JP2018095593A - 凍結乾燥製剤及びその製造方法 - Google Patents

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武広 西村
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将史 服部
健一 梶原
Kenichi Kajiwara
健一 梶原
豊 奥田
Yutaka Okuda
豊 奥田
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Abstract

【課題】保存安定性が優れ、水への再構成時間が短いボルテゾミブの製剤を提供すること。【解決手段】ボルテゾミブ、アルギニン、並びにヒドロキシジカルボン酸及び/又はその塩を含む凍結乾燥製剤、並びにその製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、凍結乾燥製剤に関する。詳しくは、本発明は、ボルテゾミブを含有する安定で容易に再構成される凍結乾燥製剤、及びその製造方法に関する。
ボルテゾミブは、下式:
で表され、プロテアソームを選択的かつ可逆的に阻害して抗腫瘍作用を発揮する分子標的薬としてミレニアム・ファーマシューティカルズによって開発された抗悪性腫瘍剤である(特許文献1)。ボルテゾミブは2003年に米国で多発性骨髄腫の適応で承認され、その後、日本、英国、ドイツをはじめ世界100ケ国以上で承認されて、ベルケイド(登録商標)の販売名で現在販売されている。
ボルテゾミブは、アルキルボロン酸の構造を有するために安定性に問題があり、また水への溶解性も高くないとの問題がある。そこで、従来の製剤よりも、安定であり水に容易に再構成されるボルテゾミブの凍結乾燥製剤等の研究がなされている。
特許文献2には、ボルテゾミブをマンニトールと共に凍結乾燥することで凍結乾燥した化合物を製造する方法、同製造方法で得られる組成物、及び同製造方法で得られるボルテゾミブのマンニトールエステルが記載されている。アルキルボロン酸はアルコール共存下、エステルとの平衡状態を取り、水が少なくなればエステルになり、水が多くなるとエステルが加水分解されてアルキルボロン酸がフリー化されるとの性質を有している。特許文献2の発明はこの性質を利用したものであり、市販のベルケイド(登録商標)凍結乾燥製剤に応用されている。しかし、特許文献2で得られる凍結乾燥製剤は、保存安定性又は水への再構成時間の点で十分に満足できるものではない。
特許文献3には、シクロデキストリンを添加することを特徴とする、ボルテゾミブ又はその誘導体の凍結乾燥製剤が開示されている。実施例18にはボルテゾミブの凍結乾燥製剤の保存安定性として、40℃/75%RHで6月間後のHPLCの純度が89.3%まで低下したことが記載されている。
特許文献4には、ボルテゾミブとトロメタミンを含む凍結乾燥製剤が開示されている。表2〜5には凍結乾燥製剤の保存安定性及び再構成時間が記載されており、実施例IVの凍結乾燥製剤は、40℃/75%RH、2月間の後、総類縁物質が2.98%と非常に増加している。
特許文献5には、ボルテゾミブにグリシン、ホウ酸又はデキストリンを加えた凍結乾燥製剤が記載されている。[0066]には、グリシンとホウ酸を添加した凍結乾燥製剤では、55℃で3週間後の保存安定性試験で不純物A、BとCの合計が0.8〜1.21%であったことが記載されている。また、特許文献5には、アルギニンについては記載されていない。
特許文献6には、ボルテゾミブとアミノ酸を含む凍結乾燥製剤が開示されている。アミノ酸としては、水酸基又はメルカプト基を有するアミノ酸が好ましいと記載され、実施例にはセリン、スレオニン又はシステインを含む凍結乾燥製剤が好ましい例として記載されている。他方、グリシン、フェニルアラニン又はチロシンを含むものは、溶液ができないか、凍結乾燥後の再構成ができないことが記載されている。特許文献6には、アルギニンについては記載されていない。
