JP2018087175A - 筋萎縮抑制剤 - Google Patents

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卓広 蓮村
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宣康 太田
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真一 目黒
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Kojiro Hashizume
浩二郎 橋爪
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Abstract

【課題】アトロジン−1及びMuRF1発現抑制作用を有し、筋萎縮抑制効果を発揮する医薬品、医薬部外品、食品、飼料、及び医薬品や食品等に配合した場合に当該効果を発揮する素材の提供。【解決手段】エンジュ抽出物を有効成分とする筋萎縮抑制剤。【選択図】なし

Description

本発明は、筋萎縮を抑制する筋萎縮抑制剤に関する。
骨格筋は人体で最大の器官であり、エネルギー代謝や糖取り込み、運動において重要な役割を果たす。ところが、一般的に、骨格筋は加齢に伴い量が減少することが知られており、超高齢化社会を迎える日本において、骨格筋量の減少を抑制することは重要な課題であると考えられる。
これに対して、近年、医薬用の筋肉増強剤(特許文献1)や、補助食品として摂取可能な筋肉増強剤(特許文献2)が提供され始めている。
しかしながら、特許文献1に開示の医薬用筋肉増強剤は、医薬品であるIGF−1を有効成分としており、医師の適切な指導を必要とするため、生活の質を向上するなどの医療対象とならない筋肉増強手段には用いることができない。また、この医薬品である筋肉増強剤は、高価であるため、対象者であっても、経済的な観点から、継続的に使用するには、困難がある。特許文献2に開示の筋肉増強用サプリメントは、食品成分であるアミノ酸やミネラルを有効成分としているが、レジスタンス運動と呼ばれる高負荷の運動を併用することが不可欠であり、臥床や運動不足、老化により筋肉の萎縮が生じてしまった者の筋肉を十分に回復させるのは難しい。
また、植物等に含まれるポリフェノールの1種であるケルセチンの配糖体を含有する筋萎縮抑制剤が提案されている(特許文献3)。特許文献3には、ケルセチン配糖体が筋萎縮に関与するミオスタチンの発現を抑制することが記載されているが、筋萎縮抑制効果を示すケルセチン配糖体について具体的に開示されておらず、数多くのケルセチン配糖体のうち、どのようなケルセチン配糖体が筋萎縮抑制効果を示すのか不明である。
アトロジン(atrogin)−1及びMuRF1(muscle RING finger protein 1)は、加齢に伴う筋量の減少をはじめとして、さまざまな筋萎縮時に発現が増加する遺伝子で(非特許文献1)、ノックアウトマウスでは筋萎縮に抵抗性を示すことから(非特許文献2)、筋萎縮において重要な役割を果たすと考えられている。したがって、アトロジン−1及び/又はMuRF1の発現を抑制する素材は、筋萎縮の抑制に効果的であると考えられる。
一方、エンジュ(Sophora japonica LINNE)は、マメ科の落葉高木で、花及び蕾にはルチンを多く含有する。ルチンは、ケルセチン、L−ラムノース及びD−グルコースからなるケルセチン配糖体の1種で、血管強化作用や抗酸化作用を有する。なお、ルチンは体内にほとんど吸収されないことから、これを酵素処理してα−グルコシルルチンとすることにより水溶性と抗酸化力を高めた酵素処理ルチンも提供されている。
しかしながら、斯かるエンジュに、アトロジン−1及びMuRF1の発現抑制作用があること、筋萎縮抑制作用があることはこれまで全く知られていない。
特表2005−534651号公報 特開2004−256513号公報 国際公開第2015/166887号
FASEB J. 18:39−51, 2004 Science 294: 1704−1708, 2001
本発明は、アトロジン−1及びMuRF1発現抑制作用を有し、筋萎縮抑制効果を発揮する医薬品、医薬部外品、食品、飼料、及び医薬品や食品等に配合した場合に当該効果を発揮する素材を提供することに関する。
本発明者らは、筋萎縮の抑制に有効な成分の探索を行った結果、エンジュ抽出物に筋萎縮原因遺伝子であるアトロジン−1及びMuRF1の遺伝子発現抑制作用があり、これが筋萎縮抑制効果を発揮し得る素材として有用であることを見出した。また、本発明者らは意外にも、ルチンを多く含むエンジュ抽出物の効果が、一般的にルチンよりも生理活性が高いと考えられている酵素処理ルチンの効果よりも高いことを見出した。
