JP7331628B2 - カバーガラスの製造方法及びカバーガラス - Google Patents

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Description

本発明は、カバーガラスの製造方法、詳しくは、曲面形状を有するカバーガラスの製造方法及びカバーガラスに関する。
近年、携帯電話または携帯情報端末(PDA)、パーソナルコンピュータ、テレビ、車載ナビゲーション表示装置等のフラットパネルディスプレイ装置において、ディスプレイの保護および美観を高めるために、画像表示部分よりも広い領域となるように薄い板状のカバーガラスをディスプレイの前面に配置することが行われている。これらのカバーガラスには、薄くても強度に優れる化学強化ガラスが広く用いられている。
従来、前記カバーガラスに用いるガラスとしては平坦なガラス(2Dガラス)が用いられてきた。しかし近年、操作性や視認性および意匠性を高めるために、平板ではない形状のガラスを使用することが多くなっており、特に高級品ほどその傾向にある。平板ではない、曲面形状を有するガラスの形状としては、一方の面にR部を有し、かつ該面に対向する面が平坦である形状(2.5D形状と呼ばれることがある)、又はR形状を有する3D形状が挙げられる。
2.5D形状のガラスの製造方法としては、例えば、上下非対称の砥石でガラスを研磨してR部を有する2.5D形状を形成した後、該R部を研磨して平滑にする工程を含む方法が挙げられる。また、3D形状のガラスの製造方法としては、例えば、平らなガラス板を加熱し、成型型を用いてプレスすることにより曲げ成形する(3次元成形ともよばれる)工程を含む方法が挙げられる。
化学強化ガラスは、イオン交換処理後に反りが生じて平坦性が損なわれる場合がある。フロート法で製造されたガラスは、フロート成形時に溶融錫等の溶融金属と接触していないガラス面(以下、トップ面又はT面ともいう。)と、トップ面と対向し、溶融金属と接触しているガラス面(以下、ボトム面又はB面ともいう。)と、が異質になり、両面の化学強化の入り方が異なることにより生じるとされている。平板のガラスの化学強化後の反りを低減するために、特許文献1~4では、ガラス表面の組成を制御する方法がそれぞれ開示されている。
特許文献1には、化学強化後の反りに影響が大きい成分であるH、Na、Sn、Fについて、フロート法における表裏面の組成差で規定し、各成分の反りへの影響度をA/B/C/Dで係数化し、A×ΔH/30Si+B×ΔNaO+C×ΔSn+D×ΔF=X…(1)(A:-128.95、B:1、C:-0.0002428、D:-0.009922)で表されるXが-0.29<X<0.29であるガラス板が開示されている。
特許文献2には、成形時に溶融金属と接するボトム面と、該ボトム面に対向するトップ面とを有する化学強化用フロートガラスであって、該トップ面におけるNaO濃度をその深さ100μm位置のNaO濃度で除した値であるトップ面の規格化NaO表面濃度の2乗から該ボトム面におけるNaO濃度をその深さ100μm位置のNaO濃度で除した値であるボトム面の規格化NaO表面濃度の2乗を減じた差Δ(N-Na)が0.038以下である化学強化用フロートガラスが開示されている。
特許文献3には、一方の表面のフッ素濃度が他方の表面のフッ素濃度よりも大きい化学強化されたガラス板であって、蛍光X線分析法によって測定された一方の表面のフッ素濃度が他方の表面のフッ素濃度よりも0.01質量%以上大きく、横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とする二次イオン質量分析(SIMS)による深さ方向プロファイル上で、ガラス中に含まれるフッ素量が0.23mol%・μm超21mol%・μm以下であるガラス板が開示されている。
一方、特許文献4には、ガラスの表裏面における化学強化条件の違いにより、ガラスの表裏面における圧縮応力値と圧縮応力層深さの積の値(CS×DOL)を制御することで、化学強化後の反りを制御する方法が開示されている。特許文献4には、Δ(CS×DOL)/Tの絶対値が、1.5×10Pa/m以上であり、9×10Pa/m以下となるように、前記第1のイオン交換抑制膜の膜厚と前記第2のイオン交換抑制膜の膜厚とのそれぞれの目標値を設定し、前記第1、第2のイオン交換抑制膜を形成する、強化ガラス基板の製造方法が開示されている。
国際公開第2016/152848号 特開2015-113268号公報 国際公開第2015/046109号 国際公開第2017/026190号
上述したように、ガラスが2D(平面)形状である場合、化学強化時に反りが生じる主な原因としてはガラス表面の組成及び熱反りが挙げられ、特に組成起因が大きいことから、ガラス表面の組成の制御により化学強化後の反りを低減する方法が開示されている。しかしながら、ガラス表面の組成を制御することにより化学強化後の反りを低減する方法は、基本的に同じような化学強化条件にて処理することを前提とするものであり、硝材又は化学強化条件が変わると係数が変わる問題があった。
また、特許文献4に開示された表裏面の化学強化条件の違いにより化学強化後の反りを低減する方法は、「最表面における圧縮応力値」(CS)と「圧縮応力値が0になる深さ」(DOL)との積による考察がなされているにすぎない。実際には、(CS×DOL)を考察するだけでは、化学強化後の反りの大きさを制御できない場合がある。図1(A)は2段の化学強化により得られる化学強化ガラスの応力プロファイルの模式図、図1(B)は1段の化学強化により得られる化学強化ガラスの応力プロファイルの模式図である。図1(A)及び(B)からわかるように、CS×DOLの値が同等程度であっても、応力プロファイルが異なる場合があるためと考えられる。
ガラスが2.5D又は3D形状である(曲面形状を有する)場合、化学強化時に反りが生じる主な原因として、ガラス表面の組成及び熱反りに加え、非対称形状であることが挙げられる。具体的には、図2(A)及び(B)を参照して説明する。図2(A)は使用者側の第2主面が曲面形状、パネル側の第1主面が2D(平板)形状である(2.5D形状の)カバーガラスを化学強化した場合の模式図、図2(B)は3D形状のカバーガラスを化学強化した場合の模式図である。
図2(A)に示すように、上下非対称の形状であると、ガラス表面の組成に関わらず、第1主面及び第2主面に均等に強化が入った場合であっても、反ることになる。また、図2(B)に示すように、3D形状の角部において、パネル側である第1主面の表面積が、使用者側である第2主面の表面積より小さく、該表面積差があることにより化学強化後に応力差が生じ、モーメントの反力で中央部が凹む。
このように、ガラスが曲面形状を有する場合、表面積が大きい使用者側(第2主面)から表面積が小さいパネル側(第1主面)に反りが生じる。このような上下非対称な形状に起因する反りは、ガラスの表裏面において組成差の無い基板であっても発生する。一般的に、ガラスが3D形状である場合、形状起因の化学強化後の反りを打ち消すように3D成型時の金型が設計されているが、金型設計の難易度が高く、量産時のばらつきが生じ易い。
したがって、本発明は、曲面形状を有するガラスの形状に起因する化学強化後の反りを低減できるカバーガラスの製造方法及びカバーガラスを提供することを目的とする。
本発明者らは、水分、フッ素、ナトリウム及びリチウムの濃度をそれぞれ単独で変化させた試料について各元素に適した評価により得られた元素プロファイルと、圧縮応力値との相関式により、化学強化後の反り量を予測できることを見出した。そして、該相関式により求められる値を特定範囲とすることで、曲面形状を有するガラスにおける化学強化後の反りを低減できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は以下の通りである。
[1]曲面形状を有するガラスを化学強化する工程を含むカバーガラスの製造方法であって、
前記曲面形状を有するガラスは、パネル側である第1主面と、第1主面と厚み方向に対向する使用者側である第2主面とを有し、下記式(1)で表されるXが-120以上-0.1以下である、カバーガラスの製造方法。
{[A×Σ(σ×ΔH)+B×Σ(σ×ΔNa)+C×Σ(σ×ΔLi)+D×Σ(σ×ΔF)]}×(t/0.7)…(1)
ここで式(1)における各パラメータは以下の意味を示す。
A=-11.7、B=0.073、C=0.015、D=-0.0055
t:板厚(mm)
ΔH:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるH濃度)-(第2主面におけるH濃度)](wt%)
ΔNa:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるNa濃度)-(第2主面におけるNa濃度)](wt%)
ΔLi:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるLi濃度)-(第2主面におけるLi濃度)](wt%)
ΔF:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるF濃度)-(第2主面におけるF濃度)](wt%)
σ:深さ0~60(μm)における、各深さでの圧縮応力値(MPa)
