以下、本開示の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明、例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明等は省略する場合がある。
なお、以下の説明および参照される図面は、当業者が本開示を理解するために提供されるものであって、本開示の請求の範囲を限定するためのものではない。
<方向の定義>
まず、以下の実施の形態における方向について定義する。飲料製造装置1の前面とユーザとが正対した時の左から右、あるいは右から左に向かう軸に沿った方向を左右方向と定義する。また、飲料製造装置1の前面とユーザとが正対した時の飲料製造装置1の前面から背面、あるいは背面から前面に向かう方向を前後方向と定義する。また、飲料製造装置1の前面とユーザとが正対した時の飲料製造装置1の底面から上面、あるいは上面から底面に向かう方向を上下方向と定義する。以下では、左右方向、前後方向および上下方向に沿った軸を、それぞれx軸、y軸、z軸と称する場合がある。
<1.第1の実施の形態>
<1−1.飲料製造装置1の概略構成>
図1は、飲料製造装置1の斜視図である。飲料製造装置1は、例えば業務用であって店舗等に設置される。飲料製造装置1は、本体2と、ドア3と、ボタン群4(点線で囲まれた部分を参照)と、キャニスタ5と、ミルク保冷庫6と、ノズルユニット7と、ドリップトレイ8と、を備えている。
ドア3は、本体2の前面に、開閉自在に取り付けられる。ボタン群4は、ドア3の前面に配置される。ボタン群4に含まれる複数のボタンには、飲料製造装置1が提供可能な飲料の種類(エスプレッソコーヒー、ドリップコーヒー(ホット・アイス)、カフェラテ(ホット・アイス)、カプチーノ(ホット・アイス)等)がそれぞれ割り当てられている。所望の飲料が割り当てられたボタンがユーザにより操作されると、飲料製造装置1は、操作されたボタンに割り当てられた飲料を製造して提供する。なお、本実施の形態における飲料製造装置1は、コーヒーを用いた飲料を製造するものとする。
キャニスタ5は、本体2の上面に取り付けられ、コーヒー豆を保存する。ミルク保冷庫6は、少なくとも一個のミルクパック9(後述の図3を参照)を収容して低温で保存する。
ノズルユニット7は、本体2の前面に設けられ、本体2の内部で製造された飲料を下方に向けて吐出する。また、ノズルユニット7は、ミルクパック9から供給されたミルクを用いてフォームドミルク(ホット・コールド)、スチームミルク(ホット)、コールドミルク等を生成して下方に向けて吐出する。これらのミルクと本体2の内部で製造された飲料とがノズルユニット7からそれぞれ別々に吐出され、容器10内で混ぜ合わせられることにより多様な飲料が生成される。
ドリップトレイ8は、本体2の下端部から前方に突出している。ノズルユニット7から吐出される飲料は、ドリップトレイ8に載置された飲料の容器10に提供される。また、
ドリップトレイ8は、ノズルユニット7から垂れたり、容器10からこぼれたりした飲料を収集し貯留する。
後述する図2に示すように、本体2の内部には、キャニスタ5に保存されたコーヒー豆を使ってコーヒーを生成するコーヒー抽出部21が設けられている。また、後述する図3に示すように、本体2の内部には、蒸気供給部22と、空気供給部24と、洗浄用水供給部25がさらに設けられている。また、本体2の外部にはミルク供給部23が設けられている。なお、本件出願人は、コーヒー抽出部と、蒸気供給部、ミルク供給部および空気供給部に関しては、特開2013−165814号公報等に開示している。よって、本実施形態において、特開2013−165814号公報等の開示内容に相当する部分に関しては、簡単に説明する。
図2は、コーヒー抽出部21の構成を示す図である。コーヒー抽出部21は、図2に示すように、湯タンク211と、湯ポンプ212と、フィルタ213と、給湯弁214と、コーヒー側給湯配管215と、昇降装置216と、シリンダユニット217と、キャップ218と、コーヒー液配管2212と、ミル2213と、を有する。
湯タンク211は、大気開放型のタンクであって、所定量の飲料水を、内蔵のヒータ(図示せず)により所定温度に加熱した状態で貯留する。
湯ポンプ212は、湯タンク211内の湯を加圧して排出させるポンプである。湯ポンプ212の排出口にはコーヒー側給湯配管215の上流端が接続される。コーヒー側給湯配管215には、フィルタ213と、電磁弁等からなる給湯弁214とが、上流側からこの順番で設けられる。コーヒー側給湯配管215の下流端は、後述のシリンダ219の給湯口に挿抜可能に接続される。
シリンダユニット217は、上下方向に移動可能に構成され、シリンダ219と、ピストン2210と、を有する。シリンダ219の上面は開口し、シリンダ219の下端部近傍の側面には給湯口が形成される。ピストン2210は、通水性を有しており、シリンダ219の内部空間を移動可能である。
キャップ218は、シリンダユニット217の上方に設けられ、上昇してきたシリンダ219に填め込まれてその開口を塞ぐ。シリンダ219を塞いだキャップ218の下面、シリンダ219の内周面およびピストン2210の上面で囲まれた空間がコーヒー液の抽出室を形成する。
キャップ218には、キャップ218の下面から上面まで貫通する抽出孔2211が形成される。この抽出孔2211を、抽出室内で得られたコーヒー液が通過する。この抽出孔2211の上端は、コーヒー液配管2212を介してコーヒー用ノズル72に流体連通するように接続される。
本体2内部の上方にはミル2213が設けられる。ミル2213は、キャニスタ5に収容されたコーヒー豆を粉砕して挽き豆を生成する。
次に、コーヒー抽出部21の動作を説明する。ボタン群4(図1を参照)のうちの特定のボタンが操作されると、ミル2213は挽き豆を生成する。生成された挽き豆は上述の抽出室に投入される。
