JP2018091084A - 接合構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】施工性に優れかつ高い接合強度を発現する木質材料の接合構造体を提供すること。【解決手段】柱部材と梁部材とからなる接合構造体であって、梁部材が管状補強材によって補強された木質材料であり、該梁部材を突起部材によって柱部に固定する接合構造体。さらには、管状補強材が中空であることや、管状補強材が繊維補強された樹脂からなるものであることが好ましい。また、梁部材の端部に軟質性材料を有していることや、梁部材の端部に雌ねじ構造の部材を設置したものであること、さらには梁部材の端部の軟質部材が雌ねじ構造の部材のさらに外側に配置されたものであることが好ましい。また突起部材がスクリューボルトであることが好ましい。【選択図】図3

Description

本発明は木質材料の接合構造体に関し、さらには施工性に優れかつ高い接合強度を発現する接合構造体に関する。
木質材料は、軽量で加工性がよい材料的な特徴と癒し効果やリラックス効果などの意匠的な特徴を合わせ持ち、従来から戸建住宅を中心に多く使用されている。さらに近年、環境問題や産業の活性化を背景に国産木材の利用が求められており、従来の戸建住宅に加えて、木造建築物の大型化・高層化に関する技術開発が盛んに行われている。
しかしながら、大空間建築物や中低層建築物を木造化する際には、梁や柱などの木質材料そのものの物性向上もさることながら、それらの接合部についても同時に強度向上ができなければ建物として成り立たせることができないという問題があった。
木質材料の接合構造については、近年、金物接合具を使用した接合が主流となっており、接合強度の向上を目的に種々の形状、仕組みの接合具および接合方法が考案されている(特許文献1)が、それらは数多くのボルトやピン、複雑な接合金具を用いるため、従来木造と同等の施工性を維持することが難いものであった。
その他に接合強度を上げる方法には、梁と柱の接合部上下に補強金具を用いる方法がある(特許文献2)。しかしこの方法は、戸建住宅などでは非常に有用となるが、大型の建築物の場合、建築基準法によって耐火性能が要求される場合が多く、接合部形状が特殊になることで、耐火被覆の施工性悪化や被覆材の高コスト化という問題を内包している。
大空間建築物や中低層建築物を木造化するために、特殊な接合具を用いることなく、施工性に優れ、高い接合強度を発現できる接合構造の開発が待たれていたのである。
特開2006−348658号公報 特開2004−003177号公報
本発明は、施工性に優れかつ高い接合強度を発現する木質材料の接合構造体を提供することにある。
本発明の接合構造体は、柱部材と梁部材とからなる接合構造体であって、梁部材が管状補強材によって補強された木質材料であり、該梁部材を突起部材によって柱部に固定することを特徴とする。
さらには、管状補強材が中空であることや、管状補強材が繊維補強された樹脂からなるものであることが好ましい。また、梁部材の端部に軟質性材料を有していることや、梁部材の端部に雌ねじ構造の部材を設置したものであること、さらには梁部材の端部の軟質部材が雌ねじ構造の部材のさらに外側に配置されたものであることが好ましい。また突起部材がスクリューボルトであることが好ましい。
またもう一つの本発明の接合構造体の製造方法は、管状補強材によって補強された木質材料である梁部材を、突起部材によって柱部材に固定することを特徴とする。
本発明によれば、施工性に優れかつ高い接合強度を発現する木質材料の接合構造体が提供される。
参考例1の木質集成材の断面の模式図 参考例2の木質集成材の断面の模式図 実施例1の本発明の接合構造体の模式図 比較例1の接合構造体の模式図 比較例2の接合構造体の模式図 実施例3の本発明に用いる木質集成材及び接合金具の模式図 実施例3の本発明の接合構造体の模式図 実施例4の本発明の接合構造体に用いる接合金具の模式図 実施例4の本発明の接合構造体の模式図 実施例4の本発明の接合部分の模式図
本発明の接合構造体は、柱部材と梁部材とからなる接合構造体であって、梁部材が管状補強材によって補強された木質材料であり、該梁部材を突起部材によって柱部に固定することを必須とするものである。
本発明で用いられる柱部材は特に限定されるのものではなく、公知の木材等を用いることができる。具体的には、スギ、ヒノキ、カラマツ、ベイマツ、トウヒ等の建築物に用いられる公知の木材を用いることができ、ナラ、キリ、ケヤキ、カエデ、トチ、ホオ、サクラ、チーク、ラワン、スピナールなどの合板などに用いられる公知の木材も、集成材として用いる等の方法により使用することが可能である。
そして本発明の接合構造体では、梁部材として管状補強材によって補強された木質材料を用いることを必須とし、その梁部材を突起部材によって柱部に固定する接合構造体である。本発明においては梁部材に管状補強材が使用されているが、その管状補強材の内部に突起部材を挿入することにより、柱部に梁部材を容易に固定することが可能となった。
管状部材の内部には、管状部材を構成する補強材よりも強度や硬度の低い材質を充填しても良いが、本発明では作業性の観点からは管状部材が中空であることがさらに好ましい。
また管状部材は木材を補強することができれば、鉄やアルミなどの金属であってもよいが、補強繊維と樹脂からなる材料で構成されることが好ましい。木材との相性、例えば、熱膨張係数や熱伝導率、材料物性の異方性、重量などにおいて優れた効果を発揮できるからである。
さらに梁部材の端部に雌ねじ構造の部材を設置したものであることが好ましい。このような雌ねじ構造の部材は、本発明でもちいる管状補強材の内部に容易に設置することができ、接合部材の施行をより容易にすることができる。この場合突起部材としては雄ねじ、特にはスクリューボルトを用いることが好ましい。
