JP2018095511A - 高周波誘導加熱炉のホットゾーン構造及びホットゾーン構造を用いた酸化物単結晶の育成方法 - Google Patents

高周波誘導加熱炉のホットゾーン構造及びホットゾーン構造を用いた酸化物単結晶の育成方法 Download PDF

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【課題】酸化物単結晶の育成時に用いる耐火物の寿命を向上させ、酸化物単結晶の育成に適した温度環境を長期間維持できるホットゾーン構造を提供すること。【解決手段】高周波誘導加熱炉の上部ホットゾーン構造2は、坩堝10の上にある酸化物単結晶の育成空間を囲む筒状耐火物としての内側保温筒21と、内側保温筒21に蓋をする蓋状耐火物としての内蓋23とを有する。内蓋23は、上段環状耐火物23U及び下段環状耐火物23Lで構成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、酸化物単結晶の育成に用いる高周波誘導加熱炉(以下では「育成炉」と略称する。)のホットゾーン構造に関する。具体的には、チョクラルスキー法(以下では「Cz法」と略称する。)による酸化物単結晶の育成に用いる育成炉のホットゾーン構造に関する。特に、タンタル酸リチウム(LiTaO3;以下では「LT」と略称する。)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3;以下では「LN」と略称する。)等の単結晶の育成に際して、育成用原料が入っている坩堝の保温性能の改善に関する。
LT、LN等の単結晶は、主に移動体通信機器に用いられる電気信号ノイズ除去用の表面弾性波(Surface Acoustic Wave;以下では「SAW」と略称する。)素子用材料として用いられている。
LT、LN等の単結晶は、産業的にはCz法によって育成される。例えば、LT単結晶は、イリジウム(以下では「Ir」と略称する。)、白金(以下では「Pt」と略称する。)等で形成された坩堝を用いて、窒素−酸素混合ガス雰囲気の育成炉中で育成される。Cz法は、円筒状の坩堝内ある原料融液に種結晶を接触させ、その後に種結晶を回転させながら上方に引き上げることで、種結晶と同一方位の単結晶を育成する方法である。種結晶の回転速度及び引き上げ速度は、育成する単結晶の種類、育成時の温度環境に応じて適切に選定される。育成された単結晶は、育成炉内で所定の冷却速度で冷却された後に育成炉から取り出される。取り出された単結晶は、アニール工程、ポーリング工程等を経た後に、スライス工程、研磨工程等を経て厚さ数百ミクロン程度の基板に加工される。基板は、SAWフィルター用材料として用いられる。
ところで、近年のスマートフォン等の普及によって、移動体通信用SAWフィルターの市場は拡大を続けている。それに伴って、材料となるLT、LN単結晶基板の需要も伸びている。そして、SAWフィルターの製造コストの低減のため、基板のサイズは、従来の直径3インチから、4インチ、6インチへと大面積化が進み、育成される単結晶も大型化している。
大型結晶を育成するためには、原料が入っている坩堝を大型化する必要がある。坩堝は、高周波誘導加熱炉を用いたCz法による単結晶の育成の場合、発熱体となる。そのため、坩堝の周囲にはジルコニア、アルミナ等で形成された耐火物が設置される(例えば、特許文献1及び2参照。)。坩堝の保温するため、すなわち、結晶育成に適した温度環境を作るためである。
従って、坩堝を大型化するためには、当然のことながら、その周囲の耐火物も大型化する必要がある。直径3インチの結晶の育成においては、耐火物のサイズは、高々直径150〜200mm程度であったが、近年の大型結晶の育成においては、耐火物のサイズは、直径400〜500mm程度であり、2倍以上となっている。
