JP2018085333A - 多孔質電極基材及び、ガス拡散層、及びガス拡散電極とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、前記のような問題点を克服し、燃料電池及びレドックスフロー電池に用いた際に短絡や反応ガス、電解液のクロスリークが生じにくい、多孔質電極基材表面における炭素繊維の結着部分における余剰バインダーが十分に除去された多孔質電極基材及び、ガス拡散層、及びガス拡散電極とその製造方法を提供することを目的とする。
(1) 炭素繊維が炭素により結着された炭素繊維シートであって、シート表面の炭素繊維結着部分に付着したバインダーの最大厚みが5μm以内である多孔質電極基材。
(2) 上記(1)に記載の多孔質電極基材の厚みが80〜300μm、嵩密度が、0.18〜0.42g/cm3、貫通抵抗が、3.0〜7.0mΩ・cm2、厚み方向の透気度が、0.2〜7.1L/(m2・Pa・s)であり、少なくとも一方の面にカーボン粉と撥水剤からなるコーティング層を有する固体高分子形燃料電池用ガス拡散層。
(3) 上記(2)に記載の固体高分子形燃焼電池用ガス拡散層のコーティング層上に電極触媒層を有する固体高分子形ガス拡散電極。
(4) 上記(1)に記載の多孔質電極基材、上記(2)に記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層、または上記(3)に記載の固体高分子形ガス拡散電極を用いた固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
(5) 以下の工程[1]〜[6]を含む、上記(2)に記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
工程[1]:多孔質電極基材をシート流れ方向に沿って直径40〜150mmのロールに2〜180°の角度で抱かせ、10〜100N/mのシート張力にて走行せしめることで多孔質電極基材中に含まれる結合の弱い炭素粉を脱離させる工程。
工程[2]:上記工程[1]で得られた多孔質電極基材上の炭素粉および炭素繊維結着部分の余剰バインダーを線径0.05mm〜0.3mmの回転ブラシによって連続的に除去せしめる工程。
工程[3]:上記工程[2]で得られた多孔質電極基材上の炭素粉を除去せしめる工程。
工程[4]:上記工程[3]で得られた多孔質電極基材上に導電剤と撥水剤と界面活性剤および水からなるコーティング液を塗布することでコーティング層を形成する工程。
工程[5]:上記工程[4]にて多孔質電極基材上に形成したコーティング層を50〜150℃に加熱し、乾燥する工程。
工程[6]:上記工程[5]にてコーティング層を形成した多孔質電極基材を200〜400℃に加熱して撥水剤を焼結し、ガス拡散層を得る工程。
工程[1’]:多孔質電極基材を、JIS‐Aゴム硬度A60〜A100のゴムロールとハードクロムメッキの施された金属ロールとで1〜10kNの荷重にてプレスすることで、多孔質電極基材中に含まれる結合の弱い炭素粉を脱離させる工程。
工程[7]:コーティング層を形成したガス拡散層に電極触媒層を形成させる工程。
本発明の多孔質電極基材、ガス拡散層、ガス拡散電極は、例えば以下の(1)〜(6)の工程により製造することができる。
(1)炭素繊維が炭素等により結着された多孔質電極基材を製造する工程。
(2)前記多孔質電極基材をシート流れ方向に沿って直径40〜150mmのロールに2〜180°の角度で抱かせ、10〜100N/mのシート張力にて走行せしめることでガス拡散層基材中に含まれる結合の弱い炭素粉を脱離させる工程。
(3)多孔質電極基材を、JIS‐Aゴム硬度A60〜A100のゴムロールとハードクロムメッキの施された金属ロールとで1〜10kNの荷重にてプレスすることで、多孔質電極基材中に含まれる結合の弱い炭素粉を脱離させる工程
