JP2018070997A - ニッケル粉の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アンモニアガスやアンモニア水をできるだけ使用せずに、高品質なニッケル粉を効率よく製造することができるニッケル粉の製造方法を提供する。【解決手段】本発明のニッケル粉の製造方法は、硫酸ニッケル水溶液と中和剤とを混合して、水酸化ニッケルを含む中和後スラリーを生成する第一工程と、水酸化ニッケルに硫酸アンモニウム水溶液を混合して錯形成反応を生じさせ、ニッケルアンミン錯体水溶液を含む錯化後スラリーを得る第二工程と、ニッケルアンミン錯体水溶液に水素ガスを接触させてニッケル粉末と還元後溶液とを得る還元工程とで構成されることを特徴とする。また、水酸化ニッケルに加える硫酸アンモニウム水溶液としては、好ましくは、還元工程で得られた還元後溶液を繰り返し用いる。【選択図】図1

Description

本発明は、ニッケル粉の製造方法に関するものであり、水酸化ニッケルからニッケルアンミン錯体水溶液を得た後、そのニッケルアンミン錯体水溶液に対して水素還元処理を施すことでニッケル粉を製造する方法に関する。
ニッケルアンミン錯体水溶液は、水素還元を行うことで、例えば特許文献1に示すように微細なニッケル粉を得ることができるなど、有用な原料に利用できる。このようなニッケルアンミン錯体水溶液は、例えば、硫酸ニッケル水溶液にアンモニアガスやアンモニア水を用いることで得ることができる。
アンモニアガスやアンモニア水から得られたニッケルアンミン錯体水溶液を原料として用いて水素還元することでニッケル粉を得る方法では、ニッケル粉と同時に生成する硫酸根がアンモニアと結合して、硫酸アンモニウム水溶液が生成する。したがって、生成した硫酸アンモニウム水溶液の硫酸根を系外に排出しなければ、反応系の液のバランスが取れなくなったり、製品のニッケル粉の硫黄品位が上昇したりするなどの問題が生じる。
硫酸根を系外に払い出す方法としては、従来、晶析法を用いて硫酸アンモニウムの結晶粉末として分離して払い出し、反応液には新規にアンモニアを加える方法や、あるいは、硫酸アンモニウム水溶液に消石灰や水酸化ナトリウムなどの中和剤を加えてアンモニア水と石膏及び芒硝(硫酸ナトリウム水和物)を生成させ、硫酸根を石膏及び芒硝の形態で系外へ排出し、一方、アンモニア水を系内にリサイクルする方法などが知られている。
しかしながら、これらの方法を用いるには、設備投資が高くなり、また悪臭物質であるアンモニアによる自然環境や作業環境へのリスクが高くなるなどの問題がある。また、発生するアンモニアを含んだ排水を処理する手間とコストも無視できない。
このため、アンモニアの使用量を可能な限り低減させてニッケルアンミン錯体水溶液を製造し、そしてそのニッケルアンミン錯体水溶液を用いてニッケル粉を製造する方法が求められている。
特開2000−063916号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、アンモニアガスやアンモニア水をできるだけ使用せずに、高品質なニッケル粉を効率よく製造することができるニッケル粉の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するため鋭意検討を重ねた。その結果、水酸化ニッケルからニッケルアンミン錯体を得るに際して、硫酸アンモニウム水溶液を用いることにより、アンモニアの使用量を最低限に抑制しながら、高品質なニッケル粉を効率よく得ることができことを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1)本発明の第1の発明は、硫酸ニッケル水溶液と中和剤とを混合して、水酸化ニッケルを含む中和後スラリーを生成する第一工程と、前記第一工程で得た水酸化ニッケルに硫酸アンモニウム水溶液を混合して、錯形成反応を生じさせ、ニッケルアンミン錯体水溶液を含む錯化後スラリーを得る第二工程と、前記第二工程で得たニッケルアンミン錯体水溶液に水素ガスを接触させてニッケル粉末と還元後溶液とを得る還元工程とを含む、
