JP2016210735A - フルオレン骨格を有する非対称ジアミン、ポリアミック酸、及びポリイミド - Google Patents

フルオレン骨格を有する非対称ジアミン、ポリアミック酸、及びポリイミド Download PDF

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正晃 松原
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正晃 松原
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Abstract

【課題】耐熱性、溶媒溶解性に優れたポリイミドの提供。【解決手段】式(1)で表されるフルオレン骨格とアクリダン骨格とを併せ持つ非対称ジアミンとテトラカルボン酸とから製造されるポリイミド。(X1〜X4は各々独立にH、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はアリール基;X5〜X12は各々独立にH、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基又はハロゲン原子)【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミド樹脂等の原料として有用なフルオレン骨格を有する新規な非対称ジアミン及び前記非対称ジアミンを用いたポリアミック酸、ポリイミドに関する。
ポリイミドはその優れた耐熱性に加え、機械特性、電気特性、耐薬品性を有し、電気・電子機器、光学部品、宇宙航空用機器、輸送機器などの各種分野で使用されており、今後も耐熱性が要求される分野で広く使用されることが期待される。
従来開発されたポリイミドは優れた特性を示すものが多いが、加工性に乏しいという欠点があった。このため、加工性向上を目的として各種のポリイミド樹脂がこれまでに開発されているが、耐熱性や溶剤可溶性に劣るなど性能に一長一短があった。
一方、耐熱性に優れた可溶性ポリイミドとして例えば、9,9−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]フルオレンと3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等とを反応させて得られるものが知られている(非特許文献1)。しかしながら、前記文献に記載されるポリイミドよりも、より一層の耐熱性や溶剤可溶性等の向上が求められていた。
J.Polymer Sci.,Part A:Polymer Chemistry、VOL.31,2153−2163(1993)
本発明の目的は、耐熱性、溶媒溶解性に優れたポリイミドを提供することにある。
発明者らが鋭意研究を重ねた結果、フルオレン骨格とアクリダン骨格とを併せ持つ非対称ジアミンから製造されるポリイミドは、耐熱性、溶媒溶解性に優れ、かつその屈折率が高いといった特性を有することを見出した。具体的には下記の発明を含む。
〔1〕
下記一般式(1)で示されるフルオレン骨格を有する非対称ジアミン。
Figure 2016210735
(式中、X〜Xはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はアリール基を示し、X〜X12はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を示す。Rはアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、mは0または1〜4の整数を示す。なお、複数のRが存在する場合、これらは同一でも異なっても良い。)
〔2〕
下記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸。
Figure 2016210735
(式中、X〜X12、R、mの意味は上述の通りである。又、Zは酸二無水物残基を示す。)
〔3〕
下記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリイミド。
Figure 2016210735
(式中、X〜X12、R、m、Zの意味は上述の通りである。)
本発明により見出された、フルオレン骨格とアクリダン骨格とを併せ持つ非対称ジアミンから製造されるポリイミドは、耐熱性、溶媒溶解性に優れ、かつその屈折率が高いといった特性を有することから、光学材料、電子材料として好適に用いられる。
上記式(1)で表わされるフルオレン骨格を有する非対称ジアミンの内、下記式(10)に示すフルオレン含有非対称ジアミンのH−NMRスペクトルである。 上記式(1)で表わされるフルオレン骨格を有する非対称ジアミンの内、下記式(10)に示すフルオレン含有非対称ジアミンのマススペクトルである。
<フルオレン骨格とアクリダン骨格とを併せ持つ非対称ジアミン>
以下、本発明をその実施の形態とともに記載する。本発明のポリイミドの原料であって、フルオレン骨格とアクリダン骨格とを併せ持つ非対称ジアミン(以下フルオレン骨格を有する非対称ジアミンと称することもある)は以下式(1)で表される。
Figure 2016210735
(式中、X〜Xはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はアリール基を示し、X〜X12はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を示す。Rはアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、mは0または1〜4の整数を示す。なお、複数のRが存在する場合、これらは同一でも異なっても良い。)
上記式(1)中、X〜Xにおけるアルキル基として例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基を挙げることができる。アルキル基は、好ましくは炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜3の直鎖状又は分岐状アルキル基である。シクロアルキル基として例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換シクロペンチル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換シクロヘキシル基等の炭素数4〜16(好ましくは炭素数5〜8)のシクロアルキル基又はアルキル置換シクロアルキル基を挙げることができる。シクロアルキル基は、好ましくはシクロペンチル基又はシクロヘキシル基である。アルコキシ基として例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基を挙げることができる。アルコキシ基は、好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。アリール基として例えば、フェニル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。アリール基は、好ましくはフェニル基又はアルキル置換フェニル基(例えば、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基等)であり、より好ましくはフェニル基である。原料の入手性やコストの面から上記式(1)においてX〜Xは各々独立して水素原子またはアルキル基であることが好ましく、特にその全てが水素原子であることが好ましい。
