JP2017014025A - 化学強化用フロートガラス - Google Patents

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直樹 藤井
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順子 宮坂
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盛輝 大原
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聡史 宮坂
良貴 小野
Yoshitaka Ono
良貴 小野
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Abstract

【課題】化学強化後の反りを効果的に改善し、化学強化処理前の研磨処理等を省略又は簡略化し、ガラス成形時における溶解性を高め、製造特性に優れた化学強化用フロートガラスの提供。
【解決手段】フロート法により製造されたガラスであって、酸化物基準のモル百分率表示で、CaOと、LiO、NaO及びKOの含有量の合計ROと、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計R’Oとが下記式1を満たし、且つNaO、KO、MgO、CaO、Al、B及びSiOの含有量が下記式2を満たす化学強化用ガラス。CaO/(RO+R’O)≦0.12…式1、[2×{(NaO+KO+MgO+CaO)−(Al+B)}]/[SiO+2×(Al+B)]≧0.58…式2
【選択図】なし

Description

本発明は、化学強化用フロートガラスに関する。
近年、携帯電話または携帯情報端末(PDA)等のフラットパネルディスプレイ装置において、ディスプレイの保護および美観を高めるために、画像表示部分よりも広い領域となるように薄い板状のカバーガラスをディスプレイの前面に配置することが行われている。
このようなフラットパネルディスプレイ装置に対しては、軽量および薄型化が要求されており、そのため、ディスプレイ保護用に使用されるカバーガラスも薄くすることが要求されている。
しかし、カバーガラスの厚さを薄くしていくと、強度が低下し、使用中または携帯中の落下などによりカバーガラス自身が割れてしまうことがあり、ディスプレイ装置を保護するという本来の役割を果たすことができなくなるという問題がある。
このため従来のカバーガラスは、耐傷性を向上させるため、フロート法により製造されたフロートガラスを、化学強化することで表面に圧縮応力層を形成しカバーガラスの耐傷性を高めている。
フロートガラスは化学強化後に反りが生じて平坦性が損なわれることが報告されており、該反りは化学強化の入り方が強いほど大きくなる。該反りは、フロート成形時に溶融錫と接触していないガラス面(以下、トップ面ともいう。)と、溶融錫と接触しているガラス面(以下、ボトム面ともいう。)との化学強化の入り方が異なることにより生じる(特許文献1)。
また、フロート法でガラスを成形する際、バス内は水蒸気圧が非常に低く高温であるためガラス表面から水が抜けて、脱水層が形成される。ボトム面における錫が侵入した異質層よりも、トップ面における脱水層の方が厚くなるおそれがあり、ガラス中の水分量(以下、ガラス中の水分量を表す指標として、後述の通り定義されるβ−OHという値の指標を用いる)がトップ面とボトム面とで異なり、化学強化後の反りに繋がる可能性がある。
従来、前記反りを低減するために、フロートガラスの表面を研磨処理または研削処理等することにより錫が侵入した異質層を除去した後に化学強化する対処方法がなされている。また、フロートガラスを研磨処理等せずに反りを改善する対策もなされており、特許文献1には、フロート方式で製造され、加工された板状体を表面研磨せずに、錫が侵入した反対の面にSiO、TiO、Nb、Taなどのバリアフィルム層を形成したのち、化学強化することにより、前記反りを改善することが開示されている。
米国特許出願公開第2011/0293928号
特許文献1に記載の方法では、化学強化前にバリアフィルム層を形成する必要があり、煩雑である。また、強化応力を小さくする方法では、化学強化後のフロートガラスの強度が不十分となる虞がある。
また、化学強化後の反りを低減するためには、フロートガラスのトップ面およびボトム面を化学強化処理の前に研磨処理等することにより、脱水層と錫が侵入した異質層を合わせて除去することが好ましいが、生産性を向上させる観点から問題があり、これらの研磨処理を省略または簡略化することが好ましい。
一方で、化学強化用フロートガラスの製造の観点から、ガラス溶融時における溶解性を高め、均質性および生産性を向上することが求められている。
したがって、本発明は、化学強化後の反りを効果的に改善して、化学強化処理前の研磨処理等を省略または簡略化するとともに、ガラス溶融時における溶解性を高め、製造特性に優れた化学強化用フロートガラスを提供することを目的とする。
本発明者らは、ガラスに含有されるカルシウム(Ca)の量を特定範囲内にすることにより、化学強化後の反りを効果的に改善できることを見出した。また、本発明者らは、非架橋酸素を比較的多く含む組成とすることにより、ガラス溶融時における溶解性が高まることを見出した。これらの知見に基づいて、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.フロート法により製造されたガラスであって、酸化物基準のモル百分率表示で、