次に、昇降装置216によりシリンダユニット217が上昇させられ、シリンダ219の開口内にキャップ218が押し込まれる。これにより、抽出室内の挽き豆は、ピストン2210とキャップ218との間で圧縮される。
次に、湯ポンプ212が運転され、かつ、給湯弁214が開いて、湯タンク211から、所定量の湯がシリンダ219内に加圧供給される。その結果、高濃度のコーヒー液が得られる。ここで、フィルタ213と給湯弁214の間には、図示しない流量計が設けられており、この流量計が、シリンダ219への湯の供給量を測定している。得られたコーヒー液は、キャップ218から送り出され、コーヒー液配管2212を介してコーヒー用ノズル72から排出される。その後、ドリップトレイ8(図1を参照)に載置された容器10に注がれる。
次に、本体2の内部および外部に設けられた蒸気供給部22、ミルク供給部23、空気供給部24、洗浄用水供給部25の構成について説明する。図3は、蒸気供給部22、ミルク供給部23、空気供給部24、洗浄用水供給部25の構成を示す図である。
図3に示すように、蒸気供給部22は、電磁ポンプ221と、ミルク側給湯配管222と、ボイラ223と、蒸気用配管224と、三方弁225と、を有する。なお、湯タンク211は、コーヒー抽出部21と共用されればよい。
湯タンク211内の湯は、電磁ポンプ221の運転により、ミルク側給湯配管222を介してボイラ223に供給される。ボイラ223は、内蔵の電気ヒータ(図示せず)により常時一定の温度になるよう制御されており、電磁ポンプ221の運転により供給された湯を用いて蒸気を生成する。生成された蒸気は、蒸気用配管224および三方弁225を介して、ホットミルク用ノズル710に供給される。
また、図3に示すように、ミルク供給部23は、上述のミルク保冷庫6に加え、ミルク供給配管231を有する。
ミルク供給配管231の上流端は、ミルク保冷庫6に収納されたミルクパック9の内部に挿入される。また、ミルク供給配管231の下流端は、後述するギヤポンプ74(図5等参照)のミルク用入口746に流体連通するように接続される。
また、図3に示すように、空気供給部24は、エアポンプ241と、空気供給配管242と、空気弁243と、を有する。
エアポンプ241は、図示しないモータにより駆動され、外部の空気を吸入して、空気供給配管242に送り出す。空気供給配管242の下流端は、後述する洗浄用水供給部25のT字分岐部253に流体連通するように接続される。また、空気供給配管242の途中には、電磁弁等からなる空気弁243が設けられる。空気弁243が開放されると、エアポンプ241から送り出された空気が空気供給配管242を介してT字分岐部253に供給される。
洗浄用水供給部25は、洗浄用ポンプ251と、洗浄用水供給配管252と、T字分岐部253と、共通配管254と、を有する。洗浄用ポンプ251は、湯タンク211に接続され、後述するミルクフォーマ73の洗浄に用いるための湯を湯タンク211から洗浄用水供給配管252に供給する。洗浄用水供給配管252の下流端は、T字分岐部253に流体連通するように接続される。
T字分岐部253は、空気供給配管242の下流端と、洗浄用水供給配管252の下流端と、後述する共通配管254の上流端と、に接続される。換言すれば、T字分岐部253は、エアポンプ241と、洗浄用ポンプ251と、後述するギヤポンプ74の共用入口747と、に流体連通するように接続される。T字分岐部253は、空気供給配管242からの空気や、洗浄用水供給配管252からの洗浄用水を共通配管254を介してギヤポンプ74に供給する。
なお、T字分岐部253は、洗浄用水の洗浄用ポンプ251方向への逆流を防止するため、その分岐部分に図示しない三方切替弁を有していてもよい。この三方切替弁は、例えば電磁弁により構成されればよい。あるいは、洗浄用ポンプ251が閉止能力を有する場合には、逆流を防止できるので、T字分岐部253は三方切替弁を有していなくてもよい。
このように、飲料製造装置1において飲料を製造する場合には、エアポンプ241が動作して空気を空気供給配管242からT字分岐部253および共通配管254を通ってギヤポンプ74に供給するが、ミルクフォーマ73の洗浄を行う場合には、洗浄用ポンプ251が動作して洗浄用水を洗浄用水供給配管252からT字分岐部253および共通配管254を通ってギヤポンプ74に供給する。飲料製造装置1において、ミルクフォーマ73の洗浄を行う場合の飲料製造装置1の動作については、後に詳しく説明する。
図4は、T字分岐部253の構成の一例を示す図である。図4に示すように、T字分岐路は、T字管2531と、3つのチューブ2532、2533、2534を有する。
T字管2531は、T字型の管状の部材であって、例えば樹脂や金属で形成される。T字管2531には、エアポンプ241および洗浄用ポンプ251が閉止能力を有しない場合は、図示しない開閉弁(電磁弁)が設けられる。
チューブ2532〜2534は、T字管2531の三方に取り付けられる。チューブ2532〜2534は、例えばゴムや樹脂等の比較的柔らかい素材で形成されることが望ましい。チューブ2532は、一端が空気供給配管242に、他端がT字管2531の一方に接続される。チューブ2533は、一端が洗浄用水供給配管252に、他端がT字管2531の一方に接続される。チューブ2534は、一端が共通配管254に、他端がT字管2531の一方に接続される。チューブ2534は、ある程度の長さ(例えば数十mm〜百数十mm程度)を有して形成される。チューブ2532、2533の長さは、例えば飲料製造装置1の大きさ等に基づいて適宜調整されればよい。
