JP2018082082A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電性高分子等の固体電解質の多孔質層内への充填性を改善し、ESRを低く抑えることができる、固体電解コンデンサの製造方法を提供することである。
【解決手段】その表面に誘電体層26が形成された陽極部18と、誘電体層26の表面に形成され、固体電解質層32を備えた陰極部30と含む、固体電解コンデンサ10の製造方法であって、陽極部18の表面に、導電性高分子または当該導電性高分子の前駆体を、可撓性を有する多孔質体からなるローラーにより塗布することによって、固体電解質層32を形成する工程を含むことを特徴とする、固体電解コンデンサ10の製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体電解コンデンサの製造方法に関し、特に、例えば、弁作用金属を含む陽極部表面の誘電体層上に、導電性高分子からなる固体電解質層を含む陰極部を備えた、固体電解コンデンサの製造方法に関する。
本発明の背景となる従来の固体電解コンデンサには、コンデンサ素子が積層されるとともに、陽極部と陰極部とが、それぞれ陽極端子と陰極端子とに電気的に接続され、絶縁材料により全面を覆う外装を備えた固体電解コンデンサであって、陽極部は、陽極端子と接続される端部に溶接部を備え、溶接部と絶縁部の間に、陽極部の一部を束ねた集束部を備える、固体電解コンデンサがあった(例えば、特許文献1参照。)。
この従来の固体電解コンデンサでは、超音波溶接を実施する場合に、陽極部の切断が生じ難く、信頼性の向上が図れる固体電解コンデンサを提供することが可能となっている。
この従来の固体電解コンデンサの製造方法は、絶縁部により陽極部と陰極部に区分され、当該陰極部は、多孔質層を有する平板状の弁作用金属の表面に誘電体層を設け、当該誘電体層の表面に、固体電解質層、グラファイト層、銀ペースト層を順次設けて形成する工程を含む。この従来の固体電解コンデンサの製造方法では、固体電解質層が、化学酸化重合法や電解重合法を用いて形成される以外に、重合した導電性高分子を予め水溶液へ分散または溶解させた導電性高分子懸濁溶液に浸漬する方法、所謂、ディッピングおよび含浸法と呼ばれる塗布方法でも形成され得るものとなっている。
特開2013−13627号
しかしながら、このような従来の固体電解コンデンサの製造方法1において、固体電解質層を形成する場合に、たとえば図8の(A)に示すように、誘電体層3が形成された平板状の弁作用金属5を導電性高分子懸濁溶液7へ浸漬する方法を採用すると、導電性高分子懸濁溶液に浸漬した後に引き上げた際に、導電性高分子懸濁溶液に掛かる重力(自重)と表面張力の影響で、弁作用金属5の端部に液溜まり9ができやすく、弁作用金属5の表面の多孔質層5A内への導電性高分子懸濁溶液7の充填が不十分な箇所が数多く発生するものであった。
この場合、固体電解コンデンサの等価直列抵抗(以下、ESRと示すことがある。)が増加する可能性が高くなって、信頼性の高い安定した品質の固体電解コンデンサを製造することが困難となっていた。
一方で、固体電解質として導電性重合体を用いた固体電解コンデンサは、二酸化マンガン等を固体電解質とする固体電解コンデンサに比べて等価直列抵抗および漏れ電流を小さくでき、電子機器の高性能化、小型化に対応できるコンデンサとして有用であるため、多くの製造方法が提案されている。
特に、近年では、パーソナルコンピューターに搭載されるCPUは、高性能化の一途をたどり低ESR化に対する要望が益々強まってきている。
それゆえに、本発明の主たる目的は、導電性高分子等の固体電解質の多孔質層内への充填性を改善し、ESRを低く抑えることができる、固体電解コンデンサの製造方法を提供することである。
請求項1に係る本発明は、表面に誘電体層が形成された陽極部と、誘電体層の表面に形成され、固体電解質層を備えた陰極部と含む、固体電解コンデンサの製造方法であって、誘電体層の表面に、導電性高分子または導電性高分子の前駆体を、可撓性を有する多孔質体からなるローラーにより塗布することによって、固体電解質層を形成する工程を含むことを特徴とする、固体電解コンデンサの製造方法である。
請求項2に係る本発明は、請求項1に係る発明に従属する発明であって、誘電体層は誘電体酸化皮膜で形成され、陽極部は、その表面に多孔質層を有し、多孔質層の表面に誘電体酸化皮膜が形成された弁作用金属基体を含み、固体電解質層は、誘電体酸化皮膜が形成された多孔質層の凹部に充填される第1の導電性高分子層と、第1の導電性高分子層の表面に形成される第2の導電性高分子層とを含み、第1の導電性高分子層は、弁作用金属基体の誘電体酸化皮膜の表面に、導電性高分子または前駆体を、ローラーにより塗布することによって形成される工程を含むことを特徴とする、固体電解コンデンサの製造方法である。
請求項3に係る本発明は、請求項1または請求項2に係る発明に従属する発明であって、ローラーは、軸部と、軸部に支持されて軸部の外周部に設けられる塗布ロール部とを含み、塗布ロール部は、少なくとも、陽極部と接触する接触部がスポンジ状物で形成されていることを特徴とする、固体電解コンデンサの製造方法である。
請求項4に係る本発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に係る発明に従属する発明であって、塗布ロール部の外周面には、軸部の軸方向に間隔を隔てて配設される凹凸部を含み、凹凸部の少なくとも凸部が、スポンジ状物で形成され、陽極部と接触することを特徴とする、固体電解コンデンサの製造方法である。
請求項5に係る本発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に係る発明に従属する発明であって、スポンジ状物の気孔率は、40%以上90%以下に形成されていることを特徴とする、固体電解コンデンサの製造方法である。
請求項6に係る本発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に係る発明に従属する発明であって、陽極部は、一方主面および他方主面を含み、ローラーは、陽極部の一方主面および/または他方主面に、導電性高分子または前駆体を塗布するように構成されていることを特徴とする、固体電解コンデンサの製造方法である。
