II)内ではフック状係合素子用糸は連続している面ファスナー(D)の二通りがある。
織物基布を有し、フック状係合素子を有する面ファスナーの場合、フック状係合素子用糸は経糸と平行に織り込まれ、そしてフック状係合素子を形成する箇所で、経糸を数本跨いでループを成形する方法が用いられる。ループは形状を固定した後、ループの片脚を切断することによりフック状係合素子となる。
上記(C)の面ファスナーの場合、面ファスナーを織る際に、領域(II)となる部分には最初からフック状係合素子用糸を織り込まずに、領域(I)のみ経糸方向にフック状係合素子を織り込むことから領域(II)の基布は経糸と緯糸のみから織られることとなる。この面ファスナーの場合には、領域(I)基布と領域(II)の基布の境界で織物基布を構成する少なくとも経糸または緯糸が連続していることとなり、面ファスナーの緯糸方向に領域(I)と領域(II)が隣り合わせで存在し、かつ経糸方向には領域(I)と領域(II)それぞれが連続して存在していることとなる。
一方、上記(D)の面ファスナーの場合では、フック状係合素子用糸は領域(II)にも経糸方向に織り込まれており、領域(II)の基布は経糸、緯糸およびフック状係合素子用糸から形成されることとなるが、フック状係合素子用糸は基布表面から浮き上がることなく基布内に織り込まれており(すなわちループを形成することなく)、かつ領域(II)内ではフック状係合素子用糸は連続していることとなる(すなわちフック状係合素子を刈り取るようなことを行わない)。したがって上記(D)の面ファスナーでは、経糸方向に領域(I)と領域(II)が隣り合わせで存在することとなる。
本発明において、上記(D)の面ファスナー場合には、領域(II)の基布に太いモノフィラメントであるフック状係合素子用糸が織り込まれていることとから、領域(II)の基布に腰が生じ、仮固定の際に、領域(II)の粘着剤層が自己粘着することが少なく、自己係合を剥がす必要性が少なくなることから作業性に優れているという効果が得られる。
上記(D)の面ファスナーに用いられる面ファスナーは、係合素子の形成用である綜絖枠の往復運動を電気信号によって制御されたフック状係合素子用ループ形成装置を用いることにより容易に実施できる。
なお、通常の織機では綜絖枠の往復運動は、一般にカードと呼ばれる部品の高さが綜絖枠の上下位置を決め、カードをチェーン状につないで回転させることで、綜絖枠の往復運動を繰り返している。しかしながら、カードをチェーン状につなぐ場合は、織機に内蔵可能な長さにしなければならないため、往復運動の周期には物理的制限が発生する。長さの制限は織機の種類によって多様であるが、緯糸を打込む本数が50本程度までの周期で組織を組むのが限界の場合が多い。
綜絖枠の往復運動を電気信号によって制御するとは、カードをチェーン状につなぐ部品を電気信号によって制御する部品に置き換えることである。したがってカードをチェーン状につなぐ場合の長さの制限がなくなり、たとえば緯糸打込み本数が千本以上の極めて多くの緯糸本数を打込む組織を組むことが可能となる。そして、電気信号によって綜絖枠の往復運動を制御する場合の織機は、電気磁石またはモーター等を用いて綜絖枠を上下させる。
このような装置を用いて、例えば、緯糸50〜200本分には、フック状係合素子用糸は、緯糸5本を浮沈した後にループを形成するように織ることで領域(I)用とし、それに続く緯糸50〜200本分には、係合素子用糸はループを形成しないように基布中に織り込み、領域(II)用とすることにより、上記(D)の面ファスナー用織物が製造される。そして、ループをフック状係合素子とし、領域(II)に粘着剤を塗布した後に、フック状係合素子を形成した部分の基布の経糸方向中間部およびフック状係合素子用ループを形成していない部分の基布の経糸方向中間部を切断することにより、領域(I)となる基布と領域(II)となる基布が隣接して存在している面ファスナーが得られる。
