JP2018069714A - 発泡壁紙原反 - Google Patents

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Abstract

【課題】不陸隠蔽性と意匠性とに優れた発泡壁紙を作成可能な発泡壁紙原反を提供する。【解決手段】 紙基材1上に、発泡剤含有樹脂層2を有し、発泡座含有樹脂層2は、樹脂2a、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2b及び熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bを分散させる分散剤2cを含むようにした。それゆえ、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bの凝集を抑制できるため、発泡壁紙の表面の荒れや平滑性の悪化等を抑制でき、不陸隠蔽性と意匠性とに優れた発泡壁紙を作成可能な発泡壁紙原反10を提供できる。【選択図】図1

Description

本発明は、発泡壁紙原反に関する。
従来、発泡壁紙原反としては、例えば、紙基材上に、発泡剤を含む発泡剤含有樹脂層を備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の技術では、発泡剤含有樹脂層を発泡させ、壁紙(発泡壁紙)にボリューム感のある発泡層を形成することで、壁面の凹みや隙間、段差等を隠蔽する性質(隠蔽性)を向上するようになっている。
上記特許文献1に記載の技術では、壁面の凹み等の隠蔽性(以下、「不陸隠蔽性」とも呼ぶ)を向上するためには、発泡倍率を高めることが必要となる。しかしながら、発泡倍率を高めるために、発泡倍率の高い発泡剤を用いたり、発泡剤を増量したりすると、発泡層の表面の荒れや、平滑性の悪化等を生じ、発泡壁紙の意匠性が低下する可能性がある。
特開2007−196590号公報
本発明は、上記のような点に着目し、不陸隠蔽性と意匠性とに優れた発泡壁紙を作成可能な発泡壁紙原反を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、紙基材上に、発泡剤含有樹脂層を有し、発泡座含有樹脂層は、樹脂、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤、及び熱膨張性マイクロカプセル発泡剤を分散させる分散剤を含む発泡壁紙原反であることを要旨とする。
本発明によれば、発泡剤含有樹脂層に分散剤を含ませ、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤の凝集を抑制できるようにしたため、発泡壁紙の表面の荒れや平滑性の悪化等を抑制でき、不陸隠蔽性と意匠性とに優れた発泡壁紙を作成可能な発泡壁紙原反を提供できる。
実施形態に係る発泡壁紙原反を示す模式的断面図である。 熱膨張性マイクロカプセル発泡剤の一部を破断して示す斜視図である。
次に、本発明の実施形態に係る発泡壁紙原反ついて、図面を参照しつつ説明する。
なお、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成要素の材質、形状、及び構造等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。また、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。
(構成)
実施形態に係る発泡壁紙原反10は、図1に示すように、紙基材1上に、発泡剤含有樹脂層2、絵柄印刷層3、表面保護層4が、この順に積層されている。さらに、発泡壁紙原反10の表面には、エンボス模様5が賦型されている。
(紙基材)
紙基材1は、壁紙用裏打紙(繊維質シート)である。紙基材1としては、例えば、壁紙用一般紙(パルプ主体のシートを既知のサイズ剤でサイズ処理したもの);難燃紙(パルプ主体のシートをスルファミン酸グアニジン、リン酸グアジニン等の難燃剤で処理したもの);水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機添加剤を含む無機質紙;上質紙;薄用紙;繊維混抄紙(パルプと合成繊維とを混合して抄紙したもの);普通紙等を採用できる。普通紙を採用する場合、坪量を50/m以上100g/m以下、厚さを80μm以上150μm以下とすることで、壁装材として求められる剛性を確保できる。
(発泡剤含有樹脂層)
発泡剤含有樹脂層2は、紙基材1上に熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bを含んだ樹脂2aを塗工した層である。樹脂2aとしては、水性エマルジョンの形態で使用可能な樹脂、例えば、ポリオレフィン系樹脂を使用可能である。特に、エチレンとエチレン以外の成分とをモノマーとするエチレン共重合体の少なくとも1種がより好ましい。
