JP2018076283A - 有機紫外線吸収剤の光耐久性向上剤 - Google Patents

有機紫外線吸収剤の光耐久性向上剤 Download PDF

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愛未 小嶋
一宏 福嶋
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Abstract

【課題】有機紫外線吸収剤の光耐久性を向上させるための剤を提供する。
【解決手段】有機紫外線吸収剤を内包して使用される高分子マイクロカプセルからなる、該有機紫外線吸収剤の光耐久性向上剤。高分子マイクロカプセルのシェルは、架橋性モノマーの重合体又は共重合体、単官能性モノマーの重合体又は共重合体、架橋性モノマーと単官能性モノマーの共重合体、シリカガラス、及びポリペプチドからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、化粧品などに配合される有機紫外線吸収剤の光耐久性を向上させるための剤に関する。
紫外線による有害作用を防止するために、紫外線吸収剤や紫外線遮蔽剤が配合された日焼け止めクリームなどの化粧料が市販されている。化粧料は塗り直し回数が少なくて済むことが求められるところ、日焼け止めのための化粧料は、水や汗に曝されることが多く、流されることで日焼け止め効果が低減し易い。また、日焼け止めのための化粧料は、通常、強い日差しの下で使用されるため、耐光性が悪い紫外線吸収剤や紫外線遮蔽剤を配合すると、使用中に、紫外線吸収剤や紫外線遮蔽剤が経時的に分解又は変性して、化粧料の日焼け止め効果が徐々に低下する。特に、有機紫外線吸収剤は光により分解又は変性し易いものが多い。従って、有機紫外線吸収剤の経時的な光分解又は変性を抑制すること、即ち、光耐久性を向上させることが求められている。
本発明は、有機紫外線吸収剤の光耐久性を向上させるための剤、及び光耐久性が向上した有機紫外線吸収剤を含有する外用組成物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明者は研究を重ね、有機紫外線吸収剤を高分子マイクロカプセルに内包させることにより、強い光の照射下でも、有機紫外線吸収剤の紫外線吸収能が低下し難く、その紫外線吸収効果が十分に発揮されることを見出した。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記の有機紫外線吸収剤の光耐久性向上剤、及び外用組成物を提供する。
項1. 有機紫外線吸収剤を内包して使用される高分子マイクロカプセルからなる、該有機紫外線吸収剤の光耐久性向上剤。
項2. 高分子マイクロカプセルのシェルが、架橋性モノマーの重合体又は共重合体、単官能性モノマーの重合体又は共重合体、架橋性モノマーと単官能性モノマーの共重合体、シリカガラス、及びポリペプチドからなる群より選ばれる1種以上を含有する、項1に記載の光耐久性向上剤。
項3. 高分子マイクロカプセルのシェルが、ポリ(エチレングリコールジメタクリレート)、エチレングリコールジメタクリレート/ジビニルベンゼン共重合体、ポリ(ジビニルベンゼン)、及びモノビニル芳香族モノマーの重合体又は共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、項2に記載の光耐久性向上剤。
項4. 有機紫外線吸収剤が、紫外線B波吸収剤である、項1〜3の何れかに記載の光耐久性向上剤。
項5. 紫外線B波吸収剤が、メトキシ桂皮酸エステルである、項4に記載の光耐久性向上剤。
項6. 高分子マイクロカプセルと有機紫外線吸収剤の合計重量に対して、10〜80重量%の有機紫外線吸収剤を内包して使用される、項1〜5の何れかに記載の光耐久性向上剤。
項7. 有機紫外線吸収剤を内包し、該有機紫外線吸収剤の光安定性が向上した高分子マイクロカプセルを含む外用組成物。
項8. 高分子マイクロカプセルのシェルが、架橋性モノマーの重合体又は共重合体、単官能性モノマーの重合体又は共重合体、架橋性モノマーと単官能性モノマーの共重合体、シリカガラス、及びポリペプチドからなる群より選ばれる1種以上を含有する、項7に記載の外用組成物。
項9. 高分子マイクロカプセルのシェルが、ポリ(エチレングリコールジメタクリレート)、エチレングリコールジメタクリレート/ジビニルベンゼン共重合体、ポリ(ジビニルベンゼン)、及びモノビニル芳香族モノマーの重合体又は共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、項8に記載の外用組成物。
項10. 有機紫外線吸収剤が、紫外線B波吸収剤である、項7〜9のいずれかに記載の外用組成物。
項11. 紫外線B波吸収剤が、メトキシ桂皮酸エステルである、項10に記載の外用組成物。
項12. 高分子マイクロカプセルが、高分子マイクロカプセルと有機紫外線吸収剤の合計重量に対して、10〜80重量%の有機紫外線吸収剤を内包している、項7〜11の何れかに記載の外用組成物。
項13. 有機紫外線吸収剤を高分子マイクロカプセルに内包させる、該有機紫外線吸収剤の光耐久性の向上方法。
有機紫外線吸収剤の中には、例えば、ケイ皮酸誘導体のように光耐久性又は耐光性が悪いものがあり、強い日差しの下で急速に分解又は変性して、紫外線吸収能が低下する。このような有機紫外線吸収剤を高分子マイクロカプセルでカプセル化すると、有機紫外線吸収剤の光耐久性が著しく向上し、強い光を照射しても紫外線吸収能が殆ど低下せず、紫外線吸収能が長時間にわたり維持される。また、有機紫外線吸収剤を高分子マイクロカプセル化しても、有機紫外線吸収剤の紫外線吸収効果は十分に発揮される。
高分子マイクロカプセルに内包させた有機紫外線吸収剤を配合した日焼け止め用化粧料は、強い日差しに曝されても、日焼け止め効果が長時間保たれるので、日中、塗り直す必要が無く、或いは、塗り直し回数が少なくて済む。
また、有機紫外線吸収剤を高分子マイクロカプセル化したものは、化粧料等の外用組成物に配合した場合、有機紫外線吸収剤によるベタツキ感や皮膚刺激が回避される。