本発明によれば、導電性高分子等の固体電解質の多孔質層内への充填性を改善し、ESR(等価直列抵抗)を低く抑えることができる、固体電解コンデンサの製造方法が得られる。
本発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
本発明の実施形態に係る固体電解コンデンサの製造方法により形成される固体電解コンデンサの一例を模式的に示した断面図である。 図1に示した固体電解コンデンサに用いられる単体のコンデンサ素子の構造の一例を模式的に示した断面図であって、且つ、図1に示した固体電解コンデンサの製造方法の一部を説明するための図でもある。 図3の(A)および(B)は、それぞれ、図1に示した固体電解コンデンサの製造方法の一部を説明するための図であって、誘電体皮膜層の表面に固体電解質層の第1の導電性高分子層を形成する工程の一例を模式的に示した断面図である。 図3に示した固体電解質層の第1の導電性高分子層を形成する工程に用いられる塗布ローラーの一例を示した図であって、(A)はその断面図であり、(B)はその側面図である。 図4に示した塗布ローラーの他の例を示す図であって、(A)はその断面図であり、(B)はその側面図である。 図4に示した塗布ローラーを用いて、誘電体皮膜層の表面に、固体電解質層の第1の導電性高分子層を形成したときの作用・効果を模式的に示した要部拡大図である。 本発明の実施形態に係る固体電解コンデンサの製造方法によって形成される固体電解コンデンサの内部構造の要部を模式的に示した一部拡大断面図である。 図8の(A)は、本発明背景となる従来の固体電解コンデンサの製造方法において、固体電解質層が形成される工程を模式的に示した要部分解斜視図であって、図8の(B)は、図8の(A)の固体電解質層形成工程により、固体電解質層が形成された後の状態を模式的に示した要部断面図である。
図1は、本発明の実施形態に係る固体電解コンデンサの製造方法により形成される固体電解コンデンサの一例を模式的に示した断面図である。
この固体電解コンデンサ10は、図1に示すように、第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子積層体14を含む。第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子積層体14は、それぞれ、複数のコンデンサ素子16が積層されることによって形成される。
単体のコンデンサ素子16は、図2に示すように、陽極部18を含み、陽極部18は、たとえば弁作用金属からなる、たとえば箔状(平板状)、柱状、円柱状、円錐状の弁作用金属基体20を含む。弁作用金属基体20は、芯部22と、芯部22の表面に沿って配設される多孔質層24とを有している。そのため、弁作用金属基体20の表層は、多数の細孔、空隙を含み、凹凸を有する多孔質構造となっている。弁作用金属基体20としては、弁作用を有し、化成処理によって簡単に酸化皮膜を形成できるものが好ましく、本実施形態例では、電気的特性を高めるために、例えば、平板状のアルミ箔の表面にエッチング加工により粗面化処理が施され、さらに粗面化された表面に酸化アルミの皮膜を形成する化成処理が施された化成アルミ箔が用いられている。
弁作用金属基体20としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、マグネシウム、ケイ素などの金属単体、またはこれらの合金が好ましく、より具体的な材料としては、これらの金属板、金属箔あるいはこれらを主成分とする焼結体等からも選ばれ得る。また、多孔質層24の形態としては、圧延箔のエッチング物、微粉焼結体などの多孔質成形体の形態も採用され得る。
弁作用金属基体20は、コンデンサ素子16の容量生成領域に位置する陽極部本体としての弁作用金属基体本体20aと、弁作用金属基体本体20aから容量生成領域の外側に引き出されている陽極引出し部としての弁作用金属基体引出し部20bとを有している。
弁作用金属基体20の表面には、誘電体層として、誘電体酸化皮膜層26が形成されている。誘電体酸化皮膜層26は、たとえば、弁作用金属基体20の表面を酸化することによって形成されている。誘電体酸化皮膜層26は、例えば、アジピン酸アンモニウム水溶液などの電解液中にて、弁作用金属基体20の表面を陽極酸化することで形成されたものである。したがって、誘電体酸化皮膜層26の表面にも、たとえば図2に示すように、弁作用金属基体20の表面と同様に、凹凸が形成されている。
弁作用金属基体20の長手方向の一端側において、誘電体酸化皮膜層26の表面の一部には、遮蔽部として、所定幅の絶縁層28が形成される。この絶縁層28は、後述する陰極部30を形成する際に付与される原料溶液が、陽極引出し部としての弁作用金属基体引出し部20bに入らないように遮断するためのものである。絶縁層28は、たとえば、電気絶縁性を有する絶縁樹脂で形成されている。
絶縁層28を構成する材料としては一般的な耐熱性樹脂、好ましくは溶剤に可溶あるいは膨潤しうる耐熱性樹脂またはその前駆体、無機質微粉とセルロース系樹脂からなる組成物等が使用できるが、材料は特に限定されない。具体例としてはポリフェニルスルホン(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、シアン酸エステル樹脂、フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等)、ポリイミド及びそれらの誘導体等が挙げられる。ポリイミド、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂及びそれらの前駆体が好ましく、特に弁作用金属に十分な密着力、充填性を有し、約450℃までの高温処理に耐えられる絶縁性に優れたポリイミドが好ましい。ポリイミドとしては、200℃以下、好ましくは100〜200℃の低温度での熱処理により硬化が十分可能であり、陽極箔の表面上の誘電体層の熱による破損・破壊等の外的衝撃が少ないポリイミドが好適に使用できる。