CaOと、LiO、NaOおよびKOの含有量の合計ROと、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計R’Oとが下記式(1)を満たし、且つNaO、KO、MgO、CaO、Al、BおよびSiOの含有量が下記式(2)を満たす化学強化用ガラス。
CaO/(RO+R’O)≦0.12…式(1)
[2×{(NaO+KO+MgO+CaO)−(Al+B)}]/[SiO+2×(Al+B)]≧0.58…式(2)
2.フロート成形時に溶融金属と接するボトム面と、該ボトム面に対向するトップ面とを有し、下記式(3)で表されるΔβ−OHが0.01以上0.10以下である前項1に記載の化学強化用ガラス。下記式(3)において、Δβ−OHは、ボトム面における深さ5〜25μmのβ−OHとトップ面における深さ5〜25μmのβ−OHの差である。
Figure 2017014025
3.ガラス粘度が10dPa・sになる温度(T5)における水の拡散係数D5が4.5μm/s以下である前項1または2に記載の化学強化用ガラス。
4.厚みが0.1mm以上2.0mm以下である前項1〜3のいずれか1項に記載の化学強化用ガラス。
5.Δβ―OHを板厚(mm)で除した値が0.01mm−2以上0.30mm−2以下である前項1〜4のいずれか1項に記載の化学強化用ガラス。
6.50℃から300℃の間の平均線熱膨張係数が80×10−7/℃以上100×10−7/℃以下である前項1〜5のいずれか1項に記載の化学強化用ガラス。
7.粘度η(dPa・s)の対数が2となるときの温度T2が1600℃以下である前項1〜6のいずれか1項に記載の化学強化用ガラス。
8.酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを58〜75%、Alを4.5〜10%、MgOを5〜12%、CaOを0.05〜5%、NaOを10〜19%、KOを0〜5%含有する前項1〜7のいずれか1項に記載の化学強化用ガラス。
9.KNOにより420℃にて2.5時間化学強化したガラスの圧縮応力値CSが500MPa以上であり、圧縮応力層深さDOLが8μm以上である前項1〜8のいずれか1項に記載の化学強化用ガラス。
10.β−OHが0.1mm−1以上0.5mm−1以下である前項1〜9のいずれか1項に記載の化学強化用ガラス。
本発明の化学強化用ガラスは、カルシウムの含有量が特定範囲内であるため、フロートバス上流の温度における水の拡散係数を低くすることができる。このことにより、フロートバスにおいて、ガラスにおける水の内部拡散を抑え脱水層の深さを浅くし、トップ面とボトム面におけるβ―OH差を小さくすることができる。したがって、本発明の化学強化用ガラスによれば、化学強化後の反りを効果的に改善し、化学強化前の研磨処理等を簡略または省略化することができる。
また、本発明の化学強化用ガラスは、非架橋酸素を比較的多く含む組成であることから、粘度η(dPa・s)の対数が2となるときの温度T2を1600℃以下とすることができる。このことにより、低温溶融が可能となり、溶融窯等のガラス製造設備への負担が軽減されるとともに、泡品位を高め易くし、高い製造特性を実現することができる。
図1は、CaOを含有しないガラス(CaO非含有ガラス)とCaOを含有するガラス(CaO含有ガラス)とで水の拡散係数D5を比較した図である。
フロートバス内では、水蒸気圧が非常に低く、ガラス表面からの脱水量が多い。ガラスにおける水の拡散係数は、高温となる程大きいことから、高温における水の拡散係数を小さくすることが、脱水層の深さを浅くする上で効果的であると考えられる。
本発明者らは、ガラス表面からの脱水量は、フロートバス上流の温度(ガラスの粘度が10dPa・sに相当する温度)におけるガラスにおける水の拡散係数であるD5を調整することにより制御できると考え、水の拡散係数D5とガラス組成との相関について調べた。
図1に、CaOを含有しないガラス(CaO非含有ガラス)とCaOを含有するガラス(CaO含有ガラス)とで水の拡散係数D5を比較した結果を示す。図1のグラフの縦軸は、水の拡散係数D5であり、横軸はNBO/Tである。
NBO/Tはモル百分率表示で、NBO=[2×{(NaO+KO+MgO+CaO)−(Al+B)}]、T=[SiO+2×(Al+B)]であり、ガラス骨格の発達度合を表す指標であり、NBO/Tの値が低いほど、架橋酸素が多く、ガラス骨格が発達していることを示す。
図1に示すように、CaO含有ガラスは、CaO非含有ガラスと比較して水の拡散係数D5が大きいことから、ガラス組成中のCa量を少なくすることにより水の拡散係数D5を小さくできることがわかる。
本発明の化学強化用ガラスは、酸化物基準のモル百分率表示で、CaOと、LiO、NaOおよびKOの含有量の合計ROと、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計R’Oとが下記式(1)を満たす。
CaO/(RO+R’O)≦0.12…式(1)
酸化物基準のモル百分率表示でCaO/(RO+R’O)は0.12以下であり、好ましくは0.11以下であり、より好ましくは0.1以下である。CaO/(RO+R’O)を0.12以下とすることにより、ガラスに含まれるCa量を少なくすることで水の拡散係数D5を低くすることができ、脱水層の深さを浅くして、トップ面とボトム面とにおけるβ−OH差を少なくすることができる。このことにより、化学強化後の反りを効果的に改善することができ、化学強化前の研磨処理を省略または簡略化して、生産効率を向上することができる。
水の拡散係数D5は4.5μm/s以下であることが好ましく、より好ましくは4.3μm/s以下であり、さらに好ましくは4.0μm/s以下である。水の拡散係数D5の下限は特に制限されないが、通常0.1μm/s以上である。水の拡散係数D5を4.5μm/s以下とすることにより、脱水層の深さを浅くして、トップ面とボトム面とにおけるβ−OH差を少なくすることができる。
