以下、本開示の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明、例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明等は省略する場合がある。
なお、以下の説明および参照される図面は、当業者が本開示を理解するために提供されるものであって、本開示の請求の範囲を限定するためのものではない。
<方向の定義>
まず、以下の実施の形態における方向について定義する。飲料製造装置1の前面とユーザとが正対した時の左から右、あるいは右から左に向かう軸に沿った方向を左右方向と定義する。また、飲料製造装置1の前面とユーザとが正対した時の飲料製造装置1の前面から背面、あるいは背面から前面に向かう方向を前後方向と定義する。また、飲料製造装置1の前面とユーザとが正対した時の飲料製造装置1の底面から上面、あるいは上面から底面に向かう方向を上下方向と定義する。以下では、左右方向、前後方向および上下方向に沿った軸を、それぞれx軸、y軸、z軸と称する場合がある。
<1.第1の実施の形態>
<1−1.飲料製造装置1の概略構成>
図1は、飲料製造装置1の斜視図である。飲料製造装置1は、例えば業務用であって店舗等に設置される。飲料製造装置1は、本体2と、ドア3と、ボタン群4(点線で囲まれた部分を参照)と、キャニスタ5と、ミルク保冷庫6と、ノズルユニット7と、ドリップトレイ8と、を備えている。
ドア3は、本体2の前面に、開閉自在に取り付けられる。ボタン群4は、ドア3の前面に配置される。ボタン群4に含まれる複数のボタンには、飲料製造装置1が提供可能な飲料の種類(エスプレッソコーヒー、ドリップコーヒー(ホット・アイス)、カフェラテ(ホット・アイス)、カプチーノ(ホット・アイス)等)がそれぞれ割り当てられている。所望の飲料が割り当てられたボタンがユーザにより操作されると、飲料製造装置1は、操作されたボタンに割り当てられた飲料を製造して提供する。なお、本実施の形態における飲料製造装置1は、コーヒーを用いた飲料を製造するものとする。
キャニスタ5は、本体2の上面に取り付けられ、コーヒー豆を保存する。ミルク保冷庫6は、少なくとも一個のミルクパック9(後述の図3を参照)を収容して低温で保存する。
ノズルユニット7は、本体2の前面に設けられ、本体2の内部で製造された飲料を下方に向けて吐出する。また、ノズルユニット7は、ミルクパック9から供給されたミルクを用いてフォームドミルク(ホット・コールド)、スチームミルク(ホット)、コールドミルク等を生成して下方に向けて吐出する。これらのミルクと本体2の内部で製造された飲料とがノズルユニット7からそれぞれ別々に吐出され、容器10内で混ぜ合わせられることにより多様な飲料が生成される。
ドリップトレイ8は、本体2の下端部から前方に突出している。ノズルユニット7から吐出される飲料は、ドリップトレイ8に載置された飲料の容器10に提供される。また、
ドリップトレイ8は、ノズルユニット7から垂れたり、容器10からこぼれたりした飲料を収集し貯留する。
後述する図2に示すように、本体2の内部には、キャニスタ5に保存されたコーヒー豆を使ってコーヒーを生成するコーヒー抽出部21が設けられている。また、後述する図3に示すように、本体2の内部には、蒸気供給部22と、空気供給部24と、がさらに設けられている。また、本体2の外部にはミルク供給部23が設けられている。なお、本件出願人は、コーヒー抽出部と、蒸気供給部、ミルク供給部および空気供給部に関しては、特開2013−165814号公報等に開示している。よって、本実施形態において、特開2013−165814号公報等の開示内容に相当する部分に関しては、簡単に説明する。
図2は、コーヒー抽出部21の構成を示す図である。コーヒー抽出部21は、図2に示すように、湯タンク211と、湯ポンプ212と、フィルタ213と、給湯弁214と、コーヒー側給湯配管215と、昇降装置216と、シリンダユニット217と、キャップ218と、コーヒー液配管2212と、ミル2213と、を有する。
湯タンク211は、大気開放型のタンクであって、所定量の飲料水を、内蔵のヒータ(図示せず)により所定温度に加熱した状態で貯留する。
湯ポンプ212は、湯タンク211内の湯を加圧して排出させるポンプである。湯ポンプ212の排出口にはコーヒー側給湯配管215の上流端が接続される。コーヒー側給湯配管215には、フィルタ213と、電磁弁等からなる給湯弁214とが、上流側からこの順番で設けられる。コーヒー側給湯配管215の下流端は、後述のシリンダ219の給湯口に挿抜可能に接続される。
シリンダユニット217は、上下方向に移動可能に構成され、シリンダ219と、ピストン2210と、を有する。シリンダ219の上面は開口し、シリンダ219の下端部近傍の側面には給湯口が形成される。ピストン2210は、通水性を有しており、シリンダ219の内部空間を移動可能である。
キャップ218は、シリンダユニット217の上方に設けられ、上昇してきたシリンダ219に填め込まれてその開口を塞ぐ。シリンダ219を塞いだキャップ218の下面、シリンダ219の内周面およびピストン2210の上面で囲まれた空間がコーヒー液の抽出室を形成する。