ニッケル粉の製造方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記第二工程において、前記水酸化ニッケルと混合させる硫酸アンモニウム水溶液に、前記還元工程で得られた還元後溶液を用いる、ニッケル粉の製造方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記第二工程で得た前記錯化後スラリーをニッケルアンミン錯体水溶液と錯化後澱物とに固液分離し、該ニッケルアンミン錯体水溶液を該還元工程に供給する第三工程を含む、ニッケル粉の製造方法である。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至3のいずれかの発明において、前記第一工程では、前記中和剤として、消石灰、水酸化ナトリウム、及び水酸化マグネシウムから選ばれる1種以上を用いる、ニッケル粉の製造方法。
(5)本発明の第5の発明は、第1乃至4のいずれかの発明において、前記還元工程において、前記ニッケルアンミン錯体水溶液にアンモニア水を添加し、次いで前記水素ガスを接触させてニッケル粉を得る、ニッケル粉の製造方法である。
(6)本発明の第6の発明は、第3乃至5のいずれかの発明において、前記第三工程で得られた前記錯化後澱物に対して水洗及び/又は酸洗浄を行う洗浄工程を含み、前記洗浄工程で得られた洗浄後液を前記第一工程に返送する、ニッケル粉の製造方法である。
本発明によれば、アンモニアの使用量を最小限に抑制して、高品質なニッケル粉を効率よく製造することができ、環境やコストの点で生産性を向上させることができる。
ニッケル粉の製造方法の流れの一例を示すフロー図である。 還元工程にてアンモニア水を添加する態様としたときのニッケル粉の製造方法の流れを示すフロー図である。 第三工程を設けない態様としたときのニッケル粉の製造方法の流れを示すフロー図である。 第一工程における中和剤として消石灰を用い、第三工程を経て回収された錯化後澱物を洗浄する洗浄工程を設けた態様としたときのニッケル粉の製造方法の流れを示すフロー図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
本発明に係るニッケル粉の製造方法は、硫酸ニッケル水溶液の中和剤を添加して水酸化ニッケルを生成させ、その水酸化ニッケルからニッケルアンミン錯体の水溶液を得た後、そのニッケルアンミン錯体を水素還元することによってニッケル粉を製造する方法である。
このとき、本発明に係るニッケル粉の製造方法においては、水酸化ニッケルからニッケルアンミン錯体を得るに際して、硫酸アンモニウム水溶液を用いてニッケルの錯形成反応を生じさせることを特徴としている。
具体的に、このニッケル粉の製造方法は、硫酸ニッケル水溶液と中和剤とを混合して、水酸化ニッケルを含む中和後スラリーを生成する第一工程と、水酸化ニッケルに硫酸アンモニウム水溶液を混合して錯形成反応を生じさせ、ニッケルアンミン錯体水溶液を含む錯化後スラリーを得る第二工程と、ニッケルアンミン錯体水溶液に水素ガスを接触させてニッケル粉末と還元後溶液とを得る還元工程と、を含む。
そして、ニッケルアンミン錯体の形成に際して用いる硫酸アンモニウム水溶液としては、好ましくは、還元工程にてニッケルアンミン錯体を水素還元することで生成する硫酸アンモニウム水溶液を用いる。このように、還元工程における処理で得られる硫酸アンモニウム水溶液を、第二工程におけるニッケルアンミン錯体の形成の反応に繰り返して用いることで、より効率的にニッケル粉を製造することができる。
このように、本発明に係るニッケル粉の製造方法によれば、従来に比べてアンモニウムの使用量を最低限に抑制しながら、高品質なニッケル粉を製造することができる。しかも、還元工程にて得られる硫酸アンモニウム水溶液を繰り返し用いてニッケルアンミン錯体を形成させることで、コスト的にも作業的にも効率的な処理に基づいて、ニッケル粉を製造することができる。
以下、より具体的に、本発明によるニッケル粉の製造方法を説明する。図1は、ニッケル粉の製造方法の流れの一例を示すフロー図である。
図1に示すように、本実施の形態に係るニッケル粉の製造方法においては、硫酸ニッケル水溶液に中和剤を添加して水酸化ニッケルを生成させる第一工程と、水酸化ニッケルからニッケルアンミン錯体を形成させる第二工程と、得られたスラリーからニッケルアンミン錯体水溶液を固液分離する第三工程と、ニッケルアンミン錯体水溶液を水素還元してニッケル粉を生成させる還元工程と、を有する。
[第一工程]
第一工程では、硫酸ニッケル水溶液と中和剤とを混合して、水酸化ニッケルを含む中和後スラリーを生成する。なお、中和後スラリーは、例えば、中和剤に消石灰を用いた場合には、水酸化ニッケルと石膏スラリーとが混合したスラリーであり、中和剤に水酸化ナトリウムを用いた場合には、水酸化ニッケルのスラリーとなる。
