JP2018067461A - 端子装置及びそれを備えた配線器具 - Google Patents

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    • H01R4/28Clamped connections, spring connections
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Abstract

【課題】接続信頼性の低下を抑えること。【解決手段】端子装置1は、端子部2と押付部3と鎖錠部4と支持部7とを備える。押付部3は、端子部2の一表面20と対向するように配置され、挿入口11から挿入方向に沿って挿入される電線100を端子部2との間に挟み込む。鎖錠部4は、端子部2の一表面20と対向するように配置され、電線100に接触して電線100の挿入口11側への移動を規制する。支持部7は、押付部3を支持する。端子部2及び押付部3は、一体に形成されている。支持部7は、端子部2側に向かって押付部3を押圧することにより押付部3を支持する。【選択図】図1

Description

本発明は、一般に端子装置及びそれを備えた配線器具に関し、より詳細には電線が挿入されることにより電線との接続が行われる端子装置及びそれを備えた配線器具に関する。
従来、スイッチ等の配線器具への電線の結線を容易にする目的で、ねじによらずに結線可能な、いわゆる速結構造の端子装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載の端子装置は、導電材料からなる端子部(端子板)と、錠ばねとを備えている。端子部はC字状(コ字状)に形成され、錠ばねは端子部で囲まれた空間に収納されている。錠ばねは、弾性を有する板材を曲成することにより、中央片、鎖錠片及び押圧片が形成されている。鎖錠片及び押圧片は、中央片の両端部に形成されている。この端子装置では、電線が挿入口(電線挿入孔)から挿入されると、錠ばねのばね力により鎖錠片及び押圧片と、端子部の接触片との間に電線が挟持される。この状態で、鎖錠片の先端縁が電線に食い込むことによって電線が抜け止めされ、押圧片が電線を端子部の方へ押圧することにより端子部との間に電線を弾性挟持する。
特開2002−151172号公報
上述したような従来の端子装置では、例えば、電線の抜き差しが繰り返し行われることで、金属疲労等により押付片が、端子部の接触片から離れる方向に塑性変形し、電線を接触片側へ押す力が弱くなる可能性がある。その結果、端子部に対する電線の接触状態が不安定になる、すなわち、端子装置の接続信頼性が低下することがある。
本発明は上記事由に鑑みてなされ、接続信頼性の低下を抑えることができる端子装置及びそれを備えた配線器具を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る端子装置は、端子部と、押付部と、鎖錠部と、支持部と、を備える。前記押付部は、前記端子部の一表面と対向するように配置され、挿入口から挿入方向に沿って挿入される電線を前記端子部との間に挟み込む。前記鎖錠部は、前記端子部の前記一表面と対向するように配置され、前記電線に接触して前記電線の前記挿入口側への移動を規制する。前記支持部は、前記押付部を支持する。前記端子部及び前記押付部は、一体に形成されている。前記支持部は、前記端子部側に向かって前記押付部を押圧することにより前記押付部を支持する。
本発明の一態様に係る配線器具は、前記端子装置と、前記端子装置を収納する器具本体と、を備える。
本発明は、接続信頼性の低下を抑えることができる、という利点がある。
図1Aは、本発明の一実施形態に係る端子装置の基本構成を示す平面図である。図1Bは、同上の端子装置の基本構成を示し、Y軸の正の向きから見た図1AのZ1−Z1線斜視断面図である。 図2は、同上の端子装置のばねブロックを示し、Y軸の正の向きから見た斜視図である。 図3は、同上の端子装置の全体構成を示し、Y軸の正の向きから見た分解斜視図である。 図4Aは、同上の端子装置について電線が接続されていない状態を示す、図1AのZ1−Z1線断面図である。図4Bは、同上の端子装置について電線が接続された状態を示す、図1AのZ1−Z1線断面図である。 図5Aは、同上の端子装置の全体構成を示し、Y軸の正の向きから見た図6AのZ2−Z2線斜視断面図である。図5Bは、同上の端子装置の全体構成を示し、Y軸の負の向きから見た図6AのZ2−Z2線斜視断面図である。 図6Aは、同上の端子装置の全体構成を示す平面図である。図6Bは、同上の端子装置の全体構成を示す、図6AのZ1−Z1線断面図である。 図7は、本発明の一実施形態に係る配線器具を示す斜視図である。 図8Aは、本発明の一実施形態に係る端子装置の第1の変形例を示し、Y軸の正の向きから見た要部斜視断面図である。図8Bは、同上の端子装置の第2の変形例を示し、Y軸の正の向きから見た要部斜視断面図である。
(1)概要
以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は、下記の構成に限定されることはなく、下記の構成以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
本実施形態に係る端子装置1は、図1A〜図6Bに示すように、電線100(図4A及び4B参照)が挿入されることにより電線100との接続が行われる、いわゆる速結端子である。端子装置1は、導電性を有する端子部2を備えている。端子装置1では、端子部2に対して電線100が接触することにより、端子部2と電線100との間の電気的な接続が行われる。図4A及び4Bでは、電線100を想像線(2点鎖線)で示している。端子装置1は、例えばスイッチ又はコンセント(アウトレット)等の配線器具に用いられる。端子装置1を備えた配線器具10(図7参照)については、「(2.8)配線器具」の欄で説明する。
端子装置1は、例えば図1Bに示すように、端子部2の他に、押付部3と、鎖錠部4と、支持部7とを備えている。押付部3は、端子部2の一表面20と対向するように配置され、挿入口11から挿入方向に沿って挿入される電線100を端子部2との間に挟み込む。鎖錠部4は、端子部2の一表面20と対向するように配置され、電線100に接触して電線100の挿入口11側への移動を規制する。例えば図4Bに示すように、電線100は、端子部2と押付部3との間に差し込まれることで、端子部2に対して電線100が電気的に接続される。また、電線100は、端子部2と鎖錠部4との間に差し込まれることで、鎖錠部4によって挿入口11側への移動が規制され、電線100の抜け止めがなされる。ここでは、端子部2及び押付部3は、一体に形成されている。
挿入口11は、端子部2と鎖錠部4との間に導入される電線100が通る空間であればよく、端子装置1は、実体を伴う挿入口11を備えている必要はなく、挿入口11としての機能を備えていればよい。図4A及び4Bでは、実体を伴わない挿入口11を例示している。又は、挿入口11は、後述するケース8(図3参照)に形成された、実体を伴う挿入孔81(図5A及び5B参照)であってもよい。
電線100が、導体からなる心線が絶縁被覆で覆われた絶縁電線である場合、絶縁被覆が剥かれた電線100の先端部、つまり心線のみが、挿入口11から挿入される。電線100は、心線が1本の導体からなる単線と、心線が複数本の導線からなる撚り線とのいずれであってもよい。
そして、本実施形態に係る支持部7は、挿入口11から電線100が挿入された際に、端子部2側に向かって押付部3を押圧するように、すなわち、端子部2側に向かって押圧部3が弾性力を生じるように構成されている。これにより、本実施形態における端子装置1は、挿入口11から電線100が挿入されたとき、支持部7は、この弾性力を通じて押付部3を支持する。端子装置1は、支持部7と鎖錠部4とが一体に形成されている構成に限定されない。端子装置1は、例えば図8Aに示すように、支持部7を備える代わりに、鎖錠部4と別体である支持部200を備えていてもよい。
(2)詳細
(2.1)基本構成
以下、端子装置1の基本構成について、図1A〜図4Bを参照して詳しく説明する。
以下では、端子部2と対向部5とが対向する方向である「対向方向」をX軸方向とし、対向部5から見て端子部2側となる向きをX軸の正(プラス)の向きとして説明する。また、X軸方向と直交し、かつ電線100が挿入される方向である「挿入方向」をY軸方向とし、電線100が挿入される向きをY軸の正の向きとして説明する。さらに、X軸とY軸との両方に直交し、かつ端子装置1に接続される2本の電線100が並ぶ方向である「幅方向」(例えば図4Aの紙面に直交する方向)をZ軸方向とし、図4Aの紙面の手前側をZ軸の正の向きとして説明する。ただし、これらの方向は端子装置1の使用方向を限定する趣旨ではない。また、図面中のX軸、Y軸及びZ軸の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。また、本開示で用いる「直交」は、厳密に90度で交わる状態だけでなく、ある程度の誤差の範囲内で略直交する状態も含む意味である。さらに、対向方向と挿入方向とが直交していることは端子装置1に必須の構成ではなく、対向方向と挿入方向とは交差していればよい。
本実施形態に係る端子装置1は、電線100を2本まで接続可能な2極型の端子装置である。すなわち、端子装置1は、挿入口11が2つあり、これら2つの挿入口11を通して2本の電線100を同時に接続可能である。
端子装置1は、図3に示すように、基本構成として、端子ブロック12と、ばねブロック13との2つの部材を備えている。端子ブロック12及びばねブロック13は、互いに異なる別個の部材で構成されている。つまり、端子ブロック12及びばねブロック13は、互いに切り離され独立した部材である。端子ブロック12は、導電性を有する金属板からなる。ばねブロック13は、弾性を有する金属板からなる。ばねブロック13は、端子ブロック12に囲まれた空間に収容されるように、端子ブロック12と組み合わされる。
(2.2)端子ブロック
端子ブロック12は、図1A、1B及び図3に示すように、端子部2、押付部3、対向部5、側壁部6、及び連結部30を備えている。本実施形態では、端子部2と押付部3と対向部5と側壁部6と連結部30とは、一体に形成されている。図1Bは、図1AのZ1−Z1線斜視断面図である。対向部5は、端子部2の一表面20と対向するように配置される。対向部5は、端子部2との間に押付部3及び鎖錠部4が収まる収容空間50を形成する。側壁部6は、端子部2と対向部5とを連結する。
また、連結部30は、端子部2と押付部3とを連結する。言い換えると、押付部3は、連結部30を間に介して端子部2と一体に形成されている。連結部30は、端子部2のY軸方向における挿入口11とは反対側の端部と、押付部3とを連結している。つまり、端子部2及び押付部3は、Y軸方向における挿入口11とは反対側の端部(図1Bでは上端部)同士が、連結部30にて互いに連結されている。
端子ブロック12は、例えば銅(Cu)からなる。本実施形態では、端子ブロック12は、例えば1枚の金属板として1枚の銅板からなる。本実施形態では、端子装置1は、上述の通り例えば2極型の端子装置であり、端子部2、押付部3、側壁部6及び連結部30が複数(ここでは2つ)ずつ設けられている。すなわち、端子ブロック12は、対向部5と、第1の端子部2A及び第2の端子部2Bと、第1の押付部3A及び第2の押付部3Bと、第1の側壁部6A及び第2の側壁部6Bと、第1の連結部30A及び第2の連結部30Bと、から構成されている。端子ブロック12は、1枚の金属板に打ち抜き加工及び曲げ加工を施すことにより一体に形成されている。