一方、上記(C)の場合には、面ファスナーの両端部の経糸80〜200本分にはフック状係合素子用糸を経糸と平行に打ち込み、緯糸5本を浮沈したのちにループを形成するようにして、基布上にループを形成して領域(I)とし、中間部の経糸150〜500本分にはフック状係合素子用糸を打ち込まずに緯糸と経糸から織ることにより領域(II)として、緯糸方向中間部に領域(II)、そして両端部に領域(I)を有する織物を得て、中間部の緯糸方向中央で経糸方向に平行に切断することにより、領域(I)と領域(II)が隣り合って存在している面ファスナーが得られる。もちろん、両端部の領域(I)と中間部の領域(II)の関係を逆にすることも可能であり、これ以外の方法でも製造できる。
なお、面ファスナーを切断するのは、ループをフック状係合素子としたのちで、領域(II)上に粘着剤を付与した後が好ましい。
本発明において、フック状係合素子を構成する糸は、ポリアルキレンテレフタレート系ポリエステルからなるモノフィラメントが好適に用いられる。ポリアルキレンテレフタレート系のポリエステルとは、ポリエチレンテレフタレート単位またはブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステルであり、主としてテレフタル酸とエチレングリコール、またはテレフタル酸と1,4―ブタンジオールからの縮合反応により得られるポリエステルであり、若干ならばテレフタル酸やエチレングリコールまたは1,4―ブタンジオール以外の重合単位が付加されていてもよい。好ましくは、テレフタル酸やエチレングリコールまたは1,4―ブタンジオール以外の重合単位が付加されていない場合である。
フック状係合素子用モノフィラメント糸の太さとしては、直径0.14〜0.30mmのものが好ましい。0.14mmより細い場合には、十分な係合力が得られない。また0.30mmを超える場合には、織製し難くなる。フック状係合素子用モノフィラメントの打ち込み本数は、経糸本数20本(フック状係合素子用モノフィラメントを含む)に対して3〜8本程度が好ましい。もちろん、上記(C)の場合には、領域(II)の部分にはフック状係合素子用モノフィラメントを打ち込む必要はない。
本発明において、フック面ファスナーのフック状係合素子の基布面からの高さとしては1.2〜2.5mmが好ましい。 そして、本発明において、領域(I)のフック状係合素子の密度としては、25〜60個/cm2の範囲が好ましく、25個/cm2未満の場合には係合力が劣り、また60個/cm2を超える場合には、フック状係合素子同士が邪魔しあって床材裏面の繊維との係合を妨げることとなる。より好ましくは30〜50個/cm2の範囲である。
さらには、本発明の面ファスナーには、基布を構成する経糸および緯糸も、ポリアルキレンテレフタレート系ポリエステルからなる合成繊維が好適に用いられる。経糸として、好ましくはポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント糸である。
経糸を構成するマルチフィラメントの太さとしては、16〜96本のフィラメントからなるトータルデシテックスが75〜250デシテックスであるマルチフィラメント糸が好ましく、特に24〜48本のフィラメントからなるトータルデシテックスが100〜200デシテックスであるマルチフィラメント糸が好ましい。そして、このようなマルチフィラメント糸を熱処理後の織密度として35〜80本/cmとなるように基布を構成するのが」好ましい。
また本発明において、取り付け材用面ファスナーを構成する、経糸、緯糸およびフック状係合素子用糸が、ともにポリエステル系の繊維からなりかつ緯糸が、鞘成分が低融点のポリエステル系樹脂からなる芯鞘型の複合ポリエステル系繊維であって、同芯鞘型の複合ポリエステル系繊維により、フック状係合素子用糸が基布に固定されている場合が好ましい。
