JP2018073752A - 非水電解質二次電池用正極活物質、非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法、非水電解質二次電池用電極及び非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用正極活物質、非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法、非水電解質二次電池用電極及び非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】体積当たりの放電容量が大きい正極活物質、その正極活物質を用いた非水電解質二次電池用電極、及び非水電解質二次電池非水電解質二次電池を提供する。【解決手段】リチウム遷移金属複合酸化物を含む非水電解質二次電池用活物質であって、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、α−NaFeO2構造を有し、遷移金属元素(Me)としてMn及びNi、又はMn、Ni及びCoを含み、Meに対するMnのモル比Mn/Meが0.5<Mn/Meであり、Meに対するLiのモル比Li/Meが1<Li/Meであり、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、さらに、Ru、Te又はFe元素を含み、空間群R3−mに帰属可能なX線回折パターンを有し、Cu−Kα線を用いたX線回折測定による、ミラー指数hklにおける(104)面の回折ピークの半値幅(FWHM(104))が0.25°以上である。【選択図】図2

Description

本発明は、非水電解質二次電池用正極活物質、その正極活物質の製造方法、その正極活物質を含有する非水電解質二次電池用電極及び非水電解質二次電池に関する。
従来、リチウム二次電池に代表される非水電解質二次電池用の正極活物質として、α−NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物が検討され、LiCoOを用いた非水電解質二次電池が広く実用化されていた。しかし、LiCoOの放電容量は120〜130mAh/g程度であった。前記Meとして、地球資源として豊富なMnを用いることが望まれてきた。しかし、リチウム遷移金属複合酸化物をLiMeO(Meは遷移金属)で表したときのMeとしてMnを含有させた場合、Me中のMnのモル比Mn/Meが0.5を超える場合には、充電をするとスピネル型へと構造変化が起こり、結晶構造が維持できないため、充放電サイクル性能が著しく劣るという問題があった。
そこで、遷移金属(Me)中のMnのモル比Mn/Meが0.5以下であり、遷移金属(Me)に対するLiのモル比Li/Meがほぼ1である「LiMeO型」活物質が種々提案され、一部実用化されている。例えば、リチウム遷移金属複合酸化物であるLiNi1/2Mn1/2やLiNi1/3Co1/3Mn1/3を含有する正極活物質は150〜180mAh/gの放電容量を有する。
一方、上記のようないわゆる「LiMeO型」活物質に対し、Me中のMnのモル比Mn/Meが0.5を超え、遷移金属(Me)の比率に対するリチウム(Li)の組成比率Li/Meが1より大きいリチウム遷移金属複合酸化物を含む、いわゆる「リチウム過剰型」活物質も知られている。(例えば、特許文献1、2、5〜7参照)。
特許文献1には、「α−NaFeO型結晶構造を有し、組成式Li1+αMe1−α(MeはCo、Ni及びMnを含む遷移金属元素、α>0)で表され、前記遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meが1.2〜1.6であるリチウム遷移金属複合酸化物を含有する非水電解質二次電池用正極活物質であって、前記遷移金属元素Me中のCoのモル比Co/Meが0.02〜0.23であり、前記遷移金属元素Me中のMnのモル比Mn/Meが0.62〜0.72であり、電位5.0V(vs.Li/Li)まで電気化学的に酸化したとき、エックス線回折図上空間群R3−mに帰属される単一相として観察されるものであることを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質。」(請求項1)と記載されている。
そして、実施例においては、Co、Ni及びMnを含む遷移金属元素の共沈炭酸塩前駆体と炭酸リチウムを混合して焼成することにより、リチウム遷移金属複合酸化物を合成することが示されている(段落[0083]〜[0086]、[0109]、[0119]表2、[0120]表3参照)。
また、非水電解質二次電池用正極活物質として、Feを含むリチウム遷移金属複合酸化物が公知である(例えば、特許文献2、3参照)。
特許文献2には、「以下の一般式:
xLiM1O‐(1−x)LiM2O (1)
(ここでM1は、4価のカチオンを構成する少なくとも一種の金属元素であり、M2は、3価のカチオンを構成する少なくとも一種の金属元素であり、xは0<x<1を満たす実数である);
で表される固溶体を含有し、
ここで、前記固溶体中のM1及び/又はM2の一部が、Fe,AlおよびCrからなる群から選択される少なくとも一種の金属元素M3で置換されていることを特徴とする、リチウム二次電池用正極活物質。」(請求項1)が記載されている。
また、段落[0025]には、「このように、LiM1O‐LiM2O系固溶体中のM1及び/又はM2の一部を、Fe,AlおよびCrからなる群から選択される少なくとも一種の金属元素M3で置換することにより、M3で置換していない従来のLiM1O‐LiM2O系固溶体と比較して、リチウムイオンの出し入れにより生じ得る結晶構造の歪みが減少し、高出力時においても安定な結晶構造となる。そのため、このLiM1O‐LiM2O系固溶体を正極活物質に用いたリチウム二次電池のレート特性が好ましく向上する。」と記載されている。
そして、実施例には、酢酸リチウム、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸ニッケル及び酢酸鉄を秤量したのち水中で溶解混合し、グリコール酸を適量添加して調製した原料混合スラリーを、約80℃で24時間加熱して水を蒸発させて前駆体を製造し、その前駆体を大気中において500℃で仮焼成し、これをいったんボールミルで粉砕した後、さらに900℃で本焼成して製造された、空間群R−3mに属する結晶構造を有し、全体組成がLi1.2[Mn0.535Fe0.005Co0.13Ni0.13]O等である正極活物質が示されている(段落[0055]〜[0058]参照)。
また、X線回折測定による(104)面(2θ=44±1°)の回折ピークの半値幅を規定したリチウム遷移金属複合酸化物を含有する非水電解質二次電池用正極活物質が公知である(例えば、特許文献3〜7参照)。
特許文献3には、「Li−Mn−Ni系複合酸化物を主成分とする正極活物質であって、前記Li−Mn−Ni系複合酸化物のBET法による比表面積が0.3m/g以上1.5m/g以下であることを特徴とする正極活物質。」(請求項1)、「前記Li−Mn−Ni系複合酸化物が、LiMn0.5Ni0.5で表される複合酸化物を構成するMn及びNiの一部が異種元素で置換され、次の一般式;
Li1−z[Mn0.5−x−yNi0.5−x′−y′x+x′Liy+y′
(但し、Mは前記異種元素;
x=0.001〜0.1;x′=0.001〜0.1;
y=0〜0.1;y′=0〜0.1;
x+x′+y+y′≦0.4;0≦z≦1)
で示される組成の複合酸化物であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の正極活物質。」(請求項3)、「前記異種元素MがB,Mg,Al,Ti,V,Cr,Fe,Co,Cu及びZnから構成される群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求の範囲第3項または第4項に記載の正極活物質。」(請求項5)、及び「前記Li−Mn−Ni系複合酸化物は、CuKα線を使用した粉末エックス線回折図の、2θ=18.6±1°における回折ピークの半値幅が0.13°以上0.20°以下であり、かつ、2θ=44.1±1°における回折ピークの半値幅が0.10°以上0.17°以下であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第12項のいずれかに記載の正極活物質。」(請求項13)が記載されている。
また、段落[0054]には、異種元素MとしてB,Mg,Al,Ti,V,Cr,Fe,Co,Cu及びZnのいずれかを用いると、高率放電性能に特に顕著な効果が得られるため、さらに好ましいとの記載がある。
そして、実施例には、水酸化リチウム水溶液にマンガン、ニッケル及び鉄を含む共沈化合物を添加し、攪拌後溶媒を蒸発させて乾燥した後、1000℃で12時間、酸素雰囲気下で本焼成して製造した、組成式がLiMn0.475Ni0.475Fe0.05等である正極活物質の、CuKα線を使用した粉末エックス線回折図の2θ=44.1±1°における回折ピークの半値幅が、0.11°〜0.14°となることが示されている(段落[0179]、[0246]表2、段落[0198]、[0247]表3、[0229]、[0230]、[0248]表4参照)。
特許文献4には、「CuKα線を用いた粉末X線回折のミラ−指数hklにおける(003)面及び(104)面の回折ピ−ク角2θがそれぞれ18.65°以上及び44.50°以上で、かつそれら各面の回折ピ−ク半価幅が何れも0.18°以下であり、更に(108)面及び(110)面の回折ピ−ク角2θがそれぞれ64.40°及び65.15°以上で、かつそれら各面の回折ピ−ク半価幅が何れも0.18°以下であるところの、LiaNixMnyCoz2+b(x+y+z=1,1.00<a<1.3,0≦b<0.3)なる化学組成を持つ層状構造のリチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物。」(請求項1)が記載されている。
また、段落[0017]には、「CuKα線を用いた粉末X線回折のミラ−指数hklにおける(003)面及び(104)面の回折ピ−ク角2θがそれぞれ18.65°,44.50°よりも小さいと、相間隔が減少し、リチウムイオンの拡散が阻害され、充・放電特性が劣化する。また、これらの面の回折ピ−ク半価幅がそれぞれ0.18°より大きいと、結晶の成長が足りないかもしくは組成のばらつきが大きいため充・放電特性は劣化する。」と記載されている。
そして、実施例1〜3には、組成式がLi1.1Ni0.333Mn0.333Co0.333で、(104)面の回折ピーク半価幅が0.141°〜0.165°であるリチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物が示されている(段落[0020]〜[0021]、[0022]表1、[0026]〜[0028]、[0030]〜[0032]参照)。