耐火物が大型化すると、耐火物における比較的高温の部分と比較的低温の部分との間の温度差は大きくなる。そして、耐火物を構成する材料の膨張率の差も大きくなる。一方で、結晶育成温度は、LT育成の場合は1650℃以上、LN育成の場合は1250℃以上というように高温である。そのため、耐火物にクラックが発生し易くなった。特に、図1における育成炉の内部構造(ホットゾーン構造)の側断面図に示すように、坩堝10の上にある酸化物単結晶の育成空間GSに蓋をする内蓋23P、外蓋24P等の円環状耐火物は、シード棒3が通る中心穴23H、24H付近の内周部と外周部との温度差が大きくなり、放射状に走るクラックが発生する。放射状に走るクラックの原因は、円環状耐火物の内周部と外周部の温度差によると考えられる。
これらの円環状耐火物は、結晶育成に必要な温度環境を作り込み或いは維持するのに重要な部材である。これらの円環状耐火物にクラックが発生すると、そのクラックから逃げる熱が大きくなり、温度環境を大きく変化させ、結晶育成の成功率を低下させていた。
特開2001−316195号公報 特開2003−063894号公報
そこで、酸化物単結晶の育成時に用いる耐火物の寿命を向上させ、酸化物単結晶の育成に適した温度環境を長期間維持できるホットゾーン構造を提供することが望ましい。
本発明の実施例に係るホットゾーン構造は、高周波誘導加熱炉のホットゾーン構造であって、坩堝の上にある酸化物単結晶の育成空間を囲む筒状耐火物と、前記筒状耐火物に蓋をする蓋状耐火物と、を有し、前記蓋状耐火物は、複数の環状耐火物で構成されている。
上述の手段により、酸化物単結晶の育成時に用いる耐火物の寿命を向上させ、酸化物単結晶の育成に適した温度環境を長期間維持できるホットゾーン構造が提供される。
従来のホットゾーン構造の側断面図である。 本発明の実施例に係るホットゾーン構造の構成例を示す側断面図である。 図2のホットゾーン構造における外蓋の概略図である。 図2のホットゾーン構造における内蓋の概略図である。 本発明の実施例に係るホットゾーン構造の別の構成例を示す側断面図である。 図5のホットゾーン構造における外蓋の概略図である。 図5のホットゾーン構造における内蓋の概略図である。
以下、図2を参照し、本発明の実施例に係るホットゾーン構造100を具体的に説明する。図2は、ホットゾーン構造100の構成例を示す図である。ホットゾーン構造100は、主に、下部ホットゾーン構造1及び上部ホットゾーン構造2を含む。下部ホットゾーン構造1は、坩堝10、耐火物11、及び外側容器12を含む。上部ホットゾーン構造2は、支持板20、内側保温筒21、外側保温筒22、内蓋23、及び外蓋24を含む。シード棒3は、外蓋24の中心穴24H及び内蓋23の中心穴23Hを通じ、内側保温筒21で囲まれた育成空間GSに至る。シード棒3の先端には種結晶3Aが取り付けられている。種結晶3Aは、坩堝10内の原料融液と接触する。
坩堝10は、酸化物単結晶の原料を溶かすための壺である。原料は、例えば、LT、LN等である。
耐火物11は、坩堝10を取り囲んで保持する部材であり、例えば、Ir又はPtで形成されている有底筒状部材である。図2の例では、耐火物11は有底円筒状部材である。
外側容器12は、耐火物11を取り囲んで保持する部材であり、例えば、アルミナ、ジルコニア等で形成されている有底筒状部材である。図2の例では、外側容器12は有底円筒状部材である。
支持板20は、下部ホットゾーン構造1の上に置かれて保温筒を支持する耐火物であり、例えば、アルミナ、ジルコニア等で形成されている円環状耐火物である。
内側保温筒21は、育成空間GSを取り囲む筒状耐火物である。外側保温筒22は、内側保温筒21を取り囲む筒状耐火物である。内側保温筒21及び外側保温筒22は、例えば、アルミナ、ジルコニア等で形成されている。図2の例では、内側保温筒21及び外側保温筒22は何れも支持板20の上に配置される円筒状耐火物である。
内蓋23は、内側保温筒21の上に配置されて内側保温筒21に蓋をする蓋状耐火物である。内蓋23は、例えば、アルミナ、ジルコニア等で形成されている。内蓋23は、下段環状耐火物23Lと上段環状耐火物23Uに分割された構造を有する点で、分割されていない一体型(1段)の構造を有する図1の内蓋23Pと異なる。図2の例では、下段環状耐火物23L及び上段環状耐火物23Uは何れも円環状耐火物である。
外蓋24は、外側保温筒22の上に配置されて外側保温筒22に蓋をする蓋状耐火物である。外蓋24は、例えば、アルミナ、ジルコニア等で形成されている。外蓋24は、下段環状耐火物24Lと上段環状耐火物24Uに分割された構造を有する点で、分割されていない一体型(1段)の構造を有する図1の外蓋24Pと異なる。図2の例では、下段環状耐火物24L及び上段環状耐火物24Uは何れも円環状耐火物である。