上記式(1)中、X〜X12におけるアルキル基として例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基を挙げることができる。アルキル基は、好ましくは炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜3の直鎖状又は分岐状アルキル基である。シクロアルキル基として例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換シクロペンチル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換シクロヘキシル基等の炭素数4〜16(好ましくは炭素数5〜8)のシクロアルキル基又はアルキル置換シクロアルキル基を挙げることができる。シクロアルキル基は、好ましくはシクロペンチル基又はシクロヘキシル基である。アルコキシ基として例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基を挙げることができる。アルコキシ基は、好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。アリール基として例えば、フェニル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。アリール基は、好ましくはフェニル基又はアルキル置換フェニル基(例えば、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基等)であり、より好ましくはフェニル基である。アシル基として例えば、アセチル基などの炭素数1〜4のアシル基を挙げることができる。アルコキシカルボニル基として例えば、メトキシカルボニル基などの炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基を挙げることができる。ハロゲン原子として例えば、フッ素原子、臭素原子、塩素原子を挙げることができる。原料の入手性やコストの面から上記式(1)においてX〜X12は各々独立して水素原子またはアルキル基であることが好ましく、特にその全てが水素原子であることが好ましい。
上記式(1)中、置換基Rにおけるアルキル基として例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の直鎖状又は分岐状アルキル基を挙げることができる。アルキル基として好ましくは、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜3の直鎖状又は分岐状アルキル基である。シクロアルキル基として例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換シクロペンチル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換シクロヘキシル基等の炭素数4〜16(好ましくは炭素数5〜8)のシクロアルキル基又はアルキル置換シクロアルキル基を挙げることができる。シクロアルキル基は、好ましくはシクロペンチル基又はシクロヘキシル基である。アリール基として例えば、フェニル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。アリール基は、好ましくはフェニル基又はアルキル置換フェニル基(例えば、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基等)であり、より好ましくはフェニル基である。ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素等が例示され、好ましくは塩素または臭素である。
上記式(1)中の置換基Rの数mは0または1〜4であり、好ましくは0または1〜2である。原料の入手性やコストの点で、上記式(1)においてm=0(置換基を有さない)又は炭素数1〜6のアルキル基が一つ置換したものが好ましく、特に置換基を有さないものが好ましい。
<フルオレン骨格とアクリダン骨格とを併せ持つ非対称ジアミンの製造方法>
本発明の上記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する非対称ジアミンの製造方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。例えば、下記式(4):
Figure 2016210735

(式中、X〜X12の意味は上述の通りである。)
で表されるフルオレン骨格を有するアミノヒドロキシアクリダン化合物(以下「アミノヒドロキシアクリダン化合物」ともいう)と下記式(6):
Figure 2016210735
(式中、Yはハロゲン原子を示す。R、mの意味は上述の通りである。)
で表されるハロゲン化ニトロベンゼン類を反応させて、下記式(6):
Figure 2016210735
(式中、X〜X12、R、mの意味は上述の通りである。)
で表されるニトロフェニルエーテル体を製造し、次いでニトロ基を還元することで、本発明の上記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する非対称ジアミンを製造することができる。
原料として使用する上記式(4)のアミノヒドロキシアクリダン化合物は、例えば、酸の存在下、下記式(7)
Figure 2016210735
(式中のX〜X12の意味は上述の通りである。)
で表されるフルオレノン類と、以下式(8)
Figure 2016210735
(式中A、Aは同一又は異なって、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はアリール基を示す。)で表される構造を有するアミノフェノール類を反応させることによって得られる。なお、アミノフェノール類の置換基であるAおよびAは、それぞれ上記式(4)で表されるアミノヒドロキシアクリダン化合物の置換基であるX〜Xに対応しており、上記式(8)で表されるアミノフェノール類のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はアリール基の具体的態様は上述したX〜Xと同一である。
上記式(4)のアミノヒドロキシアクリダン化合物を製造する際に用いられる、上記式(8)で表されるアミノフェノール類の使用量は、上記式(7)で表されるフルオレノン類1モルに対して通常2〜20モル使用する。収率向上や経済的観点から、好ましくは4〜15モル、更に好ましくは5〜13モル使用する。
上記式(4)のアミノヒドロキシアクリダン化合物を製造する際に用いられる酸は、無機酸でも有機酸でも良い。無機酸としては塩酸(塩化水素水溶液)のようなハロゲン化水素酸、硫酸、リン酸等が例示され、これら無機酸は水溶液状のものを用いることも出来る。例えば塩酸を用いる場合、塩酸中の塩化水素濃度は、通常10〜37重量%、好ましくは20〜37重量%、さらに好ましくは25〜37重量%である。有機酸としては、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等が例示される。酸(有機酸及び/又は無機酸)は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。これら酸の使用量は上記式(7)で表されるフルオレノン類1モルに対し通常0.5〜10モル、好ましくは1〜3モル使用する。
上記式(4)のアミノヒドロキシアクリダン化合物を製造する際の温度は通常50〜150℃、好ましくは60〜120℃、更に好ましくは70〜90℃である。反応温度を150℃以下とすることにより、上記式(7)で表されるフルオレン類と上記式(8)で表されるアミノフェノール類の複数分子が反応した多量体や、アミノフェノール類が重合したオリゴマー体の生成を抑制することが可能であり、その結果、得られる上記式(4)で表される本発明の原料のフルオレン骨格を有するアミノヒドロキシアクリダン化合物の収率を向上させることが可能となる。また、これら副生物に起因する屈折率低下を回避することが可能となる。また、反応温度を50℃以上とすることにより、十分な反応速度を得ることが可能となる。
