以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。
また、本明細書にて用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
また、本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。したがって、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域又はドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域又はソース電極)の間にチャネル領域を有しており、ドレインとチャネル領域とソースとを介して電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、キャパシタ、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。又は、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
また、本明細書等において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低い状態、pチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも高い状態をいう。例えば、nチャネル型のトランジスタのオフ電流とは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低いときのドレイン電流を言う場合がある。
トランジスタのオフ電流は、Vgsに依存する場合がある。したがって、トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、トランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを言う場合がある。トランジスタのオフ電流は、所定のVgsにおけるオフ状態、所定の範囲内のVgsにおけるオフ状態、又は、十分に低減されたオフ電流が得られるVgsにおけるオフ状態、等におけるオフ電流を指す場合がある。
一例として、しきい値電圧Vthが0.5Vであり、Vgsが0.5Vにおけるドレイン電流が1×10−9Aであり、Vgsが0.1Vにおけるドレイン電流が1×10−13Aであり、Vgsが−0.5Vにおけるドレイン電流が1×10−19Aであり、Vgsが−0.8Vにおけるドレイン電流が1×10−22Aであるようなnチャネル型トランジスタを想定する。当該トランジスタのドレイン電流は、Vgsが−0.5Vにおいて、又は、Vgsが−0.5V乃至−0.8Vの範囲において、1×10−19A以下であるから、当該トランジスタのオフ電流は1×10−19A以下である、と言う場合がある。当該トランジスタのドレイン電流が1×10−22A以下となるVgsが存在するため、当該トランジスタのオフ電流は1×10−22A以下である、と言う場合がある。
また、本明細書等では、チャネル幅Wを有するトランジスタのオフ電流を、チャネル幅Wあたりを流れる電流値で表す場合がある。また、所定のチャネル幅(例えば1μm)あたりを流れる電流値で表す場合がある。後者の場合、オフ電流の単位は、電流/長さの次元を持つ単位(例えば、A/μm)で表される場合がある。
トランジスタのオフ電流は、温度に依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、室温、60℃、85℃、95℃、又は125℃におけるオフ電流を表す場合がある。又は、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証される温度、又は、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)におけるオフ電流、を表す場合がある。トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、室温、60℃、85℃、95℃、125℃、当該トランジスタが含まれる半導体装置の信頼性が保証される温度、又は、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを指す場合がある。
トランジスタのオフ電流は、ドレインとソースの間の電圧Vdsに依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、Vdsが0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V、3V、3.3V、10V、12V、16V、又は20Vにおけるオフ電流を表す場合がある。又は、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証されるVds、又は、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVdsにおけるオフ電流、を表す場合がある。トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、Vdsが0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V、3V、3.3V、10V、12V、16V、20V、当該トランジスタが含まれる半導体装置の信頼性が保証されるVds、又は、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVds、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを指す場合がある。
上記オフ電流の説明において、ドレインをソースと読み替えてもよい。つまり、オフ電流は、トランジスタがオフ状態にあるときのソースを流れる電流を言う場合もある。
また、本明細書等では、オフ電流と同じ意味で、リーク電流と記載する場合がある。また、本明細書等において、オフ電流とは、例えば、トランジスタがオフ状態にあるときに、ソースとドレインとの間に流れる電流を指す場合がある。
なお、電圧とは2点間における電位差のことをいい、電位とはある一点における静電場の中にある単位電荷が持つ静電エネルギー(電気的な位置エネルギー)のことをいう。ただし、一般的に、ある一点における電位と基準となる電位(例えば接地電位)との電位差のことを、単に電位もしくは電圧と呼び、電位と電圧が同義語として用いられることが多い。このため、本明細書では特に指定する場合を除き、電位を電圧と読み替えてもよいし、電圧を電位と読み替えてもよいこととする。
(実施の形態1)
本実施の形態では、新規なデータ管理方法を用いた電子機器について、図1乃至図5を用いて説明する。ここでは、データを情報と呼ぶ場合がある。
図1は、一例としてデータ管理方法を用いた電子機器10を示している。電子機器10は、記憶装置15と、入力装置11と、プロセッサ(図示せず)を有している。記憶装置15は、第1の記憶領域13と、第2の記憶領域14とを有している。プロセッサは、記憶装置15に保存されたプログラムによって第1の記憶領域13と、第2の記憶領域14と、入力装置11とを制御することができる。第1の記憶領域13には、複数の第1の情報が記録されている。第2の記憶領域14には、複数の第2の情報が記録されている。ただし、第1の記憶領域13と、第2の記憶領域14と、は、それぞれ異なる記憶装置に記録されてもよい。
第1の記憶領域13は、第1の階層を示し、第2の記憶領域14は、第2の階層を示している。アクセス頻度の高い情報が第1の階層に記録され、アクセス頻度の低い情報が第2の階層に記録されていることが好ましい。
プログラムは、入力装置11から特定情報12aを得ることができる。特定情報12aは画像、音声、センサ情報、デジタルコード、又はテキストのいずれか一に対応するデータフォーマットを有するデータである。図1で示すデータ管理システムは、同じ種類のデータを管理することが好ましい。複数の異なる種類のデータを管理するときは、特定情報12aに関連付けることで、管理することができる。
第1の記憶領域13に記録されている特定情報13aと、第2の記憶領域14に記録されている特定情報14aとは、特定情報12aと同じデータフォーマットのデータによって記憶されている。また、第1の記憶領域13には、第1の情報として特定情報13aと、関連する情報として特徴情報13bと、履歴情報13cと、が記録されている。また、第2の記憶領域14には、第2の情報として特定情報14aと、関連する情報として特徴情報14bと、履歴情報14cと、が記録されている。第3の情報は、入力装置11から得る特定情報12aと、特定情報12aに付与する情報として特徴情報12bと、履歴情報12cと、によって作成される。
プログラムは、入力装置11から特定情報12aを受け取ると、特定情報12aから複数の特徴を抽出することができる。特定情報12aが画像情報の場合は、画像の中に検出された人物が有する特徴として、年齢、性別、顔面骨格(目、鼻、口などの大きさ、形状、位置)、身長、又は服装などの項目の少なくとも一つを、特徴情報12bとして抽出することができる。よって、特徴情報12bは、複数の特徴で構成されていることが好ましい。
特定情報12aが音声情報の場合は、検出された言語、単語を特徴として抽出することができる。また検出された言語、単語が発音されたときのイントネーションなどに特徴があるのであれば、検出されたイントネーションから、対象のイントネーションが使用される地域名を検索し、検出された地域名、言語、又は単語など少なくとも一つを、特徴情報12bとすることが好ましい。
特定情報12aがセンサの検出する物理量であるセンサ情報の場合は、センサ情報の変化量を特徴としてもよい。もしくは複数のセンサが検出する物理量の変化量を関連付けて特徴としてもよい。一例として、検知体が、センサ加速度センサと、温度センサと、異なる二つのセンサを備えている。低温の環境下における検知体の動作が異常を示すとき、加速度センサから検出される物理量に、温度センサが検出する物理量を関連付けて一つの特徴情報12bとすることが好ましい。
特定情報12aが、デジタルコード又はテキストの場合は、数字、アルファベット、もしくは記号に割り当てられた情報の中から、一致する部分を特徴とすることができる。例えば、インターネットに接続するブラウザでは、Hypertext Transfer Protocol(HTTP、ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル)によって、様々なコンテンツの送受信に用いられる通信プロトコルが利用されている。インターネットに接続される電子機器は、ブラウザを介してサーバの有しているアドレス情報にアクセスすることで、サーバの有する情報にアクセスすることができる。したがって、アクセスするサーバのアドレス情報を、特徴情報12bとすることができる。
また、プログラムは、入力装置11から特定情報12aを受け取ることで、履歴情報12cを作成することができる。履歴情報12cは、作成されたアクセス日時(以降タイムスタンプと表示する)、特徴の一致が検出されたタイムスタンプ、さらに、過去に特徴が一致するデータとして検出されたアクセス回数などを示している。特徴の一致が検出されたタイムスタンプは、複数回のタイムスタンプを履歴情報として保持することが好ましい。したがって、履歴情報12cによって、タイムスタンプ及びアクセス回数が管理される。
ここからは、データ管理方法を用いて制御される電子機器10の動作を、状態管理図に沿って説明する。データ管理方法は二つの動作モードを有している。第1の動作モードは、入力装置11から特定情報12aが与えられるときの動作を示し、図1では実線の矢印で示している。第2の動作モードは、待機状態の動作を示し、図1では波線の矢印で示している。
一例として、第1の動作モードは人が活動する5:00から23:00までの時間帯の動作を示し、第2の動作モードは人が休息をとる23:00から5:00までの時間帯の動作モードに割り当てることができる。ただし、第2の動作モードで動作しているときでも、入力装置11から特定情報12aが与えられたときは、第1の動作モードで動作することが好ましい。したがって、時間帯における動作モードは、設定できることが好ましい。
最初に、第1の動作モードについて説明する。
プログラムが、入力装置11から特定情報12aを受け取ると、プログラムは、特定情報12aから特徴情報12bを抽出し、履歴情報12cを作成することができる。
ST21は、プログラムが、特徴情報12bと、特徴情報13bのいずれか一と、が一致しているか検索するステップである。なお、特徴情報12bが有する特徴の項目は1つに限定されない、特徴情報12bは複数の項目を有していてもよい。特徴情報13b、14bも同様である。また、2つの特徴情報が一致するとは、2つの特徴情報の間で、1つ以上の項目において一致が見られる場合を言う。もしくは、プログラムによって与えられた条件に従い、一つ以上の項目において一致が見られる場合を言う。
プログラムは、特徴情報12bと一致する特徴情報13bを検索することができる。特徴が一致すると判断される条件は、特徴情報12bと特徴情報13bの全項目が一致するときを一致と判断することができる。又は、複数の項目が一致するときを一致と判断することができる。したがって、特徴が一致すると判断する条件は、使用者がプログラムに対して設定できることが好ましい。プログラムが、特徴情報12bと特徴情報13bが一致していると判断するときは、さらに、特定情報12aと、特定情報13aと、を詳細に解析し、再度、一致しているか判断してもよい。
ST22は、プログラムによって一致していると判断された履歴情報13cを更新するステップである。履歴情報13cは特定情報13aに関連付けられている。プログラムは履歴情報13cのタイムスタンプと、アクセス回数と、を更新することができる。プログラムによって、一致する特徴情報が検出されなかったとき、プログラムは、第2の記憶領域14を検索する。
ST23は、プログラムが、特徴情報12bと、特徴情報14bのいずれか一と、が一致しているか検索するステップである。特徴が一致すると判断する条件については、説明を省略する。
ST24は、プログラムによって一致していると判断された特定情報14aの履歴情報14cを更新するステップである。履歴情報14cのタイムスタンプと、アクセス回数とを更新する。一致する特徴情報が検出されなかったとき、特定情報12a、特徴情報12b、及び履歴情報12cは新規なデータと判断することができる。よって、特定情報12a、特徴情報12b、及び履歴情報12cは、新規なデータとして、第1の記憶領域13に記録される。
ST25は、履歴情報14cが更新されたとき、特定情報14a、特徴情報14b、及び履歴情報14cを、プログラムが、第2の記憶領域14から第1の記憶領域13へ移動させるステップである。第1の記憶領域13へ移動することによって、タイムスタンプが新しい情報として検索されやすくすることができる。
次に、第2の動作モードについて説明する。
第2の動作モードでは、履歴情報13cと、履歴情報14cと、を用いて、第1の記憶領域13と、第2の記憶領域14と、に記録された情報のタイムスタンプ及びアクセス回数に応じた最適な階層に、情報を移動させる機能について説明する。
ST26は、プログラムが履歴情報13cを検索するステップである。履歴情報13cには、プログラムによって履歴情報13cが更新されたタイムスタンプが記録されている。また、過去に履歴情報13cが更新されたアクセス回数が積算されて記録されている。よってプログラムは、履歴情報13cが更新された最新のタイムスタンプから、履歴情報13cが更新されていない期間を非アクセス期間として算出することができる。
ST27は、設定された第1の非アクセス期間を超えた(すなわち、更新されずに放置されている)特定情報13a、特徴情報13b、履歴情報13cを、プログラムが、第1の記憶領域13から第2の記憶領域14に移動させるステップである。第1の非アクセス期間は、設定できることが好ましい。したがって、第1の記憶領域に記録された情報を少なくすることで、プログラムによる検索時間を削減することができる。例えば、特定情報13aが、画像データのように大きいときは、情報を移動させることで記憶領域の使用容量の削減効果が大きくなる。
アクセス回数も、第1の非アクセス期間と同様に扱うことができる。アクセス回数が少ない第1の情報を、プログラムが、第1の階層から第2の階層に移動させることができる。したがって、第1の記憶領域に記録された情報を少なくすることで、プログラムによる検索時間を削減することができる。
ST28は、プログラムが履歴情報14cを検索するステップである。ST26と同様の処理が行われるので説明は省略する。
ST29は、設定された第2の非アクセス期間を超えた特定情報14a、特徴情報14b、履歴情報14cを、消去するステップである。ST29aは履歴情報14cを消去し、ST29bは特定情報14a、履歴情報14cを消去する。さらに、消去するための判断条件に、アクセス回数を加えることができる。例えば、第2の非アクセス期間を超えた情報であっても、アクセス回数が設定された回数以上であれば消去しなくてもよい。ただし、設定された第3の非アクセス期間を超えた場合は、ST29において消去するようにしてもよい。
図1で示すデータ管理方法は、情報の非アクセス期間が長くなると、プログラムが情報を深い階層の記憶領域に移動させる。さらに、非アクセス期間が長く、かつアクセス回数が少ない情報は、記憶領域から消去される。したがって、人間の脳が備える記憶のアルゴリズムに模した機能を有するデータ管理方法を提供することができる。人間の脳は、入力された情報が繰り返されると強い記憶となり、アクセス頻度の少ない記憶は、深い階層の記憶領域から情報を検出するのに時間を要するか、もしくは忘れてしまう。脳は、目、耳、鼻、口、皮膚などから、常に大量の情報が入力されるが、記憶として残るのは、繰り返された情報である。したがって、図1で示すデータ管理方法は、大量のデータの中から、有用な情報を抽出し、かつ管理する方法として有効である。
図2は、図1で示すデータ管理方法を用いた遠隔管理システムについて説明をする。図2は複数のカメラ100乃至カメラ100cが、ネットワークに接続されている。またネットワークには、サーバ120、電子機器51、情報端末52などが、接続することができる。カメラ100は、表示モジュール107と、マイク110aと、人感センサ110bと、ソーラパネル110cのいずれか一を有している。
カメラは、無線通信にてネットワークと接続される機能と、有線通信で接続される機能とを有している。図2では、カメラ100aは有線通信でネットワークと接続されている。また、カメラ100、カメラ100b、カメラ100cは無線通信にてネットワークと接続されている。またカメラは、商用電力、又はバッテリにより電力が供給されている。もしくは、外付けのソーラパネル110dから電力を供給されてもよい。例えばカメラが、山中などに設置されているとき、ソーラパネル110dから電力を供給することでカメラを動作させることができる。
カメラ100は、データ管理方法を用いた遠隔管理システムの一部であり、カメラで撮影された画像データを情報として用いることができる。カメラは、連続的に撮影する機能を有していてもよいし、決められたタイミングで撮影してもよい。また人感センサなどによって、カメラの撮影可能範囲に検知体を検出するときに撮影をしてもよい。
一例として、道路を横断する検知体53をカメラで撮影するときについて説明する。カメラは、画像情報から検知体53の特徴を抽出する機能を有している。画像情報から抽出する検知体53が人物のとき、人物が有する特徴として、年齢、性別、顔面骨格(目、鼻、口などの大きさ、形状、位置)、身長、服装などを抽出する。特に、性別、顔面骨格(目、鼻、口などの大きさ、形状、位置)は人物が有する個体情報である。身長は、撮影可能範囲において比較対象になる設置物(ポスト、道路標識など)、構造物(建物、道路幅、縁石など)との相対値を算出することで、身長の大きさを算出することができる。図2では、一例として道路の幅を比較対象としている。
カメラ100は、記憶装置(図示せず)を有しているが、ネットワークを介してサーバ120に画像データを記録することができる。電子機器51又は情報端末52は、カメラ100又はサーバ120に記録された画像データを閲覧することができる。さらに、電子機器51又は情報端末52は、特定の特徴を有する画像データを、カメラ100の記憶装置又はサーバ120の記憶装置の中から検索し閲覧することができる。
上記のようなカメラを用いたデータ管理方法による遠隔管理システムは、防犯システムや、複数の利用者が訪れる施設に利用することができる。例えば防犯システムでは、商用ビル、集合住宅、学校、スタジアム、商業施設、会議場などに利用することができる。
一例として、データ管理方法を用いた商用ビルの防犯システムに適用する方法について説明する。商用ビルにおいては、複数の会社が入居している。セキュリティーカードなどによる入門チェックが行われるが、セキュリティーカードが偽造されたときは、不正入門を検出することが難しい。また複数の会社に属する従業員の個人情報を、一つの管理システムで管理することは、情報の流出の危険性を考えると好ましくない。これは他の施設においても同じように考えることができる。
そこで本実施の形態で示すデータ管理方法を用いた防犯システムを利用すると、従業員の情報は、アクセス回数が大きくなり、タイムスタンプの更新間隔が短くなる。したがって、従業員の情報は、第1の記憶領域である第1の階層に情報が記録される。第1階層には、従業員の特徴情報が登録されていてもよい。特徴情報は、従業員としての個人情報と異なり、特徴情報は個体情報を用いるので防犯性を向上させることができる。
それに対して、従業員と比較し、関係会社の社員、他社の営業員など、会社の業務には関係しながらも商用ビルに訪問する回数の少ない人、もしくはタイムスタンプの更新間隔(以下アクセス間隔と表記する)が長い人は、記憶装置の第2の階層に情報が記録される。
会社に関係のない人の情報は、記憶装置の第3の階層に情報が記録される。ただし不正行為をするような人は、複数回しか訪れることはないことから、アクセス回数が少なく、アクセス間隔が長く、さらに、第3の階層に記録されている情報が適用される。ただし、どの階層の情報が重要であるかは、防犯システムの管理者が適宜決めることが好ましい。
登録情報のない人や、第3の階層に記録されている情報に一致する特徴を有する人が、データ管理方法によって検出されたときは、注意喚起をするためのアラームを示すことができる。さらに、セキュリティーカードの情報とデータ管理方法を併用することで、セキュリティーカードが正しく利用されているかを判断することができる。したがって、防犯性の高い防犯システムを提供することができる。
また、防犯システムでは、履歴情報のタイムスタンプが、それぞれの階層で設定された非アクセス期間を超えたとき、プログラムが深い階層の記憶装置へ情報を移動する。さらに、非アクセス期間を超え、かつアクセス回数が少ない情報は消去される。したがって、記憶装置の容量は、経過時間により整理される機能を有している。上記データ管理方法を用いることで、記憶装置を適切に管理することができる。よって、防犯システムは、特徴情報及び履歴情報を管理することで遠隔地からでも指定する対象の施設の情報を容易に検索することができる。したがって、遠隔管理システムを有した防犯システムを提供することができる。
上記と異なる例として、特定の対象物を撮影し、対象物の状態を監視するときについて説明する。一例として山54の噴火55を監視する監視システムに利用することができる。山54を監視するためのカメラ100cは、山中に設置されることがある。その場合は、カメラ100cは、外付けのソーラパネル110dから使用する電力を供給されてもよい。
カメラ100cは、山54を監視することができるが、撮影された画像データは、変化しやすい要素を多く含んでいる。例えば、変化しやすい要素として、天気、雲、周辺の木々、湖や池など大きな水面に映りこむ像、また風の影響による水面の波の状況などがある。
