以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。実施の形態1〜3では、車両と運転者の操作が対立しにくい、快適な自動運転ができるように、適切に情報を伝達することができる情報報知装置、情報報知方法または情報報知プログラムを説明する。実施の形態4および5では、運転者に適した運転行動を推定することができる情報処理システム、情報処理方法およびプログラムを説明する。実施の形態6では、運転者による車両の運転を理想的な運転に近づけるためのリコメンドを行う情報処理システム、情報処理方法およびプログラムを説明する。
なお、以下に説明する各実施の形態は一例であり、本発明はこれらの実施の形態により限定されるものではない。つまり、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る情報報知装置を含む車両1の要部構成を示すブロック図である。車両1は、運転者の操作を必要とせずに、運転制御の全てまたは一部を自動で行うことができる車両である。
車両1は、ブレーキペダル2と、アクセルペダル3と、ウィンカーレバー4と、ハンドル5と、検出部6と、車両制御部7と、記憶部8と、情報報知装置9とを有する。
ブレーキペダル2は、運転者によるブレーキ操作を受けつけ、車両1を減速させる。またブレーキペダル2は、車両制御部7による制御結果を受けつけ、車両1の減速の度合いに対応した量変化してもよい。アクセルペダル3は、運転者によるアクセル操作を受けつけ、車両1を加速させる。またアクセルペダル3は、車両制御部7による制御結果を受けつけ、車両1の加速の度合いに対応した量変化してもよい。ウィンカーレバー4は、運転者によるレバー操作を受けつけ、車両1の図示しない方向指示器を点灯させる。またウィンカーレバー4は、車両制御部7による制御結果を受けつけ、車両1の方向指示方向に対応する状態にウィンカーレバー4を変化させ、車両1の図示しない方向指示器を点灯させてもよい。
ハンドル5は、運転者によるステアリング操作を受けつけ、車両1の走行する方向を変更する。またハンドル5は、車両制御部7による制御結果を受けつけ、車両1の走行する方向の変更に対応した量変化してもよい。ハンドル5は、操作部51を有する。
操作部51は、ハンドル5の前面(運転者と対向する面)に設けられ、運転者からの入力操作を受け付ける。操作部51は、例えば、ボタン、タッチパネル、グリップセンサ等の装置である。操作部51は、運転者から受けつけた入力操作の情報を車両制御部7へ出力する。
検出部6は、車両1の走行状態、及び、車両1の周囲の状況を検出する。そして、検出部6は、検出した走行状態、及び、周囲の状況の情報を車両制御部7へ出力する。
この検出部6は、位置情報取得部61と、センサ62と、速度情報取得部63と、地図情報取得部64とを有する。
位置情報取得部61は、GPS(Global Positioning System)測位等により車両1の位置情報を走行状態の情報として取得する。
センサ62は、車両1の周囲に存在する他車両の位置および車線位置情報から、他車両の位置および先行車両かどうかという種別、他車両の速度と自車両の速度から衝突予測時間(TTC:Time To Collision)、車両1の周囲に存在する障害物など、車両1の周囲の状況を検出する。
速度情報取得部63は、走行状態の情報として、図示しない速度センサ等から車両1の速度や走行方向などの情報を取得する。
地図情報取得部64は、車両1が走行する道路、道路における他車両との合流ポイント、現在走行中の車線、交差点の位置などの車両1の周辺の地図情報を、車両1の周囲の状況の情報として取得する。
なお、センサ62は、ミリ波レーダ、レーザレーダやカメラなど、またそれらの組合せから構成される。
記憶部8は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク装置やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置であり、現時点の走行環境と、次に(第1の所定時間経過後に)とり得る挙動の候補との間の対応関係を記憶する。
現時点の走行環境とは、車両1の位置、車両1が走行している道路、車両1の周囲に存在する他車両の位置および速度等によって判定される環境である。なお、瞬間的なデータのみならず、その時点の前後のデータまでを基に、例えば、他車両の位置や速度により加速中、減速中、他車両が割込んできて1秒後には衝突する可能性まで判定してもよい。これにより、他車両の行動を予測することができ、走行環境をより詳細かつ正確に把握することが可能である。挙動の候補とは、現時点の走行環境に対して、車両1が次に(第1の所定時間経過後に)とり得る挙動の候補である。
例えば、記憶部8は、車両1が走行する車線の前方に合流路があり、車線の左方から合流する車両が存在し、かつ、車両1が走行する車線の右方への車線変更が可能な走行環境に対応付けて、車両1の加速、車両1の減速、及び、車両1の右方への車線変更の3通りの挙動の候補を予め記憶する。
また、記憶部8は、車両1と同一車線の前方を走行する車両(以下、「先行車両」と記載)が車両1よりも遅い速度で走行し、かつ、隣の車線への車線変更が可能な走行環境に対応付けて、先行車両を追い越す走行、隣の車線へ車線変更を行う走行、車両1を減速させて先行車両に追従する走行の3通りの挙動の候補を予め記憶する。
さらに、記憶部8は、それぞれの挙動の候補に対する優先順位を記憶してもよい。例えば、記憶部8は、過去の同一の走行環境において実際に採用された挙動の回数を記憶し、採用された回数の多い挙動ほど高く設定された優先順位を記憶してもよい。
車両制御部7は、例えば、LSI回路、または、車両を制御する電子制御ユニット(Electronic Control Unit:ECU)の一部として実現可能である。車両制御部7は、検出部6から取得する走行状態および周囲の状況の情報に基づいて、車両を制御し、車両制御結果に対応してブレーキペダル2、アクセルペダル3、ウィンカーレバー4、情報報知装置9を制御する。なお、車両制御部7が制御する対象は、これらに限定されない。
まず、車両制御部7は、走行状態および周囲の状況の情報に基づいて、現時点の走行環境を判定する。この判定には、従来提案されている様々な方法が利用され得る。
例えば、車両制御部7は、走行状態および周囲の状況の情報に基づいて、現時点の走行環境が、「車両1が走行する車線の前方に合流路があり、車線の左方から合流する車両が存在し、かつ、車両1が走行する車線の右方への車線変更が可能な走行環境」であると判定する。
また、例えば、車両制御部7は、走行状態および周囲の状況の情報に基づいて、走行環境の時系列が、「車両1と同一車線の前方を走行する車両が車両1よりも遅い速度で走行し、かつ、隣の車線への車線変更が可能な走行環境」であると判定する。
車両制御部7は、走行状態および周囲の状況を示す走行環境に関する情報を情報報知装置9の報知部92に報知させる。また、車両制御部7は、判定した走行環境に対して、車両1が次に(第1の所定時間経過後に)とり得る挙動の候補を記憶部8から読み出す。
車両制御部7は、読み出した挙動の候補から、現在の走行環境に最も適した挙動がどれかを判定し、現在の走行環境に最も適した挙動を第1の挙動に設定する。なお、第1の挙動は車両現在実施している挙動と同じ挙動、即ち現在実施している挙動を継続することであってもよい。そして、車両制御部7は、現在の走行環境において第1の挙動を除く他に運転者が実施可能性な挙動の候補を第2の挙動(いわゆる実施する挙動とは異なる挙動)に設定する。
例えば、車両制御部7は、走行状態および周囲の状況の情報に基づいて最も適した挙動を判定する従来技術を用いて、最も適した挙動を第1の挙動に設定することとしてもよい。
または、車両制御部7は、複数の挙動の候補のうち、予め設定された挙動を最も適した挙動として設定してもよいし、前回選択された挙動の情報を記憶部8に記憶しておき、その挙動を最も適した挙動と判定してもよいし、過去に各挙動が選択された回数を記憶部8に記憶しておき、回数が最も多い挙動を最も適した挙動と判定してもよい。
そして、車両制御部7は、第1の挙動と第2の挙動の情報を情報報知装置9の報知部92に報知させる。なお、車両制御部7は第2の挙動が無いと判定した場合、第1の挙動のみを報知部92に報知させる。
なお、車両制御部7は、第1の挙動と第2の挙動の情報と、走行状態および周囲の状況の情報とを、同時に、報知部92に報知させてもよい。
さらに、車両制御部7は、操作部51が運転者から受けつけた操作の情報を取得する。車両制御部7は、第1の挙動と第2の挙動を報知してから、第2の所定時間内に操作部51が操作を受けつけたか否かを判定する。この操作は、例えば、第2の挙動に含まれる挙動の中から1つの挙動を選択する操作である。
車両制御部7は、第2の所定時間内に操作部51が操作を受けつけなかった場合、第1の挙動を実行するように車両を制御し、車両制御結果に対応してブレーキペダル2、アクセルペダル3、ウィンカーレバー4を制御する。
車両制御部7は、第2の所定時間内に操作部51が操作を受けつけた場合、受けつけた操作に対応する制御を行う。
情報報知装置9は、車両制御部7から車両1の走行に関する種々の情報を取得し、取得した情報を報知する。情報報知装置9は、情報取得部91と報知部92とを有する。
情報取得部91は、車両制御部7から車両1の走行に関する種々の情報を取得する。例えば、情報取得部91は、車両制御部7が車両1の挙動を更新する可能性があると判定した場合に、車両制御部7から第1の挙動の情報と第2の挙動の情報を取得する。
そして、情報取得部91は、取得した情報を図示しない記憶部に一時的に記憶し、必要に応じて記憶した情報を記憶部から読み出して報知部92へ出力する。
報知部92は、車両1の走行に関する情報を運転者に報知する。報知部92は、例えば、車内に設置されているカーナビゲーションシステム、ヘッドアップディスプレイ、センターディスプレイ、ハンドル5やピラーに設置されているLEDなどの発光体などのような情報を表示する表示部であってもよいし、情報を音声に変換して運転者に報知するスピーカであってもよいし、あるいは、運転者が感知できる位置(例えば、運転者の座席、ハンドル5など)に設けられる振動体であってもよい。また、報知部92は、これらの組み合わせであってもよい。
以下の説明では、報知部92が表示装置であるものとする。
この場合、報知部92とは、例えば、ヘッドアップディスプレイ(Head Up Display:HUD)、LCD(Liquid Crystal Display)、HMD(Head-Mounted DisplayまたはHelmet-Mounted Display)、眼鏡型ディスプレイ(Smart Glasses)、その他の専用のディスプレイなどである。HUDは、例えば、車両1のウインドシールドであってもよいし、別途設けられるガラス面、プラスチック面(例えば、コンバイナ)などであってもよい。また、ウインドシールドは、例えば、フロントガラスであってもよいし、車両1のサイドガラスまたはリアガラスであってもよい。
さらに、HUDは、ウインドシールドの表面または内側に備えられた透過型ディスプレイであってもよい。ここで、透過型ディスプレイとは、例えば、透過型の有機ELディスプレイ、または、特定の波長の光を照射した際に発光するガラスを用いた透明なディスプレイである。運転者は、背景を視認すると同時に、透過型ディスプレイ上の表示を視認することができる。このように報知部92は、光を透過する表示媒体であってもよい。いずれの場合も、画像が報知部92に表示される。
報知部92は、車両制御部7から情報取得部91を介して取得した走行に関する情報を運転者に報知する。例えば、報知部92は、車両制御部7から取得した第1の挙動、及び、第2の挙動の情報を運転者に報知する。
ここで、具体的な表示内容、及び、操作部51に対してなされる操作について説明する。
図2は、走行環境の第1の例と、それに対する報知部92の表示、及び、操作部51の操作について説明する図である。
図2の(a)は、車両1の走行環境を示す俯瞰図である。具体的には、図2の(a)は、車両1が走行する車線の前方に合流路があり、車線の左方から合流する車両が存在し、かつ、車両1が走行する車線の右方への車線変更が可能な走行環境であることを示している。
車両制御部7は、走行状態および周囲の状況の情報に基づき、走行環境が、図2の(a)に示すような走行環境であると判定する。なお、車両制御部7は、図2の(a)に示す俯瞰図を生成し、第1の挙動、及び、第2の挙動の情報に加えて、生成した俯瞰図を報知部92に報知させてもよい。
図2の(b)は、図2の(a)に示した走行環境に対する報知部92の表示の一例を示している。報知部92の表示範囲のうち、右側には、車両1の挙動に関わる選択肢が表示され、左側には、手動運転に切り替えるための情報が表示される。
第1の挙動は、表示領域29a〜29c、29gのうち、強調されている表示領域29bに示されている「車線変更」である。第2の挙動は、表示領域29a、29cにそれぞれ示されている「加速」、「減速」である。また、表示領域29gには、手動運転に切替えることを示す「自動運転終了」が表示されている。
図2の(c)は、ハンドル5に設けられる操作部51の一例を示している。操作部51は、ハンドル5の右側に設けられる操作ボタン51a〜51dと、ハンドル5の左側に設けられる操作ボタン51e〜51hとを有する。なお、ハンドル5に設けられる操作部51の数や形状等はこれらに限定されない。
本実施の形態では、図2の(b)に示す表示領域29a〜29cと操作ボタン51a〜51cがそれぞれ対応し、表示領域29gと操作ボタン51gとが対応する。
この構成において、運転者は、各表示領域に表示される内容のいずれかを選択する際に、各表示領域に対応する操作ボタンを押下する。例えば、運転者が表示領域29aに表示される「加速」という挙動を選択する場合、運転者は、操作ボタン51aを押下する。
なお、図2の(b)には、各表示領域に文字の情報のみが表示されているが、次に説明するように、車両の駆動に関する記号やアイコンを表示してもよい。これにより、運転者に表示内容を一目瞭然に把握できる。
図3は、報知部92における表示の別の例を示す図である。図3に示すように、表示領域39a〜39c、39gに文字の情報とその情報を示す記号の両方が表示される。なお、記号のみが表示されてもよい。
次に、具体的な走行環境を例に挙げて、表示制御の流れについて説明する。
図4は、本実施の形態における情報報知処理の処理手順を示すフローチャートである。図5は、走行環境の第1の例と、それに対する表示制御を示す図である。
図4に示すように、検出部6は、車両の走行状態を検出する(ステップS11)。次に、検出部6は、車両の周囲の状況を検出する(ステップS12)。検出された車両の走行状態、及び、車両の周囲の状況の情報は、検出部6により車両制御部7へ出力される。
つぎに、車両制御部7は、走行状態および周囲の状況の情報に基づいて、現時点の走行環境を判定する(ステップS13)。図5の(a)の例の場合、車両制御部7は、現時点の走行環境が、「車両1が走行する車線の前方に合流路があり、車線の左方から合流する車両が存在し、かつ、車両1が走行する車線の右方への車線変更が可能な走行環境」であると判定する。
その後、車両制御部7は、判定した走行環境の情報を情報報知装置9の報知部92に報知させる(ステップS14)。図5の(b)の例の場合、車両制御部7は、判定した走行環境の情報を情報取得部91へ出力する。報知部92は、情報取得部91から走行環境の情報を取得し、文字情報59として表示させる。なお、車両制御部7は、走行環境の情報を報知部92に表示させる代わりに、スピーカ等で音声として走行環境の情報を運転者に報知してもよい。これにより、運転者がディスプレイやモニターを見ていない、もしくは見落としている場合でも、運転者に確実に情報を伝達できる。
次に、車両制御部7は、判定した走行環境が挙動の更新の可能性があるとするか否かを判定し、更新する可能性があるとすると判定された場合、さらに第1の挙動、及び、第2の挙動の判定を行う(ステップS15)。走行環境が挙動の更新の可能性があるとするか否かの判定は、走行環境が変更したか否かによって判定される。更新後実施する挙動とは、例えば、他の車両等と衝突が発生する可能性がある場合に減速する、ACC(Adaptive Cruise Control)において先行車両が消えた場合に速度変更する、隣の車線が空いた場合に車線変更するなどが考えられる。更新するか否かを判定するときは従来技術を用いてなされる。
この場合、車両制御部7は、判定した走行環境に対して、車両1が次に(第1の所定時間経過後に)とり得る挙動の候補を記憶部8から読み出す。そして、車両制御部7は、挙動の候補から、現在の走行環境に最も適した挙動がどれかを判定し、現在の走行環境に最も適した挙動を第1の挙動に設定する。そして、車両制御部7は、第1の挙動を除く挙動の候補を第2の挙動に設定する。
図5の(b)の例の場合、車両制御部7は、記憶部8から、車両1の加速、車両1の減速、及び車両1の右方への車線変更の3通りの挙動の候補を読み出す。そして、車両制御部7は、左方から合流する車両の速度、及び、車両1の右方の車線の状況に基づき、車両1の右方への車線変更が最も適した挙動であると判定し、その挙動を第1の挙動に設定する。そして、車両制御部7は、第1の挙動を除く挙動の候補を第2の挙動に設定する。
次に、車両制御部7は、第1の挙動、及び、第2の挙動を情報報知装置9の報知部92に報知させる(ステップS16)。図5の(b)の例の場合、報知部92は、第1の挙動の情報である「車線変更」という文字情報を表示領域59bに強調して表示し、第2の挙動の情報である「加速」、「減速」をそれぞれ表示領域59a、59cに表示させる。
次に、車両制御部7は、第2の所定時間内に操作部51が運転者からの操作を受けつけたか否かを判定する(ステップS17)。
例えば、車両制御部7は、現時点での走行環境が図5の(a)に示す走行環境であると判定してから、合流ポイントに到達するまでの時間を第1の所定時間と設定する。そして、車両制御部7は、第1の所定時間よりも短い第2の所定時間を、合流ポイントまでに実行される次の挙動に対する操作の受付が可能な時間として設定する。
車両制御部7は、第2の所定時間内に操作部51が運転者からの操作を受けつけた場合(ステップS17においてYES)、受けつけた操作が自動運転終了の操作か、挙動の選択操作(いわゆる更新)かを判定する(ステップS18)。
図2にて説明したように、報知部92の各表示領域と操作部51の各操作ボタンとは対応している。運転者は、図5の(b)における自動運転終了を選択する場合、図2の(c)に示した操作ボタン51gを押下する。また、運転者は、挙動の選択を行う場合、図2の(c)に示した操作ボタン51a〜51cのいずれかを押下する。
車両制御部7は、操作部51が受けつけた操作が自動運転終了の操作である場合(つまり、操作ボタン51gが押下されたことを検知した場合)、自動運転を終了させる(ステップS19)。車両制御部7は、操作部51が受けつけた操作が挙動の選択操作である場合(つまり、操作ボタン51a〜51cのいずれかが押下された場合)、押下された操作ボタンに対応する挙動を実行するように、車両1の制御を行う(ステップS20)。
車両制御部7は、第2の所定時間内に操作部51が運転者からの操作を受けつけなかった場合(ステップS17においてNO)、第1の挙動を実行するように、車両1の制御を行う(ステップS21)。
図6は、走行環境の第1の例と、それに対する別の表示制御を示す図である。図6の(a)は、図5の(a)と同様であるが、図6の(b)の表示制御が図5の(b)の表示制御とは異なっている。
図5の(b)を用いて説明した場合と同様に、車両制御部7は、図6の(a)に示した走行環境に対して、記憶部8から、車両1の加速、車両1の減速、及び車両1の右方への車線変更の3通りの挙動の候補を読み出す。その際、記憶部8には、車両1の右方への車線変更が最も優先される挙動として記憶されているものとする。