従来の面ファスナーでは、フック状係合素子が基布から引き抜かれることを防止するため、すなわちフック状係合素子を基布に固定するために、面ファスナーの基布裏面にポリウレタン液やアクリル系樹脂液等のバックコート樹脂液を塗布する方法が行われているが、係合素子が表面に存在している部分に関しては、裏面に塗布したバックコート液が表面に滲出しても、係合素子が装置にバックコート液が触れることを防いでくれることから問題はないが、係合素子が存在しない部分が存在している場合には、そのような場所には塗布しないように塗布しても、はみ出したバックコート液が表面に滲出して、それが装置や面ファスナーの他の部分等に付着し、品質の低下を来すこととなる。
それに対して、緯糸の鞘成分が熱溶融性樹脂である場合には、温度を下げるだけで熱融着性が直ちに消失するため、バックコート液を塗布する場合のような問題を生じない。そして、フック状係合素子用モノフィラメントは前記したように経糸に平行に打ち込まれることから、フック状係合素子用モノフィラメントと接触の機会が多い緯糸に熱融着性繊維が用いられるが、緯糸に熱融着性を用いてフック状係合素子を固定する方法を用いる上で、熱融着性を高度に達成するためには、経糸、緯糸およびフック状係合素子用糸がともにポリエステル系の繊維からなり、かつ緯糸が低融点のポリエステル系樹脂からなる繊維であるのが、係合力の点で、さらに基布の腰の強さの点で、さらに係合素子を強固に固定できる点で好ましい。
したがって、緯糸としては、熱処理条件下で熱融着してフック状係合素子用モノフィラメントの根元を基布に強固に固定できる繊維を含んでいるのが好ましく、そのような熱融着性繊維として、低融点または低軟化点のポリアルキレンテレフタレート系ポリエステルを鞘成分とする芯鞘型複合繊維からなるマルチフィラメント糸が好適に用いられる。
緯糸として芯鞘型の熱融着性繊維を用いる場合には、鞘成分樹脂は、フック状係合素子用のモノフィラメント、さらには経糸、該芯鞘型熱融着性繊維の芯成分樹脂のいずれよりも低い融点または軟化点を有していることが必要であり、好ましくは、融点または軟化点が20℃以上、より好ましくは30℃以上低い樹脂である。具体的には、鞘成分樹脂は150〜200℃の融点または軟化点を有している樹脂である。たとえば、イソフタル酸やスルホイソフタル酸ソーダやプロピレングリコール等が共重合されたポリエチレンテレフタレート系のポリエステル樹脂あるいは同共重合されたポリブチレンテレフタレート系のポリエステル樹脂が好適例として挙げられる。
そして芯成分としては、ポリアルキレンテレフタレート系エステルの樹脂が好ましく、高融点を有していることが求められることからポリエチレンテレフタレートホモポリマーやポリブチレンテレフタレートホモポリマーが挙げられ、なかでも形態安定性の点でポリエチレンテレフタレートホモポリマーが特に好ましい。
そして、緯糸を構成する繊維中に占める熱融着性繊維の割合としては、特に緯糸の全てが実質的に芯鞘型の熱融着性繊維で形成されている場合には、フック状係合素子を強固に基布に固定されることとなるため好ましい。繊維が芯鞘等の複合繊維でなく、繊維の全てが熱融着性のポリマーで形成されている単独繊維の場合には、溶融して再度固まった熱融着性ポリマーは脆く割れ易くなり、ステープラ針の針穴から基布が裂け易くなる。したがって、熱融着性繊維は、熱融着されない樹脂を含んでいることが好ましく、芯鞘の断面形状を有しているものが用いられる。
そして、芯成分と鞘成分の重量比率は60:40〜80:20の範囲が好ましい。なお、芯鞘の断面形状は完全な同芯型の芯鞘形状である必要はなく、バイメタル形状に近い偏芯型の芯鞘形状であってもよい。
