JP2018070823A - フルオレン骨格を有するポリイミド - Google Patents

フルオレン骨格を有するポリイミド Download PDF

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正晃 松原
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正晃 松原
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Abstract

【課題】フルオレン骨格を有し、かつ、熱膨張性が改良されたポリイミドの提供。
【解決手段】式(1)で表されるアミン類由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリイミド。
Figure 2018070823

(R及びRは夫々独立にC1〜12のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C4〜12のシクロアルキル基、又はC6〜12の芳香族基;m及びnは0は1〜3の整数;p、q及びrは夫々独立に0又は1;2≦p+q+r)
【選択図】なし

Description

本発明は、フルオレン骨格を有するポリイミド、及び該ポリイミドを製造するために用いられるポリアミック酸及びアミン類に関する。
ポリイミドは優れた機械特性、電気特性、耐熱性、耐薬品性を有し、電気・電子材料、特に半導体用電子材料の分野で、フレキシブルプリント配線用基板、層間絶縁膜、保護膜等として広く利用されている。このようにさまざまな用途に使用されるポリイミドの中でも、下記式(5)
Figure 2018070823
で表されるフルオレン骨格を有する9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(以下BAPFと称することもある)から製造されるポリイミドは、耐熱性に優れると同時に、比誘電率が低いといった特徴からデバイスの電気絶縁有機材料として利用されたり、高選択分離性及び高ガス透過性といった特徴を有すると同時に耐熱性や機械的強度にも優れるといった特性を有することから、分離膜材料として利用される等、広範な用途に使用されている(例えば特許文献1、2)。
しかしながら、BAPFから得られるポリイミドは熱膨張性の一つの指標である線熱膨張係数が低いとは言えず、たとえば電子機器のプリント基板である銅箔と比べ線熱膨張係数が高いことから、前述するような優れた特性を有するにも拘わらず、熱膨張の懸念からその用途が限定されるといった問題があった。
特開2005−298625号公報 特開平05−031341号公報
本発明の目的は、フルオレン骨格を有し、かつ、熱膨張性が改良されたポリイミド及び該ポリイミドを製造するためのアミン類を提供することにある。
本発明者らが上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、フルオレン骨格とスピロ構造とを併せ持つアミン類から得られるポリイミドは、耐熱性に優れると共に低熱膨張性を具備することを見出した。具体的には以下の発明を含む。
[1]
以下一般式(1)で表されるアミン類由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリイミド。
Figure 2018070823

(式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数4〜12のシクロアルキル基、又は炭素数6〜12の芳香族基を表し、m及びnは0または1〜3の整数を表す。なお、R及び/又はRが複数存在する場合、それぞれは同一でも異なっていても良い。p、q及びrはそれぞれ独立して0又は1を表す。但しp、q及びrの合計は2以上である。)
[2]
上記一般式(1)で表されるアミン類由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリアミック酸。
[3]
上記一般式(1)で表されるアミン類。
[4]
以下一般式(2)
Figure 2018070823
(式中、R、R、m、n、p、q、rの意味は上記の通りである。)
で表されるニトロ化合物類を還元する上記一般式(1)で表されるアミン類の製造方法。
[5]
以下一般式(3)
Figure 2018070823
(式中、R、R、m、nの意味は上記の通りである。)
で表されるキサンテン類と硝酸とを反応させる、上記一般式(2)で表されるニトロ化合物類の製造方法。
[6]
上記一般式(2)で表されるニトロ化合物類。
[7]
下記一般式(4)で表されるキサンテン類。
Figure 2018070823

(式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数4〜12のシクロアルキル基、又は炭素数6〜12の芳香族基を表し、m1及びn1は2〜3の整数を表す。)
本発明のポリイミドは、高い耐熱性を維持しながら、熱膨張性が低い(線熱膨張係数が低い)といった特徴を有すると共に、フルオレン骨格を有するにも拘わらず溶媒溶解性に優れるといった、従来技術では両立困難であった特性を有すると共に、高屈折率、高透明性といった特徴を有している。従って、本発明のポリイミドは特に光学材料、電子材料として好適に用いることが可能である。
実施例1で製造した、上記一般式(3)で表わされるキサンテン類の内、以下式(3−1)で表されるキサンテンのH−NMRスペクトルである。 実施例2で製造した、上記一般式(2)で表わされるニトロ化合物類の内、以下式(2−1)で表されるニトロ化合物のH−NMRスペクトルである。 実施例2で製造した、上記一般式(2)で表わされるニトロ化合物類の内、以下式(2−2)で表されるニトロ化合物のH−NMRスペクトルである。 実施例2で製造した、上記一般式(2)で表わされるニトロ化合物類の内、以下式(2−3)で表されるニトロ化合物のH−NMRスペクトルである。 実施例3で製造した、上記一般式(1)で表わされるアミン類の内、以下式(1−7)で表されるアミンのマススペクトルである。 実施例3で製造した、上記一般式(1)で表わされるアミン類の内、以下式(1−8)で表されるアミンのマススペクトルである。 実施例3で製造した、上記一般式(1)で表わされるアミン類の内、以下式(1−9)で表されるアミンのマススペクトルである。
<本発明のポリイミド>
以下、本発明をその実施の形態とともに記載する。本発明のポリイミドは下記一般式(1)
Figure 2018070823
(式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数4〜12のシクロアルキル基、又は炭素数6〜12の芳香族基を表し、m及びnは0または1〜3の整数を表す。なお、R及び/又はRが複数存在する場合、それぞれは同一でも異なっていても良い。p、q及びrはそれぞれ独立して0又は1を表す。但しp、q及びrの合計は2以上である。)
で表されるアミン類由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリイミドである。
上記一般式(1)中、置換基R及びRにおける炭素数1〜12のアルキル基として例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の直鎖状又は分岐状アルキル基を挙げることができ、好ましくは炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜3の直鎖状又は分岐状アルキル基である。炭素数4〜12のシクロアルキル基として例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換シクロペンチル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換シクロヘキシル基等の炭素数4〜16(好ましくは炭素数5〜8)で表されるシクロアルキル基又はアルキル置換シクロアルキル基を挙げることができ、好ましくはシクロペンチル基又はシクロヘキシル基である。炭素数6〜12の芳香族基として例えば、フェニル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換フェニル基、ナフチル基を挙げることができ、好ましくはフェニル基又はアルキル置換フェニル基(例えば、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基等)であり、より好ましくはフェニル基である。ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素等が例示され、好ましくは塩素または臭素である。置換基R及びRは本発明の上記一般式(1)で表されるアミン類の原料である、後述するキサンテン類が安価に製造可能であることからそれぞれ独立してアルキル基であることが好ましく、特にその全てがメチル基であることが好ましい。