キャップ218には、キャップ218の下面から上面まで貫通する抽出孔2211が形成される。この抽出孔2211を、抽出室内で得られたコーヒー液が通過する。この抽出孔2211の上端は、コーヒー液配管2212を介してコーヒー用ノズル72に流体連通するように接続される。
本体2内部の上方にはミル2213が設けられる。ミル2213は、キャニスタ5に収容されたコーヒー豆を粉砕して挽き豆を生成する。
次に、コーヒー抽出部21の動作を説明する。ボタン群4(図1を参照)のうちの特定のボタンが操作されると、ミル2213は挽き豆を生成する。生成された挽き豆は上述の抽出室に投入される。
次に、昇降装置216によりシリンダユニット217が上昇させられ、シリンダ219の開口内にキャップ218が押し込まれる。これにより、抽出室内の挽き豆は、ピストン2210とキャップ218との間で圧縮される。
次に、湯ポンプ212が運転され、かつ、給湯弁214が開いて、湯タンク211から、所定量の湯がシリンダ219内に加圧供給される。その結果、高濃度のコーヒー液が得られる。ここで、フィルタ213と給湯弁214の間には、図示しない流量計が設けられており、この流量計が、シリンダ219への湯の供給量を測定している。得られたコーヒー液は、キャップ218から送り出され、コーヒー液配管2212を介してコーヒー用ノズル72から排出される。その後、ドリップトレイ8(図1を参照)に載置された容器10に注がれる。
次に、本体2の内部および外部に設けられた蒸気供給部22、ミルク供給部23、空気供給部24の構成について説明する。図3は、蒸気供給部22、ミルク供給部23、空気供給部24の構成を示す図である。
図3に示すように、蒸気供給部22は、電磁ポンプ221と、ミルク側給湯配管222と、ボイラ223と、蒸気用配管224と、三方弁225と、を有する。なお、湯タンク211は、コーヒー抽出部21と共用されればよい。
湯タンク211内の湯は、電磁ポンプ221の運転により、ミルク側給湯配管222を介してボイラ223に供給される。ボイラ223は、内蔵の電気ヒータ(図示せず)により常時一定の温度になるよう制御されており、電磁ポンプ221の運転により供給された湯を用いて蒸気を生成する。生成された蒸気は、蒸気用配管224および三方弁225を介して、ホットミルク用ノズル710に供給される。
また、図3に示すように、ミルク供給部23は、上述のミルク保冷庫6に加え、ミルク供給配管231を有する。
ミルク供給配管231の上流端は、ミルク保冷庫6に収納されたミルクパック9の内部に挿入される。また、ミルク供給配管231の下流端は、後述するギヤポンプ74(図5等参照)のミルク用入口746に流体連通するように接続される。
また、図3に示すように、空気供給部24は、エアポンプ241と、空気供給配管242と、空気弁243と、を有する。
エアポンプ241は、図示しないモータにより駆動され、外部の空気を吸入して、空気供給配管242に送り出す。空気供給配管242の下流端は、ギヤポンプ74の空気用入口747に流体連通するように接続される。また、空気供給配管242の途中には、電磁弁等からなる空気弁243が設けられる。空気弁243が開放されると、エアポンプ241から送り出された空気が空気供給配管242を介して空気用入口747に供給される。
<1−2.ノズルユニットおよびこれに関連する構成>
次に、ノズルユニット7の詳細な構成について説明する。ノズルユニット7は、図1および図4に示すように、本体2の前面側に設けられる。図4に示すように、ノズルユニット7は、本体2の内部に固定されたベースユニット11に固定されており、カバー71と、コーヒー用ノズル72と、ミルクフォーマ73と、を含む。図4は、ノズルユニット7の拡大斜視図である。なお、図4にはカバー71は示されていない。
ミルクフォーマ73は、図4から図6に示すように、ギヤポンプ74と、分岐部75と、バルブ76と、コールドミルク用ノズル77と、調質器78と、ミルクフォーマ内のミルク用流路79と、ホットミルク用ノズル710と、を有する。図5は、ノズルユニット7の分解斜視図である。
ギヤポンプ74は、ミルクを移送する移送ポンプである。ギヤポンプ74には、ミルク用入口746および空気用入口747とが設けられている。ミルクパック9から供給されたミルクは、ミルク用入口746を介してギヤポンプ74内に導入される。また、エアポンプ241から供給された空気は、空気用入口747を介してギヤポンプ74内に導入される。なお、ギヤポンプ74の構成および動作については、後述の1−3欄において詳細に説明する。
分岐部75は、図6に示すように、前後方向に延在する円筒または管状の部材である。図6は、ミルクフォーマ73の左側面図であり、その内部を部分的に透視した図である。図6に示すように、この分岐部75には円柱形状の内部空間IS1が形成される。そして、分岐部75の上部前寄りには、ギヤポンプ74のケースに設けられたミルクの出口(後述するミルク用出口748)と流体連通する入口751が形成される。分岐部75の下部後端側には、コールドミルク用ノズル77と流体連通する第1出口752が形成される。分岐部75の前端には、後述のミルク用流路79と流体連通するように第2出口753が形成される。分岐部75の後端は、後述のバルブ76が挿入される開口754が形成されている。