上記式(4)のアミノヒドロキシアクリダン化合物を製造する際、必要に応じ、酸と共にチオール類を用いることもできる。使用可能なチオール類として例えば、チオ酢酸、β−メルカプトプロピオン酸、α−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオシュウ酸、メルカプトコハク酸、メルカプト安息香酸などのメルカプトカルボン酸、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、イソプルピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン、ベンジルメルカプタンなどのアラルキルメルカプタンやこれらのアルカリ金属塩が挙げられる。チオール類は単独または二種類以上の組み合わせで使用できる。これらの中でもアルキルメルカプタンが好ましく、更には、臭気が少なく取り扱いが容易なことから、アルキル基の炭素数が6以上のアルキルメルカプタンが好ましく、特にドデシルメルカプタンが好ましい。チオール類を使用する場合の使用量は、上記式(7)で表されるフルオレノン類1モルに対して通常0.01〜0.3モル、好ましくは0.01〜0.1モルである。
上記式(4)のアミノヒドロキシアクリダン化合物を製造する際、必要に応じ有機溶媒を用いても良い。使用可能な有機溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、アセトニトリルなどのニトリル類、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル類が例示され、好ましくは芳香族炭化水素類、アルコール類である。有機溶媒を使用する場合、通常、上記式(7)で表されるフルオレノン1重量倍に対し、1〜20重量倍、好ましくは1〜10重量倍使用する。
上記式(7)で表されるフルオレノン類と上記式(8)で表されるアミノフェノール類との反応を実施する方法として例えば、空気中又は窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、フルオレノン類とアミノフェノール類及び必要に応じ有機溶媒を反応容器に仕込み、昇温後一部または全部を溶解させてから酸及び必要に応じチオール類を添加し攪拌することにより行うことができる。反応の完結は液体クロマトグラフィーなどの分析手段で確認することができる。
反応後、得られた反応液は、そのまま上記式(5)で表されるハロゲン化ニトロベンゼン類と反応させても良く、また得られた反応液に必要に応じ有機溶媒を添加した後、中和、水洗浄、濃縮等の後処理を施した後に、次工程に用いてもよい。また、必要に応じて、そのままもしくは中和、水洗浄、濃縮等の後処理をした上で、上記式(4)で表されるアミノヒドロキシアクリダン化合物の結晶を析出させ、析出した結晶は濾過等により回収し、次工程に用いてもよい。得られた結晶は必要に応じ晶析に用いた溶媒等を用いて洗浄、その後乾燥等してもよい。また必要に応じて、得られた結晶を再晶析等の定法により精製して用いてもよい。
上記式(4)で表されるアミノヒドロキシアクリダン化合物の晶析に用いられる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル溶媒、アセトニトリルなどのニトリル溶媒、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール溶媒が例示され、好ましくは芳香族炭化水素溶媒、エステル溶媒、ニトリル溶媒、エーテル溶媒であり、更に好ましくは芳香族炭化水素溶媒またはエステル溶媒である。これら晶析溶媒は単独または必要に応じ二種類以上混合して使用しても良い。
<上記式(6)で表されるニトロフェニルエーテル体の製造方法>
上記式(6)で表されるニトロフェニルエーテル体の製造方法として例えば、塩基性化合物存在下、上記式(4)で表されるアミノヒドロキシアクリダン化合物と上記式(5)で表されるハロゲン化ニトロベンゼン類とを反応することにより得られる。(以下、本工程をエーテル化反応と称することもある。)
エーテル化反応に用いられる、上記式(5)で表されるハロゲン化ニトロベンゼン類の使用量は通常、上記式(4)で表されるアミノヒドロキシアクリダン化合物1モルに対して、1モル〜5モル使用し、好ましくは1モル〜2モル使用する。ハロゲン化ニトロベンゼンの使用量を1モル以上とすることにより反応速度を向上することが可能であり、5モル以下とすることにより、より選択的に反応を進行させることが可能となる。
エーテル化反応に用いられる塩基性化合物として例えば、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、アルコキシド化合物等が例示される。これら塩基性化合物は、単独で、又は混合物として使用することができる。塩基性化合物の使用量としては、上記式(4)で表されるアミノヒドロキシアクリダン化合物1モルに対して、通常0.5モル〜5モル、好ましくは0.75モル〜2.5モル、さらに好ましくは0.75モル〜1.5モル使用する。使用量を0.5モル以上とすることにより反応速度を向上させることが可能となり、5モル以下とすることにより不純物の生成を抑制することが可能となる。
エーテル化反応を行う際、更に第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、クラウンエーテル等の環状ポリエーテル、クリプテート等の含窒素環状ポリエーテル、含窒素鎖状ポリエーテル、ポリエチレングリコール、そのアルキルエーテル等の化合物や、銅粉、銅塩のような銅化合物を添加しても良い。これらの化合物を使用する場合、その種類によって異なるが、通常上記式(5)で表されるアミノヒドロキシアクリダン化合物類1重量倍に対し0.005〜100重量%、好ましくは、0.005〜5重量%使用する。
エーテル化反応を行う際、必要に応じ有機溶媒を使用することができる。使用可能な有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン溶媒、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホニウムトリアミド等の非プロトン性極性溶媒を挙げることができる。好ましくはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒である。これら有機溶媒は、単独で、又は混合物として使用することができる。これら有機溶媒を使用する際の使用量は、上記式(4)で表されるアミノヒドロキシアクリダン化合物1重量倍に対し、通常、1〜20重量倍、好ましくは1〜7重量倍である。
エーテル化反応を行う際、通常、50℃〜250℃、好ましくは50℃〜200℃、さらに好ましくは50℃〜180℃で反応を行う。反応温度を250℃以下とすることにより副生成物の生成が抑制可能となり、反応温度を50℃以上とすることにより反応速度が向上する。
エーテル化反応終了後、例えば、得られた反応液に水及び水と分離可能な有機溶媒を加え、水洗を行い、上記式(6)で表されるニトロフェニルエーテル体を有機溶媒層に抽出する。この水洗工程により副生した塩類を除去する。上記式(6)で表されるニトロフェニルエーテル体を抽出するための有機溶媒として例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等のエーテル溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が例示される。好ましくは芳香族炭化水素類である。その使用量は、上記式(4)で表されるアミノヒドロキシアクリダン化合物1重量倍に対し、通常1〜50重量倍、好ましくは1〜30重量倍使用する。水洗工程で使用する水の使用量は、上記式(4)で表されるアミノヒドロキシアクリダン化合物類1重量倍に対し通常1〜10重量倍、好ましくは、2〜6重量倍使用する。通常、水洗工程は10〜90℃で実施する。水洗工程後、例えば溶媒の一部または全部を留去した後、必要に応じ貧溶媒を添加し晶析により上記式(6)で表されるニトロフェニルエーテル体を得ることができる。