端子装置1では、2本の電線100は、第1の端子部2A及び第2の端子部2Bに対してそれぞれ電気的に接続される。ここで、第1の端子部2A及び第2の端子部2Bは、対向部5と第1の側壁部6A及び第2の側壁部6Bとを介して、互いに電気的に接続されている。そのため、端子装置1に接続される2本の電線100は、第1の端子部2A及び第2の端子部2Bを介して互いに電気的に接続されることになる。したがって、端子装置1は、例えば送り端子として用いられる。
図1Bでは、第1の端子部2A及び第2の端子部2Bのうち、第1の端子部2Aのみが図示されている。端子装置1では、第1の端子部2A及び第2の端子部2Bは、それらが並ぶZ軸方向において、面対称となる構成を採用している。そのため、以下の説明では、特に断りがない限り、図1Bに図示されている第1の端子部2Aのみについて説明し、第2の端子部2Bについては、適宜に説明を省略する。また、第1の端子部2A及び第2の端子部2Bを互いに区別しない場合には、単に「端子部2」と呼ぶこともある。
また図1Bでは、第1の押付部3A及び第2の押付部3B、並びに、第1の連結部30A及び第2の連結部30Bのうち、第1の押付部3A及び第1の連結部30Aのみが図示されている。端子装置1では、第1の押付部3A及び第2の押付部3Bは、それらが並ぶZ軸方向において、面対称となる構成を採用している。同様に、端子装置1では、第1の連結部30A及び第2の連結部30Bは、それらが並ぶZ軸方向において、面対称となる構成を採用している。そのため、以下の説明では、特に断りがない限り、図1Bに図示されている第1の押付部3Aと第1の連結部30Aとについて説明し、第2の押付部3Bと第2の連結部30Bとについては、適宜に説明を省略する。また、第1の押付部3A及び第2の押付部3Bを互いに区別しない場合には、単に「押付部3」と呼ぶこともある。同様に、第1の連結部30A及び第2の連結部30Bを互いに区別しない場合には、単に「連結部30」と呼ぶこともある。
更に図1Bでは、第1の側壁部6A及び第2の側壁部6Bのうち、第1の側壁部6Aのみが図示されている。端子装置1では、第1の側壁部6A及び第2の側壁部6Bは、それらが並ぶZ軸方向において、面対称となる構成を採用している。そのため、以下の説明では、特に断りがない限り、図1Bに図示されている第1の側壁部6Aのみについて説明し、第2の側壁部6Bについては、適宜に説明を省略する。また、第1の側壁部6A及び第2の側壁部6Bを互いに区別しない場合には、単に「側壁部6」と呼ぶこともある。
各端子部2は、矩形板状である。例えば図1Bに示すように、第1の端子部2Aは、厚み方向(X軸方向)の一表面20を第1の押付部3Aと対向させるように構成されている。つまり、挿入口11から挿入される電線100(図4B参照)は、第1の端子部2Aの一表面20と第1の押付部3Aとの間に導入され、第1の端子部2Aの一表面20に接触するようにして、第1の端子部2Aと電気的に接続される。
Z軸方向に並ぶ第1の端子部2Aと第2の端子部2Bとの間には、図1Aに示すように、隙間23が、Y軸方向に沿って延びるように形成されている。隙間23は、各端子部2のY軸方向の両端間にわたって形成されている。言い換えれば、第1の端子部2Aは、Z軸方向において、隙間23によって第2の端子部2Bから分離されている。この隙間23を通して、後述する解除部材9の一部が、第1の端子部2A及び第2の端子部2Bと対向部5との間の収容空間50に挿入される。
対向部5は、第1の端子部2A及び第2の端子部2Bの一表面20と対向する位置に配置されている。対向部5は、矩形板状であって、その厚み方向(X軸方向)の一表面からなる内側面51を、第1の端子部2A及び第2の端子部2Bの一表面20に対向させるように構成されている。ここでは、対向部5の内側面51と、第1の端子部2A及び第2の端子部2Bの一表面20とは、互いに平行する。これにより、対向部5の内側面51と第1の端子部2A及び第2の端子部2Bの一表面20との間には、鎖錠部4及び押付部3を収容するための収容空間50が形成される。詳しくは「(2.3)ばねブロック」の欄で説明するが、対向部5は、内側面51にて、ばねブロック13の位置決めを行う。
各側壁部6は、矩形板状である。図3に示すように、対向部5のZ軸方向の両端部から、第1の側壁部6A及び第2の側壁部6BがX軸の正の向きに突出し、第1の側壁部6Aの先端部が第1の端子部2Aに、第2の側壁部6Bの先端部が第2の端子部2Bに、それぞれ繋がっている。つまり、第1の側壁部6Aは、第1の端子部2Aと対向部5とを連結し、第2の側壁部6Bは、第2の端子部2Bと対向部5とを連結する。第1の側壁部6A及び第2の側壁部6Bは、それらの厚み方向(Z軸方向)の一表面からなる内側面60同士を互いに対向させるように構成されている。ここでは、第1の側壁部6Aの内側面60と、第2の側壁部6Bの内側面60とは、互いに平行する。これにより、2つの側壁部6の一対の内側面60の間には、収容空間50が形成される。
ここで、本実施形態の各側壁部6は、図1B、図4A及び4Bに示すように、後述する鎖錠部4の突起44が嵌まる凹部63を有している。具体的には、第1の側壁部6Aは、第1凹部63Aを有し、第2の側壁部6Bは、第2凹部63Bを有している。以下では、第1凹部63A及び第2凹部63Bを互いに区別しない場合には、単に「凹部63」と呼ぶこともある。
本実施形態では、各凹部63は、図3に示すように、側壁部6をその厚み方向に貫通する貫通孔として設けられているが、貫通することなく底面を有して設けられていてもよい。各凹部63は、X軸方向において対向部5の近傍に設けられている。各凹部63は、Y軸方向における側壁部6の一端部側(図3の下端部側)に設けられている。2つの凹部63は、互いに対向するように配置されている。各凹部63は、図3に示すように、側壁部6を貫通するだけでなく、部分的に対向部5にまで及んで貫通して形成されていてもよい。鎖錠部4の突起44については、「(2.3.1)ばねブロックの鎖錠部」の欄で詳しく説明する。
(2.2.1)端子ブロックの筒状体
以下では、端子ブロック12のうち、2つの押付部3と2つの連結部30とを除く部分を、「筒状体120」という。つまり、筒状体120は、図3に示すように、2つの端子部2と対向部5と2つの側壁部6とで構成される。
筒状体120は、曲げ加工により、1枚の金属板から、Y軸方向に延びた角筒状に形成されている。本実施形態では、図1Aに示すように、各側壁部6と対応する端子部2との間の連結部分(第1角部61)、及び各側壁部6と対向部5との間の連結部分(第2角部62)は、いずれも所定の曲率半径で湾曲している。
言い換えれば、帯状の金属板を、Y軸方向の両面が開放された筒状に加工することによって、第1の端子部2A及び第2の端子部2B、対向部5、並びに、第1の側壁部6A及び第2の側壁部6Bが形成される。そして、筒状体120の内側の空間が、収容空間50を構成する。
さらに、筒状体120の周方向の一部には、筒状体120のY軸方向の全長にわたって隙間23が形成されている。つまり、筒状体120は、完全な角筒ではなく、周方向の一部に形成された隙間23によって、周方向に分断されている。
筒状体120のうち、Y軸方向における挿入口11側の端面に形成された開口部121(図1B及び図3参照)は、開口形状が矩形状である。開口部121は、挿入口11から挿入される電線100を、筒状体120に囲まれた空間(収容空間50)へ通すための孔である。さらに、詳しくは「(2.6)全体構成」の欄で説明するが、開口部121は、端子ブロック12とばねブロック13とを組み合わせる際に、収容空間50にばねブロック13を導入するための孔となる。
Z軸方向における対向部5の寸法と、Z軸方向における第1の端子部2Aの第1の側壁部6Aに連結する一端から、第2の端子部2Bの第2の側壁部6Bに連結する一端までの寸法とが、略同等となるように、寸法関係が規定されている。また、各側壁部6のX軸方向の寸法は、対向部5のZ軸方向の寸法に比べて、やや短い。さらに、対向部5と各端子部2とでは、Y軸方向において各端子部2の方が短くなるように寸法関係が規定されている。対向部5と各側壁部6とでは、Y軸方向において略同等の長さとなるように寸法関係が規定されている。ここで、筒状体120のうちY軸方向における挿入口11側の端縁(図1Bでは下端縁)は、2つの端子部2と対向部5と2つの側壁部6とでY軸方向の位置が揃っている。そのため、筒状体120のうちY軸方向における挿入口11とは反対側の端縁(図1Bでは上端縁)は、第1の端子部2A及び第2の端子部2Bに比べて、対向部5と第1の側壁部6A及び第2の側壁部6BとがY軸の正の向きに突出した形状となる。
(2.2.2)端子ブロックの押付部と連結部
2つの押付部3、すなわち第1の押付部3A及び第2の押付部3Bは、筒状体120の内側に形成された収容空間50に配置されている。各押付部3は、対応する端子部2の一表面20における第1部位21と、X軸方向(対向方向)に対向する位置に配置されている。ここでいう第1部位21は、各端子部2の一表面20のうちで、対応する押付部3と対向する部位である。
各押付部3は、挿入口11からY軸方向に沿って挿入される電線100を、対応する端子部2の第1部位21との間に挟み込むように構成されている。例えば電線100が第1の端子部2Aに対応する挿入口11から挿入された場合、電線100が第1の端子部2Aの一表面20と第1の押付部3Aとの間に導入された状態で、第1の押付部3Aが電線100に対して一表面20に押し付ける向きの力を作用させる。つまり、電線100は、第1の押付部3Aによって第1の端子部2Aの一表面20の第1部位21に押し付けられることになり、第1の端子部2Aと電線100との間に適度な接触圧が生じる。
各押付部3は、図1B、図4A及び4Bに示すように、第1押付片31と、第2押付片32と、第3押付片33とを有している。第1押付片31、第2押付片32及び第3押付片33は、対応する連結部30側(つまり挿入口11とは反対側)から、第1押付片31、第2押付片32、第3押付片33の順に、Y軸方向に並んでいる。
第1押付片31は、矩形板状であって、対応する端子部2の一表面20に略平行する。第1押付片31の、Y軸方向における挿入口11とは反対側の端部は、対応する連結部30に繋がっている。第1押付片31の、Y軸方向における挿入口11側の端部には、第2押付片32が繋がっている。第2押付片32は、矩形板状であって、Y軸方向において挿入口11に近づくほど、対応する端子部2に近づくように、当該端子部2の一表面20に対して傾斜している。第2押付片32の、Y軸方向における第1押付片31とは反対側の端部には、第3押付片33が繋がっている。第3押付片33は、矩形板状であって、Y軸方向において挿入口11から離れるほど、対応する端子部2に近づくように、当該端子部2の一表面20に対して傾斜している。
つまり、第3押付片33は、第2押付片32と共に、Z軸方向に直交する断面形状が略V字状の構造を構成する。そして、各押付部3は、第2押付片32と第3押付片33との連結部分からなる接触部34において、対応する端子部2の一表面20に最も近くなる。言い換えれば、各押付部3は、X軸方向及びY軸方向の両方を含む平面(X−Y平面)内で、X軸方向において対応する端子部2側に凸となるように湾曲した接触部34を有している。ここでは、接触部34は、所定の曲率半径で湾曲している。
第1の連結部30Aは、第1の端子部2Aと第1の押付部3Aとを連結し、第2の連結部30Bは、第2の端子部2Bと第2の押付部3Bとを連結する。各連結部30は、対応する端子部2のY軸方向における挿入口11とは反対側の端部から、挿入口11とは反対側に突出している。つまり、図1Bで説明すれば、第1の端子部2A及び第1の押付部3Aは、Y軸方向における挿入口11とは反対側の端部(図1Bでは上端部)からY軸の正の向きに突出するように設けられた第1の連結部30Aにて、互いに連結されている。