本明細書において、水の拡散係数D5は以下の手順(1)〜(6)により得られた値とする。
(1)両面を鏡面加工したΦ40mm、厚み7mmの円柱状のサンプルを準備する。
(2)雰囲気制御集光加熱炉(アドバンス理工社:VHC−610CP)のカーボン製試料ボックスにガラスサンプルを設置し、窒素ガスを2.0L/minの流量で流した状態で、5分間でT5まで昇温させ、T5にて20分間保持したのち、自然放冷することで、ガラスの深さ方向にβ−OH濃度勾配を生じさせる。
(3)深さ0−50μmのβ−OHプロファイルを、SIMS(アルバック・ファイ社製:ADEPT1010)を用いて、下記条件にて測定する。
測定装置:アルバック・ファイ社製 ADEPT1010
一次イオン種:Cs
一次加速電圧:5.0kV
一次イオンカレント:1μA
一次イオン入射角(試料面垂直方向からの角度):60°
ラスターサイズ:200×200μm
検出領域:40×40μm
二次イオン極性:マイナス
中和用の電子銃使用有
(4)深さ50−500μmのβ−OHプロファイルを、顕微IR(Thermo Fisher Scientific社製:iN10)を用いて測定する。顕微IR測定は、得られたサンプルを断面方向にスライス、加工し、両面鏡面にした厚さ100μmの薄片を、下記測定条件にて測定する。
測定装置:Thermo Fisher Scientific社製 iN10
検出器:冷却型
スキャン回数:128回
スペクトル分解能:16cm−1
アパーチャ:幅10μm、高さ150μm、角度0°
なお、β−OHの値は、IRスペクトルの3300−3600cm−1の範囲に存在するSi−OH吸収ピークの吸光度を、4000cm−1のベースの吸光度を差し引いて算出する。β−OH値の単位はmm−1である。
(5)加熱処理後のサンプルについて、前記(3)および(4)の条件にて、[30Si]の深さプロファイルを取得する。ここで、[30Si]は、水素Hの二次イオン強度とケイ素同位体30Siの二次イオン強度の比を表す。
SIMSで得られた[30Si]値をβ−OH値に変換するために以下の操作を行う。同一のガラスにおいては、[30Si]値とβ−OH値は一対一の対応をとるので、下記式の通り、IRにより求められるバルクのβ−OHとSIMSによって求められるバルクの[30Si]値の比をとってβ−OH深さプロファイルを求めることができる。下記式において、バルクとは、熱処理により水が抜けていないガラスの中心部のことを指す。
[β−OH深さプロファイル]=[30Si深さプロファイル]×[バルクのβ−OH]/[バルクの30Si
(6)得られたβ−OHプロファイルを下記の式で解析し、T5における拡散係数D5を求める。
(解析式)
Figure 2017014025
Figure 2017014025
Figure 2017014025
前記式の解析解として、下記式を用いる。
Figure 2017014025
前記式中、
x:表面からの距離(μm)、
t:熱処理時間(s)、
D:拡散係数(μm/s)
である。
また初期条件Cはバルクのβ−OHの値を代入する。拡散係数Dの導出の際には、前述の方法で得られる「実測のβ−OHプロファイルにおける表面から500μmまでの領域において、10μmごとの値」と「上記解析式で得られるβ−OHプロファイルにおいて表面から500μmまでの領域において、10μmごとの値」の差の二乗の値の合計値が最も小さくなるようにして拡散係数Dの値を求める。
フロート法で製造されたガラスは、フロート成形時に溶融金属と接するボトム面と、該ボトム面に対向するトップ面とでβ−OHに差がある(特許第5660214号公報)。ガラスにおけるβ−OHが少ない程、ガラスを化学強化した際に表面圧縮応力(以下、CSともいう。)が入ることから、トップ面とボトム面におけるβ−OHの差を小さくすることにより、トップ面とボトム面におけるCSの入り方の差を小さくし、化学強化後の反りを改善することできる。
本発明の化学強化用ガラスによれば、CaO/(RO+R’O)を0.12以下とすることにより、ガラスに含まれるCa量を低くしてガラスにおける水の拡散係数D5を小さくすることができ、トップ面とボトム面におけるβ−OHの差であるΔβ−OHを小さくして、化学強化後におけるガラスの反りを効果的に改善することができる。
本発明の化学強化用ガラスは、前記式(3)で表されるΔβ−OHが0.10以下であることが好ましく、より好ましくは0.08以下であり、さらに好ましくは0.07以下である。
Δβ−OHを0.10以下とすることにより化学強化後におけるガラスの反りを効果的に改善することができる。Δβ−OHの下限は特に制限されないが、通常0.01以上である。
上記式(3)において、Δβ−OHは、ボトム面における深さ5〜25μmのβ−OHとトップ面における深さ5〜25μmのβ−OHの差である。
Δβ−OHを小さくする方法として、特許第5660214号公報にはフロートバスにおける溶融ガラスの滞在時間を短くする方法が開示されている。本発明の化学強化用ガラスによれば、CaO/(RO+R’O)を0.12以下とすることにより、Δβ−OHを小さくすることができるので、フロートバスにおける溶融ガラスの滞在時間を短くすることなく製造した場合であっても、化学強化後におけるガラスの反りを改善することができる。
フロートバスの滞在時間を短くするとは、フロートバスにおける溶融ガラスの冷却速度を早くすることを意味し、下記式(4)で表されるΔnが大きいほど溶融ガラスの冷却速度が速いことを意味する。
Δn=log(生ガラスの平均冷却速度)−log(1.0)
