JP2018100426A - 金属造粒粒子の製造方法 - Google Patents

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義紀 渋谷
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康保 積田
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俊哉 川崎
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Abstract

【課題】静電容量が大きい電解コンデンサ素子を製造できる金属造粒粒子の製造方法を提供する。【解決手段】水素化金属の一次粒子と、平均一次粒径の互いに異なる複数の空孔形成材とをスラリー状態で混合する混合工程と、前記混合工程で得た混合スラリーを造粒熱処理する造粒熱処理工程と、造粒熱処理された造粒熱処理物を解砕して空孔形成材含有金属造粒粒子を得る解砕工程と、前記空孔形成材含有金属造粒粒子から空孔形成材を除去して金属造粒粒子を得る空孔形成材除去工程とを有する金属造粒粒子の製造方法であり、前記平均一次粒径の互いに異なる複数の空孔形成材が、間隙空孔形成材と、該間隙空孔形成材の平均一次粒径に比して25〜35倍の平均一次粒径を有する球状の空洞空孔形成材とを含み、かつ得られる金属造粒粒子が空孔を有することを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、金属造粒粒子の製造方法に関する。より詳細には、電解コンデンサ用金属造粒粒子の製造方法に関する。
市販の電解コンデンサの陽極体には、タンタルが用いられているものがある。タンタル粉末を焼結して得た多孔質の焼結体を陽極体とし、該陽極体表面に化成被膜を形成して得た化成済み陽極体を含むタンタル電解コンデンサとして用いる。
タンタルの同族元素に物理化学的性質が類似しているニオブがある。ニオブはタンタルに比べて資源が豊富で安価であり、密度と酸化物の比誘電率との兼ね合いと物性値の類似性から、タンタル電解コンデンサに替わるニオブ電解コンデンサの研究開発が進められてきた。
近年の携帯電話、コンピュータ等の電子機器の小型化に伴い、内蔵する電子部品も小型化が必須になり、タンタル電解コンデンサも静電容量を大容量化することで小型化が進んでいる。ニオブ電解コンデンサについても同様に大容量化が求められる。通常、タンタルやニオブの電解コンデンサの静電容量は、製造に用いる金属粉末の一次粒子の比表面積を増大させることで大容量化が図れる。
金属粉末の一次粒子の比表面積を増大させる基本的な方向性は、用いる金属粉末の一次粒子を小さくすることである。しかし単純にひたすら小さくしていくと、一次粒子を造粒して金属造粒粒子を形成したとき一次粒子どうしの結着部分が細くなる。そうすると、その金属造粒粒子を用いて製造された陽極体の表面に電解化成により化成被膜を形成した際に、一次粒子どうしの結着部分が不導体の金属酸化物となってしまって導通が途切れるおそれがある。そうすると化成済み陽極体のうち陽極として機能する部分が減少してしまい、かえって電解コンデンサの静電容量が減少してしまう。
大容量化のための異なる方向性としては、陰極層の被覆率の増加がある。電解コンデンサの静電容量は、化成済み陽極体の表面に対し陰極層で被覆することで出現する。化成済み陽極体の化成被膜のうち陰極層で被覆されていない面積を減らして、陰極層の被覆率が増加すると静電容量が増加する。
また、電解コンデンサの静電容量の計測として、ウェット容量とソリッド容量という考え方がある。電解化成により化成被膜を形成した時点で化成済み陽極体に対して電解液を用いて測定する静電容量がウェット容量であり、製造工程が進んで化成済み陽極体上に陰極層を形成した時点で陰極層を用いて測定する静電容量がソリッド容量である。ウェット容量でソリッド容量を除して100倍して、容量出現率(%)が求められる。容量出現率は通常80%程度である。ソリッド容量がウェット容量に比べて小さくなる理由は次のように考えられる。ウェット容量の計測の時点では陰極はまだ形成されておらず、多孔質な化成済み陽極体のほぼすべての化成被膜表面に対して、電解液が接触して陰極として機能する。一方でソリッド容量の計測の時点では、陰極からなる陰極層が形成されている。陰極層の形成において陰極層形成用の陰極剤は、多孔質な化成済み陽極体の空孔を侵入経路として化成済み陽極体の内部に浸入する。すべての化成被膜表面に対して、陰極が接触して陰極層が形成されれば、ソリッド容量がウェット容量に劣ることはない。しかしながら実際には、陰極が侵入経路の途中で形成されて侵入経路を閉塞してしまう箇所が生じる。閉塞した地点より内側の空孔に面している化成被膜の表面には陰極が形成されない。すると、陰極が形成されず陰極層で被覆されていない化成被膜は静電容量として寄与しなくなる。その結果、ソリッド容量は、ウェット容量に比べて小さくなる。つまり、容量出現率は、陰極層の被覆率と相関がある。
したがって、静電容量の大きな電解コンデンサ製品を得るべく陰極層の被覆率を増加させるためには、陰極剤が浸入できる侵入経路となり、陰極が侵入経路の途中で形成されて侵入経路を閉塞してしまうことの起こりにくい形状と十分な大きさの空孔を有する化成済み陽極体が求められる。
ここで、電解コンデンサの製造に用いる金属粉末を構成する金属造粒粒子として、陰極剤が浸入できる侵入経路として好適な形状と大きさの空孔を有する金属造粒粒子が製造できたとする。この金属造粒粒子を用いて電解コンデンサを製造するとき、成形体の作製の際に成形の圧縮により金属造粒粒子が有する空孔が消滅してしまうと、陰極剤が浸入できる侵入経路として好適な形状と大きさの空孔は、化成済み陽極体には引き継がれない。つまり、空孔を有する金属造粒粒子を製造して、電解コンデンサの製造に用いるのであれば、金属造粒粒子が有する空孔には成形時の圧縮により消滅しないことが求められる。
金属造粒粒子の成形時の圧縮により空孔が消滅しないように、金属造粒粒子が有する空孔の形状と大きさを改良できると、電解コンデンサの静電容量の大容量化につながるといえる。
特許文献1には、一次粒子と二次粒子の大きさの範囲を定めたタンタル金属粉末が記載されている。電子顕微鏡写真においてタンタル金属粉末の空孔の形状は不定形であり、金属粒子の空孔の形状や大きさについて具体的な言及はない。
特許文献2には、前駆物質の製造、酸化物変換、熱処理および還元を順次行うバルブ金属粉末の製造方法が記載されている。電子顕微鏡写真においてバルブ金属粉末の金属一次粒子間に隙間が確認できるが、金属粉末粒子の空孔の形状や大きさについて具体的な言及はない。
特許文献3には、タンタルおよびニオブの金属粒子を球状に造粒する方法が記載されている。電子顕微鏡写真において金属造粒粒子の外観形状は確認できるが、金属粒子の空孔の形状や大きさについて具体的な言及はない。
特許文献4には、タンタル金属粉末を熱処理する方法が記載されている。電子顕微鏡写真金属において一次粒子とその凝集体が確認できるが、金属粉末粒子の空孔の形状や大きさについて具体的な言及はない。