この場合、車両制御部7は、走行環境の情報と、第1の挙動の情報とを報知部92に報知させる。図6の(b)の場合、車両制御部7は、走行環境の情報と、第1の挙動の情報を示す文字情報69を生成し、報知部92に文字情報69を表示させる。
そして、車両制御部7は、運転者に第1の挙動の採否を促す表示を表示領域69a、69cに表示させる。また、車両制御部7は、手動運転に切り替え可能であることを示す「自動運転終了」という表示を表示領域69gに表示させる。
ここで、車両制御部7は、第1の挙動を採用することに対応する「YES」を強調して表示する。「YES」、「NO」のどちらを強調して表示するかは、予め定められていてもよいし、前回選択された選択肢を強調して表示することとしてもよいし、過去に選択された回数を記憶部8に記憶しておき、回数が多い方を報知部92が強調して表示することとしてもよい。
このように過去に選択された挙動を学習することにより、車両制御部7は、運転者に適切に情報を報知できる。また、図5の(b)の場合よりも報知部92に報知させる表示を減らすことができ、運転者の煩わしさを低減できる。
図7は、走行環境の第2の例と、それに対する表示制御を示す図である。図7の(a)は、走行環境を示す俯瞰図である。図7の(a)に示す走行環境は、前方に合流路がある点で図5の(a)、図6の(a)と同様であるが、車両1の右側に走行車両が存在する点で図5の(a)、図6の(a)と異なる。このような場合、車両制御部7は、車線変更が行えないと判断する。
そして、車両制御部7は、車両1の走行環境が図7の(a)のようなものと判定した場合、図7の(b)に示すように、判定した走行環境の情報を報知部92に文字情報79として表示させる。
さらに、車両制御部7は、記憶部8から読み出した車両1の加速、車両1の減速、及び、車両1の右方への車線変更の3通りの挙動の候補のうち、車両1の右方への車線変更はできないため、車両1の加速、及び、車両1の減速のみを選択する。
また、車両制御部7は、このままの速度で進むと合流車両と接近しすぎることを予測し、車両1の減速が最も適した挙動である、つまり、第1の挙動であると判定する。
ここで、3通りの挙動の候補のうち、最も適した挙動がどれかは、走行状態および周囲の状況の情報に基づいて最も適した挙動を判定する従来技術を用いて判定される。また、最も適した挙動がどれかは、予め定められていてもよいし、前回選択された挙動の情報を記憶部8に記憶しておき、その挙動を最も適した挙動と判定してもよいし、過去に各挙動が選択された回数を記憶部8に記憶しておき、回数が最も多い挙動を最も適した挙動と判定してもよい。
その後、車両制御部7は、「減速」を第1の挙動として表示領域79cに表示させ、「加速」を第2の挙動として表示領域79aに表示させる。また、車両制御部7は、手動運転に切替えることを示す「自動運転終了」という表示を表示領域79gに表示させる。
このような表示制御により、車両制御部7は、走行環境に応じて、その走行環境に最も適した挙動を第1の挙動として運転者に報知できる。
第1の挙動の情報を上方に、第2の挙動の情報を下方に配置し、それぞれ操作ボタン51a、51cに選択機能を割り当ててもよいし、加速挙動の情報を上方に、減速挙動の情報を下方に、右車線変更の挙動の情報を右方に、左車線変更の挙動の情報を左方へ配置し、それぞれ操作ボタン51a、51c、51b、51dに選択機能を割り当ててもよいし、それらを切り替えられるようにし、別途行動優先配置か、操作優先配置かを表示してもよい。さらに、第1の挙動の情報の表示サイズを大きく、第2の挙動の情報の表示サイズを小さくしてもよい。なお、車の前後・左右の挙動と対応して挙動情報の表示を配置することにより、運転者に直感的な認識と操作が可能である。
次に、前方に合流路があるという走行環境以外の走行環境の例について説明する。
図8は、走行環境の第3の例と、それに対する表示制御を示す図である。図8の(a)は、車両1の走行環境を示す俯瞰図である。具体的には、図8の(a)には、先行車両が車両1よりも遅い速度で走行し、かつ、隣の車線への車線変更が可能な走行環境が示されている。
車両制御部7は、走行状態および周囲の状況の情報に基づき、走行環境が、図8の(a)に示すような走行環境であると判定する。この場合、車両制御部7は、判定した走行環境の情報を報知部92に文字情報89として表示させる。
また、車両制御部7は、判定した走行環境に対応する挙動の候補として、先行車両を追い越す走行、隣の車線へ車線変更を行う走行、車両1を減速させて先行車両を追従する走行の3通りの挙動の候補を記憶部8から読み出す。
そして、車両制御部7は、例えば、先行車両の減速後の速度が所定値より高く許容できることから、車両1を減速させて先行車両を追従する走行が最も適した挙動、つまり、第1の挙動であると判定する。
ここで、3通りの挙動の候補のうち、最も適した挙動がどれかは、走行状態および周囲の状況の情報に基づいて最も適した挙動を判定する従来技術を用いて判定される。また、最も適した挙動がどれかは、予め定められていてもよいし、前回選択された挙動の情報を記憶部8に記憶しておき、その挙動を最も適した挙動と判定してもよいし、過去に各挙動が選択された回数を記憶部8に記憶しておき、回数が最も多い挙動を最も適した挙動と判定してもよい。
さらに、車両制御部7は、図8の(b)に示すように、第1の挙動を示す「追従」という文字情報を表示領域89cに強調して表示し、第2の挙動を示す「追い越し」、「車線変更」という文字情報をそれぞれ表示領域89a、89bに表示させる。また、車両制御部7は、手動運転に切替えることを示す「自動運転終了」という表示を表示領域89gに表示させる。
第1の挙動の情報を上方に、第2の挙動の情報を下方に配置し、それぞれ操作ボタン51a、51cに選択機能を割り当ててもよいし、追い越し挙動の情報を上方に、追従挙動の情報を下方に、右車線変更の挙動の情報を右方に、左車線変更の挙動の情報を左方へ配置し、それぞれ操作ボタン51a、51c、51b、51dに選択機能を割り当ててもよいし、それらを切り替えられるようにし、別途行動優先配置か、操作優先配置かを表示してもよい。さらに、第1の挙動の情報の表示サイズを大きく、第2の挙動の情報の表示サイズを小さくしてもよい。
図9は、走行環境の第4の例と、それに対する表示制御を示す図である。図9の(a)は、車両1の走行環境を示す俯瞰図である。具体的には、図9の(a)は、走行環境が、車両1と同一車線の前方において、車線が減少する走行環境であることを示している。
車両制御部7は、走行状態および周囲の状況の情報に基づき、走行環境が、図9の(a)に示すような走行環境であると判定する。この場合、車両制御部7は、判定した走行環境の情報を報知部92に文字情報99として表示させる。
また、車両制御部7は、判定した走行環境に対応する挙動の候補として、隣の車線へ車線変更を行う走行、そのまま現車線を維持する走行の2通りの挙動の候補を記憶部8から読み出す。
そして、車両制御部7は、例えば、車線減少箇所までのTTCが所定値より短いため、隣の車線へ車線変更を行う走行が最も適した挙動である、つまり、第1の挙動であると判定する。
ここで、2通りの挙動の候補のうち、最も適した挙動がどれかは、走行状態および周囲の状況の情報に基づいて最も適した挙動を判定する従来技術を用いて判定される。また、最も適した挙動がどれかは、予め定められていてもよいし、前回選択された挙動の情報を記憶部8に記憶しておき、その挙動を最も適した挙動と判定してもよいし、過去に各挙動が選択された回数を記憶部8に記憶しておき、回数が最も多い挙動を最も適した挙動と判定してもよい。
さらに、車両制御部7は、図9の(b)に示すように、第1の挙動を示す「車線変更」という文字情報を表示領域99bに強調して表示し、第2の挙動を示す「そのまま」という文字情報を表示領域99cに表示させる。また、車両制御部7は、手動運転に切替えることを示す「自動運転終了」という表示を表示領域99gに表示させる。
第1の挙動の情報を上方に、第2の挙動の情報を下方に配置し、それぞれ操作ボタン51a、51cに選択機能を割り当ててもよいし、何もしない挙動の情報を下方に、右車線変更の挙動の情報を右方に、左車線変更の挙動の情報を左方へ配置し、それぞれ操作ボタン51c、51b、51dに選択機能を割り当ててもよいし、それらを切り替えられるようにし、別途行動優先配置か、操作優先配置かを表示してもよい。さらに、第1の挙動の情報の表示サイズを大きく、第2の挙動の情報の表示サイズを小さくしてもよい。なお、図7、図8、図9に示されているように、異なる走行環境によって、表示領域にはそれぞれ異なる機能が割り当てられることで、少ない領域で情報報知や操作することができる。
上記の説明では、車両制御部7が、走行環境および周囲の状況の情報に応じて、報知部92に挙動を報知させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、運転者による所定の操作があったときに、報知部92に挙動を報知させることとしてもよい。
図10は、走行環境の第5の例と、それに対する表示制御を示す図である。図10の(a)は、車両1の走行環境を示す俯瞰図である。具体的には、図10の(a)には、車両1が左方と右方にそれぞれ車線変更可能な走行環境であることを示す走行環境が示されている。
図10の(a)に示す走行環境は、図5の(a)〜図9の(a)の場合と異なり、車線の変更や車両の加速、減速が不要な通常走行が可能な走行環境である。この場合、車両制御部7は、図10の(b)の表示109に示すように、走行環境の情報を報知部92に文字情報として表示させなくともよい。
このように報知部92に文字情報が表示されていない状況において、運転者が操作部51のいずれかの操作ボタンを押下した場合、車両制御部7は、通常走行における挙動の候補を記憶部8から読み出す。
具体的には、記憶部8には、図10の(a)に示すような通常走行の走行環境に対応付けて、車両1の加速、車両1の減速、車両1の右方への車線変更、車両1の左方への車線変更の4通りの挙動の候補が記憶されている。車両制御部7は、これらを読み出し、報知部92の表示領域109a〜109dにそれぞれ表示させる。
また、車両制御部7は、手動運転に切り替えることを示す「自動運転終了」という表示を表示領域99gに表示させるとともに、挙動の更新をキャンセルすることを示す「キャンセル」という表示を表示領域109eに強調して表示させる。
以上説明した本実施の形態によれば、運転者に次に実施される挙動の候補を効果的に報知し、運転者により好ましい挙動を選択させることができる。
なお、運転者が実施したい挙動を選択する代わりに、直接ハンドルなどの手動操作をしてもよい。これにより、運転者が自分の意思により素早く手動運転操作に切り替えられる。
[変形例]
以上説明した本実施の形態では、報知部92における表示は、文字情報であるとして説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、挙動を示す記号を用いて運転者に視覚的に表示させてもより。以下では、運転者に視覚的に表示させる記号を用いた表示を図5および図7に対する表示を例にとって説明する。
図11は、図5に示した走行環境の第1の例に対する別の表示制御を示す図である。この例では、上述した第1の挙動が車両1の右方への車線変更であり、第2の挙動が車両1の加速、及び、車両1の減速である。
この場合、第1の挙動である「車線変更」を示す記号111が中央に大きく表示され、第2の挙動である「車両1の加速」を示す記号112、及び、「車両1の減速」を示す記号113が右方に小さく表示される。また、自動運転終了を示す記号114が左方に小さく表示される。
そして、このまま運転手により車両1の挙動の変更指示を受けつけなければ、車線変更が行われる。
図12は、図7に示した走行環境の第2の例に対する別の表示制御を示す図である。この例では、上記第1の例と異なり、車両1の右方に別の車両が走行しているため、車線変更ができない。そのため、例えば、「車両1の減速」が第1の挙動に設定され、「車両1の加速」が第2の挙動に設定される。
そして、この場合、図12の(a)に示すように、第1の挙動である「車両1の減速」を示す記号121が中央に大きく表示され、第2の挙動である「車両1の加速」を示す記号122が右方に小さく表示される。また、自動運転終了を示す記号123が左方に小さく表示される。
ここで、操作部51が運転手から「車両1の加速」を選択する操作を受けつけたものとする。この場合、図12の(b)に示すように、第1の挙動である「車両1の加速」を示す記号122’が中央に大きく表示され、第2の挙動である「車両1の減速」を示す記号121’が右方に小さく表示されることになる。
以上説明した本実施の形態によれば、運転者に次に実施される挙動の候補を効果的に報知し、運転者により好ましい挙動を選択させることができる。一方、運転者は、車両が実施する挙動や他に選択可能な挙動を把握でき、安心感を持って自動運転を継続することできる。または、運転者がスムーズに車へ指示を与えることができる。
また、本実施の形態によれば、走行環境に応じて、報知部に報知させる選択肢、つまり、第2の挙動を可変にすることができる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、ハンドル5に設けられた操作部51によって、報知部92の表示に応じた操作を行う構成について説明した。本実施の形態では、ハンドル5に設けられる操作部51の代わりに、タッチパネルが設けられる構成について説明する。
図13は、本発明の実施の形態2に係る情報報知装置を含む車両1の要部構成を示すブロック図である。なお、図13において、図1と共通する構成には図1と同一の符号を付し、その詳しい説明を省略する。図13に示す車両1には、ハンドル5の操作部51の代わりにタッチパネル10が設けられている。
タッチパネル10は、情報の表示と入力の受付が可能な液晶パネル等からなる装置であり、車両制御部7と接続される。タッチパネル10は、車両制御部7による制御に基づいて情報を表示する表示部101と、運転者等からの操作を受けつけ、受けつけた操作を車両制御部7へ出力する入力部102とを有する。
次に、タッチパネル10の表示制御について説明する。ここでは、車両1が3車線の中央を走行中であり、右方の車線と左方の車線のいずれかに車線変更が可能である場合の表示制御について説明する。
図14は、実施の形態2におけるタッチパネル10の表示を説明する図である。図14の(a)は、タッチパネル10の表示部101の初期表示である。車両制御部7は、車両1が右方の車線と左方の車線のいずれかに車線変更が可能であると判定した場合、タッチパネル10の表示部101に図14の(a)のような表示を実行させる。ここで、表示領域121における「Touch」という表示は、タッチパネル10が運転者によるタッチ操作を受けつけ可能なモードであることを示している。
運転者は、図14の(a)に示す表示において、表示領域121をタッチするタッチ操作を行う場合、入力部102は、この操作を受けつけて、この操作が行われたことを示す情報を車両制御部7へ出力する。車両制御部7は、この情報を受けつけると、図14の(b)に示す表示を表示部101に表示させ、また、図14の(c)に示す表示を報知部92に表示させる。
図14の(b)には、車両1へ移動を指示する操作であることを示す「Move」と表示された表示領域121aが示されている。また、図14の(b)には、車両1が3車線のそれぞれを走行可能であることを示す表示領域121b〜121dが示されている。なお、表示領域121b〜121dは、それぞれ、図14の(c)に矢印X、Y、Zで示される車線での走行と対応する。
また、図14の(b)の各表示領域と、図14の(c)の各矢印とは、それぞれ、態様(例えば、色や配置など)を一致させる。これにより、運転者により理解しやすい表示となる。
さらに、矢印X、Y、Zで示される車線の太さなどを変えて、車両制御が判定した車両が実施する挙動と他に運転者が選択可能な挙動が区別できるように表示してもよい。
運転者は、表示領域121b〜121dのうち、走行したい車線に対応する表示領域に触れることによって、車両1の挙動の選択を行う。この場合、入力部102は、運転者の挙動の選択操作を受けつけて、選択された挙動の情報を車両制御部7へ出力する。そして、車両制御部7は、選択された挙動を実行するよう車両1を制御する。これにより、運転者が走行したい車線を車両1が走行することになる。
なお、運転者は、タッチパネル10に対して、タッチ操作の代わりに、スワイプ操作を行ってもよい。例えば、図14に示す例において、運転者が図14の(c)の矢印Xで示される車線への変更を行いたい場合、運転者は、タッチパネル10において右方へのスワイプ操作を行う。
この場合、入力部102は、スワイプ操作を受けつけ、スワイプ操作の内容を示す情報を車両制御部7へ出力する。そして、車両制御部7は、選択された挙動である矢印Xで示される車線への車線変更を実行するよう車両1を制御する。
さらに、車両1へ移動を指示する操作であることを示す「Move」と表示された表示領域121aが示されるときに、音声で「挙動選択」などと発話してもよい。これにより、手元のタッチパネルを見ることなく、HUDの表示のみで操作が可能となる。
また、タッチ操作やスワイプ操作の際に、選択したタッチパネルの表示領域に対応する車線の表示態様を変更し、どの車線を選択しようとしているのか選択前に確認できるようにしてもよい。例えば、表示領域bをタッチした瞬間に、車線Xの太さが拡大し、すぐに手を離せば車線Xは選択されず車線Xの太さが元の大きさに戻り、表示領域121cにタッチを移動した瞬間に、車線Yの太さが拡大し、しばらくその状態を保持すると、車線Yが選択され、車線Yが点滅することで決定されたことを伝えても良い。これにより、手元を目視せずに選択や決定の操作ができる。
なお、実施の形態1と同様に、加速、減速、追越し、そのままなどの車両制御機能を、走行環境に応じて、表示領域に割り当てても良い。
以上説明した本実施の形態によれば、操作部の代わりにタッチパネルを設けることにより、運転者に直感的な操作を行わせることができる。また、タッチパネルは、操作を受けつける表示領域の数、形状、色などを自由に変更させることができるため、ユーザインターフェースの自由度が向上する。
(実施の形態3)
実施の形態1では、第1の挙動と第2の挙動が同時に表示される場合について説明した。本実施の形態では、まず、報知部92に第1の挙動が表示され、運転者の操作を受けつけた場合に、第2の挙動が表示される構成について説明する。
本実施の形態に係る構成は、実施の形態1で説明した図1の構成において、操作部51に運転者がハンドル5を握ったか否かを検出するグリップセンサがさらに含まれた構成となる。
図15は、本発明の実施の形態3における報知部92の表示を説明する図である。図15には、図8の(a)に示した場合と同様に、車両1と同一車線の前方を走行する車両が車両1よりも遅い速度で走行し、かつ、隣の車線への車線変更が可能な走行環境における表示の例が示されている。
車両制御部7は、走行環境が、図8の(a)に示した走行環境であると判定すると、まず、報知部92に図15の(a)に示す表示を実行させる。
図15の(a)には、第1の所定時間が経過した後に実施される挙動の候補うち、第1の挙動である「追い越し」を示す記号131が第1の態様(例えば、第1の色)で示されている。
車両制御部7は、図15の(a)に示す表示を報知部92に実行させた後、第2の所定時間が経過した場合、記号131を第1の態様から、第1の態様とは異なる第2の態様(例えば、第1の色とは異なる第2の色)で報知部92に表示させる。ここで、第2の所定時間は、実施の形態1で説明した第2の所定時間と同様のものである。
つまり、記号131が第1の態様で示されている間、運転者は、第2の挙動の選択が可能であるが、記号131が第2の態様に変更された場合、運転者は、第2の挙動の選択が不可能になる。