(4)次いで、多孔質電極基材に付着した炭素粉を連続的に除去する工程。
(5)前記(4)で得られた多孔質電極基材にコーティング層を形成したガス拡散層を得る工程。
(6)前記(5)で得られたガス拡散層のコーティング層上に電極触媒層を形成しガス拡散電極を得る工程。
まず、第一の工程において、炭素繊維が炭素等により結着された多孔質電極基材を製造する。ここで、多孔質電極基材は、例えば炭素繊維を抄紙して炭素繊維紙を得る抄紙工程、該炭素繊維紙に樹脂を含浸させる樹脂含浸工程、該樹脂が含浸した炭素繊維紙を加熱し、該樹脂を炭化させる炭化工程を経ることによって製造される。製造される多孔質電極基材は、表面平滑性が高く、電気的接触が良好で、かつ機械的強度が高い複数本の炭素繊維が集合してなる抄紙体が好ましい。炭素繊維同士を決着させるバインダーとして導電性成分を選択することによって、上記の炭化工程を省き低コストに多孔質電極基材を製造することも可能である。
炭素繊維の平均長は、2〜16mmが好ましく、3〜9mmがさらに好ましい。この範囲内であると抄紙時の分散性と多孔質電極基材としての機械的強度が高くなる。
炭素化を行う前に、熱成型・酸化処理を行うことでより残炭率が高く、表面平滑性が高く、厚みばらつきの小さい多孔質電極基材を製造することができる。
第2の工程において、上述のごとく得られた多孔質電極基材をシート流れ方向に沿って直径40〜150mmのロールに2〜180°の角度で抱かせ、10〜100N/mのシート張力にて走行せしめることで多孔質電極基材中に含まれる結合の弱い炭素粉を脱離させる。
膜−電極接合体や固体高分子形燃料電池において、このような本発明に係る多孔質電極基材を配置することで、膜−電極接合体の組み立て時、固体高分子形燃料電池セルやレドックスフロー電池セルの作製時または発電時の加圧において、炭素繊維および炭素粉が高分子電解質膜へ与えるダメージを低減することができる。
工程2の代わりに工程3によって、多孔質電極基材を、プレスすることで多孔質電極基材中に含まれる結合の弱い炭素粉を脱離させることもできる。プレスには一対のロールを用いるが、一方にはゴムロールを用い、もう一方には金属ロールを用いる。ゴムロールの硬度としてはJISK6523にて規定されるゴム硬度A60〜A100が好ましい。上記範囲のゴム硬度とすることで、立ち上がった炭素繊維を折損処理するだけでなく、多孔質電極基材中の炭素繊維結着部における弱い部分を破壊することができる。また、多孔質電極基材の変形に対して追従することが可能であるため、ワレ等が発生せず安定して処理することが可能である。またもう一方のロールにはハードクロムメッキの施された金属ロールを用いることで、多孔質電極基材よりも剛直であることから所定の荷重で均一にプレスすることが可能となる。プレスの際に与える荷重としては1〜10kNの荷重が好ましい1kN以上であれば立ち上がった炭素繊維を折損するのに十分であり、かつ結着の弱い部分を破壊することができる。10kN未満であれば多孔質電極基材の主要部分を破壊することなく、均一に処理することが可能である。
工程4において上流工程にて発生した炭素繊維を含む炭素粉を除去する。除去には非接触方式、接触方式のいずれかまたは両方を適用できる。非接触方式では多孔質電極基材にダメージを与える損傷はないといった利点が挙げられるが、サイズの小さい炭素粉はエアーで巻き上げることが困難であるため、除去できない。サイズの小さい炭素粉に対しては接触方式のクリーニングが有効である。接触方式としては回転ブラシを適用できる。回転ブラシに用いるブラシの材質としては多孔質電極基材を損傷しないものであればよく、各種プラスチックたとえばナイロン、ポリプロピレン、帯電によるブラシおよび多孔質電極基材の汚染を防ぐため、導電性繊維を一部用いることが好ましい。