特許文献5には、0.01〜500μmの範囲内に細孔直径ピークトップを有するニオブ金属粉が記載されているが、金属粒子の空孔の形状や大きさについて具体的な言及はない。また、特許文献1〜5のいずれにおいても、成形時の圧縮により空孔が消滅しないような金属粉末粒子の製造方法の示唆はない。
特表2001−512531号公報 特開2003−277811号公報 特表2009−510260号公報 特開2014−15683号公報 特開2003−213302号公報
本発明は、成形時の圧縮により消滅しない空孔を有する金属造粒粒子の製造方法を提供する。
本発明者らは鋭意研究した結果、水素化金属の一次粒子と平均一次粒径の互いに異なる複数の空孔形成材とをスラリー状態で混合する混合工程と、前記混合工程で得た混合スラリーを造粒熱処理する造粒熱処理工程と、前記造粒熱処理工程で得た造粒熱処理物を解砕して空孔形成材含有金属造粒粒子を得る解砕工程と、前記解砕工程で得た空孔形成材含有金属造粒粒子から空孔形成材を除去して金属造粒粒子を得る空孔形成材除去工程とを有する金属造粒粒子の製造方法であり、前記平均一次粒径の互いに異なる複数の空孔形成材が、間隙空孔形成材と該間隙空孔形成材の平均一次粒径に比して25〜35倍の平均一次粒径を有する球状の空洞空孔形成材とを含むことによって、得られる金属造粒粒子は空孔を有し、この空孔は成形の圧縮により消滅せず、金属造粒粒子からなる金属造粒粉末を電解コンデンサの製造に用いると、化成済み陽極体の陰極層の被覆率が向上し、静電容量の大きい電解コンデンサ素子を製造できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下の金属造粒粒子の製造方法に関する。
[1] 水素化金属の一次粒子と、平均一次粒径の互いに異なる複数の空孔形成材とをスラリー状態で混合する混合工程と、
前記混合工程で得た混合スラリーを造粒熱処理する造粒熱処理工程と、
前記造粒熱処理工程で得た造粒熱処理物を解砕して空孔形成材含有金属造粒粒子を得る解砕工程と、
前記解砕工程で得た空孔形成材含有金属造粒粒子から空孔形成材を除去して金属造粒粒子を得る空孔形成材除去工程とを有し、
前記平均一次粒径の互いに異なる複数の空孔形成材が、
間隙空孔形成材と、該間隙空孔形成材の平均一次粒径に比して25〜35倍の平均一次粒径を有する球状の空洞空孔形成材とを含み、
かつ得られる金属造粒粒子が空孔を有することを特徴とする金属造粒粒子の製造方法。
[2] 前記混合工程において、
平均一次粒径が前記空洞空孔形成材の平均一次粒径と前記間隙空孔形成材の平均一次粒径との間にある第3の空孔形成材をさらに加え、
前記第3の空孔形成材の添加量が、前記水素化金属の一次粒子のうち金属純分100質量部に対して20質量部以下であり、かつ前記空洞空孔形成材の添加量よりも多いことを特徴とする[1]に記載の金属造粒粒子の製造方法。
[3] 前記間隙空孔形成材および/または前記空洞空孔形成材が、アルカリ土類金属の化合物を含むことを特徴とする[1]または[2]に記載の金属造粒粒子の製造方法。
[4] 前記アルカリ土類金属の化合物が、酸化カルシウム、酸化マグネシウムおよび水酸化マグネシウムからなる群から選ばれるいずれか1種以上であることを特徴とする[3]に記載の金属造粒粒子の製造方法。
[5] 前記水素化金属の金属元素が、ニオブおよびタンタルからなる群から選ばれる1種以上の元素である[1]〜[4]のいずれかに記載の金属造粒粒子の製造方法。
[6] 前記金属造粒粒子の平均一次粒径が100〜200μmである[1]〜[5]のいずれかに記載の金属造粒粒子の製造方法。
[7] 前記空洞空孔形成材の平均一次粒径が10〜35μmである[1]〜[6]のいずれかに記載の金属造粒粒子の製造方法。
[8] 前記水素化金属の一次粒子の平均一次粒径が0.2〜0.7μmである[1]〜[7]のいずれかに記載の金属造粒粒子の製造方法。
[9] 前記間隙空孔形成材の平均一次粒径が、前記水素化金属の一次粒子の平均一次粒径に比して1.0〜1.5倍であることを特徴とする[1]〜[8]に記載の金属造粒粒子の製造方法。
[10] 前記間隙空孔形成材の平均一次粒径が0.4〜1.0μmである[1]〜[9]のいずれかに記載の金属造粒粒子の製造方法。
[11] 前記第3の空孔形成材の平均一次粒径が1.0〜10μmである[2]〜[10]のいずれかに記載の金属造粒粒子の製造方法。
[12] 前記水素化金属の一次粒子のうち金属純分100質量部に対して、前記複数の空孔形成材の添加量がそれぞれ、間隙空孔形成材が5〜25質量部、空洞空孔形成材が3〜25質量部、および第3の空孔形成材の総量が0〜25質量部である[1]〜[11]のいずれかに記載の金属造粒粒子の製造方法。
[13] 前記第3の空孔形成材が、アルカリ土類金属の化合物を含むことを特徴とする[2]〜[11]のいずれかに記載の金属造粒粒子の製造方法。
[14] 前記アルカリ土類金属の化合物が、酸化カルシウム、酸化マグネシウムおよび水酸化マグネシウムからなる群から選ばれるいずれか1種以上であることを特徴とする[13]に記載の金属造粒粒子の製造方法。
本発明の製造方法により得られる金属造粒粒子からなる金属造粒粉末を用いて化成済み陽極体を作製すると、金属造粒粒子が有する空孔は成形時の圧縮により消滅せず、十分な空孔を有する化成済み陽極体が得られ、陰極層の被覆率が著しく向上し、静電容量の大きい電解コンデンサ素子を得ることができる。
本発明の金属造粒粒子の製造方法は、水素化金属の一次粒子と、平均一次粒径の互いに異なる複数の空孔形成材とをスラリー状態で混合する混合工程と、前記混合工程で得た混合スラリーを造粒熱処理する造粒熱処理工程と、造粒熱処理された造粒熱処理物を解砕して空孔形成材含有金属造粒粒子を得る解砕工程と、前記空孔形成材含有金属造粒粒子から空孔形成材を除去して金属造粒粒子を得る空孔形成材除去工程とを有する。以下、金属ニオブ造粒粒子を得る場合を主として詳細に説明する。
(水素化金属の一次粒子)
本願発明の製造方法では、金属ニオブ造粒粒子を得る場合には、原料として水素化ニオブの一次粒子を用いる。以下、水素化ニオブの一次粒子を製造する方法を説明する。以下の説明に限らず公知の方法を適宜組合せて用いて水素化金属の一次粒子を製造することができる。
水素化ニオブは、ニオブインゴットを水素ガス雰囲気下で加熱することで水素吸蔵させて水素化ニオブインゴットとして得ることができる。他にも、ニオブフッ化物を金属ナトリウムで還元して得られる金属ニオブ粉を、フッ酸を含む酸で洗浄することにより水素化して得られる水素化ニオブ粉を用いてもよい。ニオブ酸化物を金属マグネシウムで還元してマグネシウム残留物を除去して得られる金属ニオブに、さらにフッ酸を含む酸で洗浄することにより水素化して得られる水素化ニオブも用いることができる。水素化するニオブの粉等の原材料は限定されない。金属タンタル造粒粒子を得る場合は、ニオブ元素をタンタル元素の材料に置き換えて同様に行うことができる。