=[(生ガラスの屈折率)−B]/A−[(1.0℃/min徐冷ガラスの屈折率)−B]/A…式(4)
前記式(4)において、A、Bはそれぞれ下記である。また、徐冷ガラスは、各ガラスのTg+50℃の温度で一時間保持したのち、所望の冷却速度で冷却して得る。
A=[(50℃/min徐冷ガラスの屈折率)−(1.0℃/min徐冷ガラスの屈折率)]/log50
B=(1.0℃/min徐冷ガラスの屈折率)
前記式(4)において、ガラスの屈折率は分光計を用い、最小偏角法により測定することができ、ヘリウムd線の波長で測定する。Δnの値は、2.3以下であることが好ましく、より好ましくは2.2以下であり、さらに好ましくは2.1以下である。
Δnの値が大きいことは、ガラス製造時の冷却速度が速いことを意味する。Δnの値を2.3以下とすることにより、ガラス製造時の冷却速度を遅くし、化学強化によるCSを入り易くすることができる。また、Δnの下限は特に制限されないが、通常のフロート製造の場合は1以上である。
本発明の化学強化用ガラスによれば、CaO/(RO+R’O)を0.12以下とすることにより、Δnの値が2.3以下となる製造方法であっても化学強化後におけるガラスの反りを改善することができる。
本発明の化学強化用ガラスは、Δβ―OHを板厚(mm)で除した値が0.01mm−2以上0.30mm−2以下であることが好ましく、より好ましくは0.03mm−2以上0.25mm−2以下であり、さらに好ましくは0.06mm−2以上0.20mm−2以下である。
Δβ―OHを板厚(mm)で除した値が0.30以下であることにより、化学強化後の反り量を抑制できる。また、Δβ―OHを板厚(mm)で除した値に特に下限を設けないが通常のフロート製造の場合は、0.01以上である。
本発明の化学強化用ガラスは、β−OHが0.1mm−1以上0.5mm−1以下であることが好ましく、より好ましくは0.1mm−1以上0.4mm−1以下であり、さらに好ましくは0.1mm−1以上0.3mm−1以下である。
β−OHが0.1mm−1以上であることによりガラス溶融時の溶解性が向上し、生産性が向上する。また、β−OHが0.5mm−1以下であることにより、化学強化ガラスのCSを高く維持することができる。
本発明の化学強化用ガラスは、酸化物基準のモル百分率表示で、NaO、KO、MgO、CaO、Al、BおよびSiOの含有量が下記式(2)を満たす。
[2×{(NaO+KO+MgO+CaO)−(Al+B)}]/[SiO+2×(Al+B)]≧0.58…式(2)
[2×{(NaO+KO+MgO+CaO)−(Al+B)}]/[SiO+2×(Al+B)]は0.58以上であり、好ましくは0.60以上であり、より好ましくは0.63以上である。
[2×{(NaO+KO+MgO+CaO)−(Al+B)}]/[SiO+2×(Al+B)]を0.58以上とすることにより、非架橋酸素が比較的多い組成となり、ガラスの粘度η(dPa・s)の対数が2となるときの温度T2(以下、T2と記す)を1600℃以下とすることができる。
T2が低いほど、低温溶融が可能となり、溶融窯等のガラス製造設備への負担が軽減されると共に、泡品位を高め易くなる。すなわち、T2が低いほど、化学強化用ガラスの製造コストを低廉化し易く、製造特性が向上する。
したがって、本発明の化学強化用ガラスは、[2×{(NaO+KO+MgO+CaO)−(Al+B)}]/[SiO+2×(Al+B)]を0.58以上とすることにより、T2を低くし、高い製造特性を示すことができる。
T2は1600以下であることが好ましく、より好ましくは1580℃以下であり、さらに好ましくは1560℃以下である。T2は、例えば、白金球引き上げ法または回転式粘度計を用いて測定可能である。
本発明の化学強化用ガラスは、50℃から300℃の間の平均線熱膨張係数が80×10−7/℃以上100×10−7/℃以下であることが好ましく、より好ましくは81×10−7/℃以上98×10−7/℃以下であり、さらに好ましくは82×10−7/℃以上96×10−7/℃以下である。熱膨張係数が80×10−7/℃以上であることにより、金属または他の材料との膨張係数のマッチングの点で有利となる。また、熱膨張係数が100×10−7/℃以下であることにより、ガラスを化学強化溶融塩に浸した際の割れを低減することができる。
本発明において、「熱膨張係数」とは、ISO7991(1987年)に準拠した測定による値を意味する。ガラス板の熱膨張係数は、ガラス組成、熱処理温度、冷却速度などにより調節することが可能である。
本発明の化学強化用ガラスは、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを58〜75%、Alを4.5〜10%、MgOを5〜12%、CaOを0.05〜5%、NaOを10〜19%、KOを0〜5%含有することが好ましい。当該範囲に各成分の含有量を規定した理由を下記に示す。
SiOは、ガラス微細構造の中で網目構造を形成する成分として知られており、ガラスを構成する主要成分である。SiOの含有量は、58%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは62%以上、特に好ましくは64%以上である。また、SiOの含有量は、75%以下であることが好ましく、より好ましくは71.5%以下、さらに好ましくは71%以下である。
SiOの含有量が58%以上であるとガラスとしての安定性および耐候性の点で優位である。一方、SiOの含有量が75%以下であると溶解性および成形性の点で優位である。