また、誘電体酸化皮膜層26の表面には、陰極部30が形成されている。陰極部30は、図2に示すように、絶縁層28の表面の一部を覆うようにして、誘電体酸化皮膜層26の表面に固体電解質層32が形成されている。この固体電解質層32は、特に、たとえば図2および図7に示すように、多孔質層24の凹部25に形成される第1の導電性高分子層34と、第1の導電性高分子層34の表面に形成される第2の導電性高分子層36とを含む。第1の導電性高分子層34は、絶縁層28を除く誘電体酸化皮膜層26の表面に形成されている。また、第2の導電性高分子層36は、絶縁層28の表面の一部を覆うようにして、第1の導電性高分子層34の表面に形成されている。
さらに、固体電解質層32の第2の導電性高分子層36の表面には、集電層としての導電体層38が形成されている。導電体層38は、下地層としてのカーボンペースト層40を含み、カーボンペースト層40は、絶縁層28を除く第2の導電性高分子層36の表面に形成されている。カーボンペースト層40の表面には、銀ペースト層42が形成されている。
この場合、陰極部30は、第1の導電性高分子層34および第2の導電性高分子層36を含む固体電解質層32と、カーボンペースト層40および銀ペースト層42を含む導電体層38との複合層から構成されている。第1の導電性高分子層34、第2の導電性高分子層36、カーボンペースト層40および銀ペースト層42は、それぞれの原料溶液を付与することによって形成される。
第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子積層体14を構成する複数のコンデンサ素子16は、それぞれ、互いに隣接する陽極部18の陽極引き出し部としての弁作用金属基体引出し部20b同士が、電気的に接続され、且つ、互いに隣接する陰極部30の導電体層30(集電層)同士が電気的に接続されるように積層されている。
すなわち、第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子積層体14は、それぞれ、図1に示すように、複数枚のコンデンサ素子16が積層され、コンデンサ素子16同士の陰極部30間に、導電性ペースト(図示せず)によって一体的に接合されて形成される。図1に示した固体電解コンデンサ10では、第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子積層体14が、それぞれ、たとえば3枚のコンデンサ素子16が積層されることによって形成されている。
図1に示した固体電解コンデンサ10では、当該固体電解コンデンサ10の中央部、言い換えると、第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子積層体14の境界部に、金属材料からなる第1のリードフレーム44および第2のリードフレーム46が接合されている。第1のリードフレーム44は、陽極部18側のリードフレームとして形成され、第2のリードフレーム46は、陰極部30側のリードフレームとして形成されている。
第1のリードフレーム44および第2のリードフレーム46の一方主面上には、それぞれ、たとえば導電性接着剤層(図示せず)が形成され、当該導電性接着剤層を介して、第1のコンデンサ素子積層体12の一方主面側が、第1のリードフレーム44および第2のリードフレーム46の一方主面上に積層固着されている。また、第1のリードフレーム44および第2のリードフレーム46の他方主面上には、それぞれ、たとえば導電性接着剤層(図示せず)が形成され、当該導電性接着剤層を介して、第2のコンデンサ素子積層体14の一方主面側が、第1のリードフレーム44および第2のリードフレーム46の他方主面上に積層固着されている。
一方、第1のリードフレーム46をコンデンサ素子16の陽極部18に接合する場合、導電性接着剤層を介して、第2のコンデンサ素子積層体14を積層固着する以外にも、例えば、第1のリードフレーム46の接合部分に、低融点金属メッキを施したものが用いられ得る。この場合、メッキ部分にコンデンサ素子16の誘電体酸化皮膜層26が露出している陽極部18を重ね合わせ、当該重ね合わせ部位に、たとえば抵抗溶接を施すようにしてもよい。抵抗溶接を施すことで、陽極部18の端部の誘電体酸化皮膜層26の固有抵抗によって接合部分が発熱し、第1のリードフレーム44のメッキ金属が溶融して、第1のリードフレーム44と陽極部18の端部とが一体に接合される。また、特に、アルミニウム化成箔等を弁作用金属基体20に用いた場合には、この誘電体酸化皮膜層26の抵抗発熱によってアルミニウム化成箔の表面が溶融し、陽極部18に積層したアルミニウム化成箔の表面が相互に溶け込んで一体に接合される。
なお、図1に示す固体電解コンデンサ10において、積層されるコンデンサ素子16の数は任意であり、また、第1のリードフレーム44および第2のリードフレーム46の上側と下側に重ねられる第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子積層体14の数は、同じ積層数である必異なく、異なる積層数であってもよい。
さらに、第1のリードフレーム44および第2のリードフレーム46の材料としては、例えば、鉄およびニッケルを主体とした鉄ニッケル系合金、亜鉛材料、銅材料、または、銅にスズ、ニッケル、鉄等を加えた銅合金などが各種の電子機材において一般に用いられているが、上記した接合方法は、これら一般のリードフレーム材料によって形成されたものについても広く適用され得る。これらのリードフレーム材料の中でも、特に、銅または銅合金等からなる良導電性材料によって形成されたリードフレームに対して有用である。
図1に示す固体電解コンデンサ10では、第1のリードフレーム44および第2のリードフレーム46の一部が外部に露出されるように、第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子積層体14は、その全体が外装樹脂48によって封止されている。外装樹脂48は、第1の封止部50および第2の封止部52を含む。第1の封止部50によって、第1のリードフレーム44および第2のリードフレーム46の一方主面側で、第1のコンデンサ素子積層体12の略全体が封止されている。また、第2の封止部52によって、第1のリードフレーム44および第2のリードフレーム46の他方主面側で、第2のコンデンサ素子積層体14の略全体が封止されている。