対象物を監視するためには、撮影するときに必ず休止期間を設けるとよい。さらに、直前に撮影された画像データと比較することで、対象物の変化を検出しやすくすることができる。対象物の変化が抽出されると、抽出された要素は特徴情報として登録され、さらに履歴情報が追加される。
また噴煙又は土壌の隆起などの特徴は、噴火55の予兆の一つとして特徴情報に記録され、さらに履歴情報が記録される。よって噴煙又は土壌の隆起などの特徴は、第1の情報として記憶装置の第1の階層に記録される。同じような状態が維持されると第1の階層に記録された第1の情報は、履歴が更新される。
しかし、噴煙が収束するときは、アクセス回数、アクセス間隔が更新されなくなり、第1の階層に記録された第1の情報は、第2の階層に移動する。したがって、特定の対象物を監視する遠隔監視システムでは、過去に発生した重要な記録が第2の階層、第3の階層といった深い階層に集積される。
したがって、第1の階層に記録された第1の情報は、履歴情報のアクセス回数が大きいとき、天気、雲、周辺の木々、又は風の影響などによって変化が生じたノイズ情報と判断することができる。したがって、第1の階層に記録の中で、履歴情報のアクセス回数が大きいときは、消去の対象とすることができる。
したがって、上記データ管理方法は、防犯システム、又は監視システムなど異なるシステムに適用することができる。しかし、データ管理方法における特徴の一つであるデータを消去する機能は、情報の重要度に応じてどの階層に記録されたデータを消去するか適宜選択することが好ましい。
図3は、図2におけるカメラ100と、サーバ120との構成を示している。カメラ100と、サーバ120とは、ネットワークを介して接続されている。
カメラ100は、プロセッサ101と、撮像装置102と、通信モジュール103と、第1の記憶装置104と、第2の記憶装置105と、第3の記憶装置106と、表示モジュール107と、人感センサ108と、出力装置109と、入力装置110と、を有している。表示モジュール107は、表示装置107aと、タッチパネル107bとを有している。表示装置107aは、ディスプレイコントローラ107cと、フレームメモリ107dと、ディスプレイ107eと、を有している。ディスプレイコントローラ107cにはソースドライバが含まれていてもよい。
第2の記憶装置105はプログラムが保存されている。プログラムは、プロセッサを介して、撮像装置102と、通信モジュール103と、第1の記憶装置104と、第2の記憶装置105と、第3の記憶装置106と、表示モジュール107と、人感センサ108と、出力装置109と、入力装置110と、を制御することができる。
通信モジュール103は、無線通信の機能と、有線通信の機能と、を有している。通信モジュール103が無線通信を行うとき、通信モジュール103が搬送波を用いて、操作命令、データ、プログラムなどを送受信することができる。通信モジュール103は、無線LAN(Local Area Network)、Wi−Fi(Wireless Fidelity:登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等のIEEEにより通信規格化された仕様を利用することができる。
通信モジュール103が有線通信を行うとき、通信モジュール103が制御信号を制御し、操作、データ、プログラムなどを送受信することができる。これによって、World Wide Web(WWW)の基盤であるインターネット、イントラネット、エクストラネット、PAN(Personal Area Network)、LAN(Local Area Network)、CAN(Campus Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、WAN(Wide Area Network)、GAN(Global Area Network)等の通信規格化された仕様を利用することができる。
第1の記憶装置乃至第3の記憶装置は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、不揮発性メモリ(フラッシュメモリ(Flash Memory)、NOSRAM、DOSRAM)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid state drive)、磁気テープなどの記憶装置を利用することができる。
一例として、第1の記憶装置104はDRAMやSRAM等の高速で動作するメモリを使用することができる。したがって、実行プログラムやデータの一次格納に適している。撮像装置102から入力される画像データは、第1の記憶装置に一時的に記録されることが好ましい。また、データから特徴を抽出するなどの処理は、第1の記憶装置を用いることが好ましい。
一例として、第2の記憶装置105はSSDなどを利用することができる。SSDは不揮発性メモリであるフラッシュメモリ、NOSRAM、DOSRAMなどを複数用いてHDDと同じ振る舞いをさせることができる。SSDは、HDDなどのディスクドライブに比べ、シークタイムを必要としないためランダムなアクセス性能に優れた特徴を有している。また物理的な可動箇所がないため省電力であり、振動や衝撃に強い。また物理的な可動箇所が少ないので、小型化に優れている。また、アクセス性に優れているためプログラムが記憶されていることが好ましい。利用者の登録情報や、アクセス回数が大きく、アクセス間隔の短い履歴情報を有する画像情報の記録は、第2の記憶装置を用いることが好ましい。
また、SSDに使用されるフラッシュメモリは、フローティングゲートと呼ばれるものを、チャネルとゲートの間に設け、フローティングゲートに電荷を蓄えることにより、データを保持する。しかしながら、従来のフラッシュメモリは、フローティングゲートへの電荷の注入や除去の際に高い電圧を必要とするため、ゲート絶縁膜の劣化が避けられず、無制限に書き込みや消去を繰り返せなかった。
NOSRAM及びDOSRAMは、トランジスタのオフ電流が小さいことが知られている金属酸化物を半導体層に用いたトランジスタを用いることで、電源が切られても、データを保持できるメモリの構成である。NOSRAM及びDOSRAMに用いるトランジスタについては、実施の形態4にて詳細な説明をする。
一例として、第3の記憶装置106には、HDDなどの記憶装置を使用することができる。HDDはSSDに比べ、可動部を有するためにサイズが大きくなる傾向があり、またデータアクセス速度は遅い。しかし、データの保持期間、大容量化に関しては、HDDがSSDよりも優れている。またコストもHDDがSSDよりも安く優れている。HDDは、データの保持期間が長く、大容量化に優れているため、プログラムが記憶されていることが好ましい。第3の記憶装置106は、第2の記憶装置105に記録されている履歴情報よりも、アクセス回数が低くもしくはアクセス間隔が長い情報が記録されていることが好ましい。
サーバ120は、プロセッサ121と、第4の記憶装置122(1)乃至第4の記憶装置122(n)、通信モジュール123と、第5の記憶装置124と、入力装置125と、出力装置126と、を有している。
通信モジュール123は、有線通信を用いてネットワークを介して、カメラ100と接続されている。サーバ120はネットワークを介して、カメラ100の操作命令、データ、プログラムなどを送受信することができる。
一例として、第4の記憶装置122(1)乃至第4の記憶装置122(n)は、SSD、HDD、もしくは磁気テープなどを用いることができる。磁気テープは、アクセス性は他の記憶装置に比べると遅いが、大量のデータを長期記録することができる。HDDもしくは、磁気テープは複数有していてもよい。図3では、1からnの記憶装置を有した例を示している。nは、2以上の整数とすることができる。第3の記憶装置に記録されている情報より、アクセス頻度が低く、アクセス間隔が長い履歴情報を有する画像情報の記録は、第4の記憶装置を用いることが好ましい。
例えば、第1の階層に、第2の記憶装置105を利用することができる。また、第2の階層に、第3の記憶装置106を利用することができる。また、第3の階層に、第4の記憶装置122を利用することができる。上記で説明された記憶装置の特徴に応じた階層で使うことで、データの検索、追加、長期記録、及び消去を容易にすることができる。
図4は、図2のカメラ100で撮像された画像情報の管理方法を示している。図4で説明する状態管理図は、図1のデータ管理方法を適用して画像情報を管理することができる。一例として図2で説明された防犯システムついて説明をする。データ管理方法は二つの動作モードを有している。
最初に、第1の動作モードについて説明する。
撮像装置102が画像データ104aを第1の記憶装置104に記録する。プログラムは、画像データ104aから、特徴データ104bを抽出し、履歴データ104cを作成する。画像データ104aは、図1で説明された特定情報に相当する。特徴データ104bは、図1で説明された特徴情報に相当する。また、履歴データ104cは、図1で説明された履歴情報に相当する。
ST131は、プログラムが、特徴データ104bと、第2の記憶装置105に記録されている複数の登録データAのいずれか一と、が一致しているか検索するステップである。登録データAは画像データ130a、特徴データ130b、履歴データ130cを有している。
登録データAは、人物の上半身及び全身を、正面及び側面から撮影された画像データであることが好ましい。また、斜め上方から撮影された画像を利用することが好ましい。さらに登録データAとして撮影されたときに、例えば、電柱や郵便ポストなどの設置物を比較対象として画像に収めることが好ましい。特徴の一つである身長は、設置物の大きさと比較し相対値を算出することで、画像データから正確な身長を算出することができる。
プログラムによって複数の特徴データ130bが検索された結果、特徴データ104bが有する複数の特徴と一致するとき、画像データ104aと、登録データAのいずれか一と、が一致すると判断することができる。特徴が一致するかを判断する条件として、特徴データの全項目が一致するときを一致と判断してもよいし、特徴データの複数の項目が一致するときを一致と判断してもよい。特徴が一致するか判断する条件は防犯システムの運用条件として設定できることが好ましい。さらに、特徴データが一致しているとプログラムが判断するときは、画像データ104aと画像データ130aを詳細に解析し、一致しているか判断してもよい。
特徴データの複数の項目が、一致するときの例を示す。例えば、人物の特徴として、年齢、性別、顔面骨格(目、鼻、口などの大きさ、形状、位置)、身長、又は服装などの項目の少なくとも一つを比較対象とすることができる。登録データAの画像データから抽出された特徴データ130bと、画像データ104aから抽出された特徴データ104bと、は、画像データを取得する日が異なると、服装などは異なることが多い。また、履いている靴が異なると、検出される身長は誤差を含む。また、画像データが上方に設置されたカメラによって取得されたときは、人物の身長が正しく認識されないことがある。
したがって、図3で示したように、特徴の抽出は、複数のカメラ(カメラ100、カメラ100a、又はカメラ100b)によって取得されることが好ましい。複数のカメラによって取得された画像データを用いて抽出された特徴データを用いることで検出精度を向上させることができる。
ST132は、プログラムによって一致していると判断された履歴データ130cを更新するステップである。履歴データ130cのタイムスタンプと、アクセス回数と、を更新する。一致する特徴データが検出されなかったとき、第2の記憶装置105に記録されている検出データBを検索する。
ST133は、プログラムが特徴データ104bと、第2の記憶装置105に記録されている複数の検出データBのいずれか一と、が一致しているか検索するステップである。検出データBは画像データ105a、特徴データ105b、履歴データ105cを有している。
特徴データ105bが、特徴データ104bと一致するとき、画像データ104aと、検出データBのいずれか一と、が一致すると判断することができる。さらに、特徴データが一致しているとプログラムが判断するときは、画像データ104aと画像データ105aを詳細に解析し、一致しているか判断してもよい。
ST134は、プログラムによって一致していると判断された履歴データ105cを更新するステップである。履歴データ105cのタイムスタンプと、アクセス回数と、を更新する。一致する特徴データが検出されなかったとき、第3の記憶装置106に記録されている検出データCを検索する。
ST135は、プログラムが、特徴データ104bが、検出データCに記録されている複数の特徴データ106bと一致する情報の有無を検索するステップである。検出データCは画像データ106a、特徴データ106b、履歴データ106cを有している。
プログラムが複数の特徴データ106bを検索の結果、特徴データ104bが有する複数の特徴と一致するとき、画像データ104aと、検出データCのいずれか一と、が一致すると判断することができる。さらに、特徴データが一致しているとプログラムが判断するときは、画像データ104aと画像データ106aを詳細に解析し、一致しているか判断してもよい。
ST136は、プログラムによって一致していると判断された履歴データ106cを更新するステップである。履歴データ106cのタイムスタンプと、アクセス回数を更新する。一致する特徴データが検出されなかったとき、第4の記憶装置122に記録されている検出データDを検索する。
ST137は、履歴データ106cが更新されたとき、プログラムによって画像データ106a、特徴データ106b、履歴データ106cを、第3の記憶装置106の検出データCから第2の記憶装置106の検出データBへ移動するステップである。
ST138は、プログラムが、特徴データ104bが、検出データDに記録されている複数の特徴データ122bと一致する情報の有無を検索するステップである。検出データDは画像データ122a、特徴データ122b、履歴データ122cを有している。
プログラムが複数の特徴データ122bを検索の結果、特徴データ104bが有する複数の特徴と一致するとき、画像データ104aと、検出データDのいずれか一と、が一致すると判断することができる。さらに、特徴データが一致しているとプログラムが判断するときは、画像データ104aと画像データ122aを詳細に解析し、一致しているか判断してもよい。
ST139は、プログラムによって一致していると判断された履歴データ122cを更新するステップである。履歴データ122cのタイムスタンプと、アクセス回数を更新する。
ST140は、履歴データ122cが更新されたとき、画像データ122a、特徴データ122b、履歴データ122cは、検出データDから検出データBへ移動するステップである。深い階層の記憶装置に検索対象のデータが検出されたときは、プログラムによって、深い階層から一番浅い階層にデータを移動することができる。したがって、履歴データ122cが更新されることで、新しいデータとしで検索しやすい階層のデータとして使用することができる。
次に、第2の動作モードについて説明する。
第2の動作モードでは、第2の記憶装置105の履歴データ105cと、第3の記憶装置106の履歴データ106cと、第4の記憶装置122の履歴データ122cとを用いて、それぞれの画像データ、特徴データ、履歴データへのアクセス間隔と、アクセス回数と、に応じて整理を行う。
ST141は、プログラムが履歴データ105cを検索するステップである。履歴データ105cには、プログラムによって履歴データ105cが更新されたタイムスタンプが記録されている。また、過去に履歴データ105cが更新されたアクセス回数が積算されて記録されている。よってプログラムは、履歴データ105cが更新された最新のタイムスタンプから、履歴データ105cが更新されていない期間を非アクセス期間として算出することができる。
ST142は、設定された第1の非アクセス期間を超えた画像データ105a、特徴データ105b、履歴データ105cを、プログラムによって第2の記憶装置105の検出データBから第3の記憶装置106の検出データCに移動するステップである。非アクセス期間は、防犯システムの運用条件として設定できることが好ましい。非アクセス期間が大きい情報を、プログラムが第1の階層から第2の階層に移動させることによって、第2の記憶装置105に記録されたデータを少なくすることができる。さらに、プログラムによる検出データBを検索する時間を削減することができる。
アクセス頻度も、非アクセス期間と同様に扱うことができる。アクセス頻度は、防犯システムの運用条件として設定できることが好ましい。アクセス頻度が少ない検出データBを、プログラムが、第1の階層から第2の階層に移動させることによって、第2の記憶装置105に記録されたデータを少なくすることができる。
ST143は、プログラムが履歴データ106cを検索するステップである。ST141と同様の処理が行われるので説明を省略する。
ST144は、設定された第2の非アクセス期間を超えた画像データ106a、特徴データ106b、履歴データ106cを、プログラムが、第3の記憶装置106の検出データCから第4の記憶装置122の検出データDに移動させるステップである。
ST145は、プログラムが履歴データ122cを検索するステップである。ST141と同様の処理が行われるので説明を省略する。
ST146は、設定された第3の非アクセス期間を超えた画像データ122a、特徴データ122b、履歴データ122cを、消去するステップである。ST146aは履歴データ122cを消去し、ST46bは画像データ122a、特徴データ122bを消去する。アクセス回数を消去するための判断の一つに加えてもよい。例えば、第3の非アクセス期間を超えた情報であっても、アクセス回数が設定された回数以上であれば消去しなくてもよい。ただし、設定された第4の非アクセス期間を超えた場合は、ST146において消去することができる。
図5では、図4で示された情報及びデータ(以下ではデータとして表記する)のデータ構造について説明する。データ構造は、図4の登録データA、検出データB、検出データC、検出データDのデータに適用される。データは、特定データと、特徴データと、履歴データと、を有している。それぞれのデータ構造は、num、info、chara、recordで構成されている。
numは、データに与えられた追番であり、同じ番号が存在しないように必ず新しい番号が与えられる。この番号は、階層を移動しても変わらない。ただしデータ管理方法の中で最大値が決められたときは、最大値を超えたときに、最小値のデータから順に上書きされてもよい。又は、アクセス回数の少ないことを条件として上書きしてもよい。又は、アクセス間隔が長いことを条件として上書きしてもよい。もしくは、複数の条件を組み合わせて、上書きする条件としてもよい。
Infoは、プログラムが入力装置から受け取るデータである。例えば図4では、入力装置は撮像装置102なので画像データが与えられる。入力装置がマイクのときは、音声データが与えられる。Infoは、登録情報として与えられてもよい。したがってinfoは特定データとして管理することができる。
charaは、infoから抽出された特徴がchara1乃至chara5に与えられる。
例として図4のときは、chara1に年齢、chara2に性別、chara3に身長、chara4に顔面骨格(目、鼻、口などの大きさ、形状、位置)、chara5に服装などの特徴が与えられる。したがってcharaは特徴データとして管理することができる。特徴データは、それぞれの特徴に対して一つのコードが与えられていてもよい。図5では、図4を例として特徴データを五つの項目で示されたが、特徴データの数は限定されない。ただし、特徴データの数は、n以下の数字で管理される。nは、1以上の整数である。
recordは、record1と、record2と、で構成される。record1は、data1、data2、及びdata3で構成されている。record1は、特徴データが一致するときのタイムスタンプとして記録される。タイムスタンプの管理方法は、新しいタイムスタンプによってrecord1を更新するとき、data1の内容がdata2に移動し、data2の内容がdata3に移動し、data1に新しいタイムスタンプが更新される。図5では、例として3回分のアクセス履歴をタイムスタンプとして記録する。ただし、タイムスタンプの管理数は限定されない。タイムスタンプの管理数は、必要に応じてn以下の数字で管理される。
Record2は、特徴データが一致するときにアクセス回数がカウントアップされる。Record2はタイムスタンプが更新された回数を積算して管理することができる。したがって、recordは、履歴データとして管理することができる。
防犯システムでは、過去に訪問を受けた人物の中から不審な人物の記録を残すことを目的としている。過去に取得されたデータの中から検索をするとき、本実施の形態のデータ管理方法を用いることができる。検索対象は、特徴データと、履歴データから、選択対象が属するカテゴリーを選択してデータの抽出を行うことができる。また複数の階層を有する記憶装置によって、データの保持期間を大きく伸ばすことができる。
さらに、初めて検出データに登録された人物、第2の動作モードで稼働している時間帯に訪れる人物、又は登録された特定の人物に対して、警告、注意などの情報を付与してもよい。警告、注意などの情報が付与されたとき、ネットワークを介して、電子機器51や、情報端末52にメールや、電話による通知、振動素子によるバイブレーション、もしくは電子機器51や、情報端末52が有する表示装置に注意喚起を呼びかける情報の表示をしてもよい。電子機器51や、情報端末52は、警備室などカメラが設置されている場所から離れた場所に設置されていてもよいし、警備員が有する情報端末52であってもよい。
したがって、本実施の形態のデータ管理方法を用いた防犯システムでは、過去の記録を管理することができる。さらに、データ管理方法を用いた防犯システムでは、撮像装置102で撮影された人物の特徴を抽出し、過去に取得されたデータと比較することで、リアルタイムな検出結果を通知することができる。
上記と異なる例として空港の受付カウンターにて、登録情報に注意人物を登録することで、注意人物を抽出してもよい。また、特徴データが一致するにも関わらず、異なる証明書を用いた入国頻度の高い人物を抽出することもできる。
以上、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、センサからの情報を用いたデータ管理方法について、図6を用いて説明する。
図6(A)は、図1で示されたデータ管理方法を用いた遠隔管理システムについて説明をする。例えば、人の行動をサポートするロボットについて説明する。人の行動をサポートするロボットは、看護、介護、及び介助の現場での利用が進められている。ここでは看護をするロボット(以下、看護ロボット40と表記する)を用いて説明を進める。
看護ロボット40は、患者の情報を収集し、医療機関に対し情報を通知する機能を有していることが好ましい。看護サポートの種類は、病気の種類、行動の範囲により、必要とされるサポートも異なっている。また、看護ロボット40は、看護ロボット40で対応が可能か、医療機関での治療が必要かを判断できることが好ましい。医療機関での人的対応が必要のときは、医療機関に対して通知する機能を有していることが好ましい。
患者の状態を通知するとき、複数のセンサから収集された情報を通知することが好ましい。収集する情報は、発生頻度、発生の状況、及び発生の環境などが含まれていることが好ましい。
