JP2018076455A - 光学的立体造形用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】より短時間で光造形(光硬化)が完了し、光造形後に紫外線照射処理及び/又は加熱処理を施すことで、優れた強度及び耐熱性の立体造形物が得られる光学的立体造形用組成物を提供する。【解決手段】(A)2つ以上の芳香環と3つ以上のグリシジルエーテル構造を有する芳香族カチオン重合性化合物と、(B)1つ以上のアルコール性水酸基と2つ以上のグリシジルエーテル構造を有する脂肪族カチオン重合性化合物及び/又はオキセタン基を有するカチオン重合性化合物と、(C)1つ以上のアルコール性水酸基と2つ以上のメタアクリル基及び/又はアクリル基を有するラジカル重合性化合物と、(D)スルホニウム化合物又はビス(アルキルフェニル)ヨードニウム化合物であるカチオン重合開始剤と、(E)ラジカル重合開始剤と、(F)増感剤とを含む、光学的立体造形用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、光学的立体造形用組成物に関する。
近年、3次元CADデータに基づいて、光硬化性樹脂を紫外線レーザーの走査により硬化させて形成した硬化層を積層することによって、立体造形物を作製する光学的立体造形技術が着目されている。光学的立体造形技術(以下、「光学的立体造形」を「光造形」とも称する。)によれば、金型や鋳型を用意せずに、簡便に素早く試作品を作製することができるため、製品開発の設計から生産までに要する時間とコストを削減することができる。光造形技術は、3次元CADが急速に普及したことに伴い、自動車部品、電気機器、医療機器など、多岐にわたる産業分野で採用されてきた。
光学的立体造形技術の適用分野の拡大により、光硬化性樹脂に要求される性能も高まっている。特に、硬化速度が速く、硬化時の寸法安定性や寸法精度に優れ、曲げなどの外部応力が加えられても破損しにくい、靭性や耐久性などの機械的特性、及び耐熱性に優れた立体造形物を形成できる光硬化性樹脂が求められている。
従来の光造形用組成物には、一般的に、油溶性のカチオン重合性化合物及び油溶性のラジカル重合性化合物が採用されている。また、立体造形技術の進展に伴い、例えばエンジン部分に用いられる立体造形物等の、より高い耐熱性を必要とする用途へ適用できる光硬化性樹脂が求められており、例えば、特定のカチオン重合性有機物質や、オキセタニル基を2個有する特定の化合物を配合した組成物が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
特開平11−228804号公報 特開2008−260812号公報 特開2013−023574号公報
ここで、一般に、立体造形物の製造においては、光造形用組成物に紫外線レーザーを走査して形成した厚さ約20〜100ミクロン程度の薄い硬化膜層を何層も重ねて立体造形物を製造する。このとき、薄い硬化膜層同士が相互に密着しないと立体造形物の強度に影響する場合がある。さらに、従来の光造形用組成物は、製造途中で立体造形物が反って紫外線レーザー走査機に引っかかる場合があるという問題があった。
また、立体造形物の耐熱性を向上させるために、組成物を光照射によって硬化させた後にさらに紫外線照射処理や加熱処理が一般的に施されている(例えば特許文献1)。しかしながら、このような紫外線照射処理や加熱処理を行っても、まだ満足する耐熱性は提供されていない。
光造形で製造された商用造形物は、複雑な形状を有している場合が多く、力を加えたり、曲げたり、熱が加わったりする用途に適応しなければならない。本発明の目的は、より短時間で光造形(光硬化)が完了し、光造形後に紫外線照射処理及び/又は加熱処理を施すことで、優れた強度及び耐熱性を有する立体造形物が得られる光学的立体造形用組成物を提供することである。
すなわち、本発明は、一態様によれば、
(A)2つ以上の芳香環と3つ以上のグリシジルエーテル構造を有する芳香族カチオン重合性化合物と、
(B)1つ以上のアルコール性水酸基と2つ以上のグリシジルエーテル構造を有する脂肪族カチオン重合性化合物及び/又はオキセタン基を有するカチオン重合性化合物と、
(C)1つ以上のアルコール性水酸基と2つ以上のメタアクリル基及び/又はアクリル基を有するラジカル重合性化合物と、
(D)スルホニウム化合物又はビス(アルキルフェニル)ヨードニウム化合物であるカチオン重合開始剤と、
(E)ラジカル重合開始剤と、
(F)増感剤と
を含む、光学的立体造形用組成物であって、
前記(A)の芳香族カチオン重合性化合物を10〜50質量%、
前記(B)の脂肪族カチオン重合性化合物及び/又はオキセタン基を有するカチオン重合性化合物を1〜30質量%、
前記(C)のラジカル重合性化合物を10〜40質量%、
前記(D)のカチオン重合開始剤を0.1〜20質量%、
前記(E)のラジカル重合開始剤を0.1〜20質量%、及び、
前記(F)の増感剤を0.05〜5質量%含有する、光学的立体造形用組成物を提供する。
本発明によれば、立体造形物を製造する際の光硬化時間を短縮することができ、また、光硬化後に紫外線照射処理及び/又は加熱処理を施すことで、高い熱変形温度を有する、耐熱性に優れた立体造形物を製造することが可能な、光学的立体造形用組成物を提供することができる。また、本発明の光学的立体造形用組成物を用いれば、立体造形物の製造過程において硬化層膜が相互に密着するため、反り変形が小さく、強度が高い立体造形物を得ることが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲は、この形態に限定されるものではない。
本発明に係る光学的立体造形用組成物は、成分(A)〜(F)を少なくとも含有し、好ましくは成分(G)及び/又は(H)をさらに含有し、必要に応じてその他の成分をさらに含有する。