Σ(σ×ΔH):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔH(wt%)]の積分値
Σ(σ×ΔNa):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔNa(wt%)]の積分値
Σ(σ×ΔLi):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔLi(wt%)]の積分値
Σ(σ×ΔF):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔF(wt%)]の積分値
H濃度及びF濃度はSIMSにより測定される濃度(wt%)であり、Na濃度及びLi濃度はXPSにより測定される濃度(wt%)である。
[2]前記曲面形状が、2.5D形状又は3D形状である[1]に記載のカバーガラスの製造方法。
[3]前記ガラスが、フロート法により製造されたガラスである[1]または[2]に記載のカバーガラスの製造方法。
[4]前記化学強化する工程の前に、前記ガラスを研磨する工程を含む[1]~[3]のいずれか1に記載のカバーガラスの製造方法。
[5]曲面形状を有するガラスを化学強化したカバーガラスであって、
前記曲面形状を有するガラスは、パネル側である第1主面と、第1主面と厚み方向に対向する使用者側である第2主面とを有し、下記式(1)で表されるXが-120以上-0.1以下である、カバーガラス。
{[A×Σ(σ×ΔH)+B×Σ(σ×ΔNa)+C×Σ(σ×ΔLi)+D×Σ(σ×ΔF)]}×(t/0.7)…(1)
ここで式(1)における各パラメータは以下の意味を示す。
A=-11.7、B=0.073、C=0.015、D=-0.0055
t:板厚(mm)
ΔH:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるH濃度)-(第2主面におけるH濃度)](wt%)
ΔNa:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるNa濃度)-(第2主面におけるNa濃度)](wt%)
ΔLi:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるLi濃度)-(第2主面におけるLi濃度)](wt%)
ΔF:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるF濃度)-(第2主面におけるF濃度)](wt%)
σ:深さ0~60(μm)における、各深さでの圧縮応力値(MPa)
Σ(σ×ΔH):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔH(wt%)]の積分値
Σ(σ×ΔNa):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔNa(wt%)]の積分値
Σ(σ×ΔLi):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔLi(wt%)]の積分値
Σ(σ×ΔF):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔF(wt%)]の積分値
H濃度及びF濃度はSIMSにより測定される濃度(wt%)であり、Na濃度及びLi濃度はXPSにより測定される濃度(wt%)である。
[6]前記曲面形状が、2.5D形状又は3D形状である[5]に記載のカバーガラス。
[7]前記ガラスが、フロートガラスである[5]または[6]に記載のカバーガラス。
[8]前記ガラスが研磨されたガラスである[5]~[7]のいずれか1に記載のカバーガラス。
本発明のカバーガラスの製造方法によれば、元素プロファイルと圧縮応力値との相関式により得られる値を特定の範囲とし、ガラス形状に起因する反りを打ち消すようにガラス組成に起因する反りを発生させることで、曲面形状を有するガラスの形状に起因する化学強化後の反りを効果的に低減できる。本発明のカバーガラスの製造方法によれば、3D形状のカバーガラスの製造において化学強化による変形を考慮して設計した金型を用いて化学強化後の反りを低減する方法と比較して、金型設計の難易度を下げるとともに、必要な金型数を減らすことで、生産性を高められる。本発明のカバーガラスは、曲面形状を有するガラスの形状に起因する化学強化後の反りが効果的に低減され、且つ生産性に優れたカバーガラスである。
図1(A)は2段の化学強化により得られる化学強化ガラスの応力プロファイルの模式図、図1(B)は1段の化学強化により得られる化学強化ガラスの応力プロファイルの模式図である。 図2(A)は使用者側の第2主面が2.5D形状、パネル側の第1主面が2D(平板)形状であるカバーガラスを化学強化した場合の模式図、図2(B)は3D形状のカバーガラスを化学強化した場合の模式図である。 図3(A)は、カバーガラスの第1主面及び第2主面における水分濃度のプロファイルの例を示す図である。図3(B)は、カバーガラスの第1主面及び第2主面におけるF濃度のプロファイルの例を示す図である。図3(C)は、カバーガラスの第1主面及び第2主面におけるLi濃度のプロファイルの例を示す図である。図3(D)は、カバーガラスの第1主面及び第2主面におけるNa濃度のプロファイルの例を示す図である。 図4(A)は圧縮応力値のプロファイルの例、図4(B)はΔHプロファイルの例、図4(C)は各深さで圧縮応力値とΔHを乗じた値(σ×ΔH)のプロファイルの例をそれぞれ示す図である。 図5は、[(ΔHプロファイル)×(圧縮応力値プロファイル)]と、Δ反り量との相関関係を示すグラフである。 図6は、[(ΔNaプロファイル)×(圧縮応力値プロファイル)]と、Δ反り量との相関関係を示すグラフである。 図7は、[(ΔLiプロファイル)×(圧縮応力値プロファイル)]と、Δ反り量との相関関係を示すグラフである。 図8は、[(ΔFプロファイル)×(圧縮応力値プロファイル)]と、Δ反り量との相関関係を示すグラフである。 図9(a)は、フロート法によるガラス板の製造において、その構造中にフッ素原子が存在する分子を含有する気体をビームにより供給してガラスリボンの表面を処理する方法の概略説明図である。図9(b)は、図9(a)のA-A断面図である。 図10(A)及び(B)は、反り量の測定方法を説明するための模式図である。図10(B)において、高低差について、中心部が高い凸形状である場合を「-(マイナス)」、周辺部が低い凹形状である場合を「+(プラス)」と表す。 図11は、Δ反り量とXとの相関関係を示すグラフである。図11において、横軸はX、縦軸はΔ反り量の値を示す。 図12(A)は、カバーガラスの第1主面及び2μm研磨後の第1主面における水分濃度のプロファイルの例を示す図である。図12(B)は、カバーガラスの第1主面及び2μm研磨後の第1主面におけるF濃度のプロファイルの例を示す図である。図12(C)は、カバーガラスの第1主面及び2μm研磨後の第1主面におけるLi濃度のプロファイルの例を示図である。図12(D)は、カバーガラスの第1主面及び2μm研磨後の第1主面におけるNa濃度のプロファイルの例を示す図である。 図13は2.5D形状のガラスの製造工程の概要を示す図である。
<ガラス>
本発明のカバーガラスの製造方法は、曲面形状を有するガラスを化学強化する工程を含む。曲面形状としては、一方の面にR部を有し、かつ該面に対向する面が平坦である形状(2.5D形状と呼ばれることがある)、又はR形状を有する3D形状が挙げられる。本発明において、「2.5D形状」とは、平板(2D)の角部にR部を有する形状をいう。カバーガラスである場合、図2(A)に示すように、使用者側の面における角部にR部を有し、パネル側の面と比較して使用者側の面が表面積の大きい形状となる。本発明においては、2.5D形状のカバーガラスにおける、パネル側の面を第1主面、使用者側の面を第2主面とする。R部とは、円形または略円形の弧の形状を有する部分をいう。あるいは、円形に近い多角形の形状であってもよい。
本発明において、「3D形状」とは、平板(2D)ではない、曲げ形状のガラスをいう。カバーガラスである場合、図2(B)に示すように、両曲げ形状であり、パネル側の面と比較して使用者側の面が表面積の大きい形状となる。本発明においては、3D形状のカバーガラスにおける、パネル側の面を第1主面、使用者側の面を第2主面とする。
ガラスの化学強化後の反りは、ガラスの一方の主面ともう一方の主面(以下、表裏面ともいう)において、化学強化の入り方が異なることにより生じる。具体的には、例えば、フロートガラスの場合、フロート成形時に溶融金属(通常、錫)と接触していない主面と溶融金属と接触している主面とにおいて、ガラスの組成が表裏面で異なり、化学強化の入り方が異なることにより化学強化後の反りが生じる。
カバーガラスが曲面形状を有するすなわち2.5D又は3D形状である場合、このようなガラス組成に起因する化学強化後の反り及び製造工程における熱反りに加え、形状の非対称に起因する化学強化後の反りが発生する。具体的には、カバーガラスにおいて、表面積が大きい使用者側(第2主面)から表面積が小さいパネル側(第1主面)に反りが生じる。