また、有機紫外線吸収剤は親油性が高く、通常は、外用組成物の油相に配合されるため、このような外用組成物は、有機紫外線吸収剤を溶解させるために油相の比率を高くせざるを得ない。これに対して、有機紫外線吸収剤を高分子マイクロカプセル化することにより親水性が向上するため、外用組成物の水相に配合することができ、水相の比率が高いサラサラした使用感を与える外用組成物を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)高分子マイクロカプセル
用途
有機紫外線吸収剤を内包した高分子マイクロカプセルは、カプセル化されていることにより、この有機紫外線吸収剤の光耐久性又は光安定性が向上し又は改善されている。換言すれば、有機紫外線吸収剤を内包した高分子マイクロカプセルでは、この有機紫外線吸収剤の光劣化が抑制又は軽減されているので、紫外線吸収能又は紫外線吸収効果が持続し、長持ちし、又は維持される。
従って、高分子マイクロカプセルは、有機紫外線吸収剤を内包して使用されることにより、この有機紫外線吸収剤の光耐久性、耐光性、又は光安定性の向上又は改善剤、光劣化の抑制又は軽減剤、紫外線吸収能又は紫外線吸収効果の持続又は維持剤として使用できる。換言すれば、有機紫外線吸収剤を内包した高分子マイクロカプセルは、その状態で、高分子マイクロカプセルが有機紫外線吸収剤の光耐久性、耐光性、又は光安定性の向上又は改善剤、光劣化の抑制又は軽減剤、紫外線吸収能又は紫外線吸収効果の持続又は維持剤として機能する。
有機紫外線吸収剤
高分子マイクロカプセルに内包される有機紫外線吸収剤の種類は特に限定されず、公知の有機紫外線吸収剤を制限無く使用できる。このような公知の有機紫外線吸収剤として、
(a)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソプロピル、メトキシケイ皮酸イソアミル等のケイ皮酸誘導体;
(b)パラ−アミノ安息香酸(以下、「PABA」と略記する)、エチルPABA、エチル−ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル−ジメチルPABA、グリセリルPABA等のPABA誘導体;
(c)ホモサラート、エチルヘキシルサリチラート、ジプロピレングリコールサリチラート、TEAサリチラート等のサリチル酸誘導体;
(d)ベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−3またはオキシベンゾン、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−5、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−8、ベンゾフェノン−9、ベンゾフェノン−12等のベンゾフェノン誘導体;
(e)3−ベンジリデンショウノウ、4−メチルベンジリデンショウノウ、ベンジリデンショウノウスルホン酸、メト硫酸ショウノウベンザルコニウム、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ等のベンジリデンショウノウ誘導体;
(f)アニソトリアジン、ジエチヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6−トリス(ジイソブチル−4’−アミノベンザルマロナート)−s−トリアジン、2,4−ビス−〔{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル〕−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス〔4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕−1,3,5−トリアジン等のトリアジン誘導体;
(g)フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム等のフェニルベンゾイミダゾール誘導体;
(h)ドロメトリゾールトリシロキサン、メチレンビス(ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)等のフェニルベンゾトリアゾール誘導体;
(i)アントラニル酸メンチル等のアントラニル誘導体;
(j)ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル等のイミダゾリン誘導体;
(k)ベンザルマロナート官能基を有するポリオルガノシロキサン等のベンザルマロナート誘導体;
(l)1,1−ジカルボキシ(2,2’−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエン等の4,4−ジアリールブタジエン誘導体;
(m)オクトクリレン、2−〔4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル〕安息香酸ヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン
などが挙げられる。
有機紫外線吸収剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
高分子マイクロカプセルに内包させる有機紫外線吸収剤としては、光に不安定な化合物が適している。紫外線B波吸収剤には光安定性が悪いものが多く含まれるため、紫外線B波吸収剤を好適に使用できる。中でも、ケイ皮酸誘導体が好ましく、メトキシケイ皮酸エステルがより好ましく、メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(特に、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル)がさらにより好ましい。
また、紫外線A波吸収剤と紫外線B波吸収剤とを併用するか、又は紫外線AB波吸収剤を使用することも好ましい。
A波吸収剤としては、例えば、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、2−〔4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル〕安息香酸ヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンなどが挙げられる。