水素化ニオブ中の水素原子含有量は、物質的に通常作製できる上限がおよそ1.0質量%であり、本願発明の製造方法で用いる水素化ニオブ材料中の水素原子含有量は、0.4〜1.0質量%の範囲であり、0.7〜1.0質量%の範囲であることが好ましい。水素原子含有量がこれらの範囲より小さいと、水素化ニオブの脆性が小さく展延性があり、次の粉砕処理において水素化ニオブの一次粒子が十分微細化されずに扁平化しやすい。扁平化した形状の水素化ニオブ一次粒子は造粒が難しい。
前述のように用意した水素化ニオブインゴット等の水素化ニオブ材料をインパクトミル等を用いて粉砕して、水素化ニオブの粗粉を得る。水素化ニオブ粗粉のさらなる粉砕は、得る水素化ニオブの一次粒子の表面が大気により過剰に自然酸化されないよう湿式で行うのが望ましい。湿式粉砕には攪拌ボールミル法が簡便であり、例えばアトリッションボールミル、ビーズミルを用いる方法が好適に使用できる。
前記湿式粉砕において用いる分散媒としては、水、有機溶剤、液化ガスなどが使用できる。取り扱いが容易で原材料等との反応性がない水を使用するのが好ましい。
水素化ニオブ粗粉の粉砕において、例えばビーズミルを使用する場合、用いるビーズサイズについて水素化ニオブ粗粉の一次粒子の平均一次粒径との関係で考慮が必要である。水素化ニオブ粗粉の一次粒子の平均一次粒径が1mmを超えると、粉砕するためのビーズ直径が大きくなり、ミルポット内のデッドスペースが増加して粉砕の効率が下がる。よって、装置に固有の推奨される範囲の大きさの水素化ニオブ粗粉の一次粒子やビーズを選択することが好ましい。異なるビーズサイズを用いる粉砕装置を多段階に組み合わせて粉砕するとさらに効率がよくなるので好ましい。
ビーズミルのビーズの充填量は、ミルポットの内容積の60〜90体積%の範囲に収めることが好ましい。60体積%未満ではビーズと水素化ニオブ粗粉の一次粒子の衝突回数が少なく粉砕の効率が劣り、90体積%を超えると衝突回数が多く過負荷となり装置が停止するおそれがある。
水素化ニオブ粗粉の粉砕の段階で、メカニカルアロイングにより水素化ニオブ合金を作製することもできる。合金成分を含む添加材料としては、分散媒と反応せず、ビーズミル本体やビーズの材質より硬度が小さく、ビーズ直径よりも粒径が小さく、得る水素化ニオブの一次粒子の平均一次粒径と同等以下であることが好ましい。合金成分を含む添加材料としては、固体の単体元素、酸化物、窒化物、硫化物、ホウ化物、無機塩、有機塩などが挙げられる。合金成分を含む添加材料を水素化ニオブ粗粉と同時に湿式粉砕することでメカニカルアロイングされ、所望の水素化ニオブ合金が作製される。
水素化ニオブ粗粉の粉砕は、水素化ニオブの一次粒子の平均一次粒径があらかじめ希望する平均一次粒径に到達したところを終点とする。粉砕時間と得られる水素化ニオブの一次粒子の平均一次粒径との間には指数関数的な相関があるので、粉砕中に一定時間ごとに試料を採取して平均一次粒径D50値を求めると、希望する平均一次粒径に到達する粉砕時間が概算できる。
水素化ニオブの一次粒子の平均一次粒径は、得られる金属ニオブ造粒粉末の静電容量に大きく影響する粒径範囲がある。本願の製造方法において作製する金属造粒粉末の平均一次粒径がその粒径範囲に当たり、水素化ニオブの一次粒子の平均一次粒径は1.0μm以下であり、0.2〜0.7μmであることが好ましい。例えば水素化ニオブの一次粒子の平均一次粒径が0.5μmであるとき、得られる金属造粒粉末の静電容量が約150,000μFV/g程度となるという相関があるので、所望の金属造粒粉末の静電容量に合わせて粉砕終点とする平均一次粒径を決めるとよい。
粉砕が終了した水素化ニオブはスラリー中に凝集せず一次粒子として存在するが、このまま分散媒を除去すると一次粒子が凝集する。そこでスラリーの状態で空孔形成材を加える。
(平均一次粒径)
平均一次粒径を計測する簡便な方法としてレーザー回折式粒度分布計を用いる方法がある。本願の製造方法で用いる水素化金属の一次粒子、空孔形成材及び得られる金属造粒粒子の平均一次粒径は、粒度分布をレーザー回折散乱法で測定し、その累積体積%が50体積%に相当する粒径値(D50;μm)を平均一次粒径とする。なお、この方法では通常二次粒子の粒径が測定されるが、本願の製造方法で得られる金属造粒粒子は分散性が良く、二次粒子はほぼ形成されない。よって、この測定装置で測定される金属造粒粒子の平均粒径はほぼ平均一次粒径とみなせる。
(混合工程)
本願の製造方法においては、水素化金属の一次粒子と、平均一次粒径の互いに異なる複数の空孔形成材とをスラリー状態で混合する。
(空孔形成材)
空孔形成材を構成する物質は、スラリー組成物と反応性がないとともに、スラリーに直接添加でき、焼結体形成後に容易に除去できる物質であることが好ましい。空孔形成材を構成する物質としては、アルカリ土類金属の化合物を含むことが好ましく、酸化物、水酸化物、無機塩などのアルカリ土類金属の化合物が挙げられる。さらに、次の造粒熱処理工程において蒸散しない程度に融点が十分高いことが必要である。焼結体形成後に酸などで除去することが容易な点からアルカリ土類金属の酸化物または水酸化物が好ましい。ただし、アルカリ土類金属の酸化物生成の標準自由エネルギーは、合金成分元素の酸化物生成の標準自由エネルギーよりも十分に小さいことが必要である。空孔形成材を構成する物質として、酸化カルシウム、酸化マグネシウムおよび水酸化マグネシウムがより好ましい。
用いる空孔形成材の平均一次粒径が小さいと、得られる金属造粒粒子からなる金属造粒粉末のかさ密度が大きくなり、得られる電解コンデンサの静電容量が向上する傾向がある。用いる空孔形成材の平均一次粒径が大きいと、得られる金属造粒粒子からなる金属造粒粉末の粉体強度が増す傾向がある。
水素化金属の一次粒子を含むスラリーに混合する空孔形成材の混合量は、得られる金属造粒粒子中の空孔の占有率で調整することが望ましい。水素化ニオブの一次粒子を単一粒径の球と仮定した場合、最密充填状態での空隙率は26体積%となる。仮に金属造粒粉末内の空孔も含めた空隙率が、空隙も含めた100体積%のうち50体積%程度必要とすると、前述の空隙を差し引いた充填部74体積%のうち24体積%を空孔とする必要がある。例えば原材料を水素化ニオブとし、空孔形成材として酸化カルシウムを用いるとすると、24体積%の水素化ニオブを置き換えるための同体積の酸化カルシウムは、水素化ニオブの一次粒子のうち金属純分100質量部に対して約14質量部となる。実際には粒子は塊状であって粒度分布を有することにより最密充填していないので、この数値は参考として予備実験の結果から決定することが望ましい。
空孔形成材の平均一次粒径は、造粒熱処理の際の水素化金属の一次粒子どうしの結着に影響する。空孔形成材の平均一次粒径が水素化金属の一次粒子よりも極端に小さいと、水素化金属の一次粒子の表面を空孔形成材が被覆してしまい、造粒熱処理の際の水素化金属の一次粒子どうしの結着によるネットワーク形成に不利になるおそれがあり好ましくない。したがって、空孔形成材の平均一次粒径は、水素化金属の一次粒子の平均一次粒径と得る金属造粒粒子の空孔の大きさに対してそれぞれ好適な大きさを選定することが重要になる。