図6および図7に示すように、バルブ76は、分岐部75の内部空間IS1の開口754に挿入され、ほぼ円柱形状の回転体761を有する。図7は、分岐部75およびバルブ76を左側方から見た一部断面図である。この回転体761の外周面(換言すると、側面)には、第1リング溝762と、第2リング溝763とが形成される。第1リング溝762の軸芯はy軸と平行であるが、リング溝763の軸芯は、y軸と非平行で、x軸方向からの平面視でy軸に対し斜めになっている。以上の第1リング溝762および第2リング溝763には、図7に示すように、第1Oリング764および第2Oリング765が取り付けられる。なお、図6には、図示の都合上、Oリング764、765は示されておらず、図7には、図示の都合上、リング溝762、763は示されていない。
ここで、両Oリング764、765の間のy軸方向における空間距離(以下、リング間距離という)dは、図7に示すように、バルブ76の周面上の位置(換言すると、バルブ76の中心軸からの方位)により異なる。従って、回転体761の回転により、図7上段に示すように、リング間距離dの最短の部分が上方を向いた時、入口751と第2出口753とが流体連通し(一点鎖線の矢印を参照)、図7下段に示すように、この最短部分が下方を向いた時、入口751と第1出口752とが流体連通する(一点鎖線の矢印を参照)。
バルブ76を回転させるために、図7、図8Aおよび図8Bに示すように、バルブ76(回転体761)の後端には、バルブ側ギヤ766が取り付けられる。より具体的には、バルブ側ギヤ766は、自身の回転軸と、バルブ76の中心軸とが軸合わせされた状態で取り付けられる。ここで、ベースユニット11に対してミルクフォーマ73の取り付けおよび取り外しが可能となるように、バルブ側ギヤ766がバルブ76に対し挿抜可能になっていることが好ましい。
図8Aおよび図8Bは、バルブ76とバルブ側ギヤ766とが分離した状態を示す図である。図8Aおよび図8Bに示すように、バルブ76の後端(バルブ側ギヤ766に近い側)には、例えばT字型に形成された挿抜部767が設けられている。また、図8Bに示すように、バルブ側ギヤ766には、挿抜部767を挿入するための挿抜孔7661が設けられている。挿抜孔7661の穴の形状は、挿抜部767を挿入することができ、挿入した状態ではバルブ76とバルブ側ギヤ766とが一体となって回転することができるように、挿抜部767の形状に合わせて形成される。
なお、図8Aおよび図8Bでは、挿抜部767をT字型として例示したが、本開示はこれには限定されない。挿抜部767および挿抜孔7661の形状は、挿抜部767が挿抜孔7661に挿入された状態でバルブ76とバルブ側ギヤ766とが一体となって回転できるような形状であれば、どのような形状であってもよいが、向きを認識できるように、回転対称でない形状が望ましい。
バルブ76を回転させるために、図4および図5に示すように、バルブ用モータ26がベースユニット11に固定される。図9は、ノズルユニット7およびバルブ用モータ26の底面図である。バルブ用モータ26は、図9に示すように、出力軸261と、モータ側ギヤ262と、を有する。モータ側ギヤ262は、図9に示すように、出力軸261の先端に固定され、バルブ側ギヤ766と噛み合う。
図8Aに示すように、バルブ側ギヤ766には、ベースユニット11と固定されるための固定爪7662が設けられている。バルブ側ギヤ766の固定爪7662がベースユニット11に設けられた固定孔(図示は省略)に挿入されて、バルブ側ギヤ766がモータ側ギヤ262と噛み合って回転可能な状態でベースユニット11に固定される。
上述したように、ミルクフォーマ73は、ベースユニット11に対して、バルブ76の挿抜部767がベースユニット11に固定されたバルブ側ギヤ766に挿入されることで固定されている。従って、バルブ側ギヤ766からバルブ76の挿抜部767を引き抜くことにより、ミルクフォーマ73をベースユニット11から容易に取り外すことができる。また、バルブ側ギヤ766の挿抜孔7661に挿抜部767が挿入されることにより、ミルクフォーマ73をベースユニット11に対して容易に取り付けることができる。このような構成により、ミルクフォーマ73をベースユニット11から取り外して洗浄等のメンテナンスを行うことが容易となる。
なお、上記説明において、ミルクフォーマ73は、ベースユニット11に対して、バルブ76の挿抜部767がベースユニット11に固定されたバルブ側ギヤ766の挿抜孔7661に挿入されることで固定されているとしたが、ミルクフォーマ73は、バルブ76とバルブ側ギヤ766以外に、取付部材(図示は省略)によってもベースユニット11に固定されていてよい。
コールドミルク用ノズル77は、分岐部75を介してケース741に一体的に取り付けられている。このコールドミルク用ノズル77は、図6に示すように、上下方向に延在する円筒または管状の部材である。このコールドミルク用ノズル77には円柱形状の内部空間IS2が形成される。コールドミルク用ノズル77の上端には、第1出口752と内部空間IS2とを流体連通させる入口が形成される。また、コールドミルク用ノズル77の下端は内部空間IS2と流体連通するように開口し、この開口から内部空間IS2に調質器78が挿入される。
