JP2018076239A - 植物用液状散布剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 農業や園芸の分野で使用される植物用液状散布剤であり、展着性が高く、かつ分散安定性に優れる植物用液状散布剤を提供する。【解決手段】 ケン化度が30〜60モル%で、アニオン性基を含有する変性ポリビニルアルコール系樹脂(A)を含有することを特徴とする植物用液状散布剤。【選択図】なし

Description

本発明は、農薬又は肥料などの活性成分の展着性および、かかる活性成分を含有する植物用液状散布剤の安定性に優れる植物用液状散布剤に関するものである。
農業や園芸の分野では、一般に、果実や野菜等の成長促進のための肥料及び有害生物を駆除するための農薬を、水で希釈してそのまま散布するといった処置が行われる。しかしながら、このように肥料や農薬を水で希釈してそのまま植物体上に散布すると、その肥料や農薬の活性成分が、降雨等により流亡したり、あるいは風により剥離脱落したりして、効果の持続性がしばしば損なわれる。
そこで、肥料や農薬の活性成分の植物体への付着性あるいは展着性を向上させる目的で、通常、肥料や農薬の水希釈液に展着剤が加えられる。展着剤としては、散布液の表面張力を下げ、濡れにくい虫体や作物に対する付着あるいは拡展性を向上させ肥料や農薬の効果を高める性質を有する、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、リグニンスルホン酸塩、ナフチルメタンスルホン酸塩等が汎用されているが、これらは水に非常になじみやすい性質を有するため、降雨等による流亡を抑えることはできない。
また、展着効果を示す展着剤として、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、パラフィン等を主成分とするものがあるが、使用濃度を高くしないと効果が発揮されなかったり、乾いた皮膜が水に溶けないため植物体上にいつまでも残留する、等の問題がある。さらに、これらの展着剤は、いずれも上記水希釈液中での溶解性が悪く、さらには配合量を多くしないと機能しないという問題もある。
これらの問題を解決するものとして、近年、ポリビニルアルコール(以下、ポリビニルアルコールをPVAという。)を含有する農薬活性成分の展着性組成物が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
かかる特許文献1に記載のPVAは、ケン化度が88モル%程度で、雨水などで流亡することから、改良が求められるものであった。そこで、ケン化度が30〜60モル%のPVA系樹脂を含有する農業用液状散布剤が提案されている(特許文献2参照。)。
しかしながら、上記特許文献2に記載の農業用液状散布剤は、展着性には満足いくものであったが、水に対する溶解性が低く、長時間放置するとPVA系樹脂が沈殿するといった問題があった。
特開平8−217604号公報 特開2015−134704号公報
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、農業や園芸において、植物に使用される液状散布剤であり、葉面などに対する展着性が高く、かかる液状散布剤を長時間放置しても、沈殿が生じない、即ち液状散布剤の安定性に優れる植物用液状散布剤を提供することである。
しかるに、本発明者等は、植物用液状散布剤中のPVA系樹脂において、ケン化度が30〜60モル%のPVA系樹脂の中でも特に、アニオン性基を含有する変性PVA系樹脂を用いることにより、展着性に優れ、更に液状散布剤の安定性にも優れることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ケン化度が30〜60モル%で、アニオン性基を含有する変性PVA系樹脂(A)を含有することを特徴とする植物用液状散布剤に関するものである。
本発明の植物用液状散布剤は、その散布剤中の特定のPVA系樹脂の作用により、活性成分の展着性及び液状散布剤の安定性に優れる。
そのため、特に、本発明の植物用液状散布剤は、葉面散布剤として好適に用いられる。
本発明の植物用散布剤は、低ケン化度のPVA系樹脂の中でもアニオン性基を含有する変性PVA系樹脂を用いていることから、親水性のアニオン性基の作用により、析出・沈殿はなく、水への分散安定性に優れ、尚且つ疎水性のアセチル基の作用により、降雨での流亡が抑制されるため、展着性及び液状散布剤の安定性に優れるものであると推測される。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の植物用液状散布剤は、ケン化度が30〜60モル%で、アニオン性基を含有する変性PVA系樹脂(A)を含有することを特徴とする。なお、「アニオン性基を含有する変性PVA系樹脂」を「アニオン変性PVA系樹脂」と略記することがある。
上記アニオン変性PVA系樹脂(A)のケン化度は、好ましくは31〜50モル%、特に好ましくは32〜40モル%である。
かかるケン化度が低すぎると、水に溶けなくなり、水溶性散布剤としての機能を果たさなくなり、一方、高すぎると展着性が低下することとなる。
なお、上記ケン化度は、JIS K 6726に準じて、残存酢酸ビニルの加水分解に要するアルカリ消費量で分析することにより得られる値である。
本発明の植物用液状散布剤では、上記アニオン変性PVA系樹脂(A)のアニオン性基含有量が、通常0.1〜10モル%のものが用いられ、好ましくは0.1〜3モル%、特に好ましくは0.2〜2モル%である。かかる含有量が少なすぎると本液状散布剤の安定性が低下する傾向があり、多すぎると展着性が低下する傾向がある。