上述の通り得られた上記式(6)で表されるニトロフェニルエーテル体はこのまま次工程で使用してもよいが、慣用の精製方法(抽出、晶析など)を利用して再精製したものを用いてもよい。
<上記式(6)で表されるニトロフェニルエーテル体の還元方法>
上記式(6)で表されるニトロフェニルエーテル体の末端の1つのニトロ基を還元して、本願発明の上記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する非対称ジアミンを得る製造方法を説明する。(以下、本工程を還元工程と称することもある。)還元工程の実施方法として例えば、上記式(6)で表されるニトロフェニルエーテル体がメタノール、エタノール等のプロトン性溶媒に可溶である場合、塩化錫等の還元剤を用い、定法にて還元することができる。また、上記式(6)で表されるニトロフェニルエーテル体を溶媒に溶解させ、水素雰囲気化、パラジウムや白金等の遷移金属を活性炭に担持させた触媒を用い、接触還元法により還元することも可能である。工業的な実施に際しては、ニトロ体を溶解するための溶媒の種類が多く、反応温度の適用範囲が広く、また反応後の後処理が容易であることから接触還元法が好適に用いられる。以下、接触還元法について詳述する。
接触還元法を実施する際に用いられる触媒としては、パラジウムや白金等の遷移金属を活性炭に担持させた触媒が用いられ、この中でもパラジウムを活性炭に担持させた触媒(パラジウム/カーボン)又は白金を活性炭に担持させた触媒(白金/カーボン)が反応速度を向上させやすい点から好適に用いられる。これら触媒の使用量は、触媒中の遷移金属の重量として、上記式(6)で表されるニトロフェニルエーテル体1重量倍に対し、通常0.001〜0.01重量%用いられる。
接触還元法を実施する際に用いる溶媒としては、上記式(6)で表されるニトロフェニルエーテル体あるいは生成物である上記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する非対称ジアミンと反応せず、接触還元時に反応を受けないものであれば良く、例えばメタノール、エタノール等のアルコール溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジグライム、トリグライム等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒、アセトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、ピコリン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。またこれら溶媒は単独でも、2種類以上混合して用いてもよい。反応試薬の溶解性、反応後の溶媒留去や乾燥除去のしやすさの観点から、本反応においてはN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が好適に用いられる。これら溶媒の使用量として例えば、上記式(6)で表されるニトロフェニルエーテル体1重量倍に対し通常2〜10重量倍使用する。
接触還元法を実施する際の温度は通常20〜160℃であり、反応速度の向上及び不純物生成抑制の観点から20〜100℃とすることが好ましい。
接触還元法を実施する際の水素の圧力は通常、101.3kPa〜1013kPaである。101.3kPa以上とすることにより十分な還元速度が得られ、1013kPa以下とすることにより反応速度のコントロールが可能となり、不必要な副反応やゲル化を抑制することが可能となる。
上述した接触還元法を実施後、該反応に使用した触媒を濾過により除去し、例えば溶媒の一部または全部を留去した後、必要に応じ貧溶媒を添加し晶析することにより、上記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する非対称ジアミンを分離することができる。
こうして得られた上記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する非対称ジアミンはこのまま次工程にて使用してもよいが、慣用の精製方法(抽出、晶析など)を利用して再精製したものを用いてもよい。こうして得られる上記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する非対称ジアミンの純度は通常95重量%以上である。また、上記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する非対称ジアミンからポリイミドを製造する際、その純度が高いと上記式(2)で表されるポリアミック酸又は上記式(3)で表されるポリイミドの重合度を向上させやすいことから、好ましくは98重量%以上とする。
このようにして得られた上記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する非対称ジアミンは、フルオレン骨格を有することに加えアクリダン骨格を有することで、耐熱性・屈折率が向上する。例えば、後述する方法で測定される、上記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する非対称ジアミン自身の屈折率が、上記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する非対称ジアミンの置換基やその種類、不純物の有無、含有率によって変動し得るが、典型的には1.70又はそれ以上の屈折率を示し得る。
また、その融点も、上記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する非対称ジアミンの置換基やその種類、不純物の有無、含有率によって変動し得るが、典型的には250℃以上又はそれ以上の融点を示し得る。
従来既知の同じくフルオレン骨格を有するジアミン化合物、例えば、ビスアニリンフルオレンは、それ自身の屈折率が1.68、融点は約240℃であり、また、9、9−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]フルオレンは、それ自身の屈折率が1.67、融点は約185℃である。従って、本発明の上記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する非対称ジアミンは、従来公知のフルオレン骨格を有するジアミンと比べ、高屈折率、高耐熱性であるといえる。上記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する非対称ジアミンに見られる耐熱性、屈折率の向上は、C―N結合を介して縮合環を形成しているアクリダン骨格によるものと推定される。
<上記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸及びその製造方法>
続いて、上記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸(以下、本発明のポリアミック酸と称することもある)について詳述する。本発明のポリアミック酸は、下記式(2)で表される繰り返し単位を有している。
Figure 2016210735
(式中、X〜X12、R、mの意味は上述の通りである。又、Zは酸二無水物残基を示す。)
なお、上記式(2)における酸二無水物残基(Z)とは、上記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する非対称ジアミン及び必要に応じ他のジアミンと、後述する酸無水物類とを反応させた際の、酸二無水物の酸無水物部分(−CO−O−CO−)以外の構造を表す。
本発明のポリアミック酸の分子量は、重量平均分子量で1万〜50万であることが好ましく、1万〜30万であることがより好ましく、2万〜20万であることがさらに好ましい。ポリアミック酸の分子量が1万以上であれば、成型可能であり、また良好な力学特性を維持しやすい。またポリアミック酸の分子量が50万以下であれば、合成する場合に分子量をコントロールしやすく、また適度な粘度の溶液が得られやすく取扱いが容易である場合が多い。なお、ポリアミック酸の分子量は、ポリアミック酸溶液の粘度を目安にすることができる。
