JP2018096600A - 空気調和システム - Google Patents

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松原 篤志
Atsushi Matsubara
篤志 松原
昭夫 田坂
Akio Tasaka
昭夫 田坂
裕介 塩野
yusuke Shiono
裕介 塩野
池田 誠
Makoto Ikeda
誠 池田
規宏 鍋島
Norihiro Nabeshima
規宏 鍋島
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Abstract

【課題】空調対象外の屋内の共通空間の空気を複数の空気調和機の熱交換に用いて熱交換効率を向上させることのできる空気調和システムを提供する。【解決手段】複数の空気調和機21〜25は、天井裏ATの空気を複数の熱源側熱交換器に用いる。第1換気部41と第2換気部42では、第1換気口43と第2換気口44を通して屋外99と天井裏ATとの間で空気が通気される。第1換気ファン46と第2換気ファン47は、屋外99から入って第1換気口43と第2換気口44との間を流れて屋外99に吹き出される気流を生じさせる。コントローラ30は、天井裏ATの周囲の屋外99の気温に基づいて第1換気口43と第2換気口44との間を流れる空気の天井裏AT内における経路を変更する。【選択図】図2

Description

本発明は、空気調和システム、特に、屋内の空調対象空間の空調を行うために、空調対象空間の周囲の屋内に配置されている空調対象外の共通空間の空気との間で熱交換を行う空気調和システムに関する。
従来から、空調対象外の天井室などの屋内の共通空間を活用して空気調和を行う複数の小型一体型空気調和機を用いた空気調和システムが提案されている。例えば特許文献1(特開昭48−2756号公報)に記載されている一体型空気調和機は、冷凍サイクルを行うための調温用熱交換器と放熱用熱交換器の両方が屋内、特に天井との境界部分に配置されている。そして、共通空間の空気が複数の一体型空気調和機の複数の放熱用熱交換器による熱交換に用いられている。
例えば、特許文献1に記載されている空気調和システムでは、天井室などの屋内の共通空間を断熱空気流路とし、排風機によって天井室内空気を入れ替えている。しかしながら、特許文献1に記載されている排風機によって天井室内空気を入れ換えるだけでは、建物の構造、一体型空気調和機の台数及び一体型空気調和機の配置によっては、効率の良い空調運転が難しい場合がある。
本発明の課題は、空調対象外の屋内の共通空間の空気を複数の空気調和機の熱交換に用いて熱交換効率を向上させることのできる空気調和システムを提供することである。
本発明の第1観点に係る空気調和システムは、屋内の空調対象空間の空調を行うために、空調対象空間の周囲の屋内に配置されている空調対象外の共通空間の空気との間で熱交換を行う空気調和システムであって、空調対象空間の空気と熱交換を行う利用側熱交換器、利用側熱交換器との間で熱の伝達が行われる熱源側熱交換器、及び共通空間から取り入れられる空気を熱源側熱交換器に流して共通空間に吹き出させる熱源側ファンを有し、共通空間の空気を複数の熱源側熱交換器に用いる複数の空気調和機と、屋外と共通空間との間の第1境界に設けられた第1換気口を有し、第1換気口を通して屋外と共通空間との間で空気を通気させるための第1換気部と、屋外と共通空間との間の第2境界に設けられた第2換気口を有し、第2換気口を通して屋外と共通空間との間で空気を通気させるための第2換気部と、屋外から入って第1換気口と第2換気口との間を流れて屋外に吹き出される気流を生じさせるための少なくとも一つの換気ファンと、第1換気部、第2換気部及び換気ファンのうちの少なくとも一つを制御する制御装置とを備え、制御装置は、共通空間内の気温及び/又は共通空間の周囲の屋外の気温に基づいて第1換気口と第2換気口との間を流れる空気の共通空間内における経路を変更する、ものである。
第1観点に係る空気調和システムによれば、制御装置が第1換気部、第2換気部及び換気ファンのうちの少なくとも一つを制御することにより、空気調和機の周囲の共通空間の気温を熱源側熱交換器にとって適切なものとなるように共通空間内における空気の経路を変更することができる。その結果、複数の空気調和機の周囲の温度が適切なものとなって複数の空気調和機の熱源側熱交換器の熱交換の効率が良くなる。
本発明の第2観点に係る空気調和システムは、第1観点の空気調和システムにおいて、制御装置は、第1換気口から第2換気口に向かう空気の流れと第2換気口から第1換気口に向かう空気の流れとを切り換えることにより共通空間内における空気の経路を変更する、ものである。
第2観点に係る空気調和システムによれば、第1換気口から第2換気口に向かう空気の流れと第2換気口から第1換気口に向かう空気の流れとを切り換えることにより共通空間内における空気の経路を変更できることから、例えば、第1換気口よりも第2換気口から好ましい温度の空気が流入する場合に第2換気口から第1換気口に向かう空気の流れに切り換えることにより、好ましい温度の方の空気を共通空間内に流入させることができる。例えば、空気調和システムが冷房を行っている場合に、第2換気口から流入する空気の温度の方が低ければ、第1換気口から第2換気口に向かう空気の流れを変更して第2換気口から第1換気口に空気を流すことで温度の低い方の空気を取り入れることができ、共通空間を効率良く冷やして熱交換効率を向上させることができる。
本発明の第3観点に係る空気調和システムは、第1観点又は第2観点に係る空気調和システムにおいて、制御装置は、第1換気部及び/または第2換気部を制御して第1換気口及び/または第2換気口の開閉を切り換えることにより共通空間内における空気の経路を変更する、ものである。
第3観点に係る空気調和システムによれば、第1換気口及び/または第2換気口から流入する空気と共通空間内の空気との間で温度差が生じる場合、第1換気口及び/または第2換気口を通して空気を流通させる方が好ましければ第1換気口及び/または第2換気口を開き、流通させない方が好ましければ第1換気口及び/または第2換気口を閉じることができる。例えば、熱源側熱交換器が放熱しているときに屋外から暖かい空気が入って熱交換効率が低下したり、熱源側熱交換器が放熱しているときに屋外に冷たい空気が吹き出して熱交換効率が低下したり、熱源側熱交換器が吸熱しているときに屋外から冷たい空気が入って熱交換効率が低下したり、熱源側熱交換器が吸熱しているときに屋外に暖かい空気が吹き出して熱交換効率が低下したりするのを防ぐことができる。
本発明の第4観点に係る空気調和システムは、第3観点の空気調和システムにおいて、第1換気部及び第2換気部のうちの少なくとも一方は、第1換気口を開閉するための第1シャッター及び第2換気口を開閉するための第2シャッターのうちの少なくとも一方を有し、制御装置は、第1シャッター及び第2シャッターのうちの少なくとも一方の開閉の切り換えを制御することにより、第1換気口と第2換気口との間を流れる空気の共通空間内における経路を変更する、ものである。
第4観点に係る空気調和システムによれば、第1シャッター及び第2シャッターのうちの少なくとも一方の開閉の切り換えによって経路を変更する場合には、例えば換気ファンを止めることなく経路の変更ができ、換気ファンの起動回数を減らすことができる。また、第1シャッター及び/または第2シャッターの開閉で空気の共通空間内における経路を変更することができ、第1シャッター及び第2シャッターの構造は比較的簡単である。
本発明の第5観点に係る空気調和システムは、第1観点から第4観点のいずれかの空気調和システムにおいて、少なくとも一つの換気ファンは、第1換気口の近傍に配置された第1換気ファンと、第2換気口の近傍に配置された第2換気ファンとを含み、制御装置は、第1換気ファンと第2換気ファンのオンとオフとを切り換えることにより、第1換気口と第2換気口との間を流れる空気の共通空間内における経路を変更する、ものである。
第5観点に係る空気調和システムによれば、制御装置が第1換気ファンと第2換気ファンのオンとオフとを切り換えることにより、送風を行う状態と送風を止める状態を切り換えることによって空気の共通空間内における経路を変更することから、第1換気口及び第2換気口における空気の流入出を強制的に形成することができる。例えば、流れを逆転させるような大きな経路の変更が容易に実現される。
本発明の第6観点に係る空気調和システムは、第1観点から第5観点のいずれかの空気調和システムにおいて、第1換気部及び第2換気部のうちの少なくとも一方は、第1換気口に続く複数の通風路を切り換え可能に構成された第1通風路切換装置及び第2換気口に続く複数の通風路を切り換え可能に構成された第2通風路切換装置のうちの少なくとも一方を有し、制御装置は、第1通風路切換装置及び第2通風路切換装置のうちの少なくとも一方の切り換えを制御することにより、第1換気口と第2換気口との間を流れる空気の共通空間内における経路を変更する、ものである。
第6観点に係る空気調和システムによれば、第1通風路切換装置及び第2通風路切換装置のうちの少なくとも一方の通風路の切り換えによって経路を変更する場合には、例えば換気ファンを止めることなく経路の変更ができ、換気ファンの起動回数を減らすことができる。第1換気口に続く複数の通風路及び/または第2換気口に続く複数の通風路によって共通空間の内部で通風路の開口部の向きと位置を定めることができることから、第1換気口と第2換気口との間を流れる空気の共通空間内における経路の設計の自由度が増える。
本発明の第7観点に係る空気調和システムは、第1観点から第6観点のいずれかの空気調和システムにおいて、制御装置は、共通空間に熱源側熱交換器が放熱する場合には第1換気口と第2換気口のうち屋外の気温が低い側から吸気し、共通空間から熱源側熱交換器が吸熱する場合には第1換気口と第2換気口のうち屋外の気温が高い側から吸気するように、第1換気口と第2換気口との間を流れる空気の共通空間内における経路を変更する、ものである。
第7観点に係る空気調和システムによれば、制御装置が、熱源側熱交換器が放熱する場合には第1換気口と第2換気口のうち屋外の気温が低い側から吸気するように、第1換気口と第2換気口との間を流れる空気の共通空間内における経路を変更することから、熱源側熱交換器の放熱の場合には共通空間を冷やし易くなる。また、制御装置が、熱源側熱交換器が吸熱する場合には第1換気口と第2換気口のうち屋外の気温が高い側から吸気するように、第1換気口と第2換気口との間を流れる空気の共通空間内における経路を変更することから、熱源側熱交換器の吸熱の場合には共通空間を暖め易くなる。
本発明の第1観点に係る空気調和システムでは、空調対象外の屋内の共通空間の空気を複数の空気調和機の熱交換に用いて熱交換効率を向上させることができる。
本発明の第2観点に係る空気調和システムでは、第2換気口から好ましい温度の空気が流入する場合に第2換気口から第1換気口に向かう空気の流れに切り換えることで熱交換の効率を向上させることができる。
本発明の第3観点に係る空気調和システムでは、第1換気口近傍の屋外、第2換気口近傍の屋外及び共通空間の空気の温度状況によって熱交換効率が低下するのを抑制することができる。
本発明の第4観点に係る空気調和システムでは、共通空間内における空気の経路を変更するための換気ファンの起動に伴う消費電力の増加を抑制できる。また、簡単で安価な構成によって熱交換効率の向上を実現できる。
本発明の第5観点に係る空気調和システムでは、第1換気ファンと第2換気ファンの制御により、所望の空気の経路に変更し易くなる。
本発明の第6観点に係る空気調和システムでは、共通空間内における空気の経路を変更するための換気ファンの起動に伴う消費電力の増加を抑制できる。また、空気調和システムの熱交換効率を向上させることのできる空気の経路を設定し易くなる。
本発明の第7観点に係る空気調和システムでは、熱源側熱交換器の放熱のときには共通空間の気温を低くして熱交換効率を上げ、熱源側熱交換器の吸熱のときには共通空間の気温を高くして熱交換効率を上げることができる。