緯糸を構成する熱融着性繊維はマルチフィラメント糸であるのが好ましく、その太さとしては、12〜60本のフィラメントからなるトータルデシテックスが50〜250デシテックスであるマルチフィラメント糸が好ましく、特に18〜36本のフィラメントからなるトータルデシテックスが75〜150デシテックスであるマルチフィラメント糸が好ましい。そして、このようなマルチフィラメント糸の織密度として、熱処理後の織密度で15〜30本/cmとなるように基布に打ち込むのが好ましい。
本発明において、領域(I)の基布および領域(II)の基布は、同時に製織される。領域(I)および領域(II)の基布は平織が好ましく、領域(I)では、フック状係合素子用糸が所々ループを形成されるように織られる。そして、このループの脚元を基布に固定するために熱を加え熱融着性繊維の熱融着性成分を溶融させて、ループを基布に固定するとともにループ形状を熱固定する。もちろん、好ましいとは言えないが、基布の裏面にバックコート樹脂液を塗布する方法を用いてループの根元を固定する方法を用いてもよい。
次に、このループの片脚を切断してフック状係合素子とする。ループの片脚の切断し易さの点で、ループは経糸を数本跨ぐように形成するのが好ましく、より好ましくは、経糸2〜4本跨ぐ箇所で形成するのが好ましい。
なお、本発明でいうフック状係合素子にはキノコ状係合素子が含まれる。キノコ状係合素子は、基布表面に形成したループの先端部を切断し、あるいは切断することなく、先端部を溶融して膨頭状とすることにより得られる。
一方、領域(II)では、フック状係合素子用糸そのものが存在していないか[すなわち前記(C)の面ファスナーの場合]、フック状係合素子用糸が基布表面から浮き上がることなく基布内に織り込まれており、かつ領域(II)内ではフック状係合素子用糸は連続している[すなわち前記(D)の面ファスナーの場合]ことが必要であり、これにより、領域(II)に塗布された粘着剤層は、基布に強固に粘着することとなり、仮固定の際に、一旦、インストルメントパネルに貼り付けた領域(II)を剥がしても、粘着剤の一部がインストルメントパネル側に残ることが極めて少ない。
そして、領域(I)の基布と領域(II)の基布の境界で織物基布を構成する経糸および緯糸が連続していることが必要であり、連続することなく、領域(I)の基布と領域(II)の基布が、接着剤や融着や縫製により貼り合わされている場合には張力により接合面が剥がれたり、接合部が乗車している者に触れて、不快感を与えたりする。
領域(I)および領域(II)の大きさとしては、それぞれ、縦横ともに10〜50mmが好ましく、特に15〜35mm四方が好ましい。
本発明に用いられる粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等のいずれでもよいが、面ファスナーとの粘着性の点でゴム系の粘着剤が好ましい。ゴム系粘着剤としては、天然ゴム系、合成ゴム系のいずれでもよい。合成ゴム系粘着剤としては、例えば、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴム、アクリルゴム、スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体などが挙げられる。
本発明の領域(II)に粘着剤を付与した面ファスナーは、粘着剤をノズルから押し出し、領域(II)の基布表面に粘着剤を塗布することにより、また支持体の両面に粘着剤を塗布した粘着シートを貼り合わせることにより得られる。そして面ファスナー側とは反対側の粘着剤表面には離型紙が貼り合わされている。粘着剤層の厚さとしては、0.05〜1.20mmの範囲が好ましい。
このような面ファスナー(取り付け材)を用いて、インストルメントパネルに床材を取り付ける。取り付ける方法として、以下の工程(B−1)、(B−2)、(B−3)をこの順序で行う。