T字分岐部253は、このように三方、すなわち洗浄用水供給配管252、空気供給配管242、および共通配管254のそれぞれとチューブ2532〜2534によって接続されている。このため、例えばチューブ2534をT字管2531から引き抜くことで、チューブ2534部分における取り外しを容易に行うことができる。これにより、例えば飲料製造装置1を分解洗浄する際に、取り外しおよび取り付けに要する手間および時間を短縮することができる。
<1−2.ノズルユニットおよびこれに関連する構成>
次に、図1および図5から図12を参照して、ノズルユニット7の詳細な構成について説明する。ノズルユニット7は、図1および図5に示すように、本体2の前面に設けられ、カバー71と、コーヒー用ノズル72と、ミルクフォーマ73と、を含む。なお、図5にはカバー71は示されていない。ミルクフォーマ73は、図5から図12に示すように、ギヤポンプ74と、分岐部75と、バルブ76と、コールドミルク用ノズル77と、調質器78と、ミルクフォーマ内のミルク用流路79と、ホットミルク用ノズル710と、を有する。なお、コールドミルク用ノズル77およびホットミルク用ノズル710は、ミルク用ノズルの一例である。
ギヤポンプ74は、ミルクを移送する移送ポンプであって、図7および図8に示すように、ケース741と、大径ギヤ742と、小径ギヤ743と、蓋744と、を有する。
大径ギヤ742および小径ギヤ743は、互いに噛み合った状態でケース741内に収容される。また、大径ギヤ742には、ポンプ側磁石745が内蔵される。
図9は、大径ギヤ742および小径ギヤ743の寸法と、ケースの内部空間の寸法とを示す図である。本実施の形態では、図9に示すように、大径ギヤ742および小径ギヤ743の歯先円直径をOD1、OD2とし、両ギヤ742、743の歯底円直径をRD1、RD2とする。また、両ギヤ742、743の歯幅(y軸方向幅)は互いに実質同じであり、W(図示せず)とする。
ケース741は、例えば樹脂等のような非磁性材料で作製される。このケース741によって、両ギヤ742、743を収容する内部空間IS1が形成される。この内部空間IS1は、図9に示すように、大径側円弧面S1と、小径側円弧面S2と、底面S3と、上面S4と、前面S5とで定義される。
円弧面S1、S2は、y軸方向から正面視した場合に、半径が概ねOD1/2、OD2/2の円弧をなす辺を含む円弧状の面である。
底面S3は、正面視した場合に、両円弧面S1、S2の歯先円に接する下方側の2つの接線(図9における紙面に垂直な2つの線分)を含む面である。それに対し、上面S4は、上方側の2つの接線(図9における紙面に垂直な2つの線分)を含む面である。前面S5は、面S1〜S4で囲まれた空間IS1を本体2の前面側(図9における手前側)で閉止する面である。
なお、内部空間IS1は、上記寸法に対して公差程度の差を有していてもよい。また、ギヤポンプ74の設計段階で、上記寸法に対して若干余裕を持つように設計されてもよい。
また、ケース741は、図7、図8および図9に示すように、ミルク用入口746と、共用入口747と、ミルク用出口748と、を有する。ミルク用入口746は、ケース741の上面S4に形成された貫通孔を介してギヤポンプ74の内部空間IS2と流体連通可能な円筒または管状の部材である。なお、内部空間IS2とは、ギヤポンプ74の内部空間IS1のうち、上面S4と、大径ギヤ742および小径ギヤ743で囲まれた空間(図9の斜線部分)である。ミルク用入口746には、上述のミルク供給配管231の下流端が流体連通可能に接続される。
共用入口747は、ケース741に形成された貫通孔を介してギヤポンプ74の内部空間IS2と流体連通可能な円筒または管状の部材である。共用入口747には、上述の共通配管254の下流端が流体連通可能に接続される。
なお、本実施の形態では、共用入口747は、ミルク用入口746と同様に、ギヤポンプ74の内部空間IS2と流体連通可能に構成されている。ミルク用入口746および共用入口747は、上面S4の中央またはその近傍に形成されることが好ましい。
ミルク用出口748は、ケース741の底面S3に形成された貫通孔である。このミルク用出口748は、分岐部75と流体連通可能である。ミルク用出口748は、底面S3の中央またはその近傍に形成されることが好ましい。
以上のケース741は、図7等に示すように、内部空間IS1の底面S3がxy平面と平行になるよう本体2の前面に取り付けられる。そして、蓋744は、両ギヤ742、743が収容されたケース741の開口部分を閉止する。蓋744には図示しないOリングが取付けられ、このOリングによって蓋744とケース741間が密閉される。
大径ギヤ742を回転させるために、本体2には、図6から図8に示すように、ギヤポンプ用モータ26が内蔵される。ギヤポンプ用モータ26は、回転軸261と、モータ側磁石262と、を有する。モータ側磁石262は、大径ギヤ742に内蔵されたポンプ側磁石745(図7を参照)とマグネットカップリングして、ギヤポンプ用モータ26で生成された駆動トルクをポンプ側磁石745に伝達する。これにより、ポンプ側磁石745が内蔵された大径ギヤ742が回転し始め、小径ギヤ743が大径ギヤ742に従動回転する。
大径ギヤ742は、ミルクフォーマ73において飲料を製造する時には、ギヤポンプ用モータ26によって、本飲料製造装置1の正面から見て時計回りに回転される(図9に示す矢印aを参照)。これに伴い、小径ギヤ743は、同方向から見て反時計回りに回転する(図9に示す矢印bを参照)。ギヤポンプ74がこの回転方向に回転することを、以下では、ギヤポンプ74が順回転すると記載する。ギヤポンプ74の順回転は第1の方向への回転の一例である。なお、本実施の形態では、小径ギヤ743は大径ギヤ742に従動回転する。