ミルク用流路79の上流端は第2出口753と流体連通可能に接続され、その下流端はホットミルク用ノズル710と流体連通可能に接続される。ホットミルク用ノズル710は、図5に示すように、蒸気用配管224の下流端と流体連通可能に接続される。
<1−3.ギヤポンプについての詳細な説明>
以下、本発明の飲料製造装置1が有するギヤポンプ74について詳細に説明する。ギヤポンプ74は、ミルクを移送する移送ポンプであって、図10および図11に示すように、ケース741と、大径ギヤ742と、小径ギヤ743と、蓋744と、を有する。大径ギヤ742は第1ギヤの一例であり、小径ギヤ743は第2ギヤの一例である。図10は、図4の線A−A’に沿うミルクフォーマ73の縦断面を飲料製造装置1の後ろ側から見た図である。図11は、ギヤポンプ74およびその周辺構成の分解斜視図である。
大径ギヤ742および小径ギヤ743は、互いに噛み合った状態でケース741内に収容される。また、大径ギヤ742には、ポンプ側磁石745が内蔵される(後述の図12参照)。
大径ギヤ742は、ベースユニット11に内蔵されたギヤポンプ用モータ25(図5等参照)によって回転される。ギヤポンプ用モータ25は、心棒251と、モータ側磁石252と、を有する。モータ側磁石252は、心棒251に取り付けられており、大径ギヤ742に内蔵されたポンプ側磁石745とマグネットカップリングして、ギヤポンプ用モータ25で生成された駆動トルクをポンプ側磁石745に伝達する。これにより、ギヤポンプ用モータ25の回転に伴ってポンプ側磁石745が内蔵された大径ギヤ742が回転する。そして、大径ギヤ742と噛み合った状態でケース741に収められた小径ギヤ743が大径ギヤ742に従動回転する。
図12は、ポンプ側磁石745とモータ側磁石252とのマグネットカップリングについて説明するための図である。図12において、図4の線B−B’に沿うギヤポンプ74およびギヤポンプ用モータ25の断面を飲料製造装置1の左側から見ている。図12に示すように、ポンプ側磁石745を内蔵した大径ギヤ742とモータ側磁石252とは、蓋744を間に挟んで近接して設置されており、マグネットカップリングされている。なお、図12に示すように、蓋744には、ミルクの漏れを防止するためのOリング7441が設けられている。
ここで、本開示の飲料製造装置1では、図10および図11に示すように、大径ギヤ742および小径ギヤ743はその回転軸に心棒を有しない。したがって、大径ギヤ742や小径ギヤ743の回転軸に垂直な側面は、心棒が挿入される孔や凹みもなく、平坦な面に形成されている。
<1−3−1.大径ギヤおよび小径ギヤが心棒を有するギヤポンプの説明>
図13は、ギヤポンプの一例として、大径ギヤと小径ギヤとがそれぞれ回転軸に心棒を有する構成を例示した図である。図13に示すギヤポンプ84は、ケース841と、大径ギヤ842と、小径ギヤ843と、蓋844と、を有し、大径ギヤ842には心棒8421が、小径ギヤ843には心棒8431が、それぞれ設けられている。これに伴い、蓋844には、蓋844が心棒8421および心棒8431と干渉しないようにするための窪み8441および8442が設けられている。また、心棒8421および心棒8431の前端部は、図示は省略するが、例えばケース841の内壁面の一部に回転可能に固定される。これにより、大径ギヤ842および小径ギヤ843はケース841内で好適に回転することができる。
このように大径ギヤ842および小径ギヤ843が心棒8421および8431を有するギヤポンプ84では、以下のような改善を要する点が存在する。
改善を要する1つ目の点は、以下の通りである。ギヤポンプ84内には、ミルク等の飲料等が導入され、大径ギヤ842および小径ギヤ843の回転によってギヤポンプ84外へと輸送される。飲料等を扱うため、ギヤポンプ84内は衛生的であることが求められる。ギヤポンプ84内の衛生状態を良好に保つためには、ギヤポンプ84は分解が容易であるように構成され、使用される度、あるいは定期的に分解洗浄されることが望ましい。
しかしながら、図13に示すように大径ギヤ842および小径ギヤ843が心棒8421および心棒8431を有する場合、分解時に例えばケース841の内壁面に接続された心棒8421および心棒8431を外したり、組み立て時に心棒8421および心棒8431をケース841の内壁面に接続したり等の動作が必要となるため、スムーズに分解や組み立てを行うことができない場合がある。このため、分解や組み立てをスムーズに行うことができるギヤポンプが要望されている。
また、改善を要する2つ目の点は、以下の通りである。例えばギヤポンプ84の動作時に、心棒8421および心棒8431や、蓋844に設けられた窪み8441および8442の周囲に、ミルク等の飲料が溜まったりこびりついたりすることによって、ギヤポンプ84による飲料の輸送効率の低下や衛生面の影響が生じる場合がある。このため、飲料が溜まったりこびりついたりする箇所をできるだけ少なくしたギヤポンプが要望されている。
<1−3−2.本開示の実施の形態に係る、大径ギヤおよび小径ギヤが心棒を有しないギヤポンプの説明>