なお、本発明でいうインストルメントパネルとは、インストルメントパネルそのものの他に、インストルメントパネルに固定したプラスチック製や繊維製や革製の部材を含んでいる。また床材とは、通常の車用フロアマットであり、表面にはカットパイルやループパイル等が存在しており、裏面には、面ファスナーの雄型係合素子と係合できるように、ループ繊維や繊維毛羽や捲縮繊維などの係合可能繊維が多数存在していることが必要である。
(B−1)まずインストルメントパネルから取り付け材の領域(I)がはみ出しているように、インストルメントパネルに取り付け材の領域(II)をその粘着剤層により貼り合わせる工程
(B−2)その状態で領域(II)の基布および粘着剤層を貫通してインストルメントパネルに針が届くようにステープラ針を基布の裏面側から打ち込むことによりインストルメントパネルに取り付け材を固定する工程
(B−3)しかる後に領域(I)に床材の裏面を重ね合わせて、領域(I)のフック状係合素子と床材の裏面に存在している係合可能繊維を係合させることによりインストルメントパネルに床材を取り付ける工程
図2は、上記(B−1)の工程で、インストルメントパネルから取り付け材の領域(I)がはみ出しているように、インストルメントパネルに取り付け材の領域(II)を同領域の表面に塗布された粘着剤により貼り合わせて仮固定した状態を示している。そして、図3は、上記(B−2)の工程を示し、領域(II)の基布および粘着剤層を貫通してインストルメントパネルに針が届くようにステープラ針を基布の裏面側から打ち込むことによりインストルメントパネルに取り付け材を固定した状態を示している。さらに図4は、上記(B−3)の工程を示しており、領域(I)に床材の裏面を重ね合わせて、領域(I)のフック状係合素子と床材の裏面に存在している繊維を係合させることによりインストルメントパネルに床材を取り付けた状態を示している。
このようにして得られたインストルメントパネルに取り付けた床材は、張力が掛かっても、取り付け材が破断することなく、さらに自動車内の激しい温度変化にも耐えて、係合が自然に剥離することもなく、さらに粘着剤の一部が領域(II)からはみ出し、はみ出し部分に人が触れたり、異物が付着したり、さらにインストルメントパネル上に残った粘着剤上に粘着剤層が重なることにより重なった部分だけが粘着剤層が厚くなり、この粘着剤層の厚さ斑により粘着力が低下することもない。
以下、本発明を実施例および比較例により説明する。
実施例1
織物製面ファスナーの基布を構成する経糸、緯糸、フック状係合素子用モノフィラメントとして次の糸を用意した。
[経糸]
・融点260℃のポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント糸
・トータルデシテックスおよびフィラメント本数:167dtexで30本
[緯糸(芯鞘型複合繊維からなるマルチフィラメント系熱融着糸)]
・芯成分:ポリエチレンテレフタレート(融点:260℃)
・鞘成分:イソフタル酸25モル%共重合ポリエチレンテレフタレート
(軟化点:190℃)
・芯鞘比率(重量比): 70:30
・トータルデシテックスおよびフィラメント本数:116dtexで24本
・200℃での乾熱収縮率:13%
[フック状係合素子用モノフィラメント]
・ポリエチレンテレフタレート繊維(融点:260℃)
・繊度:390dtex(直径:0.19mm)
上記3種の糸を用い、織装置として、フック状係合素子を形成する綜絖枠の往復運動は電気信号によって制御される装置を用いた。
このような装置を用い、以下の条件で、フック状係合素子が存在する織物製面ファスナーを製造した。
[織物面ファスナー]
上記経糸、緯糸およびフック状係合素子用モノフィラメントを用いて、織組織として平織を用い、織密度が経糸50本/cm、緯糸20本/cmとなるように織った。そして、経糸4本に1本の割合でフック状係合素子用モノフィラメントを経糸に平行に打ち込み、緯糸5本を浮沈したのちに経糸3本を跨ぐようにし、跨いだ箇所でループを形成するように基布上にループを形成した。