上記一般式(1)中、R及びRの置換基数を表すm及びnは0または1〜3の整数であり、本発明の上記一般式(1)で表されるアミン類の原料である、後述するキサンテン類が安価に製造可能であること、及びポリイミドの溶媒溶解性が向上することから、好ましくは1又は2、更に好ましくは2である。
上記一般式(1)中、アミノ基(−NH)の数を表すp、q及びrはそれぞれ独立して0又は1を表す。但しp、q及びrの合計は2以上である。
置換基R及び/又はRを有する場合、後述するニトロ化工程における位置選択性の観点から、置換基が一個(m=n=1)である場合、置換基がキサンテン骨格の3、6位にあり、アミノ基が2、7位にあるものが、また置換基が二個(m=n=2)である場合、置換基がフルオレン骨格に対して3、4、5、6位にあり、アミノ基が2、7位にあるものが、高純度のアミン類が収率良く容易に得られる点から好ましい。
以下、上記一般式(1)で表されるアミン類の具体例を列挙するが、本発明はこれに限定されるものではない
<無置換体(m=n=0)の例>
Figure 2018070823
Figure 2018070823
Figure 2018070823
<1置換体(m=n=1)の例>
Figure 2018070823
Figure 2018070823
Figure 2018070823
<2置換体(m=n=2)の例>
Figure 2018070823
Figure 2018070823
Figure 2018070823
本発明のポリイミドを構成する上記一般式(1)で表されるアミン類は1種、あるいは2種以上併用しても良い。具体的に例えば、上記式(1−7)で表されるアミン由来の構成単位、上記式(1−8)で表されるアミン由来の構成単位、及び上記式(1−9)で表されるアミン由来の構成単位をポリイミド中に含んでいても良い。
本発明のポリイミドを構成する酸二無水物として例えば、無水ピロメリット酸、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、ビフェニル-3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、m−タ−フェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、p−タ−フェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−カルボキシメチル−2,3,5−シクロペンタントリカルボン酸−2,6:3,5−二酸無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、ビス(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−5−カルボン酸)1,4−フェニレン等が例示され、これら酸二無水物は1種、あるいは必要に応じ2種類以上併用してもよい。これら酸二無水物の中でも重合反応性がよく、かつ得られるポリイミドの製膜性が良いことからベンゾフェノン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物が好適に使用される。
また、必要に応じ、他の芳香族アミン類、脂肪族アミン類、脂環式アミン類等由来の構成単位を主鎖に含んでいても良い。併用可能なアミン類として例えば、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、4,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,7−ジアミノ−ジメチルジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド、4,4−ジアミノベンゾフェノン,3,3’−ジアミノベンゾフェノン,4,4’−ビス(4−アミノフェノル)スルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)―2,2−ジメチルプロパン、1,2−ビス[2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ]エタン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、1−(4−アミノフェニル)−2,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−1H−インデン−5−アミン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,6−ジヒドロキシ−1,3−フェニレンジアミン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニル、1,6−ジアミノヘキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(4−シクロヘキシルアミン)、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンビス(メチルアミン)、トリシクロ[3.3.1.13.7]デカン−1,3−ジアミン、4−アミノ安息香酸−4−アミノフェニルエステル、2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンゾオキサゾール、9,9−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、2,2’−ビス(3−スルホプロポキシ)―4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル―3,3’−ジスルホン酸等が挙げられ、これらアミン類は1種、必要に応じ2種類以上併用することもできる。
本発明のポリイミドの分子量は、重量平均分子量で1万〜50万であることが好ましく、1万〜30万であることがより好ましく、2万〜20万であることがさらに好ましい。ポリイミドの分子量が1万以上であれば、成型可能であり、また良好な力学特性を維持しやすい。またポリイミドの分子量が20万以下であれば、合成する場合に分子量をコントロールしやすく、また適度な粘度の溶液が得られやすく取扱いが容易である場合が多い。なお、ポリイミドの分子量はポリイミド溶液の粘度を目安にすることができる。
本発明のポリイミドのガラス転移温度は通常300℃以上、特に320℃以上となるため、特に耐熱性フィルムとして好適に用いられる、例えば、半導体やフレキシブル配線基板用の絶縁材料として用いる場合、その絶縁層のガラス転移温度が260℃以上となるため、無鉛半田実装温度である260℃にも十分に耐え得るので、絶縁材料として好適に使用される。
本発明のポリイミドは、本発明のポリイミドをフィルムとした場合の、該フィルムの温度を100℃から200℃まで変化させたときの平均線熱膨張係数(以下、「CTE」という場合がある)が通常50ppm/K以下、特に45ppm/K以下となる。本発明でいう平均線熱膨張係数とは、試料の温度(T)をTからT(T<T)まで変化させることによって試料の長さ(L)がLからLまで変化したとき、長さの変化量(ΔL=L−L)の、室温(T)における試料の長さ(L)に対する比を、温度TとTとの間の熱膨張(εth)という。この熱膨張εthを温度差ΔT=T−Tで除した値を、温度TとTとの間の平均線熱膨張係数という。つまり、平均線熱膨張係数αは以下の式で表される。
α=(ΔL/L)/ΔT
言い換えると、本発明のポリイミドは上記一般式において、Tが100℃、上記Tが200℃である場合の平均線熱膨張係数が50ppm/K以下、特に45ppm/K以下となる。なお、CTEは負の値を示す場合もあるため、CTEが50ppm/K以下、とは、CTEの絶対値が50ppm/K以下であることを意味する。
本発明のポリイミドは、後述する条件にて測定した屈折率が通常1.65以上、更には1.66以上、特には1.67又はそれ以上の屈折率を示す。また、後述する条件にて測定した複屈折率が通常0.02以下、更には0.015以下、特に0.012以下の複屈折率を示す。そのため、特に光学材料、電子材料として好適に用いることが可能である。