第1実施形態に係る空気調和システムがビルに設置された状態の一例を示す模式的な断面図。 (a)天井裏で東から西に流れる空気の経路の一例を示す概念図、(b)天井裏で西から東に流れる空気の経路の一例を示す概念図。 第1実施形態に係る空気調和システムの構成の一例を示すブロック図。 空気調和システムを構成する一体型の空気調和機の模式的な断面図。 図4の空気調和機の冷媒回路の一例を示す回路図。 変形例1Cの空気調和システムの動作を説明するための概念図。 変形例1Cの空気調和システムの構成の一例を示すブロック図。 変形例1Dの空気調和システムの構成の概要を説明するための概念図。 (a)第1換気ファンから第2及び第3換気ファンに流れる空気の経路の一例を示す概念図、(b)第2換気ファンから第1及び第3換気ファンに流れる空気の経路の一例を示す概念図。 (a)第3換気ファンから第1及び第2換気ファンに流れる空気の経路の一例を示す概念図、(b)第1及び第2換気ファンから第3換気ファンに流れる空気の経路の一例を示す概念図。 (a)第1及び第3換気ファンから第2換気ファンに流れる空気の経路の一例を示す概念図、(b)第2及び第3換気ファンから第1換気ファンに流れる空気の経路の一例を示す概念図。 (a)変形例1Fにおいて東から西に流れる空気の経路の一例を示す概念図、(b)変形例1Fにおいて西から東に流れる空気の経路の一例を示す概念図。 第2実施形態に係る空気調和システムが設置されたビルの模式的な断面図。 (a)天井裏で南西から北東に流れる空気の経路の一例を示す概念図、(b)天井裏で南東から北西に流れる空気の経路の一例を示す概念図。 第2実施形態に係る空気調和システムの構成の一例を示すブロック図。 第2実施形態に係る空気調和システムを構成するセパレート型の空気調和機についての第1ケーシングの外観の一例を示す斜視図。 図16の空気調和機の模式的な断面図。 (a)第3実施形態に係る空気調和システムにおいて天井裏で南西から北東に流れる空気の経路の一例を示す概念図、(b)天井裏で南東から北西に流れる空気の経路の一例を示す概念図。 (a)変形例3Aの空気調和システムにおいて天井裏で西から東に流れる空気の経路の一例を示す概念図、(b)天井裏で東から西に流れる空気の経路の一例を示す概念図。
<第1実施形態>
(1)全体構成
本発明の第1実施形態に係る空気調和システムについて図1乃至図5を用いて説明する。図1及び図2に示されている空気調和システム10は、屋内の空調対象空間である部屋RMの空調を行うために、部屋RMの周囲の屋内に配置されている空調対象外の共通空間である天井裏ATの空気との間で熱交換を行う。ここでは、部屋RMが1つの場合について説明しているが、複数の部屋を空気調和システム10で空調する場合にも本願発明を適用することができる。また、ここで説明する空気調和システム10が空気の経路を制御するのは連続した1つの共通空間である。しかし、例えばビルの1階の天井裏と2階の天井裏のように独立した複数の共通空間の空気の経路を本発明に係る1つの空気調和システムで制御するように構成してもよい。
図1に示されている空気調和システム10は、複数の一体型の空気調和機21,22,23,24,25とコントローラ30と第1換気部41と第2換気部42と第1換気ファン46及び第2換気ファン47と第1温度センサ51及び第2温度センサ52を備えている。
図3には、コントローラ30と空気調和システム10の他の構成機器との接続関係の概要が示されている。上述の5台の一体型の空気調和機21〜25は、全てコントローラ30によって制御されている。また、第1換気ファン46及び第2換気ファン47が、コントローラ30によって制御されている。コントローラ30は、第1温度センサ51及び第2温度センサ52の検知結果に基づいて、空気調和システム10を制御する。
(2)詳細構成
(2−1)一体型の空気調和機21〜25
一体型の空気調和機21〜25は、互いに異なる構造の機器とすることもできるが、ここでは全て同じ構造の機器で構成されているものとして説明する。従って、全ての一体型の空気調和機21〜25の代表として空気調和機21を例に挙げて説明する。空気調和機21は、空調対象空間である部屋RMの空気と熱交換を行う利用側熱交換器61、利用側熱交換器61との間で熱の伝達が行われる熱源側熱交換器62、天井裏ATから取り入れられる空気を熱源側熱交換器62に流して再び天井裏ATに吹き出させる熱源側ファン63、部屋RMから取り入られる空気を利用側熱交換器61に流して再び部屋RMに吹き出させる利用側ファン64、及びケーシング65を有している。他の一体型の空気調和機22〜25も、空気調和機21と同じように、利用側熱交換器61、熱源側熱交換器62、熱源側ファン63及び利用側ファン64をそれぞれのケーシング65の内部に有している。
利用側熱交換器61及び熱源側熱交換器62には、例えば多数のフィン(図示せず)の間を通過する空気とそれらフィンを貫通する複数の伝熱管(図示せず)の中を流れる冷媒との熱交換を行わせるフィンアンドチューブ式の熱交換器をそれぞれ用いることができる。利用側熱交換器61と熱源側熱交換器62の間では、図5に示されている冷媒回路60を流れる冷媒によって熱の伝達が行われる。
熱源側ファン63及び利用側ファン64には、例えば遠心送風機、軸流送風機又は横断流送風機(クロスフローファン)をそれぞれ用いることができる。図4に示されている熱源側ファン63及び利用側ファン64はクロスフローファンである。ここで示されている熱源側ファン63及び利用側ファン64は、熱源側ファン63及び利用側ファン64の回転数をそれぞれ独立して変更可能に構成されている。従って、コントローラ30は、空気調和機21から空気調和機25までの熱源側ファン63及び利用側ファン64に流れる熱源側送風量及び利用側送風量を、熱源側と利用側とで独立して別々に制御することができる。また、コントローラ30によって、空気調和機21から空気調和機25までの熱源側ファン63及び利用側ファン64に流れる熱源側送風量及び利用側送風量を、各空気調和機で独立して別々に制御することができる。
空気調和機21のケーシング65の内部空間は、内部に配置された仕切板65aによって、空調対象空間側区域65bと共通空間側区域65cとに分けられている。部屋RMに露出しているケーシング65の側面には、部屋RMから空気を取り入れるための部屋側吸気口65d及び部屋RMに空気を吹き出すための部屋側吹出口65eが形成されている。また、天井裏ATに露出しているケーシング65の側面には、天井裏ATから空気を取り入れるための共通空間側吸気口65f及び天井裏ATに空気を吹き出すための共通空間側吹出口65gが形成されている。
図5には冷媒回路60の一例が示されている。冷媒回路60は、圧縮機66、四路切換弁67、熱源側熱交換器62、膨張機構68、利用側熱交換器61及びアキュムレータ69が冷媒配管60aで接続されて構成されている。冷房運転時には、四路切換弁67が実線の接続になり、圧縮機66から吐出された冷媒が四路切換弁67を介して熱源側熱交換器62に流れる。熱源側熱交換器62において天井裏ATの空気との熱交換により冷やされた冷媒は、膨張機構68で膨張されて利用側熱交換器61に流れる。利用側熱交換器61において部屋RMの空気と熱交換により暖められた冷媒は、四路切換弁67及びアキュムレータ69を介して圧縮機66に吸入される。暖房運転時には、四路切換弁67が破線の接続になり、圧縮機66から吐出された冷媒が四路切換弁67を介して利用側熱交換器61に流れる。利用側熱交換器61において部屋RMの空気との熱交換により冷やされた冷媒は、膨張機構68で膨張されて熱源側熱交換器62に流れる。熱源側熱交換器62において天井裏ATの空気と熱交換により暖められた冷媒は、四路切換弁67及びアキュムレータ69を介して圧縮機66に吸入される。
空気調和機21は、制御のために、温度センサ71〜76を備えている。温度センサ71は、熱源側熱交換器62で熱交換される前の天井裏ATの空気の温度を検知する。温度センサ72は、利用側熱交換器61で熱交換される前の部屋RMの空気の温度を検知する。温度センサ73は、膨張機構68と利用側熱交換器61との間において、利用側熱交換器61の出入口の冷媒の温度を検知する。温度センサ74は、膨張機構68と熱源側熱交換器62との間において、熱源側熱交換器62の出入口の冷媒の温度を検知する。温度センサ75は、アキュムレータ69と圧縮機66との間において、圧縮機66に吸入される冷媒の温度を検知する。温度センサ76は、圧縮機66と四路切換弁67との間において、圧縮機66から吐出される冷媒の温度を検知する。空気調和機21は、これら温度センサ71〜76を用いて例えば圧縮機66に吸入される冷媒の過熱度が所定の範囲に収まるように制御される、また圧縮機66から吐出される冷媒の温度が所定値以下になるように制御される。空気調和機21の冷媒回路60では、冷凍サイクル、特に蒸気圧縮式冷凍サイクルが実施される。
(2−2)第1換気部41及び第2換気部42
第1換気口43は、ビル90の西壁91に形成されている。この西壁91は、ビル90の内部である屋内98と屋外99との間に設けられた第1境界の例である。第1換気口43は第1換気部41を構成する。この第1換気部41は、コントローラ30による制御はされず、第1換気口43を通して屋外99と天井裏ATとの間で空気を単に通気させるだけの機能しか有していない。第2換気口44は、ビル90の東壁92に形成されている。この東壁92は、屋内98と屋外99との間に設けられた第2境界の例である。第2換気口44は、第2換気部42を構成する。この第2換気部42は、コントローラ30による制御はされず、第2換気口44を通して屋外99と天井裏ATとの間で空気を単に通気させるだけの機能しか有していない。ここでは、第1境界を西壁91とし、第2境界を東壁92としているが、第1境界と第2境界は、東西に限られるものではなく、例えば北と南、東南と南西、又は同じ北壁の東寄りと西寄りでもよい。
(2−3)第1換気ファン46及び第2換気ファン47
第1換気ファン46及び第2換気ファン47には、例えば遠心送風機、軸流送風機又は横断流送風機をそれぞれ用いることができる。図2(a)に示されている第1換気ファン46及び第2換気ファン47は、軸流送風ファンである。第1換気ファン46は、第1換気口43に取り付けられている。また、第2換気ファン47は、第2換気口44に取り付けられている。つまり、第1換気ファン46が第1換気口43の近傍に設けられ、第2換気ファン47が第2換気口44の近傍に設けられているということである。換気ファン取り付け位置は、換気口近傍であればよいので、上述のように第1換気口43及び第2換気口44に取り付けられる場合だけでなく、換気口に気流を発生させられる離れた場所に取り付けられていてもよい。図2(a)及び図2(b)に示されている第1換気ファン46及び第2換気ファン47は、排気ファンである。つまり、第1換気ファン46は、天井裏ATの空気を屋外99(ビル90の西側)に吹き出させ、第2換気ファン47は、天井裏ATの空気を屋外99(ビル90の東側)に吹き出させる。
(2−4)コントローラ30
コントローラ30は、図3に示されているように、マイクロプロセッシングユニット(MPU)31とメモリ32を含んでいる。コントローラ30は、空気調和機21,22,23,24,25の各制御部21a,22a,23a,24a,25aに接続されている。コントローラ30は、第1換気ファン46の制御部41a及び第2換気ファン47の制御部42aにも接続されている。また、コントローラ30には第1温度センサ51及び第2温度センサ52が接続され、第1温度センサ51の検知温度及び第2温度センサ52の検知温度がコントローラ30に入力される。
例えば、コントローラ30のメモリ32には、後述する第1実施形態の空気調和システム10の動作を制御するためのプログラムが記憶されている。MPU31がメモリ32に記憶されているプログラムに従って制御部21a〜25a,41a,42aに指令を送信する。ここでは、コントローラ30がビル90の内部に設置されている場合について説明するが、コントローラ30はビル90の外部に設置されていてもよく、コントローラ30の記憶機能と処理機能が別々の場所に設けられていてもよい。
(2−5)第1温度センサ51及び第2温度センサ52
第1温度センサ51及び第2温度センサ52には、例えばサーミスタを用いることができる。第1温度センサ51及び第2温度センサ52は、第1換気ファン46及び第2換気ファン47の排気の影響を受けずに屋外99の温度を検知できる場所に取り付けられる。このような場所としては、例えば第1換気口43及び第2換気口44からビル90の外壁(例えば、西壁91及び東壁92)の方に突出して第1換気口43及び第2換気口44から吹き出される気流から外れた場所などがある。
