JP2018085844A - キャリブレーション装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複相交流型のモータに供給される電流のキャリブレーション装置に関し、キャリブレーション精度を向上させる。【解決手段】車両に搭載され車両に駆動力を与える複相交流型のモータ13,15の各相7〜9に供給される電流値をセンサ4〜6で検出する。複数のセンサ4〜6の各々と電源11との間にスイッチ21〜26を介装する。モータ13,15の回転中であってモータ13,15が駆動力又は回生制動力を出力していないときにスイッチ21〜26の断接状態を制御部2で制御し、モータ13,15及び複数のセンサ4〜6を含んで電源11から遮断された閉回路30を形成する。この閉回路30において複数のセンサ4〜6で検出される電流値であって、モータ13,15の回転によって生じた誘導電流の電流値に基づき、複数のセンサ4〜6のキャリブレーションを校正部3で実施する。【選択図】図4

Description

本発明は、車載電流センサのキャリブレーション装置に関する。
従来、複相交流型のモータを搭載したハイブリッド自動車や電気自動車において、モータに供給される各相の電流を調整することでモータの制御性を高める技術が提案されている。例えば、車両の停止中に単一相に通電し、電流センサで検出される各相の電流値を計測することで各相の誤差を計測する電流調整手法が知られている。このような誤差を減少させるための補正をインバータの制御に加えることで、モータトルクの変動や回転変動が抑制されうる(特許文献1参照)。
特開2006-304483号公報
しかしながら、上記のような電流の調整手法は車両走行中に実施することができない。そのため、走行中に各相の電流検出値が変化したような場合に対応することができないという課題がある。なお、各相の電流センサによる検出値は、モータやインバータの温度に応じて変化する。つまり、走行中における温度変化の影響を受けて電流センサの検出精度が変化し、各相の電流値を正しく出力できなくなることがある。したがって、車両停止中だけでなく、車両走行中に実施可能な電流センサのキャリブレーション手法を用意しておくことが望ましい。
本件の目的の一つは、上記のような課題に鑑みて創案されたものであり、複相交流型のモータに供給される電流を検出するセンサのキャリブレーション精度を向上させることである。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用効果であって、従来の技術では得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
(1)開示のキャリブレーション装置は、車両に搭載され前記車両に駆動力を与える複相交流型のモータの各相に供給される電流値を検出する複数のセンサと、前記複数のセンサの各々と電源との間に介装されたスイッチとを備える。また、前記モータの回転中であって前記モータが駆動力又は回生制動力を出力していないときに前記スイッチの断接状態を制御し、前記モータ及び前記複数のセンサを含んで前記電源から遮断された閉回路(三相短絡回路)を形成する制御部を備える。さらに、前記閉回路において前記複数のセンサで検出される電流値であって、前記モータの回転によって生じた誘導電流の前記電流値に基づき、前記複数のセンサのキャリブレーションを実施する校正部を備える。
前記閉回路は、少なくとも前記電源の正極及び負極のいずれか一方に対して遮断されることが好ましい。また、前記制御部は、例えば各相の端子を短絡させることによって、前記閉回路を形成することが好ましい。
(2)前記スイッチが、前記複数のセンサの各々と直流電源との間に介装されるハーフブリッジを含むことが好ましい。また、前記制御部が、前記ハーフブリッジの上アーム側に位置する全ての前記スイッチと前記ハーフブリッジの下アーム側に位置する全ての前記スイッチとのいずれか一方をオンするとともに他方をオフすることで、前記閉回路を形成することが好ましい。
例えば、前記スイッチのうち上アーム側全体をオンにしつつ下アーム側全体をオフにしてもよい。あるいは、前記スイッチのうち上アーム側全体をオフにしつつ下アーム側全体をオンにしてもよい。
