以下、本発明に係る現像剤補給容器及び現像剤補給システムについて具体的に説明する。なお、以下において、特段の記載がない限り、発明の思想の範囲内において現像剤補給容器の種々の構成を同様な機能を奏する公知の他の構成に置き換えることが可能である。すなわち、特段の記載がない限り、後述する実施例に記載された現像剤補給容器の構成だけに限定する意図はない。
〔実施例1〕
まず、画像形成装置の基本構成について説明し、続いて、この画像形成装置に搭載される現像剤補給システムを構成する現像剤補給装置と現像剤補給容器の構成について順に説明する。
(画像形成装置)
現像剤補給容器(所謂、トナーカートリッジ)が着脱可能(取り外し可能)に装着される現像剤補給装置が搭載された画像形成装置の一例として、電子写真方式を採用した複写機(電子写真画像形成装置)の構成について図1を用いて説明する。
同図において、100は複写機本体(以下、画像形成装置本体もしくは装置本体という)である。また、101は原稿であり、原稿台ガラス102の上に置かれる。そして、原稿の画像情報に応じた光像を光学部103の複数のミラーMとレンズLnにより、電子写真感光体104(以下、感光体)上に結像させることにより静電潜像を形成する。この静電潜像は乾式の現像器(1成分現像器)201により現像剤(乾式粉体)としてのトナー(1成分磁性トナー)を用いて可視化される。
なお、本例では、現像剤補給容器1から補給すべき現像剤として1成分磁性トナーを用いた例について説明するが、このような例だけではなく、後述するような構成としても構わない。
具体的には、1成分非磁性トナーを用いて現像を行う1成分現像器を用いる場合、現像剤として1成分非磁性トナーを補給することになる。また、磁性キャリアと非磁性トナーを混合した2成分現像剤を用いて現像を行う2成分現像器を用いる場合、現像剤として非磁性トナーを補給することなる。なお、この場合、現像剤として非磁性トナーとともに磁性キャリアも併せて補給する構成としても構わない。
105〜108は記録媒体(以下、「シート」ともいう)Sを収容するカセットである。これらカセット105〜108に積載されたシートSのうち、複写機の液晶操作部から操作者(ユーザ)が入力した情報もしくは原稿101のシートサイズを基に最適なカセットが選択される。ここで記録媒体としては用紙に限定されずに、例えばOHPシート等適宜使用、選択できる。
そして、給送分離装置105A〜108Aにより搬送された1枚のシートSを、搬送部109を経由してレジストローラ110まで搬送し、感光体104の回転と、光学部103のスキャンのタイミングを同期させて搬送する。
111、112は転写帯電器、分離帯電器である。ここで、転写帯電器111によって、感光体104上に形成された現像剤による像をシートSに転写する。そして、分離帯電器112によって、現像剤像(トナー像)の転写されたシートSを感光体104から分離する。
この後、搬送部113により搬送されたシートSは、定着部114において熱と圧によりシート上の現像剤像を定着させた後、片面コピーの場合には、排出反転部115を通過し、排出ローラ116により排出トレイ117へ排出される。
また、両面コピーの場合には、シートSは排出反転部115を通り、一度排出ローラ116により一部が装置外へ排出される。そして、この後、シートSの終端がフラッパ118を通過し、排出ローラ116にまだ挟持されているタイミングでフラッパ118を制御すると共に排出ローラ116を逆回転させることにより、再度装置内へ搬送される。さらに、この後、再給送搬送部119,120を経由してレジストローラ110まで搬送された後、片面コピーの場合と同様の経路をたどって排出トレイ117へ排出される。
上記構成の装置本体100において、感光体104の回りには現像手段としての現像器201、クリーニング手段としてのクリーナ部202、帯電手段としての一次帯電器203等の画像形成プロセス機器が設置されている。なお、現像器201は原稿101の画像情報に基づき光学部103により感光体104に形成された静電潜像に現像剤を付着させることにより現像するものである。また、一次帯電器203は、感光体104上に所望の静電像を形成するため感光体表面を一様に帯電するためのものである。また、クリーナ部202は感光体104に残留している現像剤を除去するためのものである。
図2は、画像形成装置の外観図である。画像形成装置の外装カバーの一部である交換用カバー40を操作者が開けると、後述する現像剤補給装置8の一部が現れる。
そして、この現像剤補給装置8内に現像剤補給容器1を挿入(装着)することで、現像剤補給容器1は現像剤補給装置8へ現像剤を補給可能な状態にセットされる。一方、操作者が現像剤補給容器1を交換する際は、装着時とは逆の操作を行うことで現像剤補給装置8から現像剤補給容器1を取り出し(脱離し)、新たな現像剤補給容器1を再度セットすれば良い。ここでは、交換用カバー40は現像剤補給容器1を着脱(交換)するための専用カバーであって、現像剤補給容器1を着脱するためだけに開閉される。尚、装置本体100のメンテナンスは、前面カバー100cを開閉することにより行われる。
(現像剤補給装置)
次に、現像剤補給装置8について、図3、図4、図5を用いて説明する。図3は、現像剤補給装置8の概略斜視図である。図4は図3の裏側から見た現像剤補給装置8の概略斜視図である。図5は現像剤補給装置8の概略断面図である。
現像剤補給装置8には、現像剤補給容器1が取り外し可能(着脱可能)に装着される装着部(装着スペース)8fが設けられている。さらに、後述する現像剤補給容器1の排出口(排出孔)1cから排出された現像剤を受入れるための現像剤受入れ口(現像剤受入れ孔)8aが設けられている。なお、現像剤受入れ口8aの直径は、装着部8f内が現像剤により汚れてしまうのを可及的に防止する目的で、現像剤補給容器1の排出口1cと略同じにすることが望ましい。現像剤受入れ口8aと排出口1cの直径が同じなら、それぞれの口の内面以外に現像剤が付着して汚れることを防止することができるためである。
本例では、現像剤受入れ口8aは、現像剤補給容器1の排出口1cに合せて、微細口(ピンホール)とされており、約φ2mmに設定されている。
さらに、現像剤補給容器1の位置を固定するためのL字状の位置決めガイド(保持部材)8bが設けられており、この位置決めガイド8bにより現像剤補給容器1の装着部8fへの装着方向が矢印A方向となるように構成されている。なお、現像剤補給容器1の装着部8fからの取り外し方向は、矢印A方向とは逆方向となる。
また、現像剤補給装置8は、その下部に現像剤を一時的に溜めておくホッパ8gが設けられている。このホッパ8g内には、図5に示すように現像器201の一部である現像剤ホッパ部201aへ現像剤を搬送するための搬送スクリュー11と、現像剤ホッパ部201aと連通した開口8eが設けられている。また、本実施例においてホッパ8gの容積は130cm3となっている。
図1に示す現像器201は、上述したように、原稿101の画像情報に基づいて感光体104上に形成された静電潜像を、現像剤を用いて現像するものである。また、現像器201には、現像剤ホッパ部201aの他に、現像ローラ201fが設けられている。
この現像剤ホッパ部201aには、現像剤補給容器1から補給された現像剤を撹拌するための撹拌部材201cが設けられている。そして、この撹拌部材201cにより撹拌された現像剤は、搬送部材201dにより搬送部材201e側へと送られる。
そして、搬送部材201e、201bにより順に搬送されてきた現像剤は、現像ローラ201fに担持され、最終的に感光体104へと供給される。
また、現像剤補給装置8には、図3、図4に示すように、後述する現像剤補給容器1を駆動する駆動機構として機能する係止部材9とギア10を有している。
この係止部材9は、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8の装着部8fに装着された際に、現像剤補給容器1の駆動入力部として機能する後述する保持部材3と係止するように構成されている。
また、この係止部材9は、現像剤補給装置8の装着部8fに形成された長穴部8cに遊嵌されており、装着部8fに対し、図中、上下方向に移動可能な構成となっている。また、この係止部材9は、後述する現像剤補給容器1の保持部材3(図9参照)との差し込み性を考慮してその先端にテーパ部9dが設けられており、丸棒形状となっている。
さらに、この係止部材9の係止部9a(保持部材3と係合する係合部位)は、図4に示すレール部9bに繋がっており、レール部9bは現像剤補給装置8のガイド部8dにその両側端部が保持され、図中、上下方向に移動可能な構成となっている。
そして、レール部9bには、ギア部9cが設けられており、ギア10と係合している。また、このギア10は駆動モータ500と連結されている。従って、画像形成装置100に設けられた制御装置600により駆動モータ500の回転方向を周期的に逆転させる制御を行うことにより、係止部材9が、長穴部8cに沿って、図中、上下方向に往復動する構成となっている。
更に、詳細は後述するが、現像剤補給装置8からの取り外し時に現像剤補給容器1に設けられたロック部材55を回動させるための係合突起8jを有する。
(現像剤補給装置による現像剤補給制御)
次に現像剤補給装置8による現像剤補給制御について、図6、図7を用いて説明する。図6は制御装置600の機能構成を示すブロック図であり、図7は補給動作の流れを説明するフローチャートである。
本例では、後述する現像剤補給容器1の吸気動作に伴い現像剤補給装置8側から現像剤補給容器1内へと現像剤が逆流しないように、ホッパ8g内に一時的に貯留される現像剤の量(剤面の高さ)を制限している。そこで、本例では、ホッパ8g内に収容されている現像剤の量を検出する現像剤センサ8k(図5参照)を設けている。そして、図6に示すように、その現像剤センサ8kの出力に応じて制御装置600が駆動モータ500を作動/非作動の制御を行うことにより、ホッパ8g内に一定量以上の現像剤が収容されないように構成している。その制御フローについて説明する。まず図7に示すように、現像剤センサ8kがホッパ8g内の現像剤残量をチェックする(S100)。そして、現像剤センサ8kにより検出された現像剤収容量が所定未満であると判定された場合、つまり現像剤センサ8kにより現像剤が検出されなかった場合、駆動モータ500を駆動し、一定時間、現像剤の補給を実行する(S101)。
その結果、現像剤センサ8kにより検出された現像剤収容量が所定量に達したと判定された場合、つまり現像剤センサ8kにより現像剤が検出された場合、駆動モータ500の駆動をオフし、現像剤の補給動作を停止する(S102)。この補給動作の停止により、一連の現像剤補給工程が終了する。
このような現像剤補給工程は、画像形成に伴い現像剤が消費されてホッパ8g内の現像剤収容量が所定量未満となると、繰り返し実行される構成となっている。
なお、本例では、現像剤補給容器1から排出された現像剤を、ホッパ8g内に一時的に貯留し、その後、現像器201へ補給する構成としているが、以下のような現像剤補給装置の構成としても構わない。
特に装置本体100が低速機の場合には、本体のコンパクト化、低コスト化が要求される。この場合、図8に示すように現像剤補給容器1から現像剤を直接現像器201に補給する構成が望ましい。具体的には、上述したホッパ8gを省き、現像剤補給容器1から現像器201へ直接的に現像剤を補給する構成である。この図8は、現像剤補給装置として2成分現像器201を用いた例である。この現像器201には、現像剤が補給される撹拌室と現像ローラ201fへ現像剤を供給する現像室を有しており、撹拌室と現像室には現像剤搬送方向が互いに逆向きとなる搬送部材(スクリュー)201dが設置されている。そして、撹拌室と現像室は長手方向両端部において互いに連通しており、2成分現像剤はこれらの2つの部屋を循環搬送される構成となっている。また、撹拌室には現像剤中のトナー濃度を検出する磁気センサ201gが設置されており、この磁気センサ201gの検出結果に基づいて制御装置600が駆動モータ500の動作を制御する構成となっている。この構成の場合、現像剤補給容器1から補給される現像剤は、非磁性トナー、もしくは非磁性トナー及び磁性キャリアとなる。
本例では、後述するように、現像剤補給容器1内の現像剤は排出口1cから重力作用のみではほとんど排出されず、ポンプ部2による排気動作によって現像剤が排出されるため、排出量のばらつきを抑えることができる。そのため、ホッパ8gを省いた図8のような例であっても、同様に、後述する現像剤補給容器1の適用が可能である。
(現像剤補給容器)
次に、本実施例に係る現像剤補給容器1について、図9、図10を用いて説明する。図9(a)は現像剤補給容器1の概略斜視図、図9(b)は現像剤補給容器1のロック部材55を外した様子を示す斜視分解図である。また、図10は現像剤補給容器1の概略断面図である。
図9に示すように、現像剤補給容器1は、現像剤を収容する現像剤収容部として機能する容器本体1aを有している。なお、図10に示す1bは、容器本体1a内の現像剤が収容される現像剤収容スペースを示している。つまり、本例では、現像剤収容部として機能する現像剤収容スペース1bは、容器本体1aと後述するポンプ部2の内部スペースを合せたものとなる。本例では、体積平均粒径が5μm〜6μmの乾式粉体である1成分トナーが現像剤収容スペース1bに収容されている。
また、本例では、ポンプ部として、その容積が可変な容積可変型ポンプ部2を採用している。具体的には、ポンプ部2として、現像剤補給装置8から受けた駆動力により伸縮可能な蛇腹状の伸縮部(蛇腹部、伸縮部材)2aが設けられたものを採用している。このポンプ部2の伸縮部2aは、容積を増減させることで前記容器本体1aの内圧を変化させる容積可変部である。
本例の蛇腹状のポンプ部2は、図9、図10に示すように、「山折り」部と「谷折り」部が周期的に交互に設けられており、その折り目に沿って(その折り目を基点として)、折り畳まれたり伸びたりすることができる。従って、本例のように、蛇腹状のポンプ部2を採用した場合、伸縮量に対する容積変化量のばらつきを少なくすることができるので、安定した容積可変動作を行うことが可能となる。
ここで本実施例においては、現像剤収容スペース1bの全容積は480cm3で、そのうち、ポンプ部2の容積は160cm3(伸縮部2aが自然長の時)であり、本例ではポンプ部2を自然長から伸張する方向にポンピング動作を行う設定となっている。
また、ポンプ部2の伸縮部2aの伸縮による容積変化量は15cm3であり、ポンプ部2の最大伸張時の全容積は495cm3に設定されている。
なお、現像剤補給容器1には、240gの現像剤が充填されている。
また、係止部材9を駆動する駆動モータ500を制御装置600が制御することにより、容積変化速度が90cm3/sとなるように設定されている。なお、容積変化量、容積変化速度は現像剤補給装置8側からの要求排出量を鑑みて適宜設定することができる。
なお、本例のポンプ部2は、蛇腹状のものを採用しているが、現像剤収容スペース1b内の空気量(圧力)を変化させることができるポンプであれば、他の構成であっても構わない。例えば、ポンプ部2として、一軸偏芯スクリューポンプを用いる構成であっても構わない。この場合、一軸偏芯スクリューポンプによる吸排気を行うための開口が別途必要となり、その開口から現像剤が漏れ出てしまうのを防止するためのフィルタ等の機構が必要となってしまう。また一軸偏芯スクリューポンプを駆動する為のトルクが非常に高いことから画像形成装置本体100への負荷が増大する。従って、このような弊害の無い、蛇腹状のポンプの方がより好ましい。
また、現像剤収容スペース1bがポンプ部2の内部空間だけとなる構成であっても何ら構わない。つまり、この場合、ポンプ部2が現像剤収容スペース1bとしての機能も同時に果たすことになる。
また、ポンプ部2の接合部2bと容器本体1aの被接合部1iが熱溶着により一体化されており、ここから現像剤が漏れないように現像剤収容スペース1bの気密性が保たれるように構成されている。
さらに、現像剤補給容器1には、現像剤補給装置8の駆動機構と係合可能に設けられ、この駆動機構からポンプ部2を駆動するための駆動力が入力される駆動入力部(駆動受け部、駆動連結部、係合部)として、後述する保持部材3に一体に設けられた被係合部3bが設けられている。
具体的には、現像剤補給装置8の係止部材9と係止可能な被係合部3bは、ポンプ部2の上端に取り付けられている。現像剤補給容器1が装着部8f(図3参照)に装着された際にこの被係合部3bに係止部材9が差し込まれることで、両者が実質的に一体化する(差し込み性を考慮して僅かにガタがある)。これにより、図9に示すように、伸縮部2aの伸縮方向である矢印p方向、矢印q方向に対して被係合部3bと係止部材9の相対位置が固定される。なお、ポンプ部2と被係合部3bは、例えば、射出成形法やブロー成形法等を用いて一体形成されたものを用いるのがより好ましい。
このようにして係止部材9と実質的に一体化された被係合部3bは、係止部材9からポンプ部2の伸縮部2aを伸縮させるための駆動力が入力される。その結果、係止部材9の上下動に伴い、これに追従してポンプ部2の伸縮部2aを伸縮させることが可能となる。
つまり、ポンプ部2は、駆動入力部として機能する被係合部3bが受けた駆動力により排出口1cを通して現像剤補給容器の内部に向かう気流と現像剤補給容器から外部に向かう気流を交互に繰り返し発生させる気流発生機構として機能する。
なお、本例では、丸棒形状とされる係止部材9と丸穴形状とされる被係合部3bを用いて両者を実質的に一体化させる例としているが、伸縮部2aの伸縮方向(矢印p方向、矢印q方向)に対して互いの相対位置が固定できれば、他の構造としても構わない。例えば、被係合部3bを棒状部材としつつ係止部材9を係止穴とする例や、被係合部3bと係止部材9の断面形状を、三角形や四角形などの多角形や、楕円や星形などその他の形状とすることも可能である。または、従来公知の別の係止構成を採用しても構わない。
また、容器本体1aの下端部のフランジ部1gには、現像剤収容スペース1bにある現像剤の現像剤補給容器1外への排出を許容する排出口1cが形成されている。排出口1cについては詳細を後で説明する。
また、図10に示すように、容器本体1aの下部は排出口1cへ向かって傾斜面1fが形成されており、現像剤収容スペース1bに収容された現像剤は重力により傾斜面1fを滑り落ちて排出口1c近傍へ集まる形状となっている。本例では、この傾斜面1fの傾斜角度(現像剤補給容器1が現像剤補給装置8にセットされた状態における水平面とのなす角度)は、現像剤であるトナーの安息角よりも大きい角度に設定されている。
また、現像剤補給容器1は、排出口1cのみが現像剤補給容器1外部と連通しており、排出口1cを除いて実質密閉されている。
次に、排出口1cを開閉するシャッタ機構について図3、図10を用いて説明する。
現像剤補給容器1を輸送する際の現像剤漏れを防止するため、排出口1cの周囲を取り囲むように弾性体で形成されたシール部材4がフランジ部1gの下面に接着、固定されている。このシール部材4がフランジ部1gの下面との間で圧縮されるように、排出口1cを密閉するためのシャッタ5が設けられている。このシャッタ5は、付勢部材であるバネ(不図示)により閉鎖方向に常時付勢された状態(バネの伸び力で付勢)にある。
このシャッタ5は、現像剤補給容器1を装着する動作に連動して、現像剤補給装置8に形成された突き当て部8h(図3参照)の端面に突き当たることで、バネが縮み、開封が行われるように構成されている。このとき、現像剤補給容器1のフランジ部1gが、現像剤補給装置8側の位置決めガイド8bと突き当て部8hとの間に挿入され、現像剤補給容器1の側面1k(図9参照)が現像剤補給装置8のストッパ部8i(図3参照)に当接する。その結果、現像剤補給容器1の現像剤補給装置8に対する装着方向(矢印A方向)の位置が決まる(図17参照)。
このように、フランジ部1gが位置決めガイド8bにガイドされながら現像剤補給容器1の挿入動作が完了した時点で、排出口1cと現像剤受入れ口8aの位置が合致する。
また、現像剤補給容器1の挿入動作が完了した時点で、排出口1cと受入れ口8aの間はシール部材4(図17参照)により、外部へ現像剤が漏れないようシールされる。
そして、現像剤補給容器1の挿入動作に伴い、現像剤補給容器1の保持部材3の被係合部3bに係止部材9が差し込まれ、両者が一体化する。
また、このとき、現像剤補給容器1の現像剤補給装置8に対する装着方向(矢印A方向)と直交する方向(図3において上下方向)の位置も位置決めガイド8bのL字部によって決まる。つまり、位置決め部としてのフランジ部1gは現像剤補給容器1が上下方向(ポンプ部2の往復動方向)に動いてしまうのを防止する役目も果たしている。
ここまでが、現像剤補給容器1の一連の装着工程となる。つまり、操作者が交換用カバー40を閉じることで、装着工程が完了する。
なお、現像剤補給装置8からの現像剤補給容器1の取り外し工程は、上述した装着工程とは逆の手順で操作を行えば良い。
具体的には、交換用カバー40を開け、現像剤補給容器1を装着部8fから取り出せば良い。このとき、突き当て部8hによる干渉状態が解除されることで、バネ(不図示)によりシャッタ5が閉鎖される。
また、本例では、容器本体1a(現像剤収容スペース1b)の内圧を、大気圧(外気圧)よりも低くした状態(減圧状態、負圧状態)と、大気圧よりも高くした状態(加圧状態、正圧状態)とに所定の周期で交互に繰り返し変化させている。ここで大気圧(外気圧)は、現像剤補給容器1が設置された環境におけるものである。このように、容器本体1aの内圧を変化させることにより、排出口1cから現像剤を排出させる構成となっている。本例では、480cm3〜495cm3の間を約0.3秒の周期で変化(往復動)させる構成となっている。
容器本体1aの材質としては、内圧の変化に対して大きく潰れてしまったり、大きく膨らんでしまったりしない程度の剛性を有したものを採用するのが好ましい。
そこで、本例では、容器本体1aの材質としてポリスチレン樹脂を採用し、ポンプ部2の材質としてポリプロピレン樹脂を用いている。
なお、使用する材質に関して、容器本体1aは圧力に耐えうる素材であれば、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂を使用することが可能である。また、金属製であっても構わない。
また、ポンプ部2の材質に関しては、伸縮機能を発揮し容積変化によって現像剤収容スペース1bの内圧を変化させることができる前提の材料であれば良い。例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレン等を肉薄で形成したものでも構わない。また、ゴムや、その他の伸縮性材料などを使用することも可能である。
なお、樹脂材料の厚みを調整するなどして、容器本体1a、ポンプ部2のそれぞれが上述した機能を満たすのであれば、容器本体1aとポンプ部2を同じ材質で、例えば、射出成形法やブロー成形法等を用いて一体的に成形されたものを用いても構わない。
また、本例では、現像剤補給容器1は、外部とは排出口1cを通じてのみ連通しており、排出口1cを除き外部から実質密閉された構成としている。つまり、ポンプ部2により現像剤補給容器1の内圧を加圧、減圧させて排出口1cから現像剤を排出する構成を採用していることから、安定した排出性能が保たれる程度の気密性が求められる。
一方、現像剤補給容器1を運搬する(特に、空輸)際や長期間保存する際に、環境の急激な変動により容器の内圧が急激に変動してしまう恐れがある。例えば、標高の高い地域で使用する場合や、気温の低い場所に保管されていた現像剤補給容器1を気温の高い室内に持ち込み使用する場合など、現像剤補給容器1の内圧が大気圧に対して加圧状態になってしまう恐れがある。このような事態になると、容器が変形したり、開封時に現像剤が噴出してしまう等の問題が生じ得る。
そこで、本例では、その対策として、現像剤補給容器1に直径φが3mmの開口を形成し、この開口にフィルタを設けている。フィルタとしては、外部への現像剤漏れは防止しつつ容器内外の通気を許容する特性を備えた、日東電工株式会社製のTEMISH(登録商標名)を用いた。なお、本例では、このような対策を施してはいるが、ポンプ部2による排出口1cを介した吸気動作並びに排気動作への影響は無視することができ、事実上、現像剤補給容器1の気密性は保たれていると言える。
(現像剤補給容器の排出口について)
本例では、現像剤補給容器1の排出口1cについて、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に現像剤を補給する姿勢のとき、重力作用のみでは十分に排出されない程度の大きさに設定している。つまり、排出口1cの開口サイズは、重力作用のみでは現像剤補給容器から現像剤の排出が不充分となる程度に小さく設定している(微細口(ピンホール)とも言う)。言い換えると、排出口1cが現像剤で実質閉塞されるようにその開口の大きさを設定している。これにより、(1)排出口1cから現像剤が漏れ難くなる、(2)排出口1cを開放した際の現像剤の過剰排出を抑制できる、(3)現像剤の排出をポンプ部による排気動作に支配的に依存させることができる、という効果を期待できる。
そこで、本発明者等は、重力作用のみで十分に排出されない排出口1cをどのくらいの大きさに設定すべきか、検証実験を行った。以下、その検証実験(測定方法)とその判断基準を以下に説明する。
底部中央に排出口(円形状)が形成された所定容積の直方体容器を用意し、容器内に現像剤を200g充填した後、充填口を密閉し排出口を塞いだ状態で容器をよく振って現像剤を十分に解す。この直方体容器は、容積が約1000cm3、大きさは、縦90mm×横92mm×高さ120mmとなっている。
その後、可及的速やかに排出口を鉛直下方に向けた状態で排出口を開封し、排出口から排出された現像剤の量を測定する。このとき、この直方体容器は、排出口以外は完全に密閉されたままの状態とする。また、検証実験は温度24℃、相対湿度55%の環境下で行った。
上記手順で、現像剤の種類と排出口の大きさを変えて排出量を測定する。なお、本例では、排出された現像剤の量が2g以下である場合、その量は無視できるレベルであり、その排出口が重力作用のみでは十分に排出されない大きさであると判断した。
検証実験に用いた現像剤を表1に示す。現像剤の種類は、1成分磁性トナー、2成分現像器に用いられる2成分非磁性トナー、2成分現像器に用いられる2成分非磁性トナーと磁性キャリアの混合物である。
これらの現像剤の特性を表す物性値として、流動性を示す安息角の他に、粉体流動性分析装置(Freeman Technology社製 パウダーレオメータFT4)により、現像剤層の解れ易さを示す流動性エネルギーについて測定した。
この流動性エネルギーの測定方法について図11を用いて説明する。ここで図11は流動性エネルギーを測定する装置の模式図である。
この粉体流動性分析装置の原理は、粉体サンプル中でブレードを移動させ、そのブレードが粉体中を移動するのに必要な流動性エネルギーを測定するものである。ブレードはプロペラ型で、回転すると同時に回転軸方向にも移動するためブレードの先端は螺旋を描くことになる。
プロペラ型のブレード51(以下、ブレードと呼ぶ)として、径が48mmで、反時計回りになめらかにねじられたSUS製のブレード(型番:C210)を使用した。詳細には、48mm×10mmのブレード板の中心にブレード板の回転面に対して法線方向に回転軸が存在し、ブレード板の両最外縁部(回転軸から24mm部分)のねじれ角が70°、回転軸から12mmの部分のねじれ角が35°となっている。
流動性エネルギーとは、粉体層中に上述の如く螺旋状に回転するブレード51を侵入させ、ブレードが粉体層中を移動する際に得られる回転トルクと垂直荷重の総和を時間積分して得られたトータルエネルギーを指す。この値が、現像剤粉体層の解れ易さを表しており、流動性エネルギーが大きい場合は解れにくく、流動性エネルギーが小さい場合は解れ易いことを意味している。
今回の測定では、図11に示す通り、この装置の標準部品であるφが50mmの円筒容器50(容積200cm3、図11のL1=50mm)に各現像剤Tを粉面高さ70mm(図11のL2)となるように充填した。充填量は、測定する嵩密度に合せて調整する。更に、標準部品であるφ48mmのブレード51を粉体層に侵入させ、侵入深さ10〜30mm間に得られたエネルギーを表示する。
測定時の設定条件としては、ブレード51の回転速度(tip speed。ブレードの最外縁部の周速)を60mm/s、また、粉体層への鉛直方向のブレード進入速度を、移動中のブレード51の最外縁部が描く軌跡と粉体層表面とのなす角θ(helix angle。以後なす角と呼ぶ)が10°になるスピードとした。粉体層への垂直方向の進入速度は11mm/sである(粉体層への鉛直方向のブレード進入速度=ブレードの回転速度×tan(なす角×π/180))。また、この測定についても温度24℃、相対湿度55%の環境下で行った。
なお、現像剤の流動性エネルギーを測定する際の現像剤の嵩密度は、現像剤の排出量と排出口の大きさとの関係を検証する実験の際の嵩密度に近く、嵩密度の変化が少なく安定して測定ができる嵩密度として0.5g/cm3に調整した。
このようにして測定された流動性エネルギーをもつ現像剤(表1)について、検証実験を行った結果を図12(a)に示す。図12(a)は、排出口の径と排出量との関係を、現像剤の種類毎に示したグラフである。
図12(a)に示す検証結果より、現像剤A〜Eについて、排出口の直径φが4mm(開口面積が12.6mm2:円周率は3.14で計算、以下同じ)以下であれば、排出口からの排出量が2g以下になることが確認された。排出口の直径φが4mmよりも大きくなると、いずれの現像剤とも、排出量が急激に多くなることが確認された。
つまり、現像剤の流動性エネルギー(嵩密度が0.5g/cm3)が4.3×10−4(kg・m2/s2(J))以上4.14×10−3(kg・m2/s2(J))以下のとき、排出口の直径φが4mm(開口面積が12.6(mm2))以下であれば良い。
また、現像剤の嵩密度については、この検証実験では十分に現像剤を解して流動化した状態で測定を行っており、通常の使用環境で想定される状態(放置された状態)よりも嵩密度が低く、より排出し易い条件で測定を行っている。
次に、図12(a)の結果から最も排出量が多くなる現像剤Aを用いて、排出口の直径φを4mmに固定して、容器内の充填量を30〜300gに振って、同様の検証実験を行った。その検証結果を図12(b)に示す。図12(b)の検証結果から、現像剤の充填量を変化させても、排出口からの排出量はほとんど変わらないことが確認できた。
以上の結果から、排出口をφ4mm(面積12.6mm2)以下にすることで、現像剤の種類や嵩密度状態に依らず、排出口を下にした状態(現像剤補給装置8への補給姿勢を想定)で、排出口から重力作用のみでは十分に排出されないことが確認できた。
一方、排出口1cの大きさの下限値としては、現像剤補給容器1から補給すべき現像剤(1成分磁性トナー、1成分非磁性トナー、2成分非磁性トナー、2成分磁性キャリア)が少なくとも通過できる値に設定するのが好ましい。つまり、現像剤補給容器1に収容されている現像剤の粒径(トナーの場合は体積平均粒径、キャリアの場合は個数平均粒径)よりも大きい排出口にするのが好ましい。例えば、補給用の現像剤に2成分非磁性トナーと2成分磁性キャリアが含まれている場合、大きい方の粒径、つまり、2成分磁性キャリアの個数平均粒径よりも大きな排出口にするのが好ましい。
具体的には、補給用の現像剤に2成分非磁性トナー(体積平均粒径が5.5μm)及び2成分磁性キャリア(個数平均粒径が40μm)が含まれている場合、排出口1cの径を0.05mm(開口面積0.002mm2)以上に設定するのが好ましい。
但し、排出口1cの大きさを現像剤の粒径に近い大きさに設定してしまうと、現像剤補給容器1から所望の量を排出させるのに要するエネルギー、つまり、ポンプ部2を動作させるのに要するエネルギーが大きくなってしまう。また、現像剤補給容器1の製造上においても制約が生じる場合がある。射出成形法を用いて樹脂部品に排出口1cを成形するには、排出口1cの部分を形成する金型部品の耐久性が厳しくなってしまう。以上から、排出口1cの直径φは0.5mm以上に設定するのが好ましい。
なお、本例では、排出口1cの形状を円形状としているが、このような形状に限定されるものでは無い。つまり、直径が4mmの場合に相当する開口面積である12.6mm2以下の開口面積を有する開口であれば、正方形、長方形、楕円や、直線と曲線を組合せた形状等、に変更可能である。
但し、円形状の排出口は、開口の面積を同じとした場合、他の形状に比べて現像剤が付着して汚れてしまう開口の縁の周長が最も小さい。そのため、シャッタ5の開閉動作に連動して広がってしまう現像剤の量も少なく、汚れ難い。また、円形状の排出口は、排出時の抵抗も少なく最も排出性が高い。従って、排出口1cの形状としては、排出量と汚れ防止のバランスが最も優れた円形状がより好ましい。
以上より、排出口1cの大きさについては、排出口1cを鉛直下方に向けた状態(現像剤補給装置8への補給姿勢を想定)で、重力作用のみで十分に排出されない大きさが好ましい。具体的には、排出口1cの直径φは、0.05mm(開口面積0.002mm2)以上4mm(開口面積12.6mm2)以下の範囲に設定するのが好ましい。さらに、排出口1cの直径φは、0.5mm(開口面積0.2mm2)以上4mm(開口面積12.6mm2)以下の範囲に設定するのがより好ましい。本例では、以上の観点から、排出口1cを円形状とし、その開口の直径φを2mmに設定している。