看護ロボット40は、入力装置と、通信モジュール43と、記憶装置44と、を有している。入力装置は、撮像装置41と、マイク42と、を有している。患者は、ウエアラブル可能な着脱式のセンサモジュール45を有している。センサモジュール45は、生体センサとして利用される計測器(心拍計、体温計、呼吸、血流計)などを備え、計測機は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)のいずれか一、もしくは、複数のセンサによって構成されている。またセンサモジュール45は、通信モジュール45aを有している。センサモジュール45は、通信モジュール45aを介して、センサモジュール45で計測された情報を看護ロボット40に対して送信する機能を有している。看護ロボット40は、通信モジュール43を介してセンサモジュール45に計測の命令をすることができる。
患者が生体センサとして利用される計測器の一部を体内に埋めこむことができる。看護ロボット40は体内に埋めこまれた生体センサを用いることで、情報をより正確に計測することができる。
患者46乃至患者48は、患者の行動を例に示す。患者46は、歩行している状態である。心拍計、加速度センサ、及び温度センサなどの情報から、歩行しているときの、患者の生体情報を収集することができる。心拍計は、決められた時間間隔の心拍の数を計測する方法を有している。さらに、心拍計は、行動の状態によって心拍数の変化を計測できることが好ましい。
例えば、看護ロボット40は、撮像装置41を用いて患者の動作を認識することができる。よって、歩き始め、歩行中、歩行の状態から立ち止まったときなど、行動ごとの心拍数をセンサモジュール45によって計測することができる。歩行中の状況は、加速度センサから規則正しい歩行がされているか、心拍数の乱れと歩行中の加速度センサに異常がないかを検出することができる。さらに、歩き始めたとき、もしくは立ち止まったときの心拍数に乱れがないかを、撮像装置41と、心拍計と、加速度センサと、を利用することで検出することができる。
センサモジュール45は、患者の体温を計測する温度センサと、環境の温度を計測する温度センサのいずれか一つ、もしくは二つを有していることが好ましい。二つの温度センサを有することで、環境の温度と、患者の体温の差が、心拍数や、加速度センサによる歩行の乱れなどセンサで検出された情報と、患者47のように障害物がないのにつまずく又は転ぶなどの動作の情報と、を関連付けて管理することができる。
センサモジュール45からの情報と、看護ロボット40が有する入力装置からの情報と、を、関連付けて管理することができる。例えば、患者の一日の行動の中で、朝方の歩行データと、日中の歩行データと、夜間もしくは就寝前の歩行データを比較することで、朝方の歩行データには、心拍数と体温が低く、つまずきやすい時間帯などを抽出することができる。したがって、看護ロボット40は患者の朝方の歩行には注意してサポートすることができる。さらに、患者46のように、通常の歩行をしていても、センサモジュール45から心拍数と体温の急激な変化が検出されたときは、看護ロボット40は、医療機関に通知することができる。
患者48は、座っている状態を示している。看護ロボット40は、座っている状態から立ち上がるとき、又は立っている状態から座るとき、もしくは座っているときの状態のそれぞれの状態についてセンサモジュール45からの情報と、入力装置からの情報とを、組み合わせて管理することができる。患者48が立ち上がるとき体内の血流の流れが変わるため、めまいや立ちくらみなどが発生することが知られている。転ぶと頭を打つなどして、けがをすることがある。
看護ロボット40は、患者の身に着けるセンサモジュール45からの情報から、心拍数の増大や、血圧の低下が連続して計測されたことを、医療機関に通知することができる。めまいや立ちくらみなどの症状は発生していないが、心臓などへの負担が大きくなっている可能性を、日常の生活もしくは入院中の生活から抽出することができる。したがって医療機関では、症状が悪化する前に適切な処置をすることができるため、看護ロボット40によって患者の健康を管理することができる。
看護ロボット40の情報は、ネットワークを介して、サーバ120に集められ集計されてもよい。サーバ120は、医療機関内に設置され、医師や、看護師の有する電子機器51、情報端末52への通知することができる。又は、電子機器51、情報端末52からサーバ120を閲覧することができる。もしくは、サーバ120を閲覧するためのパスワードを備えてもよい。パスワードには、サーバ120の閲覧できる範囲に制限をかけることができる。パスワードをも備えることで、医療機関と、患者もしくは患者の家族が閲覧できる情報が異なっていてもよい。
医療機関は、データ管理方法を用いた看護ロボット40を用いることで患者の健康を管理することができる。看護ロボット40を利用する遠隔管理システムは、医療機関もしくは自宅などの遠隔な地域で療養中であっても、看護ロボット40を用いた情報の収集をすることができる。サーバ120は、必ずしも医療機関に設置されなくてもよい。医療機関からネットワークを介して情報を閲覧もしくは解析できればよい。
図6(B)では、図5で示されたデータ構造と異なる点について説明する。
Infoは、プログラムが入力装置から受け取るデータである。例えば図5では、入力装置は撮像装置41とマイク42とを有しているため、画像データ41aと音声データ41bと、の二つが与えられる。したがってinfoは、画像データ41aと音声データ41bと、の二つを特定データとして管理することができる。
Charaは、infoに関連する情報として、infoが抽出する、行動に関わる情報と、センサモジュール45によって計測された情報と、が、特徴としてchara1乃至chara5に与えられる。例として図6(A)のときは、chara1に入力装置で検出された画像から歩行している行動の情報が抽出され記録される。chara2には、歩行する前は座っていたことが行動の情報として記録される。chara3には、歩行しているときのセンサモジュール45で計測された心拍数が記録される。chara4には、歩行する前に座っていたときのセンサモジュール45で計測された心拍数が記録される。chara5には、歩行中のセンサモジュール45で計測された体温などが特徴として記録される。図6では、特徴データを五つの項目で示されたが、特徴データの数は限定されない。特徴データの数は、n以下の数字で管理される。nは、1以上の整数である。
recordは、行動の情報が更新されることで、履歴データも更新される。よって、同じような行動、生体情報の変化を集計して解析することができる。医療機関では、特定データに関連する生体情報の変化を、治療もしくは、治療するときの判断項目の一つとして利用することができる。
以上、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、電子機器51又は情報端末52が有するビューア又はブラウザのアクセス履歴情報を用いたデータ管理方法について、図7を用いて説明する。
図7(A)が、図5及び図6(B)で示されたデータ構造と異なる点について説明する。
電子機器51又は情報端末52では、プログラム又は利用者によってビューア又はブラウザを用いてアクセスされた、アクセス先の履歴を記録することができる。例えば、インターネットに接続するブラウザでは、HTTPによって、様々なコンテンツの送受信に用いられる。HTTPはユニークなデータであり、インターネットに接続されたサーバとデータの送受信をすることができる。よって、指定されたサーバにアクセスされたアドレス情報は、インターネット上に一つしかないアドレス情報と考えることができる。図7(A)で示すinfoは、サーバが有するアドレス情報が記録されてもよい。
また電子機器51又は情報端末52有する記憶装置に記録されている情報ファイルは、プログラムが情報ファイルにアクセスするためのルートデータを有している。ルートデータは、電子機器51又は情報端末52に記録された情報ファイルにアクセスするためのユニークな情報であり、一つしかないアドレス情報と考えることができる。図7(A)で示すinfoは、情報ファイルにアクセスするためのルートデータが記録されてもよい。
インターネットを介してサーバにアクセスするためのアドレス情報と、プログラムが情報ファイルにアクセスするためのルートデータは、ユニークな情報である。したがって、アドレス情報とルートデータは、特定データと、特徴データと、の二つの意味を備えている。
プログラムは、recordに記憶されている履歴データを更新していくことで、アドレス情報とルートデータのアクセス履歴を集計することができる。
図7(B)では、電子機器51又は情報端末52が有するビューア又はブラウザのアクセス履歴を用いたデータ管理方法を示す。例として、電子機器51は、ブラウザに対しアドレス情報を入力することができる入力ボックス60と、履歴表示エリア61を有している。ブラウザは、非アクセス期間の設定をすることができる。非アクセス期間は、アクセス履歴が増大することで記憶装置の記憶容量が少なくなることを防止するために設定される。非アクセス期間はdays62に日数として設定される。days62の日数は、1以上の整数として設定することができる。days62は、システム的に設定されてもよい。もしくは利用者によって設定されてもよい。
図7(B)では、アクセス履歴として、アドレス情報(1)乃至アドレス情報(7)を有している例を示している。履歴表示エリア61には、アクセス履歴が表示されている。
ブラウザは、入力ボックス60と、履歴表示エリア61と、表示オブジェクト63とを有している。履歴表示エリア61は、表示を隠せる機能を有してもよい。表示オブジェクト63は、入力ボックス60又は履歴表示エリア61のいずれかの表示と一緒に表示されることが好ましい。
アドレス情報が入力ボックス60に入力され、インターネット上のサーバにアクセスされると、アドレス情報は、アドレス情報(1)として最新のアクセスデータとして更新される。プログラムは、それぞれのアドレス情報(1)乃至(7)のdata1に記録されている最新のタイムスタンプから非アクセス日数を算出する。図7では、例としてdata1を用いて算出された非アクセス日数を表示する。非アクセス日数が、days62に設定された日数より小さいときは、履歴表示エリア61に、非アクセス日数が小さい順に表示することができる。非アクセス日数は、アドレス情報に付与して表示してもよい。
非アクセス日数が、アドレス情報(7)のようにdays62より大きいときは消去することができる。ただし、ブラウザは、非アクセス日数を超えたアドレス情報をブラウザの判断で消去する又は消去しないを選択する機能を有していることが好ましい。ブラウザの判断で消去しないが選択されているときは、アドレス情報(7)のように非アクセス日数が、days62より大きいときでも、アドレス情報(7)は消去されない。
図7(C)では、一例としてアクセス回数の大きいアドレス情報を優先的に表示する方法を示す。図7(B)と同じ情報を、アクセス履歴として用いて説明する。図7(C)では、record2に記録されているアクセス回数を用いてアクセス履歴が表示される。図7(C)では、表示リストの最上位に、最もアクセス回数の大きいアドレス情報(6)が表示される。アドレス情報(6)はrecord2=45が記録されており、プログラム又は利用者によってアクセスされた回数が一番多い。次にアクセス回数が多いアドレス情報(2)はrecord2=12が記憶されており、リストの2番目に表示されている。
表示オブジェクト63をクリックすることで、図7(B)で示された非アクセス日数が小さい順に表示する方法と、図7(C)で示されたアクセス回数の大きい順に表示する方法を切り替えることができる。
図7では、アドレス情報をデータ管理方法によって管理することで、過去使用されたアドレス情報の中で、アクセス頻度の少ないアドレス情報や、非アクセス日数が大きくなり再びアクセスされることのないアドレス情報を消去することができる。したがって、電子機器51又は情報端末52の記憶装置に記録される情報は、利用価値の高いアドレス情報をアクセスしやすくすることで利便性を向上させ、再利用される確率の低いアドレス情報を削除することで、記憶装置の容量を適切に使用することができる。
以上、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置の一例について説明する。
<半導体装置の構成例1>
図8(A)、図8(B)、及び図8(C)は、本発明の一態様に係るトランジスタ200、及びトランジスタ200周辺の上面図及び断面図である。
図8(A)は、トランジスタ200を有する半導体装置の上面図である。また、図8(B)、及び図8(C)は該半導体装置の断面図である。ここで、図8(B)は、図8(A)にA1−A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。また、図8(C)は、図8(A)にA3−A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。図8(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
本発明の一態様の半導体装置は、トランジスタ200と、層間膜として機能する絶縁体210、絶縁体212、絶縁体280を有する。また、トランジスタ200と電気的に接続し、配線として機能する導電体203(導電体203a、及び導電体203b)、及びプラグとして機能する導電体252(導電体252a、及び導電体252b)とを有する。
なお、導電体203は、絶縁体212の開口の内壁に接して導電体203aが形成され、さらに内側に導電体203bが形成されている。ここで、導電体203の上面の高さと、絶縁体212の上面の高さは同程度にできる。なお、トランジスタ200では、導電体203a及び導電体203bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体203bのみを設ける構成にしてもよい。
また、導電体252は、絶縁体280の開口の内壁に接して形成されている。ここで、導電体252の上面の高さと、絶縁体280の上面の高さは同程度にできる。なお、トランジスタ200では、導電体252が単層である構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体252は、2層以上の積層構造でもよい。
[トランジスタ200]
図8に示すように、トランジスタ200は、基板(図示せず)の上に配置された絶縁体214及び絶縁体216と、絶縁体214及び絶縁体216に埋め込まれるように配置された導電体205と、絶縁体216と導電体205の上に配置された絶縁体220と、絶縁体220の上に配置された絶縁体222と、絶縁体222の上に配置された絶縁体224と、絶縁体224の上に配置された酸化物230(酸化物230a、酸化物230b、及び酸化物230c)と、酸化物230の上に配置された絶縁体250と、絶縁体250の上に配置された導電体260(導電体260a、及び導電体260b)と、導電体260の上に配置された絶縁体270と、少なくとも絶縁体250、及び導電体260の側面に接して配置された絶縁体272と、酸化物230、及び絶縁体272と接して配置された絶縁体274と、を有する。
なお、トランジスタ200では、酸化物230a、及び酸化物230bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、図10に示すように、酸化物230a、酸化物230b、及び酸化物230cの3層構造、又は3層以上の積層構造としてもよい。また、酸化物230bのみの単層、又は酸化物230bと酸化物230cのみを設ける構成にしてもよい。また、トランジスタ200では、導電体260a及び導電体260bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体260bのみを設ける構成にしてもよい。
ここで、図8(B)における破線で囲む、チャネル近傍の領域239の拡大図を図9に示す。図9に示すように、酸化物230は、領域231(領域231a、及び領域231b)、領域232(領域232a、及び領域232b)、領域233(領域233a、及び領域233b)、及び領域234、領域231bを有する。
領域231、領域232、領域233は、キャリア密度が高い、低抵抗化する領域である。特に、領域231は、他の領域よりも、キャリア密度を高くすることで、ソース領域、又はドレイン領域として機能する場合がある。また、領域234は、他の領域よりも、キャリア密度が低いため、領域234の少なくとも一部は、チャネルが形成される領域として機能する場合がある。
また、領域232、及び領域233は、ソース領域又はドレイン領域と、チャネルが形成される領域との間に配置された領域である。領域233は、領域234よりもキャリア密度が高く、領域232、及び領域231よりもキャリア密度が低い領域である。また、領域232は、領域234、領域233よりもキャリア密度が高く、領域231よりもキャリア密度が低い領域である。
領域232、及び領域233を設けることで、ソース領域及びドレイン領域として機能する領域231と、チャネルが形成される領域234との間に高抵抗領域が形成されず、トランジスタのオン電流を大きくすることができる。
また、領域233は、ゲート電極として機能する導電体260と重なる、いわゆるオーバーラップ領域(Lov領域ともいう)として機能する場合がある。
領域231は、絶縁体274と接し、インジウムなどの金属元素、並びに水素、及び窒素などの不純物元素、の少なくとも一の濃度が領域232、領域233、及び領域234よりも大きいことが好ましい。
領域232は、絶縁体272と重畳する領域を有する。領域232は、領域231と、領域233との間に配置しており、インジウムなどの金属元素、並びに水素、及び窒素などの不純物元素、の少なくとも一の濃度が領域233、及び領域234よりも大きいことが好ましい。一方、インジウムなどの金属元素、並びに水素、及び窒素などの不純物元素、の少なくとも一の濃度が領域231よりも、小さいことが好ましい。
領域233は、導電体260と重畳する領域を有する。領域233は、領域232と、領域234との間に配置しており、インジウムなどの金属元素、並びに水素、及び窒素などの不純物元素、の少なくとも一の濃度が領域234よりも大きいことが好ましい。一方、インジウムなどの金属元素、並びに水素、及び窒素などの不純物元素、の少なくとも一の濃度が領域231、及び領域234よりも、小さいことが好ましい。
領域234は、導電体260と重畳する。領域234は、領域233aと、領域233bとの間に配置しており、インジウムなどの金属元素、並びに水素、及び窒素などの不純物元素、の少なくとも一の濃度が領域231、領域232、及び領域233よりも、小さいことが好ましい。
なお、酸化物230において、領域231の少なくとも一部、又は領域231は、ソース領域、又はドレイン領域として機能する場合がある。また、酸化物230において、領域234の少なくとも一部は、チャネルが形成される領域として機能する場合がある。
また、酸化物230において、領域231、領域232、領域233、及び領域234の境界は明確に検出できない場合がある。各領域内で検出されるインジウムなどの金属元素、並びに水素、及び窒素などの不純物元素の濃度は、領域ごとの段階的な変化に限らず、各領域内でも連続的に変化(グラデーションともいう)していてもよい。つまり、領域231から領域232へ、領域232から領域233へと、領域234に近い領域であるほど、インジウムなどの金属元素、並びに水素、及び窒素などの不純物元素の濃度が減少していればよい。
また、図9では、領域234、領域231、領域232、及び領域233が、酸化物230a、及び酸化物230bに形成されているが、これに限られることなく、例えばこれらの領域は少なくとも酸化物230bに形成されていればよい。また、図8、及び図9では、各領域の境界を、酸化物230の上面に対して略垂直に表示しているが、本実施の形態はこれに限られるものではない。例えば、領域233が酸化物230bの表面近傍では導電体260側に張り出し、酸化物230aの下面近傍では、導電体252a側又は導電体252b側に後退する形状になる場合がある。
なお、トランジスタ200において、酸化物230は、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう)を用いることが好ましい。酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流(オフ電流)が小さいため、低消費電力の半導体装置が提供できる。また、酸化物半導体は、スパッタリング法などを用いて成膜できるため、高集積型の半導体装置を構成するトランジスタに用いることができる。
一方で、酸化物半導体を用いたトランジスタは、酸化物半導体中の不純物及び酸素欠損によって、その電気特性が変動しやすく、信頼性が悪くなる場合がある。また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。したがって、酸素欠損が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の酸素欠損はできる限り低減されていることが好ましい。
特に、酸化物230におけるチャネルが形成される領域234と、ゲート絶縁膜として機能する絶縁体250との界面に、酸素欠損が存在すると、電気特性の変動が生じやすく、また信頼性が悪くなる場合がある。
そこで、酸化物230の領域234と接する絶縁体250が化学量論的組成を満たす酸素(過剰酸素ともいう)よりも多くの酸素を含むことが好ましい。つまり、絶縁体250が有する過剰酸素が、領域234へと拡散することで、領域234中の酸素欠損を低減することができる。
また、絶縁体250と接して、絶縁体272を設けることが好ましい。例えば、絶縁体272は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の少なくとも一の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)ことが好ましい。絶縁体272が、酸素の拡散を抑制する機能を有することで、過剰酸素領域の酸素は絶縁体274側へ拡散することなく、効率よく領域234へ供給される。したがって、酸化物230と、絶縁体250との界面における酸素欠損の形成が抑制され、トランジスタ200の信頼性を向上させることができる。
さらに、トランジスタ200は、水又は水素などの不純物の混入を防ぐバリア性を有する絶縁体で覆われていることが好ましい。バリア性を有する絶縁体とは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい)絶縁性材料を用いた絶縁体である。また、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の少なくとも一の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。
例えば、トランジスタ200を、絶縁体222上に設ける。また、トランジスタ200を覆うように、絶縁体274を設ける。絶縁体222と、絶縁体274とが、トランジスタ200の外縁で接する構造とすることで、トランジスタ200を、バリア性を有する絶縁体で囲むことができる。当該構造により、水素、水などの不純物がトランジスタ200に混入することを抑制することができる。又は、絶縁体224、及び絶縁体250に含まれる酸素が、トランジスタ200から、層間膜へと拡散することを抑制することができる。
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置の詳細な構成について説明する。
第2のゲート電極として機能する導電体205は、酸化物230及び導電体260と重なるように配置する。また、導電体205は、導電体203の上に接して設けられることが好ましい。
ここで、導電体205は、酸化物230における領域234よりも、大きく設けるとよい。特に、導電体205は、酸化物230の領域234がチャネル幅方向と交わる端部よりも外側の領域においても、延伸していることが好ましい。つまり、酸化物230のチャネル幅方向における側面において、導電体205と、導電体260とは、絶縁体を介して重畳していることが好ましい。
