JP2018083749A - 化学強化用ガラス及び化学強化ガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、1回の化学強化処理で高いCS値を有する化学強化ガラスが得られ、該化学強化ガラスの面取り時にエッジ部の欠損を抑制できる化学強化用ガラスを提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、特定の組成範囲であり、主面と前記主面に対向する裏面とを有し、前記裏面のスズの含有量が前記主面のスズの含有量よりも多く、前記主面の表面から板厚方向深さ1〜2μmにおける水素濃度が徐々に減少していることを特徴とする化学強化用ガラスに関する。【選択図】なし

Description

本発明は、化学強化用ガラス及び化学強化されたガラス(以下、化学強化ガラスともいう)に関する。
近年、携帯電話または携帯情報端末(PDA)等のフラットパネルディスプレイ装置(以下、装置等という)において、カバーガラスとして化学強化ガラスが用いられている。化学強化ガラスには、装置等に搭載され、装置等を落としてしまった場合にも割れないような強度が求められている。
化学強化ガラスの強度を表す指標として、圧縮応力値(CS値)がある。化学強化用ガラスは、1回の化学強化処理で、高いCS値(例えば、1000MPa以上)を有する化学強化ガラスが得られることが求められている。一方、化学強化ガラスは、装置等に搭載された際に、端面のエッジ部分を面取りすることにより手触り感を向上させている。
ここで、特許文献1には、化学強化用ガラスに2回の化学強化処理を施し、CS値が1000MPaを超える化学強化ガラスを得ることが開示されている。また、特許文献2には、ガラスのH濃度分布が化学強化ガラスの反りに影響することが開示されている。
国際公開第2012/043482号 国際公開第2013/005588号
しかしながら、上記いずれの文献も、1回の化学強化処理で高いCS値を有する化学強化ガラスが得られ、該化学強化ガラスの面取り時にエッジ部の欠損を抑制できる化学強化用ガラスについて、なんら開示及び示唆をしていない。
本発明は、1回の化学強化処理で高いCS値を有する化学強化ガラスが得られ、該化学強化ガラスの面取り時にエッジ部の欠損を抑制できる化学強化用ガラスを提供することを目的とする。
本発明者らは、特定のガラス組成であり、前記主面の表面から板厚方向深さ1〜2μmにおける水素濃度が深さ方向に徐々に減少していることを特徴とする化学強化用ガラスによれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は下記<1>〜<8>に関するものである。
<1>酸化物基準のモル百分率表示で、
SiO:60〜67%、
Al:9〜13.5%、
NaO:13.5〜18.5%、
O:0.1〜3%、
MgO:6〜10.5%、及び
TiO:0%超5%以下を含有し、
主面と前記主面に対向する裏面とを有し、前記裏面のスズの含有量が前記主面のスズの含有量よりも多く、前記主面の表面から板厚方向深さ1〜2μmにおける水素濃度が深さ方向に徐々に減少していることを特徴とする化学強化用ガラス。
<2>前記裏面の表面から板厚方向深さ1〜2μmにおける水素濃度が深さ方向に徐々に減少していることを特徴とする<1>に記載の化学強化用ガラス。
<3>前記主面の表面から板厚方向深さ1〜10μmにおける水素濃度は、前記裏面の表面から板厚方向深さ1〜10μmにおける水素濃度よりも低いことを特徴とする<1>に記載の化学強化用ガラス。
<4>ガラスの粘度が10dPa・sとなる温度T4が1255℃以下である<1>〜<3>のいずれか1に記載の化学強化用ガラス。
<5>酸化物基準のモル百分率表示でZrOを0.11%超4.0%以下含む、<1>〜<4>のいずれか1に記載の化学強化用ガラス。
<6><1>〜<5>のいずれか1に記載の化学強化用ガラスが化学強化された化学強化ガラス。
<7>表面圧縮応力(CS)が900MPa以上である<6>に記載の化学強化ガラス。<8>圧縮応力層深さ(DOL)が30μm以上である<6>又は<7>に記載の化学強化ガラス。
本発明の化学強化用ガラスは、1回の化学強化処理で高いCS値を有する化学強化されたガラスを得ることができ、該化学強化ガラスの面取り時にエッジ部の欠損を抑制できるガラスである。
図1は、本発明品および従来品のトップ面(主面)およびボトム面(裏面)における水素濃度のプロファイルを示す図である。縦軸は水素濃度(atoms/cm)を示し、横軸は表面からの板厚方向深さ(μm)を示す。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。なお、本明細書において単に「%」と記載した場合には「モル%」を意味し、「〜」とはその下限の値以上、その上限の値以下であることを意味する。
<化学強化用ガラス>
本発明に係る化学強化用ガラス(以下、単に「ガラス」ともいう場合がある)は、酸化物基準のモル百分率表示で、SiO:60〜67%、Al:9〜13.5%、NaO:13.5〜18.5%、KO:0.1〜3%、MgO:6〜10.5%、及びTiO:0%超5%以下を含有することを特徴とする。
以下において、ガラス組成における各成分について説明する。
SiOは、ガラスを構成する主要成分である。また、ガラス表面に傷(圧痕)がついたときのクラックの発生を低減させ、あるいは化学強化後に圧痕をつけたときの破壊率を小さくする成分である。また、SiOはガラスの耐酸性を高め、またエッチング処理時のスラッジ量を減らす(耐フッ酸性を高める)成分でもある。