ギヤポンプ74の順回転時には、ミルク用入口746あるいは共用入口747からケース741内に流入した液体あるいは空気は、回転する大径ギヤ742および小径ギヤ743により、大径ギヤ742および小径ギヤ743の外側(噛み合っていない側)を通って、ミルク用出口748付近へと移送される。これにより、ミルク用入口746あるいは共用入口747からケース741内に流入した液体あるいは空気を、ミルク用出口748から流出させることができる。なお、大径ギヤ742および小径ギヤ743の外側とは、大径ギヤ742および小径ギヤ743の外周部のうち、ケース741の内壁に近い側を意味する。
一方、ギヤポンプ74の逆回転時には、大径ギヤ742は、ギヤポンプ用モータ26によって、本飲料製造装置1の正面から見て反時計回りに回転される。これに伴い、小径ギヤ743は、同方向から見て時計回りに回転する。なお、ギヤポンプ74の逆回転は第2の方向への回転の一例である。
ギヤポンプ74の逆回転時には、共用入口747からギヤポンプ74の内部空間IS2に流入した液体は、大径ギヤ742および小径ギヤの回転によって、ミルク用入口746からミルクパック9側へ逆流する。
分岐部75は、図10に示すように、前後方向に延在する円筒または管状の部材である。この分岐部75には円柱形状の内部空間IS3が形成される。分岐部75の上部前寄りには、ミルク用出口748と流体連通する入口751が形成される。分岐部75の下部後端側には、コールドミルク用ノズル77と流体連通する第1出口752が形成される。分岐部75の前端には、後述のミルク用流路79と流体連通するように第2出口753が形成される。分岐部75の後端は、後述のバルブ76が挿入される開口754が形成されている。
バルブ76は、分岐部75の内部空間IS3の開口754に挿入され、ほぼ円柱形状の回転体761を有する。この回転体761の外周面(換言すると、側面)には、第1リング溝762と、第2リング溝763とが形成される。第1リング溝762の軸芯はy軸と平行であるが、第2リング溝763の軸芯は、y軸と非平行で、x軸方向からの平面視でy軸に対し斜めになっている。以上の第1リング溝762および第2リング溝763には、図11に示すように、第1Oリング764および第2Oリング765が取り付けられる。なお、図10には、便宜上、Oリング764、765は示されておらず、図11には、便宜上、リング溝762、763は示されていない。
ここで、両Oリング764、765の間のy軸方向における空間距離(以下、リング間距離という)dは、図11に示すように、バルブ76の周面上の位置(換言すると、バルブ76の中心軸からの方位)により異なる。従って、回転体761の回転により、図11上段に示すように、リング間距離dの最短の部分が上方を向いた時、入口751と第2出口753とが流体連通し(一点鎖線の矢印を参照)、図11下段に示すように、この最短部分が下方を向いた時、入口751と第1出口752とが流体連通する(一点鎖線の矢印を参照)。
また、バルブ76の回転のために、図11に示すように、バルブ76の後端には、バルブ側ギヤ766が取り付けられる。より具体的には、バルブ側ギヤ766は、自身の回転軸と、バルブ76の中心軸とが軸合わせされた状態で取り付けられる。ここで、ミルクフォーマ73を本体2に取り付け容易にするために、バルブ側ギヤ766が本体2に対し挿抜可能になっていることが好ましい。
バルブ76の回転のために、本体2には、図5および図6に示すように、バルブ用モータ27が内蔵される。バルブ用モータ27は、図12に示すように、回転軸271と、モータ側ギヤ272と、を有する。モータ側ギヤ272は、図12に示すように、回転軸271の先端に固定され、バルブ側ギヤ766と噛み合う。
コールドミルク用ノズル77は、分岐部75を介してケース741に一体的に取り付けられている。このコールドミルク用ノズル77は、図10に示すように、上下方向に延在する円筒または管状の部材である。このコールドミルク用ノズル77には円柱形状の内部空間IS4が形成される。コールドミルク用ノズル77の上端には、第1出口752と内部空間IS4とを流体連通させる入口が形成される。また、コールドミルク用ノズル77の下端は内部空間IS4と流体連通するように開口し、この開口から内部空間IS4に調質器78が挿入される。
ミルク用流路79の上流端は第2出口753と流体連通可能に接続され、その下流端はホットミルク用ノズル710と流体連通可能に接続される。ホットミルク用ノズル710は、図6に示すように、蒸気用配管224の下流端と流体連通可能に接続される。
<1−3.ミルクフォーマの動作(スチームミルク作成時)>
次に、上記構成のミルクフォーマ73の動作例について説明する。図13は、飲料製造装置1の各部を制御する制御部12を例示した図である。制御部12は、本体2の図示しない内部に設けられ、ボタン受付部121、湯ポンプ制御部122、エアポンプ制御部123、洗浄用ポンプ制御部124、ギヤポンプ用モータ制御部125、バルブ用モータ制御部126を有する。エアポンプ制御部123は、エアポンプ241の駆動を制御する。洗浄用ポンプ制御部124は、洗浄用ポンプ251の駆動を制御する。ギヤポンプ用モータ制御部125は、ギヤポンプ用モータ26の駆動を制御し、ギヤポンプ74を動作させる。バルブ用モータ制御部126は、バルブ用モータ27の駆動を制御する。
なお、制御部12は、例えばCPUおよびメモリを有し、CPUがメモリからプログラムを読み出し、これを実行することにより、本実施の形態にて説明する制御を行っている。
ボタン受付部121は、ボタン群4等に対する飲料製造装置1の使用者の操作を受け付ける。ボタン受付部121が、ボタン群4のうちの特定のボタンが操作され、操作されたボタンがスチームミルクを使用した飲料であったと判定した場合、制御部12の他の構成は、以下のような制御を行う。
まず、バルブ用モータ制御部126は、バルブ用モータ27を駆動する。これにより、回転軸271が回転する。回転軸271に生じた力は、先端のモータ側ギヤ272およびバルブ側ギヤ766を介して、バルブ76に伝達される。スチームミルクを生成する場合、バルブ用モータ制御部126は、バルブ用モータ27を制御して、リング間距離dの最短部分が上方を向くようにバルブ76を回転させ停止させる。これにより、分岐部75の内部空間IS3には、入口751から第2出口753への向かう流路(図11上段の一点鎖線の矢印を参照)が形成される。