具体的に、第一工程では、硫酸ニッケル水溶液を例えば中和反応槽に定量装入し、そこに中和剤を添加することによって、硫酸ニッケル水溶液のpHを、例えば7.0〜8.5程度、好ましくは8.0程度となるように調整する。この中和剤を用いた中和処理により、硫酸ニッケル水溶液から水酸化ニッケルを生成させ、その水酸化ニッケルを含む中和後スラリーを得る。
(硫酸ニッケル水溶液)
ここで、原料に用いる硫酸ニッケル水溶液は、特に限定されないが、ニッケルを浸出させた硫酸溶液を用いることができる。
例えば、ニッケル及びコバルトの混合硫化物、粗硫酸ニッケル、ニッケル濃ひなどから選ばれる一種、又は複数の混合物からなる工業中間物などのニッケル含有物、あるいはニッケルメタルのスクラップなどを、硫酸により溶解してニッケル浸出液とし、これを、溶媒抽出法、イオン交換法、中和などの浄液工程を施すことにより不純物元素を除去して得られた硫酸ニッケル水溶液を利用することができる。また、第一工程で用いる硫酸ニッケル水溶液は、後述する洗浄工程で得られる洗浄後液を含んでいてもよい。
なお、硫酸ニッケル水溶液におけるニッケル濃度は、溶解度や液量の過大な増加を抑制して適正な設備規模で処理を進めるようにする観点から、概ね100g/L〜150g/L、好ましくは120g/L前後に設定することが好ましい。
(中和剤)
中和剤としては、消石灰(水酸化カルシウム)を用いることができる。なお、消石灰はスラリーの形態にして用いることが好ましい。具体的に、消石灰は、工業用の市販品を用いることができ、特に限定されない。例えば、市販の消石灰を、水を用いて150g/L程度のスラリー濃度に調整して使用する。
なお、中和剤としてカルシウム化合物を用いる場合、消石灰に限られず、例えば炭酸カルシウムなども利用することができる。
また、中和剤として、水酸化ナトリウムを用いることもできる。水酸化ナトリウムは、工業用の市販品を用いることができ、特に限定されない。また、中和剤の水酸化ナトリウムとしては、搬送性が良好で添加量を調整しやすいという観点から、水溶液の形態で用いることが好ましい。
水酸化ナトリウムの他にも、水酸化カリウムなどの水溶性のアルカリ、さらに水酸化マグネシウムや酸化マグネシウムなどの溶解性のアルカリを用いてよい。これらは、スラリー化する手間を省くことができ、また、中和殿物の生成量が減少するなど、取り扱いがより容易であることから好ましい。
第一工程において、中和反応の反応温度としては、40℃〜80℃程度とすることが好ましく、より好ましくは50℃〜60℃程度とすることにより、前後の工程の加温のための熱エネルギーに無駄がなく、より効率的な処理を行うことができる。
なお、工業的なプロセスの実施に際しては、液が増えすぎないように液バランスを保つことが必要となる。よって、第一工程では、中和して得られた水酸化ニッケルを含む中和後スラリーの全量又は一部の濾過を行って水酸化ニッケルを分離し、これを後述の第二工程に供給することが好ましい。つまり、第二工程では、「中和後スラリー」に硫酸アンモニウム水溶液を添加するのではなく、「水酸化ニッケル」に硫酸アンモニウム水溶液を添加する形態をとることが好ましい。
[第二工程]
第二工程では、第一工程で得られた水酸化ニッケルを用い、ニッケルの錯形成反応を生じさせて、ニッケルアンミン錯体の溶液を得る。このとき、ニッケルの錯形成反応に際しては、硫酸アンモニウム水溶液を用いることを特徴としており、水酸化ニッケルにその硫酸アンモニウム水溶液を添加して、錯化後スラリーである硫酸ニッケルアンミン錯体の溶液を得る。
このように、ニッケルアンミン錯体を生成させるに際して、硫酸アンモニウム水溶液を用いることにより、アンモニアガスやアンモニア水を用いて錯形成反応を行っていた従来に比べて、設備コストや作業環境を改善させることができ、効率的に高品質なニッケル粉を製造することができる。
なお、錯化後スラリーは、第一工程において中和剤に消石灰を用いた場合には、硫酸ニッケルアンミン錯体と石膏スラリーとが混合したスラリーとなり、中和剤に水酸化ナトリウムを用いた場合には、硫酸ニッケルアンミン錯体のスラリーとなる。
硫酸アンモニウム水溶液としては、硫酸アンモニウム濃度が200g/L〜600g/L程度のものを用いることが好ましい。硫酸アンモニウム濃度が200g/L未満の水溶液では、水酸化ニッケルを完全に溶解させることができないことがあり、ニッケルの複塩が析出する可能性がある。また、濃度が600g/Lを超える水溶液では、後工程の還元工程における処理後に溶解度を超えて硫酸アンモニウムが析出する可能性がある。
