JP2018095522A - 硫黄含有複合体、その製造方法、及び固体電解質の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[2]少なくとも(111)面においてハロゲン化リチウムのピークの回折角が硫化リチウムのピークの回折角の方にシフトしている上記[1]に記載の硫黄含有複合体。
[3]前記ハロゲン化リチウムのピークの回折角が、硫化リチウムのピークの回折角の方に、0.1°以上シフトしている上記[1]又は[2]に記載の硫黄含有複合体。
[4]前記ハロゲン化リチウムが、臭化リチウム及びヨウ化リチウムから選ばれる少なくとも1種である上記[1]〜[3]のいずれか1に記載の硫黄含有複合体。
[5]水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液を、硫化水素の存在下で加熱することを含む、硫黄含有複合体の製造方法。
[6]水硫化リチウム溶液と、ハロゲン化リチウム溶液とを混合して、水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液を得ること、前記水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液を、硫化水素の存在下で加熱すること、を含む硫黄含有複合体の製造方法。
[7]水酸化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液を、硫化水素の存在下で0℃以上100℃以下の温度条件で加熱し、水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液を得ること、前記水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液を、硫化水素の存在下で加熱すること、を含む硫黄含有複合体の製造方法。
[8]前記水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液を、硫化水素の存在下で加熱することにおいて、硫化水素を、該溶液中の固形分1kgに対して0.01N−L/分以上20N−L/分以下の流量で供給する上記[5]〜[7]のいずれか1に記載の硫黄含有複合体の製造方法。
[9]前記水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液を、硫化水素の存在下で加熱することにおいて、加熱を100℃以上400℃以下で行う上記[5]〜[8]のいずれか1に記載の硫黄含有複合体の製造方法。
[10]前記水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液を得ることにおいて、硫化水素を、該溶液中の固形分1kgに対して0.01N−L/分以上20N−L/分以下の流量で供給する上記[7]〜[9]のいずれか1に記載の硫黄含有複合体の製造方法。
[11]上記[1]〜[4]のいずれか1に記載の硫黄含有複合体、及びリン化合物を反応させる硫化物固体電解質の製造方法。
本実施形態の硫黄含有複合体は、硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含み、CuKα線を用いたX線回折測定において、ハロゲン化リチウムのピークの回折角が硫化リチウムのピークの回折角の方にシフトしており、かつLi3OX(Xはハロゲン元素を示す。)で示される含酸素ハロゲン化リチウムを含有しない、ことを特徴とするものである。
硫化リチウムは、特に制限なく使用でき、例えば、市販品をそのまま用いてもよいし、公知の方法に準じて作製したものを用いてもよく、高純度のものが好ましい。また、本実施形態の硫黄含有複合体を作製する時点で、硫化リチウム自体を原料としなくてもよく、例えば、後述する本実施形態の硫黄含有複合体の製造方法のように、水硫化リチウムを原料として、硫黄含有複合体において硫化リチウムとなったものであってもよい。
ハロゲン化リチウムとしては、フッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム等が好ましく挙げられ、イオン伝導度の観点から、臭化リチウム、ヨウ化リチウムがより好ましい。ハロゲン化リチウムは一種単独で用いることもできるし、複数種を組み合わせて用いることもできる。
本明細書において、「ハロゲン化リチウムのピークの回折角が硫化リチウムのピークの回折角の方にシフトしている」とは、「硫黄含有複合体でのハロゲン化リチウムのピークの回折角と硫化リチウムのピークの回折角との差が、ハロゲン化リチウム単体のピークの回折角と硫化リチウム単体のピークの回折角との差よりも小さくなっている」ことを意味する。より具体的に、図1に示される、実施例で得られた硫黄含有複合体のCuKα線を用いたX線回折測定のX線解析スペクトル、及び図2に示される、実施例で得られた硫黄含有複合体のCuKα線を用いたX線回折測定を行った際の(111)面におけるX線解析スペクトルの拡大図を例に説明する。