また、梁部材の端部、柱部材と接合する面には、軟質部材を有するものであることが好ましい。特に梁部材の端部に雌ねじ構造の部材を設置したものである場合、その梁部材の端部に、軟質部材を有するものであることが好ましい。通常梁部材は柱部材と接合させる間に表面を平滑化処理されるが、本発明のように補強材、特に雌ねじ構造を有するような補強材を設置した場合、接合面には木材と補強材が混在し、効率的に平滑化処理することが困難である。しかし、その端部に軟質部材、好ましくは木材を配置することにより、平滑化処理を、従来の木質材料のみからなる梁部材を加工する時と同様のグラインダーなどにて加工することが可能となった。本発明の梁部材は管状補強材がその軟質部材のすぐ内側に配置されているために、加工性にもほとんど影響を受けない。軟質部材の厚さとしては0.5〜3mm程度が最適である。
このように本発明の接合構造体は、柱部材と梁部材とからなる接合構造体であって、梁部材が管状補強材によって補強された木質材料であり、該梁部材を突起部材によって柱部に固定することを必須とするものである。
そしてもう一つの本発明の接合構造体の製造方法は、管状補強材によって補強された木質材料である梁部材を、突起部材によって柱部材に固定する方法である。
さらにこのような本発明の接合構造体を得るための好ましい木質材料の結合方法としては、少なくとも1つの部材が、断面が管状形状の補強材により補強された木質材料であって、該木質材料が金属などの接合部材を介し、該木質材料の管状補強材に管状の断面形状と同断面形状の棒状部材を差し込むことによる木質材料の接合方法である。
管状形状としてはパイプ形状であることが好ましく、木質材料としては集成材であることが、また棒状部材の差し込み長としては50mm以上1,000mm以下であることが好ましい。
従来の集成材や、あるいは管状形状ではない補強材で補強された集成材を梁に用いる場合には、柱と接合する際には、接合部材の形状に合わせて、梁端部(仕口部)にスリットやボルト用の穴を加工することや、雌ネジを埋め込むことが必要であった。
それに対し本発明では、パイプ状などの管状の補強材を有する木質材料を梁に用い、その管状補強材の中心部分に棒状の接合部を差し込むだけで、容易に接合構造を安定化させることが可能である。梁となる木質材料の仕口部には、予め接合用の加工を施す必要がなくなるため、加工プロセス自体を高効率化することが可能となった。さらにこの接合方法では、建設現場での加工としては、柱背面から棒状の接合部材を差し込む工程のみに簡略化することが可能であり、工事期間の短縮および工事費用の削減の効果が有る。
さらに本発明にて好適に用いることができる棒状の接合部材について、以下に説明する。棒状の接合部材としては、管状またはパイプ形状の補強材と同形状の断面であり、中心部分または中空部分に差し込めるものであれば良く、材料等にも特に制限はない。ただし、棒状部材自体の曲げ強度も、最終的には接合強度に反映するため、強度が高く、脆性的な破壊を示さないものであることが好ましい。例えば、鉄やアルミといった金属は、十分な曲げ強度と剛性を持ち、靱性的な破壊傾向を示すため、好ましい材料の一つである。入手しやすく、任意の断面形状や長さに加工しやすい点からも、棒状部材として好ましい。あるいは棒状部材としては、繊維補強プラスチック(FRP)を用いることもできる。ただし、FRPは一般的に高強度・高剛性であるもの、脆性的な破壊を示すことが有るので、若干の工夫が必要となる。
本発明で用いる棒状部材の断面形状としては、正方形や長方形、円など管状補強材に合わせた形状であればよく、管状補強材に差し込むためには、その内寸よりも、0.5mm〜1.0mm小さくしておくことが好ましい。また、管状補強材に差し込む長さとしては、50mm以上1,000mm以下が好ましく、150mm以上500mm以下であることがさらに好ましい。差し込み長さが短すぎると、棒状部材の強度や剛性が発現されにくく、十分な接合強度が得られないだけでなく、棒状部材が抜けやすく、地震などで建物にひずみが生じたときに倒壊する恐れがある。逆に、差し込み長さを長くする場合、1,000mmより長くしてもそれほど接合強度が向上しない。したがって、あまり長くしても材料を過剰に使用するのみであって、材料費が高くなり、好ましくない傾向にある。
本発明で用いる菅状の補強材の配置としては、該補強材が梁の断面の中心点から等距離に2本または4本配置されていることが特に好ましい。接合強度の観点からは、特に少なくとも2か所以上を棒状部材にて接合することが望ましい。接合強度や回転に対する安定性から判断すれば、4本の棒状部材と4か所のパイプ補強材で接合されていることが最も望ましいものの、そこまで性能が要求されない場合には接合箇所を減らすこともでき、その場合には、梁断面の下側2か所で接合することが望ましい。これは梁断面の上側よりも下側の方が上に乗る木質部材の量が多いため、差し込んだ棒状部材にかかる力に対する反力が大きくなり、接合強度が高くなるためである。一方、梁断面の左右どちらか側2本のみによる接合は、梁の回転安定性の面からは不安定となる。
さらに接合強度を十分なものとし、棒状部材の抜け落ちなどを防止するためには、差し込む棒状部材と管状補強材の内面を、接着剤で接着一体化することが好ましい。接着剤の種類は棒状部材と管状補強材の材質によって、任意に選択することが可能である。