このような点について改善するため、本開示のギヤポンプ74では、図10および図11に示すように、大径ギヤ742および小径ギヤ743はその回転軸に心棒を有しない。以下では、本開示のギヤポンプ74の詳細と、本開示のギヤポンプ74が上記の点についてどのように改善しているか、について説明する。
図14は、大径ギヤ742および小径ギヤ743の寸法と、ケースの内部空間の寸法とを示す図である。図14は、ギヤポンプ74を飲料製造装置1の正面から見たときの断面を示している。本実施の形態では、図14に示すように、大径ギヤ742および小径ギヤ743の歯先円直径をOD1、OD2とし、両ギヤ742、743の歯底円直径をRD1、RD2とする。また、両ギヤ742、743の歯幅(y軸方向幅)は互いに実質同じであり、W(図示せず)とする。また、大径ギヤ742の中心と、小径ギヤ743の中心と、の間の距離をC(図示せず)とする。
ケース741は、例えば樹脂等のような非磁性材料で作製される。このケース741によって、大径ギヤ742および小径ギヤ743を収容する内部空間IS3が形成される。この内部空間IS3は、図14に示すように、大径側円弧面S1と、小径側円弧面S2と、底面S3と、上面S4と、前面S5とで定義される。
円弧面S1、S2は、y軸方向から正面視した場合に、半径が概ねOD1/2、OD2/2の円弧をなす辺を含む円弧状の面である。
底面S3は、飲料製造装置1の正面視において、両円弧面S1、S2の歯先円に接する下方側の2つの接線(図14における紙面に垂直な2つの線分)を含む面である。それに対し、上面S4は、上方側の2つの接線(図14における紙面に垂直な2つの線分)を含む面である。前面S5は、面S1〜S4で囲まれた内部空間IS3を飲料製造装置1の前面側(図14における手前側)で閉止する面である。
ケース741は、ケース741の対向する内面を結ぶ直線の最大長さLが、大径ギヤ742の歯先円の半径OD1/2と、小径ギヤ743の歯先円の半径OD2/2と、大径ギヤ742と小径ギヤ743とが噛み合った状態における大径ギヤ742の中心と小径ギヤ743の中心との間の距離Cと、の和に、所定のクリアランスを加算した値となるように設計される。
このような構成により、大径ギヤ742および小径ギヤ743とは、大径ギヤ742および小径ギヤ743の外周(歯先の一部)がケース741の内面とクリアランスを持った状態で、互いに噛み合って収容される。このため、大径ギヤ742は円弧面S1および小径ギヤ743により、大径ギヤ742の回転軸に垂直な平面内において噛み合った状態で保持される。同様に、小径ギヤ743は円弧面S2および大径ギヤ742により、大径ギヤ742または小径ギヤ743の回転軸に垂直な平面内において移動しないように支持される。その状態で蓋744が閉められることで、大径ギヤ742および小径ギヤ743はさらに回転軸方向(ギヤポンプ74の前後方向)に移動しないように支持される。
そして、ギヤポンプ用モータ25が回転してギヤポンプ用モータ25で生成された駆動トルクがモータ側磁石252とマグネットカップリングされた大径ギヤ742内のポンプ側磁石745に伝達されると、大径ギヤ742は回転し、これに伴って、小径ギヤ743も大径ギヤ742に従動回転する。
ケース741は、図4、図5、図10および図14等に示すように、ミルク用入口746と、空気用入口747と、ミルク用出口748と、を有する。ミルク用入口746は、ケース741の上面S4に形成された貫通孔を介してギヤポンプ74の内部空間IS4と流体連通可能な円筒または管状の部材である。なお、内部空間IS4とは、ギヤポンプ74の内部空間IS3のうち、上面S4と、大径ギヤ742および小径ギヤ743で囲まれた空間(図14の斜線部分)である。ミルク用入口746には、上述のミルク供給配管231の下流端が流体連通可能に接続される。
空気用入口747は、ケース741に形成された貫通孔を介してギヤポンプ74の内部空間IS4と流体連通可能な円筒または管状の部材である。空気用入口747には、上述の空気供給配管242の下流端が流体連通可能に接続される。これらのミルク用入口746および空気用入口747は、上面S4の中央またはその近傍に形成されることが好ましい。
ミルク用出口748は、ケース741の底面S3に形成された貫通孔である。このミルク用出口748は、分岐部75と流体連通可能である。ミルク用出口748は、底面S3の中央またはその近傍に形成されることが好ましい。
以上のケース741は、内部空間IS3の底面S3がxy平面と平行になるようにベースユニット11の前面側に固定される。そして、蓋744は、両ギヤ742、743が収容されたケース741の開口部分を閉止する。蓋744には図示しないOリングが取り付けられ、このOリングによって蓋744とケース741間が密閉される。
ギヤポンプ74の回転時には、回転する大径ギヤ742および小径ギヤ743により、内部空間IS4内のミルクが、大径ギヤ742および小径ギヤ743の外側(噛み合っていない側)を通って、ミルク用出口748付近へと移送される。これにより、ミルク用入口746からケース741内に流入したミルクを、ミルク用出口748から流出させることができる。なお、大径ギヤ742および小径ギヤ743の外側とは、大径ギヤ742および小径ギヤ743の外周部のうち、ケース741の内面に近い側を意味する。