また、図15の(a)には、第2の挙動が選択可能であることを示すハンドル形状の記号132が示されている。記号132が表示されている場合に運転者がハンドル5を握ることによって、第2の挙動が表示される。記号132は、第2の挙動が選択可能であることを示す表示であるが、記号131が第1の態様にて表示されることによって、運転者に第2の挙動が選択可能であることを示すこととしてもよい。この場合、記号132は、表示されなくてもよい。
また、図15の(a)には、現在、自動運転中であることを示す記号133が示されている。記号133は、自動運転で走行中であることを運転者に示す補助的な表示であるが、記号133は表示されなくてもよい。
図15の(a)の表示に対して運転者がハンドル5を握った場合、グリップセンサがそれを検出し、その検出結果の情報を車両制御部7へ出力する。この場合、車両制御部7は、図15の(b)に示す表示を報知部92に実行させる。
図15の(b)には、図15の(a)と同様に、第1の挙動である「追い越し」を示す記号131が第1の態様(例えば、第1の色)で示されている。また、第2の挙動である「車線変更」を示す記号134と、第2の挙動である「減速」を示す記号135が示されている。
運転者は、ハンドル5の操作部51を操作することによって、第1の挙動から第2の挙動への変更を行う。例えば、運転者は、操作部51の操作ボタン51a、または、操作ボタン51c(図2の(c)参照)を押下することによって、「車線変更」(記号134)、または、「減速」(記号135)への挙動の更新を行う。
また、図15の(b)には、車両制御部7が、車両1の挙動を学習中であることを示す記号136が示されている。記号136が表示されている場合、車両制御部7は、運転者が選択した挙動を学習する。記号136は表示されなくても構わない。また、学習は常に行っていても構わない。
つまり、車両制御部7は、運転者が選択した挙動を記憶部8に記憶し、次に同様の走行環境になった場合、記憶した挙動を第1の挙動として、報知部92に表示させる。または、車両制御部7は、過去に各挙動が選択された回数を記憶部8に記憶しておき、回数が最も多い挙動を第1の挙動として、報知部92に表示させてもよい。
また、図15の(b)には、自動運転中ではないことを示す記号137が示されている。記号137が表示されている場合、車両制御部7は、第1の所定時間経過後に行う挙動が運転者によって選択されるまで待機する。
図15の(b)に示す表示に対して、運転者が操作部51の操作ボタン51aを押下して「車線変更」を選択した場合、車両制御部7は、この選択操作の情報を受けつけ、図15の(c)に示す表示を報知部92に実行させる。
図15の(c)には、「車線変更」を示す記号134’が、第1の態様で示されている。車両制御部7は、「車線変更」を選択する選択操作の情報を受けつけた場合、この選択された挙動が次に行う挙動であると判定し、「車線変更」を示す記号134’を第1の態様で報知部92に表示させる。
また、図15の(c)の記号131’は、図15の(b)において第1の挙動として表示されていた記号131が記号134と入れ替わって表示されたものである。
また、図15の(c)に示す表示に対して、運転者が操作ボタンのいずれかを2度連続して押下した場合、運転者が前に行った選択操作をキャンセルできるようにしてもよい。この場合、車両制御部7は、操作ボタンのいずれかを2度連続して押下する操作の情報を受けつけ、図15の(c)に示す表示から図15の(b)に示す表示への変更を報知部92に実行させる。
車両制御部7は、図15の(a)に示す表示を報知部92に実行させてから、第2の所定時間が経過するまでの間に、運転者の操作に基づいて、図15の(b)、図15の(c)へと報知部92の表示を変化させる。その後、車両制御部7は、図15の(a)に示す表示を報知部92に実行させてから第2の所定時間が経過した後に、図15の(d)に示す表示を報知部92に表示させる。
なお、車両制御部7は、運転者がハンドル5から手を離したこと示す情報をグリップセンサから取得した場合に、第2の所定時間が経過する前に図15の(d)に示す表示を報知部92に表示させてもよい。
ここで、図15の(d)には、次の挙動として、運転者が選択した「車線変更」を示す記号134’が第2の態様で表示され、また、自動運転で走行中であることを示す記号133が、再び、表示された状態が示されている。
以上説明した本実施の形態によれば、車両制御部7は、運転者が次にとる挙動の更新したい場合にのみ、他の挙動の候補を確認できるように、報知部92での表示を変更する。この構成により、運転者が視認する表示を減らすことができ、運転者の煩わしさを低減できる。
(実施の形態4)
上述した実施の形態において、車両1が実行しうる複数の挙動の候補のうち最も適した挙動がどれかを判定する方法についていくつか説明した。本実施の形態では、最も適した挙動を判定する方法として、予め学習により構築されたドライバモデルを用いる場合について説明する。
ここで、ドライバモデルの構築方法について説明する。ドライバモデルは、走行環境毎の運転者による操作の傾向を各操作の頻度の情報などに基づいてモデル化したものである。ドライバモデルは、複数の運転者の走行履歴を集約し、集約した走行履歴から構築される。
運転者の走行履歴は、例えば、各走行環境に対応する挙動の候補のうち、運転者が実際に選択した挙動の頻度が、挙動の候補毎に集約された履歴である。
図16は、走行履歴の一例を示す図である。図16には、運転者xが「合流路が近づく」という走行環境において、「減速」、「加速」、「車線変更」という挙動の候補を、それぞれ、3回、1回、5回選択したことが示されている。また、図16には、運転者Xが「前方に低速車あり」という走行環境において、「追従」、「追い越し」、「車線変更」という挙動の候補を、それぞれ、2回、2回、1回選択したことが示されている。運転者yについても同様である。
運転者の走行履歴は、自動運転中に選択した挙動を集約してもよいし、運転者が手動運転中に実際に行った挙動を集約してもよい。これにより、自動運転や手動運転といった運転状態に応じた走行履歴の収集ができる。
ドライバモデルには、複数のドライバの走行履歴をクラスタリングして構築するクラスタリング型と、特定の運転者(例えば、運転者x)の走行履歴と類似する複数の走行履歴から運転者xのドライバモデルを構築する個別適応型とがある。
まず、クラスタリング型について説明する。クラスタリング型のドライバモデルの構築方法は、図16に示したような複数の運転者の走行履歴を予め集約する。そして、互いの走行履歴の類似度が高い複数の運転者、つまり、類似した運転操作傾向を有する複数の運転者をグループ化してドライバモデルを構築する。
図17は、クラスタリング型のドライバモデルの構築方法を示す図である。図17には、運転者a〜fの走行履歴が表形式で示されている。そして、運転者a〜fの走行履歴から、モデルAが運転者a〜cの走行履歴から構築され、モデルBが運転者d〜fの走行履歴から構築されることが示されている。
走行履歴の類似度は、例えば、運転者aと運転者bの走行履歴における各頻度(各数値)を頻度分布として扱い、互いの頻度分布の相関値を算出し、算出した相関値を類似度としてもよい。この場合、例えば、運転者aと運転者bの走行履歴から算出した相関値が所定値よりも高い場合に、運転者aと運転者bの走行履歴を1つのグループとする。
なお、類似度の算出については、これに限定されない。例えば、運転者aと運転者bの各走行履歴において、最も頻度の高い挙動が一致する数に基づいて、類似度を算出してもよい。
そして、クラスタリング型のドライバモデルは、例えば、各グループ内の運転者の走行履歴において、それぞれの頻度の平均を算出することによって構築される。
図18は、構築されたクラスタリング型のドライバモデルの一例を示す図である。図17で示した各グループ内の運転者の走行履歴において、それぞれの頻度の平均を算出することによって、各グループの走行履歴の平均頻度を導出する。このように、クラスタリング型のドライバモデルは、走行環境毎に定められた挙動に対する平均頻度で構築される。
なお、ドライバモデルは、算出した平均頻度から最も頻度の高いもののみで構築してもよい。図19は、構築されたクラスタリング型のドライバモデルの別の一例を示す図である。図19に示すように、走行環境毎に最頻の挙動が選択され、選択された挙動からドライバモデルが構築される。
ここで、構築したクラスタリング型のドライバモデルの使用方法について、例を挙げて説明する。
図18に示したようなドライバモデルは、予め車両1の記憶部8に記憶される。また、車両制御部7は、運転者yが過去に運転した際の走行履歴を記憶部8に記憶しておく。なお、運転者yの検知は、車内に設置されるカメラ等(図示しない)で実行される。
そして、車両制御部7は、運転者yの走行履歴とドライバモデルの各モデルの走行履歴との類似度を算出し、どのモデルが運転者yに最も適しているかを判定する。例えば、図16に示した運転者yの走行履歴と図18に示したドライバモデルの場合、車両制御部7は、モデルBが運転者yに最も適していると判定する。
車両制御部7は、実際の自動走行の際に、モデルBの各走行環境において、最も頻度が高い挙動が運転者yに最も適した挙動、つまり、第1の挙動であると判定する。
このように、予め複数の運転者の走行履歴からドライバモデルを構築することにより、運転者により適した挙動を報知できる。
例えば、図16の示すように、運転者yの走行履歴に「前方に低速車あり」という走行環境に対する挙動の頻度が0、つまり、運転者が「前方に低速車あり」という走行環境において「追従」、「追い越し」、「車線変更」という挙動を選択したことが無い場合においても、車両制御部7は、図18に示すモデルBに基づき、「前方に低速車あり」という走行環境において、「追従」を第1の挙動として判定できる。
次に、個別適応型について説明する。個別適応型のドライバモデルの構築方法は、クラスタリング型の場合と同様に、図16に示したような複数の運転者の走行履歴を予め集約する。ここで、クラスタリング型の場合と異なる点は、運転者毎にドライバモデルを構築する点である。以下では、運転者yに対してドライバモデルを構築する例について説明する。
まず、集約した複数の運転者の走行履歴の中から、運転者yの走行履歴と類似度が高い複数の運転者の走行履歴を抽出する。そして、抽出した複数の運転者の走行履歴から運転者yのドライバモデルを構築する。
図20は、個別適応型のドライバモデルの構築方法を示す図である。図20には、図17と同様に、運転者a〜fの走行履歴が表形式で示されている。また、図20には、図16に示した運転者yの走行履歴と類似度が高い運転者c〜eの走行履歴とから運転者yのドライバモデルが構築されることが示されている。
個別適応型のドライバモデルは、抽出した各運転者の走行履歴において、それぞれの頻度の平均を算出することによって構築される。
図21は、構築された個別適応型のドライバモデルの一例を示す図である。図16に示した運転者yの走行履歴、及び、図20に示した運転者c〜eの走行履歴において、走行環境毎に、各挙動の平均頻度を導出する。このように、運転者yに対する個別適応型のドライバモデルは、各走行環境に対応する挙動の平均頻度で構築される。
ここで、構築した個別適応型のドライバモデルの使用方法について、例を挙げて説明する。
図21に示したような運転者yのドライバモデルは、予め車両1の記憶部8に記憶される。また、車両制御部7は、運転者yが過去に運転した際の走行履歴を記憶部8に記憶しておく。なお、運転者yの検知は、車内に設置されるカメラ等(図示しない)で実行される。
そして、車両制御部7は、実際の自動走行の際に、運転者yのドライバモデルの各走行環境において、最も頻度が高い挙動が運転者yに最も適した挙動、つまり、第1の挙動であると判定する。
このように、予め複数の運転者の走行履歴から運転者個人のドライバモデルを構築することにより、運転者により適した挙動を報知できる。
例えば、図16の示すように、運転者yの走行履歴に「前方に低速車あり」という走行環境に対する挙動の頻度が0、つまり、運転者が「前方に低速車あり」という走行環境において「追従」、「追い越し」、「車線変更」という挙動を選択したことが無い場合においても、車両制御部7は、図21に示すドライバモデルに基づき、「前方に低速車あり」という走行環境において、「車線変更」を第1の挙動として判定できる。
次に、運転者の運転特性(運転の癖)を取得し、運転者の嗜好に応じた自動運転を行う場合について説明する。一般に、1つの挙動(例えば、車線変更)に対する実際の動作(例えば、加速、減速の大きさ、あるいは、ハンドルの操作量)は、運転者毎に異なる。そのため、運転者の嗜好に応じた自動運転を行うことにより、運転者にとってより快適な走行が可能となる。
なお、以下の説明では、手動運転中に運転者の運転特性を取得し、取得した運転特性を自動運転の際に反映させる場合について説明するが、本発明はこれに限定されない。
車両制御部7は、運転者の車両1の各部の操作内容から、運転者の運転特性を示す特徴量を抽出し、記憶部8に記憶する。ここで、特徴量とは、例えば、速度に関する特徴量、ステアリングに関する特徴量、操作タイミングに関する特徴量、車外センシングに関する特徴量、車内センシングに関する特徴量等がある。
速度に関する特徴量は、例えば、車両の速度、加速度、減速度などがあり、これらの特徴量は、車両が有する速度センサ等から取得される。
ステアリングに関する特徴量は、例えば、ステアリングの舵角、角速度、各加速度などがあり、これらの特徴量は、ハンドル5から取得される。
操作タイミングに関する特徴量は、例えば、ブレーキ、アクセル、ウィンカーレバー、ハンドルの操作タイミングなどがあり、これらの特徴量は、それぞれ、ブレーキペダル2、アクセルペダル3、ウィンカーレバー4、ハンドル5から取得される。
車外センシングに関する特徴量は、例えば、前方、側方、後方に存在する車両との車間距離などがあり、これらの特徴量は、センサ62から取得される。
車内センシングに関する特徴量は、例えば、運転者が誰であるか、及び、同乗者が誰であるかを示す個人認識情報であり、これらの特徴量は、車内に設置されるカメラ等から取得される。
例えば、運転者が手動で車線変更を行う場合、車両制御部7は、運転者が手動で車線変更を行ったことを検知する。検知方法は、予め車線変更の操作時系列パターンをルール化しておくことにより、CAN情報などから取得した操作時系列データを解析することで検知する。その際、車両制御部7は、上述した特徴量を取得する。車両制御部7は、運転者毎に、特徴量を記憶部8に記憶し、運転特性モデルを構築する。
なお、車両制御部7は、運転者毎の特徴量に基づき、上述したドライバモデルを構築してもよい。つまり、車両制御部7は、速度に関する特徴量、ステアリングに関する特徴量、操作タイミングに関する特徴量、車外センシングに関する特徴量、車内センシングに関する特徴量を抽出し、記憶部8に記憶する。そして、記憶部8に記憶した特徴量に基づいて、走行環境毎の運転者による操作の傾向と各操作の頻度の情報を対応づけたドライバモデルを構築してもよい。
図22は、運転特性モデルの一例を示す図である。図22は、運転者毎に、特徴量が表形式で示されている。また、図22には、運転者毎に、各挙動を過去に選択した回数が示されている。特徴量についても一部のみが記載されているが、上記に挙げたいずれか、またはその全てを記載してもよい。
図22に記載の特徴量について詳細を説明する。速度の数値は、実際の速度を段階的に示している数値である。ハンドル、ブレーキ、アクセルの数値は、操作量を段階的に示している数値である。これらの数値は、例えば、過去の所定の期間内の速度、ハンドル、ブレーキ、アクセルの操作量の平均値を算出し、その平均値を段階的に表すことによって得られる。
例えば、図22において、運転者xが同乗者がいない状態で車線変更を行う場合、速さのレベルは8であり、ハンドル、ブレーキ、アクセルの操作量のレベルはそれぞれ4、6、8である。
自動運転の際は、車両制御部7は、運転者が誰か、どのような挙動が実行されるか、及び、同乗者が誰かに応じて、運転者、挙動、及び、同乗者に対応する運転特性モデルが図22に示す運転特性モデルの中から選択する。
そして、車両制御部7は、選択した運転特性モデルに対応する速度で車両1を走行させ、また、ハンドル、ブレーキ、アクセルの操作量およびそのタイミングの組み合わせで車両1を制御する。これにより、運転者の嗜好に応じた自動運転を行うことができる。なお、図22に示すような運転特性モデルの情報は、報知部92に報知させることができる。
図23は、本発明の実施の形態4における報知部92の表示を説明する図である。図23は、図5に示した走行環境の第1の例に対する表示である。
図23の(a)は、車線の変更や車両の加速、減速が不要な通常走行を行っている状態の報知部92の表示である。図23の(a)には、運転者の運転特性が「減速が多い」運転特性であることを示す記号231と、現在、自動運転中であることを示す記号232が示されている。
車両制御部7は、例えば、図22に示した運転特性モデルに含まれる各挙動を過去に選択した回数に基づいて、運転者の運転特性を判定する。この場合、車両制御部7は、例えば、運転特性から「減速」が多い(いわゆる「減速」という挙動を選択した回数が多い)運転者に対して、図23のような記号231を含む表示を報知部92に表示させる。
そして、車両制御部7が、走行環境が図5に示した第1の例の走行環境であると判定した場合、車両制御部7は、運転者の運転特性が「減速が多い」運転特性であることに基づいて、第1の挙動を「減速」と判定し、図23の(b)の表示を報知部92に実行させる。
図23の(b)には、第1の挙動である「減速」を示す記号233が第1の態様(例えば、第1の色)で示されている。また、第2の挙動である「加速」を示す記号234と、第2の挙動である「車線変更」を示す記号235が示されている。
運転者は、実施の形態1で説明したような操作により、「加速」への挙動の変更を行った場合、車両制御部7は、図23の(c)の表示を報知部92に実行させる。
図23の(c)には、選択された挙動である「加速」を示す記号234’が、第1の態様で示されている。また、記号233’は、図23の(b)において第1の挙動として表示されていた記号233が記号234と入れ替わって表示されたものである。
その後、車両制御部7は、図23の(a)に示す表示を報知部92に実行させてから第2の所定時間が経過した後に、図23の(d)に示す表示を報知部92に表示させる。ここで、図23の(d)には、次の挙動として、運転者が選択した「加速」を示す記号234’が第2の態様で表示される。
車両制御部7は、次にとる挙動が「加速」と決定した場合、運転特性モデルに含まれる「加速」の挙動に対応する特徴量を読み出し、それらの特徴量を反映させた「加速」を行うように、車両1を制御する。
図24は、本発明の実施の形態4における報知部92の表示を説明する図である。図24は、図7に示した走行環境の第2の例に対する表示である。なお、図24において、図23と共通する構成には図23と同一の符号を付し、その詳しい説明を省略する。図24は、図23から、「車線変更」を示す記号235が削除された図である。
前述の通り、第2の例(図7)では、第1の例(図5)と異なり、車両1の右方に別の車両が走行しているため、車線変更ができない。そのため、図24の(b)、(c)では、「車線変更」が表示されていない。また、図24の(c)の例では、図23の(c)の場合と同様に、「加速」が選択されたため、車両制御部7は、図23と同様に、運転特性モデルに含まれる「加速」の挙動に対応する特徴量を読み出し、それらの特徴量を反映させた「加速」を行うように、車両1を制御する。
図25は、本発明の実施の形態4における報知部92の表示を説明する図である。図25は、図8に示した走行環境の第3の例に対する表示である。
図25の(a)は、図23の(a)と同様である。車両制御部7が図8に示した第3の例の走行環境であることを判定した場合、車両制御部7は、運転者の運転特性が「減速が多い」運転特性であることに基づいて、第1の挙動を「減速」と判定し、図25の(b)の表示を報知部92に実行させる。