エチレン共重合体は、融点及びMFRの観点から押出し製膜に適している。エチレン共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−αオレフィン共重合体等を採用できる。これらのエチレン共重合体は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらのエチレン共重合体の中でも特にエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体及びエチレン−メタクリル酸共重合体の少なくとも1種が好ましい。また、これらと他の樹脂とを併用する場合には、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体及びエチレン−メタクリル酸共重合体の少なくとも1種の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。なお、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体及びエチレン−メタクリル酸共重合体の中なかでも特にエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が好適に使用することが可能である。
また、エチレン共重合体に含有されるエチレン以外のモノマーの含有量としては、例えば、5質量%以上25質量%以下が好ましく、9質量%以上20質量%以下がより好ましい。このような共重合比率を採用することにより、押出し製膜性がより高まる。エチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニルの共重合比率(VA量)としては9質量%以上25質量%以下が好ましく、9質量%以上20質量%以下がより好ましい。エチレン−メチルメタクリレート共重合体は、メチルメタクリレートの共重合比率(MMA量)としては5質量%以上25質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。また、エチレン−メタクリル酸共重合体は、アクリル酸の共重合比率(MAA量)としては2質量%以上15質量%以下が好ましく、5質量%以上11質量%以下がより好ましい。
ここで、発泡剤含有樹脂層2に含有される樹脂2aは、例えば、JIS K 6922に記載の190℃、荷重21.18Nの条件で測定したMFR(メルトフローレート)が10分当たり10g以上100g以下(10g/10分以上100g/10分以下)であることが好ましい。MFRが上記範囲内の場合、発泡剤含有樹脂層2を押出し製膜により形成する際の温度上昇が少なく、非発泡状態で製膜できるため、後に絵柄印刷層3を形成する場合には、平滑な面に印刷処理をすることができて柄抜けが少ない。MFRが大きすぎる場合は、樹脂が軟化しすぎてしまい、発泡剤含有樹脂層2の耐傷性が不十分となる。
また、発泡剤含有樹脂層2に含有される熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bは、図2に示すように、外殻2d(マイクロカプセル)と、外殻2d内に充填された発泡剤2eとを有している。外殻2dの材料としては、例えば、アクリル系樹脂を採用できる。また、発泡剤2eとしては、例えば、外殻2dの軟化点以下の温度でガス状になる物質を採用できる。例えば、低沸点液体、または加熱により熱分解してガス状になる化合物が挙げられる。また、低沸点液体としては、例えば、プロパン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、石油エーテル、メタン、テトラアルキルシラン、またはこれらのハロゲン化物が挙げられる。また、加熱により熱分解してガス状になる化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)が挙げられる。さらに、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bの粒径は、1μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましい。このように、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bは、粒径が非常に小さいため、単独ではとても凝集しやすい性質となっている。
熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bの添加量としては、発泡剤含有樹脂層2の厚さと発泡倍率(発泡前後での体積の膨張率)にもよるが、例えば、樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下、好ましくは5質量部以上15質量部以下程度がよい。
なお、発泡剤含有樹脂層2の坪量を50g/m以上150g/m以下とし、発泡倍率と4倍以上とすることで、不陸隠蔽性を得るのに十分なボリューム感と優れた表面強度とを有するとともに、エンボス模様5(凹凸形状)もシャープに再現することができる。