蓋状耐火物としての内蓋23、外蓋24の温度分布は、耐火物11を含む他の発熱体の影響を受ける。そのため、蓋状耐火物の分割位置は、望ましくは、その径方向の温度差が最も緩和されるように決定される。径方向の温度差は、例えば、実測又はシミュレーションによって蓋状耐火物の径方向の温度分布を取得することで導き出される。
ここで、図3及び図4を参照し、蓋状耐火物を構成する環状耐火物の詳細について説明する。図3は外蓋24の概略図である。図3(A)はホットゾーン構造100の上面図を示す。図3(B)は、図3(A)の仮想鉛直面IIIBにおける断面図を示す。図4は内蓋23の概略図である。図4(A)は、外蓋24が取り外された状態にあるホットゾーン構造100の上面図を示す。図4(B)は、図4(A)の仮想鉛直面IVBにおける断面図を示す。
図3に示すように外蓋24が2分割される場合、下段環状耐火物24Lの内径D1は、下段環状耐火物24Lの外径D2の1/2以上2/3以下となるように設定されている。そして、上段環状耐火物24Uの外径D4は下段環状耐火物24Lの内径D1よりも所定値ΔDだけ大きくなるように設定されている。所定値ΔDは、例えば、20mm以上、40mm以下の範囲内の値である。上段環状耐火物24Uの内径D3は、中心穴24Hの直径であり、シード棒3が適切に通過できるサイズに設定されている。
また、図4に示すように内蓋23が2分割される場合、下段環状耐火物23Lの内径D11は、下段環状耐火物23Lの外径D12の1/2以上2/3以下となるように設定されている。そして、上段環状耐火物23Uの外径D14は下段環状耐火物23Lの内径D11よりも所定値ΔDだけ大きくなるように設定されている。所定値ΔDは、例えば、20mm以上、40mm以下の範囲内の値である。上段環状耐火物23Uの内径D13は、中心穴23Hの直径であり、シード棒3が適切に通過できるサイズに設定されている。
蓋状耐火物におけるクラックの発生は、蓋状耐火物の分割数が多いほど、すなわち、蓋状耐火物を構成する環状耐火物の数が多いほど、抑制されると考えられる。
ここで、図5〜図7を参照し、ホットゾーン構造100の別の構成例について説明する。図5は、ホットゾーン構造100の別の構成例を示す図である。図5のホットゾーン構造100は、内蓋23及び外蓋24がそれぞれ3分割されている点で、図2のホットゾーン構造100と相違するがその他の点で共通する。図6は外蓋24の概略図であり、図3に対応する。図6(A)はホットゾーン構造100の上面図を示す。図6(B)は、図6(A)の仮想鉛直面VIBにおける断面図を示す。図7は内蓋23の概略図であり、図4に対応する。図7(A)は、外蓋24が取り外された状態にあるホットゾーン構造100の上面図を示す。図7(B)は、図7(A)の仮想鉛直面VIIBにおける断面図を示す。
図6に示すように外蓋24が3分割される場合、下段環状耐火物24Lの内径D21は、下段環状耐火物24Lの外径D22の1/2以上2/3以下となるように設定されている。中段環状耐火物24Mの外径D24は、下段環状耐火物24Lの内径D21よりも所定値ΔD1だけ大きくなるように設定されている。所定値ΔD1は、例えば、20mm以上、40mm以下の範囲内の値である。中段環状耐火物24Mの内径D23は中段環状耐火物24Mの外径D24の1/2以上2/3以下となるように設定されている。そして、上段環状耐火物24Uの外径D26は中段環状耐火物24Mの内径D23よりも所定値ΔD2だけ大きくなるように設定されている。所定値ΔD2は、例えば、20mm以上、40mm以下の範囲内の値である。上段環状耐火物24Uの内径D25は、中心穴24Hの直径であり、シード棒3が適切に通過できるサイズに設定されている。