また、B波吸収剤としては、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソプロピル、パラ−アミノ安息香酸、エチルPABA、エチル−ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル−ジメチルPABA、ホモサラート、エチルヘキシルサリチラート、3−ベンジリデンショウノウ、4−メチルベンジリデンショウノウ、ベンジリデンショウノウスルホン酸、メト硫酸ショウノウベンザルコニウム、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ、ジエチヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6−トリス〔4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕−1,3,5−トリアジン、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、ベンザルマロナート官能基を有するポリオルガノシロキサン、オクトクリレンなどが挙げられる。
AB波吸収剤としては、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−3またはオキシベンゾン、ベンゾフェノン−4、2,4−ビス−〔{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル〕−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、ドロメトリゾールトリシロキサン、メチレンビス(ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)などが挙げられる。
紫外線A波吸収剤と紫外線B波吸収剤との組み合わせとしては、2−〔4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル〕安息香酸ヘキシルとパラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルとの組合せ、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンとオクトクリレンとパラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルとの組み合わせ、2,4,6−トリス〔4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕−1,3,5−トリアジンとパラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルと2−〔4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル〕安息香酸ヘキシルとの組み合わせなどが挙げられる。
マイクロカプセルには、本発明の効果を損なわない範囲で、有機紫外線吸収剤以外の成分が内包されていてもよい。併用成分としては、2,6−ナフタリンジカルボン酸ジ2−エチルヘキシルのような安定化剤;ジブチルヒドロキシトルエン、酢酸トコフェロール、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビルのような抗酸化剤などが挙げられる。
高分子マイクロカプセルと有機紫外線吸収剤の合計に対する有機紫外線吸収剤の重量比率(内包率)は、10重量%以上が好ましく、20重量%以上がより好ましく、30重量%以上がさらにより好ましい。40重量%以上、50重量%以上、又は60重量%以上とすることもできる。また、80重量%以下が好ましく、75重量%以下がより好ましく、70重量%以下がさらにより好ましい。また、60重量%以下、又は50重量%以下とすることもできる。
上記範囲であれば、カプセル化により有機紫外線吸収剤の光耐久性を十分に向上させることができる。また、化粧料や外用組成物に配合して用いる場合に十分な紫外線吸収効果が得られる。
有機紫外線吸収剤の重量比率は、マイクロカプセルの全体重量に対して、マイクロカプセルから酢酸エチルを用いて抽出した紫外線吸収剤の重量の比率であり、下記方法で測定した値である。
(有機紫外線吸収剤の内包率の測定方法)
有機紫外線吸収剤内包マイクロカプセルのスラリー500mgを9.5mLの水に加え、10mL酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル抽出液の200μLを2500倍濃度に希釈し、吸光度(310nm)を測定する。別途、その有機紫外線吸収剤を精密(それぞれ、50mg、100mgおよび200mg)に測り、それぞれを酢酸エチルに溶かして10mLとし、その200μLを2500倍濃度に希釈し、310nmの吸光度を測定し、検量線を作成する。作成した検量線の吸収(310nm)より、内包した有機紫外線吸収剤の量を算出する。
高分子マイクロカプセル
高分子マイクロカプセルに使用する膜剤(シェルの構成材料)の好適な例として、架橋性モノマーの重合体又は共重合体、単官能性モノマーの重合体又は共重合体、架橋性モノマーと単官能性モノマーの共重合体、シリカガラス、ポリペプチドなどが挙げられる。
高分子マイクロカプセルのシェルは、1種の材料を含んでいてよく、或いは、2種以上の材料を含んでいてもよい。
架橋性モノマーの重合体又は共重合体
架橋性モノマーの重合体又は共重合体としては、例えば、ビニル系多官能性モノマーの重合体又は共重合体、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂(ウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、チオウレタン樹脂など)、シアネート樹脂、フェノール樹脂、アリル樹脂、シリコーン樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂(尿素樹脂、スルホアミド樹脂、アニリン樹脂など)、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。