更に、本発明の植物用液状散布剤に用いられるアニオン変性PVA系樹脂(A)の平均重合度は、通常100〜2000であり、特に好ましくは150〜1000、さらに好ましくは200〜800である。すなわち、アニオン変性PVA系樹脂(A)の平均重合度が低すぎると展着性が低下する傾向があり、逆に平均重合度が高すぎると溶解性が低下する傾向がある。
なお、平均重合度は、JIS K 6726に準拠して測定される。
本発明において、上記アニオン変性PVA系樹脂(A)は、アニオン性基を含有するものであり、かかるアニオン性基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基またはスルホン酸塩基、リン酸基等が挙げられる。
そして、かかるアニオン変性PVA(A)は、ビニルエステル系単量体とアニオン性不飽和単量体との重合体をケン化したり、PVA系樹脂を後変性したりして、製造することができる。
上記ビニルエステル系単量体としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等が挙げられる。中でも、経済性の観点から、酢酸ビニルが好適に用いられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いてもよい。
上記アニオン性不飽和単量体としては、例えば、カルボキシル基含有不飽和単量体、スルホン酸基またはスルホン酸塩基含有不飽和単量体、リン酸基含有不飽和単量体等が挙げられ、中でもカルボキシル基含有不飽和単量体が好ましい。
カルボキシル基含有不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有不飽和化合物、およびこれらのカルボキシル基が、アルカリ化合物(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)等の塩基によって、全体的あるいは部分的に中和されたもの、あるいはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、フマル酸モノメチル、マレイン酸モノメチル等の上記カルボキシル基含有不飽和化合物のモノアルキルエステル、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジエチル等、上記カルボキシル基含有不飽和化合物のジアルキルエステルが挙げられる。これらのエステルの炭素数は、経済性と実用性の点から通常炭素数1〜20、さらには炭素数1〜10が好ましく、特には炭素数1〜4が好ましい。これらの中でもマレイン酸系の化合物が好ましく、更にマレイン酸モノメチルが好ましい。
スルホン酸基またはスルホン酸塩基含有不飽和単量体としては、例えば、(I)下記一般式(1)で表されるオレフィンスルホン酸、(II)下記一般式(2)、(3)で表されるスルホアルキルマレート、(III)下記一般式(4)、(5)、(6)で表されるスルホアルキル(メタ)アクリルアミド、(IV)下記一般式(7)で表されるスルホアルキル(メタ)アクリレートなど、これらスルホン酸基またはそのスルホン酸塩基を挙げることができる。
上記のオレフィンスルホン酸またはスルホン酸塩基の具体例としては、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸又はその塩を挙げることができる。
Figure 2018076239
[式中、R1は炭素数1〜4のアルキレン鎖を示し、Mは水素原子又はアルカリ金属又はアンモニウム基を示す。]
Figure 2018076239
Figure 2018076239
[但し、上記一般式(2)、(3)においてR2は炭素数1〜3のアルキル基、nは2〜4の整数、Mは水素原子又はアルカリ金属又はアンモニウム基を示す。]
Figure 2018076239
Figure 2018076239
Figure 2018076239
[但し、上記一般式(4)〜(6)において、R3、R4、R5、R7、R8、R9、R10は水素又は炭素数1〜3のアルキル基、R6は炭素数1〜3のアルキル基、nは2〜4の整数、Mは水素原子又はアルカリ金属又はアンモニウム基を示す。]
Figure 2018076239
[但し、上記一般式(7)においてR11は水素又は炭素数1〜3のアルキル基、nは2〜4の整数、Mは水素原子又はアルカリ金属又はアンモニウム基を示す。]
また、上記のスルホアルキルマレートとして具体的には、ナトリウムスルホプロピル−2−エチルヘキシルマレート、ナトリウムスルホプロピル−2−エチルヘキシルマレート、ナトリウムスルホプロピルトリデシルマレート、ナトリウムスルホプロピルエイコシルマレート等が挙げられる。
また、上記のスルホアルキル(メタ)アクリルアミドとして具体的には、ナトリウムスルホメチルアクリルアミド、ナトリウムスルホt−ブチルアクリルアミド、ナトリウムスルホS−ブチルアクリルアミド、ナトリウムスルホt−ブチルメタクリルアミド等が挙げられる。
さらに、上記のスルホアルキル(メタ)アクリレートとして具体的には、ナトリウムスルホエチルアクリレート等が挙げられる。共重合により導入する場合、上記スルホン酸基を有する単量体の中でもオレフィンスルホン酸、又はその塩が好適に使用される。
また、リン酸基含有不飽和単量体としては、フスホノカルボン酸化合物またはそのアルカリ金属塩などが挙げられる。