特許文献7には、ボルテゾミブと酒石酸とのエステル(請求項1)が記載され、実施例で当該エステルを固体として得ている。しかし、当該エステルの再構成時間は120秒以上(実施例19)であり、非常に長いとの問題がある。
特許文献8には、ボルテゾミブ等のボロン酸化合物のα−又はβ−ヒドロキシ酸とのエステル(請求項1)が記載されている。実施例では、クエン酸、サリチル酸、乳酸、酒石酸、マンデル酸等の多数の酸とのエステルを結晶又は固体として得ている。特許文献8には、実施例で得たエステルの安定性及び再構成時間については全く記載されていないが、例えば実施例26の酒石酸とのエステルは、特許文献7で得た酒石酸とのエステルと同等のものと考えられるため、再構成時間が非常に長いと思われる。特許文献8の実施例46〜49には、ボロン酸化合物、クエン酸とグリシンをt−ブタノールと水に溶解して凍結乾燥品を得ている。しかし、その安定性及び再構成時間については記載されていない。
以上の通り、従来知られているボルテゾミブの凍結乾燥製剤は、保存安定性又は水への再構成時間において、依然として十分ではなかった。
特許第3717934号 特許第4162491号 特表2012−522795 特許第5689816号 WO2012/047845 CN103142509 WO2014/023647 特表2011−524903
本発明が解決しようとする課題は、保存安定性が優れ、水への再構成時間が短いボルテゾミブの新規製剤を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、意外にも、ボルテゾミブに安定化剤としてアルギニン及びヒドロキシジカルボン酸を組み合わせて加えて凍結乾燥して得られた製剤が、安定性に優れ、また水への再構成も容易に進行することを見出して、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明は、以下の通りである。
[1] ボルテゾミブ、アルギニン、並びにヒドロキシジカルボン酸及び/又はその塩を含む凍結乾燥製剤。
[2] 前記ヒドロキシジカルボン酸が酒石酸又はクエン酸である、[1]に記載の凍結乾燥製剤。
[3] ボルテゾミブとアルギニンの重量比が1:1.5〜1:15である、[1]又は[2]に記載の凍結乾燥製剤。
[4] ボルテゾミブ3mgあたり3mLの生理食塩水に溶解したとき、その溶液のpHが3.5〜8である、[1]〜[3]のいずれかに記載の凍結乾燥製剤。
[5] ボルテゾミブ、アルギニン並びにジヒドロキシジカルボン酸及び/又はその塩を含む溶液を凍結乾燥する工程を含む、凍結乾燥製剤の製造方法。
[6] 水のみを溶媒として用いた溶液を用いる、[5]に記載の凍結乾燥製剤の製造方法。
本発明の凍結乾燥製剤は、保存安定性が優れており、水への再構成時間が短い。
以下、本発明を詳細に説明する。
1.凍結乾燥製剤
本発明の凍結乾燥製剤は、ボルテゾミブ、アルギニン、並びにヒドロキシジカルボン酸及び/又はその塩を含む凍結乾燥製剤である。本発明の凍結乾燥剤の1つの特徴は、安定化剤としてアルギニン及びヒドロキシジカルボン酸を組み合わせて用いるところにある。
「アルギニン」としては、L体、D体、ラセミ体のいずれのものでも用いることができるが、好ましくはL体が挙げられる。また、アルギニンは塩の形態であっても良い。当該塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等が挙げられる。また、アルギニン及びその塩には、それらの水和物も含まれる。
アルギニンの添加量としては、ボルテゾミブとアルギニンの重量比が、例えば1:1.5〜1:15となる量が挙げられ、好ましくは1:1.7〜1:13.3となる量が挙げられ、より好ましくは1:3.3〜1:12となる量が挙げられ、さらに好ましくは1:6.7〜1:11となる量が挙げられる。アルギニンを添加することで、ボルテゾミブの保存安定性が向上し、水への再構成時間が短くなる。
