JP2018066774A - 吸音パネル - Google Patents
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Abstract
【課題】高周波数帯域の音に対する吸音効果又は遮音効果を発揮させつつ、共鳴による吸音面積を大きくして低周波数帯域の音に対する吸音率を向上させる。【解決手段】吸音パネル100は、正面板1と、正面板1と空間を介して対向する背面板2と、正面板1と背面板2とをこれらの外縁において接続する側面板3と、背面板2と側面板3とで構成される容器内に配置された箱体4とを有する。箱体4の内部には、吸遮音室5が形成されており、吸音材5xが配置される。箱体4の底部4aと背面板2とで挟まれた領域には、中空の共鳴管路6が形成されている。共鳴管路6は、正面板1側に配置された入口部6aから、吸遮音室5と背面板2とで挟まれた領域まで延在している。入口部6aは、正面板1に沿った面内において、吸遮音室5の入射部5aと並んでいる。【選択図】図3
Description
本発明は、音を吸収することができる吸音パネルに関する。
吸音パネルにおいて、高周波数帯域の音を吸音材や遮音材で低減し、低周波数帯域の音を中空の共鳴管で低減するという技術が知られている。例えば特許文献1では、正面板と背面板との間の空間において、吸音材と共鳴管とが交互に配置されている。
特許文献1の構成では、共鳴管が吸音材と同一層に配置されているため、共鳴による吸音面積を大きくすることが困難であり、低周波数帯域の音(例えば、レシプロ圧縮機等を音源とする音)に対する吸音率を向上させることができない。
本発明の目的は、高周波数帯域の音に対する吸音効果又は遮音効果を発揮させつつ、共鳴による吸音面積を大きくして低周波数帯域の音に対する吸音率を向上させることが可能な吸音パネルを提供することである。
本発明に係る吸音パネルは、通音性を有する正面板と、前記正面板と空間を介して対向し、遮音性を有する背面板と、前記空間の前記正面板側に配置された入射部を有すると共に少なくとも一部が前記背面板から離隔するように前記空間に設けられ、吸音性及び遮音性の少なくとも一方を有する吸遮音材が配置される吸遮音室と、前記空間の前記正面板側に配置された入口部であって前記正面板に沿った面内において前記入射部と並ぶ入口部から、前記空間の前記背面板側において前記吸遮音室と前記背面板とで挟まれた領域まで延在する、中空の共鳴管路と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、共鳴管路が、正面板側に配置された入口部から、吸遮音室と背面板とで挟まれた領域まで延在する。つまり、共鳴管路が、吸遮音室と同一層に配置された部分と、吸遮音室よりも背面板側に配置された部分とを有する。これにより、共鳴による吸音面積を大きくすることができる。したがって、本発明によれば、吸遮音室を設けることで高周波数帯域の音に対する吸音効果又は遮音効果を発揮させつつ、共鳴管路を上記のように構成することで共鳴による吸音面積を大きくして低周波数帯域の音に対する吸音率を向上させることができる。
前記吸遮音室の全体が前記背面板から離隔しており、前記空間の前記背面板側の前記背面板に沿った面内全体に前記共鳴管路が設けられてよい。この場合、共鳴による吸音面積をより確実に大きくすることができ、低周波数帯域の音に対する吸音率をより一層向上させることができる。
本発明に係る吸音パネルは、前記背面板における前記正面板と対向する面から前記正面板に向けて突出した突出部と、前記突出部の先端に配置され、前記空間において前記正面板及び前記背面板のそれぞれと対向し、前記吸遮音室と前記共鳴管路とを仕切る仕切板と、を備えてよい。この場合、背面板に設けられた突出部を利用して、吸遮音室及び共鳴管路を容易に形成することができる。
本発明に係る吸音パネルは、前記仕切板からなる底部と前記底部の周縁から前記正面板に向けて延出した側部とを有し、内部に前記吸遮音室が形成される箱体を備えてよい。この場合、吸遮音材の設置を容易に行うことができる。
前記箱体の内部に前記吸遮音材として吸音材が配置され、前記箱体の側部の少なくとも一部が通音性及び音減衰性を有してよい。この場合、箱体の側部にも吸音構造を適用したことで、低周波数帯域における幅広い帯域の音に対する吸音率を向上させることができる。