一方、SiOの含有量が多すぎると高温での粘性が高くなり過ぎて生産性が低くなる。そのためSiOの含有量は60〜67%であり、62%以上が好ましく、63%以上がより好ましく、また、66%以下が好ましく、65%以下がより好ましい。
Alは多いほど化学強化処理時のCSを高くできる一方で、DOLが低下する。そのためAlの含有量は9〜13.5%であり、9.5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、また、12%以下が好ましく、11.5%以下がより好ましい。
NaOはイオン交換により表面圧縮応力層を形成させる必須成分であり、DOLを大きくする作用がある。また、ガラスの溶解温度と失透温度を下げ、ガラスの溶解性、成形性を向上させる成分である。NaOは非架橋酸素を増やす成分であり、NaO含有量が多い場合には、ガラス中の水分量が変動したときの化学強化特性の変動が少なくなる。
NaOは多いほど化学強化処理時のDOLを大きくする一方で、CSが低下することがある。また、NaOを含有することでDUV耐性が低くなる傾向があることから、DUV耐性の観点からは非架橋酸素が少ないほど好ましい。
DUV耐性は、Deep UV(DUV)と呼ばれる短波長領域の紫外線に対し、特定波長領域における透過率の低下を防止する性質である。
そのためNaOの含有量は13.5〜18.5%であり、14.5%以上が好ましく、15%以上がより好ましく、また、17.5%以下が好ましく、16.5%以下がより好ましい。
Oはイオン交換速度を増大しDOLを大きくし、ガラスの溶解温度を下げる効果があり、非架橋酸素を増大させる成分である。また、化学強化処理時に用いる硝酸カリウム溶融塩中のNaNO濃度による表面圧縮応力の変化の増大を回避することができる。さらには、少量のKOは、フロート法によるガラス板成形時にボトム面からの錫の侵入量を抑制する効果があるため、フロート法により成形する際には含有することが好ましい。上記効果を奏するために、本発明のガラスにおけるKOの含有量は0.1%以上であり、0.3%以上が好ましく、0.4%以上がより好ましい。
一方で、KOが多すぎるとCSが低下する。また、KOを含有することによりDUV耐性が低くなる傾向がある。これらの観点から、KOの含有量は3%以下とし、2%以下が好ましく、1.3%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましく、0.95%以下がよりさらに好ましい。
MgOはガラスを安定化させ、溶解性を向上させ、かつこれを添加することでアルカリ金属の含有量を低下させて熱膨張率(CTE)の上昇を抑制できる成分である。上記効果を奏するために、本発明のガラスにおけるMgOの含有量は6%以上であり、7%以上が好ましく、7.5%以上がより好ましい。一方、DOLを大きくするためには、MgOの含有量は10.5%以下であり、9.5%以下が好ましく、9%以下がより好ましい。
TiOはDUV耐性を向上させる成分である。一方、TiOが多すぎるとDOLが低下する。そのため、TiOの含有量は0%超5%以下であり、0.01%以上が好ましく、0.03%以上がより好ましく、また、3%以下が好ましく、1%以下がより好ましく、0.5%以下がさらに好ましく、0.4%以下がよりさらに好ましく、0.3%以下が特に好ましい。
ZrOは優れたDUV耐性を与えると同時に、化学的耐久性を向上させ、化学強化時のCSを増大させるとともに、化学強化後のビッカース硬度を向上させる成分であり、含有できる。
本発明に係るガラスはTiOとZrOを共に含有することが好ましく、ZrOを含有する場合は、含有量は0.1%以上が好ましく、0.11%超がより好ましく、0.12%以上がさらに好ましく、0.13%以上がよりさらに好ましい。
一方、ガラスの製造時の失透を抑止し、化学強化時のDOL低下を防止する観点から、ZrOの含有量は4%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、2%以下がさらに好ましく、1.5%以下がよりさらに好ましく、1%以下が特に好ましい。
また、本発明に係る化学強化用ガラスは、NaO、KO、Al、ZrO、TiOの酸化物基準のモル百分率表示で表される含有量について、[(NaO+KO×5)/(Al+ZrO+TiO×10)]が2.55以下の関係を満たすことが好ましい。
上述したように、NaOとKOはDOLを大きくする一方で、CSやDUV耐性を低下させる成分である。また、ガラスの粘度が10dPa・sとなる温度T2や、ガラスの粘度が10dPa・sとなる温度T4を下げる成分である。
また、Al3、ZrO、TiOはCSやDUV耐性を高くできる一方で、DOLを低下させる成分である。また、Alは温度T2や温度T4を高くする成分であり、多すぎると高温での粘性が高くなってガラスの生産性が低下する。
すなわち、CS、DOL、耐酸性および生産性のバランスから、[(NaO+KO×5)/(Al+ZrO+TiO×10)]で表される値は2.55以下が好ましく、2.0以下がより好ましく、1.9以下がさらに好ましく、1.8以下がよりさらに好ましく、1.75以下が一層好ましく、1.71以下が特に好ましい。また、0.1以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、1.0以上がさらに好ましい。
また、本発明においては、特にCSを上げるため、また耐酸性を向上させるために、Al、KOの酸化物基準のモル百分率表示で表される含有量について、Al/KOが10超の関係を満たすことが好ましい。Al/KOは、10.3以上がより好ましく、10.5以上がさらに好ましく、11.5以上がよりさらに好ましく、12.5以上が一層好ましく、14.0以上が特に好ましく、15.0以上が最も好ましい。