Alは化学強化におけるイオン交換性能を向上させる作用があり、特にCSを向上する作用が大きい。ガラスの耐候性を向上する成分としても知られている。また、フロート成形時にボトム面からの錫の浸入を抑制する作用がある。さらに、SO処理を行った際に脱アルカリを促進させる作用がある。
Alの含有量は、4.5%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上であり、さらに好ましくは5.3%以上である。また、Alの含有量は、10%以下であることが好ましく、より好ましくは9%以下、さらに好ましくは8%以下、特に好ましくは7%以下である。
Alの含有量が4.5%以上であると、イオン交換により、所望のCSが得られ、また、錫の浸入を抑制する効果、水分量変化に対する安定性の効果、脱アルカリ促進効果が得られる。一方、Alの含有量が10%以下であると、ガラスの粘性が高い場合でも失透温度が大きくは上昇しないため、ガラスの生産ラインでの溶解、成形の点で優位である。
MgOは、ガラスを安定化させる成分であり、必須である。MgOの含有量は、5%以上であることが好ましく、より好ましくは5.5%以上、さらに好ましくは6%以上である。また、MgOの含有量は、12%以下であることが好ましく、より好ましくは10.5%以下、さらに好ましくは10%以下である。
MgOは非架橋酸素を生み出す成分であり、その含有量が5%以上であると、高温での溶解性が良好になり、失透が起こり難くなる。一方、MgOの含有量が12%以下であると、失透の起こりにくさが維持され、充分なイオン交換速度が得られる。
CaOは、ガラスを安定化させる成分であり、必須である。CaOの含有量は、0.05%以上であることが好ましく、より好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは0.2%以上である。また、CaOの含有量は、5%以下であることが好ましく、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下である。
CaOは非架橋酸素を生み出す成分であり、その含有量が0.05%以上であると、高温での溶解性が良好になり、失透が起こり難くなる。一方、CaOの含有量が5%以下であると、充分なイオン交換速度が得られ、所望の圧縮応力層深さ(以下、DOLともいう。)が得られる。
NaOはイオン交換により表面圧縮応力層を形成させる必須成分であり、DOLを深くする作用がある。またガラスの高温粘性と失透温度を下げ、ガラスの溶解性、成形性を向上させる成分である。NaOは非架橋酸素を生み出す成分であり、ガラス中の水分量が変化したときの化学強化特性の変動が少なくなる。
NaOの含有量は、10%以上であることが好ましく、より好ましくは11%以上、さらに好ましくは12%以上である。また、NaOの含有量は、19%以下であることが好ましく、より好ましくは17.5%以下、さらに好ましくは17%以下である。
NaOの含有量が10%以上であると、イオン交換により所望の表面圧縮応力層を形成することができ、水分量変化に対する変動も抑えられる。一方、NaOの含有量が19%以下であると、充分な耐候性が得られ、フロート成形時にボトム面からの錫の浸入量も抑制でき、化学強化処理後にガラスを反り難くすることができる。
Oはイオン交換速度を増大しDOLを深くする効果があり、非架橋酸素を増大させる成分であるため、5%以下の範囲で含有してもよい。5%以下であるとDOLが深くなり過ぎず、また充分なCSが得られる。
Oを含有する場合は5%以下が好ましく、より好ましくは4%以下である。また、少量のKOは、フロート成形時にボトム面からの錫の浸入を抑える効果があるため、フロート成形する際には含有することが好ましい。この場合、KOの含有量は0.05%以上が好ましく、より好ましくは0.1%以上である。
TiOは天然原料中に多く存在し、黄色の着色源となることが知られている。TiOの含有量は0.2%以下であり、好ましくは0.13%以下、より好ましくは0.1%以下である。TiOの含有量が0.2%を超えるとガラスが黄色味を帯びる。
Feは必須成分ではないが、自然界および生産ラインのあらゆるところに存在するため、その含有量をゼロにすることが極めて困難な成分である。酸化状態にあるFeが黄色の着色原因となり、還元状態にあるFeOが青色の着色原因となることが知られており、両者のバランスでガラスは緑色に着色することが知られている。
本発明の化学強化用ガラスを強化したガラスをディスプレイ、窓ガラス、太陽電池に用いる場合、濃い着色は好ましくない。全鉄量(トータルFe)をFeとして換算し、その含有量が0.15%以下であることが好ましく、より好ましくは0.13%以下、さらに好ましくは0.11%以下である。
SOはガラスの溶融の清澄剤である。通常、ガラス中の含有量は原料から投入される量の半分以下となる。ガラス中のSOの含有量は、0.02%以上であり、好ましくは0.05%以上であり、より好ましくは0.1%以上である。また、SOの含有量は、0.4%以下であり、好ましくは0.35%以下であり、より好ましくは0.3%以下である。
SOの含有量が0.02%以上であると、充分に清澄し泡欠点を抑制できる。一方、SOの含有量が0.4%以下であると、ガラス中に発生する硫酸ナトリウムの欠点を抑制できる。
この他、ガラスの溶融の清澄剤として、塩化物、フッ化物などを適宜含有してもよい。本発明のガラスは本質的に以上で説明した成分からなるが、本発明の目的を損なわない範囲でその他の成分を含有してもよい。
その他の成分を含有する場合、それら成分の含有量の合計は5%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下、典型的には1%以下である。以下、上記その他成分について例示的に説明する。