制御部12はさらに、電磁ポンプ221を運転し、三方弁225に通電する。これにより、湯タンク211の湯は、ミルク側給湯配管222を介してボイラ223に流入し始める。流入した湯はボイラ223により蒸気となり、蒸気用配管224を介してホットミルク用ノズル710に供給される。
次に、ギヤポンプ用モータ制御部125は、ギヤポンプ用モータ26を駆動する。その結果、回転軸261に生じた回転力は、モータ側磁石262とポンプ側磁石745との間のマグネットカップリングにより、大径ギヤ742に伝達される。その結果、大径ギヤ742が回転し始め、小径ギヤ743は大径ギヤ742に従動回転する。この時、両ギヤ742、743は図9に示す矢印a、bの方向に回転する。かかる回転により、ギヤポンプ74は、ミルクパック9内のミルクを、ミルク供給配管231を介して、吸い上げ始める。ギヤポンプ74内に吸い上げられたミルクは、両ギヤ742、743の回転により、これらの外側を回ってミルク用出口748から吐出される。
なお、スチームミルク作成時、エアポンプ241は停止し、空気弁243は閉止される。即ち、ギヤポンプ74は、空気供給部24による空気の供給を受けない。
ミルク用出口748から吐出されたミルクは、分岐部75の入口751に供給される。入口751から内部空間IS3に流入したミルクは、内部空間IS3を通って第2出口753から吐出され、その後、ミルク用流路79を介して、ホットミルク用ノズル710に流入する。上記の通り、ホットミルク用ノズル710には、蒸気用配管224から蒸気が供給される。ホットミルク用ノズル710の内部ではミルクが蒸気で加熱され、これによって、スチームミルクが生成される。生成されたスチームミルクは、ホットミルク用ノズル710から容器10に向けて吐出される。
<1−4.ミルクフォーマの動作(コールドミルク作成時)>
また、ボタン群4のうちの特定のボタンが操作され、操作されたボタンがコールドミルクを使用した飲料であった場合、制御部12は、以下のように上記構成の各部を制御する。
まず、バルブ用モータ制御部126は、バルブ用モータ27を制御して、リング間距離dの最短部分が下方を向くようにバルブ76を回転させ停止させる。これにより、分岐部75の内部空間IS3には、入口751から第1出口752への流路(図11下段の一点鎖線の矢印を参照)が形成される。
ギヤポンプ用モータ制御部125はさらに、ギヤポンプ用モータ26を駆動する。これにより、1−3欄での説明と同様に、ギヤポンプ74が、ミルクパック9内のミルクを吸い上げ始める。ギヤポンプ74内のコールドミルクは、両ギヤ742、743の回転により、ミルク用出口748から吐出される。
コールドミルク作成時、ギヤポンプ74は、空気供給部24から空気の供給を受けない。
ミルク用出口748からのミルクは、分岐部75の入口751に供給される。入口751から内部空間IS3に流入したミルクは、内部空間IS3を通って第1出口752から吐出され、コールドミルク用ノズル77の上端から内部空間IS4に流入する。流入したミルクは、コールドの状態を保ったまま、コールドミルク用ノズル77の下端から、容器10に向けて吐出される。
<1−5.ミルクフォーマの動作(コールドのフォームドミルク作成時)>
また、ボタン群4のうちの特定のボタンが操作され、操作されたボタンがコールドのフォームドミルクを使用した飲料であった場合、制御部12は、以下のように上記構成の各部を制御する。
まず、バルブ用モータ制御部126は、バルブ用モータ27を制御して、リング間距離dの最短部分が下方を向くようにバルブ76を回転させ停止させる。これにより、分岐部75の内部空間IS3には、入口751から第1出口752への流路(図11下段の一点鎖線の矢印を参照)が形成される。
次に、エアポンプ制御部123は、コールドのフォームドミルクの作成時、空気弁243を開放し、エアポンプ241を駆動する。その結果、外部の空気は、エアポンプ241に取り込まれ、空気供給配管242およびギヤポンプ74の共用入口747を介して、ギヤポンプ74の内部空間IS1に供給される。
ギヤポンプ用モータ制御部125はさらに、ギヤポンプ用モータ26を駆動する。これにより、1−3欄での説明と同様にして、ギヤポンプ74は、ミルクパック9内のミルクを吸い上げ始める。
ギヤポンプ74内のミルクおよび空気は、両ギヤ742、743の回転により混合され、これによって、コールドのフォームドミルクが生成される。生成されたコールドのフォームドミルクは、回転する両ギヤ742、743の外側を回り、ミルク用出口748から吐出される。
ミルク用出口748から吐出されたコールドのフォームドミルクは、分岐部75の入口751に供給された後、内部空間IS3を通って第1出口752から吐出されて、コールドミルク用ノズル77の上端から内部空間IS4に流入する。内部空間IS4には、前述のように調質器78が設けられている。調質器78は、流入したコールドのフォームドミルクの泡を均質化して、コールドミルク用ノズル77の下端から、容器10に向けて吐出される。
<1−6.ミルクフォーマの動作(ホットのフォームドミルク作成時)>
また、ボタン群4のうちの特定のボタンが操作され、操作されたボタンがホットのフォームドミルクを使用した飲料であった場合、制御部12は、以下のように上記構成の各部を制御する。
まず、バルブ用モータ制御部126は、バルブ用モータ27を制御して、リング間距離dの最短部分が上方を向くようにバルブ76を回転させ停止させる。これにより、分岐部75の内部空間IS3には、入口751から第2出口753への向かう流路(図11上段の一点鎖線の矢印を参照)が形成される。