またさらに、MgO、NaO、KO、ZrOおよびTiOの酸化物基準のモル百分率表示で表される含有量について、[(MgO/2+NaO+KO×2)/(TiO+ZrO)]が53〜140の関係を満たすことが、後述するエッチング時のスラッジ量を低減(耐フッ酸性向上)できることから好ましい。[(MgO/2+NaO+KO×2)/(TiO+ZrO)]で表される値は130以下がより好ましく、125以下がさらに好ましく、120以下がよりさらに好ましい。また、55以上がより好ましく、60以上がさらに好ましい。
なお、ガラスの組成は、簡易的には蛍光X線法により測定できる。湿式分析によれば、ガラス組成をより正確に測定できる。
また、本発明に係るガラスに含有されうるその他の成分を以下に示す。
は、ガラス原料の溶融を促進し、ガラスの脆性や耐候性を向上させる成分である。
は含有しなくてもよく、含有させる場合はその含有量が1%以上であることで、化学強化後にビッカース圧痕をつけた時の破壊率を小さくできる、または高温での溶融性が向上する。Bの含有量は、揮発による脈理(ream)の生成、炉壁の侵食等の不都合が生じないために15%以下であることが好ましく、10%以下がより好ましく、7.5%以下がさらに好ましく、5%以下がよりさらに好ましく、3%以下が特に好ましい。
は、イオン交換性能を阻害することなく耐損傷性を向上させる成分である。Pは含有しなくてもよく、含有させる場合はその含有量が好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは2.5%以上であることによって、クラック伸展開始荷重(CIL)が高いガラスを得ることができる。また、Pの含有量を好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下とすることにより、特に耐酸性に優れたガラスを得ることができる。
CaOは、ガラスを安定化する成分であり、MgOの存在による失透を防止し、かつCTEの上昇を抑制しながら溶解性を向上するため含有できる。CaOの含有量は、0〜5%が好ましく、0〜3%がより好ましく、0〜1%がさらに好ましい。CaOの含有量が5%以下であると、十分なイオン交換速度が得られ、所望のDOLが得られる。また、化学強化におけるイオン交換性能を特段に向上させたい場合には、CaOは好ましくは1%未満であり、より好ましくは0.5%以下である。
CaO/MgOは、化学強化におけるイオン交換性能を向上させ、ガラス板の透過率を高める観点から、0.5以下であることが好ましい。
この他、ガラスの溶融の清澄剤としてSO、塩化物、フッ化物などを0〜1%の範囲で適宜含有してもよい。
SrOは必要に応じて含有してもよいが、MgO、CaOに比べてイオン交換速度を低下させるので、SrOは実質的に含有しないこととするか、含有する場合であってもその含有量は3%以下であることが好ましい。
なお、本明細書において実質的に含有しないとは、不可避的不純物を除き含有しないことをいい、例えば、好ましくは0.05%未満、より好ましくは0.01%未満である。
BaOはアルカリ土類金属酸化物の中でイオン交換速度を低下させる効果が最も大きいので、BaOは実質的に含有しないこととするか、含有する場合であってもその含有量は3%以下であることが好ましく、1%以下がさらに好ましく、0.5%以下がよりさらに好ましい。
SrOまたはBaOを含有する場合それらの含有量の合計は3%以下が好ましく、1%以下がより好ましく、さらに好ましくは0.5%以下、さらには0.3%未満である。
CaO、SrO、BaOのいずれか1以上を含有する場合それら3成分の含有量の合計は3%以下が好ましく、3%未満がより好ましい。当該合計が3%以下であることによって、イオン交換速度の低下を回避できる。より好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下、よりさらに好ましくは0.3%未満である。
LiOは歪点および低温粘性を過度に低くして応力緩和を起こりやすくし、その結果圧縮応力層の応力値が低下してしまう成分であるので実質的に含有しないことが好ましい。
また、LiOは化学強化処理時にKNOなどの溶融塩中に溶出することがあるが、Liを含有する溶融塩を用いて化学強化処理を行うと表面圧縮応力が著しく低下する。したがって、LiOはこの観点からも実質的に含有しないことが好ましい。
SnOはDUV耐性を向上する成分である。SnOは含まれていなくてもよく、含まれる場合は、その含有量は0.001%以上が好ましく、0.005%以上がより好ましく、0.01%以上がさらに好ましく、0.02%以上が特に好ましい。一方でSnOは耐ソラリゼーション性を低下させることから、1%以下が好ましく、0.7%以下がより好ましく、0.5%以下がさらに好ましく、0.3%以下がよりさらに好ましく、0.1%以下が特に好ましい。
CeOはDUV耐性を向上する成分であるが、一方で耐ソラリゼーション性を大きく低下させる。CeOは0.1%未満が好ましく、0.05%未満がより好ましく、0.01%未満がさらに好ましく、実質的に含有しないことが最も好ましい。
AsはDUV耐性をより優れたものとし、ガラスバッチの清澄を促進する成分であるが、環境負荷が高い。そのためAsは実質的に含有しないことが最も好ましい。
<水素濃度>
本発明に係るガラスは、フロート法により成形され、成形時に溶融金属(スズ)と接するボトム面(裏面)と、該ボトム面に対向するトップ面(主面)とを有する。ボトム面のスズの含有量はトップ面のスズの含有量よりも多い。本発明者らは、フロートガラスの面取り加工により生じるエッジ部の欠損の量は、トップ面とボトム面との水素濃度差により異なることを見出した。