すなわち、本発明は下記(1)〜(4)に関するものである。
(1)エンジュの抽出物を有効成分とする筋萎縮抑制剤。
(2)エンジュの抽出物を有効成分とするアトロジン−1及び/又はMuRF1発現抑制剤。
(3)エンジュ抽出物を有効成分とする筋萎縮抑制用食品。
(4)エンジュ抽出物を有効成分とするアトロジン−1及び/又はMuRF1発現抑制用食品。
本発明の筋萎縮抑制剤及びアトロジン−1及び/又はMuRF1発現抑制剤を含む組成物は、幅広い年齢層に対して、医師の指導や高負荷の運動を必要とせず筋萎縮を抑制するための食品、医薬品、医薬部外品、飼料として有用である。特に、食品又はサプリメントによる筋萎縮抑制が可能であることから、高齢者のQOL改善に資する。
エンジュ抽出物のアトロジン−1及びMuRF1発現に及ぼす作用を示すグラフ。
本発明の植物である、エンジュとは、マメ科エンジュ属のエンジュ(Sophora japonica LINNE)を意味する。エンジュの蕾(槐花)ならびに果実(槐角)にはルチンが豊富に含まれ、特に槐花にはルチンが20%程度含有されている。
本発明の植物は、葉、茎、芽、花、蕾、根、種子等、又はこれらを組み合わせて使用することが可能であるが、花及び/又は蕾を用いるのが好ましい。
斯かる植物は、そのまま若しくはそれを圧搾することにより得られる搾汁、植物体自身を乾燥した乾燥物若しくはその粉砕物、あるいはこれらから抽出した抽出物として用いることができるが、抽出物として用いるのが好ましい。本発明のエンジュ抽出物のルチン含有量は、抽出物の乾燥物換算で、好ましくは10質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、且つ好ましくは100質量%以下、更に好ましくは98質量%以下、更に好ましくは95質量%以下、更に好ましくは90質量%以下である。また好ましくは10〜100質量%、更に好ましくは30〜98質量%、更に好ましくは50〜95質量%、更に好ましくは70〜90質量%である。尚、抽出物の乾燥物換算とは、抽出物から抽出溶媒を除いた残渣の質量に換算することを意味する。
抽出物としては、植物体を常温又は加温下にて抽出するか又はソックスレー抽出器等の抽出器具を用いて抽出すること等公知の抽出方法により得られる各種溶媒抽出液、その希釈液、その濃縮液又はその乾燥末が挙げられる。
公知の抽出方法としては、例えば、浸漬、煎出、浸出、還流抽出、超臨界抽出、超音波抽出及びマイクロ波抽出等が挙げられる。
当該抽出物を得るために用いられる抽出溶剤としては、極性溶剤、非極性溶剤のいずれをも使用することができる。例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ピリジン類等が挙げられ、これらは単独又は混合物として用いることができる。このうち、水、アルコール系(アルコール類及び/又は多価アルコール類)溶剤、及び水−アルコール系混合溶剤を用いるのが好ましく、水−アルコール系混合溶剤が好ましい。さらに、アルコール類としてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールがより好ましく、エタノールがさらに好ましい。また、多価アルコール類としてはブチレングリコールがより好ましい。
より好適な水−アルコール系混合溶剤としては、20%(v/v)以上、好ましくは50%(v/v)以上、そして95%(v/v)以下、90%(v/v)以下のエタノール水溶液が挙げられる。例えば、20〜95%(v/v)エタノール水溶液、好ましくは50〜95%(v/v)エタノール水溶液が挙げられる。
本発明のエンジュ抽出物は、例えば、植物体1質量部に対して5〜60質量部、好ましくは5〜30質量部の抽出溶剤を用い、4〜100℃にて1時間〜30日間、好ましくは7〜21日抽出することにより得られた抽出物を用いることができる。
本発明のエンジュ抽出物は、例えば、エンジュの蕾又は花を30〜100℃、好ましくは60〜100℃で水で抽出して得られたもの、30〜80℃、好ましくは60〜80℃でエタノールで抽出して得られたもの、又は室温でメタノールで抽出して得られたものを用いることができる。
上記の抽出物は、そのまま用いることもできるが、当該抽出物を希釈、濃縮若しくは凍結乾燥した後、粉末又はペースト状に調製して用いることもできる。また、凍結乾燥し、用時に、通常抽出に用いられる溶剤、例えば水、エタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、水・エタノール混液、水・プロピレングリコール混液、水・ブチレングリコール混液等の溶剤で希釈して用いることもできる。また、リポソーム等のベシクルやマイクロカプセル等に内包させて用いることもできる。