「ヒドロキシジカルボン酸」としては、例えば、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、タルトロン酸(2−ヒドロキシマロン酸)、トリヒドロキシグルタル酸等が挙げられる。好ましくは、例えば酒石酸、クエン酸等が挙げられる。「ヒドロキシジカルボン酸」の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類塩、アミン塩、塩基性アミノ酸の塩等が挙げられる。また、ヒドロキシジカルボン酸及びその塩には、それらの水和物も含まれる。
ヒドロキシジカルボン酸を添加することで、アルギニンの塩基性を中和して、後述の適切なpHにすると共に、ボルテゾミブの保存安定性が向上し、水への再構成時間が短くなる。
ヒドロキシジカルボン酸の含有量としては、アルギニンの塩基性を中和して、後述の適切なpHにする量が挙げられる。例えば、ヒドロキシジカルボン酸として酒石酸を用いる場合は、アルギニンと酒石酸及び/又はその塩との重量比が、例えば1:0.3〜1:1となる量が挙げられ、好ましくは1:0.2〜1:0.7となる量が挙げられ、より好ましくは1:0.3〜1:0.5となる量が挙げられる。例えば、ヒドロキシジカルボン酸としてクエン酸を用いる場合は、アルギニンとクエン酸及び/又はその塩との重量比が、例えば1:0.3〜1:1となる量が挙げられ、好ましくは1:0.4〜1:0.9となる量が挙げられ、より好ましくは1:0.45〜1:0.8となる量が挙げられる。
本発明の凍結乾燥製剤は、ボルテゾミブ3mgあたり3mLの生理食塩水に溶解して調製される注射剤のpHが、例えば3.5〜8であるものが好ましい。より好ましいpHは4〜8であり、さらに好ましくは4.5〜7、特に好ましくは5〜7である。
上記のpHに調整するために、さらに「pH調整剤」を添加することもできる。当該pH調整剤としては、例えば、上記のヒドロキシジカルボン酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化アルカリ土類;アミン;塩基性アミノ酸等が挙げられる。
本発明の凍結乾燥製剤には、必要に応じて、さらに等張化剤、添加剤又は界面活性剤等を加えることもできる。
等張化剤又は添加剤としては、例えば、塩化ナトリウム、マンニトール、ラクトース、スクロース、グリシン、マルトース、トレハロース、シクロデキストリン、デキストラン、イノシトール、ソルビトール、アルブミン、ラクトビオン酸カルシウム等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリソルベート、ソルビタンエステル、ポリエチレングリコールエーテル、飽和ポリグリコール化グリセリド、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、ポリエチレン/プロピレングリコール共重合体、ポリエチレングリコールステアラート、d−α−トコフェリルポリエチレングリコールスクシナート等が挙げられる。
2.凍結乾燥製剤の製造
本発明の凍結乾燥製剤は、例えば以下のようにして製造することができる。
ボルテゾミブ、アルギニン並びにヒドロキシジカルボン酸及び/又はその塩を、水のみ又は有機溶媒及び水の混合溶媒に加えて溶解させる。ボルテゾミブ、アルギニン並びにヒドロキシジカルボン酸及び/又はその塩を分けてそれぞれ溶解させて、その後混合することもできる。得られた溶液の容量を水で一定量に調整した後、滅菌ろ過をして、一定量のボルテゾミブとなるようにバイアルに充填して、凍結乾燥を行うことで、本発明の凍結乾燥製剤を得る。
ボルテゾミブ、アルギニン並びにヒドロキシジカルボン酸及び/又はその塩の水のみ又は有機溶媒及び水の混合溶媒への溶解は、例えば10〜30℃で行われ、好ましくは15〜25℃で行われる。これらを分離して溶解させる場合も同程度の温度で行われる。