フロート法によるガラスの製造においては、フロートバスに貯留された溶融金属の表面に上流側から溶融ガラスを連続的に供給してガラスリボンを成形しつつ該フロートバスの下流側端部から成形後のガラスリボンを引き出し、徐冷槽(レアー)で徐冷することにより板ガラスを製造する。
フロート法によるガラスの製造において通常は、ガラス溶融窯とフロートバスとの間の流路が狭くなっているタイプの装置が用いられる。この場合、フロートバス内でガラスの幅を広げる必要があるため、後述する別のタイプの装置を用いる場合に比べて、より高温の溶融ガラスを溶融金属表面に流し出して成形する。
フロートバス内は、露点が低いため、ガラス表面からHOが拡散し、主面(トップ面)からは雰囲気中にHOが拡散する。また、裏面(ボトム面)からは溶融金属中にHOが拡散する。そのため、このようなタイプの装置で製造されたフロートガラスは、ガラス内部よりも表面側で水素濃度が低くなる。ただし、表面から板厚方向深さ1〜2μmにおける水素濃度の傾きは、製造条件により制御可能である。
本発明に係るガラスは、主面と前記主面に対向する裏面とを有し、前記裏面のスズの含有量が前記主面のスズの含有量よりも多く、前記主面の表面から板厚方向深さ1〜2μmにおける水素濃度が深さ方向に徐々に減少していることを特徴とする。また、前記裏面の表面から板厚方向深さ1〜2μmにおける水素濃度についても深さ方向に徐々に減少していることが好ましい。
ここで、「表面から板厚方向深さ1〜2μmにおける水素濃度が深さ方向に徐々に減少している」とは、例えば、実施例において後述する分析条件による二次イオン質量分析により測定される水素濃度が、表面から板厚方向深さ1〜2μmにおいて、深さ方向に好ましくは5〜80%/μm、より好ましくは20〜50%/μm減少していることをいう。
Oの拡散係数は温度が高い方が高いため、より低温の溶融金属と接するフロートガラスのボトム面よりも露点の低いまたは温度の高い雰囲気と接するトップ面からのHOの拡散量の方が多くなり、フロートガラスのボトム面よりもトップ面の水素濃度が低くなる。
一方、フロート法によるガラスの製造において、ガラス溶融窯とフロートバスの間で流路が絞られないタイプの装置が用いられる場合がある。このようなタイプの装置で製造する場合、フロートバス内でガラスを広げる必要がないため、先に述べたタイプの装置に比べてより低温の溶融ガラスを高温の溶融金属に流し出して成形する。
Oの拡散係数は温度が高い方が高いため、フロートガラスのトップ面よりもボトム面の温度が高くなることがあり、このような場合はトップ面よりもボトム面からのHOの拡散量の方が多くなり、フロートガラスのトップ面よりもボトム面の水素濃度が低くなる。
したがって、フロート法で製造されたガラスは、製造条件によりボトム面よりもトップ面の水素濃度が低くなるか、またはトップ面よりもボトム面の水素濃度が低くなり、主面と裏面との水素濃度差が生じる。
本発明に係るガラスは、前記主面の表面から板厚方向深さ1〜10μmにおける水素濃度は、前記裏面の表面から板厚方向深さ1〜10μmにおける水素濃度よりも低いことがより好ましい。
また、化学強化ガラスの面取り加工時のエッジ部の欠損量を低減するためには、本発明に係るガラスは、前記主面と前記裏面との表面から板厚方向深さ1〜2μmの平均水素濃度比の絶対値が1に近ければ近いほど好ましい。具体的には、例えば、実施例において後述する分析条件による二次イオン質量分析により測定される、前記主面と前記裏面との表面から板厚方向深さ1〜2μmの平均水素濃度比の絶対値が、0.4〜1.6であることが好ましく、より好ましくは0.6〜1.4である。
本発明に係るガラスの水素濃度は、下記のH/Si値により評価することができる。
[H/Si値による水素濃度の評価]
H/Si値により水素濃度を評価することにより、SIMS(二次イオン;Secondary Ion Mass Spectrometry)プロファイルの深さ方向分解能および繰り返し測定精度が向上する。
なお、本発明においては水素濃度そのものおよび前記水素濃度比そのものを精度よく測定することは困難であるので、水素濃度に比例するH/Si値を水素濃度の直接的な指標として、前記水素濃度比に比例する「H/Si値のトップ面に対するボトム面の比」を前記水素濃度比の直接的な指標としてそれぞれ用いる。
フロートガラスにおける平均H/Si値のトップ面に対するボトム面の比は、二次イオン質量分析(Secondary Ion Mass Spectrometry、SIMS分析)により、例えば、以下の(I)および(II)の手順で求められる。なお、以下で示す分析条件は例示であり、測定装置またはサンプルなどによって適宜変更されるべきものである。
(I)トップ面およびボトム面のそれぞれにおいて、二次イオン質量分析を下記分析条件により、表層からの深さ10μmまで行う。
(分析条件)
測定装置:二重収束型質量分析器を有する二次イオン質量分析装置
一次イオン種:Cs
一次加速電圧:15.0kV
一次イオンカレント:100nA
一次イオン入射角(試料面垂直方向からの角度):約24.0°
ラスターサイズ:90×90μm
検出領域:30μmφ
二次イオン極性:マイナス
中和用の電子銃使用有
表面コーティング:材料Pt、膜厚10〜20nm程度
二重収束型質量分析器を有する二次イオン質量分析装置としては、例えば、CAMECA社製IMS−7fが挙げられる。
(II)(I)における二次イオン質量分析により得られたH/Siプロファイルの深さ10μmまでにおける平均H/Si値について、トップ面に対するボトム面の比を算出する。