本発明のエンジュ抽出物は、食品上・医薬品上許容し得る規格に適合し本発明の効果を発揮するものであれば粗精製物であってもよく、さらに得られた粗精製物を公知の分離精製方法を適宜組み合わせてこれらの純度を高めてもよい。精製手段としては、有機溶剤沈殿、遠心分離、限界濾過膜、高速液体クロマトグラフやカラムクロマトグラフ等が挙げられる。
後記実施例に示すように、本発明のエンジュ抽出物は、アトロジン−1及びMuRF1の発現を抑制する。本発明のエンジュ抽出物の効果は、一般的にルチンよりも生理活性が高いと考えられる酵素処理ルチンよりも優れたものである。アトロジン−1及びMuRF1は筋肉タンパク質分解系の一つであるユビキチン・プロテアソーム分解系の律速酵素であるため、アトロジン−1及び/又はMuRF1の発現を抑制することは、筋肉のタンパク質分解を阻害し、筋萎縮抑制に寄与する(前記非特許文献2参照)。
したがって、本発明のエンジュ抽出物は、筋萎縮抑制剤及びアトロジン−1及び/又はMuRF1発現抑制剤(以下、「筋萎縮抑制剤等」という)となり得、筋萎縮抑制及びアトロジン−1及び/又はMuRF1発現抑制のために使用できる。例えば加齢に伴って生ずる筋萎縮を抑制するために使用できる。ここで、当該使用は、ヒト若しくは非ヒト動物、又はそれらに由来する検体における使用であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。ここで、「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
また、本発明のエンジュ抽出物は、筋萎縮抑制剤等を製造するために使用することができる。
本発明において、アトロジン−1及び/又はMuRF1の発現抑制とは、典型的には、i)アトロジン−1 mRNAへのアトロジン−1遺伝子の転写及び/又はMuRF1 mRNAへのMuRF1遺伝子の転写を阻害又は抑制する、ii)アトロジン−1タンパク質へのアトロジン−1 mRNAの翻訳及び/又はMuRF1タンパク質へのMuRF1 mRNAの翻訳を阻害又は抑制することが挙げられる。
本発明において、「筋萎縮」とは、筋蛋白質の分解速度が合成速度を上回ることにより、筋蛋白質が減少する、もしくは筋細胞が減少し、結果的に筋量が低下することを意味する。具体的には、長期間の安静臥床や骨折等によるギプス固定、或いは微小重力暴露による筋萎縮(廃用性筋萎縮という)、筋萎縮性側策硬化症(ALS)等の疾病による進行性筋萎縮の他、加齢に伴って筋萎縮と同様の症状を呈する加齢性筋減弱症(サルコペニア)や、ガン(悪液質)、敗血症、1型糖尿病等に伴って生じる筋萎縮が包含される。したがって「筋萎縮の抑制」とは、不活動や加齢、疾病等による筋量の低下を抑制することをいう。
本発明の筋萎縮抑制剤等を含む組成物は、ヒトを含む動物に摂取又は投与した場合に筋萎縮抑制効果を発揮する、ヒト若しくは動物用の医薬品、医薬部外品、食品、又は飼料となり、また筋萎縮抑制剤等は、当該医薬品、医薬部外品、食品又は飼料に配合して使用される素材又は製剤となり得る。
また、当該食品には、筋萎縮抑制及びアトロジン−1及び/又はMuRF1発現抑制をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した食品、機能性食品、病者用食品、特定保健用食品、機能性表示食品、サプリメントが包含される。
上記医薬品(医薬部外品も含む、以下同じ)の投与形態としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与又は注射剤、坐剤、吸入薬、経皮吸収剤、外用剤等による非経口投与が挙げられる。また、このような種々の剤型の製剤は、本発明の植物又はその抽出物と、他の薬学的に許容される賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤、本発明のエンジュ抽出物以外の薬効成分等を適宜組み合わせて調製することができる。また、これらの投与形態のうち、好ましい形態は経口投与であり、経口用液体製剤は、嬌味剤、緩衝剤、安定化剤等を加えて常法により調製することができる。
経口投与用製剤中の本発明のエンジュ抽出物の含有量(抽出物の乾燥物換算)は、一般的に製剤全質量の0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、且つ100質量%以下、好ましくは90質量%以下である。また0.001〜100質量%、好ましくは0.01〜100質量%、更に好ましくは0.1〜100質量%、更に好ましくは1〜100質量%である。