また、各連結部30は、湾曲部301を有している。湾曲部301は、X軸方向及びY軸方向の両方を含む平面(X−Y平面)内で、Y軸方向において挿入口11とは反対側に凸となるように湾曲している。ここでは、湾曲部301は円弧状に湾曲している。湾曲部301の内径は、対応する押付部3の第1押付片31と端子部2との間隔に略一致する。
上述したような構成の2つの押付部3及び2つの連結部30は、筒状体120と一体に形成され、筒状体120と共に端子ブロック12を構成する。ここで、筒状体120の隙間23は、各連結部30を通して第3押付片33の先端まで延びている。2つの連結部30は、隙間23にてZ軸方向に分離されている。同様に、2つの押付部3は、隙間23にてZ軸方向に分離されている。
(2.3)ばねブロック
ばねブロック13は、図1A〜図4Bに示すように、鎖錠部4と、支持部7と、を有している。ばねブロック13は、例えばステンレス鋼(SUS)からなる。ばねブロック13は、端子ブロック12よりも厚みの小さい(薄い)金属板にて構成されている。本実施形態では、端子装置1は2極型の端子装置であって、鎖錠部4は、第1の鎖錠片4Aと第2の鎖錠片4Bとから構成されている。また、鎖錠部4は、Z軸方向における第1の鎖錠片4Aと第2の鎖錠片4Bとの間にスリット45を有する。スリット45に関して、詳しくは「(2.3.3)ばねブロックのスリット」の欄で説明する。
図1Bでは、第1の鎖錠片4A及び第2の鎖錠片4Bのうち、第1の鎖錠片4Aのみが図示されている。端子装置1では、第1の鎖錠片4A及び第2の鎖錠片4Bは、それらが並ぶZ軸方向において、面対称となる構成を採用している。そのため、以下では、特に断りがない限り、図1Bに図示されている第1の鎖錠片4Aについて説明し、第2の鎖錠片4Bについての説明は適宜省略する。また、第1の鎖錠片4A及び第2の鎖錠片4Bを互いに区別しない場合には、単に「鎖錠片」と呼ぶこともある。
本実施形態では、鎖錠部4と支持部7とが一体に形成されている。言い換えれば、2つの鎖錠片(4A及び4B)と、支持部7とは、1枚の金属板からなる。本実施形態では、ばねブロック13を構成する鎖錠部4及び支持部7は、1枚の金属板に打ち抜き加工及び曲げ加工が施されることにより形成されている。
ばねブロック13のY軸方向の寸法は、端子ブロック12における対向部5のY軸方向の寸法以下に規定されている。図1Bの例では、ばねブロック13のY軸方向の寸法は、端子ブロック12における対向部5のY軸方向の寸法と同一である。また、ばねブロック13のX軸方向の寸法は、端子ブロック12における各端子部2と対向部5との間隔よりやや小さく規定されている。さらに、ばねブロック13のZ軸方向の寸法は、端子ブロック12における第1の側壁部6A及び第2の側壁部6Bの間隔よりやや小さく規定されている。
(2.3.1)ばねブロックの鎖錠部
鎖錠部4を構成する第1の鎖錠片4A及び第2の鎖錠片4Bは、筒状体120の内側に形成された収容空間50に配置される。第1の鎖錠片4A及び第2の鎖錠片4Bの各々は、全体として湾曲した略矩形板状である。第1の鎖錠片4A及び第2の鎖錠片4Bの各々は、延長部41と、ばね部42と、を備える。延長部41とばね部42とは、一体に形成されている。
各鎖錠片の延長部41は、対向部5の内側面51と接触し、この内側面51に沿ってY軸方向に延びている。具体的には、延長部41は、Y軸方向における挿入口11側の一端(図1Bでは下端)を基端として当該基端から挿入口11とは反対側に突出している。
各鎖錠片のばね部42について、例えば図1Bを参照して説明すると、第1の鎖錠片4Aのばね部42は、第1の端子部2Aの一表面20における第2部位22と、X軸方向(対向方向)に対向する位置に配置されている。ここでいう第2部位22は、第1の端子部2Aの一表面20のうちで、Y軸方向において第1部位21とは異なる部位であって、ばね部42と対向する部位である。Y軸方向において、第1部位21と挿入口11との間に第2部位22が位置する。つまり、第1部位21及び第2部位22は、挿入口11側から、第2部位22、第1部位21の順に、Y軸方向に並んでいる。
第1の鎖錠片4A及び第2の鎖錠片4Bの各々は、挿入口11からY軸方向に沿って挿入される電線100に接触して、電線100の挿入口11側への移動を規制するように構成されている。例えば電線100が第1の端子部2Aに対応する挿入口11から挿入された場合、電線100が第1の端子部2Aの一表面20と第1の鎖錠片4Aとの間に導入された状態で、ばね部42が第2部位22との間に電線100を挟み込むように構成されている。つまり、電線100は、第1の鎖錠片4Aのばね部42によって第1の端子部2Aの一表面20の第2部位22に押し付けられることになり、第1の端子部2Aと電線100との間に適度な接触圧が生じる。
ここでは、ばね部42は、図1B、図4A及び4Bに示すように、延長部41の上記基端から突出しており、挿入口11側に凸となるように湾曲した湾曲部分420を有する。ばね部42は、湾曲部分420により弾性力を作用させる。湾曲部分420は、所定の曲率半径で湾曲している。電線100が挿入口11から挿入された場合には、ばね部42の先端縁43が、電線100に接触して移動を規制する。
具体的には、ばね部42は、Y軸方向において挿入口11から離れるほど対応する端子部2に近づくように、当該端子部2の一表面20に対して傾斜している。そして、ばね部42は、当該端子部2の一表面20に最も近い先端縁43にて、電線100に接触して電線100の挿入口11側への移動を規制する。つまり、ばね部42は、延長部41との連結部分から、電線100が挿入される向き(Y軸の正の向き)に突出しており、その先端縁43を対応する端子部2の一表面20に近づけるように、当該端子部2の一表面20に対して傾斜している。そして、電線100が、当該端子部2の一表面20とばね部42との間に導入された状態では、ばね部42は、先端縁43にて電線100と接触する。そのため、電線100に対して、電線100を挿入口11側へ移動させる向き(Y軸の負の向き)の力が作用すると、先端縁43が電線100に食い込むように、ばね部42が電線100に引っ掛かることによって、電線100の抜け止めがなされる。
ここで、本実施形態の鎖錠部4は、第1の側壁部6A及び第2の側壁部6Bの内側面60に設けられた第1凹部63A及び第2凹部63Bにそれぞれ嵌まる一対の突起44を有している。具体的には、鎖錠部4は、第1突起44Aと第2突起44Bとを有している。第1突起44Aは、鎖錠部4における第1の側壁部6Aと対向する第1側面46(図2参照)に設けられている。第2突起44Bは、第2の側壁部6Bと対向する第2側面47(図2参照)に設けられている。第1側面46及び第2側面47は、鎖錠部4のZ軸方向における両端面に相当する。第1側面46は、第1の鎖錠片4Aの延長部41の、第1の側壁部6Aと対向する一側面でもある。第2側面47は、第2の鎖錠片4Bの延長部41の、第2の側壁部6Bと対向する一側面でもある。
言い換えると、第1の鎖錠片4Aは、第1の側壁部6Aの第1凹部63Aに嵌まる第1突起44Aを有している。また、第2の鎖錠片4Bは、第2の側壁部6Bの第2凹部63Bに嵌まる第2突起44Bを有している。以下では、第1突起44A及び第2突起44Bを互いに区別しない場合には、単に「突起44」と呼ぶこともある。
本実施形態では、突起44が凹部63に嵌まった状態で鎖錠部4が側壁部6に保持される。ただし、ここで言う「保持」とは、突起44が凹部63に嵌まることのみによって達成されるという意味ではない。言い換えると、突起44が凹部63に嵌まるだけであれば、ばねブロック13は、端子ブロック12によって仮保持された状態にあると言える。実際には、例えば、収容空間50内で突起44が凹部63に嵌まった状態で、更に、ばねブロック13が、端子ブロック12の対向部5及び後述するケース8のカバー等に接触することにより保持される。
本実施形態では、各突起44は、対応する鎖錠片の延長部41に設けられている。例えば図1Bを参照して説明すると、第1突起44Aは、第1の鎖錠片4Aの延長部41の、第1の側壁部6Aと対向する第1側面46からZ軸の負の向きに突出している。本実施形態では、各突起44は、延長部41の一方向(Y軸方向)における中央と一端(図1Bの下端)との間に設けられている。言い換えると、各突起44は、延長部41のY軸方向における挿入口11側の一端側、すなわち、延長部41とばね部42との連結部分の近傍に位置する。
Z軸方向における第1突起44Aの先端から第2突起44Bの先端までの寸法は、端子ブロック12における第1の側壁部6Aの内側面60から第2の側壁部6Bの内側面60までの寸法よりやや大きく規定されている。また、各突起44のY軸方向における寸法は、凹部63のY軸方向における寸法よりもやや小さく規定されている。
このように本実施形態の鎖錠部4は、各側壁部6に設けられた凹部63に嵌まる突起44を有しているため、電線100の抜き差しが繰り返し行われたとしても、鎖錠部4が収容空間50内で位置ずれを起こす可能性を低減することができる。要するに、鎖錠部4が電線100から力を受けても、突起44及び凹部63がストッパとして機能するため、収容空間50内における鎖錠部4の位置ずれが抑制される。したがって、例えば電線100の抜き差しを繰り返し行っても、鎖錠部4と端子部2との間で電線100を挟み込む力が変化して端子部2に対する電線100の接触状態が不安定になるという現象の発生が抑制され、接続信頼性の低下を抑えることができる。
ここで言う「位置ずれ」とは、例えば電線100の抜き差しに伴う、収容空間50内におけるY軸方向に沿った鎖錠部4の移動、又はZ軸方向と平行な回転軸を中心とした鎖錠部4の回転を意味する。このような位置ずれが生じることによって、端子部2に対する電線100の接触状態が不安定になることがある。すなわち、鎖錠部4は、例えば電線100が差し込まれるときに電線100からモーメントを受け、支持部7側を支点として鎖錠部4側が対向部5の内側面51から離れる向きに回転しようとする。このモーメントは、Z軸の負の向きに見て反時計回りに鎖錠部4を回転させようとする力であり、先端縁43においてY軸の正の向きに沿った力の成分を含んでいる。また、鎖錠部4は、例えば電線100が引き抜かれるときに電線100から上記モーメントとは逆向きのモーメントを受け、鎖錠部4側を支点として支持部7側が対向部5の内側面51から離れる向きに回転しようとする。このモーメントは、Z軸の負の向きに見て時計回りに回転させようとする力であり、先端縁43においてY軸の負の向きに沿った力の成分を含んでいる。
要するに、突起44及び凹部63がストッパとして機能するため、鎖錠部4は、電線100から上述のようなモーメントを受けても位置ずれが抑制される。特に、凹部63が側壁部6に、突起44が鎖錠部4の側面(第1側面46及び第2側面47)に設けられているので、鎖錠部4側(又は支持部7側)が対向部5の内側面51から離れる向きに回転することを抑制することができる。つまり、例えば凹部63が対向部5に、突起44が鎖錠部4の対向部5と対向する一表面に設けられている場合に比べて、より効果的に鎖錠部4の回転を抑制することができる。更に、各突起44は、延長部41のY軸方向における中央と下端との間に設けられている(図示例では下端側寄り)。したがって、各突起44が例えば延長部41のY軸方向における中央と上端との間に設けられている場合に比べて、鎖錠部4が延長部41の上端側を支点として上記連結部分側が対向部5から離れる向きに回転することを効果的に抑制することができる。