ZrOは必須ではないが、一般に、化学強化でのCSを大きくする作用があることが知られている。しかし、少量のZrOを含有してもコスト増加の割には、その効果は大きくない。したがって、コストが許す範囲で任意の割合のZrOを含有することが出来る。含有する場合は、1%以下であることが好ましい。
SrOおよびBaOは必須ではないが、ガラスの高温粘性を下げ、失透温度を下げる目的で少量を含有してもよい。SrOまたはBaOにはイオン交換速度を低下させる作用があるため、含有する場合は、SrOまたはBaOとして0.5%以下であることが好ましい。
ZnOはガラスの高温での溶融性を向上するために、たとえば2%まで含有してもよい。しかし、フロート法で製造する場合には、フロートバスで還元され製品欠点となるので実質的に含有しないことが好ましい。
は高温での溶融性またはガラス強度の向上のために、1%未満の範囲で含有してもよい。一般的には、NaOまたはKOのアルカリ成分とBを同時に含有すると揮散が激しくなり、煉瓦を著しく浸食するので、Bは実質的に含有しないことが好ましい。
LiOは歪点を低くして応力緩和を起こりやすくし、その結果安定した表面圧縮応力層を得られなくする成分であるので実質的に含有しないことが好ましく、含有する場合であってもその含有量は1%未満であることが好ましく、より好ましくは0.05%未満、特に好ましくは0.01%未満である。
ガラス板の板厚は用途に応じて3倍以上変化し得るため、CSおよびDOLの値を論ずるためにはガラス板の板厚を規定することが好ましい。ガラス板の板厚は、0.1mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.2mm以上、さらに好ましくは0.3mm以上である。また、2.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは1.5mm以下、さらに好ましくは1.3mm以下、特に好ましくは1.1mm以下である。
0.1mm以上の板厚であると化学強化処理により充分な強度向上の効果がある。また、3mmを超える板厚のガラス板は物理強化処理が容易であるため、化学強化処理を施す必要性が高いのは2.0mm以下のガラス板の場合である。
本発明の化学強化用ガラスは、通常の化学強化処理を施すことにより、より強度の高い化学強化ガラスを得ることが可能となる。例えば、410〜470℃の硝酸カリウム熔融塩中に1〜24時間浸漬することで、化学強化処理を行うことができる。
例えば、本実施形態でもっとも好ましい事例である、0.7mmまたは1.1mmの板厚のガラス板では、切断可能で強度向上が認められるCSの範囲は次の範囲である。化学強化用ガラスをKNOにより420℃にて2.5時間化学強化したガラスのCSの値は、500MPa以上であることが好ましく、より好ましくは600MPa以上であり、さらに好ましくは650MPa以上である。化学強化処理後の切断を可能とするためには、900MPa以下が好ましく、より好ましくは850MPa以下である。
化学強化用ガラスをKNOにより420℃にて2.5時間化学強化したガラスのDOLの値は、8μm以上であることが好ましく、より好ましくは9μm以上、特にガラスの扱い傷の影響を受ける場合には10μm以上であることが好ましい。化学強化処理後の切断を可能とするためには、30μm以下であることが好ましく、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。
板厚が薄くなる場合は、内部引張応力(以下、CTともいう。)の値が30MPa以下となるようにCSとDOLの値を制御すると良好な切断性が保たれる。例えば、0.4mmの板厚のガラス板では、CSが900MPaのときDOLが12.5μm以下であることが好ましく、DOLを18μmとするためには、CSが600MPa以下であることが好ましい。切断を可能とするCTの値は30MPa以下が好ましく、より好ましくは25MPa以下である。
板厚が厚くなる場合は、ガラスの取り扱いによりガラス表面に発生する傷が深くなるため、CTを30MPa以下に保ったままDOLを深くすることにより切断性を損なうことなくガラスの面強度を向上できる。例えば、1.5mmの板厚のガラス板では、CSの値が900MPaのときにDOLが40μmであると切断可能な状態を保ったまま面強度の向上が可能となる。
本発明の化学強化用ガラスは、化学強化処理後に切断することが可能である。切断方法は、通常のホイールチップカッターによるスクライブとブレイクを適用することが可能であり、レーザーによる切断も可能である。ガラス強度を維持するため、切断後に切断エッジの面取り加工を施してもよい。面取りは、機械的な研削加工でもよいし、フッ酸等の薬液で処理する方法を用いることもできる。
[評価方法]
(1)拡散係数D5
拡散係数D5は、下記手順(a)〜(f)により求めた。
(a)両面を鏡面加工したΦ40mm、厚み7mmの円柱状のサンプルを準備した。
(b)雰囲気制御集光加熱炉(アドバンス理工社:VHC−610CP)のカーボン製試料ボックスにガラスサンプルを設置し、窒素ガスを2.0L/minの流量で流した状態で、5分間でT5まで昇温させ、T5にて20分間保持したのち、自然放冷することで、ガラスの深さ方向にβ−OH濃度勾配を生じさせた。
(c)深さ0−50μmのβ−OHプロファイルはSIMS(アルバック・ファイ社製:ADEPT1010)を用いて、下記条件にて測定した。
測定装置:アルバック・ファイ社製 ADEPT1010
一次イオン種:Cs
一次加速電圧:5.0kV
一次イオンカレント:1μA
一次イオン入射角(試料面垂直方向からの角度):60°
ラスターサイズ:200×200μm