更に本発明のアニオン変性PVA系樹脂(A)は、上記のアニオン性不飽和単量体以外にも、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アリルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のビニル基とエポキシ基を有する単量体;トリアリルオキシエチレン、ジアリルマレアート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリルオキシエタン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル基を2個以上有する単量体;酢酸アリル、アセト酢酸ビニルエステル、アセト酢酸アリルエステル、ジアセト酢酸アリルエステル等のアリルエステル系単量体;アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート;アセトアセトキシエチルクロトナート、アセトアセトキシプロピルクロトナート等のアセトアセトキシアルキルクロトナート;2−シアノアセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコール(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;アリル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(アルキル部分がC1〜C10アルキル基であり、好ましくはC1〜C6アルキル基);(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン;ブタジエン−1,3、2−メチルブタジエン、1,3又は2,3−ジメチルブタジエン−1,3、2−クロロブタジエン−1,3等のジエン系単量体;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、グリセリンモノアリルエーテル等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類、およびそのアシル化物などの誘導体;1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジプロピオニルオキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジブチロニルオキシ−2−メチレンプロパンなどのヒドロキシメチルビニリデンジアセテート類;アクリロニトリル等のニトリル類、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド類、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン等のビニルアルキルジアルコキシシラン;γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のγ−(メタ)アクリロキシプロピルトリアルコキシシラン;γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等のγ−(メタ)アクリロキシプロピルアルキルジアルコキシシラン;ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ヒドロキシメチルビニリデンジアセテートが挙げられる。ヒドロキシメチルビニリデンジアセテートの具体的な例としては、1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジプロピオニルオキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジブチロニルオキシ−2−メチレンプロパン等が挙げられる。
また、3,4−ジヒドロキシ−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、3−アシロキシ−4−ヒドロキシ−1−ブテン、4−アシロキシ−3−ヒドロキシ−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン、4,5−ジヒドロキシ−1−ペンテン、4,5−ジアシロキシ−1−ペンテン、4,5−ジヒドロキシ−3−メチル−1−ペンテン、4,5−ジアシロキシ−3−メチル−1−ペンテン、5,6−ジヒドロキシ−1−ヘキセン、5,6−ジアシロキシ−1−ヘキセン、グリリンモノアリルエーテル、2,3−ジアセトキシ−1−アリルオキシプロパン、2−アセトキシ−1−アリルオキシ−3−ヒドロキシプロパン、3−アセトキシ−1−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、グリセリンモノビニルエーテル、グリセリンモノイソプロペニルエーテル、ビニルエチレンカーボネート、2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン等のジオールを有する化合物などが挙げられる。これらの単量体は、単独で、又は2種以上を併用してもよい。
また、後変性の方法としては、PVA系樹脂をアセト酢酸エステル化、アセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化、オキシアルキレン化する方法等が挙げられる。
そして、本発明で用いられるアニオン変性PVA系樹脂(A)のなかでも、水に対する親和性を高くするために、更に、ノニオン性の親水性変性基を含有させることが好ましい。ノニオン性親水性変性基としては、例えば、オキシアルキレン基、アセトアセチル基、ジアセトンアクリルアミド構造単位、メルカプト基、シラノール基、側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂に一級水酸基を有する変性基含有PVA系樹脂等が挙げられ、中でも水への溶解性の点で、オキシアルキレン基が好ましい。
オキシアルキレン基含有PVA系樹脂の構造や製造方法については、特開2015−117286号公報の段落〔0013〕〜〔0025〕に記載の通りである。
本発明のアニオン変性PVA系樹脂に更に、ノニオン性でかつ親水性の変性基を導入する場合のノニオン性親水性変性基の変性率は、通常0.1〜10モル%、好ましくは0.5〜5モル%、特に好ましくは1〜2モル%である。かかる変性率が小さすぎると液状散布剤の安定性が低下する傾向があり、大きすぎると展着性が低下する傾向がある。