ここで、導電体260は、第1のゲート(トップゲートともいう)電極として機能する場合がある。また、導電体205は、第2のゲート(バックゲートともいう)電極として機能する場合がある。その場合、導電体205に印加する電位を、導電体260に印加する電位と、連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ200のしきい値電圧を制御することができる。特に、導電体205に負の電位を印加することにより、トランジスタ200のしきい値電圧を0Vより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体260に印加する電圧が0Vのときのドレイン電流(Icut)を小さくすることができる。なお、本明細書等で、Icutとは、トランジスタ200のスイッチング動作を制御するゲート電極の電圧が0Vのときのドレイン電流のことを指す。
また、図8(A)に示すように、導電体205は、酸化物230、及び導電体260と重なるように配置する。ここで、酸化物230のチャネル幅方向(W長方向)と交わる端部よりも外側の領域においても、導電体205は、導電体260と、重畳するように配置することが好ましい。つまり、酸化物230の側面の外側において、導電体205と、導電体260とは、絶縁体を介して重畳していることが好ましい。
上記構成を有することで、導電体260、及び導電体205に電位を印加する場合、導電体260から生じる電界と、導電体205から生じる電界と、がつながることで、閉回路を形成し、酸化物230に形成されるチャネル形成領域を覆うことができる。
つまり、第1のゲート電極としての機能を有する導電体260の電界と、第2のゲート電極としての機能を有する導電体205の電界によって、領域234のチャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。本明細書において、第1のゲート電極、及び第2のゲート電極の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(S−channel)構造とよぶ。
導電体205は、絶縁体214及び絶縁体216の開口の内壁に接して導電体205aが形成され、さらに内側に導電体205bが形成されている。ここで、導電体205a及び導電体205bの上面の高さと、絶縁体216の上面の高さは同程度にできる。なお、トランジスタ200では、導電体205a及び導電体205bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体205bのみを設ける構成にしてもよい。
なお、導電体203は、導電体260と同様にチャネル幅方向に延伸されており、導電体205、すなわち第2のゲート電極に電位を印加する配線として機能する。ここで、第2のゲート電極の配線として機能する導電体203の上に積層して、絶縁体214及び絶縁体216に埋め込まれた導電体205を設ける。導電体203上に導電体205を設けることで、第1のゲート電極、及び配線としての機能を有する導電体260と、導電体203との距離を適宜設計することが可能となる。つまり、導電体203と導電体260の間に絶縁体214及び絶縁体216などが設けられ、導電体203と導電体260の間の寄生容量を低減し、絶縁耐圧を高めることができる。
また、導電体203と導電体260の間の寄生容量を低減することで、トランジスタのスイッチング速度を向上させ、高い周波数特性を有するトランジスタにすることができる。また、導電体203と導電体260の間の絶縁耐圧を高めることで、トランジスタ200の信頼性を向上させることができる。よって、絶縁体214及び絶縁体216の膜厚を大きくすることが好ましい。なお、導電体203の延伸方向はこれに限られず、例えば、トランジスタ200のチャネル長方向に延伸されてもよい。
ここで、導電体205a及び導電体203aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい)導電性材料を用いることが好ましい。又は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の少なくとも一の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)導電性材料を用いることが好ましい。なお、本明細書において、不純物、又は酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不純物、又は上記酸素のいずれか一又は、すべての拡散を抑制する機能とする。
導電体205a、及び導電体203aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、導電体205b及び導電体203bが酸化して導電率が低下することを防ぐことができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム又は酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。したがって、導電体205a、及び導電体203aとしては、上記導電性材料を単層又は積層とすればよい。これにより、絶縁体210より基板側から、水素、水などの不純物が、導電体203、及び導電体205を通じて、トランジスタ200側に拡散するのを抑制することができる。
また、導電体205bは、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。なお、導電体205bを単層で図示するが、積層構造としても良く、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
また、導電体203bは、配線として機能するため、導電体205bより導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体203bは積層構造としても良く、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
特に、導電体203に、銅を用いることが好ましい。銅は抵抗が小さいため、配線等に用いることが好ましい。一方、銅は拡散しやすいため、酸化物230に拡散することで、トランジスタ200の特性を低下させる場合がある。そこで、絶縁体214には、銅の透過性が低い酸化アルミニウム、又は酸化ハフニウムなどの材料を用いることで、銅の拡散を抑えることができる。
絶縁体210及び絶縁体214は、水又は水素などの不純物が、基板側からトランジスタに混入するのを防ぐバリア絶縁膜として機能することが好ましい。したがって、絶縁体210及び絶縁体214は、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。又は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の少なくとも一の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。
例えば、絶縁体210として酸化アルミニウムなどを用い、絶縁体214として窒化シリコンなどを用いることが好ましい。これにより、水素、水などの不純物が絶縁体210及び絶縁体214よりトランジスタ側に拡散するのを抑制することができる。又は、絶縁体224などに含まれる酸素が、絶縁体210及び絶縁体214より基板側に、拡散するのを抑制することができる。
また、導電体203の上に導電体205を積層して設ける構成にすることにより、導電体203と導電体205の間に絶縁体214を設けることができる。ここで、導電体203bに銅など拡散しやすい金属を用いても、絶縁体214として窒化シリコンなどを設けることにより、当該金属が絶縁体214より上の層に拡散するのを防ぐことができる。
また、層間膜として機能する絶縁体212、絶縁体216、及び絶縁体280は、絶縁体210、又は絶縁体214よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
例えば、絶縁体212、絶縁体216、及び絶縁体280として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)又は(Ba,Sr)TiO3(BST)などの絶縁体を単層又は積層で用いることができる。又はこれらの絶縁体に例えば酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。又はこれらの絶縁体を窒化処理しても良い。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコン又は窒化シリコンを積層して用いてもよい。
絶縁体220、絶縁体222、及び絶縁体224は、ゲート絶縁体としての機能を有する。
ここで、酸化物230と接する絶縁体224は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁体を用いることが好ましい。つまり、絶縁体224には、過剰酸素領域が形成されていることが好ましい。このような過剰酸素を含む絶縁体を酸化物230に接して設けることにより、酸化物230中の酸素欠損を低減し、信頼性を向上させることができる。
過剰酸素領域を有する絶縁体として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する酸化物とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、又は100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
また、絶縁体224が、過剰酸素領域を有する場合、絶縁体222は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の少なくとも一の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)ことが好ましい。
絶縁体222が、酸素の拡散を抑制する機能を有することで、過剰酸素領域の酸素は、絶縁体220側へ拡散することなく、効率よく酸化物230へ供給することができる。また、導電体205が、絶縁体224が有する過剰酸素領域の酸素と反応することを抑制することができる。
絶縁体222は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)又は(Ba,Sr)TiO3(BST)などのいわゆるhigh−k材料を含む絶縁体を単層又は積層で用いることが好ましい。ゲート絶縁体として機能する絶縁体に、high−k材料を用いることで、トランジスタの微細化、及び高集積化が可能となる。特に、酸化アルミニウム、及び酸化ハフニウム、などの、不純物、及び酸素などの拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。このような材料を用いて形成された場合、酸化物230からの酸素の放出や、トランジスタ200の周辺部からの水素等の不純物の混入を防ぐ層として機能する。
又は、これらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。又はこれらの絶縁体を窒化処理しても良い。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコン又は窒化シリコンを積層して用いてもよい。
また、絶縁体220は、熱的に安定していることが好ましい。例えば、酸化シリコン及び酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、high−k材料の絶縁体と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。
なお、絶縁体220、絶縁体222、及び絶縁体224が、2層以上の積層構造を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる積層構造でもよい。
酸化物230は、酸化物230bと、酸化物230b上の酸化物230cと、を有する。また、酸化物230は、領域231、領域232、領域233、及び領域234を有する。なお、領域231の少なくとも一部は、絶縁体274と接し、インジウムなどの金属元素、水素、及び窒素の少なくとも一の濃度が領域234よりも大きいことが好ましい。
トランジスタ200をオンさせると、領域231a、又は領域231bは、ソース領域、又はドレイン領域として機能する。一方、領域234の少なくとも一部は、チャネルが形成される領域として機能する。
ここで、図9に示すように、酸化物230は、領域233、及び領域234を有することが好ましい。当該構成とすることで、トランジスタ200において、オン電流を大きくし、かつ、非導通時のリーク電流(オフ電流)を小さくすることができる。
また、酸化物230a上に、酸化物230bを有することで、酸化物230aよりも下方に形成された構造物から、酸化物230bに対する不純物の拡散を抑制することができる。また、図10に示すように、酸化物230c下に、酸化物230bを有することで、酸化物230cよりも上方に形成された構造物から、酸化物230bに対する不純物の拡散を抑制することができる。
また、酸化物230の側面と、酸化物230の上面との間に、湾曲面を有する。つまり、側面の端部と上面の端部は、湾曲していることが好ましい(以下、ラウンド状ともいう)。湾曲面は、例えば、酸化物230bの端部において、曲率半径が、3nm以上10nm以下、好ましくは、5nm以上6nm以下とすることが好ましい。
酸化物230は、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう)を用いることが好ましい。例えば、領域234となる金属酸化物としては、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。このように、エネルギーギャップの広い金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が小さいため、低消費電力の半導体装置が提供できる。また、酸化物半導体は、スパッタリング法などを用いて成膜できるため、高集積型の半導体装置を構成するトランジスタに用いることができる。
例えば、酸化物230として、In−M−Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はマグネシウムなどから選ばれた一種、又は複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。また、酸化物230として、In−Ga酸化物、In−Zn酸化物を用いてもよい。
ここで、酸化物230の領域234にについて説明する。
領域234は、各金属原子の原子数比が異なる酸化物により、積層構造を有することが好ましい。具体的には、酸化物230a、及び酸化物230bの積層構造を有する場合、酸化物230aに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物230aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物230aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。なお、図10に示すように、酸化物230cを有する場合、酸化物230cは、酸化物230a又は酸化物230bに用いることができる金属酸化物を、用いることができる。
続いて、酸化物230の領域231、領域232、及び領域233について説明する。
領域231、領域232、及び領域233は、酸化物230として設けられた金属酸化物に、インジウムなどの金属原子、又は不純物を添加し、低抵抗された領域である。なお、各領域は、少なくとも、領域234における酸化物230bよりも、導電性が高い。なお、領域231、領域232、及び領域233に、不純物を添加するために、例えば、プラズマ処理、イオン化された原料ガスを質量分離して添加するイオン注入法、イオン化された原料ガスを質量分離せずに添加するイオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いて、インジウムなどの金属元素、及び不純物の少なくとも一であるドーパントを添加すればよい。
つまり、領域231、領域232、及び領域233において、酸化物230のインジウムなどの金属原子の含有率を高くすることで、電子移動度を高くし、低抵抗化を図ることができる。
又は、酸化物230に接して、不純物となる元素を含む絶縁体274を成膜することで、領域231、領域232、及び領域233に、不純物を添加することができる。
つまり、領域231、領域232、及び領域233は、酸素欠損を形成する元素、又は酸素欠損に捕獲される元素を添加されることで低抵抗化される。このような元素としては、代表的には水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、リン、硫黄、塩素、チタン、希ガス等が挙げられる。また、希ガス元素の代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及びキセノン等がある。よって、領域231、領域232、及び領域233は、上記元素の一つ又は複数を含む構成にすればよい。
なお、図8、及び図9では、領域234、領域231、領域232、及び領域233が、酸化物230a、及び酸化物230bに形成されているが、これに限られることなく、例えばこれらの領域は少なくとも酸化物230bに形成されていればよい。また、図8、及び図9では、各領域の境界を、酸化物230の上面に対して略垂直に表示しているが、本実施の形態はこれに限られるものではない。例えば、領域233が酸化物230bの表面近傍では導電体260側に張り出し、酸化物230aの下面近傍では、導電体252a側又は導電体252b側に後退する形状になる場合がある。
また、トランジスタ200において、領域233、及び領域232を設けることで、ソース領域及びドレイン領域として機能する領域231と、チャネルが形成される領域234との間に高抵抗領域が形成されないため、トランジスタのオン電流、及び移動度を大きくすることができる。また、領域233を有することで、チャネル長方向において、ソース領域及びドレイン領域と、ゲートとが重ならないため、不要な容量が形成されるのを抑制することができる。また、領域233を有することで、非導通時のリーク電流を小さくすることができる。
したがって、領域231a、及び領域231bの範囲を適宜選択することにより、回路設計に合わせて、要求に見合う電気特性を有するトランジスタを容易に提供することができる。
絶縁体250は、ゲート絶縁膜として機能する。図8(b)で示す絶縁体250は、酸化物230bの上面に接して配置することが好ましい。もしくは、図10(b)で示す絶縁体250は、酸化物230cの上面に接して配置することが好ましい。絶縁体250は、加熱により酸素が放出される絶縁体を用いて形成することが好ましい。例えば、昇温脱離ガス分光法分析(TDS分析)にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、又は100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。
例えば、加熱により酸素が放出される絶縁体を、絶縁体250として、酸化物230cの上面に接して設けることにより、酸化物230bの領域234に効果的に酸素を供給することができる。また、絶縁体224と同様に、絶縁体250中の水又は水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体250の膜厚は、1nm以上20nm以下とするのが好ましい。
第1のゲート電極として機能する導電体260は、導電体260a、及び導電体260a上の導電体260bを有する。導電体260aは、導電性酸化物を用いることが好ましい。例えば、酸化物230a又は酸化物230bとして用いることができる金属酸化物を用いることができる。特に、In−Ga−Zn系酸化物のうち、導電性が高い、金属の原子数比が[In]:[Ga]:[Zn]=4:2:3から4.1、及びその近傍値のものを用いることが好ましい。このような導電体260aを設けることで、導電体260bへの酸素の透過を抑制し、酸化によって導電体260bの電気抵抗値が増加することを防ぐことができる。
また、このような導電性酸化物を、スパッタリング法を用いて成膜することで、絶縁体250に酸素を添加し、酸化物230bに酸素を供給することが可能となる。これにより、酸化物230の領域426aの酸素欠損を低減することができる。
導電体260bは、例えばタングステンなどの金属を用いることができる。また、導電体260bとして、導電体260aに窒素などの不純物を添加して導電体260aの導電性を向上できる導電体を用いてもよい。例えば導電体260bは、窒化チタンなどを用いることが好ましい。また、導電体260bを、窒化チタンなどの金属窒化物と、その上にタングステンなどの金属が積層された構造にしてもよい。
また、図8(C)に示すように、導電体205が、酸化物230のチャネル幅方向と交わる端部よりも外側の領域において、延伸している場合、導電体260は、該領域において、絶縁体250を介して、重畳していることが好ましい。つまり、酸化物230の側面の外側において、導電体205と、絶縁体250と、導電体260とは、積層構造を形成することが好ましい。
上記構成を有することで、導電体260、及び導電体205に電位を印加する場合、導電体260から生じる電界と、導電体205から生じる電界と、がつながることで、閉回路を形成し、酸化物230に形成されるチャネル形成領域を覆うことができる。
つまり、第1のゲート電極としての機能を有する導電体260の電界と、第2のゲート電極としての機能を有する導電体205の電界によって、領域234のチャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。
また、導電体260bの上に、ハードマスクとして機能する絶縁体270を配置してもよい。絶縁体270を設けることで、導電体260の加工の際、導電体260の側面が概略垂直、具体的には、導電体260の側面と基板表面のなす角を、75度以上100度以下、好ましくは80度以上95度以下とすることができる。導電体をこのような形状に加工することで、次に形成する絶縁体272を所望の形状に形成することができる。
また、バリア膜として機能する絶縁体272を、絶縁体250、導電体260、及び絶縁体270の側面に接して設ける。
ここで、絶縁体272は、水又は水素などの不純物、及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いるとよい。例えば、酸化アルミニウム又は酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。これにより、絶縁体250中の酸素が外部に拡散することを防ぐことができる。また、絶縁体250の端部などから酸化物230に水素、水などの不純物が混入するのを抑制することができる。
絶縁体272を設けることで、水又は水素などの不純物、及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体で導電体260の上面と側面及び絶縁体250の側面を覆うことができる。これにより、導電体260及び絶縁体250を介して、水又は水素などの不純物が酸化物230に混入することを防ぐことができる。したがって、絶縁体272は、ゲート電極及びゲート絶縁膜の側面を保護するサイドバリアとして機能を有する。
また、トランジスタが微細化され、チャネル長が10nm以上30nm以下程度に形成されている場合、トランジスタ200の周辺に設けられる構造体に含まれる不純物元素が拡散し、領域231aと、領域231bと、が電気的に導通する恐れがある。