そして、緯糸100本分には地緯糸5本を浮沈したのちに地経糸3本を跨ぐようにし、跨いだ箇所でループを形成するように基布上にモノフィラメントによるループを形成し、それに続く地緯糸100本分は地経糸3本を跨がずモノフィラメントによるループを形成しない、すなわち緯糸100本分にはモノフィラメントによるループを有し、次の緯糸100本分はモノフィラメントによるループを有さない、そしてこのようにループを有する領域(I)とループを有しない領域(II)を経糸方向に交互に規則的に有する面ファスナーを織成した。
上記条件にて織成されたフック状係合素子が存在する面ファスナー用織物を、緯糸の鞘成分のみが熱溶融し、なおかつ、経糸、フック係合素子用モノフィラメント糸、さらには緯糸の芯成分が熱溶融しない温度域、すなわち200℃で熱処理を施した。
その結果、緯糸は収縮するとともに鞘成分が溶融して近隣に存在する糸を融着させた。そして、基布は緯糸方向に9%収縮した。このようにして得られた織物を冷却させたのち、フック状係合素子用ループの片脚部を切断してフック状係合素子を形成した。
得られたフック状係合素子が存在する係合素子存在領域(I)のフック状係合素子密度は40個/cm2であり、さらにフック状係合素子の基布面からの高さは1.7mmであった。 そして、係合素子存在領域(I)と係合素子非存在領域(II)のそれぞれの経糸方向長さを測定したところ、係合素子存在領域(I)が5cmで、係合素子非存在領域(II)が5cmで、この繰り返しであった。そして、係合素子非存在領域(II)の表面に、厚さ0.30mmのスチレン−ブタジエンゴム系粘着剤を基材の両面に有し、片面を離型紙が覆っている粘着剤層の、離型紙で覆われた面と反対側の面を貼り付けた。
次にそれぞれの領域の経糸方向中間部で切断し、2.5cm幅の係合素子存在領域(1)の隣に2.5cm幅の係合素子非存在領域(II)が存在しており、両領域共に緯糸方向長さが2cmである取り付け材用面ファスナーを得た。
この面ファスナーでは、織物基布の表面に、フック状係合素子が存在している領域(I)と粘着剤層が存在している領域(II)が隣り合わせで存在しており、領域(I)の基布と領域(II)の基布の境界で織物基布を構成する少なくとも経糸または緯糸が連続しており、領域(II)では、フック状係合素子用糸が基布表面から浮き上がることなく基布内に織り込まれており、かつ領域(II)内ではフック状係合素子用糸は連続していた。そして、領域(II)では粘着剤層が基布面から浮き上がることなく強固に貼り付いていた。
次に、この取り付け材用面ファスナー5枚を5cmの間隔をあけて、インストルメントパネルの人目に付かない部分に取り付けたプラスチック製の筐体に、領域(I)がはみ出しているように該面ファスナーの領域(II)をその粘着剤により仮固定した。この際、粘着剤の剥離が生じないかを確認するために、5回、粘着・剥離を繰り返したが、粘着剤は領域(II)の表面から剥離することはなかった。
次に、粘着剤により領域(II)を筐体に仮固定した状態で領域(II)の基布および粘着剤層を貫通して筐体に針が届くようにステープラ針を基布の裏面側から打ち込むことにより筐体に取り付け材を固定した。そして、領域(I)に床材のフロアマットの裏面を重ね合わせて、領域(I)のフック状係合素子と床材の裏面に存在している繊維やループ状毛羽を係合させることによりインストルメントパネルに床材を取り付けた。
取り付けられた床材を強く引っ張ったが、面ファスナー部が裂断や裂けめを生じることはなかった。さらに、離型紙を剥がして筐体に貼り付ける際や仮固定を剥がす際にも、領域(II)の基布は腰があり、曲がったりすることがなく、自己粘着により作業性が低下することもなかった。
実施例2