本発明に係るガラスは、表面から板厚方向深さ1〜2mにおける平均H/Si値について、トップ面に対するボトム面の比の絶対値が、0.4〜1.6であることが好ましく、より好ましくは0.6〜1.4である。
<面取り加工及び測定>
ガラスの面取り加工および面取り加工により生じるエッジ部の欠損量の測定は次の手順で行う。ガラスを個片化したガラス基板を用意する。ガラス基板の外周を、自動ガラス研削機を使い、砥石を使い、2周面取り加工する。次に、マイクロスコープを用い、2点間距離測定を行い、20μm以上大きさのチッピングの数をカウントする。
<溶解性、成形性>
本発明に係るガラスにおいて、ガラス溶解時の基準の例となる温度、すなわちガラスの粘度が10dPa・sとなる温度T2は、1660℃以下が好ましく、1650℃以下がより好ましく、1645℃以下がよりさらに好ましい。
本発明に係るガラスにおいて、ガラス成形時の基準の例となる温度、すなわちガラスの粘度が10dPa・sとなる温度T4は、1255℃以下が好ましく、1240℃以下がより好ましく、1230℃以下がさらに好ましく、1225℃以下がよりさらに好ましい。
なお、温度T2及び温度T4は回転式粘度計を用いて測定することができる。
<スラッジ量>
ガラスの表面特性の調整等を目的として、ガラスをエッチング処理する場合があるが、ガラスをエッチングするとスラッジ(残渣)が発生する。ここで、スラッジはエッチング液寿命等に影響しうるため、ガラスをエッチングする際には、スラッジは少ないことが、生産性等の観点から好ましい。スラッジの分析方法を以下に示す。
試料となるガラス板にエッチング液を加えて攪拌し、ガラス溶解後静置する。生成したスラッジをろ紙にて濾過し、水で洗浄する。スラッジを乾燥後、重量測定し、スラッジ重量を算出する。なお、スラッジの成分分析はXRD、SEM−EDXにより行うことができる。
スラッジ量はエッチング条件によっても異なるが、例えば、試料となるガラス板が2.5cm×2.5cm×0.55mmのガラス板であり、HF7重量%及びHCl重量20%を含むエッチング液50mLを用いて25℃で3分間エッチングした場合のスラッジ量は、ガラス1g当たり0.66g以下が好ましく、0.65g以下がより好ましく、0.64g以下がさらに好ましい。
なお、スラッジの成分としては、ガラス組成によって異なるものの、例えば、NaSiF、NaMgAlF、NaMgAlF、KNaSiFおよびKMgAlF等が挙げられる。
<DUV耐性>
本明細書においてDUV耐性とは、波長100〜280nmのUV(DUV)を照射した場合、すなわち主波長185nmおよび254nmの低圧水銀ランプや主波長172nmのXeガスエキシマランプ、主波長193nmのArFエキシマランプ、主波長248nmのKrFエキシマランプ等を照射した場合に、380〜780nmの波長における透過率の低下が抑制されることを意味する。
この短波長側のUV照射は、基板のUV洗浄処理や表面改質、UV殺菌処理等に一般的に用いられるものである。
本発明に係るガラスでは、DUV耐性として、短波長側のUV照射前の380〜780nmの波長領域における透過率をT0とし、照射後の380〜780nmの波長領域における透過率をT1としたときの、以下の式で表される各波長におけるDUV誘起吸収Δαが0.095以下であることが好ましく、0.085以下であることがより好ましく、0.08以下がさらに好ましい。
Δα=−ln(T1/T0)
<その他の特性等>
本発明に係るガラスはガラス板とすることが好ましく、その際のガラス板の厚さ(板厚)は0.1〜3mmが好ましく、0.1〜2.0mmがより好ましく、0.1〜1.5mmがさらに好ましく、0.1〜1.0mmがよりさらに好ましく、0.1〜0.9mmが特に好ましい。
本発明に係るガラスのガラス転移温度(Tg)は、550℃以上が好ましく、580℃以上がより好ましく、600℃以上がさらに好ましく、620℃以上がよりさらに好ましく、また700℃以下が好ましい。Tgが550℃以上であることにより、化学強化処理時の応力緩和の抑制、熱反りの抑制等の点で有利となる。
Tgの調整は、SiO、Alの総量とアルカリ金属酸化物およびアルカリ土類酸化物の量を調整すること等により可能である。
本発明に係るガラスの平均熱膨張係数αは、50〜350℃の温度範囲において、好ましくは65×10−7〜110×10−7/Kであり、より好ましくは70×10−7/K以上、さらに好ましくは80×10−7/K以上、よりさらに好ましくは85×10−7/K以上、また好ましくは100×10−7/K以下、より好ましくは97×10−7/K以下である。平均熱膨張係数αが65×10−7/K以上であることにより、金属や他の物質との熱膨張係数のマッチングの点で有利となる。また平均熱膨張係数の調整は、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類酸化物の量を調整すること等により可能である。
本発明に係るガラスの室温での密度は、好ましくは2.35〜2.6g/cmであり、より好ましくは2.38g/cm以上、さらに好ましくは2.40g/cm以上であり、またより好ましくは2.55g/cm以下、さらに好ましくは2.50g/cm以下である。
本発明に係るガラスのヤング率Eは60GPa以上が好ましい。ガラスのヤング率Eが60GPa以上であることによりガラスの耐クラック性や破壊強度が十分となる。より好ましくは68GPa以上、さらに好ましくは70GPa以上である。
本発明のガラスのポアソン比σは0.28以下が好ましい。ポアソン比σが0.28以下であることによりガラスの耐クラック性が十分となる。より好ましくは0.25以下である。
<化学強化ガラス>