第1のリードフレーム44および第2のリードフレーム46は、図1に示すように、固体電解コンデンサ10の中央部に接合され、第1のリードフレーム44と第2のリードフレーム46とを上下に区画する境界部54を構成している。第1のリードフレーム44および第2のリードフレーム46は、固体電解コンデンサ10の中央部に沿って、同一軸線上に配置されている。第1のリードフレーム44および第2のリードフレーム46は、それぞれ、その一部が外装樹脂48の側面から引き出され、且つ、第2の封止部52と間隔を有するように、当該第2の封止部52の側面から底面側に、たとえばL字状に引き回されるように折り曲げられている。この場合、外装樹脂48内に封止されている第1のリードフレーム44の一端部44aおよび第2のリードフレーム46の一端部46a同士は、所定の間隔を隔てて、外装樹脂48内に封止されている。また、外装樹脂48から露出している第1のリードフレーム44の他端部44bおよび第2のリードフレーム46の他端部46b同士も、所定の間隔を隔てて配設されている。
第2の封止部52の底面と対向する側に折り曲げられた第1のリードフレーム44の折り曲げ部45Aおよび第2のリードフレーム46の折り曲げ部47Aは、それぞれ、陽極端子部45および陰極端子部47として形成される。陽極端子部45および陰極端子部47は、それぞれ、この固体電解コンデンサ10の実装面となる、たとえば実装基板(図示せず)と対向する第2の封止部52の底面と対向するように配設されている。
次に、図1に示した固体電解コンデンサ10の製造方法の一例について、説明する。
最初に、上記した単体のコンデンサ素子16の製造方法の一例について、図1〜図7を適宜参照しながら、以下に説明する。
<陽極部を形成する工程>
先ず、陽極部18を構成する弁作用金属基体20として、例えば、アルミ箔の表面にエッチング加工により粗面化処理が施され、さらに粗面化された表面に酸化アルミの皮膜を形成する化成処理が施された化成アルミ箔が作製される。この場合、弁作用金属基体20の表層部には、多孔質層24が形成されている。
弁作用金属基体20は、平板シート状の形態を有し得る。弁作用金属基体20の厚さは、特に限定されないが、例えば50〜200μm、好ましくは90〜130μmである。弁作用金属基体20の幅および長さは、製造する固体電解コンデンサ10のサイズに応じて適宜選択され得る。
<誘電体層(誘電体酸化皮膜層)を形成する工程>
次に、この弁作用金属基体20に化成処理が施され、誘電体層となる誘電体酸化皮膜層26が弁作用金属基体20の表面に形成される。すなわち、化成用電解液に弁作用金属基体20を配置すると共に、当該弁作用金属基体20を挟んで一対の陰極棒を配置し、弁作用金属基体20を陽極として陽極と陰極棒との間に電圧を印加し、例えば、液温を20〜50℃、電流密度を1〜400mA/cm2に設定して、例えば、1時間、化成処理(陽極酸化)を実施し、誘電体酸化皮膜層26を弁作用金属基体20の表面に形成する。ここで、化成用電解液としては、例えば、ホウ酸、シュウ酸、硫酸、アジピン酸又はこれらの塩を含有した濃度が1〜20重量%の水溶液を使用することができる。
<遮蔽部(絶縁層)する工程>
次に、誘電体酸化皮膜層26の形成された弁作用金属基体20の所定箇所にポリイミド等の絶縁材(マスク材)を塗布して乾燥させ、その後、熱処理して硬化させることによって、遮蔽部としての絶縁層28が形成される。この絶縁層28によって、陽極引出し部としての弁作用金属基体引出し部20bが形成される領域と、陰極部30が形成される領域とが、分離・絶縁され、区分されている。
<陰極部を形成する工程>
[固体電解質層(第1の導電性高分子層)を形成する工程]
次に、弁作用金属基体20の表面には、絶縁層28を除く誘電体酸化皮膜層26が形成された弁作用金属基体20に、固体電解質層32が形成される。固体電解質層32は、既述したように、誘電体酸化皮膜層26の表面に形成される第1の導電性高分子層34と、第1の導電性高分子層34の表面に形成される第2の導電性高分子層36とを備えている。
この場合、第1の導電性高分子層34の原料溶液として、導電性高分子溶液またはその前駆体を、特に、ローラー法によって塗布して、その後、乾燥させることが複数回繰返される。それによって、誘電体酸化皮膜層26の表面に、第1の導電性高分子層34が形成される。この第1の導電性高分子層34は、特に、たとえば図2および図7に示すように、弁作用金属基体20の多孔質層24の凹部25に充填されるように形成される。
また、このローラー法では、重合性ポリマー溶液と酸化剤溶液との混合液を含浸・付着させたローラーを、表面に誘電体酸化皮膜層26が形成された弁作用金属基体20の誘電体酸化皮膜層26の表面に押し付けて当該ローラー回転させることによって、当該混合液を塗布するものとなっている。第1の導電性高分子層34の原料溶液としては、重合性ポリマー溶液と酸化剤溶液との混合液が好ましく、具体的には、たとえばポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)[PEDOT−PSS]と、ポリスチレンスルホン酸とを混合した原料溶液がより好ましい。
[固体電解質層(第2の導電性高分子層)を形成する工程]
さらに、絶縁層28の一部を覆うようにして、誘電体酸化皮膜層26の表面に形成された第1の導電性高分子層34の表面には、第2の導電性高分子層36が形成される。この第2の導電性高分子層36は、上記したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸が混合された原料溶液を、たとえばディッピングによる塗布方法によって、第1の導電性高分子層34の表面に塗布した後、乾燥させることが、複数回繰返される。それによって、弁作用金属基体20の多孔質層24の凹部25に充填されるように形成された第1の導電性高分子層34の表面を被覆するように、第2の導電性高分子層36が形成される。
[導電体層(カーボンペースト層および銀ペースト層)を形成する工程>