上記食品の形態としては、清涼飲料水、茶系飲料、コーヒー飲料、果汁飲料、炭酸飲料、ジュース、ゼリー、ウエハース、ビスケット、パン、麺、ソーセージ等の飲食品や栄養食等の各種食品の他、さらには、上述した経口投与製剤と同様の形態(錠剤、カプセル剤、シロップ等)の栄養補給用組成物が挙げられる。
種々の形態の食品は、本発明の植物又はその抽出物と、他の食品材料や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤、本発明以外の有効成分等を適宜組み合わせて調製することができる。
また、病者用食品、例えば適当量の栄養補給が困難な高齢者やベッドレスト状態の病者に対する食品としては、経腸栄養剤等の栄養組成物の形態とすることが可能である。
また、飼料としては、ウサギ、ラット、マウス等に用いる小動物用飼料、犬、猫等に用いるペットフード等の飼料等が挙げられ、上記食品と同様の形態に調製できる。
当該食品又は飼料中の本発明のエンジュ抽出物の含有量(抽出物の乾燥物換算)は、一般的に製剤全質量の0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、且つ100質量%以下、好ましくは90質量%以下である。また0.001〜100質量%、好ましくは0.01〜100質量%、更に好ましくは0.1〜100質量%、更に好ましくは1〜100質量%である。
上記医薬品又は食品の成人1人当たりの1日の投与又は摂取量は、通常、本発明のエンジュ抽出物(抽出物の乾燥物換算)として0.001mg以上、好ましくは0.01mg以上、更に好ましくは0.1mg以上であり、且つ100mg以下、好ましくは10mg以下である。また、0.001〜100mg、好ましくは0.01〜100mg、更に好ましくは0.1〜10mgである。また、上記製剤の摂取頻度は任意であるが、1日1回〜数回に分けて摂取することが好ましい。
投与又は摂取対象としては、筋萎縮抑制を必要とする若しくは希望する動物又はヒトであれば特に限定されないが、筋量低下、筋力低下に悩む一般消費者及び筋萎縮を引き起こす疾患に罹患する病者等の運動器機能低下又は運動器障害の予防又は治療を希望する人が挙げられ、特に、運動不足者、ロコモティブシンドローム発症者、廃用性筋萎縮者、加齢性筋減弱症(サルコペニア)者における摂取が有効である。
上述した実施形態に関し、本発明においては以下の態様が開示される。
<1>エンジュ抽出物を有効成分とする筋萎縮抑制剤。
<2>エンジュ抽出物を有効成分とするアトロジン−1及び/又はMuRF1発現抑制剤。
<3>エンジュ抽出物を有効成分とする筋萎縮抑制用食品。
<4>エンジュ抽出物を有効成分とするアトロジン−1及び/又はMuRF1発現抑制用食品。
<5>筋萎縮抑制剤を製造するためのエンジュ抽出物の使用。
<6>アトロジン−1及び/又はMuRF1発現抑制剤を製造するためのエンジュ抽出物の使用。
<7>筋萎縮抑制に使用するためのエンジュ抽出物。
<8>アトロジン−1及び/又はMuRF1発現抑制に使用するためのエンジュ抽出物。
<9>エンジュ抽出物の有効量を投与又は摂取することによる筋萎縮抑制方法。
<10>エンジュ抽出物の有効量を投与又は摂取することによるアトロジン−1及び/又はMuRF1発現抑制方法。
<11>上記<7>〜<8>において、使用は非治療的使用である。
<12>上記<9>〜<10>において、方法は非治療的方法である。
<13>上記<9>〜<10>において、投与又は摂取の対象は、それぞれ筋萎縮抑制を必要とする若しくは希望する動物又はヒトである。
被験品の調製
エンジュ抽出物として、「ルチン」(松浦薬業株式会社製)を用いた。エンジュ抽出物中のルチン含有量は、82%であった。ルチン含有量は、逆相系HPLC分析(分析方法は下記)により求めた。
エンジュ抽出物のin vitro評価用のサンプルは、本製品を99.5v/v%エタノール水溶液にエキス濃度1w/v%(25℃、1気圧)となるように溶解し、仔魚用飼育水で設定終濃度に希釈して調製した。
酵素処理ルチンとして、「α−G−ルチン」(東洋製糖株式会社製)を用いた。これは、ルチン(抽出物)とでん粉又はデキストリンの混合物に、シクロデキストリングルコシルトランスフェラーゼを用いてグルコースをα−1,4付加して得られたものである。
酵素処理ルチンのin vitro評価用のサンプルは、本製品を20v/v%エタノール水溶液にエキス濃度1w/v%となるように溶解し、仔魚用飼育水で設定終濃度に希釈し調製した。