成分(A)は、2つ以上の芳香環と3つ以上のグリシジルエーテル構造を有する芳香族カチオン重合性化合物(エポキシ化合物)である。成分(A)が有する、芳香環の個数の上限は、好ましくは10以下であり、グリシジルエーテル構造の個数の上限は、好ましくは10以下である。光学的立体造形用組成物が成分(A)を含むことにより、得られる立体造形物の耐熱性を向上させることができ、引張り強度、引張り伸度、曲げ強度、及び曲げ弾性率等の機械的特性も向上させることができる。また、成分(A)の芳香族カチオン重合性化合物は、エポキシ当量を100〜300g/当量とすることが好ましく、150〜300g/当量とすることがより好ましい。成分(A)のエポキシ当量を好ましい範囲とすることにより、組成物の架橋密度が高まり、組成物中に三次元構造を形成しやすくなり、立体造形とした際に機械的特性が向上し得る。ここで、エポキシ当量は、JIS K7236に準拠した方法により測定した1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数である。
このような成分(A)の芳香族カチオン重合性化合物の具体例としては、ノボラック型エポキシ樹脂、多官能型ビフェニル系エポキシ樹脂、多官能型ナフタレン系エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
ノボラック型エポキシ樹脂は、例えばノボラックの水酸基をエポキシ化して得られる多官能エポキシ樹脂である。ノボラック型エポキシ樹脂は、一般的に油溶性であり、常温において液状であることが好ましい。ノボラック型エポキシ樹脂は、例えば、液状のフェノールノボラック型エポキシ樹脂であってもよい。ノボラック型エポキシ樹脂は、市販のものを用いてもよく、例えば、DICコーポレーション株式会社製のエピクロンN−730A(エポキシ当量172〜179g/当量)、エピクロンN−770(エポキシ当量183〜187g/当量)、三菱化学株式会社製のJER152(エポキシ当量176〜178g/当量)、JER154(エポキシ当量176〜180g/当量)、新日鉄住金化学株式会社製のYDPN−638(エポキシ当量175〜176g/当量)、YDCN−700−3(エポキシ当量195〜205g/当量)、YDCN−700−5(エポキシ当量196〜206g/当量)、日本化薬株式会社製のEOCN−1025(エポキシ当量205〜217g/当量)等が挙げられる。
多官能型ビフェニル系エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製のNC−3000(エポキシ当量265〜285g/当量)、NC−3000−L(エポキシ当量261〜282g/当量)、NC−3000−H(エポキシ当量280〜300g/当量)、NC−3100(エポキシ当量245〜270g/当量)等が挙げられる。
多官能型ナフタレン系エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製のNC−7300L(エポキシ当量207〜221g/当量)等が挙げられる。
トリフェニルメタン型エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製のEPPN−501H(エポキシ当量162〜172g/当量)、EPPN−501HY(エポキシ当量163〜175g/当量)、EPPN−502H(エポキシ当量158〜178g/当量)等が挙げられる。
成分(A)の芳香族カチオン重合性化合物の含有量は、光学的立体造形用組成物の総量中に10〜50質量%であり、好ましくは20〜40質量%である。成分(A)の芳香族カチオン重合性化合物の含有量が10質量%未満であると、立体造形とした際に機械的特性や耐熱性が不十分となる。50質量%を超えると、立体造形とした際に靱性が不十分となる。なお、成分(A)は1種単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。
成分(B)は、1つ以上のアルコール性水酸基と2つ以上のグリシジルエーテル構造を有する脂肪族カチオン重合性化合物及び/又はオキセタン基を有するカチオン重合性化合物である。成分(B)が有する、アルコール性水酸基の個数の上限は、好ましくは5以下であり、グリシジルエーテル構造の個数の上限は、好ましくは5以下である。なお、成分(B)は、好ましくは芳香環を含まないカチオン重合性化合物である。
成分(B)の、1つ以上のアルコール性水酸基と2つ以上のグリシジルエーテル構造を有する脂肪族カチオン重合性化合物の具体例としては、グリセリンジグリシジルエーテル、ジグリセリンのジグリシジルエーテル及びポリグリシジルエーテル混合物、ポリグリセリンのジグリシジルエーテル及びポリグリシジルエーテル混合物、ソルビトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
グリセリンジグリシジルエーテルとしては、共栄社化学株式会社製のエポライト80MF(エポキシ当量138〜160g/当量)等が挙げられる。ジグリセリンのジグリシジルエーテル及びポリグリシジルエーテル混合物としては、阪本薬品工業株式会社製のSR−DGE(エポキシ当量160g/当量)等が挙げられる。ポリグリセリンのジグリシジルエーテル及びポリグリシジルエーテル混合物としては、阪本薬品工業株式会社製のSR−4GL(エポキシ当量175g/当量)等が挙げられる。ソルビトールポリグリシジルエーテルとしては、ナガセケミテック株式会社製のデナコールEX−611(エポキシ当量167g/当量)、デナコールEX−612(エポキシ当量166g/当量)、デナコールEX−614(エポキシ当量167g/当量)、及びデナコールEX−614B(エポキシ当量173g/当量)、エメラルド社製のERISYS GE−60(エポキシ当量160〜195g/当量)等が挙げられる。
また、成分(B)の、1つ以上のアルコール性水酸基と2つ以上のグリシジルエーテル構造を有する脂肪族カチオン重合性化合物は、エポキシ当量が100〜300g/当量であることが好ましく、100〜200g/当量であることがより好ましい。成分(B)の脂肪族カチオン重合性化合物のエポキシ当量を好ましい範囲とすることにより、光硬化反応を速くすることができる。ここで、エポキシ当量は、JIS K7236に準拠した方法により測定した1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数である。