また、発泡剤含有樹脂層2は、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bを分散させる分散剤2cを含んでいる。分散剤2cとしては、例えば、アニオン性化合物、カチオン性化合物、非イオン性化合物、高分子化合物を採用できる。また、分散剤2cの比率は、発泡剤含有樹脂層2の全質量に対して、0.1質量%以上2.4質量%以下が好ましく、0.6質量%以上1.2質量%以下がより好ましい。すなわち、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bの粒径を5μm以上50μm以下とし、分散剤2cの比率を、発泡剤含有樹脂層2の全質量に対して、0.6質量%以上1.2質量%以下とした組合せがより適切である。
また、発泡剤含有樹脂層2は、可塑剤、安定剤、減粘剤その他の有機系添加剤、及び充填剤として無機粉体(無機フィラー)を用途に応じて適宜混合する。無機粉体としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪砂、タルク、シリカ類、ケイ酸マグネシウム、ホウ酸亜鉛、二酸化チタン等が挙げられる。無機粉体は、樹脂100質量部に対して50質量部以上150質量部以下の量を添加するものとする。
このように、実施形態に係る発泡剤含有樹脂層2は、樹脂2aと、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bと、分散剤2cとを含有する樹脂組成物(ペースト)で形成される。
発泡剤含有樹脂層2の塗工方法としては、例えば、ナイフコート法、ノズルコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、グラビアコート法、ロータリースクリーンコート法、リバースロールコート法等の塗工方法を採用できる。なお、紙基材1に発泡剤含有樹脂層2を塗工した後、発泡剤含有樹脂層2に含まれる熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bを加熱発泡させることで、発泡樹脂層が形成される。なお、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bを加熱発泡させる際、紙基材1と発泡剤含有樹脂層2とを備えた積層体をエンボスヒーター内を通過させてもよい。
(絵柄印刷層3)
絵柄印刷層3は、発泡壁紙に意匠性を付与する。絵柄印刷層3は、例えば、発泡剤含有樹脂層2の表面に絵柄模様を印刷することで形成できる。絵柄印刷層3の厚さは、絵柄模様の種類より異なるが、0.1μm以上10μm以下程度とすることが好ましい。
また、絵柄模様としては、例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。絵柄模様は、発泡壁紙が貼付される場所や目的等に応じて適宜選択することができる。
絵柄印刷層3の形成方法としては、例えば、印刷インキ及び/又は水性エマルジョン系樹脂を主成分とした発泡性インキ、塩化ビニルペースト樹脂を主成分とした発泡性インキ等を用い、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インキジェット印刷法等を採用できる。なお、上記印刷インキ以外にも、例えば、着色剤、結着材樹脂、溶剤を含む印刷インキが使用できる。これらのインキは公知又は市販のものを使用してもよい。
着色剤としては、例えば、顔料を適宜使用できる。顔料には、無機顔料と有機顔料とがある。無機顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、黄鉛、モリブデートオレンジ、カドミウムイエロー、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、酸化鉄(弁柄)、カドミウムレッド、群青、紺青、コバルトブルー、酸化クロム、コバルトグリーン、アルミニウム粉、ブロンズ粉、雲母チタン、硫化亜鉛等が挙げられる。また、有機顔料としては、例えば、アニリンブラック、ペリレンブラック、アゾ系(アゾレーキ、不溶性アゾ、縮合アゾ)、多環式(イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ペリノン、フラバントロン、アントラピリミジン、アントラキノン、キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール、ジブロムアンザントロン、ジオキサジン、チオインジゴ、フタロシアニン、インダントロン、ハロゲン化フタロシアニン)等が挙げられる。着色剤の含有量は、樹脂100質量部に対して10質量部以上50質量部以下程度が好ましく、15質量部以上30質量部以下程度がより好ましい。
また、発泡剤含有樹脂層2が絵柄印刷層3のベタ層となる場合や、発泡剤含有樹脂層2を絵柄模様状に塗工する場合には、発泡剤含有樹脂層2も着色剤を含有していてもよい。
結着材樹脂は、絵柄印刷層3を形成する下層の樹脂の種類に応じて設定することができる。例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等を採用できる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等を採用できる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は混合物の状態で使用することができる。