中でも、有機紫外線吸収剤の光耐久性向上効果が高い点で、ビニル系多官能性モノマーの重合体又は共重合体が好ましい。ビニル系多官能性モノマーの重合体又は共重合体を含むシェルは、強度が高く、潰れ難いために、内包した成分がマイクロカプセルから漏出し難いという利点もある。共重合体の場合、2種又は3種以上のビニル系多官能性モノマーの共重合体とすることができる。
ビニル系多官能性モノマー
ビニル系多官能性モノマーは、重合性2重結合(例えば、C=C結合)を2個以上(特に、2〜4個)有する多官能性モノマーである。このようなモノマーとして、それには限定されないが、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、及びテトラエチレングリコールジメタクリレートなどが挙げられる。
特に、ジビニルベンゼン、及びエチレングリコールジメタクリレートが好ましい。これらのモノマーから得られる重合体又は共重合体は、ポリ(エチレングリコールジメタクリレート)、エチレングリコールジメタクリレート/ジビニルベンゼン共重合体、ポリ(ジビニルベンゼン)である。
単官能性モノマーの重合体又は共重合体
単官能性モノマーの重合体又は共重合体としては、ビニル系単官能性モノマーの重合体又は共重合体、ナイロン、ポリエーテル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
中でも、有機紫外線吸収剤の光耐久性向上効果が高い点で、ビニル系単官能性モノマーの重合体又は共重合体が好ましい。ビニル系単官能性モノマーの重合体又は共重合体を含むマイクロカプセルは、外用組成物に配合した場合に、柔らかい使用感が得られるという利点もある。共重合体の場合、2種又は3種以上のビニル系単官能性モノマーの共重合体とすることができる。
ビニル系単官能性モノマー
ビニル系単官能性モノマーは、重合性2重結合(例えば、C=C結合)を1個有する単官能性モノマーである。このようなモノマーとして、それには限定されないが、モノビニル芳香族モノマー、アクリル系モノマー(メタクリル系モノマ−を含む)、ビニルエステル系モノマー、及びビニルエーテル系モノマー等が挙げられる。
モノビニル芳香族モノマーとしては、それには限定されないが、例えば、下記一般式(1)で表されるモノビニル芳香族炭化水素、低級(炭素数1〜4)アルキル基で置換されていてもよいビニルビフェニル、及び低級(炭素数1〜4)アルキル基で置換されていてもよいビニルナフタレン等が挙げられる。
Figure 2018076283
[式(1)中、R1は、水素原子、低級(炭素数1〜4)アルキル基、又はハロゲン原子を示し、R2は、水素原子、低級(炭素数1〜4)アルキル基、ハロゲン原子、−SO3Na基、−SO3H基、水酸基、ω-ヒドロキシアルキル基、低級(炭素数1〜4)アルコキシ基、アミノ基、又はカルボキシル基を示す。]
上記一般式(1)において、R1としては、水素原子、メチル基、又は塩素原子が好ましく、R2としては、水素原子、塩素原子、メチル基、−SO3Na基、−SO3H基、又はω-ヒドロキシアルキル基が好ましい。
上記一般式(1)で示されるモノビニル芳香族炭化水素の具体例としては、それには限定されないが、例えば、スチレン、ビニルトルエン(o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p-メチルスチレン)、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム、p-ヒドロキシメチルスチレン、及びo-ヒドロキシメチルスチレン等が挙げられる
更に、低級アルキル基で置換されていてもよいビニルビフェニル、低級アルキル基で置換されていてもよいビニルナフタレンとしては、ビニルビフェニル、メチル基、エチル基等の低級アルキル基で置換されているビニルビフェニル、ビニルナフタレン、及びメチル基、又はエチル基等の低級アルキル基で置換されているビニルナフタレン等を例示できる。
また、アクリル系モノマーとしては、それには限定されないが、例えば、下記の一般式(2)で表されるアクリル系モノマー(メタクリル系モノマーを含む)が挙げられる。
Figure 2018076283
[式(2)中、R3は、水素原子、又は低級(炭素数1〜4)アルキル基を示し、R4は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、低級(炭素数1〜4)アミノアルキル基若しくはジ(C1-C4アルキル)アミノ−(C1-C4)アルキル基、又はエチレンジヒドロキシリン酸基を示す。]
一般式(2)において、R3としては、水素原子、又はメチル基が好ましく、R4としては、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基、低級(炭素数1〜4)ヒドロキシアルキル基、低級(炭素数1〜4)アミノアルキル基、又はエチレンジヒドロキシリン酸基が好ましい。
アクリル系モノマーの具体例としては、それには限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸γ−ヒドロキシブチル、アクリル酸δ−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−2,3−ジヒドロキシプロピル、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−アミノプロピル、メタクリル酸β−アミノエチル、アクリル酸γ−N,N−ジメチルアミノプロピル、アクリル酸γ−N,N−ジエチルアミノプロピル、メタクリル酸β−N,N−ジメチルアミノエチル、イタコン酸、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジプロピル、及びイタコン酸ジブチル等が挙げられる。
ビニルエステル系モノマーとしては、それには限定されないが、例えば、下記の一般式(3)で表されるものが挙げられる。
Figure 2018076283
[式(3)中、R5は水素原子、低級(炭素数1〜4)アルキル基、フェニル基、又は炭素数1〜4のアルキル基を有するフェニルアルキル基を示す。]