空孔形成材には、本願発明の製造方法で用いる水素化金属の一次粒子と合金を形成せず、電解コンデンサ特性に影響を与えない範囲で不純物を含んでいてもよい。
(平均一次粒径の互いに異なる複数の空孔形成材)
本願発明の製造方法においては、水素化金属の一次粒子とスラリー状態で混合する工程において混合する空孔形成材として、平均一次粒径の互いに異なる複数の空孔形成材を混合する。この複数の空孔形成材としては、水素化金属の一次粒子の平均一次粒径と同程度の平均一次粒径の空孔形成材と、この空孔形成材の平均一次粒径に比して25〜35倍の平均一次粒径の空孔形成材との少なくとも2種の空孔形成材を混合する。これらの複数の空孔形成材を用いて金属造粒粒子を作製すると、金属造粒粒子中の結着している金属一次粒子間の間隙として存在する、金属一次粒子の平均一次粒径と同程度の大きさの空孔(以下、間隙空孔ともいう。)と、金属造粒粒子を形成する結着している数百の金属一次粒子の平均一次粒径より格段に大きな空洞として金属造粒粒子内に存在する空孔(以下、空洞空孔ともいう。)とが共存する状態の金属造粒粒子が得られる。以下、前述の間隙空孔の形成に寄与する空孔形成材を間隙空孔形成材というものとし、前述の空洞空孔の形成に寄与する空孔形成材を空洞空孔形成材というものとする。
(間隙空孔形成材)
混合工程において混合する間隙空孔形成材としては、水素化金属の一次粒子と同程度の平均一次粒径の空孔形成材を混合する。同程度の平均一次粒径であることから、水素化金属の一次粒子どうしの間に間隙空孔形成材が任意に配置されるので、造粒熱処理によるネットワーク形成の際に水素化金属の一次粒子どうしが結着する部分と、空孔形成材が間に入ってその並びが遮断される部分(得られる金属造粒粒子において、間隙空孔となる)が形成される。間隙空孔形成材として、具体的には0.4〜1.0μmの平均一次粒径の空孔形成材を用いる。間隙空孔形成材の平均一次粒径は、前述の水素化金属の一次粒径の平均一次粒径に比して1.0〜1.5倍であることがより好ましい。このような間隙空孔形成材としては平均一次粒径0.7μmの酸化マグネシウムなどの市販のものが使用できる。
(空洞空孔形成材)
混合工程において混合する空洞空孔形成材としては、球状の粒子形状を有し、前述の間隙空孔形成材の平均一次粒径に比して25〜35倍の平均一次粒径の空孔形成材を混合する。具体的には10〜35μmの平均一次粒径の空洞空孔形成材を用いる。このような空洞空孔形成材としては平均一次粒径20μmの酸化マグネシウムなどの市販のものが使用できる。ここで「球状」とは、ボールのように丸い形であり、表面に鋭い突起や角がなく、粒子全体を見たとき形状が丸く、丸と認識できなくする大きな凹凸、稜線および平面が確認されないものをいう。
本発明の製造方法によって得られる金属造粒粒子からなる金属造粒粉末を用いて成形体を作製すると、前述した空洞空孔由来の空洞が成形時の圧縮において消滅することなく存在する。金属造粒粒子が有する空洞空孔は球状の凹部である。金属造粒粒子が有する空洞空孔が球状であるのは、金属造粒粒子の製造において用いた空洞空孔形成材が球状であることに由来する。金属造粒粒子が有する空洞空孔は球状の凹部であるため、成形する際につぶれにくい。この成形体を用いて作製された焼結体や化成済み陽極体内部にも空洞空孔由来の空洞が存在し、陰極剤浸入時には、この空洞を経由して十分陽極体内部まで陰極剤が効率的に浸入できる。陰極剤含浸工程では、陰極剤を複数回浸入させるので、なお効果的である。
後述する金属造粒粒子の作製過程の中で造粒熱処理後で空孔形成材除去前の解砕の際に、粒子部材の造粒熱処理物が割れることがあり、断面に空孔形成材が露出した状態で割れたものを見つけることができる。同様に、作製された金属造粒粒子にも、割れた断面をもつ粒子を見つけることができる。電子顕微鏡で観察すると、空洞空孔形成用の球状の空孔形成材の大きさ及び形状と、空孔形成材が除去された金属造粒粒子の断面には前述した球状の凹部を有する空洞空孔の大きさ及び形状とがそれぞれ対応していることが確認できる。
(第3の空孔形成材)
金属造粒粒子をさらに高次構造の金属造粒粒子にすることも可能である。平均一次粒径が前記空洞空孔形成材の平均一次粒径と前記間隙空孔形成材の平均一次粒径との間にある第3の空孔形成材をさらに混合してもよい。第3の空孔形成材の平均一次粒径は、1〜10μmが好ましい。第3の空孔形成材の材質としては、前述のアルカリ土類金属の酸化物または水酸化物を用いることができる。このような空孔形成材には市販の平均一次粒径6μmの焼成酸化カルシウムや平均一次粒径4μmの酸化マグネシウムなどが使用できる。第3の空孔形成材は、互いに異なる平均一次粒径のものを複数用いてもよい。空孔形成材除去の工程が簡便になることから、間隙空孔形成材、空洞空孔形成材および必要に応じて加える第3の空孔形成材は、同一の物質で構成されることが好ましい。
前述した平均一次粒径の互いに異なる複数の空孔形成材の添加量は、水素化金属の一次粒子と混合した後の造粒のしやすさ、造粒熱処理後の造粒熱処理物を解砕する際の粒度調整のしやすさ、また得られる金属造粒粒子からなる粉末の粉体強度、かさ密度、流動性などの物性値の兼ね合いを勘案して決定する。特に金属造粒粉末のかさ密度は、金属造粒粉末の粉体強度と流動性に強く影響するので密に調整することが重要である。
平均一次粒径の互いに異なる複数の空孔形成材の添加量は、水素化金属として水素化ニオブを使用する場合、水素化ニオブの一次粒子のうち金属ニオブ純分100質量部に対して、複数の空孔形成材の添加量はそれぞれ、間隙空孔形成材が5〜25質量部、空洞空孔形成材が3〜25質量部、必要に応じて加える第3の空孔形成材が0〜25質量部であることが好ましい。間隙空孔形成材が5質量部より少ない場合には造粒熱処理の際に水素化金属の一次粒子どうしの結着が多くネットワーク形成が進み空隙率が下がってウェット容量が小さくなり、25質量部を超える場合には造粒熱処理の際にネットワーク形成が不足して粉体強度が小さくなる傾向にある。空洞空孔形成材が5質量部未満の場合には得られる金属造粒粒子中の空洞空孔が少なく陰極層の被覆率が下がってソリッド容量が小さくなる傾向にあり、25質量部を超える場合には造粒熱処理の際にネットワーク形成が不足して粉体強度が小さくなる場合がある。第3の空孔形成材が25質量部を超える場合には造粒熱処理の際にネットワーク形成が不足して粉体強度が小さくなる傾向にある。第3の空孔形成材の添加量は、水素化金属粒子のうち金属ニオブ純分100質量部に対して25質量部以下であり、かつ空洞空孔形成材の添加量よりも多いことが好ましい。複数の空孔形成材の添加量がこの範囲にあると、後述するように粉体強度と流動性のバランスの良いかさ密度の金属造粒粉末とすることができる。
水素化金属の一次粒子を含むスラリーと平均一次粒径の互いに異なる複数の空孔形成材との混合には、バッチ式のミキサーが使用できる。混合スラリー中の空孔形成材の分散が進んで固形分に対し相対的に溶媒が少なくなるとスラリーの粘性が上昇する。その状態で長時間撹拌を続けると粒子径の大きい空孔形成材自体が粉砕されるおそれがあるので、スラリーの濃度は投入時固形分濃度で55〜65質量%、混合撹拌時間はスラリー量にもよるが1〜5分/リットルの範囲にすることが好ましい。