特許文献5には、「α−NaFeO構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質であって、
前記リチウム遷移金属複合酸化物は、遷移金属(Me)がCo、Ni及びMnを含み、
Liと遷移金属(Me)のモル比(Li/Me)が1.15≦Li/Me≦1.24であり、
前記遷移金属中のMnのモル比(Mn/Me)が0.52≦Mn/Me≦0.66であり、
エックス線回折パターンを元に空間群R3−mを結晶構造モデルに用いたときに、(104)面に帰属される回折ピークの半値幅(FWHM(104))が0.285≦FWHM(104)≦0.335であることを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質。」(請求項1)が記載されている。
また、段落[0025]には、「本発明に係るリチウム遷移金属複合酸化物は、エックス線回折パターンを元に空間群R3−mを結晶構造モデルに用いたときに(104)面に帰属される回折ピークの半値幅FWHM(104)は、0.285°〜0.335°の範囲である。また、(003)面に帰属される回折ピークの半値幅が0.204°〜0.303°の範囲であることが好ましい。こうすることにより、正極活物質の放電容量を大きくし、高率放電性能を向上させることが可能になるとともにOCVを安定化させることができる。なお、2θ=18.6°±1°の回折ピークは、空間群P312及びR3−mではミラー指数hklにおける(003)面に、2θ=44.1°±1°の回折ピークは、空間群P312では(114)面、空間群R3−mでは(104)面にそれぞれ指数付けされる。」と記載されている。
そして、段落[0069]〜[0076]、[0090]表1には、遷移金属の共沈炭酸塩前駆体と炭酸リチウムとを種々の組成となるように混合し、720〜920℃で焼成した活物質についてエックス線回折測定を行ったところ、空間群R−3mで(104)面に指数付けされる回折ピークの半値幅が0.257°〜0.346°であったことが記載されている。
特許文献6には、「組成式Li1+αMe1−α(MeはCo、Ni及びMnを含む遷移金属元素、1.2≦(1+α)/(1−α)≦1.4)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含有するリチウム二次電池用正極活物質であって、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、前記Me中のCoのモル比Co/Meが0.20〜0.36であり、エックス線回折パターンを元に空間群R3−mを結晶構造モデルに用いたときに(104)面に帰属される回折ピークの半値幅が0.262°〜0.424°の範囲であることを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質。」(請求項1)が記載されている。
また、段落[0020]には、「本発明に係るリチウム遷移金属複合酸化物は、エックス線回折(CuKα線源を使用)パターンを元に空間群R3−mを結晶構造モデルに用いたときに(104)面に帰属される回折ピークの半値幅が0.262°〜0.424°の範囲である。こうすることにより、正極活物質の放電容量を大きくし、エネルギー密度を向上させることが可能となる。また、回折ピークの半値幅を0.278°〜0.424°の範囲とすることにより、エネルギー密度と共に高率放電性能を向上させることが可能となる。なお、2θ=44±1°の回折ピークは、空間群P312では(114)面、空間群R3−mでは(104)面にそれぞれ指数付けされる。」と記載されている。
そして、段落[0066]〜[0079]、[0082]、[0090]表1、[0094]〜[0099]、[0110]表2には、遷移金属の共沈炭酸塩前駆体と炭酸リチウムとを種々の組成となるように混合し、750〜850℃で焼成した活物質についてエックス線回折測定を行ったところ、空間群R−3mで(104)面に指数付けされる回折ピークの半値幅が0.253°〜0.445°であったことが記載されている。
特許文献7には、「α−NaFeO型結晶構造を有するナトリウム含有リチウム遷移金属複合酸化物の固溶体を含むリチウム二次電池用活物質であって、前記固溶体の化学組成式が、Li1+x−yNaCoNiMn2+d(0<y≦0.1、0.4≦c≦0.7、x+a+b+c=1、0.1≦x≦0.25、−0.2≦d≦0.2)を満たし、かつ、六方晶(空間群P312)に帰属可能なX線回折パターンを有し、ミラー指数hklにおける(003)面の回折ピークの半値幅が0.30°以下であり、かつ、(114)面の回折ピークの半値幅が0.50°以下であることを特徴とするリチウム二次電池用活物質。」(請求項1)が記載されている。
また、段落[0052]には、「結晶化の度合いを示すものとして先に述べたX線回折ピークの半値幅がある。本発明において、低温特性を改善するためには、空間群P312に帰属されるX線回折パターンにおいて(003)面の回折ピークの半値幅を0.30゜以下とし、かつ、(114)面の回折ピークの半値幅を0.50゜以下とすることが必要である。(003)面の回折ピークの半値幅は0.17°〜0.30゜が好ましく、(114)面の回折ピークの半値幅は0.35°〜0.50゜が好ましい。」と記載されている。
そして、段落[0074]〜[0090]、[0102]表1、[0103]表2には、遷移金属の共沈水酸化物前駆体と、水酸化リチウム1水和物と、炭酸ナトリウムを種々の組成となるように混合し、700〜1050℃で焼成した活物質について結晶構造解析を行ったところ、(003)面の回折ピークの半値幅が0.17〜0.32°、(114)面の回折ピークの半値幅が0.35〜0.54°であったことが記載されている。
WO2012/091015 特開2012−129102号公報 特開2009−59710号公報 特開2005−53764号公報 特開2016−143447号公報 特開2014−44945号公報 WO2012/039413
上記のいわゆる「リチウム過剰型」活物質の放電容量は、特許文献1、5〜7に記載されるように、概して、いわゆる「LiMeO型」活物質よりも大きい。
また、活物質製造のための前駆体に、遷移金属元素の共沈炭酸塩前駆体を用いると、ポーラスで微細な一次粒子を有する活物質が得られるため、Liイオンの拡散に有利な粒子形態となり、高率放電性能が改善できる。しかしながら、炭酸塩前駆体を用いた活物質は、重量当たりの容量は優れているものの、活物質がポーラスとなるため、体積当たりの容量が十分ではない。一方、前駆体に遷移金属元素の共沈水酸化物前駆体を用いると、粒子径が大きくなりやすく、また、通常の製法では前駆体の高密度化が困難である。したがって、この製法を「リチウム過剰型」活物質に適用すると、Liイオンの拡散効率が低下するとともに、体積当たりの容量を向上させることが難しかった。
本発明者は、「リチウム過剰型」正極活物質の前駆体として、特定の製法で得られた水酸化物前駆体を用いることにより、図1に示すように、炭酸塩前駆体から作製された正極活物質に比べて全細孔容積が小さく、体積当たりの放電容量が大きい正極活物質を得たが、更なる放電容量の向上が望まれている。
特許文献2には、リチウム二次電池用正極活物質として、Feを含むリチウム遷移金属複合酸化物が記載されているが、そのX線回折測定によるピークの半値幅については記載がなく、体積当たりの容量を向上させることについても記載がない。
特許文献3、4には、X線回折測定による(104)面の回折ピークの半値幅が0.25°以上である「リチウム過剰型」のリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質は開示されておらず、体積当たりの容量を向上させることについても記載がない。また、特許文献3、4には、「リチウム過剰型」のリチウム遷移金属複合酸化物は具体的に示されていない。
特許文献5〜7にはそれぞれ、X線回折測定による(104)面の回折ピークの半値幅が0.25°以上のリチウム遷移金属複合酸化物を含有するリチウム二次電池用正極活物質が記載されているが、該リチウム遷移金属複合酸化物がRu、Te又はFe元素を含むことについては記載がなく、体積当たりの放電容量を向上させることについても記載がない。
本発明は、体積当たりの放電容量が大きい正極活物質、その正極活物質を用いた非水電解質二次電池用電極、及び非水電解質二次電池を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一側面は、「リチウム遷移金属複合酸化物を含む非水電解質二次電池用活物質であって、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、α−NaFeO構造を有し、遷移金属元素(Me)としてMn及びNi、又はMn、Ni及びCoを含み、Meに対するMnのモル比Mn/Meが0.5<Mn/Meであり、Meに対するLiのモル比Li/Meが1<Li/Meであり、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、さらに、Ru、Te又はFe元素を含み、空間群R3−mに帰属可能なX線回折パターンを有し、Cu−Kα線を用いたX線回折測定による、ミラー指数hklにおける(104)面の回折ピークの半値幅(FWHM(104))が0.25°以上である、非水電解質二次電池用正極活物質。」を採用する。
本発明の他の一側面は、「リチウム遷移金属複合酸化物を含む非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法であって、溶液中でNi及びMn、又はNi、Co及びMnを含む遷移金属化合物を共沈させて遷移金属水酸化物前駆体を製造し、前記遷移金属水酸化物前駆体、リチウム化合物、並びにRu、Te若しくはFeの単体又は化合物を混合し、750℃以上850℃以下の温度で焼成して、α−NaFeO構造を有し、遷移金属元素(Me)としてMn及びNi、又はMn、Ni及びCoを含み、Meに対するMnのモル比Mn/Meが0.5<Mn/Meであり、Meに対するLiのモル比Li/Meが1<Li/Meであり、さらに、Ru、Te又はFe元素を含むリチウム遷移金属複合酸化物を製造する、非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。」である。
本発明の他の一側面は、「リチウム遷移金属複合酸化物を含む非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法であって、溶液中でNi及びMn、又はNi、Co及びMnを含む遷移金属化合物と共にFeを含む遷移金属化合物を共沈させて遷移金属水酸化物前駆体を製造し、