なお、本例では、排出口1cの数を1個としているがそれに限るものではなく、それぞれの開口面積が上述した開口面積の範囲を満足するように、排出口1cを複数設ける構成としても構わない。例えば、直径φが2mmの1つの現像剤受入れ口8aに対して、直径φが0.7mmの排出口1cを2つ設ける構成である。但し、この場合、現像剤の排出量(単位時間当たり)が低下してしまう傾向となるため、直径φが2mmの排出口1cを1つ設ける構成の方がより好ましい。
(規制部)
次に、ポンプ部2の容積変化を規制する規制部(規制機構、ポンプ位置固定機構)について、図9を用いて説明する。規制部は、ポンプ部2の最初の動作周期において排出口1cから現像剤収容スペース1b内へエアーが取り込まれるように前記ポンプ部2の動作開始時の位置(伸縮状態)を規制する。なお、ここで、ポンプ部の「最初」の動作周期とは、新品の現像剤補給容器を現像剤受入れ装置へ装着後、排出口から現像剤を排出させるにあたり、初めてポンプ部が動作する際の1周期目のことを言う。
本実施例において、ポンプ部2の規制部は、保持部材3とロック部材(被係合部材)55で構成されており、保持部材3はロック部材55と係合することで移動不可に規制され、ポンプ部2の状態を保持する役割を果たす。
以下、規制部の具体構成を説明する。図9に示すように、保持部材3はコの字形状となっており、ポンプ部2の上端面から容器本体1aの両側面に向かって伸びている。また、保持部材3の容器本体1a近傍に、係合突起3aが設けられている。更に、前述のように係止部材9の係止部9aと係合する被係合部3bが設けられている。
一方、ロック部材55は、図9に示すように、容器本体1aの両側面に設けられた回転軸1jに回転支持部55cが係合することで、容器本体1aに対して回転自在に設置されている。また、ロック部材55は、保持部材3の係合突起(係合部)3aが嵌り込む係合溝(被係合部)55aと、現像剤補給装置8の係合突起(係合部)8j(図3参照)が嵌り込む係合溝(被係合部)55bが設けられている。
(現像剤補給容器装脱着動作)
次に、図13、図14を用いて現像剤補給容器1の装着動作について説明する。ここで、図13(a)、(b)は現像剤補給容器1の装着途中の各部の状態を示す図、図14(a)、(b)は現像剤補給容器1の装着完了時の各部の状態を示す図である。
現像剤補給容器1は、図13(a)に示すように、現像剤補給装置8に装着する前はポンプ部2が縮んだ状態で規制されている。この際、図13(b)に示すように、保持部材3の係合突起3aがロック部材55に設けられた係合溝55aに嵌り、保持部材3はポンプ部2の弾性復元力により矢印p方向への付勢力を受けている。この付勢力により回転支持部55cと回転軸1jの間に摩擦力が働き、物流やオペレータの不用意な操作では簡単にロック部材55が回転しないようになっている。
この状態の現像剤補給容器1を現像剤補給装置8に装着していくと、図13(a)に示すように、挿入途中で係止部材9の係止部9aと保持部材3の被係合部3bが係合する。一方、現像剤補給容器1のフランジ部1gと現像剤補給装置8の位置決めガイド8bが係合することにより、排出口(現像剤補給口)1cと現像剤受入れ口8aの位置合わせが行われる。また同時に、図13(b)に示すように、現像剤補給装置8の係合突起8jがロック部材55の係合溝55bに入り込む。その後、更に現像剤補給容器1を挿入すると、係合突起8jが係合溝55bの壁55b1を押すことにより、ロック部材55を図中矢印F方向へ回転させる。そして装着完了時は、ロック部材55は図14(b)に示す位置に回転し、係合突起3aは係合溝55aから矢印p方向に脱着可能な状態となり、ポンプ部2の規制は解除される。
なお、図13(b)において、係合突起8jと壁55b1が当接する位置をロック部材55の回転中心から離れた位置に設定することにより、より軽い力でロック部材55を回転させることができる。本構成はオペレータが現像剤補給装置8に現像剤補給容器1を装着する動作を利用してロック部材55を回転させるため、上記のように設定することで、現像剤補給容器1の装着力を調整することが出来る。ここは本体のスペースや、ロック部材55の回転角度等に応じて適宜設定することが出来る。
そして、図14(b)に示すように、排出口(現像剤補給口)1cと現像剤受け入れ口8aが連通したところで、現像剤補給容器1の装着動作は終了する。
また、現像剤補給容器1の取り外しは、上記装着動作の逆の手順で行われる。具体的には、補給動作が終わると係止部材9は後述するように装着時の位置に制御されるため、係合突起3aは図14(b)に示すような係合溝55a内に挿入した状態になっている。この状態で現像剤補給容器1の取り外しを行うと、現像剤補給装置8の係合突起8jが係合溝55aの壁55b2を押し、ロック部材55が矢印F方向の逆方向に回転する。その結果、図13(b)に示すように、係合突起3aが係合溝55aに嵌り込み、係合突起3aの移動は再び規制された状態となる。従って、結果的にポンプ部2の動作も規制される。
(現像剤補給工程)
次に、図15〜図18を用いて、ポンプ部2による現像剤補給工程について説明する。図15はポンプ部2の伸縮部2aが縮んだ状態を示す概略斜視図である。図16はポンプ部2の伸縮部2aが伸びた状態を示す概略斜視図である。図17はポンプ部2の伸縮部2aが縮んだ状態を示す概略断面図である。図18はポンプ部2の伸縮部2aが伸びた状態を示す概略断面図である。
本例では、後述するように、吸気工程(排出口1cを介した吸気動作)と排気工程(排出口1cを介した排気動作)が交互に繰り返し行われるように、駆動変換機構により回転力の駆動変換が行われる構成となっている。以下、吸気工程と排気工程について、順に、詳細に説明する。
まず、ポンプ部を用いた現像剤の排出原理について説明する。
ポンプ部2の伸縮部2aの動作原理は上述した通りである。再度述べると、図10に示すように、伸縮部2aの下端は容器本体1aに接合されている。また、この容器本体1aは下端のフランジ部1gを介して現像剤補給装置8の位置決めガイド8bにより、矢印p方向、矢印q方向(必要に応じて図9参照)への移動が阻止された状態となる。そのため、容器本体1aと接合されている伸縮部2aの下端は、現像剤補給装置8に対して上下方向の位置が固定された状態になる。
一方、伸縮部2aの上端は保持部材3を介して係止部材9に係止されており、この係止部材9が上下動することで、矢印p方向、矢印q方向へと往復動する。
従って、ポンプ部2の伸縮部2aは、下端が固定された状態にあるので、それよりも上側の部分が伸縮動作を行うことになる。
次に、ポンプ部2の伸縮部2aの伸縮動作(排気動作及び吸気動作)と現像剤排出との関係について説明する。
(排気動作)
まず、排出口1cを介した排気動作について説明する。
図15に示すように、係止部材9が下方へ移動することに伴い、伸縮部2aの上端が矢印q方向へ変位する(伸縮部が縮む)ことで、排気動作が行われる。具体的には、この排気動作に伴い現像剤収容スペース1bの容積が減少していく。その際、容器本体1aの内部は排出口1cを除き密閉されており、現像剤が排出されるまでは、排出口1cが現像剤で実質的に塞がれた状態となっている。そのため、現像剤収容スペース1b内の容積が減少していくことで現像剤収容スペース1bの内圧が上昇していく。
このとき、現像剤収容スペース1bの内圧はホッパ8g内の圧力(大気圧とほぼ同等)よりも大きくなる。すなわち、現像剤収容スペース1bの内圧が大気圧よりも高い状態になる。そのため、図17に示すように、現像剤Tは、現像剤収容スペース1bとホッパ8gとの圧力差(大気圧に対する差圧)により、空気圧で押し出される。つまり、現像剤収容スペース1bからホッパ8gへと現像剤Tが排出される。図17の矢印は、現像剤収容スペース1b内の現像剤Tへ作用する力の方向を示したものである。
その後、現像剤Tとともに現像剤収容スペース1b内のエアーも排出されていくため、現像剤収容スペース1bの内圧は低下していく。
(吸気動作)
次に、排出口1cを介した吸気動作について説明する。
図16に示すように、係止部材9が上方へ移動することに伴い、ポンプ部2の伸縮部2aの上端が矢印p方向へ変位する(伸縮部が伸びる)ことで、吸気動作が行われる。具体的には、この吸気動作に伴い現像剤収容スペース1bの容積が増大していく。その際、容器本体1aの内部は排出口1cを除き密閉された状態となっており、排出口1cが現像剤で実質的に塞がれた状態となっている。そのため現像剤収容スペース1b内の容積増加に伴い、現像剤収容スペース1bの内圧が減少していく。
このとき、現像剤収容スペース1bの内圧はホッパ8gの内圧(大気圧とほぼ同等)よりも小さくなる。すなわち、現像剤収容スペース1bの内圧が大気圧よりも低い状態になる。そのため、図18に示すように、ホッパ8g内の上部にあるエアーが、現像剤収容スペース1bとホッパ8gの圧力差(大気圧に対する差圧)により、排出口1cを通って現像剤収容スペース1b内へと移動する。図18の矢印は、現像剤収容スペース1b内の現像剤Tへ作用する力の方向を示している。また、図18の楕円で示したzは、ホッパ8gから取り込まれたエアーを模式的に示したものである。
その際、排出口1cを通して現像剤補給装置8側からエアーが取り込まれるため、排出口1c近傍に位置する現像剤を解すことができる。具体的には、排出口1c近傍に位置する現像剤に対して、エアーを含ませることで嵩密度を低下させ、現像剤を流動化させることができる。
このように、現像剤を流動化させておくことにより、次の排気動作時に、排出口1cから現像剤を閉塞することなく排出させることが可能となるのである。従って、排出口1cから排出される現像剤Tの量(単位時間当たり)を、長期に亘り、ほぼ一定とすることが可能となる。
(現像剤収容部の内圧の推移)
次に、現像剤補給容器1の内圧がどのように変化しているかについての検証実験を行った。以下、この検証実験について説明する。
現像剤補給容器1内の現像剤収容スペース1bが現像剤で満たされるように現像剤を充填した上で、ポンプ部2を15cm3の容積変化量で伸縮させた際の、現像剤補給容器1の内圧の推移を測定した。現像剤補給容器1の内圧の測定は、現像剤補給容器1に圧力計(株式会社キーエンス社製、型名:AP−C40)を接続して行った。
現像剤を充填した現像剤補給容器1のシャッタ5を開いて排出口1cを外部のエアーと連通可能とした状態で、ポンプ部2を伸縮動作させている際の圧力変化の推移を図19に示す。
図19において、横軸は時間を示し、縦軸は大気圧(基準(0))に対する現像剤補給容器1内の相対的な圧力を示している(+が正圧側、−が負圧側を示している)。
現像剤補給容器1の容積が増加し、現像剤補給容器1の内圧が外部の大気圧に対して負圧になると、その気圧差(大気圧に対する差圧)により排出口1cからエアーが取り込まれる。また、現像剤補給容器1の容積が減少し、現像剤補給容器1の内圧が大気圧に対して正圧になると、その気圧差(大気圧に対する差圧)により現像剤補給容器1内部の現像剤に圧力が掛かる。このとき、現像剤及びエアーが排出された分だけ内部の圧力が緩和される。
この検証実験により、現像剤補給容器1の容積が増加することで現像剤補給容器1の内圧が外部の大気圧に対して負圧になり、その気圧差によりエアーが取り込まれることを確認できた。また、現像剤補給容器1の容積が減少することで現像剤補給容器1の内圧が大気圧に対して正圧になり、その気圧差により容器内部の現像剤に圧力が掛かることで現像剤が排出されることを確認できた。この検証実験では、負圧側の圧力の絶対値は1.3kPa、正圧側の圧力の絶対値は3.0kPaであった。
このように、本例の構成の現像剤補給容器1であれば、ポンプ部2による吸気動作と排気動作に伴い現像剤補給容器1の内圧が負圧状態と正圧状態とに交互に切り替わり、現像剤の排出を適切に行うことが可能となることが確認された。
以上説明した通り、本例では、現像剤補給容器1に吸気動作と排気動作を行う簡易なポンプを設けたことで、エアーによる現像剤の解し効果を得ながら、エアーによる現像剤の排出を安定的に行うことができる。
つまり、本例の構成であれば、排出口1cの大きさが極めて小さい場合であっても、現像剤を嵩密度の小さい流動化した状態で排出口1cを通過させることが出来るため、現像剤に大きなストレスをかけることなく、高い排出性能を確保することができる。
また、本例では、容積可変型のポンプ部2の内部を現像剤収容スペース1bとして利用する構成としているため、ポンプ部2の容積を増大させて内圧を減圧させる際に、新たな現像剤収容空間を形成することができる。従って、ポンプ部2の内部が現像剤で満たされている場合であっても、簡易な構成で、現像剤にエアーを含ませて、嵩密度を低下させることができる(現像剤を流動化させることができる)。よって、現像剤補給容器1に現像剤を従来以上に高密度に充填させることが可能となる。
なお、以上のように、ポンプ部2の内部空間を現像剤収容スペース1bとして使用せずに、フィルタ(エアーは通過できるもののトナーは通過できないフィルタ)によりポンプ部2と現像剤収容スペース1bとの間を仕切る構成としても構わない。但し、ポンプの容積増大時に新たな現像剤収容空間を形成することができる点で、上述した実施例の構成の方がより好ましい。
(吸気工程における現像剤の解し効果について)
次に、吸気工程での排出口1cを介した吸気動作による現像剤の解し効果について検証を行った。なお、排出口1cを介した吸気動作に伴う現像剤の解し効果が大きければ、小さな排気圧(少ないポンプ容積変化量)で、次の排気工程において現像剤補給容器1内の現像剤の排出をただちに開始させることができる。従って、本検証は、本例の構成であれば、現像剤の解し効果が顕著に高まることを示すためのものである。以下、詳しく説明する。
図20(a)、図21(a)に検証実験に用いた現像剤補給システムの構成を簡易に示したブロック図を示す。図20(b)、図21(b)は現像剤補給容器内で生じる現象を示す概略図である。なお、図20は本例と同様な方式の場合であり、現像剤補給容器Cに現像剤収容部C1とともにポンプ部Pが設けられている。そして、ポンプ部Pの伸縮動作により現像剤補給容器Cの排出口(本例と同様な排出口1c(不図示))を介した吸気動作と排気動作を交互に行い、ホッパHに現像剤を排出するものである。一方、図21は比較例の方式の場合であり、ポンプ部Pを現像剤補給装置側に設け、ポンプ部Pの伸縮動作により現像剤収容部C1への送気動作と現像剤収容部C1からの吸引動作を交互に行い、ホッパHに現像剤を排出させるものである。なお、図20、図21において、現像剤収容部C1、ホッパHは同じ内容積であり、ポンプ部Pも同じ内容積(容積変化量)となっている。
まず、現像剤補給容器Cに200gの現像剤を充填する。
次に、現像剤補給容器Cの物流後の状態を想定して15分間に亘り加振を行った後、ホッパHに接続する。
そして、ポンプ部Pを動作させて、排気工程において直ちに現像剤を排出開始させるために必要となる吸気工程の条件として、吸気動作時に達する内圧のピーク値を測定した。なお、図20の場合は現像剤収容部C1の容積が480cm3となる状態、図21の場合はホッパHの容積が480cm3となる状態を各々ポンプ部Pの動作をスタートさせる位置としている。
また、図21の構成での実験は、図20の構成と空気容積の条件を揃えるため、予めホッパHに200gの現像剤を充填した上で行った。また、現像剤収容部C1及びホッパHの内圧は、それぞれに圧力計(株式会社キーエンス社製、型名:AP−C40)を接続することで測定を行った。
検証の結果、図20に示す本例と同様な方式では、吸気動作時の内圧のピーク値(負圧)の絶対値が少なくとも1.0kPaであれば、次の排気工程において現像剤を直ちに排出開始させることができた。一方、図21に示す比較例の方式では、送気動作時の内圧のピーク値(正圧)が少なくとも1.7kPaでないと、次の排気工程において現像剤を直ちに排出開始させることができなかった。
つまり、図20に示す本例と同様な方式であれば、ポンプ部Pの容積増加に伴い吸気が行われることから、現像剤補給容器Cの内圧を大気圧(容器外の圧力)よりも低い負圧側にすることができ、現像剤の解し効果が顕著に高いことが確認された。これは、図20(b)に示すように、ポンプ部Pの伸張に伴い現像剤補給容器Cの容積が増加することにより、現像剤層Tの上部の空気層Rが大気圧に対して減圧状態となるからである。そのため、この減圧作用により現像剤層Tの体積が膨張する方向に力が働くため(波線矢印)、現像剤層を効率的に解すことが可能となるのである。さらに、図20の方式においては、この減圧作用により、現像剤補給容器C内へ外部からエアーが取り込まれることになり(白抜き矢印)、このエアーが空気層Rへ到達する際にも現像剤層Tが解されることになり、非常に優れたシステムと言える。現像剤補給容器C内の現像剤が解されている証拠に、本実験では吸気動作時に現像剤補給容器C内の現像剤全体の見かけ体積が増加している現象を確認した(現像剤の上面が上に動く現象)。
一方、図21に示す比較例の方式では、現像剤収容部C1への送気動作に伴い現像剤補給容器Cの内圧が高まり大気圧よりも高い正圧側となってしまい現像剤が凝集してしまうため、現像剤の解し効果が認められなかった。これは、図21(b)に示すように、現像剤補給容器Cの外部からエアーが強制的に送り込まれるため、現像剤層Tの上部の空気層Rが大気圧に対して加圧状態となるからである。そのため、この加圧作用により、現像剤層Tの体積が収縮する方向に力が働くため(波線矢印)、現像剤層Tが圧密化してしまうのである。実際、比較例では吸気動作時に現像剤補給容器C内の現像剤全体の見かけ体積が増加する現象を確認することが出来なかった。従って、図21の方式においては、現像剤層Tの圧密化により、その後の現像剤排出工程を適切に行うことができない恐れが高い。
また、上記した空気層Rが加圧状態となることによる現像剤層Tの圧密化を防ぐ為に、空気層Rに相当する部位にエア抜き用のフィルタ等を設けて、圧力上昇を低減することも考えられるが、フィルタ等の透気抵抗分は空気層Rの圧力が上昇してしまう。また、圧力上昇を仮に無くしたとしても、上述した空気層Rを減圧状態とすることによる解し効果は得られない。
以上から、図20に示す本例の方式を採用することにより、ポンプ部の容積増加に伴う「排出口を介した吸気動作」が果たす役割が大きいことが確認された。
以上のように、ポンプ部2が排気動作と吸気動作を、交互に繰り返し行うことにより、現像剤補給容器1の排出口1cから現像剤の排出を効率良く行うことが可能となる。つまり、本例では、排気動作と吸気動作を同時に並行して行うのではなく、交互に繰り返し行う構成としているので、現像剤の排出に要するエネルギーを可及的に少なくすることができる。
一方、従来のように現像剤補給装置側に送気用のポンプと吸引用のポンプを別々に設けた場合には、2つのポンプの動作を制御する必要があり、特に急速に送気と吸気を交互に切り換えることは容易ではない。
従って、本例では、1つのポンプを用いて現像剤の排出を効率良く行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易化することができる。
なお、上述したようにポンプの排気動作と吸気動作を交互に繰り返すことで現像剤の排出を効率良く行うことができるが、排気動作、吸気動作を途中で一度停止して、再び動作させても構わない。
例えば、ポンプの排気動作を一気に行うのではなく、ポンプの圧縮動作を途中で一度停止して、その後再び圧縮して排気しても良い。吸気動作も同様である。更に、排出量及び排出速度を満足する前提で、各動作を多段階にしても構わない。ただし、あくまでポンプの動作は多段階に分割した排気動作の後、吸気動作を行い、基本的に排気動作と吸気動作を繰り返すことに変わりは無い。
また、本例では、現像剤収容スペース1bの内圧を減圧状態にすることにより排出口1cからエアーを取り込み現像剤を解している。一方、上述した比較例では、現像剤補給容器1外部から現像剤収容スペース1bにエアーを送り込むことにより現像剤を解しているが、その際、現像剤収容スペース1bの内圧は加圧状態となっており、現像剤が凝集してしまう。つまり、現像剤を解す効果としては現像剤が凝集しにくい減圧状態で解すことができる本例の方が好ましい。
(補給開始時の現像剤の解し効果について)
現像剤補給容器1内の現像剤は、前述のように、長期放置等の影響により含んでいた空気が抜けて圧密される場合がある。特に、新品の現像剤補給容器1は、ユーザー先までの物流移送中に振動が加わったり、高温高湿下に長期間放置保管されたりすることで、実際の使用時には現像剤が圧密している可能性がより高い。このような状態の現像剤補給容器1において、ポンプ部2を図18に示す状態から容積を小さくする方向に動作させて補給動作を開始させると、容積の減少により現像剤補給容器1内は加圧されるため、内部の現像剤は更に圧密されてしまう。その結果、排出口(現像剤補給口)1c周辺の現像剤が閉塞して、現像剤の排出不良が発生する恐れがある。また、排出口1cが詰まると、ポンプ部2の動作に大きな駆動負荷が生じてしまうことになる。
一方、ポンプ部2を図17に示す状態から容積を大きくする方向に動作させて補給動作を開始させると、前述のように、排出口1cから現像剤補給容器1内に空気が取り込まれる。その結果、排出口1c周辺の圧密された現像剤は流動化され、解される。そしてその直後にポンプ部2を容積が小さくする方向に動作させれば、解された現像剤は排出口1cからスムーズに排出される。
従って、現像剤補給容器1の現像剤補給動作における最初の動作は、ポンプ部2の容積を大きくする方向に動作させて、空気を取り込む段階であることが好ましい。
本実施例において、現像剤補給容器1は、前述のような規制部(保持部材3、ロック部材55)により現像剤補給動作開始前のポンプ部2の状態を規制することが可能である。すなわち、ポンプ部2の最初の動作周期において排出口1cから現像剤収容スペース1b内へエアーが取り込まれるように前記ポンプ部2の動作開始時の位置を図17に示す位置に規制することが可能である。従って、現像剤補給容器1は規制部によりポンプ部2を縮めた状態(図17に示す状態)で規制して、補給動作を確実にポンプ部2の容積を大きくする方向から開始できるように設定することが可能である。
なお、前述のように、空気取り込みによる現像剤の解し効果が最も必要とされるのは、新品の現像剤補給容器1を使用する時である。しかし、例えば現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着された状態で、ユーザーが長期間コピー動作を行わない場合、長期放置により現像剤補給容器1内に残っている現像剤は同様に圧密する可能性がある。このような状況においても本発明の効果を得るためには、ポンプ動作を再開する際のポンプ部2の位置も装着時と同じ位置、即ち容積を大きくする方向から開始させる位置に規制しておくのが好ましい。そのためには、例えば、現像剤補給装置8の係止部材9の位置をセンシングするセンサを装置本体100に設け、それにより係止部材9を現像剤補給容器1装着時の位置と確実に同じ位置で停止させる構成等が考えられるが、もちろんその他の構成であっても構わない。更に、この制御手段があれば、例えば何らかの事情により現像剤補給容器1内に現像剤が残った状態で現像剤補給装置8から脱着して、再装着して補給を再開した場合でも、補給動作を確実にポンプ部2の容積を大きくする方向から開始できるため、同様の効果を得ることができる。なお、この制御手段があれば、例えば現像剤補給容器1に規制部を設けなくても、現像剤補給容器1を現像剤補給装置8に装着する際に被係合部3bと係止部材9と係合できれば、補給動作を確実にポンプ部2の容積を大きくする方向から開始できる。しかし、現像剤補給容器1に規制部がないと現像剤補給装置8に装着する前の被係合部3bの位置を規制できないため、ユーザーが係止部材9に対して被係合部3b係合するように位置合わせをしながら装着動作を行わざるを得ない。従って、操作性向上の点から、本発明のように現像剤補給容器1に規制部を設ける構成がより好ましい。
なお、本実施例において、規制部によるポンプ部2の規制解除及び再規制動作は、現像剤補給容器1の現像剤補給装置8への装脱着動作に伴うものとした。但し、これに限るものではなく、例えば交換用カバー40(図2参照)の開閉動作に連動して行われても構わない。更に、装置本体100内に自動で動作を行う機構を設けて、それを装置本体100の操作パネル100b(図2参照)の操作により稼働させても構わない。
以上のように、本実施例の構成によれば、ポンプ部2の動作を容積増大方向から常時開始させることができる。そのため、排出口(現像剤補給口)1c周辺で現像剤が圧密されて固まる状態が発生しても、確実に空気の取り込みにより現像剤を流動化させることで、初期から安定排出させることができる。
また、容積増大方向から開始させると空気取り込みで現像剤が確実に解れるため、その後のポンプ動作の駆動力は小さくなり、本体へ与える駆動負荷は少なくなる。
なお、蛇腹状のポンプ部2において、蛇腹の溝に現像剤が入り込んだ状態でポンプ動作を容積減少方向から開始させると、溝内の現像剤へ更なる圧縮力が加わり、画質に影響を及ぼす凝集体や粗粒が発生する恐れがある。それに対し、ポンプ動作を容積増大方向から開始させる場合は、ポンプ部2は蛇腹が縮んだ状態でセットするため動作開始前に溝に入り込む現像剤も少ない。更に、ポンプ部2は伸び方向に動作して現像剤を更に圧縮しないため、凝集体や粗粒の発生を防止できる。
次に、本実施例における現像剤補給容器1の現像剤排出性能について、以下に示す実験例を用いて詳しく説明する。
実験手順を説明する。まず、図9に示す現像剤補給容器1に現像剤240gを充填した。その後、排出口(現像剤補給口)1cを下にした状態で物流時に相当する振動を加え、現像剤を圧密させた。ここで、振動は高さ30mmからの落下動作を1000回加えて行った。そして現像剤補給容器1を装置本体100内に装着して排出口1cを開封し、容積変化量15cm3、容積変化速度90cm3/sの条件でポンプ部2を動作させて補給動作を行った。
また、現像剤補給容器1内に空気が取り込まれているかを確認するために、現像剤補給容器1の内圧の推移を測定した。内圧の測定は、現像剤補給容器1に圧力計(株式会社キーエンス社製、型名:AP−C40)を接続して行った。
更に、本実験で用いた装置本体100は、90秒間でサブホッパ内に現像剤が所定量満たされない場合には現像剤補給容器1の交換メッセージが出るように設定した。
<実験例1>
実験例1として、ポンプ部2を最も縮んだ状態から容積増大方向へ動作させて、現像剤補給容器1の補給動作を開始させた。その結果、ポンプ部2の動作直後から現像剤補給容器1から現像剤が排出され、排出完了まで問題なく使用できた。
また、排出開始時の現像剤補給容器1の内圧の推移を、図22(a)に示す。ここで、図22(a)において、横軸は時間を示し、縦軸は大気圧(基準(0))に対する現像剤補給容器1内の相対的な圧力を示している(+が正圧側、−が負圧側を示している)。現像剤補給容器1の容積増加により、現像剤補給容器1の内圧は外部の大気圧に対して負圧になり、その後現像剤補給容器1の容積減少により、現像剤補給容器1の内圧は大気圧に対して負圧から正圧へと移行していた。また、この際の負圧側の圧力ピークの絶対値(最大値)P2は、1.3kPaであった。
ここで、実験例1の構成において、現像剤補給容器1内に空気が取り込まれていることを実証する実験として、排出口1cを封止して現像剤補給容器1内に空気が取り込まれない状況にした状態(密閉状態)で、実験例1と同様の実験を行った。その結果、現像剤補給容器1の容積増加により、現像剤補給容器1の内圧は外部の大気圧に対して負圧になるものの、その後現像剤補給容器1の容積減少動作終了時においては、現像剤補給容器1の内圧は大気圧と同等となり、正圧状態にはならなかった。また、この際の負圧側の圧力ピークの絶対値(最大値)P1は2.5kPaであった。P1よりP2が下回っていたのは(|P1|>|P2|)、排出口(現像剤補給口)1cから空気が取り込まれたことで、現像剤補給容器1内の空気の膨張が緩和されたためである。
これらの結果から、実験例1の構成では補給開始直後から現像剤補給容器1内に空気が取り込まれ、それにより圧密された現像剤の解し効果が生じたことが実証された。
<実験例2>
実験例2として、ポンプ部2の最大伸長時の状態に対し半分に縮めた状態から容積増大方向へ動作させて、現像剤補給容器1の補給動作を開始させた。その他の実験条件は、実験例1と同じとした。その結果、ポンプ部2の動作開始直後は現像剤補給容器1から現像剤が充分量排出されなかったものの、ポンプ動作を数回行った後は安定して排出され、最終的には排出完了まで問題なく使用できた。
また、排出開始時の現像剤補給容器1の内圧の推移を、図22(a)に示す。内圧の推移の傾向は実験例1とほぼ同じだが、負圧側の圧力ピークの絶対値は2.0kPaであり、実験例1の構成の圧力値を上回っていた。これは、実験例2の構成は実験例1よりもポンプ部2の容積変化量が少ないため、排出口1cからの空気の取り込み量が少なかったことから、実験例1の構成ほど現像剤補給容器1内の空気の膨張が緩和されなかったためである。
この結果から、実験例2の構成であっても、現像剤補給容器1内に空気は取り込まれ、現像剤の解し効果が得られることは確認できた。しかし、より高い排出性能を得るためには、実験例1のようにポンプ部2の容積増加方向への変化量を最大に設定した方がより好ましいことが実証された。
<実験比較例1>
実験比較例1として、ポンプ部2を最も伸びた状態から容積減少方向へ動作させて、現像剤補給容器1の補給動作を開始させた。その他の実験条件は、実験例1と同じとした。その結果、現像剤補給容器1からは現像剤が排出されず、90秒後に現像剤補給容器の交換メッセージが表示された。その後、180秒程度まで補給動作を続けたが現像剤は排出されなかった。
また、排出開始時の現像剤補給容器1の内圧の推移を、図22(b)に示す。現像剤補給容器1の容積減少により、現像剤補給容器1の内圧は外部の大気圧に対して正圧になるものの、その後現像剤補給容器1の容積増加動作終了時においては、現像剤補給容器1の内圧は大気圧と同等となり、負圧状態にはならなかった。これは、排出口(現像剤補給口)1cを封止して同様の実験を行ったのと同じ挙動である。つまり容積減少により現像剤補給容器1内が加圧されることで、排出口1c周辺の現像剤が圧密することにより、排出口1cが実質閉塞されたことを示している。
この結果から、ポンプ部2の動作を容積増大方向へスタートさせることによる、排出性能向上の効果が確認できた。
〔実施例2〕
次に、実施例2の構成について、図23、図24を用いて説明する。ここで、図23は現像剤補給容器1の概略斜視図を、図24は現像剤補給容器1の概略断面図を示している。なお、本例では、ポンプ部の構成が実施例1と異なるだけであり、その他の構成は実施例1とほぼ同様である。従って、本例では、上述した実施例1と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本例では、図23、図24に示すように、実施例1のような蛇腹状の容積可変型のポンプ部の代わりに、プランジャー型のポンプ部を用いている。本例のプランジャー型のポンプ部も、上述した実施例1と同様に、容積を増減させることで現像剤収容スペース1b内の内圧を変化させる容積可変部である。具体的には、本例のプランジャー型ポンプ部は、内筒部1hの外周面の近傍を内筒部1hに対して相対移動可能に設けられた外筒部6を有している。また、外筒部6の上面には、実施例1と同様に、駆動入力部として昨日する保持部材3が接着、固定されている。つまり、外筒部6の上面に固定された保持部材3は、現像剤補給装置8の係止部材9が差し込まれることで、実質的に両者が一体化され、外筒部6が係止部材9とともに上下動(往復動)することが可能となる。
なお、内筒部1hは、容器本体1aと接続されており、その内部空間は現像剤収容スペース1bとして機能する。
また、この内筒部1hと外筒部6の隙間からエアーの漏れを防止するため(気密性を保つことで現像剤が漏れないように)、シール部材(弾性シール)7が内筒部1hの外周面に接着、固定されている。このシール部材(弾性シール)7は内筒部1hと外筒部6の間で圧縮されるように構成されている。
従って、現像剤補給装置8に不動に固定された容器本体1a(内筒部1h)に対し、外筒部6を矢印p方向、矢印q方向へ往復動させることで現像剤収容スペース1b内の容積を変化(増減)させることができる。つまり、現像剤収容スペース1bの内圧を負圧状態と正圧状態とに交互に繰り返し変化させることができる。
このように、本例においても、1つのポンプ部で吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤収補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
なお、本例では、外筒部6の形状が円筒形状の例について説明したが、例えば、断面が四角形などの他の形状であっても構わない。この場合、内筒部1hの形状も外筒部6の形状に対応させるのが好ましい。また、プランジャー型ポンプ部に限らず、ピストンポンプ部を用いても構わない。
また、本例のポンプ部を用いた場合、内筒と外筒の隙間からの現像剤漏れを防止するためのシール構成が必要となり、その結果構成が複雑になるとともにポンプ部を駆動するための駆動力が大きくなってしまうことから、実施例1の方がより好ましい。
また、本例では、実施例1と同様の規制部(保持部材3、ロック部材55)を設けているため、ポンプ部を所定の状態に規制することが可能である。すなわち、ポンプ部の最初の動作周期において排出口から現像剤収容スペース内へエアーが取り込まれるように前記ポンプ部の動作開始時の位置を図23に示す位置に規制することが可能である。従って、本例の構成であっても、ポンプ部を所定の位置(図23に示す位置)に規制させた状態から容積増大方向へ動作させることにより、現像剤補給容器1内の現像剤の解し効果をより確実に得ることができる。
〔実施例3〕