成分(B)の、オキセタン基を有するカチオン重合性化合物の具体例としては、3−エチル−3−オキセタンメタノール(例えば、東亜合成会社製のOXT−101)、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(例えば、宇部興産会社製のエタナコールEHO)、4,4−ビス[3−エチル−3−オキセタニル]メトキシメチル]ビフェニル(例えば、宇部興産会社製のETERNACOLL OXBP)、キシレンビスオキセタン(n=1〜3)(例えば、東亜合成会社製のOXT−121)、ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]ベンゼン−1,4−ジカルボキシレート(例えば、宇部興産会社製のOXTP)、3−エチル−3[([3−エチルオキセタン−3−イル]メトキシ]メチル]オキセタン(例えば、東亜合成会社製のOXT−221)、2−エチルヘキシルオキセタン(例えば、東亜合成会社製のOXT−212)、(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチルメタクリレート(例えば、宇部興産会社製のETERNACOLL OXMA)、3−エチル−3−(ビニルオキシメチル)オキセタン、3−(3−エチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−プロパン−1−オール、1,4−ベンゼンジカルボン酸ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)]メチルエステル等が挙げられる。
成分(B)の脂肪族カチオン重合性化合物及び/又はオキセタン基を有するカチオン重合性化合物の含有量は、光学的立体造形用組成物の総量中に1〜30質量%であり、好ましくは10〜20質量%である。成分(B)の脂肪族カチオン重合性化合物及び/又はオキセタン基を有するカチオン重合性化合物の含有量が1質量%未満だと、立体造形物の靭性が得られなくなる。30質量%を超えると、硬化が遅くなる。なお、成分(B)は1種単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。
成分(C)は、1つ以上のアルコール性水酸基と2つ以上のメタアクリル基及び/又はアクリル基を有するラジカル重合性化合物である。成分(C)が有する、アルコール性水酸基の個数の上限は、好ましくは4以下であり、メタアクリル基及び/又はアクリル基の個数の上限は、好ましくは6以下である。成分(C)のラジカル重合性化合物を含有させることにより、該成分(C)を含まない組成物で形成するよりもより速く立体造形物を形作ることができる。成分(C)は、未硬化の状態で、例えば、常温(25℃)での水への溶解度が、好ましくは5g/100ml以上、より好ましくは40g/100ml以上、さらにより好ましくは50g/100ml以上である。成分(C)のラジカル重合性化合物は、好ましくは常温で液体である。以下において、メタクリル基又はアクリル基を「(メタ)アクリロイル基」、メタクリレート又はアクリレートを「(メタ)アクリレート」とも称する。成分(C)のラジカル重合性化合物は、2官能、及び3官能以上のいずれであってもよく、成分(B)のカチオン重合性化合物と溶け合うものがよい。
成分(C)のラジカル重合性化合物の具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物(例えば、ナガセケムテック株式会社製のDA−212)、グリセリントリグリジルエーテルのアクリル酸付加物(例えば、ナガセケムテック株式会社製のDA−314)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物(例えば、ナセケムテック株式会社製のDA−911M)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(例えば、新中村化学株式会社製のNK−エステルA−TMM−3)、ジペンタエリスルトールペンタ及びヘキサアクリレートの混合物(例えば、東亜合成株式会社製のアロニックスM−400)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(n=1)のアクリル酸付加部物(例えば、ナガセケムテックス社製のDA−911M)、ポリプロピレングルコールジグリシジルエーテル(n=3)のアクリル酸付加物(例えば、ナガセケムテックス社製のDA−920)、ポリプロピレングルコールジグリシジルエーテル(n=11)のアクリル酸付加物(例えば、ナガセケムテックス社製のDA−931)等が挙げられる。
成分(C)のラジカル重合性化合物の含有量は、光学的立体造形用組成物の総量中に1〜40質量%であり、好ましくは20〜35質量%である。成分(C)のラジカル重合性化合物の含有量が10質量%未満であると、硬化が遅くなる。40質量%を超える場合は、硬化が速くなりすぎて、薄い硬化膜層同士の相互の密着が悪くなって立体造形物の強度に影響を与える。なお、成分(C)は1種単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。
成分(D)は、スルホニウム化合物又はビス(アルキルフェニル)ヨードニウム化合物であるカチオン重合開始剤である。光学的立体造形用組成物が成分(D)を含むことにより、成分(A)及び成分(B)の光カチオン重合性化合物を重合することができる。
成分(D)のカチオン重合開始剤の具体例としては、ビス[4−n−アルキル(C10〜13)フェニル]ヨードニウム=ヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムビス(パーフルオロブタンスルホニル)イミド、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム=ヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−n−アルキル(c10〜13)フェニル]ヨードニウム=テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム=ヘキサフルオロホスフェート、及び4,4−ビス(ジフェニルスルホニル)フェニルスルフィド−bis−ヘキサフルオロホスフェート、ベンジジルメチル−P−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等を挙げることができる。