そこで、本実施の形態に示すように、絶縁体272を形成することにより、絶縁体250及び導電体260に水素、水などの不純物が混入するのを抑制し、かつ、絶縁体250中の酸素が外部に拡散することを防ぐことができる。したがって、第1のゲート電圧が0Vのときに、ソース領域とドレイン領域が電気的に導通することを防ぐことができる。
絶縁体274は、絶縁体270、絶縁体272、酸化物230及び絶縁体224を覆って設ける。ここで、絶縁体274は、絶縁体270及び絶縁体272の上面に接し、かつ絶縁体272の側面に接して設けられる。
また、絶縁体274は、水又は水素などの不純物、及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いることが好ましい。例えば、絶縁体274として、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどを用いることが好ましい。このような絶縁体274を形成することで、絶縁体274を透過して酸素が混入し、領域231a及び領域231bの酸素欠損に酸素を供給して、キャリア密度が低下するのを防ぐことができる。また、絶縁体274を透過して水又は水素などの不純物が混入し、領域231a及び領域231bが過剰に領域234側に拡張するのを防ぐことができる。
なお、絶縁体274を成膜することにより、領域231、領域232、及び領域233を設ける場合、絶縁体274は、水素及び窒素の少なくとも一方を有することが好ましい。水素、又は窒素などの不純物を有する絶縁体を絶縁体274に用いることで、水素又は窒素などの不純物を酸化物230に添加して、酸化物230において、領域231、領域232、及び領域233を形成することができる。
絶縁体274の上に、層間膜として機能する絶縁体280を設けることが好ましい。絶縁体280は、絶縁体224などと同様に、膜中の水又は水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。なお、絶縁体280の上に絶縁体210と同様の絶縁体を設けてもよい。
また、絶縁体280及び絶縁体274に形成された開口に、導電体252a及び導電体252bを配置する。導電体252a及び導電体252bは、導電体260を挟んで対向して設ける。なお、導電体252a及び導電体252bの上面の高さは、絶縁体280の上面と、同一平面上としてもよい。
導電体252aは、トランジスタ200のソース領域及びドレイン領域の一方として機能する領域231aと接しており、導電体252bはトランジスタ200のソース領域及びドレイン領域の他方として機能する領域231bと接している。よって、導電体252aはソース電極及びドレイン電極の一方として機能でき、導電体252bはソース電極及びドレイン電極の他方として機能できる。領域231a及び領域231bは低抵抗化されているので、導電体252aと領域231aの接触抵抗、及び導電体252bと領域231bの接触抵抗を低減し、トランジスタ200のオン電流を大きくすることができる。
なお、絶縁体280及び絶縁体274の開口の内壁に接して導電体252aが形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には酸化物230の領域231aが位置しており、導電体252aが領域231aと接する。同様に、絶縁体280及び絶縁体274の開口の内壁に接して導電体252bが形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には酸化物230の領域231bが位置しており、導電体252bが領域231bと接する。
ここで、導電体252a(導電体252b)は、少なくとも酸化物230の上面と接し、さらに酸化物230の側面と接することが好ましい。特に、導電体252a(導電体252b)は、酸化物230のチャネル幅方向と交わる側面において、A3側の側面、及びA4側の側面の双方又は一方と接することが好ましい。また、導電体252a(導電体252b)が、酸化物230のチャネル長方向と交わる側面において、A1側(A2側)の側面と接する構成にしてもよい。このように、導電体252a(導電体252b)が酸化物230の上面に加えて、酸化物230の側面と接する構成にすることにより、導電体252a(導電体252b)と酸化物230のコンタクト部の上面積を増やすことなく、コンタクト部の接触面積を増加させ、導電体252a(導電体252b)と酸化物230の接触抵抗を低減することができる。これにより、トランジスタのソース電極及びドレイン電極の微細化を図りつつ、オン電流を大きくすることができる。
導電体252a及び導電体252bは、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、図示しないが、導電体252a及び導電体252bは積層構造としても良く、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
導電体252を積層構造とする場合、絶縁体274、及び絶縁体280と接する導電体には、導電体205aなどと同様に、水又は水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。例えば、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、ルテニウム又は酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。また、水又は水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する導電性材料は、単層又は積層で用いてもよい。該導電性材料を用いることで、絶縁体280より上層から水素、水などの不純物が、導電体252a及び導電体252bを通じて酸化物230に混入するのを抑制することができる。
また、図示しないが、導電体252aの上面、及び導電体252bの上面に接して配線して機能する導電体を配置してもよい。配線として機能する導電体は、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、該導電体は、積層構造としても良く、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。なお、該導電体は、導電体203などと同様に、絶縁体に設けられた開口に埋め込むように形成してもよい。
<半導体装置の構成材料>
以下では、半導体装置に用いることができる構成材料について説明する。
<<基板>>
トランジスタ200を形成する基板としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板又は導電体基板を用いればよい。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板などがある。また、半導体基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体基板、又は炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムからなる化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板などがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板などがある。又は、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などがある。さらには、絶縁体基板に導電体又は半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体又は絶縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体又は絶縁体が設けられた基板などがある。又は、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。
また、基板として、可とう性基板を用いてもよい。なお、可とう性基板上にトランジスタを設ける方法としては、非可とう性の基板上にトランジスタが作製された後、トランジスタを剥離し、可とう性基板である基板に転置する方法もある。その場合には、非可とう性基板とトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。また、基板が伸縮性を有してもよい。また、基板は、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有してもよい。又は、元の形状に戻らない性質を有してもよい。基板は、例えば、5μm以上700μm以下、好ましくは10μm以上500μm以下、さらに好ましくは15μm以上300μm以下の厚さとなる領域を有する。基板を薄くすると、トランジスタを有する半導体装置を軽量化することができる。また、基板を薄くすることで、ガラスなどを用いた場合にも伸縮性を有する場合や、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有する場合がある。そのため、落下などによって基板上の半導体装置に加わる衝撃などを緩和することができる。即ち、丈夫な半導体装置を提供することができる。
可とう性基板である基板としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、又はそれらの繊維などを用いることができる。また、基板として、繊維を編みこんだシート、フィルム又は箔などを用いてもよい。可とう性基板である基板は、線膨張率が低いほど環境による変形が抑制されて好ましい。可とう性基板である基板としては、例えば、線膨張率が1×10−3/K以下、5×10−5/K以下、または1×10−5/K以下である材質を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリルなどがある。特に、アラミドは、線膨張率が低いため、可とう性基板である基板として好適である。
<<絶縁体>>
絶縁体としては、絶縁性を有する酸化物、窒化物、酸化窒化物、窒化酸化物、金属酸化物、金属酸化窒化物、金属窒化酸化物などがある。
ここで、ゲート絶縁体として機能する絶縁体には、ゲート絶縁体として機能する絶縁体に、比誘電率の高いhigh−k材料を用いることで、トランジスタの微細化、及び高集積化が可能となる。一方、層間膜として機能する絶縁体には、比誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。したがって、絶縁体の機能に応じて、材料を選択するとよい。
また、比誘電率の高い絶縁体としては、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、アルミニウム及びハフニウムを有する酸化物、アルミニウム及びハフニウムを有する酸化窒化物、シリコン及びハフニウムを有する酸化物、シリコン及びハフニウムを有する酸化窒化物又はシリコン及びハフニウムを有する窒化物などがある。
また、比誘電率が低い絶縁体としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加された酸化シリコン、炭素を添加された酸化シリコン、炭素及び窒素を添加された酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン又は樹脂などがある。
また、特に、酸化シリコン及び酸化窒化シリコンは、熱的に安定である。そのため、例えば、樹脂と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の低い積層構造とすることができる。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート又はアクリルなどがある。また、例えば、酸化シリコン、及び酸化窒化シリコンは、比誘電率の高い絶縁体と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、水素などの不純物及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体で囲うことによって、トランジスタの電気特性を安定にすることができる。
水素などの不純物及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウム又はタンタルを含む絶縁体を、単層で、又は積層で用いればよい。具体的には、水素などの不純物及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム又は酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコン又は窒化シリコンなどを用いることができる。
例えば、絶縁体222、絶縁体214、及び絶縁体210として、水素などの不純物及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体を用いればよい。なお、絶縁体222、絶縁体214、及び絶縁体210は、酸化アルミニウム又は酸化ハフニウムなどを有することが好ましい。
例えば、絶縁体212、絶縁体216、絶縁体220、絶縁体224、及び、絶縁体250、としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウム又はタンタルを含む絶縁体を、単層で、又は積層で用いればよい。具体的には、酸化シリコン、酸化窒化シリコン又は、窒化シリコンを有することが好ましい。
例えば、ゲート絶縁体として機能する絶縁体224及び絶縁体250において、酸化アルミニウム、酸化ガリウム又は酸化ハフニウムを酸化物230と接する構造とすることで、酸化シリコン又は酸化窒化シリコンに含まれるシリコンが、酸化物230に混入することを抑制することができる。一方、絶縁体224及び絶縁体250において、酸化シリコン又は酸化窒化シリコンを酸化物230と接する構造とすることで、酸化アルミニウム、酸化ガリウム又は酸化ハフニウムと、酸化シリコン又は酸化窒化シリコンと、の界面にトラップセンターが形成される場合がある。該トラップセンターは、電子を捕獲することでトランジスタのしきい値電圧をプラス方向に変動させることができる場合がある。
絶縁体212、絶縁体216、及び絶縁体280は、比誘電率の低い絶縁体を有することが好ましい。例えば、絶縁体212、絶縁体216、及び絶縁体280、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加された酸化シリコン、炭素を添加された酸化シリコン、炭素及び窒素を添加された酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン又は樹脂などを有することが好ましい。又は、絶縁体212、絶縁体216、及び絶縁体280は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加された酸化シリコン、炭素を添加された酸化シリコン、炭素及び窒素を添加された酸化シリコン又は空孔を有する酸化シリコンと、樹脂と、の積層構造を有することが好ましい。酸化シリコン及び酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、樹脂と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の低い積層構造とすることができる。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート又はアクリルなどがある。
絶縁体270、及び絶縁体272としては、水素などの不純物及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体を用いればよい。絶縁体270及び絶縁体272としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム又は酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコン又は窒化シリコンなどを用いればよい。
<<導電体>>
導電体としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウムなどから選ばれた金属元素を1種以上含む材料を用いることができる。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
また、上記の材料で形成される導電層を複数積層して用いてもよい。例えば、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。
なお、トランジスタのチャネル形成領域に酸化物を用いる場合において、ゲート電極として機能する導電体には、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造を用いることが好ましい。この場合は、酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けるとよい。酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けることで、当該導電性材料から離脱した酸素がチャネル形成領域に供給されやすくなる。
特に、ゲート電極として機能する導電体として、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる金属元素及び酸素を含む導電性材料を用いることが好ましい。また、前述した金属元素及び窒素を含む導電性材料を用いてもよい。例えば、窒化チタン、窒化タンタルなどの窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、シリコンを添加されたインジウム錫酸化物を用いてもよい。また、窒素を含むインジウムガリウム亜鉛酸化物を用いてもよい。このような材料を用いることで、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる水素を捕獲することができる場合がある。又は、外方の絶縁体などから混入する水素を捕獲することができる場合がある。
導電体260a、導電体260b、導電体203a、導電体203b、導電体205a、導電体205b、導電体252a、及び導電体252bとしては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウムなどから選ばれた金属元素を1種以上含む材料を用いることができる。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
<<金属酸化物>>
酸化物230として、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう)を用いることが好ましい。以下では、本発明に係る酸化物230に適用可能な金属酸化物について説明する。
酸化物半導体は、少なくともインジウム又は亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウム及び亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム又はスズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はマグネシウムなどから選ばれた一種、又は複数種が含まれていてもよい。
ここでは、酸化物半導体が、インジウム、元素M及び亜鉛を有するIn‐M‐Zn酸化物である場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム又はスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
[金属酸化物の構成]
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC(Cloud−Aligned Composite)−OSの構成について説明する。
なお、本明細書等において、CAAC(c−axis aligned crystal)、及びCAC(Cloud−Aligned Composite)と記載する場合がある。なお、CAACは結晶構造の一例を表し、CACは機能、又は材料の構成の一例を表す。
CAC−OS又はCAC−metal oxideとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC−OS又はCAC−metal oxideを、トランジスタの活性層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC−OS又はCAC−metal oxideに付与することができる。CAC−OS又はCAC−metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
また、CAC−OS又はCAC−metal oxideは、導電性領域、及び絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
また、CAC−OS又はCAC−metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
また、CAC−OS又はCAC−metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC−OS又はCAC−metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC−OS又はCAC−metal oxideをトランジスタのチャネル領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
すなわち、CAC−OS又はCAC−metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)、又は金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
[金属酸化物の構造]
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC−OS(c−axis aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc−OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a−like OS:amorphous−like oxide semiconductor)及び非晶質酸化物半導体などがある。
CAAC−OSは、c軸配向性を有し、かつa−b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有する結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形、及び七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC−OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう)を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC−OSが、a−b面方向において原子配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
また、CAAC−OSは、インジウム、及び酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、及び酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層する、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換された場合、(In,M,Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換された場合、(In,M)層と表すこともできる。