本実施形態では、第1の鎖錠片4Aと第2の鎖錠片4Bとが一体に形成されて支持部7とともに1つのばねブロック13を構成している。したがって、例えば、第1の端子部2Aに接続される電線100の抜き差しが繰り返された場合、もし突起44及び凹部63が無ければ、ばねブロック13全体が位置ずれを起こす可能性がある。つまり、第1の鎖錠片4Aによる第1の端子部2Aと当該電線100との接触状態だけでなく、第2の鎖錠片4Bによる第2の端子部2Bと他方の電線100との接触状態にも影響する可能性がある。突起44及び凹部63が設けられていることで、第1の端子部2A及び第2の端子部2Bの両方に対する接続信頼性の低下を抑えることができる。
ところで、本実施形態の各突起44は、直方体形状に形成されている。すなわち、各突起44は、図2に示すように、Y軸方向における両端面がいずれも、その突起44の突出方向に沿った第1平坦面441及び第2平坦面442として形成されている。図2では、第1平坦面441は上端面であり、第2平坦面442は下端面である。また、各凹部63の開口形状は、矩形状であり、各突起44のZ軸方向に直交する断面形状と略同形である。
例えば電線100が端子装置1内においてY軸の正の向きに沿って差し込まれているとき(図4Aの状態から図4Bの状態への変化時)、第1の鎖錠片4Aは、電線100から先端縁43を通じてY軸の正の向きに沿った力の成分を含むモーメントを受ける。また、第2の鎖錠片4Bは、支持部7を通じて第1の鎖錠片4Aと一体に形成されているため、第2の鎖錠片4Bも同様にモーメントを受ける。しかし、各突起44の第1平坦面441は、平坦であることから、これらの第1平坦面441が、第1凹部63A及び第2凹部63Bの内周面に対してそれぞれ面接触により引っ掛かる。したがって、電線100の差し込みによる鎖錠部4のY軸の正の向きへの位置ずれを効果的に抑制することができる。
また、例えば電線100が端子装置1内においてY軸の負の向きに沿って引き抜かれているとき(図4Bの状態から図4Aの状態への変化時)、第1の鎖錠片4Aは、電線100から先端縁43を通じてY軸の負の向きに沿った成分を含むモーメントを受ける。第2の鎖錠片4Bは、支持部7を通じて第1の鎖錠片4Aと一体に形成されているため、第2の鎖錠片4Bも同様にモーメントを受ける。しかし、各突起44の第2平坦面442は、平坦であることから、これらの第2平坦面442が、第1凹部63A及び第2凹部63Bの内周面に対してそれぞれ面接触により引っ掛かる。したがって、電線100の引き抜きによる鎖錠部4のY軸の負の向きへの位置ずれを効果的に抑制することができる。
突起44の数は特に限定されない。例えば、第1の鎖錠片4A及び第2の鎖錠片4Bのうちいずれか一方にのみ突起44が設けられていてもよい。この場合、凹部63についても、当該突起44を有する鎖錠片とZ軸方向において対向する側壁部6にのみ凹部63が設けられていてもよい。ただし、鎖錠部4の位置ずれをより効果的に抑制するためには、図2に示すように第1の鎖錠片4A及び第2の鎖錠片4Bの両方に突起44が設けられていることが好ましい。また、例えば1つの鎖錠片に対して複数の突起44がY軸方向に沿って並ぶように設けられていてもよい。この場合、凹部63についても、当該複数の突起44を有する鎖錠片と対向する側壁部6において、複数の凹部63がY軸方向に沿って並ぶように設けられていてもよい。
(2.3.2)ばねブロックの支持部
支持部7は、2つの押付部3を支持する部材である。支持部7は、筒状体120の内側に形成された収容空間50に配置される。支持部7と鎖錠部4(第1の鎖錠片4A及び第2の鎖錠片4B)とは、一体に形成されている。支持部7は、2つの押付部3を介して2つの端子部2の一表面20と対向するように配置されている。支持部7は、2つの押付部3とそれぞれ対向する2つの端子部2側に向かって各押付部3を押す弾性力を生じるように構成されている。つまり、支持部7は、この弾性力を通じて押付部3を支持する。
具体的には、支持部7は、図2に示すように、基部71と、一対の支持片(第1支持片72A及び第2支持片72B)と、を有している。基部71は、矩形板状であって、2つの端子部2の一表面20に略平行する。基部71の、Y軸方向における挿入口11側の端部は、第1の鎖錠片4Aの延長部41と、第2の鎖錠片4Bの延長部41とに繋がっている。基部71の、Y軸方向における2つの鎖錠片とは反対側の端部は、第1支持片72A及び第2支持片72Bに繋がっている。要するに、基部71は、2つの延長部41、第1支持片72A、及び第2支持片72Bを連結する。基部71は、対向部5の内側面51と接触している。
支持部7では、第1支持片72A及び第2支持片72Bは、それらが並ぶZ軸方向において、面対称となる構成を採用している。図1Bでは、第1支持片72A及び第2支持片72Bのうち、第1支持片72Aのみが図示されている。第1支持片72A及び第2支持片72Bの各々は、平板部721と湾曲部722とを有している。各平板部721は、平板状に形成されている。電線100が挿入されていない状態のとき、各平板部721の厚み方向は、X軸方向と略一致する。各湾曲部722は、平板部721の一端(図1Bの上端)から突出してY軸方向において挿入口11とは反対側に凸となるように湾曲し、さらに基部71の一端(図1Bの上端)に繋がっている。つまり、各湾曲部722は、平板部721及び基部71の、Y軸方向における挿入口11とは反対側の一端同士を繋ぐように構成されている。基部71は、各平板部721の第1表面723(図4A参照)と対向する。各湾曲部722は、所定の曲率半径で円弧状に湾曲している。ここでは湾曲部722の内径は、基部71と平板部721との間隔に略一致する。要するに、支持部7は、Z軸方向に沿って見たときに、略U字状に形成されている。
第1支持片72Aの平板部721は、図4Aに示すように、電線100が第1の押付部3Aにまで挿入されていない状態において、厚み方向における第1表面723とは反対側の第2表面724が、第1の押付部3Aの第1押付片31と接触している。この場合、第1支持片72Aの平板部721と第1の押付部3Aの第1押付片31とは、互いに対向し合う表面同士が面接触していることが好ましい。言い換えると、第1支持片72Aの平板部721において、第1の押付部3Aの第1押付片31の表面と接触する一表面が、当該表面と平行であることが好ましい。
同様に、第2支持片72Bの平板部721は、電線100が第2の押付部3Bにまで挿入されていない状態において、厚み方向における第1表面723とは反対側の第2表面724が、第2の押付部3Bの第1押付片31と接触している。この場合、第2支持片72Bの平板部721と第2の押付部3Bの第1押付片31とは、互いに対向し合う表面同士が面接触していることが好ましい。言い換えると、第2支持片72Bの平板部721において、第2の押付部3Bの第1押付片31の表面と接触する一表面が、当該表面と平行であることが好ましい。
上記面接触が達成されるように各湾曲部722の内径寸法及び各湾曲部301の内径寸法が規定されていることが好ましい。ただし、各平板部721は、電線100が対応する押付部3にまで挿入されていないとき、第1押付片31と非接触状態にあり、電線100が対応する押付部3にまで挿入されたとき、第1押付片31と接触状態になるように構成されていてもよい。要するに、電線100が対応する押付部3にまで挿入されていないとき、各平板部721と第1押付片31との間には、僅かに隙間があってもよい。ただし、この場合、電線100が対応する押付部3にまで挿入されたとき、押付部3の撓みにより平板部721と第1押付片31とが接触するように構成されている必要がある。
このように構成された支持部7では、例えば図4Bに示すように、電線100が第1の押付部3Aにまで挿入された状態において、第1の押付部3AがX軸の負の向きに撓み、それに伴い第1支持片72Aは、第1の押付部3Aから力を受ける。ここで、第1支持片72Aは、湾曲部722により、第1の押付部3Aに対してX軸の正の向きに弾性力を作用させる。したがって、支持部7が設けられていない場合に比べて、電線100を第1の端子部2A側へ押す力が高められる。
特に、支持部7が設けられていない場合、電線100の抜き差しが繰り返し行われると、第1の押付部3Aは、たとえ電線100が差し込まれていない状態であっても、X軸の負の向きに撓んだ状態が維持されやすくなる(金属疲労)。要するに、支持部7が設けられていない場合、第1の押付部3Aが塑性変形して、第1の押付部3Aと第1の端子部2Aとの距離が大きくなることがある。その結果、支持部7が設けられていない場合、第1の押付部3Aだけでは電線100を第1の端子部2A側へ押す力が弱まり、第1の端子部2Aと電線100との間における接触圧が低下することがあった。本実施形態では、上述のように支持部7が設けられていることで、接触圧の低下を抑制することができる。すなわち、接続信頼性の低下を抑えることができる。説明は省略するが、同様に、電線100が第2の押付部3Bにまで挿入された状態においても、第2支持片72Bを通じて、第2の端子部2Bと電線100との間における接触圧の低下を抑制することができる。
ところで、ばねブロック13は、上述の通り、電線100が引き抜かれるときに電線100からモーメントを受けて、鎖錠部4側を支点として支持部7側が対向部5の内側面51から離れる向きに回転しようとする。しかし、本実施形態のように支持部7がX軸方向において2つの押付部と接触しているため、支持部7は、上述した突起44及び凹部63と共に、上記の回転を抑制する機能も有していると言える。
ばねブロック13は、延長部41及び基部71を対向部5の内側面51に接触させて、各突起44を凹部63に嵌めることにより、端子ブロック12に対してX軸方向及びY軸方向における位置決めがなされる。ばねブロック13は、端子ブロック12と共に、後述するケース8に収納された状態において、支持部7の2つの湾曲部722がケース8と接触していてもよい。この場合、端子装置1に突起44及び凹部63が設けられていなくても、収容空間50内でばねブロック13の位置決めが容易となる。
本実施形態では、各突起44が凹部63に嵌まることで、端子ブロック12に対するばねブロック13の位置決めが容易となる。更に、各突起44が凹部63に嵌まることで、ばねブロック13が端子ブロック12に仮保持されるため、ばねブロック13と端子ブロック12とを組み合わせることで持ち運びが容易となる。要するに、ばねブロック13と端子ブロック12とを一部品として取り扱うことができ、例えば端子装置1の製造時の作業性にも優れている。
更に、本実施形態では、支持部7が鎖錠部4と一体に形成されている。すなわち、支持部7と第1の鎖錠片4A及び第2の鎖錠片4Bとによって構成されたばねブロック13は、一つの部材でありながら、電線100の移動を規制する機能と、端子部2及び電線100間における接触圧の低下を抑制する機能と、を有する。したがって、部材点数を減らすことができる。支持部7は、押付部3及び連結部30に比べて、弾性率が高い材料から形成されていることが望ましい。この点で、本実施形態では、一例として銅からなる端子ブロック12に対して、支持部7は、銅よりも弾性率が高いステンレス鋼からなる鎖錠部4と一体に形成されている。したがって、支持部7が鎖錠部4と一体に形成されていることは、弾性率についても望ましいと言える。
(2.3.3)ばねブロックのスリット
本実施形態では、ばねブロック13の鎖錠部4は、例えば図2に示すように、スリット45を有している。スリット45は、端子部2と対向部5とが並ぶ方向(X軸方向)に貫通する。本実施形態では、スリット45は、鎖錠部4の厚み方向に貫通する。スリット45は、第1突起44Aと第2突起44Bとの間に配置されている。また、スリット45は、その一端が鎖錠部4の各鎖錠片の先端縁43まで延びて、先端縁43が互いに2つに分離されるように構成されている。言い換えると、第1の鎖錠片4Aと第2の鎖錠片4Bとは、Z軸方向において、スリット45を間に介して互いに離れ合っている。
