JP6873663B2 - 低炭素型地中構造物用プレキャスト部材 - Google Patents

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本発明は、製造時の二酸化炭素排出量が少ない地中構造物用プレキャスト部材に関する。
近年、地球温暖化対策のひとつとして、各方面において二酸化炭素排出量を抑制することが試みられている。コンクリートの分野では、製造時の二酸化炭素排出量の少ない環境配慮型セメントが提案されている。これは、1種又は2種以上のJIS R5210、R5211、R5212、R5213、R5214に規定されるセメント(ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、エコセメント)の混合物のうち20〜100%を、スラグ、フライアッシュ、シリカフューム、二水セッコウ、半水セッコウ、無水セッコウ、石灰石微粉末、消石灰、膨張材、シリカ質混合材、または、カルシウム塩やナトリウム塩に置き換えたものと同等の組成を持つ水硬性組成物である。環境配慮型セメントを用いたコンクリートを、環境配慮型のコンクリートと称する。例えば、特許文献1には、環境配慮型セメントとして、高炉スラグ微粉末と石灰石微粉末とカルシウムイオンを溶出する速度が異なる2種類以上の刺激材とからなる水硬性組成物が、特許文献2には、環境配慮型コンクリートとして、細骨材、粗骨材、石灰石微粉末、スラグ微粉末、炭酸ナトリウム、化学混和剤を主成分とするスラグ硬化組成物が提案されている。非特許文献1には、環境配慮型コンクリートとして、ポルトランドセメントの20〜80%を高炉スラグを主成分とする混和材で置き換えたコンクリートの施工例が報告されている。
環境配慮型コンクリートは、二酸化炭素排出量の削減が期待できるが、その一方で圧縮強度などの強度発現が遅れ、型枠の脱型に通常よりも長い時間を要するなどの課題もある。ここで、プレキャスト部材は、従来から型枠の早期転用を図るために、蒸気養生などの給熱養生を行って強度発現を早めている。そのため、蒸気養生により強度発現を早めるプレキャスト部材は、初期強度の発現が遅い環境配慮型コンクリートに適している。また、環境配慮型コンクリートは、凍結融解抵抗性に劣ることが知られているが、地中構造物は、年間を通じて温度が15℃〜20℃程度に保たれ、凍結するおそれがないため、環境配慮型コンクリートに適した用途である。
特開2014−148434号公報 特許第5743650号公報
陣内浩、加藤雅樹、立山香織、近藤憲二:主要構造部材を環境配慮型コンクリートで構築した建築物の実現とCO2削減効果、コンクリート工学、vol.52,No.6,pp.528−533,2014.6.
実用に耐える生産性、強度、耐久性を有する地中構造物用プレキャスト部材を提供することを課題とする。
1.結合材総量に対して、スラグ微粉末と消石灰とを計80重量%以上含み、
水結合材比(W/B)が18.0%以上50.0%以下であり、
前記スラグ微粉末100重量部に対して、前記消石灰を5重量部以上10重量部以下含むことを特徴とする地中構造物用プレキャスト部材。
2.前記結合材として普通ポルトランドセメントを含み、
前記スラグ微粉末100重量部に対して、前記普通ポルトランドセメントを0.01重量部以上30重量部以下含むことを特徴とする1.に記載の地中構造物用プレキャスト部材。
3.前記結合材として膨張材を含み、
前記スラグ微粉末100重量部に対して、前記膨張材を0.01重量部以上7重量部以下含むことを特徴とする1.または2.に記載の地中構造物用プレキャスト部材。
4.骨材を含むことを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の地中構造物用プレキャスト部材。
5.結合材総量に対して、スラグ微粉末と消石灰とを計80重量%以上含み、水結合材比(W/B)が18.0%以上50.0%以下であり、前記スラグ微粉末100重量部に対して、前記消石灰を5重量部以上10重量部以下含む水硬性組成物を型枠内に打ち込み、
前記水硬性組成物を前記型枠とともに、30℃以上60℃以下、2時間以上10時間以下、蒸気養生することを特徴とする地中構造物用プレキャスト部材の製造方法。