本発明の化学強化ガラスは、上述した化学強化用ガラスが化学強化された化学強化ガラスである。換言すれば、本発明の化学強化用ガラスの組成を母組成とし、表面に圧縮応力層を有する化学強化ガラスである。
すなわち、化学強化ガラスの母組成とは、化学強化前のガラス(化学強化用ガラス)の組成である。ここで、化学強化ガラスの引張応力を有する部分(以下、引張応力部分ともいう)はイオン交換されていない部分である。そして、化学強化ガラスの引張応力部分は、化学強化用ガラスと同じ組成を有しているので、引張応力部分の組成を母組成とみなすことができる。
化学強化ガラスの表面に傷が生じにくく、実用上十分な強度が得られる点から、表面圧縮応力値(CS)は900MPa以上が好ましく、920MPa以上がより好ましく、950MPa以上がさらに好ましく、1000MPa以上がよりさらに好ましく、1100MPa以上が特に好ましい。一方、ガラス中央の引張応力値(CT;Center Tension)が大きくなり過ぎ、ガラスが破壊するときに粉砕するおそれがあることから、CSは1400MPa以下が好ましく、1300MPa以下がより好ましく、1280MPa以下がさらに好ましい。
また、化学強化ガラスの表面に傷が生じた場合に、その傷の深さが圧縮応力層深さ(DOL)を超えて化学強化ガラスが破壊され易くなるおそれがあることから、DOLは30μm以上が好ましく、31μm以上がより好ましく、32μm以上がさらに好ましく、34μm以上がよりさらに好ましい。一方、化学強化ガラス中央の引張応力値(CT)が大きくなり過ぎ、化学強化ガラスが破壊するときに粉砕するおそれがあることから、DOLは60μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。
ここで、CS及びDOLの値は表面応力計により測定できる。なお、化学強化ガラスのCS及びDOLは、化学強化処理の処理条件や化学強化用ガラスの組成等を調整することにより、適宜調整できる。
<ガラスの製造方法>
本発明に係る化学強化用ガラスの製造方法は特に限定されず、溶融ガラスを成形する方法も特に限定されない。例えば、ガラス原料を適宜調製し、約1500〜1700℃に加熱し溶融した後、脱泡、攪拌等により均質化し、周知のフロート法、ダウンドロー法(フュージョン法等)、プレス法等によって板状に、またはキャストしてブロック状に成形し、徐冷後所望のサイズに切断し、ガラス板が製造される。必要に応じて研磨加工を施すが、研磨加工に加えてまたは研磨加工に代えて、ガラス板表面をフッ素剤で処理することも可能である。ガラス板を安定して生産することを考慮すると、フロート法またはダウンドロー法が好ましく、特に大型のガラス板を生産することを考慮するとフロート法が好ましい。
本発明のガラス板は、タブレットPCまたはスマートフォン等のディスプレイの大きさや、自動車内の装飾用ガラスの大きさ、ビルまたは住宅の窓ガラスの大きさとなる。本発明のガラスは、一般的には矩形に切断されているが、円形または多角形などの他の形状でも問題なく、孔あけ加工を施したガラスも含まれる。
本発明のガラスは、化学強化処理することが好ましい。化学強化処理の前に、用途に応じた形状加工、例えば、切断、端面加工および孔あけ加工などの機械的加工を行うことが好ましい。
化学強化処理は例えば、製造されたガラスを所望のサイズに切断してガラス板とした後、該ガラス板を400℃程度に予熱し、溶融塩内でガラス板表面のNaと溶融塩内のKとをイオン交換することで処理できる。
また、特定の塩を含む溶融塩内でイオン交換した後に、酸処理およびアルカリ処理を行うことで、さらに高強度の化学強化ガラス板としてもよい。
イオン交換処理を行うための溶融塩としては、例えば、硝酸カリウム、硫酸カリウムおよび塩化カリウム等のアルカリ硝酸塩、アルカリ硫酸塩並びにアルカリ塩化物塩などが挙げられる。これらの溶融塩は単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。また、化学強化特性を調整するために、ナトリウムを含む塩を混ぜてもよい。
化学強化ガラスのCSの調整は、イオン交換に用いる溶融硝酸カリウム塩中のNa濃度、強化時間および溶融塩温度を調整することにより可能である。より高いCSを得るためには、溶融硝酸カリウム塩中のNa濃度を低減する。
DOLの調整は、イオン交換に用いる溶融硝酸カリウム塩中のNa濃度、強化時間および溶融塩温度を調整することにより可能である。より高いDOLを得るためには、溶融塩の温度を上げる。
化学強化ガラスは、化学強化処理後に切断することが可能である。切断方法は、通常のホイールチップカッターによるスクライブとブレイクを適用することが可能であり、レーザーによる切断も可能である。ガラス強度を維持するため、切断後に切断エッジの面取り加工を施してもよい。面取りは、機械的な研削加工でもよいし、フッ酸等の薬液で処理する方法を用いることもできる。
本発明のガラスの用途は、特段限定されない。化学強化されたガラスは高い機械的強度を有することから、落下による衝撃や、他の物質との接触が予想される箇所への使用に好適である。
具体的には、例えば、携帯電話機(スマートフォン等の多機能情報端末を含む。)、PHS、PDA、タブレット型端末、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機、携帯音楽・動画プレーヤー、電子ブック、電子端末、時計、カメラまたはGPS等のディスプレイ部分用のカバーガラス、及びこれらの機器のタッチパネル操作用モニターのカバーガラス、電子レンジ、オーブントースター等の調理器のカバーガラス、電磁調理器等のトッププレート、メーター、ゲージ等の計器類のカバーガラス並びにコピー機またはスキャナ等の読み取り部分用のガラス板等の機械または機器類の保護用途がある。