(3)全体動作
ここでは、空気調和システム10の一体型の空気調和機21〜25が全て暖房運転する場合と全ての一体型の空気調和機21〜25が冷房運転をする場合について説明する。まず、全ての一体型の空気調和機21〜25が冷房運転をする場合は、図2(a)及び図2(b)に示されている一体型の空気調和機21〜25から部屋RMに向かって冷風が吹き出される。冷風の温度は、通常、屋外99の気温よりも低い。このとき一体型の空気調和機21〜25から天井裏ATに向かって温風が吹き出される。温風の温度は、通常、屋外の気温よりも高い。
コントローラ30は、一体型の空気調和機21〜25の制御を行っており、空気調和機21〜25が冷房運転を実施していて、空気調和機21〜25から天井裏ATには温風が吹き出されている状態を認識できる。このとき並行して、コントローラ30は、第1温度センサ51と第2温度センサ52の検知温度を比較している。コントローラ30は、検知温度の比較結果から、ビル90の西壁91の周囲の空気の温度と東壁92の周囲の空気の温度の高低を認識している。天井裏ATに温風が吹き出されている状態のとき、空気調和機21〜25の熱交換の効率を高めるためには天井裏ATの空気の温度が低い方が好ましい。そこで、コントローラ30は、西壁91と東壁92の周囲の空気の温度の低い方から空気を取り入れるため、第1換気ファン46と第2換気ファン47のうち、周囲の空気の温度の高い方を駆動する。
午後は例えば西壁91に日光が当たって西壁91の周囲の空気の温度が高いとすると、コントローラ30は第1換気ファン46を駆動する。この第1換気ファン46の駆動により、図2(a)に矢印AR1で示されている天井裏ATから第1換気口43を通って屋外99に吹き出す気流が発生する。矢印AR1で示されている気流の発生にともなって天井裏ATが負圧になり、屋外99から第2換気口44を通って天井裏ATに流れ込む気流(矢印AR2で示された気流)が発生する。このとき第2換気ファン47は駆動されておらず、第2換気ファン47による気流は生じない。その結果、天井裏ATでは、第2換気口44から第1換気口43に向かう気流(矢印AR3で示された気流)が発生する。
午前は例えば東壁92に日光が当たって東壁92の周囲の空気の温度が高いとすると、コントローラ30は第2換気ファン47を駆動する。この第2換気ファン47の駆動により、図2(b)に矢印AR4で示されている天井裏ATから第2換気口44を通って屋外99に吹き出す気流が発生する。矢印AR4で示されている気流の発生にともなって天井裏ATが屋外99より気圧の低い負圧になり、屋外99から第1換気口43を通って天井裏ATに流れ込む気流(矢印AR5で示された気流)が発生する。このとき第1換気ファン46は駆動されておらず第1換気ファン46による気流は生じない。その結果、天井裏ATでは、第1換気口43から第2換気口44に向かう気流(矢印AR6で示された気流)が発生する。
上述のように、午前は、温度の低い西壁91の周囲の空気を取り入れることができるように共通空間である天井裏ATの空気の経路を変更して空気調和機21〜25の周囲の温度を低くすることができ、空気調和機21〜25の熱源側熱交換器62の熱交換効率が良くなる。また、午後は、温度の低い東壁92の周囲の空気を取り入れることができるように天井裏ATの空気の経路を変更して空気調和機21〜25の周囲の温度を低くすることができ、空気調和機21〜25の熱源側熱交換器62の熱交換効率が良くなる。
次に、全ての一体型の空気調和機21〜25が暖房運転をする場合は、図2(a)及び図2(b)に示されている空気調和機21〜25から部屋RMに向かって温風が吹き出される。このとき空気調和機21〜25から天井裏ATに向かって冷風が吹き出される。このとき、コントローラ30は、空気調和機21〜25の制御を行っており、空気調和機21〜25が暖房運転を実施していて、空気調和機21〜25から天井裏ATには冷風が吹き出されている状態を認識している。また、コントローラ30は、第1温度センサ51と第2温度センサ52の検知温度の比較結果から、ビル90の西壁91の周囲の空気の温度と東壁92の周囲の空気の温度の高低を認識している。天井裏ATに冷風が吹き出されている状態のとき空気調和機21〜25の熱交換の効率を高めるためには天井裏ATの空気の温度が高い方が好ましい。そこで、コントローラ30は、西壁91と東壁92の周囲の空気の温度の高い方から空気を取り入れるため、第1換気ファン46と第2換気ファン47のうち、周囲の空気の温度の低い方を駆動する。
午前は例えば東壁92に日光が当たって東壁92の周囲の空気の温度が高いとすると、コントローラ30は第1換気ファン46を駆動する。この第1換気ファン46の駆動により、図2(a)に矢印AR1で示されている天井裏ATから第1換気口43を通って屋外99に吹き出す気流が発生する。その結果、既に説明したように、天井裏ATでは、第2換気口44から第1換気口43に向かう気流(矢印AR3で示された気流)が発生する。
午後は例えば西壁91に日光が当たって西壁91の周囲の空気の温度が高いとすると、コントローラ30は第2換気ファン47を駆動する。この第2換気ファン47の駆動により、図2(b)に矢印AR4で示されている天井裏ATから第2換気口44を通って屋外99に吹き出す気流が発生する。その結果、既に説明したように、天井裏ATでは、第1換気口43から第2換気口44に向かう気流(矢印AR6で示された気流)が発生する。
上述のように、午前は、温度の高い東壁92の周囲の空気を取り入れることができるように天井裏ATの空気の経路を変更して空気調和機21〜25の周囲の温度を高くすることができ、空気調和機21〜25の熱源側熱交換器62の熱交換効率が良くなる。また、午後は、温度の高い西壁91の周囲の空気を取り入れることができるように天井裏ATの空気の経路を変更して空気調和機21〜25の周囲の温度を低くすることができ、空気調和機21〜25の熱源側熱交換器62の熱交換効率が良くなる。
(4)変形例
(4−1)変形例1A
上記第1実施形態では、第1換気ファン46及び第2換気ファン47が排気ファンである場合について説明したが、第1換気ファン46及び第2換気ファン47を吸気ファンとしてもよい。冷房運転の場合を例に挙げると、第1換気ファン46及び第2換気ファン47が吸気ファンであって第1実施形態のように午前に東壁92の周囲の空気の温度が高く、午後に西壁91の周囲の温度が高い場合には、午後に第2換気ファン47を駆動し、午前に第1換気ファン46を駆動する。第2換気ファン47を駆動すると、午後に図2(a)に矢印AR2で示されている気流を発生させ、天井裏ATが屋外99より気圧の高い正圧になり、天井裏ATから第1換気口43を通って屋外99に流れ出す気流(矢印AR1で示された気流)を発生させることができる。逆に、第1換気ファン46を駆動すると、午前に図2(b)に矢印AR5で示されている気流を発生させ、天井裏ATが屋外99より気圧の高い正圧になり、天井裏ATから第2換気口44を通って屋外99に流れ出す気流(矢印AR4で示された気流)を発生させることができる。
(4−2)変形例1B
上記第1実施形態では、第1換気ファン46と第2換気ファン47の2台を用いたが、例えばファンの回転翼の回転方向を切り換えて、1台で吸気と排気とを切り換えられる換気ファンを用いてもよい。この吸気と排気を切り換えられるように構成される換気ファンは、第1換気口43又は第2換気口44の近傍に配置すればよい。また、第1換気ファン46と第2換気ファン47の両方を吸気と排気を切り換えられるように構成してもよい。そのように構成した場合に、例えば図2(a)のような矢印AR1,AR2で示された気流を発生させるには、排気を行うように第1換気ファン46を駆動し、吸気を行うように第2換気ファン47を駆動すればよい。また、例えば図2(b)のような矢印AR4,AR5で示された気流を発生させるには、吸気を行うように第1換気ファン46を駆動し、排気を行うように第2換気ファン47を駆動すればよい。
(4−3)変形例1C
上記第1実施形態では、第1換気部41及び第2換気部42は、コントローラ30による制御がされず、常に開放されている。しかし、図6に示されているように、第1換気口43を開閉する第1シャッター48を第1換気部41に設け、第2換気口44を開閉する第2シャッター49を第2換気部42に設けてもよい。図7に示されているように、第1シャッター48及び第2シャッター49はコントローラ30に接続されている。コントローラ30は、第1シャッター48及び第2シャッター49に対して開閉信号をそれぞれに出力して第1シャッター48及び第2シャッター49の開閉をそれぞれに制御することができる。
例えば、上記第1実施形態のビル90において冷房運転を行う場合、天井裏ATの空気の温度の上昇よりも屋外99の空気の温度の上昇の方が速く、西壁91及び東壁92の周囲の空気の温度よりも天井裏ATの空気の温度が低い時間帯が生じたとする。このような状態の検知は、上述の一体型の空気調和機21〜25については、温度センサ71の検知温度を制御部21a〜25aからコントローラ30に送信することにより行うことができる。例えば、5つの温度センサ71のいずれの検知温度よりも第1温度センサ51及び第2温度センサ52の検知温度が高ければ、コントローラ30が天井裏ATよりも屋外99の空気の温度が高いと判断する。このような時間帯においては、屋外99の空気を天井裏ATに取り入れると却って熱交換の効率が落ちるため、コントローラ30は、第1シャッター48及び第2シャッター49を閉じるように制御してもよい。第1シャッター48及び第2シャッター49を閉じているときには、第1換気ファン46及び第2換気ファン47を停止し、天井裏ATの空気の流れが一体型の空気調和機21〜25から吹き出される空気の気流(矢印AR7で示された気流)によって形成されるようにしてもよい。この場合、天井裏ATの空気の温度が屋外99の空気の温度に近づいて天井裏ATの空気の温度が屋外99の空気の温度に基づいて設定された閾値温度を超えた時点で、コントローラ30が、第1シャッター48及び第2シャッター49を開くように制御すればよい。第1シャッター48及び第2シャッター49を開いているときには、第1実施形態で説明したように、コントローラ30は、第1温度センサ51及び第2温度センサ52の検知温度に基づいて天井裏ATの空気の経路を切り換える。
(4−4)変形例1D
上記第1実施形態では、第1換気口43として開口が一つの場合について説明したが、第1換気口43として開口を複数設けてもよい。また、第2換気口44として開口を複数設けてもよい。第1シャッターを複数設けてもよい。さらに、第2シャッターを複数設けてもよい。
例えば、図8に示されているように、第1換気口43として3つの開口部43a,43b,43cを設けてもよい。開口部43aに第1換気ファン46と第1シャッター48aが設けられ、開口部43bに第1シャッター48bが設けられ、開口部43cに第1シャッター48cが設けられている。図8に示されているように、第2換気口44として3つの開口部44a,44b,44cを設けてもよい。開口部44aに第2換気ファン47と第2シャッター49aが設けられ、開口部44bに第2シャッター49bが設けられ、開口部44cに第2シャッター49cが設けられている。この場合、第1換気部41は、2つの開口部43a,43b,43cからなる第1換気口43と3つの第1シャッター48a,48b,48cにより構成されている。第2換気部42は、2つの開口部44a,44b,44cからなる第2換気口44と3つの第2シャッター49a,49b,49cにより構成されている。図示を省略するが、6つの第1シャッター48a,48b,48c及び第2シャッター49a,49b,49cは、コントローラ30に接続され、コントローラ30によって制御される。