(3)前記制御部が、インバータの温度に基づき、前記閉回路を形成することが好ましい。例えば、前回のキャリブレーションが実施されたときを基準として、前記インバータの温度変化(前記スイッチの温度変化)が所定値以上になったときに、前記閉回路を形成することが考えられる。あるいは、前記インバータの温度(前記スイッチの温度)があらかじめ設定された閾値を超えて変化したときに、前記閉回路を形成することも考えられる。
(4)前記制御部が、前記モータの振動に基づき、前記閉回路を形成することが好ましい。例えば、前記モータの振動の大きさが所定基準以上になったときに、前記閉回路を形成することが考えられる。なお、前記振動は前記モータの実回転数の周期変動として把握することが考えられる。
(5)前記制御部が、前記モータの回転数が所定回転数以上であり、かつ、前記モータの出力トルクがゼロから負の所定値までの範囲内にある場合に、前記閉回路を形成することが好ましい。
(6)前記制御部が、アクセルオフ操作により前記車両に回生ブレーキが発生する直前に前記閉回路を形成することが好ましい。
(7)前記車両が、前輪と後輪とを別々の動力源により駆動する四輪駆動車両であることが好ましい。この場合、前記制御部が、四輪駆動走行中に前記センサのキャリブレーションを実施したい前記モータの駆動力を駆動力配分によってゼロに設定した後に、前記閉回路を形成することが好ましい。つまり、前記制御部が、キャリブレーション対象のモータの駆動力をゼロに設定した後に、前記閉回路を形成することが好ましい。
モータが駆動力や回生制動力を出力していない回転中に閉回路(三相短絡回路)を形成することで、各相の電流検出値のズレを精度よく把握することができる。これにより、センサのキャリブレーション精度を向上させることができる。
実施形態のキャリブレーション装置を搭載した車両の模式図である。 モータの駆動回路を説明するための模式図である。 インバータ内のスイッチ(IGBT)の状態を説明するための図表である。 閉回路(三相短絡回路)を説明するための模式図である。 (A)はアクセル開度の経時変動を示すグラフ、(B)は要求トルクの経時変動を示すグラフである。 電流センサで検出される電流の経時変動を示すグラフである。 (A),(B)はキャリブレーション手法を説明するためのフローチャートである。 キャリブレーション手法を説明するためのフローチャートである。 モータの駆動回路の変形例を説明するための模式図である。
図面を参照して、実施形態としてのキャリブレーション装置について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
[1.装置構成]
図1は、キャリブレーション装置を搭載した車両10の構成を示す模式図である。この車両10は、前輪に駆動力を伝達するフロントモータ13と、後輪に駆動力を伝達するリアモータ15と、エンジン16とを搭載したハイブリッド自動車である。モータ13,15は三相交流の永久磁石型同期電動機であり、バッテリ11に蓄えられている電力で作動する電動機としての機能と、回生発電する発電機としての機能とを兼ね備える。バッテリ11の電力は、フロントインバータ12を介してフロントモータ13に供給されるとともに、リアインバータ14を介してリアモータ15に供給される。エンジン16は、ガソリンや軽油を燃焼とする内燃機関(ガソリンエンジン,ディーゼルエンジン)である。
この車両10には、EVモード,シリーズモード,パラレルモードの三種類の走行モードが用意される。これらの走行モードは、車両10の走行状態に応じて択一的に選択され、その種類に応じてモータ13,15とエンジン16とが適宜使用される。EVモードは、エンジン16を停止させたままモータ13,15で車両10を駆動する走行モードである。シリーズモードは、エンジン16の駆動力を利用して発電しつつ、その電力を用いてモータ13,15を作動させることによって、車両10を駆動する走行モードである。パラレルモードは、エンジン16で発生する駆動力を主体として、必要に応じてモータ13,15で発生する駆動力を併用しながら車両10を駆動する走行モードである。エンジン16で発生する駆動力が十分であれば、モータ13,15は停止状態とされる。
フロントインバータ12,フロントモータ13は、前輪の車軸近傍に配置される。一方、リアインバータ14,リアモータ15は、後輪の車軸近傍に配置される。各インバータ12,14は、各モータ13,15に交流の駆動電力を供給する機能を持つ。インバータ12,14の作動状態は、車両10の走行状態や運転操作内容に応じて、電子制御装置1で制御される。