また、1−3欄に記載した通り、蒸気が蒸気用配管224を介してホットミルク用ノズル710に供給される。
また、1−5欄に記載した通り、ギヤポンプ74は、コールドのフォームドミルクを生成し、ミルク用出口748から吐出する。
ミルク用出口748から吐出されたコールドのフォームドミルクは、分岐部75の入口751に流入し、第2出口753から吐出された後、ミルク用流路79を介して、ホットミルク用ノズル710に流入する。上記の通り、ホットミルク用ノズル710には、蒸気用配管224から蒸気が供給される。ホットミルク用ノズル710の内部ではフォームドミルクが蒸気で加熱され、これによって、ホットのフォームドミルクが生成される。生成されたホットのフォームドミルクは、ホットミルク用ノズル710から容器10に向けて吐出される。
<1−7.ミルクフォーマ73の洗浄時の動作>
次に、飲料製造装置1において、ミルクフォーマ73の洗浄を行う際の動作について説明する。ミルクフォーマ73の洗浄は、例えば飲料製造装置1のメンテナンス時に行われる。従って、洗浄動作が手動で行われる際の契機となる洗浄ボタン41は、図1に示すボタン群4のうちのいずれかではなく、例えばドア3の裏面等、飲料製造装置1の管理者(飲料製造装置1が設置された店舗の従業員等)以外には触れられない場所に設けられたボタンであることが望ましい。なお、洗浄動作が例えば所定周期毎に自動で行われる場合は、洗浄ボタン41は設けられていなくてもよい。
なお、本開示の実施の形態において、ミルクフォーマ73の洗浄とは、ミルクフォーマ73におけるミルクの流路を洗浄することを意味する。ミルクの流路とは、すなわち、ミルクパック9内に挿入されたミルク供給配管231の上流端からギヤポンプ74のミルク用入口746に至るまでの流路(すなわちミルク供給配管231)と、ギヤポンプ74の内部空間IS2から、ギヤポンプ74のミルク用出口748および分岐部75を経由してコールドミルク用ノズル77および/またはホットミルク用ノズル710に至るまでの流路、の両方を含む。
なお、以下では、説明の都合上、ミルクパック9内に挿入されたミルク供給配管231の上流端からギヤポンプ74のミルク用入口746に至るまでの流路(すなわちミルク供給配管231)を第2流路、ギヤポンプ74の内部空間IS2から、ギヤポンプ74のミルク用出口748および分岐部75を経由してコールドミルク用ノズル77および/またはホットミルク用ノズル710に至るまでの流路を第1流路と称する。
ミルクフォーマ73の洗浄時には、制御部12は、以下のように上記構成の各部を制御する。洗浄用ポンプ制御部124は、例えば所定量の洗浄用水(湯)を、湯タンク211から洗浄用水供給配管252、T字分岐部253、および共通配管254を通って共用入口747からギヤポンプ74に供給するように洗浄用ポンプ251を駆動する。ここで、洗浄用ポンプ251が供給する洗浄用水の量は、洗浄を行うべき箇所によって適宜設定される。洗浄用ポンプ制御部124は、洗浄用ポンプ251の回転数や駆動時間等を制御することで必要な量の洗浄用水をギヤポンプ74に供給する。例えば、供給する洗浄用水の量は、洗浄用ポンプ251とT字分岐部253との間に設けられた流量計(図示せず)によって計測されればよい。
図14は、洗浄動作の際の洗浄用水(湯)の流れを説明するための図である。上述したようにギヤポンプ74内に供給された洗浄用水は、ギヤポンプ74の回転方向により、第2流路と第1流路のうちのいずれかを洗浄する。
<1−7−1.第1流路の洗浄動作>
以下、洗浄動作について具体的に説明する。まず、ギヤポンプ74内のミルク用入口746付近の空間から、ギヤポンプ74のミルク用出口748および分岐部75を経由してコールドミルク用ノズル77および/またはホットミルク用ノズル710に至る第1流路の洗浄を行う場合について説明する。
第1流路の洗浄を行う場合、洗浄用ポンプ制御部124は、洗浄用ポンプ251を駆動し、湯(洗浄用水)を湯タンク211からギヤポンプ74に供給させる。
また、ギヤポンプ用モータ制御部125は、ギヤポンプ用モータ26を駆動し、ギヤポンプ74を所定の回転数で順回転させる。順回転とは、すなわち、図9に示す矢印aの方向に大径ギヤ742を回転させることを意味する。この場合、ギヤポンプ74の回転によって、共用入口747を通って湯タンク211からギヤポンプ74に供給された洗浄用水は、ギヤポンプ74内を通過してミルク用出口748から分岐部75に移送され、コールドミルク用ノズル77および/またはホットミルク用ノズル710から飲料製造装置1の外部へと排出される。コールドミルク用ノズル77および/またはホットミルク用ノズル710から飲料製造装置1の外部に排出された洗浄用水(すすぎ液)は、例えば飲料製造装置1の管理者がコールドミルク用ノズル77および/またはホットミルク用ノズル710の直下のドリップトレイ8上に用意した容器等に貯留される。
なお、上記した洗浄用ポンプ制御部124によるギヤポンプ74への湯の供給と、ギヤポンプ用モータ制御部125によるギヤポンプ74の回転とは、どちらが先に行われてもよいし、同時に開始されてもよい。
ここで、ギヤポンプ用モータ制御部125は、ギヤポンプ74の回転数を、ミルクパック9内のミルクを吸い上げず、かつ、ギヤポンプ74内の洗浄用水がミルク用入口746からミルク供給配管231を通ってミルクパック9側へ流出しないような上記所定の回転数に設定する。具体的には、ギヤポンプ用モータ制御部125は、洗浄用ポンプ251からギヤポンプ74に供給された洗浄用水の量と、ギヤポンプ74の順回転によってギヤポンプ74から排出させる洗浄用水の量と、がほぼ同じになるようにギヤポンプ74の回転数を制御する。これにより、第1流路の洗浄中に洗浄用水にミルクが混じったり、ミルク供給配管231を洗浄用水が逆流したりする事態を防止することができる。このため、第1流路の洗浄中に、ミルクパック9をミルク保冷庫6から取り外す必要がないので、洗浄の手間が軽減される。