例えば、図8に示されている第1換気口43から第2換気口44に向かう空気の経路を形成する場合、コントローラ30は、第2シャッター49aを開き、第2シャッター49b,49cを閉じる。また、コントローラ30により、排気ファンである第2換気ファン47が駆動され、第1換気ファン46が停止される。この場合、第1シャッター48a,48b,48cの開閉パターンは、全てを閉じる場合を除く7通りある。例えば、一体型の空気調和機24,25のみが駆動していて他が停止している場合には、第1シャッター48cのみを開けて一体型の空気調和機24,25に流れる気流を強くする方が好ましい。このように、コントローラ30は、一体型の空気調和機21〜25の駆動・停止の状態に応じて複数の第1シャッター48a,48b,48cの開閉パターンを選択してもよい。あるいは、一体型の空気調和機24,25の発揮している空調能力が他に比べて大きくなっている場合には、第1シャッター48cのみを開けて一体型の空気調和機24,25に流れる気流を強くする方が好ましい。このように、コントローラ30は、一体型の空気調和機21〜25の運転能力の発揮状態に応じて複数の第1シャッター48a,48b,48cの開閉パターンを選択してもよい。
また、例えば、コントローラ30は、最初、第1換気口43として開口部43aだけを開いて開口部43b、43cを閉じて全ての一体型の空気調和機21〜25を駆動し、冷房運転の途中で複数の第1シャッター48a,48b,48cの開閉パターンを変更してもよい。そのために、例えば、コントローラ30は、所定時間が経過する度に一体型の空気調和機21〜25の熱源側熱交換器62に供給される天井裏ATの空気の温度の違いを温度センサ71で検知するように構成してもよい。例えば、一体型の空気調和機21,22の温度センサ71の検知温度が、一体型の空気調和機23〜25の温度センサ71の検知温度よりも所定値(例えば3℃)だけ高くなり、コントローラ30が一体型の空気調和機21,22の周囲に熱がこもっていると判断したときには、第1シャッター48bを開いて第1シャッター48a,48cを閉じるように制御してもよい。このような制御をすることで、共通空間である天井裏ATで温度分布が生じて熱交換効率が低下するのを抑制することができる。このとき、第1換気ファン46と第2換気ファン47のいずれを駆動するかは、第1実施形態と同様に、第1温度センサ51と第2温度センサ52の検知温度によってコントローラ30が判断している。このようなコントローラ30の制御は、共通空間(天井裏AT)内の気温及び共通空間の周囲の屋外99の気温に基づいて第1換気口43と第2換気口44との間を流れる空気の共通空間内における経路を変更する制御の例である。
(4−5)変形例1E
上記第1実施形態では、排気用ファンである第1換気ファン46及び第2換気ファン47の2つの換気ファンが、第1境界である西壁91と第2境界である東壁92に配置されている場合について説明した。また、変形例1Aでは、第1換気ファン46及び第2換気ファン47が吸気ファンであってもよいことを説明した。さらに、吸気及び排気を切り換えられる少なくとも1台の換気ファンを西壁91(第1境界)の第1換気口43及び東壁92(第2境界)の第2換気口44の少なくとも一方に配置してもよいことを説明した。
これら第1実施形態、変形例1A及び変形例1Bの構成に加えて、第3境界の第3換気口の近傍に第3換気ファンを設置してもよい。さらに、第4境界の第4換気口の近傍に第4換気ファンを設置してもよい。このような構成においては、第3換気ファン及び第4換気ファンもコントローラ30により制御される。その場合、第3境界の第3換気口周辺の屋外の気温を第3温度センサで検知して、第1、第2及び第3温度センサの検知結果に基づいて、第1、第2及び第3換気口との間を流れる空気の共通空間内における経路を変更するように構成してもよい。また、第3及び第4境界の第3及び第4換気口周辺の屋外の気温を第3及び第4温度センサで検知して、第1、第2、第3及び第4温度センサの検知結果に基づいて、第1、第2、第3及び第4換気口との間を流れる空気の共通空間内における経路を変更するように構成してもよい。第3境界としては、例えば図9(a)に示されているビル90の北壁93がある。また、第4境界として、例えば図9(a)の南壁94がある。なお、第1境界乃至第4境界は、東西南北に限られるものではなく、ビル90の水平断面形状が四角形であるとは限られず、例えばビルの水平断面形状が六角形であれば第1乃至第6境界まで設定されてもよい。例えばD字のように中央に中庭に面する壁があれば、その壁を境界としてもよい。また、ここでは、西壁91を第1境界、東壁92を第2境界、そして北壁93を第3境界とみなしているが、例えば北壁93を第1境界、西壁91を第2境界、そして東壁92を第3境界とみなすこともできる。さらに、ビルの水平断面形状が円形である場合には、第1境界と第2境界の境目が分かりにくいが、円形の場合には例えば第1換気口と第2換気口の中間地点を第1境界と第2境界の境目とみなすことができる。
ここでは、図9(a)、図9(b)、図10(a)、図10(b)、図11(a)及び図11(b)を用いて、第3境界である北壁93に第3換気口82が形成されている場合について説明する。なお、これらの図においては第1温度センサ及び第2温度センサの図示が省略されているが、第1実施形態と同様に構成されている。北壁93の第3換気口82が第3換気部を構成する。この第3換気口82の中には、コントローラ30により制御される第3換気ファン81が設置されている。これら第3換気ファン81と第3換気口82以外の構成は、第1実施形態の空気調和システム10と同じである。つまり、変形例1Eの空気調和システム10は、一体型の空気調和機21〜25とコントローラ30と第1換気口43及び第2換気口44と第1換気ファン46及び第2換気ファン47も備えている。
変形例1Eの空気調和システム10では、第3換気口82及び第3換気ファン81をさらに備えることで、共通空間である天井裏ATの空気の経路の切り換えのバリエーションが豊富になっている。図9(a)には、コントローラ30により、第3換気ファン81が停止していて、第1換気ファン46及び第2換気ファン47が駆動されている場合が示されている。第1換気ファン46が駆動されることにより、矢印AR8で示された天井裏ATから第1換気口43を通って屋外99に吹き出す気流が発生する。また、第2換気ファン47が駆動されることにより、矢印AR9で示された天井裏ATから第2換気口44を通って屋外99に吹き出す気流が発生する。矢印AR8,AR9で示されている気流の発生にともなって天井裏ATが負圧になり、屋外99から第3換気口82を通って天井裏ATに流れ込む気流(矢印AR10で示された気流)が発生する。その結果、天井裏ATでは、第3換気口82から第1換気口43に向かう気流(矢印AR11で示された気流)及び第3換気口82から第2換気口44に向かう気流(矢印AR12で示された気流)が発生する。
図9(b)には、コントローラ30により、第3換気ファン81が駆動されていて、第1換気ファン46及び第2換気ファン47が停止されている場合が示されている。第3換気ファン81が駆動されることにより、矢印AR13で示された天井裏ATから第3換気口82を通って屋外99に吹き出す気流が発生する。矢印AR13で示されている気流の発生にともなって天井裏ATが負圧になり、屋外99から第1換気口43及び第2換気口44を通って天井裏ATに流れ込む気流(矢印AR14,AR15で示された気流)が発生する。その結果、天井裏ATでは、第1換気口43から第3換気口82に向かう気流(矢印AR16で示された気流)及び第2換気口44から第3換気口82に向かう気流(矢印AR17で示された気流)が発生する。
図10(a)には、コントローラ30により、第2換気ファン47及び第3換気ファン81が駆動されていて、第1換気ファン46が停止されている場合が示されている。このような状態において天井裏ATでは、第1換気口43を通って天井裏ATに流れ込む気流(矢印AR18で示された気流)、第1換気口43から第2換気口44に向かう気流(矢印AR19で示された気流)及び第1換気口43から第3換気口82に向かう気流(矢印AR20で示された気流)、並びに第2換気口44を通って屋外99に吹き出す気流(矢印AR21で示された気流)及び第3換気口82を通って屋外99に吹き出す気流(矢印AR22で示された気流)が発生する。図10(b)には、コントローラ30により、第1換気ファン46及び第3換気ファン81が駆動されていて、第2換気ファン47が停止されている場合が示されている。このような状態において天井裏ATでは、第1換気口43を通って天井裏ATに流れ込む気流(矢印AR23で示された気流)、第2換気口44から第1換気口43に向かう気流(矢印AR24で示された気流)及び第2換気口44から第3換気口82に向かう気流(矢印AR25で示された気流)、並びに第1換気口43を通って屋外99に吹き出す気流(矢印AR26で示された気流)及び第3換気口82を通って屋外99に吹き出す気流(矢印AR27で示された気流)が発生する。
図11(a)には、コントローラ30により、第1換気ファン46及び第3換気ファン81が停止されていて、第2換気ファン47が駆動されている場合が示されている。このような状態において天井裏ATでは、第1換気口43及び第3換気口82を通って天井裏ATに流れ込む気流(矢印AR28,AR29で示された気流)、第1換気口43から第2換気口44に向かう気流(矢印AR30で示された気流)及び第3換気口82から第2換気口44に向かう気流(矢印AR31で示された気流)、並びに第2換気口44を通って屋外99に吹き出す気流(矢印AR32で示された気流)が発生する。図11(b)には、コントローラ30により、第1換気ファン46が駆動されていて、第2換気ファン47及び第3換気ファン81が停止されている場合が示されている。このような状態において天井裏ATでは、第2換気口44及び第3換気口82を通って天井裏ATに流れ込む気流(矢印AR33,AR34で示された気流)、第2換気口44から第1換気口43に向かう気流(矢印AR35で示された気流)及び第3換気口82から第1換気口43に向かう気流(矢印AR36で示された気流)、並びに第1換気口43を通って屋外99に吹き出す気流(矢印AR37で示された気流)が発生する。
(4−6)変形例1F
上記変形例1Eでは、第1換気口43、第2換気口44及び第3換気口82にシャッターが設けられていない場合について説明したが、図12(a)及び図12(b)に示されているように、第1シャッター48、第2シャッター49及び第3シャッター83を設けてもよい。3つ以上の換気口が設けられている場合でも、換気口にシャッターを設けることにより、共通空間である天井裏ATの空気の経路の切り換えのバリエーションをさらに増やすことができる。第3換気口82と第3シャッター83が第3換気部84を構成する。
図12(a)及び図12(b)においては、第1換気口43の第1シャッター48及び第2換気口44の第2シャッター49が開かれ、第3換気口82の第3シャッター83が閉じられている。図12(a)には、コントローラ30により、第2換気ファン47及び第3換気ファン81が停止されていて、第1換気ファン46が駆動されている場合が示されている。図12(b)には、コントローラ30により、第1換気ファン46及び第3換気ファン81が停止されていて、第2換気ファン47が駆動されている場合が示されている。このように第3換気口82に第3シャッター83を設けられている変形例1Fの空気調和システム10では、変形例1Eの空気調和システム10では行えなかったような、図2(a)及び図2(b)に示されているのと同じ空気の流路の切り換えが可能になる。
(4−7)変形例1G
上記第1実施形態の空気調和システム10では、第1温度センサ51及び第2温度センサ52で検知される屋外の気温に基づいて、空気調和機21〜25の周囲の天井裏ATの気温を熱源側熱交換器62にとって適切なものとなるように天井裏AT内における空気の経路を変更する場合について説明した。しかし、第1温度センサ51及び第2温度センサ52を設けずに、空気調和機21〜25の温度センサ71を用いて検知される共通空間の気温のみに基づいて、空気調和機21〜25の周囲の天井裏ATの気温を熱源側熱交換器62にとって適切なものとなるように天井裏AT内における空気の経路を変更してもよい。このように共通空間の気温のみに基づいてもよい点に関しては他の実施形態及び変形例でも同様である。例えば、1日の空気調和システム10の運転期間中、2時間毎に予め定めた一定時間(例えば10分)ずつ図2(a)と図2(b)で示されている空気の経路に変更する。そして、一定時間経過時に空気調和機21〜25の温度センサ71で検知される天井裏ATの気温を比較して、冷房運転であれば天井裏ATの気温が低い方を、暖房運転であれば気温が高い方を選択するように構成してもよい。