(造粒熱処理工程)
混合工程で得られた混合スラリーは、造粒熱処理して造粒熱処理物を得る。造粒熱処理にあたっては、予め混合スラリーを50℃程度の減圧下において分散媒を除去するとともに乾燥造粒する乾燥造粒処理を行ってもよい。乾燥造粒を行うと、分散媒を除いた混合スラリー成分を含む直径数mm程度の乾燥造粒塊とすることができ、ハンドリングが容易になることから、乾燥造粒を行うことが好ましい。
造粒熱処理においては、減圧下またはアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で熱処理温度におくことにより、水素化金属の一次粒子が脱水素化されるとともに焼結される。造粒熱処理の温度は、500℃〜2000℃、好ましくは800℃〜1500℃、さらに好ましくは1000℃〜1300℃である。造粒熱処理は、前述の温度において400分〜800分保持する。造粒熱処理物の温度(以下、品温ともいう)が30℃以下になるまで減圧下またはアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で冷却放置する。冷却された造粒熱処理物に0.01〜10体積%、好ましくは、0.1〜1体積%の酸素を含む窒素ガスまたはアルゴンなどの不活性ガスを品温が30℃を越えないように徐々に加え、8時間以上放置する。酸素を含む不活性ガスの導入により、造粒熱処理物の表面に自然酸化被膜が形成される。放置後に取り出して造粒熱処理物を得る。造粒熱処理せずに得られる金属非造粒粒子は、粒子の形状が不定形となり流動性が劣る。造粒熱処理によって造粒されることで、得られる金属造粒粒子が丸みを帯びた形状となり流動性に富み、成形体を製造する成形工程においてダイス漏れやダイスかじりの可能性が小さくなる。
造粒熱処理に用いる装置としては、市販の真空炉や造粒機を組み合わせて用いることができる。
水素化金属の一次粒子の作製においてメカニカルアロイングを行っている場合には、造粒熱処理において行う水素化金属の一次粒子の脱水素化と併せて、合金成分と金属との合金化が促進される。合金化の促進とともに、金属一次粒子どうしのネットワーク形成が進むので、金属造粒粉末の強度が増加する。造粒熱処理を過度に行うと得られる金属造粒粒子からなる金属造粒粉末の比表面積が減少する。得られる金属造粒粉末の比表面積と金属造粒粉末の静電容量とは相関があるので、希望する電解コンデンサの静電容量を設定すると自ずと熱処理条件が決定される。
(解砕工程)
造粒熱処理により得られる造粒熱処理物は、塊状となるので適切な方法で粒子の形状に解砕して空孔形成材含有金属造粒粒子を得る。解砕操作に用いる解砕機にはロールグラニュレータ、ピンミル、スピードミルなどが使用できる。また必要とする範囲の粒度分布を持つ金属造粒粉末になるように篩と併用して粒度調整することもできる。またこのときに造粒熱処理物の破片が微粒子として混入しやすく、混入した微粒子は安息角や流動性など金属造粒粉末の特性に強く影響するので、特に微粒側の粒度調整を念入りに行うことが望ましい。こうして金属一次粒子が造粒されたうえで解砕され、空孔形成材が含有した状態の空孔形成材含有金属造粒粒子からなる粉末が得られる。
(空孔形成材除去工程)
解砕工程により得られた空孔形成材含有金属造粒粒子から空孔形成材を除去する。空孔形成材として無機塩のものを用いた場合は、水や酸等の適切な溶剤を用いて、酸化物のものを用いた場合は適切な酸、アルカリまたはキレート剤等を用いて除去する。除去に際し反応熱が発生する場合が多いので、熱による表面酸化が促進されないように空孔形成材除去の際の温度は室温程度に調整されることが望ましい。空孔形成材として複数種類用いた場合には、除去に用いる溶剤等と、複数種の空孔形成材を除去する順番を適切に選択する必要がある。
空孔形成材の除去に溶剤を用いた場合には、金属造粒粒子からなる金属造粒粉末から、除去に用いた溶剤を洗浄除去する。酸またはアルカリを用いた場合には、金属造粒粉末に水やエタノールなどをバッチ投入または連続投入して希釈洗浄して残る溶剤を傾斜法で取り除く。
洗浄した金属造粒粒子は、乾燥させる。金属造粒粒子の乾燥には、一般の真空乾燥機が制限なく使用できる。乾燥温度は、過剰な酸化防止のため洗浄に用いた水等が十分に蒸発するまでは50℃以下に抑えることが望ましい。水を用いた場合あらかじめエタノール等の水溶性有機溶媒で水を置換除去しておくと乾燥時間が短縮できる。乾燥の際に水等が完全に蒸発したことは、真空乾燥機内の圧力変化から知ることができるので、このとき以降に50℃から300℃程度に昇温することが望ましい。また、50℃を超えて昇温する際に、真空乾燥機内を窒素ガス雰囲気にして昇温すると金属造粒粒子表面を窒化することができ、酸化防止の効果がある。こうして得られた金属造粒粒子は、平均一次粒径が100〜200μmである。得られた金属造粒粒子は密閉系で冷暗所で保管することが好ましい。
(金属造粒粉末のかさ密度)
得られる金属造粒粒子からなる金属造粒粉末のかさ密度は、金属造粒粉末の流動性と、金属造粒粉末を用いて製造される焼結体の強度に影響する。かさ密度が小さいと焼結体の強度が大きくなるが、金属造粒粉末の流動性が小さくなる。焼結体の強度が大きい方が好ましいが、金属造粒粉末の流動性が格段に小さい場合、成形の際に成型機において金属造粒粉末が金型に流れ落ちにくく得られる焼結体の重量のばらつきが大きくなる傾向がある。金属ニオブ造粒粉末の場合、かさ密度の下限は0.8g/cmである。かさ密度がこの数値以下の場合、実際には造粒粒子になっていない。焼結体の強度との兼ね合いから、金属造粒粉末のかさ密度は、0.9〜1.2g/cmの範囲とすることが好ましい。より好ましくは、0.9〜1.1g/cmの範囲である。
(焼結体強度)
金属造粒粒子を成形して、成形体を得、成形体を焼結して焼結体を得る。焼結体強度は、金属一次粒子が密にネットワーク形成されているほど強度は増す。焼結体強度は、50N/mm〜150N/mmの範囲が好ましく、80N/mm〜150N/mmの範囲がより好ましい。焼結体強度が50N/mm以上であると、電解コンデンサ素子を封止する樹脂封止の工程において、金型へ溶融樹脂を流し込む際の圧力に電解コンデンサ素子が耐えることができる。焼結体強度が150N/mmを超えたものは、焼結が進みすぎた状態であり、得られる電解コンデンサ素子の静電容量が小さくなってしまう。
本発明により得られる金属造粒粒子からなる金属造粒粉末は、通常の電解コンデンサ用粉末を使用する成形装置、焼結装置、化成装置などの設備において特に制限なく使用でき、電解コンデンサの製造に好適な陽極体を得ることができる。
本発明により得られる金属造粒粒子からなる金属造粒粉末を用いて作製される陰極層形成後の化成済み陽極体は、通常の電解コンデンサ陽極体において使用されるペースト塗布装置、フレーム搭載装置、封止装置などの設備において特に制限なく使用できる。また本発明の製造方法は、ニオブに替えてタンタルを用いた場合においても同様に行うことができる。