このように、ギヤポンプ74が順回転される場合、洗浄用水は、第1流路の洗浄(リンス)を行うことができる。
なお、ギヤポンプ74のミルク用出口748から分岐部75内に移送された洗浄用水は、コールドミルク用ノズル77とホットミルク用ノズル710のうち、バルブ用モータ制御部126により選択されたいずれかのノズルから流出する。あるいは、洗浄用水は両方のノズルから同時に流出するようにしてもよい。洗浄用水がいずれかあるいは両方のノズルから流出することで、コールドミルク用ノズル77および/またはホットミルク用ノズル710の洗浄が行われる。
<1−7−2.第2流路の洗浄動作>
一方、ミルクパック9内に挿入されたミルク供給配管231の上流端からギヤポンプ74のミルク用入口746に至る第2流路(すなわちミルク供給配管231)の洗浄を行う場合、第1流路の洗浄動作と同様に、洗浄用ポンプ制御部124は、洗浄用ポンプ251を駆動し、湯(洗浄用水)を湯タンク211からギヤポンプ74に供給させる。
また、ギヤポンプ用モータ制御部125は、ギヤポンプ用モータ26を駆動して、ギヤポンプ74を逆回転させる。すると、共用入口747からケース741内に流入した洗浄用水は、ミルク用入口746からミルクパック9側へ逆流する。
なお、上記した洗浄用ポンプ制御部124によるギヤポンプ74への湯の供給と、ギヤポンプ用モータ制御部125によるギヤポンプ74の回転とは、どちらが先に行われてもよいし、同時に開始されてもよい。
このようにギヤポンプ74が逆回転される場合、洗浄用水は、ギヤポンプ74のミルク用入口746付近、およびミルク供給配管231(第2流路)の洗浄(リンス)を行うことができる。
なお、第2流路の洗浄を行う場合、ミルクパック9内に洗浄用水が流入しないように、例えば飲料製造装置1の管理者等は、ミルク供給配管231の上流端をミルクパック9から取り出し、取り出した上流端を洗浄用容器11内に挿入する。洗浄用容器11は、洗浄用水を貯留するための容器であり、例えば単なる空の容器である。
ミルク供給配管231の上流端が洗浄用容器11内に挿入された状態で、ギヤポンプ用モータ制御部125がギヤポンプ74を逆回転させると、ギヤポンプ74は、ギヤポンプ74内の洗浄用水を、ミルク用入口746からミルク供給配管231へと流出させ、洗浄用容器11に貯留させる。
<1−7−3.洗剤液を用いた洗浄動作>
次に、洗剤液を用いたミルクフォーマ73の第1流路および第2流路の洗浄動作について説明する。洗剤液を用いた洗浄を行う場合、飲料製造装置1の管理者が、空の洗浄用容器11に例えば洗浄タブレット等を入れておくことにより、洗浄用容器11に貯留された洗浄用水に洗浄タブレットが溶けて洗剤液が生成される。なお、洗浄タブレットは洗浄剤の一例である。
ミルク供給配管231の上流端が洗浄タブレットを入れた空の洗浄用容器11内に挿入された後、洗浄動作が開始されると、上記した1−7−2欄の説明と同様に、洗浄用ポンプ251が駆動され、湯タンク211からギヤポンプ74に供給された洗浄用水が、ギヤポンプ74の逆回転によって、ギヤポンプ74のミルク用入口746からミルク供給配管231を通って洗浄用容器11へと流れ、洗浄用容器11内に所定量の洗浄用水が貯留される。
制御部12が洗浄用容器11内に所定量の洗浄用水が貯留されたと判定すると、ギヤポンプ用モータ制御部125は、ギヤポンプ74の逆回転を停止させる。これにより、ギヤポンプ74から流出する洗浄用水が停止される。洗浄用容器11には所定量の洗浄用水が貯留されるので、洗浄タブレットが溶けて所定濃度の洗剤液が生成される。例えば、制御部12は、洗浄用水の供給が開始されてから所定の時間が経過した場合に、洗浄用容器11内に所定量の洗浄用水が貯留されたと判定すればよい。または、制御部12は、例えばミルク供給配管231の一部に設けられた流量計(図示せず)を用いて、洗浄用容器11内に所定量の洗浄用水が貯留されたことを検出してもよい。
洗浄用容器11内に所定量および所定濃度の洗剤液が生成されると、洗浄用ポンプ制御部124は洗浄用ポンプ251を停止させ、ギヤポンプ用モータ制御部125はギヤポンプ74を順回転させる。すると、ギヤポンプ74は、洗浄用容器11内の洗剤液を、洗浄用容器11内に挿入されたミルク供給配管231の上端部からミルク供給配管231およびミルク用入口746を介して、ギヤポンプ74内に吸い上げ始める。そして、上記したギヤポンプ74の順回転時と同様に、ギヤポンプ74が吸い上げた洗剤液は、ギヤポンプ74内を通過してミルク用出口748から分岐部75に流れ、コールドミルク用ノズル77ホットミルク用ノズル710から飲料製造装置1の外部へと排出される。
このような動作により、第2流路およびギヤポンプ74の内部を含む第1流路が洗剤液によって洗浄される。さらに、洗剤液による洗浄が十分行われたと制御部12が判断した場合、洗浄用ポンプ制御部124は再度洗浄用ポンプ251を動作させる。すると、洗浄用ポンプ251によって湯タンク211から洗浄用水がギヤポンプ74に供給される。そして、ギヤポンプ用モータ制御部125は、ギヤポンプ74の回転数を制御して、ギヤポンプ74が洗浄用容器11内の洗剤液を吸い上げないようにする。
なお、制御部12は、洗浄用容器11からギヤポンプ74が吸い上げた洗剤液の量が所定量以上となった場合、あるいは、洗浄用容器11からギヤポンプ74が洗剤液を吸い上げ始めてから所定の時間が経過した場合に、洗剤液による洗浄が十分行われたと判断すればよい。
その後、さらにギヤポンプ用モータ制御部125がギヤポンプ74の順回転を継続させると、ギヤポンプ74内の洗浄用水が第1流路を通ってコールドミルク用ノズル77および/またはホットミルク用ノズル710から飲料製造装置1の外部へと排出される。これにより、ギヤポンプ74内および第1流路内に残った洗剤液を洗浄用水で洗い流すことができる。