前記突出部は、先端に前記箱体の底部が配置された第1突出部と、前記第1突出部の側方において前記第1突出部よりも前記正面板に向けてさらに突出して先端に前記正面板が配置された第2突出部とを含み、前記箱体の側方の空間が、前記第2突出部によって区画され、複数の前記入口部を形成してよい。この場合、箱体の側方の空間が区画されない場合に比べ、共鳴管路の長さを長くすることができるため、より低い周波数帯域の音に対する吸音率を向上させることができると共に、吸音対象となる周波数帯域が同じ条件において、吸音パネルの小型化を図ることができる。
前記正面板の少なくとも一部が音減衰性をさらに有してよい。この場合、後に実施例で示すように、正面板が音減衰性を有さない場合に比べ、低周波数帯域における幅広い帯域の音に対する吸音率を向上させることができる。
前記吸遮音室と前記背面板とで挟まれた領域に、管路長が互いに異なる複数の前記共鳴管路が形成されてよい。この場合、共鳴管路毎に共鳴周波数が異なることとなり、幅広い周波数帯域(例えば、複数の音源)の音に対する吸音率を向上させることができる。
前記吸遮音室と前記背面板とで挟まれた領域に、前記入口部に接続する一端から前記背面板に沿った一方向に延在する第1管路部と前記第1管路部の他端に接続して前記他端から前記一方向と逆の方向に延在する第2管路部とを有する前記共鳴管路が形成されてよい。この場合、共鳴管路の長さを長くすることができるため、より低い周波数帯域の音に対する吸音率を向上させることができる。
前記吸遮音室と前記背面板とで挟まれた領域に、当該吸音パネルの厚み方向に並ぶ複数の前記共鳴管路が形成されてよい。この場合、共鳴管路毎に共鳴周波数が異なることとなり、幅広い周波数帯域(例えば、複数の音源)の音に対する吸音率を向上させることができる。
本発明によれば、共鳴管路が、正面板側に配置された入口部から、吸遮音室と背面板とで挟まれた領域まで延在する。つまり、共鳴管路が、吸遮音室と同一層に配置された部分と、吸遮音室よりも背面板側に配置された部分とを有する。これにより、共鳴による吸音面積を大きくすることができる。したがって、本発明によれば、吸遮音室を設けることで高周波数帯域の音に対する吸音効果又は遮音効果を発揮させつつ、共鳴管路を上記のように構成することで共鳴による吸音面積を大きくして低周波数帯域の音に対する吸音率を向上させることができる。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る吸音パネル100(図1〜図3参照)は、例えば、道路、鉄道等における騒音や、機器(エンジン、圧縮機、ポンプ、モータ等)周辺における騒音を低減するために、単体で、又は、複数を組み合わせて箱状(吸音パネル100を各面に配した六面体等)に形成して、使用される。
本発明の第1実施形態に係る吸音パネル100(図1〜図3参照)は、例えば、道路、鉄道等における騒音や、機器(エンジン、圧縮機、ポンプ、モータ等)周辺における騒音を低減するために、単体で、又は、複数を組み合わせて箱状(吸音パネル100を各面に配した六面体等)に形成して、使用される。
吸音パネル100は、正面板1と、正面板1と空間を介して対向する背面板2と、正面板1と背面板2とをこれらの外縁において接続する側面板3と、背面板2と側面板3とで構成される容器内に配置された4つの箱体4とを備えている。正面板1は、多数の貫通孔1xが形成されており、通音性(音を通過させる性能)及び音減衰性(音を減衰させる性能)を有する。背面板2及び側面板3は、遮音性(音を遮断する性能)を有する。吸音パネル100は、正面板1が音源と対向するように配置され、吸音方向(正面板1から背面板2に向かう方向)Aからみて矩形状である。
背面板2における正面板1と対向する面(図2及び図3の上面)には、正面板1に向けて突出した複数のリブ2pが形成されている。各リブ2pは、突出長さが側面板3よりも短く、背面板2を補強する機能、及び、箱体4を支持する機能を有する。吸音パネル100の幅方向(図1の上下方向)中央において1本のリブ2pが吸音パネル100の長手方向(図1の左右方向)に延在し、かつ、吸音パネル100の長手方向に一定の間隔をなして7本のリブ2pがそれぞれ吸音パネル100の幅方向に延在している。