前記遷移金属水酸化物前駆体及びリチウム化合物を混合し、750℃以上850℃以下の温度で焼成して、α−NaFeO構造を有し、遷移金属元素(Me)としてMn及びNi、又はMn、Ni及びCoを含み、Meに対するMnのモル比Mn/Meが0.5<Mn/Meであり、Meに対するLiのモル比Li/Meが1<Li/Meであり、さらに、Fe元素を含むリチウム遷移金属複合酸化物を製造する、非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。」である。
本発明の他の一側面は、前記正極活物質を含有する非水電解質二次電池用電極であり、前記電極を備えた非水電解質二次電池である。
本発明によれば、体積当たりの放電容量(エネルギー密度)が大きい正極活物質、その正極活物質を含有する非水電解質二次電池用電極、及びその電極を備えた非水電解質二次電池を提供することができる。
水酸化物前駆体から作製された正極活物質、及び炭酸塩前駆体から作製された正極活物質の全細孔容積を示す図 本発明の一態様に係る非水電解質二次電池を示す外観斜視図 本発明の一態様に係る非水電解質二次電池を複数個集合した蓄電装置を示す概略図
[正極活物質及びリチウム遷移金属複合酸化物]
本発明の一実施形態(以下、「本実施形態」という。)に係る非水電解質二次電池用正極活物質は、リチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質である。
前記リチウム遷移金属複合酸化物の組成は、高い放電容量が得られる点から、Mn及びNi、又はMn、Ni及びCoを含む遷移金属元素Me、並びに、Liを含有し、Li1+αMe1−α(α>0)と表記することができる、いわゆる「リチウム過剰型」である。
本実施形態においては、組成式Li1+αMe1−α(α>0)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物において、(1+α)/(1−α)で表される遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meは、1.1以上1.4未満とすることが好ましく、1.1以上1.3以下とすることがより好ましく、1.1以上1.2以下とすることが特に好ましい。この範囲であると、正極活物質の体積当たりの放電容量が向上する。
遷移金属元素Meに対するMnのモル比Mn/Meは0.5より大きい。0.51以上0.7未満が好ましく、0.51〜0.60がより好ましい。この範囲であると、水酸化物前駆体のタップ密度を向上させることが可能であり、体積当たりの放電容量が向上する。
リチウム遷移金属複合酸化物に含有されるCoは、初期効率を向上させる効果があるが、Coが多すぎると、前駆体のタップ密度が低くなり、正極活物質の体積当たりの放電容量が低下する。また、希少資源であることからコスト高である。したがって、遷移金属元素Meに対するCoのモル比Co/Meは0.20以下とすることが好ましく、0でもよい。
遷移金属元素Meに対するNiのモル比Ni/Meは0.2〜0.5が好ましく、0.25〜0.4がより好ましい。この範囲であると、水酸化物前駆体のタップ密度を向上させることが可能であり、体積当たりの放電容量が向上する。
上記のような組成のリチウム遷移金属複合酸化物を用いることによって、体積当たりの放電容量が大きい非水電解質二次電池を得ることができる。
本実施形態に係るリチウム遷移金属複合酸化物は、前記リチウム及び遷移金属元素に加えて、さらにRu、Te又はFe元素を含む。
リチウム遷移金属複合酸化物がこれらの元素を含むことによって、体積当たりの放電容量が向上する。
Ru、Te又はFe元素の含有量は特に限定されないが、含有量の増加による体積あたりの放電容量の向上効果と、原料コストの上昇とを考慮して、Ni、Co及びMnの合計量に対して1〜10mol%とすることが好ましく、1〜7mol%とすることがより好ましい。
本実施形態に係るリチウム遷移金属複合酸化物は、上記元素以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、Na,K等のアルカリ金属、Mg,Ca等のアルカリ土類金属、Cr,Zn等の3d遷移金属に代表される遷移金属など少量の他の金属を含有することができる。
本実施形態に係るリチウム遷移金属複合酸化物は、α−NaFeO構造を有している。合成後(充放電を行う前)の上記リチウム遷移金属複合酸化物は、空間群P312あるいはR3−mに帰属される。このうち、空間群P312に帰属されるものには、CuKα管球を用いたエックス線回折図上、2θ=21°付近に超格子ピーク(Li[Li1/3Mn2/3]O型の単斜晶に見られるピーク)が確認される。ところが、一度でも充電を行い、結晶中のLiが脱離すると結晶の対称性が変化することにより、上記超格子ピークが消滅して、上記リチウム遷移金属複合酸化物は空間群R3−mに帰属されるようになる。ここで、P312は、R3−mにおける3a、3b、6cサイトの原子位置を細分化した結晶構造モデルであり、R3−mにおける原子配置に秩序性が認められるときに該P312モデルが採用される。なお、「R3−m」は本来「R3m」の「3」の上にバー「−」を施して表記する。
本実施形態に係るリチウム遷移金属複合酸化物は、エックス線回折パターンを元に空間群R3−mを結晶構造モデルに用いたときに、(104)面に帰属される回折ピークの半値幅FWHM(104)の値が0.25°以上である。前記値は0.30°以上であることが好ましく、0.36°以上であることがより好ましい。
FWHM(104)は、全方位からの結晶化度の指標であり、小さいほど結晶化が進んでいることを意味する。FWHM(104)が0.25°以上であると、結晶化が進みすぎておらず、結晶子が大きくなっていないため、Liイオンの拡散が十分に行われ、体積当たりの放電容量が向上する。
FWHM(104)の上限は特に限定されないが、Liイオンの輸送効率の面からは、1.00°以下とすることが好ましく、0.96°以下とすることがより好ましい。
なお、2θ=44.1°±1°の回折ピークは、空間群P312では(114)面、空間群R3−mでは(104)面に指数付けされる。したがって、空間群P312に帰属されるものについては、本明細書において(104)と記載された部分は(114)と読み替えるものとする。
本実施形態に係るリチウム遷移金属複合酸化物は、前記FWHM(104)に対する(003)面に帰属される回折ピークの半値幅の比、即ち、FWHM(003)/FWHM(104)の値が0.72以下であることが好ましく、0.60以下であることがより好ましい。
前記FWMH比は、結晶構造における全方位からの結晶化度に対するc軸方向に沿った結晶化度の指標である。FWHM(003)/FWHM(104)が小さいことは、c軸方向の結晶成長度合いが大きいことを意味する。この場合、層間からのLiイオンの脱挿入が円滑に行われ、体積当たりの放電容量を大きくすることが可能となる。
FWHM(003)/FWHM(104)の下限は特に限定されないが、結晶粒界と電解液との接触面積の増加によるMnの溶出を抑制する面からは、0.25以上であることが好ましい。
なお、2θ=18.6°±1°の回折ピークは、空間群P312及びR3−mにおいてミラー指数hklにおける(003)面に指数付けされる。
(半値幅の測定)
リチウム遷移金属複合酸化物の半値幅は、エックス線回折装置(Rigaku社製、型名:MiniFlex II)を用いて測定を行う。具体的には、次の条件及び手順に沿って行う。
線源はCuKα、加速電圧及び電流はそれぞれ30kV及び15mAとする。サンプリング幅は0.01deg、走査時間は14分(スキャンスピードは5.0)、発散スリット幅は0.625deg、受光スリット幅は開放、散乱スリットは8.0mmとする。得られたエックス線回折データについて、Kα2に由来するピークを除去せず、前記エックス線回折装置の付属ソフトである「PDXL」を用いて、空間群R3−mでは(003)面に指数付けされる、エックス線回折図上2θ=18.6±1°に存在する回折ピークについての半値幅FWHM(003)、及び、(104)面に指数付けされる、エックス線回折図上2θ=44±1°に存在する回折ピークについての半値幅FWHM(104)を決定する。
本実施形態に係るリチウム遷移金属複合酸化物粒子は、タップ密度が1.8g/cm以上であることが好ましく、1.9g/cm以上であることがより好ましい。リチウム遷移金属複合酸化物粒子のタップ密度を高くすることにより、体積当たりの放電容量が大きい非水電解質二次電池を得ることができる。
(リチウム遷移金属複合酸化物のタップ密度の測定)
本明細書において、リチウム遷移金属複合酸化物のタップ密度は、以下の方法により測定する。10−2dmのメスシリンダーに被測定試料の粉体を2g±0.2g投入し、REI ELECTRIC CO.LTD.社製のタッピング装置を用いて、300回カウント後の被測定試料の体積を投入した質量で除した値を採用する。
本実施形態に係るリチウム遷移金属複合酸化物粒子は、窒素ガス吸着法を用いた吸着等温線からBJH法で求めた全細孔容積が0.05cm/g以下である。全細孔容積は0.04cm/g以下であることが好ましい。また、ピーク微分細孔容積は0.2mm/(g・nm)以下が好ましく、0.18mm/(g・nm)以下がより好ましく、0.12mm/(g・nm)以下が特に好ましい。このような高密度の活物質は、高密度な遷移金属水酸化物前駆体とリチウム化合物を焼成することによって得ることができる。
リチウム遷移金属複合酸化物粒子の全細孔容積を0.05cm/g以下とすることにより、体積当たりの放電容量を高くすることができる。
(全細孔容積及びピーク微分細孔容積の測定)
本明細書において、リチウム遷移金属複合酸化物粒子の全細孔容積及びピーク微分細孔容積は、以下の方法により測定する。被測定試料の粉体を1.00gを測定用のサンプル管に入れ、120℃にて12h真空乾燥することで、測定試料中の水分を十分に除去する。次に、液体窒素を用いた窒素ガス吸着法により、相対圧力P/P0(P0=約770mmHg)が0から1の範囲内で吸着側および脱離側の等温線を測定する。そして、脱離側の等温線を用いてBJH法により計算することにより細孔分布を評価し、ピーク微分細孔容積、及び全細孔容積を求める。
以上の各種測定に供する試料は、電極作製前の活物質粉末であれば、そのまま測定に供する。電池を解体して取り出した電極から試料を採取する場合には、電池を解体する前に、次の手順によって電池を放電状態とする。まず、0.1CmAの電流で、正極の電位が4.3V(vs.Li/Li)となる電池電圧まで定電流充電を行い、同じ電池電圧にて、電流値が0.01CmAに減少するまで定電圧充電を行い、充電末状態とする。30分の休止後、0.1CmAの電流で、正極の電位が2.0V(vs.Li/Li)となる電池電圧に至るまで定電流放電を行い、放電末状態とする。金属リチウム電極を負極に用いた電池であれば、当該電池を放電末状態又は充電末状態とした後に電池を解体して電極を取り出せばよいが、金属リチウム電極を負極に用いた電池でない場合は、正極電位を正確に制御するため、電池を解体して電極を取り出した後に、金属リチウム電極を対極とした電池を組立ててから、上記の手順に沿って、放電末状態に調整する。