インバータ12の内部の回路構造(モータ13,15の駆動回路20)を図2に例示する。なお、インバータ14の回路構造は、インバータ12の回路構造と同様であることから、ここではインバータ12の回路構造を取り上げて詳述する。各インバータ12,14はバッテリ11に対して並列に接続され、互いに独立して作動しうる。したがって、各モータ13,15は互いに独立して作動しうる。
インバータ12には、複数のスイッチング素子を含む三相ブリッジ回路が内蔵される。図2に示す例では、ハーフブリッジ(トーテムポール)を形成する一対のスイッチング素子が三組用意され、それぞれの組がモータ13のU相線7,V相線8,W相線9(動力線7〜9)に接続される。各スイッチング素子の接続状態を断続的に切り替えることで、モータ13に供給される交流電力が生成される。スイッチング素子には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)などの半導体素子が用いられる。
ここで、U相線7に接続されたハーフブリッジのうち、上アーム側に位置するスイッチング素子をUHスイッチ21と呼び、下アーム側に位置するスイッチング素子をULスイッチ24と呼ぶ。また、V相線8に接続されたハーフブリッジの上アーム側にはVHスイッチ22が設けられ、下アーム側にはVLスイッチ25が設けられる。同様に、W相線9に接続されたハーフブリッジの上アーム側にはWHスイッチ23が設けられ、下アーム側にはWLスイッチ26が設けられる。
モータ13の各相の給電線上には、各相の電流値を検出する電流センサ4〜6(複数のセンサ)が設けられる。まず、インバータ12とモータ13とを接続するU相線7の上には、U相電流センサ4が介装される。同様に、V相線8にはV相電流センサ5が介装され、W相線9にはW相電流センサ6が介装される。これらの電流センサ4〜6は、各相を流れる電流値を検出する機能を持つ。電流センサ4〜6で検出された電流値の情報は、電子制御装置1に伝達される。また、電子制御装置1には、インバータ12の温度(例えばケーシングの温度やスイッチング素子の温度など)を検出するための温度センサ17と、アクセル開度を検出するためのアクセルセンサ18と、モータ回転数を検出するための回転数センサ19とが接続される。これらのセンサ17〜19で検出された情報も、電子制御装置1に伝達される。
[2.制御構成]
電子制御装置1は、インバータ12,14の作動状態を制御する機能を持ったコンピュータ(いわゆるモータECU)である。電子制御装置1の内部には、バスを介して互いに接続されたプロセッサ,メモリ,インタフェイス装置などが内蔵される。プロセッサは、例えば制御ユニット(制御回路)や演算ユニット(演算回路),キャッシュメモリ(レジスタ)などを内蔵する処理装置である。また、メモリは、プログラムや作業中のデータが格納される記憶装置であり、ROM,RAM,不揮発メモリなどを含む。電子制御装置1で実施される制御の内容は、ファームウェアやアプリケーションプログラムとしてメモリに記録,保存されている。プログラムの内容は、プログラムの実行時にメモリ空間内に展開され、プロセッサで実行される。
電子制御装置1には、制御部2と校正部3とが設けられる。これらは、電子制御装置1の機能(プログラム)を便宜的に分類して示したものであり、個々の要素を独立したプログラムとして記述してもよいし、これらの機能を兼ね備えた複合プログラムとして記述してもよい。これらのプログラムは、電子制御装置1に内蔵されたメモリや補助記憶装置に記憶され、プロセッサによって実行される。あるいは、これらのプログラムが光ディスクや半導体メモリなどの記録媒体(リムーバブルメディア)に記録され、記録媒体ドライブを介してメモリ上に読み込まれた上で実行される。
制御部2は、インバータ12,14のスイッチング制御によりモータ13,15の回転状態を制御するものである。ここでは、モータ13,15の各相(U相,V相,W相)に供給される交流電力の大きさや位相,周波数などが制御される。モータ13,15の駆動時におけるスイッチング素子の断接状態を図3中に例示する(モータ駆動時1〜6参照)。各スイッチ21〜26の断接状態を交互に切り替えることで交流電力がモータ13,15に供給されることになり、モータ13,15が円滑に回転する。なお、スイッチ21〜26の具体的な制御手法には、図3に示す手法以外の公知技術を援用してもよい。