ポリアミック酸の製造方法として例えば、本願発明の上記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する非対称ジアミンを重合溶媒に溶解後、通常10〜30℃で酸二無水物を添加した後、10〜100℃、好ましくは10〜30℃で撹拌することでポリアミック酸を重合溶媒の溶液(以下、ポリアミック酸溶液と称することもある)として得ることができる。
本発明で使用可能な酸二無水物として例えば、無水ピロメリット酸、オキシジフタル酸二無水物、ビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、m−タ−フェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、p−タ−フェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−カルボキシメチル−2,3,5−シクロペンタントリカルボン酸−2,6:3,5−二酸無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、4−フェニルエチニルフタル酸無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、ビス(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−5−カルボン酸)1,4−フェニレン等が例示され、これらは2種類以上併用することもできる。これら酸二無水物の中でも入手性・重合反応性・耐熱性の観点からベンゾフェノン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物が好適に使用される。これら酸二無水物は上記式(1)で表されるフルオレン骨格を有するジアミン化合物、及び他のジアミンを併用する場合は他のジアミンも含めた全ジアミン1モルに対し通常0.9〜1.1モル、重合度を高める観点から好ましくは0.95〜1.05モル使用する。
また、必要に応じ一般的な芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン等を共重合成分として併用することができる。併用可能なジアミンとして例えば、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,7−ジアミノ−ジメチルジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン,3,3’−ジアミノベンゾフェノン,4,4’−ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)―2,2−ジメチルプロパン、1,2−ビス[2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ]エタン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、1−(4−アミノフェニル)−2,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−1H−インデン−5−アミン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,6−ジヒドロキシ−1,3−フェニレンジアミン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニル、1,6−ジアミノヘキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(4−シクロヘキシルアミン)、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンビス(メチルアミン)、トリシクロ[3.3.1.13.7]デカン−1,3−ジアミン、4−アミノ安息香酸−4−アミノフェニルエステル、2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンゾオキサゾール、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、2,2’−ビス(3−スルホプロポキシ)―4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル―3,3’−ジスルホン酸等が挙げられる。またこれらを2種類以上併用することもできる。他のジアミンを併用する場合の全ジアミン中の他のジアミンの使用量は、好ましくは10重量%以上であり、より好ましくは30重量%以上であり、一方、好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは70重量%以下である。他のジアミンを10重量%以上使用することにより、他のジアミンを併用することによる物性向上効果を十分に得ることができる。例えば、ポリイミドの着色を抑制する観点から脂環式ジアミンを併用した場合、得られるポリイミドの透明性向上が期待できる。一方、他のジアミンの使用量を90重量%以下とすることにより、本発明の上記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する非対称ジアミンの有する物性向上効果(耐熱性・溶剤溶解性等)が十分に発揮される。
ポリアミック酸を製造する際に用いられる重合溶媒として例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−ピロリドン等のアミド溶媒、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル等の鎖状エステル系溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン等の環状エステル溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、トリエチレングリコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルアセテート、2−メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジエチレングリコール等のグリコール系溶媒、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール等のフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、アセトフェノン等のケトン系溶媒、ブタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、キシレン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族系溶媒、ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホン系溶媒が使用可能である。好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−ピロリドン等のアミド溶媒が例示される。これら溶媒は1種、あるいは必要に応じ2種以上混合して使用しても良い。
重合溶媒の使用量としては反応系中のモノマー成分(酸二無水物+ジアミン)の合計濃度が通常5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%である。前述のモノマー濃度範囲で重合を行うことにより、均一で高重合度のポリアミック酸溶液を得ることができる。なお、上記モノマー濃度範囲よりも低濃度で重合を行うと、ポリアミック酸の重合度が十分高くならず、最終的に得られるポリイミド膜が脆弱になる場合があり、上記モノマー濃度範囲よりも高濃度で重合を行うとモノマーが十分溶解しない場合や反応溶液が不均一になりゲル化する場合がある。上記の方法で得られた上記式(2)で表されるポリアミック酸溶液は通常、後述する方法でそのままポリイミド化工程へと使用する。