次に、実施例3の構成について、図25、図26を用いて説明する。図25は本実施例の現像剤補給容器1のポンプ部12が伸びた状態を示す外観斜視図であり、図26は現像剤補給容器1のポンプ部12が縮んだ状態を示す外観斜視図である。なお、本例では、実施例2と同様、ポンプの構成が実施例1と異なるだけであり、その他の構成は実施例1とほぼ同様である。従って、本例では、上述した実施例1と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本例では、図25、図26に示すように、実施例1のような蛇腹状の折り目が付けられたポンプ部の代わりに、折り目の無い、膨張と収縮が可能な膜状のポンプ部12を用いている。このポンプ部12の膜状部はゴム製とされている。なお、ポンプ部12の膜状部の材質としては、ゴムではなく、樹脂フィルムなどの柔軟材料を用いても構わない。
この膜状のポンプ部12は、容器本体1aと接続されており、その内部空間は現像剤収容スペース1bとして機能する。また、この膜状のポンプ部12には、上記実施例と同様に、その上部に保持部材3が接着、固定されている。従って、係止部材9の上下動に伴い、ポンプ部12は膨張と収縮を交互に繰り返すことができる。
このように、本例においても、1つのポンプ部で吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易化することができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例の場合、図27に示すように、ポンプ部12の膜状部の上面に膜状部よりも剛性の高い板状部材13を取り付け、この板状部材13に保持部材3を設置するのが好ましい。このような構成とすることで、ポンプ部12の保持部材3の近傍のみが変形してしまうことに起因して、ポンプ部12の容積変化量が少なくなってしまうのを抑制することができる。つまり、係止部材9の上下動に対するポンプ部12の追従性を向上させることが可能となり、ポンプ部12の膨張、収縮を効率良く行わせることができる。つまり、現像剤の排出性を向上させることが可能となる。
また、本例では、実施例1と同様の規制部(保持部材3、ロック部材55)を設けているため、ポンプ部12を所定の状態に規制することが可能である。すなわち、ポンプ部の最初の動作周期において排出口から現像剤収容スペース内へエアーが取り込まれるように前記ポンプ部の動作開始時の位置を規制することが可能である。従って、本例の構成であっても、ポンプ部12を所定の位置に規制させた状態から容積増大方向へ動作させることにより、現像剤補給容器1内の現像剤の解し効果をより確実に得ることができる。
〔実施例4〕
次に、実施例4の構成について、図28〜図30を参照して説明する。図28は現像剤補給容器1の外観斜視図、図29は現像剤補給容器1の断面斜視図、図30は現像剤補給容器1の部分断面図である。なお、本例では、現像剤収容スペースの構成が実施例1と異なるだけであり、その他の構成は実施例1とほぼ同様である。従って、本例では、上述した実施例1と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
図28、図29のように、本例の現像剤補給容器1は、容器本体1a及びポンプ部2の部分Xと円筒部14の部分Yの2つの要素から構成されている。なお、現像剤補給容器1の部分Xの構造は、実施例1で説明したものとほぼ同様であり、詳細な説明を省略する。
(現像剤補給容器の構成)
本例の現像剤補給容器1では、実施例1とは異なり、部分X(排出口1cが形成された排出部とも呼ぶ)の側方に接続部14cを介して円筒部14が接続された構造となっている。
この円筒部(現像剤収容回転部)14は、長手方向一端側は塞がれている一方、部分Xの開口と接続される側である他端側は開口しており、その内部空間は現像剤収容スペース1bとなっている。従って、本例では、容器本体1aの内部空間、ポンプ部2の内部空間、円筒部14の内部空間の全てが現像剤収容スペース1bとなっており、多量の現像剤を収容することが可能となっている。なお、本例では、現像剤収容回転部としての円筒部14の断面形状が円形となっているが、必ずしも円形でなくても構わない。例えば、現像剤搬送時において回転運動を阻害しない範囲であれば、現像剤収容回転部の断面形状を多角形形状など、非円形形状としても構わない。
そして、この円筒部14の内部には螺旋状の搬送突起(搬送部)14aが設けられており、この搬送突起14aは、円筒部14が矢印R方向へ回転することに伴い、内部に収容された現像剤を部分X(排出口1c)に向けて搬送する機能を有している。
また、円筒部14の内部には、搬送突起14aにより搬送されてきた現像剤を、円筒部14の矢印R方向への回転(回転軸線は略水平方向)に伴い、部分X側へ受け渡す受け渡し部材(搬送部)16が円筒部14の内部に立設されている。この受け渡し部材16は、現像剤を掬い上げる板状部16aと、板状部16aにより掬い上げられた現像剤を部分Xに向けて搬送(ガイド)する傾斜突起16bが板状部16aの両面に設けられている。また、板状部16aには、現像剤の撹拌性を向上させるべく、現像剤の往来を許容する貫通穴16cが形成されている。
さらに、円筒部14の長手方向他端側(現像剤搬送方向下流端側)の外周面には駆動入力機構としてのギア部14bが接着、固定されている。このギア部14bは、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着されると、現像剤補給装置8に設けられた駆動機構として機能する駆動ギア(駆動部)300と係合する。なお、駆動ギア300は、現像剤補給装置8に設けられた不図示の駆動源(駆動モータ)から駆動力を受けて回転駆動する。従って、駆動ギア300からの回転駆動力が駆動受け部としてのギア部14bに入力されると、円筒部14が矢印R方向(図29参照)へ回転することになる。なお、このようなギア部14bの構成に限らず、円筒部14を回転させることができるのであれば、例えば、ベルトや摩擦車を用いるもの等、他の駆動入力機構を採用しても構わない。
そして、図30に示すように、円筒部14の長手方向他端側(現像剤搬送方向下流端側)には、部分Xとの接続管の役割を果たす接続部14cが設けられている。なお、上述した傾斜突起16bの一端がこの接続部14cの近傍に至るまで延出するように設けられている。従って、傾斜突起16bにより搬送される現像剤が、再度、円筒部14の底面側へ落下することを可及的に防止し、接続部14c側へ適切に受け渡されるように構成されている。
また、以上のように円筒部14は回転するのに対し、実施例1と同様に、容器本体1aやポンプ部2はフランジ部1gを介して現像剤補給装置8に不動となるように(円筒部14の回転軸線方向及び回転方向への移動が阻止されるように)保持されている。それ故、円筒部14は容器本体1aに対して相対回転自在に接続されている。
また、円筒部14と容器本体1a間にはリング状のシール部材(弾性シール)15が設けられており、このシール部材(弾性シール)15は円筒部14と容器本体1aとの間で所定量圧縮されることでシールする。これにより、円筒部14の回転中にそこから現像剤が漏れてしまうのを防止している。また、これにより、気密性も保たれるので、ポンプ部2による解し作用と排出作用を現像剤に対して無駄無く生じさせることが可能となる。つまり、現像剤補給容器1として排出口1c以外には実質内部と外部が連通する開口が無い。
(現像剤補給工程)
次に、現像剤補給工程について説明する。
操作者が現像剤補給容器1を現像剤補給装置8に挿入、装着させると、実施例1と同様に現像剤補給容器1の保持部材3が現像剤補給装置8の係止部材9と係止するとともに、現像剤補給容器1のギア部14bが現像剤補給装置8の駆動ギア(駆動部)300と係合する。
その後、駆動ギア300を回転駆動用の別の駆動モータ(不図示)により回転駆動するとともに、係止部材9を上述した駆動モータ500により上下方向に駆動させる。すると、円筒部14が矢印R方向へ回転し、それに伴い、内部の現像剤が搬送突起14aにより受け渡し部材16に向けて搬送される。そして、円筒部14の矢印R方向への回転に伴い、受け渡し部材16は現像剤を掬い上げるとともに接続部14cへと搬送する。 そして、接続部14cから容器本体1a内へ搬送されてきた現像剤は、実施例1と同様に、ポンプ部2の伸縮動作に伴い、排出口1cから排出される。
以上が、現像剤補給容器1の一連の装着〜補給工程である。なお、現像剤補給容器1を交換する際は、操作者が現像剤補給装置8から現像剤補給容器1を取り出し、再度、新たな現像剤補給容器1を挿入、装着すれば良い。
実施例1〜実施例3のような現像剤収容スペース1bが鉛直方向に長い縦型の容器構成の場合、現像剤補給容器1の容積を大きくし充填量を増やすと、現像剤の自重により排出口1c近傍に重力作用がより集中してしまう。その結果、排出口1c近傍の現像剤が圧密されやすくなり、排出口1cからの吸気/排気の妨げとなる。この場合、排出口1cからの吸気で圧密された現像剤を解す、または、排気で現像剤を排出させるためには、ポンプ部2の容積変化量の増加により現像剤収容スペース1bの内圧(負圧/正圧)を更に大きくしなければならなくなる。しかし、その結果、ポンプ部2を駆動させるための駆動力も増加し、画像形成装置本体100への負荷が過大になる恐れがある。
それに対し、本実施例では、容器本体1a及びポンプ部2の部分Xと円筒部14の部分Yを水平方向に並べて設置しているため、図9に示す構成に対して、容器本体1a内における排出口1c上の現像剤層の厚さを薄く設定することができる。これにより、重力作用により現像剤が圧密されにくくなるため、その結果画像形成装置本体100へ負荷をかけることなく、安定した現像剤の排出が可能になる。
以上のように、本例の構成であれば、円筒部14を設けたことにより画像形成装置本体に負荷をかけることなく現像剤補給容器1を大容量化することができる。
また、本例においても、1つのポンプ部で吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易化することができる。
なお、円筒部14における現像剤搬送機構として、上述した例に限らず、現像剤補給容器1を振動、或いは、揺動、又はその他の方式を用いる構成としても構わない。具体的には、例えば、図31のような構成にしても構わない。
つまり、図31に示すように、円筒部14自体は現像剤補給装置8に実質不動(僅かにガタがある)に固定される構成としつつ、搬送突起14aの代わりに、円筒部14に対し相対回転することで現像剤を搬送する搬送部材17が円筒部内に内装されている。
搬送部材17は、軸部17aと軸部17aに固定された可撓性の搬送翼17bから構成されている。また、この搬送翼17bは、軸部17aの軸線方向に対して先端側が傾斜した傾斜部17cを有している。そのため、円筒部14内の現像剤を撹拌しながら部分Xに向けて搬送することが可能となる。
また、円筒部14の長手方向一端面には駆動受け部としてのカップリング部14eが設けられており、このカップリング部14eは現像剤補給装置8のカップリング部材(不図示)と駆動連結することで回転駆動力が入力される構成となっている。そして、このカップリング部14eは搬送部材17の軸部17aと同軸的に結合されており、軸部17aに回転駆動力が伝達される構成となっている。
従って、現像剤補給装置8のカップリング部材(不図示)から付与された回転駆動力により軸部17aに固定されている搬送翼17bが回転し、円筒部14内の現像剤が部分Xに向けて撹拌されながら搬送される。
但し、図31に示す変形例では、現像剤搬送工程において現像剤に与えるストレスが大きくなってしまう傾向にあり、また、駆動トルクも大きくなってしまうことから、本実施例のような構成の方がより望ましい。
本例においても、1つのポンプ部で吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例では、実施例1と同様の規制部(保持部材3、ロック部材55)を設けているため、ポンプ部2を所定の状態に規制することが可能である。すなわち、ポンプ部の最初の動作周期において排出口から現像剤収容スペース内へエアーが取り込まれるように前記ポンプ部の動作開始時の位置を規制することが可能である。従って、本例の構成であっても、ポンプ部2を所定の位置に規制させた状態から容積増大方向へ動作させることにより、現像剤補給容器1内の現像剤の解し効果をより確実に得ることができる。
〔実施例5〕
次に、実施例5の構成について、図32〜図34を用いて説明する。なお、図32の(a)は現像剤補給装置8を現像剤補給容器1の装着方向から見た正面図、(b)は現像剤補給装置8の内部の斜視図である。図33の(a)は現像剤補給容器1の全体斜視図、(b)は現像剤補給容器1の排出口21a周辺の部分拡大図、(c)〜(d)は現像剤補給容器1を装着部8fに装着した状態を示す正面図及び断面図である。図34の(a)は現像剤収容部20の斜視図、(b)は現像剤補給容器1の内部を示す部分断面図、(c)はフランジ部21の断面図、(d)は現像剤補給容器1を示す断面図である。
上述した実施例1〜実施例4では、現像剤補給装置8の係止部材9を上下動させることでポンプ部を伸縮させる例について説明したが、本例では、現像剤補給装置8から現像剤補給容器1が回転駆動力のみを受ける点が大きく異なる。その他の構成について、上述した実施例と同様な構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
具体的には、本例では、現像剤補給装置8から入力された回転駆動力をポンプ部を往復動させる方向の力へ変換し、これをポンプ部に伝達する構成としている。以下、現像剤補給装置8、現像剤補給容器1の構成について、順に、詳細に説明する。
(現像剤補給装置)
まず、現像剤補給装置8について、図32を用いて説明する。現像剤補給装置8は、現像剤補給容器1が取り外し可能(着脱可能)に装着される装着部(装着スペース)8fを有している。現像剤補給容器1は、図32(b)に示すように、装着部8fに対して矢印M方向に装着される構成となっている。つまり、現像剤補給容器1の長手方向(回転軸線方向)がほぼこの矢印M方向と一致するように装着部8fに装着される。なお、この矢印M方向は、後述する図34(b)の矢印X方向と実質平行である。また、現像剤補給容器1の装着部8fからの取り出し方向はこの矢印M方向とは反対の方向となる。
また、装着部8fには、図32(a)に示すように、現像剤補給容器1が装着された際に現像剤補給容器1のフランジ部21(図33参照)と当接することでフランジ部21の回転方向への移動を規制するための回転方向規制部(保持機構)29が設けられている。
また、装着部8fは、現像剤補給容器1が装着された際に、後述する現像剤補給容器1の排出口21a(図33参照)と連通し、現像剤補給容器1から排出された現像剤を受入れるための現像剤受入れ口31を有している。そして、現像剤補給容器1の排出口21aから現像剤が現像剤受入れ口31を通して現像剤補給装置8へと供給される。なお、本実施例において、現像剤受入れ口31の直径φは、装着部8f内での現像剤による汚れを可及的に防止する目的で、排出口21aと同じで、約2mmに設定されている。
更に、装着部8fは、図32(a)に示すように、駆動機構(駆動部)として機能する駆動ギア300を有している。この駆動ギア300は、駆動モータ500から駆動ギア列を介して回転駆動力が伝達され、装着部8fにセットされた状態にある現像剤補給容器1に対し回転駆動力を付与する機能を有している。
また、駆動モータ500は、図32に示すように、制御装置(CPU)600によりその動作を制御される構成となっている。
なお、本例において、駆動ギア300は、駆動モータ500の制御を簡易化させるため、一方向にのみ回転するように設定されている。つまり、制御装置600は、駆動モータ500について、そのオン(作動)/オフ(非作動)のみを制御する構成となっている。従って、駆動モータ500(駆動ギア300)を正方向と逆方向とに周期的に反転させることで得られる反転駆動力を現像剤補給容器1に付与する構成に比して、現像剤補給装置8の駆動機構の簡易化を図ることができる。
また、詳細は後述するが、現像剤補給装置8は、現像剤補給装置8からの取り外し時に現像剤補給容器1に設けられた規制部材56を所定位置に戻すための係合部8mを有する。
(現像剤補給容器)
次に現像剤補給容器1の構成について、図33、図34を用いて説明する。
現像剤補給容器1は、図33(a)に示すように、中空円筒状に形成され内部に現像剤を収容する内部空間を備えた現像剤収容部20(容器本体とも呼ぶ)を有している。本例では、円筒部20kとポンプ部20bが現像剤収容部20として機能する。さらに、現像剤補給容器1は、現像剤収容部20の長手方向(現像剤搬送方向)一端側にフランジ部21(非回転部とも呼ぶ)を有している。また、現像剤収容部20はこのフランジ部21に対して相対回転可能に構成されている。
なお、本例では、図34(d)に示すように、現像剤収容部として機能する円筒部20kの全長L1が約300mm、外径R1が約70mmに設定されている。また、ポンプ部20bの全長L2(使用上の伸縮可能範囲の中で最も伸びた状態のとき)は約50mm、フランジ部21のギア部20aが設置されている領域の長さL3は約20mmとなっている。また、現像剤収容部として機能する排出部21hが設置されている領域の長さL4は約25mmとなっている。さらに、ポンプ部20bの最大外径R2(使用上の伸縮可能範囲の中で最も伸びた状態のとき)が約65mm、現像剤補給容器1の現像剤を収容し得る全容積が約1250cm3となっている。なお、本例では、現像剤収容部として機能する円筒部20kとポンプ部20bとともに、排出部21hが現像剤を収容し得る領域となっている。
また、本例では、図33、図34に示すように、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着された状態のとき円筒部20kと排出部21hが水平方向に並ぶように構成されている。つまり、円筒部20kは、その水平方向長さがその鉛直方向長さよりも充分に長く、その水平方向一端側が排出部21hと接続された構成となっている。従って、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着された状態のとき排出部21hの鉛直上方に円筒部20kが位置するように構成する場合に比して、吸排気動作を円滑に行うことが可能となる。なぜなら、排出口21a上に存在するトナーの量が少なくなる為、排出口21a近傍の現像剤が圧密され難くなるからである。
このフランジ部21には、図33(a)に示すように、現像剤収容部内(現像剤収容室内)20から搬送されてきた現像剤を一時的に貯留するための中空の排出部(現像剤排出室)21hが設けられている(必要に応じて図34(b)、(c)参照)。この排出部21hの底部には、現像剤補給容器1の外へ現像剤の排出を許容する、つまり、現像剤補給装置8へ現像剤を補給するための小さな排出口21aが形成されている。この排出口21aの大きさについては前述の通りである。
また、排出部21h内(現像剤排出室内)の底部の内部形状は、残留してしまう現像剤の量を可能な限り低減させるため、排出口21aに向けて縮径する漏斗(じょうご)状に設けられている(必要に応じて図34(b)、(c)参照)。
さらに、フランジ部21には排出口21aを開閉するシャッタ26が設けられている。このシャッタ26は、現像剤補給容器1の装着部8fへの装着動作に伴い、装着部8fに設けられた突き当て部8h(必要に応じて図32(b)参照)と突き当たるように構成されている。従って、シャッタ26は、現像剤補給容器1の装着部8fへの装着動作に伴い、現像剤収容部20の回転軸線方向(矢印M方向とは逆方向)へ現像剤補給容器1に対して相対的にスライドする。その結果、シャッタ26から排出口21aが露出されて開封動作が完了する。
この時点で、排出口21aは装着部8fの現像剤受入れ口31と位置が合致しているので互いに連通した状態となり、現像剤補給容器1からの現像剤補給が可能な状態となる。
また、フランジ部21は、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8の装着部8fに装着されると、実質不動となるように構成されている。
具体的には、フランジ部21は、図33(c)に示すように、装着部8fに設けられた回転方向規制部29により現像剤収容部20の回転軸線周りの方向へ回転しないように規制(阻止)される。つまり、フランジ部21は現像剤補給装置8により実質回転不可となるように保持される(ガタ程度の僅かな無視できる回転は可能となっている)。
従って、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着された状態では、フランジ部21に設けられている排出部21hも、現像剤収容部20の回転方向への移動が実質阻止された状態となる(ガタ程度の移動は許容する)。
一方、現像剤収容部20は現像剤補給装置8により回転方向への規制は受けることなく、現像剤補給工程において回転する構成となっている。
(ポンプ部)
次に、往復動に伴いその容積が可変なポンプ部(往復動可能なポンプ)20bについて図34、図39を用いて説明する。ここで、図39(a)はポンプ部20bが現像剤補給工程において使用上最大限伸張された状態、図39(b)はポンプ部20bが現像剤補給工程において使用上最大限圧縮された状態を示す現像剤補給容器1の断面図である。
本例のポンプ部20bは、排出口21aを介して吸気動作と排気動作を交互に行わせる吸排気機構として機能する。
ポンプ部20bは、図34(b)に示すように、排出部21hと円筒部20kとの間に設けられており、円筒部20kに接続、固定されている。つまり、ポンプ部20bは円筒部20kとともに一体的に回転可能となる。
また、本例のポンプ部20bは、その内部に現像剤を収容可能な構成となっている。このポンプ部20b内の現像剤収容スペースは、後述するように、吸気動作時における現像剤の流動化に大きな役割を担っている。
そして、本例では、ポンプ部20bとして、往復動に伴いその容積が可変な樹脂製の容積可変型ポンプ(蛇腹状ポンプ)を採用している。具体的には、図34(a)〜(b)に示すように、蛇腹状ポンプを採用しており、「山折り」部と「谷折り」部が周期的に交互に複数形成されている。従って、このポンプ部20bは、容積を増減させることで現像剤収容部20の内圧を変化させる容積可変部であり、現像剤補給装置8から受けた駆動力により、圧縮、伸張を交互に繰り返し行うことができる。なお、本例では、ポンプ部20bの伸縮時の容積変化量は、15cm3(cc)に設定されている。図34(d)に示すように、ポンプ部20bの全長L2(使用上の伸縮可能範囲の中で最も伸びた状態のとき)は約50mm、ポンプ部20bの最大外径R2(使用上の伸縮可能範囲の中で最も伸びた状態のとき)は約65mmとなっている。
このようなポンプ部20bを採用することにより、現像剤補給容器1(現像剤収容部20及び排出部21h)の内圧を、大気圧よりも高い状態と大気圧よりも低い状態とに、所定の周期(本例では約0.9秒)で、交互に繰り返し変化させることができる。この大気圧は、現像剤補給容器1が設置された環境におけるものである。その結果、小径(直径が約2mm)の排出口21aから排出部21h内にある現像剤を効率良く、排出させることが可能となる。
また、ポンプ部20bは、図34(b)に示すように、排出部21h側の端部がフランジ部21の内面に設けられたリング状のシール部材27を圧縮した状態で、排出部21hに対して相対回転可能に固定されている。
これにより、ポンプ部20bは、シール部材27と摺動しながら回転するため、回転中においてポンプ部20b内の現像剤が漏れることなく、また、気密性が保たれる。つまり、排出口21aを介した空気の出入りが適切に行われるようになり、補給中における、現像剤補給容器1(ポンプ部20b、現像剤収容部20、排出部21h)の内圧を所望の状態にすることができるようになっている。
(駆動伝達機構)
次に、搬送部20cを回転させるための回転駆動力を現像剤補給装置8から受ける、現像剤補給容器1の駆動受け機構(駆動入力部、駆動受け部)について説明する。
現像剤補給容器1には、図34(a)に示すように、現像剤補給装置8の駆動ギア300(駆動部、駆動機構として機能する)と係合(駆動連結)可能な駆動受け機構(駆動入力部、駆動受け部)として機能するギア部20aが設けられている。このギア部20aは、ポンプ部20bの長手方向一端側に固定されている。つまり、ギア部20a、ポンプ部20b、円筒部20kは、一体的に回転可能な構成となっている。
従って、駆動ギア(駆動部)300からギア部20aに入力された回転駆動力はポンプ部20bを介して円筒部20k(搬送部20c)へ伝達される仕組みとなっている。
つまり、本例では、このポンプ部20bが、ギア部20aに入力された回転駆動力を現像剤収容部20の搬送部20cへ伝達する駆動伝達機構として機能している。
従って、本例の蛇腹状のポンプ部20bは、その伸縮動作を阻害しない範囲内で、回転方向へのねじれに強い特性を備えた樹脂材を用いて製造されている。
なお、本例では、現像剤収容部20の長手方向(現像剤搬送方向)一端側、つまり、排出部21h側の一端にギア部20aを設けているが、このような例に限られるものではない。例えば、現像剤収容部20の長手方向他端側、つまり、最後尾側に設けても構わない。この場合、対応する位置に駆動ギア300が設置されることになる。
また、本例では、現像剤補給容器1の駆動入力部と現像剤補給装置8の駆動部間の駆動連結機構としてギア機構を用いているが、このような例に限られるものではなく、例えば、公知のカップリング機構を用いるようにしても構わない。具体的には、現像剤収容部20の長手方向一端の底面(図34(d)の右側の端面)に駆動入力部として非円形状の凹部を設け、一方、現像剤補給装置8の駆動部として前述の凹部と対応した形状の凸部を設け、これらが互いに駆動連結する構成としても構わない。
(駆動変換機構)
次に、現像剤補給容器1の駆動変換機構(駆動変換部)について説明する。
現像剤補給容器1には、ギア部20aが受けた搬送部20cを回転させるための回転駆動力を、ポンプ部20bを往復動させる方向の力へ変換する駆動変換機構(駆動変換部)が設けられている。なお、本例では、後述するように、駆動変換機構としてカム機構を採用した例について説明するが、このような例だけに限らず、実施例6以降で説明するような他の構成を採用しても構わない。
つまり、本例では、搬送部20cとポンプ部20bを駆動するための駆動力を1つの駆動入力部(ギア部20a)で受ける構成としつつ、ギア部20aが受けた回転駆動力を、現像剤補給容器1側で往復動力へ変換する構成としている。
これは、現像剤補給容器1に駆動入力部を2つ別々に設ける場合に比して、現像剤補給容器1の駆動入力機構の構成を簡易化できるからである。更に、現像剤補給装置8の1つの駆動ギアから駆動を受ける構成としたため、現像剤補給装置8の駆動機構の簡易化にも貢献することができる。
また、現像剤補給装置8から往復動力を受ける構成にした場合、前述したような、現像剤補給装置8と現像剤補給容器1間の駆動連結が適切に行われずに、ポンプ部20bを駆動することができなくなる恐れがある。具体的には、現像剤補給容器1を画像形成装置100から取り出した後、再度これを装着するような場合に、ポンプ部20bを適切に往復動させることができない問題が懸念される。
例えば、ポンプ部20bが自然長よりも圧縮された状態でポンプ部20bへの駆動入力を停止させた場合、現像剤補給容器1を取り出すと、ポンプ部20bが自己復元して伸張された状態となる。つまり、画像形成装置100側の駆動出力部の停止位置はそのままであるにも関わらず、ポンプ部20b用の駆動入力部の位置が現像剤補給容器1が取り出されている間に変わってしまう。その結果、画像形成装置100側の駆動出力部と現像剤補給容器1側のポンプ部20b用の駆動入力部との駆動連結が適切に行われず、ポンプ部20bを往復動させることができなくなってしまう。すると、現像剤補給が行われないことになり、その後の画像形成ができない状況に陥ってしまう懸念がある。
なお、このような問題は、現像剤補給容器1が取り出されている際に、ユーザーによりポンプ部20bの伸縮状態を変えられてしまう場合も同様に発生し得る。
また、このような問題は、新品の現像剤補給容器1へ交換する際にも同様に発生し得る。
本例の構成であれば、このような問題を解決することが可能である。以下、詳細に説明する。
現像剤収容部20の円筒部20kの外周面には、図34、図39に示すように、周方向において、実質等間隔となるように、回転部として機能するカム突起20dが複数設けられている。具体的には、円筒部20kの外周面に2つのカム突起20dが約180°対向するように設けられている。
ここで、カム突起20dの配置個数については、少なくとも1つ設けられていれば構わない。但し、ポンプ部20bの伸縮時の抗力により駆動変換機構等にモーメントが発生し、スムーズな往復動が行われない恐れがあるため、後述するカム溝21bの形状との関係が破綻しないよう複数個設けるのが好ましい。
一方、フランジ部21の内周面には、このカム突起20dが嵌り込む従動部として機能するカム溝21bが全周に亘り形成されている。このカム溝21bについて、図40を用いて説明する。図40において、矢印Aは円筒部20kの回転方向(カム突起20dの移動方向)、矢印Bはポンプ部20bの伸張方向、矢印Cはポンプ部20bの圧縮方向を示している。また、円筒部20kの回転方向Aに対するカム溝21cのなす角度をα、カム溝21dのなす角度をβとする。また、カム溝21bのポンプ部20bの伸縮方向B、Cにおける振幅(=ポンプ部20bの伸縮長さ)をLとする。
具体的には、このカム溝21bは、これを展開した図40に示すように、円筒部20k側から排出部21h側へ傾斜したカム溝21cと、排出部21h側から円筒部20k側へ傾斜したカム溝21dとが、交互に連結された構造となっている。本例では、カム溝21c,21dのなす角度の関係をα=βに設定している。
従って、本例では、このカム突起20dとカム溝21bが、ポンプ部20bへの駆動伝達機構として機能する。つまり、このカム突起20dとカム溝21bは、駆動ギア300からギア部20aが受けた回転駆動力を、ポンプ部20bを往復移動させる方向への力(円筒部20kの回転軸線方向への力)に変換し、これをポンプ部20bへ伝達する機構として機能する。
具体的には、駆動ギア300からギア部20aに入力された回転駆動力によりポンプ部20bとともに円筒部20kが回転し、この円筒部20kの回転に伴いカム突起20dが回転することになる。従って、このカム突起20dと係合関係にあるカム溝21bにより、ポンプ部20bが円筒部20kとともに回転軸線方向(図34の矢印X方向)へ往復移動することになる。この矢印X方向は、図32の矢印M方向とほぼ平行な方向となっている。
つまり、このカム突起20dとカム溝21bは、ポンプ部20bが伸張した状態(図39(a))とポンプ部20bが収縮した状態(図39(b))が交互に繰り返されるように、駆動ギア300から入力された回転駆動力を変換している。
従って、本例では、前述のようにポンプ部20bが円筒部20kとともに回転するように構成されているため、円筒部20k内の現像剤がポンプ部20b内を経由する際に、ポンプ部20bの回転により現像剤を撹拌する(解す)ことができる。つまり、ポンプ部20bを円筒部20kと排出部21hとの間に設けているため、排出部21hへ送り込まれる現像剤に対して撹拌作用を施すことができるようになっており、更に好ましい構成と言える。
また、本例では、前述のように円筒部20kがポンプ部20bとともに往復動するように構成されているため、円筒部20kの往復動により円筒部20k内の現像剤を撹拌する(解す)ことができる。
(駆動変換機構の設定条件)
本例では、駆動変換機構は、円筒部20kの回転に伴い排出部21hへ搬送される現像剤搬送量(単位時間当たり)が、排出部21hからポンプ作用により現像剤補給装置8へ排出される量(単位時間当たり)よりも多くなるように駆動変換している。
これは、排出部21hへの搬送部20cによる現像剤の搬送能力に対してポンプ部20bによる現像剤の排出能力の方が大きいと、排出部21hに存在する現像剤の量が次第に減少してしまうからである。つまり、現像剤補給容器1から現像剤補給装置8への現像剤補給に要する時間が長くなってしまうことを防止するためである。
そこで、本例の駆動変換機構は、排出部21hへの搬送部20cによる現像剤の搬送量を2.0g/s、ポンプ部20bによる現像剤の排出量を1.2g/sに設定している。
また、本例では、駆動変換機構は、円筒部20kが1回転する間にポンプ部20bが複数回往復動するように、駆動変換している。これは以下の理由に依るものである。
円筒部20kを現像剤補給装置8内で回転させる構成の場合、駆動モータ500は円筒部20kを常時安定して回転させるために必要な出力に設定するのが好ましい。但し、画像形成装置100における消費エネルギーを可能な限り削減するためには、駆動モータ500の出力を極力小さくする方が好ましい。ここで、駆動モータ500に必要な出力は、円筒部20kの回転トルクと回転数から算出されることから、駆動モータ500の出力を小さくするには、円筒部20kの回転数を可能な限り低く設定するのが好ましい。
しかし、本例の場合、円筒部20kの回転数を小さくしてしまうと、単位時間当たりのポンプ部20bの動作回数が減ってしまうことから、現像剤補給容器1から排出される現像剤の量(単位時間当たり)が減ってしまう。つまり、画像形成装置本体100から要求される現像剤の補給量を短時間で満足させるには、現像剤補給容器1から排出される現像剤の量では不足してしまう恐れがある。
そこで、ポンプ部20bの容積変化量を増加させれば、ポンプ部20bの1周期当たりの現像剤排出量を増やすことができるため、画像形成装置本体100からの要求に応えることが可能となるが、このような対処方法では以下のような問題がある。