さらに、固体電解質層32の第2の導電性高分子層36の表面には、導電体層38が形成される。すなわち、固体電解質層32の第2の導電性高分子層36の表面に、例えば、カーボンペーストおよび銀ペーストを順次塗布して乾燥、焼付処理を施し、第1の導電層となるカーボンペースト層40と、第2の導電層となる銀ペースト層42が形成される。カーボンペースト層40および銀ペースト層42は、それぞれ、たとえばディッピングによる塗布方法によって形成される。これによって、図2に示した単体のコンデンサ素子16が形成される。
<コンデンサ素子積層体(第1のコンデンサ素子積層体および第2のコンデンサ素子積層体)を形成する工程>
それから、第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子積層体14は、それぞれ、単体のコンデンサ素子16が、複数個、積重ねられて形成される。
コンデンサ素子16を積み重ねて第1のコンデンサ素子積層体12を形成する工程は、各コンデンサ素子16の陽極部18の弁作用金属基体20同士が電気的に接続され、かつ、陰極部30の導電体層38同士が電気的に接続されるように、複数のコンデンサ素子16を積み重ねて形成する工程である。複数のコンデンサ素子16は、第1のリードフレーム44(陽極側のリードフレーム)を挟み込むように積層される。また、他の複数のコンデンサ素子16は、第2のリードフレーム46(陰極側のリードフレーム)を挟み込むように積層される。
<陽極部(弁作用金属基体)を接続する工程>
陽極部18を接続する工程は、各コンデンサ素子16の弁作用金属基体引出し部20bに第1のリードフレーム44の一方側を接続する工程である。第1のリードフレーム44の一方側と、各コンデンサ素子16の弁作用金属基体引出し部20b同士とは、たとえば抵抗溶接により接合される。その際、それぞれの弁作用金属基体引出し部20bは、第1のリードフレーム44の一方側に向かって曲げ加工されたうえで接合される。また、弁作用金属基体引出し部20bの表面に形成されていた誘電体酸化皮膜層26は、抵抗溶接の工程で除去される。抵抗溶接の条件は、たとえば電力0.4kw〜2.0kw、電力付与時間5ms〜40msである。
<陰極部(導電体層)を接続する工程>
陰極部30を接続する工程は、各コンデンサ素子16の導電体層38の銀ペースト層42に第2のリードフレーム46の一方側を接続する工程である。第2のリードフレーム46の一方側と、各コンデンサ素子16の導電体層38の銀ペースト層42同士とは、銀ペースト等の導電性接着剤(図示せず)により接続される。
なお、上記した陽極部18を接続する工程は、陰極部30を接続する工程の先に実施されてもよいし、後に実施されてもよい。
<外装樹脂(第1の封止部および第2の封止部)を形成する工程>
その後、第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子14全体と、第1のリードフレーム44の一方側と、第2のリードフレーム46の一方側とを覆うようにして、外装樹脂48が封止される。外装樹脂48の封止部50および封止部52は、それぞれ、たとえばトランスファー成形によって形成されている。以上により、固体電解コンデンサ10が形成される。
本発明に係る実施形態例の特定の態様では、その多孔質層24の表面に誘電体酸化皮膜層26(誘電体層)が形成された弁作用金属基体20(陽極部)の当該誘電体酸化皮膜層26の表面に、導電性高分子原料溶液またはその前駆体をローラー60で塗布することを含む、第1の導電性高分子層34を形成する工程を備えた固体電解コンデンサ10の製造方法に特徴を有するものである。
そこで、以下には、特に、ローラー60を用いた第1の導電性高分子層34の形成工程について、たとえば図3、図4、図5、図6、図6および図7を参照しながら、詳述する。
先ず、ローラー60について説明する。ローラー60は、図4の(A)および(B)に示すように、たとえば円筒状の軸部62を含む。軸部62は、塩化ビニル等の合成樹脂材料で形成されている。軸部62の外周面には、当該軸部62の軸方向の中間部に、円筒状の塗布ロール部64が配設されている。塗布ロール部64は、PVA(ポリビニルアルコール)製スポンジ等の可撓性を有し、吸水性および保水性に優れた多孔質発泡体で形成されている。塗布ロール部64としては、PVA(ポリビニルアルコール)以外にも、EVA(エチレン酢酸ビニル)、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエチレン、ゴム系、シリコン、メラミン、アクリルなどの多孔質発泡体からなるスポンジ状物が、適宜、用いられ得る。
このスポンジ状物としては、その気孔率が、40%以上90%以下に形成されていることが好ましく、また、60%以上80%以下に形成されていることがさらに好ましい。
なお、気孔率(%)は、次の測定式により算出される。
気孔率(%)=(最大吸水重量/水の密度)/{(スポンジ状物の乾燥時の重量/スポンジ状物の真密度)+(最大吸水重量/水の密度)}×100
上記の測定式において、最大吸水重量=(最大吸水時の重量−乾燥時の重量)とする。
次に、上記したローラー60を含む、塗布装置CA(Coating Applicator)によって、上記した第1の導電性高分子層34の形成工程について、説明する。
塗布装置CAは、たとえば図3の(A)に示すように、導電性高分子原料溶液としてのたとえばポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)[PEDOT−PSS]と、ポリスチレンスルホン酸とを混合した原料溶液72が投入された2つの液槽70を含む。2つの液槽70には、それぞれ、ローラー60が配設される。2つのローラー60は、液槽70の原料溶液72が含浸されるように、それぞれ、当該液槽70の上部に配設されている。この場合、2つのローラー60は、それぞれ、その軸部62が支持具(図示せず)に回動自在に支持されている。支持具は、液槽70を当該液槽70の幅方向に変位可能に支持する搬送具(図示せず)に固定されている。この搬送具によって、2つの液槽70は、当該液槽70の幅方向に、互いに接近、且つ、離間するように配設されている。そのため、2つのローラー60は、その塗布ロール部64の外周面が、互いに当接して押圧状態に配置可能に構成される。