工程5において、工程4までで得られた多孔質電極基材にコーティング層を形成し、ガス拡散層を得る。ここで言う「コーティング層」とは、多孔質電極基材の少なくとも一方の面に配されるものであって、導電剤と撥水剤からなる層のことを指す。コーティング層に用いる導電剤としてはカーボン粉等を用いることができる。カーボン粉は、たとえば、黒鉛粉やカーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーなどを用いることができる。中でも製造コストの観点からカーボンブラックを用いることが好ましい。例えばファーネスブラック(例えばCABOT社製のバルカンXC72)、アセチレンブラック(例えば電気化学工業(株)製のデンカブラック)、ケッチェンブラック(例えばライオン(株)製のKetjen Black EC)などを用いることができる。カーボン粉を用いる割合としては、カーボン粉を溶媒に分散させた際の濃度が、5〜30%となるように用いることが好ましい。撥水剤としてはフッ素樹脂やシリコーン樹脂などが挙げられ、これらを水などの溶媒に分散させて用いることが出来る。撥水性の高さから特に好ましくはフッ素樹脂である。フッ素樹脂としては例えばテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体などがあげられ、特にPTFEが好ましい。撥水剤を用いる割合としては、撥水剤を溶媒に分散させた際の濃度が、5〜60%となるように用いることが好ましい。本発明においては撥水剤を繊維化させるため、乳化重合により製造されるPTFEが好ましく、中でもディスパージョンタイプの使用が好ましい。
ここで言う電極触媒層とは、触媒として白金担持カーボンおよびバインダーとしてイオン交換能を有する高分子からなる層であって、水素の酸化反応および酸素の還元反応が起こる反応場である。触媒としては白金を使用しない例えば、他の金属やカーボンアロイ触媒などを適用してもよい。また、バインダーとしてはフッ素系イオン交換樹脂だけでなく、炭化水素系のイオン交換樹脂を適用することも出来る。触媒層の厚みは2〜30μmとすることで効率よく発電可能である。触媒層を形成する方法としては各種の塗工方法を適用することができる。例えばバーコート法、ブレード法、スクリーン印刷法、スプレー法、カーテンコーティング法およびロールコート法などがあげられる。これらの方法により、ガス拡散層のコーティング層上に均一な触媒層膜を形成することができる。形成した触媒層の塗工膜は一般的な方法で乾燥され触媒層を形成したガス拡散電極を製造することができる。
本発明の多孔質電極基材は、炭素繊維が炭素により結着された炭素繊維シートであって、シート表面の炭素繊維結着部分に付着したバインダーの最大厚みが5μm以内である多孔質電極基材である。バインダーの最大厚みが厚すぎると、燃料電池やレドックスフロー電池に用いた際に短絡や反応ガスおよび電解液のクロスリークが生じやすくなってしまう。
上記の多孔質電極基材は、その厚みが80〜300μm、嵩密度が、0.18〜0.42g/cm3、貫通抵抗が、3.0〜7.0mΩ・cm2、厚み方向の透気度が、0.2〜7.1L/(m2・Pa・s)であることが性能面で好ましい。
上記の多孔質電極基材の少なくとも一方の面にカーボン粉と撥水剤からなるコーティング層を形成すると、固体高分子形燃料電池用ガス拡散層として用いることができる。
また、上記の固体高分子形燃焼電池用ガス拡散層のコーティング層上に電極触媒層を設けると、固体高分子形燃料電池用ガス拡散電極として用いることができる。
<嵩密度の算出>
製造した多孔質電極基材から、3×3cm角の試験片を20点、ランダムに取り出し、それぞれの厚みをマイクロメーター(ミツトヨ社製)により各サンプルに対して5点ずつ測定して平均厚みを算出し、重量を電子天秤により秤量した。下式に従って多孔質炭素電極の嵩密度を算出した。20点測定した嵩密度の平均値を其のサンプルの代表値として採用した。
<貫通抵抗の測定>