(4−8)変形例1H
上記変形例1Bの空気調和システム10では、第1換気ファン46及び第2換気ファン47が停止しているときには、第1換気ファン46及び第2換気ファン47を空気が通過して換気が行えるような構成について説明したが、第1換気ファン46及び第2換気ファン47はコントローラ30によっては制御されないシャッター付きの換気ファンであってもよい。例えば、換気ファンが駆動されたときにはシャッターが自動的に開き、換気ファンが停止されたときにはシャッターが自動的に閉じるような自動開閉式のシャッターを第1換気ファン46及び/または第2換気ファン47が有していてもよい。このような自動開閉式のシャッター付きの換気ファンは、排気ファン及び吸気ファンに適用されてもよい。
(4−9)変形例1I
上記第1実施形態の空気調和システム10では、第1温度センサ51及び第2温度センサ52で検知される屋外の気温に基づいて、上記変形例1Gでは空気調和機21〜25の温度センサ71で検知される天井裏ATの気温に基づいて、空気調和機21〜25の周囲の天井裏ATの気温を熱源側熱交換器62にとって適切なものとなるように天井裏AT内における空気の経路を変更する場合について説明した。しかし、温度センサを用いずに、例えば予め行われた実地検証又はシミュレーション結果から与えられる共通空間内の気温及び/又は共通空間の周囲の屋外の気温に基づいて、空気調和機21〜25の周囲の天井裏ATの気温を熱源側熱交換器62にとって適切なものとなるように天井裏AT内における空気の経路を変更してもよい。共通空間内の気温及び/又は共通空間の周囲の屋外の気温に関するデータは、例えばコントローラ30のメモリ32に記憶させればよい。このように例えば予め行われた実地検証又はシミュレーション結果から与えられる共通空間内の気温及び/又は共通空間の周囲の屋外の気温に基づいてもよい点に関しては他の実施形態及び変形例でも同様である。
(4−10)変形例1J
上記変形例1Dでは、図8に示されているように西壁91と東壁92の両方に第1シャッター48a〜48c及び第2シャッター49a〜49cを設ける場合について説明したが、第1シャッター48a〜48c及び第2シャッター49a〜49cのうちのいずれか一方だけを設けるようにしてもよい。
(4−11)変形例1K
上記変形例1Dでは、西壁91と東壁92に第1温度センサ51と第2温度センサ52を一つずつ設ける場合について説明したが、複数の開口部43a〜43c及び複数の開口部44a〜44cに対応して複数の第1温度センサ51と複数の第2温度センサ52を設けるようにしてもよい。その場合には、例えば、複数の第1温度センサ51の検知温度の平均値と複数の第2温度センサ52の検知温度の平均値を比較して東西のどちらの温度が適切かを判別するように構成してもよい。
<第2実施形態>
(5)全体構成
本発明の第2実施形態に係る空気調和システムについて図13乃至図17を用いて説明する。図13に示されている空気調和システム10は、屋内の空調対象空間である2つの部屋RM1,RM2の空調を行うために、部屋RM1,RM2の周囲の屋内に配置されている空調対象外の共通空間である天井裏ATの空気との間で熱交換を行う。
図13、図14(a)及び図14(b)に示されている空気調和システム10は、複数(ここでは5台)のセパレート型の空気調和機21A,22A,23A,24A,25Aとコントローラ30と換気ファン130と第1温度センサ51及び第2温度センサ52と第1換気部141と第2換気部142と2つの通風路101,102と通風路シャッター103,104を備えている。なお、通風路101,102はダクト100によって形成される。通風路101は開口部101aと第2換気口146をつないでおり、通風路102は開口部102aと第2換気口146をつないでいる。
図15には、コントローラ30と空気調和システム10の他の構成機器との接続関係の概要が示されている。上述の5台のセパレート型の空気調和機21A〜25Aは、全てコントローラ30によって制御されている。また、換気ファン130、第1シャッター154、第2シャッター155及び通風路シャッター103,104も、コントローラ30によって制御されている。コントローラ30は、第1温度センサ51及び第2温度センサ52の検知結果に基づいて、空気調和システム10を制御する。
(6)詳細構成
(6−1)セパレート型の空気調和機21A〜25A
セパレート型の空気調和機21A〜25Aは、互いに異なる構造の機器とすることもできるが、ここでは全て同じ構造の機器で構成されているものとして説明する。従って、全てのセパレート型の空気調和機21A〜25Aの代表として空気調和機21Aを例に挙げて説明する。
空気調和機21Aは、空調対象空間である部屋RM1の空気と熱交換を行う利用側熱交換器61、利用側熱交換器61との間で熱の伝達が行われる熱源側熱交換器62、天井裏ATから取り入れられる空気を熱源側熱交換器62に流して再び天井裏ATに吹き出させる熱源側ファン63、部屋RMから取り入られる空気を利用側熱交換器61に流して再び部屋RMに吹き出させる利用側ファン64、及びケーシング65を有している。他のセパレート型の空気調和機22A〜25Aも、空気調和機21Aと同じように、利用側熱交換器61、熱源側熱交換器62、熱源側ファン63及び利用側ファン64をそれぞれのケーシング65の内部に有している。ただし、空気調和機21A,23A,24Aの利用側熱交換器61は部屋RM1の空気と熱交換を行うが、空気調和機22A,25Aの利用側熱交換器61は空調対象空間である部屋RM2の空気と熱交換を行う。
第2実施形態の空気調和システム10の利用側熱交換器61及び熱源側熱交換器62並びに熱源側ファン63及び利用側ファン64の具体的構成は第1実施形態の空気調和システム10と同様に構成できる。また、第2実施形態の空気調和機21A〜25Aも、第1実施形態の空気調和機21〜25と同様に、図5に示された冷媒回路60及び温度センサ71〜76を用いて構成できる。
第2実施形態の空気調和機21Aが第1実施形態の空気調和機21と大きく異なるのは、空気調和機21が1つのケーシング65の内部空間を仕切板65aによって分割していたのに対して空気調和機21Aが2つの分離した第1ケーシング110と第2ケーシング120を備えている点である。部屋RM1に露出している第1ケーシング110(図16及び図17参照)には、部屋RM1から空気を取り入れるための部屋側吸気口111及び部屋RM1に空気を吹き出すための部屋側吹出口112が形成されている。また、天井裏ATに露出している第2ケーシング120(図17参照)には、天井裏ATから空気を取り入れるための共通空間側吸気口121及び天井裏ATに空気を吹き出すための共通空間側吹出口122が形成されている。図17に示されているように、空気調和機21Aの熱源側ファン63及び利用側ファン64には遠心ファンを用いることができる。また、利用側熱交換器61及び熱源側熱交換器62は、熱源側ファン63及び利用側ファン64を囲むように四角形の環状に形成することができる。例えば、利用側熱交換器61は、図16に示されている4つの部屋側吹出口112に対応するように配置される4つの辺を有する四角形の環状に形成されている。
(6−2)第1換気部141及び第2換気部142
第1換気口143は、ビル90の西壁91(第1境界の例)に形成されている。第1換気口143には第1シャッター154が設けられている。後述するように、第1換気口143は専ら吸気口として用いられる。第1換気口143と第1シャッター154は第1換気部141を構成する。この第1換気部141においては、第1換気口143と吸気専用の第2換気口145及び排気専用の第2換気口146との間を流れる空気の経路を変更するため、コントローラ30により第1シャッター154が制御される。吸気専用の第2換気口145及び排気専用の第2換気口146は、ビル90の東壁92(第2境界の例)に形成されている。吸気専用の第2換気口145には第2シャッター155が設けられている。また、排気専用の第2換気口146には、通風路101,102と通風路シャッター103,104が設けられている。吸気専用の第2換気口145、排気専用の第2換気口146、第2シャッター155、通風路101,102及び通風路シャッター103,104は、第2換気部142を構成する。この第2換気部142においては、第1換気口143と吸気専用の第2換気口145及び排気専用の第2換気口146との間を流れる空気の経路を変更するため、コントローラ30により第2シャッター155及び通風路シャッター103,104が制御される。ここでは、排気専用の第2換気口146が東壁92に形成されて第2換気部142に含まれる場合について説明したが、排気専用の第2換気口146は、北壁93又は南壁94に形成されてもよい。また、排気専用の第2換気口146に相当する排気専用の第1換気口を西壁91に形成してダクト100を排気専用の第1換気口に接続することにより、第1換気部141に排気専用の第1換気口、複数の通風路101,102及び通風路シャッター103,104を含ませてもよい。
(6−3)換気ファン130
換気ファン130には、例えば遠心送風機、軸流送風機又は横断流送風機を用いることができる。図13に示されている換気ファン130は、軸流送風ファンである。換気ファン130は、排気専用の第2換気口146に取り付けられている排気ファンである。換気ファン130は第2換気口146の近傍に設けられている。換気ファン130は、コントローラ30によりオン・オフ制御されるが、第1換気口143と吸気専用の第2換気口145及び排気専用の第2換気口146との間を流れる空気の経路を変更するための制御には用いられない。
(6−4)コントローラ30
図15に示されている第2実施形態のコントローラ30が第1実施形態のコントローラ30と異なる点は、第1換気口143と吸気専用の第2換気口145及び排気専用の第2換気口146との間を流れる空気の経路を変更する制御のために、換気ファン130の切換を行わず、第1シャッター154、第2シャッター155、及び通風路シャッター103,104の制御を行う点である。コントローラ30は、空気調和機21A、空気調和機22A、空気調和機23A、空気調和機24A及び空気調和機25Aの各制御部21a,22a,23a,24a,25aに接続されている。コントローラ30は、換気ファン130の制御部131、第1シャッター154、第2シャッター155、及び通風路シャッター103,104にも接続されている。例えば、コントローラ30のメモリ32には、後述する第2実施形態の空気調和システム10の動作を制御するためのプログラムが記憶されている。
(7)全体動作
(7−1)空気調和機全てが同じ運転をする場合
第1実施形態で説明したように、全ての空気調和機21A〜25Aの暖房運転時と冷房運転時では天井裏ATを暖かくするべきか冷たくすべきかの違いがあるだけであるため、例えば、第1換気口143と吸気専用の第2換気口145及び排気専用の第2換気口146の間の空気の流れを逆向きにすればよい。そこで、第2実施形態の全体動作では、冷房運転を例に挙げて説明して、暖房運転の全体動作については説明を省略する。
コントローラ30は、セパレート型の空気調和機21A〜25Aの制御を行っており、空気調和機21A〜25Aが冷房運転を実施していて、空気調和機21A〜25Aから天井裏ATには温風が吹き出されている状態を認識できる。このとき並行して、コントローラ30は、第1温度センサ51と第2温度センサ52の検知温度から、ビル90の西壁91の周囲の空気の温度と東壁92の周囲の空気の温度の高低を認識している。コントローラ30は、西壁91と東壁92の周囲の空気の温度の低い方から空気を取り入れるため、第1換気口143と吸気専用の第2換気口145のうち、周囲の空気の温度の高い方を吸気する。