上記ビニルエステル系モノマーの具体例としては、それには限定されないが、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、及びフェニル酢酸ビニル等が挙げられる。
ビニルエーテル系モノマーとしては、それには限定されないが、例えば、下記の一般式(4)で表されるビニルエーテル系モノマーが挙げられる。
Figure 2018076283
[式(4)中、R6は、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、又はシクロヘキシル基を示す。]
ビニルエーテル系モノマーの具体例としては、それには限定されないが、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルn−プロピルエーテル、ビニルiso−プロピルエーテルビニル、ビニルn−ブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、及びビニルベンジルエ−テル等が挙げられる。
ビニル系単官能性モノマーの好ましい重合体としては、それには限定されないが、例えば、モノビニル芳香族モノマーの重合体、アクリル系モノマーの重合体が挙げられ、中でも、ポリスチレン、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメタクリル酸−2,3−ジヒドロキシプロピル、ポリグリシジルメタクリレート、ポリγ−アミノプロピルアクリレ−ト、ポリβ−アミノエチルメタクリレ−ト、ポリγ−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレ−ト、及びポリβ−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−トが好ましい。
また、ビニル系単官能性モノマーの好ましい共重合体としては、それには限定されないが、例えば、ポリ(スチレン−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−メチルメタクリレ−ト)、ポリ(スチレン−ブチルメタクリレ−ト)、ポリ(スチレン−2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレ−ト)、ポリ(メチルメタクリレ−ト−メタクリル酸)、ポリ(メチルメタクリレ−ト−ブチルメタクリレ−ト)、ポリ(メチルメタクリレ−ト−2,3−ジヒドロキシプロピル、ポリ(スチレン−γ−アミノプロピルアクリレ−ト)、ポリ(スチレン−β−アミノエチルメタクリレ−ト)、ポリ(メチルメタクリレ−ト−γ−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレ−ト)、及びポリ(メチルメタクリレ−ト−β−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト)等が挙げられる。
多官能性モノマーと単官能性モノマーとの共重合体
多官能性モノマーと単官能性モノマーとの共重合体としては、ビニル系多官能性モノマーとビニル系単官能性モノマーとの共重合体が好ましい。この共重合体において、ビニル系多官能性モノマー、及びビニル系単官能性モノマーは、それぞれ1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
ビニル系多官能性モノマーとビニル系単官能性モノマーとの好ましい共重合体としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート/メチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ブチルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/メチルアクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/ブチルアクリレ−ト共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレ−ト共重合体、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト/メタクリル酸共重合体、エチレングリコールジメタクリレート/スチレン共重合体、及びエチレングリコールジメタクリレート/グリシジルメタクリレート重合体; ジビニルベンゼン/メチルメタクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/ブチルメタクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/メチルアクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/ブチルアクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレ−ト共重合体、ジビニルベンゼン/スチレン共重合体、及びジビニルベンゼン/グリシジルメタクリレート重合体等が挙げられる。
重合体が多官能性モノマーと単官能性モノマーとの共重合体である場合(特に、ビニル系多官能性モノマーとビニル系単官能性モノマーとの共重合体である場合)の、多官能性モノマーと単官能性モノマーとの共重合比率について言えば、モノマー全体に対する多官能性モノマーの比率は、1〜99重量%程度が好ましく、30〜99重量%程度がより好ましく、60〜99重量%程度がさらにより好ましく、75〜99重量%程度がさらにより好ましく、85〜99重量%程度がさらにより好ましい。共重合比率は、マイクロカプセルを製造する際の多官能性モノマーと単官能性モノマーとの使用比率により調整することができる。
高分子マイクロカプセルのシェルが、ビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーの重合体又は共重合体を含む場合、これらのモノマーとその他のモノマーを共重合させたポリマーや、ビニル系以外のポリマーがシェルに含まれていてもよい。また、後述するように、マイクロカプセル製造時に補助ポリマーを使用する場合は、補助ポリマーがシェル内表面に付着している場合や、シェルの一部を構成している場合もある。
ビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーを用いたマイクロカプセルの製造方法
ビニル系多官能性モノマー及び/又はビニル系単官能性モノマーを用いて有機紫外線吸収剤をカプセル化する方法は、種々知られているが、例えば、特許第5312922号公報に記載の方法を用いることができる。
簡単に説明すると、分散安定剤の水溶液中に、有機紫外線吸収剤を含む内包成分;少なくとも1種のモノマー成分;このモノマー成分を重合又は共重合して得られるポリマー成分に対して相溶性が低く、かつ、補助ポリマーと水との間の界面張力(γx)(mN/m)とポリマー成分と水との間の界面張力(γy)(mN/m)との関係において、γx≧γyの条件を満たす補助ポリマー;及び開始剤からなる均一溶液を分散させ、懸濁重合反応を行うことにより、有機紫外線吸収剤を内包したマイクロカプセルを得ることができる。
シリカガラスを含むシェルを有する高分子マイクロカプセル
シリカガラスは、熱に強く、また、薬品に対する耐性に優れているため、日焼け止めなどの化粧料に配合する成分として好適である。
有機紫外線吸収剤をシリカガラスシェルでカプセル化する方法は、種々知られているが、例えば、アルキルシリケートをゾル化、ゲル化、及び乾燥させるゾル・ゲル法において、ゾルゲル前駆体および少なくとも1種の有機紫外線吸収剤を含む疎水性溶液を、水溶液中、高剪断力(high shear forces)下で乳化させ、得られたエマルジョンを、好適に選択したpHを有する第2の水溶液と混合し、攪拌して、ゾルゲルマイクロカプセルを得る方法が挙げられる。
シリカガラスを含むシェルを有するマイクロカプセルに有機紫外線吸収剤を内包させたものの例として、メルク株式会社のオーソレックス ユーブイパールズ(Eusolex UV-Pearls)(商品名)が挙げられる。オーソレックス ユーブイパールズは、パラメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、及びオルトクレリンの1種以上をゾル−ゲルシリカガラスを含むシェルに内包したマイクロカプセルである。
ポリペプチドを含むシェルを有する高分子マイクロカプセル
ポリペプチドとしては、例えば、タンパク質加水分解物を使用できる。タンパク質加水分解物は工業的に入手しやすく、人体に対して安全性が高い点で好ましい。
タンパク質加水分解物は、タンパク質を酸、アルカリ、及び/又は酵素により部分的に加水分解することで得られる。タンパク質源としては、シルク(蚕の絹繊維を構成するタンパク質)、コラーゲン、ケラチン、フィブロイン、セリシン、カゼイン、コンキオリン、エラスチン、プロタミン、卵黄タンパク質、卵白タンパク質のような動物由来のタンパク質;大豆、小麦、米、米糠、ゴマ、エンドウ、トウモロコシ、イモ類などに含まれる植物由来のタンパク質;酵母、キノコ類(担子菌)、クロレラなどから分離した微生物由来のタンパク質;海藻由来のスピルリナタンパク質などが挙げられる。
中でも、動物由来のタンパク質の加水分解物が好ましく、加水分解シルクがより好ましい。
ここにいうポリペプチドは、シリコーンレジン化されたものを含む。シリコーンレジン化ポリペプチドは、シリル化ポリペプチドの重合により得られる。
シリル化ポリペプチドとしては、ポリペプチド主鎖の末端アミノ基やアミノ酸側鎖のアミノ基の少なくとも一部に、下記一般式(5)
Figure 2018076283
[式(5)中、Rは炭素数1〜3のアルキル基を示し、Rは、メチレン基、プロピレン基、−CHOCHCH(OH)CH−、又は−(CHOCHCH(OH)CH−を示す。]
で表される官能基が結合したものが挙げられる。このシリル化ペプチドは、例えば、特開平8−059424号公報、特開平8−067608号公報などに記載の方法で製造することができる。
シリル化ペプチドは加熱によって容易にシラノール基同士が脱水縮合してシロキサン結合を形成し、重合体となる。
シリコーンレジン化ポリペプチドの中では、シリコーンレジン化加水分解シルクが好ましい。シリコーンレジン化加水分解シルクを含むシェルに有機紫外線吸収剤を内包させたものの例として、成和化成株式会社のシラソーマ(Silasoma)(商品名)が挙げられる。シラソーマは、パラメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、及び/又はt-ブチルメトキシジベンゾイルメタンをシリコーンレジン化加水分解シルクを含むシェルに内包したマイクロカプセルである。
有機紫外線吸収剤をポリペプチドでカプセル化する方法は、種々知られているが、例えば、オルガノポリシロキサンとシリル化ペプチドとの加水分解共縮重合物を壁膜とするカプセル壁膜のプレポリマーを調製し、そこに芯物質となる有機紫外線吸収剤を添加し、乳化させた後、オルガノポリシロキサンによって壁膜のオーバーコート処理、硬化処理を行う方法が挙げられる。
平均粒子径
有機紫外線吸収剤を内包した高分子マイクロカプセルにおいて、シェルは、外形が球形又は略球形であり、内部に空隙を有し、この空隙に有機紫外線吸収剤が内包されている。
マイクロカプセルの平均粒子径は、0.4〜10μm程度が好ましく、0.4〜5μm程度がより好ましく、0.4〜3μm程度がさらにより好ましい。上記範囲であれば、皮膚から吸収される恐れが無く、かつ化粧品成分として使用する場合にザラツキ感がない。
本発明において平均粒子径は、レーザー回折散乱法により測定した値であり、下記の方法で測定した値である。
(平均粒子径の測定方法)
レーザー回折散乱法により、レーザーの後方散乱を指標に粒子径を測定する。具体的には、濃厚系粒径アナライザーを用い、有機紫外線吸収剤を内包したマイクロカプセルを懸濁したスラリーを専用セルに入れ、高濃度用プローブを用いて測定し、キュムラント解析によって粒子径を算出する。
シェルの容積比率
マイクロカプセル全体に対するシェルの容積比率は、20%以上が好ましく、25%以上がより好ましく、30%以上がさらにより好ましい。また、90%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、70%以下がさらにより好ましい。シェルの容積比率が上記範囲であれば、実用上十分なシェルの機械的強度が得られ、かつ十分に成分を内包できる。本発明において、シェルの容積比率は、マイクロカプセル全体の容積に対するシェル部分の容積の比率である。