4つの箱体4は、図1に示すように、吸音パネル100の長手方向に並び、かつ、それぞれ吸音パネル100の幅方向に対向する一対の側面板3から離隔している。各箱体4は、図2及び図3に示すように、上面(正面板1と対向する面)が開口した容器状の部材であり、底部4aと、底部4aの周縁から正面板1に向けて延出した側部4b1,4b2とを有する。各箱体4の内部には、吸遮音室5が形成されている。各箱体4の底部4aと背面板2とで挟まれた領域には、中空の共鳴管路6が形成されている。底部4aは、正面板1と背面板2との間の空間において正面板1及び背面板2のそれぞれと対向し、吸遮音室5と共鳴管路6とを仕切る仕切板に該当する。
吸遮音室5には、吸音性(音を吸収する性質)及び遮音性の少なくとも一方を有する吸遮音材(本実施形態では、吸音性を有する吸音材5x)が配置される。吸音材5xは、例えば、グラスウール、フェルト、ウレタン、金属繊維等からなる多孔質部材であってよい。吸遮音室5は、正面板1と背面板2との間の空間の正面板1側に配置された入射部5aを有すると共に、底部4aがリブ2pの先端に配置されることで、全体が背面板2から離隔するように正面板1と背面板2との間の空間に設けられている。本実施形態において、入射部5aは、箱体4の上面の開口部に該当する。
各箱体4において、吸音パネル100の幅方向に対向する一対の側部4b2は、図3に示すように、多数の貫通孔4xが形成されており、通音性及び音減衰性を有する。
本実施形態では、貫通孔1x,4xの直径や正面板1及び側部4b2の開口率を適宜設定することで、正面板1及び側部4b2に音減衰性が付与されている。貫通孔1x,4xの直径は、例えば0.3〜3.0mmである。正面板1及び側部4b2の開口率は、例えば10%以下である。正面板1及び側部4b2に入射した音は、貫通孔1x,4xを通過する際に減衰する。具体的には、貫通孔1x,4xの内部の空気を質量、貫通孔1x,4xに対する音の入射方向において貫通孔1x,4xよりも下流側の空気をバネとした振動系が形成され、この振動系の固有振動数と同じ周波数(共鳴周波数)の音が入射したときに共鳴が生じ、貫通孔1x,4xの内部の空気の運動エネルギーが当該空気と貫通孔1x,4x壁面との摩擦により減衰し、吸音効果が発揮される。
共鳴管路6は、正面板1と背面板2との間の空間の背面板2側において、背面板2に沿った面内全体に設けられている。本実施形態では、図1に示すように、各箱体4に対して4つの共鳴管路6が設けられている。換言すると、吸音パネル100の幅方向に並ぶ2つの共鳴管路6の組が吸音パネル100の長手方向に8つ並び、計16の共鳴管路6が設けられている。これら16の共鳴管路6のうち、吸音パネル100の長手方向に並ぶ8つの共鳴管路6が、それぞれ共通の入口部6aを有する。入口部6aは、吸音パネル100の幅方向の一端及び他端のそれぞれにおいて吸音パネル100の長手方向に延在している。
入口部6aは、図3に示すように、入射部5aと同様、正面板1と背面板2との間の空間の正面板1側に配置された部分である。入口部6aは、正面板1に沿った面内において入射部5aと並んでいる。
各共鳴管路6は、図3に示すように、入口部6aから、正面板1と背面板2との間の空間の背面板2側において吸遮音室5と背面板2とで挟まれた領域まで延在しており、側方から見て90°に折れ曲がった形状を有する。本実施形態では、吸音パネル100の幅方向の一端側(図1の上側)において吸音パネル100の長手方向に並ぶ8つの共鳴管路6は、それぞれ、吸音パネル100の幅方向の一端側に配置された入口部6aから、正面板1と背面板2との間の空間の背面板2側において吸遮音室5と背面板2とで挟まれた領域まで延在している。吸音パネル100の幅方向の他端側(図1の下側)において吸音パネル100の長手方向に並ぶ8つの共鳴管路6は、それぞれ、吸音パネル100の幅方向の他端側に配置された入口部6aから、正面板1と背面板2との間の空間の背面板2側において吸遮音室5と背面板2とで挟まれた領域まで延在している。
入射部5a及び入口部6aを音源の位置に合わせて配置することで、所望の吸音効果が得られる。