具体的に説明すると、鎖錠部4と支持部7とが連結している部分におけるZ軸方向の中央部には、厚み方向に貫通する貫通孔48が形成されている。貫通孔48は、開口形状が円形状である。スリット45は、貫通孔48から先端縁43まで延びている。Z軸方向におけるスリット45の幅は、貫通孔48から先端縁43の少し手前までは所定の寸法に設定され、そこから先端縁43までは当該所定の寸法よりも狭い寸法に設定されている。言い換えれば、ばね部42の湾曲部分420のZ軸方向の寸法は、先端縁43のZ軸方向の寸法より小さく設定されている。これにより、ばね部42の湾曲部分420のZ軸方向の寸法が先端縁43のZ軸方向の寸法と同一である場合に比べて、湾曲部分420の弾性率が低くなり、ばね部42が撓みやすくなる。貫通孔48は、端子装置1に必須の構成ではなく、貫通孔48は省略されてもよい。
本実施形態では、鎖錠部4がこのようなスリット45を有していることにより、Z軸方向において第1の鎖錠片4Aと第2の鎖錠片4Bとが互いに近づくように鎖錠部4を撓ませることができる。要するに、鎖錠部4をこのように撓ませることで、Z軸方向における第1突起44Aの先端から第2突起44Bの先端までの距離を小さくすることができる。その結果、例えば端子装置1の製造時に、ばねブロック13を端子ブロック12内へ挿入して各突起44を凹部63に嵌める作業を容易に行うことができる。特に、ばねブロック13の挿入時には、各突起44が、凹部63に嵌まるまでの間に、第1の側壁部6A及び第2の側壁部6Bの内側面60と接触して傷つけてしまうことがある。この点で、スリット45が設けられていることにより、突起44が内側面60を傷つけてしまう可能性を低減することができる。
(2.4)寸法関係
次に、端子ブロック12にばねブロック13が組み合わされた状態での、端子部2、押付部3及び鎖錠部4の寸法関係について、図4Aを参照して説明する。図4Aは、図1AのZ1−Z1線断面図である。また、図4Aでは、電線100を想像線(2点鎖線)で示している。以下では、第1の端子部2Aと第1の押付部3Aと第1の鎖錠片4Aとについてのみ説明するが、第2の端子部2Bと第2の押付部3Bと第2の鎖錠片4Bとの寸法関係についても同じである。
X軸方向において、第1の押付部3Aと第1部位21との間の距離である第1距離L1は、鎖錠部4の第1の鎖錠片4Aと第2部位22との間の距離である第2距離L2よりも大きく設定されている。第1距離L1は、第1の押付部3Aの、第1の端子部2Aの一表面20に最も近くなる接触部34と、第1の端子部2Aの一表面20との間の最短距離である。同様に、第2距離L2は、第1の鎖錠片4Aの、第1の端子部2Aの一表面20に最も近くなる先端縁43と、第1の端子部2Aの一表面20との間の最短距離である。
また、第1の押付部3AのY軸方向における挿入口11側の端部、つまり第3押付片33は、Y軸方向において挿入口11に近づくほど第1の端子部2Aから離れるように、第1の端子部2Aの一表面20に対して傾斜している。すなわち、第3押付片33は、接触部34から離れるほどに第1の端子部2Aから離れるように傾斜しているため、第3押付片33における接触部34とは反対側の端縁においては、第1の端子部2Aからの距離が、接触部34に比べて大きくなる。ここでは、X軸方向において、第3押付片33における接触部34とは反対側の端縁と、第1の端子部2Aの一表面20との間の最短距離を、第3距離L3と規定する。
要するに、第1距離L1、第2距離L2及び第3距離L3の関係では、第2距離L2よりも第1距離L1が大きくなり、第1距離L1よりさらに第3距離L3が大きくなる(L2<L1<L3)。
ところで、挿入口11から挿入される電線100の線径φXは、第1距離L1よりも大きく、第3距離L3よりも小さいことが好ましい。ここでいう電線100の線径φXは、端子装置1に接続可能な電線として規定された電線100の線径φXである。電線100が絶縁電線である場合は、挿入口11から挿入される心線の直径が線径φXとなる。第1距離L1、第2距離L2、第3距離L3及び線径φXの関係では、第2距離L2よりも第1距離L1が大きくなり、第1距離L1よりも線径φXが大きくなり、線径φXよりさらに第3距離L3が大きくなる(L2<L1<φX<L3)。ここでいう線径φXは、挿入口11から挿入される電線100の外径(絶縁電線の場合は心線の直径)を意味しており、例えばIEC(International Electrotechnical Commission)規格等に準拠し、適宜決定される。
(2.5)電線の接続方法
次に、上述したような構成の端子装置1に対して電線100を接続する方法について、図4A及び図4Bを参照して説明する。図4A及び図4Bは、図1AのZ1−Z1線断面図である。また、図4A及び図4Bでは、電線100を想像線(2点鎖線)で示している。図4Aは、電線100が接続されていない状態の端子装置1を示し、図4Bは、電線100が接続された状態の端子装置1を示している。以下では、図4A及び4Bに図示されている第1の端子部2Aに電線100を接続する方法についてのみ説明するが、第2の端子部2Bに対して接続する場合についても同じである。
作業者は、接続対象となる電線100を、端子装置1に対して挿入口11からY軸の正の向きに挿入する。電線100が挿入されると、電線100の先端は、まず、第1の鎖錠片4Aと第1の端子部2A(第2部位22)との間に導入される。ここにおいて、「(2.4)寸法関係」の欄で説明したように、第2距離L2と電線100の線径φXとの間には、「L2<φX」という寸法関係がある。そのため、第1の鎖錠片4Aが電線100の先端に押されて、第1の鎖錠片4Aの先端縁43が第1の端子部2Aの一表面20から離れる向きに変位する。このとき、第1の鎖錠片4Aにおいては、ばね部42の湾曲部分420の曲率半径が小さくなるように湾曲部分420が弾性変形する。したがって、電線100に対しては、第1の鎖錠片4Aから、電線100を第1の端子部2Aに押し付ける向きの力が作用する。
この状態から電線100が更に挿入されると、電線100の先端は、第1の押付部3Aと第1の端子部2A(第1部位21)との間に導入される。ここにおいて、「(2.4)寸法関係」の欄で説明したように、第1距離L1と第3距離L3と電線100の線径φXとの間には、「L1<φX<L3」という寸法関係がある。そのため、電線100の先端は、第3押付片33にガイドされて、接触部34と第1の端子部2Aとの間に誘い込まれることになる。そして、接触部34が電線100の先端に押されて第1の押付部3Aの接触部34が第1の端子部2Aの一表面20から離れる向きに変位する。このとき、端子ブロック12においては、湾曲部301の曲率半径が大きくなるように第1の連結部30Aが弾性変形する。したがって、電線100に対しては、第1の押付部3Aから、電線100を第1の端子部2Aに押し付ける向きの力が作用する。特に本実施形態では、支持部7が、第1の押付部3Aと対向する第1の端子部2A側に向かって(つまり、X軸の正の向きに)第1の押付部3Aを押す弾性力を作用させている。したがって、電線100を第1の端子部2A側へ押す力が更に高められている。
要するに、電線100が所定の位置まで挿入された状態では、電線100が第1の押付部3Aにて第1の端子部2Aの一表面20(第1部位21)に押し付けられる。その結果、第1の端子部2Aと電線100との間に適度な接触圧が生じ、電線100と第1の端子部2Aとが電気的に接続される。さらに、この状態では、第1の鎖錠片4Aの先端縁43が電線100に接触することによって、挿入口11から電線100が引き抜かれる向きへの電線100の移動が規制され、電線100の抜け止めがなされる。
また、本実施形態では、鎖錠部4の各突起44が凹部63に嵌まった状態にある。そのため、ばねブロック13は、電線100の挿入により電線100から先端縁43を通じてモーメントを受けても、Y軸の正の向きへの移動及びZ軸方向と平行な回転軸を中心とした回転が防止される。
ここにおいて、第1の鎖錠片4Aの先端縁43が第1の端子部2Aの一表面20から離れる向きに変位したときに、第1の鎖錠片4Aが第1の押付部3Aに接触しないように、これらの位置関係及び寸法が規定されている。つまり、第1の鎖錠片4Aの先端縁43の軌跡上に第1の押付部3Aが位置しないように、Y軸方向におけるこれらの位置関係、及び寸法が規定されている。これにより、電線100が挿入される際に、第1の鎖錠片4Aと第1の押付部3Aとは同時に変位するのではなく、先に第1の鎖錠片4Aが変位し、その後に第1の押付部3Aが変位することになる。したがって、第1の鎖錠片4Aと第1の押付部3Aとが同時に変位する構成に比べて、電線100の挿入に必要な力の大きさが小さく抑えられる。このように第1の鎖錠片4Aが第1の押付部3Aに接触しないようにしながらも、Y軸方向における第1部位21と第2部位22との間の距離は、極力小さいことが好ましい。第1部位21と第2部位22との間の距離が小さくなれば、挿入すべき電線100の長さが短くなって、端子装置1の小型化につながる。
(2.6)全体構成
次に、図3及び図5A〜図6Bを参照して、ケース8及び解除部材9を含む、端子装置1の全体構成について説明する。すなわち、端子装置1は、上述した端子ブロック12及びばねブロック13に加えて、ケース8及び解除部材9を更に備えている。また、図5A及び図5Bは、それぞれ図6AのZ2−Z2線斜視断面図である。図6Bは、図6AのZ1−Z1線断面図である。また、図6Bでは、後述する空隙SP1を1点鎖線で示しているが、空隙SP1は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
ケース8は、電気絶縁性を有する材料、例えば合成樹脂にて構成されている。ケース8は、端子ブロック12及びばねブロック13を収納する空間を有する箱状に形成されている。端子ブロック12及びばねブロック13がケース8に収納された状態で、少なくとも筒状体120がケース8に対して固定される。図3及び図5A〜図6Bでは、ケース8として、Y軸の正の向きに開放された端子室80を有する、箱状のボディのみを図示している。ただし、ケース8は、端子室80の開口面を塞ぐようにボディと結合されるカバーを、更に備えている。つまり、端子ブロック12及びばねブロック13が端子室80に収納された状態で、端子室80の開口面がカバーによって塞がれる。カバーは、ばねブロック13における支持部7の各湾曲部722と接触している。
ケース8のうち挿入口11に対応する位置には、ケース8の底板をY軸方向に貫通する挿入孔81が形成されている。挿入孔81は、開口形状が円形状であり、2本の電線100に対応するように2つ形成されている。挿入孔81の内径は一定ではなく、電線100を誘い込むように、Y軸方向の一部において、挿入孔81のケース8の外側から内側に向けて徐々に挿入孔81の内径が小さくなっている。図3及び図5A〜図6Bでは、挿入口11の図示を省略しているが、このようなケース8を備える端子装置1においては、ケース8の挿入孔81が挿入口11に相当する。
また、ケース8のうち隙間23に対応する位置には、ケース8の側壁をX軸方向に貫通する操作窓82が形成されている。操作窓82は、後述する解除部材9のガイド突起93を通すための孔である。操作窓82の内側面のうち、Z軸方向に対向する一対の内側面には、解除部材9を保持するための一対の軸受部83が形成されている。一対の軸受部83には、後述する解除部材9の軸部91が挿入される。