弁作用金属基体20(陽極部)の多孔質層24の表面に誘電体酸化皮膜層26(誘電体層)が形成された状態のコンデンサ素子の中間体(以下、単に、ワークとも言う。)100は、たとえば図3の(B)に示すように、2つのローラー60の間を下から上方に通過するように移動される。ワーク100が2つのローラー60の間を通過するとき、ワーク100の一方主面および他方主面側に、2つのローラー60の塗布ロール部64から、原料溶液72が転写されて塗布される(塗布工程)。この場合、ワーク100に原料溶液72が転写される速度、つまり、ワーク100が2つのローラー60の間を通過する速度(以下、転写速度とも言う。)は、たとえば50mm/sに設定されている。なお、この転写速度は、たとえば10mm/s以上150mm/sに設定されることが好ましい。
それから、ワーク100に転写された部位は、乾燥機等の乾燥手段によって、乾燥される(乾燥工程)。このようにして、塗布工程と乾燥工程とが、複数回繰返されることによって、ワーク100の表面の所定の部位に、第1の導電性高分子層34が形成される。
その後、ワーク100に形成された第1の導電性高分子層34の表面には、たとえばディッピングにより第2の導電性高分子層36が形成される。
本発明の発明者の知見によれば、本発明に係る実施形態例の固体電解コンデンサ10の製造方法では、上記したローラー60を用いた塗布工程により、その表面に誘電体酸化皮膜層26を備えた弁作用金属基体20の当該誘電体酸化皮膜層26の表面に第1の導電性高分子層34が形成されているため、それによって、本明細書の段落番号[0005]で示した課題を解決することを見出した。
すなわち、ローラー60の塗布ロール部64が、可撓性を有し、且つ、吸水性および保水性に優れた多孔質発泡体で形成されたスポンジ状物で構成されているため、たとえば図3の(A)および(B)に示すように、塗布ロール部64に原料溶液72を含浸させてワーク100に転写・塗布させることによって、ワーク100の表面、つまり、弁作用金属基体20の誘電体酸化皮膜層26の表面に固体電解質層32の第1の導電性高分子層34を形成すれば、固体電解コンデンサ10のESRを低く抑えることを見出した。
この場合、上記したローラー60を用いた導電性高分子の原料溶液の塗布工程によれば、特に、たとえば図7の(A)および(B)に示すように、弁作用金属基体20の多孔質層24の表面に形成された誘電体酸化皮膜層26の凹部25の中に、導電性高分子の原料液72(図6では、図示せず)が侵入する。これによって、誘電体酸化皮膜層26表面の凹部25の内壁面25aに原料液72を付着させ、且つ、当該凹部25内に原料液72を充填させることができる。言い換えると、弁作用金属基体20の多孔質層24の内部に、原料液72を充填させることができる。
さらに、このことを詳述すると、図3の(A)および(B)に示すように、原料溶液72が含浸された塗布ロール部64でワーク100の表面、つまり、弁作用金属基体20の誘電体酸化皮膜層26の凹部25に原料液72を塗布・転写させるとき、特に、図6の(A)に示すように、塗布ロール部64とワーク100の表面とが離間された状態から、図6の(B)に示すように、塗布ロール部64とワーク100の表面とが互いに押圧されて当接された状態となる。この場合、塗布ロール部64の塗布面64aに、弁作用金属基体20表面の多孔質層24の凸部27が押圧され、当該塗布ロール部64の塗布面64aが窪んだ状態となり、塗布面64aには、一時的に、窪み部64bと突出部64cとが形成されるものとなる。
この場合、塗布ロール部64に含浸された原料液72は、塗布ロール部64の突出部64cを介して、弁作用金属基体20表面の多孔質層24の凹部25に供給され、当該凹部25内に充填される。また、それと同時に、当該原料液72は、塗布ロール部64の窪み部64bを介して、弁作用金属基体20表面の多孔質層24の凸部27表面に供給される。そのため、弁作用金属基体20の多孔質層24の凹部25内部に、原料液72を安定して充填させることができ、当該多孔質層24の凹部25内部および凸部27の表面に、第1の導電性高分子層34を強固に形成することができる。
さらに、本実施形態例に係る固体電解コンデンサ10の製造方法では、第1の導電性高分子層34の表面に、たとえばディッピングによる塗布方法により第2の導電高分子層36が形成されているため、第1の導電性高分子層34および第2の導電高分子層36の協働作用により、弁作用金属基体20の多孔質層24の凹部25、当該凹部25の内壁面25aに露出する細孔および空隙部(図示せず)に充填形成される第1の導電性高分子層34と、第1の導電性高分子層34の表面に形成される第2の導電高分子層36との接着性、および、第1の導電性高分子層34と誘電体酸化皮膜層26との接着性が強化されるものとなっている。そのため、弁作用金属基体20の多孔質層24の表面に形成された誘電体酸化皮膜層26は、第1の導電性高分子層34を介して、第2の導電高分子層36との接着性および密着性が安定的に強化されるものとなっている。
すなわち、弁作用金属基体20の多孔質層24内に第1の導電性高分子層34が、むら無く充填されるので、第1の導電性高分子層34の表面に形成される第2の導電高分子層36の膜厚も略均一なものとなる。そのため、上記したローラー60を用いた塗布工程を有する固体電解コンデンサ10の製造方法によれば、従来のディッピングによる塗布方法により固体電解質層32を形成する工程を有する製造方法に比べて、当該固体電解コンデンサ10のESRを低く抑えることができるものとなっている。したがって、近年の電子機器の高性能化、小型化に対応することができる低ESR化の可能な固体電解コンデンサを提供することが可能となっている。
以下に、本発明の実施形態例に係る代表的な実施例を示し、具体的に説明する。以下の実施例は、単なる例示であって、本発明は、以下の実施例に何ら制限されるものではない。また、以下には、ディッピングによる塗布方法により固体電解質層を形成する工程を含む従来の製造方法に係る比較例も示し、本実施例および比較例で得られた固体電位コンデンサに交流電圧を印加してESRを測定し、その測定結果を[表1]および[表2]に示した。
(1)陽極部(弁作用金属基体20)の形成