シェルの容積比率は、平均粒子径と透過型電子顕微鏡を用いて測定した5検体の平均シェル厚とから算出した値であり、具体的には下記の方法で測定した値である。
(シェルの容積比率の測定方法)
乾燥させた有機紫外線吸収剤内包マイクロカプセルを2%四酸化オスミウム水溶液で固定後、エタノールで脱水し、エポキシ樹脂に包埋後、ウルトラミクロトーム(t=80〜90nm)で超切片を作製し、四酸化ルテニウムで蒸気染色(室温:4時間)した後、透過型電子顕微鏡で作製した電顕写真を解析することによってシェル厚を求める。解析方法は、カプセル5検体を任意に選択し、各検体について電子顕微鏡写真の直径及びシェル厚を測定し、直径に対するシェル厚の比率(シェル厚/直径)の平均値を平均粒子径に乗じて各シェル厚を得、5検体の平均シェル厚を算出する。
平均粒子径(r)と平均シェル厚(s)とから、以下の式に従い、平均容積比率を算出する。
平均容積比率=((r−2s)/r)×100
(2)外用組成物
本発明の外用組成物は、有機紫外線吸収剤を内包した高分子マクロカプセルを含み、有機紫外線吸収剤の光耐久性が向上した外用組成物である。有機紫外線吸収剤を内包した高分子マクロカプセルは、上記説明したものを用いることができる。マイクロカプセル化することにより有機紫外線吸収剤の光分解又は変性が抑制されており、即ち、光耐久性が向上しているため、本発明の外用組成物は、日焼け止め効果が持続する。
外用組成物は、有機紫外線吸収剤を内包した高分子マクロカプセルを、化粧品、医薬部外品、又は医薬品に使用される基剤又は担体、及び必要に応じて添加剤や生理活性又は薬理活性化合物と混合して、化粧品、医薬部外品、又は医薬の外用剤とすることができる。
添加剤としては、例えば、酸化防止剤、界面活性剤、増粘剤、保存剤、pH調整剤、安定化剤、刺激軽減剤、防腐剤、着色剤、香料、及びパール光沢付与剤などが挙げられる。
生理活性又は薬理活性化合物としては、例えば、保湿成分、抗炎症成分、抗菌成分、ビタミン類、ペプチド又はその誘導体、細胞賦活化成分、老化防止成分、血行促進成分、角質軟化成分、美白成分、収斂成分などが挙げられる。
外用組成物には、マイクロカプセル化していない有機紫外線吸収剤を配合することができる。例えば、マイクロカプセル化した紫外線B波吸収剤を用いる場合は、マイクロカプセル化していない紫外線A波吸収剤を配合することができ、これにより、日焼け止め効果が向上し、また、日焼け止め効果が一層持続する。
また、外用組成物には、紫外線散乱剤を配合して日焼け止め効果を向上させることもできる。
外用組成物は、液体状、流動状、又は半固形状の性状の製剤とすることができる。このような剤型として、例えば、液剤、懸濁剤、乳剤(ミルク)、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤(ジェル剤)、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤、不織布に薬液を含浸させたシート剤などが挙げられる。中でも、乳剤、クリーム剤、ゲル剤(ジェル剤)が好ましい。
クリーム剤、乳剤のように、油性基剤と水性基剤とを含む場合は、W/O型でもよく、O/W型でもよいが、O/W型とすればサラっとした良好な使用感の外用組成物となる。有機紫外線吸収剤は一般に親油性が高いため水相に配合することが困難であるが、高分子マイクロカプセル化することで親水性が向上し、水相に配合できるようになる。このため、組成物の水相の比率を高くしても、十分に紫外線吸収効果を発揮できるだけの量の有機紫外線吸収剤を配合することができる。
外用組成物中の水の含有量は、組成物の全量に対して、10重量%以上、20重量%以上、又は30重量%以上とすることができる。また、95重量%以下、90重量%以下、又は80重量%以下とすることができる
医薬部外品や化粧品とする場合の用途としては具体的には、化粧下地、化粧水、乳液(ミルク)、ジェル、クリーム、美容液、日焼け止め用化粧料、ハンドクリームのような基礎化粧料;ファウンデーション、各種カラーなどのメークアップ化粧料などが挙げられる。
外用組成物中の、有機紫外線吸収剤を内包した高分子マクロカプセルの含有量は、組成物の全量に対して、1重量%以上、2重量%以上、3重量%以上、又は5重量%以上とすることができる。これにより、十分に紫外線吸収効果を発揮できる外用組成物となる。
また、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、又は15重量%以下とすることができる。これにより、他成分を十分に配合できる。
(3)有機紫外線吸収剤の光耐久性の向上方法
本発明は、有機紫外線吸収剤を高分子マイクロカプセルに内包させること、又は高分子マイクロカプセルでカプセル化することにより、有機紫外線吸収剤の光耐久性、耐光性、又は光安定性を向上又は改善する方法、光劣化を抑制又は軽減する方法、紫外線吸収能又は紫外線吸収効果を持続又は維持する方法を包含する。
有機紫外線吸収剤、高分子マイクロカプセル、内包方法、内包条件などは前述した通りである。
以下、本発明を、実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(1)被験サンプルの作製
実施例1
ポリビニルアルコールを水に溶解させて得た溶液に、有機紫外線吸収剤として、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、モノマー成分として架橋性モノマーのエチレングリコールジメタクリレート、補助ポリマーとしてポリスチレン、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を均一混合してなる溶液を混合し、懸濁重合処理を行った。重合終了後、遠心分離により紫外線吸収剤内包マイクロカプセルを回収した。
得られた紫外線吸収剤内包カプセルを、ポリビニルアルコール、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、1,3−ブチレングリコール、及びトリエタノールアミンを含有する水溶液に分散して、実施例1の外用組成物を得た。外用組成物中のパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル濃度は18重量%とした。