なお、正面板1、背面板2、リブ2p、側面板3及び箱体4は、任意の材料(例えば、アルミニウム、鉄、鋼等の金属、又は、樹脂)で構成されてよい。また、正面板1、背面板2、リブ2p、側面板3及び箱体4は、互いに同じ材料で構成されてもよいし、互いに異なる材料で構成されてもよい。正面板1、背面板2、リブ2p、側面板3及び箱体4は、任意の固定手段(例えば、ネジ、接着剤、リベット接合、溶接、又は、超音波圧着)により互いに固定されてよい。貫通孔1x,4xは、任意の加工(パンチング加工、エンボス加工等)により形成されてよい。
また、正面板1における複数の貫通孔1xの構成は、正面板1全体で同じであってもよいし、正面板1の領域毎に異なってもよい。前者の場合、正面板1の作製が容易であり、生産性を向上させることができる。後者の場合、例えば、正面板1における入射部5a及び入口部6aのそれぞれに対向する領域で構成を変えること(入射部5aに対向する領域の開口率を30%以上とし、入口部6aに対向する領域の開口率を10%以下とする等)により、吸遮音室5及び共鳴管路6のそれぞれにおける吸音性能を最適にすることができる。
以上に述べたように、第1実施形態によれば、共鳴管路6が、正面板1側に配置された入口部6aから、吸遮音室5と背面板2とで挟まれた領域まで延在する。つまり、共鳴管路6が、吸遮音室5と同一層に配置された部分と、吸遮音室5よりも背面板2側に配置された部分とを有する。これにより、共鳴による吸音面積を大きくすることができる。即ち、本実施形態によれば、吸遮音室5を設けることで高周波数帯域の音に対する吸音効果又は遮音効果を発揮させつつ、共鳴管路6を上記のように構成することで共鳴による吸音面積を大きくして低周波数帯域の音に対する吸音率を向上させることができる。
また、入口部6aが正面板1側に配置されているため、音源からの音を直接共鳴管路6に導くことができる。さらに、正面板1に沿った面内において入射部5aと入口部6aとが並んでいるため、音源に対する配置設計がし易く、所望の吸音効果を得ることができる。
吸遮音室5の全体が背面板2から離隔しており、正面板1と背面板2との間の空間の背面板2側の背面板2に沿った面内全体に共鳴管路6が設けられている。この場合、共鳴による吸音面積をより確実に大きくすることができ、低周波数帯域の音に対する吸音率をより一層向上させることができる。
吸音パネル100は、背面板2における正面板1と対向する面から正面板1に向けて突出したリブ2pと、リブ2pの先端に配置され、正面板1と背面板2との間の空間において正面板1及び背面板2のそれぞれと対向し、吸遮音室5と共鳴管路6とを仕切る仕切板(底部4a)とを備えている。この場合、背面板2に設けられたリブ2pを利用して、吸遮音室5及び共鳴管路6を容易に形成することができる。
吸音パネル100は、内部に吸遮音室5が形成される箱体4を備えている。この場合、吸遮音材の設置を容易に行うことができる。
箱体4の内部に吸遮音材として吸音材5xが配置され、箱体4の側部4b2が通音性及び音減衰性を有する。この場合、箱体4の側部4b2にも吸音構造を適用したことで、低周波数帯域における幅広い帯域の音に対する吸音率を向上させることができる。
正面板1が、通音性のみならず、音減衰性を有する。この場合、後に実施例で示すように、正面板1が音減衰性を有さない場合に比べ、低周波数帯域における幅広い帯域の音に対する吸音率を向上させることができる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る吸音パネル100(図4参照)は、貫通孔1xの直径が比較的大きく正面板1が音減衰性を有さない点、箱体4及び吸音材5xではなく遮音材5yが設けられている点において第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。本実施形態では、遮音材5yが配置された空間が吸遮音室5に該当し、遮音材5yの上面(正面板1と対向する面)が入射部5aに該当する。遮音材5yは、例えば、コンクリート製、金属製、木製等の中空又は中実の部材(鋼板、コンクリート壁、ベニヤ板等)であってよい。
