JP2018090917A - 踵付靴下、及びその編成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、かかる課題を鑑みてなされたものであり、踵部に膨出部を2つ設けても、前後のニードルベッドの間に編成中の膨出部が詰まらない踵部付靴下、及びその編成方法の提供を目的とする。
ここで、「コース方向」とは靴下の周方向をいい、「ウエール方向」とはコース方向に垂直な方向をいうものとする。
このように、2回の折り曲がり編成工程の間に設けた中輪状部編成工程において、踵部を編成する一方のニードルベッドと反対側の他方のニードルベッドに給糸を行うことで、直前の膨出部編成工程で編成した膨出部をニードルベッドの間から下方へ落として、ニードルベッドの間に挟まることを抑制できる。
(第1実施形態)
図1、及び図2は、本発明の第1実施形態に係る踵付靴下100を示す。踵付靴下100は、前後で一対のニードルベッドを備えた横編み機により編成され、図1に示すように、履き口部1と、レッグ部2と、踵部3と、フット部4と、5本の指袋を備えたつま先部5とを備えている。
第1膨出部下側部311と、第2膨出部下側部321は、下側から上側に向かって徐々にコース方向の編み幅を縮小させるよう編成されている。第1膨出部上側部312と、第2膨出部上側部322は、それぞれ第1膨出部下側部311と、第2膨出部下側部321の上側に連続して下側から上側に向かってコース方向の編み幅が徐々に拡大するよう設けられ、両端が、それぞれ、第1膨出部下側部311、及び第2膨出部下側部321の両端にループにより編合されて、それぞれ左右一対の第1ゴアライン313、第2ゴアライン323が形成されている。
次に、踵部3の編成方法を説明する。踵付靴下100は、つま先部5から編成してもよいし、履き口部1から編成してもよいが、ここでは、つま先部5から編成することとし、踵部3を、フット部4の編成に続けて、下輪状部34、第1膨出部31、中輪状部33、第2膨出部32、上輪状部35の順に編成する方法について説明する。
踵部3の編成は、4つのキャリアF1〜F4を用い、キャリアF1から甲側の表糸に用いる合成繊維糸を給糸し、キャリアF2から甲側の裏糸となるSCYを給糸し、キャリアF3から踵側の表糸となる綿糸を給糸し、キャリアF4から踵側の裏糸としてSCYに和紙糸を引き揃えた合糸を給糸して行う。
図3は、下輪状部34の編成図を示している。図3乃至図7の編成図において、符号Aは綿糸を表糸としSCYに和紙糸を引き揃えた合糸を裏糸とすべく連携するヤーンキャリアF3、及びF4の組(以下、キャリア組A」という。)を示し、符号Bは、合成繊維糸を表糸としSCYを裏糸とすべく連携して給糸するヤーンキャリアF1、及びF2の組(以下、「キャリア組B」という。)を示す。
また、編成方法の欄の記号●は、キャリア組Aから前側ニードルベッドFの編糸に給糸して行うニット操作(以下、「Aの前ニット」のようにいう。)を示し、記号◆、▲、▼、〇、◇、△、▽、━、は、それぞれ、Aの後ニット、Aの前タック、Aの後タック、Bの前ニット、Bの後ニット、Bの前タック、Bの後タック、及びミス操作を示す。また、工程S101,S102,…は、キャリッジの右行、又は左行の1回分を示し、右向きの矢印、及び左向きの矢印はそれぞれ、キャリッジの左行、及び右行を示す。
即ち、工程S103でキャリッジを右行させながらキャリア組Aから編糸を給糸して前側のニードルベッドFの編針aでニット(●)操作を行い、工程S104で、キャリッジを折り返して左行させ、キャリア組Aから前側のニードルベッドFの編針bでタック(▲)操作を、編針aでニット(●)操作を行って、踵側の編糸を甲側の編糸に繋ぐ繋ぎ目操作を行ったのち、工程S105でキャリッジを右行させ、キャリア組Aから給糸しながら後側のニードルベッドRの編針aから編針bbまで1針置きにニット(◆)とミス(━)を繰り返してコースC2のうち踵側下輪状部側となる半周分を編成する。
工程S105では、工程S101でミス(━)操作を行った編針c、e、g、…、aaでニット(◆)操作を行い、工程S101でニット(◆)操作を行った編針、b、d、…、bbでミス(━)操作を行い、工程S101のニット(◆)操作で形成したループと、工程S105のニット(◆)操作で形成したループとが天竺編の同じコース状に並ぶループのように1直線に並ぶ片スムース編に編成する。
尚、工程S103から工程S108において、キャリアを編成範囲から逃すために、キャリッジを転換しながら編針のミス操作を行う工程は、便宜上、省略している。
下輪状部編成工程S1に続けて、第1膨出部編成工程S2を行う。第1膨出部編成工程S2では、図4に示すように、全ての工程でキャリア組Aと後側のニードルベッドRを用いて編成を行う。まず、工程S201では、キャリッジを右行させながら、編針bをニット(◆)させたのち、編針cから編針bbまで、1針置きにニット(◆)とミス(━)を繰り返してコースC6を編成する。
続けて、工程S202では、キャリッジを折り返して左行させ、編針bbをタック(▼)させ、編針aaをニット(◆)させたのち、編針zから編針bまで、ニット(◆)とミス(━)を1針置きに繰り返してコースC7を編成する。工程S202では、工程S201でミス(━)操作を行った編針d、f、h、…、zでニット(◆)操作を行い、工程S201でニット(◆)操作を行った編針、b、d、f、…、bbでミス(━)操作を行い、コースC6のループと、コースC7のループとが天竺編の同じコース状に並ぶループのように1直線に並ぶ片スムース編に編成する。