また、ミルク用入口746からギヤポンプ74の内部空間IS4にミルクが流入するとともに、空気用入口747から内部空間IS4に空気が流入した場合、ギヤポンプ74の回転により、ミルクと空気とが攪拌されてフォームドミルクが生成される。
上記説明したように、本開示の実施の形態に係る飲料製造装置1が有するギヤポンプ74では、大径ギヤ742および小径ギヤ743が互いに噛み合った状態でケース741に収容され、大径ギヤ742にはギヤポンプ用モータ25によって回転するモータ側磁石252とマグネットカップリングしたポンプ側磁石745が内蔵され、小径ギヤ743は大径ギヤ742の回転に従動して回転し、大径ギヤ742および小径ギヤ743は、回転軸に心棒を有しない。
そして、本開示の実施の形態に係る飲料製造装置1が有するギヤポンプ74では、ケース741の対向する内面を結ぶ直線の最大長さLは、大径ギヤ742の歯先円の半径OD1/2と、小径ギヤ743の歯先円の半径OD2/2と、大径ギヤ742と小径ギヤ743とが噛み合った状態における大径ギヤ742の中心と小径ギヤ743の中心との間の距離Cと、の和に、所定のクリアランスを加算した値である。
このような構成により、大径ギヤ742および小径ギヤ743は、大径ギヤ742および小径ギヤ743の回転軸に対して垂直な平面内において移動せず、かつ回転可能にケース741内に収容される。
本開示の実施の形態に係る飲料製造装置1が有するギヤポンプ74では、上述したように大径ギヤ742および小径ギヤ743がそれぞれ心棒を有しないので、心棒が挿入される孔や凹みもなく、大径ギヤ742および小径ギヤ743の回転軸に垂直な側面を平坦にでき、大径ギヤ742および小径ギヤ743の表面にミルク等が溜まったりこびりついたりするような事態を防止することができる。同様に、蓋744の内面に大径ギヤ742および小径ギヤ743の心棒を受けたり、心棒との干渉を避けたりするための窪み等を設ける必要がなく、大径ギヤ742および小径ギヤ743に対向する蓋744の面を平坦に形成でき、蓋744の一部にミルク等が溜まったりこびりついたりする事態を防止することができる。
そして、大径ギヤ742内のポンプ側磁石745とギヤポンプ用モータ25の心棒251に取り付けられたモータ側磁石252とがマグネットカップリングされており、ギヤポンプ用モータ25の駆動トルクがポンプ側磁石745に伝達されることで、大径ギヤ742は回転する。これに伴って、小径ギヤ743も大径ギヤ742に従動回転する。このようにモータ側磁石252とポンプ側磁石745とがマグネットカップリングされるので、出力軸と大径ギヤ742の軸の厳密な一致は必要でなくなり、大径ギヤ742への駆動トルクの伝達を心棒を用いずに行うことができる。
また、本開示の実施の形態に係る飲料製造装置1が有するギヤポンプ74では、上述したように大径ギヤ742(小径ギヤ743)はケース741の内面および小径ギヤ743(大径ギヤ742)、および蓋744によって支持されている。このため、蓋744をケース741から外したとき、ケース741から大径ギヤ742および小径ギヤ743を容易に取り出すことができる。このため、ギヤポンプ74の分解洗浄を容易に行うことができる。また、分解洗浄後のギヤポンプ74の組み立ても容易である。
なお、上記説明したように、本開示の実施の形態に係る飲料製造装置1が有するギヤポンプ74では、大径ギヤ742および小径ギヤ743は、回転軸方向(ギヤポンプ74の前後方向)に移動しないように、ケース741の前面S5と蓋744とに接触した状態となる。このような状態では、大径ギヤ742および小径ギヤ743が回転する際、ケース741の前面S5または蓋744との摩擦により、スムーズに回転できない事態が生じうる。これは、特にマグネットカップリングによって、大径ギヤ742と蓋744との間の摩擦力が大きくなるためである。
このような事態を防止するため、大径ギヤ742の回転軸に垂直な側面において、図12に示すような凹みDが設けられることが望ましい。凹みDは、大径ギヤ742の蓋744と対向する側面(回転軸方向に垂直な側面)における、例えば大径ギヤ742の周縁部7421から所定距離以上離れた位置に、蓋744との接触面積が小さくなるように設けられればよい。凹みDの深さについては本開示では特に限定しないが、大径ギヤ742の側面と蓋744とが接触しないだけの深さであればよい。なお、所定距離とは、周縁部7421が十分にミルクの漏れを防止できる距離である。周縁部7421には、凹みにミルクが流入した場合の逃げ孔(図示は省略)が設けられていてもよい。
また、大径ギヤ742の側面ではなく、蓋744側に凹みが設けられてもよい(図示は省略)。さらに、大径ギヤ742の側面と、蓋744と、の両方に凹みが設けられてもよい。この場合、大径ギヤ742の側面に設けられる場合と同様に、凹みは蓋744における周縁部7421に対向する位置には設けられず、周縁部7421より所定距離以上内側の領域に対向する位置に設けられることが望ましい。