つまり、ポンプ部20bの容積変化量を増加させると、排気工程における現像剤補給容器1の内圧(正圧)のピーク値が大きくなるため、ポンプ部20bを往復動させるのに要する負荷が増大してしまう。
このような理由から、本例では、円筒部20kが1回転する間にポンプ部20bを複数周期動作させているのである。これにより、円筒部20kが1回転する間にポンプ部20bを1周期しか動作させない場合に比して、ポンプ部20bの容積変化量を大きくすることなく、単位時間当たりの現像剤の排出量を増やすことが可能となる。そして、現像剤の排出量を増やすことができた分、円筒部20kの回転数を低減することが可能となる。
ここで、円筒部20kが1回転する間にポンプ部20bを複数周期動作させることに伴う効果について検証実験を行った。実験方法は、現像剤補給容器1に現像剤を充填し、現像剤補給工程における現像剤の排出量と円筒部20kの回転トルクを測定した。そして、円筒部20kの回転トルクと予め設定された円筒部20kの回転数から、円筒部20kの回転に必要な駆動モータ500の出力(=回転トルク×回転数)を算出した。実験条件は、円筒部20kの1回転当たりのポンプ部20bの動作回数を2回、円筒部20kの回転数を30rpm、ポンプ部20bの容積変化量を15cm3とした。
検証実験の結果、現像剤補給容器1からの現像剤排出量は、約1.2g/sとなった。また、円筒部20kの回転トルク(定常時の平均トルク)は0.64N・mで、駆動モータ500の出力は、約2W(モータ負荷(W)=0.1047×回転トルク(N・m)×回転数(rpm)。0.1047は単位換算係数)と算出された。
一方、円筒部20kの1回転当たりのポンプ部20bの動作回数を1回、円筒部20kの回転数を60rpmに設定して、それ以外の条件は上記と同様にして比較実験を行った。つまり、上記の検証実験と現像剤の排出量が同じ、約1.2g/sとなるようにした。
すると、比較実験の場合、円筒部20kの回転トルク(定常時の平均トルク)は0.66N・mで、駆動モータ500の出力は、約4Wと算出された。
以上の結果から、円筒部20kが1回転する間にポンプ部20bを複数周期動作させる構成にした方が好ましいことが確認できた。つまり、円筒部20kの回転数を低減させたままでも、現像剤補給容器1の排出性能を維持することが可能になることが確認できた。従って、本例のような構成とすることにより、駆動モータ500をより小さい出力に設定できるため、画像形成装置本体100での消費エネルギーの削減に貢献することができる。
(駆動変換機構の配置位置)
本例では、図34に示すように、駆動変換機構(カム突起20dとカム溝21bにより構成されるカム機構)を、現像剤収容部20の外部に設けている。つまり、駆動変換機構を、円筒部20k、ポンプ部20b、フランジ部21の内部に収容された現像剤と接触することが無いように、円筒部20k、ポンプ部20b、フランジ部21の内部空間から隔てられた位置に設けている。
これにより、駆動変換機構を現像剤収容部20の内部空間に設けた場合に想定される問題を解消することができる。つまり、駆動変換機構の摺擦箇所への現像剤の侵入により、現像剤の粒子に熱と圧が加わって軟化していくつかの粒子同士がくっついて大きな塊(粗粒)となってしまったり、変換機構への現像剤の噛み込みによりトルクアップするのを防止することができる。
(規制部)
次に、ポンプ部20bの容積変化を規制する規制部について、図35、図36を用いて説明する。ここで、図35(a)は現像剤収容部20の斜視図、(b)は規制部材56を示す斜視図、(c)はフランジ部21に規制部材56が取り付けられた状態を示す斜視図である。また、図36(a)は規制部材56によりポンプ部20bの動作が規制されている状態を示す部分断面図、(b)は規制部材56の移動によりポンプ部20bの規制が解除されている状態を示す部分断面図である。
まず、本実施例における規制部の構成について説明する。規制部は、ポンプ部20bの最初の動作周期において排出口21aから現像剤収容部20内へエアーが取り込まれるようにポンプ部20bの動作開始時の位置を規制する。言い換えると、本例では、現像剤補給容器が新品の際(使用する前)のカム突起の20dの周方向の位置(回転位相)を規制していることになる。本実施例において、ポンプ部20bの規制部は、円筒部20kの周面に設けた規制突起20mと規制部材56で構成されており、規制突起20mは規制部材56と係合することで移動不可に規制され、ポンプ部20bの状態を保持する役割を果たす。
図35(a)に示すように、現像剤収容部20の円筒部20kの周面には規制突起20mが設けられている。また、図35(c)に示すように、規制部材56がフランジ部21に設けられたレール21rに現像剤収容部20の回転方向には移動不可に、かつ回転軸線方向に移動自在に取り付けられている。規制部材56は、図35(b)に示すように、規制突起20mと係合することでポンプ部20bの状態を規制するためのコの字形状の規制部56aを有する。
次に、規制部によるポンプ部20bの規制について説明する。本実施例では、現像剤収容部20とフランジ部21との間に働くカム作用を利用して、ポンプ部20bを動作させている。従って、フランジ部21と現像剤収容部20の回転を抑制することで、ポンプ部20bの動作を規制することができる。これをフランジ部21に設けた規制部材56と、円筒部20kに設けた規制突起20mを係合させることで達成している。
ここで、規制状態と規制解除状態について詳細を説明する。規制状態においては、図36(a)に示すように、規制部材56と規制突起20mが現像剤収容部20の回転軸線方向において同じ位置にあり、更に規制部56aが規制突起20mを挟み込むことで、規制突起20mが設けられた現像剤収容部20は回転方向の規制を受ける。更に、カム突起20dはカム溝21bに嵌合しているため、現像剤収容部20の回転軸線方向への移動も規制される。従って、ポンプ部20bの動作は規制される。
規制の解除は、図36(b)に示すように、規制部材56が矢印B方向に動くと、規制突起20mを挟んでいた規制部56aが外れ、円筒部20kは回転可能に規制解除され、その結果ポンプ部20bが動作可能になる。
(現像剤補給容器装脱着動作)
次に図37、図38を用いて、現像剤補給容器1の装脱着動作について説明する。ここで図37(a)〜(c)は現像剤補給容器1の装着前の状態を示す図、図38(a)〜(d)は現像剤補給容器1の装着完了の状態を示す図である。
最初に、現像剤補給装置8の係合部8mの形状について、図38(d)で説明する。係合部8mは、現像剤補給容器1の取り外し時に当接する面の装脱着方向に対する傾斜角度αを、現像剤補給容器1の装着時に当接する面の傾斜角度βよりも大きく設定してある(α>β)。これにより、取り外し時は規制部材56と係合部8m間の抵抗が規制部材56とフランジ部21のレール21r間の抵抗を上回り、装着時は下回るよう設定してある。
では、装脱着動作について順に説明する。まず、現像剤補給容器1は、図37(c)に示すように、装置本体100に装着される前は、規制部材56の規制部56aと規制突起20mが係合することにより、ポンプ部20bは規制された状態となっている。この際、図37(a)に示すように、駆動ギア300とギア部(駆動入力部)20aはまだ離間している。なお、駆動ギア(駆動部)300は駆動源(駆動モータ)からの駆動力を受けて回転駆動する。
この後、現像剤補給容器1を装置本体100に装着していくと、フランジ部21は装置本体100からの作用により、現像剤収容部20の回転軸線方向と回転方向への移動が規制される。また、排出口(現像剤補給口)1cが開封され(図37(b)→図38(b))、排出口21aは装置本体100の現像剤受入れ口31に接続される。更に、図38(a)に示すように、駆動ギア300とギア部(駆動入力部)20aが係合し、回転駆動が伝達可能な状態となる。
また、規制部材56は、現像剤補給容器1の装着途中で現像剤補給装置8の係合部8mに当接すると、前述の設定によりレール21rに対して移動しない状態で、係合部8mを図38(c)に示す矢印E方向へ撓ませることで係合部8mを乗り越える。そして、最終的に規制部材56は、図38(c)に示すように、現像剤補給装置8の壁部8nにその端面56cが当接して移動不可となる。この状態で更に現像剤補給容器1を押し込むと、規制部材56はフランジ部21に対して矢印B方向へ移動することで規制突起20mとの係合が解除され、結果的にポンプ部20bの規制が解除される。
次に、現像剤補給容器1の取り外し動作について説明する。現像剤補給容器1を図38(c)に示す位置から図中の矢印B方向に移動させると、図38(d)に示すように、規制部材56の角部56dが係合部8mと当接する。ここで前述の設定により、規制部材56は現像剤収容部20に対して相対的に矢印B方向の逆方向に移動する。その結果、規制部56aが規制突起20mを挟み込むため、再びポンプ部20bの動作は規制される。
(ポンプ部による現像剤排出原理)
次に、図39を用いて、ポンプ部による現像剤補給工程について説明する。
本例では、後述するように、吸気工程(排出口21aを介した吸気動作)と排気工程(排出口21aを介した排気動作)が交互に繰り返し行われるように、駆動変換機構により回転力の駆動変換が行われる構成となっている。以下、吸気工程と排気工程について、順に、詳細に説明する。
(吸気工程)
まず、吸気工程(排出口21aを介した吸気動作)について説明する。
図39(a)に示すように、上述した駆動変換機構(カム機構)によりポンプ部20bが矢印ω方向に伸張されることで、吸気動作が行われる。つまり、この吸気動作に伴い、現像剤補給容器1の現像剤を収容し得る部位(ポンプ部20b、円筒部20k、フランジ部21)の容積が増大する。
その際、現像剤補給容器1の内部は排出口21aを除き実質密閉された状態となっており、さらに、排出口21aが現像剤Tで実質的に塞がれた状態となっている。そのため、現像剤補給容器1の現像剤Tを収容し得る部位の容積増加に伴い、現像剤補給容器1の内圧が減少する。
このとき、現像剤補給容器1の内圧は大気圧(外気圧)よりも低くなる。そのため、現像剤補給容器1外にあるエアーが、現像剤補給容器1内外の圧力差により、排出口21aを通って現像剤補給容器1内へと移動する。
その際、排出口21aを通して現像剤補給容器1外からエアーが取り込まれるため、排出口21a近傍に位置する現像剤Tを解す(流動化させる)ことができる。具体的には、排出口21a近傍に位置する現像剤に対して、エアーを含ませることで嵩密度を低下させ、現像剤Tを適切に流動化させることができる。
また、その結果、エアーが排出口21aを介して現像剤補給容器1内に取り込まれるため、現像剤補給容器1の内圧はその容積が増加しているにも関わらず大気圧(外気圧)近傍を推移することになる。
このように、現像剤Tを流動化させておくことにより、後述する排気動作時に、現像剤Tが排出口21aに詰まってしまうことなく、排出口21aから現像剤をスムーズに排出させることが可能となる。従って、排出口21aから排出される現像剤Tの量(単位時間当たり)を、長期に亘り、ほぼ一定とすることが可能となる。
(排気工程)
次に、排気工程(排出口21aを介した排気動作)について説明する。
図39(b)に示すように、上述した駆動変換機構(カム機構)によりポンプ部20bが矢印γ方向に圧縮されることで、排気動作が行われる。具体的には、この排気動作に伴い現像剤補給容器1の現像剤を収容し得る部位(ポンプ部20b、円筒部20k、フランジ部21)の容積が減少する。その際、現像剤補給容器1の内部は排出口21aを除き実質密閉されており、現像剤が排出されるまでは、排出口21aが現像剤Tで実質的に塞がれた状態となっている。従って、現像剤補給容器1の現像剤Tを収容し得る部位の容積が減少していくことで現像剤補給容器1の内圧が上昇する。
このとき、現像剤補給容器1の内圧は大気圧(外気圧)よりも高くなるため、図39(b)に示すように、現像剤Tは現像剤補給容器1内外の圧力差により、排出口21aから押し出される。つまり、現像剤補給容器1から現像剤補給装置8へ現像剤Tが排出される。
その後、現像剤Tとともに現像剤補給容器1内のエアーも排出されていくため、現像剤補給容器1の内圧は低下する。
以上のように、本例では、1つの往復動式のポンプを用いて現像剤の排出を効率良く行うことができるので、現像剤排出に要する機構を簡易化することができる。
(カム溝の設定条件)
次に、図40〜図46を用いてカム溝21bの設定条件の変形例について説明する。図40〜図46は、いずれも、カム溝21bの展開図を示したものである。図40〜図46に示すフランジ部21の展開図を用いて、カム溝21bの形状を変更した場合のポンプ部20bの運転条件に与える影響について説明する。
ここで、図40〜図46において、矢印Aは現像剤収容部20の回転方向(カム突起20dの移動方向)、矢印Bはポンプ部20bの伸張方向、矢印Cはポンプ部20bの圧縮方向を示す。また、カム溝21bのうち、ポンプ部20bを圧縮させる際に使用される溝部をカム溝21c、ポンプ部20bを伸張させる際に使用する溝部をカム溝21dとする。更に、現像剤収容部20の回転方向Aに対するカム溝21cのなす角度をα、カム溝21dのなす角度をβ、カム溝のポンプ部20bの伸縮方向B、Cにおける振幅(=ポンプ部20bの伸縮長さ)をLとする。
まず、ポンプ部20bの伸縮長さLに関して説明する。
例えば、伸縮長さLを短くした場合、ポンプ部20bの容積変化量が減少してしまうことから、外気圧に対し発生させることができる圧力差も小さくなってしまう。そのため、現像剤補給容器1内の現像剤にかかる圧力が減少し、結果としてポンプ部の1周期(=ポンプ部20bを1往復伸縮)当たりの現像剤補給容器1から排出される現像剤の量が減少する。
このことから、図41に示すように、角度α、βが一定の状態でカム溝の振幅L′をL′<Lに設定すれば、図40の構成に対し、ポンプ部20bを1往復させた際に排出される現像剤の量を減少させることができる。逆に、L′>Lに設定すれば、現像剤の排出量を増加させることも当然可能となる。
また、カム溝の角度α、βに関して、例えば、角度を大きくした場合、現像剤収容部20の回転速度が一定であれば、現像剤収容部20が一定時間回転した時に移動するカム突起20dの移動距離が増えるため、結果としてポンプ部20bの伸縮速度は増加する。
その一方、カム突起20dがカム溝21bを移動する際にカム溝21bから受ける抵抗が大きくなるため、結果として現像剤収容部20を回転させるのに要するトルクが増加する。
このことから、図42に示すように、伸縮長さLが一定の状態でカム溝21cの角度α′、カム溝21dの角度β′を、α′>α及びβ′>βに設定すれば、図40の構成に対しポンプ部20bの伸縮速度を増加できる。その結果、現像剤収容部20の1回転当たりのポンプ部20bの伸縮回数を増加させることができる。更に、排出口21aから現像剤補給容器1内へ入り込む空気の流速が増加するため、排出口21a周辺に存在する現像剤の解し効果は向上する。
逆に、α′<α及びβ′<βに設定すれば現像剤収容部20の回転トルクを減少させることができる。また、例えば、流動性の高い現像剤を使用した場合、ポンプ部20bを伸張させた際に、排出口21aから入り込んだ空気により排出口21a周辺に存在する現像剤が吹き飛ばされやすくなる。その結果、排出部21h内に現像剤を十分に貯留することができなくなり、現像剤の排出量が低下する可能性がある。この場合は、本設定によりポンプ部20bの伸張速度を減少させれば、現像剤の吹き飛ばしを抑えることで排出能力を向上することができる。
また、図43に示すカム溝21bのように、角度α<角度βに設定すれば、ポンプ部20bの伸張速度を圧縮速度に対して大きくすることができる。逆に、図45に示すように角度α>角度βに設定すれば、ポンプ部20bの伸張速度を圧縮速度に対して小さくすることができる。
例えば、現像剤補給容器1内の現像剤が高密度状態にある場合、ポンプ部20bを伸張する時よりも圧縮する時の方がポンプ部20bの動作力が大きくなってしまう。その結果、ポンプ部20bを圧縮する時の方が現像剤収容部20の回転トルクが高くなりやすい。しかし、この場合は、カム溝21bを図43に示す構成に設定すれば、図40の構成に対しポンプ部20bの伸張時における現像剤の解し効果を増加させることができる。更に、圧縮時にカム突起20dがカム溝21bから受ける抵抗が小さくなり、ポンプ部20bの圧縮時における回転トルクの増加を抑制することが可能になる。
なお、図44に示すように、カム溝21c,21dの間に現像剤収容部20の回転方向(図中矢印A)に対して実質平行なカム溝21eを設けても良い。この場合、カム突起20dがカム溝21eを通過している間はカム作用が働かないので、ポンプ部20bが伸縮動作を停止する過程を設けることが可能となる。
それにより、例えば、ポンプ部20bが伸張した状態で動作停止する過程を設ければ、排出口21a周辺に常に現像剤が存在する排出初期には、動作停止の間、現像剤補給容器1内の減圧状態が維持されるため現像剤の解し効果がより向上する。
一方、排出末期には、現像剤補給容器1内の現像剤が少なくなるのと、排出口21aから入り込んだ空気により排出口21a周辺に存在する現像剤が吹き飛ばされることにより、排出部21h内に現像剤を十分に貯留することができなくなる。
つまり、現像剤の排出量が次第に減少してしまう傾向となるが、この場合も伸張した状態で動作を停止することで、その間に現像剤収容部20を回転し現像剤を搬送し続ければ、排出部21hを現像剤で十分に満たすことができる。従って、現像剤補給容器1内の現像剤が空となるまで安定した現像剤の排出量を維持することができる。
また、図40の構成において、ポンプ部20bの1周期当たりの現像剤排出量を増加させる場合、前述のようにカム溝の伸縮長さLを長く設定することで達成できる。しかし、この場合、ポンプ部20bの容積変化量が増加することになるから、外気圧に対し発生できる圧力差も大きくなる。そのため、ポンプ部20bを駆動させるための駆動力も増加し、現像剤補給装置8で必要となる駆動負荷が過大になる恐れがある。
そこで、上記の弊害を発生させることなく、ポンプ部20bの1周期当たりの現像剤の排出量を増加させるために、図45に示すカム溝21bのように、角度α>角度βに設定することで、ポンプ部20bの圧縮速度を伸張速度に対して大きくしても構わない。
ここで、図45の構成の場合について検証実験を行った。
検証方法は、図45に示すカム溝21bを有する現像剤補給容器1に現像剤を充填し、ポンプ部20bを圧縮動作→伸張動作の順で容積変化させて排出実験を行い、その際の排出量を測定した。また実験条件として、ポンプ部20bの容積変化量を50cm3、ポンプ部20bの圧縮速度を180cm3/s、ポンプ部20bの伸張速度を60cm3/sに設定した。ポンプ部20bの動作周期は約1.1秒である。
なお、図40の構成の場合についても、同様に、現像剤の排出量を測定した。但し、ポンプ部20bの圧縮速度及び伸張速度は、いずれも90cm3/sに設定し、ポンプ部20bの容積変化量とポンプ部20bの1周期にかかる時間は、図45の例と同じである。
検証実験結果について説明する。まず図47(a)に、ポンプ部20bの容積変化時における現像剤補給容器1の内圧変化の推移を示す。図47(a)において、横軸は時間を示し、縦軸は大気圧(基準(0))に対する現像剤補給容器1内の相対的な圧力を示している(+が正圧側、−が負圧側を示している)。また、実線は図45、点線は図40に示すカム溝21bを有する現像剤補給容器1での圧力推移を示す。
まず、ポンプ部20bの圧縮動作時において、両例とも時間経過とともに内圧は上昇し、圧縮動作終了時にピークに達する。この際、現像剤補給容器1内が大気圧(外気圧)に対して正圧で推移するため、内部の現像剤に対して圧力が掛かり現像剤は排出口21aから排出される。
続いて、ポンプ部20bの伸張動作時には、ポンプ部20bの容積が増加するため、両例とも現像剤補給容器1の内圧は減少していく。この際は、現像剤補給容器1内が大気圧(外気圧)に対して正圧から負圧になり、エアーが排出口21aから取り込まれるまでは、内部の現像剤に対して圧力が掛かり続けるため、現像剤は排出口21aから排出される。
つまり、ポンプ部20bの容積変化時において、現像剤補給容器1が正圧状態、即ち内部の現像剤に圧力が掛かっている間は現像剤が排出されるため、ポンプ部20bの容積変化時における現像剤の排出量は、圧力の時間積分量に応じて増加する。
ここで、図47(a)に示すように、ポンプ部20bの圧縮動作終了時の到達圧は、図45の構成では5.7kPa、図40の構成では5.4kPaとなり、ポンプ部20bの容積変化量が同一にもかかわらず図45の構成の方が高くなっている。これは、ポンプ部20bの圧縮速度を大きくすることで現像剤補給容器1内が一気に加圧され、圧力に押されて現像剤が排出口21aに一気に集中することで、現像剤が排出口21aから排出される際の排出抵抗が大きくなったためである。両例とも排出口21aは小径に設定されているため、更にその傾向は顕著なものとなる。従って、図47(a)に示すように、両例ともポンプ部の1周期にかかる時間は同じであるため、圧力の時間積分量は図45の例の方が大きくなっている。
次に、表2に、ポンプ部20bの1周期当たりにおける現像剤の排出量の実測値を示す。
表2に示すように、図45の構成では3.7g、図40の構成では3.4gであり、図45の方が多く排出されていた。この結果と図47(a)の結果から、ポンプ部20bの1周期当たりにおける現像剤の排出量が、圧力の時間積分量に応じて増加することが改めて確認された。
以上のように、図45のように、ポンプ部20bの圧縮速度を伸張速度に対して大きく設定し、ポンプ部20bの圧縮動作時に現像剤補給容器1内をより高い圧力に到達させることで、ポンプ部20bの1周期当たりの現像剤排出量を増加させることができる。
次に、ポンプ部20bの1周期当たりの現像剤排出量を増加させる別の方法について説明する。
図46に示すカム溝21bでは、図44と同様に、カム溝21cとカム溝21dの間に現像剤収容部20の回転方向に対して実質平行なカム溝21eを設けている。但し、図46に示すカム溝21bでは、カム溝21eはポンプ部20bの1周期の中で、ポンプ部20bの圧縮動作の後にポンプ部20bを圧縮した状態で、ポンプ部20bを動作停止させる位置に設けている。
ここで、同様に、図46の構成についても、現像剤の排出量の測定を行った。検証実験方法は、ポンプ部20bの圧縮速度及び伸張速度を180cm3/sに設定し、それ以外は図45に示す例と同様とした。
検証実験結果について説明する。図47(b)に、ポンプ部20bの伸縮動作中における現像剤補給容器1の内圧変化の推移を示す。ここで、実線は図46、点線は図45に示すカム溝21bを有する現像剤補給容器1での圧力推移を示す。
図46の場合においても、ポンプ部20bの圧縮動作時は時間経過とともに内圧は上昇して圧縮動作終了時にピークに達する。この際、図45と同様に、現像剤補給容器1内が正圧状態で推移するため、内部の現像剤は排出される。なお、図46の例におけるポンプ部20bの圧縮速度は図45の例と同一に設定したので、ポンプ部20bの圧縮動作終了時の到達圧は5.7kPaで、図45の時と同等だった。
続いて、ポンプ部20bを圧縮した状態で動作を停止すると、現像剤補給容器1の内圧は緩やかに減少していく。これは、ポンプ部20bの動作停止後も、ポンプ部20bの圧縮動作で発生した圧力が残っているため、その作用により内部の現像剤とエアーが排出されるためである。但し、圧縮動作終了後、即伸張動作を開始するよりは、内圧を高い状態で維持することができるため、その間に現像剤はより多く排出される。
更に、その後伸張動作を開始させると、図45の例と同様に現像剤補給容器1の内圧は減少していき、現像剤補給容器1内が正圧から負圧になるまでは、内部の現像剤に対して圧力が掛かり続けるため現像剤は排出される。
ここで、図47(b)において圧力の時間積分値を比較すると、両例ともポンプ部20bの1周期にかかる時間は同じであるため、ポンプ部20bの動作停止時に高い内圧を維持している分、圧力の時間積分量は図46の例の方が大きくなっている。
また、表2に示すように、ポンプ部20bの1周期当たりにおける現像剤の排出量の実測値は、図46の場合では4.5gで、図45の場合(3.7g)より多く排出されていた。図47(b)と表2の結果から、ポンプ部20bの1周期当たりにおける現像剤の排出量が、圧力の時間積分量に応じて増加することが改めて確認された。
このように、図46の例は、ポンプ部20bの圧縮動作の後、ポンプ部20bを圧縮した状態で動作停止するように設定した構成である。そのため、ポンプ部20bの圧縮動作時に現像剤補給容器1内をより高い圧力に到達させ、かつその圧力をできるだけ高い状態で維持することにより、ポンプ部20bの1周期当たりの現像剤排出量を更に増加させることができる。
以上のように、カム溝21bの形状を変更することにより、現像剤補給容器1の排出能力を調整することができるため、現像剤補給装置8から要求される現像剤の量や使用する現像剤の物性等に適宜対応することが可能となる。
なお、図40〜図46においては、ポンプ部20bによる排気動作と吸気動作が交互に切り替わる構成となっているが、排気動作や吸気動作をその途中で一旦中断させて、所定時間経過後に排気動作や吸気動作を再開させるようにしても構わない。
例えば、ポンプ部20bによる排気動作を一気に行うのではなく、ポンプ部の圧縮動作を途中で一旦停止させて、その後再び圧縮して排気しても良い。吸気動作も同様である。更に、現像剤の排出量や排出速度を満足できる範囲内において、排気動作や吸気動作を多段階にしても構わない。このように、排気動作や吸気動作をそれぞれ多段階に分割して実行するように構成したとしても、「排気動作と吸気動作を交互に繰り返し行う」ことに変わりは無い。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例では、搬送部(螺旋状の凸部)20cを回転させるための駆動力とポンプ部(蛇腹状のポンプ部20b)を往復動させるための駆動力を1つの駆動入力部(ギア部20a)で受ける構成としている。従って、現像剤補給容器の駆動入力機構の構成を簡易化することができる。また、現像剤補給装置に設けられた1つの駆動機構(駆動ギア300)により現像剤補給容器へ駆動力を付与する構成としたため、現像剤補給装置の駆動機構の簡易化にも貢献することができる。また、現像剤補給装置に対する現像剤補給容器の位置決め機構として簡易なものを採用することが可能となる。
また、本例の構成によれば、現像剤補給装置から受けた搬送部を回転させるための回転駆動力を、現像剤補給容器の駆動変換機構により駆動変換する構成としたことで、ポンプ部を適切に往復動させることが可能となる。つまり、現像剤補給容器が現像剤補給装置から往復駆動力の入力を受ける方式においてポンプ部の駆動を適切に行えなくなってしまう問題を回避することが可能となる。なお、本例の構成は、実施例1に述べたポンプ部20bの位置を現像剤補給容器1装着時の位置と同じ位置で停止させる制御手段と、ポンプ部20bの位置を所定の位置に規制するための規制部を有している。そのため、現像剤補給容器1を脱着した状態でも、ポンプ部20b用の駆動入力部の位置は常時所定の位置に規制することができる。従って、現像剤補給装置8から往復駆動力を受ける構成であっても、現像剤補給装置8と現像剤補給容器1間の駆動連結を行うことは可能である。しかし、前述のように、現像剤補給装置8の駆動機構の簡易化に貢献できるという点で、現像剤補給装置8の1つの駆動ギアから回転駆動力を受ける構成とした方がより好ましい。
本実施例では、現像剤補給容器1は、規制部によりポンプ部20bを縮めた状態で規制して、現像剤補給動作時は確実にポンプ部20bの容積を大きくする方向から開始できるように構成されている。それを実現させるための機構について、図48を用いて詳細を説明する。ここで、図48(a)、(b)は、フランジ部21のカム溝21b部を示す展開図であり、カム溝21bに対するカム突起20dの位置を示している。図48において、矢印Aは現像剤収容部20の回転方向、矢印Bはポンプ部20bの伸張方向、矢印Cは同じく圧縮方向を示す。また、カム溝21bのうち、ポンプ部20bの圧縮時にカム突起20dが移動する溝部をカム溝21c、ポンプ部20bの伸張時に移動する溝部をカム溝21dとする。更に、ポンプ部20bの伸縮方向における振幅をLとする。
図48(a)において、カム突起20dはポンプ部20bの可動域における矢印C方向端部の位置しており、この状態でポンプ部20bの容積変化は前述の規制部により規制されている。そして、その際にはポンプ部20bは最も縮んだ状態(最も容積を減少させた状態)にある。この状態で現像剤補給容器1を装置本体100へ装着し規制が解除されると、駆動ギア300からの回転駆動によりカム突起20dがカム溝21dに沿って移動し、ポンプ部20bは最も縮んだ状態から容積が大きくなる方向(=矢印B方向)へ動作を開始する。
なお、図48(b)に示すように、カム突起20dがカム溝21dの途中にある状態で規制されている場合でも、同様にポンプ部20bは容積増大方向へ動作を開始させることができる。但し、より高い現像剤の解し効果を得るという点では、図48(a)に示すようなポンプ部20bを最も縮めた状態から開始させる方が好ましい。何故なら、図48(a)の状態だとポンプ部20bの容積変化量を最大に設定できるため、現像剤収容部20内の減圧により、より多くの空気を取り込むことができるからである。また、この場合には、駆動ギア300がどちらの方向に回転しても確実に容積増大方向からスタートさせることができるというメリットもある。
但し、図48(b)に示す位置からポンプ動作を開始させた場合でも、現像剤補給容器1の脱着時の汚れを低減できるという効果がある。具体的には、前述のように現像剤補給容器1の脱着時にはポンプ部20bは装着時と同じ状態で再度規制されるため、現像剤収容部20に空気を取り込む過程の途中で補給動作が止まる。その際、空気の勢いを利用して、排出口(現像剤補給口)21a周辺に存在する現像剤を現像剤収容部20側に吸い込むことで、現像剤補給容器1脱着時のトナー汚れを低減させることができる。
図48(a)の位置と図48(b)の位置のどちらを採用するかは、現像剤の初期解しに必要な効果と排出後の封止部材周辺の汚れ低減効果のバランスを鑑みて適宜選択できる。
また、ポンプ部20bの容積を大きくする方向から開始することで、現像剤収容部20内には新たな空間が形成されることになる。この空間は、現像剤が解れるためのスペースとして利用できるため、更に現像剤の解し効果が向上することになる。
また、以上の例の他に、図49に示すような構成も適用可能である。ここで、図49(a)、(b)はフランジ部21の内周面に設けたカム溝21b部の展開図である。また、図49(c)は図49(a)、(b)に示す一対のクリック突起21iとカム突起20dを結ぶD−D断面線での断面図である。
図49に示す例では、上述した規制部としての規制部材56や規制突起20mを設けることなく、現像剤収容部20の回転方向に平行となるカム溝21eの領域を設け、カム突起20dをカム溝21eの領域に静止させている。つまり、図49の例の場合、このカム溝21eが規制部としての機能を果たしている。
具体的には、図49(a)では、フラットなカム溝21eがポンプ部を最も縮ませる領域に形成されており、この状態からポンプ部を動作開始させると、ポンプ動作の最初の1周期内に容器内へエアーを充分に取り込むことが可能となる。
また、図49(b)では、フラットなカム溝21eがポンプ部を半分縮ませる領域に形成されており、この状態からポンプ部を動作開始させれば、ポンプ動作の最初の1周期内に容器内へエアーを取り込むことが可能となる。
このような図49(a)、(b)に示す構成を採用したとしても、同様の効果を奏することが可能である。
次に、以上説明した現像剤補給容器の変形例について説明する。
本変形例では、図32〜図34に示す上述の現像剤補給容器に対して、主にポンプ部やポンプ部を伸縮する機構部、及びそれらを覆うカバー部材が存在する点が相違する。更に、現像剤補給装置8への現像剤補給容器1の装脱着時における接続部の機構が相違することから、以下、これらの相違点について詳述する。なお、これ以外の構成は上記した実施例と同じ付号を付すことにより、詳細な説明を省略する。
(現像剤補給容器)
まず、現像剤補給容器1の変形例について、図93を用いて説明する。図93(a)は現像剤補給容器1の概略分解斜視図、図93(b)は現像剤補給容器1の概略斜視図である。ここで、説明の便宜上、図93(b)は後述するカバー92を断面表示している。
また、図101は本変形例における現像剤補給容器1が装着される現像剤補給装置8の(a)は部分拡大斜視図、(b)は現像剤受入れ部39の斜視図であり、以降適宜参照しながら説明する。
図93(a)に示すように、現像剤補給容器1は、主に、現像剤収容部20、フランジ部25、シャッタ5、ポンプ部93、アーム状部材としての往復部材(カムアーム)91、カバー92から構成される。そして現像剤補給容器1は現像剤補給装置8内で図93(b)に示す回転軸線Pを中心にその周りを矢印R方向へ回転することにより、現像剤を現像剤補給装置8へ補給する。以下に、現像剤補給容器1を構成する各要素について、詳細に説明する。
(容器本体)
図94は、容器本体としての現像剤収容部20の斜視図である。現像剤収容部(現像剤搬送室)20は、図94に示すように内部に現像剤を収容可能な中空円筒状の円筒部20kを有する。この円筒部20kは、回転軸線Pを中心にその周りを矢印R方向へ回転することによって、円筒部20k内の現像剤を排出口側へ搬送する螺旋状の搬送溝(搬送部)20cを有している。