図25の(b)には、第1の挙動である「減速」を示す記号251が第1の態様(例えば、第1の色)で示されている。また、第2の挙動である「追い越し」を示す記号252と、第2の挙動である「車線変更」を示す記号253が示されている。
運転者は、実施の形態1で説明したような操作により、「追い越し」への挙動の変更を行った場合、車両制御部7は、図25の(c)の表示を報知部92に実行させる。
図25の(c)には、選択された挙動である「追い越し」を示す記号252’が、第1の態様で示されている。また、記号251’は、図25の(b)において第1の挙動として表示されていた記号251が記号252と入れ替わって表示されたものである。
その後、車両制御部7は、図25の(a)に示す表示を報知部92に実行させてから第2の所定時間が経過した後に、図25の(d)に示す表示を報知部92に表示させる。ここで、図25の(d)には、次の挙動として、運転者が選択した「追い越し」を示す記号252’が第2の態様で表示される。
車両制御部7は、次にとる挙動が「追い越し」と決定した場合、運転特性モデルに含まれる「追い越し」の挙動に対応する特徴量を読み出し、それらの特徴量を反映させた「加速」を行うように、車両1を制御する。
次に、運転者の運転特性が「減速が多い」運転特性ではない場合の表示の例を説明する。
図26は、本発明の実施の形態4における報知部92の表示を説明する図である。図26は、図5に示した走行環境の第1の例に対する表示である。なお、図26の(a)は、運転者の運転特性が「加速が多い」運転特性である場合の例を示し、図26の(b)は、運転者の運転特性が「車線変更が多い」運転特性である場合の例を示している。
図26の(a)には、運転者の運転特性が「加速が多い」運転特性であることを示す記号261が示されている。また、第1の挙動である「加速」を示す記号262が第1の態様(例えば、第1の色)で示されている。また、第2の挙動である「車線変更」を示す記号263と、第2の挙動である「減速」を示す記号264が示されている。
車両制御部7は、例えば、運転特性から過去に「加速」が多い(いわゆる過去に「加速」という挙動を選択した回数が多い)運転者に対して、図26の(a)のような記号261を含む表示を報知部92に実行させる。また、車両制御部7は、運転者の運転特性が「加速が多い」運転特性であることに基づいて、第1の挙動を「加速」と判定し、図26の(a)の表示を報知部92に実行させる。
図26の(b)には、運転者の運転特性が「車線変更が多い」運転特性であることを示す記号265が示されている。また、第1の挙動である「車線変更」を示す記号266が第1の態様(例えば、第1の色)で示されている。また、第2の挙動である「車線変更」を示す記号267と、第2の挙動である「減速」を示す記号268が示されている。
車両制御部7は、例えば、運転特性から過去に「車線変更」が多い(いわゆる過去に「車線変更」という挙動を選択した回数が多い)運転者に対して、図26の(b)のような記号265を含む表示を報知部92に実行させる。車両制御部7は、運転者の運転特性が「車線変更が多い」運転特性であることに基づいて、第1の挙動を「車線変更」と判定し、図26の(b)の表示を報知部92に実行させる。
上記は、運転特性モデルのみを使用して説明したが、ドライバモデルを加味してもよく、図23、図25、図26において、記号231は運転者の操作履歴から選択されたドライバモデルの種類を示してもよい。例えば、図5に示した走行環境の第1の例について、「減速」をよく選ぶドライバに適用するドライバモデルには図23のような記号231を含む表示を報知部92に実行させ、第1の挙動を「減速」と判定する。「加速」をよく選ぶドライバに適用するドライバモデルには図26の(a)のような記号261を含む表示を報知部92に実行させ、第1の挙動を「加速」と判定する。「車線変更」をよく選ぶドライバに適用するドライバモデルには図26の(a)のような記号261を含む表示を報知部92に実行させ、第1の挙動を「車線変更」と判定する。
以上説明した本実施の形態によれば、車の将来の挙動を決定する際に、運転者の過去の走行履歴を学習し、その結果を将来の挙動の決定に反映させることができる。また、車両制御部が車を制御する際に、運転者の運転特性(運転嗜好)を学習し、車の制御に反映させることができる。
これにより、車両が運転者若しくは乗員が嗜好するタイミングや操作量で自動運転を制御でき、実際運転者が手動運転する場合の感覚と乖離することなく、自動運転中に運転者による不要な操作介入を抑制することができる。
なお、本発明では、車両制御部7が実行する機能と同様の機能をクラウドサーバなどのサーバ装置に実行させてもよい。また、記憶部8は、車両1ではなく、クラウドサーバなどのサーバ装置にあってもよい。あるいは、記憶部8は、既に構築されたドライバモデルを記憶し、車両制御部7は、記憶部8に記憶されたドライバモデルを参照して、挙動を判定することとしてもよい。
このように、実施の形態4では、車両制御部7が、運転者の運転特性を示す特徴量の情報を取得し、記憶部8がその特徴量の情報を記憶し、車両制御部7が記憶部8に記憶された特徴量の情報に基づいて、運転者が選択した車両の挙動の傾向を、選択された各挙動の頻度で示すドライバモデルを車両の走行環境毎に構築することとした。
また、車両制御部7は、複数の運転者のうち、類似した挙動の選択を行う運転者のグループを決定し、グループ毎、車両の走行環境毎にドライバモデルを構築することとした。
また、車両制御部7は、類似した操作を行う運転者のグループ毎に各運転者が選択した挙動の頻度の平均値を算出し、運転者が選択した車両の挙動の傾向を、算出した平均値で示すドライバモデルを車両の走行環境毎に構築することとした。
また、車両制御部7は、特定の運転者が選択した車両の挙動の傾向と類似する傾向がある他の運転者が選択した車両の挙動に基づいて、上記特定の運転者が選択した車両の挙動の傾向を、選択された各挙動の頻度で示すドライバモデルを車両の走行環境毎に構築することとした。
以上により、車両制御部7は、運転者の運転傾向により適したドライバモデルを構築でき、構築したドライバモデルに基づいて、運転者に対してより適切な自動運転を行うことができる。
(ドライバモデルの変形例)
なお、上記で説明したドライバモデルは、走行環境毎の運転者による操作(挙動)の傾向を各操作の頻度の情報などに基づいてモデル化したものであったが、本発明はこれに限定されない。
例えば、ドライバモデルは、過去に走行した走行環境(つまり、シチュエーション)を示す環境パラメータと、その走行環境において運転者が実際に選択した操作(挙動)とを対応させた走行履歴に基づいて構築されてもよい。環境パラメータをドライバモデルに組み込むことにより、走行環境の検出・分類を別途行い、その分類結果をドライバモデルに入力(記憶)するという手続きを踏むことなく、選択肢を決めることが出来る。具体的には、図23、図24のような走行環境の違いを、環境パラメータとして取得し、ドライバモデルに直接入力(記憶)することにより、図23では「加速」、「減速」、「車線変更」が選択肢となり、図24では、「加速」、「減速」が選択肢となる。以下では、このようなドライバモデルを構築する場合について説明する。なお、以下に説明するドライバモデルは、シチュエーションデータベースと言い換えても良い。
ここで、本変形例におけるドライバモデルを構築するための走行履歴について説明する。図27は、走行履歴の一例を示す図である。図27には、運転者xが運転する車両が、過去に走行した走行環境を示す環境パラメータと、その走行環境において運転者が実際に選択した操作(挙動)とを対応させた走行履歴が示されている。
図27に示す走行履歴の(a)〜(c)の環境パラメータは、それぞれ、例えば、図8の(b)、図5の(b)、図7の(b)に示したようにして運転者に車両の挙動を提示した際の走行環境を示すものである。この走行履歴の環境パラメータは、センシング情報およびインフラ情報から得られる。
センシング情報は、車両が有するセンサやレーダ等が検知した情報である。インフラ情報は、GPSの情報、地図情報、路車間通信で取得される情報などである。
例えば、図27に示す走行履歴の環境パラメータは、「自車両の情報」、自車両aが走行する車線の前方を走行する車両の情報を示す「先行車両の情報」、自車両が走行する車線の側方車線の情報を示す「側方車線の情報」、自車両が走行する位置に合流車線がある場合に、その合流車線の情報を示す「合流車線の情報」、自車両の位置とその周囲の情報を示す「位置情報」などを含む。また、後方車両の情報を含めてもよい。その場合、後方車両と自車両との相対速度、車頭間距離、車頭間距離の変化率などを用いても良い。また、車両の存在の情報を含めてもよい。
例えば、「自車両の情報」は、自車両の速度Vaの情報を含む。「先行車両の情報」は、自車両に対する先行車両bの相対速度Vba、先行車両と自車両との車間距離DRba、先行車両のサイズの変化率RSbの情報を含む。
ここで、自車両の速度Vaは、自車両が有する速度センサによって検知される。相対速度Vba、車間距離DRbaは、センサやレーダ等によって検知される。サイズの変化率RSbは、RSb=−Vba/DRbaという関係式によって算出される。
「側方車線の情報」は、側方車線において自車両より後方を走行する側後方車両cの情報と、側方車線において自車両より前方を走行する側前方車両dの情報と、自車両の残存側方車線長DRdaの情報とを含む。
側後方車両の情報は、自車両に対する側後方車両の相対速度Vca、側後方車両と自車両との車頭間距離Dca、車頭間距離の変化率Rcaの情報を含む。側後方車両と自車両との車頭間距離Dcaとは、自車両(および側後方車両)の進行方向に沿った方向において測定される自車両の先端部(車頭)と側後方車両の先端部(車頭)との間の距離である。なお、車頭間距離は、車間距離及び車長から算出してもよい。また、車頭間距離は、車間距離に代替させてもよい。
ここで、相対速度Vca、車頭間距離Dcaは、センサやレーダ等によって検知される。車頭間距離の変化率Rcaは、Rca=Vca/Dcaという関係式によって算出される。
また、側前方車両の情報は、自車両に対する側前方車両の相対速度Vda、側前方車両と自車両との車頭間距離Dda、車頭間距離の変化率Rdaの情報を含む。側前方車両と自車両との車頭間距離Ddaは、自車両(および側前方車両)の進行方向に沿って測定される自車両の先端部(車頭)と側前方車両の先端部(車頭)との間の距離である。
相対速度Vda、車頭間距離Ddaは、センサやレーダ等によって検知される。また、車頭間距離の変化率Rdaは、Rda=Vda/Ddaという関係式によって算出される。
自車両の残存側方車線長DRdaは、側方車線への車線変更の可能性の高さを示すパラメータである。具体的には、自車両の残存側方車線長DRdaは、自車両(および側前方車両)進行方向に沿った方向において測定される自車両の先端部(車頭)と側前方車両の後端部との間の距離が、先行車両と自車両との車間距離DRbaより長い場合、自車両の先端部(車頭)と側前方車両の後端部との間の距離となり、自車両の先端部(車頭)と側前方車両の後端部との間の距離が、DRbaより短い場合、DRbaとなる。自車両の残存側方車線長DRdaは、センサやレーダ等によって検知される。
「合流車線の情報」は、自車両に対する合流車両の相対速度Vma、合流車両と自車両との車頭間距離Dma、車頭間距離の変化率Rmaの情報を含む。ここで、合流車両と自車両との車頭間距離Dmaは、自車両(および合流車両)の進行方向に沿った方向において測定される自車両の先端部(車頭)と合流車両の先端部(車頭)との間の距離である。
相対速度Vma、車頭間距離Dmaは、センサやレーダ等によって検知される。車頭間距離の変化率Rmaは、Rma=Vma/Dmaという関係式によって算出される。
図27に示す走行履歴の例では、上記で説明した速度、距離、及び変化率の数値が複数のレベルに分類され、分類されたレベルを示す数値が記憶されている。なお、速度、距離、及び変化率の数値は、レベルに分類されることなくそのまま記憶されてもよい。
位置情報は、「自車両の位置情報」、「走行車線数」、「自車両の走行車線」、「合流区間の開始・終了地点までの距離」「分岐区間の開始・終了地点までの距離」「工事区間開始・終了地点までの距離」「車線減少区間開始・終了地点までの距離」「交通事故発生地点までの距離」などの情報を含む。図27には、位置情報の例として「自車両の走行車線」(図27の走行車線)、及び「合流区間の開始・終了地点までの距離」の情報が示されている。
例えば、「自車両の位置情報」の欄には、GPSより得られた緯度・経度を示す数値情報が記憶される。「走行車線数」の欄には、走行している道の車線の数が記憶される。「自車両の走行車線」の欄には、走行している車線の位置を示す数値情報が記憶される。「合流区間の開始・終了地点までの距離」の欄には、所定の距離内に合流区間の開始・終了地点が存在する場合に、合流区間の開始・終了地点までの距離が予め決められた複数のレベルに分類され、分類されたレベルの数値が記憶される。なお、所定の距離内に合流区間の開始・終了地点が存在しない場合、「合流区間の開始・終了地点までの距離」の欄には「0」が記憶される。
「分岐区間の開始・終了地点までの距離」の欄には、所定の距離内に分岐区間の開始・終了地点が存在する場合に、分岐区間の開始・終了地点までの距離が予め決められた複数のレベルに分類され、分類されたレベルの数値が記憶される。なお、所定の距離内に分岐区間の開始・終了地点が存在しない場合、「分岐区間の開始・終了地点までの距離」の欄には「0」が記憶される。「工事区間開始・終了地点までの距離」の欄には、所定の距離内に工事区間開始・終了地点が存在する場合に、工事区間開始・終了地点までの距離が予め決められた複数のレベルに分類され、分類されたレベルの数値が記憶される。なお、所定の距離内に工事区間開始・終了地点が存在しない場合、「工事区間開始・終了地点までの距離」の欄には「0」が記憶される。
「車線減少区間開始・終了地点までの距離」の欄には、所定の距離内に車線減少区間開始・終了地点が存在する場合に、車線減少区間開始・終了地点までの距離が予め決められた複数のレベルに分類され、分類されたレベルの数値が記憶される。なお、所定の距離内に車線減少区間開始・終了地点が存在しない場合、「車線減少区間開始・終了地点までの距離」の欄には「0」が記憶される。
「交通事故発生地点までの距離」の欄には、所定の距離内に交通事故発生地点が存在する場合に、交通事故発生地点までの距離が予め決められた複数のレベルに分類され、分類されたレベルの数値が記憶される。なお、所定の距離内に交通事故発生地点が存在しない場合、「交通事故発生地点までの距離」の欄には「0」が記憶される。
さらに、位置情報は、自車両が走行している道の全車線のうちどの車線が合流車線、分岐車線、工事車線、減少車線、事故発生車線かの情報を含んでも良い。
なお、図27に示した走行履歴はあくまで一例であり、本発明はこれに限定されない。例えば、上記側方車線の情報が右側方車線の情報である場合、走行履歴に、その反対側である「左側方車線の情報」がさらに含まれても良い。
「左側方車線の情報」は、左側方車線において自車両より後方を走行する左側後方車両の情報と、左側方車線において自車両より前方を走行する左側前方車両の情報と、自車両の残存左側方車線長DRdaの情報とを含む。
左側後方車両の情報は、自車両に対する左側後方車両の相対速度Vfa、左側後方車両と自車両との車頭間距離Dfa、車頭間距離の変化率Rfaの情報を含む。左側後方車両と自車両との車頭間距離Dfaとは、自車両(および左側後方車両)の進行方向に沿った方向において測定される自車両の先端部(車頭)と左側後方車両の先端部(車頭)との間の距離である。
ここで、相対速度Vfa、車頭間距離Dfaは、センサやレーダ等によって検知される。また、車頭間距離の変化率Rfaは、Rfa=Vfa/Dfaという関係式によって算出される。
また、左側前方車両の情報は、自車両に対する左側前方車両の相対速度Vga、左側前方車両と自車両との車頭間距離Dga、車頭間距離の変化率Rgaの情報を含む。左側前方車両と自車両との車頭間距離Dgaは、自車両(および左側前方車両)の進行方向に沿って測定される自車両の先端部(車頭)と左側前方車両の先端部(車頭)との間の距離である。
ここで、相対速度Vga、車頭間距離Dgaは、センサやレーダ等によって検知される。また、車頭間距離の変化率Rgaは、Rga=Vga/Dgaという関係式によって算出される。
なお、ここでは、車両の通行が左側通行である場合について説明したが、左右を逆転させることにより右側通行の場合にも同様の処理が可能である。
また、図27に示す走行履歴は、走行車線において自車両より後方を走行する後方車両の情報を示す「後方車両の情報」を含んでもよい。
後方車両の情報は、自車両に対する後方車両の相対速度Vea、後方車両と自車両との車頭間距離Dea、車頭間距離の変化率Reaの情報を含む。後方車両と自車両との車頭間距離Deaとは、自車両(および後方車両)の進行方向に沿った方向において測定される自車両の先端部(車頭)と後方車両の先端部(車頭)との間の距離である。
ここで、相対速度Vea、車頭間距離Deaは、センサやレーダ等によって検知される。車頭間距離の変化率Reaは、Rea=Vea/Deaという関係式によって算出される。
なお、移動体に隠れて車頭間距離が計測できない場合などは、車頭間距離の代替として、計測できる車間距離や、車間距離に所定の車長を加えた近似値を使用しても良いし、車間距離に認識した車種ごとの車長を加えて算出してもよい。また、車頭間距離が計測できるかできないかに拘わらず、車頭間距離の代替として、計測できる車間距離や、車間距離に所定の車長を加えた近似値を使用しても良いし、車間距離に認識した車種ごとの車長を加えて算出してもよい。
走行履歴には、車両の走行環境に関する他の様々な情報が含まれていてもよい。例えば、走行履歴には、先行車両や側方車両、合流車両の大きさや種別、および自車両との相対位置の情報が含まれていてもよい。例えば、後方から接近する車両の種別をカメラセンサで認識し、車両が緊急車両である場合に車両が救急車両であることを示す情報を含めても良い。これにより、緊急車両への対応のための情報報知であることを情報報知できる。あるいは、図22で説明したような、ハンドル、ブレーキ、アクセル操作量を段階的に示した数値や、同乗者の情報などが走行履歴に含まれていてもよい。
また、運転者の走行履歴として、自動運転中に選択した挙動が集約されてもよいし、運転者が手動運転中に実際に行った挙動が集約されてもよい。これにより、自動運転や手動運転といった運転状態に応じた走行履歴の収集ができる。
また、図27の例では、走行履歴に含まれる環境パラメータが、運転者に車両の挙動を提示した際の走行環境を示すものとしたが、運転者が挙動の選択を行った際の走行環境を示すものであってもよい。あるいは、運転者に車両の挙動を提示した際の走行環境を示す環境パラメータと、運転者が挙動の選択を行った際の走行環境を示す環境パラメータとが両方とも走行履歴に含まれてもよい。
さらに、車両制御部7が、図2の(a)、図5の(a)、図6の(a)、図7の(a)、図8の(a)、図9の(a)、図10の(a)に示す俯瞰図、または図14の(c)に示す表示を生成するに伴い、第1の挙動、及び、第2の挙動が選択される要因となった、寄与度の高い環境パラメータの情報、および、その環境パラメータに関連する情報(例えば、アイコンなど)の少なくとも一つを報知情報として生成し、生成した報知情報を俯瞰図上に示すなどして報知情報を報知部92に報知させてもよい。
この場合、例えば、車両制御部7は、先行車両と自車両との車間距離DRbaや先行車両のサイズの変化率RSbの寄与度が高ければ、俯瞰図における先行車両と自車両との間に輝度を上げたり色を変えたりした領域を表示させ、報知情報を報知部92に報知させてもよい。