検出領域:40×40μm
二次イオン極性:マイナス
中和用の電子銃使用有
(d)深さ50−500μmのβ−OHプロファイルは顕微IR(Thermo Fisher Scientific社製:iN10)を用いて、下記条件にて測定した。顕微IR測定は、得られたサンプルを断面方向にスライス、加工し、両面鏡面にした厚さ100μmの薄片について測定した。
測定装置:Thermo Fisher Scientific社製 iN10
検出器:冷却型
スキャン回数:128回
スペクトル分解能:16cm−1
アパーチャ:幅10μm、高さ150μm、角度0°
なお、β−OHの値は、IRスペクトルの3300−3600cm−1の範囲に存在するSi−OH吸収ピークの吸光度を、4000cm−1のベースの吸光度を差し引いて算出した。β−OH値の単位はmm−1である。
(e)加熱処理後のサンプルを前記(c)および(d)の条件にて、[30Si]の深さプロファイルを取得した。ここで、[30Si]は、水素Hの二次イオン強度とケイ素同位体30Siの二次イオン強度の比を表す。
(f)SIMSで得られた[30Si]値をβ−OH値に変換するために上述した操作を行った。上記解析解の式において、初期条件Cはバルクのβ−OHの値を代入し、境界条件C=0として解析を実施した。また、処理時間t=1200を代入した。
拡散係数Dの導出の際には前述の方法で得られた「実測のβ−OHプロファイルにおける表面から500μmまでの領域において、10μmごとの値」と「上記解析式で得られるβ−OHプロファイルにおいて表面から500μmまでの領域において、10μmごとの値」の差の二乗の値の合計値が最も小さくなるようにして拡散係数Dの値を求めた。
(2)T2およびT5
T2およびT5は回転式粘度計を用いて測定した。
(3)β−OH量(バルク値)
ガラスの脱水層を研磨により取り除き、その上で鏡面仕上げした後、FT−IR(装置名)を用い、β−OHの値を測定した。IRスペクトルの3300−3600cm−1の範囲に存在するSi−OH吸収ピークの吸光度を、4000cm−1のベースの吸光度を差し引いて算出する。β−OH値の単位はmm−1である。
(4)Δβ−OH
フロート製法により得られたガラス板を蒸留水で5分間程度、エタノール中で5分間程度超音波洗浄し、表面付着物を取り除いた。その後、前記(1)と同様の条件にてSIMS測定を行い、[30Si]の深さプロファイルを取得した。
SIMSで得られた[30Si]値をβ−OH値に変換するために上述した操作を行った。その際の脱水層を研磨してバルク値を測定した。得られた深さ5〜25μmのβ−OHプロファイルにおいて、Δβ−OHとは、下式(3)の様に定義され、深さ5〜25μmのボトム面におけるβ−OHとトップ面におけるβ−OHの差である。
Figure 2017014025
ここで、フロート製造されたガラスについては、深さ5μm以上よりΔβ−OHを測定する理由としては、フロートガラスの表面(深さ0〜数μm)においては、ヤケによりSi−O−Naが少ないためである。
(5)Δ反り量
10cm四角、厚み0.7mmのフロート製造された板を化学強化前に三鷹光器株式会社製三次元形状測定器(NH−3MA)で反り量を測定した後、各フロートガラスを硝酸カリウム溶融塩により、420℃にてKNOによりCS(MPa)×DOL(μm)が10000となるまで化学強化し、化学強化後の反り量も同様に測定し、式Δ反り量=(化学強化後最大反り量)−(化学強化前最大反り量)で表されるΔ反り量を算出した。なお、表面応力の平均値(CS)および圧縮応力層深さは、折原製作所社製表面応力計(FSM−6000LE)を用いて測定した。
(6)Δn
下記式(4)によりパラメーターΔnを求めた。屈折率は、分光計を用い、最小偏角法により測定した。
Figure 2017014025
前記式(4)において、A、Bはそれぞれ下記である。また、徐冷ガラスは、各ガラスのTg+50℃の温度で一時間保持したのち、所望の冷却速度で冷却して得た。
A=[(50℃/min徐冷ガラスの屈折率)−(1.0℃/min徐冷ガラスの屈折率)]/log50
B=(1.0℃/min徐冷ガラスの屈折率)
(7)平均線熱膨張係数
ISO7991(1987年)に準拠して、50℃から300℃の間の平均線熱膨張係数を測定した。
[実施例1]
表1に記載の酸化物基準のモル百分率表示および質量百分率表示で示す組成になるように、硅砂、ソーダ灰、ドロマイト、長石、芒硝、その他の酸化物、炭酸塩、水酸化物等、一般に使用されているガラス原料を適宜選択し、ガラスとして1kgとなるように秤量した。秤量した原料を混合し、白金製るつぼに入れ、T2に相当する温度の抵抗加熱式電気炉に投入し、3時間熔融し、脱泡、均質化した。β−OHプロファイルを測定する際の分析精度を高めるために、熔解時の雰囲気は露点80℃の水分を含んだ空気を3L/minの流量で流した。
得られた熔融ガラスを型材に流し込み、Tg+50℃の温度で1時間保持した後、0.5℃/分の速度で室温まで冷却し、数個のガラスブロックを得た。
得られたガラスブロックを用いて、拡散係数D5、T2およびT5を測定した。結果を表1および表2に示す。例1〜8は実施例、例9〜15は比較例である。
Figure 2017014025
Figure 2017014025
表1および表2に示すように、酸化物基準のモル百分率表示でCaO/(RO+R’O)が0.12以下である例1〜8は拡散係数D5が4.5μm/s以下であるのに対し、CaO/(RO+R’O)が0.12超である例9〜12は、拡散係数D5が4.5μm/sより大きかった。この結果から、CaO/(RO+R’O)を0.12以下とすることにより、水の拡散係数D5を低くできることがわかった。