尚、第1膨出部、及び第2膨出部では、キャリッジの往行、又は復行で編成される範囲を1コースとしていることに注意されたい。
第1膨出部編成工程S2に続けて、中輪状部編成工程S3を行う。中輪状部編成工程S3では、図5に示したように、まず、工程S301で、キャリッジを右行させながら、キャリア組Aにより後側のニードルベッドRに給糸して、編針aでタック(▼)、編針bでニット(◆)操作を行ったのち、編針cから編針bbまで1針置きにニット(◆)とミス(━)を繰り返し、工程S302と工程S303で、踵側の編糸を甲側の編糸に連結する繋ぎ目処理を行って、コースC34のうち踵側中輪状部332に含まれる半周分を編成する。続けて工程S304で、キャリッジを左端に戻したのち右行させながら、キャリア組Bにより前側のニードルベッドFに給糸して、編針aでタック(△)したのち、編針bから編針aaまで全針でニット(○)操作を行って、コースC34のうち甲側中輪状部331に含まれる半周分を編成する。こうして、工程S301から工程S304で、甲側中輪状部331から踵側中輪状部332に跨って踵部3の周囲を1周するコースC34を編成する。
中輪状部編成工程S3が完了すると、続けて第2膨出部編成工程S4を実施する。図6に示すように、第2膨出部編成工程S4でも、第1膨出部編成工程S2と同様の編成を行い、片スムース編に編成する。第2膨出部編成工程S4では、第1膨出部編成工程S2より編み幅を小さく、かつコース数を少なくして、第2膨出部の大きさが第1膨出部より小さくなるよう編成される。コースC39からコースC43が膨出部下側部321に該当し、コースC44からコースC49が膨出部上側部322に該当し、膨出部上側部322のコース方向の両端を膨出部下側部321の両端に編合することでゴアライン323が形成される
第2膨出部編成工程S4に続けて、図7に示した上輪状部編成工程S5を行う。上輪状部編成工程S5においても、下輪状部編成工程S1、及び中輪状部編成工程S3と同様に踵側上輪状部352は、Aのキャリア組を用いて片スムース編を行い、甲側上輪状部351は、Bのキャリア組を用いて天竺編を行う。
図8は、本発明の第2実施形態に係る踵付靴下200の編成方法を示している。踵付靴下200の踵部3は、甲側、踵側ともに表糸に和紙糸を用い、裏糸にSCYを用い、下輪状部編成工程2S1、第1膨出部編成工程2S2、中輪状部編成工程2S3、第2膨出部編成工程2S4編成、及び上輪状部2S5の順に編成を行う。尚、第2実施形態においても、靴下各部の符号として、第1実施形態と共通の符号を用いる。
踵部3
第1膨出部(膨出部)31
膨出部下側部311,321
膨出部上側部312,322
中輪状部33
Claims (4)
- 踵部に外側へ膨出する膨出部を備えた横編組織からなる靴下であって、
ウエール方向に並ぶ第1膨出部と第2膨出部とからなる2つの膨出部を備え、
前記膨出部は、編糸がコース方向の両端で折り返すとともに、靴下のつま先側から履き口側に向かって徐々に編み幅が縮小する膨出部下側部と、前記膨出部下側部の前記履き口側に連続して設けられ、コース方向の両端で編糸が前記膨出部下側部両端に編合されて折り返すとともにつま先側から履き口側に向かって徐々に編み幅が拡大する膨出部上側部とを備え、
第1膨出部と第2膨出部のウエール方向の間に、靴下の踵から甲に跨って輪状に形成された中輪状部を備えることを特徴とする踵付靴下。 - 前記膨出部は、各コースが、表糸に裏糸が添えられてコース方向にループとミス目を交互に並べるように設けられており、ウエール方向に隣接する2つのコースが、互いのループをコース方向に交互に並べるよう重ねられている請求項1に記載の踵付靴下。
- 前後で一対のニードルベッドを備えた横編み機の前後のニードルベッドの編針に編み糸を給糸して踵部に外側へ膨出する膨出部を備えた靴下を編成する踵付靴下の編成方法であって、
踵部を編成する踵部編成工程を備え、
前記踵部編成工程は、膨出部を編成する膨出部編成工程を少なくとも2回有し、
前記膨出部編成工程は、前後のニードルベッドのうち一方のニードルベッドを用いて給糸方向を折返しながら、かつ、徐々に給糸する編針の数を減らしながら、膨出部下側部を編成する膨出部下側部編成工程と、前記膨出部下側部編成工程に続けて、給糸方向を折返しながら、かつ、徐々に給糸する編針の数を増やしながら前記膨出部下側部に両端が編合するように膨出部上側部を編成する膨出部上側部編成工程と、を含み、
前記2回の膨出部編成工程の間に、前後のニードルベッドの編針に給糸して、靴下の踵側から甲側に輪状に跨る中輪状部を編成する中輪状部編成コースを備えることを特徴とする踵付靴下の編成方法。 - 前記膨出部編成工程において、表糸に裏糸を添えて、ニットとミスを交互に繰り返すように、かつ、直前に編成したコースのミスした編針でニットするようにして各コースを編成する請求項3に記載の踵付靴下の編成方法。
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