なお、発泡剤含有樹脂層2の上に絵柄印刷層3を形成しない場合は、絵柄印刷層3の代替としてアンダーコート層(プライマー層)を形成してもよい。アンダーコート層(プライマー層)は、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等を含み、乾燥後の坪量は1g/m以上3g/m以下の範囲内であることが望ましい。
(表面保護層)
表面保護層4は、絵柄印刷層3の表面に艶調整や絵柄印刷層3の保護のために形成される。表面保護層4の厚さは、限定的ではないが、0.1μm以上15μm以下程度が好ましい。また、表面保護層4の種類は、限定的ではない。艶調整を目的とする表面保護層4であれば、例えば、シリカ等の既知フィラーを含むものとする。表面保護層4の形成方法としては、例えば、グラビア印刷等の公知の方法が採用できる。なお、絵柄印刷層3と表面保護層4との密着性が十分に得られない場合には、絵柄印刷層3の表面を易接着処理(プライマー処理)した後に表面保護層4を設けてもよい。発泡壁紙の表面強度(耐スクラッチ性等)、耐汚染性、絵柄印刷層3の保護等を目的とする表面保護層4であれば、例えば、電離放射線硬化型樹脂を樹脂として含有するものが好適である。電離放射線硬化型樹脂としては、例えば電子線照射によってラジカル重合(硬化)するものが好ましい。
表面保護層4の形成方法としては、例えば、水性エマルジョン系樹脂を主成分とした樹脂を用い、グラビア印刷法、ナイフコート法、ノズルコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法等を採用できる。樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、フッ素系樹脂等を採用でき、特にアクリル系樹脂が好適である。これらの樹脂は、1種単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、表面保護層4の形成に架橋可能な樹脂を使用する場合には、必要に応じて、樹脂に架橋処理を行ってもよい。表面保護層4の乾燥後の坪量は10g/m以上40g/m以下、できれば15g/m以上30g/m以下とすることが好ましい。
また、表面保護層4に含有される樹脂には、艶消剤(艶調整剤)として、フィラーを添加する。艶消剤としては、例えば、シリカ粒子、アルミナ(α−アルミナ等)、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリナイト、アルミノシリケート等の無機物の粒子、あるいはポリカーボネート、ナイロン、ウレタン樹脂等の有機物の粒子を用いることができる。
(エンボス)
エンボス模様5の形成方法としては、例えば、表面保護層4の表面にエンボス加工(エンボス版を用いた凹凸賦型)を施し、凹凸形状を賦型(付与)する方法を採用できる。エンボス加工では、例えば、発泡壁紙を、深度15μm以上の凹部を有するエンボスロールと、硬度が50度以上90度未満のゴム製のバックロールとの間を通過させて、発泡壁紙に凹凸形状を施すようにしてもよい。硬度の計測方法としては、例えば、JIS K−6301 A型を用いることができる。凹凸形状としては、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
なお、表面の凹凸形状(エンボス模様5)の形成方法としては、他にも、発泡抑制インキにより部分的に発泡させる方法や、熱風や赤外線により部分的に加熱発泡させるケミカルエンボス方法があるが、特にエンボスロールによる圧接によるメカニカルエンボスが発泡樹脂層等に対してシャープな凹凸を得ることができるので好ましい。なお、エンボス時の圧力は、表面保護層4のガス保持力を高めるため、9800N/m以上24500N/m以下、できれば14700N/m以上19600N/m以下の範囲内とすることが望ましい。このような圧力範囲内とすることで、表面強度をさらに高めることができる。
また、エンボス工程におけるエンボス版の接触直前の発泡壁紙の表面温度を160℃以上200℃以下、できれば170℃以上180℃以下に維持することが望ましい。
(実施形態の効果)
(1)以上説明したように、実施形態に係る発泡壁紙原反10は、紙基材1上に、発泡剤含有樹脂層2を有し、発泡座含有樹脂層2は、樹脂2a、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2b及び熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bを分散させる分散剤2cを含むようにした。それゆえ、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bの凝集を抑制できるため、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bの密度が低い領域の発泡不足を回避することを目的として発泡倍率の高い熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bを用いる必要がなく、発泡倍率の高い熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bによる発泡壁紙の表面の荒れを抑制することができる。また、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bの密度をより均一化でき、発泡壁紙原反10の各領域における発泡倍率の高低を抑制でき、平滑性の悪化を抑制することができる。これにより、不陸隠蔽性と意匠性とに優れた発泡壁紙を作成可能な発泡壁紙原反10を提供することができる。