本発明のカバーガラスの製造方法によれば、元素プロファイルと圧縮応力値との相関式により得られる値であるXを特定の範囲とすることで、ガラス形状に起因する反りを打ち消すようにガラス組成に起因する反りを発生させることで、曲面形状を有するガラスの形状に起因する化学強化後の反りを効果的に低減できる。
<Δ反りの評価方法>
化学強化前のガラスに対する化学強化後のガラスの反りの変化量(反り変化量)は、三次元形状測定機[例えば、株式会社ニデック(フラットネステスター FT-17)や三鷹光器株式会社製]、または、表面粗さ・輪郭形状測定機(例えば、株式会社東京精密製)で測定できる。曲面形状を有するガラスにおける反りは、実施例において後述するように多点測定により測定できる。
本発明において、化学強化後の反りの改善は、以下に示す式により求めるΔ反り量により評価する。
Δ反り量=化学強化後反り量-化学強化前反り量
<式(1)>
元素プロファイルと圧縮応力値との相関は、下記式(1)で表される。本発明のカバーガラスの製造方法は、下記式(1)で表されるXが-120以上-0.1以下である、曲面形状を有するガラスを化学強化する工程を含む。
X={[A×Σ(σ×ΔH)+B×Σ(σ×ΔNa)+C×Σ(σ×ΔLi)+D×Σ(σ×ΔF)]}×(t/0.7)…(1)
式(1)における各パラメータについて説明する。
t:板厚(mm)
ΔH:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるH濃度)-(第2主面におけるH濃度)](wt%)
ΔNa:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるNa濃度)-(第2主面におけるNa濃度)](wt%)
ΔLi:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるLi濃度)-(第2主面におけるLi濃度)](wt%)
ΔF:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるF濃度)-(第2主面におけるF濃度)](wt%)
σ:深さ0~60(μm)における、各深さでの圧縮応力値(MPa)
Σ(σ×ΔH):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔH(wt%)]の積分値
Σ(σ×ΔNa):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔNa(wt%)]の積分値
Σ(σ×ΔLi):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔLi(wt%)]の積分値
Σ(σ×ΔF):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔF(wt%)]の積分値
H濃度及びF濃度はSIMSにより測定される濃度(wt%)であり、Na濃度及びLi濃度はXPSにより測定される濃度(wt%)である。
式(1)における(t/0.7)は板厚補正である。
A=-11.7、B=0.073、C=0.015、D=-0.0055
以下、式(1)の各パラメータの求め方について、詳述する。
<<ΔH>>
ΔHは、二次イオン質量分析法(SIMS)によって測定される、深さ0~60(μm)における各深さでの[(第1主面におけるH濃度)-(第2主面におけるH濃度)](wt%)をいう。H濃度は、国際公開第2016/152848号に記載の方法と同様にして、SIMS装置でガラス中のH/29Siプロファイルを測定することにより求める。
ここで、SIMSによって得られるガラス中のH(水素)元素は、ガラス中の水分濃度とよく相関することが知られており、H/30Siプロファイルを評価することはガラス中の水分の濃度プロファイルを評価することと同義と考えてよい。H/29Siは、第1主面、第2主面それぞれにおいて0~60μmまで0.5μmピッチで測定する。図3(A)は、カバーガラスの第1主面及び第2主面における水分濃度のプロファイルの例を示す図である。図3(A)に示すように、同じ深さのH/30Si測定値において、第1主面の測定値から第2主面の測定値を引いた差であるΔH/29SiがΔHとなる。
SIMSの分析条件としては、例えば、以下の条件が挙げられる。なお、以下で示す分析条件は例示であり、測定装置、サンプルなどによって適宜変更されるべきものである。また、SIMSによって得られる深さ方向プロファイルの横軸の深さは、分析クレーターの深さを触針式膜厚計(例えば、Veeco社製Dektak150)によって測定することで、求められる。
(分析条件)
一次イオン種:Cs
一次イオン入射角:60°
一次加速電圧:5kV
より具体的なSIMSの分析条件としては、例えば、以下の条件が挙げられる。
(分析条件)
測定装置:四重極型質量分析器を有する二次イオン質量分析装置 アルバック・ファイ社製ADEPT1010
一次イオン種:Cs
一次加速電圧:5.0kV
一次イオンカレント:1μA
一次イオン入射角(試料面垂直方向からの角度):60°
ラスターサイズ:200x200μm
検出領域:40x40μm
二次イオン極性:マイナス
中和用の電子銃使用:有
<<ΔNa>>
ΔNaは、X線光電子分光法(XPS)によって測定される、深さ0~60(μm)における各深さでの[(第1主面におけるNa濃度)-(第2主面におけるNa濃度)](wt%)をいう。Na濃度は、XPS装置でNa2s光電子強度およびSi2p光電子強度から得られるガラス中のNa/Siプロファイルを測定することにより求める。Na/Siは、第1主面、第2主面それぞれにおいて0~5μmまで0.5μmピッチで測定する。図3(D)は、カバーガラスの第1主面及び第2主面におけるNa濃度のプロファイルの例を示す図である。図3(D)に示すように、同じ深さのNa/Si測定値において、第1主面の測定値から第2主面の測定値を引いた差であるΔNa/SiがΔNaとなる。
XPSの分析条件としては、例えば、以下の条件が挙げられる。なお、以下で示す分析条件は例示であり、測定装置、サンプルなどによって適宜変更されるべきものである。
(分析条件)
装置:アルバック・ファイ社製ESCA5500
プローブ径:800μmφ
検出角度:試料面に対して75deg
Pass Energy:117.4eV
Energy Step:0.5eV/step
スパッタイオン種:C60
スパッタセッティング:電圧10kV
ラスター3x3mm
測定間隔:10min
<<ΔLi>>
ΔLiは、XPSによって測定される、深さ0~60(μm)における各深さでの[(第1主面におけるLi濃度)-(第2主面におけるLi濃度)](wt%)をいう。Li濃度は、XPS装置でLi1s光電子強度およびSi2p光電子強度から得られるガラス中のLi/Siプロファイル測定することにより求める。Li/Siは、第1主面、第2主面それぞれにおいて0~5μmまで0.5μmピッチで測定する。図3(C)は、カバーガラスの第1主面及び第2主面におけるLi濃度のプロファイルの例を示す図である。図3(C)に示すように、同じ深さのLi/Si測定値において、第1主面の測定値から第2主面の測定値を引いた差であるΔLi/SiがΔLiとなる。
XPSの分析条件としては、例えば、以下の条件が挙げられる。なお、以下で示す分析条件は例示であり、測定装置、サンプルなどによって適宜変更されるべきものである。
(分析条件)
装置:アルバック・ファイ社製ESCA5500
プローブ径:800μmφ
検出角度:試料面に対して75deg
Pass Energy:117.4eV
Energy Step:0.5eV/step
スパッタイオン種:C60
スパッタセッティング:電圧10kV
ラスター3x3mm
測定間隔:10min
<<ΔF>>
ΔFはSIMSによって測定される、深さ0~60(μm)における各深さでの[(第1主面におけるF濃度)-(第2主面におけるF濃度)](wt%)をいう。F濃度は、国際公開第2016/152848号に記載の方法と同様にして、SIMS装置でガラス中の19F/29Siプロファイルを測定することにより求める。19F/29Siは、第1主面、第2主面それぞれにおいて0~30μmまで0.5μmピッチで測定する。図3(B)は、カバーガラスの第1主面及び第2主面におけるF濃度のプロファイルの例を示す図である。図3(B)に示すように、同じ深さのF/30Si測定値において、第1主面の測定値から第2主面の測定値を引いた差であるΔ19F/30SiがΔFとなる。
SIMSの分析条件としては、例えば、以下の条件が挙げられる。なお、以下で示す分析条件は例示であり、測定装置、サンプルなどによって適宜変更されるべきものである。また、SIMSによって得られる深さ方向プロファイルの横軸の深さは、分析クレーターの深さを触針式膜厚計(例えば、Veeco社製Dektak150)によって測定することで、求められる。
(分析条件)
一次イオン種:Cs
一次イオン入射角:60°
一次加速電圧:5kV
より具体的な分析条件としては、例えば、以下の条件が挙げられる。
(分析条件)
測定装置:アルバック・ファイ社製ADEPT1010四重極型質量分析器を有する二次イオン質量分析装置
一次イオン種:Cs
一次加速電圧:5.0kV
一次イオンカレント:1μA
一次イオン入射角(試料面垂直方向からの角度):60°
ラスターサイズ:200x200μm
検出領域:40x40μm
二次イオン極性:マイナス