図2には、硫黄含有複合体での硫化リチウムのピークの回折角が26.975°、臭化リチウムの回折角が27.727°、ヨウ化リチウムの回折角が25.874°であることが示されている。一方、単体での硫化リチウムのピークの回折角は26.962°、臭化リチウムの回折角は28.046°、ヨウ化リチウムの回折角は25.643874°である(第2表も参照)。これらの結果から、単体での硫化リチウムと臭化リチウムとの回折角の差は1.084°であるところ、硫黄含有複合体での硫化リチウムと臭化リチウムとの回折角の差は0.752°となっており、硫黄含有複合体での硫化リチウムと臭化リチウムとの回折角の差は単体での硫化リチウムと臭化リチウムとの回折角の差よりも0.332°小さくなっている。これが、臭化リチウムのピークの回折角が硫化リチウムのピークの回折角の方にシフトしている、ことを意味する。
本実施形態の硫黄含有複合体は、(111)面において、硫化リチウムのピーク強度がハロゲン化リチウムのピーク強度よりも大きいことが好ましい。このような構成をとることで、より不純物が少ないものとなる。また、(111)面以外の面、例えば、(200)面、(220)面及び(311)面においても、硫化リチウムのピーク強度がハロゲン化リチウムのピーク強度よりも大きいことが好ましい。
本実施形態の硫黄含有複合体は、Li3OX(Xはハロゲン元素を示す。)で示される含酸素ハロゲン化リチウムを含有しないものである。Li3OXにおけるハロゲン元素Xは、主にハロゲン化リチウム等の原料に含まれるハロゲン元素に起因するものであり、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
Li3OX(Xはハロゲン元素を示す。)で示される含酸素ハロゲン化リチウムは、硫黄含有複合体の製造工程で生成する場合があり、該含酸素ハロゲン化リチウムが生成すると、硫化水素を供給しても硫化されず、硫黄含有複合体の純度が低下することになる。また、該含酸素ハロゲン化リチウムは、硫化物固体電解質の電池性能を低下させることが知られており、不純物といえるものである。本実施形態の硫黄含有複合体は、該含酸素ハロゲン化リチウムを含まないことで、より優れた電池性能を有する硫化物固体電解質が得られる。
本実施形態の硫黄含有複合体の平均粒子径は、用途に応じて適宜選択すればよく、特に制限はないが、例えば、1μm以上、5μm以上、10μm以上、30μm以上、50μm以上であり、また、2000μm以下、1500μm以下、1000μm以下、500μm以下、300μm以下である。ここで、平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、Malvern Instruments Ltd製 マスターサイザー2000)を用いて測定される値である。
本実施形態の硫黄含有複合体は、上記の通り、硫化リチウムとハロゲン化リチウムとが分子レベルで結合し複合化した構造を有することから、硫化物固体電解質の原料として用いられる五硫化二リン等の他の原料との反応性が高い。また、不純物の含有量が少ないことから、より優れた電池性能を有する硫化物固体電解質が得られやすい。
本実施形態の硫黄含有複合物は、このような特性を有するため、硫化物固体電解質の原料として好適に用いることができる。得られる硫化物系固体電解質は、リチウムイオン二次電池等に、より具体的には全固体リチウムイオン二次電池の固体電解層に、また正極、負極合材に混合する固体電解質等として好適に用いられる。例えば、正極と、負極と、正極及び負極の間に固体電解質からなる層を設けることで、全固体リチウムイオン二次電池が得られる。
本実施形態の硫黄含有複合体の製造方法は、水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液を、硫化水素の存在下で加熱することを含むものである。本実施形態において、溶液は、液状のものに加えて、及びスラリー状のもの(飽和濃度を越えたもので、溶液と粉末との混合物等)をも含むものである。
水硫化リチウムは、市販品を用いてもよいし、また、後述するように、水酸化リチウムを硫化して得られたものを用いてもよい。高純度の硫化リチウムを得る観点から、不純物の含有量が少ないものを用いることが好ましい。また、必要に応じて、水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液中の不溶物をろ過等により除去してもよい。
ハロゲン化リチウムとしては、フッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム等が好ましく挙げられ、イオン伝導度の観点から、臭化リチウム、ヨウ化リチウムがより好ましい。ハロゲン化リチウムは一種単独で用いることもできるし、複数種を組み合わせて用いることもできる。