また、凹みは、大径ギヤ742の蓋744と接触する側面だけではなく、その反対側の面であるケース741の前面S5側の側面に設けられてもよい(図示は省略)。また、ケース741の前面S5側に凹みが設けられてもよい。さらに、大径ギヤ742のケース741の前面S5側の側面と、ケース741の前面S5と、の両方に凹みが設けられてもよい。この場合、蓋744と接触する側面に設けられる場合と同様に、ケース741の前面S5における、周縁部7421に対向する位置には設けられず、周縁部7421より所定距離以上内側の領域に対向する位置に設けられることが望ましい。逃げ孔は、大径ギヤ742の側面の周縁部7421に設けられてもよいし、周縁部7421と接する蓋744の周縁部に設けられてもよい。また両方に設けられてもよい。
このような構成により、大径ギヤ742の回転時に、大径ギヤ742の側面とケース741の前面S5および/または蓋744との摩擦により大径ギヤ742がスムーズに回転しない事態を防止することができる。
なお、小径ギヤ743側についても凹みを設けてもよいが、小径ギヤ743側はマグネットカップリングしていないので、小径ギヤ743側の凹みは設けられなくてもよい。
<1−4.ミルクフォーマの動作(スチームミルク作成時)>
次に、上記構成のミルクフォーマ73の動作例について説明する。ボタン群4のうちの特定のボタンが操作され、操作されたボタンがスチームミルクを使用した飲料であったと判定した場合、本体2内部に設けられた図示しないマイコンは、以下のように上記構成の各部を制御する。
マイコンは、バルブ用モータ26を駆動する。これにより、図9に示す出力軸261が回転する。出力軸261に生じた力は、先端のモータ側ギヤ262およびバルブ側ギヤ766を介して、バルブ76に伝達される。スチームミルクを生成する場合、マイコンは、バルブ用モータ26を制御して、図7上段に示すように、リング間距離dの最短部分が上方を向くようにバルブ76を回転させ停止させる。これにより、分岐部75の内部空間IS1には、入口751から第2出口753への向かう流路(図7上段の一点鎖線の矢印を参照)が形成される。
マイコンはさらに、電磁ポンプ221を運転し、三方弁225に通電する。これにより、湯タンク211の湯は、ミルク側給湯配管222を介してボイラ223に流入し始める。流入した湯はボイラ223により蒸気となり、蒸気用配管224を介してホットミルク用ノズル710に供給される。
マイコンは、さらに、ギヤポンプ用モータ25を駆動する。その結果、心棒251に生じた回転力は、モータ側磁石252とポンプ側磁石745との間のマグネットカップリングにより、大径ギヤ742に伝達される。その結果、大径ギヤ742が回転し始め、小径ギヤ743は大径ギヤ742に従動回転する。この時、両ギヤ742、743は図14に示す矢印a、bの方向に回転する。かかる回転により、ギヤポンプ74は、ミルクパック9内のミルクを、ミルク供給配管231を介して、吸い上げ始める。ギヤポンプ74内に吸い上げられたミルクは、両ギヤ742、743の回転により、これらの外側を回ってミルク用出口748から吐出される。
なお、スチームミルク作成時、エアポンプ241は停止し、空気弁243は閉止される。即ち、ギヤポンプ74は、空気供給部24による空気の供給を受けない。
ミルク用出口748から吐出されたミルクは、分岐部75の入口751に供給される。入口751から内部空間IS1に流入したミルクは、内部空間IS1を通って第2出口753から吐出され、その後、ミルク用流路79を介して、ホットミルク用ノズル710に流入する。上記の通り、ホットミルク用ノズル710には、蒸気用配管224から蒸気が供給される。ホットミルク用ノズル710の内部ではミルクが蒸気で加熱され、これによって、スチームミルクが生成される。生成されたスチームミルクは、ホットミルク用ノズル710から容器10に向けて吐出される。
<1−5.ミルクフォーマの動作(コールドミルク作成時)>
また、ボタン群4のうちの特定のボタンが操作され、操作されたボタンがコールドミルクを使用した飲料であった場合、マイコンは、以下のように上記構成の各部を制御する。
まず、マイコンは、バルブ用モータ26を制御して、図7下段に示すように、リング間距離dの最短部分が下方を向くようにバルブ76を回転させ停止させる。これにより、分岐部75の内部空間IS1には、入口751から第1出口752への流路(図7下段の一点鎖線の矢印を参照)が形成される。
マイコンはさらに、ギヤポンプ用モータ25を駆動する。これにより、1−4欄での説明と同様に、ギヤポンプ74が、ミルクパック9内のミルクを吸い上げ始める。ギヤポンプ74内のコールドミルクは、両ギヤ742、743の回転により、ミルク用出口748から吐出される。
コールドミルク作成時、ギヤポンプ74は、空気供給部24から空気の供給を受けない。
ミルク用出口748からのミルクは、分岐部75の入口751に供給される。入口751から内部空間IS1に流入したミルクは、内部空間IS1を通って第1出口752から吐出され、コールドミルク用ノズル77の上端から内部空間IS2に流入する。流入したミルクは、コールドの状態を保ったまま、コールドミルク用ノズル77の下端から、容器10に向けて吐出される。
<1−6.ミルクフォーマの動作(コールドのフォームドミルク作成時)>