多孔質電極基材の厚み方向の電気抵抗(貫通抵抗)は、金メッキした銅板に多孔質電極基材を挟み、銅板の上下から1.0MPaで加圧し、10mA/cm2の電流密度で電流を流したときの抵抗値を測定し、次式より求めた。なお多孔質電極基材の試料サイズは直径=25mmである。
<厚み方向透気度の測定>
JIS規格P−8117に準拠し、ガーレーデンソメーターを使用して200mLの空気が透過するのにかかった時間を測定し、10点の平均値より透気度(L/(m2・Pa・s))を算出した。
<炭素繊維結着部分に付着したバインダーの最大厚みの測定方法>
多孔質電極基材表面の炭素繊維結着部分に付着したバインダーの最大厚みは、走査形電子顕微鏡(SEM)により決定される。任意に切り出した多孔質電極基材の断面における表面近傍を倍率1000倍にて観察し、炭素繊維同士が結着した点を50点抽出する。上記結着点において炭素繊維上に存在するバインダーの厚みをイメージプロプラス(日本ローパー社製)にて計測し、20点中の最大高さにより、バインダー厚みを決定した。
<多孔質電極基材の作製>
炭素繊維として、長さ3mmにカットした平均直径7μmのPAN系炭素繊維100質量部と、長さ3mmのポリビニルアルコール(PVA)繊維(商品名:VBP105−1、クラレ株式会社製)を20量部、ポリエチレンパルプ(三井化学株式会社製SWP 濾水度450ml、JIS P8121のパルプ濾水度試験法(1)カナダ標準型で測定)20質量部を水中で分散し、連続的に金網上に抄造した後、乾燥して炭素繊維紙を得た。
多孔質電極基材用の撥水処理液の作成には、PTFEディスパージョン(31−JR、三井デュポンフロロケミカル製)と界面活性剤(ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル)および蒸留水を用いた。撥水処理液における固形分濃度が、PTFEは1wt%、界面活性剤は2wt%となるように調整した後、蒸留水を添加して、ディスパーを用いて1000rpm、10分間撹拌することによって撥水処理液を作成した。
多孔質電極基材を上記の撥水処理液に浸漬することによって含浸させた。含浸後の多孔質電極基材を2対のニップロールを通過させることで余分な撥水処理液を取り除いたのち、乾燥炉にて乾燥処理することで撥水処理が施された多孔質電極基材を得た。
デンカブラック(電気化学工業株式会社製)、イオン交換水、界面活性剤をそれぞれ8:100:0.8の割合で混合し、ホモミクサーMARK−II(プライミクス株式会社製)を用いて、冷却しながら15000rpmで30分間撹拌を行って、コーティング液1を得た。
触媒担持カーボン(触媒:Pt、触媒担持量:50質量%)及び撥水剤、アイオノマーからなる触媒インクをガス拡散層のコーティング層が形成された面上に塗布、乾燥することで触媒層を形成したガス拡散電極を得た。得られたガス拡散電極で高分子電解質膜ナフィオンNR211を挟み込みホットプレスを実施し、膜電極接合体を作製後、発電試験を実施したところいずれの試験条件でも良好な結果が得られた。結果を表1にまとめた。
抱き角を30度に変更したこと以外は実施例1と同様にして、多孔質電極基材およびガス拡散層、ガス拡散電極を得た。多孔質電極基材の表面における炭素繊維結着部分に付着したバインダーの最大厚み、ガス拡散電極の発電試験の結果は表1の通り良好な結果が得られた。
抱き角を180度に変更したこと以外は実施例1と同様にして、多孔質電極基材およびガス拡散層、ガス拡散電極を得た。多孔質電極基材の表面における炭素繊維結着部分に付着したバインダーの最大厚み、ガス拡散電極の発電試験の結果は表1の通り良好な結果が得られた。
抱かせるローラーの直径を150mmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、多孔質電極基材およびガス拡散層、ガス拡散電極を得た。多孔質電極基材の表面における炭素繊維結着部分に付着したバインダーの最大厚み、ガス拡散電極の発電試験の結果は表1の通り良好な結果が得られた。