また、上記非特許文献3に記載される、炭酸リチウムを水に分散させたスラリーに、ハロゲン化水素を吹き込む方法、により得られたものを溶液として用いてもよい。ここで、例えば、ハロゲン化水素として臭化水素を用いると臭化リチウムが得られ、ヨウ化水素を用いるとヨウ化リチウムが得られる。
水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液は、例えば、(a)市販の水硫化リチウム、ハロゲン化リチウムを水等の溶媒に溶解させて得ることもできるし、(b)水硫化リチウム溶液とハロゲン化リチウム溶液とを混合して得ることもできし、また(c)水酸化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液を、硫化水素の存在下で、0℃以上50℃以下の温度条件で加熱して得ることもできる。
水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液中の水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムの含有量は、これらの比率が所望の硫化物固体電解質の組成比に応じて適宜決定すればよく、例えば、水硫化リチウムの含有量、液状であるとき、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。上限としては、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。水硫化リチウムの含有量が上記範囲内であると、取り扱いが容易であり、硫化リチウムが得られやすく、得られる硫黄含有複合体が硫化物固体電解質の原料として用いやすくなる。また、水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液の加熱にかかるエネルギーをより低減することができる。
水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液を、水硫化リチウム溶液とハロゲン化リチウム溶液とを混合して得る場合、水硫化リチウムの含有量、及びハロゲン化リチウムの含有量、並びに水硫化リチウム溶液とハロゲン化リチウム溶液との配合比は、所望の硫化物固体電解質の組成比に応じて適宜決定すればよい。水硫化リチウム溶液中の水硫化リチウムの含有量は、液状であるとき、例えば、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましい。上限としては、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。水硫化リチウムの含有量が上記範囲内であると、取り扱いが容易であり、ハロゲン化リチウム溶液と混合しやすく、水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液の加熱にかかるエネルギーをより低減することができる。
ここで用いられる水酸化リチウムとしては、特に制限はなく、水酸化リチウム一水和物(LiOH・H2O)のような水和物であってもよいし、無水水酸化リチウムであってもよく、工業的に市販されているものをそのまま用いることができる。
反応圧力は、特に制限はないが、設備コスト低減の観点から、常圧が好ましい。なお、加圧設備を用いる場合は、硫化水素の溶液への調整を行うことができるため、反応速度を調整することが可能である。
水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液は、水酸化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液を、硫化水素の存在下で、0℃以上100℃以下の温度条件で加熱して得ることができる。水酸化リチウムと硫化水素とが反応することで、水酸化リチウムが硫化され、水硫化リチウムが得られる。
また、水酸化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液中のハロゲン化リチウムの含有量は、上記の水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液中のハロゲン化リチウムの含有量と同じである。
水溶液における溶媒としては、水のみを溶媒としてもよく、水以外の溶媒を更に含有していてもよい。水以外の溶媒を更に含有する場合、全溶媒に対する水の割合は50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。
また、水以外の溶媒としては、反応により不純物を生成しないものであれば特に制限はなく、例えば、アルコール、エーテル等の極性溶媒を用いることができ、アルコールとしては炭素数1〜8のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ペンタノール、メチルブタノール等が挙げられる。