また、車両制御部7が、先行車両と自車両との間の領域に車間距離DRbaや変化率RSbの寄与度が高いことを示すアイコンを報知情報として表示させてもよい。さらに、車両制御部7が、報知部92に、俯瞰図上で先行車両と自車両とを結ぶ線分を報知情報として描画させるか、全ての周辺車両と自車両とを結ぶ線分を報知情報として描画させ、俯瞰図上で先行車両と自車両とを結ぶ線分を強調させてもよい。
また、車両制御部7は、俯瞰図ではなく、運転者から見える視点画像の中で、報知部92に先行車両と自車両との間に周囲の領域よりも輝度を上げたり、周囲の領域と異なる色にした領域を報知情報として表示させたりしてAR(Augmented Reality)表示を実現させてもよい。また、車両制御部7が視点画像の中で、先行車両と自車との間の領域に高い寄与度の環境パラメータを示すアイコンを報知情報として報知部92にAR表示させてもよい。
さらに、車両制御部7が視点画像の中で、先行車両と自車とを結ぶ線分を報知情報としてAR表示させるか、視点画像の中で、全ての周辺車両と自車両とを結ぶ線分を報知情報としてAR表示させ、先行車両と自車両とを結ぶ線分を強調させてもよい。
なお、寄与度の高い環境パラメータあるいはその環境パラメータに関連する情報を報知する方法は、上記に限定されない。例えば、車両制御部7は、寄与度の高い環境パラメータの対象となる先行車両を強調表示した画像を報知情報として生成し、報知部92に表示させてもよい。
また、車両制御部7が、俯瞰図またはAR表示において、寄与度の高い環境パラメータの対象となる先行車両等の方向を示す情報を報知情報として生成し、その情報を自車両または自車両の周辺に表示させてもよい。
また、例えば、車両制御部7は、寄与度が高い環境パラメータの情報あるいはその環境パラメータに関連する情報を報知する代わりに、寄与度が低い環境パラメータの対象となる先行車両等の表示輝度を低くするなどして目立たなくし、相対的に目立つようにした寄与度が高い環境パラメータの情報あるいはその環境パラメータに関連する情報を報知情報として生成し、報知部92に表示させてもよい。
次に、運転者の走行履歴に基づくドライバモデルの構築について説明する。ドライバモデルには、複数のドライバの走行履歴をクラスタリングして構築するクラスタリング型と、特定の運転者(例えば、運転者x)の走行履歴と類似する複数の走行履歴から運転者xのドライバモデルを構築する個別適応型とがある。
まず、クラスタリング型について説明する。クラスタリング型のドライバモデルの構築方法は、図27に示したような運転者の走行履歴を運転者毎に予め集約する。そして、互いの走行履歴の類似度が高い複数の運転者、つまり、類似した運転操作傾向を有する複数の運転者をグループ化してドライバモデルを構築する。
走行履歴の類似度は、例えば、運転者aと運転者bの走行履歴における挙動を所定のルールに基づいて数値化した場合に、環境パラメータの数値と挙動の数値とを要素とするベクトルの相関値から決定できる。この場合、例えば、運転者aと運転者bの走行履歴から算出した相関値が所定値よりも高い場合に、運転者aと運転者bの走行履歴を1つのグループとする。なお、類似度の算出については、これに限定されない。
次に、個別適応型について説明する。個別適応型のドライバモデルの構築方法は、クラスタリング型の場合と同様に、図27に示したような複数の運転者の走行履歴を予め集約する。ここで、クラスタリング型の場合と異なる点は、運転者毎にドライバモデルを構築する点である。例えば、運転者yに対してドライバモデルを構築する場合、運転者yの走行履歴と他の複数の運転者の走行履歴とを比較し、類似度が高い複数の運転者の走行履歴を抽出する。そして、抽出した複数の運転者の走行履歴から運転者yの個別適応型のドライバモデルを構築する。
なお、図27に示す走行履歴に基づくドライバモデル(シチュエーションデータベース)は、クラスタリング型、または、個別適応型に限定されず、例えば、全ての運転者の走行履歴を含むように構成されてもよい。
ここで、構築したドライバモデルの使用方法について、例を挙げて説明する。以下の例では、運転者xに対し、4人の運転者a〜dの走行履歴を集約したドライバモデルが用いられる場合について説明する。なお、ドライバモデルは、車両制御部7によって構築される。
図28は、本変形例におけるドライバモデルの使用方法を示す図である。図28の(a)は、運転者xが運転する車両の現時点における走行環境を示す環境パラメータである。図28の(b)は、運転者xに対するドライバモデルの一例である。
図28の(a)に示すように、現時点における走行環境を示す環境パラメータに対する挙動(操作)はブランクになる。車両制御部7は、環境パラメータを所定の間隔で取得し、環境パラメータのいずれかをトリガとして、図28の(b)に示すドライバモデルから次の挙動を判定する。
トリガとしては、例えば、合流区間の開始地点までの距離が所定の距離以下になった場合、あるいは、先行車両との相対速度が所定値以下になった場合など、車両の操作の変更が必要となる場合を示す環境パラメータをトリガとしてもよい。
車両制御部7は、図28の(a)に示す環境パラメータと、図28の(b)に示すドライバモデルのそれぞれの走行履歴の環境パラメータとを比較し、最も類似する環境パラメータに対応づけられた挙動を第1の挙動であると判定する。また、それ以外の類似する環境パラメータに対応づけられたいくつかの挙動については、第2の挙動と判定する。
環境パラメータが類似するか否かは、環境パラメータの数値を要素とするベクトルの相関値から決定できる。例えば、図28の(a)に示す環境パラメータの数値を要素とするベクトルと、図28の(b)に示す環境パラメータの数値を要素とするベクトルとから算出した相関値が所定値よりも高い場合に、これらの環境パラメータが類似すると判定される。なお、環境パラメータが類似するか否かの判定方法については、これに限定されない。
例えば、ここでは環境パラメータの類似度に基づいて挙動を決定することとしたが、まず環境パラメータの類似度の高いグループを作成し、そのグループにおける環境パラメータの統計をとり、その統計データから挙動を決定してもよい。
このように、予め複数の運転者の走行履歴から運転者個人のドライバモデルを構築することにより、運転者により適した挙動を報知できる。なお、より安全な走行履歴をデータベースに登録するため、安全な走行の基準を示す情報を記憶部8が記憶しておき、走行履歴がこの基準を満たすか否かを車両制御部7が判定し、さらに車両制御部7が、この基準を満たす走行履歴をデータベースに登録し、この基準を満たさない走行履歴をデータベースに登録しないこととしてもよい。
さらに、走行環境を示すパラメータと挙動とが対応づけられることにより、車両制御部7が、具体的な走行環境を判定することなく、つまり、走行環境のラベリングを行う事無く、精度よく次の挙動を判定できる。
なお、ドライバモデル(シチュエーションデータベース)は、自動運転中に運転者が選択した挙動とその挙動を提示した際の走行環境を示す環境パラメータとを対応づけた走行履歴から構築されてもよい。あるいは、ドライバモデル(シチュエーションデータベース)は、自動運転中に運転者が選択した挙動とその挙動を車両が行った際の走行環境を示す環境パラメータとを対応付けた走行履歴から構築されてもよい。
環境パラメータが、運転者により選択された挙動を車両が行った際の走行環境を示すものである場合、現時点における走行環境を示す環境パラメータから将来の走行環境を示す環境パラメータを予測し、運転者により選択された挙動を車両が行った際の走行環境を示す環境パラメータのうち、予測された環境パラメータに最も類似する環境パラメータに対応付けられた挙動を第1の挙動、それ以外の類似する環境パラメータに対応付けられたいくつかの挙動を第2の挙動であると判定してもよい。
上記予測は、例えば、現時点と現時点よりも前の時点の走行環境を示す環境パラメータから将来の時点の環境パラメータを外挿することにより行う。
あるいは、ドライバモデル(シチュエーションデータベース)は、自動運転中に運転者が選択した挙動とその挙動を提示した際の走行環境を示す環境パラメータとを対応づけた走行履歴、および、自動運転中に運転者が選択した挙動とその挙動を車両が行った際の走行環境を示す環境パラメータとを対応付けた走行履歴の両方から構築されてもよい。
この場合、例えば、両者の走行履歴が図28の(b)に示したような形式で記憶され、車両制御部7は、それらから次の挙動を判定する。ここで、車両制御部7は、両者の間で優先度を設け、例えば、自動運転中に運転者が選択した挙動とその挙動を車両が行った際の走行環境を示す環境パラメータとを対応付けた走行履歴から優先的に次の挙動を判定してもよい。
なお、本発明では、車両制御部7が実行する機能と同様の機能をクラウドサーバなどのサーバ装置に実行させてもよい。特に、記憶部8は走行履歴の蓄積に伴い膨大なデータ数となるため、車両1ではなくクラウドサーバなどのサーバ装置にあってもよい。あるいは、記憶部8は、既に構築されたドライバモデルを記憶し、車両制御部7は、記憶部8に記憶されたドライバモデルを参照して、挙動を判定することとしてもよい。
なお、記憶部8がクラウドサーバに設けられる構成では、通信速度の低下・通信断などの原因により記憶部8にアクセスできない場合に備えキャッシュが設けられることが望ましい。
図29は、キャッシュの配置の一例を示すブロック図である。車両制御部7は、通信部291を通じて記憶部8に走行履歴を保存させ、通信部291を通じてキャッシュ292に記憶部8に記憶されたドライバモデル(シチュエーションデータベース)の一部を保持させる。
車両制御部7は、キャッシュ292のドライバモデルにアクセスする。このときのキャッシュの作成方法については、環境パラメータの有無で限定する方法、位置情報を用いる方法、データを加工する方法などが考えられる。以下、それぞれについて説明する。
まず、環境パラメータの有無で限定する方法について説明する。周囲の状況の比較により似た状況を抽出するには、同じ環境パラメータのみが存在する走行環境(シチュエーション)が十分にあれば可能である。従って、車両制御部7は、記憶部8に記憶された走行環境の中から同じ環境パラメータのみを持つ走行環境を抽出して、これらをソートし、キャッシュ292に保持する。
ここで、車両制御部7は、検出された状況から得られる環境パラメータが変更されたタイミングで、一次キャッシュの更新を行う。こうすることで、車両制御部7は、通信速度の低下が発生しても似た周囲の状況を抽出することが可能になる。なお、変更の有無を判断する環境パラメータは、先に挙げた全ての環境パラメータでもよいし、一部の環境パラメータでもよい。
さらに、この環境パラメータは刻一刻と変化するため、キャッシュ292内に一次キャッシュおよび二次キャッシュを用意しても良い。例えば、車両制御部7は、同じ環境パラメータを持つ走行環境を一次キャッシュに保持する。さらに、車両制御部7は、環境パラメータが一時キャッシュに保持された走行環境に一つ追加された状態にある走行環境、および、環境パラメータが一時キャッシュに保持された走行環境から一つ削減された状態にある走行環境の少なくとも一方を二次キャッシュに保持する。
このようにすることで、車両制御部7は、一時的な通信断が発生しても、キャッシュ292のデータのみで、似た状況を抽出することが可能になる。
図30を使って、この場合についてさらに具体的に説明する。センサ62により、自車両301の周囲に側前方車両302のみが存在している周囲状況303が検出されたとき、車両制御部7は、側前方車両302のみが存在している走行環境(同一の環境パラメータのみ存在する走行環境)を、全ての走行環境(シチュエーション)が記憶された記憶部8から抽出し、一次キャッシュ304に格納させる。
さらに、車両制御部7は、側前方車両302以外の車が1台だけ追加された走行環境(同一の環境パラメータに1つの環境パラメータが追加された状態にある走行環境)もしくは、側前方車両302のいない走行環境(同一の環境パラメータから1つの環境パラメータが削減された状態にある走行環境)を記憶部8から抽出し、二次キャッシュ305に格納させる。
そして、センサ62により検出された周囲状況303が変わったとき、車両制御部7は、変わった周囲状況303に対応する走行環境を二次キャッシュ305から一次キャッシュ304にコピーし、変わった周囲状況303に対応する走行環境に対し、環境パラメータが一つ追加された走行環境、及び、環境パラメータが一つ削減された走行環境を記憶部8から抽出し、二次キャッシュ305に格納することで、二次キャッシュ305を更新する。これにより、車両制御部7は、周囲状況のスムーズに比較により似た周囲状況をスムーズに抽出することが可能になる。
次に、位置情報を用いる方法について説明する。環境パラメータに位置情報が含まれている場合、車両制御部7は、その位置情報により示される位置が自車位置を中心とする一定の範囲内に含まれる走行環境(シチュエーション)を記憶部8から抽出し、キャッシュ292に格納させることが可能となる。
この場合、車両制御部7は、走行環境に対応する位置情報により示される位置が上記一定の範囲から外れたときに、キャッシュ292の更新を行う。このようにすることで、車両制御部7は、長期間の通信断が発生しても位置が一定の範囲内であれば似た周囲状況を抽出することが可能になる。
さらに、データを加工する方法について説明する。記憶部8には環境パラメータを含む操作履歴が蓄積されている。車両制御部7は、各々の環境パラメータを一定の範囲毎に分割し、多次元空間上でメッシュを作成する。そして、車両制御部7は、各々のメッシュに含まれる挙動をその種別ごとにカウントしたテーブルを作成する。
例えば、使用する環境パラメータを二つに限定して説明する。車両制御部7は、操作履歴に含まれる環境パラメータを図31の(a)のように平面状にマッピングし、これらの各々の軸を一定の範囲で分割することで、平面を複数のブロックに分ける。これをメッシュと呼ぶ。
車両制御部7は、各々のメッシュの中に含まれる挙動の個数をその種別(例えば、加速、減速、車線変更、追い越しなどの種別)ごとにカウントする。図31の(b)に各メッシュの中に含まれる挙動の個数をその種別ごとにカウントしたテーブルを示す。
車両制御部7は、この内容をキャッシュ292に保持する。そして、車両制御部7は、周囲状況の比較により似た周囲状況の抽出を行う際に、検出された環境パラメータがどのメッシュに位置するかを判別し、判別したメッシュの中に含まれる挙動のうち個数が最大である挙動を選択し、選択された挙動を報知する挙動に決定する。
例えば、車両制御部7は、検出された環境パラメータがメッシュの3番に位置すると判別したとき、3番のメッシュの中に含まれる挙動のうち最大個数を示す挙動(ここでは「加速」)の操作を報知する挙動に決定する。この方法であれば、キャッシュ292の更新タイミングはいつでもよく、キャッシュ292の容量も一定とすることができる。
これらの方法を一つもしくは複数を組み合わせることでキャッシュを作成する。ただし、上に挙げた方法は一例であり、キャッシュの作成方法はこの限りではない。
このように、実施の形態4のドライバモデル拡張の例では、車両制御部7が、過去の走行環境の情報を含む運転者の運転特性を示す特徴量の情報を取得し、記憶部8がその特徴量の情報を記憶し、車両の挙動を変更する必要があると判定された場合、車両制御部7が記憶部8に記憶された特徴量の情報の中から、新たに取得した走行環境の情報を含む運転者の運転特性を示す特徴量に類似する情報を決定し、決定された情報に対応する挙動を報知することとした。
また、実施の形態4のドライバモデル拡張の例では、過去の走行環境の情報を含む運転者の運転特性を示す特徴量の情報は、運転者に車両の挙動を提示した際の特徴量の情報、および、運転者が挙動の選択を行った際の特徴量の情報の少なくとも1つであることとした。
また、実施の形態4のドライバモデル拡張の例では、過去の走行環境の情報を含む運転者の運転特性を示す特徴量の情報が、運転者に車両の挙動を提示した際の特徴量の情報、および、運転者が挙動の選択を行った際の特徴量の情報の両方である場合、それら両方の特徴量の情報の中から、新たに取得した走行環境の情報を含む運転者の運転特性を示す特徴量に類似する情報を決定し、決定された情報に対応する挙動を報知することとした。
また、実施の形態4のドライバモデル拡張の例では、過去の走行環境の情報を含む運転者の運転特性を示す特徴量の情報が、運転者に車両の挙動を提示した際の特徴量の情報、および、運転者が挙動の選択を行った際の特徴量の情報の両方である場合、運転者が挙動の選択を行った際の特徴量の情報の中から優先的に、新たに取得した走行環境の情報を含む運転者の運転特性を示す特徴量に類似する情報を決定し、決定された情報に対応する挙動を報知することとした。
また、実施の形態4のドライバモデル拡張の例では、過去の走行環境の情報を含む運転者の運転特性を示す特徴量の情報が、車両の自動運転時、および/または、手動運転時の運転者の運転特性を示す特徴量の情報であることとした。
以上により、車両制御部7は、運転者の運転傾向により適したドライバモデルを構築でき、構築したドライバモデルに基づいて、運転者に対してより適切な自動運転を行うことができる。走行環境を示すパラメータと挙動とが対応づけられることにより、具体的な走行環境を判定する処理を要することなく、つまり、走行環境のラベリングを行うことなく、精度よく次の挙動を判定できる。
(実施の形態5)
次に実施の形態5について説明する。上記の実施の形態では、ドライバの運転行動を推定する方法について記載していたが、本実施の形態では、車速の制御、車間距離の制御、加速度の制御について記載する。車速・車間距離・加速度については、ドライバが手動運転を行っている際の運転特性(運転の癖)を収集し、自動運転時に反映させる。
具体的には、図32を用いて説明する。まず、手動運転時のデータ収集方法について記載する。
(車速の収集)
本実施の形態における車両挙動検出部282は、手動運転時に速度情報取得部63から自車の速度情報(車速)を取得し、先行車の有無をセンサ62により検出する。車両挙動検出部282は、先行車が検出できておらず、かつ定速走行になったことを検出すると、そのときの車速および環境パラメータを記憶部8,8aに保存する。例えば、図33のように、車両挙動検出部282は、速度変化すなわち加速度を求め、その加速度が一定の範囲内(閾値±A1)である状態がT1秒間続いたときの走行状態を、定速走行状態と見なす。そして、車両挙動検出部282は、定速走行状態開始時の車速と環境パラメータを取得し、記憶部8,8aに保存し、再び、定速走行状態の検索を開始する。これを繰り返すことにより記憶部8,8aに情報をためていく。環境パラメータとは、実施の形態4に記載したもので、ここでは周囲の車との車間距離/相対変化率、車線数、車線位置、車線幅、路面状態を指す。このとき車線幅は、センサもしくはインフラから取得した車線の幅の値であり、路面状態は路面の滑りやすさをセンサもしくはインフラから取得した値(例えば、正常時=0、雨天時=1、凍結時=2)である。
(車間距離の収集)
また、車両挙動検出部282は、上述のように、手動運転時に速度情報取得部63から自車の速度情報を取得し、先行車の有無をセンサ62により検出する。そして、車両挙動検出部282は、先行車を検出している状態で、かつ一定車間距離走行になったことを検出すると、そのときの車間距離および環境パラメータと合わせて記憶部8,8aに保存する。例えば、図34のように、車両挙動検出部282は、車間距離の変化を求め、その車間距離の変化が一定の範囲内(閾値±A2)である状態がT2秒間続いたときを一定車間距離走行と見なす。そして、車両挙動検出部282は、一定車間距離走行状態開始時の先行車との車間距離と環境パラメータを取得し、記憶部8,8aに保存し、再び、一定車間距離走行状態の検索を開始する。これを繰り返すことにより記憶部8,8aに情報をためる。このときの環境パラメータとは、自車の速度、周囲の車との車間距離/相対変化率(但し、先行車との車間距離は除く)、車線数、車線位置、車線幅、路面状態を指す。
(加速度の収集)
