JP2018090424A - 低炭素型地中構造物用プレキャスト部材 - Google Patents
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Abstract
Description
水結合材比(W/B)が18.0%以上50.0%以下であり、
前記スラグ微粉末100重量部に対して、前記消石灰を5重量部以上10重量部以下含むことを特徴とする地中構造物用プレキャスト部材。
2.前記結合材として普通ポルトランドセメントを含み、
前記スラグ微粉末100重量部に対して、前記普通ポルトランドセメントを0.01重量部以上30重量部以下含むことを特徴とする1.に記載の地中構造物用プレキャスト部材。
3.前記結合材として膨張材を含み、
前記スラグ微粉末100重量部に対して、前記膨張材を0.01重量部以上7重量部以下含むことを特徴とする1.または2.に記載の地中構造物用プレキャスト部材。
4.骨材を含むことを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の地中構造物用プレキャスト部材。
5.結合材総量に対して、スラグ微粉末と消石灰とを計80重量%以上含み、水結合材比(W/B)が18.0%以上50.0%以下であり、前記スラグ微粉末100重量部に対して、前記消石灰を5重量部以上10重量部以下含む水硬性組成物を型枠内に打ち込み、
前記水硬性組成物を前記型枠とともに、30℃以上60℃以下、2時間以上10時間以下、蒸気養生することを特徴とする地中構造物用プレキャスト部材の製造方法。
製造時の二酸化炭素排出量を削減する点から、結合材総量に対するスラグ微粉末と消石灰との合計量は85重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましく、95重量%以上であることがさらに好ましい。
水結合材比(W/B)は、上記範囲内であれば特に限定されず、製造時の流動性や地中構造物用プレキャスト部材に要求される強度等に応じて適宜設計することができる。すなわち、水結合材比を調整することにより、圧縮強度20N/mm2以上60N/mm2以下の範囲の地中構造物用プレキャスト部材を製造することができる。
スラグ微粉末としては、高炉スラグ、鉄鋼スラグ、転炉スラグ、ごみ溶融スラグ、フェロニッケルスラグ、銅スラグなどの微粉末を使用することができ、フレッシュ性状や強度、耐久性を勘案して所望材料が選定される。
スラグ微粉末は、比表面積が2000cm2/g以上12000cm2/g以下のものであればとくに制限なく使用することできる。これらの中でも、比表面積が4000cm2/g以上のスラグ微粉末が好ましい。スラグ微粉末の比表面積が4000cm2/g未満の場合には、スラグ微粉末の水硬性の指標である活性度指数が低下して、スラグ微粉末の重要な役割である中期・長期強度の増加効果が得られない場合がある。スラグ微粉末の品質規格(JIS A6206)によれば、高炉スラグ微粉末3000、4000、6000、8000がある。比表面積が8000cm2/gの高炉スラグ微粉末は、活性度指数が高く、中期・長期強度のみならず早期強度も向上するため、好適に用いることができる。
スラグ微粉末は、塩基度などの化学成分もとくに限定されず、JIS R5211「高炉セメント」で使用される高炉スラグおよびJIS A6206「コンクリート用高炉スラグ微粉末」に適合するものが好ましい。
消石灰は、工業用石灰や効率良く排ガス中の酸性物質除去に用いる多孔性高比表面積消石灰などがあるが、とくに限定されない。
消石灰は、スラグ微粉末の水硬性を促すためのアルカリ刺激材の役割を果たす。消石灰は、スラグ微粉末100重量部に対して、5重量部以上10重量部以下含むことが好ましく、6重量部以上9重量部以下含むことがより好ましい。