解除部材9は、鎖錠部4による電線100の移動の規制、つまり鎖錠部4による電線100の抜け止めを解除するための部材である。解除部材9は、電気絶縁性を有する材料、例えば合成樹脂にて構成されている。解除部材9は、端子部2に対して、通常位置と解除位置との間で相対的に移動可能に構成される。通常位置とは、解除部材9が鎖錠部4による電線100の抜け止めを解除しない状態にあるときの解除部材9の位置をいう。一方、解除位置とは、解除部材9が鎖錠部4による電線100の抜け止めを解除する状態にあるときの解除部材9の位置をいう。つまり、解除部材9は、通常位置から解除位置に移動するとき、鎖錠部4に対して第2部位22から離れる向きの力を作用させ、鎖錠部4による電線100の移動の規制(抜け止め)を解除する。図5A〜図6Bでは、解除部材9が通常位置にある状態を表している。
具体的には、解除部材9は、軸部91と、操作部92と、ガイド突起93とを有している。
軸部91は、Z軸方向に沿った円柱状に形成されている。解除部材9は、軸部91のZ軸方向の両端部が一対の軸受部83に挿入されることによって、ケース8に対して軸部91を中心として回転可能な状態で、ケース8に保持される。これにより、解除部材9は、軸部91を中心として、通常位置と解除位置との間で回転(移動)可能となる。ここでは、軸受部83は、図5A及び図5Bに示すように、X軸の負の向きに開放されている。ただし、端子ブロック12がケース8に収納された状態では、端子ブロック12の2つの連結部30によってX軸の負の向きへの軸部91の移動が規制され、軸受部83からの軸部91の脱落が防止される。また、解除部材9のうち、端子室80の底面に対向する面は、軸部91を中心とする略円弧状に形成されていることが好ましい。これにより、解除部材9が軸部91を中心に解除部材9が回転したときに、解除部材9から端子室80の底面までの距離が大きく変動せず、解除部材9とケース8との干渉を回避できる。
操作部92は、解除部材9を通常位置から解除位置に移動させる際に操作される部分である。解除部材9は、少なくとも操作部92の一部がケース8から露出するように、ケース8に保持されている。また、操作部92は、Z軸方向の寸法がケース8の操作窓82の幅よりも大きく設定されている。したがって、操作部92は、解除部材9の操作時に、ケース8における操作窓82の周辺部分に接触することにより、解除部材9の可動範囲を規制するストッパとしても機能する。
ガイド突起93は、電線100の移動方向をY軸方向に規制する。解除部材9は、少なくともガイド突起93の一部が、ケース8の操作窓82及び端子部2の隙間23を通して、収容空間50に挿入されるように、ケース8に保持されている。
ガイド突起93は、Y軸方向において鎖錠部4の先端縁43の両側に位置する第1突片931と第2突片932とを有している。第1突片931は、Y軸方向において、鎖錠部4に対して挿入口11(挿入孔81)側に位置する。第2突片932は、Y軸方向において、鎖錠部4に対して挿入口11(挿入孔81)とは反対側に位置する。つまり、第1突片931と第2突片932とは、収容空間50内において、鎖錠部4の先端縁43を挟むような位置関係にある。本実施形態では、第1突片931は台形板状であって、第2突片932は矩形板状である。
第1突片931は、作用部94及び回避部95を含んでいる。台形板状の第1突片931においては、台形の上底(平行する2辺のうち短い方の辺)と台形の脚(不平行な2辺のうち一方の辺)との間の角部が作用部94に相当し、台形の上底が回避部95に相当する。
作用部94は、解除部材9が通常位置から解除位置に移動する際に、鎖錠部4に第2部位22から離れる向きの力を作用させる部分である。つまり、解除部材9は、通常位置から解除位置に移動するときに、作用部94にて、鎖錠部4の第1の鎖錠片4Aと第2の鎖錠片4Bの両方に接触して鎖錠部4に対して端子部2の一表面20から離れる向きの力を作用させる。作用部94は、鎖錠部4のうち先端縁43寄りの部位に対向する。これにより、解除部材9は、通常位置から解除位置に移動するときに、作用部94にて鎖錠部4の先端縁43付近に接触する。そのため、解除部材9は、鎖錠部4に対し、ばね部42の湾曲部分420を支点として比較的大きなモーメントを作用させることができ、結果的に、比較的小さな力で鎖錠部4を変位させることができる。
回避部95は、解除部材9が通常位置から解除位置に移動するときに作用部94以外での鎖錠部4との接触を回避するための空隙SP1(図6B参照)を、鎖錠部4との間に形成する。そのため、回避部95が無く第1突片931が空隙SP1を埋めるような形状(三角形板状)である場合に比べて、小さな力で鎖錠部4を変位させることができる。すなわち、回避部95によって、第1突片931と鎖錠部4との間には空隙SP1が形成されるので、解除部材9は、通常位置から解除位置に移動するときに、作用部94以外での鎖錠部4との接触を回避できる。そのため、解除部材9は、通常位置から解除位置に移動する際に、作用部94にて鎖錠部4の先端縁43付近に接触し続けることができ、鎖錠部4に対し、ばね部42の湾曲部分420を支点として比較的大きなモーメントを作用させることができる。
上記構成により、端子装置1と電線100との接続を解除する場合、作業者は、解除部材9を操作することで、鎖錠部4による電線100の抜け止めを解除して、挿入口11から電線100を抜去することができる。すなわち、解除部材9が通常位置にある状態から、作業者が操作部92を図6Bに矢印A1で示す向きに押すと、解除部材9が軸部91を中心にして解除位置に移動する。このとき、作用部94は、図6Bに矢印A2で示す向きに移動し、鎖錠部4の先端縁43に対して第2部位22から離れる向きの力を作用させる。先端縁43が第2部位22から離れる向きに移動すると、鎖錠部4が電線100から離れて、鎖錠部4による電線100の移動の規制(抜け止め)が解除される。
また、本実施形態では、2つの鎖錠片に対して、1つの解除部材9から同時に力が作用するように構成されている。つまり、解除部材9のガイド突起93は、Z軸方向において第1の鎖錠片4A及び第2の鎖錠片4Bに跨る位置に配置されている。これにより、解除部材9が通常位置から解除位置に移動すると、第1の鎖錠片4A及び第2の鎖錠片4Bに対して、第2部位22から離れる向きの力が同時に作用し、2つの鎖錠片について同時に抜け止めが解除される。
(2.7)組み立て手順
ところで、上述したような端子装置1は、以下の手順で組み立て可能である。
まず、ばねブロック13が、端子ブロック12のY軸方向における挿入口11側の端面(図3の下端面)に形成された開口部121から、端子ブロック12内に挿入される。すなわち、ばねブロック13は、筒状体120の内側の収容空間50に導入されることになる。このとき、第1突起44A及び第2突起44Bが、端子ブロック12の第1凹部63A及び第2凹部63Bにそれぞれ嵌められる。第1の鎖錠片4Aと第2の鎖錠片4Bとを、スリット45を通じて互いに近づくように鎖錠部4を撓ませながら、ばねブロック13を端子ブロック12内に挿入すれば、各突起44が側壁部6の内側面60と接触して傷つくことを抑制できる。特に、支持部7は、Z軸方向に沿って見たとき所定の曲率半径で円弧状に湾曲している湾曲部722を有している。そのため、湾曲部722をY軸の正側に向けた状態で、ばねブロック13を開口部121から端子ブロック12内へ挿入することで、湾曲部722が押付部3の第3押付片33等に接触しても押付部3が傷つくことを抑制できる。
このようにして端子ブロック12とばねブロック13とが組み合わせられる。そして、ばねブロック13と端子ブロック12とが組み合わさった状態で、これらがケース8の端子室80に収納される。最後に、解除部材9が、ケース8の軸受部83に軸部91の両端部を挿入するように、ケース8に取り付けられる。
ばねブロック13は、端子ブロック12のY軸方向における開口部121とは反対側の開口部122(図3参照、図3では上端面の開口部)から、端子ブロック12内に挿入されてもよい。ただし、ばねブロック13の挿入時に、鎖錠部4が押付部3と接触して破損するおそれを考慮すれば、ばねブロック13は、開口部121から挿入されることが望ましい。また、本実施形態では、各突起44は、延長部41とばね部42との連結部分の近傍に位置する。したがって、上端面の開口部122から挿入される場合、各突起44が側壁部6の内側面60上をスライド移動する距離は、下端面の開口部121から挿入される場合に比べて長くなる。その結果、各突起44が側壁部6の内側面60と接触して傷が付くことを少しでも抑制するために、ばねブロック13は、開口部121から挿入される方が好ましい。
また、端子ブロック12とばねブロック13とを組み合わせる工程は、予め別の場所で行われていてもよい。要するに、組み合わせ後の端子ブロック12とばねブロック13は、突起44と凹部63とによって仮保持状態にあるため、容易に持ち運びが可能となっている。端子装置1の組み立ては、自動化することも可能である。
(2.8)配線器具
上述した構成の端子装置1は、例えば図7に示すような配線器具10に用いられる。図7に例示する配線器具10は、建物の壁などに取り付けて使用されるスイッチである。この配線器具10は、直方体状の器具本体101と、器具本体101に収納された端子装置1とを備えている。図7の例では、器具本体101の前面にハンドル102が設けられている。この配線器具10は、ハンドル102が押される度に、器具本体101内の接点のオン/オフが切り替わるように構成されている。
配線器具10は、上述した構成の端子装置1を4つ備えている。4つの端子装置1は、それぞれ器具本体101の後面に挿入孔81が露出するように、器具本体101に収納されている。これにより、配線器具10においては、器具本体101の後面側から電線100が挿入されることにより、電線100の接続が可能になる。4つの端子装置1は、Z軸方向に並ぶように2つの端子装置1を1組として、器具本体101におけるX軸方向の両端部に1組ずつ配置されている。そのため、器具本体101の後面には、Z軸方向に4つずつ、X軸方向に2つずつ並ぶように、計8つの挿入孔81が形成される。
ところで、器具本体101の寸法は、例えば「1個モジュール寸法」のように、各国の規格などによって決められていることが多い。このような器具本体101において、Z軸方向に4つもの挿入孔81を並べようとすると、挿入孔81間の間隔、つまり端子装置1のZ軸方向の寸法を小さく抑える必要がある。本実施形態に係る端子装置1は、Z軸方向の寸法を抑えやすい構成であるので、このような配線器具10に特に適している。
ここで、端子装置1のケース8(図3参照)は、器具本体101の器体とは別体であってもよいし、器具本体101の器体の一部であってもよい。また、解除部材9(図6A及び6B参照)は、少なくとも操作部92の一部が器具本体101の器体から露出するように、器具本体101の器体又はケース8に保持される。
(3)変形例
以下に、いくつかの変形例について説明する。以下では上述した実施形態を「基本例」と呼ぶ。以下に説明する変形例は、基本例と適宜組み合わせて適用可能である。
(3.1)第1の変形例
第1の変形例について、図8Aを参照しながら説明する。第1の変形例は、支持部200が鎖錠部4と別体である点で、基本例と異なる。言い換えると、第1の変形例のばねブロック13は、図8Aに示すように、基本例の支持部7を備える代わりに、延長片201を備え、支持部200は、ばねブロック13から切り離され独立した部材である。第1の変形例の端子装置1について、支持部200及び延長片201以外の構成要素は、基本例の端子装置1と同じであるため、同じ構成要素の説明は省略する。