本発明の地中構造物用プレキャスト部材は、高炉セメントB種相当の強度を有するため、高炉セメントB種に変えて用いることができる。本発明の地中構造物用プレキャスト部材は、製造時の二酸化炭素発生量が高炉セメントB種の半分以下である。地中構造物の構築には、大量のプレキャスト部材が必要であるが、本発明の地中構造物用プレキャスト部材を用いることにより、二酸化炭素発生量を大幅に減らすことができ、環境への影響を小さくすることができる。
実験1における結合材水比(B/W)と圧縮強度の関係を示す図。 実験2における載荷実験の模式図。 実験2における載荷荷重と変位の関係を示す図。 実験3の促進中性化試験の結果を示す図。 実験3の凍結融解試験の結果を示す図。 実験3の塩水浸漬試験(26週)の結果を示す図。 実験3の塩水浸漬試験(52週)の結果を示す図。 実験3の硫酸ナトリウム水溶液浸漬試験の結果を示す図。 実験3の硫酸浸漬試験の結果を示す図。
本発明の地中構造物用プレキャスト部材は、結合材としてスラグ微粉末と消石灰とを含む環境配慮型セメントの硬化物である。本発明の地中構造物用プレキャスト部材の二酸化炭素排出量は、各材料の製造時の二酸化炭素排出原単位から算定したもので、コンクリート1mあたり100kg/m以下が好ましく、90kg/m以下がより好ましく、80kg/m以下がさらに好ましく、70kg/m以下が最も好ましい。なお、高炉セメントB種相当のコンクリート、普通ポルトランドセメントのコンクリートの二酸化炭素排出量は、それぞれ170kg/m、330kg/m程度である。
本発明の地中構造物用プレキャスト部材は、結合材総量に対してスラグ微粉末と消石灰とを計80重量%以上を含み、水結合材比(W/B)が18.0%以上50.0%以下であり、スラグ微粉末100重量部に対して、消石灰を5重量部以上10重量部以下含むことを特徴とする。
製造時の二酸化炭素排出量を削減する点から、結合材総量に対するスラグ微粉末と消石灰との合計量は85重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましく、95重量%以上であることがさらに好ましい。
水結合材比(W/B)は、上記範囲内であれば特に限定されず、製造時の流動性や地中構造物用プレキャスト部材に要求される強度等に応じて適宜設計することができる。すなわち、水結合材比を調整することにより、圧縮強度20N/mm以上60N/mm以下の範囲の地中構造物用プレキャスト部材を製造することができる。
「スラグ微粉末」
スラグ微粉末としては、高炉スラグ、鉄鋼スラグ、転炉スラグ、ごみ溶融スラグ、フェロニッケルスラグ、銅スラグなどの微粉末を使用することができ、フレッシュ性状や強度、耐久性を勘案して所望材料が選定される。
スラグ微粉末は、比表面積が2000cm/g以上12000cm/g以下のものであればとくに制限なく使用することできる。これらの中でも、比表面積が4000cm/g以上のスラグ微粉末が好ましい。スラグ微粉末の比表面積が4000cm/g未満の場合には、スラグ微粉末の水硬性の指標である活性度指数が低下して、スラグ微粉末の重要な役割である中期・長期強度の増加効果が得られない場合がある。スラグ微粉末の品質規格(JIS A6206)によれば、高炉スラグ微粉末3000、4000、6000、8000がある。比表面積が8000cm/gの高炉スラグ微粉末は、活性度指数が高く、中期・長期強度のみならず早期強度も向上するため、好適に用いることができる。
スラグ微粉末は、塩基度などの化学成分もとくに限定されず、JIS R5211「高炉セメント」で使用される高炉スラグおよびJIS A6206「コンクリート用高炉スラグ微粉末」に適合するものが好ましい。
「消石灰」
消石灰は、工業用石灰や効率良く排ガス中の酸性物質除去に用いる多孔性高比表面積消石灰などがあるが、とくに限定されない。
消石灰は、スラグ微粉末の水硬性を促すためのアルカリ刺激材の役割を果たす。消石灰は、スラグ微粉末100重量部に対して、5重量部以上10重量部以下含むことが好ましく、6重量部以上9重量部以下含むことがより好ましい。