取り付け材用の面ファスナーとして、実施例1で使用した経糸、緯糸およびフック状係合素子用モノフィラメントと同一の糸を用い、織組織として平織を用い、織密度が経糸50本/cm、緯糸20本/cmとなるように織った。そして、両端の経糸120本の部分には経糸4本に1本の割合でフック状係合素子用モノフィラメントを経糸に平行に打ち込み、緯糸5本を浮沈したのちに経糸3本を跨ぐようにし、跨いだ箇所でループを形成するように基布上にループを形成し、中間部の経糸250本の部分にはフック状係合素子用モノフィラメントを打ち込むことなく平坦な平織を織った。
このようにして、フック状係合素子用ループを有する領域(I)を両端部に、そしてフック状係合素子用モノフィラメントを打ち込んでいない領域(II)を中間部に有する面ファスナーを織成した。
この面ファスナーを実施例1と同様に熱処理した後、フック状係合素子用ループの片脚を切断してフック状係合素子とした。得られたフック状係合素子が存在する織物製面ファスナーの係合素子存在領域(I)のフック状係合素子密度は40個/cm2であり、さらにフック状係合素子の基布面からの高さは1.7mmであった。
そして、係合素子存在領域(I)と係合素子非存在領域(II)のそれぞれの幅方向長さを測定したところ、両端に約2,4cm幅の係合素子存在領域(I)が存在して、その中間部に約5.0cm幅の係合素子非存在領域(II)が存在するものであった。
そして、係合素子非存在領域(II)の表面に、厚さ0.30mmのスチレン−ブタジエンゴム系粘着剤を基材の両面に有し、片面を離型紙で覆った、粘着剤層の離型紙で覆われた面と反対側の面を貼り付けた。
次に領域(II)の幅方向中間部で切断し、2.4cm幅の係合素子存在領域(1)の隣に2.5cm幅の係合素子非存在領域(II)が存在しており、経糸方向長さが2cmである取り付け材用面ファスナーを得た。
この面ファスナーでは、織物基布の表面に、フック状係合素子が存在している領域(I)と粘着剤層が存在している領域(II)が隣り合わせで存在しており、領域(I)の基布と領域(II)の基布の境界で織物基布を構成する少なくとも経糸または緯糸が連続しており、領域(II)では、フック状係合素子用糸が存在していない。
次に、この取り付け材用面ファスナー5枚を用いて、実施例1と同様に、インストルメントパネルに取り付けたプラスチック製の筐体に同シートの粘着剤により仮固定した。この際、粘着剤の剥離が生じないかを確認するために、5回、粘着・剥離を繰り返したが、粘着剤は領域(II)の表面から剥離することがなかった。
次に、実施例1と同様に、粘着剤により領域(II)を筐体に仮固定した状態で領域(II)の基布および粘着剤層を貫通して筐体に針が届くようにステープラ針を基布の裏面側から打ち込むことにより筐体に取り付け材を固定した。そして、領域(I)に床材のフロアマットの裏面を重ね合わせて、領域(I)のフック状係合素子と床材の裏面に存在している繊維やループ状毛羽を係合させることによりインストルメントパネルに床材を取り付けた。
取り付けられた床材を引っ張ったが、面ファスナー部が裂断や裂けめを生じることはなかった。さらに、離型紙を剥がして筐体に貼り付けす際には、領域(II)の基布は、実施例1のものと比べると腰が弱く、剥離・仮固定を繰り返すうちに自己粘着を生じ、作業性が低下したものが5回の剥離・仮固定で0.4枚の割合で発生した。
比較例1
幅10cm長さ2cmのフック面ファスナーであって、その表面全面にフック状係合素子が存在しており、それを構成する経糸、緯糸およびフック状係合素子用モノフィラメントは実施例1と同一であり、実施例1と同様の方法で全面にフック状係合素子を有する面ファスナーを作製した。その係合素子密度、係合素子高さ等は実施例1の領域(I)と同一値である。