第二工程において、錯形成反応の反応温度としては、40℃〜90℃程度とすることが好ましく、60℃〜80℃程度とすることがより好ましい。40℃未満では、反応速度が遅く工業的に適用することが困難となり、一方で、90℃を超えても反応速度は変わらず、エネルギーのロスが大きくなる。
ここで、第二工程において、硫酸アンモニウム水溶液を用いて錯形成反応を生じさせるに際しては、後述する還元工程で得られる還元後溶液である硫酸アンモニウム水溶液を回収して、繰り返し利用することが好ましい。このように、還元工程にて得られる硫酸アンモニウム水溶液を繰り返して用いて再利用することにより、コスト的にも作業的にもより効率的な処理によって、ニッケル粉を製造することができる。
なお、プロセスの立ち上げ時や、連続操業に伴うアンモニアバランスの変化によって繰り返し量が不足する場合には、従来通り別途用意した試薬などから新規に調製したものを補充して用いればよい。
[第三工程]
必須の態様ではないが、第三工程として、第二工程における錯形成反応により生じたニッケルアンミン錯体水溶液を含む錯化後スラリーを固液分離する工程を設けることができる。
例えば、第一工程において中和剤に消石灰を用いた場合には、上述したように、第二工程で得られる錯化後スラリーは、硫酸ニッケルアンミン錯体を有する溶液と、錯化後殿物とから構成されるスラリーとなる。錯化後殿物は、主として、原料の硫酸ニッケルに由来する硫酸根を含む、中和剤の消石灰に基づく石膏などの中和澱物である。そのため、第三工程として、錯化後スラリーに対して固液分離処理を施す工程を設けることによって、沈殿物を分離除去したニッケルアンミン錯体水溶液を回収することができ、そのような不純物を低減させたニッケルアンミン錯体水溶液を次工程に供給することができる。これにより、還元工程にて生成するニッケル粉に、硫黄などが巻き込まれて含まれることを抑制することができ、品質をより向上させることができる。
固液分離の方法としては、特に制限されない。例えば、タンクフィルターを用いる減圧濾過や、フィルタープレスを用いる加圧濾過などが挙げられ、これら濾過機による濾過の前に、デカンテーションによる分離を行ってもよい。
ここで、第一工程において、中和剤として、水酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムなどの溶解性のアルカリを用いた場合には、石膏などの中和澱物は生成されない。そのため、必ずしも固液分離処理のための第三工程や後述する洗浄工程を設ける必要はない。
図3は、第三工程を設けない態様としたときのニッケル粉の製造方法の流れを示すフロー図である。図3に示すように、第一工程において中和剤に水酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムなどの溶解性のアルカリを用いた場合には、第一工程で得られる中和澱物の生成量が極めて少ないことから、第二工程で得られる硫酸ニッケルアンミン錯体水溶液を直ちに還元工程に供給してもよい。
ただし、上述した溶解性のアルカリからなる中和剤を用いた中和によっても、他の不純物成分からなる水酸化物が生成することがある。そのため、還元工程にて生成させるニッケル粉の品質を維持、あるいは向上させる観点から、固液分離処理を行ってニッケルアンミン錯体水溶液のみを確実に還元工程に供給してもよい。
[還元工程]
還元工程では、得られたニッケルアンミン錯体水溶液に、水素ガスを接触させて水素還元し、ニッケル粉を生成させる。具体的には、先ず、高温高圧用反応容器などの反応容器にニッケルアンミン錯体水溶液を装入し、所定の温度、圧力の条件で、還元用の水素ガスを連続的に供給することによって水素還元し、ニッケル粉と還元後溶液である硫酸アンモニウム水溶液とからなるスラリーを生成させる。
還元工程における反応温度は、特に制限されないが、130℃〜250℃程度であることが好ましく、150℃〜200℃程度であることがより好ましい。反応温度が130℃未満では、還元効率が低下することがあり、一方で、250℃を超えても反応への影響は少なく熱エネルギーのロスが増加する。
また、反応時における反応容器の内部の圧力条件としては、特に制限されないが、1.0MPa〜5.0MPa程度であることが好ましく、2.0MPa〜4.0MPa程度であることがより好ましい。内部圧力が1.0MPa未満であると、還元効率が低下することがあり、一方で、5.0MPaを超えても反応への影響は少なく、水素ガスのロスが増加する。