本発明のポリイミドは溶媒溶解性にも優れる。従って、熱イミド化法のみならず化学イミド化法によってもイミド化が可能であることから、ポリイミドの要求性能等に応じ、適切なイミド化方法が選択可能である。更には、溶媒キャスト法等、工業的実施が容易な方法によりポリイミドの成形体(フィルム等)を得ることが可能となる。
<本発明のポリアミック酸>
本発明のポリアミック酸は上記一般式(1)で表されるアミン類由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリアミック酸である。上記一般式(1)で表されるアミン類の具体的態様、及び酸二無水物由来の具体的態様は上述した本発明のポリイミドと同一である。また、本発明のポリイミドと同様、必要に応じ、他の芳香族アミン類、脂肪族アミン類、脂環式アミン類等由来の構成単位を主鎖に含んでいても良く、併用可能なアミン類の具体的態様についても上述した本発明のポリイミドと同一である。
本発明のポリアミック酸の分子量は、重量平均分子量で1万〜50万であることが好ましく、1万〜30万であることがより好ましく、2万〜20万であることがさらに好ましい。ポリアミック酸の分子量が1万以上であれば、成型可能であり、また良好な力学特性を維持しやすい。またポリアミック酸の分子量が20万以下であれば、合成する場合に分子量をコントロールしやすく、また適度な粘度の溶液が得られやすく取扱いが容易である場合が多い。なお、ポリアミック酸の分子量は、ポリアミック酸溶液の粘度を目安にすることができる。
<本発明のアミン類>
本発明のアミン類は上記一般式(1)で表されるアミン類である。上記一般式(1)で表されるアミン類の具体的態様は上述した本発明のポリイミドと同一である。
<本発明のアミン類の製造方法>
本発明の上記一般式(1)で表されるアミン類は例えば以下の方法により合成することができる。例えば酸存在下、フルオレノンと以下一般式(6)
Figure 2018070823
(式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数4〜12のシクロアルキル基、又は炭素数6〜12の芳香族基を表し、mは0または1〜3の整数を表す。)
で表されるフェノール類を反応させて、下記一般式(3):
Figure 2018070823
(式中、R、R、m、nの意味は上述の通りである。)
で表されるキサンテン類を得、該キサンテン類と硝酸とを反応させ、以下一般式(2)
Figure 2018070823
(式中、R、R、m、n、p、q、rの意味は上記の通りである。)
で表されるニトロ化合物類を得た後、該ニトロ化合物類を還元することで本発明の上記一般式(1)で表されるアミン類を得ることができる。以下、上記製造方法を詳述する。
<上記一般式(3)で表されるキサンテン類の製造方法>
上記一般式(3)で表されるキサンテン体の製造方法として例えば、酸存在下、フルオレノンと上記一般式(6)で表されるフェノール類とを反応することにより得られる。(以下、キサンテン化工程と称することもある。)
上記一般式(6)中、置換基Rにおける炭素数1〜12のアルキル基として例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の直鎖状又は分岐状アルキル基を挙げることができ、好ましくは炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜3の直鎖状又は分岐状アルキル基である。炭素数4〜12のシクロアルキル基として例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換シクロペンチル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換シクロヘキシル基等の炭素数4〜16(好ましくは炭素数5〜8)で表されるシクロアルキル基又はアルキル置換シクロアルキル基を挙げることができ、好ましくはシクロペンチル基又はシクロヘキシル基である。炭素数6〜12の芳香族基として例えば、フェニル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換フェニル基、ナフチル基を挙げることができ、好ましくはフェニル基又はアルキル置換フェニル基(例えば、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基等)であり、より好ましくはフェニル基である。原料の入手性、反応性から上記一般式(6)において置換基Rは各々独立してアルキル基であることが好ましく、特にその全てがメチル基であることが好ましい。なお、最終的に得られるポリイミドの溶解性向上の観点から、上記一般式(6)で表されるフェノール類の置換基数を表すmは、好ましくは1又は2、特に好ましくは2である。また、後述するニトロ化工程におけるニトロ基の位置選択性向上の観点からは、置換基数が1(m=1)である場合、その置換位は水酸基に対しメタ位であることが好ましく、又、置換基数が2(m=2)である場合、その置換位は水酸基に対しオルト位及びメタ位であることが好ましい。
キサンテン化工程に用いられる酸は、無機酸、有機酸いずれでも良く、無機酸として例えば硫酸、塩酸、酢酸、りん酸などが、有機酸としてパラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などが例示される。これら酸の中でも、硫酸、塩酸、及びパラトルエンスルホン酸が好適に用いられる。これら酸は1種、あるいは必要に応じ2種以上混合して使用しても良い。酸の使用量として例えば、フルオレノン1モルに対し0.01〜10モル、好ましくは0.1〜7モル、更に好ましくは0.4〜5モルである。使用量を10モル以下とすることにより、得られるキサンテン類の純度の向上や着色の低減が容易となる。また、使用量を0.01モルより多くすることにより、十分な反応速度を得ることができる。
キサンテン化工程を実施する際、必要に応じて不活性な有機溶媒を使用することができる。使用可能な有機溶媒として例えば、芳香族炭化水素類、ハロゲン化芳香族炭化水素類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類等が例示される。芳香族炭化水素類としては、トルエン、キシレン、メシチレン等が例示され、脂肪族炭化水素類としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等が例示され、ハロゲン化芳香族炭化水素類としてはクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が例示され、ハロゲン化脂肪族炭化水素類としてはジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等が例示される。これら有機溶媒の中でも、芳香族炭化水素類、ハロゲン化芳香族炭化水素類が好ましく、特にトルエン、キシレンが好ましい。
有機溶媒を使用する際の使用量は、フルオレノン1重量部に対して通常1〜15重量部、好ましくは1.5〜10重量部、更に好ましくは1.5〜4重量部である。有機溶媒の使用量を1重量部以上とすることにより、より効率よくキサンテン類を製造することが可能となり、使用量を15重量部以下とすることにより、より経済的かつ生産性良くキサンテン類を製造することができる。
キサンテン化工程は通常、80℃以上、好ましくは80〜140℃、更に好ましくは100〜120℃で実施する。反応温度を80℃以上とすることにより、フルオレノン類とフェノール類との縮合反応後の環化反応が効率よく進行する結果、十分な反応速度を得ることができる。また、140℃以下とすることにより、2量体以上の多量体の生成抑制が可能となる共に、得られるキサンテン類の着色等を低減することが可能となる。
キサンテン化工程を実施する際、必要に応じてチオ化合物を併用しても良い。併用可能なチオ化合物として例えば、チオ酢酸、β−メルカプトプロピオン酸、α−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオシュウ酸、メルカプトコハク酸、メルカプト安息香酸などのメルカプトカルボン酸、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、イソプルピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン、ベンジルメルカプタンなどのアラルキルメルカプタンやそれらのアルカリ金属塩が挙げられる。チオ化合物は1種、あるいは必要に応じ2種類以上併用する事ができる。これらチオ化合物の中でもアルキルメルカプタンが好ましく、更には、臭気が少なく取り扱いが容易なことから、アルキル基の炭素数が6以上のアルキルメルカプタンが好ましく、特にドデシルメルカプタンが好ましい。チオ化合物の使用量として例えば、フルオレノン1モルに対して0.01〜0.3モル、好ましくは0.01〜0.1モルである。