また、管状補強材を繊維補強プラスチック(FRP)とする場合には、性能とコストとのバランスを加味した場合、一方向に引き揃えたUD基材を用いることが好ましい。さらに接合方法に関しては、補強繊維の引き揃え方向と角度を有し、例えば90°の向きに、さらに追加して補強繊維を配置することが好ましい。本発明の接合部材では、管状補強材の中心部分に棒状部材を差し込むため、その部分的な補強として、パイプ補強材の外周または内周の少なくともどちらかに、集成材の木質繊維や補強繊維の引き揃え方向と角度を有する補強繊維が追加配置されていることは、棒状部材がパイプ補強材を押し上げる力を抑制する効果があるため、特に好ましい。追加して補強に用いられる繊維は、管状補強材を形成する補強繊維と同じであっても異なっていてもよく、UD基材だけでなく、織物なども用いることができる。柱背面より挿入したスクリューボルト等の棒状部材が、梁などの貫通孔に配置した接合金具等を押し上げることにより、周囲の木部が割裂することが有るが、このように梁貫通孔に配置する接合金具の外側に繊維補強材料を配置することにより、当該材料と木部とで支える応力を分担し、結果として木部割裂を抑制し、接合強度を向上させることが可能となる。
さらに、本発明の接合方法は、既存の木造建築で使用される金物を併用することも好ましい。例えば、梁の下部を受けるためにL字型の受け金物などを使用すると、建築時に柱間に梁を落とし込み、L字型金物上に置くことで梁と柱の位置を固定することができて効率的であり、かつL字型金物の強度分、接合強度もさらに向上することができるため、有用である。
さて本発明の接合構造体は、上記のように柱部材と梁部材とからなる接合構造体であって、その一方の構成要素の梁部材が管状補強材によって補強された木質材料なのであるが、この梁部材に適切な木質材料について、さらに詳細な説明を以下に記す。
本発明にて用いられる木質材料としては、管状補強材と木材とからなる集成材であることが好ましい。さらには管状補強材としては繊維補強された管状補強材であることが好ましい。
そして特に好ましい木質材料としては、補強材と木材とが幅方向に配置されている補強ラミナと、木材のみからなる木質ラミナとからなる繊維補強木質集成材であることが好まし。
通常木質集成材は、複数の木材素材層(ラミナ)を相互に接合し集成して形成されるが、この繊維補強木質集成材では、その木材素材層(ラミナ)の1枚または複数に、補強用繊維と樹脂とからなる補強材を構成要素とする補強ラミナを用いることが好ましい。さらに補強ラミナとしてはそのような補強材と木材とが幅方向に配置されているものであることが好ましい。
そしてこの繊維補強木質集成材は、そのような補強用繊維を含有する補強ラミナと木材のみからなる木質ラミナとが、幅方向と垂直な方向に積層しているものであることが好ましい。ラミナ層は通常、幅と長さの広がりをもつ板状の物であるが、ここではそのような幅方向、長さ方向と垂直な方向に、積層した集成材として用いることが好ましい。
好ましい木質集成材としては、補強材を構成要素とする補強ラミナと木質ラミナからなるものである。そして補強材は、補強ラミナを構成する一構成要素であるが、補強用繊維と樹脂とからなり、より具体的には、エポキシ樹脂やビニルエステル樹脂、フェノール樹脂等の樹脂と、補強用の繊維とからなる繊維強化樹脂(FRP)であることが好ましい。熱膨張係数や熱伝導率、材料物性の異方性、重量などにおいて優れるからである。
補強材に含有される補強用繊維としては、木材の補強に適した強度を有する強化繊維を用いることができるが、その補強用繊維の融点またはガラス転移温度としては、200℃以上である有機繊維または無機繊維であることが好ましい。さらに繊維が有機材料の場合、それらの融点またはガラス転移温度は200℃以上、さらに好ましくは250℃以上であることが好ましい。本発明の繊維補強木質集成材は、その主要用途が建物を成り立たせるための部材であるが故、火災時においても強度低下が起こらないことが好ましい。
補強用繊維としては、具体的には例えば、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサザール繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリイミド繊維、四フッ化エチレン繊維、ガラス繊維などであることが好ましい。特には補強用繊維(強化繊維)としては炭素繊維、ガラス繊維または芳香族ポリアミド繊維であることが好ましい。また、これらの強化繊維はそれらの単独または2種類以上を複合して用いてもよい。
そしてこのような補強用繊維の中でも、本発明においては炭素繊維を補強用繊維として用いることが好ましい。中でもポリアクリロニトリル系繊維を焼成して得られるアクリルニトリル系の炭素繊維であることが最も好ましい。さらに、窒素含有量が0.1〜15重量%であることや、引張り強度が2500〜7000MPaであること、弾性率が150〜700GPaである炭素繊維であることが好ましい。特には、窒素含有量3〜10重量%を有する3500MPa以上の引張り強度と200〜350GPaの弾性率を有する直径5から9ミクロン(μm)の炭素繊維であることが、接着性の観点からも最適である。また、このような炭素繊維表面におけるESCA表面分析装置(島津製作所製)による表面の酸素/炭素比率としては、0.1/1〜0.3/1であることが好ましい。さらには0.15/1〜0.25/1の範囲であることが、樹脂との接着強度を高く確保する点からも好ましい。
また用いる補強用繊維は、その繊維直径としては5〜9μmであることが好ましいが、さらに繊維束であることが好ましい。繊維束としては、構成本数が1000〜300000本からなる繊維束(ストランド)であることが好ましい。さらに補強用繊維が繊維束である場合には、繊維束を所望分集束し、または、所望の形状に拡幅して使用することが好ましい。
この木質集成材は、このような補強用繊維が樹脂とともに補強材を構成することが好ましいが、その補強材中における繊維の形態としては、一方向に繊維を引き揃えたUD基材やその2方向以上の組合せ、織物、不織布など様々な形態が採用可能であって、必要とする強度に応じて設計することができる。但し実際の性能とコストとのバランスを加味した場合、一方向に引き揃えたUD基材として用いることが特に好ましい。特にはUD基材としては、引張強度や引張弾性率が高く、かつ耐熱性が高い炭素繊維を一方向に引き揃えたUD基材を用いることが好ましい。