また、還元工程における水素還元処理では、反応容器に収容したニッケルアンミン錯体水溶液に、種晶としてのニッケル粉を添加することが好ましい。このように種晶を添加した状態で水素還元処理を行うことで、金属ニッケルへの還元率を高めることができ、また、得られるニッケル粉の粒径を制御することができる。
具体的に、種晶として添加するニッケル粉としては、例えば、平均粒径が0.1μm〜300μm程度のものを用いることができる。また、10μm〜200μm程度の粒径のものを用いることがより好ましい。種晶のニッケル粉の粒径が0.1μm未満であると、得られるニッケル粉が微細になり過ぎて、種晶としての効果が十分に発揮されない可能性がある。一方で、種晶のニッケル粉の粒径が300μmを超えると、粗大なものとなり、経済的に不利になりやすい。
また、種晶としてのニッケル粉は、市販品のニッケル粉を用いることができ、また、公知の方法により化学的に析出させたニッケル粉を分級して用いることができる。さらに、この製造方法により製造されたニッケル粉を繰り返して用いてもよい。なお、この種晶としてのニッケル粉は、原料であるニッケルアンミン錯体水溶液とともにスラリーポンプなどの供給装置を用いて連続して反応容器に供給するとよい。
また、還元工程における水素還元処理では、ニッケルアンミン錯体水溶液に、分散剤を添加することが好ましい。このように分散剤を添加して水素還元処理を行うことで、金属ニッケルへの還元率を高めることができ、また、得られるニッケル粉の表面をより平滑化させることができる。さらに、凝集などを防止して、ほぼ均一な粒径のニッケル粉を製造することが可能となる。
具体的に、分散剤としては、特に制限されないが、ポリアクリル酸ナトリウムなどのアニオン系の官能基を有するポリマーや、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールなどのノニオン系の官能基を有するポリマーを用いることができる。
ここで、還元工程における水素還元処理では、ニッケルアンミン錯体水溶液にアンモニア水を添加することが好ましい。このように、ニッケルアンミン錯体水溶液にアンモニア水を添加し、その水溶液に対して水素還元処理を施すことで、ニッケルの還元率を向上させることができる。具体的に、図2は、ニッケルアンミン錯体水溶液にアンモニア水を添加し、そのニッケルアンミン錯体水溶液に対して水素還元処理を行う態様を示した製造方法のフロー図である。
ニッケルアンミン錯体水溶液に対して水素ガスを用いて還元処理を行うと、還元後の溶液(還元後液)は、次第にpHが低下することが知られている。本発明者らは、このような還元後液のpHの低下により、生成したニッケル粉が再溶解してニッケル還元率が低下することを見出した。このことから、ニッケルアンミン錯体水溶液にアンモニア水を添加し、次いでその水溶液に対して水素還元処理を施すようにすることによって、還元後液のpHの低下を抑えることができ、ニッケル還元率の低下、すなわちニッケル粉の回収量の低下を抑制することができる。
また、添加するアンモニア水の量を少量とすることにより、手間やコストを増大させることなく、効率的な処理によりニッケル粉を製造することができる。なお、アンモニア水の添加量としては、例えば、溶液中のアンモニア濃度が1g/L〜10g/L程度となるようにすることが好ましい。溶液中のアンモニア濃度が1g/L未満であると、ニッケル粉回収量の低下を抑制する効果が小さく、一方で、10g/Lを超える割合で添加すると、それ以上効果は向上せず薬剤のロスが増えてしまう。
(ニッケル粉の取り出しについて)
還元工程で得られた反応容器内の反応後スラリーは、例えば降圧槽などに排出されて固液分離されることによって、ニッケル粉が回収されるとともに、還元後溶液である硫酸アンモニウム水溶液が取り出される。ここで取り出された硫酸アンモニウム水溶液は、上述したように、第二工程における錯形成反応のための硫酸アンモニウム水溶液として再利用することが好ましい。具体的に、取り出した硫酸アンモニウム水溶液を循環させ、水酸化ニッケルに添加するようにする。
従来では、ニッケルを回収するにあたり、還元後溶液の硫酸アンモニウム水溶液の中に残留した未反応のニッケルアンミン錯体水溶液からニッケルを回収することが必要であった。そのため、硫酸アンモニウムの回収処理や硫酸アンモニウムからアンモニア水を回収する処理の前段に、ニッケルを回収する処理を実行しなければならず、設備コストや操業コストが増加するという問題があった。これに対し、還元工程で発生する硫酸アンモニウム水溶液の全量を、第二工程の錯形成反応用の溶液として繰り返し用いるようにすることで、別途の設備を用意してニッケルを回収する作業などが不要となり、コストを有効に低減させることができ、効率的な操業が可能となる。