(2)また、実施形態に係る発泡壁紙原反10は、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bが、外殻2dと、外殻2d内に充填され、外殻2dの軟化点以下の温度でガス状になる発泡剤2eとを有するものとした。それゆえ、軟化点の高い外殻2dを用いることで、せん断発熱や樹脂の溶解のための熱等、製膜時に与えられる熱に起因して、発泡剤2eが熱分解しても、外殻2dが軟化しないため、発泡剤含有樹脂層2の発泡を抑制できる。
(3)また、実施形態に係る発泡壁紙原反10は、外殻2dを、アクリル系樹脂とし、発泡剤2eを、低沸点液体、または加熱により熱分解してガス状になる化合物とした。それゆえ、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bを取り扱いやすいものすることができる。
(4)また、実施形態に係る発泡壁紙原反10は、低沸点液体として、プロパン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、石油エーテル、メタン、テトラアルキルシラン、またはこれらのハロゲン化物を用い、加熱により熱分解してガス状になる化合物として、アゾビスイソブチロニトリルを用いた。それゆえ、発泡剤2eを比較的安価かつ容易に入手することができ、製造コストを低減することができる。
(5)また、実施形態に係る発泡壁紙原反10は、分散剤2cとして、アニオン性化合物、カチオン性化合物、非イオン性化合物または高分子化合物を用いた。それゆえ、分散剤2cを比較的安価かつ容易に入手することができ、製造コストを低減することができる。
(6)また、実施形態に係る発泡壁紙原反10は、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bの粒径を1μm以上50μm以下とし、分散剤2cの比率を、発泡剤含有樹脂層2の全質量に対して、0.1質量%以上2.4質量%以下とした。それゆえ、発泡剤粒径と分散剤2cの比率とをより適切なものとしたため、不陸隠蔽性と意匠性とをより向上できる。
(7)また、実施形態に係る発泡壁紙原反10は、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bの粒径を、5μm以上50μm以下とし、分散剤2cの比率を、発泡剤含有樹脂層2の全質量に対して、0.6質量%以上1.2質量%以下とした。それゆえ、発泡剤粒径と分散剤2cの比率とを最適なものとしたため、不陸隠蔽性と意匠性とをさらに向上できる。
以下に、本発明の実施例及び比較例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜6、比較例1)
壁紙用裏打紙(紙基材1)として、坪量65g/m、厚さ110μmの普通紙(日本製紙(株):「WK665IHT」)を用いた。次に、EVA樹脂(住化ケムテックス製:「S−7400(HQ)」。樹脂2a)に熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2b及び分散剤2cを加えたペーストを坪量100g/mとなるようにコーティング法により壁紙用裏打紙上に塗布して、発泡剤含有樹脂層2を形成した。マイクロカプセル発泡剤2aの粒径は1μm以上5μm以下とした。分散剤2cの比率は、発泡剤含有樹脂層2の全質量に対して、0.6質量%以上1.2質量%以下とした。その後、発泡剤含有樹脂層2上に水性インキを用いてグラビア印刷にて絵柄印刷を行って絵柄印刷層3を形成した後、リップコーター法により表面保護層4を坪量20g/mとなるように積層体を形成した。その後、その積層体に含まれる熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bを加熱発泡すると同時にエンボスロールにて直前表面温度160℃、エンボス圧力9800N/mで発泡壁紙に凹凸形状(エンボス模様5)を付与した。最後に、エンボス模様5が施された発泡壁紙を冷却、乾燥して壁装材とした。なお、実施例2〜6、比較例1は表1の条件で行った。
(評価)
以上の実施例1〜6、比較例1について、シート面状態、発泡均一性、塗工性、施工性、意匠、不陸隠蔽性の評価を行った。
(シート面状態)
発泡壁紙の表面状態を目視観察によって評価した。そして、発泡壁紙の表面に荒れがない場合を「◎」、許容できる程度の荒れがある場合を「○」、「○」よりも荒れているが許容できる程度である場合を「△」、許容できない程度の荒れがある場合を「×」とした。