表面に多孔質層24を有する弁作用金属基体20として、たとえば平板状の化成アルミ箔を準備した。この場合、弁作用金属基体20の芯部22の厚みは、たとえば30μmに形成され、多孔質層24の厚みは、弁作用金属基体20の一方主面側および他方主面側が、それぞれ、たとえば40μmに形成されている。
(2)誘電体層(誘電体酸化皮膜層26)の形成
[化成]
上記した弁作用金属基体20をアジピン酸アンモニウム水溶液中で酸化し、その表面に酸化アルミニウムからなる誘電体酸化皮膜層26を形成した。酸化処理の条件は、たとえば60℃、16Vの条件で実施した。
(3)遮蔽部(絶縁層28)の作成
弁作用金属基体20の所定の部位に、陰極部30の領域と弁作用金属基体引出し部20bとを分離・絶縁するためのマスク材として、ポリイミドからなる絶縁ペーストを塗布して絶縁層28を形成した。マスク材の材質は、ポリイミドの他にポリアミドイミドなどでもよい。
(4)内層用固体電解質層(第1の導電性高分子層34)の形成
[ローラー60による塗布]
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸が混合された原料液72を使用して、弁作用金属基体20の多孔質層24の凹部25内に原料液72をローラー60により転写・塗布することによって、多孔質層24の凹部25内に第1の導電性高分子層34を充填形成した。
すなわち、たとえば図3の(A)および(B)に示すように、塗布ロール部64を有するローラー60を含む、塗布装置CAにより、原料液72をワーク100(弁作用金属基体20)の表面に、塗布した。ローラー60は、ポリウレタン製スポンジローラが用いられている。図3の(B)に示すように、2つのローラー60の塗布ロール部64の間にワーク100を下から上に通過させてワーク100の所定の部位に原料液72を塗布した。この場合、塗布条件としては、2つのローラー60の塗布ロール部64の間にワーク100を下から上に通過させる速度(転写速度)が、たとえば50mm/sに設定されている。
ワーク100に転写された部位は、乾燥機によって乾燥し(乾燥工程)、ローラー60による塗布工程と乾燥工程とをたとえば10回繰返すことによって、ワーク100の表面の所定の部位に、第1の導電性高分子層34を形成した。
(5)外層用固体電解質層(第2の導電性高分子層36)の形成
[ディッピングによる塗布(浸漬塗布)]
多孔質層24の外層部分(多孔質層24の表面)を固体電解質膜で被覆するために、ディッピングにより、上記した原料液72をワーク100の第1の導電性高分子層34の表面に被膜し、第2の導電性高分子層36を形成した。
(6)導電体層(カーボンペースト層40)の形成
ワーク100の第2の導電性高分子層36の表面にカーボンペースト層40を形成するため、当該第2の導電性高分子層36の表面に、ディッピングにより、カーボンペーストを浸漬塗布した。
(7)導電体層(銀ペースト層42)の形成
カーボンペースト層40の表面に、銀ペースト層42を形成するため、当該カーボンペースト層40の表面に、ディッピングにより、銀ペーストを浸漬塗布した。
上記した(1)〜(7)の工程により、単体のコンデンサ素子16が形成される。
(8)固体電解コンデンサ10の形成
複数のコンデンサ素子16を積層して、第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子積層体14を形成した。次に、各コンデンサ素子16の弁作用金属基体引出し部20bに第1のリードフレーム44の一方側をたとえば抵抗溶接により接続した。次に、各コンデンサ素子16の導電体層38の銀ペースト層42に第2のリードフレーム46の一方側を導電性接着剤で接続した。それから、第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子14全体と、第1のリードフレーム44の一方側と、第2のリードフレーム46の一方側とを覆うようにして、たとえばエポキシ樹脂からなる外装樹脂48を、たとえばトランスファー成形によって封止した。これにより、固体電解コンデンサ10を形成した。
次に、ディッピングによる塗布方法により固体電解質層を形成する工程を含む、固体電解コンデンサの製造方法を比較例として示す。
[比較例]
この比較例では、上記した実施例と比べて、特に、上記(4)の内層用固体電解質層(第1の導電性高分子層34)の形成方法が相違するだけで、それ以外の工程は、上記した実施例の(1)〜(3)および(5)〜(8)に示した工程と同様である。
そこで、以下には、内層用固体電解質層(第1の導電性高分子層34)の形成方法についてのみ、説明する。
すなわち、この比較例では、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸が混合された原料液72を使用して、弁作用金属基体20の多孔質層24の表面にディッピングによる塗布方法により当該原料液72を浸漬することによって、多孔質層24の表面に第1の導電性高分子層34を形成した。
この場合、ディッピングによる塗布条件としては、浸漬速度がたとえば50μ/s、待機時間がたとえば1min、引き上げ速度:500μ/sに設定され、乾燥工程をたとえば10回繰返した。
次に、上記した実施例および比較例で得られた固体電位コンデンサに交流電圧を印加してESRを測定し、その測定結果を、以下の[表1]および[表2]に示す。
なお、この実施例および比較例では、気孔率(%)が、次の測定式により算出される。
気孔率(%)=(最大吸水重量/1)/{(スポンジ状物の乾燥時の重量/1.2)+(最大吸水重量/1)}×100
上記の測定式において、最大吸水重量=(最大吸水時の重量−乾燥時の重量)とする。また、ポリウレタン製スポンジの真密度を1.2g/cm3とし、水の密度を1g/cm3とした。
Figure 2018082082
Figure 2018082082
[表1]および[表2]から明らかなように、弁作用金属基体20の多孔質層24の表面にディッピングによる塗布方法(Dip方式)により原料液72を浸漬した比較例よりも、当該原料液72をローラー60で転写する塗布方法の方が、固体電解コンデンサのESRが低く抑えられていることが明らかである。