また、制御部2は、モータ13,15の惰性回転中に各スイッチ21〜26の断接状態を制御して、バッテリ11から遮断された閉回路30(三相短絡回路)を形成する機能を持つ。「惰性回転」とは、モータ13,15の回転中であって、モータ13,15が駆動力又は回生制動力を出力していない状態(ほぼ出力していないとみなせる状態を含む)を意味する。すなわち「惰性回転」とは、電力消費又は回生電力生成がほとんどない状態でモータ13,15が回転している状態を意味する。ここでいう「惰性回転中」には、他の動力源(例えばエンジン16)が車両10を駆動することによってモータ13,15が連れ回されている状態や、四輪駆動走行時に駆動輪以外におけるモータ13,15が連れ回されている状態が含まれる。少なくとも、モータ13,15が回転中であり、かつ、その回転中のモータ13,15が駆動力又は回生制動力を出力していない状態であれば、惰性回転中であるものとする。
閉回路30には、モータ13,15と電流センサ4〜6とが含まれる。本実施形態の制御部2は、モータ13,15の惰性回転中に各相の端子を短絡させることによって、閉回路30を形成する。この閉回路30は、少なくともバッテリ11の正極及び負極のいずれか一方に対して遮断される。例えば図3,図4に示すように、制御部2は、UHスイッチ21,VHスイッチ22,WHスイッチ23をオンに制御するとともに、ULスイッチ24,VLスイッチ25,WLスイッチ26をオフに制御することで、閉回路30を形成する。このとき、閉回路30はバッテリ11の負極に対して遮断された状態となり、バッテリ11が閉回路30に電気的な影響を与えることはない。
なお、UHスイッチ21,VHスイッチ22,WHスイッチ23をオフに制御するとともに、ULスイッチ24,VLスイッチ25,WLスイッチ26をオンに制御することで、閉回路30を形成してもよい。あるいは、閉回路30をバッテリ11から完全に遮断(正極及び負極の双方に対して遮断)してもよい。例えば、バッテリ11とインバータ12,14との間に介装されたコンタクタ(図示せず)を切断してもよい。この場合、閉回路30の内部で各相の給電線が互いに接続された状態となるように、回路を形成すればよい。モータ13,15の惰性回転中に閉回路30を形成することで、モータ13,15の内部で発生する誘導電流が閉回路30の内部で循環することになる。なお、閉回路30が形成される時間の長さは、一時的とはいえ比較的短く設定することが好ましく、例えば数十〜数百ミリ秒以下とする。回路の短絡により若干のマイナストルクが発生するが、閉回路30の持続時間を短く設定することにより、走行フィーリングの低下を抑えることができる。以下、このような閉回路30を形成する制御のことを「短絡制御」と呼ぶ。
短絡制御の実施条件には「モータ13,15が惰性回転していること」が含まれる。その他の付加条件としては、「電流センサ4〜6に対するキャリブレーション要求があること」や「短絡制御の開始条件が成立していること」が挙げられる。これらの条件は、例えば以下のいずれかの場合に成立する。短絡制御は、少なくとも以下の条件1〜3のいずれかが成立したときに実施可能である。本実施形態では、条件1〜3のいずれかが成立し、かつ、条件4〜6のいずれかが成立し、かつ、条件7,8がともに成立したときに、短絡制御が実施されるものとする。
=惰性回転の条件=
1.走行中にアクセルオフである(アクセル開度が所定値以下である)
2.パラレルモードである(モータ13,15が非作動である)
3.四輪駆動時で駆動力配分がゼロである
(後輪駆動時のフロントモータ13,前輪駆動時のリアモータ15)
=キャリブレーション要求の条件=
4.インバータ12,14の温度が所定温度以上である
(電流センサ4〜6の検出誤差が大きくなっている可能性がある)
5.前回の電流センサ4〜6のキャリブレーション時と比較して、
インバータ12,14の温度の変化量が所定量以上である
(電流センサ4〜6の検出誤差が大きくなっている可能性がある)
6.モータ13,15の回転によって生じる振動の大きさが所定基準以上である
(振動の原因が電流センサ4〜6の検出誤差である可能性がある)
=短絡制御の開始条件=
7.モータ13,15のトルク指示値がゼロから負の所定値までの範囲内にある
(モータ13,15の駆動力がほぼゼロである)
8.モータ13,15の回転数が所定回転数以上である
(三相短絡状態での電流値を精度よく検出可能である)