<上記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリイミド及びその製造方法>
続いて、上記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリイミド(以下、本発明のポリイミドと称することもある)について詳述する。本発明のポリイミドとは、下記式(3)で表される構造のポリイミドを指す。
Figure 2016210735
(式中、X〜X12、R、m、Zの意味は上述の通りである。)
上記式(3)で表されるポリイミドは、上記の方法で得られた上記式(2)で表されるポリアミック酸溶液を脱水閉環反応(イミド化反応)することで製造することができる。イミド化反応の方法として例えば、熱イミド化法や化学イミド化法が例示される。まず、熱イミド化法について詳述する。
熱イミド化法として例えば、ポリアミック酸の重合溶液をガラス板上に流延し、真空中、あるいは窒素等の不活性ガス中、又は空気中で加熱を行う。例えば、オーブン中、通常50〜190℃、好ましくは100〜180℃で乾燥することにより、ポリアミック酸のフィルムを得ることができる。
続いて、得られたポリアミック酸フィルムをガラス板上で通常200〜400℃、好ましくは230〜350℃で加熱することで、イミド化反応が起こり、ポリイミドフィルムを得ることができる。加熱温度は、イミド化反応を十分に行うという観点から200℃以上、生成したポリイミドフィルムの熱安定性の観点から400℃以下が好ましい。
イミド化反応は真空中あるいは不活性ガス中で行うことが望ましいが、イミド化反応温度が高すぎなければ空気中で行っても差し支えない。
続いて化学イミド化法について詳述する。まず、上記の方法で得られた上記式(2)で表されるポリアミック酸溶液に重合時と同一の溶媒を加えて撹拌し易い適度な溶液粘度とし、撹拌しながら、有機酸の無水物と、塩基性触媒として3級アミンからなる脱水閉環剤(化学イミド化剤)を滴下し、温度0〜100℃、好ましくは10〜50℃で1〜72時間撹拌することで化学的にイミド化を完結させることができる。その際に使用可能な有機酸無水物としては無水酢酸、無水プロピオン酸等が例示され、これら有機酸無水物の中でも、取り扱いや分離のし易さから無水酢酸が好ましい。また塩基性触媒としては、ピリジン、トリエチルアミン、キノリン等が例示され、これら塩基性触媒の中でも、取り扱いや分離のし易さからピリジンが好ましい。化学イミド化剤中の有機酸無水物量は、ポリアミック酸の理論脱水量の1〜10倍モルの範囲であり、より好ましくは2〜5倍モルである。また塩基性触媒量は、有機酸無水物量に対して0.1〜2倍モルの範囲であり、より好ましくは0.2〜1倍モルの範囲である。
上記化学イミド化法で得られた反応溶液中には、塩基や未反応の化学イミド化剤、有機酸などの副生成物(以下、不純物という)が混入しているため、これらを除去してポリイミドを単離・精製してもよい。精製は公知の方法が利用できる。例えば、最も簡便な方法としては、イミド化した反応溶液を撹拌しながら大量の貧溶媒中に滴下してポリイミドを析出させた後、ポリイミド粉末を回収して不純物が除去されるまで繰返し洗浄し、減圧乾燥して、ポリイミド粉末を得る方法が適用できる。この時、使用できる溶媒としては、ポリイミドを析出させ、不純物を効率よく除去でき、乾燥し易い溶媒であれば良く、例えば、水や、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好適であり、これらを混合して用いてもよい。貧溶媒中に滴下して析出させる時のポリイミド溶液の濃度は、高すぎると析出するポリイミドが粒塊となり、その粗大な粒塊中に不純物が残留する場合や、得られたポリイミド粉末を溶媒に再溶解する際に長時間を要する場合がある。一方、ポリイミド溶液の濃度を薄くし過ぎると、多量の貧溶媒が必要となり、廃溶剤処理による環境負荷増大や製造コスト高になる場合がある。したがって、貧溶媒中に滴下する時のポリイミド溶液の濃度は、20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。また、使用する貧溶媒の量はポリイミド溶液に対し、1倍量以上が好ましく、1.5〜10倍量が好適である。得られたポリイミド粉末を回収し、残留溶媒を真空乾燥や熱風乾燥などで除去する。乾燥温度と時間は、ポリイミドが変質しない温度であれば制限はなく、温度30〜150℃で3〜24時間乾燥させることが好ましい。
このようにして得られた上記式(3)で表されるポリイミド粉末をポリイミドフィルムとする場合、一旦上記式(3)で表されるポリイミド粉末を溶媒に溶解させポリイミド溶液とする必要がある。使用可能な溶媒としては、使用用途や加工条件に合わせて適宜溶媒を選ぶことができ、具体的に例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン等のエステル溶媒等を使用でき、これらを2種類以上混合して用いてもよい。ポリイミド粉末の溶解方法は、空気中、または不活性ガス中で室温〜溶媒の沸点以下の温度範囲で1〜48時間かけて溶解させ、ポリイミド溶液にすることができる。
こうして得られたポリイミド溶液をガラス板上に流延し、真空中、あるいは窒素等の不活性ガス中、または空気中で加熱することによりポリイミドフィルムを得ることができる。例えば、オーブン中、通常200〜400℃、好ましくは250〜350℃で乾燥することにより、ポリイミドフィルムを得ることができる。ポリイミドフィルム作成は減圧下あるいは不活性ガス中で行うことが望ましいが、温度が高すぎなければ空気中で行っても、差し支えない。
化学イミド化反応は、基板上に形成されたポリアミック酸フィルムをピリジンやトリエチルアミン等の3級アミン存在下、無水酢酸等の脱水環化試薬を含有する溶液に浸漬することによって行うことも可能である。これにより、部分的またはほぼ完全にイミド化したポリイミドフィルムを作製することができ、これを更に上記のように熱処理することでポリイミドフィルムが得られる。
上述した方法によって得られた上記式(3)で表されるポリイミドの分子量は、重量平均分子量で1万〜50万であることが好ましく、1万〜30万であることがより好ましく、2万〜20万であることがさらに好ましい。ポリイミドの分子量が1万以上であれば、成型可能であり、また良好な力学特性を維持しやすい。またポリイミドの分子量が50万以下であれば、合成する場合に分子量をコントロールしやすく、また適度な粘度の溶液が得られやすく取扱いが容易である場合が多い。なお、ポリイミドの分子量はポリイミド溶液の粘度を目安にすることができる。
上述した方法によって得られた上記式(3)で表されるポリイミドのガラス転移温度(Tg)は通常320℃以上、特に360℃以上で、耐熱性に優れる。また、その屈折率も高く、通常1.67以上、更には1.68以上、特には1.70又はそれ以上の屈折率を示す。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔1〕HPLC純度
次の測定条件でHPLC測定を行ったときの面積百分率値を各成分の生成率・HPLC純度とした。
液体クロマトグラフィー測定条件:
装置:島津製作所(株)製LC−2010C
カラム:ODS(5μm、4.6mmφ×150mm)
移動相:水/メタノール、流量:1.0ml/min
カラム温度:40℃、検出波長:UV254nm
〔2〕ポリアミック酸の重量平均分子量
次の測定条件で、重量平均分子量を測定した。
装置:東ソー(株)製 HLC−8200
カラム:TSK−GEL Super AWM―H (6.0 mmI.D.×15cm)
移動相:N,N−ジメチルホルムアミド、流量:1.0ml/min
カラム温度:40℃
〔3〕NMR測定