本実施形態において、水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液を加熱する際、硫化水素の存在下で行うことを要する。硫化水素の存在下で加熱しないと、上記の含酸素ハロゲン化リチウム化合物、ハロゲン化リチウムの含水塩等のような不純物が生成し、効率よく硫黄含有複合体が得られない。通常、水硫化リチウムを加熱することで、脱硫化水素反応により硫化水素が生成するため、この反応系において硫化水素を供給すると、化学平衡の観点から反応が進行しにくくなる。本実施形態においては、硫化水素を供給することで、上記のような不純物の発生が抑えられるという予期しない効果を見出した。
溶媒が完全に蒸発したかどうかについては、例えば、反応槽から排出される水等の溶媒を含む気体をコンデンサ等で凝縮させ、水等の溶媒の発生が停止したことをもって判断することができる。また、このようにして水等の溶媒を反応系外に排出することで、硫化リチウム、及びハロゲン化リチウムが析出し、液状の溶液はスラリー状となり、更にこれが進行すると、硫黄含有複合体が得られる。
また、加熱は同じ温度で行ってもよいし、異なる温度で行ってもよい。例えば、好ましくは100℃以上150℃以下、より好ましくは120℃以上140℃以下で溶媒を蒸発させる乾燥加熱工程を行った後、好ましくは250℃以上400℃以下、より好ましくは270℃以上350℃以下で脱硫化水素工程を行ってもよい。より効率よく硫黄含有複合体を得る観点から、目的に応じた異なる加熱温度で加熱することが好ましい。
本実施形態の製造方法において、上記方法により得られた硫黄含有複合体を粉砕してもよい。硫黄含有複合体の粉砕は、処理量に応じた粉砕機、例えば後述する硫化物固体電解質の製造方法で用いられるような各種粉砕機を用いて行えばよい。
硫黄含有複合体の平均粒子径は、用途に応じて適宜選択すればよく、特に制限はないが、例えば、1μm以上、5μm以上、10μm以上、30μm以上、50μm以上であり、また、2000μm以下、1500μm以下、1000μm以下、500μm以下、300μm以下である。ここで、平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、Malvern Instruments Ltd製 マスターサイザー2000)を用いて測定される値である。
本実施形態の製造方法により得られる硫黄含有複合体は、硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含み、CuKα線を用いたX線回折測定において、ハロゲン化リチウムのピークの回折角が硫化リチウムのピークの回折角の方にシフトしており、かつLi3OX(Xはハロゲン元素を示す。)で示される含酸素ハロゲン化リチウムを含有しないものである。本実施形態の硫黄含有複合体は、その製造方法は特に制限はないが、不純物を含まない、より純度の高い複合体とする観点から、本実施形態の硫黄含有複合体の製造方法により得られるものであることが好ましい。
本実施形態の硫化物固体電解質の製造方法は、本実施形態の硫黄含有複合体、すなわち、硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含み、CuKα線を用いたX線回折測定において、ハロゲン化リチウムのピークの回折角が硫化リチウムのピークの回折角の方にシフトしており、かつLi3OX(Xはハロゲン元素を示す。)で示される含酸素ハロゲン化リチウムを含有しない、ことを特徴とする硫黄含有複合体、及びリン化合物を反応させるものである。
湿式粉砕において用いられる非水系溶媒としては、例えば、トルエン、ヘキサン、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート等の電解質の溶媒が挙げられる。これらの溶媒中の水分含有量は。100質量ppm以下が好ましく、50質量ppm以下がより好ましい。
乾式粉砕は、例えば、混練機、ボールミル粉砕機、ジェット粉砕機を用いて行うことができる。
また、粉砕時の不活性ガスの圧力は、0.2MPaG以上が好ましく、0.3MPaG以上がより好ましく、0.5MPaG以上が更に好ましい。上限としては、2MPaG以下が好ましく、1.8MPaG以下がより好ましく、1.5MPaG以下が更に好ましい。
また、粉砕時間は、粉砕の状態を確認しながら適宜選定すればよい。
本実施形態の硫黄含有複合体、及びリン化合物を、上記、湿式粉砕又は乾式粉砕の粉砕工程により反応させることで、硫化物固体電解質が得られる。得られた硫化物固体電解質は、リチウム元素、硫黄元素、リン元素、及びハロゲン元素を少なくとも含む非晶質の固体電解質である。本明細書において、非晶質の固体電解質とは、X線回折測定においてX線回折パターンが実質的に材料由来のピーク以外のピークが観測されないハローパターンであるもののことであり、固体電解質の原料由来のピークの有無は問わないものであることを意味する。