また、図94に示すように、現像剤収容部20の一端面側の外周面の全周に渡って、駆動変換部の機能の一部を担うカム溝20nと、本体側から駆動を受ける駆動受け部(駆動入力部、ギア部)20aが、一体的に形成されている。尚、本例では、カム溝20nとギア部20aが現像剤収容部20に対して一体的に形成されていると記したが、カム溝20nあるいはギア部20aを別体として形成し、現像剤収容部20に一体的に取り付ける構成であってもよい。また、本例では現像剤として、体積平均粒径が5μm〜6μmのトナーが現像剤収容部20内に収容されており、現像剤を収容するスペースとしては、現像剤収容部20だけでなく、後述するフランジ部25及びポンプ部93の内部スペースを合わせたものとなる。
(フランジ部)
続いて、フランジ部25について図93を用いて説明する。図93(b)に示すように、フランジ部(現像剤排出室)25は、現像剤収容部20と回転軸線Pに対し相対回転可能に取り付けられている。このフランジ部25は、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着されると、装着部8f(図101(a)参照)に対して矢印R方向の回転が実質不可となるように保持される。
また、一部に排出口25a4(図95参照)が設けられている。さらに、図93(a)に示すようにフランジ部25は、組み立て性を考慮して、上フランジ部25a、下フランジ部25bから構成されている。以下に詳述するが、ポンプ部93、往復部材91、シャッタ5、カバー92が組み付けられている。
まず、図93(a)に示すように、上フランジ部25aの一端側にはポンプ部93がネジ接合され、他端側には現像剤収容部20がシール部材(不図示)を介して接合される。また、ポンプ部93を挟み込むようにして、駆動変換部の機能の一部を担う往復部材91が配置され、往復部材91に設けられたカム突起としての係合突起91b(図99参照)が現像剤収容部20のカム溝20nに嵌め込まれる。
さらに、上フランジ部25aと下フランジ部25bの隙間にはシャッタ5が組み込まれる。また、外観上の見た目を向上させる目的と往復部材91、ポンプ部93を保護するために、上記したフランジ部25、ポンプ部93、往復部材91の全体を覆うようにカバー92が一体的に組み付けられ、図93(b)のように構成される。
(上フランジ部)
図95に上フランジ部25aを示す。図95(a)は上フランジ部25aを斜め上方向から見た斜視図、図95(b)は上フランジ部25aを斜め下方向から見た斜視図である。
上フランジ部25aは、ポンプ部93がネジ接合される図95(a)に示すポンプ接合部25a1(ネジ不図示)と、現像剤収容部20が接合される図95(b)に示す容器本体接合部25a2と、現像剤収容部20から搬送された現像剤をため込む図95(a)に示す貯留部25a3を備えている。また、図95(b)に示すように、前述した貯留部25a3の現像剤を現像剤補給装置8へ排出する円形の排出口(開口)25a4と、現像剤補給装置8に設けられた、現像剤受入れ部39(図101参照)が接続する接続部25a6を一部に形成した開口シール25a5を備えている。ここで、開口シール25a5は両面テープで上フランジ部25aの下面に貼りつけられ、後述するシャッタ5と上フランジ部25aとに挟持されており、排出口25a4からの現像剤の漏れを防いでいる。尚、本例では排出口25a4を上フランジ部25aと別体である開口シール25a5に設けたが、排出口25a4を上フランジ部25aに直接設けてもよい。
また、本例では現像剤補給容器1の下面に、すなわち上フランジ部25aの下面側に排出口25a4を設けたが、基本的には現像剤補給容器1の現像剤補給装置8への装脱着方向の上流側端面もしくは下流側端面以外の側面に設けられていれば、本例で示す接続構成を適用することができる。排出口25a4の側面上の位置については、製品個別の事情を鑑みて設定することができる。尚、本例における現像剤補給容器1と現像剤補給装置8の接続動作については後述する。
(下フランジ部)
図96に下フランジ部25bを示す。図96(a)は下フランジ部25bを斜め上方向から見た斜視図、図96(b)は下フランジ部25bを斜め下方向から見た斜視図、図96(c)は正面図である。
下フランジ部25bは、図96(a)に示すように、シャッタ5(図97参照)が挿入されるシャッタ挿入部25b1を備えている。また下フランジ部25bは、現像剤受入れ部39(図101参照)と係合可能な係合部25b2,25b4を有している。
係合部25b2,25b4は、現像剤補給容器1から現像剤受入れ部39への現像剤補給が可能な互いが接続した状態となるように、現像剤補給容器1の装着動作に伴い、現像剤受入れ部39を現像剤補給容器1に向けて変位させる。また、係合部25b2,25b4は、現像剤補給容器1の取り出し動作に伴い、現像剤補給容器1と現像剤受入れ部39との接続状態が断たれるように、現像剤受入れ部39が現像剤補給容器1から離間する方向へ変位することを可能とする。
前記係合部25b2,25b4のうち、第1の係合部25b2は、現像剤受入れ部39の開封動作が行われるように、現像剤補給容器1の装着方向と交差する方向へ現像剤受入れ部39を変位させる。本例では、第1の係合部25b2は、現像剤補給容器1の装着動作に伴い、現像剤受入れ部39が現像剤補給容器1の開口シール25a5上の一部に形成された接続部25a6と接続した状態となるように、現像剤受入れ部39を現像剤補給容器1に向けて変位させる。第1の係合部25b2は、現像剤補給容器1の装着方向と交差する方向に延びている。
また、第1の係合部25b2は、現像剤補給容器1の取り出し動作に伴い、現像剤受入れ部39の再封動作が行われるように、現像剤補給容器1の取り出し方向と交差する方向へ現像剤受入れ部39が変位するようにガイドする。本例では、第1の係合部25b2は、現像剤補給容器1の取り出し動作に伴い、現像剤受入れ部39と現像剤補給容器1の接続部25a6との接続状態が断たれるように、現像剤受入れ部39が現像剤補給容器1から鉛直下方向へ離間するようにガイドする。
一方、第2の係合部25b4は、現像剤補給容器1の装着動作に伴い、排出口25a4が現像剤受入れ部39の現像剤受入れ口39aと連通した状態となるように、現像剤補給容器1が後述するシャッタ5に対し相対移動する間、すなわち現像剤受入れ口39aが接続部25a6から排出口25a4まで移動する間、現像剤受入れ口39aに設けられた本体シール41と開口シール25a5が接続した状態を維持させる。第2の係合部25b4は、現像剤補給容器1の装着方向と平行な方向に延びている。
また、第2の係合部25b4は、現像剤補給容器1の取り出し動作に伴い、排出口25a4が再封されるように、現像剤補給容器1が前記シャッタ5に対し相対移動する間、すなわち現像剤受入れ口39aが排出口25a4から前記接続部25a6まで移動する間、本体シール41と開口シール25a5が接続した状態を維持させる。
また、下フランジ部25bは、現像剤補給容器1を現像剤補給装置8に装着又は現像剤補給装置8から取り出す動作に伴い、後述するシャッタ5が有する支持部5dの弾性変形を規制又は許容する図96(a)に示す規制リブ(規制部)25b3を備えている。尚、規制リブ25b3は、シャッタ挿入部25b1の挿入面より鉛直上方向に突出し、現像剤補給容器1の装着方向に沿って形成されている。さらに、図96(b)に示すように、物流による破損や、操作者による誤操作からシャッタ5を保護する保護部25b5が設けられている。尚、下フランジ部25bはシャッタ5がシャッタ挿入部25b1に挿入された状態で上フランジ部25aと一体化されている。
(シャッタ)
シャッタ5を図97に示す。図97(a)はシャッタ5の上面図、図97(b)はシャッタ5の斜め上方向から見た斜視図である。
シャッタ5は、現像剤補給容器1に対し相対移動可能に設けられ、現像剤補給容器1の装着動作/取り出し動作に伴い、排出口25a4を開放/閉鎖させる。シャッタ5には、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8の装着部8fに装着されていない時に、排出口25a4からの現像剤の漏れを防ぐ現像剤封止部5aと、現像剤封止部5aの背面側(裏側)に下フランジ部25bのシャッタ挿入部25b1上を摺動する摺動面5iが設けられている。
シャッタ5は、現像剤補給容器1がシャッタ5に対して相対移動することが可能となるように、現像剤補給容器1の装脱着動作に伴い、現像剤補給装置8のシャッタストッパ部8q,8p(図101(a)参照)に保持されるストッパ部(保持部)5b,5cを有している。このストッパ部5b,5cのうち、第1のストッパ部5bは、現像剤補給容器1の装着動作時に、現像剤補給装置8の第1のシャッタストッパ部8qと係合し、シャッタ5の現像剤補給装置8に対する位置を固定する。第2のストッパ部5cは、現像剤補給容器1の取り出し動作時に、現像剤補給装置8の第2のシャッタストッパ部8pに係合する。
また、シャッタ5は、前記ストッパ部5b,5cが変位可能となるように支持する支持部5dを有している。支持部5dは、第1のストッパ部5bと第の2ストッパ部5cを変位可能に支持するために、現像剤封止部5aより延設されて弾性変形可能に設けられている。尚、第1のストッパ部5bと支持部5dが形成する角度αは鋭角となるよう、第1のストッパ部5bは傾斜している。それに対して、第2のストッパ部5cと支持部5dが形成する角度βは鈍角となるように、第2のストッパ部5cは傾斜している。
さらに、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8の装着部8fに非装着時に、シャッタ5の現像剤封止部5aには、排出口25a4と対向する位置よりも装着方向下流側にロック突起5eが設けられている。ロック突起5eは、開口シール25a5(図95(b)参照)との当接量が現像剤封止部5aよりも大きくなるため、シャッタ5と開口シール25a5の静止摩擦力が大きくなる。したがって、物流などによる振動によるシャッタ5の予期せぬ移動(変位)を防止する事ができる。また、現像剤封止部5a全体をロック突起5eと開口シール25a5との当接量に相当する形状としてもよいが、その場合、ロック突起5eを設けた場合と異なり、シャッタ5が移動する際の開口シール25a5との動摩擦力が大きくなるため、現像剤補給容器1を現像剤補給装置8へ装着する際の操作力が大きくなり、ユーザビリティ上好ましくない。したがって、本例のように一部にロック突起5eを設ける構成が望ましい。
このように、現像剤補給容器1の装着動作を利用して、現像剤補給容器1と現像剤補給装置8との接続状態を、現像剤による汚れを最小限に抑えて、良好にせしめることができる。同様に、現像剤補給容器1の取り出し動作を利用して、現像剤補給容器1と現像剤補給装置8との接続状態からの離間および再封止を、現像剤による汚れを最小限に抑えて、良好にせしめることができる。
すなわち、下フランジ部25bに設けられた係合部25b2,25b4を利用して、現像剤補給装置8への着脱動作に伴って、現像剤受入れ部39を現像剤補給容器1の装着方向と交差する鉛直方向下方より接続、あるいは鉛直方向下方へ離間させることができる。現像剤受入れ部39は現像剤補給容器1に対して十分小さく、したがって、簡単かつ省スペースな構成で現像剤補給容器1の装着方向下流側の端面Y(図93(b)参照)の現像剤汚れを防止できる。また、本体シール41が下フランジ部25bの保護部25b5やシャッタ下面(摺動面)5iを引き摺ることによる現像剤による汚れを防止することができる。
また、図97(a)に示すように、シャッタ5には、排出口25a4と連通可能なシャッタ開口(連通口)5fが設けられている。ここで、シャッタ開口5fの直径は、現像剤補給容器1の現像剤補給装置8への着脱動作に伴うシャッタ5の開閉時に現像剤が不要に排出されてしまい、その周囲が現像剤で汚れてしまうのを可及的に防止する目的で、約Φ2mmに設定されている。
(ポンプ部)
ポンプ部93を図98に示す。図98(a)はポンプ部93の斜視図、図98(b)はポンプ部93の正面図である。
ポンプ部(気流発生部とも言う)93は、駆動受け部(駆動入力部)20aが受けた駆動力により現像剤収容部20の内圧が大気圧よりも低い状態と高い状態とに交互に繰り返し切り替わるように動作するポンプ部である。
本変形例においても前述したように小さな排出口25a4から現像剤を安定的に排出させるために、現像剤補給容器1の一部に上記したポンプ部93を設けている。ポンプ部93はその容積が可変可能な容積可変型ポンプとなっている。具体的には、ポンプ部として、伸縮可能な蛇腹状の伸縮部材で構成されているものを採用している。このポンプ部93の伸縮動作により現像剤補給容器1内の圧力を変化させ、その圧力を利用して現像剤の排出を行っている。具体的には、ポンプ部93を縮める際には現像剤補給容器1内が加圧状態となり、その圧力に押し出される形で現像剤が排出口25a4から排出される。またポンプ部93を伸ばす際には現像剤補給容器1内が減圧状態になり、外部から排出口25a4を介してエアーが取り込まれる。この取り込まれたエアーにより排出口25a4や貯留部25a3付近の現像剤が解れ、次の排出がスムーズに行われるようになっている。以上のような伸縮動作を繰り返し行うことで排出が行われる。
本変形例のポンプ部93は、上述の例と同様に、図98(b)に示すように、「山折り」部と「谷折り」部が周期的に形成された蛇腹状の伸縮部(蛇腹部、伸縮部材)93aが設けられている。伸縮部93aは、その折り目に沿って(その折り目を基点として)、矢印B方向に折り畳まれたり、矢印A方向に伸びたりすることができる。従って、本例のように、蛇腹状のポンプ部93を採用した場合、伸縮量に対する容積変化量のばらつきを少なくすることができるので、安定した容積可変動作を行うことが可能となる。
また、本変形例ではポンプ部93の材料としてはポリプロピレン樹脂(以下、PPと略す)を採用したが、これに限定されるものではない。ポンプ部93の材料(材質)に関しては、伸縮機能を発揮し容積変化によって現像剤収容部の内圧を変化させることができる前提の材料であれば何でも良い。例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレン等を肉薄で形成したものでも構わない。また、ゴムや、その他の伸縮性材料などを使用することも可能である。
また、図98(a)に示すように、ポンプ部2の開口端側には、上フランジ部25aと接合可能なように接合部93bが設けられている。ここでは、接合部2bとしてネジが形成された構成を例示している。さらに、図98(b)に示すように他端側には後述する往復部材91と同期して変位するために往復部材91と係合する往復部材係合部93cを備えている。
(往復部材)
図99に、駆動変換部として機能するアーム状部材である往復部材91を示す。図99(a)は往復部材91を斜め上方向から見た斜視図、図99(b)は往復部材91を斜め下方向から見た斜視図である。
図99(b)に示すように、往復部材91は前述したポンプ部93の容積を可変するために、ポンプ部93に設けられた往復部材係合部93cに係合するポンプ係合部91aを備えている。さらに往復部材91は、図99(a)、図99(b)に示すように、組み立てられた際に、前述したカム溝20n(図93参照)に嵌め込まれるカム突起としての係合突起91bを備えている。係合突起91bは、ポンプ係合部91a近傍より延在するアーム91cの先端部に設けられている。また、往復部材91は、後述するカバー92の往復部材保持部92b(図100参照)によってアーム91cの軸P(図93(b)参照)中心の回転変位が規制されている。したがって、現像剤収容部20が駆動ギア300によってギア部20aより駆動を受け、カム溝20nが一体となって回転する際に、カム溝20nに嵌め込まれた係合突起91bとカバー92の往復部材保持部92bの作用により、往復部材91は矢印A、B方向へ往復運動する。それに伴い、さらに、往復部材91のポンプ係合部91aと往復部材係合部93cを介して係合したポンプ部93が矢印A、B方向へ伸縮運動する。
(カバー)
図100にカバー92を示す。図100(a)はカバー92を斜め上方向から見た斜視図、図100(b)はカバー92を斜め下方向から見た斜視図である。
前述したが、カバー92は、往復部材91やポンプ部93の保護を目的として、図93(b)に示すように設けられている。詳しくは、カバー92は、図93(b)に示すようにフランジ部25、ポンプ部93、往復部材91の全体を覆うように不図示の機構によって上フランジ部25aや下フランジ部25b等と一体的に設けられている。また、カバー92には、現像剤補給装置8が備える現像剤補給容器1の装着方向に沿って延在するリブ状の挿入ガイド(不図示)にガイドされるガイド溝92aが設けられている。さらに、カバー92には、前述した往復部材91の軸P(図93(b)参照)に回転変位を規制する往復部材保持部92bが設けられている。
本変形例によれば、現像剤受入れ部39を変位させて現像剤補給容器1に接続/離間させるための機構を簡易化することができる。すなわち、現像器全体を上方へ移動させるための駆動源や駆動伝達機構が不要な構成となっていることから、画像形成装置側の構造が複雑化したり、部品点数増によるコストアップがない。なぜなら、現像器全体を上下に移動させる構成の場合、現像器と干渉しないようにそのための大きなスペースが必要となるが、本例によれば、そのスペースが不要となるためである。つまり、画像形成装置の大型化も防止できる。
(規制部)
次に、規制部の構成について、図93、図102〜図103を用いて説明する。図102(a)は現像剤補給容器1の部分拡大斜視図、図102(b)は規制部材95の部位を拡大した部分拡大斜視図、図103(a)は現像剤補給装置8に装着された状態の現像剤補給容器1の部分拡大斜視図、図103(b)は規制部材95の部位を拡大した部分拡大斜視図である。
本変形例では、下フランジ部25bと現像剤収容部20の相対回転を規制(阻止)することで往復部材91は往復することができなくなるため、結果的にポンプ部93の動作も規制される。
図32〜図34に示す上述の現像剤補給容器では、規制部として規制部材56が規制突起20mの回転を規制することによりポンプ部93の動作を規制していたが、本変形例ではその機能を規制部材95と駆動受け部20aに持たせている。具体的に説明すると、図102(a)、(b)に示すように、規制部材95はフランジ部25の下フランジ部25bに対し、現像剤収容部20の回転方向には回転不可に、回転軸方向には移動自在に支持されている(図32〜図34に示す上述の現像剤補給容器の規制部材56と同様。特に、図35(c)参照)。
規制状態の際には規制部材95の規制部95aが駆動受け部20aと係合することで駆動受け部20aと規制部材95の相対回転は規制され、結果的に下フランジ部25bと現像剤収容部20の相対回転が規制される。また、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に図93に示すA方向の向きに装着されると、図103(a)、(b)に示すように現像剤補給装置8に設けられたストッパ8rに押されることで規制部材95が装着方向上流側(図93のB方向)に移動する。規制部材95の移動により規制部95aと駆動受け部20aの係合が解除され、駆動受け部20aと規制部材95は相対回転可能な状態となる。結果、下フランジ部25bと現像剤収容部20は相対回転可能となり、規制が解除された状態となる。
また、現像剤補給装置8から現像剤補給容器1を取り出すと、規制部材95のシャフト95bに嵌っているバネ96の作用により装着方向下流側(図93のA方向)に押され、再び規制部95aが駆動受け部20aと係合して、規制状態となる。
以上説明した構成でも、規制部材95により現像剤収容部20とフランジ部25の相対回転を規制することができ、ポンプ部93を縮めた状態で規制して、現像剤補給動作時は確実にポンプ部93の容積を大きくする方向からポンプ動作を開始することできる。本変形例では下フランジ部25bと現像剤収容部20の相対回転により往復部材91が動作することを利用して両者の相対回転を規制する構成の1例を示した。その他、往復部材91やポンプ部93の往復動作を直接規制する規制部をカバー92に設ける構成としても構わない。
以上、実施例5並びにその変形例について説明した。
なお、図49(a)、(b)のように、カム溝21eの領域にカム突起20dを単に静止させるだけの例の場合、容器の交換時にユーザーが誤った操作を行ってしまうと、カム突起20dがカム溝21eの領域から外れてしまう恐れがある。このような場合を想定して、図49(c)に示すようにフランジ部21に設けた一対のクリック突起21iによりカム突起20dがカム溝21eの領域から容易に外れてしまわないようにするのがより好ましい。なお、この一対のクリック突起21iは、通常の現像剤排出工程においてカム突起20dとの当接に伴い弾性変形し、カム突起20dが可能な限り滑らかに通過できるように構成されている。このように、図49(c)の例の場合は、カム溝21eとともにクリック突起21iが規制部としての機能を果たしている。
〔実施例6〕
次に、実施例6の構成について、図50(a)〜(c)を用いて説明する。図50(a)は現像剤補給容器1の概略斜視図、(b)はポンプ部20bが伸びた状態を示す概略断面図、(c)は規制部材56周辺を示す概略斜視図である。本例では、上述した実施例と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本例では、現像剤補給容器1の回転軸線方向において円筒部20kを分断する位置にポンプ部20bとともに駆動変換機構(カム機構)を設けた点が実施例5と大きく異なる。その他の構成は実施例5とほぼ同様である。
図50(a)に示すように、本例では、回転に伴い現像剤を排出部21hに向けて搬送する円筒部20kは、円筒部20k1と円筒部20k2により構成されている。そして、ポンプ部20bはこの円筒部20k1と円筒部20k2との間に設けられている。
このポンプ部20bと対応する位置に駆動変換機構として機能するカムフランジ部15が設けられている。このカムフランジ部15の内面には、実施例5と同様に、カム溝15aが全周に亘って形成されている。一方、円筒部20k2の外周面には、カム溝15aに嵌まり込むように構成された、駆動変換機構として機能するカム突起20dが形成されている。
なお、本例においても、実施例5と同様に、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着されると、フランジ部21(排出部21h)は現像剤補給装置8により回転方向並びに回転軸線方向への移動が阻止された状態となる。
従って、現像剤補給容器1を現像剤補給装置8に装着後、ギア部20aに回転駆動力が入力されると、円筒部20k2とともにポンプ部20bが矢印ω方向と矢印γ方向へ往復動(伸縮)することになる。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、ポンプ部20bの設置位置を円筒部を分断する位置に設けたとしても、実施例5と同様に、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力によりポンプ部20bを往復動させることが可能となる。
なお、排出部21hに貯留されている現像剤に対して効率良くポンプ部20bによる作用を施せるという点で、ポンプ部20bが排出部21hに直接的に接続されている実施例5の構成の方がより好ましい。
さらに、現像剤補給装置8により実質不動となるように保持しなければならないカムフランジ部(駆動変換機構)15が別途必要となってしまう。また、現像剤補給装置8側にカムフランジ部15が円筒部20kの回転軸線方向に移動するのを規制する機構が別途必要となってしまう。従って、このような機構の複雑化を考慮すると、フランジ部21を利用する実施例5の構成の方がより好ましい。
なぜなら、実施例5では、排出口21aの位置を実質不動とするためフランジ部21が現像剤補給装置8により保持される構成となっており、この点に着目して駆動変換機構を構成する一方のカム機構をフランジ部21に設けているからである。つまり、駆動変換機構の簡易化を図っているからである。
また、本例では、図50(c)に示すように、フランジ部21下面に実施例5と同様の構成の規制部(レール21rと規制部材56)を設けているため、ポンプ部20bを所定の状態に規制することが可能である。すなわち、ポンプ部の最初の動作周期において排出口から現像剤収容部内へエアーが取り込まれるように前記ポンプ部の動作開始時の位置を規制することが可能である。従って、本例の構成であっても、ポンプ部20bを所定の位置に規制させた状態から容積増大方向へ動作させることにより、現像剤補給容器1内の現像剤の解し効果をより確実に得ることができる。
〔実施例7〕
次に、実施例7の構成について、図51を用いて説明する。図51(a)は現像剤補給容器1の断面図、(b)は規制部材56周辺を示す概略斜視図である。本例では、上述した実施例と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本例では、現像剤補給容器1の現像剤搬送方向上流側の端部に駆動変換機構(カム機構)を設けた点と、円筒部20t内の現像剤を撹拌部材20jを用いて搬送する点が実施例5と大きく異なる。その他の構成は実施例5とほぼ同様である。
本例では、図51に示すように、円筒部20t内に円筒部20tに対して相対回転する搬送部としての撹拌部材20jが設けられている。この撹拌部材20jは、現像剤補給装置8に回転不可となるように固定された円筒部20tに対し、ギア部20aが受けた回転駆動力により、相対回転することにより現像剤を撹拌しながら排出部21hに向けて回転軸線方向に搬送する機能を有している。具体的には、撹拌部材20jは、軸部と、この軸部に固定された搬送翼部と、を備えた構成となっている。
また、本例では、駆動入力部としてのギア部20aが、現像剤補給容器1の長手方向一端側(図51において右側)に設けられており、このギア部20aが撹拌部材20jと同軸的に結合された構成となっている。
さらに、ギア部20aと同軸的に回転するようにギア部20aと一体化された中空のカムフランジ部21nが現像剤補給容器の長手方向一端側(図51において右側)に設けられている。このカムフランジ部21nには、円筒部20tの外周面に約180°対向する位置に2つ設けられたカム突起20dと嵌合するカム溝21bが、内面に全周に亘って形成されている。
また、円筒部20tはその一端部(排出部21h側)がポンプ部20bに固定され、更にポンプ部20bはその一端部(排出部21h側)がフランジ部21に固定されている(それぞれ熱溶着法により両者が固定されている)。従って、現像剤補給装置8に装着された状態では、ポンプ部20bと円筒部20tはフランジ部21に対して実質回転不可となる。
なお、本例においても、実施例5と同様に、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着されると、フランジ部21(排出部21h)は現像剤補給装置8により回転方向並びに回転軸線方向への移動が阻止された状態となる。
従って、現像剤補給装置8からギア部20aに回転駆動力が入力されると、撹拌部材20jとともにカムフランジ部21nが回転する。その結果、カム突起20dはカムフランジ部21nのカム溝21bによってカム作用を受け、円筒部20tが回転軸線方向へ往復移動を行うことにより、ポンプ部20bが伸縮するようになる。
このように、撹拌部材20jが回転するに連れて現像剤が排出部21hへと搬送され、排出部21h内にある現像剤は最終的にポンプ部20bによる吸排気動作により排出口21aから排出される。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例の構成においても、実施例5〜6と同様に、現像剤補給装置8からギア部20aが受けた回転駆動力により、円筒部20tに内蔵された撹拌部材20jの回転動作とポンプ部20bの往復動作の双方を行うことが可能となる。
なお、本例の場合、円筒部20tでの現像剤搬送工程において現像剤に与えるストレスが大きくなってしまう傾向にあり、また、駆動トルクも大きくなってしまうことから、実施例5や実施例6の構成の方がより好ましい。
また、本例では、図51(b)に示すように、フランジ部21下面に実施例5と同様の構成の規制部(レール21rと規制部材56)を設けているため、ポンプ部20bを所定の状態に規制することが可能である。すなわち、ポンプ部の最初の動作周期において排出口から現像剤収容部内へエアーが取り込まれるように前記ポンプ部の動作開始時の位置を規制することが可能である。従って、本例の構成であっても、ポンプ部20bを所定の位置に規制させた状態から容積増大方向へ動作させることにより、現像剤補給容器1内の現像剤の解し効果をより確実に得ることができる。
〔実施例8〕
次に、実施例8の構成について、図52(a)〜(e)を用いて説明する。図52の(a)は現像剤補給容器1の概略斜視図、(b)は現像剤補給容器1の拡大断面図、(c)〜(d)はカム部の拡大斜視図、(e)は規制部材56周辺を示す概略斜視図である。である。本例では、上述した実施例と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本例では、ポンプ部20bが現像剤補給装置8により回転不可となるように固定されている点が大きく異なり、その他の構成は実施例5とほぼ同様である。
本例では、図52(a)、(b)に示すように、ポンプ部20bと現像剤収容部20の円筒部20kとの間に中継部20fが設けられている。この中継部20fは、その外周面にカム突起20dが約180°対向する位置に2つ設けられており、その一端側(排出部21h側)はポンプ部20bに接続、固定されている(熱溶着法により両者が固定されている)。
また、ポンプ部20bは、その一端部(排出部21h側)がフランジ部21に固定(熱溶着法により両者が固定されている)されており、現像剤補給装置8に装着された状態では、実質回転不可となる。
そして、円筒部20kと中継部20fとの間でシール部材27が圧縮されるように構成されており、円筒部20kは中継部20fに対して相対回転可能となるように一体化されている。また、円筒部20kの外周部には、後述するカムギア部18から回転駆動力を受けるための回転受け部(凸部)20gが設けられている。
一方、中継部20fの外周面を覆うように、円筒形状のカムギア部18が設けられている。このカムギア部18はフランジ部21に対して円筒部20kの回転軸線方向には実質不動(ガタ程度の移動は許容する)となるよう係合し、且つフランジ部21に対して相対回転可能となるように設けられている。
このカムギア部18には、図52(c)に示すように、現像剤補給装置8から回転駆動力が入力される駆動入力部としてのギア部18aと、カム突起20dと係合するカム溝18bが設けられている。さらに、カムギア部18には、図52(d)に示すように、回転受け部20gと係合して円筒部20kと連れ回りするための回転係合部(凹部)18cが設けられている。つまり、回転係合部(凹部)18cは、回転受け部20gに対し回転軸線方向への相対移動が許容されながらも、回転方向へは一体的に回転できるような係合関係となっている。
本例における現像剤補給容器1の現像剤補給工程について説明する。
現像剤補給装置8の駆動ギア300(図32参照)からギア部18aが回転駆動力を受けてカムギア部18が回転すると、カムギア部18は回転係合部18cにより回転受け部20gと係合関係にあるので、円筒部20kとともに回転する。つまり、回転係合部18cと回転受け部20gが、現像剤補給装置8からギア部18aに入力された回転駆動力を円筒部20k(搬送部20c)へ伝達する役割を果たしている。
一方、実施例5〜7と同様に、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着されると、フランジ部21は回転不可となるように現像剤補給装置8に保持され、その結果、フランジ部21に固定されたポンプ部20bと中継部20fも回転不可となる。また同時に、フランジ部21は回転軸線方向への移動が現像剤補給装置8により阻止された状態となる。
従って、カムギア部18が回転すると、カムギア部18のカム溝18bと中継部20fのカム突起20dとの間にカム作用が働く。つまり、現像剤補給装置8からギア部18aに入力された回転駆動力が、中継部20fと円筒部20kを(現像剤収容部20の)回転軸線方向へ往復動させる力へ変換される。その結果、フランジ部21にその往復動方向一端側(図52(b)の左側)の位置が固定された状態にあるポンプ部20bは、中継部20fと円筒部20kの往復動に連動して伸縮することになり、ポンプ動作が行われることになる。
このように、円筒部20kが回転するに連れて搬送部20cにより現像剤が排出部21hへと搬送され、排出部21h内にある現像剤は最終的にポンプ部20bによる吸排気動作により排出口21aから排出される。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例では、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力を、円筒部20kを回転させる力とポンプ部20bを回転軸線方向へ往復動(伸縮動作)させる力に同時変換し、伝達している。
従って、本例においても、実施例5〜7と同様に、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力により、円筒部20k(搬送部20c)の回転動作とポンプ部20bの往復動作の両方を行うことが可能となる。
また、本例では、図52(e)に示すように、フランジ部21下面に実施例5と同様の構成の規制部(レール21rと規制部材56)を設けているため、ポンプ部20bを所定の状態に規制することが可能である。すなわち、ポンプ部の最初の動作周期において排出口から現像剤収容部内へエアーが取り込まれるように前記ポンプ部の動作開始時の位置を規制することが可能である。従って、本例の構成であっても、ポンプ部20bを所定の位置に規制させた状態から容積増大方向へ動作させることにより、現像剤補給容器1内の現像剤の解し効果をより確実に得ることができる。