普通ポルトランドセメント、膨張材のいずれか、または両方を配合することにより、圧縮強度を高くすることができる。ただし、配合量が多くなるほど、二酸化炭素排出量が多くなる。
水 :地下水(千葉県四街道市)
スラグ微粉末 :エスメント4000石膏添加品(エスメント関東株式会社製)
消石灰 :特号消石灰(奥多摩工業株式会社製)
膨張材 :太平洋N−EX(太平洋マテリアル株式会社製)
細骨材 :普通砂 (茨城県)表乾密度2.61g/cm3、吸水率0.79%
粗骨材 :普通砕石(茨城県)表乾密度2.65g/cm3、吸水率0.64%
混和材 :マスターグレニウム8000E(BASFジャパン株式会社製)
下記表1に示す配合(重量部)で、各材料を練り混ぜ、φ100mm×200mmの供試体をそれぞれ3個ずつ作製した。なお、表1〜3において、結合材であるスラグ微粉末、消石灰、セメント、膨張材の総重量部が100となるように表す。
養生28日後に、JIS A1108に従って、万能試験機(株式会社東京衝機製、装置名:RU−30)を用いて圧縮強度測定を行った。図1に結合材水比と圧縮強度の関係を示す。
下記表2に示す配合で、幅1350mm、弦長2386mm、厚さ200mmで、円周方向にSD345のD13を上下二段にそれぞれ6本、計12本配筋した実大プレキャスト試験体を作製した。また、JIS A1132「コンクリートの強度試験用供試体の作り方」に従って、φ100mm×200mmの圧縮試験用供試体を作成した。各供試体は、60℃2.5時間の蒸気養生を行った。実施例4、比較例1は、いずれも圧縮強度が60N/mm2程度の配合であり、比較例1の配合は、高炉セメントB種の配合である。
なお、圧縮試験用供試体の載荷試験時のコンクリートの圧縮強度は、実施例4が60.8N/mm2、比較例1が58.0N/mm2であった。
図3より、本発明の地中構造物用プレキャスト部材は、高炉セメントB種配合と圧縮強度がほぼ同じであれば、荷重−変位関係も同じ挙動を示し、同等の耐荷性を有することが確認できた。
下記表3に示す配合について、φ100mm×400mm、φ100mm×200mmの供試体をそれぞれ3個ずつ作製した。
各供試体は、20℃で2時間の前養生、35℃で8時間の蒸気養生(本養生)を行った後、水中(標準養生水槽)3日+気中(屋内20℃恒温室)で所定材齢まで放置した。
φ100mm×400mmの供試体を、促進中性化試験、凍結融解試験に、φ100mm×200mmの供試体を、圧縮強度試験、塩水浸漬試験、硫酸ナトリウム水溶液浸漬試験、硫酸浸漬試験に用いた。
実施例5〜7、比較例2で作製した供試体の圧縮強度は、それぞれ55.0、36.7、51.6、58.6(N/mm2)であり、コンクリート練上り時の空気量は、それぞれ1.5、2.3、2.3、2.2(%)であった。
JIS A1153「コンクリートの促進中性化試験方法」に従って、促進中性化試験を行った。
図4に、促進中性化試験の結果を示す。
本発明の地中構造物用プレキャスト部材は、高炉セメントB種相当の配合である比較例2に比べて中性化の進行が早かった。これは、環境配慮型配合である本発明の地中構造物用プレキャスト部材は、高炉スラグ微粉末を多く使用しており、消石灰などに由来する水酸化カルシウムが消費され、コンクリートのpHが低いためと考えられる。
JIS A1148「コンクリートの凍結融解試験方法」にしたがって、凍結融解試験を行った。
図5に凍結融解試験の結果を示す。
比較例2は、non−AEコンクリートであるのにも拘わらず、相対動弾性係数や質量に変化が見られず、高い凍結融解抵抗性を有している。
一方、本発明の地中構造物用プレキャスト部材は、60〜90サイクルまでに相対動弾性係数が60%を下回っており、また、質量はひび割れの進展に伴って最初は増加し、最終的には破断して大きく減少しており、凍結融解抵抗性が極めて低かった。これは、本実験で使用した地中構造物用プレキャスト部材がnon−AEコンクリートであるためと推測されるが、同じくnon−AEコンクリートである比較例2では著しい劣化が見られないことから、セメント硬化体の組織の影響を受けている可能性が考えられる。