また、本発明の植物用液状散布剤に用いられる薬剤としては、上記散布剤の活性成分のもととなる薬剤、すなわち、農薬、肥料、除草剤、防虫剤等の、植物に対して展着性が必要な薬剤が使用される。かかる薬剤は、水やアルコールに溶解または分散するものであれば使用することができるが、本発明の植物用液状散布剤に使用される特定PVA系樹脂に対して非反応性のものを使用する必要がある。
本発明の植物用液状散布剤には、変性PVA系樹脂、溶媒、薬剤の他、必要に応じ、乳化剤、水和剤、フロアブル剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤等の、他の成分が添加される。ただし、かかる他の成分の配合量は、植物用液状散布剤全体の10重量%以下が好ましい。
ここで、本発明の植物用液状散布剤は、例えば、(1)アニオン変性PVA系樹脂溶液と薬剤溶液とを混合する、(2)アニオン変性PVA系樹脂溶液に粉末の薬剤を入れて混合する、(3)薬剤溶液にアニオン変性PVA系樹脂粉末を入れて混合する、といった方法により調製することができる。薬剤の分散性や調製の簡便さの点で(1)に示す方法により調製することが好ましい。
このようにして得られた本発明の植物用液状散布剤における、特定PVA系樹脂の濃度は、通常0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは1〜10重量%である。すなわち、このような濃度になるよう調製することにより、展着性、散布性等に優れるようになるからである。
また、本発明の植物用液状散布剤における、その活性成分のもととなる薬剤の濃度は、通常0.1〜5000重量ppm、好ましくは1〜1000重量ppm、更に好ましくは10〜500重量ppmである。すなわち、このような濃度になるよう調製することにより、薬剤の活性成分が有効に機能するようになるからである。
そして、本発明の植物用液状散布剤は、葉面、茎、果実への散布剤、水耕用の散布剤等として用いることができる。特に、葉面散布剤として好適に用いられる。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、「部」、[%]などは重量基準である。
〔実施例1〕
<PVA系樹脂(1)の作製>
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル100部、メタノール811重量部、平均鎖長n=15のポリオキシエチレンアリルエーテル14部(2モル%対仕込み酢酸ビニル)、マレイン酸モノメチル2部(2モル%対仕込み酢酸ビニル)を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.35モル%(対仕込み酢酸ビニル)投入し、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。さらに、14時間かけて、酢酸ビニル900部、メタノール359部、マレイン酸モノメチル20部を滴下、14時間かけて、ポリオキシエチレンアリルエーテル124重量部を滴下、また重合開始13時間後にアゾビスイソブチロニトリルを0.17モル%(対仕込み酢酸ビニル)追加し、酢酸ビニルの重合率が90%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを所定量添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込みつつ蒸留することで未反応の酢酸ビニル単量体を系外に除去し、共重合体のメタノール溶液を得た。次いで、上記メタノール溶液を、濃度40%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位1モルに対して10ミリモルとなる割合で加えてケン化を1.5時間行った。中和用の酢酸を水酸化ナトリウムの0.8当量添加した後、攪拌しながら過熱してメタノールを完全に追い出した後、水を追加 して溶解し、40%水溶液のオキシアルキレン基含有マレイン酸変性PVA系樹脂[PVA系樹脂(1)]を得た。得られたPVA系樹脂(1)のケン化度は、残存酢酸ビニルの加水分解に要するアルカリ消費量で分析を行ったところ35モル%であり、平均重合度は、JIS K6726に準拠して分析を行ったところ、280であった。また、上記PVA系樹脂(1)のマレイン酸基の含有量は、単量体の仕込み量から1.5モル%で、オキシアルキレン基含有量は、単量体の仕込み量から1.8モル%とした。
上記のようにして得られたPVA系樹脂(1)を、水に溶解し、5%濃度のPVA溶液となるように調製した。そして、かかるPVA溶液100部に、液体肥料(住友化学園芸株式会社製、オルトラン水和剤)を指定濃度に希釈して5部添加し、植物用液状散布剤を調製した。
〔比較例1〕
<PVA系樹脂(2)の作製>