また、例えば、車両、船舶、航空機等の窓用ガラス、自動車内の装飾用ガラス、家庭用または産業用の照明機器、信号、誘導灯、電光掲示板のカバーガラス、ショーケースおよび防弾ガラス等の用途が挙げられる。太陽電池保護用のカバーガラスおよび太陽電池の発電効率を高めるための集光用のガラス材としての用途が挙げられる。
また、例えば、各種の鏡面用のガラス、さらには、HDD等の情報記憶媒体の基盤、CD、DVD、ブルーレイディスク等の情報記録媒体の基板としての用途が挙げられる。
また、例えば、水槽、皿やコップ等の食器、びん又はまな板等の各種の調理器具、食器棚、冷蔵庫の棚板及び壁、屋根または仕切り等の建材としての用途が挙げられる。
これらの用途に加え、化学強化処理を終えて製造される化学強化ガラスは、液晶、プラズマ、有機EL等の各種画像表示装置に組み込まれるディスプレイ用ガラス材として最適である。
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。例1〜5は実施例、例6は比較例である。尚、カッコで示された値は計算値であり、空欄は不含有であるか、または未評価であることを示す。
酸化物基準のモル百分率表示で、表1に記載の組成となるように原料を調製し、白金製るつぼに入れ、1650℃の抵抗加熱式電気炉に投入して3時間溶融し、均質化し、脱泡した。
得られたガラスを型に流し込み、680℃の温度で1時間保持した後、1℃/分の速度で室温まで冷却して、ガラスブロックを得た。次いで、ガラスブロックを切断し、研磨し、両面を鏡面加工することにより、所定のサイズを有するガラスを得た。
また、例3と例6のガラスをフロート法で製造した。
<T2、T4>
ガラスの粘度が10dPa・sとなる温度T2及び10dPa・sとなる温度T4は回転式粘度計を用いて測定した。
<スラッジ量、スラッジ成分>
ガラスに対し、エッチングを行うことでスラッジ量の測定を行った。試料となるガラスは2.5cm×2.5cm×0.55mmのガラス板とし、HF7重量%及びHCl20重量%を含むエッチング液50mLに25℃で3分間浸漬することで、エッチングを行った。生成したスラッジを5Aろ紙にて濾過し、水で洗浄後、乾燥を行い、スラッジの重量を測定した。スラッジ量はガラス1g当たりに換算した。
また、スラッジの成分は、XRD測定により同定した。詳細な測定条件は以下のとおりである。
装置:リガク製SmartLab、X線源:CuKα線、X線出力:45kV,200mA、光学系:BB、入射平行スリット:Soller slit5°、入射スリット:1/3°、受光平行スリット:Soller slit5°、スキャンスピード:10°/分、サンプリング幅:0.02°、測定範囲:20〜60°、解析:PDXL(ver.2.0.3.0)
得られたガラスのT2、T4、スラッジ量、及びスラッジの主成分を表1に示す。
表1に示されるように、例1〜5のガラスは、例6のガラスに比較して、エッチング時のスラッジ量の少ないガラスであった。
<化学強化特性>
また、厚みが0.55mmであるガラスを、濃度が100重量%で温度が425℃の溶融硝酸カリウム塩に6時間浸漬することで、化学強化処理を行った。得られた化学強化ガラス板のCS(MPa)及びDOL(μm)の値を表面応力計(折原製作所製)により測定した。結果を表1に示す。
表1に示されるように、ガラスを同一の化学強化条件で化学強化した場合に、例1〜5に係る化学強化ガラスは、例6に係る化学強化ガラスと比較して、高いCSを有していた。
<DUV耐性>
各ガラスについて、DUV照射前とDUV照射後の透過率を測定した。すなわち、各ガラスを(Tg+50)℃で1時間熱処理し、1℃/分で室温まで徐冷した後、板厚を同等となるように研磨加工したガラスを台の上に水平に静置し、低圧水銀ランプ(セン特殊光源製PL21−200、主波長185nmおよび254nm)の光をガラス板の上方の5cm離れた位置から10分照射した後、波長380nmにおける透過率を測定した。
なお、このときのガラス板の設置場所における254nmの照度は8mW/cmであった(オーク製作所製の照度計UV−M03Aおよび受光器UV−SD25−M10による測定)。透過率は日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計(商品名U−4100)により測定した。
光照射前の波長380nmにおける透過率をT0とし、光照射後の波長380nmにおける透過率をT1としたときの、以下の式で表されるDUV誘起吸収Δαを算出した。なお、DUV照射前後ともに、波長380〜780nmにおける透過率のうち、波長380nmにおける透過率が最も低い。そのため、波長380nmにおいて所望の値以上の透過率が得られていれば、波長380〜780nmにおいても所望の値以上の透過率が得られていると言える。
Δα=−ln(T1/T0)
DUV誘起吸収Δαが0.095未満であればDUV耐性に優れていると言える。結果を表1に示す。
<水素濃度>
[H/Si値による水素濃度の評価]
本発明のガラス(本発明品、例3)および従来のガラス(従来品、例6)について、フロート法で製造した厚さ0.7mmのガラス板を準備した。各ガラス板について、トップ面およびボトム面(スズ含有量の多い側の面)のそれぞれにおいて、二次イオン質量分析を下記分析条件により、表面から板厚方向深さ10μmまで行った。
(分析条件)
測定装置:二重収束型質量分析器を有する二次イオン質量分析装置(CAMECA社製IMS−7f)
一次イオン種:Cs
一次加速電圧:15.0kV
一次イオンカレント:100nA
一次イオン入射角(試料面垂直方向からの角度):約24.0°
ラスターサイズ:90×90μm