電池の解体から測定までの作業は露点−60℃以下のアルゴン雰囲気中で行う。取り出した正極板は、ジメチルカーボネートを用いて電極に付着した電解液を十分に洗浄し室温にて一昼夜の乾燥後、アルミニウム箔集電体上の合剤を採取する。この合剤を小型電気炉を用いて600℃で4時間焼成することで導電剤であるカーボンおよび結着剤であるPVdFバインダーを除去し、リチウム遷移金属複合酸化物粒子を取り出す。
本実施形態に係る非水電解質二次電池用正極活物質は、上記リチウム遷移金属複合酸化物の他、本発明の効果が損なわれない限りにおいて、他の正極活物質を含んでもよく、このような形態も本発明の技術的範囲に属する。
[正極活物質(リチウム遷移金属複合酸化物)の製造方法]
本実施形態のリチウム遷移金属複合酸化物は、遷移金属水酸化物前駆体、リチウム化合物(Li化合物)並びにRu、Te若しくはFeの単体又は化合物を混合した後、焼成する方法、又はFeを含む遷移金属水酸化物前駆体とLi化合物とを混合した後、焼成する方法で好適に製造することができる。
前記リチウム遷移金属複合酸化物の製造に用いる遷移金属水酸化物前駆体としては、遷移金属(Me)がMn及びNi、又はMn、Ni及びCoを含み、前記遷移金属(Me)中のMnのモル比Mn/Meが0.5より大きく、結晶形態が高密度の粒状であり、タップ密度が1.3g/cm以上であることが好ましく、1.4g/cm以上であることがより好ましい。
本明細書において、水酸化物前駆体のタップ密度は、リチウム遷移金属複合酸化物のタップ密度と同様の方法で測定する。
前記リチウム遷移金属複合酸化物としてFe元素を含むものを製造する際には、遷移金属としてさらにFeを含む水酸化物前駆体とすることができる。
本実施形態に係る遷移金属水酸化物前駆体を用いて製造されるリチウム遷移金属複合酸化物は「リチウム過剰型」活物質であるから、水酸化物前駆体中の遷移金属元素Meに対するMnのモル比Mn/Meは、0.5より大きい。この範囲であると、活物質の可逆容量を大きくすることが可能である。
また、水酸化物前駆体中の遷移金属元素Meに対するCoのモル比Co/Meは、0.2以下が好ましく、0でもよい。モル比Ni/Meは0.2〜0.5が好ましい。この範囲であると、水酸化物前駆体のタップ密度を向上させることが可能である。
前記遷移金属水酸化物前駆体を製造する場合、アルカリ性を保った反応槽に、遷移金属(Me)を含有する溶液と共に、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等)、錯化剤、及び、還元剤を含有するアルカリ溶液を加えて、遷移金属水酸化物を共沈させることが好ましい。
錯化剤としては、アンモニア、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、フッ化アンモニウム等を用いることができ、アンモニアが好ましい。錯化剤を用いた晶析反応によって、よりタップ密度の大きな前駆体を作製することができる。錯化剤と共に還元剤を用いることが好ましい。還元剤としては、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム等を用いることができ、ヒドラジンが好ましい。ここで、アルカリ金属水酸化物(中和剤)には、水酸化ナトリウム又は水酸化リチウムを使用することができる。
水酸化物前駆体を作製するにあたって、遷移金属のうちMnは酸化されやすく、遷移金属が2価の状態で均一に分布した共沈前駆体を作製することが容易ではないため、遷移金属の原子レベルでの均一な混合は不十分なものとなりやすい。特に本実施形態の組成範囲においては、Mn比率がNi,Co,Fe比率に比べて高いので、水溶液中の溶存酸素を除去することが特に重要である。溶存酸素を除去する方法としては、酸素を含まないガスをバブリングする方法が挙げられる。酸素を含まないガスとしては、限定されるものではないが、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素(CO)等を用いることができる。
溶液中で遷移金属を含有する化合物を共沈させて水酸化物前駆体を製造する工程におけるpH(反応槽のpH)は限定されるものではないが、8〜14とすることができる。タップ密度を大きくするためには、pHを制御することが好ましい。pHを11.5以下とすることにより、タップ密度を大きくすることができ、高率放電性能を向上させることができる。さらに、pHを11.0以下とすることにより、粒子成長速度を促進できるので、原料水溶液滴下終了後の撹拌継続時間を短縮できる。
前記水酸化物前駆体の原料は、Mn化合物としては酸化マンガン、炭酸マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、酢酸マンガン等を、Ni化合物としては、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル等を、Co化合物としては、硫酸コバルト、硝酸コバルト、酢酸コバルト等を、Fe化合物としては硫酸鉄、硝酸鉄、酢酸鉄等を一例として挙げることができる。
前記水酸化物前駆体の原料水溶液(遷移金属を含有する水溶液)を滴下供給する間、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物(中和剤)、アンモニア等の錯化剤、及び、ヒドラジン等の還元剤を含有する混合アルカリ溶液を適宜滴下する方法が好ましい。滴下するアルカリ金属水酸化物の濃度は、1.0〜8.0Mであることが好ましい。錯化剤の濃度は、0.05〜2.0Mであることが好ましく、0.6〜1.5Mとすることがより好ましい。還元剤の濃度は、0.02〜1.0Mであることが好ましく、0.1〜0.5Mとすることがより好ましい。
前記原料水溶液の滴下速度は、生成する水酸化物前駆体の1粒子内における元素分布の均一性に大きく影響を与える。特にMnは、NiやCoと均一な元素分布を形成しにくいので注意が必要である。好ましい滴下速度については、反応槽の大きさ、攪拌条件、pH、反応温度等にも影響されるが、30ml/min以下が好ましい。放電容量を向上させるためには、滴下速度は10ml/min以下がより好ましく、5ml/min以下が最も好ましい。
また、反応槽内にアンモニア等の錯化剤が存在し、かつ一定の対流条件を適用した場合、前記原料水溶液の滴下終了後、さらに攪拌を続けることにより、粒子の自転および攪拌槽内における公転が促進され、この過程で、粒子同士が衝突しつつ、粒子が段階的に同心円球状に成長する。即ち、水酸化物前駆体は、反応槽内に原料水溶液が滴下された際の金属錯体形成反応、及び、前記金属錯体が反応槽内の滞留中に生じる沈殿形成反応という2段階での反応を経て形成される。従って、前記原料水溶液の滴下終了後、さらに攪拌を続ける時間を適切に選択することにより、目的とする粒子径を備えた水酸化物前駆体を得ることができる。
原料水溶液滴下終了後の好ましい攪拌継続時間については、反応槽の大きさ、攪拌条件、pH、反応温度等にも影響されるが、粒子を均一な球状粒子として成長させるために0.5h以上が好ましく、1h以上がより好ましい。また、粒子径が大きくなりすぎることで電池の低SOC領域における出力性能が充分でないものとなる虞を低減させるため、15h以下が好ましく、10h以下がより好ましく、5h以下が最も好ましい。
また、水酸化物前駆体及びリチウム遷移金属複合酸化物の2次粒子の粒径を好適なものとするための好ましい攪拌継続時間は、制御するpHによって異なる。例えば、pHを8〜14に制御した場合には、撹拌継続時間は0.5〜5hが好ましく、pHを8〜11.5に制御した場合には、撹拌継続時間は0.5〜3hが好ましい。
水酸化物前駆体の粒子を、中和剤として水酸化ナトリウム等のナトリウム化合物を使用して作製した場合、その後の洗浄工程において粒子に付着しているナトリウムイオンを洗浄除去する。例えば、作製した水酸化物前駆体を吸引ろ過して取り出す際に、イオン交換水100mlによる洗浄回数を5回以上とするような条件を採用することができる。
前記水酸化物前駆体と混合するLi化合物としては、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム等を用いることができる。但し、Li化合物の量については、焼成中にLi化合物の一部が消失することを見込んで、1〜5%程度過剰に仕込むことが好ましい。
前記水酸化物前駆体及びLi化合物と混合するRu、Te若しくはFeの単体又は化合物としては、Ru、RuO、RuF、RuCl、Te、TeO、TeO、TeCl、LiTeO、Fe、Fe、Fe、Fe(OH)、FeOOH、FePO、FeCl、FeCl、FeS、Fe(NO、Fe(NO、FeSO、Fe(SO等を用いることができる。
遷移金属水酸化物前駆体、Li化合物、並びにRu、Te若しくはFeの単体又は化合物の混合物を焼成する温度は、FWHM(104)の大きさ及び活物質の体積あたりの放電容量に影響を与える。
焼成温度が高すぎると、活物質中のリチウム遷移金属複合酸化物の結晶化が進みすぎて結晶子が大きくなり、Liイオンの拡散が十分に行われないため、体積あたりの放電容量が低下する。このとき、リチウム遷移金属複合酸化物のFWHM(104)は小さくなる。本実施形態においては、焼成温度は850℃以下とすることが好ましく、800℃以下とすることがより好ましい。
一方、焼成温度が低すぎると、結晶化が十分に進まず、電極特性が低下する傾向がある。本実施形態においては、焼成温度は750℃以上とすることが好ましい。十分に結晶化させることにより、結晶粒界の抵抗を軽減し、円滑なリチウムイオン輸送を促すことができる。
以上のようにして、本実施形態の正極活物質として用いられるリチウム遷移金属複合酸化物は製造される。
この方法で製造されたリチウム遷移金属複合酸化物は、α−NaFeO型結晶構造を有し、前記リチウム遷移金属複合酸化物を構成するLiと遷移金属(Me)のモル比(Li/Me)が1より大きく、前記遷移金属(Me)がMn及びNi、又はMn、Ni及びCoを含み、前記遷移金属(Me)中のMnのモル比Mn/Meが0.5より大きい。また、FWHM(104)が0.25°以上である。
[負極活物質]
負極活物質としては、限定されない。リチウムイオンを析出あるいは吸蔵することのできる形態のものであればどれを選択してもよい。例えば、Li[Li1/3Ti5/3]Oに代表されるスピネル型結晶構造を有するチタン酸リチウム等のチタン系材料、SiやSb,Sn系などの合金系材料リチウム金属、リチウム合金(リチウム−シリコン、リチウム−アルミニウム,リチウム−鉛,リチウム−スズ,リチウム−アルミニウム−スズ,リチウム−ガリウム,及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)、リチウム複合酸化物(リチウム−チタン)、酸化珪素の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えばグラファイト、ハードカーボン、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)等が挙げられる。