(発泡均一性)
発泡状態の均一性を目視観察によって評価した。そして、発泡状態が均一である場合を「◎」、許容できる程度の不均一性がある場合を「○」、「○」よりも不均一であるが許容できる程度である場合を「△」、許容できない程度に不均一である場合を「×」とした。
(塗工性)
絵柄印刷層3のインキの塗工性を評価した。そして、塗工性が良好である場合を「◎」、塗工性が不良であるが許容できる程度である場合を「○」、「○」よりも不良であるが許容できる程度である場合を「△」、許容できない程度に不良である場合を「×」とした。
(施工性)
発泡壁紙を貼付する際の施工性を評価した。そして、施工性が良好である場合を「◎」、施工性が不良であるが許容できる程度である場合を「○」、「○」よりも不良であるが許容できる程度である場合を「△」、許容できない程度に不良である場合を「×」とした。
(意匠性)
発泡壁紙の意匠性を目視観察によって評価した。そして、意匠性が良好である場合を「◎」、不良であるが許容できる程度である場合を「○」、「○」よりも不良であるが許容できる程度である場合を「△」、許容できない程度に不良である場合を「×」とした。
(不陸隠蔽性)
発泡壁紙の不陸隠蔽性を目視観察によって評価した。不陸隠蔽性が良好である場合を「◎」、不良であるが許容できる程度である場合を「○」、「○」よりも不良であるが許容できる程度である場合を「△」、許容できない程度に不良である場合を「×」とした。
これらの評価の結果を表1に示す。
Figure 2018069714
実施例1〜6の発泡壁紙は、シート面状態、発泡均一性、塗工性、施工性、意匠性及び不陸隠蔽性のすべてが「△」以上であった。一方、比較例1の発泡壁紙は、シート面状態、発泡均一性、塗工性、施工性、意匠性、不陸隠蔽性が「×」であった。これは、分散剤2cがないので、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤2bが凝集したためと考えられる。
また、実施例2の発泡壁紙は、シート面状態、発泡均一性、塗工性、施工性、意匠性、不陸隠蔽性のすべてが「◎」であった。これは、実施例2で塗布したペーストのマイクロカプセル発泡剤2aの粒径と分散剤2cの比率とが最適な量であったためと考えられる。
本実施形態に係る発泡壁紙は、戸建て住宅、集合住宅、店舗、事務所ビル等の建築物の壁面装飾等に利用可能である。
以上、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これらの説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。したがって、特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例又は実施形態も網羅すると解すべきである。
1…紙基材、2…発泡剤含有樹脂層、2a…樹脂、2b…熱膨張性マイクロカプセル発泡剤、2c…分散剤、2d…外殻、2e…発泡剤、3…絵柄印刷層、4…表面保護層、5…エンボス模様、10…発泡壁紙原反

Claims (7)

  1. 紙基材上に、発泡剤含有樹脂層を有し、
    前記発泡座含有樹脂層は、樹脂、熱膨張性マイクロカプセル発泡剤、及び前記熱膨張性マイクロカプセル発泡剤を分散させる分散剤を含むことを特徴とする発泡壁紙原反。
  2. 前記熱膨張性マイクロカプセル発泡剤は、
    外殻と、
    前記外殻内に充填され、前記外殻の軟化点以下の温度でガス状になる発泡剤とを有することを特徴とする請求項1に記載の発泡壁紙原反。
  3. 前記外殻は、アクリル系樹脂であり、
    前記発泡剤は、低沸点液体、または加熱により熱分解してガス状になる化合物であることを特徴とする請求項2に記載の発泡壁紙原反。
  4. 前記低沸点液体は、プロパン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、石油エーテル、メタン、テトラアルキルシラン、またはこれらのハロゲン化物であり、
    前記加熱により熱分解してガス状になる化合物は、アゾビスイソブチロニトリルであることを特徴とする請求項3に記載の発泡壁紙原反。
  5. 前記分散剤は、アニオン性化合物、カチオン性化合物、非イオン性化合物、または高分子化合物であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の発泡壁紙原反。
  6. 前記熱膨張性マイクロカプセル発泡剤の粒径は、1μm以上50μm以下であり、
    前記分散剤の比率は、前記発泡剤含有樹脂層の全質量に対して、0.1質量%以上2.4質量%以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の発泡壁紙原反。
  7. 前記熱膨張性マイクロカプセル発泡剤の粒径は、5μm以上50μm以下であり、
    前記分散剤の比率は、前記発泡剤含有樹脂層の全質量に対して、0.6質量%以上1.2質量%以下であることを特徴とする請求項6に記載の発泡壁紙原反。
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