JSCE−G572「浸せきによるコンクリート中の塩化物イオンの見掛けの拡散係数試験方法(案)」に従って、塩水浸漬試験を行った。
図6、7に、塩水浸漬試験の26週、52週の結果を示す。
見掛けの拡散係数は、26週で0.50〜0.67cm2/年、52週で0.33〜0.39cm2/年と同じ浸漬期間では配合による大きなきな違いは見られず、また、26週に比べて52週では見掛けの拡散係数が小さくなるが、いずれの浸漬期間でも、環境配慮型配合が高炉セメントB種配合と同程度以上の遮塩性を有していることが確かめられた。ただし、表面付近の塩化物イオン濃度は、本発明の地中構造物用プレキャスト部材の方が高炉セメントB種配合よりも低い。これは、表面付近での塩化物イオンの固定化量の違いなどが考えられる。
JIS原案「コンクリートの溶液浸漬による耐薬品性試験方法(案)」に従って、硫酸ナトリウム水溶液浸漬試験を行った。
図8に硫酸ナトリウム水溶液浸漬試験の結果を示す。
この試験では、乾燥3週+浸漬1週を1サイクルとして、乾湿を繰り返した。その結果、いずれの配合でも質量が徐々に増加する傾向が見られた。これは、コンクリート内部に硫酸ナトリウムが浸透しているためと考えられ、乾燥過程で硫酸ナトリウムの結晶化により膨張し、微細なひび割れが進展する可能性が考えられた。そのため、1、3、13サイクルで圧縮強度を測定したところ、実施例5〜7、比較例2は、それぞれ1サイクルで、61.8、44.6、60.8、68.5(N/mm2)、3サイクルで67.9、47.4、66.6、70.2(N/mm2)、13サイクルで72.9、50.1、74.6、73.0、(N/mm2)と、むしろ強度は増加しており、圧縮強度への影響は見られなかった。
日本下水道事業団「下水道コンクリート構造物の腐食抑制技術及び防食技術マニュアル」に従って、硫酸浸漬試験を行った。
図9に硫酸浸漬試験の結果を示す。
いずれの配合でも、浸漬開始から4週までは質量の減少は見られなかったが、4週以降は一定の速度で質量が減少した。また、浸漬16週後の残存断面での中性化深さはいずれも10mm程度であることから、本発明の地中構造物用プレキャスト部材の硫酸抵抗性は、高炉セメントB種配合のコンクリートと変わらないことが確かめられた。
Claims (5)
- 結合材総量に対して、スラグ微粉末と消石灰とを計80重量%以上含み、
水結合材比(W/B)が18.0%以上50.0%以下であり、
前記スラグ微粉末100重量部に対して、前記消石灰を5重量部以上10重量部以下含むことを特徴とする地中構造物用プレキャスト部材。 - 前記結合材として普通ポルトランドセメントを含み、
前記スラグ微粉末100重量部に対して、前記普通ポルトランドセメントを0.01重量部以上30重量部以下含むことを特徴とする請求項1に記載の地中構造物用プレキャスト部材。 - 前記結合材として膨張材を含み、
前記スラグ微粉末100重量部に対して、前記膨張材を0.01重量部以上7重量部以下含むことを特徴とする請求項1または2に記載の地中構造物用プレキャスト部材。 - 骨材を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の地中構造物用プレキャスト部材。
- 結合材総量に対して、スラグ微粉末と消石灰とを計80重量%以上含み、水結合材比(W/B)が18.0%以上50.0%以下であり、前記スラグ微粉末100重量部に対して、前記消石灰を5重量部以上10重量部以下含む水硬性組成物を型枠内に打ち込み、
前記水硬性組成物を前記型枠とともに、30℃以上60℃以下、2時間以上10時間以下、蒸気養生することを特徴とする地中構造物用プレキャスト部材の製造方法。
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