中和用の電子銃使用:有
<<圧縮応力値(σ)>>
圧縮応力値は、応力測定装置(例えば、折原製作所製表面応力計FSM-6000と散乱光光弾性応力計SLP2000を組み合わせて用いる方法)で測定できる。
<<係数A~D>>
図4(A)に圧縮応力値のプロファイルの例、図4(B)にΔHプロファイルの例、図4(C)に各深さで圧縮応力値とΔHを乗じた値[Σ(σ×ΔH)]のプロファイルの例を示す。本発明者らは、Σ(σ×ΔH)と化学強化後の反りの大きさとに相関関係があることを見出し、式(1)における係数Aを求めた。同様に、Σ(σ×ΔNa)、Σ(σ×ΔLi)及びΣ(σ×ΔF)と化学強化後の反りの大きさとにそれぞれ相関関係があることを見出し、式(1)における係数B~Dを求めた。以下、詳述する。
(ガラスの作製)
酸化物基準のモル%表示で下記に示す各組成となるように、フロート法によりガラスを作製し、板厚0.7mmのガラス板を得た。
組成A:SiO 66.2%、Al 11.2%、LiO 10.4%、NaO 5.6%、KO 1.5%、MgO 3.1%、CaO 0.2%、ZrO 1.3%、Y 0.5%
(化学強化条件)
化学強化は、下記条件による2段の化学強化とした。
1段目:強化塩として100%NaNO溶融塩を用い、450℃にて1.5時間、ガラスを溶融塩に浸漬した。
2段目:強化塩として99%KNO及び1%NaNOの混合溶融塩を用い、425℃にて1.5時間、ガラスを溶融塩に浸漬した。
(Δ反りの評価方法)
作製した板厚0.7mmのガラスを100mm角に切断し、その基板の90mm角部に相当する部分の反りを測定し、強化前の反り量とした。その後上記条件により化学強化を行った。次に、基板の90mm角部に相当する部分の反りを測定し、強化後の反り量とした。
Δ反り量(未研磨)=化学強化後反り量-化学強化前反り量
(圧縮応力値の測定)
化学強化ガラスの圧縮応力値について、測定機器として、折原製作所製のSLP2000及びFSM6000LEUVを用い、特開2016-142600号公報に開示される応力プロファイル算出方法を用いて算出した。測定時パラメータは下記の通りとした。
・SLP2000:光弾性定数を28.3(nm/cm/MPa)、屈折率を1.530
・FSM6000LEUV:光弾性定数を32.6(nm/cm/MPa)、屈折率を1.54
(係数Aについて)
次の手順により係数Aを求めた。ガラス板として硝材Aからなるガラス板を用いた。
(1)硝材Aのガラスリボンが流れるフロートバスにおいて、処理温度940℃にて5秒間トップ面のフッ素処理を実施した。HFガス濃度を0としてサンプルを作製した。
(2)その後、ガラス板のトップ面(T面)及びボトム面(B面)の両面についてそれぞれ3μm研磨した。通常フロート法における脱アルカリの影響は表面から2μm以下であるので、両面において3μmのエッチングを行う事で、レヤーでの脱アルカリの影響を排除して、より安定な相関が得られる。
(3)その後、ガラス板のトップ面(T面)及びボトム面(B面)のいずれかの面のみを研磨した。片面のみを研磨することで、表面のH/Siプロファイルを変更し、ΔH/Siを大きく変える事ができる。
(4)作製した板厚0.7mmのガラスを100mm角に切断し、その後下記条件による2段の化学強化を実施した。
1段目:強化塩として100%NaNO溶融塩を用い、450℃にて1.5時間、ガラスを溶融塩に浸漬した。
2段目:強化塩として99%KNO及び1%NaNOの混合溶融塩を用い、425℃にて1.5時間、ガラスを溶融塩に浸漬した。
(5)(4)の化学強化の前後で反り量を測定し、下記式によりΔ反り量を算出した。
Δ反り量=化学強化後反り量-化学強化前反り量
(6)上述したSIMSによる測定方法で、化学強化前のガラス板について、第1主面及び第2主面のH濃度を表面からの深さ0~60μmにおいて0.5μmピッチで測定し、ΔHを求めた。また、化学強化後の圧縮応力値(MPa)を測定し、(圧縮応力値×ΔH)の値を求めた。
[(ΔHプロファイル)×(圧縮応力値プロファイル)]と、Δ反り量との相関関係を示すグラフを図5に示す。図5に示すように、Σ(σ×ΔH)とΔ反り量とは相関関係を示した。図5のグラフの相関式はy=-11.729x-27.203(R=0.8431)であることから、係数Aを-11.7とした。
(係数Bについて)
次の手順により係数Bを求めた。ガラス板として硝材Aからなるガラス板を用いた。
(1)ΔNa濃度のみが異なるサンプルを、硝材Aのガラスリボンが流れるフロート溶解窯において投入する原料のNa濃度を短時間で0.3wt%変更して作製した。このような作業により、溶解窯が安定するまでのガラス板のトップ面(T面)及びボトム面(B面)の両面に組成差が発生し、ΔNaが一旦0.15wt%程度まで大きくなったのち、数日をかけて徐々にΔNaが0wt%に近づいた。前記サンプルを作製する期間において他条件を変更せず、複数回サンプリングを行うことでΔNaのみを変えてサンプリングをした。当該期間の間、硝材Aのガラスリボンが流れるフロートバスにおいて、処理温度940℃にて5秒間、トップ面のHFガス濃度を0.0体積%としてフッ素処理をした。
作製した板厚0.7mmのガラスを100mm角に切断し、その後下記条件による2段の化学強化を実施した。
1段目:強化塩として100%NaNO溶融塩を用い、450℃にて1.5時間、ガラスを溶融塩に浸漬した。
2段目:強化塩として99%KNO及び1%NaNOの混合溶融塩を用い、425℃にて1.5時間、ガラスを溶融塩に浸漬した。
(2)の化学強化の前後で反り量を測定し、下記式によりΔ反り量を算出した。
Δ反り量=化学強化後反り量-化学強化前反り量
(3)上述したXPSによる測定方法で、化学強化前のガラス板について第1主面及び第2主面のNa濃度を表面からの深さ0~60μmにおいて0.5μmピッチで測定し、ΔNaを求めた。また、化学強化後の圧縮応力値(MPa)を測定し、(圧縮応力値×ΔNa)の値を求めた。
[(ΔNaプロファイル)×(圧縮応力値プロファイル)]と、Δ反り量との相関関係を示すグラフを図6に示す。図6に示すように、Σ(σ×ΔNa)とΔ反り量とは相関関係を示した。図6のグラフの相関式はy=0.0726x+158.27(R=0.9029)であることから、係数Bを0.073とした。
(係数Cについて)
次の手順により係数Cを求めた。ガラス板として硝材Aからなるガラス板を用いた。
(1)ΔLi濃度のみが異なるサンプルを、硝材Aのガラスリボンが流れるフロート溶解窯において投入する原料のLi濃度を短時間で0.3wt%変更して作製した。このような作業により、溶解窯が安定するまでのガラス板のトップ面(T面)及びボトム面(B面)の両面に組成差が発生し、ΔLiが一旦0.2wt%程度まで大きくなったのち、数日かけて徐々にΔLiが0wt%に近づいた。前記サンプルを作製する期間において、他条件を変更せず、複数回サンプリングを行う事でΔLiのみを変えたサンプリングを行った。当該期間の間、硝材Aのガラスリボンが流れるフロートバスにおいて、処理温度940℃にて5秒間、トップ面のHFガス濃度を3.5体積%としてフッ素処理をした。
作製した板厚0.7mmのガラスを100mm角に切断し、その後下記条件による2段の化学強化を実施した。
1段目:強化塩として100%NaNO溶融塩を用い、450℃にて1.5時間、ガラスを溶融塩に浸漬した。
2段目:強化塩として99%KNO及び1%NaNOの混合溶融塩を用い、425℃にて1.5時間、ガラスを溶融塩に浸漬した。
(2)の化学強化の前後で反り量を測定し、下記式によりΔ反り量を算出した。
Δ反り量=化学強化後反り量-化学強化前反り量
(3)上述したXPSによる測定方法で、化学強化前のガラス板について第1主面及び第2主面のLi濃度を表面からの深さ0~60μmにおいて0.5μmピッチで測定し、ΔLiを求めた。また、化学強化後の圧縮応力値(MPa)を測定し、(圧縮応力値×ΔLi)の値を求めた。
[(ΔLiプロファイル)×(圧縮応力値プロファイル)]と、Δ反り量との相関関係を示すグラフを図7に示す。図7に示すように、Σ(σ×ΔLi)とΔ反り量とは相関関係を示した。図7のグラフの相関式はy=0.0146x-29.358(R=0.9435)であることから、係数Cを0.015とした。
(係数Dについて)
次の手順により係数Dを求めた。ガラス板として硝材Aからなるガラス板を用いた。
(1)硝材Aのガラスリボンが流れるフロートバスにおいて、処理温度940℃にて5秒間トップ面のフッ素処理を実施した。HFガス濃度を0%と1~6体積%に変更してサンプルを作製した。
(2)その後、ガラス板のトップ面(T面)及びボトム面(B面)の両面それぞれ3μm研磨を行った。通常フロートにおける脱アルカリの影響は表面から2μm以下であるので、両面3μmエッチングを行うことで、レヤーでの脱アルカリの影響を排除して、より安定な相関が得られる。
(3)作製した板厚0.7mmのガラスを100mm角に切断し、その後下記条件による2段の化学強化を実施した。
1段目:強化塩として100%NaNO溶融塩を用い、450℃にて1.5時間、ガラスを溶融塩に浸漬した。
2段目:強化塩として99%KNO及び1%NaNOの混合溶融塩を用い、425℃にて1.5時間、ガラスを溶融塩に浸漬した。
(4)(3)の化学強化の前後で反り量を測定し、下記式によりΔ反り量を算出した。