正極活物質の粉体および負極活物質の粉体は、平均粒子サイズ100μm以下であることが好ましい。特に、正極活物質の粉体は、非水電解質二次電池の高出力特性を向上する目的で15μm以下であることが好ましい。粉体を所定の形状で得るためには、所定の大きさの前駆体を作製する方法や、粉砕機、分級機などを用いる方法がある。例えば乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが用いられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、特に限定はなく、篩や風力分級機などが、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
[その他の電極構成成分]
以上、正極及び負極の主要構成成分である正極活物質及び負極活物質について詳述したが、前記正極及び負極には、前記主要構成成分の他に、導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等が、他の構成成分として含有されてもよい。
導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば限定されないが、通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛,鱗片状黒鉛,土状黒鉛等)、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、金属(銅,ニッケル,アルミニウム,銀,金等)粉、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料を1種またはそれらの混合物として含ませることができる。
これらの中で、導電剤としては、電子伝導性及び塗工性の観点よりアセチレンブラックが好ましい。導電剤の添加量は、正極または負極の総重量に対して0.1重量%〜50重量%が好ましく、特に0.5重量%〜30重量%が好ましい。特にアセチレンブラックを0.1〜0.5μmの超微粒子に粉砕して用いると必要炭素量を削減できるため好ましい。これらの混合方法は、物理的な混合であり、その理想とするところは均一混合である。そのため、V型混合機、S型混合機、擂かい機、ボールミル、遊星ボールミルといったような粉体混合機を乾式、あるいは湿式で混合することが可能である。
前記結着剤としては、通常、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン(PVDF),ポリエチレン,ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM),スルホン化EPDM,スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム弾性を有するポリマーを1種または2種以上の混合物として用いることができる。結着剤の添加量は、正極または負極の総重量に対して1〜50重量%が好ましく、特に2〜30重量%が好ましい。
フィラーとしては、電池性能に悪影響を及ぼさない材料であれば何でも良い。通常、ポリプロピレン,ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、無定形シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス、炭素等が用いられる。フィラーの添加量は、正極または負極の総重量に対して添加量は30重量%以下が好ましい。
[正極及び負極の作製]
正極及び負極は、前記主要構成成分(正極においては正極活物質、負極においては負極材料)、およびその他の材料を混練し合剤とし、N−メチルピロリドン,トルエン等の有機溶媒又は水に混合させた後、得られた混合液を下記に詳述する集電体の上に塗布し、または圧着して50℃〜250℃程度の温度で、2時間程度加熱処理することにより好適に作製される。前記塗布方法については、例えば、アプリケーターロールなどのローラーコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレード方式、スピンコーティング、バーコータ等の手段を用いて任意の厚さ及び任意の形状に塗布することが望ましいが、これらに限定されるものではない。
集電体としては、Al箔、Cu箔等の集電箔を用いることができる。正極の集電箔としてはAl箔が好ましく、負極の集電箔としてはCu箔が好ましい。集電箔の厚みは10〜30μmが好ましい。また、合剤層の厚みはプレス後において、40〜150μm(集電箔厚みを除く)が好ましい。
[非水電解質]
本実施形態に係る非水電解質二次電池に用いる非水電解質は、限定されるものではなく、一般にリチウム電池等への使用が提案されているものが使用可能である。非水電解質に用いる非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
非水電解質に用いる電解質塩としては、例えば、LiClO,LiBF,LiAsF,LiPF,LiSCN,LiBr,LiI,LiSO,Li10Cl10,NaClO,NaI,NaSCN,NaBr,KClO,KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiCFSO,LiN(CFSO,LiN(CSO,LiN(CFSO)(CSO),LiC(CFSO,LiC(CSO,(CHNBF,(CHNBr,(CNClO,(CNI,(CNBr,(n−CNClO,(n−CNI,(CN−maleate,(CN−benzoate,(CN−phthalate、ステアリルスルホン酸リチウム、オクチルスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム等の有機イオン塩等が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。
さらに、LiPF又はLiBFと、LiN(CSOのようなパーフルオロアルキル基を有するリチウム塩とを混合して用いることにより、さらに電解質の粘度を下げることができるので、低温特性をさらに高めることができ、また、自己放電を抑制することができ、より好ましい。
また、非水電解質として常温溶融塩やイオン液体を用いてもよい。
非水電解質における電解質塩の濃度としては、高い電池特性を有する非水電解質二次電池を確実に得るために、0.1mol/l〜5mol/lが好ましく、さらに好ましくは、0.5mol/l〜2.5mol/lである。
[セパレータ]
セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。非水電解質二次電池用セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
セパレータの空孔率は強度の観点から98体積%以下が好ましい。また、充放電特性の観点から空孔率は20体積%以上が好ましい。
また、セパレータは、例えばアクリロニトリル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、メチルメタアクリレート、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等のポリマーと電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。非水電解質を上記のようにゲル状態で用いると、漏液を防止する効果がある点で好ましい。
さらに、セパレータは、上述したような多孔膜や不織布等とポリマーゲルを併用して用いると、電解質の保液性が向上するため好ましい。即ち、ポリエチレン微孔膜の表面及び微孔壁面に厚さ数μm以下の親溶媒性ポリマーを被覆したフィルムを形成し、前記フィルムの微孔内に電解質を保持させることで、前記親溶媒性ポリマーがゲル化する。
前記親溶媒性ポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデンの他、エチレンオキシド基やエステル基等を有するアクリレートモノマー、エポキシモノマー、イソシアナート基を有するモノマー等が架橋したポリマー等が挙げられる。該モノマーは、電子線(EB)照射、又は、ラジカル開始剤を添加して加熱若しくは紫外線(UV)照射を行うこと等により、架橋反応を行わせることが可能である。
[非水電解質二次電池の構成]
本実施形態に係る非水電解質二次電池の構成については特に限定されるものではなく、正極、負極及びロール状のセパレータを有する円筒型電池、角型電池(矩形状の電池)、扁平型電池等が一例として挙げられる。
図2に、本発明の一態様に係る非水電解質二次電池である矩形状の非水電解質二次電池1の外観斜視図を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。図2に示す非水電解質二次電池1は、電極群2が電池容器3に収納されている。電極群2は、正極活物質を備える正極と、負極活物質を備える負極とが、セパレータを介して捲回されることにより形成されている。正極は、正極リード4’を介して正極端子4と電気的に接続され、負極は、負極リード5’を介して負極端子5と電気的に接続されている。
[蓄電装置の構成]
本実施形態は、上記の非水電解質二次電池を複数個集合した蓄電装置としても実現することができる。本発明の一態様に係る蓄電装置を図3に示す。図3において、蓄電装置30は、複数の蓄電ユニット20を備えている。それぞれの蓄電ユニット20は、複数の非水電解質二次電池1を備えている。前記蓄電装置30は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源として搭載することができる。
(実施例1)
<水酸化物前駆体の作製工程>
反応晶析法を用いて、次の手順で水酸化物前駆体を作製した。まず、硫酸ニッケル6水和物315.4g、硫酸コバルト7水和物168.6g、及び硫酸マンガン5水和物530.4gを秤量し、これらの全量をイオン交換水4Lに溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が30:15:55となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製した。次に、5Lの反応槽に2Lのイオン交換水を注ぎ、Nガスを30minバブリングさせることにより、イオン交換水中に含まれる酸素を除去した。反応槽の温度は50℃(±2℃)に設定し、攪拌モーターを備えたパドル翼を用いて反応槽内を1500rpmの回転速度で攪拌しながら、反応槽内に対流が十分おこるように設定した。前記硫酸塩原液を1.3ml/minの速度で反応槽に50hr滴下した。ここで、滴下の開始から終了までの間、4.0Mの水酸化ナトリウム、0.6Mのアンモニア、及び0.3Mのヒドラジンからなる混合アルカリ溶液を適宜滴下することにより、反応槽中のpHが常に9.55(±0.1)を保つように制御すると共に、反応液の一部をオーバーフローにより排出することにより、反応液の総量が常に2Lを超えないように制御した。滴下終了後、反応槽内の攪拌をさらに1h継続した。攪拌の停止後、室温で12h以上静置した。