実施例2
シリカガラスを含むシェル内にパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを内包したマイクロカプセルであるEusolex UV Pearls OMC(メルク社)を水に分散して、実施例2の外用組成物を得た。外用組成物中のパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル濃度は18重量%とした。
実施例3
シリカガラスを含むシェル内にパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを内包したマイクロカプセルであるEusolex UV Pearls 2292(メルク社)を水に分散して、実施例3の外用組成物を得た。外用組成物中のパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル濃度は18重量%とした。
比較例1
パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを、その濃度が実施例1の外用組成物と同じ18重量%になるように、トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)で希釈して、比較例1の外用組成物を得た。
(2)有機紫外線吸収剤の光耐久性の評価
上記調製した各組成物を縦50mm、横50mmのポリメタクリル酸メチル(PMMA)平板に指で塗布した。次に、in vitro SPF評価装置を用いて、波長が290〜400nmの分光透過スペクトルを測定した。このとき、波長ステップを1nm、分光透過スペクトルの測定箇所は塗布部分の中央部分1箇所とし、測定回数は2.5分毎に7回とした。得られた分光透過スペクトルから、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルのλmax(310nm)の吸光度を算出し、測定1回目(測定開始直後)の吸光度を100%としたときの7回目(測定開始15分後)測定時の吸光度の割合(%)を算出した。各組成物について吸光度を3回測定し、吸光度の割合の平均値を求めた。
その結果、この吸光度の割合の平均値は、実施例1の組成物は85.3%、実施例2の組成物は87.6%、実施例3の組成物は80.0%であるのに対して、比較例1の組成物は49.5%であった。このように、高分子マイクロカプセル化した有機紫外線吸収剤を含む実施例1〜3の組成物は、光照射後に吸光度が約80〜85%も維持されていたのに対し、マイクロカプセル化していない有機紫外線吸収剤を含む比較例1の組成物では、光照射後に吸光度が約50%にまで低下した。
(3)製剤例
本発明の外用組成物の製剤処方例を以下の表1に示す。表1中の濃度の単位は「重量%」である。
Figure 2018076283
有機紫外線吸収剤を高分子マクロカプセル化することにより、強い光の照射下でも分解又は変性が抑制されるため、紫外線吸収効果が持続する。従って、有機紫外線吸収剤を内包した高分子マクロカプセルを日焼け止め化粧料などに配合すると、日焼け止め効果が長持ちする。

Claims (12)

  1. 有機紫外線吸収剤を内包して使用される高分子マイクロカプセルからなる、該有機紫外線吸収剤の光耐久性向上剤。
  2. 高分子マイクロカプセルのシェルが、架橋性モノマーの重合体又は共重合体、単官能性モノマーの重合体又は共重合体、架橋性モノマーと単官能性モノマーの共重合体、シリカガラス、及びポリペプチドからなる群より選ばれる1種以上を含有する、請求項1に記載の光耐久性向上剤。
  3. 高分子マイクロカプセルのシェルが、ポリ(エチレングリコールジメタクリレート)、エチレングリコールジメタクリレート/ジビニルベンゼン共重合体、ポリ(ジビニルベンゼン)、及びモノビニル芳香族モノマーの重合体又は共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項2に記載の光耐久性向上剤。
  4. 有機紫外線吸収剤が、紫外線B波吸収剤である、請求項1〜3の何れかに記載の光耐久性向上剤。
  5. 紫外線B波吸収剤が、メトキシ桂皮酸エステルである、請求項4に記載の光耐久性向上剤。
  6. 高分子マイクロカプセルと有機紫外線吸収剤の合計重量に対して、10〜80重量%の有機紫外線吸収剤を内包して使用される、請求項1〜5の何れかに記載の光耐久性向上剤。
  7. 有機紫外線吸収剤を内包し、該有機紫外線吸収剤の光安定性が向上した高分子マイクロカプセルを含む外用組成物。
  8. 高分子マイクロカプセルのシェルが、架橋性モノマーの重合体又は共重合体、単官能性モノマーの重合体又は共重合体、架橋性モノマーと単官能性モノマーの共重合体、シリカガラス、及びポリペプチドからなる群より選ばれる1種以上を含有する、請求項7に記載の外用組成物。
  9. 高分子マイクロカプセルのシェルが、ポリ(エチレングリコールジメタクリレート)、エチレングリコールジメタクリレート/ジビニルベンゼン共重合体、ポリ(ジビニルベンゼン)、及びモノビニル芳香族モノマーの重合体又は共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項8に記載の外用組成物。
  10. 有機紫外線吸収剤が、紫外線B波吸収剤である、請求項7〜9のいずれかに記載の外用組成物。
  11. 紫外線B波吸収剤が、メトキシ桂皮酸エステルである、請求項10に記載の外用組成物。
  12. 高分子マイクロカプセルが、高分子マイクロカプセルと有機紫外線吸収剤の合計重量に対して、10〜80重量%の有機紫外線吸収剤を内包している、請求項7〜11の何れかに記載の外用組成物。
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WO2021153651A1 (ja) * 2020-01-31 2021-08-05 株式会社資生堂 日焼け止め組成物

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