〔実施例9〕
次に、実施例9の構成について、図53(a)〜(c)を用いて説明する。図53(a)は現像剤補給容器1の概略斜視図、(b)は現像剤補給容器1の拡大断面図、(c)は規制部材56周辺を示す概略斜視図を示している。本例では、上述した実施例と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本例では、現像剤補給装置8の駆動ギア300から受けた回転駆動力を、ポンプ部20bを往復動させるための往復駆動力に変換した後、その往復駆動力を回転駆動力に変換することで円筒部20kを回転させる点が、上記実施例5と大きく異なる点である。その他の構成は実施例5とほぼ同様である。
本例では、図53(b)に示すように、ポンプ部20bと円筒部20kとの間に中継部20fが設けられている。この中継部20fは、その外周面にカム突起20dが各々約180°対向する位置に2つ設けられており、その一端側(排出部21h側)はポンプ部20bに接続、固定されている(熱溶着法により両者が固定されている)。
また、ポンプ部20bは、その一端部(排出部21h側)がフランジ部21に固定(熱溶着法により両者が固定されている)されており、現像剤補給装置8に装着された状態では、実質回転不可となる。
そして、円筒部20kの一端部と中継部20fとの間でシール部材27が圧縮されるように構成されており、円筒部20kは中継部20fに対して相対回転可能となるように一体化されている。また、円筒部20kの外周部には、カム突起20iが各々約180°対向する位置に2つ設けられている。
一方、ポンプ部20bや中継部20fの外周面を覆うように、円筒形状のカムギア部18が設けられている。このカムギア部18は、フランジ部21に対して円筒部20kの回転軸線方向には不動となるよう係合し、且つ相対回転可能となるように設けられている。また、このカムギア部18には、実施例8と同様に、現像剤補給装置8から回転駆動力が入力される駆動入力部としてのギア部18aと、カム突起20dと係合するカム溝18bが設けられている。
更に、円筒部20kや中継部20fの外周面を覆うように、カムフランジ部15が設けられている。カムフランジ部15は、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8の装着部8f(図32参照)に装着されると、実質不動となるように構成されている。また、このカムフランジ部15には、カム突起20iと係合するカム溝15aが設けられている。
次に、本例における現像剤補給工程について説明する。
現像剤補給装置8の駆動ギア300からギア部18aが回転駆動力を受けてカムギア部18が回転する。すると、ポンプ部20bと中継部20fはフランジ部21に回転不可に保持されているため、カムギア部18のカム溝18bと中継部20fのカム突起20dとの間にカム作用が働く。
つまり、現像剤補給装置8からギア部18aに入力された回転駆動力が、中継部20fを(円筒部20kの)回転軸線方向へ往復動させる力へ変換される。その結果、フランジ部21にその往復動方向一端側(図53(b)の左側)の位置が固定された状態にあるポンプ部20bは、中継部20fの往復動に連動して伸縮することになり、ポンプ動作が行われることになる。
更に、中継部20fが往復動すると、カムフランジ部15のカム溝15aとカム突起20iとの間にカム作用が働き、回転軸線方向への力が回転方向への力に変換され、これが円筒部20kへ伝達される。その結果、円筒部20k(搬送部20c)が回転することになる。よって、円筒部20kが回転するに連れて搬送部20cにより現像剤が排出部21hへと搬送され、排出部21h内にある現像剤は最終的にポンプ部20bによる吸排気動作により排出口21aから排出される。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例では、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力を、ポンプ部20bを回転軸線方向へ往復動(伸縮動作)させる力に変換させた後、その力を円筒部20kを回転させる力に変換し、伝達している。
従って、本例においても、実施例5〜8と同様に、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力により、円筒部20k(搬送部20c)の回転動作とポンプ部20bの往復動作の両方を行うことが可能となる。
但し、本例の場合、現像剤補給装置8から入力された回転駆動力を往復駆動力に変換した上で再度回転方向の力へ変換しなければならず、駆動変換機構の構成が複雑化してしまうため、再変換が不要な実施例5〜8の構成の方がより好ましい。
また、本例では、図53(c)に示すように、フランジ部21下面に実施例5と同様の構成の規制部(レール21rと規制部材56)を設けているため、ポンプ部20bを所定の状態に規制することが可能である。すなわち、ポンプ部の最初の動作周期において排出口から現像剤収容部内へエアーが取り込まれるように前記ポンプ部の動作開始時の位置を規制することが可能である。従って、本例の構成であっても、ポンプ部20bを所定の位置に規制させた状態から容積増大方向へ動作させることにより、現像剤補給容器1内の現像剤の解し効果をより確実に得ることができる。
〔実施例10〕
次に、実施例10の構成について、図54(a)〜(c)、図55(a)〜(d)を用いて説明する。図54の(a)は現像剤補給容器の概略斜視図、(b)は現像剤補給容器の拡大断面図、(c)は規制部材56周辺を示す概略斜視図である。図55(a)〜(d)は駆動変換機構の拡大図を示している。なお、図55(a)〜(d)は後述するギアリング60、及び回転係合部60bの動作説明の都合上、当該部位が常に上面にある状態を模式的に表した図である。また、本例では、上述した実施例と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本例では、駆動変換機構としてかさ歯ギアを用いた点が、上記した実施例と大きく異なる点である。その他の構成は実施例5とほぼ同様である。
図54(b)に示すように、ポンプ部20bと円筒部20kとの間に中継部20fが設けられている。この中継部20fは、後述する連結部62が係合する係合突起20hが設けられている。
また、ポンプ部20bは、その一端部(排出部21h側)がフランジ部21に固定(熱溶着法により両者が固定されている)されており、現像剤補給装置8に装着された状態では、実質回転不可となる。
そして、円筒部20kの排出部21h側の一端部と中継部20fとの間でシール部材27が圧縮されるように構成されており、円筒部20kは中継部20fに対して相対回転可能となるように一体化されている。また、円筒部20kの外周部には、後述するギアリング60から回転駆動力を受けるための回転受け部(凸部)20gが設けられている。
一方、円筒部20kの外周面を覆うように、円筒形状のギアリング60が設けられている。このギアリング60はフランジ部21に対して相対回転可能となるように設けられている。
このギアリング60には、図54(a)、(b)に示すように、後述するかさ歯ギア61に回転駆動力を伝達するためのギア部60aと、回転受け部20gと係合して円筒部20kと連れ回りするための回転係合部(凹部)60bが設けられている。回転係合部(凹部)60bは、回転受け部20gに対し回転軸線方向への相対移動が許容されながらも、回転方向へは一体的に回転できるような係合関係となっている。
また、フランジ部21の外周面には、かさ歯ギア61がフランジ部21に対して回転可能となるように設けられている。更に、かさ歯ギア61と係合突起20hは連結部62により接続されている。
次に、現像剤補給容器1の現像剤補給工程について説明する。
現像剤補給装置8の駆動ギア300から現像剤収容部20のギア部20aが回転駆動力を受けて円筒部20kが回転すると、円筒部20kは回転受け部20gによりギアリング60と係合関係にあるので、ギアリング60は円筒部20kとともに回転する。つまり、回転受け部20gと回転係合部60bが、現像剤補給装置8からギア部20aに入力された回転駆動力をギアリング60へ伝達する役割を果たしている。
一方、ギアリング60が回転すると、その回転駆動力はギア部60aからかさ歯ギア61に伝達され、かさ歯ギア61は回転する。そして、このかさ歯ギア61の回転駆動は、図55(a)〜(d)に示すように、連結部62を介して係合突起20hの往復運動に変換される。これにより、係合突起20hを有する中継部20fは往復運動される。その結果、ポンプ部20bは、中継部20fの往復動に連動して伸縮することになり、ポンプ動作が行われることになる。
このように、円筒部20kが回転するに連れて搬送部20cにより現像剤が排出部21hへと搬送され、排出部21h内にある現像剤は最終的にポンプ部20bによる吸排気動作により排出口21aから排出される。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例においても、実施例5〜9と同様に、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力により、円筒部20k(搬送部20c)の回転動作とポンプ部20bの往復動作の両方を行うことが可能となる。
なお、かさ歯ギアを用いた駆動変換機構の場合、部品点数が多くなってしまうことから、実施例5〜9の構成の方がより好ましい。
また、本例では、図54(c)に示すように、フランジ部21下面に実施例5と同様の構成の規制部(レール21rと規制部材56)を設けているため、ポンプ部20bを所定の状態に規制することが可能である。すなわち、ポンプ部の最初の動作周期において排出口から現像剤収容部内へエアーが取り込まれるように前記ポンプ部の動作開始時の位置を規制することが可能である。従って、本例の構成であっても、ポンプ部20bを所定の位置に規制させた状態から容積増大方向へ動作させることにより、現像剤補給容器1内の現像剤の解し効果をより確実に得ることができる。
〔実施例11〕
次に、実施例11の構成について、図56(a)〜(d)を用いて説明する。図56の(a)は駆動変換機構の拡大斜視図、(b)〜(c)は駆動変換機構を上方から見た拡大図、(d)は規制部材56周辺を示す概略斜視図である。なお、本例では、上述した実施例と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。なお、図56(b)、(c)は後述するギアリング60、及び回転係合部60bの動作説明の都合上、当該部位が常に上面にある状態を模式的に表した図である。
本例では、駆動変換機構として磁石(磁界発生手段)を用いた点が、上記した実施例と大きく異なる点である。その他の構成は実施例5とほぼ同様である。
図56に示すように、かさ歯ギア61に直方体状の磁石63を設けるとともに、中継部20fの係合突起20hに磁石63に対して一方の磁極が向くように棒状の磁石64が設けられている。直方体状の磁石63は長手方向一端側がN極で他端側がS極となっており、かさ歯ギア61の回転とともにその向きを変える構成となっている。また、棒状の磁石64は容器の外側に位置する長手方向一端側がS極で他端側がN極となっており、回転軸線方向へ移動可能な構成となっている。なお、磁石64は、フランジ部21の外周面に形成された長丸形状のガイド溝により回転できないように構成されている。
この構成では、かさ歯ギア61の回転により磁石63が回転すると、磁石64と向き合う磁極が入れ替わるため、その際の磁石63と磁石64が引き合う作用と反発し合う作用が交互に繰り返される。その結果、中継部20fに固定されたポンプ部20bが回転軸線方向に往復動することになる。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例の構成においても、実施例5〜10と同様に、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力により、搬送部20c(円筒部20k)の回転動作とポンプ部20bの往復動作の両方を行うことが可能となる。
なお、本例では、かさ歯ギア61に磁石を設けた例について説明したが、駆動変換機構として磁力(磁界)を利用する構成であれば、このような構成でなくても構わない。
また、駆動変換の確実性を考慮すると、上記の実施例5〜10の構成の方がより好ましい。また、現像剤補給容器1に収容されている現像剤が磁性現像剤である場合(例えば、1成分磁性トナー、2成分磁性キャリア)、磁石の近傍の容器内壁部分に現像剤が捕捉されてしまう恐れがある。つまり、現像剤補給容器1に残留する現像剤の量が多くなってしまう恐れがあるため、実施例5〜10の構成の方がより好ましい。
また、本例では、図56(d)に示すように、フランジ部21下面に実施例5と同様の構成の規制部(レール21rと規制部材56)を設けているため、ポンプ部20bを所定の状態に規制することが可能である。すなわち、ポンプ部の最初の動作周期において排出口から現像剤収容部内へエアーが取り込まれるように前記ポンプ部の動作開始時の位置を規制することが可能である。従って、本例の構成であっても、ポンプ部20bを所定の位置に規制させた状態から容積増大方向へ動作させることにより、現像剤補給容器1内の現像剤の解し効果をより確実に得ることができる。
〔実施例12〕
次に、実施例12の構成について、図57(a)〜(c)、図58(a)〜(c)を用いて説明する。なお、図57の(a)は現像剤補給容器1の内部を示す断面斜視図、(b)はポンプ部20bが現像剤補給工程において最大限伸張された状態、(c)はポンプ部20bが現像剤補給工程において最大限圧縮された状態を示す現像剤補給容器1の断面図である。図58の(a)は現像剤補給容器1の内部を示す概略図、(b)は円筒部20kの後端側を示す部分斜視図、(c)は規制部材56周辺を示す概略斜視図である。なお、本例では、上述した実施例と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本例では、ポンプ部20bを現像剤補給容器1の先端部に設けた点と、ポンプ部20bに駆動ギア300から受けた回転駆動力を円筒部20kへ伝達する機能/役割を担わせていない点が上述した実施例と大きく異なる点である。つまり、本例では、駆動変換機構による駆動変換経路外、つまり、後述する駆動部(不図示)からの回転駆動力を受けるカップリング部20s(図58(b)参照)からカム溝20nへ至る駆動伝達経路外にポンプ部20bを設けている。
これは、実施例5の構成では、駆動ギア300から入力された回転駆動力は、ポンプ部20bを介して円筒部20kに伝達された後に往復動力へ変換されるため、現像剤補給工程中はポンプ部20bに常時回転方向への力が働いてしまうからである。そのため、現像剤補給工程中において、ポンプ部20bが回転方向に捻れてしまいポンプ機能を損ねてしまう恐れがある。以下、詳細に説明する。なお、その他の構成は実施例5とほぼ同様である。
図57(a)に示すように、ポンプ部20bは、その一端部(排出部21h側)の開放部がフランジ部21に固定(熱溶着法により固定されている)されており、現像剤補給装置8に装着された状態では、フランジ部21とともに実質回転不可となる。
一方、フランジ部21や円筒部20kの外周面を覆うように、駆動変換機構として機能するカムフランジ部15が設けられている。このカムフランジ部15の内周面には、図57に示すように、2つのカム突起15bが約180°対向するように設けられている。更に、カムフランジ部15は、ポンプ部20bの一端部(排出部21h側の反対側)の閉鎖された側に固定されている。
一方、円筒部20kの外周面には駆動変換機構として機能するカム溝20nが全周に亘り形成されており、このカム溝20nにカムフランジ部15のカム突起15bが嵌り込む構成となっている。
また、本例では実施例5とは異なり、図58(b)に示すように、円筒部20kの一端面(現像剤搬送方向上流側)に駆動入力部として機能する非円形(本例では四角形)の凸状のカップリング部20sが形成されている。一方、現像剤補給装置8には、凸状のカップリング部(駆動部)20sと駆動連結し、回転駆動力を付与するため、非円形(四角形)の凹状のカップリング部(不図示)が設置されている。この凹状のカップリング部20sは、実施例5と同様に、駆動モータ(駆動源)500により駆動される構成となっている。
さらに、フランジ部21は、実施例5と同様に、現像剤補給装置8により回転軸線方向及び回転方向への移動を阻止された状態にある。一方、円筒部20kはフランジ部21とシール部材27を介して互いに接続関係にあり、また、円筒部20kはフランジ部21に対して相対回転可能となるように設けられている。このシール部材27としては、円筒部20kとフランジ部21の間からのエアー(現像剤)の出入りをポンプ部20bを用いた現像剤補給に悪影響を与えない範囲内で防止するとともに円筒部20kの回転を許すように構成された摺動型シールを採用している。
次に、現像剤補給容器1の現像剤補給工程について説明する。
現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着された後、現像剤補給装置8の凹状のカップリング部から回転駆動力を受けて円筒部20kが回転すると、それに伴いカム溝20nが回転する。
従って、このカム溝20nと係合関係にあるカム突起15bにより、現像剤補給装置8により回転軸線方向への移動が阻止されるように保持された円筒部20k及びフランジ部21に対して、カムフランジ部15が回転軸線方向へ往復移動することになる。
そして、カムフランジ部15とポンプ部20bは固定されているため、ポンプ部20bはカムフランジ部15とともに往復運動(矢印ω方向、矢印γ方向)する。その結果、ポンプ部20bは、図57(b)、(c)に示すように、カムフランジ部15の往復動に連動して伸縮することになり、ポンピング動作が行われることになる。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口21aを介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例においても、実施例5〜11と同様に、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力を現像剤補給容器1においてポンプ部20bを動作させる方向の力へ変換する構成を採用したことにより、ポンプ部20bを適切に動作させることが可能となる。
また、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力をポンプ部20bを介することなく往復動力への変換を行う構成としたことにより、ポンプ部20bの回転方向への捻れによる破損を防止することも可能となる。従って、ポンプ部20bの強度を過度に大きくする必要性がなくなることから、ポンプ部20bの厚さをより薄くしたり、その材質としてより安価な材料のものを選ぶことが可能となる。
さらに、本例の構成では、実施例5〜11の構成のようにポンプ部20bを排出部21hと円筒部20kとの間に設置せずに、排出部21hの円筒部20kから離れた側に設置しているので、現像剤補給容器1に残留する現像剤の量を少なくすることが可能となる。
なお、図58(a)に示すように、ポンプ部20bの内部空間を現像剤収容スペースとして使用せずに、フィルタ65によりポンプ部20bと排出部21hとの間を仕切る構成としても構わない。このフィルタは、エアーは容易に通過させるもののトナーは実質通過させない特性を備えたものである。このような構成を採用することにより、ポンプ部20bの「谷折り」部が圧縮された際に「谷折り」部内に存在する現像剤にストレスを与えてしまうことを防止することが可能となる。但し、ポンプ部20bの容積増大時に新たな現像剤収容スペースを形成できる点、つまり、現像剤が移動し得る新たな空間を形成し現像剤がより解れ易くなるという点で、上述した図57(a)〜(c)の構成の方がより好ましい。
また、本例では、図58(c)に示すように、フランジ部21下面に実施例5と同様の構成の規制部(レール21rと規制部材56)を設けているため、ポンプ部20bを所定の状態に規制することが可能である。すなわち、ポンプ部の最初の動作周期において排出口から現像剤収容部内へエアーが取り込まれるように前記ポンプ部の動作開始時の位置を規制することが可能である。従って、本例の構成であっても、ポンプ部20bを所定の位置に規制させた状態から容積増大方向へ動作させることにより、現像剤補給容器1内の現像剤の解し効果をより確実に得ることができる。
〔実施例13〕
次に、実施例13の構成について、図59(a)〜(d)を用いて説明する。図59(a)〜(c)は、現像剤補給容器1の拡大断面図、(d)は規制部材56周辺を示す概略斜視図である。なお、図59(a)〜(c)において、ポンプ部以外の構成は、図57及び図58に示す構成とほぼ同様であり、同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本例では、図57に示すような「山折り」部と「谷折り」部が周期的に交互に複数形成された蛇腹状のポンプ部ではなく、図59に示すような、折り目が実質無く、膨張と収縮が可能な膜状のポンプ部12を採用している。その他の構成は実施例5とほぼ同様である。
本例ではこの膜状のポンプ部12としてゴム製のものを用いているが、このような例だけではなく、樹脂フィルムなどの柔軟材料を用いても構わない。
このような構成において、カムフランジ部15が回転軸線方向へ往復移動すると、膜状ポンプ部12がカムフランジ部15とともに往復運動する。その結果、膜状ポンプ部12は、図59(b)、(c)に示すように、カムフランジ部15の往復動(矢印ω方向、矢印γ方向)に連動して伸縮することになり、ポンピング動作が行われることになる。
以上のように、本例においても、1つのポンプ部12で吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口21aを介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例においても、実施例5〜12と同様に、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力を現像剤補給容器1においてポンプ部12を動作させる方向の力へ変換する構成を採用したことにより、ポンプ部12を適切に動作させることが可能となる。
また、本例では、図59(d)に示すように、フランジ部21下面に実施例5と同様の構成の規制部(レール21rと規制部材56)を設けているため、ポンプ部12を所定の状態に規制することが可能である。すなわち、ポンプ部の最初の動作周期において排出口から現像剤収容部内へエアーが取り込まれるように前記ポンプ部の動作開始時の位置を規制することが可能である。従って、本例の構成であっても、ポンプ部12を所定の位置に規制させた状態から容積増大方向へ動作させることにより、現像剤補給容器1内の現像剤の解し効果をより確実に得ることができる。
〔実施例14〕
次に、実施例14の構成について図60(a)〜(f)を用いて説明する。図60の(a)は現像剤補給容器1の概略斜視図、(b)は現像剤補給容器1の拡大断面図、(c)〜(e)は駆動変換機構の概略拡大図、(f)はポンプ部21fの規制部である保持部材3及びロック部材55周辺を示す概略斜視図である。本例では、上述した実施例と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本例では、ポンプ部を回転軸線方向と直交する方向に往復動させる点が、上記実施例と大きく異なる点である。
(駆動変換機構)
本例では、図60(a)〜(e)に示すように、フランジ部21に、つまり、排出部21hの上部に蛇腹タイプのポンプ部21fが接続されている。更に、ポンプ部21fの上端部には駆動変換部として機能するカム突起21gが接着、固定されている。一方、現像剤収容部20の長手方向一端面には、カム突起21gが嵌り込む関係となる駆動変換部として機能するカム溝20eが形成されている。
また、現像剤収容部20は、図60(b)に示すように、排出部21h側の端部がフランジ部21の内面に設けられたシール部材27を圧縮した状態で、排出部21hに対して相対回転可能に固定されている。
また、本例でも、現像剤補給容器1の装着動作に伴い、排出部21hの両側面部(回転軸線方向Xと直交する方向における両端面)が現像剤補給装置8により保持される構成となっている。従って、現像剤補給時に、排出部21hの部位が実質回転しないように固定された状態となる。
また、現像剤補給容器1の装着動作に伴い、排出部21hの外底面部に設けられた凸部21jが装着部8fに設けられた凹部により係止される構成となっている。従って、現像剤補給時に、排出部21hが回転軸線方向へ実質移動しないように固定された状態となる。
ここで、カム溝20eの形状は、図60(c)〜(e)に示すように楕円形状となっており、このカム溝20eに沿って移動するカム突起21gは、現像剤収容部20の回転軸線からの距離(径方向への最短距離)が変化するように構成されている。
また、図60(b)に示すように、円筒部20kから螺旋状の凸部(搬送部)20cにより搬送されてきた現像剤を、排出部21hへと搬送するための板状の仕切り壁32が設けられている。この仕切り壁32は、現像剤収容部20の一部の領域を略2分割するように設けられており、現像剤収容部20とともに一体的に回転する構成とされている。そして、この仕切り壁32にはその両面に現像剤補給容器1の回転軸線方向に対し傾斜した傾斜突起32aが設けられている。この傾斜突起32aは排出部21hの入口部に接続されている。
従って、搬送部20cにより搬送されてきた現像剤は、円筒部20kの回転に連動してこの仕切り壁32により重力方向下方から上方へと掻き上げられる。その後、円筒部20kの回転が進むに連れて重力によって仕切り壁32表面上を滑り落ち、やがて傾斜突起32aによって排出部21h側へと受け渡される。この傾斜突起32aは、円筒部20kが半周する毎に現像剤が排出部21hへと送り込まれるように、仕切り壁32の両面に設けられている。
(現像剤補給工程)
次に、本例の現像剤補給容器1の現像剤補給工程について説明する。
操作者により現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着されると、フランジ部21(排出部21h)は現像剤補給装置8により回転方向及び回転軸線方向への移動が阻止された状態になる。また、ポンプ部21fとカム突起21gはフランジ部21に固定されているため、同様に、回転方向及び回転軸線方向への移動が阻止された状態となる。
そして、駆動ギア300(図32参照)からギア部20aに入力された回転駆動力により現像剤収容部20が回転し、カム溝20eも回転する。一方、回転しないように固定されているカム突起21gはカム溝20eからカム作用を受けることから、ギア部20aに入力された回転駆動力がポンプ部21fを上下方向に往復移動させる力へと変換される。ここで、図60(d)は、カム突起21gがカム溝20eにおける楕円とその長軸Laの交点(図60(c)のY点)に位置することでポンプ部21fが最も伸張された状態を示している。一方、図60(e)は、カム突起21gがカム溝20eにおける楕円とその短軸Lbの交点(図60(c)のZ点)に位置することでポンプ部21fが最も圧縮された状態を示している。
このような、図60(d)と図60(e)の状態を交互に所定の周期で繰り返すことで、ポンプ部21fによる吸排気動作が行われる。つまり、現像剤の排出動作が円滑に行われる。
このように、円筒部20kが回転するに連れて搬送部20c及び傾斜突起32aにより現像剤が排出部21hへと搬送され、排出部21h内にある現像剤は最終的にポンプ部21fによる吸排気動作により排出口21aから排出される。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例においても、実施例5〜13と同様に、現像剤補給装置8からギア部20aが回転駆動力を受けることにより、搬送部20c(円筒部20k)の回転動作とポンプ部21fの往復動作の両方を行うことが可能となる。
また、本例のように、ポンプ部21fを排出部21hの重力方向上部(現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着された状態のとき)に設けたことで、実施例5に比して、ポンプ部21f内に残留してしまう現像剤の量を可及的に少なくすることが可能となる。
なお、本例では、ポンプ部21fとして蛇腹状のポンプを採用しているが、実施例13で説明した膜状のポンプをポンプ部21fとして採用しても構わない。
また、本例では駆動伝達部としてのカム突起21gをポンプ部21fの上面に接着剤にて固定しているが、カム突起21gをポンプ部21fに固定しなくても良い。例えば、従来公知のパッチン止めや、カム突起3gを丸棒状に、ポンプ部3fに丸棒状のカム突起3gが嵌入可能な丸穴形状を設ける、と言った構成でも構わない。このような例であっても同様の効果を奏することが可能である。
また、本例では、図60(f)に示すように、ポンプ部21fの規制部として実施例1と同様の構成の規制部(保持部材3とロック部材55)を設けているため、ポンプ部21fを所定の状態に規制することが可能である。すなわち、ポンプ部の最初の動作周期において排出口から現像剤収容部内へエアーが取り込まれるように前記ポンプ部の動作開始時の位置を規制することが可能である。従って、本例の構成であっても、ポンプ部21fを所定の位置に規制させた状態から容積増大方向へ動作させることにより、現像剤補給容器1内の現像剤の解し効果をより確実に得ることができる。
〔実施例15〕
次に、実施例15の構成について、図61〜図63を用いて説明する。図61の(a)は現像剤補給容器1の概略斜視図、(b)はフランジ部21の概略斜視図、(c)は円筒部20kの概略斜視図である。図62の(a)、(b)は現像剤補給容器1の拡大断面図、(c)、(d)は規制部としての固定テープ(テープ部材)3cの例を示す概略図である。図63はポンプ部21fの概略図である。本例では、上述した実施例と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本例では、ポンプ部を復動作させる方向の力へ変換することなく往動作させる方向の力へ回転駆動力を変換する点が、上記実施例と大きく異なる点である。
本例では、図61〜図63に示すように、フランジ部21の円筒部20k側の側面に、蛇腹タイプのポンプ部21fが設けられている。また、この円筒部20kの外周面にはギア部20aが全周に亘って設けられている。さらに、円筒部20kの排出部21h側の端部には、円筒部20kの回転によりポンプ部21fと当接することでポンプ部21fを圧縮させる圧縮突起20lが約180°対向する位置に2つ設けられている。これらの圧縮突起20lの回転方向下流側の形状は、ポンプ部21fへの当接時のショックを軽減させるため、ポンプ部21fを徐々に圧縮させるようにテーパ状(図61(c)参照)とされている。一方、圧縮突起20lの回転方向上流側の形状は、ポンプ部21fを自らの弾性復帰力により瞬時に伸張させるため、円筒部20kの回転軸線方向と実質平行となるように円筒部20kの端面から垂直な面形状(図61(c)参照)とされている。
また、実施例10と同様に、円筒部20k内には、螺旋状の凸部(搬送部)20cにより搬送されてきた現像剤を排出部21hへ搬送するための板状の仕切り壁32(図62(a)、(b)参照)が設けられている。
次に、本例の現像剤補給容器1の現像剤補給工程について説明する。
現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着された後、現像剤補給装置8の駆動ギア300からギア部20aに入力された回転駆動力により現像剤収容部20である円筒部20kが回転し、圧縮突起20lも回転する。その際、圧縮突起20lがポンプ部21fと当接すると、図62(a)に示すように、ポンプ部21fは矢印γの方向に圧縮され、それにより排気動作が行われる。
一方、更に円筒部20kの回転が進行し、圧縮突起20lとポンプ部21fの当接が解除されると、図62(b)に示すように、ポンプ部21fは自己復元力により矢印ω方向に伸張されて元の形状に復帰し、それにより吸気動作が行われる。
このような、図62(a)と(b)の状態を交互に所定の周期で繰り返すことで、ポンプ部21fによる吸排気動作が行われる。つまり、現像剤の排出動作が円滑に行われる。
このように、円筒部20kが回転するに連れて螺旋状の凸部(搬送部)20c及び傾斜突起(搬送部)32a(図60参照)により現像剤が排出部21hへと搬送される。そして、排出部21h内にある現像剤は最終的にポンプ部21fによる排気動作により排出口21aから排出される。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例においても、実施例5〜14と同様に、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力により、現像剤補給容器1の回転動作とポンプ部21fの往復動作の両方を行うことができる。
なお、本例では、ポンプ部21fは圧縮突起20lとの当接により圧縮され、当接が解除されることでポンプ部21fの自己復元力により伸張する構成とされているが、逆の構成としても構わない。