次に、吸引ろ過装置を用いて、反応槽内に生成した水酸化物前駆体粒子を分離し、さらにイオン交換水を用いて粒子に付着しているナトリウムイオンを洗浄除去し、電気炉を用いて、空気雰囲気中、常圧下、80℃にて20h乾燥させた。その後、粒径を揃えるために、瑪瑙製自動乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、水酸化物前駆体を作製した。
<焼成工程>
前記水酸化物前駆体2.230gに、水酸化リチウム1水和物1.288gと、二酸化ルテニウム0.037gとを加え、瑪瑙製自動乳鉢を用いてよく混合し、Li:(Ni,Co,Mn,Ru)のモル比が120:100、(Ni,Co,Mn):Ruのモル比が100:1である混合粉体を調製した。ペレット成型機を用いて、6MPaの圧力で成型し、直径25mmのペレットとした。ペレット成型に供した混合粉体の量は、想定する最終生成物の質量が2.5gとなるように換算して決定した。前記ペレット1個を全長約100mmのアルミナ製ボートに載置し、箱型電気炉(型番:AMF20)に設置し、空気雰囲気中、常圧下、常温から800℃まで10時間かけて昇温し、800℃で4h焼成した。前記箱型電気炉の内部寸法は、縦10cm、幅20cm、奥行き30cmであり、幅方向20cm間隔に電熱線が入っている。焼成後、ヒーターのスイッチを切り、アルミナ製ボートを炉内に置いたまま自然放冷した。この結果、炉の温度は5時間後には約200℃程度にまで低下するが、その後の降温速度はやや緩やかである。一昼夜経過後、炉の温度が100℃以下となっていることを確認してから、ペレットを取り出し、粒径を揃えるために、瑪瑙製自動乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、実施例1に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(実施例2)
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.168gに、水酸化リチウム1水和物1.278gと二酸化ルテニウム0.112gとを加え、(Ni,Co,Mn):Ruのモル比が100:3である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(実施例3)
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.110gに、水酸化リチウム1水和物1.267gと二酸化ルテニウム0.186gとを加え、(Ni,Co,Mn):Ruのモル比が100:5である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(実施例4)
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.262gに、水酸化リチウム1水和物1.294gと亜テルル酸リチウム0.053gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn)のモル比が120:100、(Ni,Co,Mn):Teのモル比が100:1である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(実施例5)
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.262gに、水酸化リチウム1水和物1.294gと亜テルル酸リチウム0.263gとを加え、(Ni,Co,Mn):Teのモル比が100:5である混合粉体を調製したこと以外は、実施例4と同様にして、実施例5に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(実施例6)
<水酸化物前駆体の作製工程>
反応晶析法を用いて、次の手順で水酸化物前駆体を作製した。まず、硫酸ニッケル6水和物315.4g、硫酸コバルト7水和物168.6g、及び硫酸マンガン5水和物530.4g、硝酸鉄9水和物48.5g、フッ化アンモニウム138.7gを秤量し、これらの全量をイオン交換水4Lに溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が30:15:55、(Ni,Co,Mn):Feのモル比が100:3、フッ化アンモニウム濃度が0.938Mとなる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製した。次に、5Lの反応槽に2Lのイオン交換水を注ぎ、Nガスを30minバブリングさせることにより、イオン交換水中に含まれる酸素を除去した。反応槽の温度は50℃(±2℃)に設定し、攪拌モーターを備えたパドル翼を用いて反応槽内を1500rpmの回転速度で攪拌しながら、反応槽内に対流が十分おこるように設定した。前記硫酸塩原液を1.3ml/minの速度で反応槽に50hr滴下した。ここで、滴下の開始から終了までの間、4.0Mの水酸化ナトリウム、0.313Mのアンモニア、及び0.1Mのヒドラジンからなる混合アルカリ溶液を適宜滴下することにより、反応槽中のpHが常に10.05(±0.1)を保つように制御すると共に、反応液の一部をオーバーフローにより排出することにより、反応液の総量が常に2Lを超えないように制御した。滴下終了後、反応槽内の攪拌をさらに1h継続した。攪拌の停止後、室温で12h以上静置した。
次に、吸引ろ過装置を用いて、反応槽内に生成した水酸化物前駆体粒子を分離し、さらにイオン交換水を用いて粒子に付着しているナトリウムイオンを洗浄除去し、電気炉を用いて、空気雰囲気中、常圧下、80℃にて20h乾燥させた。その後、粒径を揃えるために、瑪瑙製自動乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、水酸化物前駆体を作製した。
<焼成工程>
前記水酸化物前駆体2.262gに、水酸化リチウム1水和物1.294gを加え、Li:(Ni,Co,Mn,Fe)のモル比が120:100、(Ni,Co,Mn):Feのモル比が100:3である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(実施例7)
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.315gに、水酸化リチウム1水和物1.214gを加え、Li:(Ni,Co,Mn,Fe)のモル比が110:100である混合粉体を調製したこと以外は、実施例6と同様にして、実施例7に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(比較例1)
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.262gに、水酸化リチウム1水和物1.294gを加え、Ru、Te及びFeを実質的に含まない混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(比較例2)
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.208gに、水酸化リチウム1水和物1.301gと炭酸カリウム0.057gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn,K)のモル比が120:100、(Ni,Co,Mn):Kのモル比が100:3である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(比較例3)
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.207gに、水酸化リチウム1水和物1.300gと水酸化カルシウム0.063gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn,Ca)のモル比が120:100、(Ni,Co,Mn):Caのモル比が100:3である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(比較例4)
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.192gに、水酸化リチウム1水和物1.292gと硫酸銅5水和物0.207gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn,Cu)のモル比が120:100、(Ni,Co,Mn):Cuのモル比が100:3である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(比較例5)
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.186gに、水酸化リチウム1水和物1.288gと二酸化ゲルマニウム0.086gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn、Ge)のモル比が120:100、(Ni,Co,Mn):Geのモル比が100:3である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例5に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(比較例6)
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.103gに、水酸化リチウム1水和物1.239gと三酸化二ビスマス0.192gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn、Bi)のモル比が120:100、(Ni,Co,Mn):Biのモル比が100:3である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例6に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(比較例7)
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.227gに、水酸化リチウム1水和物1.312gと酸化ベリリウム0.021gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn、Be)のモル比が120:100、(Ni,Co,Mn):Beのモル比が100:3である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例7に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(比較例8)