また、ボタン群4のうちの特定のボタンが操作され、操作されたボタンがコールドのフォームドミルクを使用した飲料であった場合、マイコンは、以下のように上記構成の各部を制御する。
まず、マイコンは、バルブ用モータ26を制御して、図7下段に示すように、リング間距離dの最短部分が下方を向くようにバルブ76を回転させ停止させる。これにより、分岐部75の内部空間IS1には、入口751から第1出口752への流路(図7下段の一点鎖線の矢印を参照)が形成される。
次に、マイコンは、コールドのフォームドミルクの作成時、空気弁243を開放し、エアポンプ241を駆動する。その結果、外部の空気は、エアポンプ241に取り込まれ、空気供給配管242およびギヤポンプ74の空気用入口747を介して、ギヤポンプ74の内部空間IS3に供給される。
マイコンはさらに、ギヤポンプ用モータ25を駆動する。これにより、1−4欄での説明と同様にして、ギヤポンプ74は、ミルクパック9内のミルクを吸い上げ始める。
ギヤポンプ74内のミルクおよび空気は、両ギヤ742、743の回転により混合され、これによって、コールドのフォームドミルクが生成される。生成されたコールドのフォームドミルクは、回転する両ギヤ742、743の外側を回り、ミルク用出口748から吐出される。
ミルク用出口748から吐出されたコールドのフォームドミルクは、分岐部75の入口751に供給された後、内部空間IS1を通って第1出口752から吐出されて、コールドミルク用ノズル77の上端から内部空間IS2に流入する。内部空間IS2には、前述のように調質器78が設けられている。調質器78は、流入したコールドのフォームドミルクの泡を均質化して、コールドミルク用ノズル77の下端から、容器10に向けて吐出される。
<1−7.ミルクフォーマの動作(ホットのフォームドミルク作成時)>
また、ボタン群4のうちの特定のボタンが操作され、操作されたボタンがホットのフォームドミルクを使用した飲料であった場合、マイコンは、以下のように上記構成の各部を制御する。
まず、マイコンは、バルブ用モータ26を制御して、図7上段に示すように、リング間距離dの最短部分が上方を向くようにバルブ76を回転させ停止させる。これにより、分岐部75の内部空間IS1には、入口751から第2出口753への向かう流路(図7上段の一点鎖線の矢印を参照)が形成される。
また、1−4欄に記載した通り、マイコンが電磁ポンプ221を運転し、三方弁225に通電すると、蒸気が蒸気用配管224を介してホットミルク用ノズル710に供給される。
また、1−6欄に記載した通り、マイコンがギヤポンプ用モータ25を駆動すると、ギヤポンプ74は、コールドのフォームドミルクを生成し、ミルク用出口748から吐出する。
ミルク用出口748から吐出されたコールドのフォームドミルクは、分岐部75の入口751に流入し、第2出口753から吐出された後、ミルク用流路79を介して、ホットミルク用ノズル710に流入する。上記の通り、ホットミルク用ノズル710には、蒸気用配管224から蒸気が供給される。ホットミルク用ノズル710の内部ではフォームドミルクが蒸気で加熱され、これによって、ホットのフォームドミルクが生成される。生成されたホットのフォームドミルクは、ホットミルク用ノズル710から容器10に向けて吐出される。
<1−8.作用・効果>
以上説明したように、本開示の実施の形態に係る飲料製造装置1のギヤポンプ74では、大径ギヤ742および小径ギヤ743が互いに噛み合った状態でケース741に収容され、大径ギヤ742にはギヤポンプ用モータ25によって回転するモータ側磁石252とマグネットカップリングしたポンプ側磁石745が内蔵され、小径ギヤ743は大径ギヤ742の回転に従動して回転し、大径ギヤ742および小径ギヤ743は、回転軸に心棒を有しない。
本開示の実施の形態に係る飲料製造装置1のギヤポンプ74では、上述したように大径ギヤ742および小径ギヤ743がそれぞれ心棒を有しないので、心棒が挿入される孔や凹みもなく、大径ギヤ742および小径ギヤ743の回転軸に垂直な側面を平坦にでき、大径ギヤ742および小径ギヤ743の表面にミルク等が溜まったりこびりついたりするような事態を防止できる。同様に、大径ギヤ742および小径ギヤ743に対向する蓋744の面を平坦に形成でき、蓋744の一部にミルク等が溜まったりこびりついたりする事態を防止することができる。なお、上述した実施の形態ではケース741と蓋744とを別の構成として説明したが、蓋744はケース741とともに大径ギヤ742および小径ギヤ743を収容するものであり、ケース741に含まれるものとしてもよい。
また、本開示の実施の形態に係る飲料製造装置1のギヤポンプ74では、上述したように大径ギヤ742(小径ギヤ743)はケース741の内面および小径ギヤ743(大径ギヤ742)、および蓋744によって支持されている。このため、蓋744をケース741から外したとき、ケース741から大径ギヤ742および小径ギヤ743を容易に取り出すことができる。このため、ギヤポンプ74の分解洗浄を容易に行うことができる。また、分解洗浄後のギヤポンプ74の組み立ても容易である。
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素は任意に組み合わせてられてもよい。