[洗浄工程]
必須の態様ではないが、第三工程で固液分離により錯化後澱物が回収される場合には、回収した錯化後澱物に対して水洗及び/又は酸洗浄を行う工程(洗浄工程)を設け、洗浄後の洗浄後液を第一工程に返送することが好ましい。
第三工程を経て回収される錯化後澱物には、ニッケルアンミン錯体水溶液が付着していることから、その錯化後澱物を水洗及び/又は酸洗浄することにより、錯化後澱物中のニッケルを低減させることができる。そして、洗浄処理により得られた洗浄後液を第一工程に返送することにより、ニッケルの回収ロスを低減させることができる。
洗浄工程における洗浄処理としては、水洗処理、硫酸溶液などを用いた酸洗処理を行うことができる。また、錯化後澱物中のニッケルを効率よく洗浄回収させる観点から、水洗と酸洗浄とを組み合わせて、複数回の洗浄処理を行うことが好ましい。
図4は、第一工程にて中和剤として消石灰を用いる態様としたときのニッケル粉の製造方法の流れを示すフロー図である。図4に示すように、例えば、第一工程で中和剤として消石灰を用いた場合には、上述したように、消石灰に基づく石膏スラリーが生成され、第三工程における固液分離処理により錯化後澱物として回収される。そして、この回収された錯化後澱物である石膏を洗浄する洗浄工程を設けることにより、その石膏に付着したニッケルアンミン錯体溶液を除去回収して、石膏中のニッケル濃度を低減させることができる。その後、洗浄後の洗浄液(洗浄後液)を第一工程に返送することにより、ニッケルをプロセス中に戻すことができ、ニッケルの回収ロスを低減させることができる。
洗浄工程における洗浄時の石膏スラリー濃度は、特に制限されないが、石膏を流動させるために10g/L〜500g/L程度が好ましく、このようなスラリー濃度であることにより効率的な処理が可能となる。
また、第三工程を経て回収される錯化後澱物において、一部のニッケルアンミン錯体が複塩として結晶化している場合には、洗浄工程において、薄い硫酸溶液により酸洗浄することが好ましい。このときの硫酸溶液の硫酸濃度としては、特に制限されないが、1%〜10%程度であることが好ましい。硫酸濃度が1%未満であると、洗浄効果が小さく、一方、10%を超えても、それ以上効果は向上せず、薬剤のロスが増えてしまう。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(第一工程)
ニッケル酸化鉱石を公知の方法により高温高圧下で酸浸出し、その後ニッケル浸出液を硫化処理して得られたニッケル硫化物に、液温を50℃に維持しながら硫酸を添加してニッケル濃度が120g/Lになるように溶解することによって、硫酸ニッケル水溶液を得た。得られた硫酸ニッケル水溶液を1リットル分取し、これにスラリー濃度が150g/Lの消石灰スラリーを添加して、スラリーのpHが8.0になるように60分間撹拌しながら維持し中和後スラリーを得、さらに濾過をして水酸化ニッケルを得た。なお、最終的な消石灰スラリーの添加量は1.26リットルになった。
(第二工程)
第一工程で生成した水酸化ニッケルに、濃度1240g/Lの硫酸アンモニウム水溶液を1.0リットル添加した。なお、水酸化ニッケルに添加した硫酸アンモニウム濃度は400g/Lとなった。次いで、その水溶液の温度を80℃に維持しながら1時間撹拌を継続し、水溶液中の水酸化ニッケルと硫酸アンモニウムとを反応させて、ニッケルアンミン錯体を生成させた。これにより、ニッケルアンミン錯体と石膏スラリーとを含む錯化後スラリーが得られた。
(第三工程)
次に、第二工程にて得られた錯化後スラリーを、ヌッチェとろ紙とを用いて固液分離した。これにより、濾液としてニッケル濃度が41g/Lのニッケルアンミン錯体水溶液が2.9リットル得られた。
(還元工程)
次に、得られたニッケルアンミン錯体水溶液1リットルを高温高圧反応容器に装入し、種晶として別途用意したニッケル粉を40g、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウムを濃度0.17g/Lとなるように添加し、温度を185℃に昇温し、内部圧力を3.5MPaに維持した条件で、撹拌しながら水素ガスを供給して1時間反応させた。