本実施形態の硫化物固体電解質の製造方法は、更に加熱することを含むことができる。更に加熱することにより、非晶質固体電解質を結晶性固体電解質とすることができる。
より具体的には、加熱温度としては、150℃以上が好ましく、170℃以上がより好ましく、190℃以上が更に好ましい。一方、加熱温度の上限値は特に制限されるものではないが、300℃以下が好ましく、280℃以下がより好ましく、250℃以下が更に好ましい。
上記のように、非晶質の硫化物系固体電解質を加熱することで、結晶性の硫化物系固体電解質が得られる。本明細書において、結晶性の固体電解質とは、X線回折測定においてX線回折パターンに、固体電解質由来のピークが観測される固体電解質であって、これらにおいて固体電解質の原料由来のピークの有無は問わない材料である。すなわち、結晶性の固体電解質は、固体電解質に由来する結晶構造を含み、その一部が該固体電解質に由来する結晶構造であっても、その全部が該固体電解質に由来する結晶構造であってもよい、ものである。そして、結晶性の固体電解質は、上記のようなX線回折パターンを有していれば、その一部に非晶質の固体電解質が含まれていてもよいものである。
ここで、2θ=20.2°近傍及び23.6°近傍にピークを有する結晶構造が好ましい。例えば、2θ=20.2°±0.3°及び23.6°±0.3°にピークを有する結晶構造である。
本実施形態の製造方法で得られる硫化物固体電解質は、イオン伝導度が高く、優れた電池性能を有しており、電池に好適に用いられる。伝導種としてリチウム元素を採用した場合、特に好適である。また、該硫化物固体電解質は、正極層に用いてもよく、負極層に用いてもよく、電解質層に用いてもよい。なお、各層は、公知の方法により製造することができる。
硫化リチウム、水酸化リチウム、及び炭酸リチウムの含有量は、塩酸滴定、及び硝酸銀滴定により分析し、測定した。具体的には、実施例で得られた硫黄含有複合体を、グローブボックス(露点:−100℃程度、窒素雰囲気)内で秤量後、水に溶解し、電位差滴定装置(「COM−980(型番)」、平沼産業(株)製)を用いて測定し、算出した。
上記各化合物の含有量(分率)から硫化リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム中の各々リチウム量を算出し、原料として使用した無水水酸化リチウム中のリチウムとの比率を転化率とした。
アンカー翼を備えたセパラブルフラスコ(SUS製、500mL)に、無水水酸化リチウム(本荘ケミカル(株)製、水分量:1質量%以下)15.15g(0.633モル)及びイオン交換水150mLを仕込み、室温下で撹拌し、水酸化リチウム水溶液を得た。この水酸化リチウム水溶液に、硫化水素(住友精化(株)製)を200N−mL/分で2時間、バブリングしながら供給し、水硫化リチウム水溶液を得た。これとは別に、ヨウ化リチウム7.53g(0.0563モル)、臭化リチウム7.32g(0.0843モル)(いずれも本荘ケミカル(株)製)を120mLのイオン交換水に溶解させて、ハロゲン化リチウム水溶液を調製し、上記セパラブルフラスコに入れて水硫化リチウム水溶液と混合し、水硫化リチウム及びハロゲン化リチウム(ヨウ化リチウム及び臭化リチウム)を含む水溶液を得た。
水硫化リチウム、ヨウ化リチウム、及び臭化リチウムを含む水溶液の入ったセパラブルフラスコを130℃のオイルバス内に配置して130℃に加熱した後、該セパラブルフラスコの気相に硫化水素を200N−mL/分で8時間供給して、発生する水分を留去し、かつ乾燥させた後、更に250℃に加熱し、8時間保持した。
その後、硫化水素を窒素ガスに切り換えて、室温まで冷却した後、セパラブルフラスコ内の粉末状の硫黄含有複合体を回収した。得られた硫黄含有複合体中の硫化リチウム、水酸化リチウム、及び炭酸リチウムの含有量を測定した。含有量を第1表に示す。得られた硫黄含有複合体について、X線回折(XRD)装置(SmartLab装置、(株)リガク製)を用いて粉末X線解析(XRD)測定を行った。X線解析スペクトルを図1に示す。また、(111)面、(200)面、(220)面及び(311)面における拡大図を、各々図2〜5に示し、各面における硫化リチウム、臭化リチウム及びヨウ化リチウムの単体でのピークの回折角、硫黄含有複合体でのピークの回折角、シフト幅を第2表に示す。
アンカー翼を備えたセパラブルフラスコ(SUS製、500mL)に、無水水酸化リチウム(本荘ケミカル(株)製、水分量:1質量%以下)15.15g(0.633モル)、及びイオン交換水150mLを仕込み、室温下で撹拌し、水酸化リチウム水溶液を得た。これとは別に、ヨウ化リチウム7.53g(0.0563モル)、臭化リチウム7.32g(0.0843モル)(いずれも本荘ケミカル(株)製)を120mLのイオン交換水に溶解させて、ハロゲン化リチウム水溶液を調製し、上記セパラブルフラスコに入れて水酸化リチウム水溶液と混合し、水酸化リチウム及びハロゲン化リチウム(ヨウ化リチウム及び臭化リチウム)を含む水溶液を得た。