CAAC−OSは結晶性の高い酸化物半導体である。一方、CAAC−OSは、明確な結晶粒界を確認することはできないため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC−OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。したがって、CAAC−OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC−OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。
nc−OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OSは、分析方法によっては、a−like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
a−like OSは、nc−OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。a−like OSは、鬆又は低密度領域を有する。即ち、a−like OSは、nc−OS及びCAAC−OSと比べて、結晶性が低い。
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a−like OS、nc−OS、CAAC−OSのうち、二種以上を有していてもよい。
[酸化物半導体を有するトランジスタ]
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
なお、上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
また、トランジスタには、キャリア密度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。酸化物半導体膜のキャリア密度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性又は実質的に高純度真性と言う。例えば、酸化物半導体は、キャリア密度が8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10−9/cm3以上とすればよい。
また、高純度真性又は実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
したがって、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
[不純物]
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物半導体にアルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。したがって、アルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。具体的には、SIMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。したがって、該酸化物半導体において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、酸化物半導体中の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。したがって、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
以上、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、半導体装置の一形態を、図11を用いて説明する。
[記憶装置1]
図11に示す半導体装置は、トランジスタ300と、トランジスタ200、及び容量素子400を有している。
トランジスタ200は、酸化物半導体を有する半導体層にチャネルが形成されるトランジスタである。トランジスタ200は、オフ電流が小さいため、これを記憶装置に用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、あるいは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ないため、記憶装置の消費電力を十分に低減することができる。
図11に示すにおいて、配線3001はトランジスタ300のソースと電気的に接続され、配線3002はトランジスタ300のドレインと電気的に接続されている。また、配線3003はトランジスタ200のソース及びドレインの一方と電気的に接続され、配線3004はトランジスタ200の第1のゲートと電気的に接続され、配線3006はトランジスタ200の第2のゲートと電気的に接続されている。そして、トランジスタ300のゲート、及びトランジスタ200のソース及びドレインの他方は、容量素子400の電極の一方と電気的に接続され、配線3005は容量素子400の電極の他方と電気的に接続されている。
図11に示す半導体装置は、トランジスタ300のゲートの電位が保持可能という特性を有することで、以下に示すように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
情報の書き込み及び保持について説明する。まず、第4の配線3004の電位を、トランジスタ200が導通状態となる電位にして、トランジスタ200を導通状態とする。これにより、第3の配線3003の電位が、トランジスタ300のゲート、及び容量素子400の電極の一方と電気的に接続するノードFGに与えられる。即ち、トランジスタ300のゲートには、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という。)のどちらかが与えられるものとする。その後、第4の配線3004の電位を、トランジスタ200が非導通状態となる電位にして、トランジスタ200を非導通状態とすることにより、ノードFGに電荷が保持される(保持)。
トランジスタ200のオフ電流が小さい場合、ノードFGの電荷は長期間にわたって保持される。
次に情報の読み出しについて説明する。第1の配線3001に所定の電位(定電位)を与えた状態で、第5の配線3005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、第2の配線3002は、ノードFGに保持された電荷量に応じた電位をとる。これは、トランジスタ300をnチャネル型とすると、トランジスタ300のゲートにHighレベル電荷が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_Hは、トランジスタ300のゲートにLowレベル電荷が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけ上のしきい値電圧とは、トランジスタ300を「導通状態」とするために必要な第5の配線3005の電位をいうものとする。したがって、第5の配線3005の電位をVth_HとVth_Lの間の電位V0とすることにより、ノードFGに与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、ノードFGにHighレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV0(>Vth_H)となれば、トランジスタ300は「導通状態」となる。一方、ノードFGにLowレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV0(<Vth_L)となっても、トランジスタ300は「非導通状態」のままである。このため、第2の配線3002の電位を判別することで、ノードFGに保持されている情報を読み出すことができる。
<記憶装置1の構造>
本発明の一態様の半導体装置は、図11に示すようにトランジスタ300、トランジスタ200、容量素子400を有する。トランジスタ200はトランジスタ300の上方に設けられ、容量素子400はトランジスタ300、及びトランジスタ200の上方に設けられている。
トランジスタ300は、基板311上に設けられ、導電体316、絶縁体315、基板311の一部からなる半導体領域313、及びソース領域又はドレイン領域として機能する低抵抗領域314a、及び低抵抗領域314bを有する。
トランジスタ300は、pチャネル型、あるいはnチャネル型のいずれでもよい。
半導体領域313のチャネルが形成される領域、その近傍の領域、ソース領域、又はドレイン領域となる低抵抗領域314a、及び低抵抗領域314bなどにおいて、シリコン系半導体などの半導体を含むことが好ましく、単結晶シリコンを含むことが好ましい。又は、Ge(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、GaAlAs(ガリウムアルミニウムヒ素)などを有する材料で形成してもよい。結晶格子に応力を与え、格子間隔を変化させることで有効質量が制御されたシリコンを用いた構成としてもよい。又はGaAsとGaAlAs等を用いることで、トランジスタ300をHEMT(High Electron Mobility Transistor)としてもよい。
低抵抗領域314a、及び低抵抗領域314bは、半導体領域313に適用される半導体材料に加え、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、又はホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含む。
ゲート電極として機能する導電体316は、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、もしくはホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含むシリコンなどの半導体材料、金属材料、合金材料、又は金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。
なお、導電体の材料により、仕事関数を定めることで、しきい値電圧を調整することができる。具体的には、導電体に窒化チタンや窒化タンタルなどの材料を用いることが好ましい。さらに導電性と埋め込み性を両立するために導電体にタングステンやアルミニウムなどの金属材料を積層として用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが耐熱性の点で好ましい。
なお、図11に示すトランジスタ300は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
トランジスタ300を覆って、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、及び絶縁体326が順に積層して設けられている。
絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、及び絶縁体326として、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよい。
絶縁体322は、その下方に設けられるトランジスタ300などによって生じる段差を平坦化する平坦化膜として機能を有していてもよい。例えば、絶縁体322の上面は、平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP)法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
また、絶縁体324には、基板311、又はトランジスタ300などから、トランジスタ200が設けられる領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、例えば、CVD法で形成された窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ200等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、該半導体素子の特性が低下する場合がある。したがって、トランジスタ200と、トランジスタ300との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
水素の脱離量は、例えば、昇温脱離ガス分析法(TDS)などを用いて分析することができる。例えば、絶縁体324の水素の脱離量は、TDS分析において、50℃から500℃の範囲において、水素原子に換算された脱離量が、絶縁体324の面積当たりに換算して、10×1015atoms/cm2以下、好ましくは5×1015atoms/cm2以下であればよい。
なお、絶縁体326は、絶縁体324よりも誘電率が低いことが好ましい。例えば、絶縁体326の比誘電率は4未満が好ましく、3未満がより好ましい。また例えば、絶縁体324の比誘電率は、絶縁体326の比誘電率の0.7倍以下が好ましく、0.6倍以下がより好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
また、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、及び絶縁体326には容量素子400、又はトランジスタ200と電気的に接続する導電体328、及び導電体330等が埋め込まれている。なお、導電体328、及び導電体330はプラグ、又は配線として機能を有する。また、プラグ又は配線として機能を有する導電体は、複数の構造をまとめて同一の符号を付与する場合がある。また、本明細書等において、配線と、配線と電気的に接続するプラグとが一体物であってもよい。すなわち、導電体の一部が配線として機能する場合、及び導電体の一部がプラグとして機能する場合もある。
各プラグ、及び配線(導電体328、および導電体330等)の材料としては、金属材料、合金材料、金属窒化物材料、又は金属酸化物材料などの導電性材料を、単層又は積層して用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、タングステンを用いることが好ましい。又は、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性材料を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
絶縁体326、及び導電体330上に、配線層を設けてもよい。例えば、図11において、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354が順に積層して設けられている。また、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354には、導電体356が形成されている。導電体356は、プラグ、又は配線として機能を有する。なお導電体356は、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
なお、例えば、絶縁体350は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体356は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体350が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
なお、水素に対するバリア性を有する導電体としては、例えば、窒化タンタル等を用いるとよい。また、窒化タンタルと導電性が高いタングステンを積層することで、配線としての導電性を保持したまま、トランジスタ300からの水素の拡散を抑制することができる。この場合、水素に対するバリア性を有する窒化タンタル層が、水素に対するバリア性を有する絶縁体350と接する構造であることが好ましい。
絶縁体350、及び導電体356上に、配線層を設けてもよい。例えば、図11において、絶縁体360、絶縁体362、及び絶縁体364が順に積層して設けられている。また、絶縁体360、絶縁体362、及び絶縁体364には、導電体366が形成されている。導電体366は、プラグ、又は配線として機能を有する。なお導電体366は、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
なお、例えば、絶縁体360は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体366は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体360が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
絶縁体364、及び導電体366上に、配線層を設けてもよい。例えば、図11において、絶縁体370、絶縁体372、及び絶縁体374が順に積層して設けられている。また、絶縁体370、絶縁体372、及び絶縁体374には、導電体376が形成されている。導電体376は、プラグ、又は配線として機能を有する。なお導電体376は、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
なお、例えば、絶縁体370は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体376は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体370が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
絶縁体374、及び導電体376上に、配線層を設けてもよい。例えば、図11において、絶縁体380、絶縁体382、及び絶縁体384が順に積層して設けられている。また、絶縁体380、絶縁体382、及び絶縁体384には、導電体386が形成されている。導電体386は、プラグ、又は配線として機能を有する。なお導電体386は、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
なお、例えば、絶縁体380は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体386は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体380が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
絶縁体384上には絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、及び絶縁体216が、順に積層して設けられている。絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、及び絶縁体216のいずれかは、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。
例えば、絶縁体210、及び絶縁体214には、例えば、基板311、又はトランジスタ300を設ける領域などから、トランジスタ200を設ける領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。従って、絶縁体324と同様の材料を用いることができる。
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、CVD法で形成された窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ200等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、該半導体素子の特性が低下する場合がある。従って、トランジスタ200と、トランジスタ300との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
また、水素に対するバリア性を有する膜として、例えば、絶縁体210、及び絶縁体214には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
特に、酸化アルミニウムは、酸素、及びトランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中及び作製後において、水素、水分などの不純物のトランジスタ200への混入を防止することができる。また、トランジスタ200を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジスタ200に対する保護膜として用いることに適している。
また、例えば、絶縁体212、及び絶縁体216には、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、当該絶縁膜に、比較的誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体212、及び絶縁体216として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
また、絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、及び絶縁体216には、導電体218、及びトランジスタ200を構成する導電体(導電体205)等が埋め込まれている。なお、導電体218は、容量素子400、又はトランジスタ300と電気的に接続するプラグ、又は配線としての機能を有する。導電体218は、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
特に、絶縁体210、及び絶縁体214と接する領域の導電体218は、酸素、水素、及び水に対するバリア性を有する導電体であることが好ましい。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、酸素、水素、及び水に対するバリア性を有する層で、完全により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
絶縁体216の上方には、トランジスタ200が設けられている。なお、トランジスタ200の構造は、先の実施の形態で説明した半導体装置が有するトランジスタを用いればよい。また、図11に示すトランジスタ200は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
トランジスタ200の上方には、絶縁体280を設ける。
絶縁体280上には、絶縁体282が設けられている。絶縁体282は、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。従って、絶縁体282には、絶縁体214と同様の材料を用いることができる。例えば、絶縁体282には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
特に、酸化アルミニウムは、酸素、及びトランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中及び作製後において、水素、水分などの不純物のトランジスタ200への混入を防止することができる。また、トランジスタ200を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジスタ200に対する保護膜として用いることに適している。
また、絶縁体282上には、絶縁体286が設けられている。絶縁体286は、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、当該絶縁膜に、比較的誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体286として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