反応終了後、反応容器から反応後スラリーを取り出し、生成したニッケル粉を固液分離して回収し、その物量を測定した。その結果、供給したニッケルアンミン錯体水溶液に含まれていたニッケルの90%を、金属ニッケル粉として回収できたことを確認した。
[実施例2]
(第一工程)
実施例1と同様にして、反応温度50℃の条件でニッケル濃度が120g/Lになるように溶解した硫酸ニッケル水溶液1リットルを用意した。次に、この硫酸ニッケル水溶液に、濃度200g/Lの水酸化ナトリウム水溶液を810mL添加して混合し、pHが8.2となる中和後スラリーを得た。
(第二工程)
第一工程で生成した水酸化ニッケルに、硫酸アンモニウム水溶液400gと、第一工程で得られた水酸化ニッケル207g(Dry換算)と、さらに純水を加えて、全液量を1000mLに調整した。次いで、調整後の水溶液の温度を80℃に維持しながら1時間撹拌を継続し、水酸化ニッケルと硫酸アンモニウムとの全量が溶解した状態で、ニッケルアンミン錯体水溶液を生成させた。
(第三工程)
上述した第一工程では、中和剤に水酸化ナトリウムを用いたため、第二工程から排出されたニッケルアンミン錯体水溶液には澱物が伴っていなかった。そのため、固液分離を行う第三工程を設けずに、ニッケルアンミン錯体水溶液を還元工程に移送した。
(還元工程)
次に、得られたニッケルアンミン錯体水溶液1リットルを高温高圧反応容器に装入し、種晶として別途用意したニッケル粉40g、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウムを濃度0.17g/Lとなるように添加し、温度を185℃に昇温し、内部圧力を3.5MPaに維持した条件で、撹拌しながら水素ガスを供給して1時間反応させた。
反応終了後、反応容器から反応後スラリーを取り出し、生成したニッケル粉を固液分離して回収し、その物量を測定した。その結果、供給したニッケルアンミン錯体水溶液に含まれていたニッケルの95%を、金属ニッケル粉として回収できたことを確認した。
[実施例3]
実施例1と同じ方法を用いて、第一工程から第三工程までの処理を行い、ニッケルアンミン錯体水溶液を1リットル得た。
次に、得られたニッケルアンミン錯体水溶液1リットルを高温高圧反応容器に装入し、実施例1の還元工程と同様に、温度185℃、内部圧力3.5MPaの条件で水素ガスを供給して1時間反応させた。このとき、種晶のニッケル粉を11.3g、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウムを0.5g/Lとなるように添加して反応させた。なお、還元後液のpHは3.8まで低下していた。
反応終了後、反応容器から反応後スラリーを取り出し、生成したニッケル粉を固液分離して回収し、その物量を測定した。その結果、供給したニッケルアンミン錯体水溶液に含まれていたニッケルの97.7%を、金属ニッケル粉として回収できたことを確認した。
[実施例4]
実施例3と同じ方法を用いて、第一工程から第三工程までの処理を行い、ニッケルアンミン錯体水溶液を1リットル得た。
次に、得られたニッケルアンミン錯体水溶液に、濃度25%アンモニア水を15mL加え、その水溶液を高温高圧反応容器に装入した。そして、実施例3の還元工程と同様に、温度185℃、内部圧力3.5MPaの条件で、種結晶のニッケル粉を11.3g、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウムを0.5g/Lとなるように添加して、水素ガスを供給して1時間反応させた。なお、還元後液のpHは7.7であった。
反応終了後、反応容器から反応後スラリーを取り出し、生成したニッケル粉を固液分離した回収し、その物量を測定した。その結果、供給したニッケルアンミン錯体水溶液中に含まれていたニッケルの99.3%を、金属ニッケル粉として回収できたことを確認した。
なお、実施例3の結果との比較から、水素還元の対象のニッケルアンミン錯体水溶液に対して少量のアンモニアを添加してpH低下を抑制することによって、ニッケル還元率が向上することを確認した。
[実施例5]
実施例1の第一工程で生成した水酸化ニッケルと、石膏スラリー475g(Dry換算値)と、硫酸アンモニウム水溶液200gとに純水を加え、全液量を1000mLに調整した。次いで、調整後の水溶液の温度80℃に維持しながら1時間撹拌を継続し、水酸化ニッケルと硫酸アンモニウムの全量が溶解した状態で、ニッケルアンミン錯体水溶液を生成させた。そして、得られたニッケルアンミン錯体水溶液に対して、上記実施例1と同じ方法を用いて、第三工程及び還元工程までの処理を行って、ニッケル粉を回収し、その物量を測定した。その結果、供給したニッケルアンミン錯体水溶液中に含まれていたニッケルの99%を、金属ニッケル粉として回収できたことを確認した。