そして補強材に用いられる樹脂としては、繊維補強複合材料のマトリックス樹脂となるものであれば特に制限はないが、特には熱硬化性樹脂であることが好ましい。熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂などを好ましくは挙げることができる。中でも物性のバランスの観点からはエポキシ樹脂であることが、木質系シートや最終的な木材との接着性や耐熱性の観点からはフェノール樹脂であることが好ましい。
このような補強用繊維と樹脂は、補強材を構成するのであるが、補強用繊維は補強材の長さ方向に配向したものであることが好ましい。そして、補強用繊維が連続繊維であることが好ましい。そのような繊維形態をもちいることによって、繊維による補強効果を、より効果的に発揮することが可能となる。さらに補強材における繊維と樹脂の体積分率としては40/60〜60/40の範囲であることが好ましい。また、補強用繊維の補強材における存在密度は、その長さ方向の断面において10,000〜18,000本/mmの範囲に有ることが好ましい。
このような補強材は、特に他の部材(例えば柱部材等)との接合強度を向上させるためには、補強材の圧縮強度が100N/mm以上5,000N/mm以下であることが好ましい。より好ましくは500N/mm以上4,500N/mm以下、さらには1000N/mm以上4,000N/mm以下であることが好ましい。圧縮強度が低い場合は厚さを厚くする必要が生じる懸念があり、圧縮強度が高すぎる場合は、他の部材の強度が不足し、特に接合部分での材破壊形状をコントロールするために、他の部材の強度を過剰にする必要が生じる懸念がある。全体としてコスト高になってしまう傾向にあるのである。
また補強用繊維が補強材の周辺部に主に配置されたものであることが好ましい。特に補強用繊維が補強材の周辺部に主に配置された管状であることが好ましい。補強材の周辺部に繊維が配置されたことにより、木質集成材における補強材の補強効果を向上させることができ、ここで周辺部とは管状補強材の外周部1/3の範囲をいい、特には1/5の範囲に有ることが好ましい。
ところで、本発明の梁部材においては、補強材が管状(パイプ形状)であることを必須とするが、それにより同じ補強性を確保する際に、補強材の壁の厚さをコントロールすることによって、容易に繊維含有量等の調整が可能となる。中空断面とすることで、中空の外壁を形成する層の肉厚により、補強材に必要な物性を最適にコントロールすることが可能となり、過剰に補強繊維や樹脂を使用することを避けられ、補強材の重量を軽くすることも可能となる。さらに管状とすることで、補強材全体の厚さを、ラミナ1枚ないしは2枚に相当する厚さに容易に調整が可能となる。ラミナの整数倍に相当する厚さ補強材を揃えると、同一面内で補強材とラミナの他の部分を構成する木材とを横並びに加工することができ、加工性に優れた面一の補強ラミナを、容易に得ることが可能となる。接着ラミナや集成材を得るために必要な加工工程を、大幅に減少させることができるのである。
また本発明で用いる菅状の補強材の形状としては、矩形であることも好ましい。補強材を補強ラミナとして用いる場合は、補強材と木材とが幅方向に配置されているのであるが、補強材が矩形であることにより、一般的な矩形の木材と組み合わせて、容易に平滑な板状の補強ラミナを形成することが可能となる。このようにすることにより応力集中が起こりにくくなって集成材の物性が向上するのみならず、その製造工程においても作業性に優れた集成材が得られる。例えば補強材の断面が円形(全体として円柱形状)の場合、左右上下に配置された木質材料からなる他のラミナとの間に隙間ができやすく、ラミナとの接着が線となり、接着力が低下する傾向にある。補強材の特に好ましい断面形状は、正方形または長方形の中空矩形であることである。
補強材が矩形である場合、その断面の寸法としては短辺の外寸が10mm以上50mm以下、長辺の外寸が10mm以上500mm以下であることが好ましい。さらには、短辺の外寸が15mm以上45mm以下、長辺の外寸が15mm以上400mm以下であることが好ましく、短辺が集成材を構成する補強ラミナの厚さに相当することが好ましい。また補強材の長辺は、集成材の幅方向に用いることが好ましい。短辺は集成材を構成する他の接着ラミナ以外の木質ラミナの整数倍、例えば1ないしは2枚の厚さに相当することで、同一面内で補強材と木材からなる補強ラミナを他の木質ラミナと横並びに加工することが可能となり、加工性や、接着性が向上する。
このような補強材が矩形の中空である場合、その補強材の各辺の厚さは1mm以上30mm以下であることが好ましい。さらには、2mm以上25mm以下であることが好ましい。厚さが薄すぎると、曲げ方向の加力があった場合に、中空補強材の縦辺においては座屈破壊を起こしてしまう可能性もあり、十分な補強効果が得られないことがある。一方、厚すぎると、補強材を成形する際に、内部の樹脂が十分に硬化できない懸念が増え、曲げ方向の加力があった場合に、補強材内でのせん断破壊が起凝りやすくなる懸念が有る。この傾向は集成材を梁として用いる場合に特に顕著である。
さらに、補強材が矩形の中空構造である場合の補強材の壁の厚さに関しては、少なくとも一方の長辺(横辺)の厚さが短辺(縦辺)や残りの長辺(横辺)のいずれかよりも厚いことが好ましい。より具体的な数値としては、集成材の中心点から遠い方の横方向の1辺(横辺)の厚さが1〜30mmの範囲であり、厚さ方向の1辺(縦辺)や残りの長辺(横辺)の厚さが、1〜10mmであることが好ましい。あるいは、横辺が縦辺よりも厚いことや、中心点から遠い方の横方向の1辺(横辺)の厚さが、他よりも厚いことが好ましい。