特許文献2に記載されたボルテゾミブとマンニトールとの凍結乾燥では、t−ブタノール等の有機溶媒が用いられているが、ヒドロキシジカルボン酸及び/又はその塩を用いた場合は、驚くべきことに、水のみを溶媒として溶液を調製することができる。有機溶媒を用いずに水のみで溶解させることで、環境負荷を減少することができ、製造が非常に有利になる。
ボルテゾミブ、アルギニン並びにヒドロキシジカルボン酸及び/又はその塩を溶解させる水としては、医療に用いられる水が挙げられ、例えば、注射用水が用いられる。ボルテゾミブ、アルギニン並びにヒドロキシジカルボン酸及び/又はその塩を水に溶解させる場合は、当該水の量としては、ボルテゾミブ、アルギニン並びにヒドロキシジカルボン酸及び/又はその塩の合計1重量部に対して、例えば10〜200重量部が挙げられ、好ましくは15〜50重量部が挙げられる。
有機溶媒を用いる場合は、有機溶媒としては、例えば、水と混和性があり、凍結乾燥で除去される有機溶媒が挙げられる。具体的には、t−ブタノール、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル、アセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン等が挙げられる。好ましい有機溶媒としては、例えばアルコールが挙げられ、より好ましくはt−ブタノール、メタノール、エタノール、2−プロパノール等が挙げられる。ボルテゾミブを有機溶媒に溶解させる場合は、その使用量としては、ボルテゾミブが溶解するに十分な量であって、その後の凍結乾燥に過剰な負担をかけない程度の量が挙げられる。具体的な有機溶媒の量としては、ボルテゾミブ3mgに対して、例えば0.03〜3mLが挙げられ、好ましくは、0.1〜1mLが挙げられる。有機溶媒の使用量は、環境負荷を考慮すると、極力減らすことが好ましい。
有機溶媒を用いる場合に用いる水の量としては、ボルテゾミブ、アルギニン並びにヒドロキシジカルボン酸及び/又はその塩の合計1重量部に対して、例えば5〜50重量部が挙げられ、好ましくは10〜30重量部が挙げられる。
得られた溶液の容量を水で一定量に調整した後、好適には滅菌ろ過を行う。滅菌ろ過は、無菌ろ過膜を用いて、例えば0.22ミクロンフィルターを用いて実施することができる。
続いて、滅菌ろ過された溶液を一定量のボルテゾミブとなるようにバイアルに充填して、凍結乾燥を行う。凍結乾燥は、例えば、−25〜−50℃で凍結させて、減圧下、乾燥することができる。圧力としては、例えば、真空度3〜10Pa等が挙げられる。
3.凍結乾燥製剤の保存安定性/再構成時間
以下の構造式で示される不純物が、製剤の保存安定性試験中で増加が確認された。
本明細書の試験例では、上記の不純物A、B、D、E及びGの増加に注目して、凍結乾燥製剤の安定性を評価した。本発明の凍結乾燥製剤では、上記の不純物の増加が低く抑えられる。また、本発明の凍結乾燥製剤では、水への再構成時間が短く、例えば60秒以下であり、好ましくは30秒以下であり、より好ましくは20秒以下である。
4.凍結乾燥製剤の適用
本発明の凍結乾燥製剤は、例えば多発性骨髄腫の治療に用いられる。例えば、静脈内投与するための注射液を調製する場合は、ボルテゾミブ3mgを含有するバイアルに、生理食塩水3.0mLを加えて溶解させて、患者に適用する。例えば、皮下投与するための注射液を調製する場合は、ボルテゾミブ3mgを含有するバイアルに、生理食塩水1.2mLを加えて溶解させて、患者に適用する。
以下、本発明を実施例、比較例及び試験例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
<試験方法>
(1)再構成試験