水酸化リチウム、ヨウ化リチウム、及び臭化リチウムを含む水溶液の入ったセパラブルフラスコを130℃のオイルバス内に配置して130℃に加熱した後、該セパラブルフラスコの気相に窒素を200N−mL/分で8時間供給して、発生する水分を留去し、かつ乾燥させた後、窒素を硫化水素200N−mL/分に切り替えて、更に250℃に加熱し、8時間保持した。
その後、硫化水素を窒素ガスに切り換えて、室温まで冷却した後、セパラブルフラスコ内の粉末を回収した。得られた粉末中の硫化リチウム、水酸化リチウム、及び炭酸リチウムの含有量を測定した。含有量を第1表に示す。また、得られた粉末について、X線回折(XRD)装置(SmartLab装置、(株)リガク製)を用いて粉末X線解析(XRD)測定を行った。X線解析スペクトルを図6に示す。また、(111)面における拡大図を図7に示し、(111)面における硫化リチウム、臭化リチウム及びヨウ化リチウムの単体でのピークの回折角、硫黄含有複合体でのピークの回折角、シフト幅を第2表に示す。
アンカー翼を備えたセパラブルフラスコ(SUS製、500mL)に、無水水酸化リチウム(本荘ケミカル(株)製、水分量:1質量%以下)15.15g(0.633モル)及びイオン交換水150mLを仕込み、室温下で撹拌し、水酸化リチウム水溶液を得た。この水酸化リチウム水溶液に、硫化水素(住友精化(株)製)を200N−mL/分で2時間、バブリングしながら供給し、水硫化リチウム水溶液を得た。これとは別に、ヨウ化リチウム7.53g(0.0563モル)、臭化リチウム7.32g(0.0843モル)(いずれも本荘ケミカル(株)製)を120mLのイオン交換水に溶解させて、ハロゲン化リチウム水溶液を調製し、上記セパラブルフラスコに入れて水硫化リチウム水溶液と混合し、水硫化リチウム及びハロゲン化リチウム(ヨウ化リチウム及び臭化リチウム)を含む水溶液を得た。
水硫化リチウム、ヨウ化リチウム、及び臭化リチウムを含む水溶液の入ったセパラブルフラスコを130℃のオイルバス内に配置して130℃に加熱した後、該セパラブルフラスコの気相に窒素を200N−mL/分で8時間供給して、発生する水分を留去し、かつ乾燥させた後、更に250℃に加熱し、8時間保持した。
その後、室温まで冷却した後、セパラブルフラスコ内の粉末を回収した。得られた粉末について、X線回折(XRD)装置(SmartLab装置、(株)リガク製)を用いて粉末X線解析(XRD)測定を行った。X線解析スペクトルを図8に示す。なお、比較例2で得られた粉末においては、(111)面における硫黄含有複合体での硫化リチウム、臭化リチウム及びヨウ化リチウムのピークの回折角は読み取れなかった。
註)転化率は、水酸化リチウムの仕込み量に対する転化率を意味する。
註)「ピークの回折角(2θ)」の「単体」欄の数値は単体のハロゲン化リチウム、硫化リチウムの各面におけるピークの回折角であり、「複合体」欄の数値は複合体中のハロゲン化リチウム、硫化リチウムのピークの回折角である。また、「Li2Sとの回折角の差」の「単体(A)」欄の数値は単体での硫化リチウムとハロゲン化リチウムとの回折角の差であり、「複合体(B)」欄の数値は硫黄含有複合体での硫化リチウムとハロゲン化リチウムとの回折角の差であり、「(A)−(B)」欄の数値は、上記「単体(A)」欄の数値と「複合体(B)」欄の数値との差である。
より具体的には、第2表中の「Li2Sとの回折角の差」の「単体(A)」欄の数値と「複合体(B)」欄の数値との対比より、「複合体(B)」欄の数値が小さくなっている、すなわち、単体での硫化リチウムとハロゲン化リチウムとの回折角の差よりも硫黄含有複合体での硫化リチウムとハロゲン化リチウムとの回折角の差が小さくなっている、ことから、ハロゲン化リチウムのピークの回折角は、硫化リチウムのピークの回折角の方にシフトしていることが分かる。例えば、(111)面の臭化リチウムの場合、硫黄含有複合体での硫化リチウムと臭化リチウムとの回折角の差(0.752°)は、単体での硫化リチウムと臭化リチウムとの回折角の差(1.074°)よりも0.332°小さくなっており、臭化リチウムのピークの回折角は硫化リチウムのピークの回折角の方(高角側)にシフトしており、ヨウ化リチウムの場合、硫黄含有複合体での硫化リチウムとヨウ化リチウムとの回折角の差(1.101°)は、単体での硫化リチウムとヨウ化リチウムとの回折角の差(1.319°)よりも0.218°小さくなっており、ヨウ化リチウムのピークの回折角は硫化リチウムのピークの回折角の方(低角側)にシフトしていることが具体的に確認できる。
一方、比較例1の粉末の場合、硫化リチウムのシフト幅は0.101°のところ、臭化リチウムのシフト幅は0.206°と硫化リチウムのシフト幅よりも大きいが、ヨウ化リチウムのシフト幅は0.078°と硫化リチウムのシフト幅よりも小さく(第2表及び図7参照)、本実施形態の硫黄含有複合体とは異なる挙動を示していることが分かる。