Δ反り量=化学強化後反り量-化学強化前反り量
ΔFの効果は他のΔH、ΔLi、ΔNaによる影響が大きいため、Δ反り(HFガス濃度を0%)との差異で係数を導き出した。図8の縦軸の「FによるΔ反り変化量(μm)」はΔ反り(HFガス濃度を0%)との差異を下記式にて算出した値である。
(FによるΔ反り変化量)=(各HF濃度におけるΔ反り)-(HF濃度0%におけるΔ反り)
(5)上述したSIMSによる測定方法で、化学強化前のガラス板について第1主面及び第2主面のF濃度を表面からの深さ0~60μmにおいて0.5μmピッチで測定し、ΔFを求めた。また、化学強化後の圧縮応力値(MPa)を測定し、(圧縮応力値×ΔF)の値を求めた。
[(ΔFプロファイル)×(圧縮応力値プロファイル)]と、Δ反り量との相関関係を示すグラフを図8に示す。図8に示すように、Σ(σ×ΔF)とΔ反り量とは相関関係を示した。図8のグラフの相関式はy=-0.0055x-21.317(R=0.8132)であることから、係数Dを-0.0055とした。
<<X>>
上記のようにして求められる式(1)で表されるXは、曲面形状を有するカバーガラスにおける化学強化後の反り量に影響を及ぼす要因となる水分濃度、Na濃度、Li濃度、F濃度を複合的に考慮し、反り量を最適な範囲内に制御するための数値的指標である。Xは-120以上-0.1以下であり、好ましくは-100以上-20以下であり、より好ましくは-100以上-40以下である。
ガラスが2.5D又は3D形状である場合、表面積が大きい使用者側(第2主面)から表面積が小さいパネル側(第1主面)に化学強化時にΔ反りが生じるがXを-0.1以下とすることによりその反りを低減でき、パネルとの接着性を向上できる。一方でXが-120以下となった場合、実寸での化学強化後の中心と端との凸凹が逆転してしまうため、パネルとの接着性が低下してしまうため-120以上が好ましい。
<Xの制御方法>
Xを上記範囲とするためには、ΔH、ΔNa、ΔL、ΔFの各パラメータを制御することが好ましい。
ΔHの制御は、ガラスの両主面の水分量を調節することにより可能であり、例えばフロートバスでの成形温度や、フロートバスの雰囲気中の水分濃度を変化させることによる方法が挙げられる。具体的には、例えば、特開2017-14025号公報に記載の方法が挙げられる。
ΔNaおよびΔLiの制御は、ガラスの両主面のLiO量およびNaO量を調節することにより可能であり、例えば、フロートバスやレヤーでの脱アルカリ表面処理による方法が挙げられる。具体的には、例えば、特開2015-113268号公報及び国際公開第2016/152848号に記載の方法が挙げられる。
ΔFの制御は、ガラスの両主面のフッ素量を調節することにより可能であり、例えば、フロートバス内での第1主面に対する表面処理時の接触ガス濃度を変更することによる方法が挙げられる。具体的には、例えば、国際公開第2015/046109号及び国際公開第2016/152848号に記載の方法が挙げられる。
本発明において溶融ガラスを板状のガラス板に成形する方法、及び板状のガラス板から曲面形状を有するガラスを得る方法は特に限定されない。また該ガラスは化学強化処理による強化が可能な組成を有するものである限り、種々の組成のものを使用できる。例えば、種々の原料を適量調合し、加熱溶融した後、脱泡または攪拌等により均質化し、周知のフロート法、ダウンドロー法(例えば、フュージョン法等)またはプレス法等によって板状に成形し、徐冷後、所望のサイズに切断し、研磨加工を施して製造される。これらの製造方法の中でも、フロート法により製造されたガラスは、特に本発明の効果である化学強化後の反り改善が発揮され易いため、好ましい。
フロート法において、素地替えを行う(ガラスの組成を替えたガラスを製造する)場合、具体的には例えば、リチウムをほとんど含有しないガラスを製造した後にリチウム系の組成であるガラスを製造する場合、ガラス素地の表裏差が発生しやすく、ΔLiやΔNaが変化することにより化学強化後の反りが変動しやすい。特に素地替え後は該変動が大きく、素地の表裏差が安定するまではガラスを製造しにくく、生産性が低下する。このことで素地替え途中においては所望の品質を有するガラスが得られにくく、素地替え後においても反りが低減されたガラスが得られにくい。そのため、フロート法において、素地替えは、連続ではなく空窯にして行うのが好ましい。また窯を洗うために調整されたカレットを使うことがより好ましい。
本発明に用いられるガラスとしては、具体的には、例えば、ソーダライムシリケートガラス、アルミノシリケートガラス、リチウムアルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス等からなるガラスが挙げられる。
これらの中でも、Alを含む組成のガラスが好ましい。Alはアルカリが共存すると4配位をとってSiと同様にガラスの骨格となる網目の形成に参加する。4配位のAlが増えると、アルカリイオンの移動が容易になり、化学強化処理時にイオン交換が進行しやすくなる。
ガラス板の厚みは、例えば、2mm、0.8mm、0.7mm、0.4mm等が挙げられるが、後述する化学強化処理を効果的に行うためとカバーガラスとして使用した時の重量の関係から、通常3.0mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましく、1.0mm以下であることがさらに好ましく、0.8mm以下であることが特に好ましい。
通常、厚み0.7mmのガラス板の化学強化後における反り量は、最終製品の防水性発揮の観点や、製造工程の歩留まり低下を避けるために、90mm角のガラス板としたときの反り量が±40μm以内であることが求められてきた。ここで、第1主面(パネル側)を上にしたときに中央部分が周辺より高くなる場合を正の値、第2主面(使用者側)を上にしたときに中央部分が周辺より高くなる場合を負の値とする。
本発明におけるガラスの組成としては、例えば、酸化物基準のモル%表示で、SiOを50~75%、Alを1~25%、LiO、NaOおよびKOを合計で3~25%含むガラスが挙げられる。より具体的には例えば、酸化物基準のモル%表示で、以下のガラスの組成が挙げられる。
(i)SiOを55~75%、Alを8~25%、LiOを3~20%、LiO、NaOおよびKOを合計で3~25%、MgO、CaO、SrO、BaOおよびZnOのいずれか1以上を合計で0~10%含むガラス
(ii)SiOを50~70%、Alを6~20%、NaOを5~20%、LiO、NaOおよびKOを合計で5~25%、MgOを1~15%、CaOを0~5%含むガラス
(iii)SiOを60~75%、Alを1~6%、NaOを10~20%、LiO、NaOおよびKOを合計で10~25%、MgOを3~20%、CaOを1~10%含むガラス
本発明において、式(1)で表されるXの制御方法として、具体的には例えば、以下に説明するフッ素処理等の脱アルカリ処理、等の各種表面処理及び研磨加工を適宜組み合わせることにより、制御できる。
(フッ素処理)
フッ素処理の方法としては、ガラス板またはガラスリボンの少なくとも一面に対して、フッ素含有流体を接触させて表面処理する。ガラスリボンの少なくとも一面に対してフッ素含有流体を接触させて表面処理する場合、ガラスリボンの温度は650℃以上であることが好ましい。650℃以上とすることにより後述する凹部の発生を抑制しつつ、化学強化後のガラスの反り量を低減できる。
フッ素含有流体としては、例えば、フッ化水素(HF)、フロン(例えば、クロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハロン)、フッ化水素酸、フッ素単体、トリフルオロ酢酸、四フッ化炭素、四フッ化ケイ素、五フッ化リン、三フッ化リン、三フッ化ホウ素、三フッ化窒素、三フッ化塩素などが挙げられるが、これらの気体又は液体に限定されるものではない。
これらの中でも、フッ化水素、フロンまたはフッ化水素酸がガラス板表面との反応性が高い点で好ましい。またこれらのガスのうち、2種以上を混合して使用してもよい。また、フロートバス内では酸化力が強すぎるので、フッ素単体を使用しないことが好ましい。
また液体を使用する場合は、液体のまま、例えば、スプレー塗布でガラス板表面に供給しても、液体を気化してからガラス板表面に供給してもよい。また必要に応じて他の液体または気体で希釈してもよい。
フッ素含有流体としては、それらの液体や気体以外の液体または気体を含んでいてもよく、常温でフッ素原子が存在する分子と反応しない液体または気体であることが好ましい。前記液体または気体としては、例えば、N、空気、H、O、Ne、Xe、CO、Ar、HeおよびKrなどが挙げられるが、これらのものに限定されるものではない。またこれらのガスのうち、2種以上を混合して使用することもできる。
その構造中にフッ素原子が存在する分子を含有する気体のキャリアガスとしては、N、アルゴンなどの不活性ガスを用いることが好ましい。また、その構造中にフッ素原子が存在する分子を含有する気体には、更にSOを含んでもよい。SOはフロート法などで連続的にガラス板を生産する際に使用されており、徐冷域において搬送ローラーがガラス板と接触して、ガラスに疵を発生させることを防ぐ働きがある。また、高温で分解するガスを含んでいてもよい。