この面ファスナーの幅方向中間部5cmの範囲内に存在しているフック状係合素子をバリカンで脚元から刈り取り、係合素子を有しない中間部とした。そして、この中間部に実施例2と同様に粘着剤層を貼り付け、そして実施例2と同様のサイズに切断して、取り付け材用面ファスナーを得た。この取り付け材用面ファスナーでは、領域(II)内ではフック状係合素子用糸は当然のことながら連続していない。また粘着剤層は、領域(II)の表面に存在しているフック状係合素子の切り株により基布表面から一部浮き上がった状態となっていた。
次に、この取り付け材用面ファスナー5枚を用いて、実施例1と同様に、インストルメントパネルに取り付けたプラスチック製の筐体に同シートの粘着剤により仮固定した。そして、仮固定を剥離したところ、半数以上の取り付け材で粘着剤が領域(II)の表面から一部剥離したものが見られた。
I:領域(I)
II:領域(II)
3:フック状係合素子
4:インストルメントパネル
5:ステープラ針
6:フロアマット

Claims (4)

  1. 車のインストルメントパネルに床材を取り付ける方法において、取り付け材として以下の面ファスナー(A)を使用し、取り付け方法として以下の工程(B−1)、(B−2)および(B−3)をこの順序で行うことを特徴とする床材取り付け方法。
    (A)織物基布の表面に、フック状係合素子が存在している領域(I)と粘着剤層が存在している領域(II)が隣り合わせで存在しており、領域(I)の基布と領域(II)の基布の境界で織物基布を構成する少なくとも経糸または緯糸が連続しており、領域(II)では、フック状係合素子用糸が存在していないか、存在している場合にはフック状係合素子用糸が基布表面から浮き上がることなく基布内に織り込まれており、かつ領域(II)内ではフック状係合素子用糸は連続している面ファスナー
    (B−1)まずインストルメントパネルから取り付け材の領域(I)がはみ出しているように、インストルメントパネルに取り付け材の領域(II)を貼り合わせる工程
    (B−2)その状態で領域(II)の基布および粘着剤層を貫通してインストルメントパネルに針が届くようにステープラ針を基布の裏面側から打ち込むことによりインストルメントパネルに取り付け材を固定する工程
    (B−3)しかる後に領域(I)に床材の裏面を重ね合わせて、領域(I)のフック状係合素子と床材の裏面に存在している繊維を係合させることによりインストルメントパネルに床材を取り付ける工程
  2. インストルメントパネルに床材が取り付けられており、取り付け材として請求項1に記載の面ファスナー(A)が使用され、取り付け部が、インストルメントパネルから取り付け材の領域(I)がはみ出すように、インストルメントパネルに上記取り付け材の領域(II)が貼り合わされており、そして領域(II)の基布および粘着剤層を貫通してインストルメントパネルに針が届くようにステープラ針が打ち込まれており、さらに領域(I)に床材の裏面が重ね合わされ、領域(I)のフック状係合素子と床材の裏面に存在している繊維が係合していることを特徴とする、床材が取り付けられたインストルメントパネルからなる車両内装材。
  3. 織物基布の表面に、フック状係合素子が存在している領域(I)と粘着剤層が存在している領域(II)が隣り合わせで存在しており、領域(I)の基布と領域(II)の基布は両領域の境界で織物基布を構成する少なくとも経糸または緯糸が連続しており、領域(II)では、フック状係合素子用糸が基布表面から浮き上がることなく基布内に織り込まれており、かつ領域(II)内ではフック状係合素子用糸は連続している面ファスナー。
  4. 織物を構成する経糸、緯糸およびフック状係合素子用糸が、ともにポリエステル系の繊維からなり、かつ緯糸が、鞘成分が低融点のポリエステル系樹脂からなる芯鞘型の複合ポリエステル系繊維であって、同芯鞘型の複合ポリエステル系繊維により、フック状係合素子用糸が基布に固定されている請求項3に記載の面ファスナー。
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