また、酸化物基準のモル百分率表示で[2×{(NaO+KO+MgO+CaO)−(Al+B)}]/[SiO+2×(Al+B)]が0.58以上である例1〜8はT2が1600℃以下であるのに対し、[2×{(NaO+KO+MgO+CaO)−(Al+B)}]/[SiO+2×(Al+B)]が0.58未満である例13〜15はT2が1600℃超であった。
この結果から、[2×{(NaO+KO+MgO+CaO)−(Al+B)}]/[SiO+2×(Al+B)]を0.58以上とすることにより、T2を低くして、低温溶融が可能となり、溶融窯等のガラス製造設備への負担が軽減されると共に、泡品位を高め易くすることができ、製造特性が向上することがわかった。
[実施例2]
以下の組成の例16〜18のガラス板を、表3に示す板厚になるようにフロート法で製造し、例16〜18のフロート板ガラスを作製した。例16は実施例、例17および18は比較例である。例16は例5、例17は例12、例18は例11とそれぞれ同様の組成である。
(例16)酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを66.9%、Alを3.4%、MgOを13.2%、CaOを1.1%、NaOを15.4%含有するガラス
(例17)酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを68.8%、Alを2.9%、MgOを6.1%、CaOを7.8%、NaOを14.2%、KOを0.1%含有するガラス
(例18)酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを71.1%、Alを1.1%、MgOを6.9%、CaOを8.3%、NaOを12.4%、KOを0.2%含有するガラス
得られたフロート板ガラスについて、拡散係数D5、β−OH量(バルク値)、Δβ−OH量、Δ反り量(μm)、Δnを求めた。結果を表3に示す。
Figure 2017014025
表3に示すように、酸化物基準のモル百分率表示でCaO/(RO+R’O)が0.12以下である例16は、拡散係数D5が4.5μm/s以下であり、本発明の組成範囲を満たさない例17および例18と比較してトップ面とボトム面とにおけるβ−OHの差(Δβ−OH)が小さく、Δ反り量が小さかった。
この結果から、CaO/(RO+R’O)を0.12以下とすることにより、水の拡散係数D5を低くし、脱水層の深さを浅くして、トップ面とボトム面とにおけるβ−OHの差を少なくし、化学強化後のガラスの反りを効果的に改善できることがわかった。

Claims (10)

  1. フロート法により製造されたガラスであって、酸化物基準のモル百分率表示で、
    CaOと、LiO、NaOおよびKOの含有量の合計ROと、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計R’Oとが下記式(1)を満たし、且つNaO、KO、MgO、CaO、Al、BおよびSiOの含有量が下記式(2)を満たす化学強化用ガラス。
    CaO/(RO+R’O)≦0.12…式(1)
    [2×{(NaO+KO+MgO+CaO)−(Al+B)}]/[SiO+2×(Al+B)]≧0.58…式(2)
  2. フロート成形時に溶融金属と接するボトム面と、該ボトム面に対向するトップ面とを有し、下記式(3)で表されるΔβ−OHが0.01以上0.10以下である請求項1に記載の化学強化用ガラス。下記式(3)において、Δβ−OHは、ボトム面における深さ5〜25μmのβ−OHとトップ面における深さ5〜25μmのβ−OHの差である。
    Figure 2017014025
  3. ガラス粘度が10dPa・sになる温度における水の拡散係数D5が4.5μm/s以下である請求項1または2に記載の化学強化用ガラス。
  4. 厚みが0.1mm以上2.0mm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の化学強化用ガラス。
  5. Δβ―OHを板厚(mm)で除した値が0.01mm−2以上0.30mm−2以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の化学強化用ガラス。
  6. 50℃から300℃の間の平均線熱膨張係数が80×10−7/℃以上100×10−7/℃以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の化学強化用ガラス。
  7. 粘度η(dPa・s)の対数が2となるときの温度T2が1600℃以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の化学強化用ガラス。
  8. 酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを58〜75%、Alを4.5〜10%、MgOを5〜12%、CaOを0.05〜5%、NaOを10〜19%、KOを0〜5%含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の化学強化用ガラス。
  9. KNOにより420℃にて2.5時間化学強化したガラスの圧縮応力値CSが500MPa以上であり、圧縮応力層深さDOLが8μm以上である請求項1〜8のいずれか1項に記載の化学強化用ガラス。
  10. β−OHが0.1mm−1以上0.5mm−1以下である請求項1〜9のいずれか1項に記載の化学強化用ガラス。
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