具体的には、ポンプ部21fが圧縮突起20lに当接した際に両方が係止するように構成し、円筒部20kの回転が進行するに連れてポンプ部21fが強制的に伸張される。そして、更に円筒部20kの回転が進行して係止が解除されると、ポンプ部21fが自己復元力(弾性復帰力)により元の形状に復帰する。これにより吸気動作と排気動作が交互に行われる構成である。
また、本例の場合、ポンプ部21fが長期間に亘り複数回伸縮動作を繰り返すことでポンプ部21fの自己復元力が低下してしまう恐れがあるので、上記した実施例5〜14の構成の方がより好ましい。または、図63に示す構成を採用することにより、このような問題に対処することが可能である。
図63に示すように、ポンプ部21fの円筒部20k側の端面に圧縮板20qが固定されている。また、フランジ部21の外面と圧縮板20qとの間に、付勢部材として機能するバネ20rがポンプ部21fを覆うように設けられている。このバネ20rは、ポンプ部21fに常時伸張方向への付勢をかけるように構成されている。
このような構成とすることにより、圧縮突起20lとポンプ部21fの当接が解除された際のポンプ部21fの自己復元を補助することができるため、ポンプ部21fの伸縮動作を長期間に亘り複数回行った場合でも確実に吸気動作を実行させることができる。
なお、本例では、駆動変換機構として機能する圧縮突起20lを約180°対向するように2つ設けているが、設置個数についてはこのような例に限らず、1つ設ける場合や3つ設ける場合などとしても構わない。また。圧縮突起を1つ設ける代わりに、駆動変換機構として次のような構成を採用しても構わない。例えば、円筒部20kのポンプ部21fと対向する端面の形状を、本例のように円筒部20kの回転軸線に垂直な面とはせずに回転軸線に対し傾斜した面とする場合である。この場合、この傾斜面がポンプ部21fに作用するように設けられることから、圧縮突起と同等な作用を施すことが可能である。また、例えば、円筒部20kのポンプ部21fと対向する端面の回転中心からポンプ部21fに向けて回転軸線方向へ軸部を延出させ、この軸部に回転軸線に対し傾斜した斜板(円盤状の部材)を設けた場合である。この場合、この斜板がポンプ部21fに作用するように設けられることから、圧縮突起と同等な作用を施すことが可能である。
次に本例に示したポンプ部21fの規制部について詳述する。
本例は実施例5等で示すように、現像剤補給容器1の円筒部20kの回転を規制することで、ポンプ部21fの動作規制を行うものである。本例においては円筒部20kの回転を規制する手段として、固定テープ3cを用いた例を示す。固定テープ3cは、ポンプ部21fの最初の動作周期において排出口から現像剤収容部内へエアーが取り込まれるように前記ポンプ部21fの動作開始時の位置を規制する規制部である。
図62(a)において、円筒部20kとフランジ部21との間に固定テープ3cが貼着されている。そのため現像剤補給容器1の物流時やユーザーのハンドリング時に円筒部20kがフランジ部21に対して不用意に相対回転するのを防止している。そのためポンプ部21fは縮んだ状態を保持する構成となっている。
使用時にはユーザーは前記状態の現像剤補給容器1を画像形成装置本体100に装着する。その後、画像形成装置本体100からの回転駆動を受けて円筒部20kが回転しようとすると、その力により図62(b)に示すように固定テープ3cが破断して円筒部20kの回転規制が解除される。または固定テープ3cの貼着部が剥がれることによって回転規制が解除されてもよい。
ここで、固定テープ3cとして用いられるものとしては、画像形成装置本体100からの回転駆動を受けた際に固定テープ3cを破断できる程度の強度のものであれば良い。つまり、物流時やハンドリング時の不用意な回転を防止しつつ、かつ回転開始時の力により比較的容易に破断する程度の強度を有するテープが望まれる。具体例としては、日東電工社株式会社製クラフト粘着テープ(No.712F)などが挙げられる。また、固定テープ3cの貼着部を回転により剥がすことで固定を解除する設計をするならば比較的接着力の弱いテープである、例えば同じく日東電工株式会社製ホールディングテープ(No.3800A)やバックシールテープ(No.2900)などが好適である。
また、破断強度を下げるために、固定テープ3cに図62(c)、(d)に示すようにミシン目3c1やノッチ形状3c2を施すなどしても構わない。また、物流やユーザーによる不用意な回転をより厳しく規制したい場合には、補助用として補助用固定テープ3d(図62(a)参照)を更に貼着しても構わない。但しこの場合は回転によっては容易に破断/剥離しないため、画像形成装置本体100への装着前にユーザーが補助用固定テープ3dを除去する作業が必要となる。なお、上記した方法を組み合わせることも充分可能である。更には固定テープ3cを用いる構成は、本明細書に係る他の実施例においても適用可能である。
以上に説明したような固定テープ3cを用いる方法であっても、円筒部20kの回転を規制するため、ポンプ部21fを所定の状態に規制することが可能である。すなわち、ポンプ部21fの最初の動作周期において排出口から現像剤収容部内へエアーが取り込まれるように前記ポンプ部21fの動作開始時の位置を規制することが可能である。従って、本例の構成であっても、ポンプ部21fを所定の位置に規制させた状態から容積増大方向へ動作させることにより、現像剤補給容器1内の現像剤の解し効果をより確実に得ることができる。
なお、本例のようなポンプ部の構成であっても実施例5と同様の構成の規制部を設けることで、ポンプ部21fを所定の状態に規制することも勿論可能である。
〔実施例16〕
次に、実施例16の構成について、図64(a)〜(c)を用いて説明する。図64の(a)〜(b)は現像剤補給容器の1を模式的に表す断面図、(c)は本実施例に係る現像剤補給容器1が装着される現像剤補給装置8の概略図である。
本例では、ポンプ部21fを円筒部20kに設け、このポンプ部21fが円筒部20kとともに回転する構成となっている。さらに、本例では、ポンプ部21fに設けた錘20vにより、ポンプ部21fが回転に伴い往復動を行う構成となっている。本例のその他の構成は、実施例14と同様であり、同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
図64(a)に示すように、現像剤補給容器1の現像剤収容スペースとして、円筒部20k、フランジ部21、ポンプ部21fが機能する。また、ポンプ部21fは円筒部20kの外周部に接続されており、ポンプ部21fによる作用が円筒部20k及び排出部21hに生じるように構成されている。
次に、本例の駆動変換機構について説明する。
円筒部20kの回転軸線方向一端面に駆動入力部として機能するカップリング部(四角形状の凸部)20sが設けられており、このカップリング部20sが現像剤補給装置8より回転駆動力を受ける。また、ポンプ部21fの往復動方向一端の上面には錘20vが固定されている。本例では、この錘20vが駆動変換機構として機能する。
つまり、円筒部20kとともにポンプ部21fが一体的に回転するのに伴い、ポンプ部21fが錘20vの重力作用により上下方向に伸縮を行う。
具体的には、図64(a)は、錘20vがポンプ部21fよりも重力方向上側に位置しており、錘20vの重力作用(白抜き矢印)によりポンプ部21fが収縮している状態を示している。このとき、排出口21aから排気、つまり、現像剤の排出が行われる(黒塗り矢印)。
一方、図64(b)は、錘20vがポンプ部21fよりも重力方向下側に位置しており、錘20vの重力作用(白抜き矢印)によりポンプ部21fが伸張している状態を示している。このとき、排出口21aから吸気が行われ(黒塗り矢印)、現像剤が解される。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例においても、実施例5〜15と同様に、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力により、現像剤補給容器1の回転動作とポンプ部21fの往復動作の両方を行うことができる。
なお、本例の場合、ポンプ部21fが円筒部20kを中心に回転する構成とされているので、現像剤補給装置8の装着部8fのスペースが大きくなり、装置が大型化してしまうことから、実施例5〜15の構成の方がより好ましい。
次に本例に示したポンプ部21fの規制部について詳述する。
本例においては、ポンプ部21fが縮んだ状態で現像剤補給装置8に装着されることを達成するために、現像剤補給装置8の装着部8fの形状(容器を受入れる開口の形状)が、ポンプ部21fを現像剤補給容器1の鉛直方向上方の位置にある時の現像剤補給容器1の外形形状と略一致した形状となっている。
そのため、ポンプ部21fが所定の位置に有る場合にのみ装着可能となる構成となっている。本例では、図64(a)に示すように、ポンプ部21fが円筒部20kの上方にある場合のみ装着可能となっている。このような構成とすることで、現像剤補給装置8に現像剤補給容器1を装着する際は必ずポンプ部21f、及び錘20vが上方に有る状態となり、ポンプ部21fは錘20vの重力作用を受け縮んだ状態を維持したまま装着されることとなる。その状態で画像形成装置本体100からの回転駆動を受けて円筒部20kが回転すると上述したようにポンプ部21fが錘20vの作用により伸縮を繰り返し、現像剤を排出することが可能となる。
つまり、本例では、装着部8fとともに錘20vが規制部としての機能を果たしている。
以上に説明したような構成であっても、ポンプ部21fを所定の状態に規制することが可能である。すなわち、ポンプ部の最初の動作周期において排出口から現像剤収容部内へエアーが取り込まれるように前記ポンプ部の動作開始時の位置を規制することが可能である。従って、本例の構成であっても、ポンプ部21fを所定の位置に規制させた状態から容積増大方向へ動作させることにより、現像剤補給容器1内の現像剤の解し効果をより確実に得ることができる。
なお、本例のようなポンプ部の構成であっても実施例5と同様の構成の規制部を設けることで、ポンプ部21fを所定の状態に規制することも勿論可能である。
〔実施例17〕
次に、実施例17の構成について、図65〜図67を用いて説明する。ここで図65の(a)は円筒部20kの斜視図、(b)はフランジ部21の斜視図である。図66の(a)〜(b)は現像剤補給容器1の部分断面斜視図であり、特に、(a)は回転シャッタが開いた状態、(b)は回転シャッタが閉まった状態を示している。図67はポンプ部21fの動作タイミングと回転シャッタの開閉タイミングの関係を示すタイミングチャートである。なお、図67において、「収縮」はポンプ部21fによる排気工程を表し、「伸張」はポンプ部21fによる吸気工程を表している。
本例は、ポンプ部21fの伸縮動作中において排出部21hと円筒部20kとの間を仕切る機構を設けた点が、上述の実施例と大きく異なる点である。つまり、本例では、円筒部20kと排出部21hのうちポンプ部21fの容積変化に伴う圧力変動が排出部21hに選択的に生じるように円筒部20kと排出部21hとの間を仕切るように構成している。
なお、排出部21h内は後述するように円筒部20k内から搬送されてきた現像剤を受入れる現像剤収容部としての機能を持つ。本例の上記の点以外の構成は、実施例14とほぼ同様であり、同様な構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
図65(a)に示すように、円筒部20kの長手方向一端面は、回転シャッタとしての機能を有している。つまり、円筒部20kの長手方向一端面には、フランジ部21へ現像剤を排出するための連通開口20uと閉止部20wが設けられている。この連通開口20uは扇形形状となっている。
一方、フランジ部21には、図65(b)に示すように、円筒部20kからの現像剤を受入れるための連通開口21kが設けられている。この連通開口21kは連通開口20uと同様に扇形形状となっており、連通開口21kと同一面上におけるそれ以外の部分は閉じられた閉止部21mとなっている。
図66(a)〜(b)は、上述の図65(a)に示す円筒部20kと図65(b)に示すフランジ部21を組み立てた状態のものである。連通開口20u、連通開口21kの外周面はシール部材27を圧縮するよう接続されており、円筒部20kが固定されたフランジ部21に対して相対回転可能となるように接続されている。
このような構成において、ギア部20aが受けた回転駆動力により円筒部20kが相対回転すると、円筒部20kとフランジ部21との間の関係が連通状態と非通連状態とに交互に切り替わる。
つまり、円筒部20kの回転に伴い、円筒部20kの連通開口20uがフランジ部21の連通開口21kと位置が合致し連通した状態(図66(a))となる。そして、円筒部20kの更なる回転に伴い、円筒部20kの連通開口20uが回転移動して、フランジ部21の連通開口21kが円筒部20kの閉止部20wに仕切られてフランジ部21を実質密閉空間にする非連通な状態(図66(b))に切り替わる。
このような、少なくともポンプ部21fの伸縮動作時において排出部21hを隔離させる仕切り機構(回転シャッタ)を設けるのは以下の理由によるものである。
現像剤補給容器1からの現像剤の排出は、ポンプ部21fを収縮させることにより現像剤補給容器1の内圧を大気圧よりも高めることで行っている。従って、上述した実施例5〜15のように仕切り機構がない場合、その内圧変化の対象となる空間がフランジ部21の内部空間だけでなく円筒部20kの内部空間も含まれ、ポンプ部21fの容積変化量を大きくせざるを得なくなるからである。
これは、ポンプ部21fが収縮する直前における現像剤補給容器1の内部空間の容積に対する、ポンプ部21fが収縮し切った直後における現像剤補給容器1の内部空間の容積の割合に、内圧が依存しているからである。
それに対し、仕切り機構を設けた場合、フランジ部21から円筒部20kへの空気の移動がないため、フランジ部21の内部空間のみを対象にすればよくなる。つまり、同じ内圧値にするのであれば、元の内部空間の容積量が小さい方がポンプ部21fの容積変化量を小さくすることができるからである。
本例では、具体的には、回転シャッタにて仕切られた排出部21hの容積を40cm3とすることで、ポンプ部21fの容積変化量(往復移動量)を2cm3(実施例5の構成では15cm3)としている。このような少ない容積変化量であっても、実施例5と同様に、充分な吸排気効果による現像剤補給を行うことが可能である。
このように、本例では、上述の実施例5〜16の構成に比して、ポンプ部21fの容積変化量を可及的に小さくすることが可能となるのである。その結果、ポンプ部21fの小型化が可能となる。また、ポンプ部21fを往復動させる距離(容積変化量)を短く(小さく)することが可能となる。特に、現像剤補給容器1への現像剤の充填量を多くするため円筒部20kの容量を大きくする構成の場合、このような仕切り機構を設けることは効果的である。
次に、本例の現像剤補給工程について説明する。
現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着され、フランジ部21が固定された状態で駆動ギア300からギア部20aに駆動が入力されることで円筒部20kが回転し、カム溝20eも回転する。一方、フランジ部21とともに現像剤補給装置8に回転不可に保持されているポンプ部21fに固定されたカム突起21gはカム溝20eからカム作用を受ける。従って、円筒部20kの回転に伴い、ポンプ部21fが上下方向へ往復動する。
このような構成において、ポンプ部21fのポンピング動作(吸気動作、排気動作)のタイミングと回転シャッタの開閉タイミングについて、図67を用いて説明する。図67は円筒部20kが1回転する際のタイミングチャートである。なお、図67において、「収縮」はポンプ部21fの収縮動作(ポンプ部21fによる排気動作)が行われているとき、「伸張」はポンプ部21fの伸張動作(ポンプ部21fによる吸気動作)が行われているときを、「停止」はポンプ部21fが動作を停止しているときを示している。また、「連通」は回転シャッタが開いているとき、「非連通」は回転シャッタが閉じているときを示している。
まず、図67に示すように、駆動変換機構は、連通開口21kと連通開口20uの位置が合致し連通状態となっているとき、ポンプ部21fによるポンピング動作が停止するように、ギア部20aに入力された回転駆動力を変換する。具体的には、本例では、連通開口21kと連通開口20uが連通している状態のとき、円筒部20kが回転してもポンプ部21fが動作しないように、円筒部20kの回転中心からカム溝20eまでの半径距離を同一とするように設定されている。
このとき、回転シャッタが開位置に位置(連通開口21kと連通開口20uの位置が合致)しているので、円筒部20kからフランジ部21への現像剤の搬送が行われる。具体的には、円筒部20kの回転に伴い、現像剤が仕切り壁32によって掻き上げられ、その後、重力によって傾斜突起32a上を滑り落ちることで、現像剤が連通開口20uと連通開口21kを通ってフランジ部21へと移動する。
次に、図67に示すように、駆動変換機構は、連通開口21kと連通開口20uの位置がずれて非連通状態となっているとき、ポンプ部21fによるポンピング動作が行われるように、ギア部20aに入力された回転駆動力を変換する。
つまり、円筒部20kの更なる回転に伴い、連通開口21kと連通開口20uの回転位相がずれることで、閉止部20wにより連通開口21kが閉止され、フランジ部21の内部空間が隔離された非連通状態となる。
そして、このとき、円筒部20kの回転に伴い、非連通状態を維持させたままで(回転シャッタが閉位置に位置している)、ポンプ部21fを往復動させる。具体的には、円筒部20kの回転によりカム溝20eも回転し、その回転に対して円筒部20kの回転中心からカム溝20eまでの半径距離が変化する。それにより、カム作用を受けてポンプ部21fがポンピング動作を行う。
その後、更に円筒部20kが回転すると、再び連通開口21kと連通開口20uの回転位相が重なり、円筒部20kとフランジ部21が連通した状態となる。
以上の流れを繰り返しながら、現像剤補給容器1からの現像剤補給工程が行われる。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口21aを介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例においても、現像剤補給装置8からギア部20aが回転駆動力を受けることにより、円筒部20kの回転動作とポンプ部21fによる吸排気動作の両方を行うことができる。
さらに、本例の構成によれば、ポンプ部21fの小型化が可能となる。また、ポンプ部21fの容積変化量(往復移動量)を小さくすることが可能となり、その結果、ポンプ部21fを往復動させるのに要する負荷を小さくすることが可能となる。
また、本例では、回転シャッタを回転動作させる駆動力を現像剤補給装置8から別途受ける構成とせずに、搬送部(円筒部20k、搬送部20c)のために受ける回転駆動力を利用していることから、仕切り機構の簡易化も図ることが可能である。
また、ポンプ部21fの容積変化量が、円筒部20kを含めた現像剤補給容器1の全容積に依存することなく、フランジ部21の内部容積により設定可能であることは上述した通りである。従って、例えば、現像剤充填量が異なる複数種類の現像剤補給容器を製造するにあたりこれに対応するべく円筒部20kの容量(径)を変えた場合には、コストダウン効果をも見込むことができる。つまり、ポンプ部21fを含めたフランジ部21を共通のユニットとして構成し、このユニットを複数種類の円筒部20kに対して共通に組み付ける構成とすることにより、製造コストを削減することが可能となる。つまり、共通化をしない場合に比べて、金型の種類を増やす必要が無いなど、製造コストを削減することが可能となる。なお、本例では、円筒部20kとフランジ部21とが非連通状態の間に、ポンプ部21fを1周期分往復動させる例としたが、実施例5と同様に、この間に複数周期分ポンプ部21fを往復動させても構わない。
また、本例では、ポンプ部の収縮動作及び伸張動作の間中、ずっと排出部21hを隔離する構成としているが、以下のような構成としても構わない。つまり、ポンプ部21fの小型化やポンプ部21fの容積変化量(往復移動量)を小さくできるのであれば、ポンプ部の収縮動作及び伸張動作の間に、僅かに排出部21hを開放させても構わない。
また、本例では、図65(b)に示すように、フランジ部21に実施例1と同様の構成の規制部(保持部材3とロック部材55)を設けているため、ポンプ部21fを所定の状態に規制することが可能である。すなわち、ポンプ部の最初の動作周期において排出口から現像剤収容部内へエアーが取り込まれるように前記ポンプ部の動作開始時の位置を規制することが可能である。従って、本例の構成であっても、ポンプ部21fを所定の位置に規制させた状態から容積増大方向へ動作させることにより、現像剤補給容器1内の現像剤の解し効果をより確実に得ることができる。
〔実施例18〕
次に、実施例18の構成について、図68〜図70を用いて説明する。ここで図68(a)は現像剤補給容器1の部分断面斜視図、(b)は規制部材56周辺を示す概略斜視図である。図69の(a)〜(c)は仕切り機構(仕切り弁35)の動作状況を示す部分断面図である。図70は、ポンプ部21fのポンピング動作(収縮動作、伸張動作)のタイミングと後述する仕切り弁35の開閉タイミングを示すタイミングチャートである。なお、図70において、「収縮」はポンプ部21fの収縮動作(ポンプ部21fによる排気動作)が行われているとき、「伸張」はポンプ部21fの伸張動作(ポンプ部21fによる吸気動作)が行われているときを示している。また、「停止」はポンプ部21fが動作を停止しているときを示している。また、「開放」は仕切り弁35が開いているとき、「閉鎖」は仕切り弁35が閉じているときを示している。
本例は、ポンプ部21fの伸縮時において排出部21hと円筒部20kとの間を仕切る機構として仕切り弁35を設けた点が、上述の実施例と大きく異なる点である。本例の上記の点以外の構成は、実施例12(図57及び図58)とほぼ同様であり、同様な構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。なお、本例では、図57及び図58に示す実施例12の構成に対し、実施例14に係る図60に示す板状の仕切り壁32が設けられている。
上述した実施例17では円筒部20kの回転を利用した仕切り機構(回転シャッタ)を採用しているが、本例ではポンプ部21fの往復動を利用した仕切り機構(仕切り弁)を採用している。以下、詳細に説明する。
図68に示すように、排出部21hが円筒部20kとポンプ部21fの間に設けられている。そして、排出部21hの円筒部20k側には壁部33が設けられ、更に壁部33から図中左側の下方に排出口21aが設けられている。そして、この壁部33に形成された連通口33a(図69参照)を開閉する仕切り機構として機能する仕切り弁35と弾性体(以下、シール)34が設けられている。仕切り弁35は、ポンプ部21fの内部の一端側(排出部21hとは反対側)に固定されており、ポンプ部21fの伸縮動作に伴って現像剤補給容器1の回転軸線方向に往復移動する。また、シール34は、仕切り弁35に固定されており、仕切り弁35の移動に伴って一体的に移動する。
次に、現像剤補給工程における仕切り弁35の動作について、図69(a)〜(c)を用いて詳細を説明する(必要に応じて図70参照)。
図69(a)はポンプ部21fが最大限伸張した状態を示しており、仕切り弁35は排出部21hと円筒部20kとの間に設けられた壁部33から離間している。このとき、円筒部20k内の現像剤は、円筒部20kの回転に伴い、傾斜突起32aにより連通口33aを介して排出部21h内へと受け渡される(搬送される)。
その後、ポンプ部21fが収縮すると、図69(b)に示す状態となる。このとき、シール34は壁部33に当接し、連通口33aを閉鎖した状態となる。つまり、排出部21hが円筒部20kから隔離された状態となる。
そこから、更に、ポンプ部21fが収縮すると、図69(c)に示すポンプ部21fが最大限収縮した状態になる。
図69(b)に示す状態から図69(c)に示す状態までの間は、シール34が壁部33に当接したままであるので、排出部21hの内圧が加圧されて大気圧よりも高い正圧状態となり、排出口21aから現像剤が排出される。
その後、ポンプ部21fの伸張動作に伴い、図69(c)に示す状態から図69(b)に示す状態までの間は、シール34が壁部33に当接したままであるので、排出部21hの内圧が減圧されて大気圧よりも低い負圧状態となる。つまり、排出口21aを介して吸気動作が行われる。
ポンプ部21fが更に伸張すると、図69(a)に示す状態に戻る。本例では、以上の動作を繰り返すことで、現像剤補給工程が行われる。このように、本例では、ポンプ部の往復動作を利用して仕切り弁35を移動させているため、ポンプ部21fの収縮動作(排気動作)の初期と伸張動作(吸気動作)の後期の期間は仕切り弁が開いた状態となっている。
ここで、シール34について詳述する。このシール34は、壁部33に当接することにより排出部21hの密閉性を確保しつつ、ポンプ部21fの収縮動作に伴い圧縮されるものであることから、シール性と柔軟性を兼ね備えた材質のものを用いるのが好ましい。本例においては、そのような特性を備えた発泡ポリウレタン(株式会社イノアックコーポレーション社製、商品名:モルトプレンSM−55:厚さ5mm)を使用しており、ポンプ部21fの最大収縮時の厚さが2mm(圧縮量3mm)となるように設定されている。
このように、ポンプ部21fによる排出部21hに対する容積変動(ポンプ作用)については、実質、シール34が壁部33に当接後3mm圧縮されるまでの間に限られるが、仕切り弁35により限られた範囲に限定してポンプ部21fを作用させることができる。そのため、このような仕切り弁35を用いたとしても、現像剤の安定した排出が可能となる。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口21aを介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例においても、実施例5〜17と同様に、現像剤補給装置8からギア部20aが回転駆動力を受けることにより、円筒部20kの回転動作とポンプ部21fによる吸排気動作の両方を行うことができる。
さらに、実施例17と同様に、ポンプ部21fの小型化やポンプ部21fの容積変化量を小さくすることが可能となる。また、ポンプ部の共通化によるコストダウンメリットも見込まれる。
また、本例では、現像剤補給装置8から仕切り弁35を動作させる駆動力を別途受ける構成とせずに、ポンプ部21fの往復動力を利用していることから、仕切り機構の簡易化を図ることが可能である。
また、本例では、図68(b)に示すように、フランジ部21下面に実施例5と同様の構成の規制部(レール21rと規制部材56)を設けているため、ポンプ部21fを所定の状態に規制することが可能である。すなわち、ポンプ部の最初の動作周期において排出口から現像剤収容部内へエアーが取り込まれるように前記ポンプ部の動作開始時の位置を規制することが可能である。従って、本例の構成であっても、ポンプ部21fを所定の位置に規制させた状態から容積増大方向へ動作させることにより、現像剤補給容器1内の現像剤の解し効果をより確実に得ることができる。
〔実施例19〕
次に、実施例19の構成について、図71(a)〜(d)を用いて説明する。ここで、図71の(a)は現像剤補給容器1の部分断面斜視図、(b)はフランジ部21の斜視図、(c)は現像剤補給容器の断面図、(d)は規制部材56周辺を示す概略斜視図である。
本例は、排出部21hと円筒部20kとの間を仕切る機構としてバッファ部23を設けた点が、上述の実施例と大きく異なる点である。本例の上記の点以外の構成は、実施例14(図60)とほぼ同様であり、同様な構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
図71(b)に示すように、バッファ部23が、フランジ部21に、回転不可となるように固定された状態で設けられている。このバッファ部23には、上方に開口した受入れ口(開口部)23aと、排出部21hと連通した供給口23bが設けられている。
このようなフランジ部21が、図71(a)、(c)に示すように、バッファ部23が円筒部20k内に位置するように、円筒部20kに組み付けられる。また、円筒部20kは、現像剤補給装置8に移動不可に保持されたフランジ部21に対して、相対回転可能となるようにフランジ部21に接続されている。この接続部には、リング状のシールが組み込まれており、エアーや現像剤の漏れを防止する構成となっている。
また、本例では、図71(a)に示すように、バッファ部23の受入れ口23aに向けて現像剤を搬送するため、傾斜突起32aが仕切り壁32に設置されている。
本例では、現像剤補給容器1の現像剤補給動作が終了するまで、現像剤収容部20内の現像剤は現像剤補給容器1の回転に合わせて仕切り壁32及び傾斜突起32aにより受入れ口23aからバッファ部23内に受け渡される。
従って、図71(c)に示すように、バッファ部23の内部空間が現像剤で満たされた状態を維持することができる。
その結果、バッファ部23の内部空間を満たすように存在する現像剤が、円筒部20kから排出部21hへの空気の移動を実質遮ることになり、バッファ部23は仕切り機構としての役割を果たすことになる。
従って、ポンプ部21fが往復動作する際には、少なくとも、排出部21hを円筒部20kから隔離させた状態とすることが可能となり、ポンプ部の小型化やポンプ部の容積変化量を少なくすることが可能となる。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口21aを介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例においても、実施例5〜18と同様に、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力により、搬送部20c(円筒部20k)の回転動作とポンプ部21fの往復動作の両方を行うことができる。
さらに、実施例17〜18と同様に、ポンプ部の小型化やポンプ部の容積変化量を小さくすることが可能となる。また、ポンプ部の共通化によるコストダウンメリットも見込まれる。
また、本例では、仕切り機構として現像剤を利用していることから、仕切り機構の簡易化を図ることが可能である。
また、本例では、図71(d)に示すように、フランジ部21下面に実施例5と同様の構成の規制部(レール21rと規制部材56)を設けているため、ポンプ部21fを所定の状態に規制することが可能である。すなわち、ポンプ部の最初の動作周期において排出口から現像剤収容部内へエアーが取り込まれるように前記ポンプ部の動作開始時の位置を規制することが可能である。従って、本例の構成であっても、ポンプ部21fを所定の位置に規制させた状態から容積増大方向へ動作させることにより、現像剤補給容器1内の現像剤の解し効果をより確実に得ることができる。
〔実施例20〕
次に、実施例20の構成について、図72〜図73を用いて説明する。ここで、図72の(a)は現像剤補給容器1の斜視図であり、(b)は現像剤補給容器1の断面図、図73(a)はノズル部47を示す断面斜視図、(b)は規制部材56周辺を示す概略斜視図である。
本例では、ポンプ部20bにノズル部47を接続し、このノズル部47に一旦吸入した現像剤を排出口21aから排出させており、この構成が上述した実施例と大きく異なるところである。本例のその他の構成については、前述した実施例14とほぼ同様であり、同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
図72(a)に示すように、現像剤補給容器1は、フランジ部21と現像剤収容部20より構成されている。この現像剤収容部20は円筒部20kより構成されている。
円筒部20k内には、図72(b)に示すように、搬送部として機能する仕切り壁32が、回転軸線方向の全域に亘って設けられている。この仕切り壁32の一端面には、傾斜突起32aが回転軸線方向の異なる位置に複数設けられており、回転軸線方向一端側から他端側(フランジ部21に近い側)に向けて現像剤を搬送する構成となっている。また、傾斜突起32aは、仕切り壁32の他端面にも、同様に、複数設けられている。さらに、隣り合う傾斜突起32a間には現像剤の通過を許す貫通口32bが設けられている。この貫通口32bは現像剤を撹拌するためのものである。なお、搬送部の構成としては他の実施例で示したような、円筒部20k内に搬送部(螺旋状の突起)20cとフランジ部21に現像剤を送り込むための仕切り壁32を組み合わせたものであっても構わない。
次に、ポンプ部20bを含むフランジ部21について詳述する。
フランジ部21は、円筒部20kに対して小径部49、及びシール部材48を介して相対回転可能に接続されている。フランジ部21は現像剤補給装置8に装着された状態においては、現像剤補給装置8に移動不可となるように(回転動作及び往復動作ができないように)保持される。
更に、フランジ部21内には、図73(a)に示すように、円筒部20kから搬送された現像剤を受入れる、補給量調整部(以下、流量調整部とも言う)52が設けられている。更に、補給量調整部52内にはポンプ部20bから排出口21a方向に向けて延在するノズル部47が設けられている。また、ギア部20aが受けた回転駆動を往復動力に変換する駆動変換機構によりポンプ部20bが上下方向に駆動される。従って、ノズル部47は、ポンプ部20bの容積変化に伴い、補給量調整部52内の現像剤を吸入するとともにこれを排出口21aから排出させる構成となっている。
次に、本例におけるポンプ部20bへの駆動伝達の構成について説明する。