本発明により得られた金属造粒粒子が有する間隙空孔や空洞空孔は、金属造粒粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより確認できる。なお、空孔形成剤除去前の空孔形成材含有金属造粒粒子の樹脂包埋試料を作製して、集束イオンビーム(FIB)等の方法で作製した断面試料を観察すると、球状の空洞空孔形成剤の断面が円の形状であることが確認できる。金属造粒粒子が有する空洞空孔は、球状の空洞空孔形成剤を用いて製造されたことに由来して形成される。つまり、金属造粒粒子内において、金属一次粒子間の間隙空孔に比して25〜35倍の大きさの空洞空孔が形成されるとともに、結着している金属一次粒子のネットワーク形成体が球状の凹面を構成しているとみることもできる。金属造粒粒子が有する空洞空孔の内径は、金属造粒粒子を樹脂包埋した試料の切断面の走査型電子顕微鏡観察で得られるSEM写真(倍率:1,000〜1万倍)から求めることができる。より簡便には、用いた空洞空孔形成剤の平均一次粒径を、金属造粒粒子が有する空洞空孔の大きさとみなすことができる。
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお本発明はこれらの例に限定されるものではない。
酸素及び窒素原子含有量:酸素・窒素分析装置(LECO社製TC−600)を用いて赤外線吸収法及び熱伝導度法で定量した。
かさ密度:JIS Z 2504かさ密度測定器を使用した。金属造粒粒子について3回行った測定結果の算術平均をかさ密度の測定値とした。
焼結体強度:金属造粒粉末を用いて密度3.0g/cmで成形して成形体とし、この焼結体を焼結して3.3g/cmの焼結体が作製される温度で焼結して得た焼結体の座屈強度を計測して焼結体強度を得た。
細孔分布:水銀圧入式細孔分布計(Micromeritics社製 AutoPore9505)を用いて求めた。
電気特性:
ウェット容量:陰極として白金黒電極を使用し、電解液として用いた室温の30質量%硫酸水溶液に化成済み陽極体を浸漬して120Hzバイアス電圧1.5Vの条件で計測した。
ソリッド容量:市販のポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンの水分散液を用いて半導体層を形成し、カーボンペースト及び銀ペーストで順次被覆して陰極を形成後、120Hzバイアス電圧1.5Vの条件で計測した。
平均一次粒径:水素化金属の一次粒子、空孔形成材および金属造粒粒子の平均一次粒径とする体積平均粒子径は、HRA9320−X100(マイクロトラック社製)を用い、粒度分布をレーザー回折散乱法で測定した。その累積体積%を、50体積%に相当する粒径値(D50;μm)を平均一次粒径とした。
実施例1−1:
(混合工程)
ニオブインゴットに水素吸蔵させて水素化ニオブ塊とした。得られた水素化ニオブ塊は、インパクトミルを用いて粉砕して、目開き1mmの篩を用いてジャイロシフターにて分級して水素化ニオブ粗粉を得た。水素化ニオブ粗粉の水素濃度は、0.95質量%であった。
得られた水素化ニオブ粗粉は、純水を分散媒とし、ビーズミルを用いて粉砕して水素化ニオブの一次粒子を含有するスラリーを作製した。ビーズミル処理条件は、直径3mmのジルコニアビーズを使用し、ポットのビーズ充填量を80体積%とし、攪拌回転数を25Hzとした。水素化ニオブ粗粉は、金属ニオブ純分として総量10kgをミルポットに投入し、50質量%のスラリー濃度で2時間湿式粉砕処理を行った。2時間粉砕後の水素化ニオブの一次粒子の平均一次粒径は、レーザー回折式粒度分布計で測定したところD50値で2.1μmであった。次に直径0.5mmのジルコニアビーズに交換して続けて粉砕した。ビーズを交換して8時間粉砕後D50値が0.5μmになったところで回収して水素化ニオブの一次粒子を含有するスラリーを得た。
水素化ニオブの一次粒子を含有するスラリーをスクリュー式攪拌機に投入し、攪拌しながら空洞空孔形成材として平均一次粒径20μmの高純度酸化マグネシウム(パイロキスマ(登録商標)3320(型番)(協和化学工業(株)製))1.5kgを加えた。次いで間隙空孔形成材として平均一次粒径0.7μmの高純度酸化マグネシウム(PUREMAG(登録商標)FNG−G(型番)(タテホ化学工業社製))1.5kgを加え撹拌を続けた。水素化ニオブの一次粒子と2種の空孔形成材を含有する混合スラリーの粘性が上昇後安定したところで攪拌を終了した。
(造粒熱処理工程)
得られた混合スラリーを、直ちに横型攪拌造粒機に投入しジャケット温度50℃で減圧下で乾燥造粒を行った。前記の条件で横型攪拌造粒機で8時間撹拌して分散媒の水を除き、分散媒を除いた混合スラリー成分を含む直径2〜3mmの乾燥造粒塊を得た。得られた乾燥造粒塊を真空炉に移して4×10-3Paの減圧下で造粒熱処理を実施した。減圧下室温から昇温して途中の500℃において原材料に含まれる水素を十分脱離させた。その後1200℃まで昇温し、1200℃で600分保持して、造粒熱処理物を得た。造粒熱処理物中には、水素化ニオブの金属一次粒子どうしを結着させて金属一次粒子がネットワーク形成されている。造粒熱処理して得られた造粒熱処理物の表面に、少量の空気を導入して自然酸化被膜を形成させた。
(解砕工程)
表面に自然酸化被膜が形成した造粒熱処理物は、ロールグラニュレータを用いて平均一次粒径が100μmになるまで解砕して空孔形成材が含有した状態の空孔形成材含有金属造粒粒子を得た。
(空孔形成材除処工程)
得られた空孔形成材含有金属造粒粒子は、6規定の硝酸を用いて洗浄して含有する空孔形成材を溶解除去した。空孔形成材が除処された金属造粒粒子は、純水を用いて傾斜法によって水洗するとともに微細な粒子を除去した。
(解砕工程)
空孔形成材が除処された金属造粒粒子は、真空乾燥機に移し50℃未満で減圧下におき水洗で用いた水分を完全に蒸発させ、250℃に昇温して乾燥させることにより、平均一次粒径100μmの金属造粒粒子(1)からなる金属造粒粉末を得た。
このとき使用した酸化マグネシウムの平均一次粒径は、間隙空孔形成材として0.7μm及び空洞空孔形成材として20μmであり、空洞空孔形成材の平均一次粒径は、間隙空孔形成材の平均一次粒径の29倍となる。また、水素化金属の一次粒径の平均一次粒径は0.5μmであり、間隙空孔形成材の平均一次粒径は、水素化金属の一次粒径の平均一次粒径に比して1.2倍である。用いたそれぞれの量と得られた金属造粒粒子(1)の物性値を表1に示す。
実施例1−2:
実施例1−1において、空洞空孔形成材である平均一次粒径20μmの酸化マグネシウムの混合量を2.0kgとした以外は実施例1−1と同様の手法で金属造粒粒子(2)を得た。金属造粒粒子(2)の物性値を表1に示す。
実施例1−3:
実施例1−1において、空洞空孔形成材である平均一次粒径20μmの酸化マグネシウムを2.5kg、および間隙空孔形成材である平均一次粒径0.7μmの酸化マグネシウム1.0kgと混合量を変更した以外は実施例1−1と同様の手法で金属造粒粒子(3)を得た。金属造粒粒子(3)の物性値を表1に示す。
比較例1:
実施例1−1において、空洞空孔形成材である平均一次粒径20μmの酸化マグネシウムの替わりに第3の空孔形成材である平均一次粒径4μmの酸化マグネシウムを1.5kg用いた以外は実施例1と同様の手法で金属造粒粒子(c1)を得た。金属造粒粒子(c1)の物性値を表1に示す。
実施例1−1と比較例1を比較すると、空孔形成材の総質量が同じでも平均一次粒径が異なる空孔形成材を用いると、得られた金属造粒粒子からなる金属造粒粉末のかさ密度が異なることが分かる。平均一次粒径がより大きい空孔形成材を含めて空孔形成材として同じ総質量で用いた場合、空孔形成材が球状であって最密充填に近い状況が再現されていると単純化すると、一定体積中に空孔形成材が占める比率は小さくなる一方、一定体積の残りの空間に、水素化金属の一次粒子が占める比率が高くなる。その結果、より大きい平均一次粒径の空孔形成材を含む空孔形成材を用いて製造され、そして空孔形成材が除去されて得られる金属造粒粒子からなる金属造粒粉末のかさ密度は増加すると考えることができる。実施例1−1で得られた金属造粒粉末のかさ密度は、好ましい範囲よりやや大きい。好ましい範囲の0.9〜1.2g/cmのかさ密度とするには、実施例1−2の条件で行うことによっても可能であり、さらに実施例1−3で行った通り、2つの空孔形成材の混合割合を調整することによってさらに小さい値とすることもできる。
図1は、実施例1−3で得られた金属造粒粒子(3)の1000倍の電子顕微鏡写真であり、金属造粒粒子1個のほぼ全体を示している。金属造粒粒子内に内径10数μm程度の空洞空孔が複数確認できる。図2(a)は、金属造粒粒子(3)の5000倍の電子顕微鏡写真である。図2(b)は、図2(a)と同じ写真において間隙空孔と空洞空孔を分かりやすく示した図である。図2(b)に示したように、金属造粒粒子内において、数百の間隙空孔と、いくつかの空洞空孔が確認できる。金属造粒粒子は、金属の一次粒子が数百まとまったネットワーク形成体となっているとともに、金属の一次粒子のネットワーク形成体の中に空洞空孔が形成されているとみることができ、さらに空洞空孔の内壁は球状の凹面の形状であることが確認できる。空洞空孔は、平均一次粒径20μmの空洞空孔形成材に由来する空孔であり、原材料の水素化ニオブの平均一次粒径の大きさと、2つの空孔形成材の平均一次粒径の大きさの関係とその添加量を調整することにより、球状の凹面の形状の空洞空孔を有する金属造粒粒子を得ることができる。
図3は、比較例1で得られた金属造粒粒子(c1)の1000倍の電子顕微鏡写真であり、金属造粒粒子1個のほぼ全体を示している。図3では、図1で見られるような空洞空孔は確認できない。図4は、金属造粒粒子(c1)の5000倍の電子顕微鏡写真である。図1でもみられたような間隙空孔は確認できるが、空洞空孔は確認できない。
実施例2:
実施例2では、実施例1−1でも用いた平均一次粒径0.7μmと間隙空孔形成材と平均一次粒径20μmの空洞空孔形成材と加えて、平均一次粒径4μmの第3の空孔形成材を用いた。平均一次粒径の異なる酸化マグネシウム粉を3種類を表2に記す通りの混合量で用いたこと以外は実施例1−1と同様の手法で金属造粒粒子(4)を得た。金属造粒粒子(4)の物性値を表2に示す。
実施例2では、実施例1−1〜1−3の結果を踏まえ、異なる平均一次粒径の空孔形成材を3種類用いて金属造粒粒子の物性値を最適化した。3種の空孔形成材の平均一次粒径と混合割合を最適化することにより、得られる金属造粒粒子の物性値を実施例1−2と同等の物性値とすることができる。図5は、金属造粒粒子(4)の1000倍の電子顕微鏡写真であり、金属造粒粒子1個のほぼ全体を示している。図6(a)は、金属造粒粒子(4)の5000倍の電子顕微鏡写真であり、図6(b)は、図6(a)と同じ写真において平均一次粒径4μmの空孔形成材に由来する空孔を分かりやすく示した図である。図5において金属造粒粒子が直径10数μmの空洞空孔を有することが確認でき、図6において平均一次粒径4μmの空孔形成材に由来する空孔が存在することが確認できる。
実施例3:
実施例2で得られた金属造粒粒子(4)にバインダーとしてカンファを3質量部混合し、バインダーを含む金属造粒粉末を用いて自動成形機で成形体とした。成形体は体積約20mmで成形体密度が約3.0g/cmとなるよう調整され、成形体の中央に直径0.29mmのニオブ線が植立している。得られた成形体は、真空焼結炉で10−3Paの真空下最高温度1280℃で30分保持して、焼結体密度3.3g/cmの焼結体を得た。得られた焼結体の焼結体強度を表3に、水銀圧入法で測定した焼結体の細孔分布を図7に示す。
得られた焼結体を陽極とし、90℃の1質量%りん酸水溶液を電解液として電解化成を行った。初期電流密度0.2A/gとし、電圧が20Vに達してから定電圧で3時間保持して化成済み陽極体を作製した。得られた陽極体は水洗後乾燥させた。得られた化成済み陽極体は、室温の30質量%硫酸水溶液を電解液とし白金黒付白金板を陰極に用いて、120Hzバイアス電圧1.5V値の条件でインピーダンスアナライザを用いてウェット容量を測定した。
さらに、得られた化成済み陽極体は、市販のポリ−3,4エチレンジオキシチオフェン水分散液をその推奨された使用方法に従って、浸漬と乾燥を10回繰り返して化成被膜上に対極となる陰極層を形成させた。さらに陰極層を形成した化成済み陽極体には、カーボンペースト及び銀ペーストを順次被覆して陰極を形成した。この状態でインピーダンスアナライザを使用して120Hzバイアス電圧1.5V値の条件でソリッド容量を測定した。ウェット容量とソリッド容量の測定値の比をとり100倍して求めた容量出現率を表3に併せて示す。ウェット容量とソリッド容量の値は、50点について行った平均値である。また、ウェット容量から換算して求めた粉体のCV値を表に併せて示す。
比較例2:
金属造粒粒子(4)に替えて比較例1で得られた金属造粒粒子(c1)を用いて、実施例3と同様にして焼結体を得た。実施例3と同様にして、得られた焼結体の焼結体強度を表3に、水銀圧入法で測定した細孔分布を図7にそれぞれ併せて示す。実施例3と同様にしてウェット容量を測定し、同様に陰極層を形成してソリッド容量を測定した。測定結果を表3に併せて示す。
金属造粒粒子(4)を用いて作製して得た実施例3の焼結体の焼結体強度は、好ましい80N/mm〜150N/mmの範囲に入っており、金属造粒粒子(c1)を用いて作製して得た比較例2の焼結体の焼結体強度と比べても遜色ない焼結体強度の焼結体が得られている。また、粉体CV値では比較例2の方が若干高いが、ソリッド容量としては実施例3の方が格段に大きくなっていることが分かる。
容量出現率をみると実施例3の方が倍以上と格段に大きい。比較例2で作製された化成済み陽極体に比べて、実施例3で作製された化成済み陽極体には、陰極剤がより効率的に浸入しやすく内部まで陰極が形成されていることを示している。