成分(D)のカチオン重合開始剤は、市販のものを用いることができる。例えば、三新化学工業株式製のサンエイドSIシリーズ、和光純薬工業株式会社製のWPIシリーズ、株式会社アデカ製のSPシリーズ、サンアプロ株式会社製のCPIシリーズ等を挙げることができる。
成分(D)のカチオン重合開始剤の含有量は、光学的立体造形用組成物の総量中に、0.1〜20質量%の範囲であり、好ましくは0.5〜10質量%の範囲である。0.1質量%未満の場合は、カチオン重合反応速度が遅くなる。含有量が20質量%を超える場合は、光学的立体造形用組成物の硬化特性を低下させる。成分(D)は1種単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。
成分(E)は、ラジカル重合開始剤である。ラジカル重合開始剤は、活性エネルギー線の照射によってラジカル種を発生させ、ラジカル重合性化合物のラジカル反応を開始できる化合物であれば特に限定されない。
ラジカル重合開始剤の具体例としては、2,2―ジメトキシ−1,2―ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシーシクロヘキシル=フェニル=ケトン、2―ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2―ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチループロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシドメチルエステル、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジルージメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]―1―(O−アセチルオキシム)、カンファーキノン、ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、エチル=4−(ジメチルアミノ)−ベンゾエート、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]−フェニルメタン、エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート、メチル=o−ベンゾイルベンゾエート、4−メチルベンゾフェノン、カンファーキノン、テトラブチルアンモニウム=ブチルトリフェニルボラート、テトラブチルアンモニウムブチルトリナフチルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾリウムテトラフェニルボレイト、1,5−ディアザビシクロ[4.3.0]ノンエン−5−テトラフェニルボレイト等を挙げることができる。
成分(E)のラジカル重合開始剤は、市販のものを用いることができる。例えば、BASF製IRGACUREシリーズ、DAROCURシリーズ、LUCIRINシリーズ、株式会社ソートのSB―PIシリーズ、株式会社ADEKA製アデカオプトマーシリーズ、昭和電工株式会社製有機ホウ素化合物シリーズ、北興化学工業株式会社製有機ホウ素化合物シリーズ等がある。
成分(E)のラジカル重合開始剤の含有量は、光学的立体造形用組成物の総量中に、0.1〜20質量%の範囲であり、好ましくは0.5〜10質量%の範囲である。0.1質量%未満の場合は、光学的立体造形用組成物のラジカル重合反応速度が遅くなる。含有量が20質量%を超える場合は、光学的立体造形用組成物の硬化特性を低下させる。成分(E)は、1種単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
成分(F)は、増感剤である。光学的立体造形用組成物に成分(F)を加えることで、光硬化の反応をより促進し、組成物中の全ての重合成分を硬化(結合)させて、立体造形物とした際に十分な機械的強度及び耐熱性を得ることが可能となる。増感剤は、光学的立体造形用組成物の光感度を増大させることができる化合物(好ましくは300〜500nmの波長を吸収すると解するもの)であれば、特に限定されないが、多官能チオール化合物が好ましい。
多官能チオール化合物の具体例として、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。成分(F)の増感剤の多官能チオール化合物は、市販のものを用いることができ、例えば、三菱化学株式会社製のQX40、株式会社アデカ製のアデカハードナーEH−317、SC有機化学株式会社製のPEMP、TBMPIC、TMPMP、昭和電工株式会社製のカレンズMTシリーズ等が挙げられる。
多官能チオール化合物以外の増感剤の具体例としては、ベンゾフェノン、アクリジン系として、9−フェニルアクリジン、9−(p−メチルフェニル)アクリジン、9−(o−メチルフェニル)アクリジン、9−(o−クロロフェニル)アクリジン、9−(o−フロロフェニル)アクリジン、クマリン系として、7,7−(ジエチルアミノ)(3,3−カルボニルビスクマリン)、3−ベンゾイルー7−ジエチルアミノクマリン、7,7−ビス(メトキシ)(3,3−カルボニルビスクマリン)、アントラセン系として、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−エトキシアントラセン、9,10−ブトキシアントラセン、また、9−メチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