なお、比較例1で得られた粉末中の不純物は、水酸化リチウムとハロゲン化リチウムとの共存下で加熱したことにより、副反応が発生し、生じたものと考えられる。また、比較例1で得られた粉末は、該副反応に水酸化リチウムが消費され、不純物を生成したため、硫化リチウムへの転化率が低下しているものと考えられる。
45mLのジルコニア製ポットに、ジルコニアボール53g(5mmφ)、実施例1で得られた硫黄含有複合体1.116g、五硫化二リン0.877gを仕込み、ポットを遊星ミル(「LP−5(型番)」、(株)伊藤製作所製)に装着し、台盤回転数:300rpmで24時間、乾式反応を行った。
45mLのジルコニア製ポットに、ジルコニアボール53g(5mmφ)、硫化リチウム0.556g、ヨウ化リチウム0.277g、臭化リチウム0.285g、五硫化二リン0.877gを仕込み、ポットを遊星ミル(「LP−5(型番)」、(株)伊藤製作所製)に装着し、台盤回転数:300rpmで24時間、乾式反応を行った。
実施例2及び比較例3の結果から、本実施形態の製造方法により得られた硫黄含有複合体(本実施形態の硫黄含有複合体ともいえる。)を用いた場合、五硫化二リンとの反応性が高く、より効率的に硫化物固体電解質を得ることができるといえる。
得られる硫化物系固体電解質は、リチウムイオン二次電池等に、より具体的には全固体リチウムイオン二次電池の固体電解層に、また正極、負極合材に混合する固体電解質等として好適に用いられる。例えば、正極と、負極と、正極及び負極の間に固体電解質からなる層を設けることで、全固体リチウムイオン二次電池が得られる。
Claims (11)
- 硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含み、CuKα線を用いたX線回折測定において、ハロゲン化リチウムのピークの回折角が硫化リチウムのピークの回折角の方にシフトしており、かつLi3OX(Xはハロゲン元素を示す。)で示される含酸素ハロゲン化リチウムを含有しない、ことを特徴とする硫黄含有複合体。
- 少なくとも(111)面においてハロゲン化リチウムのピークの回折角が硫化リチウムのピークの回折角の方にシフトしている請求項1に記載の硫黄含有複合体。
- 前記ハロゲン化リチウムのピークの回折角が、硫化リチウムのピークの回折角の方に、0.1°以上シフトしている請求項1又は2に記載の硫黄含有複合体。
- 前記ハロゲン化リチウムが、臭化リチウム及びヨウ化リチウムから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の硫黄含有複合体。
- 水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液を、硫化水素の存在下で加熱することを含む、硫黄含有複合体の製造方法。
- 水硫化リチウム溶液と、ハロゲン化リチウム溶液とを混合して、水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液を得ること、前記水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液を、硫化水素の存在下で加熱すること、を含む硫黄含有複合体の製造方法。
- 水酸化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液を、硫化水素の存在下で0℃以上100℃以下の温度条件で加熱し、水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液を得ること、前記水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液を、硫化水素の存在下で加熱すること、を含む硫黄含有複合体の製造方法。
- 前記水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液を、硫化水素の存在下で加熱することにおいて、硫化水素を、該溶液中の固形分1kgに対して0.01N−L/分以上20N−L/分以下の流量で供給する請求項5〜7のいずれか1項に記載の硫黄含有複合体の製造方法。
- 前記水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液を、硫化水素の存在下で加熱することにおいて、加熱を100℃以上400℃以下で行う請求項5〜8のいずれか1項に記載の硫黄含有複合体の製造方法。
- 前記水硫化リチウム及びハロゲン化リチウムを含む溶液を得ることにおいて、硫化水素を、該溶液中の固形分1kgに対して0.01N−L/分以上20N−L/分以下の流量で供給する請求項7〜9のいずれか1項に記載の硫黄含有複合体の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の硫黄含有複合体、及びリン化合物を反応させる硫化物固体電解質の製造方法。
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