キサンテン化工程後、得られた反応液をそのまま後述するニトロ化工程に供しても良いし、必要に応じ水洗、吸着等の慣用の精製操作を行った後、晶析によりキサンテン類の結晶を取り出しても良い。得られた結晶は必要に応じ、更に洗浄、乾燥等の操作に供しても良く、更には 必要に応じ吸着、水蒸気蒸留、再結晶などの通常の精製操作を繰り返し実施しても良い。
<上記一般式(2)で表されるニトロ化合物類の製造方法>
上記一般式(2)で表されるニトロ化合物類は、例えば、上記一般式(3)で表されるキサンテン類と、硝酸とを反応させることによって得られる。(以下、本工程をニトロ化工程と称することもある。)
ニトロ化工程にて使用される硝酸は、硝酸の水溶液、あるいは発煙硝酸を用いることができ、通常、硝酸の濃度が10〜95重量%、好ましくは55〜75重量%の水溶液を用いる。硝酸の使用量は上記一般式(3)で表されるキサンテン類1モルに対して通常1.8〜10.0モルであり、好ましくは1.9〜7.0モルである。
ニトロ化工程を実施する際、硫酸または酢酸を併用することもできる。また、硫酸または酢酸を併用する場合の使用量は通常、上記一般式(3)で表されるキサンテン類1モルに対し10〜100モル、好ましくは20〜50モルである。
ニトロ化工程は通常、不活性な有機溶媒中で実施する。使用可能な有機溶媒として例えば、脂肪族炭化水素類、脂肪族ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類、又は芳香族ハロゲン化炭化水素類が挙げられる。脂肪族炭化水素として例えば、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンが挙げられ、芳香族炭化水素として例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンが挙げられ、脂肪族塩素化炭化水素として例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン等が挙げられ、芳香族ハロゲン化炭化水素として例えば、モノクロロベンゼン、オルソジクロロベンゼンが挙げられる。これら有機溶媒の中でも脂肪族ハロゲン化炭化水素類、芳香族ハロゲン化炭化水素が好適に用いられる。ニトロ化工程に用いる有機溶媒の使用量として例えば、上記一般式(3)で表されるキサンテン類1重量部に対し、通常3〜20重量部、好ましくは5〜10重量部使用する。
ニトロ化工程は例えば、上記一般式(3)で表されるキサンテン類を前述した有機溶媒に溶解させるか分散させ、通常−20〜85℃、好ましくは−5〜30℃まで冷却あるいは加温した後、前記温度範囲にて硝酸を徐々に添加し、その後、更に前記温度範囲で反応を継続することにより実施される。反応終点は例えば、反応液を後述する高速液体クロマトグラフィーにて逐次分析し、上記一般式(3)で表されるキサンテン類の残存量及び上記一般式(2)で表されるニトロ化合物類の生成量を確認することにより判断可能である。
ニトロ化工程実施後、得られた反応液をそのまま後述する還元工程に供しても良いし、例えば得られた反応液を中和、水洗後、有機層を濃縮することによって上記一般式(2)で表されるニトロ化合物類を取り出しても良い。あるいは、水、メタノール等、上記一般式(2)で表されるニトロ化合物類の貧溶媒を加えて攪拌することで該ニトロ化合物類の結晶を析出させ、結晶を濾別し、得られた結晶を必要に応じ、更に洗浄、乾燥等の操作に供しても良い。
得られた上記一般式(2)で表されるニトロ化合物類は必要に応じ吸着、水蒸気蒸留、再結晶、カラム精製などの通常の精製操作を繰り返し実施しても良い。
<上記一般式(1)で表されるアミン類の製造方法>
上記一般式(1)で表されるアミン類の製造方法として例えば、上記一般式(2)で表されるニトロ化合物類のニトロ基を還元することによって得られる。(以下、還元工程と称することがある。)還元工程は例えば、上記一般式(2)で表されるニトロ化合物類をメタノール、エタノール等のプロトン性溶媒に溶解させた後、塩化錫等の還元剤を用いて還元する方法や、上記一般式(2)で表されるニトロ化合物類を不活性な有機溶媒に溶解させ、水素雰囲気化、パラジウムや白金等の遷移金属原子を活性炭に担持させた触媒を用い還元する方法(以下、接触還元法と称することもある)が例示される。工業的な実施に際しては、上記一般式(2)で表されるニトロ化合物類を溶解するための溶媒の種類、反応温度の適用範囲広さ、或いは後処理の容易さの点から、接触還元法が好適に用いられる。以下、接触還元法について詳述する。
還元工程にて用いられる触媒としては、パラジウムや白金等の遷移金属原子を活性炭に担持させた触媒が用いられ、この中でもパラジウムを活性炭に担持させた触媒(パラジウム/カーボン)又は白金を活性炭に担持させた触媒(白金/カーボン)が反応速度を向上させやすい点から好適に用いられる。これら触媒の使用量は、触媒中の遷移金属原子の重量として、上記一般式(2)で表されるニトロ化合物類1重量倍に対し、通常0.001〜0.1重量%用いられる。
還元工程を実施する際に用いる溶媒としては、上記一般式(2)で表されるニトロ化合物類、あるいは生成物である上記一般式(1)で表されるアミン類と反応せず、接触還元時に反応を受けないものであれば良い。このような溶媒として例えば、アルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アミド類、その他ピコリン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が例示される。アルコール類として例えばメタノール、エタノールが、エーテル類として例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジグライム、トリグライム等が、エステル類として例えば酢酸エチル、γ-ブチロラクトン等が、ケトン類として例えばアセトンが、ハロゲン化脂肪族炭化水素類として例えばクロロホルム、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等が、芳香族炭化水素類として例えばトルエン、キシレン等が、アミド類として例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等が例示される。これら溶媒は1種、或いは必要に応じ2種類以上混合して使用しても良い。これら溶媒の中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が好適に用いられる。これら溶媒の使用量として例えば、上記一般式(2)で表されるニトロ化合物類1重量部に対し通常2〜10重量部使用する。
還元工程を実施する際の温度は通常20〜160℃であり、反応速度の向上及び不純物生成抑制の観点から20〜100℃とすることが好ましい。
還元工程を実施する際の水素の圧力は通常、101.3kPa〜1013kPaである。101.3kPa以上とすることにより十分な還元速度が得られ、1013kPa以下とすることにより反応速度のコントロールが可能となり、不必要な副反応やゲル化を抑制することが可能となる。
還元工程の実施後、該反応に使用した触媒を濾過により除去し、例えば溶媒の一部または全部を留去した後、必要に応じ貧溶媒を添加し晶析することにより、上記一般式(1)で表されるアミン類を分離することができる。
こうして得られた上記一般式(1)で表されるアミン類は、このまま次工程で使用してもよく、また、必要に応じ吸着、水蒸気蒸留、再結晶、カラム精製などの通常の精製操作を繰り返し実施しても良い。
<上記一般式(1)で表されるアミン類由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリアミック酸の製造方法>
本発明のポリアミック酸の製造方法として例えば、上記一般式(1)で表されるアミン類、及び前述した併用可能なアミン類を後述する重合溶媒に溶解後、通常10〜30℃で前述した酸二無水物を添加し、10〜100℃、好ましくは10〜30℃で撹拌することで、本発明のポリアミック酸を重合溶媒の溶液(以下、ポリアミック酸溶液と称することもある)として得ることができる。