また、図7に示すように内蓋23が3分割される場合、下段環状耐火物23Lの内径D31は、下段環状耐火物23Lの外径D32の1/2以上2/3以下となるように設定されている。中段環状耐火物23Mの外径D34は、下段環状耐火物23Lの内径D31よりも所定値ΔD1だけ大きくなるように設定されている。所定値ΔD1は、例えば、20mm以上、40mm以下の範囲内の値である。中段環状耐火物23Mの内径D33は中段環状耐火物23Mの外径D34の1/2以上2/3以下となるように設定されている。そして、上段環状耐火物23Uの外径D36は中段環状耐火物23Mの内径D33よりも所定値ΔD2だけ大きくなるように設定されている。所定値ΔD2は、例えば、20mm以上、40mm以下の範囲内の値である。上段環状耐火物23Uの内径D35は、中心穴23Hの直径であり、シード棒3が適切に通過できるサイズに設定されている。
上述のように、2分割或いは3分割された蓋状耐火物は、加熱時における各環状耐火物の内周部と外周部の温度差を小さくできる。そのため、内周部と外周部の膨張量の差が小さくなり、膨張量の差に起因する接線方向の応力が緩和される。その結果、クラックの発生を抑制できる。
このように、高周波誘導加熱炉の使用者は、育成対象の酸化物単結晶を大口径化するために蓋状耐火物を大口径化する必要が生じた場合であっても、蓋状耐火物を複数の環状耐火物に分割することで、その割れの発生を抑制できる。そして、酸化物単結晶の育成に適した温度環境を長期間維持することが可能となる。従って、酸化物単結晶の育成の成功率の悪化を抑制でき、酸化物単結晶の生産性の向上及び製造コストの低減を実現できる。
[実施例]
次に、本発明の実施例を比較例と共に具体的に説明する。
[実施例1]
図2〜図4に示すように内蓋23及び外蓋24のそれぞれを2分割した構成と、外径が10インチ(254mm)のIr製の坩堝10とを用い、直径6インチのLT単結晶の育成を繰り返し行った。
このときに用いた外蓋24の下段環状耐火物24Lのサイズは、内径D1が200mm、外径D2が400mmであり、上段環状耐火物24Uのサイズは、内径D3が40mm、外径D4が240mmであった。また、内蓋23の下段環状耐火物23Lのサイズは、内径D11が150mm、外径D12が300mmであり、上段環状耐火物23Uのサイズは、内径D13が40mm、外径D14が180mmであった。
育成回数57回までは内蓋23にクラックが発生することはなかった。58回目の育成終了後に、中心部から外側に向うクラックが内蓋23で発生していることが確認された。また、育成回数112回までは外蓋24にクラックが発生することはなかった。113回目の育成終了後に、中心部から外側に向うクラックが外蓋24で発生していることが確認された。
内蓋23にクラックが発生するまでの57回の育成において55本のLT単結晶を得ることができ、育成成功率は96.5%であった。内蓋23にクラックが発生した58回目の育成で得られたLT単結晶には、引き上げ方向に対して垂直にクラックが発生していた。引き上げ方向に対して垂直なクラックは、典型的には、結晶上部と結晶下部の温度差が大きい場合に発生する。そのため、このLT単結晶のクラックは、内蓋23にクラックが発生したために、その内蓋23のクラックからの熱の逃げが大きくなり、育成空間GSにおける鉛直方向の温度差が大きくなったことが原因であると考えられる。
その後、内蓋23を交換して育成を継続したところ、113回目の育成終了後に外蓋24にクラックが発生した。113回目の育成で得られたLT単結晶には、内蓋23にクラックが発生したときと同様に、引き上げ方向に対して垂直なクラックが発生していた。内蓋23を交換した直後の59回目の育成から外蓋24にクラックが発生する前の112回目の育成までの54回の育成においては、51本のLT単結晶を得ることができ、育成成功率は94.4%であった。
[実施例2]
実施例2で用いた外蓋24の下段環状耐火物24Lのサイズは、内径D1が265mm、外径D2が400mmであり、上段環状耐火物24Uのサイズは、内径D3が40mm、外径D4が285mmであった。また、内蓋23の下段環状耐火物23Lのサイズは、内径D11が200mm、外径D12が300mmであり、上段環状耐火物23Uのサイズは、内径D13が40mmであり、外径D14が230mmであった。他の条件は実施例1と同じにした。