上記の条件1は、図5(A)に示すように、例えば走行中にアクセル開度がゼロになった時刻t1以降に成立する。また、上記の条件7は、図5(B)に示すように、モータ13,15のトルク指示値(要求トルク)がゼロに近い微小値をとっている時刻t2〜t3の間に成立する。これは、モータ13,15に回生ブレーキが働く直前のタイミングである。短絡制御はこのようなタイミングで、車両10の走行状態にほとんど影響を与えないモータ13,15の惰性回転中に実施される。なお、条件6は、モータ13,15の回転数変動を観察することによって把握することができる。典型的な振動の周波数は、数ヘルツから数十ヘルツ(例えば10ヘルツ程度)である。
なお、上記の条件3の代わりに、前後駆動輪の駆動力配分が変更可能な状態であるか否かを判定し、変更可能な状態であれば強制的に駆動力配分を変更することでモータ13,15の駆動力をゼロにしてもよい。この場合、以下の条件9,10がともに成立するときに、駆動力配分を変更することが考えられる。
=駆動力配分が変更可能な条件=
9.モータ13,15のトルク要求が50%以下である(比較的に低負荷である)
10.ステアリングが切られていない(ほぼ直進状態である)
例えば、キャリブレーションの対象がフロントモータ13であるときに条件9,10が成立したら、フロントモータ13が負担している駆動力をリアモータ15へ移動させた上で、フロントモータ13のキャリブレーションを実施することができる。反対に、キャリブレーションの対象がリアモータ15であれば、リアモータ15が負担している駆動力をフロントモータ13へ移動させた上で、リアモータ15のキャリブレーションを実施することができる。つまり、四輪駆動走行での駆動力配分によって駆動力がゼロに設定されたモータを対象として、制御部2が閉回路30を形成することで、キャリブレーションを実施してもよい。
校正部3は、短絡制御の実施時に、閉回路30において電流センサ4〜6で検出される電流値(誘導電流の電流値)に基づいて、電流センサ4〜6のキャリブレーションを実施するものである。例えば、図6に示すように、各電流センサ4〜6で得られた電流の最大値がA1,A2,A3であるとき、これらのうちの一つを基準とし、他の二つの電流値に誤差が含まれているものと仮定して、それらの二つの電流値が得られたセンサについての演算過程に補正を加える。基準とするセンサは、電流センサ4〜6のうち最も性能がよいもの(温度変化に対して堅牢な特性を持っているもの)としてもよいし、三つの最大値A1,A2,A3のうち最も信頼性の高い値が得られたもの(平均値に近い値が得られたもの)としてもよい。電流センサ4〜6の具体的な補正手法には、公知の技術を援用してもよい。
[3.フローチャート]
図7(A)は、電子制御装置1での制御手順を例示するフローチャートである。このフローは所定の周期で繰り返し実施される。フロー中の符号Fは、キャリブレーション要求がある場合に1に設定されるフラグである。まず、電流センサ4〜6,温度センサ17,アクセルセンサ18,回転数センサ19で得られた各種情報が電子制御装置1に入力される(A1)。フラグFがF=0のとき(A2)、キャリブレーション要求の有無が判定される(条件4〜6,A3)。
ここで例えば上記の条件4〜6のいずれかが成立するとフラグFがF=1に設定され(A4)、走行中のアクセルオフであるか否かが判定される(条件1,A5)。この条件が成立すると、短絡制御の開始条件の成否が判定される(条件7〜8,A6)。短絡条件が成立した場合、制御部2が短絡制御を開始する。このとき、図3,図4に示すように、UHスイッチ21,VHスイッチ22,WHスイッチ23がオンに制御され、ULスイッチ24,VLスイッチ25,WLスイッチ26がオフに制御されて、閉回路30が形成される。また、校正部3が電流センサ4〜6のキャリブレーションを実施する(A7)。キャリブレーションが終了すると、フラグFがF=0に設定される(A8)。
図7(B)は、図7(A)のステップA5の代わりにステップA5′を実施する場合のフローチャートである。このステップでは、条件1の代わりに条件2が判定される。他のステップは図7(A)のフローチャートと同様である。なお、条件1と条件2とのいずれかが成立した場合にステップA6へ進むようなフローにすることで、図7(A)に示す制御と図7(B)に示す制御とを合体させることも可能である。