午前は例えば東壁92に日光が当たって東壁92の周囲の空気の温度が高いとすると、コントローラ30は、第1換気口143の第1シャッター154と通風路シャッター103を開き、吸気専用の第2換気口145の第2シャッター155と通風路シャッター104を閉じる。このとき排気ファンである換気ファン130が駆動しており、図14(a)に矢印AR40で示されている、天井裏ATから排気専用の第2換気口146を通って屋外99に吹き出す気流が発生している。矢印AR40で示されている気流の発生にともなって天井裏ATが負圧になり、第1シャッター154が開いているので、屋外99から第1換気口143を通って天井裏ATに流れ込む気流(矢印AR41で示された気流)が発生する。このとき吸気専用の第2換気口145の第2シャッター155と通風路シャッター104が閉じられており、吸気専用の第2換気口145から流れ込む気流は生じない。その結果、天井裏ATでは、第1換気口143から通風路101の開口部101aに向かう気流(矢印AR42で示された気流)が発生する。
午後は例えば西壁91に日光が当たって西壁91の周囲の空気の温度が高いとすると、コントローラ30は、第1換気口143の第1シャッター154と通風路シャッター103を閉じ、吸気専用の第2換気口145の第2シャッター155と通風路シャッター104を開ける。このときも、換気ファン130が駆動しており、矢印AR40で示されている気流が発生している。第2シャッター155が開いているので、図14(b)に示されているように、屋外99から吸気専用の第2換気口145を通って天井裏ATに流れ込む気流(矢印AR43で示された気流)が発生する。このとき第1換気口143の第1シャッター154と通風路シャッター103が閉じられており、第1換気口143から流れ込む気流は生じない。その結果、天井裏ATでは、吸気専用の第2換気口145から通風路102の開口部102aに向かう気流(矢印AR44で示された気流)が発生する。
上述のように、午前は、南西から北東に流れる空気の経路が天井裏ATで形成される。その結果、温度の低い西壁91の周囲の空気を取り入れることができるように共通空間である天井裏ATの空気の経路を変更して空気調和機21A〜25Aの周囲の温度を低くすることができ、空気調和機21A〜25Aの熱源側熱交換器62の熱交換効率が良くなる。また、午後は、南東から北西に流れる空気の経路が天井裏ATで形成される。その結果、温度の低い東壁92の周囲の空気を取り入れることができるように天井裏ATの空気の経路を変更して空気調和機21A〜25Aの周囲の温度を低くすることができ、空気調和機21A〜25Aの熱源側熱交換器62の熱交換効率が良くなる。
なお、セパレート型の空気調和機21A〜25Aでは、第2ケーシング120を天井裏ATの任意の場所に設置できる。そこで、例えば、天井裏ATの中心付近CTに強い気流が生じる場合には、図14(a)及び図14(b)に示されているように、天井裏ATにおいては、空気調和機21A〜25Aを中心付近に寄せて露出させてもよい。
(7−2)一部の空気調和機が異なる運転をする場合
第2実施形態の空調対象空間は、第1実施形態の空調対象空間である部屋RMと異なり、2つの部屋RM1,RM2に分かれている。このような場合には、2つの部屋RM1,RM2で異なる運転をする場合がある。例えば、部屋RM1を冷房し、部屋RM2を暖房する場合である。このような場合には、空気調和機21A,23A,24Aが冷房運転を行い、空気調和機22A,25Aが暖房運転を行う。コントローラ30は、例えば、空気調和機21A,23A,24Aが発揮している空調能力と空気調和機22A,25Aが発揮している空調能力を比較して、天井裏ATの空気を冷やした方がよいか、あるいは暖めた方がよいかを判断する。天井裏ATを冷やした方がよいと判断すれば、コントローラ30は、冷房運転の場合と同様に天井裏ATの空気の経路を切り換える。逆に、天井裏ATを暖めた方がよいと判断すれば、コントローラ30は、暖房運転の場合と同様に天井裏ATの空気の経路を切り換える。このような天井裏ATを暖めるか又は冷やすかの判断は、例えば天井裏ATの気温を各空気調和機21A〜25Aの温度センサ71を用いて検知することで判断してもよい。例えば、天井裏ATの気温が上昇傾向にあれば、西壁91と東壁92の周辺の空気のうちの温度の低い方から吸い込み、天井裏ATの気温が下降傾向にあれば、西壁91と東壁92の周辺の空気のうちの温度の高い方から吸い込むように、コントローラ30が、第1換気口143と吸気専用の第2換気口145の間の空気の経路を切り換えればよい。
(8)変形例
(8−1)変形例2A
上記第2実施形態では、1つの熱源側熱交換器62に1つの利用側熱交換器61が接続される場合について説明したが、1つの熱源側熱交換器62に複数の利用側熱交換器61が接続されるように構成されてもよい。その場合に複数の利用側熱交換器61は別々の第1ケーシング110に配置されもよい。
(8−2)変形例2B
上記第2実施形態では、2つの部屋RM1,RM2に対して連続した1つの共通空間である天井裏ATに対して空気調和システム10が排熱を行う場合について説明したが、天井裏ATを部屋RM1,RM2に対応して間仕切りを行い、仕切られた天井裏ATの2つの空間に別々に排熱するように構成してもよい。その場合に、間仕切りに換気口を設けて換気ファン及び/またはシャッターを配置してもよい。
(8−3)変形例2C
上記第2実施形態では、第1換気口143に第1シャッター154を設ける場合について説明したが、第1シャッター154を取り除いて、第1換気口143を第2換気口145よりも小さくしてもよい。このように構成して、第2シャッター155を閉じれば第1換気口143で吸気が行われ、第2シャッター155を開けば第1換気口143だけでなく第2換気口145からも吸気されるように設定してもよい。このように構成すれば、1つの第2シャッター155だけであっても、空気の経路の切換を行うことができる。同様に、第1シャッター154をそのままにして第2シャッター155を取り除き、第2換気口145を第1換気口143よりも小さくしてもよい。
<第3実施形態>
(9)全体構成
本発明の第3実施形態に係る空気調和システムについて図18(a)及び図18(b)を用いて説明する。上述の第2実施形態の空気調和システム10では、第2換気部142の排気専用の第2換気口146に繋がる通風路101,102を設ける場合について説明したが、通風路の設け方及び通風路の切り換えはこのような形態に限られるものではない。
図18(a)に示されている第3実施形態の空気調和システム10は、複数(ここでは5台)の一体型の空気調和機21〜25とコントローラ30と2台の換気ファン231,232と第1温度センサ51及び第2温度センサ52と第1換気部141と第2換気部142と2つのダクト201,202と通風路シャッター253,254,257,258を備えている。
(10)詳細構成
(10−1)一体型の空気調和機21〜25
第3実施形態の一体型の空気調和機21〜25は、互いに異なる構造の機器とすることもできるが、ここでは全て同じ構造の機器で構成されているものとして説明する。つまり、第3実施形態の一体型の空気調和機21〜25は、第1実施形態の空気調和機21〜25と同様の構成を有する。
(10−2)第1換気部241及び第2換気部242
吸気専用の第1換気口243及び排気専用の第1換気口244は、ビル90の西壁91(第1境界の例)に形成されている。吸気専用の第1換気口243には第1シャッター251が設けられ、排気専用の第1換気口244には第1シャッター252が設けられている。吸気専用の第1換気口243及び排気専用の第1換気口244にはダクト201が接続されている。ダクト201は、西壁91に沿って南北に延びており、北側において天井裏ATに向かって開口した開口部203と南側において天井裏ATに向かって開口した開口部204とを有している。開口部203には通風路シャッター253が設けられ、開口部204には通風路シャッター254が設けられている。吸気専用の第1換気口243及び排気専用の第1換気口244、ダクト201、第1シャッター251,252並びに通風路シャッター253,254は第1換気部241を構成する。なお、第1換気部241においては、例えば、ダクト201によって第1換気口243と開口部204とをつなぐ通風路と第1換気口244と開口部203とをつなぐ通風路を切換可能に構成されている。
吸気専用の第2換気口245及び排気専用の第2換気口246は、ビル90の東壁92(第2境界の例)に形成されている。吸気専用の第2換気口245には第2シャッター255が設けられ、排気専用の第2換気口246には第2シャッター256が設けられている。吸気専用の第2換気口245及び排気専用の第2換気口246にはダクト202が接続されている。ダクト202は、東壁92に沿って南北に延びており、北側において天井裏ATに向かって開口した開口部205と南側において天井裏ATに向かって開口した開口部206とを有している。開口部205には通風路シャッター257が設けられ、開口部206には通風路シャッター258が設けられている。吸気専用の第2換気口245及び排気専用の第2換気口246、ダクト202、第2シャッター255,256並びに通風路シャッター257,258は第2換気部242を構成する。なお、第2換気部242においては、例えば、ダクト202によって第2換気口246と開口部205とをつなぐ通風路と第2換気口245と開口部206とをつなぐ通風路を切換可能に構成されている。
この第1換気部241においては、吸気専用の第1換気口243及び排気専用の第1換気口244と吸気専用の第2換気口245及び排気専用の第2換気口246との間を流れる空気の経路を変更するため、コントローラ30により第1シャッター251,252及び通風路シャッター253,254が制御される。この第2換気部242においては、吸気専用の第1換気口243及び排気専用の第1換気口244と吸気専用の第2換気口245及び排気専用の第2換気口246との間を流れる空気の経路を変更するため、コントローラ30により第2シャッター255,256及び通風路シャッター257,258が制御される。
(10−3)換気ファン231,232
換気ファン231は第1換気口243,244の近傍に設けられ、換気ファン232は第2換気口245,246の近傍に設けられている。換気ファン231,232には、例えば遠心送風機、軸流送風機又は横断流送風機を用いることができる。図18に示されている換気ファン231,232は、軸流送風ファンである。換気ファン231は、ダクト201に取り付けられ、北から南に向かう気流を発生する。また、換気ファン232は、ダクト202に取り付けられ、北から南に向かう気流を発生する。換気ファン231,232は、コントローラ30によりオン・オフ制御されるが、第1換気口143と吸気専用の第2換気口145及び排気専用の第2換気口146との間を流れる空気の経路を変更するための制御には用いられない。
(10−4)コントローラ30
第3実施形態のコントローラ30が第1実施形態のコントローラ30と異なる点は、吸気専用の第1換気口243及び排気専用の第1換気口244と吸気専用の第2換気口245及び排気専用の第2換気口246との間を流れる空気の経路を変更する制御のために、換気ファン231,232の切換を行わず、第1シャッター251,252、第2シャッター255,256、及び通風路シャッター253,254,257,258の制御を行う点である。コントローラ30は、空気調和機21〜25の各制御部21a〜25aに接続されている。コントローラ30は、換気ファン231,232の制御部(図示せず)、第1シャッター251,252、第2シャッター255,256、及び通風路シャッター253,254,257,258にも接続されている。例えば、コントローラ30のメモリ32には、後述する第2実施形態の空気調和システム10の動作を制御するためのプログラムが記憶されている。
(11)全体動作
第1実施形態で説明したように、全ての空気調和機21〜25の暖房運転時と冷房運転時では天井裏ATを暖かくするべきか冷たくすべきかの違いがあるだけであるため、例えば、吸気専用の第1換気口243及び排気専用の第1換気口244と吸気専用の第2換気口245及び排気専用の第2換気口246の間の空気の流れを逆向きにすればよい。そこで、第3実施形態の全体動作では、冷房運転を例に挙げて説明して、暖房運転の全体動作については説明を省略する。また、第1実施形態と同様の効果を奏するので、空気の経路を変更する効果についても説明を省略する。
コントローラ30は、一体型の空気調和機21〜25の制御を行っており、空気調和機21〜25が冷房運転を実施していて、空気調和機21〜25から天井裏ATには温風が吹き出されている状態を認識できる。このとき並行して、コントローラ30は、第1温度センサ51と第2温度センサ52の検知温度から、ビル90の西壁91の周囲の空気の温度と東壁92の周囲の空気の温度の高低を認識している。コントローラ30は、西壁91と東壁92の周囲の空気の温度の低い方から空気を取り入れるため、吸気専用の第1換気口243と吸気専用の第2換気口245のうち、周囲の空気の温度の高い方を吸気する。