本発明の地中構造物用プレキャスト部材は、結合材中に、普通ポルトランドセメント、膨張材のいずれか、または両方を含むことができる。ただし、製造時の二酸化炭素排出量を抑えるために、スラグ微粉末100重量部に対して、普通ポルトランドセメントは0.01重量部以上30重量部以下、膨張材は0.01重量部以上7重量部以下含むことが好ましい。
普通ポルトランドセメント、膨張材のいずれか、または両方を配合することにより、圧縮強度を高くすることができる。ただし、配合量が多くなるほど、二酸化炭素排出量が多くなる。
本発明の地中構造物用プレキャスト部材は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、AE剤、減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤、遅延剤、発泡剤、防水剤、着色剤、耐寒剤、早強剤、増粘剤等の化学混和剤や、砂利、砂、海砂、砕石、砕砂、各種スラグ骨材、重量骨材、軽量骨材、再生骨材等の細骨材および粗骨材や、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ガラス繊維、鋼繊維、炭素繊維等の添加材を含むことができる。また、本発明の地中構造物用プレキャスト部材は、モルタル、コンクリートのどちらとしても使用することができる。
本発明の地中構造物用プレキャスト部材は、地中構造物の構築に用いるものである。地中構造物としては、例えば、シールドセグメント、PC杭、水路、共同溝、ボックスカルバート、ヒューム管が挙げられる。地中構造物は、中性化が進行しにくく、凍結のおそれもないため、本発明の地中構造物用プレキャスト部材を従来のポルトランドセメント製のプレキャスト部材に置き換えることができる。地中構造物の構築には、大量のコンクリートが必要であるが、本発明の地中構造物用プレキャスト部材を用いることにより、製造時の二酸化炭素発生量を大幅に減らすことができ、環境への影響を小さくすることができる。
本発明の地中構造物用プレキャスト部材は、結合材総量に対して、スラグ微粉末と消石灰とを計80重量%以上含み、水結合材比(W/B)が18.0%以上50.0%以下であり、スラグ微粉末100重量部に対して、消石灰を5重量部以上10重量部以下含む水硬性組成物を型枠内に打ち込み、この水硬性組成物を型枠とともに、30℃以上60℃以下、2時間以上10時間以下、蒸気養生を行うことにより製作される。蒸気養生を行うことにより、製造時のひび割れの発生を抑制することができる。また、蒸気養生を行うことにより、本発明の地中構造物用プレキャスト部材の強度を高くするとともに、型枠から脱型するのに必要な強度を素早く発現することができ、製作にかかる時間を短くすることができる。さらに蒸気養生を行って得られる本発明の地中構造物用プレキャスト部材は、初期の耐久性、水密性に優れ、かつ、中長期での収縮が小さく、ひび割れの発生を抑制することができる。
以下に、本発明で使用した材料を示す。
水 :地下水(千葉県四街道市)
スラグ微粉末 :エスメント4000石膏添加品(エスメント関東株式会社製)
消石灰 :特号消石灰(奥多摩工業株式会社製)
膨張材 :太平洋N−EX(太平洋マテリアル株式会社製)
細骨材 :普通砂 (茨城県)表乾密度2.61g/cm、吸水率0.79%
粗骨材 :普通砕石(茨城県)表乾密度2.65g/cm、吸水率0.64%
混和材 :マスターグレニウム8000E(BASFジャパン株式会社製)
「実験1」結合材水比の影響
下記表1に示す配合(重量部)で、各材料を練り混ぜ、φ100mm×200mmの供試体をそれぞれ3個ずつ作製した。なお、表1〜3において、結合材であるスラグ微粉末、消石灰、セメント、膨張材の総重量部が100となるように表す。
Figure 0006873663
各供試体は、(1)20℃で2時間の前養生、35℃で8時間の蒸気養生(本養生)、水中(標準養生水槽)3日+気中(屋内20℃恒温室)24日の後養生、(2)20℃で2時間の前養生、60℃で2.5時間の蒸気養生(本養生)、水中(標準養生水槽)3日+気中(屋内20℃恒温室)24日の後養生、(3)標準水中養生28日をそれぞれ行った。
養生28日後に、JIS A1108に従って、万能試験機(株式会社東京衝機製、装置名:RU−30)を用いて圧縮強度測定を行った。図1に結合材水比と圧縮強度の関係を示す。