調製したばかりの凍結乾燥製剤を含有するバイアルに、生理食塩水1.2mLを加えて振り混ぜて、凍結乾燥製剤の粉末のすべてが溶解するまでの時間(溶解時間)を計測する。なお、ここでいう溶解時間が、凍結乾燥製剤の再構成時間に相当する。
(2)注射剤のpH測定
凍結乾燥製剤を含有するバイアルに、生理食塩水3mLを加えてすべてが溶解した際の溶液のpHを測定する。
(3)保存安定性試験
密栓されたバイアルに充填された凍結乾燥製剤を、70℃で9日間、又は60℃で3週間、保存する。その後、バイアルに生理食塩水1.5mL及びアセトニトリル1.5mLを加えてすべてを溶解させて、試料溶液とする。
調製された溶液の安定性は、下記のようにして確認した。各試料溶液の各類縁物質及び総類縁物質量をHPLC法で測定した。HPLC法の条件は次の通りである。
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:270nm)
カラム:内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填した。
カラム温度:30℃付近の一定温度
移動相流量:毎分1.0mL
サンプル注入量:20μL
移動相:溶液A及びBから構成される。
溶液A:水750mLにアセトニトリル250mL及びギ酸1mLを加えて混和する。
溶液B:水200mLにアセトニトリル800mL及びギ酸1mLを加えて混和する。
移動相の送液:溶液A及び溶液Bの混合比を次のように変えて濃度勾配制御する。
各検体のピーク面積を自動積分法により測定し、面積百分率法によりそれらの量を求め,各類縁物質量及び総類縁物質を求めた。なお、総類縁物質とは、不純物A、不純物B、不純物D、不純物E、不純物Gを含むすべての不純物を合わせたものである。
実施例1
クエン酸含有凍結乾燥製剤の調製
ボルテゾミブ60mgをt−ブタノール10.8mLに50℃で溶解させた。L−アルギニン400mg、クエン酸水和物256mg及びクエン酸ナトリウム水和物96mgを注射用水13.2mgに室温で溶解させた。得られた2つの溶液を混合して、混合溶液の容量を12mLになるように、注射用水で調整した。
無菌ろ過膜(0.22ミクロンフィルター)を用いて、得られた溶液を滅菌ろ過して、1.20mLづつバイアルに充填した。その後、バイアルを凍結乾燥機に入れて、凍結乾燥処理を施した。乾燥終了後、窒素を用いて、圧力を戻し、バイアルを密封することで、凍結乾燥製剤を得た。
比較例1〜3
凍結乾燥製剤の調製
表2に記載の成分を記載の量用いて、比較例1〜3の凍結乾燥製剤を、実施例1と同様にして調製した。なお、比較例1の製剤は、特許文献2に記載の製剤であり、市販されているベルケイド(登録商標)の製剤に相当するものである。
試験例1
凍結乾燥製剤の溶解時間及び得られた注射剤のpH
実施例1及び比較例1〜3の凍結乾燥製剤について、上述の(1)再構成試験及び(2)注射剤のpH測定を実施した。その結果(溶解時間及び注射剤のpH)を表3に示す。
実施例1の凍結乾燥製剤は、比較例1の凍結乾燥製剤よりも、速やかに溶解した。また、比較例2及び3の凍結乾燥製剤は、生理食塩水には溶解しなかった。
試験例2
凍結乾燥製剤の保存安定性
実施例1及び比較例1〜3の凍結乾燥製剤について、70℃で9日間及び60℃で3週間の保存安定性の試験を行った。その結果を表4に示す。
実施例1の凍結乾燥製剤は、比較例1〜3の凍結乾燥製剤よりも、総類縁物質の増加量が少なく、保存安定性が向上していた。
実施例2〜7
アルギニンの含有量を変化させたクエン酸含有凍結乾燥製剤の調製
ボルテゾミブ3mgに表5に記載の量のL−アルギニン及びクエン酸水和物を用いて、実施例2〜7の凍結乾燥製剤を実施例1と同様にして調製した。
試験例3
クエン酸含有凍結乾燥製剤の溶解時間及び得られた注射剤のpH
実施例2〜7の凍結乾燥製剤について、上述の(1)再構成試験及び(2)注射剤のpH測定を実施した。その結果(溶解時間及び注射剤のpH)を表5の下段に示す。