ポリアミック酸を製造する際に用いられる重合溶媒として例えば、アミド類、鎖状エステル類、環状エステル類、カーボネート類、グリコール類、フェノール類、エーテル類、ケトン類、アルコール類、芳香族炭化水素類、スルホン類が例示される。アミド類として例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N −ジメチルアセトアミド、N−メチル−ピロリドン等が例示され、鎖状エステル類として例えば酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル等が例示され、環状エステル類としてはγ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン等が例示され、カーボネート類としてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が例示され、グリコール類としてはトリエチレングリコール、エチルセロソルプ、ブチルセロソルプ、プロピレングリコールメチルアセテート、2−メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルプアセテート、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジエチレングリコール等が例示され、フェノール類としてはフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール等が例示され、エーテル類としてはテトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル等が例示され、ケトン類としてはメチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、アセトフェノン等が例示され、アルコール類としてはブタノール、エタノール等が例示され、芳香族炭化水素類としてはキシレン、トルエン、クロロベンゼン等が例示され、スルホン類としてはジメチルスルホキシド、スルホラン等が例示される。これら重合溶媒の中でも、N ,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−ピロリドン等のアミド類が好適に用いられる。これら溶媒は1種、あるいは必要に応じ2種以上混合して使用しても良い。
重合溶媒の使用量としては反応系中のモノマー成分(酸二無水物+アミン類)の合計濃度が通常5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%となるような量とする。前述のモノマー濃度範囲で重合を行うことにより、均一で高重合度のポリアミック酸溶液を得ることができる。なお、上記モノマー濃度範囲よりも低濃度で重合を行うと、ポリアミック酸の重合度が十分高くならず、最終的に得られるポリイミド膜が脆弱になる場合があり、上記モノマー濃度範囲よりも高濃度で重合を行うとモノマーが十分溶解しない場合や反応溶液が不均一になりゲル化する場合がある。上記の方法で得られた、上記一般式(1)で表されるアミン類由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリアミック酸溶液は通常、そのまま後述する方法で実施されるポリイミド化工程へと使用する。
<上記一般式(1)で表されるアミン類由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリイミドの製造方法>
本発明のポリイミドは、上記の方法で得られた上記一般式(1)で表されるアミン類由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリアミック酸溶液を脱水閉環反応(イミド化反応)することで製造することができる。イミド化反応の方法として例えば、熱イミド化法や化学イミド化法が例示される。まず、熱イミド化法について詳述する。
熱イミド化法として例えば、ポリアミック酸の重合溶液をガラス板上に流延し、真空中、あるいは窒素等の不活性ガス中、又は空気中で加熱を行う。例えば、オーブン中、通常50〜190℃、好ましくは100〜180℃で乾燥することにより、ポリアミック酸のフィルムを得ることができる。
続いて、得られたポリアミック酸フィルムをガラス板上で通常200〜400℃、好ましくは230〜350℃で加熱することで、イミド化反応が起こり、ポリイミドフィルムを得ることができる。加熱温度は、イミド化反応を十分に行うという観点から200℃以上、生成したポリイミドフィルムの熱安定性の観点から400℃以下が好ましい。
イミド化反応は真空中あるいは不活性ガス中で行うことが望ましいが、イミド化反応温度が300℃未満であれば空気中で行っても差し支えない。
続いて化学イミド化法について詳述する。まず、上記の方法で得られた上記一般式(1)で表されるアミン類由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリアミック酸溶液に重合時と同一の溶媒を加えて撹拌し易い適度な溶液粘度とし、撹拌しながら、有機酸の無水物と、塩基性触媒として3級アミンからなる脱水閉環剤(化学イミド化剤)を滴下し、温度0〜100℃、好ましくは10〜50℃で撹拌することで化学的にイミド化を完結させることができる。化学イミド化において使用可能な有機酸無水物としては無水酢酸、無水プロピオン酸等が挙げられる。これら有機酸無水物の中でも、取り扱いや分離のし易さから無水酢酸が好ましい。また、化学イミド化において使用可能な塩基性触媒としては、ピリジン、トリエチルアミン、キノリン等が挙げられる。これら塩基性触媒の中でも、取り扱いや分離のし易さからピリジンが好ましい。化学イミド化剤中の有機酸無水物量は、ポリアミック酸の理論脱水量1モルに対し1〜10倍モルであり、より好ましくは2〜5倍モルである。また塩基性触媒の量は、有機酸無水物量1モルに対して0.1〜2倍モルであり、より好ましくは0.2〜1倍モルである。
上記化学イミド化法で得られた反応溶液中には、塩基や未反応の化学イミド化剤、有機酸、副生成物等(以下、不純物という)が混入しているため、これらを除去してポリイミドを単離・精製してもよい。精製は公知の方法が利用できる。例えば、イミド化した反応溶液を撹拌しながら大量の貧溶媒中に滴下してポリイミドを析出させた後、ポリイミド粉末を回収して不純物が除去されるまで繰返し洗浄し、減圧乾燥して、ポリイミド粉末を得る方法が挙げられる。前記方法に使用可能な貧溶媒としては、ポリイミドを析出させ、不純物を効率よく除去でき、乾燥し易い溶媒であれば良く、例えば、水や、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好適であり、これらを混合して用いてもよい。貧溶媒中に滴下してポリイミドを析出させる際のポリイミド溶液の濃度は、高すぎると析出するポリイミドが粒塊となり、その粗大な粒子中に不純物が残留する場合や、得られたポリイミド粉末を溶媒に再溶解する際に長時間を要する場合がある。一方、ポリイミド溶液の濃度を薄くし過ぎると、多量の貧溶媒が必要となり、廃溶媒処理による環境負荷増大や製造コスト高になる場合がある。したがって、貧溶媒中に滴下する際のポリイミド溶液の濃度は、20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。この時使用する貧溶媒の量はポリイミド溶液と同量(重量基準)以上が好ましく、ポリイミド溶液に対し1.5〜10重量倍が好適である。得られたポリイミド粉末を回収し、残留溶媒を真空乾燥や熱風乾燥などで除去する。乾燥温度は、ポリイミドが変質しない温度であれば制限はなく、温度30〜150℃が好ましい。