午前は例えば東壁92に日光が当たって東壁92の周囲の空気の温度が高いとすると、コントローラ30は、吸気専用の第1換気口243の第1シャッター251、通風路シャッター254,257及び排気専用の第2換気口246の第2シャッター256を開き、排気専用の第1換気口244の第1シャッター252、通風路シャッター253,258及び吸気専用の第2換気口245の第2シャッター255を閉じる。このとき換気ファン231が駆動しており、屋外99から吸気専用の第1換気口243、ダクト201及び開口部204を通って天井裏ATに吹き出す、図18(a)に矢印AR45で示されている気流が発生する。天井裏ATでは、開口部204から開口部205に向かう気流(矢印AR46で示されている気流)が発生する。また、換気ファン232が駆動しており、天井裏ATから開口部205、ダクト202及び排気専用の第2換気口246を通って屋外99に吹き出す気流(矢印AR47で示されている気流)が発生する。
午後は例えば西壁91に日光が当たって西壁91の周囲の空気の温度が高いとすると、コントローラ30は、吸気専用の第2換気口245の第2シャッター255、通風路シャッター253,258及び排気専用の第1換気口244の第1シャッター252を開き、排気専用の第2換気口246の第2シャッター256、通風路シャッター254,257及び吸気専用の第1換気口243の第1シャッター251を閉じる。このとき換気ファン232が駆動しており、屋外99から吸気専用の第2換気口245、ダクト202及び開口部206を通って天井裏ATに吹き出す、図18(b)に矢印AR48で示されている気流が発生する。天井裏ATでは、開口部206から開口部203に向かう気流(矢印AR49で示されている気流)が発生する。また、換気ファン231が駆動しており、天井裏ATから開口部203、ダクト201及び排気専用の第1換気口244を通って屋外99に吹き出す気流(矢印AR50で示されている気流)が発生する。
(12)変形例
(12−1)変形例3A
上記第3実施形態では、天井裏ATの空気の経路の変更のためには換気ファン231,232をオンとオフとを切り換えず、空気の経路の変更を第1シャッター251,252及び第2シャッター255,256並びに通風路切換装置である通風路シャッター253,254,257,258を用いる場合について説明した。しかし、さらに換気ファンを用いて天井裏ATの空気の経路を変更してもよい。
例えば、図19(a)及び図19(b)に示されているように、図18(a)に示されていた吸気専用の第1換気口243と排気専用の第1換気口244を吸気と排気を行う第1換気口261,262に変更し、吸気専用の第2換気口245と排気専用の第2換気口246を吸気と排気を行う第2換気口263,264に変更する。そのために、図18(a)に示されていた換気ファン231,232を取り除いて、排気ファンである第1換気ファン271を第1換気口261に設け、第1換気ファン272を第1換気口262に設け、排気ファンである第2換気ファン273を第2換気口263に設け、第2換気ファン274を第2換気口264に設ける。そして、コントローラ30は、第1換気ファン271,272、第2換気ファン273,274、第1シャッター251,252、第2シャッター255,256、及び通風路シャッター253,254,257,258の制御を行う。
図19(a)のように構成された変形例3Aの空気調和システム10は、図18(a)に示された第3実施形態の空気調和システム10に比べて天井裏ATの空気の経路の変更のバリエーションを増やすことができる。
例えば、第1シャッター251、通風路シャッター254,257及び第2シャッター256を開き、第1シャッター252、通風路シャッター253,258及び第2シャッター255を閉じ、第2換気ファン274を駆動し、第1換気ファン271,272及び第2換気ファン273を停止すれば、図18(a)と同じような空気の経路に変更できる。また、第2シャッター255、通風路シャッター253,258及び第1シャッター252を開き、第2シャッター256、通風路シャッター254,257及び第1シャッター251を閉じ、第1換気ファン272を駆動し、第1換気ファン271及び第2換気ファン273,274を停止すれば、図18(b)と同じような空気の経路に変更できる。
上記のような空気の経路以外に、全てのシャッター、つまり第1シャッター251,252、通風路シャッター253,254,257,258及び第2シャッター255,256を開き、第2換気ファン274を駆動し、第1換気ファン271,272及び第2換気ファン273を停止すれば、図19(a)に示されているように、全体的に西から東に向かう空気の経路に変更することができる。また、第1シャッター251、通風路シャッター253,257及び第2シャッター255を開き、第1シャッター252、通風路シャッター254,258及び第2シャッター256を閉じ、第1換気ファン271を駆動し、第1換気ファン272及び第2換気ファン273,274を停止すれば、図19(b)に示されているように、主に北側において東から西に向かう空気の経路に変更することができる。
(13)特徴
(13−1)
上述の空気調和システム10は、第1換気口と第2換気口との間を流れる空気の共通空間内における経路を変更するため、いずれも制御装置であるコントローラ30が第1換気部、第2換気部及び換気ファンのうちの少なくとも一つを制御している。空気経路変更のためコントローラ30により換気ファンのみが制御されているのは、第1実施形態(第1換気ファン46と第2換気ファン47)及び変形例1E(第1換気ファン46と第2換気ファン47と第3換気ファン81)である。空気経路変更のためコントローラ30により第1換気部と第2換気部のいずれか一方のみが制御されているのは、変形例2C(第1換気部141及び第2換気部142のいずれか一方のみ)である。空気経路変更のためコントローラ30により第1換気部と第2換気部のいずれか一方と換気ファンが制御されているのは、変形例1J(第1換気ファン46と第2換気ファン47と第1換気部41又は第1換気ファン46と第2換気ファン47と第2換気部42)である。空気経路変更のためコントローラ30により第1換気部と第2換気部が制御されているのは、第2実施形態(第1換気部141と第2換気部142)と第3実施形態(第1換気部241と第2換気部242)である。空気経路変更のためコントローラ30により第1換気部、第2換気部及び換気ファンが制御されているのは、変形例1Cと変形例1D(第1換気部41と第2換気部42と第1換気ファン46と第2換気ファン47)及び変形例3A(第1換気ファン271,272、第2換気ファン273,274、第1換気部241及び第2換気部242)である。空気経路変更のためコントローラ30により第1換気部、第2換気部及び換気ファン並びにそれ以外の機器が制御されているのは、変形例1F(第1換気部41と第2換気部42と第3換気部84と第1換気ファン46と第2換気ファン47と第3換気ファン81)である。
また、第1実施形態乃至第3実施形態の空気調和システム10においては、第1温度センサ51及び第2温度センサ52で検知される屋外99の気温に基づいて、空気調和機21〜25,21A〜25Aの周囲の共通空間である天井裏ATの気温を熱源側熱交換器62にとって適切なものとなるように天井裏AT内における空気の経路を変更している。変形例1Cの空気調和システム10においては、第1温度センサ51及び第2温度センサ52並びに温度センサ71で検知される天井裏AT内の気温及び屋外99の気温に基づいて、空気調和機21〜25の周囲の天井裏ATの気温を熱源側熱交換器62にとって適切なものとなるように天井裏AT内における空気の経路を変更している。変形例1Gの空気調和システム10においては、温度センサ71で検知される天井裏AT内の気温に基づいて、空気調和機21〜25の周囲の天井裏ATの気温を熱源側熱交換器62にとって適切なものとなるように天井裏AT内における空気の経路を変更している。変形例1Iの空気調和システム10においては、温度センサを用いずに、例えば予め行われた実地検証又はシミュレーション結果から与えられる共通空間内の気温及び/又は共通空間の周囲の屋外の気温に基づいて、空気調和機21〜25の周囲の天井裏ATの気温を熱源側熱交換器62にとって適切なものとなるように天井裏AT内における空気の経路を変更している。なお、共通空間は、天井裏ATに限られるものではなく、例えばビルの上下の階の天井裏をつなぐ吹き抜け又は部屋と部屋の間の壁を2重にしてその中に設けられた2つの壁の隙間であってもよい。
上述のような構成を有する空気調和システム10では、複数の空気調和機21〜25,21A〜25Aの周囲の温度が適切なものとなって複数の空気調和機21〜25,21A〜25Aの熱源側熱交換器62の熱交換の効率が良くなり、空気調和システム10の熱交換効率が向上する。
(13−2)
第1実施形態の空気調和システム10では図2(a)と図2(b)に示されている空気の流れを切り換えることで、また変形例1Eの空気調和システム10では例えば図10(a)と図10(b)に示されている空気の流れを切り換えることで、さらに変形例1Fの空気調和システム10では例えば図12(a)と図12(b)に示されている空気の流れを切り換えることで、第2換気口44から第1換気口43への空気の流れと第1換気口43から第2換気口44への空気の流れとを切り換えることができる。また、第3実施形態の空気調和システム10では図18(a)と図18(b)に示されている空気の流れを切り換えることで、吸気専用の第2換気口245から排気専用の第1換気口244への空気の流れと吸気専用の第1換気口243から排気専用の第2換気口246への空気の流れとを切り換えることができ、また図19(a)及び図19(b)に示されている変形例3Aの空気調和システム10の構成では、第2換気口263,264から第1換気口261,262への空気の流れと第1換気口261,262から第2換気口263,264への空気の流れとを切り換えることができる。例えば、空気調和システム10が冷房を行っている場合に、第2換気口44,245,263,264から流入する空気の温度の方が低ければ第1換気口43,243,261,262から第2換気口44,246,263,264に向かう空気の流れを変更して第2換気口44,245,263,264から第1換気口43,244,261,262に空気を流すことで温度の低い方の空気を取り入れることができ、共通空間を効率良く冷やして熱交換効率を向上させることができる。逆に、空気調和システム10が冷房を行っている場合に、第1換気口43,243,261,262から流入する空気の温度の方が低ければ第2換気口44,246,263,264から第1換気口43,243,261,262に向かう空気の流れを変更して第1換気口43,244,261,262から第2換気口44,245,263,264に空気を流すことで温度の低い方の空気を取り入れることができ、共通空間を効率良く冷やして熱交換効率を向上させることができる。暖房の場合には冷房の場合とは逆に、高温の空気を流入させるように変更することで、共通空間を効率良く暖めて熱交換効率を向上させることができる。
(13−3)
図6に示されている変形例1Cの空気調和システム10及び図8に示されている変形例1Dの空気調和システム10では、例えば熱源側熱交換器62が放熱しているときに屋外から暖かい空気が入って熱交換効率が低下したり熱源側熱交換器62が吸熱しているときに屋外から冷たい空気が入って熱交換効率が低下したりするのを防ぐために、第1シャッター48,48a,48b,48c及び第2シャッター49,49a,49b,49cを閉じることができる。また、図12(a)及び図12(b)に示されている変形例1Fの空気調和システム10、図18(a)及び図18(b)に示されている第3実施形態の空気調和システム10並びに図19(a)及び図19(b)に示されている変形例3Aの空気調和システム10では、第1換気口43,243,244,261,262を通して空気を流通させない方が好ましければ第1換気口43,243,244,261,262のみを閉じることができ、第2換気口44,245,246,263,264を通して空気を流通させない方が好ましければ第2換気口44,245,246,263,264のみを閉じることができ、両方を通して空気を流通させない方が好ましければ両方を閉じることができる。図14(b)に示されている第2実施形態の空気調和システム10では、第1換気口143を通して空気を流通させない方が好ましければ第1換気口143のみを閉じることができる。その結果、第1換気口43,243,244,261,262の近傍の屋外、第2換気口44,245,246,263,264の近傍の屋外及び共通空間である天井裏ATの空気の温度状況によって熱交換効率が低下するのを抑制することができる。