更に、フッ素含有流体には、水蒸気または水を含んでもよい。水蒸気は加熱した水に窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガスをバブリングさせて取り出せる。大量の水蒸気が必要な場合は、気化器に水を送り込んで直接気化させる方法をとることも可能である。
(徐冷領域(レヤー)での脱アルカリ処理)
フロート形成の際、徐冷領域(レヤー)において、搬送時のキズ防止のために、二酸化硫黄、または、三酸化硫黄を、溶融金属との接触面(通常、第2主面)側から吹き付けることがある。これにより、これらの硫黄化合物とガラス中のアルカリ成分とを反応させることで例えばNaSO等の固体が発生し、ガラスと搬送ローラーとの間に隙間が形成される。これによりボトム面側では副次的に脱アルカリが起こるため、溶融金属との非接触面(通常、第1主面)側の脱アルカリを調整するために、トップ面側からも、二酸化硫黄、もしくは三酸化硫黄を噴霧する処理を行う。噴霧処理は徐冷領域内の上流側で行われ、例えばガラスの温度として400℃~600℃が好ましい。二酸化硫黄、及び三酸化硫黄をそれぞれ単独で噴霧してもよいし、希釈ガスとして空気と混合して噴霧してもよい。以降の説明では、三酸化硫黄(SO)を噴霧処理する場合を例として述べる。
本発明において溶融ガラスを板状のガラス板に成形する方法の具体例としてフロート法について詳述する。フロート法では、ガラスの原料を溶解する溶融炉と、溶融ガラスを溶融金属(錫等)上に浮かせてガラスリボンを成形するフロートバスと、該ガラスリボンを徐冷する徐冷炉とを有するガラス製造装置を用いてガラス板が製造される。
溶融金属(錫)浴上でガラスが成形される際に、溶融金属浴上を搬送されるガラス板に対して、金属面に触れていない側から上述の脱アルカリ処理またはフッ素処理を行ってもよい。溶融金属(錫)浴に続く徐冷領域では、ガラス板はローラーにより搬送される。
ここで、徐冷領域とは、徐冷炉内だけではなく、フロートバス内で上記溶融金属(錫)浴から搬出されてから徐冷炉内に搬送されるまでの部分も含むものである。徐冷領域においては溶融金属(錫)に触れていない側から上述の徐冷領域での脱アルカリ処理を行ってもよい。
図9(a)にフロート法によるガラス板の製造において、フロートバス内で脱アルカリ処理またはフッ素処理を行う方法の概略説明図を示す。
溶融ガラスを溶融金属(錫等)上に浮かせてガラスリボン101を成形するフロートバスにおいて、フロートバス内に挿入したビーム102により、HFガスを該ガラスリボン101に吹き付ける。図9(a)に示すように、HFガスは、ガラスリボン101が溶融金属面に触れていない側からガラスリボン101に吹き付けることが好ましい。矢印Yaは、フロートバスにおいてガラスリボン101が流れる方向を示す。
ビーム102によりガラスリボン101にHFガスを吹き付ける位置は、ガラス転移点が550℃以上の場合には、ガラスリボン101の温度が600~970℃が好ましく、700℃~950℃がより好ましく、750~950℃がさらに好ましい。また、ビーム102の位置は、ラジエーションゲート103の上流であってもよいし、下流であってもよい。
吹き付けるHFガスは単体であるよりも、常温でフッ素原子と反応しないキャリアガスで希釈することが好ましい。キャリアガスとしては例えばN、Ar、Heなどが挙げられるが、Nガスがより好ましい。
図9(b)に図9(a)のA-A断面図を示す。ビーム102によりY1の方向からガラスリボン101に吹き付けられたHFガスは、「IN」から流入して、「OUT」の方向から流出する。すなわち、矢印Y4およびY5の方向に移動して、ガラスリボン101に曝露する。また、矢印Y4の方向に移動したHFガスは矢印Y2の方向から流出し、矢印Y5の方向に移動したHFガスは矢印Y3の方向から流出する。
ビームより供給される「ガラス中のアルカリ成分との間でイオン交換反応が起こる液体または気体」または「フッ素含有流体」が気体である場合、ビームの気体吐出口とガラス板との距離は30mm以下であることが好ましい。前記距離を30mm以下とすることにより、気体が大気中に拡散するのを抑制し、所望するガス量に対して、ガラス板に十分量のガスが到達する。逆にガラス板との距離が短すぎると、例えばフロート法で生産されるガラス板にオンラインで処理をする際に、ガラスリボンの変動により、ガラス板とビームが接触する恐れがある。
搬送されているガラス板表面に対してSOを噴霧して脱アルカリ処理をするにあたっては、例えば、ガラス板がコンベヤーの上を流れている場合は、コンベヤーに触れていない側から供給する。また、コンベヤーベルトにメッシュベルト等のガラス板の一部が覆われていないメッシュ素材を用いることにより、コンベヤーに触れている側から供給してもよい。また2つ以上のコンベヤーを直列に並べて、隣り合うコンベヤーの間にインジェクタを設置することにより、コンベヤーに触れている側からSOを噴霧してガラス板表面を処理してもよい。また、ガラス板がローラーの上を流れている場合は、ローラーに触れていない側からSOを噴霧し、ローラーに触れている側において、隣り合うローラーの間からSOを噴霧してもよい。
ガラス板の両方の側から同じまたは異なるガスを噴霧してもよい。例えば、ローラーに触れていない側と、ローラーに触れている側の両方の側からガスを噴霧してガラス板を脱アルカリ処理してもよい。例えば、徐冷領域で両方の側からガスを噴霧する場合は、連続的に搬送されているガラスに対してインジェクタを、ガラス板を挟んで向かい合うように配置して、ローラーに触れていない側とローラーに触れている側の両方の側からガスを噴霧してもよい。
ローラーに触れている側に配置されるインジェクタと、ローラーに触れていない側に配置されるインジェクタは、ガラス板の流れ方向に異なる位置に配置してもよい。異なる位置に配置するにあたっては、いずれがガラス板の流れ方向に対して上流に配置されても、下流に配置されてもよい。
本発明においては、レヤーにおいて脱アルカリ処理を行う場合、ガラス中のアルカリ成分との間でイオン交換反応が起こる液体または気体を搬送中のガラス板の表面に供給して該表面を脱アルカリ処理する際のガラス板の表面温度は、徐冷領域内の上流側の温度であり、例えば400~600℃が好ましい。なお、フロートバス内において脱アルカリ処理やフッ素処理を行う場合のガラス板の表面温度は、該ガラス板のガラス転移温度をTgとした場合に、(Tg+230℃)以上が好ましく、(Tg+300℃)以上がより好ましい。
また、フロートバス内でHFガスをガラス板表面に供給する際のガラス板表面の圧力は、大気圧-100パスカルから大気圧+100パスカルの圧力範囲の雰囲気であることが好ましく、大気圧-50パスカルから大気圧+50パスカルの圧力範囲の雰囲気であることがより好ましい。HFガスでガラス板を処理するにあたっては、HFガス流量が多いほど化学強化処理時の反り改善効果が大きいため好ましく、全ガス流量が同じ場合は、HF濃度が高いほど、化学強化処理時の反り改善効果が大きくなる。
(研磨加工)
化学強化前のガラスの片面あるいは両面を、ガラス研磨機を用いて研磨することによってもXを制御できる。また両面研磨において第1主面と第2主面それぞれ違う研磨量とすることも有効である。
ガラス表面を研磨すると、研磨量に応じて図3に示す各組成プロファイルの表層部分が無くなることになるので、各深さにおけるΔH/Si、ΔLi、ΔNa、ΔLiを変える事ができ、結果Xを変更できる。研磨加工する場合、Xが請求項規定の範囲となるようにそれぞれの面の研磨量を算出し、研磨することが好ましい。具体的には第1主面側を2μm程度研磨すると図12(A)~(D)に示すようにH/Si、Li、Na、Liプロファイルが変わる。このことによって当然ΔH/Si、ΔLi、ΔNa、ΔLiも変化するのでXが変化する。
従来研磨量で反りが変わること自体は知られていたが、第1主面、第2主面の研磨量をいくつにすることで希望の化学強化反りになるのかは判らなかった。本特許によって目的のXを得るために必要な第1主面と第2主面それぞれの研磨量を計算できるようになった。
<化学強化>
化学強化は、ガラス転移点以下の温度で、イオン交換により、ガラス表面のイオン半径が小さなアルカリ金属イオン(典型的には、LiイオンまたはNaイオン)を、イオン半径のより大きなアルカリ金属イオン(典型的には、Kイオン)に交換することで、ガラス表面に圧縮応力層を形成する処理である。化学強化処理は従来公知の方法によって実施できる。
化学強化処理の速度を速くするためには、ガラス中のLiイオンをNaイオンと交換する「Li-Na交換」を利用することが好ましい。またイオン交換により大きな圧縮応力を形成するためには、ガラス中のNaイオンをKイオンと交換する「Na-K交換」を利用することが好ましい。
化学強化処理を行うための溶融塩としては、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、塩化物などが挙げられる。このうち硝酸塩としては、例えば、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸セシウム、硝酸銀などが挙げられる。硫酸塩としては、例えば、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸セシウム、硫酸銀などが挙げられる。炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、などが挙げられる。塩化物としては、例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化セシウム、塩化銀などが挙げられる。これらの溶融塩は単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