さらに、車両挙動検出部282は、手動運転時に速度情報取得部63から自車の速度情報を取得し、先行車の有無をセンサ62により検出する。そして、車両挙動検出部282は、一定の加速度以上での加速もしくは一定の加速度以下の減速を検出すると、その前後の加速度パターンを環境パラメータと合わせて記憶部8,8aに保存する。例えば、図35のように、車両挙動検出部282は、加速度が一定の閾値A3を超えた時からT3秒遡ったときの環境パラメータと閾値A4を超えるもしくは速度0になるまで(減速のとき)の区間の加速度パターンを取得し、記憶部8,8aに保存する。減速のときの環境パラメータとは、自車の速度、周囲の車との車間距離/相対変化率(但し、先行車との車間距離は除く)、車線数、車線位置、車線幅、路面状態、目標停止位置までの距離(停止する場合)、次の信号までの距離、信号の点灯状態を指す。目標停止位置までの距離は、自動運転システムが停止を判断した際の目標停止位置までの距離であり、それ以外のときには、0に設定される。次の信号までの距離は、次の信号までの距離が一定の距離以下のときに、次の信号までの実際の距離に設定され、それ以外のときには0に設定される。信号の点灯状態には、(赤=0、黄=1、青=2)などが設定される。なお、加速度パターンとは、例えば、図36のように加減速している時間、加速度のピークの位置およびピークの個数によって分類されるパターンである。あるいは、加速度パターンとは、減速もしくは加速時の平均加速度と、その中で加速度がある閾値を越える期間と、そのときの速度とを指す。
自動運転制御部281は、これらの記憶部8,8aに保存した情報(図37、図38)を用いて、ドライバにより自動運転に設定されたときに、車速/車間距離/加速度を周囲の状況に併せて制御する。その方法は、実施の形態4と同様であり、予めクライアント側が、記憶部8aに保存されたデータを、通信部291を介してクラウド上にアップロードする。クラウド側で、他のドライバの運転特性と比較し、似たドライバのグループからドライバモデルを作成する。このとき、車速/車間距離/加速度おのおのについてドライバモデルを作成しても構わないし、全てを含んだドライバモデルを作成しても構わない。作成されたドライバモデルをクライアント側に送信する。これらの作業はエンジンをかけた直後などのタイミングで行われる。
ドライバモデルは、実施の形態4に記載の方法で作成しても良いが、例えば機械学習を用いて、入力を環境パラメータとし、出力を車速/車間距離/加速度パターンとするモデルを作成してもよい。その場合、履歴から環境パラメータと車速の組み合わせを教師付きデータとして学習を行う。アルゴリズムは、ランダムフォレスト/サポートベクタマシン/勾配ブースティングなどを使う。学習して得られたモデルをドライバモデルとする。
また、あるドライバに対し、似たドライバを集めることでドライバモデルを作成する方法は、実施の形態4に記載の方法でも良いが、例えば、クラウド上の運転特性(例えば車速)のデータの分布から局所ピークを複数検出した場合、これらを複数のクラスタが混合していると解釈し、各々の局所ピークとする分布を一つのクラスタとしてモデルを作成することで複数のドライバモデルを構築する方法などがある。この方法では、クライアント側のドライバの履歴と最も合致するドライバモデルを選択し車速を推定してもよいし、合致率の高い複数のドライバモデルを使い、その平均値を使って求めても良い。
ドライバが自動運転に設定すると、自動運転制御部281はドライバモデルに環境パラメータを入力し、得られた車速/車間距離/加減速パターンに従い車両制御を行う。このようにすることで、ドライバが自動運転時の車間距離などをステアリングスイッチなどで設定する手間も省け、自分の運転に近い自動運転を実現することが出来る。
[実施の形態4および5のまとめ]
図39は、本発明の一態様に係る情報処理システムの構成を示す図である。
この情報処理システム1000は、履歴取得部1001と、モデル化部1002とを備える。
履歴取得部1001は、複数の運転者のそれぞれの個人走行履歴を取得する。これらの個人走行履歴を含む走行履歴は、例えば図16、図17、または図20に示す走行履歴であり、個人走行履歴は、図27に示す運転者xの走行履歴であってもよい。個人走行履歴は、運転者によって選択された車両の一または複数の挙動と、その一または複数の挙動のそれぞれが選択されたときの車両の走行環境とを対応付けて示す。ここで、挙動は、車両の運転行動、運転操作または作動状態などである。また、選択された車両の一または複数の挙動のそれぞれは、実施の形態1における自動運転において、運転者によって選択された第2の挙動である。あるいは、選択された車両の一または複数の挙動のそれぞれは、運転者による手動運転によって実施された挙動、すなわち手動運転によって選択された挙動であってもよい。
モデル化部1002は、その走行履歴のうち、少なくとも一部の運転者の個人走行履歴をモデル化することによって、その少なくとも一部の運転者の車両における挙動と走行環境との関係を示すドライバモデルを構築する。このドライバモデルは、例えば図18、図21または図28の(b)に示すドライバモデルである。
情報処理システム1000は、さらに、環境取得部1003と、挙動推定部1004とを備えてもよい。環境取得部1003は、推定対象の運転者の車両の走行環境を取得する。走行環境は、例えば図16、図17、または図20に示す走行環境である。なお、環境取得部1003は、図1に示す検出部6であってもよく、検出部6によって検出された情報に基づいて走行環境を生成することによって、その走行環境を取得してもよい。
挙動推定部1004は、構築されたドライバモデルにおいて、環境取得部1003によって取得された走行環境に関係付けられた挙動を、推定対象の運転者の車両の挙動として推定(または判定)する。
これにより、ドライバモデルを用いて推定対象の運転者の車両の挙動が推定されるため、その推定対象の運転者の個人走行履歴が挙動の推定に不十分であっても、その運転者の車両の挙動を適切に推定することができる。つまり、運転者に適した運転行動を推定することができる。
ここで、モデル化部1002は、クラスタリング型のドライバモデルを構築してもよい。つまり、モデル化部1002は、走行履歴のうち、互いに類似する複数の個人走行履歴からなるグループごとに、その互いに類似する複数の個人走行履歴をモデル化することによって、モデル運転者ごとの車両における挙動と走行環境との関係を示すドライバモデルを構築する。このような、クラスタリング型のドライバモデルは、例えば図18に示すドライバモデルである。
この場合、挙動推定部1004は、推定対象の運転者の個人走行履歴と類似する、挙動と走行環境との関係を有するモデル運転者をそのドライバモデルから選択する。そして、挙動推定部1004は、選択されたモデル運転者が有する、挙動と走行環境との関係において、環境取得部1003によって取得された走行環境に関係付けられた挙動を、推定対象の運転者の車両の挙動として推定する。
これにより、推定対象の運転者の個人走行履歴と類似する、挙動と走行環境との関係を有するモデル運転者が選択され、そのモデル運転者の関係を用いてその推定対象の運転者の車両の挙動が推定されるため、運転者により適した挙動(すなわち運転行動)を推定することができる。
ここで、複数の運転者のそれぞれの個人走行履歴は、走行環境ごとに、予め定められた一または複数の挙動のそれぞれの当該走行環境において選択された頻度を示してもよい。
この場合、モデル化部1002は、走行環境ごとに、予め定められた一または複数の挙動のそれぞれについて、互いに類似する複数の個人走行履歴に示されるその挙動の頻度を平均化することによって、上記互いに類似する複数の個人走行履歴をモデル化する。
これにより、モデル化を簡単に、且つ適切に行うことができる。
また、モデル化部1002は、個別適応型のドライバモデルを構築してもよい。つまり、モデル化部1002は、走行履歴のうち、推定対象の運転者の個人走行履歴に類似する複数の個人走行履歴をモデル化することによって、その推定対象の運転者に対応するドライバモデルを構築する。このような、個別適応型のドライバモデルは、例えば図21に示すドライバモデルである。
これにより、走行履歴のうち、推定対象の運転者の個人走行履歴に類似する複数の個人走行履歴がモデル化されるため、その運転者により適した挙動(すなわち運転行動)を推定することができる。
また、複数の運転者のそれぞれの個人走行履歴は、図27に示すように、一または複数の挙動のそれぞれが選択されたときの車両の走行環境を、少なくとも1つの環境パラメータのそれぞれの数値からなるパラメータセットである第1のパラメータセットとして示してもよい。
この場合、モデル化部1002は、上記少なくとも一部の運転者の個人走行履歴に示される、第1のパラメータセットに含まれる各環境パラメータの数値をモデル化することによって、その少なくとも一部の運転者の車両における挙動と第1のパラメータセットとの関係を示すドライバモデルを構築する。このとき構築されるドライバモデルは、例えば、図28の(b)に示すドライバモデルである。環境取得部1003は、その推定対象の運転者の車両の走行環境をパラメータセットとして取得する。なお、このパラメータセットも、第1のパラメータセットと同様に、少なくとも1つの環境パラメータのそれぞれの数値からなる。挙動推定部1004は、構築されたそのドライバモデルにおいて、環境取得部1003によって取得されたパラメータセットに類似する第1のパラメータセットに関連付けられた挙動を、推定対象の運転者の車両の挙動として推定する。
これにより、走行環境がパラメータ化されているため、走行環境を細分化することができ、どのような走行環境であっても、その走行環境に応じた挙動(すなわち運転行動)を推定することができる。
また、情報処理システム1000は、挙動の候補を表示する表示部1005を備えてもよい。なお、この表示部1005は、図1に示す報知部92に含まれていてもよい。また、複数の運転者のそれぞれの個人走行履歴は、さらに、運転者によって選択された車両の挙動ごとに、当該挙動が候補として表示されたときの走行環境として、少なくとも1つの環境パラメータのそれぞれの数値からなるパラメータセットである第2のパラメータセットを、当該挙動に対応付けて示してもよい。つまり、個人走行履歴には、挙動が選択されたときの走行環境である第1のパラメータセットと、その挙動が候補として表示されたときの走行環境である第2のパラメータセットとが、選択された挙動に対応付けて示されている。言い換えれば、第2のパラメータセットは、第1のパラメータセットよりも前の時点における走行環境である。なお、第1のパラメータセットは、挙動が選択されたときの走行環境であるが、その挙動が実施されたときの走行環境でもある。つまり、挙動が選択された時点における走行環境と、挙動が実施された時点における走行環境とには有意な差異はない。
この場合、モデル化部1002は、上記少なくとも一部の運転者の個人走行履歴に示される、第1のパラメータセットに含まれる各環境パラメータの数値をモデル化し、かつ、第2のパラメータセットに含まれる各環境パラメータの数値をモデル化することによって、上記少なくとも一部の運転者の車両における挙動と第1のパラメータセットと第2のパラメータとの関係を示すドライバモデルを構築する。そして、挙動推定部1004は、構築されたドライバモデルにおいて、環境取得部1003によって取得されたパラメータセットに類似する第1のパラメータセットまたは第2のパラメータセットに関係付けられた挙動を、推定対象の運転者の車両の挙動として推定する。
挙動の候補を表示するタイミング(表示タイミング)は、挙動の選択または実施のタイミング(選択タイミング)よりも前である。また、表示タイミングと選択タイミングとでは、走行環境が異なることがある。表示タイミングには、そのときの走行環境を取得することはできるが、後の選択タイミングにおける走行環境を取得することはできない。また、この表示タイミングに、挙動を推定することが望ましい。
そこで、上述のように、モデル化部1002は、選択タイミングの走行環境である第1のパラメータセットと、表示タイミングの走行環境である第2のパラメータセットと、選択された挙動との関係を示すドライバモデルを構築している。また、環境取得部1003によって取得されたパラメータセットは、表示タイミングのパラメータセットである場合と、その表示タイミングのパラメータセットから外挿などによって予測された選択タイミングのパラメータセットである場合とがある。したがって、環境取得部1003によって取得されたパラメータセットが表示タイミングのパラメータセットである場合には、挙動推定部1004は、そのパラメータセットに類似する第2のパラメータセットに関連付けられた挙動を、推定対象の運転者の車両の挙動として推定する。これにより、事前により適切な挙動(すなわち運転行動)を推定することができる。一方、環境取得部1003によって取得されたパラメータセットが選択タイミングのパラメータセットである場合には、挙動推定部1004は、そのパラメータセットに類似する第1のパラメータセットに関連付けられた挙動を、推定対象の運転者の車両の挙動として推定する。これにより、事前に、つまり表示タイミングにおいて、より適切な挙動(すなわち運転行動)を推定することができる。
このとき、挙動推定部1004は、構築されたドライバモデルにおいて、環境取得部1003によって取得されたパラメータセットに類似する第1のパラメータセットに関係付けられた挙動を優先的に、推定対象の運転者の車両の挙動として推定してもよい。
これにより、挙動の推定の処理を適切に行うことができる。
また、個人走行履歴は、図37に示すように、一または複数の挙動として一または複数種の車速での走行を示してもよい。この場合、図33に示すように、環境取得部1003は、推定対象の運転者の車両が、0を含む予め定められた範囲の加速度で第1の期間だけ継続して走行しているときの、その車両の走行環境をパラメータセットとして取得する。なお、このような走行の状態は、定速走行状態と見なされる。また、第1の期間は、例えば図33に示すT1秒である。そして、挙動推定部1004は、構築されたドライバモデルにおいて、環境取得部1003によって取得されたパラメータセットに類似する第1のパラメータセットに関連付けられた車速での走行を、推定対象の運転者の車両の挙動として推定する。また、情報処理システム1000は、さらに、挙動推定部1004によって推定された車速での走行をその車両が実施するように、その車両を制御する車両制御部1006を備える。
これにより、走行環境に応じた車速であって、かつ運転者に適した車速での走行を車両に実施させることができる。
また、個人走行履歴は、図37に示すように、一または複数の挙動として一または複数種の車間距離での走行を示してもよい。この場合、図34に示すように、環境取得部1003は、推定対象の運転者の車両が走行し、かつ、その車両と他車両との間の車間距離の単位時間当たりの変化量(車間距離変化[m/s])が、0を含む予め定められた範囲にある状態が、第2の期間だけ継続しているときの、その車両の走行環境をパラメータセットとして取得する。なお、第2の期間は、例えば図34に示すT2秒である。そして、挙動推定部1004は、構築されたドライバモデルにおいて、環境取得部1003によって取得されたパラメータセットに類似する第1のパラメータセットに関連付けられた車間距離での走行を、推定対象の運転者の車両の挙動として推定する。車両制御部1006は、挙動推定部1004によって推定された車間距離での走行を、推定対象の運転者の車両が実施するように、その車両を制御する。
これにより、走行環境に応じた車間距離であって、かつ運転者に適した車間距離での走行を車両に実施させることができる。
また、個人走行履歴は、一または複数の挙動として一または複数種の加速度パターン(例えば図36に示す加速度パターン)での走行を示してもよい。この場合、図35に示すように、環境取得部1003は、推定対象の運転者の車両の加速度の絶対値が第1の閾値を超えてから、その第1の閾値よりも低い第2の閾値以下になるまでの期間に対応する時点における、車両の走行環境をパラメータセットとして取得する。例えば、第1の閾値は、図35に示すA3の加速度閾値であり、第2の閾値は、図35に示すA4の加速度閾値である。そして、上記期間に対応する時点は、その期間から、図35に示すT3秒遡った時点である。挙動推定部1004は、構築されたドライバモデルにおいて、環境取得部1003によって取得されたパラメータセットに類似する第1のパラメータセットに関連付けられた加速度パターンでの走行を、推定対象の運転者の車両の挙動として推定する。車両制御部1006は、挙動推定部1004によって推定された加速度パターンでの走行を、推定対象の運転者の車両が実施するように、その車両を制御する。
これにより、走行環境に応じた加速度パターンであって、かつ運転者に適した加速度パターンでの走行を車両に実施させることができる。今回の例では、加速度パターンで走行を表したが、平均加速度で走行を表してもよい。
また、個人走行履歴は、一または複数の挙動として車線変更・右左折時の舵角パターン(例えば図40に示す舵角パターン)での走行を示してもよい。この場合、図41に示すように、環境取得部1003は、推定対象の運転者の車両の舵角の絶対値が第1の閾値を超えてから、0になるまでの期間に対応する時点における、車両の走行環境をパラメータセットとして取得する。例えば、第1の閾値は、図41に示すA5の舵角閾値である。挙動推定部1004は、構築されたドライバモデルにおいて、環境取得部1003によって取得されたパラメータセットに類似する第1のパラメータセットに関連付けられた舵角パターンでの走行を、推定対象の運転者の車両の挙動として推定する。車両制御部1006は、挙動推定部1004によって推定された舵角パターンでの走行を、推定対象の運転者の車両が実施するように、その車両を制御する。
これにより、走行環境に応じた舵角パターンであって、かつ運転者に適した舵角パターンでの走行を車両に実施させることができる。今回の例では、舵角パターンで走行を表したが、最大舵角と舵角の最大角速度で走行を表してもよい。
また、情報処理システム1000は、さらに、特性取得部1007を備えてもよい。特性取得部1007は、複数の運転者のそれぞれの個人運転特性を含む運転特性を取得する。個人運転特性は、例えば図22に示すように、運転者の運転によって実施された車両の一または複数の挙動と、その一または複数の挙動のそれぞれを実施するために行われた車両の運転の特徴量とを対応付けて示す。例えば、特徴量は、車両の速さであってもよく、ハンドル、ブレーキ、およびアクセルなどの操作量であってもよい。この場合、モデル化部1002は、さらに、その運転特性のうち、少なくとも一部の運転者の個人運転特性をモデル化することによって、その少なくとも一部の運転者の車両における挙動と特徴量との関係を示す運転特性モデルを構築する。なお、運転特性モデルは、ドライバモデルと同様、クラスタリング型であっても、個別対応型であってもよい。そして、車両制御部1006は、一または複数の挙動のうちの何れかの挙動が、実施対象の挙動として、運転者によって選択されたとき、または、挙動推定部1004によって推定されたときには、構築された運転特性モデルにおいて、その実施対象の挙動に関係付けられた特徴量にしたがって、推定対象の運転者の車両の挙動を制御する。例えば、図22に示すように、同乗者なしのときに、運転者xに対して挙動「車線変更」が推定されときには、速さ「8」、ハンドル「4」、ブレーキ「6」およびアクセル「8」などの特徴量にしたがって車両の挙動「車線変更」を制御する。
これにより、運転者の車両の挙動は、その運転者の運転特性、すなわち運転の癖にしたがって行われるため、その運転者により適した運転行動を行うことができる。
なお、このとき車両特性モデルを構築することもできる。
図42は、車両特性モデルを構築する情報処理システムの構成を示す図である。図43は、車両特性を示す図である。