前述の通り、駆動ギア300からの回転駆動を、円筒部20kに設けられたギア部20aで受ける事で、円筒部20kが回転する。更に、円筒部20kの小径部49に設けられたギア部42を介してギア部43に回転駆動が伝達される。ここで、ギア部43には、ギア部43と一体で回転するシャフト部44が設けられている。
シャフト部44の一端はハウジング46に回転可能に軸支されている。また、シャフト部44のポンプ部20bに相対する位置には偏心カム45が設けられ、伝達された回転力により偏心カム45が回転中心(シャフト部44の回転中心)からの距離を異にする軌跡で回転することで、ポンプ部20bを押し下げる(容積を縮める)。この押し下げにより、ノズル部47内の現像剤が排出口21aを通して排出される。
また、偏心カム45による押し下げ力が無くなると、ポンプ部20bの復元力によりポンプ部20bは元の位置に戻る(容積が広がる)。このポンプ部の復元(容積増加)により、排出口21aを介して吸気動作が行われ、排出口21a近傍に位置する現像剤に対して解し作用を施すことが可能となる。
以上の動作を繰り返すことで、ポンプ部20bの容積変化により、現像剤を効率的に排出する構成となっている。なお、前述した通り、ポンプ部20bにバネ等の付勢部材を設け、復元時(若しくは押し下げ時)のサポートをする構成とすることも可能である。
次に、中空の円錐状のノズル部47について更に詳しく述べる。ノズル部47には、外周部に開口53が設けられており、また、ノズル部47には、その先端側に排出口21aに向けて現像剤を吐出する吐出口54を有する構成となっている。
現像剤補給工程の際に、ノズル部47の少なくとも開口53が補給量調整部52内の現像剤層中に侵入した状態を作り出すことで、ポンプ部20bにより生じる圧力を補給量調整部52内の現像剤に効率的に作用させる効果を発揮する。
つまり、補給量調整部52内(ノズル部47周囲の)の現像剤が、円筒部20kとの仕切り機構の役割を果たすため、ポンプ部20bの容積変化の効果を補給量調整部52内と言う限定された範囲において発揮させることが可能となる。
このような構成とすることで、実施例17〜19の仕切り機構と同様に、ノズル部47が同様な効果を奏することが可能となる。
以上のように、本例においても、1つのポンプ部で吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口21aを介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例においても、実施例5〜19と同様に、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力により、現像剤収容部20(円筒部20k)の回転動作とポンプ部20bの往復動作の両方を行うことができる。また、実施例17〜19と同様に、ポンプ部20bやノズル部47を含むフランジ部21の共通化によるコストメリットも見込める。
なお、本例では、実施例17〜18の構成のように現像剤と仕切り機構とが互いに摺擦する関係とならず、現像剤へのダメージを回避することが可能となる。
また、本例では、図73(b)に示すように、フランジ部21下面に実施例5と同様の構成の規制部(レール21rと規制部材56)を設けているため、ポンプ部20bを所定の状態を規制することが可能である。すなわち、ポンプ部の最初の動作周期において排出口から現像剤収容部内へエアーが取り込まれるように前記ポンプ部の動作開始時の位置を規制することが可能である。従って、本例の構成であっても、ポンプ部20bを所定の位置に規制させた状態から容積増大方向へ動作させることにより、現像剤補給容器1内の現像剤の解し効果をより確実に得ることができる。
〔実施例21〕
次に実施例21に係る現像剤補給容器1について説明する。現像剤補給装置の構成については、実施例5にて示した形態と同じであるため説明を省略する。また、実施例5に示した構成と同じである構成については説明を省略し、ここでは異なる構成について説明する。また、実施例5に示した構成と同一機能を有する部材には、同一符号を付す。
(現像剤補給容器)
本実施例における現像剤補給容器1について、図74〜図76を用いて説明する。ここで、図74は現像剤補給容器1の斜視図、図75は現像剤収容部20の斜視図、図76はフランジ部21の斜視図である。
本実施例における規制部は、駆動源(図32の駆動モータ500)からの駆動力を貯える蓄力手段である付勢部材66を有している。
本実施例における現像剤補給容器1には、図74に示すように、蓄力手段として機能する付勢部材66が、現像剤収容部20の端面とフランジ部21の端面とに両端が係止されている。付勢部材66は、駆動源からの駆動力を蓄える蓄力手段であり、現像剤収容部20がフランジ部21に対して相対回転することで、伸びたり縮んだりする構成となっている。なお、本実施例では、付勢部材66にステンレス製のコイルバネを使用している。
また、現像剤収容部20に設けた装置本体側からの駆動受け部であるギア部20aは、図75に示すように、現像剤収容部20の全周のうち一部(部分的)にギアが欠けた領域(ギアの歯部が形成されていない領域)を設けている。これにより、ギア部20aは、装置本体からの駆動力を受ける領域と、前記駆動力を受けない領域(ギアの一部が欠けた領域)とを有する。また、現像剤収容部20の現像剤補給口側(排出口側)の端面には、蓄力手段である付勢部材66の一端を係止する回転係止突起20pを設けている。
更に、フランジ部21は、図76に示すように、蓄力手段である付勢部材66の一端を係止する固定係止突起21qが設けてある。
現像剤補給容器1において、現像剤収容部20は回転する部分であり、フランジ部21は現像剤補給装置8(画像形成装置)に回転不可に固定される部分である。そして、蓄力手段である付勢部材66は、前記回転する部分である現像剤収容部20の回転係止突起20pと前記回転不可に固定される部分であるフランジ部21の固定係止突起21qとに結合されている。
(蓄力手段の作用)
次に、蓄力手段と、蓄力手段により現像剤補給容器1が回転する状況を、図77(a)〜(e)を用いて説明する。
図77(a)は、駆動ギア(駆動部)300とギア部20aが係合し、装置本体100の駆動ギア300から矢印X2方向の駆動を受け、現像剤収容部20が回転する状況を示している。そして、現像剤収容部20の回転とともに、付勢部材66はその付勢力に抗じて矢印Y2方向に伸ばされる。
図77(b)は、付勢部材66が更に伸ばされていく途中の状態を示している。この状態では、現像剤収容部20は付勢部材66の付勢力により矢印Y3の反対方向に回転しようとする。しかし、駆動ギア300とギア部20aが係合しているため、現像剤収容部20は矢印Y3の反対方向に回転することはない。そして付勢部材66が更に伸びることで、付勢部材66には力が貯えられる。
図77(c)は、付勢部材66が最大に伸ばされた後、更に少し回転した状態を示している。この状態において、ギア部20aはギアのない領域が駆動ギア300と相対するため、駆動ギア300とギア部20aとの係合を解除される。その結果、付勢部材66の付勢力により、現像剤収容部20は矢印Y4の方向へ回転する。ここで図77(c)の状態は、前述したように付勢部材66が最大に伸びた状態から更に矢印Y4方向へ回転した位置であるため、現像剤収容部20は矢印Y4の反対方向に回転することはない。なお、付勢部材66が最大に伸びた状態で駆動ギア300とギア部20aとの係合を解除させると、現像剤収容部20は矢印Y4方向へ回転せずに停止してしまう懸念もある。そのため、図77(e)に示すように、ギア部20aのギアのある領域をM、ギアのない領域をNとすると、領域Nは180°より小さく設定する必要がある。なお本実施例において、領域Nは約150°、領域Mは210°に設定した。
図77(d)は、付勢部材66の付勢力により現像剤収容部20が矢印Y5方向へ回転している途中を示している。この状態においても、駆動ギア300とギア部20aとの係合は解除されているため、現像剤収容部20は付勢部材66の付勢力により矢印Y5方向へ回転する。
そして、その後は再び図77(a)の状態に戻り、駆動ギア300とギア部20aが係合し、現像剤収容部20は駆動ギア300の駆動を受けて矢印Y2方向へ回転する。
このように、本実施例における現像剤補給容器1は、1回転中において、本体側の駆動ギア300の駆動力を受けて回転する部分と、駆動ギア300の駆動力ではなく付勢部材66にて貯えた駆動力により回転する部分を有するのである。
なお、本実施例における蓄力手段は、所謂、回転する現像剤収容部20と回転不可に固定されるフランジ部21とに結合された付勢部材66を使用したフリップフロップ機構である。フリップフロップ機構とは、例えば、R地点とS地点間(距離、又は角度T)を回動できる部材Uがあった場合、次のような機構をいう。つまり、R地点に位置した部材Uが作用を受けて、部材Uが距離(又は角度)Tよりも短い距離(又は角度)だけしか回動しないにも関わらず、残りの距離(又は角度)の回動を付勢部材の付勢力によって補う、というものである。その結果、部材UがS地点へ回動することとなる。
(現像剤補給動作)
次に、現像剤補給容器1の現像剤の排出について、図78(a)、(b)を用いて説明する。ここで、図78(a)はポンプ部20bが回転軸線方向に伸びた状態を、図78(b)はポンプ部20bが回転軸線方向に縮んだ状態を示している。
本実施例は、基本的には実施例5と同様の原理による排出を行っている。つまり、図78(a)に示すように、ポンプ部20bを縮んだ状態から容積増大方向へ動作させることで現像剤収容部20内に空気を取り込んで現像剤を流動化させる。その後、図78(b)に示すように、ポンプ部20bを容積減少方向に動作させて現像剤を排出させ、それを制御装置600(図32参照)による制御のもとに交互に繰り返す。
本実施例で示した現像剤補給容器1は、前述の実施例と同様に、ポンプ部20bを確実に縮めた状態からスタートさせることができる。それを実現させるための機構を、図77、図79を用いて詳細に説明する。ここで、図79はフランジ部21のカム溝21eの展開図であり、図中の丸は現像剤収容部20の周面に設けたカム突起20dである。
カム溝21eは、図79に示すように、溝の方向が現像剤収容部20の回転方向に平行であり、ポンプ部20bの状態を一定に維持するための領域X8と、溝の傾斜が変化することで、ポンプ部20bを伸縮変形させるための領域Y8と、に分かれている。なお、図79において、A及びCの位置はポンプ部20bが縮んだ状態を示す位置であり、Bの位置はポンプ部20bが伸びた状態を示す位置である。
カム溝21eにおいて、領域X8は蓄力手段が駆動力を蓄えながら回転する領域であり、領域Y8は蓄力手段により蓄えた駆動力により回転する領域である。すなわち、領域X8は蓄力手段が駆動力を蓄えながらギア部20aが駆動ギア300からの駆動力により駆動する際に移動する往路であり、領域Y8は蓄力手段からの作用により駆動する際に移動する復路である。領域Y8は、ポンプ部(容積可変部)20bが容積が最小となる第1の状態と容積が最大となる第2の状態とに変化するように、回転軸方向に対して傾斜した傾斜溝(カム溝21eの領域Y8)を設けている。
そして、それに合わせて、現像剤収容部20におけるカム突起20d、回転係止突起20p、及びフランジ部21におけるカム溝21eの回転方向の位相を合わせている。即ち、図77(a)→(b)→(c)にて、カム突起20dはカム溝21eの領域X8中を移動し、図77(c)→(d)→(a)にて、カム突起20dはカム溝21eの領域Y8を移動する。そして、カム溝21eの領域X8においては、常にポンプ部20bは容積が最小となる第1の位置(第1の状態)を維持される。一方、領域Y8において、ポンプ部20bは少なくとも1回は容積が最大になる第2の位置(第2の状態)となった後、前記第1の状態まで戻る。ここでは、図79に示すように、領域8Yにおいて、ポンプ部20bは、容積小から容積大、容積大から容積小へと繰り返し変化し、最終的に容積小の状態で再び領域X8へと戻る。なお、付勢部材66は、確実に領域Y8を通過できるのに十分な付勢力を有する必要がある。
このような構成により、駆動ギア300より駆動を受けている間は常にポンプ部20bは容積が小さい状態を維持する。一方、ポンプ部20bの容積が変化する際は、駆動ギア300との駆動の連結が切れているため、本体駆動の駆動停止に関わらず、カム突起20dが領域Y8を停止することなく通過する。そのため、ポンプ部20bは容積が増大した状態で停止することがない。
更に詳しく説明するため、画像形成装置本体の主電源停止後、ポンプ部20bの動作を再開させる際の状況について説明する。カム突起20dが領域X8を通過中に主電源が停止した場合、ポンプ部20bは容積が小さい状態を維持した状態で停止する。一方、カム突起20dが領域Y8を通過中に本体電源が停止した場合、その際、ギア部20aは駆動ギア300とは独立し、現像剤収容部20は蓄力手段に蓄えた駆動力で回転する。従って、カム突起20dは領域Y8を通り過ぎて領域X8まで移動し、ポンプ部20bは容積が小さい状態を維持した状態で停止する。以上のことから、ポンプ部20bの動作を再開させる際、ポンプ部20bは常に縮めた状態になっており、容積を増大させて現像剤収容部20内を減圧状態とすることから確実にスタートできる。
以上説明した通り、本実施例の構成においても、ギア部20aと付勢部材66を有する規制部により、実施例5と同様に、ポンプ部20bを縮んだ状態から容積増大方向へ動作させることができる。
そして、本実施例の構成では、現像剤補給容器1の脱着動作時にポンプ部20bは装着時の位置に再規制される。そのため、例えば現像剤補給容器1に現像剤が多く残った状態で脱着して長期保管された後に再装着されても、上記のように容積増大方向からスタートできるため、確実に空気取り込みにより現像剤を解すことができる。
なお本実施例では、ポンプ部20bは現像剤補給容器1の回転軸線方向に往復移動させる構成とした。但し、例えば図80(a)、(b)に示すように、ポンプ部20bをフランジ部21上部に設置して、前記回転軸線方向と交差する上下方向への伸縮運動させる構成であっても、同様の効果を得ることができる。具体的には、図80(b)に示すように、ポンプ部20bに一体的に固定された保持部材3はラックギア3iを有する。また、フランジ部21には中継ギア68が設けてあり、中継ギア68と現像剤収容部20のギア20aは、現像剤補給動作中係合及び係合解除を繰り返すよう構成されている。そして、両ギアの係合時には、ラックギア3iに駆動力が伝達され、ポンプ部20bは図80(b)の矢印H方向に伸長する。一方、係合解除時にはポンプ部20b自身の付勢力及び自重で、矢印H方向の逆方向に圧縮される。これらの動作により、現像剤補給容器1内部を減圧及び加圧させることが可能になる。
〔実施例22〕
次に、実施例22に係る現像剤補給容器1について説明する。現像剤補給装置の構成については、実施例5にて示した形態と同じであるため説明を省略する。また、実施例5に示した構成と同じである構成については説明を省略し、ここでは異なる構成について説明する。また、実施例5に示した構成と同一機能を有する部材には、同一符号を付す。
(現像剤補給容器)
次に本実施例における現像剤補給容器1について、図81を用いて説明する。ここで、図81(a)は現像剤補給容器1の断面斜視図、図81(b)はポンプ部20bの断面斜視図、図81(c)は現像剤収容部20の断面斜視図を示す。
本実施例におけるポンプ部20bは、図81(b)に示すように、内筒71と外筒74とから成るプランジャー型ポンプとして構成されている。ポンプ部20bの詳細な説明は、後述する。
また、図81(c)に示すように、円筒部20kの搬送部(回転搬送突起)20cによって搬送されてきた現像剤を掬い上げて、傾斜突起(傾斜板)32aを滑り落ちることで排出口(現像剤補給口)21aに導くための仕切り壁(バッフル)32が、現像剤収容部20と一体回転可能に固定されている。なお、現像剤収容部20は、装置本体100の駆動ギア(駆動部)300からの回転駆動力が、ポンプ部20bとそれに連結した仕切り壁32を経由して伝達され、回転する。
また、現像剤収容部20は、図81(c)に示すように、排出口(現像剤補給口)21a側の端部の外周面に、フランジ部21の内周面を圧縮するようにシール部材67を接着して設けている。これにより、現像剤収容部20に設けたシール部材67はフランジ部21とは摺動しながら回転するため、回転中も現像剤収容部20内の現像剤が漏れず、かつ、空気が漏れ難いように現像剤収容部20内の気密をある程度保持できている。
(ポンプ部の構成)
ポンプ部20bの構成について、図82を用いて更に詳しく説明する。ここで、図82(a)はポンプ部20bを構成する各部品をそれぞれ軸方向にばらして配置した図、(b)は内筒71の駆動変換部71d、(c)は外筒74の駆動変換受け部74b、の詳細をそれぞれ表した図である。
内筒71は、円筒形状を成しており、周面には駆動ギア300からの回転駆動を受ける駆動受け部(駆動入力部)71cと、現像剤補給容器1の回転方向の力を回転軸線方向に変換するための軸方向に対する傾斜面を設けた駆動変換部71dが形成されている。また、後述する付勢ばね73と連結するばね固定部材72が内筒71に固定されている。
外筒74は、内筒71とは回転自在に設けられ、現像剤補給容器1を装置本体100(現像剤補給装置8)内に装着すると規制されて固定される。外筒74の外周面には、駆動変換部71dと噛み合うように軸方向に対する傾斜面を設けた駆動変換受け部74bが形成されている。
回転円盤75は、後述する付勢ばね73と連結する引掛かり部75aと、外筒74の規制面74cと摺動する摺動面75bと、から形成される。なお、回転円盤75の材質は、摺動性に優れたPOM等の低摩擦の摺動部材が好ましい。また、回転円盤75は、仕切り壁32と一体回転可能なように固定されている。
付勢ばね73は、内筒71が外筒74内に引き込まれる方向に常に付勢力が働いた状態で、一端をばね固定部材72を介して内筒71に、反対側の一端を回転円盤75に固定している。この付勢ばね73は、ポンプ部20bの最初の動作周期において排出口21aから現像剤収容部(外筒74)内へエアーが取り込まれるように前記ポンプ部20bの動作開始時の位置を規制する規制部を構成している。なお、本実施例では、付勢ばね73にコイル状ばねを用いているが、本構成の効果が達成できれば、例えば板ばね、ぜんまいばね、ゴム等の弾性部材であっても構わない。
フィルタ76は、通気性を有し、回転円盤75の摺動面75bの反対面に貼り付けてあり、トナーの内筒71内への侵入を防止するとともに、空気の出入りを阻害しないようにしている。
(ポンプ部の動作)
次に、ポンプ部20bの動作について、図83を用いて説明する。ここで、図83(a)〜(c)は駆動変換部71d及び駆動変換受け部74bの関係を示す図である。
内筒71は、駆動ギア300からの回転駆動(矢印A)を駆動受け部71cが受けて回転する。その際、図83(c)に示すように、駆動変換部71dの傾斜面71d1と駆動変換受け部74bの傾斜面74b1との当接によりカム作用が発生し、付勢ばね73の付勢力に抗しながら図83(b)の矢印C方向に移動する。更に、内筒71が回転して駆動変換部71dが図83(c)の矢印B方向に進んで、傾斜面71d1と傾斜面74b1との当接が解除されると、内筒71は付勢ばね73の作用で図83(b)の矢印C’方向に移動する。この付勢ばね73の作用で図83(b)の矢印C’方向に移動する際は、矢印C’方向にほぼ平行な、駆動変換部71dの面71d2と駆動変換受け部74bの面74b2が対向する。これらの動作を繰り返し行うことにより、内筒71は外筒74に対して回転軸線方向の往復運動を行うことができる。
(現像剤補給動作)
次に、現像剤補給容器1の現像剤の排出について、図84を用いて説明する。ここで、図84(a)はポンプ部20bが回転軸線方向に縮んだ状態を、(b)はポンプ部20bが回転軸線方向に伸びた状態を示している。
本実施例は、基本的には実施例1と同様の原理による排出を行っている。まず、駆動ギア300から駆動受け部71cが回転駆動を受けると、前述の機構により内筒71は回転しながら図84(b)の矢印A方向へ移動する。これにより、ポンプ部20bを縮んだ状態から容積増大方向へ動作させる(図84(a)→図84(b))ことで、現像剤収容部20内に空気を取り込んで現像剤を流動化させる。その後、付勢ばね73の作用によりポンプ部20bを容積減少方向に動作させて現像剤を排出させ、それを制御装置600(図32参照)による制御のもとに交互に繰り返す。
なお、図84(a)、(b)に示すように、内筒71と回転円盤75は付勢ばね73を介して回転可能に固定されている。更に、回転円盤75には仕切り壁32が固定され、仕切り壁32は現像剤収容部20に対して回転方向に規制されている。従って、内筒71が回転すると、それに連動して現像剤収容部20が回転運動を行うように構成されている。
本実施例で示した現像剤補給容器1は、前述の実施例と同様に、ポンプ部20bを確実に縮めた状態からスタートさせることができる。具体的には、現像剤補給容器1を装置本体100の現像剤補給装置8に装着する前は、規制部を構成する付勢ばね73の作用によりポンプ部20bを縮めた状態で規制されている。更に、ポンプ部20bの動作途中、具体的には内筒71が傾斜面71d1と傾斜面74b1が当接することで矢印B方向に移動している途中で本体電源が停止した場合でも、付勢ばね73の復元力により、内筒71はポンプ部20bを縮めた状態に戻る。
従って、ポンプ部20bの動作開始時において、ポンプ部20bは常に縮めた状態になっており、容積を増大させて現像剤収容部20内を減圧状態とする工程から確実に開始できる。
以上説明した通り、本実施例の構成においても、実施例1と同様に、ポンプ部20bを縮んだ状態から容積増大方向へ動作させることができる。
そして、本実施例の構成では、現像剤補給容器1の脱着動作時にポンプ部20bは装着時の位置に再規制される。そのため、例えば現像剤補給容器1に現像剤が多く残った状態で脱着して長期保管された後に再装着されても、上記のように容積増大方向から開始できるため、確実に空気取り込みにより現像剤を解すことができる。
なお、本実施例では、ポンプ部20bにプランジャー型ポンプを使用した。但し、例えば図85に示すように、外筒74の内部に蛇腹部材78が形成され、蛇腹部材78の伸縮により現像剤補給容器1内部を減圧及び加圧させる構成であっても、同様の効果を得ることができる。
〔実施例23〕
次に実施例23に係る現像剤補給容器1について説明する。現像剤補給装置の構成については実施例22にて示した形態と同じであるため説明を省略する。また、実施例22に示した構成と同じである構成については説明を省略し、ここでは異なる構成について説明する。また、実施例22に示した構成と同一機能を有する部材には同一符号を付す。
(現像剤駆動伝達部)
最初に、現像剤補給容器1に駆動を伝える駆動部300について、図86を用いて説明する。ここで、図86(a)は駆動部300の斜視図、(b)は駆動部300を回転軸線方向で現像剤補給容器1の挿入方向から見た正面図を示す。
本実施例における駆動部300は、後述する現像剤補給容器1の変換溝74e1(図87参照)に嵌り込む駆動伝達部300aを有している。駆動伝達部300aは、変換溝74e1にスムーズに嵌まり込めるように、部材の弾性変形を利用したラチェット構造になっている。但し、駆動伝達部300aは、ばね等で付勢していて現像剤補給容器1が挿入されると径方向に退避できる構造であっても構わない。
(現像剤補給容器)
本実施例における現像剤補給容器1について、図87(a)〜(b)を用いて説明する。ここで、図87(a)は現像剤補給容器1の部分断面図、(b)はポンプ部20bの部分断面図である。本実施例におけるポンプ部20bは、図87(a)に示すように、実施例22と同様、内筒71と外筒74とから成るプランジャー型ポンプとして構成されている。
ポンプ部20bについて、図88、図89を用いて詳しく説明する。ここで、図88(a)は内筒71の内部構造がわかるように隠れ線を追加した図、(b)は同じく外筒74の内部構造がわかるように隠れ線を追加した図、(c)は蓄力ユニットの斜視図、(d)は蓄力ユニットを回転軸線方向からみた図である。また、図89は現像剤補給容器1を構成する各部品をそれぞれ回転軸方向にばらして配置した図である。
円筒形状を成す内筒71は、図88(a)に示すように、外周面に回転駆動受け部71eが突出して設けられており、後述する外筒74の変換溝(74e1,74e2,74e3)と移動自在に係合している。また、内筒71は、内周面に突出した2本の内方突起71aを有しており、後述するぜんまいばね83と係合して、ぜんまいばね83で蓄えたエネルギーを内筒71に伝達する機能を有している。更に、内筒71は、後述するバッフル回転軸86を軸止して一体回転を可能にするバッフル固定軸71bが設けられている。
外筒74は、内筒71とは回転自在に設けられ、現像剤補給容器1が装置本体100内の現像剤補給装置8(装着部8f)に装着されると、現像剤補給装置8に規制されて固定される。外筒74の内面には、図88(b)に示すように、内筒71の回転駆動受け部71eと係合して、回転方向の力を回転軸線方向に変換するための変換溝74e1,74e2,74e3が形成されている。ここで、変換溝74e1は、回転軸線方向に対して平行に設けてある。また、変換溝74e2,74e3は、回転軸線方向に対してある一定の傾斜角度をなしている。また、外筒74は、後述の蓄力ユニットを軸止して一体回転を可能にする中央部74dが設けられている。また、外筒74のフィルタ貼付け面74fには、フィルタ76を貼り付けている。
蓄力ユニット(蓄力手段)81は、図88(c)、(d)に示すように、ばねケース82、ぜんまいばね83、嵌遊軸85、バッフル回転軸86とで形成され、内筒71の内部に格納されている。ばねケース82は、中央に貫通した穴が形成され、内部にぜんまいばね83、嵌遊軸85、バッフル回転軸86が格納されている。
ぜんまいばね83は、ばねケース82の内部に渦巻状に巻いて形成されている。ぜんまいばね83の一端部83aは、先端が山型で途中が括れた形状をしている(図88(c)参照)。一端部83aは、ばねケース82を貫通して突出しており、蓄力ユニット81が内筒71内に格納された状態では内筒71の内方突起71aに係合している。なお、本実施例では、ぜんまいばね83は弾性力に富んだ板材で形成されているが、本構成の手段が達成できれば、例えば螺旋状のコイルばね、ゴム等の弾性部材であっても構わない。
嵌遊軸85は、中央部に貫通した穴を形成し、後述するバッフル回転軸86が回転自在に装着されている。また、嵌遊軸85は外筒74の中央部74dに回転方向に移動不可能、回転軸線方向に移動可能に設置されている。また、嵌遊軸85にぜんまいばね83の一端部83b(一端部83aと反対側)が引っ掛けて固定してある。
バッフル回転軸86は、一端部86aは仕切り壁32と、反対側の一端部86bは内筒71のバッフル固定軸71bと、それぞれ一体的に回転するように係合している。
(ポンプ部の動作)
次に、ポンプ部20bの動作について、図90を用いて説明する。ここで、図90(a)〜(c)は、ポンプ部20bの原理を説明するために、内筒71と外筒74の変換溝74e1,74e2,74e3との関係を示した模式図である。
図90(a)に示すように、内筒71が矢印B方向に回転すると、回転駆動受け部71eは変換溝74e1に沿って移動する。この際、内筒71の回転により、内筒71と係合しているぜんまいばね83の一端部83aは連動して回転する。一方、嵌遊軸85は外筒74によって回転方向に規制されているため、嵌遊軸85と係合しているぜんまいばねの一端部83bは固定されたままである。従って、ぜんまいばね83は巻き締められて、その結果ぜんまいばね83に復元エネルギーが蓄積される。
その後、回転駆動受け部71eが更に移動すると、図90(b)に示すように、回転駆動受け部71eは変換溝74e1の終端である曲線部からの作用により回転軸線方向(矢印β1方向)へ移動し、変換溝74e1から変換溝74e2へ移る。
すると、図90(c)に示すように、ぜんまいばね83は蓄えたエネルギーを開放するべく、巻き取り方向とは反対側に逆回転しようとする。この際、回転駆動受け部71eは、ぜんまいばね83が復元される際の勢いで、矢印B方向とは逆方向に回転する。この際、回転駆動受け部71eは、変換溝74e2と変換溝74e3を経由するため、カム作用により回転方向の力が回転軸線方向に変換され、内筒71は回転しながら矢印β1方向、次いで矢印β2方向へと回転軸線方向に往復運動して、再び図90(a)に示す位置まで戻る。以上が、ポンプ部20bの1サイクルの動作である。
すなわち、変換溝74e1の領域は蓄力ユニット81が駆動力を蓄えながら回転駆動受け部71eが駆動部300からの駆動力により駆動する際に移動する往路である。変換溝74e2,74e3の領域は蓄力ユニット81からの作用により駆動する際に移動する復路である。変換溝74e2,74e3の領域は、ポンプ部(容積可変部)20bが容積が最小となる第1の状態(図92(a))と容積が最大となる第2の状態(図92(c))とに変化するように、回転軸方向に対して傾斜した傾斜溝となっている。
(現像剤補給容器の装脱着動作)
次に、図91を用いて、現像剤補給容器1の現像剤補給装置8への装脱着動作について説明する。ここで、図91(a)は現像剤補給容器1の装着前の状態を示す図、(b)は現像剤補給容器1の装着完了の状態を示す図である。
現像剤補給容器1を現像剤補給装置8に装着すると、駆動部300の駆動伝達部300aは現像剤補給容器1の変換溝74e1に嵌り込み(図91(a)→図91(b))、駆動部300の回転駆動力が回転駆動受け部71eに伝達可能な状態となる。
なお、現像剤補給容器1の取り外し作業については、基本的には前述した装着動作の逆の手順で行われる。
(現像剤補給動作)
次に、ポンプ部20bを用いた現像剤補給容器1の現像剤補給動作について、図92を用いて説明する。ここで、図92(a)はポンプ部20bの収縮状態を、(b)はポンプ部20bが収縮状態から伸長状態に切り替わる途中の状態を、(c)はポンプ部20bの伸長状態を、それぞれ示す部分断面図である。
図92(a)に示すように、駆動部300の駆動伝達部300aからの回転駆動(矢印B)を回転駆動受け部71eが受けると内筒71は矢印B方向に回転し、前述のように回転駆動受け部71eは変換溝74e1に沿って移動する。この際、ポンプ部20bは収縮された状態にある。すなわち、ポンプ部(容積可変部)20bは容積が最小となる第1の状態にある。
その後、回転駆動受け部71eが更に移動すると、前述のように回転駆動受け部71eは変換溝74e1から変換溝74e2へ移るため(図92(b))、回転駆動受け部71eと駆動部300の駆動伝達部300aの係合が解除される。その結果、前述のぜんまいばね83の復元エネルギーにより、内筒71は矢印B方向とは逆方向に回転する。この際、図92(c)に示すように、回転駆動受け部71eは、変換溝74e2を経由すると、カム作用により回転方向の力が回転軸線方向に変換され、内筒71は矢印β1方向へ移動する。これにより、ポンプ部20bは伸長されて現像剤収容部内は減圧状態になるため、排出口(現像剤補給口)21aから吸気を行うことができる。すなわち、ポンプ部(容積可変部)20bは容積が最大となる第2の状態になる。
更に、内筒71が回転すると、回転駆動受け部71eは変換溝74e3を経由するため、同じくカム作用により内筒71は矢印β2方向へ移動し、図92(a)の位置(容積が最小となる第1の状態)に戻る。これにより、現像剤収容部内は加圧状態になるため、排出口(現像剤補給口)21aから現像剤を排出することができる。
そして、図92(a)の位置に戻った回転駆動受け部71eは、1回転して戻ってきた駆動部300と再び係合して、内筒71は矢印B方向に回転する。以上が、ポンプ部20bの1サイクルの動作である。その後は、上記の動作を繰り返すことで、ポンプ部20bによるポンプ動作が行われる。
以上のように、本実施例の構成では、ばねの復元力を利用して内筒71の正回転(矢印B方向)、及び逆回転(矢印B方向とは逆方向)の揺動運動を行う。この揺動運動をカム作用により回転軸線方向の往復運動に変換することで、ポンプ動作が可能になっている。
本実施例で示した現像剤補給容器1は、前述の実施例と同様に、ポンプ部20bを確実に縮めた状態からスタートさせることができる。具体的には、現像剤補給容器1を装置本体100の現像剤補給装置8に装着する前は、回転駆動受け部71eが変換溝74e1によって規制されることによりポンプ部20bは縮めた状態で規制されている。更に、回転駆動受け部71eが変換溝74e1を通過中に画像形成装置の主電源が停止した場合、変換溝74e1は回転軸線方向に対して平行に設けてあるため、ポンプ部20bは動作開始の状態、即ち縮めた状態を維持している。
一方、回転駆動受け部71eが変換溝74e2,74e3を通過中に装置本体の主電源が停止した場合、この際回転駆動受け部71eは駆動部300とは独立し、内筒71はぜんまいばね83の復元力で回転する。そのため、装置本体の主電源が停止しても、内筒71は回転し続けて、図92(a)の位置、即ちポンプ部20bを縮めた状態に戻る。
従って、ポンプ部2の動作途中で装置本体の主電源が停止しても、ポンプ部20bは常に縮めた状態になっており、容積を増大させて現像剤収容部20内を減圧状態とすることからスタートできる。
以上のように、本実施例の構成によれば、他の実施例と同様に、ポンプ部20bの動作を確実に圧力が低くなる方向からスタートさせることができる。
そして、本実施例の構成では、現像剤補給容器1の脱着動作時にポンプ部20bは装着時の位置に再規制される。そのため、例えば現像剤補給容器1に現像剤が多く残った状態で脱着して長期保管された後に再装着されても、上記のように容積増大方向からスタートできるため、確実に空気取り込みにより現像剤を解すことができる。