化学強化処理の処理条件は、ガラス組成や溶融塩の種類などを考慮して、時間及び温度等を適切に選択すればよい。例えば、以下の2段階の化学強化処理が挙げられる。
まず、本結晶化ガラスを350~500℃程度のNaイオンを含む金属塩(たとえば硝酸ナトリウム)に0.1~10時間程度浸漬する。これによって結晶化ガラス中のLiイオンと金属塩中のNaイオンとのイオン交換が生じ、たとえば表面圧縮応力が200MPa以上で圧縮応力層深さが80μm以上である圧縮応力層が形成できる。一方、表面圧縮応力が1000MPaを超えると、CTを低く保ちつつ、DOLを大きくすることが困難になる。表面圧縮応力は好ましくは900MPa以下であり、より好ましくは700MPa以下、さらに好ましくは600MPa以下である。
次に、350~500℃程度のKイオンを含む金属塩(たとえば硝酸カリウム)に0.1~10時間程度浸漬する。これによって、前の処理で形成された圧縮応力層の、たとえば深さ10μm程度以内の部分に、大きな圧縮応力が生じる。このような2段階の処理によれば、表面圧縮応力が500MPa以上である、好ましい応力プロファイルが得られやすい。
はじめにNaイオンを含む金属塩に浸漬した後、大気中で350~500℃に1~5時間保持してから、Kイオンを含む金属塩に浸漬してもよい。保持温度は好ましくは425℃~475℃、さらに好ましくは440℃~460℃である。大気中で高温に保持することで、はじめの処理によって金属塩からガラス内部に導入されたNaイオンが、ガラス中で熱拡散することで、より好ましい応力プロファイルが形成され、それによってアスファルト落下強度が高められる。
または、Naイオンを含む金属塩に浸漬した後、大気中で保持するかわりに、350~500℃の、NaイオンとLiイオンとを含む金属塩(たとえば硝酸ナトリウムと硝酸リチウムとの混合塩)に0.1~20時間浸漬してもよい。NaイオンとLiイオンとを含む金属塩に浸漬することで、ガラス中のNaイオンと金属塩中のLiイオンとのイオン交換が生じ、より好ましい応力プロファイルが形成され、それによってアスファルト落下強度が高められる。
このような2段階または3段階の強化処理を行う場合には、生産効率の点から、処理時間は合計で10時間以下が好ましく、5時間以下がより好ましく、3時間以下がさらに好ましい。一方、所望の応力プロファイルを得るためには、処理時間は合計で0.5時間以上必要である。より好ましくは1時間以上である。
本発明の製造方法により得られるカバーガラスは、携帯電話、スマートフォン等のモバイル機器等の電子機器に用いられるカバーガラスとして有用である。さらに、携帯を目的としない、テレビ、パーソナルコンピュータ、タッチパネル等の電子機器のカバーガラス、エレベータ壁面、家屋やビル等の建築物の壁面(全面ディスプレイ)にも有用である。また、窓ガラス等の建築用資材、テーブルトップ、自動車や飛行機等の内装等やそれらのカバーガラスとして、また曲面形状を有する筺体等にも有用である。
以下に本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(ガラス板の作製)
本試験例では、以下の組成の硝材Aのガラス板を用いてフロート法によりガラスを作製し、板厚0.7mmのガラス板を得た。フロート法においては、硝材Aのガラスリボンが流れるフロートバスにおいて、HFガスを用いて、処理温度940℃にて5秒間トップ面のフッ素処理を実施した。
(硝材A)モル%表示で、
SiO 66.2%、Al 10.8%、LiO 10.4%、NaO 5.6%、KO 1.5%、MgO 3.1%、CaO 0.2%、ZrO 1.3%、Y 0.5%
含有するガラス
ガラス転移温度(Tg) 558℃
図13は2.5D形状のガラス基板の製造工程の概要を示す図である。図13に示す通り、端面を上下非対称形状となる特殊砥石で研磨することによって、68mm×142mmの2.5D形状のガラス基板を得た。研磨前のガラスの厚さは、例2については0.9mm、例2以外の例については0.7mmとした。特殊砥石で研磨する時に2.5D面(第2主面)側をガラス板のトップ面(T面)及びボトム面(B面)のいずれにするかは任意に選択できる。この2.5D面の形成後に、第1主面、第2主面それぞれを任意の研磨量で研磨してもよい。
ガラス表面を研磨すると、研磨量に応じて図3に示す各組成プロファイルの表層部分が無くなることになるので、各深さにおけるΔH、ΔLi、ΔNa、ΔLiを変えて、結果としてXを変更できる。具体的には第1主面側を2μm程度研磨すると図12(A)~(D)に示すようにH/Si、Li、Na、Liプロファイルが変わる。このことによって当然ΔH、ΔLi、ΔNa、ΔLiも変化してXが変化する。研磨加工する場合、Xが本発明において規定する範囲となるように第1主面、第2主面それぞれの面の研磨量を算出し、研磨することが好ましい。
その後化学強化を実施した。化学強化としては、下記条件による2段の化学強化を行った。
1段目:強化塩として100%NaNO溶融塩を用い、450℃にて1.5時間、ガラスを溶融塩に浸漬した。
2段目:強化塩として99%KNO及び1%NaNOの混合溶融塩を用い、425℃にて1.5時間、ガラスを溶融塩に浸漬した。
(H濃度、F濃度)
上述の二次イオン質量分析(SIMS)を用いて、19F/29Siカウント及びH/29Siカウントの厚み方向分布を測定した。この測定結果に基づいて、上述のΔH、ΔFを求めた。
(条件)
測定装置:アルバック・ファイ社製ADEPT1010
一次イオン種:Cs
一次加速電圧:5.0kV
一次イオンカレント:1μA
一次イオン入射角(試料面垂直方向からの角度):60°
ラスターサイズ:200x200μm
検出領域:40x40μm
二次イオン極性:マイナス
中和用の電子銃使用:有
(NaO濃度)
NaO濃度は上述のXPS(X線光電子分光分析)により、下記条件にて測定を行った。定量はNaO標準試料を用いて検量線法にて行った。この測定結果に基づいて、上述のΔNaを求めた。
(条件)
(分析条件)
装置:アルバック・ファイ社製ESCA5500
プローブ径:800μmφ
検出角度:試料面に対して75deg
Pass Energy:117.4eV
Energy Step:0.5eV/step
スパッタイオン種:C60
スパッタセッティング:電圧10kV
ラスター3x3mm
測定間隔:10min
(Li濃度)
Li濃度は上述のXPSにより、下記条件にて測定を行った。定量はLi標準試料を用いて検量線法にて行った。この測定結果に基づいて、上述のΔLiを求めた。
(条件)
装置:アルバック・ファイ社製ESCA5500
プローブ径:800μmφ
検出角度:試料面に対して75deg
Pass Energy:117.4eV
Energy Step:0.5eV/step
スパッタイオン種:C60
スパッタセッティング:電圧10kV
ラスター3x3mm
測定間隔:10min
(CS)
CSは、化学強化ガラスの圧縮応力値について、測定機器として、折原製作所製のSLP2000及びFSM6000LEUVを用い、特開2016-142600号公報に開示される応力プロファイル算出方法を用いて算出した。測定時パラメータは下記の通りとした。
・SLP2000:光弾性定数を28.3(nm/cm/MPa)、屈折率を1.530
・FSM6000LEUV:光弾性定数を32.6(nm/cm/MPa)、屈折率を1.54
(実寸反り量の測定)
実寸反り量は、化学強化後において、NexivVMZ-R3020(株式会社ニコン製)を用いて、レーザーによる多点測定により、パネル側を下に、使用者側を上にして評価した。多点測定は、図10(A)及び(B)に示すように、基板中心を基準にして、136mmx62mmのエリアを3×5点測定し、高低差を中心部が低い凹形状を+に、周辺部が高い凸形状を-として評価した。
上述した方法により、表面からの深さ0~60μmにおいて0.5μmピッチで測定し、ΔH、ΔF、ΔNa、ΔLiを求めた。また、化学強化後の圧縮応力値(MPa)を表面からの深さ0~60μmにおいて0.5μmピッチで測定し、圧縮応力値とΔH、ΔF、ΔNa又はΔLiとの積の値を求めた。結果を表1に示す。表1において、例1~3は比較例、例4~10は実施例である。表1における第2主面とは、2.5D形状を有する使用者側の主面をいう。例2はボトム面(B面)を第2主面とし、それ以外の例についてはトップ面(T面)を第2主面とした。
ΔH、ΔF、ΔNa、ΔLiを変更したサンプルを、第1主面及び第2主面にてそれぞれの研磨量を変えること、及びフロート法において基板を作製する時に吹き付けるHFガスの濃度を1~5%の範囲で変化させることにより作製した。研磨量を変えることで、例えば第1主面を2μm程度研磨すると図12(A)~(D)に示すように、H/Si、Li、Na、Liプロファイルが変わる。このことにより、当然にΔH、ΔLi、ΔNa、ΔLiも変化し、Xが変化する。フロート法において任意のXとする方法として、ΔH、ΔNa、ΔLiを任意に変えることは難しいため、ΔFについてHFガス濃度を変化させること、及び第1主面と第2主面の研磨量をそれぞれ変えることが好ましい。