すなわち、ブレーキ、アクセルの踏み込み量による車両挙動への影響は車両により大きく異なる。これを推定することにより、車両の制御をスムーズに行うことができる。例えば、ブレーキの踏み込んだ時の加速度と合わせて、ブレーキ踏み込み量および車両の走行環境をパラメータセットとして取得する。ここでのパラメータセットは、車種ID、車速、路面状態(滑りやすさなどを何段階かに数値化したもの)、勾配、風速(自車の進行方向に対する風速)、総積載重量(乗員含む)などである。特性取得部1007aは、複数の車両のそれぞれの個別車両特性を取得する。これらの個別車両特性を含む車両特性は、例えば図43に示す車両特性である。車両特性は、車両IDごとに、その車両IDを有する車両におけるシチュエーション記述パラメータ(特徴量)と、そのシチュエーション記述パラメータでの走行が行われたときの踏み込み量(挙動)とを対応付けて示す。
モデル化部1002は、その車両特性のうち、少なくとも一部の車両の個別車両特性をモデル化することによって、その少なくとも一部の車両における踏み込み量とシチュエーション記述パラメータとの関係を示す車両特性モデルを構築する。挙動推定部1004は、ドライバモデルなどと同様の方法で、車両特性モデルを用いて、ブレーキの踏み込み量を、推定対象の車両の挙動として推定する。つまり、挙動推定部1004は、構築された車両特性モデルにおいて、環境取得部1003によって取得されたパラメータセットおよび運転特性により推定された加速度に類似する第1のパラメータセットに関連付けられたブレーキの踏み込み量を、推定対象の車両の挙動として推定する。車両制御部1006は、挙動推定部1004によって推定されたブレーキの踏み込み量に従い、その車両を制御する。アクセルについても同様に制御することができる。
これにより、車両の挙動が車両特性の予測にしたがって行われるため、車両制御をスムーズに行うことができる。
また、情報処理システム1000は、さらに、挙動推定部1004によって推定された挙動を、その挙動が実施される前に、推定対象の運転者に報知する報知部1008を備えてもよい。なお、この報知部1008は、図1の報知部92であってもよい。
これにより、推定された挙動が報知されるため、どのような挙動が行われるのかを事前に運転者に容易に把握させることができ、その運転者の不安を解消することができる。
なお、環境取得部1003、挙動推定部1004、表示部1005、車両制御部1006、および報知部1008の全てまたは一部は、推定対象の運転者の車両に備えられていてもよく、その車両の外部に備えられていてもよい。同様に、履歴取得部1001、モデル化部1002および特性取得部1007の全てまたは一部は、推定対象の運転者の車両に備えられていてもよく、その車両の外部に備えられていてもよい。情報処理システム1000に含まれるこれらの構成要素のうち、一部の構成要素が車両に備えられ、残りの一部の構成要素が車両の外部に備えられる場合には、車両の内外にある構成要素は、例えばネットワークを介した通信を行うことによって、上述の各処理を実行する。
また、車両制御部1006は、図1に示す車両制御部7であってもよい。また、履歴取得部1001、特性取得部1007、モデル化部1002、および挙動推定部1004は、図1に示す車両制御部7に含まれていてもよい。
また、個人走行履歴および個人運転特性、例えば各車両の車両制御部1006によって生成される。車両制御部1006は、個人走行履歴または個人運転特性を、自動運転時に生成して蓄積してもよく、手動運転時に生成して蓄積してもよい。
図44は、本発明の一態様に係る情報処理方法のフローチャートである。
本発明の一態様に係る情報処理方法は、ステップS1001とステップS1002とを含む。
ステップS1001では、複数の運転者のそれぞれの個人走行履歴であって、運転者によって選択された車両の一または複数の挙動と、その一または複数の挙動のそれぞれが選択されたときの車両の走行環境とを対応付けて示す個人走行履歴を含む、走行履歴を取得する。
ステップS1002では、その走行履歴のうち、少なくとも一部の運転者の個人走行履歴をモデル化することによって、その少なくとも一部の運転者の車両における挙動と走行環境との関係を示すドライバモデルを構築する。
これにより、ドライバモデルを用いて推定対象の運転者の車両の挙動が推定されるため、その推定対象の運転者の個人走行履歴が挙動の推定に不十分であっても、その運転者の車両の挙動を適切に推定することができる。つまり、運転者に適した運転行動を推定することができる。
[実施の形態4および5の変形例1]
実施の形態4および5では、運転者の車両の挙動(運転行動)を推定して、その推定された挙動が実施されるように車両を制御する。これに対して、本変形例では、例えば手動運転時において、運転者の車両の危険な挙動を推定し、その危険な挙動が実施されないように運転者に警告する点に特徴がある。
図45は、本変形例に係る情報処理システムの構成を示す図である。
本変形例に係る情報処理システム1100は、上述の情報処理システム1000と同様に、履歴取得部1001、モデル化部1002、環境取得部1003、および挙動推定部1004を備える。さらに、情報処理システム1100は、危険判定部1010、危険履歴取得部1011、走行履歴格納部1012、危険走行履歴格納部1013、および警告処理部1016を備える。
危険判定部1010は、運転者によって選択された車両の挙動を、その挙動が選択されたときの車両の走行環境と共に取得して、予め定められた判定基準に基づいてその挙動が危険か否かを判定する。危険判定部1010は、車両に備えられている場合には、その車両の挙動と走行環境を取得するだけでなく、他の車両の挙動と走行環境も取得して、その挙動が危険か否かを判定する。つまり、危険判定部1010は、複数の運転者のそれぞれについて、その運転者によって選択された車両の挙動を、その挙動が選択されたときの車両の走行環境と共に取得して、予め定められた判定基準に基づいてその挙動が危険か否かを判定する。危険判定部1010は、予め定められた判定基準としてルールベースを保持している。このルールベースには、複数種の挙動のそれぞれが危険か、危険でないかが示されている。
さらに、危険判定部1010は、危険ではないと判定した場合には、その挙動と走行環境とを含む情報を、個人走行情報として出力する。一方、危険判定部1010は、危険であると判定した場合には、その挙動と走行環境とを含む情報を、個人危険走行情報として出力する。
履歴取得部1001は、複数の運転者のそれぞれについて、危険判定部1010から出力される複数の個人走行情報からなる情報群をその運転者の個人走行履歴として取得する。そして、履歴取得部1001は、複数の運転者のそれぞれの個人走行履歴を含む走行履歴を走行履歴格納部1012に格納する。
危険履歴取得部1011は、複数の運転者のそれぞれについて、危険判定部1010から出力される複数の個人危険走行情報からなる情報群をその運転者の個人危険走行履歴として取得する。そして、危険履歴取得部1011は、複数の運転者のそれぞれの個人危険走行履歴を含む危険走行履歴を危険走行履歴格納部1013に格納する。
モデル化部1002は、上述の走行履歴を用いてドライバモデルを構築するだけでなく、上述の危険走行履歴を用いて危険ドライバモデルも構築する。つまり、モデル化部1002は、危険走行履歴のうち、少なくとも一部の運転車の個人危険走行履歴をモデル化することによって、その少なくとも一部の車両における危険な挙動と走行環境との関係を示す危険ドライバモデルを構築する。この危険ドライバモデルは、ドライバモデルと同様に、クラスタリング型であってもよく、個別適応型であってもよい。
警告処理部1016は、構築されたドライバモデルにおいて、環境取得部1003によって取得された走行環境に関係付けられた危険な挙動を、推定対象の運転者の車両の挙動として推定する。そして、警告処理部1016は、推定された危険な挙動に対する運転者への警告を行うための処理を実行する。報知部1008は、この警告処理部1016の処理に応じて、運転者への警告を行う。
図46は、危険走行履歴格納部1013に格納される危険走行履歴の一例を示す図である。
危険走行履歴は、例えば、運転者を識別するためのドライバIDごとに、そのドライバIDと、そのドライバIDの運転者の車両の走行環境と、その走行環境において選択された危険な挙動(すなわちリスク)とを示す。また、走行環境は、例えば、それぞれ環境パラメータである車速(km/h)、前方車車間距離(m)、前方車相対変化率、左前方車車間距離(m)、および左前方車相対変化率などの値からなる。なお、前方車相対変化率は、自車両と前方車との間の車頭間距離の変化率であり、左前方車相対変化率は、自車両と左前方車との間の車頭間距離の変化率である。また、リスクは、例えば、追突、車線逸脱、および右後方車との接触などである。
このような情報処理システム1100では、推定対象の運転者と類似する個人危険走行履歴の運転者が危険な運転を過去に行っている場合には、その危険な運転を行ったときの走行環境が推定対象の運転者の車両において取得されると、リスクの内容に応じた警告を行う。
例えば、前方車と追突する可能性が高い走行環境が、環境取得部1003によって取得されると、警告処理部1016は、危険な挙動として追突を推定する。その走行環境は、具体的には、車間距離とブレーキのタイミングなどを示す。警告処理部1016は、推定対象の運転者と類似する個人危険走行履歴を有する運転者がその走行環境において過去に追突していれば、その走行環境では追突の可能性が高いと判断する。そして、警告処理部1016は、例えばHUDとして構成される報知部1008に、早めのブレーキを促す警告メッセージなどを表示させる。
また、車線離脱の可能性が高い走行環境が、環境取得部1003によって取得されると、警告処理部1016は、危険な挙動として車線逸脱を推定する。その走行環境は、具体的には、車速、ブレーキのハンドルの操作量(操舵角)、車線幅、および、走行している道路のカーブ曲率などを示す。警告処理部1016は、推定対象の運転者と類似する個人危険走行履歴を有する運転者がその走行環境において、例えばカーブを曲がりきれない車線離脱を過去にしていれば、その走行環境では車線離脱の可能性が高いと判断する。そして、警告処理部1016は、例えばHUDとして構成される報知部1008に、減速を促す警告メッセージなどを表示させる。このとき、警告処理部1016は、目標とすべきハンドルの操作量(操舵角)または走行ラインなどを報知部1008に表示させてもよい。
また、車線変更によって他車両に接触する可能性が高い走行環境が、環境取得部1003によって取得されると、警告処理部1016は、危険な挙動として接触を推定する。その走行環境は、具体的には、右後方車と自車両との車間距離などを示す。警告処理部1016は、推定対象の運転者と類似する個人危険走行履歴を有する運転者がその走行環境において、右後方車との接触を過去にしていれば、その走行環境では右後方車との接触の可能性が高いと判断する。そして、警告処理部1016は、例えばHUDとして構成される報知部1008に、右後方車が接近していることを通知する警告メッセージなどを表示させる。
また、歩行者などの障害物に接触する可能性が高い走行環境が、環境取得部1003によって取得されると、警告処理部1016は、危険な挙動として接触を推定する。その走行環境は、具体的には、障害物と自車両との距離などを示す。警告処理部1016は、推定対象の運転者と類似する個人危険走行履歴を有する運転者がその走行環境において、障害物との接触(または接触の緊急回避)を過去にしていれば、その走行環境では障害物との接触の可能性が高いと判断する。そして、警告処理部1016は、例えばHUDとして構成される報知部1008に、障害物に注意を促す警告メッセージなどを表示させる。
また、右折または左折時の巻き込みの可能性が高い走行環境が、環境取得部1003によって取得されると、警告処理部1016は、危険な挙動として巻き込みを推定する。その走行環境は、具体的には、走行地点(具体的には交差点)と、障害物と自車両との距離などを示す。警告処理部1016は、推定対象の運転者と類似する個人危険走行履歴を有する運転者がその走行環境において、巻き込みを過去にしていれば、その走行環境では巻き込みの可能性が高いと判断する。そして、警告処理部1016は、例えばHUDとして構成される報知部1008に、巻き込みに注意を促す警告メッセージなどを表示させる。
このように本変形例では、例えば推定対象の運転者が手動運転しているときには、追突または車線逸脱などの危険な挙動を回避するための警告をその運転者に行うことができ、危険な挙動の発生を抑えることができる。
[実施の形態4および5の変形例2]
実施の形態4および5では、運転者の車両の挙動(運転行動)を推定して、その推定された挙動が実施されるように車両を制御する。これに対して、本変形例では、理想的な運転行動を推定し、その推定された運転行動(すなわち車両の挙動)をリコメンド(具体的には表示)する点に特徴がある。
図47は、本変形例に係る情報処理システムの構成を示す図である。
本変形例に係る情報処理システム1200は、上述の情報処理システム1000と同様に、履歴取得部1201、モデル化部1202、環境取得部1203、挙動推定部1204、および表示部1208を備える。さらに、情報処理システム1200は、運転行動履歴格納部1212と、理想挙動ドライバモデル格納部1215と、模範運転行動履歴格納部1217とを備える。環境取得部1203は、上述の環境取得部1003と同様の機能を有し、その環境取得部1203を備えている車両の走行環境(運転環境ともいう)を取得する。履歴取得部1201は、その車両の挙動と、環境取得部1203によって取得された車両の走行環境とを用いて、個人運転行動情報を生成する。この個人運転行動情報は、それぞれ走行環境を示す複数の走行環境パラメータと、その複数の走行環境パラメータにおいて行われた挙動とを対応付けて示す。走行環境パラメータは、車両の車速、前方車車間距離、または前方車相対変化率などである。運転行動履歴格納部1212は、履歴取得部1201によって生成された複数の個人運転行動情報を保持する。なお、これらの複数の個人運転行動情報は、運転行動履歴を構成する。
模範運転行動履歴格納部1217は、複数の模範ドライバによる運転によって得られた複数の模範ドライバ運転行動情報を保持している。この模範ドライバ運転行動情報は、模範ドライバの個人運転行動情報である。また、これらの複数の模範ドライバ運転行動情報のうち、1人の模範ドライバから得られた複数の模範ドライバ運転行動情報は、その模範ドライバの模範運転行動履歴を構成する。つまり、模範運転行動履歴格納部1217は、複数の模範ドライバのそれぞれの模範運転行動履歴を保持している。
モデル化部1202は、模範運転行動履歴格納部1217に格納された模範となる運転行動履歴(すなわち模範運転行動履歴)を用いて理想挙動ドライバモデルを構築する。ここで、模範ドライバにも様々あり、より安全な運転を行うドライバや、周囲の車の流れに乗るドライバもいる。よって、個人ごとに理想とするドライバは異なる。そこで、モデル化部1202は、模範運転行動履歴格納部1217に格納されている複数の模範運転行動履歴のうち、少なくとも一部の模範ドライバの模範運転行動履歴をモデル化する。これによって、モデル化部1202は、その少なくとも一部の模範ドライバにおける理想的な挙動と走行環境との関係を示す理想挙動ドライバモデルを構築する。この理想挙動ドライバモデルは、上述のドライバモデルと同様に、クラスタリング型であってもよく、個別適応型であってもよい。すなわち、モデル化部1202は、ある運転者の運転行動履歴の頻度分布と、各模範ドライバの模範運転行動履歴の頻度分布との相関を取り、似た頻度分布を持つ一人または複数の模範ドライバの模範運転行動履歴を用いて、その運転者の理想挙動ドライバモデルを構築する。
理想挙動ドライバモデル格納部1215は、モデル化部1202によって構築された理想挙動ドライバモデルを保持する。
挙動推定部1204は、構築された理想挙動ドライバモデルにおいて、環境取得部1203によって取得された走行環境に関係付けられた挙動を、運転者の車両における理想の挙動として推定する。そして、表示部1208は、その推定された理想の挙動を表示することによってリコメンドする。例えば、理想の挙動として車線変更が挙動推定部1204によって推定された場合、表示部1208は、図23に示す記号235を強調して表示する。例えば、表示部1208は、その記号235の色を変えることによって、その記号235を強調する。
図48は、模範運転行動履歴格納部1217に格納される模範運転行動履歴の一例を示す図である。
模範運転行動履歴は、例えば、模範ドライバを識別するための模範ドライバIDと、その模範ドライバIDの模範ドライバの車両の走行環境と、その走行環境において選択された挙動とを示す。また、走行環境は、例えば、それぞれ走行環境パラメータである車速(km/h)、前方車車間距離(m)、前方車相対変化率、左前方車車間距離(m)、および左前方車相対変化率などの値からなる。なお、前方車相対変化率は、自車両と前方車との間の車頭間距離の変化率であり、左前方車相対変化率は、自車両と左前方車との間の車頭間距離の変化率である。また、挙動は、例えば、右車線への車線変更、左車線への車線変更、加速、減速、または車線維持などである。
このような情報処理システム1200では、推定対象の運転者の模範となる理想挙動ドライバモデルを構築し、理想的な運転行動のリコメンドを行う。このように本変形例では、例えば推定対象の運転者が自動運転しているときに、より模範的な運転をドライバに選択させることができる。
このように本変形例における情報処理システム1200におけるプロセッサは、複数の模範ドライバのそれぞれの運転行動履歴と、車両を運転する運転者の運転行動履歴との類似度に基づいて、複数の模範ドライバの運転行動履歴のうちの少なくとも一部の模範ドライバの運転行動履歴をモデル化する。これによって、プロセッサは、少なくとも一部の模範ドライバの車両における挙動と走行環境との関係を示す理想挙動ドライバモデルを構築する。そして、プロセッサは、構築された理想挙動ドライバモデルにおいて、その運転者の車両の走行環境に関係付けられた挙動を、その車両の挙動として推定する。なお、上述のプロセッサは、1つのプロセッサから構成されていても、複数のプロセッサから構成されていてもよい。
これにより、車両の運転者にとって理想的な挙動が推定されるため、この理想的な挙動を提示することによって、運転者にその理想的な運転を選択させることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態における情報処理システムは、運転者による車両の運転を理想的な運転に近づけるためのリコメンドを行うシステムである。
図49は、本実施の形態における情報処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
本実施の形態における情報処理システム1300は、車両情報取得部1301、センサ1302、地図情報取得部1303、パラメータ生成部1304、模範運転格納部1305、モデル化部1306、理想状態選択部1307、差分抽出部1308、リコメンド決定部1309、および表示部1310を備える。なお、パラメータ生成部1304、モデル化部1306、理想状態選択部1307、差分抽出部1308、およびリコメンド決定部1309は、例えば少なくとも1つのプロセッサによって構成される。また。この情報処理システム1300の全てが、リコメンドが行われる車両に備えられていてもよく、情報処理システム1300の一部の構成要素が、その車両に備えられ、残りの構成要素が、その車両と通信可能なサーバに備えられていてもよい。例えば、模範運転格納部1305は、サーバに備えられていてもよい。
車両情報取得部1301は、図1に示す位置情報取得部61および速度情報取得部63などの機能を備え、車両の位置、車速、および舵角などの情報を取得する。