検出領域:30μmφ
二次イオン極性:マイナス
中和用の電子銃使用有
表面コーティング:材料Pt、膜厚10〜20nm程度
二次イオン質量分析により得られたH/Siプロファイルの表面から板厚方向深さ10μmまでにおける平均H/Si値を求めた。
結果を図1に示す。図1に示すように、本発明のガラス板のトップ面とボトム面の水素濃度(試料のH/Siと標準試料のH/Siの関係から算出した濃度)は、表面から板厚方向深さ1〜2μmにおいて深さ方向に徐々に減少しており、水素濃度は、深さ方向に、トップ面では47%/μm、ボトム面では25%/μm減少した。また、本発明のガラス板のトップ面の表面から板厚方向深さ1〜10μmにおける平均水素濃度は、ボトム面の表面から板厚方向深さ1〜10μmにおける平均水素濃度より低かった。
さらに、本発明のガラス板のトップ面とボトム面の水素濃度は、表面から板厚方向深さ1〜2μmにおいて、ほぼ平行した減少傾向を示し、平均水素濃度のトップ面に対するボトム面の比の絶対値は1.1であった。一方、従来品のガラス板のトップ面とボトム面の水素濃度は、表面から板厚方向深さ1〜2μmにおいて、平行した減少傾向を示さず、水素濃度は、深さ方向に、トップ面では徐々に減少せず、トップ面に対するボトム面の比の絶対値は3.3であった。つまり、本発明のガラス板は、従来品と比較して、トップ面とボトム面との深さ1〜2μmの表面部分において水素濃度差が小さいことがわかった。
<面取り加工及び測定>
ガラスを個片化したガラス基板(本発明品:例3、従来品:例6)を用意した。ガラス基板の外周を、自動ガラス研削機を使い、株式会社ノリタケカンパニーリミテド社製砥石を使い、2周面取り加工した。ここで、1周目の切込量は片側0.1mmとし、2周目の切込量は片側0.05mmとした。次に、株式会社キーエンス製マイクロスコープを用い、倍率200倍で2点間距離測定を行い、25μm以上の大きさのチッピングの個数をカウントした。
ここで、トップ面とボトム面とのガラス表面から板厚方向深さ1〜2μmの水素濃度差が大きい従来品のガラスのチッピングの個数に対する、トップ面とボトム面とのガラス表面から板厚方向深さ1〜2μmの水素濃度差が小さい本発明品のガラスのチッピングの個数の比は0.7であった。
また、複数の研磨条件および化学強化処理条件で検証した結果、高い圧縮応力値(CS値)を有し、且つトップ面とボトム面との表面から板厚方向深さ1〜2μmにおける水素濃度差が小さい化学強化用ガラスが化学強化された化学強化ガラスであれば、当該比が0.4までなることも確認した。
以上のことから、本発明者らは、化学強化用ガラスにおけるトップ面とボトム面とにおける水素濃度差と、該化学強化用ガラスが化学強化されたガラスの面取り加工時のエッジ部の欠損量との間に相関関係があることを見出した。すなわち、化学強化用ガラスのトップ面とボトム面との水素濃度差の絶対値の値が小さいほど、化学強化ガラスの面取り加工時のエッジ部の欠損量が低減された。
<その他の特性>
各ガラスについて、ガラス転移点(Tg)及び30〜350℃での平均熱膨張係数を熱機械分析装置(TMA)により測定した。また、各ガラスの密度をアルキメデス法により測定した。また、各ガラスのヤング率を超音波パルス法により測定した。これらの結果を表1にあわせて示す。
Figure 2018083749
表1からわかるように、例1〜5のガラスは、例6のガラスに比較して、エッチング時のスラッジ量の少ないガラスである。また、例1〜5のガラスは、ガラスを同一の化学強化条件で化学強化した場合に、例6のガラスと比較して、高いCSを有する。また、例1〜5のガラスは、例6のガラスと比較して、DUV誘起吸収Δαが低く、DUV耐性に優れている。

Claims (8)

  1. 酸化物基準のモル百分率表示で、
    SiO:60〜67%、
    Al:9〜13.5%、
    NaO:13.5〜18.5%、
    O:0.1〜3%、
    MgO:6〜10.5%、及び
    TiO:0%超5%以下を含有し、
    主面と前記主面に対向する裏面とを有し、前記裏面のスズの含有量が前記主面のスズの含有量よりも多く、前記主面の表面から板厚方向深さ1〜2μmにおける水素濃度が深さ方向に徐々に減少していることを特徴とする化学強化用ガラス。
  2. 前記裏面の表面から板厚方向深さ1〜2μmにおける水素濃度が深さ方向に徐々に減少していることを特徴とする請求項1に記載の化学強化用ガラス。
  3. 前記主面の表面から板厚方向深さ1〜10μmにおける水素濃度は、前記裏面の表面から板厚方向深さ1〜10μmにおける水素濃度よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の化学強化用ガラス。
  4. ガラスの粘度が10dPa・sとなる温度T4が1255℃以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の化学強化用ガラス。
  5. 酸化物基準のモル百分率表示でZrOを0.11%超4.0%以下含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化学強化用ガラス。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化学強化用ガラスが化学強化された化学強化ガラス。
  7. 表面圧縮応力(CS)が900MPa以上である請求項6に記載の化学強化ガラス。
  8. 圧縮応力層深さ(DOL)が30μm以上である請求項6又は7に記載の化学強化ガラス。
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