例えば本発明の集成材を梁部材として用いた場合の、梁上部に位置する補強材の各辺を例にすると、短辺(縦辺)を3mm厚とした場合に、長辺(横辺)の内、中心から近い辺は同じく3mm厚とするが、中心から遠い辺は5mmとするなどの構成とすることが好ましい。集成材の中心点からより遠い方の長辺(横辺)の厚さを厚くすることで、より補強効果を効率的に発揮することが可能となる。ただし、厚くする程度は他の辺の厚さに対し、+10mm以下の範囲であることが好ましい。厚すぎる場合には、補強材の成形時または集成材内に配置するまでの間に、補強材が厚い辺の方向に沿りやすくなる傾向にある。補強材の形状保持に影響が出ない範囲で、この厚さを変更することが好ましい。
このような補強材は、他の木材と一体化されることにより、補強ラミナを構成して用いることが好ましい。用いる接着剤はエポキシ系接着剤やアクリル系接着剤など木材と樹脂を接着できるものであれば、任意に用いることができる。ここで集成材への一体化を考えると、集成材作製に使用される水溶性高分子−イソシアネート系接着剤やレゾルシノール系接着剤を使用することが、プロセスコストを低減するためにも好ましい。接着方法は、接着剤の反応に合わせて選定することが可能であり、常温でプレスしてもよいが、高周波で短時間に接着する方法が、プロセスコストを低減できる観点からは特に好ましい。また、より接着効果を高めるために、補強材の表面に凹凸をつけて、接着面積を高くしておくことも有用である。
さらに強固な接着強度を得るために、補強材の少なくとも1辺にあらかじめ樹脂が含浸された木質系シートを配置するものであることも好ましい。ここで木質系シートとは、スライスされた木材及び/または木質パルプと熱硬化性樹脂とからなるものである。好ましくは、さらにその熱硬化性樹脂の硬化度が40%以上90%以下の範囲であることが好ましい。
本発明にて好ましく用いられる木質系シートについて、さらにその詳細を以下に述べる。ここで木質系シートとは、スライスされた木材及び/または木質パルプを必須成分として含み、さらに熱硬化性樹脂を含むものである。
本発明にて用いることができる木質系シートとしては、特に多孔質構造を有するシートを選択することが好ましい。接着剤が孔内に浸透し、アンカー効果が発揮されやすくなり、接着性能が向上するからである。このような木質系シートには、より具体的には、ダオ、ナラ、パーチ、ビーチ、檜、杉、桜、メープル、チークなどの公知の天然木材をスライサーを用いて造られるもの、および木質系のパルプを用いた公知の紙、不織布などの薄板、あるいは繊維シートであることが好ましい。木質系シートの厚みは0.01〜0.3mmが好ましい。厚みが薄すぎる場合はシート性が乏しくなって取扱いが困難になる傾向にある。一方、厚すぎる場合は柔軟性が低下するため後加工性が悪くなる傾向にある。
またこのような木質系シートは、上記の木材やパルプに加えて、熱硬化性樹脂を含有するのであるが。熱硬化性の樹脂としては、具体的にはフェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、クロルフェノール、ブロモフェノールの如きフェノール水酸基を1個有するフェノール類あるいはオリゴマーおよびレゾルシン、ハイドロキノン、カテコール、フロログリシノールなどフェノール性水酸基を2個以上有するフェノール類と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサンの如きアルデヒド類とをフェノール類/アルデヒド類=2/1〜1/3、好ましくは5/4〜2/5のモル比で、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムの如きアルカリ触媒の存在下でメチロール化して得られる公知のレゾール型フェノール樹脂(フェノールホルムアルデヒド類初期付加縮合樹脂)およびレゾルシノール樹脂であることが好ましい。さらに好ましくは、高速液体クロマトグラフ(HPLC)によるポリスチレン換算の数平均分子量が120〜2000のものが好ましく、特には150〜500のものが好ましい。また、25℃における粘度が3〜150ポイズに調整した樹脂であることが好ましい。
さらに木質系シートにおいて熱硬化性樹脂と共に用いる硬化剤としては、レゾルシノール樹脂、レゾール型系フェノール樹脂などの硬化剤として用いられている公知のものが用いられ、特にはパラホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、トリオキサン、の如く当該樹脂と混合しペースト状あるいは液状なるものであることが好ましい。さらに硬化触媒として、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フェノールスルホン酸などの当該樹脂と混合して液状に溶解するものを用いることが好ましい。
本発明に好ましく用いられる補強材の表面に存在することがある木質系シート中の熱硬化性樹脂の硬化度としては、40〜90%の範囲にあることが好ましい。特に補強材を他のラミナを構成する木材と接着時する際に、木質系シート中の熱硬化性樹脂の硬化度をこの範囲内に制御することにより、高周波接着に特に適した状態となる。熱硬化性樹脂の硬化度が高すぎると、木材用接着剤との反応による化学結合が形成されにくく、木材―補強材界面の接着力が低下する。一方、硬化度が低すぎるとシート自体の強度が弱くなり、木質系シート部分が破れ、被着体の木材と補強材の界面にて、乖離する懸念が高くなる。
また樹脂量が低すぎると木材との接着性に劣り、高すぎると強化繊維から樹脂が落下するなど、取扱性が低下する傾向にある。その観点からは樹脂量は30〜90重量%、特には40〜60重量%の範囲が好ましい。さらに、使用する樹脂の25℃における粘度が3〜150ポイズの範囲であることが好ましい。粘度が低すぎる場合は補強用繊維から樹脂が落下し易く、逆に高すぎる場合は、補強用繊維への樹脂の含浸性が劣る傾向にある。このような樹脂の粘度の調整方法としては、水を添加して粘度を下げることも可能である。