下記式(1)により表されるXの値を求め、実寸反り量とXとの相関を評価した結果を図11に示す。図11において、横軸はX、縦軸は実寸反り量(図11及び表1中、パネル実測と表記)の値を示す。
{[A×Σ(σ×ΔH)+B×Σ(σ×ΔNa)+C×Σ(σ×ΔLi)+D×Σ(σ×ΔF)]}×(t/0.7)…(1)
ここで式(1)における各パラメータは以下の意味を示す。
A=-11.7、B=0.073、C=0.015、D=-0.0055
t:板厚(mm)
ΔH:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるH濃度)-(第2主面におけるH濃度)](wt%)
ΔNa:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるNa濃度)-(第2主面におけるNa濃度)](wt%)
ΔLi:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるLi濃度)-(第2主面におけるLi濃度)](wt%)
ΔF:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるF濃度)-(第2主面におけるF濃度)](wt%)
σ:深さ0~60(μm)における、各深さでの圧縮応力値(MPa)
Σ(σ×ΔH):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔH(wt%)]の積分値
Σ(σ×ΔNa):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔNa(wt%)]の積分値
Σ(σ×ΔLi):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔLi(wt%)]の積分値
Σ(σ×ΔF):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔF(wt%)]の積分値
Figure 0007331628000001
図11に示すようにXの値とパネル実測の反り量とは相関関係(y=0.0011x+0.1056、R2=0.9063)を示した。ガラスが2.5D又は3D形状である場合、表面積が大きい使用者側(第2主面)から表面積が小さいパネル側(第1主面)に化学強化時にΔ反りが生じるが、Xを-0.1以下とすることによりその反りを低減でき、パネルとの接着性を向上できる。一方でXが-120以下となった場合、実寸での化学強化後の中心と端との凸凹が逆転してしまうため、他の部材と干渉しパネルとの接着性が低下してしまうため-120以上が好ましい。
ΔLiやΔNaには「素地の表裏差」と「レヤーでの芒硝形成時の脱アルカリ」両方が寄与し、また「レヤーでの芒硝形成時」はLiとNaの両方が同時に脱アルカリするので、変化を単独で制御しにくい。また、ΔHの制御も、例えばフロートバスでの成形温度や、フロートバスの雰囲気中の水分濃度を変化させることによる方法が挙げられるが、量産する際には調整しにくい。
このため生産性を向上する点からは、パネル実測反りおよびXを制御する方法として、フロート成形時のΔH/30SiのΔLiやΔNaを任意に変更しにくい。したがって、実施例のようにΔH、ΔLiやΔNaを安定させ、かつフッ素処理のHF濃度を変化させてΔFを変化させること、及び第1主面と第2主面の研磨量を変えて制御することが現実的な方法として考えられる。

Claims (6)

  1. 曲面形状を有するガラスを化学強化する工程を含むカバーガラスの製造方法であって、
    前記曲面形状を有するガラスは、パネル側である第1主面と、第1主面と厚み方向に対向する使用者側である第2主面とを有し、下記式(1)で表されるXが-120以上-0.1以下であり、前記曲面形状が、2.5D形状又は3D形状である、カバーガラスの製造方法。
    {[A×Σ(σ×ΔH)+B×Σ(σ×ΔNa)+C×Σ(σ×ΔLi)+D×Σ(σ×ΔF)]}×(t/0.7)…(1)
    ここで式(1)における各パラメータは以下の意味を示す。
    A=-11.7、B=0.073、C=0.015、D=-0.0055
    t:板厚(mm)
    ΔH:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるH濃度)-(第2主面におけるH濃度)](wt%)
    ΔNa:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるNa濃度)-(第2主面におけるNa濃度)](wt%)
    ΔLi:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるLi濃度)-(第2主面におけるLi濃度)](wt%)
    ΔF:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるF濃度)-(第2主面におけるF濃度)](wt%)
    (ただし、前記ΔH、ΔNa、ΔLiおよびΔFは、化学強化前のガラスの数値である)
    σ:前記第2主面の深さ0~60(μm)における、各深さでの圧縮応力値(MPa)
    Σ(σ×ΔH):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔH(wt%)]の積分値
    Σ(σ×ΔNa):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔNa(wt%)]の積分値
    Σ(σ×ΔLi):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔLi(wt%)]の積分値
    Σ(σ×ΔF):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔF(wt%)]の積分値
    H濃度及びF濃度はSIMSにより測定される濃度(wt%)であり、Na濃度及びLi濃度はXPSにより測定される濃度(wt%)である。
  2. 前記ガラスが、フロート法により製造されたガラスである請求項に記載のカバーガラスの製造方法。
  3. 前記化学強化する工程の前に、前記ガラスを研磨する工程を含む請求項1または2に記載のカバーガラスの製造方法。
  4. 曲面形状を有するガラスを化学強化したカバーガラスであって、
    前記曲面形状を有するガラスは、パネル側である第1主面と、第1主面と厚み方向に対向する使用者側である第2主面とを有し、下記式(1)で表されるXが-120以上-0.1以下であり、前記曲面形状が、2.5D形状又は3D形状である、カバーガラス。
    {[A×Σ(σ×ΔH)+B×Σ(σ×ΔNa)+C×Σ(σ×ΔLi)+D×Σ(σ×ΔF)]}×(t/0.7)…(1)
    ここで式(1)における各パラメータは以下の意味を示す。
    A=-11.7、B=0.073、C=0.015、D=-0.0055
    t:板厚(mm)
    ΔH:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるH濃度)-(
    第2主面におけるH濃度)](wt%)
    ΔNa:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるNa濃度)-(第2主面におけるNa濃度)](wt%)
    ΔLi:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるLi濃度)-(第2主面におけるLi濃度)](wt%)
    ΔF:深さ0~60(μm)における、各深さでの[(第1主面におけるF濃度)-(第2主面におけるF濃度)](wt%)
    (ただし、前記ΔH、ΔNa、ΔLiおよびΔFは、化学強化前のガラスの数値である)
    σ:前記第2主面の深さ0~60(μm)における、各深さでの圧縮応力値(MPa)
    Σ(σ×ΔH):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔH(wt%)]の積分値
    Σ(σ×ΔNa):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔNa(wt%)]の積分値
    Σ(σ×ΔLi):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔLi(wt%)]の積分値
    Σ(σ×ΔF):深さ0~60(μm)における、各深さでの[圧縮応力値(MPa)×ΔF(wt%)]の積分値
    H濃度及びF濃度はSIMSにより測定される濃度(wt%)であり、Na濃度及びLi濃度はXPSにより測定される濃度(wt%)である。
  5. 前記ガラスが、フロートガラスである請求項に記載のカバーガラス。
  6. 前記ガラスが研磨されたガラスである請求項4または5に記載のカバーガラス。
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