成分(F)の増感剤の含有量は、光学的立体造形用組成物の総量中に、0.05〜5.0質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜3質量%の範囲である。含有量が5.0質量%を超える場合は、局所的に感度が低下したり、表面の部分でしか硬化しなかったりする。成分(F)は1種単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。
光学的立体造形用組成物は、上記の成分(A)〜(F)を少なくとも含有し、好ましくは下記の成分(G)及び/又は(H)をさらに含有する。
成分(G)は、下記式(I)のN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、下記式(II)の4−(2,3−エポキシプロパン−1−イルオキシ)−N,N−ビス(2,3−エポキシプロパン−1−イル)−2−メチルアニリン、及び、下記式(III)のテトラグリシジル−3,3−ジアミノジフェニルスルフォンから選択される1以上のグリシジルアミン型エポキシ樹脂である。光学的立体造形用組成物に成分(G)を加えることで、立体造形物とした際の機械的強度をより高めることが可能となる。
Figure 2018076455
N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンとしては、新日鉄住金化学株式会社製のエポートYH−434、エポートYH−434L等が挙げられる。4−(2,3−エポキシプロパン−1−イルオキシ)−N,N−ビス(2,3−エポキシプロパン−1−イル)−2−メチルアニリンとしては、住友化学社製のスミエポキシELM−100等が挙げられる。テトラグリシジル−3,3−ジアミノジフェニルスルフォンとしては、小西化学工業社製のTG3DAS等が挙げられる。
成分(G)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂の含有量は、光学的立体造形用組成物の総量中に、好ましくは0.1〜10質量%の範囲であり、より好ましくは1〜8質量%の範囲である。成分(G)の含有量が上記の好ましい範囲内であると、立体造形物とした際の機械的強度をより高めることができる点で、有利である。成分(G)は1種単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。
成分(H)は、酸無水物及び/又はフェノールノボラック樹脂である加熱硬化型エポキシ樹脂硬化剤である。光学的立体造形用組成物に成分(H)を加えることで、加熱硬化型の(G)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂の熱硬化が可能となる。
成分(H)の、酸無水物の具体例としては、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸(例えば、新日本理化会社製リカシッドTH)、ヘキサヒドロ無水フタル酸(例えば、新日本理化会社製リカシッドHH)、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(例えば、新日本理化会社製リカシッドMH)、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸とヘキサヒドロ無水フタル酸の混合物(例えば、新日本理化会社製リカシッドMH−700G)、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物とビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物の混合物(例えば、新日本理化会社製リカシッドHNA−100)、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート(例えば、新日本理化会社製リカシッドTMEG−S、リカシッドTMEG−100、リカシッドTMEG−200、リカシッドTMEG−500、リカシッドTMEG−600)、グリセリンビスアンヒドロトリメリテートモノアセテートと脂環式ジカルボン酸無水物の混合物(例えば、新日本理化会社製リカシッドMTA−15)、テトラプロペニル無水コハク酸(3−ドデセニル無水コハク酸)(例えば、新日本理化会社製リカシッドDDSA)、オクテニルコハク酸無水物(例えば、新日本理化会社製リカシッドOSA)、3or4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸(例えば、日立化成会社製NH−2200、HN−2000)、3or4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸(例えば、日立化成会社製HN−5500)、メチル−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸(例えば、日立化成会社製MHAC−P)等が挙げられる。
成分(H)の、フェノールノボラック樹脂の具体例としては、明和化成会社製のMEH−8000H、MEH−8005、DIC会社製のTD−2131、TD−2106、TD−2093、TD−2091、TD−2090、VH−4150、VH−4170、KH−6021、KA−1160、KA−1163、KA−1165等が挙げられる。
成分(H)の加熱硬化型エポキシ樹脂硬化剤の含有量は、光学的立体造形用組成物の総量中に、好ましくは0.05〜5質量%の範囲であり、より好ましくは1〜3質量%の範囲である。成分(H)は1種単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。
光学的立体造形用組成物は、その他の成分として、成分(D)及び/又は成分(E)を溶解又は分散させるための溶剤、硬化促進剤、着色剤等を、光学的立体造形用組成物の特性に悪影響を与えない範囲内において含有することができる。その他の成分の含有量は、当業者が適宜調整することができる。