センサ1302は、図1に示すセンサ62に相当する。例えば、センサ1302は、先進運転支援システム(ADAS)に用いられるセンサであって、カメラ、レーダおよび測距装置のうちの少なくとも1つを備える。
地図情報取得部1303は、図1に示す地図情報取得部64に相当し、車両の周辺の地図情報を取得する。
パラメータ生成部1304は、車両情報取得部1301、センサ1302、および地図情報取得部1303からの出力にしたがって、N(Nは2以上の整数)個の運転環境パラメータからなるパラメータセットを車両パラメータセットとして生成する。この運転環境パラメータは、例えば、車速、舵角、前方車車間距離、車線幅、または制限速度などである。なお、パラメータ生成部1304は、車線幅および制限速度を地図情報から抽出してもよく、センサ1302による検出結果に基づいて導出してもよい。パラメータ生成部1304は、このような車両パラメータセットをリアルタイムに(すなわち逐次的に)生成する。また、このような車両パラメータセットは、運転者による現在の運転環境を、N次元座標系における点の位置として示す。
模範運転格納部1305は、複数の模範ドライバによる運転によって得られた複数の模範運転環境情報を模範運転環境データベースとして保持している。模範運転環境情報は、模範ドライバによる運転における運転環境をN個の運転環境パラメータとして示す。また、これらの複数の模範運転環境情報は、1人の模範ドライバから得られた複数の模範運転環境情報だけでなく、他の複数の模範ドライバの模範運転環境情報も含む。
なお、模範ドライバは、プロドライバであってもよい。また、模範運転環境データベースを、模範ドライバによる運転によって得られた複数の模範運転環境情報から構成することなく、不特定多数のドライバによる運転によって得られた複数の運転環境情報から構成してもよい。この場合、不特定多数のドライバの複数の運転環境情報から、加速度変化の少ない複数の運転環境情報を抽出し、抽出された複数の運転環境情報から模範運転環境データベースが構築される。
モデル化部1306は、模範運転格納部1305に保持されている模範運転環境データベースを用いて、理想運転ドライバモデルを構築する。例えば、モデル化部1306は、模範運転環境データベースに対して混合分布モデルの線形回帰分析を行うことによって、理想的な運転環境(すなわち運転)をモデル化する。その結果、上述の理想運転ドライバモデルが構築される。このように構築された理想運転ドライバモデルは、N次元座標系における理想運転の有効な範囲を領域として示す。この領域に含まれる各点では、その点の位置を定義するN個の運転環境パラメータ(すなわちパラメータセット)によって、理想的な運転環境が示される。言い換えれば、理想運転ドライバモデルは、理想運転環境の領域に含まれる複数のパラメータセットを示す。
理想状態選択部1307は、理想運転ドライバモデルによって示される複数のパラメータセットのうち、パラメータ生成部1304によって生成された車両パラメータセットに近いパラメータセットを、理想パラメータセットとして選択する。つまり、理想状態選択部1307は、N次元座標系において理想運転ドライバモデルによって示される領域のうち、運転者の現在の運転環境を示す点に近い点を選択する。
具体的には、理想状態選択部1307は、理想運転ドライバモデルによって示される複数のパラメータセットから、特定の運転環境パラメータが車両パラメータセットと実質的に同一の値を有する複数のパラメータセットを抽出する。この特定の運転環境パラメータは、車線幅および制限速度などの道路状況を示すパラメータであって、運転者による運転によって変更不可なパラメータである。つまり、理想状態選択部1307は、理想運転ドライバモデルによって示される複数のパラメータセットから、車両パラメータセットと車線幅および制限速度が同一の複数のパラメータセットを抽出する。そして、理想状態選択部1307は、その抽出された複数のパラメータセットの中から、車両パラメータセットに近いパラメータセットを、理想パラメータセットとして選択する。
差分抽出部1308は、パラメータ生成部1304によって生成された車両パラメータセットと、理想状態選択部1307によって選択された理想パラメータセットとの差分を算出する。
リコメンド決定部1309は、舵角と、ブレーキまたはアクセルの踏み込み量とのうちの少なくとも1つである運転操作量の変更を車両の運転者に勧める情報を、リコメンド情報として決定する。具体的には、リコメンド決定部1309は、差分抽出部1308によって算出された差分を小さくするための運転操作量を特定し、現在の運転操作量と、特定された運転操作量とを表すリコメンド情報を決定する。そして、リコメンド決定部1309は、その決定されたリコメンド情報を表示部1310に表示させる。
表示部1310は、例えば液晶もしくは有機ELなどによって構成されるディスプレイまたはヘッドアップディスプレイである。
図50は、模範運転格納部1305に格納されている模範運転環境データベースの内容の一例を示す図である。
模範運転環境データベースは、例えば、模範ドライバを識別するための模範ドライバIDごとに、その模範ドライバIDと、その模範ドライバIDの模範ドライバの車両の運転環境とを示す。また、運転環境は、例えば、それぞれ運転環境パラメータである車速(km/h)、前方車車間距離(m)、前方車相対変化率、左前方車車間距離(m)、左前方車相対変化率、車線幅、および制限速度などの値からなる。なお、前方車相対変化率は、自車両と前方車との間の車頭間距離の変化率、すなわち前方車に対する自車両の相対速度である。同様に、左前方車相対変化率は、自車両と左前方車との間の車頭間距離の変化率、すなわち左前方車に対する自車両の相対速度である。
図51は、理想運転環境の領域と車両の運転環境との関係の一例を示す図である。
例えば、パラメータセットは、運転環境パラメータである車速および舵角と、上述の特定の運転環境パラメータとを含む。特定の運転環境パラメータは、車線幅および制限速度などの道路状況を示す。この場合、理想状態選択部1307は、理想運転ドライバモデルによって示されるN次元座標系の領域から、自車両パラメータセットに含まれる特定の運転環境パラメータと実質的に等しい特定の運転環境パラメータを有する一部の領域を選択する。つまり、N次元座標系の領域が、自車両パラメータセットの道路状況と似ている道路状況を示す一部の領域だけに絞り込まれる。
なお、パラメータセットには、特定の運転環境パラメータを除く、車速および舵角以外の運転環境パラメータが含まれている場合がある。この場合には、理想状態選択部1307は、N次元座標系の領域から、自車両パラメータセットに含まれる車速および舵角以外の各運転環境パラメータと実質的に等しい各運転環境パラメータを有する一部の領域を選択する。
そして、理想状態選択部1307は、図51に示すように、その選択された一部の領域を、舵角の軸および車速の軸によって表される2次元座標系に写像する。このような写像によって、2次元座標系上において、理想的な運転(すなわち運転環境)が集中する領域Mが形成される。このような領域M内における各位置では、車速および舵角以外の各運転環境パラメータは同一である。
さらに、理想状態選択部1307は、パラメータ生成部1304によって生成された自車両パラメータセットに含まれる舵角および車速によって示される2次元座標系上の位置に、現在の車両の運転環境を示す点をプロットする。
例えば、理想状態選択部1307は、2次元座標系上に、現在の車両の運転環境を示す点Aをプロットする。このとき、理想状態選択部1307は、その点Aが領域M内になければ、領域M内の複数の点の中から点Aに近い点を選択する。例えば、理想状態選択部1307は、舵角の軸に沿う方向で最も近い点を選択する。このように点が選択されると、差分抽出部1308は、点Aと、その選択された点との差分、すなわち舵角の差分を算出する。リコメンド決定部1309は、現在の舵角と、現在の舵角からその差分だけずれた舵角とをリコメンド情報として決定する。
あるいは、理想状態選択部1307は、2次元座標系上に、現在の車両の運転環境を示す点Bをプロットする。このとき、理想状態選択部1307は、その点Bが領域M内になければ、領域M内の複数の点の中から点Bに近い点を選択する。例えば、理想状態選択部1307は、車速の軸に沿う方向で最も近い点を選択する。このように点が選択されると、差分抽出部1308は、点Bと、その選択された点との差分、すなわち車速の差分を算出する。リコメンド決定部1309は、その車速の差分を小さくするための運転操作量を特定する。すなわち、リコメンド決定部1309は、その差分が大きいほど、大きい踏み込み量(アクセルまたはブレーキの踏み込み量)を特定する。そして、リコメンド決定部1309は、現在の踏み込み量と、特定された踏み込み量とを表すリコメンド情報を決定する。図51に示す例の場合、リコメンド決定部1309は、より大きいアクセルの踏み込み量(すなわち加速)を、特定された踏み込み量として表すリコメンド情報を決定する。
図52は、表示部1310によって表示されるリコメンド情報の一例を示す図である。
表示部1310は、ヘッドアップディスプレイとして構成されている場合、車両のフロントガラスの一部の領域であるHUD表示領域1310Aに、リコメンド情報を投影する。リコメンド情報は、例えば、現在の舵角だけ回転している状態のステアリングホイールの画像1312aと、理想的な舵角だけ回転している状態のステアリングホイールの画像1312bとからなる。または、リコメンド情報は、例えば、現在のアクセルまたはブレーキの踏み込み量を示す画像1313aと、上述のようい特定された踏み込み量を理想的な踏み込み量として示す画像1313bとからなる。
このように本実施の形態では、リコメンド情報が表示されるため、このリコメンド情報によって運転者は理想的な運転を簡単に行うことができる。
[実施の形態6のまとめ]
このように本実施の形態の情報処理システム1300におけるプロセッサは、N(Nは2以上の整数)次元のパラメータからなる車両の運転環境を取得し、N次元座標系における理想運転環境の領域を示す理想運転ドライバモデルを参照する。次に、プロセッサは、その理想運転環境の領域と、取得された車両の運転環境との間の、N次元座標系上における距離に基づいて、理想運転環境の領域に含まれる1つの理想運転環境を選択する。そして、プロセッサは、その車両の運転環境を、特定された理想運転環境に近づけるためのリコメンド情報をディスプレイに表示させる。
例えば、N次元のパラメータは、車速、舵角、車間距離、および相対速度のうちの少なくとも1つをパラメータとして含む。
図53は、本実施の形態における情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
まず、プロセッサは、N(Nは2以上の整数)次元のパラメータからなる車両の運転環境を取得する(ステップS1301)。次に、プロセッサは、N次元座標系における理想運転環境の領域を示す理想運転ドライバモデルを参照する(ステップS1302)。次に、プロセッサは、その理想運転環境の領域と、取得された車両の運転環境との間の、N次元座標系上における距離に基づいて、理想運転環境の領域に含まれる1つの理想運転環境を選択する(ステップS1303)。そして、プロセッサは、その車両の運転環境を、特定された理想運転環境に近づけるためのリコメンド情報をディスプレイに表示させる(ステップS1304)。
これにより、車両の運転環境を理想運転環境に近づけるためのリコメンド情報が表示されるため、そのリコメンド情報によって運転者は理想的な運転を簡単に行うことができる。
また、プロセッサは、上述の理想運転環境の特定では、理想運転環境の領域から、車両の運転環境との間の距離が最も短い理想運転環境を選択してもよい。
これにより、運転者は、車両の現在の運転環境からの変化量を抑えて、その運転環境を理想的な運転環境に近づけることができ、理想的な運転をより簡単に行うことができる。
また、プロセッサは、リコメンド情報の表示では、舵角と、ブレーキまたはアクセルの踏み込み量とのうちの少なくとも1つである運転操作量の変更をその車両の運転者に勧める情報を、リコメンド情報として決定してもよい。例えば、プロセッサは、さらに、車両の運転環境と、選択された理想運転環境との差分を算出し、リコメンド情報の表示では、その差分を小さくするための運転操作量を特定し、現在の運転操作量と、特定された運転操作量とを表すリコメンド情報を決定する。
これにより、運転者は、舵角と、ブレーキまたはアクセルの踏み込み量とのうちの少なくとも1つをどのように変更すれば、理想的な運転ができるかを、リコメンド情報に基づいて容易に把握することができる。
なお、上述のプロセッサは、1つのプロセッサから構成されていても、複数のプロセッサから構成されていてもよい。
また、モデル化部1306は、複数の理想運転ドライバモデルを構築してもよい。そして、理想状態選択部1307は、その複数の理想運転ドライバモデルから、加減速の少ない理想運転ドライバモデルを選択してもよい。または、理想状態選択部1307は、車両の性能を引き出す理想運転ドライバモデル、または非常に安全な運転を行う理想運転ドライバモデルを選択してもよい。
また、リコメンド決定部1309は、実施の形態4または5のように推定され挙動または運転特性を、表示部1310を介してリコメンドしてもよい。
また、本実施の形態では、車速の軸と舵角の軸の2つの軸を含む2次元座標系への写像を行ったが、これらの軸は他の運転環境パラメータを示す軸であってもよい。また、2次元座標系への写像を行わなくてもよい。つまり、理想状態選択部1307は、N次元座標系において、理想運転ドライバモデルによって示される領域から、車両の運転環境を示す点に最も近い点を、その車両に最適な理想運転環境として選択してもよい。
[実施の形態6の変形例]
上述のように、模範ドライバにも様々あり、より安全な領域に避ける運転を行う模範ドライバ、低速で安定した運転を行う模範ドライバ、および、周囲の車の流れに乗って運転を行う模範ドライバがいる。そこで、モデル化部1202は、模範運転環境データベースのうち、同一タイプの模範ドライバの複数の模範運転環境情報をモデル化する。これによって、モデル化部1202は、そのタイプの模範ドライバにおける理想的な運転環境を示す理想運転ドライバモデルを構築する。この理想運転ドライバモデルは、上述のドライバモデルと同様に、クラスタリング型であってもよく、個別適応型であってもよい。クラスタリング型の場合、モデル化部1202は、複数のタイプの理想運転ドライバモデルを構築する。
本変形例では、複数のタイプの理想運転ドライバモデルのそれぞれによって表される理想的な運転環境と、現在の車両の運転環境とを対比可能な状態で表示する。
図54は、本変形例に係る表示部1310によって表示される画像の一例を示す図である。
例えば、パラメータセットは、運転環境パラメータである車速および舵角と、上述の特定の運転環境パラメータとを含む。この場合、上述と同様に、理想状態選択部1307は、理想運転ドライバモデルごとに、その理想運転ドライバモデルによって示される理想的な運転(すなわち運転環境)が集中する領域を2次元座標系上に形成する。
リコメンド決定部1309は、図54に示すように、理想運転ドライバモデルごとに形成された領域M1、M2およびM3を2次元座標系上に配置し、さらに、自車両パラメータセットの車速および舵角によって示される位置に点A1を配置する。この点A1は、車両の現在の運転環境を示す。そして、リコメンド決定部1309は、2次元座標系上において領域M1〜M3および点A1が配置された画像を表示部1310に表示させる。つまり、表示部1310は、図54に示すように、リコメンド決定部1309によって生成された上述の画像を、例えば液晶ディスプレイの画面1310Bに表示する。
ここで、リコメンド決定部1309は、上述の領域M1〜M3を表示部1310に表示させるときには、さらに、それらの領域に対応する理想運転ドライバモデルのタイプを示すアイコンを表示部1310に表示させてもよい。例えば、領域M1には、その領域M1の理想運転ドライバモデルが、低速でかつ安定した運転を行うタイプであることを示す、例えば亀が描画されたアイコンM11が表示される。また、領域M2には、その領域M2の理想運転ドライバモデルが、より安全な領域に避ける運転を行うタイプであることを示す、例えば蛇が描画されたアイコンM21が表示される。また、領域M3には、その領域M3の理想運転ドライバモデルが、周囲の車の流れに乗る運転を行うタイプであることを示す、例えば兎が描画されたアイコンM31が表示される。
また、リコメンド決定部1309は、表示部1310に表示させる画像をリアルタイムに随時更新しながら表示させる。これにより、車両の運転者は、舵角および車速などをどのように調整すれば、自らの運転がどのタイプの理想運転に近づけることができるかを容易に把握することができる。
このように本変形例では、プロセッサは、さらに、N次元座標系においてそれぞれ互いに異なる理想運転環境の領域を示す複数の理想運転ドライバモデルを参照する。そして、プロセッサは、それぞれ互いに異なる複数の理想運転環境の領域と、車両の運転環境を示す点とを、ディスプレイに表示させる。
これにより、運転者は、舵角および車速などのパラメータをどのように変更すれば、現在の運転環境がどのようなタイプの理想運転環境に近づくかを容易に把握することができる。
図55は、本変形例に係る表示部1310によって表示される画像の他の例を示す図である。
例えば、車両の運転者は、走行中にステアリングホイールの舵角を小さくする。これにより、車両の運転環境が変化する。リコメンド決定部1309は、車両の運転環境が変化することによって、現在の車両の運転環境を示す点A1が領域M1に入ると、表示部1310にアイコンM11を示す信号を出力する。表示部1310は、この信号を受信すると、HUD表示領域1310Aに、領域M1に対応する理想的な運転が行われていることを示すアイコンM11を表示させる。
このように、本変形例では、プロセッサは、さらに、複数の理想運転環境の領域のうちの何れか1つの領域に上述の点があるときには、車両の運転環境が、その領域に対応する理想運転環境であることを示すアイコンを、ディスプレイに表示させる。
これにより、運転者は、自らがどのようなタイプの理想的な運転をしているかを容易に把握することができる。
なお、上述のプロセッサは、1つのプロセッサから構成されていても、複数のプロセッサから構成されていてもよい。また、本実施の形態と、実施の形態4および5の変形例2とを組み合わせてもよい。
以上、本発明に係る実施形態について図面を参照して詳述してきたが、上述した装置や各処理部の機能は、コンピュータプログラムにより実現され得る。
上述した機能をプログラムにより実現するコンピュータは、キーボードやマウス、タッチパッドなどの入力装置、ディスプレイやスピーカなどの出力装置、プロセッサまたはCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク装置やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置、DVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)やUSB(Universal Serial Bus)メモリなどの記録媒体から情報を読み取る読取装置、ネットワークを介して通信を行うネットワークカードなどを備え、各部はバスにより接続される。
そして、読取装置は、上記プログラムを記録した記録媒体からそのプログラムを読み取り、記憶装置に記憶させる。あるいは、ネットワークカードが、ネットワークに接続されたサーバ装置と通信を行い、サーバ装置からダウンロードした上記各装置の機能を実現するためのプログラムを記憶装置に記憶させる。
そして、プロセッサまたはCPUが、記憶装置に記憶されたプログラムをRAMにコピーし、そのプログラムに含まれる命令をRAMから順次読み出して実行することにより、上記各装置の機能が実現される。