(13−4)
第2実施形態の空気調和システム10には、第1シャッター154と第2シャッター155が設けられ、制御装置であるコントローラ30は、第1シャッター154及び第2シャッター155の両方の開閉の切り換えを制御することにより、第1換気口143と第2換気口145との間を流れる空気の共通空間内における経路を変更するように構成されている。第3実施形態の空気調和システム10には、第1シャッター251,252と第2シャッター255,256が設けられ、コントローラ30は、第1シャッター251,252及び第2シャッター255,256の両方の開閉の切り換えを制御することにより、第1換気口243,244と第2換気口245,246との間を流れる空気の共通空間内における経路を変更するように構成されている。また、変形例2Cの空気調和システム10には、第1シャッター154及び第2シャッター155のうちのいずれか一方が設けられる場合が示されている。第2実施形態及び第3実施形態の空気調和システム10では、換気ファン130,231,232が空気の経路の変更に関係なく駆動されているので、換気ファン130,231,232の起動回数を減らして消費電力の増加を抑えることができる。例えば、第2実施形態の空気調和システム10では、第1シャッター154及び第2シャッター155が必要になるが、それらの構造は比較的簡単であり、換気ファン130が1つで済むので、簡単で安価な構成によって熱交換効率の向上を実現した空気調和システム10を提供することができる。
(13−5)
第1実施形態の空気調和システム10は、第1換気ファン46と第2換気ファン47とを備えている。第1実施形態の空気調和システム10は、このような構成により、第1換気ファン46と第2換気ファン47の送風を行う状態と送風を止める状態を切り換えることによって空気の共通空間内における経路を変更することから、図2(a)と図2(b)に示されているように、東から西に向かう流れと西から東に向かう流れのように流れを逆転させるような大きな経路の変更が容易に実現されている。このように、第1換気ファン46と第2換気ファン47の制御により、所望の空気の経路に変更し易くなっている。変形例1Eの空気調和システム10は、第1換気ファン46と第2換気ファン47に加えて、第3換気ファン81を備えている。このように、第3換気ファン81を加えることで、空気経路の変更のバリエーションを増やすことができる。また、変形例3Aの空気調和システム10は、複数の第1換気ファン271,272と複数の第2換気ファン273,274とを備えている。このように、このように、第1換気ファン271,272及び/または第2換気ファン273,274を増やすことで、空気経路の変更のバリエーションを増やすことができる。
(13−6)
第2実施形態の空気調和システム10では、第2換気部142が、第2換気口146に続く複数の通風路101,102を切り換えるための第2通風路切換装置として通風路シャッター103,104を有している。第2実施形態で説明したように、同様の構成を第1換気部141が有するように構成することもできる。また、第3実施形態の空気調和システム10では、第1換気部241が第1通風路切換装置として通風路シャッター253,254と第2換気部242が第2通風路切換装置として通風路シャッター257,258を有している。通風路シャッター103,104,253,354,257,258による通風路切換時に換気ファン130,231,232を止めることなく、天井裏ATの空気の経路を変更することができる。その結果、天井裏AT内における空気の経路を変更するための換気ファン130,231,232の起動に伴う消費電力の増加を抑制できる。また、第1換気口261,262に続く複数の通風路及び/または第2換気口146,263,264に続く複数の通風路によって天井裏ATの内部で通風路の開口部101a,102a、203〜206の向きと位置を定めることができることから、天井裏AT内における空気の経路の設計の自由度が増え、空気調和システム10の熱交換効率を向上させることのできる空気の経路を設定し易くなる。
(13−7)
上述の空気調和システム10の制御装置であるコントローラ30は、熱源側熱交換器62が放熱する例えば冷房運転の場合には第1換気口43,143,243,261,262と第2換気口44,145,245,263,264のうち屋外99の気温が低い側から吸気するように、第1換気口43,143,243,261,262と第2換気口44,145,245,263,264との間を流れる天井裏ATの空気の経路を変更することから、熱源側熱交換器62の放熱の場合には天井裏ATを冷やし易くなる。また、熱源側熱交換器62が吸熱する例えば暖房運転の場合には第1換気口43,143,243,261,262と第2換気口44,145,245,263,264のうち屋外99の気温が高い側から吸気するように、第1換気口43,143,243,261,262と第2換気口44,145,245,263,264との間を流れる空気の天井裏AT内における経路を変更することから、熱源側熱交換器62の吸熱の場合には天井裏ATを暖め易くなる。その結果、熱源側熱交換器62の放熱のときには天井裏ATの気温を低くして熱交換効率を上げ、熱源側熱交換器62の吸熱のときには天井裏ATの気温を高くして熱交換効率を上げることができる。
なお、空気調和機の運転は、冷房運転及び暖房運転以外の運転であってもよく、例えば除湿運転であってもよい。例えば、全ての空気調和機が除湿運転をする場合に、空気の経路の切換は、共通空間への吹き出される空気が共通空間の空気の温度より高い温風であるか共通空間の空気の温度より低い冷風であるかで判断してもよい。
10 空気調和システム
21〜25,21A〜25A 空気調和機
30 コントローラ(制御装置の例)
46,271,272 第1換気ファン
47,273,274 第2換気ファン
43,143,243,244,261,262 第1換気口
44,145,146,245,246,263,264 第2換気口
41,141,241 第1換気部
42,142,242 第2換気部
48,48a〜48c,154,251,252 第1シャッター
49,49a〜49c,155,255,256 第2シャッター
61 利用側熱交換器
62 熱源側熱交換器
63 熱源側ファン
81 第3換気ファン
253,254 通風路シャッター(第1通風路切換装置の例)
103,104,257,258 通風路シャッター(第2通風路切換装置の例)
130,231,232 換気ファン
特開昭48−2756号公報

Claims (7)

  1. 屋内の空調対象空間の空調を行うために、前記空調対象空間の周囲の前記屋内に配置されている空調対象外の共通空間の空気との間で熱交換を行う空気調和システム(10)であって、
    前記空調対象空間の空気と熱交換を行う利用側熱交換器(61)、前記利用側熱交換器との間で熱の伝達が行われる熱源側熱交換器(62)、及び前記共通空間から取り入れられる空気を前記熱源側熱交換器に流して前記共通空間に吹き出させる熱源側ファン(63)を有し、前記共通空間の空気を複数の前記熱源側熱交換器に用いる複数の空気調和機(21〜25,21A〜25A)と、
    屋外と前記共通空間との間の第1境界に設けられた第1換気口(43,143,243,244,261,262)を有し、前記第1換気口を通して前記屋外と前記共通空間との間で空気を通気させるための第1換気部(41,141,241)と、
    前記屋外と前記共通空間との間の第2境界に設けられた第2換気口(44,145,146,245,246,263,264)を有し、前記第2換気口を通して前記屋外と前記共通空間との間で空気を通気させるための第2換気部(42,142,242)と、
    前記屋外から入って前記第1換気口と前記第2換気口との間を流れて前記屋外に吹き出される気流を生じさせるための少なくとも一つの換気ファン(46,271,27247,273,274,130,231,232)と、
    前記第1換気部、前記第2換気部及び前記換気ファンのうちの少なくとも一つを制御する制御装置(30)と
    を備え、
    前記制御装置は、前記共通空間内の気温及び/又は前記共通空間の周囲の前記屋外の気温に基づいて前記第1換気口と前記第2換気口との間を流れる空気の前記共通空間内における経路を変更する、空気調和システム。
  2. 前記制御装置は、前記第1換気口から前記第2換気口に向かう空気の流れと前記第2換気口から前記第1換気口に向かう空気の流れとを切り換えることにより前記共通空間内における空気の経路を変更する、
    請求項1に記載の空気調和システム。
  3. 前記制御装置は、前記第1換気部及び/または前記第2換気部を制御して前記第1換気口及び/または前記第2換気口の開閉を切り換えることにより前記共通空間内における空気の経路を変更する、
    請求項1又は請求項2に記載の空気調和システム。
  4. 前記第1換気部及び前記第2換気部のうちの少なくとも一方は、前記第1換気口を開閉するための第1シャッター(48,48a〜48c,154,251,252)及び前記第2換気口を開閉するための第2シャッター(49,49a〜49c,155,255,256)のうちの少なくとも一方を有し、
    前記制御装置は、前記第1シャッター及び前記第2シャッターのうちの少なくとも一方の開閉の切り換えを制御することにより、前記第1換気口と前記第2換気口との間を流れる空気の前記共通空間内における経路を変更する、
    請求項3に記載の空気調和システム。
  5. 前記少なくとも一つの換気ファンは、前記第1換気口の近傍に配置された第1換気ファン(46,271,272)と、前記第2換気口の近傍に配置された第2換気ファン(47,273,274)とを含み、
    前記制御装置は、前記第1換気ファンと前記第2換気ファンのオンとオフとを切り換えることにより、前記第1換気口と前記第2換気口との間を流れる空気の前記共通空間内における経路を変更する、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の空気調和システム。
  6. 前記第1換気部及び前記第2換気部のうちの少なくとも一方は、前記第1換気口に続く複数の通風路を切り換え可能に構成された第1通風路切換装置(253,254)及び前記第2換気口に続く複数の通風路を切り換え可能に構成された第2通風路切換装置(103,104,257,258)のうちの少なくとも一方を有し、
    前記制御装置は、前記第1通風路切換装置及び前記第2通風路切換装置のうちの少なくとも一方の切り換えを制御することにより、前記第1換気口と前記第2換気口との間を流れる空気の前記共通空間内における経路を変更する、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の空気調和システム。
  7. 前記制御装置は、前記共通空間に前記熱源側熱交換器が放熱する場合には前記第1換気口と前記第2換気口のうち前記屋外の気温が低い側から吸気し、前記共通空間から前記熱源側熱交換器が吸熱する場合には前記第1換気口と前記第2換気口のうち前記屋外の気温が高い側から吸気するように、前記第1換気口と前記第2換気口との間を流れる空気の前記共通空間内における経路を変更する、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の空気調和システム。
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