前述の方法により得られた上記一般式(1)で表されるアミン類由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリイミド粉末をポリイミドフィルムとする場合、一旦該ポリイミド粉末を溶媒に溶解させポリイミド溶液とする必要がある。ポリイミド溶液とする際に使用可能な溶媒としては、使用用途や加工条件に合わせて適宜溶媒を選ぶことができ、具体的に例えば、アミド類、エステル類、カーボネート類、グリコール類、フェノール類、ケトン類、エーテル類が例示され、アミド類として例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が、エステル類としてはγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル等が、カーボネート類としてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が、グリコール類としてはジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールジメチルエーテル等が、フェノール類としてはフェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール等が、ケトン類としてはシクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等が、エーテル類としてはテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジブチルエーテル等が、その他汎用溶媒として、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコールメチルアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2−メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロロベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ等が使用可能である。これら溶媒は1種、あるいは必要に応じ2種類以上混合して使用してもよい。ポリイミド粉末は、空気中、または不活性ガス中で室温〜溶媒の沸点以下の温度範囲で溶解させることにより、ポリイミド溶液とすることができる。
こうして得られたポリイミド溶液をガラス板上に流延し、真空中、あるいは窒素等の不活性ガス中、または空気中で加熱することによりポリイミドフィルムを得ることができる。例えば、オーブン中、通常200〜400℃、好ましくは250〜350℃で乾燥することにより、ポリイミドフィルムを得ることができる。ポリイミドフィルム作成は真空中あるいは不活性ガス中で行うことが望ましいが、300℃以下であれば空気中で行っても、差し支えない。
化学イミド化反応は、基板上にポリアミック酸フィルムを形成させ、該フィルムをピリジンやトリエチルアミン等の3級アミン存在下、無水酢酸等の脱水環化試薬を含有する溶液に浸漬することによって行うことも可能である。前記操作により、部分的またはほぼ完全にイミド化したポリイミドフィルムを作製することもでき、更に該フィルムを上記のように熱処理に供することにより、より完全にイミド化したポリイミドフィルムとすることもできる。
上述の通り、熱イミド化法はポリアミック酸溶液をガラス等に流延し、真空中、あるいは窒素等の不活性ガス中、又は空気中で加熱を行うだけで実施が可能であるので、実施に際し非常に簡便な方法と言える。一方、化学イミド化法は、ポリイミドが溶剤に溶解する必要があり、また、後述するように複数の工程が必要であるので、熱イミド化法に比べ複雑な方法であると言える。
しかしながら、熱イミド化法は、ポリアミック酸からポリイミドへと変換する工程にてかなりの高温(例えば250℃以上)とする操作が必須であり、その過程においてポリアミック酸の分子量が低下することによりポリイミドの力学的強度が低下したり、高温下で副生する水により得られるフィルム欠陥が生じる場合があり、これらの課題を回避する必要がある場合には化学イミド化法が有効とされる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、各実施例・比較例で示した値は下記分析方法による値である。
[1]HPLC純度
次の測定条件でHPLC測定を行ったときの面積百分率値を各実施例等に記載している各化合物の純度とした。
液体クロマトグラフ測定条件:
装置:島津製作所(株)製LC−2010C
カラム:ODS(5μm、4.6mmφ×150mm)
移動相:水/メタノール、流量:1.0ml/min
カラム温度:40℃、検出波長:UV254nm
[2]ポリアミック酸の重量平均分子量
次の測定条件で、重量平均分子量を測定した。
装置:東ソー(株)製 HLC−8200
カラム:TSK-GEL Super AWM―H (6.0 mmI.D.×15cm)
移動相:N,N−ジメチルホルムアミド、流量:1.0ml/min
カラム温度:40℃
分子量標準物質:ポリスチレン
[3]NMR測定
H−NMRは、内部標準としてテトラメチルシランを用い、溶媒として重クロロホルムあるいは重ジメチルスルホオキシド(DMSO)を用いて、JEOL−ESC400分光計によって記録した。
[4]LC−MS測定
LC−MSは次の測定条件で分離、質量分析し、目的物を同定した。
・装置:(株)Waters製「Xevo G2 Q−Tof」
・カラム:(株)Waters製「ACQUITY CSH C18」
(1.7μm、2.1mmφ×100mm)
・カラム温度:40℃
・検出波長:UV 210−500nm
・移動相:A液=5mM酢酸アンモニウム水、B液=メタノール
・移動相流量:0.3ml/分
・移動相グラジエント:B液濃度:50%(0分)→100%(10分後)→100%(15分後)
・検出法:Q−Tof
・イオン化法:ESI(+)法
・Ion Source:電圧(+)2.0kV、温度150℃
電圧(−)1.0kV、温度150℃
・Sampling Cone :電圧 30V、ガスフロー50L/h
・Desolvation Gas:温度500℃、ガスフロー1000L/h
[5]屈折率の測定
アッベ屈折計((株)アタゴ製「多波長アッベ屈折計 DR−2M」)を用いて、20℃における屈折率(波長:589nm)を測定した。
ポリイミドフィルムについて、これをフィルム状に成形したものから短冊状に切り出した試験片を用い、上記条件にて測定を行った。
[6]複屈折率の測定
アッベ屈折計((株)アタゴ製「多波長アッベ屈折計 DR−2M」)を用いて、ポリイミド膜に平行な方向(nin)と垂直な方向(nout)の屈折率を、波長589nmで測定し、これらの屈折率の差から複屈折率(Δn=nin―out)を求めた。
[7]ガラス転移温度の測定
示差走査熱量計(エスアイアイナノテクノロジー(株)製「EXSTAR DSC 7020」)を用いて、昇温速度10℃/分、または20℃/分で測定した。
[8]線熱膨張係数:CTEの測定
ポリイミドフィルムの線熱膨張係数は、ポリイミドフィルムサイズを幅5mmおよび長さ40mmとし、荷重(静荷重)を膜厚(μm)×0.5g重として、NETZSCH製TMA4000を用いて測定した。上記ポリイミドフィルムの線熱膨張係数は、ポリイミドフィルムの温度を5℃/minで400℃まで昇温させて、昇温時のTMA曲線より計算した。線熱膨張係数は100〜200℃の間の平均値として求めた。
[9]ポリイミド溶解度の測定
ポリイミド粉末あるいはポリイミドフィルム0.01gに対し、有機溶媒0.99g(溶質濃度1重量%)をサンプル管に入れ、溶解状態を目視で確認した。溶媒として、シクロペンタノン(CPN)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、m−クレゾール、γ−ブチロラクトン(GBL)およびトリエチレングリコールジメチルエーテル(Tri−GL)を使用した。評価結果は、室温で溶解した場合を++、加熱により溶解し、且つ室温まで放冷後も均一性を保持していた場合を+、不溶の場合を−と表示した。
1.上記一般式(1)で表されるアミン類の製造例
<実施例1>
上記一般式(3)で表されるキサンテン化合物の内、下記式(3−1)で表されるキサンテンの製造例
Figure 2018070823
攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた四つ口フラスコにフルオレノン30.00g(0.166mol)、2,3−キシレノール121.88g(0.996mol)、トルエン30.0g、1−ドデカンチオール1.68g(0.008mol)を仕込み、98%硫酸6.66g(0.066mol)を滴下後、110℃で9時間反応させた。反応終了後、反応液をトルエンで希釈し、24%水酸化ナトリウム溶液で中和後、4回水洗を行った。洗浄後、トルエンを濃縮し、室温まで冷却し、結晶を析出させた。析出した結晶を濾過、ヘプタンで洗浄後、乾燥することにより、上記式(3−1)で表されるキサンテンの白色結晶50.60g(純度99.0%、有姿収率80.9%)を得た。以下分析結果から、得られた白色結晶が上記一般式(3−1)で表されるキサンテンであることを確認した。分析結果を以下に示す。
H−NMR(DMSO−D6)
δ2.21ppm(6H、s)、2.42(6H、s)、6.00(2H、d)、6.63(2H、d)、7.05(2H、d)、7.22(2H、dd)、7.38(2H、dd)、7.94(2H、d)