第1の変形例では、支持部200の数は一例として2つである。すなわち、端子装置1は、一対の支持部200を備えている。一対の支持部200の一方は、第1の端子部2A、第1の押付部3A及び第1の連結部30Aを、Y軸の正側から覆うように配置されている。また、一対の支持部200の他方は、第2の端子部2B、第2の押付部3B及び第2の連結部30Bを、Y軸の正側から覆うように配置されている。ただし、端子装置1では、一対の支持部200は、それらが並ぶZ軸方向において、面対称となる構成を採用している。したがって、以下では、図8Aに図示されている第1の端子部2A、第1の押付部3A及び第1の連結部30Aに対して配置されている支持部200についてのみ説明する。
支持部200は、全体として(Z軸方向に沿って見たときに)略U字状に湾曲した略矩形板状である。支持部200は、例えば1枚の金属板が曲げ加工されることにより形成される。支持部200は、例えばステンレス鋼(SUS)からなる。支持部200は、第1平板部2001と、第2平板部2002と、湾曲部2003とを有している。第1平板部2001、第2平板部2002及び湾曲部2003は、一体に形成されている。湾曲部2003は、第1平板部2001と第2平板部2002とを連結する部材である。
第1平板部2001は、平板状である。電線100が端子装置1内に挿入されていない状態のとき、第1平板部2001の厚み方向は、X軸方向と略一致する。第1平板部2001は、電線100が第1の押付部3Aにまで挿入されていない状態において、X軸方向において第1の押付部3Aの第1押付片31と接触している。この場合、第1平板部2001と第1押付片31とは、互いに対向し合う表面同士が面接触していることが好ましい。言い換えると、第1平板部2001において、第1押付片31の表面と接触する一表面が、第1押付片31の当該表面と平行であることが好ましい。図示例では、第1平板部2001のX軸方向における厚み寸法は、第1押付片31のX軸方向における厚み寸法よりも小さい。
第2平板部2002は、平板状である。第2平板部2002のY軸方向における寸法は、第1平板部2001のY軸方向における寸法よりも大きく、また、第1の端子部2AのY軸方向における寸法と略同じである。ただし、これらの寸法関係は特に限定されるものではなく、例えば、第2平板部2002のY軸方向における寸法は、第1平板部2001のY軸方向における寸法と略同じであってもよい。第2平板部2002の厚み方向は、X軸方向と略一致する。第2平板部2002は、X軸方向において第1の端子部2Aと接触している。この場合、第2平板部2002と第1の端子部2Aとは、互いに対向し合う表面同士が面接触していることが好ましい。言い換えると、第2平板部2002において、第1の端子部2Aの表面と接触する一表面が、第1の端子部2Aの当該表面と平行であることが好ましい。図示例では、第2平板部2002のX軸方向における厚み寸法は、第1の端子部2AのX軸方向における厚み寸法よりも小さい。
湾曲部2003は、第1平板部2001の一端(図8Aでは上端)からY軸方向において挿入口11とは反対側に凸となるように湾曲し、さらに第2平板部2002の一端(図8Aでは上端)に繋がっている。湾曲部2003は、Z軸方向に沿って見たとき所定の曲率半径で円弧状に湾曲している。ここでは湾曲部2003の内径は、第1平板部2001と第2平板部2002との間隔に略一致する。また、湾曲部2003と第1の連結部30Aとは、図8Aに示すように、互いに対向し合う表面同士が面接触していることが好ましい。要するに、湾曲部2003の内径は、第1の連結部30Aの外径と略同じであることが好ましい。図示例では、湾曲部2003のY軸方向における厚み寸法は、第1の連結部30AのY軸方向における厚み寸法よりも小さい。
このように構成された支持部200は、第1平板部2001、第2平板部2002及び湾曲部2003によって囲まれた空間内に、第1の端子部2A、第1の押付部3A及び第1の連結部30Aが嵌め入れられることで、端子ブロック12に取り付けられる。ここで、端子ブロック12がケース8(図3参照)に収納された状態において、支持部200の湾曲部2003は、例えば、端子室80の開口面を塞ぐケース8のカバーと接触することが好ましい。当該カバーに対する湾曲部2003の接触を達成するために、第1の変形例では、第1の端子部2AのY軸方向における寸法が、基本例の第1の端子部2Aに比べて小さくなるように寸法関係が規定されている。要するに、支持部200は、第1の端子部2A、第1の押付部3A及び第1の連結部30Aに取り付けられ、更に、ケース8のカバーと接触することで位置決めされる。支持部200は、第1の押付部300と、かしめ、溶接、又は圧着等によって結合されてもよい。
第1の変形例の支持部200は、基本例の支持部7と同様に、電線100が端子装置1内に挿入されたときに、押付部3に対して端子部2側に向かって弾性力を作用させることができる。そのため、例えば電線100の抜き差しが繰り返し行われたとしても、支持部200が設けられていない場合に比べて、端子部2と電線100との間における接触圧の低下を抑制することができる。
ところで、第1の変形例のばねブロック13は、基本例の支持部7を備える代わりに、延長片201を備えている。つまり、ばねブロック13は、鎖錠部4と延長片201とを備えている。延長片201は、矩形板状であって、2つの端子部2の一表面20に略平行する。鎖錠部4と延長片201とは、一体に形成されている。延長片201のY軸方向における挿入口11側の端部は、第1の鎖錠片4Aの延長部41と、第2の鎖錠片4Bの延長部41とに繋がっている。そして、延長片201は、対向部5の内側面51と接触している。延長片201は、Y軸方向における鎖錠片とは反対側の端面201Aが、対向部5の上端面と略面一となるようにY軸方向に沿って延びている。延長片201の端面201Aは、端子ブロック12及びばねブロック13がケース8内に収納された状態において、ケース8のカバーと接触するように、寸法関係が規定されていることが好ましい。
(3.2)第2の変形例
第2の変形例について、図8Bを参照しながら説明する。第2の変形例は、ばねブロック13のY軸方向における寸法が、基本例のばねブロック13に比べて小さい点で、基本例と異なる。具体的には、第2の変形例のばねブロック13は、図8Bに示すように、基本例の支持部7を備える代わりに、支持部210を備えている。また、第2の変形例の各鎖錠片のY軸方向における寸法が、基本例の各鎖錠片に比べて小さい。なお、第2の変形例の端子装置1について、ばねブロック13の支持部210及び鎖錠部4以外の構成要素は、基本例の端子装置1と同じであるため、同じ構成要素の説明は省略する。
支持部210は、基部211と、一対の支持片212と、を備えている。一対の支持片212は、基本例の支持片72A及び72Bと同様に、それらが並ぶZ軸方向において、面対称となる構成を採用している。したがって、以下では、図8Bに図示されている第1の押付部3Aと対向する一方の支持片212についてのみ説明し、第2の押付部3Bと対向する他方の支持片212については説明を省略する。
基部211は、矩形板状であって、2つの端子部2の一表面20に略平行する。基部211の、Y軸方向における挿入口11側の端部は、第1の鎖錠片4Aの延出部41と、第2の鎖錠片4Bの延出部41とに繋がっている。基部211の、Y軸方向における2つの鎖錠片とは反対側の端部は、一対の支持片212に繋がっている。基部211は、対向部5の内側面51と接触している。基部211のY軸方向における寸法は、基本例の基部71(図1B参照)に比べて小さい。第2の変形例の各鎖錠片のY軸方向における寸法も、基本例の各鎖錠片(図1B参照)に比べて小さい。
支持片212は、平板部2121と湾曲部2122とを有している。平板部2121は、例えば基本例の平板部721(図1B参照)と同形で同寸法である。湾曲部2122は、例えば基本例の湾曲部722(図1B参照)と同形で同寸法である。ここで平板部2121は、基本例の平板部721とは違って第1の押付部3Aの第1押付片31と接触する代わりに、第1の押付部3Aの第3押付片33の先端縁330と接触する。図示例では、平板部2121は、電線100が端子装置1内に挿入されていないときでも先端縁330と接触している。ただし、平板部2121は、電線100が挿入されていないとき、先端縁330と非接触状態にあり、電線100が挿入されて第1の押付部3AがX軸の負の向きに撓んだときに先端縁330と接触するように寸法関係が規定されていてもよい。要するに、平板部2121と先端縁330との間には、僅かに隙間があってもよい。
このように構成された支持部210は、基本例に比べて、電線100が端子装置1内に挿入されたときに、押付部3に対して端子部2側に向かってより効果的に弾性力を作用させることができる。具体的には、電線100が端子装置1内に挿入されたときに、第1の押付部3Aは、湾曲部301を支点としてX軸の負の向きに撓む。したがって、第1の押付部3AのX軸の負の向きへの塑性変形をより効果的に抑えるために、平板部2121は、出来るだけ第1の押付部3Aの湾曲部301から離れた、先端縁330で第1の押付部3Aと接触していることが望ましいと言える。 ところで、第2の変形例では、ばねブロック13のY軸方向における寸法が、基本例に比べて小さい。そのため、端子ブロック12及びばねブロック13がケース8(図3参照)内に収納されたとき、支持部210の湾曲部2122とケース8のカバーとの間に隙間ができる。要するに、ばねブロック13は、ケース8のカバーと非接触な状態となり、ばねブロック13の、収容空間50内における安定した位置決めが得られない可能性がある。そこで、ばねブロック13の安定した位置決めを得るために、上記隙間を埋める別の部材が、ばねブロック13とケース8のカバーとの間に設けられていてもよい。
(3.3)その他の変形例
以下に、その他の変形例について列記する。以下に説明する変形例も、上述した基本例と適宜組み合わせて適用可能である。
支持部7の各平板部721は、押付部3の第1押付片31と接触するだけでなく、第3押付片33の先端縁330(図8B参照)とも接触するように、そのY軸方向における寸法が長く設定されていてもよい。言い換えると、各平板部721のY軸方向における寸法は、押付部3のY軸方向における寸法と略同じであってもよい。この場合、押付部3のX軸の負の向きへの塑性変形をより効果的に抑えることができる。
端子装置1は、押付部3に対して端子部2側(X軸の正の向き)に弾性力を作用させる部材として、支持部7の代わりに、線ばねを備えていてもよい。この場合、線ばねは、押付部3と端子部2とに巻き付けられるように設けられていてもよい。
基本例では、突起44及び凹部63が設けられていたが、これらは端子装置1に必須の構成ではない。つまり、鎖錠部4は、突起44を有していなくてもよい。また、側壁部6は、凹部63を有していなくてもよい。
基本例では、各突起44は、延長部41の一端側(図1Bの下端側)に設けられていたが、延長部41のY軸方向における中央又は他端側(図1Bの上端側)等に設けられていてもよい。ただし、鎖錠部4の延長部41とばね部42との連結部分が対向部5から離れる向きに鎖錠部4が位置ずれすることを効果的に抑制する点を考慮すれば、各突起44は、基本例のように出来るだけ延長部41の一端側寄りに形成されていることが好ましい。
基本例では、端子装置1は、押付部3及び連結部30を備えていたが、これらは端子装置1に必須の構成ではない。端子装置1は、押付部3及び連結部30を備えていなくてもよい。この場合、端子装置1は、支持部7も備えていなくてもよい。ただし、この場合、鎖錠部4の延長部41は、Y軸方向における開口部121とは反対側の一端がケース8と接触するよう延長されていることが好ましい。