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル1000部、メタノール9580部、平均鎖長n=10のポリオキシエチレンアリルエーテル237部(2モル%対仕込み酢酸ビニル)を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.079モル%(対仕込み酢酸ビニル)投入し、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。さらに、13時間かけて、酢酸ビニル1410部、メタノール3195部、ポリオキシエチレンアリルエーテル2130部を滴下、また重合開始4時間後にアゾビスイソブチロニトリルを0.079モル%(対仕込み酢酸ビニル)追加し、酢酸ビニルの重合率が94%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを所定量添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込みつつ蒸留することで未反応の酢酸ビニル単量体を系外に除去し、共重合体のメタノール溶液を得た。次いで、上記メタノール溶液を、濃度40%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位1モルに対して10ミリモルとなる割合で加えてケン化を1.5時間行った。中和用の酢酸を水酸化ナトリウムの0.8当量添加した後、攪拌しながら過熱してメタノールを完全に追い出した後、水を追加 して溶解し、40%水溶液のオキシアルキレン基含有PVA系樹脂[PVA系樹脂(2)]を得た。得られたPVA系樹脂(2)のケン化度は、残存酢酸ビニルの加水分解に要するアルカリ消費量で分析を行ったところ41モル%であり、平均重合度は、JIS K6726に準拠して分析を行ったところ、280であった。また、上記PVA系樹脂(2)のオキシアルキレン基含有量は、単量体の仕込み量から1.7モル%とした。
上記のようにして得られたPVA系樹脂(2)を、水に溶解し、5%濃度のPVA溶液となるように調製した。そして、かかるPVA溶液100部に、液体肥料(住友化学園芸株式会社製、オルトラン水和剤)を指定濃度に希釈して5部添加し、植物用液状散布剤を調製した。
〔比較例2〕
<PVA系樹脂(3)の作製>
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル1000部、メタノール300部を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.079モル%(対仕込み酢酸ビニル)投入し、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。さらに、重合開始2時間後、4時間後にそれぞれアゾビスイソブチロニトリルを0.079モル%(対仕込み酢酸ビニル)追加し、酢酸ビニルの重合率が94%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを所定量添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込みつつ蒸留することで未反応の酢酸ビニル単量体を系外に除去し、共重合体のメタノール溶液を得た。次いで、上記メタノール溶液を、濃度50%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位1モルに対して10ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、粒子状となった時点で、中和用の酢酸を水酸化ナトリウムの0.8当量添加し、濾別、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、未変性PVA系樹脂[PVA系樹脂(3)]を得た。得られたPVA系樹脂(3)のケン化度は、残存酢酸ビニルの加水分解に要するアルカリ消費量で分析を行ったところ34モル%であり、平均重合度は、JIS K 6726に準拠して分析を行ったところ、300であった。
上記のようにして得られたPVA系樹脂(3)を、水に溶解し、5%濃度のPVA水溶液となるように調製した。そして、かかるPVA水溶液100部に、液体肥料(住友化学園芸株式会社製、オルトラン水和剤)を指定濃度に希釈して5部添加し、植物用液状散布剤を調製した。
このようにして得られた実施例および比較例の植物用液状散布剤に関し、下記の基準に従って分散安定性評価及び展着性評価を行った。その結果を、後記の表1に併せて示す。
≪展着性評価≫
植物用液状散布剤を植物(ベンジャミンエスタ)の葉面に対し、霧吹きにて植物用液状散布剤を散布した。そして、24時間放置後、その葉面(植物用液状散布剤の散布面)に対し、霧吹きにて水を噴きかけた。そして、落ちずに残った展着面を目視観察し、その固着面が、葉面(植物用液状散布剤の散布面)の面積に対して80%以上残ったものを「○」と評価した。なお、葉面(植物用液状散布剤の散布面)の面積に対して30%以上80%未満残ったものを「△」、30%未満しか残らなかったものを「×」と評価した。
≪分散安定性評価≫
植物用液状散布剤を調製後、4日間室温で静置させた。静置後の様子を目視で観察し、分散しているものを「○」、沈殿が生じているものを「×」と評価した。
Figure 2018076239
本発明の植物用散布剤を用いた実施例1においては、分散安定性、展着性両方に優れるものであった。一方、ノニオン変性PVAを用いた比較例1や未変性PVAを用いた比較例2では、展着性には優れるものの分散安定性に劣るものであった。
本発明の植物用液状散布剤は、アニオン変性PVA系樹脂(A)を含有してなるため、展着性が高く、かつ散布性に優れることから、農業や園芸の分野で使用される液状散布剤、例えば、葉面、茎、果実等への散布剤への適用に有効である。

Claims (4)

  1. ケン化度が30〜60モル%で、アニオン性基を含有する変性ポリビニルアルコール系樹脂(A)を含有することを特徴とする植物用液状散布剤。
  2. 変性ポリビニルアルコール系樹脂(A)が、更にノニオン性の親水性変性基を含有することを特徴とする請求項1記載の植物用液状散布剤。
  3. 変性ポリビニルアルコール系樹脂(A)の平均重合度が、100〜2000であることを特徴とする請求項1または記載の植物用液状散布剤。
  4. 植物用液状散布剤が葉面散布剤である、請求項1〜3いずれか記載の植物用液状散布剤。
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