本発明にて、繊維補強木質集成材を用いる場合は、上記のような補強用繊維と樹脂とからなり、必要に応じその表面に木質シートが配置された補強材と、木材とからなるものであることが好ましい。そして補強材は、その補強材と他の木材とが幅方向に配置されている補強ラミナを構成し、木材のみからなる木質ラミナと、その補強ラミナとが、幅方向と垂直な方向に積層している集成材である。
補強ラミナの補強材以外を構成する木材や、木質ラミナを構成する木材としては、スギ、ヒノキ、カラマツ、ベイマツ、トウヒ等の建築物に用いられる公知の木材や、ナラ、キリ、ケヤキ、カエデ、トチ、ホオ、サクラ、チーク、ラワン、スピナールなどの合板などに用いられる公知の木材がいずれも使用できる。
また本発明で用いられる木質部材においては、その管状補強材の配置として、その部材の断面の中心から等距離の位置に複数本配置されたものであることや、補強材が部材の中心に対し、点対称にて複数本配置されたものであることが好ましい。特には梁部材断面の中心点から等距離に2本または4本配置されたものであることが好ましい。
このように梁部材断面の中心点から等距離に上下対象となるように配置することより、梁部材の剛性をより向上させることができる。さらには断面二次モーメントの観点から極力梁部材の上面と下面に近い位置に配置することが好ましく、より補強効果を向上させることができる。ことに梁として用いる場合に効果的である。
補強材は梁部材の最外層(上面と下面)に配置されてもよいが、梁の上方または下方から補強材が見えないように、最外層からラミナ一層分以上、内側に設置することが好ましい。補強材の使用する本数は必要に応じ設計することができ、梁部材断面の中心点から上方に1本、下方に1本の合計2本であってもよいが、上方/下方のそれぞれを同一面内で左右に分割して配置することが好ましい。例えばより具体的には、梁部材断面の中心点から上方に2本、下方に2本をそれぞれ左右に分割し、合計4本であることが好ましい。特にこのように梁部材断面における4つ角に中空形状の補強材を配置した場合、梁上面からくぎやボルトを使用できるスペース(補強材がなく、木材のみで成形されている場所)をより大きく確保できるため、梁使用を考えた場合、より好ましい形状となる。
また梁部材の上下左右の表面は平滑であることが好ましい。本発明では、モルダー等にて梁部材の上下面や、長さ方向左右の積層断面を表面切削処理し、平滑な部材の表面を形成することが可能となる。通常木材を他の材質にて補強した場合、その他の材質が表面に露出し平滑化処理が困難であったが、本発明では強化材が梁部材の内部に配置されるため、容易に平滑面を得ることが可能である。
さらに梁部材の長さ方向の端部には軟質性材料が配置されていることが好ましい。このような軟質性材料が長さ方向の端部に配置されていることにより、モルダー等にて積層断面を表面切削処理し、平滑な部材の表面を形成することが可能となる。通常木材を補強した場合、その素材が表面に露出し平滑化処理が困難となるが、本発明では強化材が梁部材の内部に配置されるため、その長さ方向の端面のみに軟質性材料を配置することにより、容易にすべての面において平滑面を得ることが可能となる。軟質性材料としては通常の繊維補強されていない樹脂でも良いが、木材であることがより好ましい。
そしてこのような本発明にて用いられる梁部材の大きさとしては、その長さ方向が2,850〜18,000mm、幅方向が105〜240mm、厚さ方向が120〜2,000mmの範囲であることが一般的である。
本発明にて好ましく用いられる梁部材は、上記のような補強材と木材とが幅方向に配置されている補強ラミナと、木材のみからなる木質ラミナとからなり、補強ラミナを構成する補強材が補強用繊維と樹脂とからなるものであり、補強ラミナと木質ラミナとが幅方向と垂直な方向に積層しているものであることが好ましい。
そしてこのような梁部材は、補強材と木材とが幅方向に配置されている補強ラミナと、木材のみからなる木質ラミナとからなり、補強ラミナを構成する補強材が補強用繊維と樹脂であり、補強ラミナと木質ラミナとを幅方向と垂直な方向に積層して接着処理することによって得ることが可能である。
本発明の接合構造体は、上記のように柱部材と梁部材とからなる接合構造体であって、梁部材が管状補強材によって補強された木質材料であり、該梁部材を突起部材によって柱部に固定することを必須とするものなのである。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り下記実施例に限定されるものではない。各種物性は下記方法にて測定した。
(1)補強材の圧縮強度
繊維補強された補強材から、幅10mm、長さ50mm、厚さ3mmの測定用試料を切り出した。ステンレス製長さ2mm、幅4mmの圧縮端子を補強材の長さ方向に直交する向きで上から置き、圧縮速度0.5mm/分で圧縮し、試料が破壊された時の最大荷重(N)を測定した。
(2)せん断接着応力度
得られた集成材から、サンプルとして幅25mm、長さ30mm、厚み60mm(木質ラミナ―補強ラミナ各1層、計2層分)を切り出し、補強ラミナ側を固定し木質ラミナ側を木目方向に沿って小口面上から圧縮力を印加することで、主にサンプルの接着面をせん断破壊させた。せん断破壊時の荷重を接着面積(25mm×30mm)で除することでせん断接着応力度を算出した。
(3)曲げ弾性率および曲げ強度
集成材の曲げ弾性率および曲げ強度は、JAS Z2101に準じて測定した。すなわち、支点間距離は梁成の18倍とし、支点間距離を3等分する箇所それぞれに荷重を印加する4点曲げ試験を実施した。
曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ以下式にて算出した。
曲げ強度(1):
曲げ弾性率(2):
ただし、
P:最大荷重
L:支点間距離
L1:荷重点間距離
b:試験体幅
h:試験体厚み(梁成)
ΔF:最大荷重の10%−最大荷重の40%間の荷重増分
Δy:ΔFに対応するたわみ増分
である。
(4)接合部の降伏耐力