実施例2〜7の凍結乾燥製剤は、比較例1の凍結乾燥製剤よりも、速やかに溶解した。特に、実施例4及び5の凍結乾燥製剤は、より早く溶解した。
試験例4
クエン酸含有凍結乾燥製剤の保存安定性
実施例2〜7の凍結乾燥製剤について、70℃で9日間の保存安定性の試験を行った。その結果を表6に示す。
70℃9日後の総類縁物質の量から、初期の総類縁物質の量を差し引いた、総類縁物質の増加量は、実施例3〜7の凍結乾燥製剤ではいずれも、比較例1の凍結乾燥製剤の70℃9日後の総類縁物質の増加量よりも少なく、保存安定性がより優れていた。また、実施例2の凍結乾燥製剤の総類縁物質の増加量は、比較例1の凍結乾燥製剤と同等であった。
実施例8〜14
クエン酸の含有量を変化させたクエン酸含有凍結乾燥製剤の調製
アルギニン3mgに表7に記載の量のL−アルギニン及びクエン酸水和物を用いて、実施例8〜14の凍結乾燥製剤を実施例1と同様にして調製した。
試験例5
クエン酸含有凍結乾燥製剤の溶解時間及び得られた注射剤のpH
実施例8〜14の凍結乾燥製剤について、上述の(1)再構成試験及び(2)注射剤のpH測定を実施した。その結果(溶解時間及び注射剤のpH)を表7の下段に示す。
実施例8〜14のpH2.9〜6.7の凍結乾燥製剤はすべて、比較例1の凍結乾燥製剤よりも、速やかに溶解した。特に、実施例10〜12の凍結乾燥製剤は、より早く溶解した。
試験例6
クエン酸含有凍結乾燥製剤の保存安定性
実施例8〜14の凍結乾燥製剤について、70℃で9日間の保存安定性の試験を行った。その結果を表8に示す。
70℃9日後の総類縁物質の量から、初期の総類縁物質の量を差し引いた、総類縁物質の増加量は、実施例10〜14の凍結乾燥製剤ではいずれも、比較例1の凍結乾燥製剤の70℃9日後の総類縁物質の増加量よりも少なく、保存安定性がより優れていた。
クエン酸の含有量としては、アルギニン1重量部に対して、少なくとも0.3〜1重量部であることが好ましく、より好ましくは0.4〜0.9重量部であり、さらに好ましくは0.45〜0.8重量部であることが分かる。
実施例15〜19
pHを変化させた酒石酸含有凍結乾燥製剤の調製
表9の記載の量(1バイアル当たり)のボルテゾミブ、L−アルギニン及び酒石酸を注射用水に加えて、室温で溶解させて、pH4〜8の溶液を調製した。なお、pHの調製は酒石酸を増量して調整したが、pH8のものは水酸化ナトリウム水溶液を加えて調整した。続いて、実施例1と同様にして、滅菌ろ過、バイアル充填及び凍結乾燥を行うことで、凍結乾燥製剤を得た。
試験例7
酒石酸含有凍結乾燥製剤の溶解時間
実施例15〜19の凍結乾燥製剤について、上述の(1)再構成試験を実施した。その結果(溶解時間)を表9の下段に示す。
実施例15〜19のpH5〜8の凍結乾燥製剤は速やかに溶解し、特に実施例16〜19の凍結乾燥製剤は、比較例1の凍結乾燥製剤よりも速く溶解した。
また、実施例15〜19の凍結乾燥製剤を生理食塩水3mLで溶解した溶液のpHは、表9の溶液のpHと同様であった。
試験例8
酒石酸含有凍結乾燥製剤の保存安定性
実施例15〜19の凍結乾燥製剤について、70℃で9日間の保存安定性の試験を行った。その結果を表10に示す。
70℃9日後の総類縁物質の量から、初期の総類縁物質の量を差し引いた、総類縁物質の増加量は、実施例15〜19のpH4〜8の凍結乾燥製剤ではいずれも、比較例1の凍結乾燥製剤の70℃9日後の総類縁物質の増加量よりも少なく、保存安定性がより優れていた。
試験例5〜8の結果から、ヒドロキシジカルボン酸含有凍結乾燥製剤のpHは約3.5〜8が好ましく、より好ましくは4〜8であり、さらに好ましくは約4.5〜7である。
実施例20〜24
アルギニンの含有量を変化させた酒石酸含有凍結乾燥製剤の調製
表11の記載の量(1バイアル当たり)のボルテゾミブ、L−アルギニン及び酒石酸を注射用水に加えて、室温で溶解させて溶液を調製した。続いて、実施例1と同様にして、滅菌ろ過、バイアル充填及び凍結乾燥を行うことで、凍結乾燥製剤を得た。