また、洗浄用ポンプ制御部124およびギヤポンプ用モータ制御部125は、洗剤液による洗浄後に、洗浄用ポンプ251を動作させたままギヤポンプ74を逆転させると、ギヤポンプ74内の洗浄用水がミルク用入口746からミルク供給配管231を通って洗浄用容器11側へと流出する。これにより、第2流路内に残った洗剤液を洗浄用水で洗い流すことができる。第2流路を洗い流した廃液は、洗浄用容器11に貯留される。
さらに、上記したように洗剤液を洗い流した後、洗浄用ポンプ制御部124およびギヤポンプ用モータ制御部125は、洗浄用ポンプ251を停止させてエアポンプ241を動作させる。これにより、T字分岐部253からギヤポンプ74までの間の共通配管254内に残っていた洗浄用水(廃液)を、エアポンプ241から供給される空気によってギヤポンプ74内に排出させることができる。ギヤポンプ74内の廃液は、上記したように第1流路あるいは第2流路から排出される。
上述した第1流路の洗浄動作および第2流路の洗浄動作は、飲料製造装置1の管理者がミルクパック9内に挿入されていたミルク供給配管231の上流端を洗浄用容器11に挿入し直して洗浄ボタン41を操作するだけで自動的に行われる。また、飲料製造装置1の管理者が洗浄タブレットを洗浄用容器11内に入れておき、上記第1流路および第2流路の洗浄動作のみを行う場合とは異なる所定の操作を洗浄ボタン41に対して行った場合は、上述した第1流路の洗浄動作と洗剤液を用いた洗浄動作とが行われた後、再度第1流路の洗浄動作と第2流路の洗浄動作とが自動的に行われる。すなわち、飲料製造装置1の管理者はミルク供給配管231の上流端の洗浄用容器11への挿入と洗浄ボタン41の操作とを行うだけで、飲料製造装置1におけるミルクフォーマ73の通液洗浄は完了まで自動的に行われる。このため、飲料製造装置1の管理者の負担が少なくてすむ。また、飲料製造装置1の洗浄動作が例えば所定周期毎に自動で行われる場合にも、管理者がミルク供給配管231の上流端の洗浄用容器11への挿入を行うだけでミルクフォーマ73の通液洗浄は完了まで自動的に行われるため、管理者の負担が少なくてすむ。
<1−8.作用・効果>
以上説明したように、本開示の第1の実施の形態に係る飲料製造装置1において、制御部12は、ギヤポンプ74内のミルク用入口付近の空間から、ギヤポンプ74のミルク用出口748および分岐部75を経由してコールドミルク用ノズル77および/またはホットミルク用ノズル710に至るまでのミルクの流路である第1流路の洗浄を行う場合には、洗浄用ポンプ251を駆動して洗浄用水をギヤポンプ74に供給させるとともに、ギヤポンプ74を第1の方向に回転(順回転)させて洗浄用水を第1流路に流し、ミルク容器(ミルクパック9)内に挿入されたミルク供給配管231の上流端からギヤポンプ74のミルク用入口746に至るまでのミルクの流路(すなわちミルク供給配管231)である第2流路の洗浄を行う場合には、洗浄用ポンプ251を駆動して洗浄用水をギヤポンプ74に供給させるとともに、ギヤポンプ74を第1の方向と反対の方向である第2の方向に回転(逆回転)させて洗浄用水を第2流路に流す。
本開示の第1の実施の形態に係る飲料製造装置1は、このようにギヤポンプ74がミルク用入口746と共用入口747の2つの流入口を有する。ミルクの流路を洗浄する場合には、洗浄用水である湯が共用入口747からギヤポンプ74に供給され、ギヤポンプ74の回転の方向に応じて第1流路と第2流路のいずれかを洗浄することができる。ここで、ギヤポンプ74の回転数を、ミルクパック9内のミルクを吸い上げず、かつ、ギヤポンプ74内の洗浄用水がミルク用入口746からミルク供給配管231を通ってミルクパック9側へ流出しないような上記所定の回転数に設定することにより、第1流路の洗浄中に洗浄用水にミルクが混じったり、ミルク供給配管231を洗浄用水が逆流したりする事態を防止することができる。このため、第1流路の洗浄中に、ミルクパック9をミルク保冷庫6から取り外す必要がないので、洗浄の手間が軽減される。なお、本実施の形態では、共用入口747をギヤポンプ74への洗浄用水や空気の流入口としたが、流入口を共用とせず、別個独立して設けてもよい。この場合、T字分岐部253を用いず、洗浄用水の配管と空気の配管とが別個に設けられる。
このような構成により、ミルク供給配管231の上流端をミルクパック9内に挿入したまま、第1流路の洗浄を行うことができる。また、第2流路の洗浄を行う場合には、ミルクパック9内に挿入されていたミルク供給配管231の上流端を洗浄用容器11に挿入し直すだけでよく、洗浄動作の際の飲料製造装置1の管理者の負担が少なくてすむ。
また、このような構成により、ギヤポンプ74の順回転時にはミルクフォーマ73の第1の流路を、ギヤポンプ74の逆回転時にはミルクフォーマ73の第2の流路を、それぞれ通液洗浄することができる。すなわち、本開示の飲料製造装置1では、それぞれ異なる2つのミルクの流路を、切替弁を用いることなく、通液洗浄することができる。
また、ギヤポンプ74は、大径ギヤ742および小径ギヤ743をケース741内に回転可能に収納したものであって、分解可能に構成されている。さらに、ギヤポンプ74とエアポンプ241および洗浄用ポンプ251との接続は、チューブ2532〜2534がT字管2531に取り付けられて構成されるT字分岐部253によって行われているため、取り外しが容易である。これらのことから、ミルクフォーマ73の分解洗浄が容易である。
従って、本開示の飲料製造装置1では、洗浄する流路を切り替えるために切替弁を用いず、また通液洗浄と分解洗浄の両方を容易に行うことができる。
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素は任意に組み合わせてられてもよい。