H−NMRは、内部標準としてテトラメチルシランを用い、溶媒として重DMSOを用いて、JEOL−ESC400分光計によって記録した。
[4]LC−MS測定
LC−MSは次の測定条件で分離、質量分析し、目的物を同定した。
・装置:(株)Waters製「Xevo G2 Q−Tof」
・カラム:(株)Waters製「ACQUITY CSH C18」
(1.7μm、2.1mmφ×100mm)
・カラム温度:40℃
・検出波長:UV 210−500nm
・移動相:A液=5mM酢酸アンモニウム水、B液=メタノール
・移動相流量:0.3ml/分
・移動相グラジエント:B液濃度:50%(0分)→100%(10分後)→100%(15分後)
・検出法:Q−Tof
・イオン化法:ESI(+)法
・Ion Source:電圧(+)2.0kV、温度150℃
電圧(−)1.0kV、温度150℃
・Sampling Cone :電圧 30V、ガスフロー50L/h
・Desolvation Cas:温度500℃、ガスフロー1000L/h
[5]屈折率の測定
アッベ屈折計((株)アタゴ製「多波長アッベ屈折計 DR−M2」)を用いて、20℃における屈折率(波長:589nm)及び23℃におけるアッベ数(波長:486、589、656nm)を測定した。
なお、上記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する非対称ジアミン及び比較例1・比較例2で記載したフルオレン骨格を有するジアミン自身の屈折率及びアッベ数は下記の方法により測定した。
各ジアミン化合物をジメチルホルムアミドに溶解して10重量%、20重量%及び30重量%溶液を調製し、各溶液について屈折率及びアッベ数を測定した。次に、得られた3点の測定値から近似曲線を導き、これを100重量%に外挿したときの値を各ジアミン化合物の屈折率及びアッベ数とした。
なお、ポリイミドフィルムについては、これをフィルム状に成形したものから短冊状に切り出した試験片を用い、上記条件にて測定を行った。
[6]融点の測定
示差走査熱量計(エスアイアイナノテクノロジー(株)製「EXSTAR DSC 7020」)を用いて、昇温速度10℃/分で測定した。
[7]ガラス転移温度の測定
示差走査熱量計(エスアイアイナノテクノロジー(株)製「EXSTAR DSC 7020」)を用いて、昇温速度10℃/分、または20℃/分で測定した。
[8]ポリイミドの各溶媒に対する溶解性評価
ポリイミド0.1gに対し、有機溶媒9.9g(固形分濃度1重量%)をサンプル管に入れ、試験管ミキサーを用いて5分間撹拌して溶解状態を目視で確認した。溶媒として、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)を使用した。評価結果は、室温で溶解した場合を++、加熱により溶解し、且つ室温まで放冷後も均一性を保持していた場合を+、膨潤/一部溶解した場合を±、不溶の場合を−と表示した。
1.上記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する非対称ジアミン化合物の製造
<製造例1>
スピロ[フルオレン9,9’−(3―ヒドロキシ−6−アミノ−10−アクリダン)]の合成
攪拌器、冷却器、および温度計を備えたガラス製反応器に、m−アミノフェノール139.3g(1.28モル)、フルオレノン23.0g(0.13モル)を仕込み、内温85℃まで昇温した。次に、35%塩酸22.1gを同温度で30分間かけて滴下した。その後、更に同温度で3時間反応し、反応液をHPLCにて分析した結果、フルオレノン残存量が1.0%以下、スピロ[フルオレン9,9’−(3―ヒドロキシ−6−アミノ−10−アクリダン)](下記式(9))が88.7%生成していることを確認した。
得られた反応混合液に50%メタノール水と29%水酸化ナトリウム水を加え中和した後、濾過し粗結晶を得た。得られた粗結晶を酢酸イソプロピルに溶解し、不溶解分を濾過後、得られた有機層を水で3回洗浄した後、晶析を行い、析出した結晶を濾過、乾燥することにより、スピロ[フルオレン9,9’−(3―ヒドロキシ−6−アミノ−10−アクリダン)](以下式(9))の白色結晶14.4g(HPLC純度98.5%、収率31.0%)を得た。
Figure 2016210735
<実施例1>
上記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する非対称ジアミン化合物の内、下記式(10)で表されるジアミン化合物の合成
Figure 2016210735
攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた四つ口フラスコに、上記製造例1で合成したスピロ[フルオレン9,9’−(3―ヒドロキシ−6−アミノ−10−アクリダン)](上記式(9))10.00g(0.027mol)、4−クロロニトロベンゼン6.49g(0.041mol)、炭酸カリウム3.98g(0.029mol)、N,N−ジメチルアセトアミド50.00gを仕込み、攪拌下に150℃にて3時間反応させた。反応終了後、反応マスをトルエンで希釈し、水を加え、4回水洗を行った。洗浄後、トルエンを濃縮し、ヘキサンで希釈し、室温まで冷却し、晶析を行った。析出した結晶を濾過、乾燥することにより、ニトロフェニルエーテル体の黄色結晶11.30g(HPLC純度96.4%、収率84.7%)を得た。
次いで、攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた四つ口フラスコに、上記ニトロフェニルエーテル体11.30g(0.023mmol)および水を50重量%含むパラジウム/カーボン粉末(パラジウム含量:乾燥重量換算で5重量%)0.57gを入れ、更にエタノール131.98g、ヒドラジン一水和物19.20g(0.384mmol)を加えて、80℃で2時間攪拌した。反応後、反応マスをN,N−ジメチルホルムアミで希釈し、パラジウム/カーボンを熱濾過して濾別・除去した後、濾液を室温まで冷却しこれを大量の水中に滴下し、析出した沈殿を水でよく洗浄した。次いで、濾別した結晶を80℃で3時間真空乾燥し、灰色粉末9.76g(純度98.1%、収率92.1%(対ニトロフェニルエーテル体)を得た。該粉末をH−NMR測定及びLC−MS測定をすることにより、上記式(10)で表されるジアミン化合物が生成していることを確認した。以下に各測定結果を示す。
H−NMR(重DMSO)
δ4.88ppm(2H、s)、4.97(2H、s)、5.77(2H、s)、5.98(2H、m)、6.11(1H、s)、6.36(1H、s)、6.60(2H、m)、6.77(2H、m)、7.14(2H、m)、7.22(2H、m)、7.33(2H、m)、7.86(2H、m)、8.91(1H、s)
マススペクトル値 (M+H) 454.19
上記実施例1で製造したフルオレン骨格とアクリダン骨格とを併せ持つ非対称ジアミン化合物、及び公知のフルオレン骨格をもつジアミンであり、特開昭62−149650に記載される製造法と同様に製造した9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(比較例1)、特開2010−180350に記載される製造法と同様に製造した9,9−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン(比較例2)のHPLC純度、融点、屈折率を以下表1に示す。
Figure 2016210735
2.上記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸及び上記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリイミドの製造
<実施例2>
上記式(10)で表される非対称ジアミンと3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下BTDAと称することもある)から得られるポリイミドの製造