マススペクトル値 (M+H) 389.19(精密質量:388.18)
<実施例2>
上記一般式(2)で表されるニトロ化合物類の内、下記式(2−1)、(2−2)及び(2−3)で表されるニトロ化合物の製造例
Figure 2018070823
Figure 2018070823
Figure 2018070823
攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた四つ口フラスコに、上記(3−1)で表されるキサンテン50.00g(0.129mol)、ジクロロメタン250.00gを仕込み、60%硝酸82.40g(0.785mol)を23〜30℃、35分で滴下後、25℃で28時間反応させた。反応終了後、反応液をトルエン100gで希釈することで結晶を析出させ、析出した結晶をろ別し、トルエン30gで2回洗浄した。得られた結晶を更にアセトニトリル733gに入れ、82℃で1時間撹拌した後ろ別し、アセトニトリル37gで2回洗浄し、乾燥することにより、黄色結晶30.2gを得た。
得られた結晶の内、一部をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、上記式(2−1)、(2−2)及び(2−3)で表されるニトロ化合物をそれぞれ分離し、H−NMR及びLC−MSにて分析を行った。以下に、H−NMR及びLC−MSの分析結果を示す。また、前記結晶をHPLCにて分析し、上記式(2−1)で表されるニトロ化合物を69.0%、上記式(2−2)で表されるニトロ化合物を22.7%、上記式(2−3)で表されるニトロ化合物を7.5%、モノニトロ体を0.8%含むことを確認した。
<式(2−1)で表されるニトロ化合物の分析結果>
H−NMR(DMSO−D6)
δ2.38ppm(6H、s)、2.57(6H、s)、6.63(2H、s)、7.20(2H、d)、7.32(2H、dd)、7.50(2H、dd)、8.03(2H、d)
マススペクトル値 (M+H) 479.16(精密質量:478.15)
<式(2−2)で表されるニトロ化合物の分析結果>
H−NMR(DMSO−D6)
δ2.24ppm(3H、s)、2.37(3H、s)、2.46(3H、s)、2.56(3H、s)、6.05(1H、d)、6.66(1H、s)、6.75(1H、d)、7.20(1H、d)、7.42(1H、dd)、7.55(1H、dd)、7.85(1H、s)、8.21(1H、d)、8.31(1H、d)、8.34(1H、d)
マススペクトル値 (M+H) 479.16(精密質量:478.15)
<式(2−3)で表されるニトロ化合物の分析結果>
H−NMR(DMSO−D6)
δ2.37ppm(6H、s)、2.58(6H、s)、6.66(2H、s)、7.25(1H、d)、7.44(1H、dd)、7.58(1H、dd)、8.01(1H、s)、8.22(1H、d)、8.33(1H、d)、8.40(1H、d)
マススペクトル値 (M+H) 524.14(精密質量:523.14)
<実施例3>
上記一般式(1)で表されるアミン類の内、上記式(1−7)、(1−8)及び(1−9)で表されるアミンの製造例
水素導入管を有するオートクレーブに、実施例2で得られたニトロ化合物18.0g(式(2−1)で表されるニトロ化合物69.0%、式(2−2)で表されるニトロ化合物22.7%、式(2−3)で表されるニトロ化合物7.5%、モノニトロ体0.8%)および水を50重量%含むパラジウム/カーボン粉末(パラジウム含量:乾燥重量換算で5重量%)0.90gを入れ、更にN,N−ジメチルホルムアミド180.00gを加えて80℃まで昇温することでニトロ化合物類を溶解させた。次に反応容器を水素で置換した後、オートクレーブの内圧を水素にて506.7kPaに保ちながら80℃で5時間攪拌した。反応後、パラジウム/カーボン粉末を熱濾過することにより除去し、得られた濾液を室温まで冷却後、該濾液を180.0gの水中に滴下することで結晶を析出させ、析出した結晶をろ別・水洗を行った後、該結晶をメタノール360.0gに入れ、62℃にて1時間撹拌した後、冷却後ろ別し、得られた結晶を乾燥することにより白色結晶14.1gを得た。
得られた結晶をLC−MSにて分析を行うことで、該結晶が上記式(1−7)、(1−8)及び(1−9)で表されるアミンを含む結晶であることを確認した。以下にLC−MSの分析結果を示す。また、HPLC分析により前記結晶は、上記式(1−7)で表されるアミンを69.6%、上記式(1−8)で表されるアミンを23.1%、上記式(1−9)で表されるアミンを6.3%、モノアミン体を1.0%含むことを確認した。
<式(1−7)で表されるアミンの分析結果>
マススペクトル値 (M+H) 419.21(精密質量:418.20)
<式(1−8)で表されるアミンの分析結果>
マススペクトル値 (M+H) 419.21(精密質量:418.20)
<式(1−9)で表されるアミンの分析結果>
マススペクトル値 (M+H) 434.22(精密質量:433.22)
2.上記一般式(1)で表されるアミン類由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリイミドの製造例
<実施例4>
(上記一般式(1)で表されるアミン類及び4,4'-ジアミノジフェニルエーテル(以下、4,4’−DPEと称することもある)、並びに3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下BTDAと称することもある)から得られる熱イミド化によるポリイミドの製造)
実施例3で得られた上記一般式(1)で表されるアミン類(上記式(1−7)で表されるアミンを69.6%、上記式(1−8)で表されるアミンを23.1%、上記式(1−9)で表されるアミンを6.3%、モノアミン体を1.0%含む)1.00g(2.39mmol、全てジアミンであると仮定して算出)、4,4’−DPE 0.48g(2.39mmol)を脱水N,N−ジメチルアセトアミド7.5g中に溶解した。次いで、BTDA1.54g(4.77mmol)をゆっくり加えて、室温で16時間反応させ、上記一般式(1)で表されるアミン類由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリアミック酸を合成した。ポリアミック酸の重量平均分子量(Mw)は、57,518であった。
次いで、N,N−ジメチルアセトアミド4.6gを加えることでポリアミック酸溶液を希釈した後、1時間撹拌した。得られたポリアミック酸溶液をガラス板上に塗布した後、150℃で1時間、250℃で1時間加熱して上記一般式(1)で表されるアミン類由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリイミドの薄膜を得た。薄膜の膜厚は約20μmであり、屈折率は1.6736、複屈折率は0.0101であった。
以下表1に、得られたポリイミド薄膜のガラス転移温度(Tg)及びCTEの測定結果を示す。また、以下表2に、得られたポリイミドフィルムの各種溶媒に対する溶媒溶解性を示す。
<比較例1>
(9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(以下、BAPFと称することもある)及び4,4’−DPE、並びにBTDAから得られる熱イミド化によるポリイミドの製造)
BAPF1.00g(2.87mmol)及び4,4’−DPE0.57g(2.87mmol)を脱水N,N−ジメチルアセトアミド8.5g中に溶解した後、BTDA1.85g(5.74mmol)をゆっくり加えて、室温で16時間撹拌させBAPF由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリアミック酸を合成した。ポリアミック酸の重量平均分子量(Mw)は、32,319であった。
次いで、N,N−ジメチルアセトアミド5.2gを加えることでポリアミック酸溶液を希釈した後、1時間撹拌した。得られたポリアミック酸溶液をガラス板上に塗布した後、150℃で1時間、250℃で1時間加熱してBAPF由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリイミドの薄膜を得た。薄膜の膜厚は約20μmであった。
以下表1に、得られたポリイミド薄膜のガラス転移温度(Tg)及びCTEの測定結果を示す。また、以下表2に、得られたポリイミドフィルムの各種溶媒に対する溶媒溶解性を示す。
<実施例5>
(上記一般式(1)で表されるアミン類及び4,4’−DPE、並びに4,4’―オキシジフタル酸無水物(以下ODPAと称することもある)から得られる化学イミド化によるポリイミドの製造)