上記のエンジュ抽出物のルチン含有量は、以下の分析条件のもと、HPLCを用いて測定した。
カラム:TSKgel ODS−120T(5mm、4.6×250mm、東ソー株式会社製)
溶媒:0.2%TFA−HO/MeCN 85/15 isocratic
流速:0.8mL/min
温度:40℃
検出:diode array detector 254nm
試験例1
(1)ゼブラフィッシュの飼育
正常に受精し孵化したことを確認した受精後3日目のゼブラフィッシュ(Danio rerio)の仔魚を、表面無処理6穴プレートに16〜18匹/ウェルずつ、仔魚用飼育水と共に移した。そして、1ウェルをコントロール群、1ウェルを酵素処理ルチン群、1ウェルをエンジュ抽出物群に設定した。各ウェル中の仔魚用飼育水を、それぞれ仔魚用飼育水(コントロール)、仔魚用飼育水で終濃度0.001w/v%(以下、単に%と示すことがある)に調製した酵素処理ルチン水溶液、仔魚用飼育水で終濃度0.001w/v%に調製したエンジュ抽出物水溶液と置換し、さらに1.25日間飼育した。
(2)Total RNAの抽出
飼育終了後、各ウェルの仔魚を1.5mLチューブに移し、仔魚を安楽殺した。チューブに入った溶液を出来うる限り取り除き、RNA later(Qiagen社製)1mLを加え、4℃で保存した。なお、これらの操作は速やかに、かつ仔魚を傷つけないよう細心の注意を払い行った。
保存した各検体4匹を1サンプルとし、RNeasy Lipid Tissue Mini Kit(Qiagen社製)を用いて、製品添付プロトコルに従いTotal RNAの抽出を行った。得られたRNAサンプルは−80℃で保存した。
(3)定量的PCR
抽出した各サンプルのTotal RNAのRNA濃度をそろえ、65℃、10分間の熱処理後、High Capacity RNA−to−cDNA(Applied Biosystems社製)を用いて、製品添付プロトコルに従いcDNAの合成行った。得られたcDNAサンプルは−20℃で保存した。
合成したcDNAを鋳型とし、TaqMan Fast Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems社製)を用いて、ABI PRISM 7500(Applied Biosystems社製)により、アトロジン−1(F−box protein 32)遺伝子、MuRF1(muscle RING finger protein 1)遺伝子及びEf1α(elongation factor 1−alpha)遺伝子について定量的PCRを行った。なお、PCR反応で使用するプライマープローブセットとしては、アトロジン−1遺伝子についてはAtrogin−1 taqmanプライマープローブセット(Dr03151496_m1、Applied Biosystems社製)を、MuRF1遺伝子についてはMuRF1 taqmanプライマープローブセット(Dr03193823_s1、Applied Biosystems社製)を、Ef1α遺伝子についてはEf1α taqmanプライマープローブセット(Dr03432748_m1、Applied Biosystems社製)を用いた。定量PCR条件は、TaqMan Fast Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems社製)指定の標準プロトコルにて実施した。
得られた解析結果はEf1α遺伝子の発現量を基準として補正し、各遺伝子の相対的mRNA発現量として示した。統計処理は、Dunnett T3を用い、有意水準はP<0.05とした。結果を図1に示す。
図1より明らかである通り、酵素処理ルチンは、アトロジン−1遺伝子の発現を低下させる傾向が認められ、エンジュ抽出物は、アトロジン−1遺伝子の発現を有意に低下させた。また、酵素処理ルチンは、MuRF1遺伝子の発現を上昇させた一方、エンジュ抽出物は、MuRF1遺伝子の発現を酵素処理ルチンに比して有意に低下させた。これらの結果より、エンジュ抽出物には筋萎縮抑制効果があること、当該効果は、一般的にルチンより生理活性が高いと考えられている酵素処理ルチンに比して優れたものであることが示唆された。

Claims (4)

  1. エンジュの抽出物を有効成分とする筋萎縮抑制剤。
  2. エンジュの抽出物を有効成分とするアトロジン−1及び/又はMuRF1発現抑制剤。
  3. エンジュ抽出物を有効成分とする筋萎縮抑制用食品。
  4. エンジュ抽出物を有効成分とするアトロジン−1及び/又はMuRF1発現抑制用食品。
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