図1から、本発明の地中構造物用プレキャスト部材において、結合材水比(B/W)と圧縮強度とが比例関係にあることが確認できた。また、材齢28日の圧縮強度は、蒸気養生した方が、標準水中養生したものより強度が高くなり、60℃で2.5時間蒸気養生したものが最も強度が高くなった。
「実験2」構造性能の確認
下記表2に示す配合で、幅1350mm、弦長2386mm、厚さ200mmで、円周方向にSD345のD13を上下二段にそれぞれ6本、計12本配筋した実大プレキャスト試験体を作製した。また、JIS A1132「コンクリートの強度試験用供試体の作り方」に従って、φ100mm×200mmの圧縮試験用供試体を作成した。各供試体は、60℃2.5時間の蒸気養生を行った。実施例4、比較例1は、いずれも圧縮強度が60N/mm程度の配合であり、比較例1の配合は、高炉セメントB種の配合である。
Figure 0006873663
実大プレキャスト試験体には、内側中心部に600mmの間隔で接触型の変位計を表面の2箇所に取り付け、図2に示す装置を用い、載荷実験を行った。荷重と変位との関係を図3に示す。変位は、実大プレキャスト試験体供試体下面の2点の計測点での値の平均である。
なお、圧縮試験用供試体の載荷試験時のコンクリートの圧縮強度は、実施例4が60.8N/mm、比較例1が58.0N/mmであった。
実施例4の実大プレキャスト試験体の載荷実験での実測値は、ひび割れ発生荷重95kN、終局荷重212kNであった。実大プレキャスト試験体の設計荷重は34.9kN、その他の設計上の荷重は、ひび割れ発生荷重59.9kN、鉄筋降伏荷重69.7kN、終局荷重98.3kNであり、設計上の荷重を十分に上回る耐荷性が確認できた。なお、終局荷重は変位計を取り外して測定したため、図3の範囲には記載されていない。
図3より、本発明の地中構造物用プレキャスト部材は、高炉セメントB種配合と圧縮強度がほぼ同じであれば、荷重−変位関係も同じ挙動を示し、同等の耐荷性を有することが確認できた。
「実験3」耐久性試験
下記表3に示す配合について、φ100mm×400mm、φ100mm×200mmの供試体をそれぞれ3個ずつ作製した。
Figure 0006873663
実施例5、6は、それぞれ圧縮強度が60N/mm程度、40N/mm程度発現する配合として選定したものである。実施例7は、実施例5の膨張材を普通ポルトランドセメントに変えた配合である。比較例2は、上記実験2の比較例1と同じ配合であり、高炉セメントB種の配合である。
各供試体は、20℃で2時間の前養生、35℃で8時間の蒸気養生(本養生)を行った後、水中(標準養生水槽)3日+気中(屋内20℃恒温室)で所定材齢まで放置した。
φ100mm×400mmの供試体を、促進中性化試験、凍結融解試験に、φ100mm×200mmの供試体を、圧縮強度試験、塩水浸漬試験、硫酸ナトリウム水溶液浸漬試験、硫酸浸漬試験に用いた。
養生28日後に、JIS A1108に従って、万能試験機(株式会社東京衝機製、装置名:RU−30)を用いて圧縮強度測定を行った。
実施例5〜7、比較例2で作製した供試体の圧縮強度は、それぞれ55.0、36.7、51.6、58.6(N/mm)であり、コンクリート練上り時の空気量は、それぞれ1.5、2.3、2.3、2.2(%)であった。
「促進中性化試験」
JIS A1153「コンクリートの促進中性化試験方法」に従って、促進中性化試験を行った。
図4に、促進中性化試験の結果を示す。
本発明の地中構造物用プレキャスト部材は、高炉セメントB種相当の配合である比較例2に比べて中性化の進行が早かった。これは、環境配慮型配合である本発明の地中構造物用プレキャスト部材は、高炉スラグ微粉末を多く使用しており、消石灰などに由来する水酸化カルシウムが消費され、コンクリートのpHが低いためと考えられる。
「凍結融解試験」
JIS A1148「コンクリートの凍結融解試験方法」にしたがって、凍結融解試験を行った。
図5に凍結融解試験の結果を示す。
比較例2は、non−AEコンクリートであるのにも拘わらず、相対動弾性係数や質量に変化が見られず、高い凍結融解抵抗性を有している。