育成回数51回までは内蓋23にクラックが発生することはなかった。52回目の育成終了後に、中心部から外側に向うクラックが内蓋23で発生していることが確認された。また、育成回数98回までは外蓋24にクラックが発生することはなかった。99回目の育成終了後に、中心部から外側に向うクラックが外蓋24で発生していることが確認された。
内蓋23にクラックが発生するまでの51回の育成において48本のLT単結晶を得ることができ、育成成功率は94.1%であった。内蓋23にクラックが発生した52回目の育成で得られたLT単結晶には、引き上げ方向に対して垂直にクラックが発生していた。引き上げ方向に対して垂直なクラックは、典型的には、結晶上部と結晶下部の温度差が大きい場合に発生する。そのため、このLT単結晶のクラックは、内蓋23にクラックが発生したために、その内蓋23のクラックからの熱の逃げが大きくなり、育成空間GSにおける鉛直方向の温度差が大きくなったことが原因であると考えられる。
その後、内蓋23を交換して育成を継続したところ、99回目の育成終了後に外蓋24にクラックが発生した。99回目の育成で得られたLT単結晶には、内蓋23にクラックが発生したときと同様に、引き上げ方向に対して垂直なクラックが発生していた。内蓋23を交換した直後の53回目の育成から外蓋24にクラックが発生する前の98回目の育成までの46回の育成においては、43本のLT単結晶を得ることができ、育成成功率は93.5%であった。
[実施例3]
実施例3では、3分割された内蓋23及び外蓋24を用いた。実施例3で用いた外蓋24の下段環状耐火物24Lのサイズは、内径D21が265mm、外径D22が400mmであり、中段環状耐火物24Mのサイズは、内径D23が190mm、外径D24が285mmであり、上段環状耐火物24Uのサイズは、内径D25が40mm、外径D26が210mmであった。また、内蓋23の下段環状耐火物23Lのサイズは、内径D31が200mm、外径D32が400mmであり、中段環状耐火物23Mのサイズは、内径D33が140mm、外径D34が220mmであり、上段環状耐火物23Uのサイズは、内径D35が40mm、外径D36が160mmであった。他の条件は実施例1と同じにした。
育成回数104回までは内蓋23にクラックが発生することはなかった。105回目の育成終了後に、中心部から外側に向うクラックが内蓋23で発生していることが確認された。また、育成回数205回までは外蓋24にクラックが発生することはなかった。206回目の育成終了後に、中心部から外側に向うクラックが外蓋24で発生していることが確認された。
内蓋23にクラックが発生するまでの104回の育成において102本のLT単結晶を得ることができ、育成成功率は98.1%であった。内蓋23にクラックが発生した105回目の育成で得られたLT単結晶には、引き上げ方向に対して垂直にクラックが発生していた。引き上げ方向に対して垂直なクラックは、典型的には、結晶上部と結晶下部の温度差が大きい場合に発生する。そのため、このLT単結晶のクラックは、内蓋23にクラックが発生したために、その内蓋23のクラックからの熱の逃げが大きくなり、育成空間GSにおける鉛直方向の温度差が大きくなったことが原因であると考えられる。
その後、内蓋23を交換して育成を継続したところ、206回目の育成終了後に外蓋24にクラックが生じた。206回目の育成で得られたLT単結晶には、内蓋23にクラックが生じたときと同様に、引き上げ方向に対して垂直なクラックが発生していた。内蓋23を交換した直後の106回目の育成から外蓋24にクラックが発生する前の205回目の育成までの100回の育成においては、97本のLT単結晶を得ることができ、育成成功率は97.0%であった。
[比較例]
比較例では、図1に示すように、一体型である外径300mm、内径40mmの内蓋23Pと、外径400mm、内径40mmの外蓋24Pとを用いた。それ以外は、実施例1と同じ構成として直径6インチのLT単結晶の育成を繰り返し行った。育成回数8回目に内蓋23Pに中心部から外側に向うクラックが発生していることが確認された。その後、内蓋23Pを交換して育成を継続したところ、育成回数20回目に外蓋24Pに中心部から外側に向うクラックが発生していることが確認された。その後、内蓋23P、外蓋24Pにクラックを発見する度に交換しながら育成を100回まで継続したところ、内蓋23Pには平均育成回数8回でクラックが発生し、外蓋24Pには平均育成回数18回でクラックが発生した。この間の育成成功率は、79%であった。