基本例では、鎖錠部4と支持部7とが一体に形成されていたが、互いに別体であってもよい。具体的には、別体に構成された鎖錠部4と支持部7とが、例えば、かしめ、溶接、又は圧着等により結合されていてもよい。
基本例では、端子装置1は、2つの側壁部6(第1の側壁部6A及び第2の側壁部6B)を備えていたが、この構成に限らず、側壁部としては、第1の側壁部6A及び第2の側壁部6Bのうちのいずれか1つのみを備えていてもよい。この場合、筒状体120は、筒状にはならず、Y軸方向の一方から見て略C字状になる。そして、鎖錠部4は、当該1つの側壁部6に対向する鎖錠片にのみ突起44を有することになる。ただし、鎖錠部4の位置ずれを効果的に抑えるために、基本例のように、鎖錠部4を挟み込むように少なくとも一対の側壁部6を設け、各側壁部6の凹部63に嵌まるように、鎖錠部4の各側壁部6に対向する側面に突起44をそれぞれ設けていることが好ましい。そして、各突起44が凹部63に嵌まることにより、各側壁部6に対して鎖錠部4が支持されていることが好ましい。
各端子部2の一表面20は、平坦面に限らず、例えばローレット加工などにより、一表面20に複数の凹凸が形成されていてもよい。この場合、端子装置1に対して電線100が抜き差しされる度に、複数の凹凸により電線100(心線)の表面の酸化被膜を除去することができる。さらに、複数の凹凸は、Y軸方向における電線100の滑り止めとしても機能する。
基本例では、押付部3と鎖錠部4とは別個の部材であるが、この構成に限らず、押付部3と鎖錠部4とは一体化されていてもよい。さらに、押付部3の形状、及び鎖錠部4の形状は、基本例で説明した形状に限らず、適宜変更可能である。
また、端子ブロック12は、1枚の金属板が曲げ加工されることにより形成される構成に限らず、例えば押出成形などで形成されてもよい。同様に、ばねブロック13は、1枚の金属板が曲げ加工されることにより形成される構成に限らず、例えば押出成形などで形成されてもよい。
また、接触部34が所定の曲率半径で湾曲していることは端子装置1に必須の構成ではなく、例えば接触部34が角張っていてもよい。同様に、端子ブロック12の第1角部61及び第2角部62においても、所定の曲率半径で湾曲していることは端子装置1に必須の構成ではなく、例えば角張っていてもよい。ばね部42の湾曲部分420及び支持部7の各湾曲部722についても、所定の曲率半径で湾曲していることは端子装置1に必須の構成ではなく、例えば角張っていてもよい。また、連結部30は湾曲部301を有しなくてもよい。
また、端子ブロック12は導電性を有していればよく、端子ブロック12の材料は銅に限らず、例えば黄銅、すず(Sn)青銅、又はりん(P)青銅等の銅合金などであってもよい。同様に、ばねブロック13は弾性を有していればよく、ばねブロック13の材料はステンレス鋼に限らず、例えば鉄(Fe)又は銅合金などであってもよい。端子ブロック12(押付部3)とばねブロック13(鎖錠部4)とは、同一の材料で構成されていてもよい。
また、端子装置1は、電線100を2本まで接続可能な2極型の端子装置に限らず、例えば3本の電線100を接続可能な3極型、又は4本の電線100を接続可能な4極型等、3本以上の電線100を接続可能な端子装置であってもよい。この場合、端子装置1においては、押付部3、鎖錠部4の鎖錠片及び連結部30は、極数と同じ数だけ設けられることが好ましい。つまり、3極型の端子装置1においては、押付部3、鎖錠部4の鎖錠片及び連結部30は3つずつ設けられることが好ましい。
基本例では、解除部材9は電線100の抜去時にのみ操作されるように説明したが、電線100の挿入時に操作されてもよい。つまり、作業者は、端子装置1に電線100を接続する際、解除部材9を操作して鎖錠部4の先端縁43を端子部2の一表面20から離れる向きに変位させた状態で、電線100を挿入してもよい。さらに、解除部材9は、作業者が手で直接操作してもよいし、ドライバ等の治具を用いて操作されてもよい。
(4)利点
以上説明したように、第1の態様に係る端子装置1は、端子部2と、押付部3と、鎖錠部4と、支持部(7,200,210)と、を備える。押付部3は、端子部2の一表面20と対向するように配置され、挿入口11から挿入方向に沿って挿入される電線100を端子部2との間に挟み込む。鎖錠部4は、端子部2の一表面20と対向するように配置され、電線100に接触して電線100の挿入口11側への移動を規制する。支持部(7,200,210)は、押付部3を支持する。端子部2及び押付部3は、一体に形成されている。支持部(7,200,210)は、端子部2側に向かって押付部3を押圧することにより押付部3を支持する。
この構成によれば、端子装置1は、端子部2側に向かって押付部3を押す弾性力を生じることにより押付部3を支持する支持部(7,200,210)を備えている。そのため支持部(7,200,210)が設けられていない場合に比べて、電線100を端子部2側へ押す力が高められる。特に、例えば電線100の抜き差しが繰り返し行われると、金属疲労等に起因して押付部3が端子部2から離れる方向に塑性変形してしまうことがあった。その結果、支持部(7,200,210)が設けられていない場合、押付部3だけでは電線100を端子部2側へ押す力が弱まり、端子部2と電線100との間における接触圧が低下することがあった。しかし、端子装置1が支持部(7,200,210)を備えることにより、接触圧の低下を抑制することができる。その結果、接続信頼性の低下を抑えることができる。
第2の態様に係る端子装置1に関して、第1の態様において、鎖錠部4及び支持部(7,210)は、一体に形成されていることが好ましい。この構成によれば、一つの部材でありながら、電線100の移動を規制する機能と、端子部2及び電線100間における接触圧の低下を抑制する機能と、を有する。したがって、部材点数を減らすことができる。更に、例えば電線100が引き抜かれるときに鎖錠部4が電線100からモーメントを受けて、鎖錠部4の一部が対向部5から離れる向きに回転しようとする。しかし、鎖錠部4と一体に形成された支持部(7,210)が対向する押付部3と接触することで、上記回転を抑制することもできる。
第3の態様に係る端子装置1は、第1の態様又は第2の態様において、支持部(7,210)は、押付部3を介して端子部2の一表面20と対向するように配置されていることが好ましい。この構成によれば、支持部(7,210)は、挿入される電線100と接触するといった現象の発生を抑えながらも、押付部3に対して弾性力を作用させることができる。つまり、電線100の挿入作業の邪魔になり難い構造を提供することができる。
第4の態様に係る端子装置1は、第3の態様において、対向部5と側壁部6とを、更に備えることが好ましい。対向部5は、端子部2の一表面20と対向するように配置され、端子部2との間に押付部3及び鎖錠部4が収まる収容空間50を形成する。側壁部6は、端子部2と対向部5とを連結する。この構成によれば、端子部2に対する、押付部3及び鎖錠部4の位置決めが容易となる。
第5の態様に係る端子装置1は、第1〜第4の態様のいずれかにおいて、鎖錠部4及び押付部3は、互いに別個の部材より構成されていることが好ましい。
この構成によれば、例えば電線100が挿入される際に、電線100から鎖錠部4に力が作用しても、この力が鎖錠部4から押付部3に伝わらず、端子部2に対する電線100の押付力は安定しやすくなる。その結果、電線100が、端子部2に対して不安定な接触状態になる可能性を低減することができる。
第6の態様に係る端子装置1に関して、第1〜第5の態様のいずれかにおいて、支持部(7,210)は、平板部(721,2121)と基部(71,211)と湾曲部(722,2122)とを有することが好ましい。平板部(721,2121)は、厚み方向の両側に第1表面(723)及び第2表面(724)を有する。基部(71,211)は、平板部(721,2121)の第1表面(723)と対向する。湾曲部(722,2122)は、上記挿入方向における挿入口11とは反対側に凸となるように湾曲する。また、湾曲部(722,2122)は、平板部(721,2121)及び基部(71,211)の、上記挿入方向における挿入口11とは反対側の一端同士を繋ぐように構成されている。支持部(7,210)は、平板部(721,2121)の第2表面(724)が押付部3と接触して、押付部3を押圧することにより押付部3を支持する。
この構成によれば、支持部(7,210)は、湾曲部(722,2122)の撓みを通じて、押付部3に対して端子部2側に向かって弾性力を作用させることができる。更に、支持部(7,210)は、平板状の平板部(721,2121)を通じて、押付部3に対して、より安定した接触を行うことができる。
第7の態様に係るに配線器具10は、第1〜第6の態様のいずれかの端子装置1と、端子装置1を収納する器具本体101と、を備える。この構成によれば、接続信頼性の低下を抑えることができる端子装置1を備えた配線器具10を提供することすることができる。
1 端子装置
2 端子部
20 一表面
3 押付部
4 鎖錠部
5 対向部
6 側壁部
7,200,210 支持部
721,2121 平板部
722,2122 湾曲部
723 第1表面
724 第2表面
71,211 基部
11 挿入口
50 収容空間
100 電線
101 器具本体

Claims (7)

  1. 端子部と、
    前記端子部の一表面と対向するように配置され、挿入口から挿入方向に沿って挿入される電線を前記端子部との間に挟み込む押付部と、
    前記端子部の前記一表面と対向するように配置され、前記電線に接触して前記電線の前記挿入口側への移動を規制する鎖錠部と、
    前記押付部を支持する支持部と、
    を備え、
    前記端子部及び前記押付部は、一体に形成されていて、
    前記支持部は、前記端子部側に向かって前記押付部を押圧することにより前記押付部を支持する
    端子装置。
  2. 前記鎖錠部及び前記支持部は、一体に形成されている
    請求項1に記載の端子装置。
  3. 前記支持部は、前記押付部を介して前記端子部の前記一表面と対向するように配置されている
    請求項1又は2に記載の端子装置。
  4. 前記端子部の前記一表面と対向するように配置され、前記端子部との間に前記押付部及び前記鎖錠部が収まる収容空間を形成する対向部と、
    前記端子部と前記対向部とを連結する側壁部と、
    を、更に備える
    請求項3に記載の端子装置。
  5. 前記鎖錠部及び前記押付部は、互いに別個の部材より構成されている
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の端子装置。
  6. 前記支持部は、
    厚み方向の両側に第1表面及び第2表面を有する平板部と、
    前記平板部の前記第1表面と対向する基部と、
    前記挿入方向における前記挿入口とは反対側に凸となるように湾曲する湾曲部と、
    を有し、
    前記湾曲部は、前記平板部及び前記基部の、前記挿入方向における前記挿入口とは反対側の一端同士を繋ぐように構成され、
    前記支持部は、前記平板部の前記第2表面が前記押付部と接触して、前記押付部を押圧することにより前記押付部を支持する
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の端子装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の端子装置と、
    前記端子装置を収納する器具本体と、
    を備える
    配線器具。
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