図8は、図7(A)のステップA5以降の代わりにステップB1以降を実施する場合のフローチャートである。ステップB1では、条件1の代わりに前後駆動輪の駆動力配分を変更可能な状態であるか否かが判定される(条件9〜10)。これらの条件が成立すると、短絡制御の開始条件の成否が判定される(条件7〜8,B2)。短絡条件が成立した場合、制御部2が短絡制御を開始する。このとき、キャリブレーションの対象となるモータ13,15の駆動力がゼロとなるように、駆動力配分が変更される(B3)。閉回路30は、キャリブレーションの対象となるモータ13,15の駆動力がゼロに設定された後に形成される。また、校正部3では電流センサ4〜6のキャリブレーションが実施される(B4)。キャリブレーションが終了すると、駆動力配分が元に戻され(B5)、フラグFがF=0に設定される(B6)。
[4.作用,効果]
(1)上記の実施形態では、モータ13,15の回転中であってモータ13,15が駆動力又は回生制動力を出力していないときに閉回路30(三相短絡回路)を一時的に形成し、閉回路30内を循環する誘導電流の電流値を計測している。このような誘導電流の電流値を用いて電流センサ4〜6のキャリブレーションを実施することで、各相で検出される電流値のズレを精度よく把握することができ、キャリブレーション精度を向上させることができる。また、このキャリブレーション手法は、モータ13,15の惰性回転中であれば車両10の走行中であっても実施することが可能である。したがって、走行中における電流センサ4〜6の温度変化による電流値(センサ出力値)の変化を精度よく把握することができる。これにより、センサ出力値と実際の電流値とのズレによるモータ振動や異音の発生を防止することができる。また、車両10の走行中にキャリブレーションを行うことができるため、キャリブレーションの頻度を増やすことができ、電流センサ4〜6の精度を向上させることができる。
(2)上記の実施形態では、図3,図4に示すように、UHスイッチ21,VHスイッチ22,WHスイッチ23がオンに制御されるとともに、ULスイッチ24,VLスイッチ25,WLスイッチ26がオフに制御されて、閉回路30が形成される。このように、既存のインバータ12に内蔵される半導体スイッチの作動状態(オンオフ状態)を制御することで、容易に閉回路30を形成することができる。また、半導体スイッチは優れた応答性を有するものであることから、極めて短時間でキャリブレーションを実施,完了することができる。
(3)上記の実施形態では、インバータ12,14の温度に基づいてキャリブレーション要求の有無を判定する手法(条件4,条件5)を提案している。これにより、電流センサ4〜6の検出誤差が大きくなっている可能性の高低を精度よく把握することができ、キャリブレーションの実施タイミングを適正化することができる。また、温度による電流値の変化を加味したキャリブレーションを実施することができる。
(4)上記の実施形態では、モータ13,15の振動に基づいてキャリブレーション要求の有無を判定する手法(条件6)を提案している。これにより、滑らかなモータ回転を実現しうるキャリブレーションを実施することができる。
(5)上記の実施形態では、モータ13,15の回転数と出力トルクとに基づいて短絡制御の開始条件(条件7,条件8)を判定している。すなわち、モータ13,15の回転数が所定回転数以上であり、かつ、モータ13,15の出力トルクがゼロから負の所定値までの範囲内にある場合に、閉回路30が形成される。これにより、車両10の走行状態にほとんど影響を与えずに、誘導電流の電流値を精度よく検出することができる。したがって、車両10の走行フィーリングを悪化させることなくキャリブレーションを行うことができる。
(6)上記の実施形態では、図5(A),(B)に示すように、アクセルオフ操作の後、回生ブレーキが働く直前に閉回路30が形成される。閉回路30を形成すると、誘導電流の発生により若干のマイナストルクが発生する。一方、回生ブレーキが働く直前に閉回路30を形成することで、マイナストルクの発生が気にならなくなり、車両10の走行フィーリングに支障を来たすことなくキャリブレーションを実施することができる。なお、条件2に記載された通り、モータ13,15が非作動であるパラレルモードでの走行中に閉回路30を形成した場合にも、車両10の走行に支障を来たすことなくキャリブレーションを実施することができる。
(7)同様に、条件3に記載された通り、四輪駆動時において駆動力配分をゼロに設定した後に閉回路30を形成した場合にも、車両10の走行に支障を来たすことなくキャリブレーションを実施することができる。
[5.変形例]