[実施例6]
実施例2の第一工程で生成した水酸化ニッケル125g(Dry換算値)と硫酸アンモニウム600gとに純水を加え、全液量を1000mLに調整した。次いで、調整後の水溶液を温度80℃で1時間撹拌を継続し、水酸化ニッケルと硫酸アンモニウムの全量が溶解した状態で、ニッケルアンミン錯体水溶液を生成させた。そして、得られたニッケルアンミン錯体水溶液に対して、上記実施例1と同じ方法を用いて、第三工程及び還元工程までの処理を行って、ニッケル粉を回収し、その物量を測定した。その結果、供給したニッケルアンミン錯体水溶液中に含まれていたニッケルの99%を、金属ニッケル粉として回収できたことを確認した。
[実施例7]
(第一工程)
実施例1の第一工程において、反応温度60℃の条件でニッケル濃度55g/Lになるように溶解した硫酸ニッケル水溶液1リットルを用意した。次に、この硫酸ニッケル水溶液に水酸化マグネシウムを130g添加してpHを7.6に調整した中和後スラリーを得た。
この中和後スラリーを固液分離し、232gの水酸化ニッケルを得た。ろ過後の溶液中に残留したニッケル濃度は0.1g/Lまで低減していることを確認した。
[実施例8]
(石膏洗浄工程)
実施例1の第三工程で回収した石膏352g(Dry換算)にスラリー濃度が100g/Lとなるように純水を加え、常温で1時間撹拌し一次洗浄を行って一次洗浄後スラリーを得た。
次いで、一次洗浄後スラリーを固液分離して得られた一次洗浄後石膏352g(Dry換算)に、スラリー濃度が100g/Lとなるように純水を加え、常温で1時間撹拌し、二次洗浄を行って二次洗浄後スラリーを得た。
次いで、二次洗浄後スラリーを固液分離して得られた二次洗浄後石膏352g(Dry換算)にスラリー濃度が500g/Lとなるように濃度3重量%の硫酸溶液を加え、常温で1時間撹拌し酸洗浄を行って酸洗浄後スラリーと洗浄後液とを得た。この酸洗浄後スラリーを固液分離することにより酸洗浄後石膏を得た。
上述した洗浄前石膏、二次洗浄後石膏、酸洗浄後石膏のそれぞれに含まれるニッケルの濃度を測定した。表1にその結果を示す。
Figure 2018070997
表1の結果からわかるように、洗浄工程を設けることにより石膏中のニッケル濃度を有効に低減させることができることが確認された。そして、その洗浄処理により得られた洗浄後液を第一工程へ返送することにより、ニッケルの回収ロスを低減できることを確認した。

Claims (6)

  1. 硫酸ニッケル水溶液と中和剤とを混合して、水酸化ニッケルを含む中和後スラリーを生成する第一工程と、
    前記第一工程で得た水酸化ニッケルに硫酸アンモニウム水溶液を混合して錯形成反応を生じさせ、ニッケルアンミン錯体水溶液を含む錯化後スラリーを得る第二工程と、
    前記第二工程で得たニッケルアンミン錯体水溶液に水素ガスを接触させてニッケル粉末と還元後溶液とを得る還元工程とを含む
    ニッケル粉の製造方法。
  2. 前記第二工程では、前記水酸化ニッケルと混合させる硫酸アンモニウム水溶液に、前記還元工程で得られた還元後溶液を用いる
    請求項1に記載のニッケル粉の製造方法。
  3. 前記第二工程で得た前記錯化後スラリーをニッケルアンミン錯体水溶液と錯化後澱物とに固液分離し、該ニッケルアンミン錯体水溶液を該還元工程に供給する第三工程を含む
    請求項1又は2に記載のニッケル粉の製造方法。
  4. 前記第一工程では、前記中和剤として、消石灰、水酸化ナトリウム、及び水酸化マグネシウムから選ばれる1種以上を用いる
    請求項1乃至3のいずれかに記載のニッケル粉の製造方法。
  5. 前記還元工程では、前記ニッケルアンミン錯体水溶液にアンモニア水を添加し、次いで前記水素ガスを接触させてニッケル粉を得る
    請求項1乃至4のいずれかに記載のニッケル粉の製造方法。
  6. 前記第三工程で得られた前記錯化後澱物に対して水洗及び/又は酸洗浄を行う洗浄工程を含み、
    前記洗浄工程で得られた洗浄後液を前記第一工程に返送する
    請求項3乃至5のいずれかに記載のニッケル粉の製造方法。
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