光学的立体造形用組成物は、成分(A)の芳香族カチオン重合性化合物を10〜50質量%、成分(B)のカチオン重合性化合物を1〜30質量%、成分(C)のラジカル重合性化合物を10〜40質量%、成分(D)のカチオン重合開始剤を0.1〜20質量%、成分(E)のラジカル重合開始剤を0.1〜20質量%、成分(F)の増感剤を0.05〜5質量%含有し、好ましくはさらに成分(G)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂を0.1〜10質量%及び/又は成分(H)の加熱硬化型エポキシ樹脂硬化剤を0.05〜5質量%含有し、任意に他のカチオン重合性化合物、他のラジカル重合性化合物、及び/又はその他の成分をさらに含有する。
本発明に係る光学的立体造形用組成物は、常法に従って調製することができる。例えば、本発明に係る光学的立体造形用組成物は、成分(A)〜(F)、及び好ましくは成分(G)及び/又は(H)、及び必要に応じて他のカチオン重合性化合物、他のラジカル重合性化合物、及び/又はその他の成分を、攪拌して均一な混合物を形成する工程と、該混合物を濾過して、原料中に混入した異物や製造過程で混入した異物を取り除く工程と、該混合物を脱気する工程とにより調製することができる。各々の成分の配合量は、光学的立体造形用組成物における終濃度が、上記した範囲となるようにする。成分(C)、成分(D)及び成分(E)等の成分が常温で固体状である場合は、予め溶剤に溶解又は分散させたものを使用することが好ましい。攪拌は、20〜40℃の温度で、1〜2時間行うことが好ましい。20℃未満では重合性化合物が増粘して攪拌効率が悪くなる場合があり、40℃超では粘度が低下して攪拌効率が良くなるが、光開始剤や重合性化合物の品質を悪化させる場合があるためである。このように調製された光学的立体造形用組成物は、常温(25℃)において液状である。光学的立体造形用組成物の粘性は、常温において200〜1500mPa・s程度であることが光造形の観点から好ましい。
本発明に係る光学的立体造形用組成物により形成された硬化層は、優れた密着性で相互に密着する。よって、本発明に係る光学的立体造形用組成物は、光造形装置を用いて硬化させる際に、硬化層が反って紫外線レーザーの操作機械等に引っかかるおそれがなく、円滑に立体造形物を製造することができる。さらに、該光学的立体造形用組成物は、反り変形の小さい寸法精度の高い立体造形物の製造を可能とする。また、該光学的立体造形用組成物の硬化により形成される立体造形物は、高い寸法精度に加え、優れた機械的特性、例えば、引張り強度、伸度、曲げ強度、及び曲げ弾性率も兼ね備えている。また、該光学的立体造形用組成物は、光硬化が短時間で完了する特徴も有する。
本発明に係る光学的立体造形用組成物は、光学的立体造形に好適に使用することでき、幅広い分野に応用することができる。用途の具体例としては、特に限定されないが、精密部品、電気・電子部品、建築構造物、自動車用部品、金型、母型、ギブスなど医療用固定具、歯を固定するマウスピ−ス、歯科医療用プラスチック造形物、医療用プラスチック器具、自動車部品等を挙げることができる。また、他の用途の具体例として、光硬化性インキ、光硬化性塗料、光硬化性接着剤、シール剤、光硬化型封止剤、コンポジット剤、光硬化型インキジェット、光硬化性マイクロカプセル、感光性印刷版、フォトレジストインキ、印刷用プルーフ剤、ホログラム材料、人工爪(ジェルネイル)、レジンアクセサリーの作製のための材料等を挙げることができる。例えば、人工爪(ジェルネイル)は、従来、光硬化性樹脂が用いられており、爪から硬化した樹脂皮膜を剥がすためには、剥離剤又は溶剤(アセトン)等の処理薬品を使用して、樹脂皮膜を膨潤又は溶解させて除去することが必要である。本発明の組成物によれば、上記した処理薬品を使用しないで、爪から樹脂皮膜を物理的に剥がし取ることを可能にする。
すなわち本発明は、上述の光学的立体造形用組成物を用いた立体造形物の製造方法にも関する。上記の光学的立体造形用組成物からの立体造形物の製造は、従来の光学的立体造形方法及び光造形装置を使用して行うことができる。立体造形物を製造する方法は、例えば、(a)3次元CADで入力された形状データを幾層もの薄い断面体にスライスして作成された等高線データに基づき、上述の光学的立体造形用組成物の表面に活性エネルギー線を選択的に照射して硬化層を形成する工程、(b)該硬化層上に光学的立体造形用組成物をさらに供給する工程、(c)工程(a)と同様に活性エネルギー線を選択的に照射して前述の硬化層と連続した硬化層を新たに形成する積層操作を行う工程、及び(d)この積層操作を繰り返し行う工程を含むことにより、目的とする立体造形物を提供することができる。単層または積層された硬化層の厚さは、例えば20〜200μmとすることができる。硬化層の厚さは、小さくするほど造形精度を高められるが、製造に必要な時間及びコストは増えるため、これらのバランスを考慮して適宜調整することができる。また、上記の立体造形物を製造する方法は、好ましくは更に、目的とする立体造形物が得られた後、(e)得られた立体造形物に、紫外線照射処理及び/又は加熱処理(後硬化)を施す工程を含む。紫外線照射処理及び/又は加熱処理を施すことで、立体造形物の耐熱性、引張り強度及び曲げ強度をより向上させることができる。
光学的立体造形用組成物からの立体造形物の製造に使用する光造形装置としては、特に限定されないが、例えば、ATOMm−4000(シーメット社製)、DigitalWaX(登録商標)020X(シーフォース社製)及びACCULAS(登録商標)BA−85S(ディーメック社製)等の三次元積層造形装置を挙げることができる。
各層を硬化させる際に光学的立体造形用組成物に照射する活性エネルギー線は、例えば紫外線、可視光線、放射線、X線、又は電子線等であり、好ましくは紫外線又は可視光線である。紫外線又は可視光線の波長は、好ましくは300〜500nmである。紫外線又は可視光線の光源としては、半導体励起固体レーザー、カーボンアーク灯、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、白色LED等が挙げられるが、これらに限定されない。特に、造形精度及び硬化性等の観点からレーザーを使用することが好ましい。本発明の光学的立体造形用組成物では、各層の硬化を短時間で完了させることができる。好ましくは、各層につき積算光量として10〜200mJ/cm程度の照射でよいが、硬化層の厚さ等により異なるためこれには限定されない。