実施例3で得られた上記一般式(1)で表されるアミン類(上記式(1−7)で表されるアミンを69.6%、上記式(1−8)で表されるアミンを23.1%、上記式(1−9)で表されるアミンを6.3%、モノアミン体を1.0%含む)1.00g(2.39mmol 全てジアミンであると仮定して算出)、4,4’−DPE0.48g(2.39mmol)を脱水N,N−ジメチルアセトアミド7.3g中に溶解した。次いで、ODPA1.48g(4.77mmol)をゆっくり加えて、室温で16時間反応させ、上記一般式(1)で表されるアミン類由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリアミック酸を合成した。ポリアミック酸の重量平均分子量(Mw)は、366,763であった。
次いで、N,N−ジメチルアセトアミド19.3gを加えることでポリアミック酸溶液を希釈した後、2.44g(23.89mmol)の無水酢酸と0.94g(11.88mmol)のピリジンとの混合溶媒を室温下でゆっくり加え、室温下24時間攪拌した。得られた溶液を大量のメタノールに加え、目的生成物を沈殿させた。得られた白色沈殿をメタノールで十分に洗浄し、80℃で真空乾燥し、ポリイミド粉末を得た。得られたポリイミド粉末を、N,N−ジメチルアセトアミドに室温で溶解して13重量%の溶液を調製した。ポリイミド溶液をガラス板上に塗布した後、150℃で1時間、250℃で1時間加熱し上記一般式(1)で表されるアミン類由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリイミドの薄膜を得た。薄膜の膜厚は約18μmであり、屈折率は1.6730、複屈折率は0.0087であった。
以下表1に、得られたポリイミド薄膜のガラス転移温度(Tg)及びCTEの測定結果を示す。また、以下表2に、得られたポリイミドフィルムの各種溶媒に対する溶媒溶解性を示す。
<比較例2>
(BAPF及び4,4’−DPE、並びにODPAから得られる化学イミド化によるポリイミドの製造)
BAPF1.00g(2.87mmol)及び4,4’−DPE0.57g(2.87mmol)を脱水N,N−ジメチルアセトアミド8.3g中に溶解した後、ODPA1.78g(5.74mmol)をゆっくり加えて、室温で16時間撹拌させ、BAPF由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリアミック酸を合成した。ポリアミック酸の重量平均分子量(Mw)は、58,489であった。
次いで、N,N−ジメチルアセトアミド21.9gを加えることでポリアミック酸溶液を希釈した後、2.92g(28.70mmol)の無水酢酸と1.14g(14.34mmol)のピリジンとの混合溶媒を室温下でゆっくり加え、撹拌したところ流動性がなくなり、N,N−ジメチルアセトアミドを加えても解消されずゲル化した。従って、化学イミド化によるポリイミドの製造ができない事が判明した。
<比較例3>
(BAPF及び4,4’−DPE、並びにODPAから得られる熱イミド化によるポリイミドの製造)
BAPF1.00g(2.87mmol)及び4,4’−DPE0.57g(2.87mmol)を脱水N,N−ジメチルアセトアミド8.3g中に溶解した後、ODPA1.78g(5.74mmol)をゆっくり加えて、室温で16時間撹拌させ、BAPF由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリアミック酸を合成した。ポリアミック酸の重量平均分子量(Mw)は、42,445であった。
次いで、N,N−ジメチルアセトアミド5.1gを加えることでポリアミック酸溶液を希釈した後、1時間撹拌した。得られたポリアミック酸溶液をガラス板上に塗布した後、150℃で1時間、250℃で1時間加熱してBAPF由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリイミドの薄膜を得た。薄膜の膜厚は約40μmであった。
以下表1に、得られたポリイミド薄膜のガラス転移温度(Tg)及びCTEの測定結果を示す。また、以下表2に、得られたポリイミドフィルムの各種溶媒に対する溶媒溶解性を示す。
<実施例6>
(上記一般式(1)で表されるアミン類、及び1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸1,2:3,4−二無水物(以後CBDAと称す)から得られる化学イミド化によるポリイミドの製造)
実施例3で得られた上記一般式(1)で表されるアミン類をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製したもの(上記式(1−7)で表されるアミンを86.9%、上記式(1−8)で表されるアミンを11.3%、上記式(1−9)で表されるアミンを0.0%、モノアミン体を1.2%含む)1.00g(2.39mmol 全てジアミンであると仮定して算出)を脱水N,N−ジメチルアセトアミド3.4g中に溶解した。次いで、CBDA0.47g(2.39mmol)をゆっくり加えて、室温で24時間反応させ、上記一般式(1)で表されるアミン類由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリアミック酸を合成した。ポリアミック酸の重量平均分子量(Mw)は、58,056であった。次いで、N,N−ジメチルアセトアミド9.8gを加えることでポリアミック酸溶液を希釈した後、1.22g(11.95mmol)の無水酢酸と0.47g(5.97mmol)のピリジンとの混合溶媒を室温下でゆっくり加え、室温下24時間攪拌した。得られた溶液を大量のメタノールに加え、目的生成物を沈殿させた。得られた白色沈殿をメタノールで十分に洗浄し、80℃で真空乾燥し、ポリイミド粉末を得た。得られたポリイミド粉末を、N,N−ジメチルアセトアミドに室温で溶解して15重量%の溶液を調製した。ポリイミド溶液をガラス板上に塗布した後、150℃で1時間、250℃で1時間加熱し上記一般式(1)で表されるアミン類由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリイミドの薄膜を得た。薄膜の膜厚は約26μmであった。
以下表1に、得られたポリイミド薄膜のガラス転移温度(Tg)及びCTEの測定結果を示す。また、以下表2に、得られたポリイミドフィルムの各種溶媒に対する溶媒溶解性を示す。
Figure 2018070823
Figure 2018070823

Claims (7)

  1. 以下一般式(1)で表されるアミン類由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリイミド。
    Figure 2018070823

    (式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数4〜12のシクロアルキル基、又は炭素数6〜12の芳香族基を表し、m及びnは0または1〜3の整数を表す。なお、R及び/又はRが複数存在する場合、それぞれは同一でも異なっていても良い。p、q及びrはそれぞれ独立して0又は1を表す。但しp、q及びrの合計は2以上である。)
  2. 上記一般式(1)で表されるアミン類由来の構成単位、及び酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリアミック酸。
  3. 上記一般式(1)で表されるアミン類。
  4. 以下一般式(2)
    Figure 2018070823
    (式中、R、R、m、n、p、q、rの意味は上記の通りである。)
    で表されるニトロ化合物類を還元する上記一般式(1)で表されるアミン類の製造方法。
  5. 以下一般式(3)
    Figure 2018070823
    (式中、R、R、m、nの意味は上記の通りである。)
    で表されるキサンテン類と硝酸とを反応させる、上記一般式(2)で表されるニトロ化合物類の製造方法。
  6. 上記一般式(2)で表されるニトロ化合物類。
  7. 下記一般式(4)で表されるキサンテン類。
    Figure 2018070823

    (式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数4〜12のシクロアルキル基、又は炭素数6〜12の芳香族基を表し、m1及びn1は2〜3の整数を表す。)
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