また、絶縁体220、絶縁体222、絶縁体280、絶縁体282、及び絶縁体286には、導電体246、及び導電体248等が埋め込まれている。
導電体246、及び導電体248は、容量素子400、トランジスタ200、又はトランジスタ300と電気的に接続するプラグ、又は配線として機能を有する。導電体246、及び導電体248は、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
続いて、トランジスタ200の上方には、容量素子400が設けられている。容量素子400は、導電体410と、導電体420、及び絶縁体430とを有する。
また、導電体246、及び導電体248上に、導電体412を設けてもよい。導電体412は、容量素子400、トランジスタ200、又はトランジスタ300と電気的に接続するプラグ、又は配線として機能を有する。導電体410は、容量素子400の電極として機能を有する。なお、導電体412、及び導電体410は、同時に形成することができる。
導電体412、及び導電体410には、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素を含む金属膜、又は上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化タンタル、窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。又は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加されたインジウム錫酸化物などの導電性材料を適用することもできる。
図11では、導電体412、及び導電体410は単層構造を示されたが、当該構成に限定されず、2層以上の積層構造でもよい。例えば、バリア性を有する導電体と導電性が高い導電体との間に、バリア性を有する導電体、及び導電性が高い導電体に対して密着性が高い導電体を形成してもよい。
また、導電体412、及び導電体410上に、容量素子400の誘電体のとして、絶縁体430を設ける。絶縁体430は、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、窒化酸化ハフニウム、窒化ハフニウムなどを用いればよく、積層又は単層で設けることができる。
例えば、絶縁体430には、酸化窒化シリコンなどの絶縁耐力が大きい材料を用いるとよい。当該構成により、容量素子400は、絶縁体430を有することで、絶縁耐力が向上し、容量素子400の静電破壊を抑制することができる。
絶縁体430上に、導電体410と重畳するように、導電体420を設ける。なお、導電体420は、金属材料、合金材料、又は金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが好ましい。また、導電体などの他の構造と同時に形成する場合は、低抵抗金属材料であるCu(銅)やAl(アルミニウム)等を用いればよい。
導電体420、及び絶縁体430上には、絶縁体450が設けられている。絶縁体450は、絶縁体320と同様の材料を用いて設けることができる。また、絶縁体450は、その下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。
以上が構成例についての説明である。本構成を用いることで、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置において、電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上させることができる。又は、オン電流が大きい酸化物半導体を有するトランジスタを提供することができる。又は、オフ電流が小さい酸化物半導体を有するトランジスタを提供することができる。又は、消費電力が低減された半導体装置を提供することができる。
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、ディスプレイコントローラ、及びソースドライバICなどに用いることができる、本発明の一態様に係る半導体装置を含むフレームメモリについて説明する。
フレームメモリには、例えば、1T(トランジスタ)1C(容量)型のメモリセルを備えたDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)を適用することができる。また、メモリセルにOSトランジスタが用いられるメモリ装置(以下、「OSメモリ」と呼ぶ。)を用いることができる。ここでは、OSメモリの一例として、1T1C型のメモリセルを有するRAMについて説明する。ここでは、このようなRAMを、「DOSRAM(Dynamic Oxide Semiconductor RAM、ドスラム)」と呼ぶこととする。図12に、DOSRAMの構成例を示す。
<<DOSRAM1400>>
DOSRAM1400は、コントローラ1405、行回路1410、列回路1415、メモリセル及びセンスアンプアレイ(以下、「MC−SAアレイ1420」と呼ぶ。)を有する。
行回路1410はデコーダ1411、ワード線ドライバ回路1412、列セレクタ1413、センスアンプドライバ回路1414を有する。列回路1415はグローバルセンスアンプアレイ1416、入出力回路1417を有する。グローバルセンスアンプアレイ1416は複数のグローバルセンスアンプ1447を有する。MC−SAアレイ1420はメモリセルアレイ1422、センスアンプアレイ1423、グローバルビット線GBLL、GBLRを有する。
(MC−SAアレイ1420)
MC−SAアレイ1420が、メモリセルアレイ1422をセンスアンプアレイ1423上に積層された構造をもつ。グローバルビット線GBLL、GBLRはメモリセルアレイ1422上に積層されている。DOSRAM1400では、ビット線の構造に、ローカルビット線とグローバルビット線とで階層化された階層ビット線構造が採用されている。
メモリセルアレイ1422は、N個(Nは2以上の整数)のローカルメモリセルアレイ1425<0>―1425<N−1>を有する。図13(A)にローカルメモリセルアレイ1425の構成例を示す。ローカルメモリセルアレイ1425は、複数のメモリセル1445、複数のワード線WL、複数のビット線BLL、BLRを有する。図13(A)の例では、ローカルメモリセルアレイ1425の構造はオープンビット線型であるが、フォールデッドビット線型であってもよい。
図13(B)にメモリセル1445の回路構成例を示す。メモリセル1445はトランジスタMW1、容量素子CS1、端子B1、B2を有する。トランジスタMW1は容量素子CS1の充放電を制御する機能をもつ。トランジスタMW1のゲートはワード線に電気的に接続され、第1端子はビット線に電気的に接続され、第2端子は容量素子の第1端子に電気的に接続されている。容量素子CS1の第2端子は端子B2に電気的に接続されている。端子B2には、定電圧(例えば、低電源電圧)が入力される。
トランジスタMW1はバックゲートを備えており、バックゲートは端子B1に電気的に接続されている。そのため、端子B1の電圧によって、トランジスタMW1の閾値電圧を変更することができる。例えば、端子B1の電圧は固定電圧(例えば、負の定電圧)であってもよいし、DOSRAM1400の動作に応じて、端子B1の電圧を変化させてもよい。
トランジスタMW1のバックゲートをトランジスタMW1のゲート、ソース、又はドレインに電気的に接続してもよい。あるいは、トランジスタMW1にバックゲートを設けなくてもよい。
センスアンプアレイ1423は、N個のローカルセンスアンプアレイ1426<0>―1426<N−1>を有する。ローカルセンスアンプアレイ1426は、1のスイッチアレイ1444、複数のセンスアンプ1446を有する。センスアンプ1446には、ビット線対が電気的に接続されている。センスアンプ1446は、ビット線対をプリチャージする機能、ビット線対の電圧差を増幅する機能、この電圧差を保持する機能を有する。スイッチアレイ1444は、ビット線対を選択し、選択されたビット線対とグローバルビット線対と間を導通状態にする機能を有する。
ここで、ビット線対とは、センスアンプによって、同時に比較される2本のビット線のことをいう。グローバルビット線対とは、グローバルセンスアンプによって、同時に比較される2本のグローバルビット線のことをいう。ビット線対を一対のビット線と呼ぶことができ、グローバルビット線対を一対のグローバルビット線と呼ぶことができる。ここでは、ビット線BLLとビット線BLRが1組のビット線対を成す。グローバルビット線GBLLとグローバルビット線GBLRとが1組のグローバルビット線対を成す。以下、ビット線対(BLL,BLR)、グローバルビット線対(BLL,BLR)とも表す。
(コントローラ1405)
コントローラ1405は、DOSRAM1400の動作全般を制御する機能を有する。コントローラ1405は、外部からの入力されるコマンド信号を論理演算して、動作モードを決定する機能、決定された動作モードが実行されるように、行回路1410、列回路1415の制御信号を生成する機能、外部から入力されるアドレス信号を保持する機能、内部アドレス信号を生成する機能を有する。
(行回路1410)
行回路1410は、MC−SAアレイ1420を駆動する機能を有する。デコーダ1411はアドレス信号をデコードする機能を有する。ワード線ドライバ回路1412は、アクセス対象行のワード線WLを選択する選択信号を生成する。
列セレクタ1413、センスアンプドライバ回路1414はセンスアンプアレイ1423を駆動するための回路である。列セレクタ1413は、アクセス対象列のビット線を選択するための選択信号を生成する機能をもつ。列セレクタ1413の選択信号によって、各ローカルセンスアンプアレイ1426のスイッチアレイ1444が制御される。センスアンプドライバ回路1414の制御信号によって、複数のローカルセンスアンプアレイ1426は独立して駆動される。
(列回路1415)
列回路1415は、データ信号WDA[31:0]の入力を制御する機能、データ信号RDA[31:0]の出力を制御する機能を有する。データ信号WDA[31:0]は書き込みデータ信号であり、データ信号RDA[31:0]は読み出しデータ信号である。
グローバルセンスアンプ1447はグローバルビット線対(GBLL,GBLR)に電気的に接続されている。グローバルセンスアンプ1447はグローバルビット線対(GBLL,GBLR)間の電圧差を増幅する機能、この電圧差を保持する機能を有する。グローバルビット線対(GBLL,GBLR)へのデータの書き込み、及び読み出しは、入出力回路1417によって行われる。
DOSRAM1400の書き込み動作の概要を説明する。入出力回路1417によって、データがグローバルビット線対に書き込まれる。グローバルビット線対のデータは、グローバルセンスアンプアレイ1416によって保持される。アドレスが指定するローカルセンスアンプアレイ1426のスイッチアレイ1444によって、グローバルビット線対のデータが、対象列のビット線対に書き込まれる。ローカルセンスアンプアレイ1426は、書き込まれたデータを増幅し、保持する。指定されたローカルメモリセルアレイ1425において、行回路1410によって、対象行のワード線WLが選択され、選択行のメモリセル1445にローカルセンスアンプアレイ1426の保持データが書き込まれる。
DOSRAM1400の読み出し動作の概要を説明する。アドレス信号によって、ローカルメモリセルアレイ1425の1行が指定される。指定されたローカルメモリセルアレイ1425において、対象行のワード線WLが選択状態となり、メモリセル1445のデータがビット線に書き込まれる。ローカルセンスアンプアレイ1426によって、各列のビット線対の電圧差がデータとして検出され、かつ保持される。スイッチアレイ1444によって、ローカルセンスアンプアレイ1426の保持データの内、アドレスが指定する列のデータが、グローバルビット線対に書き込まれる。グローバルセンスアンプアレイ1416は、グローバルビット線対のデータを検出し、保持する。グローバルセンスアンプアレイ1416の保持データは入出力回路1417に出力される。以上で、読み出し動作が完了する。
容量素子CS1の充放電によってデータを書き換えるため、DOSRAM1400には原理的には書き換え回数に制約はなく、かつ、低エネルギーで、データの書き込み及び読み出しが可能である。また、メモリセル1445の回路構成が単純であるため、大容量化が容易である。
トランジスタMW1はOSトランジスタである。OSトランジスタはオフ電流が極めて小さいため、容量素子CS1から電荷がリークすることを抑えることができる。したがって、DOSRAM1400の保持時間はDRAMに比べて非常に長い。したがってリフレッシュの頻度を低減できるため、リフレッシュ動作に要する電力を削減できる。そのため、DOSRAM1400をフレームメモリとして用いることで、表示コントローラIC、及びソースドライバICの消費電力を削減することができる。
MC−SAアレイ1420が積層構造であることよって、ローカルセンスアンプアレイ1426の長さと同程度の長さにビット線を短くすることができる。ビット線を短くすることで、ビット線容量が小さくなり、メモリセル1445の保持容量を低減することができる。また、ローカルセンスアンプアレイ1426にスイッチアレイ1444を設けることで、長いビット線の本数を減らすことができる。以上の理由から、DOSRAM1400のアクセス時に駆動する負荷が低減されるので、表示コントローラIC、及びソースドライバICの消費エネルギーを低減できる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る酸化物を半導体に用いたトランジスタ(OSトランジスタ)が適用されている半導体装置の一例として、FPGA(フィールドブログラマブルブゲートアレイ)について説明する。本実施の形態のFPGAは、コンフィギュレーションメモリ、及びレジスタにOSメモリが適用されている。ここでは、このようなFPGAを「OS−FPGA」と呼ぶ。FPGAは、実施の形態1で示したカメラ100、もしくは実施の形態2で示した看護ロボット40の半導体装置に用いることができる。
OSメモリは、少なくとも容量素子と、容量素子の充放電を制御するOSトランジスタを有するメモリである。OSトランジスタが極小オフ電流のトランジスタであるので、OSメモリは優れた保持特性をもち、不揮発性メモリとして機能させることができる。
図14(A)にOS−FPGAの構成例を示す。図14(A)に示すOS−FPGA3110は、マルチコンテキスト構造によるコンテキスト切り替え、細粒度パワーゲーティング、NOFF(ノーマリオフ)コンピューティングが可能である。OS−FPGA3110は、コントローラ3111、ワードドライバ3112、データドライバ3113、プログラマブルエリア3115を有する。
プログラマブルエリア3115は、2個の入出力ブロック(IOB)3117、コア3119を有する。IOB3117は複数のプログラマブル入出力回路を有する。コア3119は、複数のロジックアレイブロック(LAB)3120、複数のスイッチアレイブロック(SAB)3130を有する。LAB3120は複数のPLE3121を有する。図14(B)には、LAB3120を5個のPLE3121で構成する例を示す。図14(C)に示すようにSAB3130はアレイ状に配列された複数のスイッチブロック(SB)3131を有する。LAB3120は自身の入力端子と、SAB3130を介して4(上下左右)方向のLAB3120に接続される。
図15(A)乃至図15(C)を参照して、SB3131について説明する。図15(A)に示すSB3131には、data、datab、信号context[1:0]、word[1:0]が入力される。data、databはコンフィギュレーションデータであり、dataとdatabは論理が相補的な関係にある。OS−FPGA3110のコンテキスト数は2であり、信号context[1:0]はコンテキスト選択信号である。信号word[1:0]はワード線選択信号であり、信号word[1:0]が入力される配線がそれぞれワード線である。
SB3131は、PRS(プログラマブルルーティングスイッチ)3133[0]、3133[1]を有する。PRS3133[0]、3133[1]は、相補データを格納できるコンフィギュレーションメモリ(CM)を有する。なお、PRS3133[0]とPRS3133[1]とを区別しない場合、PRS3133と呼ぶ。他の要素についても同様である。
図15(B)にPRS3133[0]の回路構成例を示す。PRS3133[0]とPRS3133[1]とは同じ回路構成を有する。PRS3133[0]とPRS3133[1]とは入力されるコンテキスト選択信号、ワード線選択信号が異なる。信号context[0]、word[0]はPRS3133[0]に入力され、信号context[1]、word[1]はPRS3133[1]に入力される。例えば、SB3131において、信号context[0]が“H”になることで、PRS3133[0]がアクティブになる。
PRS3133[0]は、CM3135、SiトランジスタM31を有する。SiトランジスタM31は、CM3135により制御されるパストランジスタである。CM3135は、メモリ回路3137、3137Bを有する。メモリ回路3137、3137Bは同じ回路構成である。メモリ回路3137は、容量素子C31、OSトランジスタMO31、MO32を有する。メモリ回路3137Bは、容量素子CB31、OSトランジスタMOB31、MOB32を有する。
OSトランジスタMO31、MO32、MOB31、MOB32はバックゲートを有し、これらバックゲートはそれぞれ固定電圧を供給する電源線に電気的に接続されている。
SiトランジスタM31のゲートがノードN31であり、OSトランジスタMO32のゲートがノードN32であり、OSトランジスタMOB32のゲートがノードNB32である。ノードN32、NB32はCM3135の電荷保持ノードである。OSトランジスタMO32はノードN31と信号context[0]用の信号線との間の導通状態を制御する。OSトランジスタMOB32はノードN31と低電位電源線VSSとの間の導通状態を制御する。
メモリ回路3137、3137Bが保持するデータは相補的な関係にある。したがって、OSトランジスタMO32又はMOB32の何れか一方が導通する。
図15(C)を参照して、PRS3133[0]の動作例を説明する。PRS3133[0]にコンフィギュレーションデータが既に書き込まれており、PRS3133[0]のノードN32は“H”であり、ノードNB32は“L”である。
信号contex[0]が“L”である間はPRS3133[0]は非アクティブである。この期間に、PRS3133[0]の入力端子が“H”に遷移しても、SiトランジスタM31のゲートは“L”が維持され、PRS3133[0]の出力端子も“L”が維持される。
信号contex[0]が“H”である間はPRS3133[0]はアクティブである。信号contex[0]が“H”に遷移すると、CM3135が記憶するコンフィギュレーションデータによって、SiトランジスタM31のゲートは“H”に遷移する。
PRS3133[0]がアクティブである期間に、入力端子が“H”に遷移すると、メモリ回路3137のOSトランジスタMO32がソースフォロアであるために、ブースティングによってSiトランジスタM31のゲート電圧は上昇する。その結果、メモリ回路3137のOSトランジスタMO32は駆動能力を失い、SiトランジスタM31のゲートは浮遊状態となる。
マルチコンテキスト機能を備えるPRS3133において、CM3135はマルチプレサの機能を併せ持つ。
図16にPLE3121の構成例を示す。PLE3121はLUT(ルックアップテーブル)ブロック3123、レジスタブロック3124、セレクタ3125、CM3126を有する。LUTブロック3123は、入力inA乃至inDに従って内部の16ビットCM対の出力をマルチプレクスする構成である。セレクタ3125は、CM3126が格納するコンフィギュレーションに従って、LUTブロック3123の出力又はレジスタブロック3124の出力を選択する。
PLE3121は、パワースイッチ3127を介して電圧VDD用の電源線に電気的に接続されている。パワースイッチ3127のオンオフは、CM3128が格納するコンフィギュレーションデータによって設定される。各PLE3121にパワースイッチ3127を設けることで、細粒度パワーゲーティングが可能である。細粒度パワーゲーティング機能により、コンテキストの切り替え後に使用されないPLE3121をパワーゲーティングすることができるので、待機電力を効果的に低減できる。
NOFFコンピューティングを実現するため、レジスタブロック3124は、不揮発性レジスタで構成される。PLE3121内の不揮発性レジスタはOSメモリを備えるフリップフロップ(以下[OS−FF]と呼ぶ)である。
レジスタブロック3124は、OS−FF3140[1]3140[2]を有する。信号user_res、load、storeがOS−FF3140[1]、3140[2]に入力される。クロック信号CLK1はOS−FF3140[1]に入力され、クロック信号CLK2はOS−FF3140[2]に入力される。図17(A)にOS−FF3140の構成例を示す。
OS−FF3140は、FF3141、シャドウレジスタ3142を有する。FF3141は、ノードCK、R、D、Q、QBを有する。ノードCKにはクロック信号が入力される。ノードRには信号user_resが入力される。信号user_resはリセット信号である。ノードDはデータ入力ノードであり、ノードQはデータ出力ノードである。ノードQとノードQBとは論理が相補関係にある。
シャドウレジスタ3142は、FF3141のバックアップ回路として機能する。シャドウレジスタ3142は、信号storeに従いノードQ、QBのデータをそれぞれバックアップし、また、信号loadに従い、バックアップされたデータをノードQ、QBに書き戻す。
シャドウレジスタ3142は、インバータ回路3188、3189、SiトランジスタM37、MB37、メモリ回路3143、3143Bを有する。メモリ回路3143、3143Bは、PRS3133のメモリ回路3137と同じ回路構成である。メモリ回路3143は容量素子C36、OSトランジスタMO35、MO36を有する。メモリ回路3143Bは容量素子CB36、OSトランジスタMOB35、OSトランジスタMOB36を有する。ノードN36、NB36はOSトランジスタMO36、OSトランジスタMOB36のゲートであり、それぞれ電荷保持ノードである。ノードN37、NB37は、SiトランジスタM37、MB37のゲートである。
OSトランジスタMO35、MO36、MOB35、MOB36はバックゲートを有し、これらバックゲートはそれぞれ固定電圧を供給する電源線に電気的に接続されている。
図17(B)を参照して、OS−FF3140の動作方法例を説明する。
(バックアップ)
“H”の信号storeがOS−FF3140に入力されると、シャドウレジスタ3142はFF3141のデータをバックアップする。ノードN36は、ノードQのデータが書き込まれることで、“L”となり、ノードNB36は、ノードQBのデータが書き込まれることで、“H”となる。しかる後、パワーゲーティングが実行され、パワースイッチ3127をオフにする。FF3141のノードQ、QBのデータは消失するが、電源オフであっても、シャドウレジスタ3142はバックアップされたデータを保持する。
(リカバリ)
パワースイッチ3127をオンにし、PLE3121に電源を供給する。しかる後、“H”の信号loadがOS−FF3140に入力されると、シャドウレジスタ3142はバックアップしているデータをFF3141に書き戻す。ノードN36は“L”であるので、ノードN37は“L”が維持され、ノードNB36は“H”であるので、ノードNB37は“H”となる。よって、ノードQは“H”になり、ノードQBは“L”になる。つまり、OS−FF3140はバックアップ動作時の状態に復帰する。