一方、本発明の地中構造物用プレキャスト部材は、60〜90サイクルまでに相対動弾性係数が60%を下回っており、また、質量はひび割れの進展に伴って最初は増加し、最終的には破断して大きく減少しており、凍結融解抵抗性が極めて低かった。これは、本実験で使用した地中構造物用プレキャスト部材がnon−AEコンクリートであるためと推測されるが、同じくnon−AEコンクリートである比較例2では著しい劣化が見られないことから、セメント硬化体の組織の影響を受けている可能性が考えられる。
「塩水浸漬試験」
JSCE−G572「浸せきによるコンクリート中の塩化物イオンの見掛けの拡散係数試験方法(案)」に従って、塩水浸漬試験を行った。
図6、7に、塩水浸漬試験の26週、52週の結果を示す。
見掛けの拡散係数は、26週で0.50〜0.67cm/年、52週で0.33〜0.39cm/年と同じ浸漬期間では配合による大きなきな違いは見られず、また、26週に比べて52週では見掛けの拡散係数が小さくなるが、いずれの浸漬期間でも、環境配慮型配合が高炉セメントB種配合と同程度以上の遮塩性を有していることが確かめられた。ただし、表面付近の塩化物イオン濃度は、本発明の地中構造物用プレキャスト部材の方が高炉セメントB種配合よりも低い。これは、表面付近での塩化物イオンの固定化量の違いなどが考えられる。
「硫酸ナトリウム水溶液浸漬試験」
JIS原案「コンクリートの溶液浸漬による耐薬品性試験方法(案)」に従って、硫酸ナトリウム水溶液浸漬試験を行った。
図8に硫酸ナトリウム水溶液浸漬試験の結果を示す。
この試験では、乾燥3週+浸漬1週を1サイクルとして、乾湿を繰り返した。その結果、いずれの配合でも質量が徐々に増加する傾向が見られた。これは、コンクリート内部に硫酸ナトリウムが浸透しているためと考えられ、乾燥過程で硫酸ナトリウムの結晶化により膨張し、微細なひび割れが進展する可能性が考えられた。そのため、1、3、13サイクルで圧縮強度を測定したところ、実施例5〜7、比較例2は、それぞれ1サイクルで、61.8、44.6、60.8、68.5(N/mm)、3サイクルで67.9、47.4、66.6、70.2(N/mm)、13サイクルで72.9、50.1、74.6、73.0、(N/mm)と、むしろ強度は増加しており、圧縮強度への影響は見られなかった。
「硫酸浸漬試験」
日本下水道事業団「下水道コンクリート構造物の腐食抑制技術及び防食技術マニュアル」に従って、硫酸浸漬試験を行った。
図9に硫酸浸漬試験の結果を示す。
いずれの配合でも、浸漬開始から4週までは質量の減少は見られなかったが、4週以降は一定の速度で質量が減少した。また、浸漬16週後の残存断面での中性化深さはいずれも10mm程度であることから、本発明の地中構造物用プレキャスト部材の硫酸抵抗性は、高炉セメントB種配合のコンクリートと変わらないことが確かめられた。

Claims (5)

  1. 結合材総量に対して、スラグ微粉末と消石灰とを計80重量%以上含み、
    水結合材比(W/B)が18.0%以上29.0%以下であり、
    前記スラグ微粉末100重量部に対して、前記消石灰を5重量部以上10重量部以下含むことを特徴とする地中構造物用プレキャスト部材。
  2. 前記結合材として普通ポルトランドセメントを含み、
    前記スラグ微粉末100重量部に対して、前記普通ポルトランドセメントを0.01重量部以上30重量部以下含むことを特徴とする請求項1に記載の地中構造物用プレキャスト部材。
  3. 前記結合材として膨張材を含み、
    前記スラグ微粉末100重量部に対して、前記膨張材を0.01重量部以上7重量部以下含むことを特徴とする請求項1または2に記載の地中構造物用プレキャスト部材。
  4. 骨材を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の地中構造物用プレキャスト部材。
  5. 結合材総量に対して、スラグ微粉末と消石灰とを計80重量%以上含み、水結合材比(W/B)が18.0%以上29.0%以下であり、前記スラグ微粉末100重量部に対して、前記消石灰を5重量部以上10重量部以下含む水硬性組成物を型枠内に打ち込み、
    前記水硬性組成物を前記型枠とともに、30℃以上60℃以下、2時間以上10時間以下、蒸気養生することを特徴とする地中構造物用プレキャスト部材の製造方法。
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