この場合、ローラー60の塗布ロール部64を形成するスポンジの気孔率が、40%以上90%以下に形成されていることが好ましく、また、60%以上80%以下に形成されていることがさらに好ましいものとなっている。
図5は、図4に示したローラーの他の例を示す図であって、(A)はその断面図であり、(B)はその側面図である。
図5の(A)および(B)に示すローラー60は、図4の(A)および(B)に示すローラー60と比べて、特に、塗布ロール部の表面に凹凸部が形成されている点で相違している。すなわち、図5の(A)および(B)に示すローラー60では、塗布ロール部68の表面に複数の凹凸部69を有している。この凹凸部69は、塗布ロール部68の表面に溝加工を施すことによって、凸部69Aと凹部69Bとを備えた凹凸部69が形成される。
このローラー60を用いて、上記したワーク100を多連塗布する場合、凹凸部69の凸部69Aの部位だけが、ワーク100の所定の部位に当接して、導電性高分子またはその前駆体を塗布可能とする。一方、凹凸部69の凹部69Bには、導電性高分子またはその前駆体が保持されにくく、ワーク100への塗布が抑制される。
そのため、ワーク100への塗布が不要な部位には、導電性高分子またはその前駆体が塗布されないようにすることが可能となっている。ワーク100の不要な部分に、導電性高分子またはその前駆体が塗布され場合には、それが無駄になり、また、それを除去する作業も必要となるので、固体電解コンデンサの製造コストが高くなり、生産性の低下にもつながるという、不具合が生じる虞があった。それに対して、図5の(A)および(B)に示すように、塗布ロール部68の表面に複数の凹凸部69を有したローラー60では、そのように不具合を防ぐことが可能となる。
なお、上述した発明の実施形態例では、弁作用金属基体20の一方主面および他方主面に、導電性高分子またはその前駆体を塗布するように構成されているが、2つのローラー60の内の1つのローラー60だけを用いて、弁作用金属基体20の一方主面または他方主面にのみ、電性高分子またはその前駆体を塗布するように構成してもよい。
10 固体電解コンデンサ
12 第1のコンデンサ素子積層体
14 第2のコンデンサ素子積層体
16 単体のコンデンサ素子
18 陽極部
20 弁作用金属基体
20a 弁作用金属基体本体
20b 弁作用金属基体引出し部
22 芯部
24 多孔質層
25 多孔質層の凹部
25a 多孔質層の凹部の内壁面
26 誘電体酸化皮膜層(誘電体層)
27 多孔質層の凸部
28 絶縁層
30 陰極部
32 固体電解質層
34 第1の導電性高分子層
36 第2の導電性高分子層
38 導電体層
40 カーボンペースト層
42 銀ペースト層
44 第1のリードフレーム(陽極部側のリードフレーム)
44a 第1のリードフレームの一端部
44b 第1のリードフレームの他端部
45A 第1のリードフレームの折り曲げ部
45 陽極端子部
46 第2のリードフレーム(陰極部側のリードフレーム)
46a 第2のリードフレームの一端部
46b 第2のリードフレームの他端部
47A 第2のリードフレームの折り曲げ部
47 陰極端子部
48 外装樹脂
50 第1の封止部
52 第2の封止部
54 境界部
60 ローラー
62、66 軸部
64、68 塗布ロール部
64a 塗布ロール部の塗布面
64b 窪み部
64c 突出部
69 凹凸部
69A 凸部
69a 塗布面
69B 凹部(溝部)
70 液槽(固体電解質原料液の液槽/導電性高分子原料液の液槽)
72 原料液(固体電解質原料液/導電性高分子原料液)
100 単体のコンデンサ素子の中間体
CA 塗布装置

Claims (6)

  1. 表面に誘電体層が形成された陽極部と、前記誘電体層の表面に形成され、固体電解質層を備えた陰極部と含む、固体電解コンデンサの製造方法であって、
    前記誘電体層の表面に、導電性高分子または前記導電性高分子の前駆体を、可撓性を有する多孔質体からなるローラーにより塗布することによって、前記固体電解質層を形成する工程を含むことを特徴とする、固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 前記誘電体層は誘電体酸化皮膜で形成され、
    前記陽極部は、その表面に多孔質層を有し、前記多孔質層の表面に誘電体酸化皮膜が形成された弁作用金属基体を含み、
    前記固体電解質層は、前記誘電体酸化皮膜が形成された前記多孔質層の凹部に充填される第1の導電性高分子層と、前記第1の導電性高分子層の表面に形成される第2の導電性高分子層とを含み、
    前記第1の導電性高分子層は、前記弁作用金属基体の前記誘電体酸化皮膜の表面に、前記導電性高分子または前記前駆体を、前記ローラーにより塗布することによって形成される工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 前記ローラーは、軸部、および、前記軸部に支持されて前記軸部の外周部に設けられる塗布ロール部を含み、
    前記塗布ロール部は、少なくとも、前記陽極部と接触する接触部がスポンジ状物で形成されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 前記塗布ロール部の外周面には、前記軸部の軸方向に間隔を隔てて配設される凹凸部を含み、前記凹凸部の少なくとも凸部が、前記スポンジ状物で形成され、前記陽極部と接触することを特徴とする、請求項4に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 前記スポンジ状物の気孔率は、40%以上90%以下に形成されていることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  6. 前記陽極部は、一方主面および他方主面を含み、
    前記ローラーは、前記陽極部の一方主面および/または他方主面に、前記導電性高分子または前記前駆体を塗布するように構成されていることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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