細粒度パワーゲーティングと、OS−FF3140のバックアップ/リカバリ動作とを組み合わせることで、OS−FPGA3110の消費電力を効果的に低減できる。
メモリ回路において発生しうるエラーとして放射線の入射によるソフトエラーが挙げられる。ソフトエラーは、メモリやパッケージを構成する材料などから放出されるα線や、宇宙から大気に入射する一次宇宙線が大気中に存在する原子の原子核と核反応を起こすことにより発生する二次宇宙線中性子などがトランジスタに照射され、電子正孔対が生成されることにより、メモリに保持されたデータが反転するなどの誤作動が生じる現象である。OSトランジスタを用いたOSメモリはソフトエラー耐性が高い。そのたため、OSメモリを搭載することで、信頼性の高いOS−FPGA3110を提供することができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態においては、上述した記憶装置など、本発明の一態様に係る半導体装置を含むCPUの一例について説明する。CPUは、実施の形態1で示したカメラ100、もしくは実施の形態2で示した看護ロボット40に用いることができる。
<CPUの構成>
図18に示す半導体装置5400は、CPUコア5401、パワーマネージメントユニット5421及び周辺回路5422を有する。パワーマネージメントユニット5421は、パワーコントローラ5402、及びパワースイッチ5403を有する。周辺回路5422は、キャッシュメモリを有するキャッシュ5404、バスインターフェース(BUS I/F)405、及びデバッグインターフェース(Debug I/F)406を有する。CPUコア5401は、データバス5423、制御装置5407、PC(プログラムカウンタ)408、パイプラインレジスタ5409、パイプラインレジスタ5410、ALU(Arithmetic logic unit)411、及びレジスタファイル5412を有する。CPUコア5401と、キャッシュ5404等の周辺回路5422とのデータのやり取りは、データバス5423を介して行われる。
半導体装置(セル)は、パワーコントローラ5402、制御装置5407をはじめ、多くの論理回路に適用することができる。特に、スタンダードセルを用いて構成することができる全ての論理回路に適用することができる。その結果、小型の半導体装置5400を提供できる。また、消費電力低減することが可能な半導体装置5400を提供できる。また、動作速度を向上することが可能な半導体装置5400を提供できる。また、電源電圧の変動を低減することが可能な半導体装置5400を提供できる。
半導体装置(セル)に、pチャネル型Siトランジスタと、先の実施の形態に記載の酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むトランジスタとを用い、該半導体装置(セル)を半導体装置5400に適用することで、小型の半導体装置5400を提供できる。また、消費電力低減することが可能な半導体装置5400を提供できる。また、動作速度を向上することが可能な半導体装置5400を提供できる。特に、Siトランジスタはpチャネル型のみとすることで、製造コストを低く抑えることができる。
制御装置5407は、PC5408、パイプラインレジスタ5409、パイプラインレジスタ5410、ALU5411、レジスタファイル5412、キャッシュ5404、バスインターフェース5405、デバッグインターフェース5406、及びパワーコントローラ5402の動作を統括的に制御することで、入力されたアプリケーションなどのプログラムに含まれる命令をデコードし、実行する機能を有する。
ALU5411は、四則演算、論理演算などの各種演算処理を行う機能を有する。
キャッシュ5404は、使用頻度の高いデータを一時的に記憶しておく機能を有する。PC5408は、次に実行する命令のアドレスを記憶する機能を有するレジスタである。なお、図18では図示していないが、キャッシュ5404には、キャッシュメモリの動作を制御するキャッシュコントローラが設けられている。
パイプラインレジスタ5409は、命令データを一時的に記憶する機能を有するレジスタである。
レジスタファイル5412は、汎用レジスタを含む複数のレジスタを有しており、メインメモリから読み出されたデータ、又はALU5411の演算処理の結果得られたデータ、などを記憶することができる。
パイプラインレジスタ5410は、ALU5411の演算処理に利用するデータ、又はALU5411の演算処理の結果得られたデータなどを一時的に記憶する機能を有するレジスタである。
バスインターフェース5405は、半導体装置5400と半導体装置5400の外部にある各種装置との間におけるデータの経路としての機能を有する。デバッグインターフェース5406は、デバッグの制御を行うための命令を半導体装置5400に入力するための信号の経路としての機能を有する。
パワースイッチ5403は、半導体装置5400が有する、パワーコントローラ5402以外の各種回路への、電源電圧の供給を制御する機能を有する。上記各種回路は、幾つかのパワードメインにそれぞれ属しており、同一のパワードメインに属する各種回路は、パワースイッチ5403によって電源電圧の供給の有無が制御される。また、パワーコントローラ5402はパワースイッチ5403の動作を制御する機能を有する。
上記構成を有する半導体装置5400は、パワーゲーティングを行うことが可能である。パワーゲーティングの動作の流れについて、一例を挙げて説明する。
まず、CPUコア5401が、電源電圧の供給を停止するタイミングを、パワーコントローラ5402のレジスタに設定する。次いで、CPUコア5401からパワーコントローラ5402へ、パワーゲーティングを開始する旨の命令を送る。次いで、半導体装置5400内に含まれる各種レジスタとキャッシュ5404が、データの退避を開始する。次いで、半導体装置5400が有するパワーコントローラ5402以外の各種回路への電源電圧の供給が、パワースイッチ5403により停止される。次いで、割込み信号がパワーコントローラ5402に入力されることで、半導体装置5400が有する各種回路への電源電圧の供給が開始される。なお、パワーコントローラ5402にカウンタを設けておき、電源電圧の供給が開始されるタイミングを、割込み信号の入力に依らずに、当該カウンタを用いて決めるようにしてもよい。次いで、各種レジスタとキャッシュ5404が、データの復帰を開始する。次いで、制御装置5407における命令の実行が再開される。
このようなパワーゲーティングは、プロセッサ全体、もしくはプロセッサを構成する一つ、又は複数の論理回路において行うことができる。また、短い時間でも電源の供給を停止することができる。このため、空間的に、あるいは時間的に細かい粒度で消費電力の削減を行うことができる。
パワーゲーティングを行う場合、CPUコア5401や周辺回路5422が保持する情報を短期間に退避できることが好ましい。そうすることで、短期間に電源のオンオフが可能となり、省電力の効果が大きくなる。
CPUコア5401や周辺回路5422が保持する情報を短期間に退避するためには、フリップフロップ回路がその回路内でデータ退避できることが好ましい(バックアップ可能なフリップフロップ回路と呼ぶ)。また、SRAMセルがセル内でデータ退避できることが好ましい(バックアップ可能なSRAMセルと呼ぶ)。バックアップ可能なフリップフロップ回路やSRAMセルは、酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むトランジスタを有することが好ましい。その結果、トランジスタが低いオフ電流を有することで、バックアップ可能なフリップフロップ回路やSRAMセルは長期間電源供給なしに情報を保持することができる。また、トランジスタが高速なスイッチング速度を有することで、バックアップ可能なフリップフロップ回路やSRAMセルは短期間のデータ退避及び復帰が可能となる場合がある。
バックアップ可能なフリップフロップ回路の例について、図19を用いて説明する。
図19に示す半導体装置5500は、バックアップ可能なフリップフロップ回路の一例である。半導体装置5500は、第1の記憶回路5501と、第2の記憶回路5502と、第3の記憶回路5503と、読み出し回路5504と、を有する。半導体装置5500には、電位V1と電位V2の電位差が、電源電圧として供給される。電位V1と電位V2は一方がハイレベルであり、他方がローレベルである。以下、電位V1がローレベル、電位V2がハイレベルの場合を例に挙げて、半導体装置5500の構成例について説明するものとする。
第1の記憶回路5501は、半導体装置5500に電源電圧が供給されている期間において、データを含む信号Dが入力されると、当該データを保持する機能を有する。そして、半導体装置5500に電源電圧が供給されている期間において、第1の記憶回路5501からは、保持されているデータを含む信号Qが出力される。一方、第1の記憶回路5501は、半導体装置5500に電源電圧が供給されていない期間においては、データを保持することができない。すなわち、第1の記憶回路5501は、揮発性の記憶回路と呼ぶことができる。
第2の記憶回路5502は、第1の記憶回路5501に保持されているデータを読み込んで記憶する(あるいは退避する)機能を有する。第3の記憶回路5503は、第2の記憶回路5502に保持されているデータを読み込記憶する(あるいは退避する)機能を有する。読み出し回路5504は、第2の記憶回路5502又は第3の記憶回路5503に保持されたデータを読み出して第1の記憶回路5501に記憶する(あるいは復帰する)機能を有する。
特に、第3の記憶回路5503は、半導体装置5500に電源電圧が供給されてない期間においても、第2の記憶回路5502に保持されているデータを読み込記憶する(あるいは退避する)機能を有する。
図19に示すように、第2の記憶回路5502はトランジスタ5512と容量素子5519とを有する。第3の記憶回路5503はトランジスタ5513と、トランジスタ5515と、容量素子5520とを有する。読み出し回路5504はトランジスタ5510と、トランジスタ5518と、トランジスタ5509と、トランジスタ5517と、を有する。
トランジスタ5512は、第1の記憶回路5501に保持されているデータに応じた電荷を、容量素子5519に充放電する機能を有する。トランジスタ5512は、第1の記憶回路5501に保持されているデータに応じた電荷を容量素子5519に対して高速に充放電できることが望ましい。具体的には、トランジスタ5512が、結晶性を有するシリコン(好ましくは多結晶シリコン、更に好ましくは単結晶シリコン)をチャネル形成領域に含むことが望ましい。
トランジスタ5513は、容量素子5519に保持されている電荷に従って導通状態又は非導通状態が選択される。トランジスタ5515は、トランジスタ5513が導通状態であるときに、配線5544の電位に応じた電荷を容量素子5520に充放電する機能を有する。トランジスタ5515は、オフ電流が著しく小さいことが望ましい。具体的には、トランジスタ5515が、酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むことが望ましい。
各素子の接続関係を具体的に説明すると、トランジスタ5512のソース及びドレインの一方は、第1の記憶回路5501に接続されている。トランジスタ5512のソース及びドレインの他方は、容量素子5519の一方の電極、トランジスタ5513のゲート、及びトランジスタ5518のゲートに接続されている。容量素子5519の他方の電極は、配線5542に接続されている。トランジスタ5513のソース及びドレインの一方は、配線5544に接続されている。トランジスタ5513のソース及びドレインの他方は、トランジスタ5515のソース及びドレインの一方に接続されている。トランジスタ5515のソース及びドレインの他方は、容量素子5520の一方の電極、及びトランジスタ5510のゲートに接続されている。容量素子5520の他方の電極は、配線5543に接続されている。トランジスタ5510のソース及びドレインの一方は、配線5541に接続されている。トランジスタ5510のソース及びドレインの他方は、トランジスタ5518のソース及びドレインの一方に接続されている。トランジスタ5518のソース及びドレインの他方は、トランジスタ5509のソース及びドレインの一方に接続されている。トランジスタ5509のソース及びドレインの他方は、トランジスタ5517のソース及びドレインの一方、及び第1の記憶回路5501に接続されている。トランジスタ5517のソース及びドレインの他方は、配線5540に接続されている。また、図19においては、トランジスタ5509のゲートは、トランジスタ5517のゲートと接続されているが、トランジスタ5509のゲートは、必ずしもトランジスタ5517のゲートと接続されていなくてもよい。
トランジスタ5515に先の実施の形態で例示されたトランジスタを適用することができる。トランジスタ5515のオフ電流が小さいために、半導体装置5500は、長期間電源供給なしに情報を保持することができる。トランジスタ5515のスイッチング特性が良好であるために、半導体装置5500は、高速のバックアップとリカバリを行うことができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置の一形態を、図20、及び図21を用いて説明する。
<半導体ウエハ、チップ>
図20(A)は、ダイシング処理が行なわれる前の基板711の上面図を示している。基板711としては、例えば、半導体基板(「半導体ウエハ」ともいう。)を用いることができる。基板711上には、複数の回路領域712が設けられている。回路領域712には、本発明の一態様に係る半導体装置などを設けることができる。
複数の回路領域712は、それぞれが分離領域713に囲まれている。分離領域713と重なる位置に分離線(「ダイシングライン」ともいう。)714が設定される。分離線714に沿って基板711を切断することで、回路領域712を含むチップ715を基板711から切り出すことができる。図20(B)にチップ715の拡大図を示す。
また、分離領域713に導電層、半導体層などを設けてもよい。分離領域713に導電層、半導体層などを設けることで、ダイシング工程時に生じうるESDを緩和し、ダイシング工程に起因する歩留まりの低下を防ぐことができる。また、一般にダイシング工程は、基板の冷却、削りくずの除去、帯電防止などを目的として、炭酸ガスなどを溶解させて比抵抗を下げた純水を切削部に供給しながら行なう。分離領域713に導電層、半導体層などを設けることで、当該純水の使用量を削減することができる。よって、半導体装置の生産コストを低減することができる。また、半導体装置の生産性を高めることができる。
<電子部品>
チップ715を用いた電子部品の一例について、図21(A)及び図21(B)を用いて説明する。なお、電子部品は、半導体パッケージ、又はIC用パッケージともいう。電子部品は、端子取り出し方向、端子の形状などに応じて、複数の規格、名称などが存在する。
電子部品は、組み立て工程(後工程)において、上記実施の形態に示した半導体装置と該半導体装置以外の部品が組み合わされて完成する。
図21(A)に示すフローチャートを用いて、後工程について説明する。前工程において基板711に本発明の一態様に係る半導体装置などが形成された後、基板711の裏面(半導体装置などが形成されていない面)を研削する「裏面研削工程」を行なう(ステップS721)。研削により基板711を薄くすることで、電子部品の小型化を図ることができる。
次に、基板711を複数のチップ715に分離する「ダイシング工程」を行う(ステップS722)。そして、分離されたチップ715を個々のリードフレーム上に接合する「ダイボンディング工程」を行う(ステップS723)。ダイボンディング工程におけるチップ715とリードフレームとの接合は、樹脂による接合、又はテープによる接合など、適宜製品に応じた方法を選択する。なお、リードフレームに代えてインターポーザ基板上にチップ715を接合してもよい。
次いで、リードフレームのリードとチップ715上の電極とを、金属の細線(ワイヤー)で電気的に接続する「ワイヤーボンディング工程」を行う(ステップS724)。金属の細線には、銀線、金線などを用いることができる。また、ワイヤーボンディングは、例えば、ボールボンディング、又はウェッジボンディングを用いることができる。
ワイヤーボンディングされたチップ715は、エポキシ樹脂などで封止される「封止工程(モールド工程)」が施される(ステップS725)。封止工程を行うことで電子部品の内部が樹脂で充填され、チップ715とリードを接続するワイヤーを機械的な外力から保護することができ、また水分、埃などによる特性の劣化(信頼性の低下)を低減することができる。
次いで、リードフレームのリードをめっき処理する「リードめっき工程」を行なう(ステップS726)。めっき処理によりリードの錆を防止し、後にプリント基板に実装する際のはんだ付けをより確実に行うことができる。次いで、リードを切断及び成形加工する「成形工程」を行なう(ステップS727)。
次いで、パッケージの表面に印字処理(マーキング)を施す「マーキング工程」を行なう(ステップS728)。そして外観形状の良否、動作不良の有無などを調べる「検査工程」(ステップS729)を経て、電子部品が完成する。
完成された電子部品の斜視模式図を、図21(B)に示す。図21(B)では、電子部品の一例として、QFP(Quad Flat Package)の斜視模式図を示している。図21(B)に示す電子部品750は、リード755及びチップ715を有する。電子部品750は、チップ715を複数有していてもよい。
図21(B)に示す電子部品750は、例えばプリント基板752に実装される。このような電子部品750が複数組み合わされて、それぞれがプリント基板752上で電気的に接続されることで電子部品が実装された基板(実装基板754)が完成する。完成された実装基板754は、電子機器などに用いられる。
(実施の形態10)
<電子機器>
本発明の一態様に係るデータ管理方法及び半導体装置は、様々な電子機器に用いることができる。図22に、本発明の一態様に係るデータ管理方法及び半導体装置を用いた電子機器の具体例を示す。
図22(A)は、自動車の一例を示す外観図である。自動車2980は、車体2981、車輪2982、ダッシュボード2983、及びライト2984等を有する。また、自動車2980は、アンテナ、バッテリなどを備える。自動車2980は、車体2981、車輪2982、ダッシュボード2983、及びライト2984等にそれぞれセンサを備えることができる。実施の形態2で示されたデータ管理方法を用いることで複数のセンサ情報を効率的に扱うことで、燃費の改善、車内空間の温調の改善、居眠り運転の防止などを管理することができる。
図22(B)に示す情報端末2910は、筐体2911に、表示部2912、マイク2917、スピーカ部2914、カメラ2913、外部接続部2916、及び操作スイッチ2915等を有する。表示部2912には、可撓性基板が用いられた表示パネル及びタッチスクリーンを備える。また、情報端末2910は、筐体2911の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。情報端末2910は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット型情報端末、タブレット型パーソナルコンピュータ、電子書籍端末等として用いることができる。情報端末2910は、データ管理方法において、ネットワークに接続される記憶装置の一つとしてもよい。
図22(C)に示すノート型パーソナルコンピュータ2920は、筐体2921、表示部2922、キーボード2923、及びポインティングデバイス2924等を有する。また、ノート型パーソナルコンピュータ2920は、筐体2921の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。ノート型パーソナルコンピュータ2920は、データ管理方法において、ネットワークに接続される記憶装置の一つとしてもよい。
図22(D)に示すビデオカメラ2940は、筐体2941、筐体2942、表示部2943、操作スイッチ2944、レンズ2945、及び接続部2946等を有する。操作スイッチ2944及びレンズ2945は筐体2941に設けられており、表示部2943は筐体2942に設けられている。また、ビデオカメラ2940は、筐体2941の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。そして、筐体2941と筐体2942は、接続部2946により接続されており、筐体2941と筐体2942の間の角度は、接続部2946により変えることが可能な構造となっている。筐体2941に対する筐体2942の角度によって、表示部2943に表示される画像の向きの変更や、画像の表示/非表示の切り換えを行うことができる。実施の形態1で説明するカメラ100は、ビデオカメラ2940でもよい。
図22(E)にバングル型の情報端末の一例を示す。情報端末2950は、筐体2951、及び表示部2952等を有する。また、情報端末2950、筐体2951の内側にセンサ、アンテナ、バッテリなどを備える。表示部2952は、曲面を有する筐体2951に支持されている。表示部2952には、可撓性基板を用いた表示パネルを備えているため、フレキシブルかつ軽くて使い勝手の良い情報端末2950を提供することができる。もしくは、情報端末2950が複数のセンサを備えているときは、表示部2952を有しなくてもよい。
図22(F)に腕時計型の情報端末の一例を示す。情報端末2960は、筐体2961、表示部2962、バンド2963、バックル2964、操作スイッチ2965、入出力端子2966などを備える。また、情報端末2960、筐体2961の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。情報端末2960は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
表示部2962の表示面は湾曲しており、湾曲する表示面に沿って表示を行うことができる。また、表示部2962はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に触れることで操作することができる。例えば、表示部2962に表示されたアイコン2967に触れることで、アプリケーションを起動することができる。操作スイッチ2965は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オフ動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を持たせることができる。例えば、情報端末2960に組み込まれたオペレーティングシステムにより、操作スイッチ2965の機能を設定することもできる。
また、情報端末2960は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、情報端末2960は入出力端子2966を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子2966を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子2966を介さずに無線給電により行ってもよい。
例えば、本発明の一態様の半導体装置を用いた記憶装置は、上述された電子機器の制御情報や、制御プログラムなどを長期間保持することができる。本発明の一態様に係る半導体装置を用いることで、信頼性の高い電子機器を実現することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載された構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。