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.262gに、水酸化リチウム1水和物1.294gとニオブ酸リチウム0.123gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn,Nb)のモル比が120:100、(Ni,Co,Mn):Nbのモル比が100:3である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例8に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(実施例8)
焼成工程において、焼成温度を850℃とした以外は、実施例6と同様にして、実施例8に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(比較例9)
焼成工程において、焼成温度を900℃とした以外は、実施例6と同様にして、比較例9に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(実施例9、10)
焼成工程において、焼成温度を750℃とした以外は、実施例1と同様にして実施例9に係るリチウム遷移金属複合酸化物を、実施例4と同様にして実施例10に係るリチウム遷移金属複合酸化物を、それぞれ作製した。
(実施例11)
水酸化物前駆体の作製工程において、硫酸ニッケル6水和物262.8g、硫酸コバルト7水和物224.9g、及び硫酸マンガン5水和物530.4gを秤量し、これらの全量をイオン交換水4Lに溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が25:20:55となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、前記硫酸塩水溶液の滴下開始から終了までの間、4.0Mの水酸化ナトリウム、1.5Mのアンモニア、及び0.2Mのヒドラジンからなる混合アルカリ溶液を適宜滴下することにより、反応槽中のpHが常に9.8(±0.1)を保つように制御したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例11に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(実施例12)
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.262gに、水酸化リチウム1水和物1.294gと亜テルル酸リチウム0.052gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn)のモル比が120:100、(Ni,Co,Mn):Teのモル比が100:1である混合粉体を調製したこと以外は、実施例11と同様にして、実施例12に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(実施例13)
水酸化物前駆体の作製工程において、硫酸ニッケル6水和物315.4g、硫酸コバルト7水和物112.4g、及び硫酸マンガン5水和物578.6gを秤量し、これらの全量をイオン交換水4Lに溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が30:10:60となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製したこと、焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.185gに、水酸化リチウム1水和物1.367gと、二酸化ルテニウム0.038gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn,Ru)のモル比が130:100、(Ni,Co,Mn):Ruのモル比が100:1である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例13に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(実施例14)
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.211gに、水酸化リチウム1水和物1.373gと亜テルル酸リチウム0.054gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn)のモル比が130:100、(Ni,Co,Mn):Teのモル比が100:1である混合粉体を調製したこと以外は、実施例13と同様にして、実施例14に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(実施例15)
水酸化物前駆体の作製工程において、硫酸ニッケル6水和物420.6g、硫酸コバルト7水和物56.2g、及び硫酸マンガン5水和物530.4gを秤量し、これらの全量をイオン交換水4Lに溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が40:5:55となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、前記硫酸塩水溶液の滴下開始から終了までの間、4.0Mの水酸化ナトリウム、1.25Mのアンモニア、及び0.5Mのヒドラジンからなる混合アルカリ溶液を適宜滴下することにより、反応槽中のpHが常に9.8(±0.1)を保つように制御したこと、焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.283gに、水酸化リチウム1水和物1.209gと、二酸化ルテニウム0.036gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn,Ru)のモル比が110:100、(Ni,Co,Mn):Ruのモル比が100:1である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例15に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(実施例16)
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.315gに、水酸化リチウム1水和物1.214gと亜テルル酸リチウム0.051gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn)のモル比が110:100、(Ni,Co,Mn):Teのモル比が100:1である混合粉体を調製したこと以外は、実施例15と同様にして、実施例16に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(実施例17)
水酸化物前駆体の作製工程において、硫酸ニッケル6水和物473.1g、及び硫酸マンガン5水和物530.4gを秤量し、これらの全量をイオン交換水4Lに溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が45:0:55となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製し、前記硫酸塩水溶液の滴下開始から終了までの間、4.0Mの水酸化ナトリウム、1.25Mのアンモニア、及び0.1Mのヒドラジンからなる混合アルカリ溶液を適宜滴下することにより、反応槽中のpHが常に10.2(±0.1)を保つように制御したこと、焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.181gに、水酸化リチウム1水和物1.365gと、二酸化ルテニウム0.038gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn,Ru)のモル比が130:100、(Ni,Co,Mn):Ruのモル比が100:1である混合粉体を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例17に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(実施例18)
焼成工程において、前記水酸化物前駆体2.211gに、水酸化リチウム1水和物1.371gと亜テルル酸リチウム0.054gとを加え、Li:(Ni,Co,Mn)のモル比が130:100、(Ni,Co,Mn):Teのモル比が100:1である混合粉体を調製したこと以外は、実施例17と同様にして、実施例18に係るリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。
(リチウム遷移金属複合酸化物のタップ密度の測定)
実施例1〜18及び比較例1〜9に係るリチウム遷移金属複合酸化物のタップ密度は、REI ELECTRIC CO.LTD.社製のタッピング装置(1968年製)を用いて、上述した条件及び手順にしたがって、測定した。
(α−NaFeO型結晶構造の確認)
実施例1〜18及び比較例1〜9に係るリチウム遷移金属複合酸化物が、α−NaFeO型結晶構造を有することは、X線回折測定における構造モデルと回折パターンが一致したことにより確認した。
(半値幅の測定)
実施例1〜18及び比較例1〜9に係るリチウム遷移金属複合酸化物の半値幅は、上述した条件及び手順にしたがって、エックス線回折装置(Rigaku社製、型名:MiniFlex II)を用いて測定を行った。前記エックス線回折装置の付属ソフトである「PDXL」を用いて、空間群R3−mでは(003)面に指数付けされる、エックス線回折図上2θ=18.6°±1°に存在する回折ピークについての半値幅FWHM(003)、及び、(104)面に指数付けされる、エックス線回折図上2θ=44±1°に存在する回折ピークについての半値幅FWHM(104)を決定した。その測定結果より、FWHM(003)/FWHM(104)を求めた。
(細孔容積の測定)
実施例1、4及び6に係るリチウム遷移金属複合酸化物について、上述した条件及び手順にしたがって、全細孔容積及びピーク微分細孔容積を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2018073752
[非水電解質二次電池用電極の作製]
実施例1〜18及び比較例1〜9に係るリチウム遷移金属複合酸化物をそれぞれ正極活物質として用いて、以下の手順で実施例1〜18及び比較例1〜9に係る非水電解質二次電池用電極を作製した。