抱かせるローラーの直径を150mmに変更したこと以外は実施例2と同様にして多孔質電極基材およびガス拡散層、ガス拡散電極を得た。多孔質電極基材の表面における炭素繊維結着部分に付着したバインダーの最大厚み、ガス拡散電極の発電試験の結果は表1の通り良好な結果が得られた。
抱かせるローラーの直径を150mmに変更したこと以外は実施例3と同様にして多孔質電極基材およびガス拡散層、ガス拡散電極を得た。多孔質電極基材の表面における炭素繊維結着部分に付着したバインダーの最大厚み、ガス拡散電極の発電試験の結果は表1の通り良好な結果が得られた。
多孔質電極基材に炭素化を経ない基材を用いたこと以外は実施例1と同様にして多孔質電極基材およびガス拡散層、ガス拡散電極を得た。多孔質電極基材の表面における炭素繊維結着部分に付着したバインダーの最大厚み、ガス拡散電極の発電試験の結果は表1の通り良好な結果が得られた。
炭素繊維紙の目付およびフェノール樹脂の目付を半分とし、厚みが95μm、嵩密度が、0.22g/cm3、貫通抵抗が、3.8mΩ・cm2、厚み方向の透気度が、3.4L/(m2・Pa・s)である多孔質電極基材としたこと以外は実施例1と同様にして多孔質電極基材およびガス拡散層、ガス拡散電極を得た。多孔質電極基材の表面における炭素繊維結着部分に付着したバインダーの最大厚み、ガス拡散電極の発電試験の結果は表1の通り良好な結果が得られた。
炭素繊維紙の目付およびフェノール樹脂の目付を1.5倍とし、多孔質電極基材の厚みを270μm、嵩密度を、0.36g/cm3、貫通抵抗が、4.9mΩ・cm2、厚み方向の透気度が、0.57L/(m2・Pa・s)である多孔質電極基材としたこと以外は実施例1と同様にして多孔質電極基材およびガス拡散層、ガス拡散電極を得た。多孔質電極基材の表面における炭素繊維結着部分に付着したバインダーの最大厚み、ガス拡散電極の発電試験の結果は表1の通り良好な結果が得られた。
ローラーに抱かせる処理の代わりに、硬度A60のゴムロールとハードクロムメッキされた金属ロールにて荷重2kNで処理を行ったこと以外は実施例1と同様にして多孔質電極基材およびガス拡散層、ガス拡散電極を得た。多孔質電極基材の表面における炭素繊維結着部分に付着したバインダーの最大厚み、ガス拡散電極の発電試験の結果は表1の通り良好な結果が得られた。
ローラーに抱かせる処理の代わりに、硬度A90のゴムロールとハードクロムメッキされた金属ロールにて荷重2kNで処理を行ったこと以外は実施例2と同様にして多孔質電極基材およびガス拡散層、ガス拡散電極を得た。多孔質電極基材の表面における炭素繊維結着部分に付着したバインダーの最大厚み、ガス拡散電極の発電試験の結果は表1の通り良好な結果が得られた。
ローラーに抱かせる処理およびクリーニング処理を施さなかったこと以外は実施例1と同様にして多孔質電極基材およびガス拡散層、ガス拡散電極を得た。得られた多孔質電極基材の表面における炭素繊維結着部分に付着したバインダーの最大厚みは大きく、それに伴い、発電試験における初期電圧の低下が確認された。
ローラーに抱かせる処理およびクリーニング処理を施さなかったこと以外は実施例8と同様にして多孔質電極基材およびガス拡散層、ガス拡散電極を得た。得られた多孔質電極基材の表面における炭素繊維結着部分に付着したバインダーの最大厚みは大きく、それに伴い、発電試験における初期電圧の低下が確認された。
ローラーに抱かせる処理およびクリーニング処理を施さなかったこと以外は実施例9と同様にして多孔質電極基材およびガス拡散層、ガス拡散電極を得た。得られた多孔質電極基材の表面における炭素繊維結着部分に付着したバインダーの最大厚みは大きく、それに伴い、発電試験における初期電圧の低下が確認された。
Claims (9)