接合構造体梁部材の接合部の降伏耐力として、2本の柱及び1本の梁をH型に接合させた接合体を準備し、めり込み防止用のH鋼を介して梁部分に一定のひずみ速度(1.0mm/s)で荷重が最大荷重の80%未満に低下するまで圧縮荷重を印加し、得られた荷重―ひずみ曲線から接合部の降伏耐力(kN)を得た。
(参考例1)
管状(中空パイプ形状)の補強材として、補強繊維に炭素繊維(東邦テナックス株式会社製、アクリルニトリル系炭素繊維「HTS40、24K」、直径7μm)を用いたマトリックス樹脂がビニルエステル樹脂(硬化温度110−150℃、硬化所要時間5−10min)である引抜成形材を作製した。この補強材における補強繊維とマトリックス樹脂の体積比率は60/40であり、断面における炭素繊維の存在密度は15000本/mmの密度であった。さらに引抜成形時に、補強材表面の全面に木質シート(フェノール樹脂含浸紙、目付280g/m、厚み0.3mm、樹脂含浸率:50−60wt%)を一体化した。そして木質シートの樹脂硬化度は85%になるように調整した。得られた補強材の断面形状は中空な正方形(矩形)であって、外寸は30mm×30mm、厚さは全辺均一で3mmとした(内径24mm角)。
上記の補強材2本の両端に、厚さ30mm、幅15mmの木材2本を、補強材の間に厚さ30mm、幅30mmの木材1本を配置し、接着ラミナとした。また厚さ各30mmの木質ラミナを5枚と、接着ラミナ2枚とを用いて、繊維補強木質集成材を作成した。
すなわち上記の管状の補強材を断面が幅120mm×高さ210mmの集成材の上限面からラミナ1枚分(30mm)内側に、左右対称となるように2本(集成材の両側面から15mm内側)、計4本を配置した繊維補強木質集成材を得た。木材の種類としてはスギ(E65−F225)を用い、スギとスギおよびスギと補強材の接着は、レゾルシノール系接着剤(オーシカ化学株式会社製、D300/DL880を100:30重量部で混合したもの。レゾルシノール・フェノール・ホルムアルデヒド重縮合物を45〜60重量部、フェノールを5〜10重量部、レゾルシノールを5〜10重量部、非晶質シリカ含有量は0.8重量部以下)を使用した。接着剤の塗布量は125g/mであった。
木質ラミナと、接着ラミナとを積層し、積層方向、横方向からプレス処理(プレス圧73.5kPa[7.5kgf/cm]、プレス時間5分間)するとともに、積層の横方向から高周波効率0.2〜0.8W/cm(高周波出力/接着剤塗布面積)の条件にて高周波プレス処理を行い、集成材の積層面及び積層面と直交する面をモルダーにより表面切削処理し、平滑面を得るとともに寸法を調整した。作製した繊維補強木質集成材の断面図を図1に、得られた物性を表1に示す。なお構造用集成材のJAS規格に基づき、ブロックせん断試験を実施し、スギと補強材の接着強度が6.3MPaであることを確認した(ちなみにスギ集成材の接着強度に関する規格は5.4MPa以上である)。
(参考例2)
参考例1で用いた補強材の各辺の厚さを短辺(縦辺)2mm、長辺(横辺)を、集成材断面の中心に近い方を3mm、遠い方を5mmとしたこと以外は、参考例1と同様繊維補強木質集成材を作製した。作製した集成材の断面図を図2に、得られた物性を表1に併せて示す。なおスギと補強材の接着強度は6.1MPaであった。
(参考例3)
参考例1で用いた補強ラミナの配置を、上、下面から各ラミナ1枚分(30mm)内側への配置から、上面からラミナ2枚分(60mm)内側と下側からラミナ1枚分(30mm)内側に変更した以外は、参考例1と同様繊維補強木質集成材を作製した。作製した集成材の断面図を図3に示す。なおスギと補強材の接着強度は6.3MPaであった。
(参考例4)
補強材を使用せず、厚さ30mmの木質ラミナのみを用いて、幅120mm×高さ210mmの断面であるスギの集成材を得た。このスギとスギの接着強度は5.8MPaであった。得られた集成材の曲げ試験結果を表1に併せて示す。
(実施例1)
参考例3で得られた繊維補強木質集成材を980mmの梁用の部材とした。そして梁部材の両側に120mm×120mmの断面で長さが750mmの柱を接合した。接合箇所は柱の長さ方向の中心部分であった。
接合方法としては、梁となる繊維補強木質集成材の断面にある中空部(内寸:24mm×24mm)4か所に相当する柱の部分に、23mm×23mmの角穴を4か所あけ、その角穴に鉄製(SS400)の棒状部材(断面は23mm×23mmである)を差し込んだ。棒状部材の長さは300mmであり、梁への差し込み長さは180mmであった。
作製したH型接合試験体の概要図と断面図を「図3」に示す。
得られた試験体の梁中心部分を加圧し、接合部のせん断強度を測定したところ、降伏点のせん断強度は83kNであった。
(実施例2)
実施例1の繊維補強木質集成材と鉄製(SS400)の棒状部材との接着に、変性アクリル樹脂接着剤(セメダイン社製 メタルロック)を用いたこと以外は実施例1と同様に、繊維補強木質集成材と柱材とからH型接合試験体を作製した。得られた試験体の梁中心部分を加圧し、接合部のせん断強度を測定したところ、降伏点のせん断強度は100kNであった。
(比較例1)
実施例1の繊維補強木質集成材と同じ部分に中空部が存在する木材のみからなる集成材を用意した。その木材のみからなる集成材を用いたこと以外は実施例1と同様に集成材と柱材とからH型接合試験体を作製した。作製した接合試験体の概要図と断面図を図4に示す。得られた試験体の梁中心部分を加圧し、接合部のせん断強度を測定したところ、降伏点のせん断強度は35kNであった。
(比較例2)
参考例4で使用した繊維補強や中空部が存在しない既存の集成材(120mm×210mm)を用い、通常のプレート−ピン接合を行った。プレート、ピンともに鉄製(SS400)であり、プレートは5mm厚とし、梁側に200mmスリットを入れて差し込んだ。プレートはφ16のボルト4本で柱に固定し、梁側面からφ12のピン2本を打ち込んだ。作製した接合試験体の概要図と断面図を図5に示す。