N−メチルピロリドンを分散媒とし、活物質、アセチレンブラック(AB)及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)が質量比90:5:5の割合で混練分散されている塗布用ペーストを作製した。該塗布ペーストを厚さ20μmのアルミニウム箔集電体の片方の面に塗布し、正極板を作製した。なお、全ての実施例及び比較例に係る非水電解質二次電池同士で体積当たりの放電容量を求める試験条件が同一になるように、一定面積当たりに塗布されている活物質の塗布厚みを統一した。このようにして作製した非水電解質二次電池用電極は、一部を切り出し、以下の手順で非水電解質二次電池(リチウム二次電池)を作製し、電池特性を評価した。
[非水電解質二次電池の作製及び評価]
正極の単独挙動を正確に観察する目的のため、対極、即ち負極には金属リチウムをニッケル箔集電体に密着させて用いた。ここで、非水電解質二次電池の容量が負極によって制限されないよう、負極には十分な量の金属リチウムを配置した。
電解液として、エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)/ジメチルカーボネート(DMC)が体積比6:7:7である混合溶媒に濃度が1mol/lとなるようにLiPF6を溶解させた溶液を用いた。セパレータとして、ポリアクリレートで表面改質したポリプロピレン製の微孔膜を用いた。外装体には、ポリエチレンテレフタレート(15μm)/アルミニウム箔(50μm)/金属接着性ポリプロピレンフィルム(50μm)からなる金属樹脂複合フィルムを用いた。正極端子及び負極端子の開放端部が外部露出するように電極を収納し、前記金属樹脂複合フィルムの内面同士が向かい合った融着代を注液孔となる部分を除いて気密封止し、前記電解液を注液後、注液孔を封止した。
以上の手順にて作製された非水電解質二次電池は、25℃の下、初期充放電工程に供した。充電は、電流0.1CmA、電圧4.6Vの定電流定電圧充電とし、充電終止条件は電流値が1/5に減衰した時点とした。放電は、電流0.1CmA、終止電圧2.0Vの定電流放電とした。この充放電を2サイクル行った。ここで、充電後及び放電後にそれぞれ10分の休止過程を設けた。
次に、1サイクルの充放電試験を行った。充電は、電流0.1CmA、電圧4.45Vの定電流定電圧充電とし、充電終止条件は電流値が1/5に減衰した時点とした。放電は、電流0.1CmA、終止電圧2.0Vの定電流放電とした。ここで、充電後及び放電後にそれぞれ10分の休止過程を設けた。このサイクルにおける正極活物質の放電容量(mAh/g)を記録した。
(限界合剤密度の測定)
上記で作製した実施例1〜18及び比較例1〜9に係る非水電解質二次電池用電極をそれぞれ2cm×2cmの大きさに複数枚ずつ切り出し、平板プレス機(RIKEN SEIKI Co.LTD.製、CDM−20M TYPE P−1B)を用いて、1MPaから15MPaまでの種々のプレス圧力を適用することによって、極板厚みの異なる種々のプレス後電極を作製した。それぞれのプレス後電極の厚みと重量から、合剤密度(g/cm)を算出した。
それぞれのプレス後電極は、120℃の温度環境下にて12hの減圧乾燥を行い、含有水分を十分に除去した後、2cm×2cmの正方形の対向する二辺の各中点を結ぶ線を折り目として、谷部に何も挟まず、手で半分に折り曲げ、他の対向する二辺同士を一致させた。さらに、湾曲してU字状となっている折り目の山部分を押圧し、当該電極の表面同士を全面にわたって接触させた。次に、元の平面状に再び広げ、該電極を可視光源の方向に向けて折り曲げ部分を目視観察し、可視光が折り曲げ部分を透過して観察されるか否かによって、合剤層の部分の破損の有無を確認した。そして、破損の認められなかった電極のうち、最も小さな厚みを有する電極を決定し、当該電極に係る上記合剤密度(g/cm)を当該実施例又は比較例に係る非水電解質二次電池用電極の「限界合剤密度(g/cm)」と定義した。
それぞれの実施例及び比較例について、上記放電容量(mAh/g)の値にそれぞれの限界合剤密度(g/cm)の値を乗ずることによって、体積当たりの放電容量である「0.1C容量(mAh/cm)」を算出した。
実施例1〜18及び比較例1〜9に係るリチウム遷移金属複合酸化物のNi/Co/Mnのモル比、Li/Me比、焼成温度、タップ密度、添加元素の種類及び添加量、FWHM(104)、FWHM(003)/FWHM(104)、前記リチウム遷移金属複合酸化物をそれぞれ正極活物質として用いた非水電解質二次電池の0.1C容量、並びに前記リチウム遷移金属複合酸化物を活物質として用いた電極の限界合剤密度を表2〜4に示す。
Figure 2018073752
Figure 2018073752
Figure 2018073752
表2〜4より、α−NaFeO構造を有し、遷移金属(Me)として、Ni及びMn、又はNi、Co及びMnを含み、Li/Me>1で、Mn/Me>0.5であり、さらにRu、Te又はFe元素を含み、FWHM(104)が0.25°以上である実施例1〜18に係るリチウム遷移金属複合酸化物を用いた非水電解質二次電池は、体積当たりの放電容量である0.1C容量が大きいことが分かる。
このようなリチウム遷移金属複合酸化物は、遷移金属元素(Me)として、Ni及びMn、又はNi、Co及びMnを含む遷移金属水酸化物の共沈前駆体に、リチウム化合物、並びにRu、Te若しくはFeの単体又は化合物を混合し、750℃以上850℃以下の温度で焼成するか、あるいは遷移金属元素(Me)として、Ni及びMn、又はNi、Co及びMnと共にFeを含む遷移金属水酸化物の共沈前駆体に、リチウム化合物を混合し、750℃以上850℃以下の温度で焼成した場合に得られている。
一方、比較例1〜8のように、Ru、Te又はFe元素を含まないリチウム遷移金属複合酸化物は、FWHM(104)が0.25°以上であっても、これを用いた非水電解質二次電池の体積当たりの0.1C容量は小さい。
また、比較例9のように、製造時の焼成温度が高く、FWHM(104)が0.25°以下であるリチウム遷移金属複合酸化物は、Ru、Te又はFe元素を含んでいても、これを用いた非水電解質二次電池の体積当たりの0.1C容量は小さい。
以上のとおりであるから、α−NaFeO構造を有し、遷移金属(Me)として、Ni及びMn、又はNi、Co及びMnを含み、Li/Me>1で、Mn/Me>0.5であり、さらにRu、Te又はFe元素を含み、FWHM(104)が0.30°以上であるという要件を満たすリチウム遷移金属複合酸化物を非水電解質二次電池の正極活物質として用いることにより、体積当たりの放電容量が大きい非水電解質二次電池を提供できる。
そして、このようなリチウム遷移金属複合酸化物は、遷移金属元素(Me)として、Ni及びMn、又はNi、Co及びMnを含む遷移金属水酸化物の共沈前駆体に、リチウム化合物、並びにRu、Te若しくはFeの単体又は化合物を混合し、750℃以上850℃以下の温度で焼成するか、あるいは遷移金属元素(Me)として、Ni及びMn、又はNi、Co及びMnと共にFeを含む遷移金属水酸化物の共沈前駆体に、リチウム化合物を混合し、750℃以上850℃以下の温度で焼成した場合に得られる。
本発明の一側面に係るリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質を用いることにより、体積当たりの放電容量が大きい非水電解質二次電池を提供することができるので、この非水電解質二次電池は、ハイブリッド自動車用、電気自動車用の非水電解質二次電池として有用である。
1 非水電解質二次電池(リチウム二次電池)
2 電極群
3 電池容器
4 正極端子
4’ 正極リード
5 負極端子
5’ 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置

Claims (5)

  1. リチウム遷移金属複合酸化物を含む非水電解質二次電池用活物質であって、
    前記リチウム遷移金属複合酸化物は、
    α−NaFeO構造を有し、
    遷移金属元素(Me)としてMn及びNi、又はMn、Ni及びCoを含み、
    Meに対するMnのモル比Mn/Meが0.5<Mn/Meであり、
    Meに対するLiのモル比Li/Meが1<Li/Meであり、
    前記リチウム遷移金属複合酸化物は、さらに、Ru、Te又はFe元素を含み、
    空間群R3−mに帰属可能なX線回折パターンを有し、
    Cu−Kα線を用いたX線回折測定による、ミラー指数hklにおける(104)面の回折ピークの半値幅(FWHM(104))が0.25°以上である、非水電解質二次電池用正極活物質。
  2. リチウム遷移金属複合酸化物を含む非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法であって、
    溶液中でNi及びMn、又はNi、Co及びMnを含む遷移金属化合物を共沈させて遷移金属水酸化物前駆体を製造し、
    前記遷移金属水酸化物前駆体、リチウム化合物、並びにRu、Te若しくはFeの単体又は化合物を混合し、
    750℃以上850℃以下の温度で焼成して、
    α−NaFeO構造を有し、
    遷移金属元素(Me)としてMn及びNi、又はMn、Ni及びCoを含み、
    Meに対するMnのモル比Mn/Meが0.5<Mn/Meであり、
    Meに対するLiのモル比Li/Meが1<Li/Meであり、
    さらに、Ru、Te又はFe元素を含む
    リチウム遷移金属複合酸化物を製造する、非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  3. リチウム遷移金属複合酸化物を含む非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法であって、
    溶液中でNi及びMn、又はNi、Co及びMnを含む遷移金属化合物と共にFeを含む遷移金属化合物を共沈させて遷移金属水酸化物前駆体を製造し、
    前記遷移金属水酸化物前駆体及びリチウム化合物を混合し、
    750℃以上850℃以下の温度で焼成して、
    α−NaFeO構造を有し、
    遷移金属元素(Me)としてMn及びNi、又はMn、Ni及びCoを含み、
    Meに対するMnのモル比Mn/Meが0.5<Mn/Meであり、
    Meに対するLiのモル比Li/Meが1<Li/Meであり、
    さらに、Fe元素を含む
    リチウム遷移金属複合酸化物を製造する、非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  4. 請求項1に記載の正極活物質を含有することを特徴とする、非水電解質二次電池用電極。
  5. 請求項4に記載の非水電解質二次電池用電極を備えることを特徴とする、非水電解質二次電池。
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