- 炭素繊維が炭素により結着された炭素繊維シートであって、シート表面の炭素繊維結着部分に付着したバインダーの最大厚みが5μm以内である多孔質電極基材。
- 請求項1に記載の多孔質電極基材の厚みが80〜300μm、嵩密度が、0.18〜0.42g/cm3、貫通抵抗が、3.0〜7.0mΩ・cm2、厚み方向の透気度が、0.2〜7.1L/(m2・Pa・s)であり、少なくとも一方の面にカーボン粉と撥水剤からなるコーティング層を有する固体高分子形燃料電池用ガス拡散層。
- 請求項2に記載の固体高分子形燃焼電池用ガス拡散層のコーティング層上に電極触媒層を有する固体高分子形燃料電池用ガス拡散電極。
- 請求項1に記載の多孔質電極基材、請求項2に記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層、あるいは請求項3に記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散電極を用いた固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
- 以下の工程[1]〜[6]を含む、請求項2に記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
工程[1]:多孔質電極基材をシート流れ方向に沿って直径40〜150mmのロールに2〜180°の角度で抱かせ、10〜100N/mのシート張力にて走行せしめることで多孔質電極基材中に含まれる結合の弱い炭素粉を脱離させる工程。
工程[2]:上記工程[1]で得られた多孔質電極基材上の炭素粉および炭素繊維結着部分の余剰バインダーを線径0.05mm〜0.3mmの回転ブラシによって連続的に除去せしめる工程。
工程[3]:上記工程[2]で得られた多孔質電極基材上の炭素粉を除去せしめる工程。
工程[4]:上記工程[3]で得られた多孔質電極基材上に導電剤と撥水剤と界面活性剤および水からなるコーティング液を塗布することでコーティング層を形成する工程。
工程[5]:上記工程[4]にて多孔質電極基材上に形成したコーティング層を50〜150℃に加熱し、乾燥する工程。
工程[6]:上記工程[5]にてコーティング層を形成した多孔質電極基材を200〜400℃に加熱して撥水剤を焼結し、ガス拡散層を得る工程。 - 前記工程[1]に代えて下記工程[1’]を含む、請求項5に記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
工程[1’]:多孔質電極基材を、JIS‐Aゴム硬度A60〜A100のゴムロールとハードクロムメッキの施された金属ロールとで1〜10kNの荷重にてプレスすることで、多孔質電極基材中に含まれる結合の弱い炭素粉を脱離させる工程。 - 前記請求項5および6の工程[6]の後に、以下の工程[7]を含む、請求項3に記載の固体高分子形ガス拡散電極の製造方法。
工程[7]:コーティング層を形成したガス拡散層に電極触媒層を形成させる工程。 - 前記工程[1]の代わりに、多孔質電極基材を、JIS‐Aゴム硬度A60〜A100のゴムロールとハードクロムメッキの施された金属ロールとで1〜10kNの荷重にてプレスすることで、多孔質電極基材中に含まれる結合の弱い炭素粉を脱離させる工程を含む、請求項5に記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
- 前記工程[1]の代わりに、多孔質電極基材を、JIS‐Aゴム硬度A60〜A100のゴムロールとハードクロムメッキの施された金属ロールとで1〜10kNの荷重にてプレスすることで、多孔質電極基材中に含まれる結合の弱い炭素粉を脱離させる工程を含む、請求項6に記載の固体高分子形ガス拡散電極の製造方法。
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