各層硬化後の紫外線照射処理の際に使用する紫外線としては、例えば上記の硬化の際と同じ波長の紫外線を使用すればよい。紫外線の波長は、好ましくは300〜400nmである。紫外線照射処理時の好ましい積算光量は、10〜200mJ/cm程度である。また、各層硬化後に加熱処理を行う場合は、好ましくは60〜250℃で1〜4時間程度加熱処理を行う。加熱処理には例えば恒温槽、熱硬化炉等を用いることができる。なお、処理時間は立体造形物の構造、大きさ等により異なるため上記の処理時間には限定されない。
本発明は、上述の光学的立体造形用組成物を用いて得られる立体造形物にも関する。本発明に係る立体造形物は、上述の光学的立体造形用組成物の硬化物を含む立体造形物であり、好ましくは、光学的立体造形用組成物を硬化して形成される硬化層を積層してなる立体造形物である。立体造形物は、例えば、上述の立体造形物の製造方法により製造される。本発明に係る立体造形物は、硬化層が相互に密着しているため、製造の過程において造形物の反り変形が小さく、寸法精度が向上している。さらに、立体造形物は、耐熱性、引張り強度、伸度、曲げ強度、曲げ弾性率等の機械的特性に優れている。
[光学的立体造形用組成物の調製]
実施例1〜7及び参考例1〜7の光学的立体造形用組成物を、以下の手順で調製した。
表1及び表2に示す組成に従って全ての成分を、攪拌容器内に仕込み、20〜40℃の温度で2時間攪拌して液体組成物を得た。この液体組成物を、10ミクロンフィルターバッグ(PO−10−PO3A−503、Xinxiang D.King industry社製)でろ過して異物を除去し、一晩放置後に脱気して透明な液体組成物を得た。
Figure 2018076455
Figure 2018076455
表中の各成分の詳細は以下の通り。
エピクロンN−730A:成分(A)のノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量175g/当量)(DIC社製)、
NC−3100:成分(A)の多官能型ビフェニル系エポキシ樹脂(エポキシ当量245〜270g/当量)(日本化薬社製)、
EPPN−502H:成分(A)のトリフェニルメタン型エポキシ樹脂(エポキシ当量158〜178g/当量)(日本化薬社製)、
エポライト80MF:成分(B)のグリセリンジグリシジルエーテル(エポキシ当量138〜160g/当量)(共栄社化学社製)、
エポライト4000:アルコール水酸基を含有しない脂肪族カチオン性化合物である水添ビスフェノールAグリシジルエーテル(エポキシ当量215〜245g/当量)(共栄社化学社製)(成分(B)の比較成分)、
デナコールアクリレートDA−314:成分(C)のグリセリントリグリジルエーテルのアクリル酸付加物(ナガセケムテックス社製)、
NK−エステルA−9300:アルコール水酸基を含有しないラジカル重合性化合物であるエトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業社製)(成分(C)の比較成分)、
サンエイドSI−180L:成分(D)のPF・系スルホニウム塩(三新化学工業社製)、
イルガキュアー907:成分(E)の2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホニルプロパン−オン(BASF社製)、
カレンズMTNR1:成分(F)の1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン(昭和電工社製)、
エポートYH−434:成分(G)のN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(新日鉄住金化学社製)、
スミエポキシELM−100:成分(G)の4−(2,3−エポキシプロパン−1−イルオキシ)−N,N−ビス(2,3−エポキシプロパン−1−イル)−2−メチルアニリン(住友化学)、
MHAC−P:成分(H)のメチル−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸(日立化成会社製)、
MEH−8000H:成分(H)のフェノールノボラック樹脂(明和化成会社製)。
[評価サンプル1の製作]
光学的立体造形用組成物の硬化時間を評価するために、以下のサンプルを作製した。
実施例1の光学的立体造形用組成物を手製のポリエチレン製長方形型(幅約10mm×長さ100mm、深さ5mm)に1mmの液膜になるように流し込み、3kw高圧水銀灯(波長365nm、距離1m)で、5秒間、10秒間、15秒間、20秒間、25秒間、30秒間各々照射し、評価サンプルを得た。実施例2〜7及び参考例1〜7の光学的立体造形用組成物についても、同様にして評価サンプルを得た。
[評価サンプル2の作製]
評価サンプル1を紫外線処理した光学的立体造形物を評価するために、以下のサンプルを作製した。
実施例1の光学的立体造形用組成物を手製のポリエチレン製長方形型(幅約10mm×長さ100mm、深さ5mm)に1mmの液膜になるように流し込み、3kw高圧水銀灯(波長365nm、距離1m)で20秒間照射し、これを合計4回繰返して厚さ約4mmの平面板(幅約10mm×長さ100mm)を作製した。さらに平面板を30分間再照射し、光学的立体造形物を得た。実施例2〜7及び参考例1〜7の光学的立体造形用組成物についても、同様にして各々光学的立体造形物を得た。
[評価サンプル3の作製]
評価サンプル1を加熱処理した光学的立体造形物を評価するために、以下のサンプルを作製した。
実施例1の光学的立体造形用組成物を手製のポリエチレン製長方形型(幅約10mm×長さ100mm、深さ5mm)に1mmの液膜になるように流し込み、3kw高圧水銀灯(波長365nm、距離1m)で20秒間照射し、これを合計4回繰返して厚さ約4mmの平面板(幅約10mm×長さ100mm)を作製した。さらに平面板を120℃で2時間加熱し、光学的立体造形物を得た。実施例2〜7及び参考例1〜7の光学的立体造形用組成物についても、同様にして各々光学的立体造形物を得た。