試験例9
酒石酸含有凍結乾燥製剤の溶解時間
実施例20〜24の凍結乾燥製剤について、上述の(1)再構成試験を実施した。その結果(溶解時間)を表11の下段に示す。
実施例20〜24の凍結乾燥製剤は速やかに溶解し、特に実施例20〜22の凍結乾燥製剤は、比較例1の凍結乾燥製剤よりも速く溶解した。
また、実施例20〜24の凍結乾燥製剤を生理食塩水3mLで溶解した溶液のpHは、表11の溶液のpHと同様であった。
試験例10
酒石酸含有凍結乾燥製剤の保存安定性
実施例20〜24の凍結乾燥製剤について、70℃で9日間の保存安定性の試験を行った。その結果を表12に示す。
70℃9日後の総類縁物質の量から、初期の総類縁物質の量を差し引いた、総類縁物質の増加量は、実施例20〜24の凍結乾燥製剤ではいずれも、比較例1の凍結乾燥製剤の70℃9日後の総類縁物質の増加量と同等であるか、又はより少なく、優れた保存安定性を有していた。
試験例3、4、9及び10の結果から、ヒドロキシジカルボン酸含有凍結乾燥製剤におけるボルテゾミブとアルギニンの重量比は、約1:1.5〜約1:15が好ましく、より好ましくは1:1.7〜1:13.3であり、さらに好ましくは1:3.3〜約1:12であり、特に好ましくは1:6.7〜約1:11である。
比較例4〜8
他の酸を用いる凍結乾燥製剤の調製
表13の記載の量(1バイアル当たり)のボルテゾミブ、L−アルギニン及び各種酸を注射用水に加えて、室温で溶解させて溶液を調製した。続いて、実施例1と同様にして、滅菌ろ過、バイアル充填及び凍結乾燥を行うことで、凍結乾燥製剤を得た。
試験例11
凍結乾燥製剤の溶解時間
比較例4〜8及び実施例16の凍結乾燥製剤について、上述の(1)再構成試験を実施した。その結果(溶解時間)を表13の下段に示す。
比較例6〜8の凍結乾燥製剤は溶解時間が5分以上であった。その他の比較例4と5及び実施例16の凍結乾燥製剤は概ね速やかに溶解した。
試験例12
凍結乾燥製剤の保存安定性
比較例4〜8及び実施例16の凍結乾燥製剤について、70℃で9日間の保存安定性の試験を行った。その結果を表14に示す。
比較例4のアスコルビン酸含有凍結乾燥製剤では不純物が多量に生成し、比較例5の乳酸含有凍結乾燥製剤でも不純物がかなり生成した。比較例6〜8の凍結乾燥製剤でも不純物の生成が見られた。
すなわち、酸として、ヒドロキシジカルボン酸(例えば、クエン酸、酒石酸)以外の酸を使用した凍結乾燥製剤は、水への再構成時間及び/又は保存安定性の面で十分に満足できるものではないことができないことが分かる。これに対して、酸として、クエン酸、酒石酸等のヒドロキシジカルボン酸を使用した凍結乾燥性剤では、試験例3〜試験例12に示されるように、水への再構成時間が短く、かつ保存安定性に優れる。
本発明によって、保存安定性が優れ、水への再構成時間が短いボルテゾミブの凍結乾燥製剤が提供される。

Claims (6)

  1. ボルテゾミブ、アルギニン、並びにヒドロキシジカルボン酸及び/又はその塩を含む凍結乾燥製剤。
  2. 前記ヒドロキシジカルボン酸が酒石酸又はクエン酸である、請求項1に記載の凍結乾燥製剤。
  3. ボルテゾミブとアルギニンの重量比が1:1.5〜1:15である、請求項1又は2に記載の凍結乾燥製剤。
  4. ボルテゾミブ3mgあたり3mLの生理食塩水に溶解したとき、その溶液のpHが3.5〜8である、請求項1〜3のいずれかに記載の凍結乾燥製剤。
  5. ボルテゾミブ、アルギニン並びにヒドロキシジカルボン酸及び/又はその塩を含む溶液を凍結乾燥する工程を含む、凍結乾燥製剤の製造方法。
  6. 水のみを溶媒として用いた溶液を用いる、請求項5に記載の凍結乾燥製剤の製造方法。
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