図7は、実施例3で得られた焼結体及び比較例2で得られた焼結体の細孔分布図である。金属造粒粒子(4)を用いて得られた焼結体(実線)と、金属造粒粒子(c1)を用いて得られた焼結体(点線)とは、ともに最大のピークは細孔直径0.35μm付近の同じ位置にあるが、金属造粒粒子(c1)を用いて得られた焼結体ではこのピーク位置前後の細孔分布がほとんどを占めるのに対して、金属造粒粒子(4)を用いて得られた焼結体では、この位置の細孔は金属造粒粒子(c1)を用いて得られた焼結体の6割程度で、ここから3μm付近まで広く分布することが分かる。1μm以上の大きい細孔にまで広く細孔分布を有することにより、化成済み陽極体において陰極剤の侵入が効率的に行えると考えることができる。
図8および図9は、実施例3で得られた焼結体表面のそれぞれ100倍および1000倍の電子顕微鏡写真である。図10および図11は、比較例2で得られた焼結体表面のそれぞれ100倍および1000倍の電子顕微鏡写真である。比較例2で得られた焼結体の表面は、金属造粒粒子の粒界であった部分もすき間なく平滑になってしまっているのに対し、図8および図9で確認できるように、実施例3で得られた焼結体では、金属造粒粒子の粒界であった部分が完全に押し潰されておらずすき間が確認でき、金属造粒粒子が有する空洞空孔が正規時の圧縮により消滅することなく存在し、空洞空孔に由来する10数μm程度の空洞であることが確認できる。このことは、図7において確認された焼結体中の細孔分布が3μm付近まで広がって分布が存在することと対応し、このすき間や空洞が陰極剤の化成済み陽極体への浸入を向上しており、静電容量が大きい電解コンデンサ素子が製造できる。
すなわち、金属造粒粒子の作製において、混合する複数の空孔形成材の平均一次粒径と混合量を適正に調整することにより、空孔を有する金属造粒粒子が作製できることが確認できた。さらに、この空孔は成形の圧縮により消滅せず、金属造粒粒子からなる金属造粒粉末を電解コンデンサの製造に用いると、金属造粒粒子が有する空孔は陰極剤が効率的に侵入でき、化成済み陽極体の陰極層の被覆率が向上して容量出現率が増加し、静電容量の大きい電解コンデンサ素子を製造できることが確認できた。
実施例1−3の金属造粒粒子(3)表面の1000倍の電子顕微鏡写真である。 (a)は、実施例1−3の金属造粒粒子(3)表面の5000倍の電子顕微鏡写真である。(b)は、(a)と同じ写真であり、間隙空孔と空洞空孔を分かりやすく示した図である。 比較例1の金属造粒粒子(c1)表面の1000倍の電子顕微鏡写真である。 比較例1の金属造粒粒子(c1)表面の5000倍の電子顕微鏡写真である。 実施例2の金属造粒粒子(4)表面の1000倍の電子顕微鏡写真である。 (a)は、実施例2の金属造粒粒子(4)表面の5000倍の電子顕微鏡写真である。(b)は、(a)と同じ写真であり、平均一次粒径4μmの空孔形成材に由来する空孔を分かりやすく示した図である。 実施例2の金属造粒粒子(4)を用いて得られた焼結体及び比較例1の金属造粒粒子(c1)を用いて得られた焼結体の細孔分布図である。実施例2で得られた焼結体を実線で、比較例1で得られた焼結体を点線で示している。 実施例3の金属造粒粒子(4)を用いて得られた焼結体表面の100倍の電子顕微鏡写真である。 実施例3の金属造粒粒子(4)を用いて得られた焼結体表面の1000倍の電子顕微鏡写真である。 比較例2の金属造粒粒子(c1)を用いて得られた焼結体表面の100倍の電子顕微鏡写真である。 比較例2の金属造粒粒子(c1)を用いて得られた焼結体表面の1000倍の電子顕微鏡写真である。
1:金属造粒粒子
2:間隙空孔
3:空洞空孔
4:平均一次粒径4μmの空孔形成材に由来する空孔

Claims (14)

  1. 水素化金属の一次粒子と、平均一次粒径の互いに異なる複数の空孔形成材とをスラリー状態で混合する混合工程と、
    前記混合工程で得た混合スラリーを造粒熱処理する造粒熱処理工程と、
    前記造粒熱処理工程で得た造粒熱処理物を解砕して空孔形成材含有金属造粒粒子を得る解砕工程と、
    前記解砕工程で得た空孔形成材含有金属造粒粒子から空孔形成材を除去して金属造粒粒子を得る空孔形成材除去工程とを有し、
    前記平均一次粒径の互いに異なる複数の空孔形成材が、
    間隙空孔形成材と、該間隙空孔形成材の平均一次粒径に比して25〜35倍の平均一次粒径を有する球状の空洞空孔形成材とを含み、
    かつ得られる金属造粒粒子が空孔を有することを特徴とする金属造粒粒子の製造方法。
  2. 前記混合工程において、
    平均一次粒径が前記空洞空孔形成材の平均一次粒径と前記間隙空孔形成材の平均一次粒径との間にある第3の空孔形成材をさらに加え、
    前記第3の空孔形成材の添加量が、前記水素化金属の一次粒子のうち金属純分100質量部に対して20質量部以下であり、かつ前記空洞空孔形成材の添加量よりも多いことを特徴とする請求項1に記載の金属造粒粒子の製造方法。
  3. 前記間隙空孔形成材および/または前記空洞空孔形成材が、アルカリ土類金属の化合物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の金属造粒粒子の製造方法。
  4. 前記アルカリ土類金属の化合物が、酸化カルシウム、酸化マグネシウムおよび水酸化マグネシウムからなる群から選ばれるいずれか1種以上であることを特徴とする請求項3に記載の金属造粒粒子の製造方法。
  5. 前記水素化金属の金属元素が、ニオブおよびタンタルからなる群から選ばれる1種以上の元素である請求項1〜4のいずれかに記載の金属造粒粒子の製造方法。
  6. 前記金属造粒粒子の平均一次粒径が100〜200μmである請求項1〜5のいずれかに記載の金属造粒粒子の製造方法。
  7. 前記空洞空孔形成材の平均一次粒径が10〜35μmである請求項1〜6のいずれかに記載の金属造粒粒子の製造方法。
  8. 前記水素化金属の一次粒子の平均一次粒径が0.2〜0.7μmである請求項1〜7のいずれかに記載の金属造粒粒子の製造方法。
  9. 前記間隙空孔形成材の平均一次粒径が、前記水素化金属の一次粒子の平均一次粒径に比して1.0〜1.5倍であることを特徴とする請求項1〜8に記載の金属造粒粒子の製造方法。
  10. 前記間隙空孔形成材の平均一次粒径が0.4〜1.0μmである請求項1〜9のいずれかに記載の金属造粒粒子の製造方法。
  11. 前記第3の空孔形成材の平均一次粒径が1.0〜10μmである請求項2〜10のいずれかに記載の金属造粒粒子の製造方法。
  12. 前記水素化金属の一次粒子のうち金属純分100質量部に対して、前記複数の空孔形成材の添加量がそれぞれ、間隙空孔形成材が5〜25質量部、空洞空孔形成材が3〜25質量部、および第3の空孔形成材の総量が0〜25質量部である請求項1〜11のいずれかに記載の金属造粒粒子の製造方法。
  13. 前記第3の空孔形成材が、アルカリ土類金属の化合物を含むことを特徴とする請求項2〜12のいずれかに記載の金属造粒粒子の製造方法。
  14. 前記アルカリ土類金属の化合物が、酸化カルシウム、酸化マグネシウムおよび水酸化マグネシウムからなる群から選ばれるいずれか1種以上であることを特徴とする請求項13に記載の金属造粒粒子の製造方法。

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