上述の実施形態では、インバータ12,14に内蔵されたスイッチ21〜26の断接状態を制御することで閉回路30を形成しているが、閉回路30の形成手法はこれに限定されない。例えば図9に示すように、インバータ12,14とモータ13,15とを接続する給電ライン上にスイッチ31〜35を介装し、これらのスイッチ31〜35の断接状態を制御することで閉回路30を形成してもよい。スイッチ31はU相線7を断接し、スイッチ32はV相線8を断接し、スイッチ33はW相線9を断接する機能を持つ。また、スイッチ34はU相線7とV相線8とを短絡させ、スイッチ35はV相線8とW相線9とを短絡させる機能を持つ。このようなスイッチング回路を追加することで、既存のインバータ12,14に何ら変更を加えることなく、上述の実施形態と同様のキャリブレーションを実施することが可能となる。
上述の実施形態では、キャリブレーション要求の条件の一つとして、インバータ12,14の温度を判定することを述べているが、インバータ12,14の温度の代わりに電流センサ4〜6の温度や各相の給電線の温度を用いることも可能である。少なくともインバータ12,14の温度と相関を持つパラメータを用いることで、上述の実施形態と同様の作用,効果を奏するものとなる。
なお、上述の実施形態では、三相交流のモータ13,15を対象とした電流キャリブレーション手法について詳述したが、四相以上の交流型モータを対象とした制御に拡張可能であることは言うまでもない。
1 電子制御装置
2 制御部
3 校正部
4〜6 電流センサ
10 車両
11 バッテリ
12,14 インバータ
13,15 モータ
17 温度センサ
30 閉回路(三相短絡回路)

Claims (7)

  1. 車両に搭載され前記車両に駆動力を与える複相交流型のモータの各相に供給される電流値を検出する複数のセンサと、
    前記複数のセンサの各々と電源との間に介装されたスイッチと、
    前記モータの回転中であって前記モータが駆動力又は回生制動力を出力していないときに前記スイッチの断接状態を制御し、前記モータ及び前記複数のセンサを含んで前記電源から遮断された閉回路を形成する制御部と、
    前記閉回路において前記複数のセンサで検出される電流値であって、前記モータの回転によって生じた誘導電流の前記電流値に基づき、前記複数のセンサのキャリブレーションを実施する校正部と、を備える
    ことを特徴とする、キャリブレーション装置。
  2. 前記スイッチが、前記複数のセンサの各々と直流電源との間に介装されるハーフブリッジを含み、
    前記制御部が、前記ハーフブリッジの上アーム側に位置する全ての前記スイッチと前記ハーフブリッジの下アーム側に位置する全ての前記スイッチとのいずれか一方をオンするとともに他方をオフすることで、前記閉回路を形成する
    ことを特徴とする、請求項1記載のキャリブレーション装置。
  3. 前記制御部が、インバータの温度に基づき、前記閉回路を形成する
    ことを特徴とする、請求項1または2記載のキャリブレーション装置。
  4. 前記制御部が、前記モータの振動に基づき、前記閉回路を形成する
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のキャリブレーション装置。
  5. 前記制御部が、前記モータの回転数が所定回転数以上であり、かつ、前記モータの出力トルクがゼロから負の所定値までの範囲内にある場合に、前記閉回路を形成する
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のキャリブレーション装置。
  6. 前記制御部が、アクセルオフ操作により前記車両に回生ブレーキが発生する直前に前記閉回路を形成する
    ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のキャリブレーション装置。
  7. 前記車両が、前輪と後輪とを別々の動力源により駆動する四輪駆動車両であり、
    前記制御部が、四輪駆動走行中に前記センサのキャリブレーションを実施したい前記モータの駆動力を駆動力配分によってゼロに設定した後に、前記閉回路を形成する
    ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のキャリブレーション装置。
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