集成材の端部にはプレートを設置するためのスリット加工、ボルトの頭があたらないようにするためのざぐり、ピン用の穴加工をあらかじめ行い、組立作業時もプレートを柱にボルト固定し、さらにピンを打ち込んで梁を接合した。本発明の繊維補強木質集成材を用いた場合と異なり、作業の準備や実作業に、多くの時間が必要であった。なお得られた試験体の梁中心部分を加圧し、接合部のせん断強度を測定したところ、降伏点のせん断強度は106kNであった。
(実施例3)
参考例1で用いた中空な正方形の繊維樹脂複合体を補強材(外寸は30mm角、内径は24mm角)として用いた。この補強材料の圧縮強度は3700N/mmであった。そして補強材と木材とからなる厚さ30mmの接着ラミナを用意した。この接着ラミナと同じく厚さ30mmの木質ラミナを用いて、幅120mm×梁成210mm、長さ982mmの繊維補強木質集成材を得て、梁部材とした。補強繊維と樹脂からなる補強材は上下、左右が梁材の外側から30mmの位置の4隅に配置された。補強材間の距離は30mmであった(図6)。
繊維補強材料のマトリックス樹脂はビニルエステル系樹脂を用い、他の木質材料との接着には水性高分子−イソシアネート系接着剤(エチレン・酢酸ビニル共重合体を30〜50重量部、スチレン・ブタジエン共重合体を5〜15重量部含有する)を用いた繊維補強木質集成材であった。
一方、柱部材としては2本(150mm×150mm、長さ750mm)用意した。梁、柱共に樹種はスギ(E65−F225)を用いた。
接合金具として、柱側面に図6のような階段状の段差が存在し、梁側面に梁の中空部に対応する23mm角の角柱状の鉄鋼(長さ300mm)が4本突き出ているものを用意した。柱側面の階段状の段差は、高さ方向では幅の変わらない直方体であって、順に幅の小さい、しかし長さ同一の直方体が3段重なった物であった。
接合方法としては、柱部材に接合金具の階段状の段差と同じ穴を加工し、梁部材に接合金具を取り付け、その接合金具の梁と反対側の階段状の突起を、柱部材の穴に組み合わせた(図7参照)。
接合構造体の接合部材種数は1つ、接合構造体サンプル組立にかかる時間は30分/1セット、さらに梁部材の小口面プレカット加工は不要であって、非常に施工性に優れた材料であった。またこの接合構造体梁部材の降伏耐力(kN)は82.4kNであった。
(実施例4)
実施例3と同じく、参考例1の繊維補強木質集成材からなる梁部材を用意した。但し開口部を有する梁部材小口面には、さらに雌ネジ付きの接合金具(図8参照)を設置した。雌ネジの径は16mmであった。
柱部材に16mm径の貫通孔を空け、柱の背面から梁部材小口面に配置した接合金具の雌ネジ部分へと、16mm径のスクリューボルトを1小口面当たり4本挿入し、ボルトを回して柱―梁部材を接合した(図9、図10参照)。
接合構造体の接合部材種数は1つ、接合構造体サンプル組立にかかる時間は10分/1セット、さらに梁部材の小口面プレカット加工は不要であって、実施例6よりも汎用的な工具で施工でき、さらに施工性にも優れた材料であった。またこの接合構造体梁部材の降伏耐力(kN)は64.8kNであった。
(比較例3)
実施例3及び4で用いた参考例1の開口部を有する集成材に代えて、通常の幅120mm×梁成210mm、長さ982mmの集成材を、梁部材として準備した。また柱部材としては実施例3及び4と同じ、2本の柱部材(150mm×150mm、長さ750mm)を用意した。
まず梁部材を接合する準備として、柱部材の内、梁部材と向き合う面にピン接合用金具(T字型)をボルトで固定した。ちなみに当該接合金具には梁を下部から支えるプレートがあるものを用いた。梁部材小口面の中央にスリット加工を施し、柱部材に固定したピン接合用金具の上部から落とし込んだ。梁部材の側面からM6のピンを各端部それぞれ2本ずつ打ち込み梁部材と柱部材を接合した。
接合構造体の接合部材種数はプレート、ピン、ボルトの3種類であり、接合構造体サンプル組立にかかる時間は60分/1セット、さらに梁部材の小口面プレカット加工として、ピン用の穴開け加工や、スリット加工が必要であった。接合構造体梁部材の降伏耐力(kN)こそ確保できたものの、施工性に劣る材料であった。
31 中空部を有する補強材
32 鉄製の棒状部材
41 補強材無しの中空部
51 プレート用スリット
52 ボルト頭用ざぐり
53 ピン用穴
54 ボルト
55 スリット部
56 プレート
57 ピン
61 接合金具(梁側面)
62 接合金具(柱側面)
63 梁部材(集成材)
71 柱部材
81 雌ネジ付接合金具
82 雌ネジ穴部分
91 スクリューボルト
92 柱部材
93 梁部材(貫通孔有りの集成材)
101 繊維補強樹脂(CFRP)

Claims (8)

  1. 柱部材と梁部材とからなる接合構造体であって、梁部材が管状補強材によって補強された木質材料であり、該梁部材を突起部材によって柱部に固定することを特徴とする接合構造体。
  2. 管状補強材が中空である請求項1記載の接合構造体。
  3. 管状補強材が繊維補強された樹脂からなるものである請求項1または2記載の接合構造体。
  4. 梁部材の端部に軟質性材料を有している請求項1〜3のいずれか1項記載の接合構造体。
  5. 梁部材の端部に雌ねじ構造の部材を設置したものである請求項1〜4のいずれか1項記載の接合構造体。
  6. 梁部材の端部の軟質部材が雌ねじ構造の部材のさらに外側に配置されたものである請求項5記載の接合構造体。
  7. 突起部材がスクリューボルトである請求項1〜6のいずれか1項記載の接合構造体。
  8. 管状補強材によって補強された木質材料である梁部材を、突起部材によって柱部材に固定することを特徴とする接合構造体の製造方法。
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