実施例1で得られた上記式(10)で表される非対称ジアミン2.00g(4.41mmol)を脱水N,N−ジメチルアセトアミド8.5g中に溶解した。溶解後、更にBTDA1.42g(4.41mmol)をゆっくり加えて、室温で16時間撹拌しポリアミック酸を得た。ポリアミック酸の重量平均分子量(Mw)は、88,126であった。
次いで、N,N−ジメチルアセトアミド5.2gを加え、ポリアミック酸溶液を希釈し、1時間撹拌した。ポリアミック酸溶液をガラス板上に塗布した後、150℃で1時間、250℃で1時間加熱し、上記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを得た。以下表2に、得られたポリイミドのガラス転移温度を示す。また、表3にポリイミドの各溶媒に対する溶解性評価を示す。
<比較例3>
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンとBTDAから得られるポリイミドの製造
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン2.00g(5.74mmol)を脱水N,N−ジメチルアセトアミド9.5g中に溶解した。溶解後、更にBTDA1.84g(5.74mmol)をゆっくり加えて、室温で16時間撹拌しポリアミック酸を得た。ポリアミック酸の重量平均分子量(Mw)は、79,954であった。
次いで、N,N−ジメチルアセトアミド5.9gを加え、ポリアミック酸溶液を希釈し、1時間撹拌した。ポリアミック酸溶液をガラス板上に塗布した後、150℃で1時間、250℃で1時間加熱し、ポリイミドを得た。以下表2に、得られたポリイミドのガラス転移温度を示す。また、表3にポリイミドの各溶媒に対する溶解性評価を示す。
<比較例4>
9,9−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]フルオレンとBTDAから得られるポリイミドの製造
9,9−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン2.00g(3.75mmol)を脱水N,N−ジメチルアセトアミド7.9g中に溶解した。溶解後、更にBTDA1.21g(3.75mmol)をゆっくり加えて、室温で16時間撹拌しポリアミック酸を得た。ポリアミック酸の重量平均分子量(Mw)は、201,862であった。
次いで、N,N−ジメチルアセトアミド4.9gを加え、ポリアミック酸溶液を希釈し、1時間撹拌した。ポリアミック酸溶液をガラス板上に塗布した後、150℃で1時間、250℃で1時間加熱し、ポリイミドを得た。以下表2に、得られたポリイミドのガラス転移温度を示す。また、表3にポリイミドの各溶媒に対する溶解性評価を示す。
Figure 2016210735
Figure 2016210735
<実施例3>
上記式(10)で表される非対称ジアミン及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下4,4’−DPEと称することもある)とBTDAから得られるポリイミドの製造
実施例1で得られた上記式(10)で表される非対称ジアミン4.00g(8.82mmol)、4,4’−DPE 4.12g(20.58mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド43.5g中に溶解した。溶解後、更にBTDA9.47g(29.40mmol)をゆっくり加えて、室温で16時間撹拌しポリアミック酸を合成した。ポリアミック酸の重量平均分子量(Mw)は、39,682であった。
次いで、N,N−ジメチルアセトアミド26.9gを加え、ポリアミック酸溶液を希釈し、1時間撹拌した。ポリアミック酸溶液をガラス板上に塗布した後、150℃で1時間、250℃で1時間加熱してポリイミドの薄膜を得た。薄膜の膜厚は約26μmであった。下記表4に得られたポリイミドのガラス転移温度、屈折率の測定結果を示す。
<比較例5>
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンと4,4’−DPEとBTDAから得られるポリイミドの製造
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン4.00g(11.48mmol)、4,4’−DPE5.36g(26.79mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド53.6g中に溶解した。ここにBTDA12.33g(38.27mmol)をゆっくり加えて、室温で16時間反応させポリアミック酸を合成した。ポリアミック酸の重量平均分子量(Mw)は、57,176であった。次いで、N,N−ジメチルアセトアミド33.2gを加え、ポリアミック酸溶液を希釈し、1時間撹拌した。ポリアミック酸溶液をガラス板上に塗布した後、150℃で1時間、250℃で1時間加熱してポリイミドの薄膜を得た。薄膜の膜厚は約20μmであった。下記表4に得られたポリイミドのガラス転移温度、屈折率の測定結果を示す。
<比較例6>
9,9−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]フルオレンと4,4’−DPEとBTDAから得られるポリイミドの製造
9,9−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン4.00g(7.51mmol)、4,4’−DPE3.51g(17.52mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド38.5g中に溶解した。ここにBTDA8.07g(25.03mmol)をゆっくり加えて、室温で16時間反応させポリアミック酸を合成した。ポリアミック酸の重量平均分子量(Mw)は、56,418であった。次いで、N,N−ジメチルアセトアミド23.8gを加え、ポリアミック酸溶液を希釈し、1時間撹拌した。ポリアミック酸溶液をガラス板上に塗布した後、150℃で1時間、250℃で1時間加熱してポリイミドの薄膜を得た。薄膜の膜厚は約21μmであった。下記表4に得られたポリイミドのガラス転移温度、屈折率の測定結果を示す。
Figure 2016210735

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で示されるフルオレン骨格を有する非対称ジアミン。
    Figure 2016210735
    (式中、X〜Xはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はアリール基を示し、X〜X12はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を示す。Rはアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、mは0または1〜4の整数を示す。なお、複数のRが存在する場合、これらは同一でも異なっても良い。)
  2. 下記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸。

    Figure 2016210735
    (式中、X〜X12、R、mの意味は上述の通りである。又、Zは酸二無水物残基を示す。)
  3. 下記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリイミド。
    Figure 2016210735
    (式中、X〜X12、R、m、Zの意味は上述の通りである。)
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WO2024024570A1 (ja) * 2022-07-27 2024-02-01 住友化学株式会社 ポリイミド系フィルム

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