上述のように、ホットゾーン構造100は、従来は1つの環状耐火物で構成されていた蓋状耐火物を、複数の環状耐火物を積み重ねて構成されるようにしている。この構成により、各環状耐火物の半径方向の幅を低減させることで半径方向の温度差を緩和させている。そのため、結晶育成時の環状耐火物の割れを抑制することができ、環状耐火物の寿命を延長できる。その結果、育成空間における単結晶育成に適した温度環境を長期間にわたって維持することが可能となる。従って、LT単結晶、LN単結晶を含む酸化物単結晶の育成の際の単結晶化率及び育成成功率の悪化を抑制できる。また、酸化物単結晶の生産性の向上及び製造コストの低減を実現できる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に限定されることはない。例えば、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述の実施例では、蓋状耐火物は、2つ又は3つの環状耐火物を積み重ねて構成されているが、4つ以上の環状耐火物を積み重ねて構成されてもよい。
1・・・下部ホットゾーン構造 2・・・上部ホットゾーン構造 3・・・シード棒 3A・・・種結晶 10・・・坩堝 11・・・耐火物 12・・・外側容器 20・・・支持板 21・・・内側保温筒 22・・・外側保温筒 23・・・内蓋 23H・・・中心穴 23L・・・下段環状耐火物 23M・・・中段環状耐火物 23U・・・上段環状耐火物 24・・・外蓋 24H・・・中心穴 24L・・・下段環状耐火物 24M・・・中段環状耐火物 24U・・・上段環状耐火物 100・・・ホットゾーン構造 GS・・・育成空間

Claims (5)

  1. 高周波誘導加熱炉のホットゾーン構造であって、
    坩堝の上にある酸化物単結晶の育成空間を囲む筒状耐火物と、
    前記筒状耐火物に蓋をする蓋状耐火物と、を有し、
    前記蓋状耐火物は、複数の環状耐火物で構成されている、
    ホットゾーン構造。
  2. 前記蓋状耐火物は、下段環状耐火物の上に上段環状耐火物を積み重ねて構成され、
    前記下段環状耐火物の内径は、前記下段環状耐火物の外径の2分の1以上で且つ3分の2以下であり、
    前記上段環状耐火物の外径は、前記下段環状耐火物の内径よりも所定値だけ大きい、
    請求項1に記載のホットゾーン構造。
  3. 前記蓋状耐火物は、下段環状耐火物の上に中段環状耐火物を積み重ね、且つ、前記中段環状耐火物の上に上段環状耐火物を積み重ねて構成され、
    前記下段環状耐火物の内径は、前記下段環状耐火物の外径の2分の1以上で且つ3分の2以下であり、
    前記中段環状耐火物の外径は、前記下段環状耐火物の内径よりも所定値だけ大きく、
    前記中段環状耐火物の内径は、前記下段環状耐火物の外径の2分の1以上で且つ3分の2以下であり、
    前記上段環状耐火物の外径は、前記中段環状耐火物の内径よりも所定値だけ大きい、
    請求項1に記載のホットゾーン構造。
  4. 前記酸化物単結晶は、タンタル酸リチウムの単結晶、及びニオブ酸リチウムの単結晶を含む、
    請求項1乃至3の何れかに記載のホットゾーン構造。
  5. 高周波誘導加熱炉における坩堝の上にある酸化物単結晶の育成空間を囲む筒状耐火物と、前記筒状耐火物に蓋をする蓋状耐火物とを有するホットゾーン構造を用いた酸化物単結晶の育成方法であって、
    複数の環状耐火物で構成されている前記蓋状耐火物の中心穴を通じてシード棒に取り付けられた種結晶を前記坩堝内の原料融液に接触させる工程を有する、
    酸化物単結晶の育成方法。
JP2016241564A 2016-12-13 2016-12-13 高周波誘導加熱炉のホットゾーン構造及びホットゾーン構造を用いた酸化物単結晶の育成方法 Active JP6878865B2 (ja)

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