[評価方法]
1)光学的立体造形用組成物の硬化時間の評価
評価サンプル1を用いて、照射時間の短いサンプルからその表面状態を観察し、表面のタックが無いサンプルの照射時間を硬化時間とした。なお、表面のタックは、評価サンプル1をオーブンに入れて35℃で30分間処理し、室温(25℃)まで冷却した後、その表面にポリエステルフィルムを手で押し当てた。ポリエステルフィルムが簡単に剥がれなければタック有り、剥がれればタック無しと、タックの有無を判断した。
2)光学的立体造形物の層(側面)観察
評価サンプル2及び3を用いて、平面板の層(側面)を日本電子製JSM−5600型走査電子顕微鏡(加速電圧7kv、倍率200倍)で測定した。評価の基準は、層間の隙間が存在する場合は(「×」)、層間の隙間がない場合は(「○」)とした。
3)光学的立体造形物の反り変形観察
評価サンプル2及び3を用いて、平面板を平台に置いて、その端部が平台から浮いた距離を測定した。判定の基準は、距離2mm以上の場合は(「×」)、距離2mm以下で浮いている場合は(「△」)、距離0mmで浮いていない場合は(「○」)とした。
4)引張試験
評価サンプル2及び3を用いて、平面板の引張試験を、ISO527−1に準拠して、以下の測定条件で引張り強度及び伸度を測定した。伸度は、破断時の最大の伸び率として測定した。
測定装置:インストロン社製3366型万能試験機
引張速度(クロスヘッド速度):5mm/分
測定環境:温度25℃、湿度45%RH
標点間距離:80mm
5)3点曲げ試験
評価サンプル2及び3を用いて、平面板の3点曲げ試験を、ISO527−1に準拠して、以下の測定条件で行い、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
測定装置:インストロン社製3366型万能試験機
試験条件:3点曲げ試験冶具 圧子半径5mm、
支点間距離64mm、
負荷速度(クロスヘッド速度)2mm/分)
測定環境:温度25℃、湿度45%RH
6)耐熱変形性試験(荷重たわみ温度)
評価サンプル2及び3と同様にして幅80mm×長さ10mm、厚さ4mmの平板を作製し、この平板(耐熱変形性評価用サンプル)の荷重たわみ温度試験を、ISO−75−1に準拠して行った。以下の規定の曲げ応力を耐熱変形性評価用サンプルに発生させた状態で、室温(25℃)から300℃(油槽を使用)まで、試験温度を一定速度で昇温し、標準たわみに達した時の温度(荷重たわみ温度)を測定した。
測定装置:No.148−HD−PCヒートデストーションテスター(安田精機製作所製)
昇温速度:120±10℃/hr
曲げ応力:0.46Mpa
上述した1)〜6)の評価の結果を表3及び表4に示す。
Figure 2018076455
Figure 2018076455
(A)〜(F)成分を全て含む実施例1〜7の光学的立体造形用組成物は、より短時間で光硬化が完了し、光硬化後に紫外線照射処理(表3)及び/又は加熱処理(表4)を施すことによって、強度が高く、また、高い熱変形温度を有し、耐熱性に優れた光学的立体造形物を得ることができた。さらに、(G)成分及び(H)成分を有する実施例4〜7の光学的立体造形用組成物から得られた光学的立体造形物は、これらの二成分を有していない実施例1〜3よりも、さらに強度(特に曲げ強度)が向上した。
一方、(A)〜(F)成分のいずれかを含有しない参考例1〜7の光学的立体造形用組成物から得られた光学的立体造形物は、実施例1〜7の光学的立体造形用組成物から得られた光学的立体造形物と比較すると強度が低く、また、熱変形温度が低く、実施例1〜7の光学的立体造形用組成物から得られた光学的立体造形物程の耐熱性は有していなかった。また、参考例1〜7の光学的立体造形用組成物は、光硬化に要する時間も実施例1〜7の光学的立体造形用組成物と比較して長かった。

Claims (3)

  1. (A)2つ以上の芳香環と3つ以上のグリシジルエーテル構造を有する芳香族カチオン重合性化合物と、
    (B)1つ以上のアルコール性水酸基と2つ以上のグリシジルエーテル構造を有する脂肪族カチオン重合性化合物及び/又はオキセタン基を有するカチオン重合性化合物と、
    (C)1つ以上のアルコール性水酸基と2つ以上のメタアクリル基及び/又はアクリル基を有するラジカル重合性化合物と、
    (D)スルホニウム化合物又はビス(アルキルフェニル)ヨードニウム化合物であるカチオン重合開始剤と、
    (E)ラジカル重合開始剤と、
    (F)増感剤と
    を含む、光学的立体造形用組成物であって、
    前記(A)の芳香族カチオン重合性化合物を10〜50質量%、
    前記(B)の脂肪族カチオン重合性化合物及び/又はオキセタン基を有するカチオン重合性化合物を1〜30質量%、
    前記(C)のラジカル重合性化合物を10〜40質量%、
    前記(D)のカチオン重合開始剤を0.1〜20質量%、
    前記(E)のラジカル重合開始剤を0.1〜20質量%、及び、
    前記(F)の増感剤を0.05〜5質量%含有する、光学的立体造形用組成物。
  2. さらに、(G)下記式(I)
    Figure 2018076455
    で示されるN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンと、下記式(II)
    Figure 2018076455
    で示される4−(2,3−エポキシプロパン−1−イルオキシ)−N,N−ビス(2,3−エポキシプロパン−1−イル)−2−メチルアニリンと、下記式(III)
    Figure 2018076455
    で示されるテトラグリシジル−3,3−ジアミノジフェニルスルフォンから選択される1以上のグリシジルアミン型エポキシ樹脂を0.1〜10質量%含有する、請求項1に記載の光学的立体造形用組成物。
  3. さらに、(H)酸無水物及び/又はフェノールノボラック樹脂である加熱硬化型エポキシ樹脂硬化剤を0.05〜5質量%含有する、請求項1又は2に記載の光学的立体造形用組成物。
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