本発明の第2実施形態に係る吸音パネル100(図4参照)は、貫通孔1xの直径が比較的大きく正面板1が音減衰性を有さない点、箱体4及び吸音材5xではなく遮音材5yが設けられている点において第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。本実施形態では、遮音材5yが配置された空間が吸遮音室5に該当し、遮音材5yの上面(正面板1と対向する面)が入射部5aに該当する。遮音材5yは、例えば、コンクリート製、金属製、木製等の中空又は中実の部材(鋼板、コンクリート壁、ベニヤ板等)であってよい。
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の構成による上記と同様の効果を得ることができると共に、吸遮音室5に吸遮音材として遮音材5yを配置したことで、遮音材5yと背面板2との2重壁により遮音性能を向上させることができる。
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係る吸音パネル100(図5及び図6参照)は、リブ2p、箱体4、入射部5a及び入口部6aの構成において第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。
本発明の第3実施形態に係る吸音パネル100(図5及び図6参照)は、リブ2p、箱体4、入射部5a及び入口部6aの構成において第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。
本実施形態では、吸音パネル100の幅方向(図5の上下方向)中央において吸音パネル100の長手方向(図5の左右方向)に延在する1本のリブ2pは、突出長さが側面板3と同じであって、先端に箱体4ではなく正面板1が配置されている(図6参照)。即ち、当該リブ2pは、背面板2を補強する機能を有し、箱体4を支持する機能を有さない。吸音パネル100の長手方向に一定の間隔をなして配置されたリブ2pは、それぞれ、先端に箱体4の底部4aが配置された第1突出部2p1と、第1突出部2p1の側方において第1突出部2p1よりも正面板1に向けてさらに突出して先端に正面板1が配置された第2突出部2p2とを含む。これにより、箱体4の側方の空間が、第2突出部2p2によって区画され、複数の入口部6aを形成している(図5参照)。
本実施形態では、図5に示すように、吸音パネル100の長手方向に並ぶ4つの箱体4の組が吸音パネル100の幅方向一端側(図5の上側)及び他端側(図5の下側)にそれぞれ配置され、計8つの箱体4が設けられている。吸音パネル100の幅方向に対向する2つの箱体4は、吸音パネル100の幅方向中央に配置されたリブ2pを挟んで、吸音パネル100の幅方向に互いに離隔している。各箱体4は、図6に示すように、一対の側部4b2の両方ではなく片方のみ、多数の貫通孔4xが形成されており、通音性及び音減衰性を有する。
本実施形態では、図5に示すように、箱体4に対応して8つの入射部5aが設けられている。入口部6aは共鳴管路6毎に設けられており、各箱体4に対して2つずつ計16の入口部6aが形成されている。これら入口部6aは、全体として吸音パネル100の幅方向中央において吸音パネル100の長手方向に延在すると共に、第2突出部2p2によって区画されている。
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の構成による上記と同様の効果を得ることができると共に、さらに以下のような効果を得ることができる。
リブ2pが、先端に箱体4の底部4aが配置された第1突出部2p1と、第1突出部2p1の側方において第1突出部2p1よりも正面板1に向けてさらに突出して先端に正面板1が配置された第2突出部2p2とを含み、箱体4の側方の空間が、第2突出部2p2によって区画され、複数の入口部6aを形成している。この場合、箱体4の側方の空間が区画されない場合に比べ、共鳴管路6の長さを長くすることができるため、より低い周波数帯域の音に対する吸音率を向上させることができると共に、吸音対象となる周波数帯域が同じ条件において、吸音パネル100の小型化を図ることができる。
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態に係る吸音パネル100(図7及び図8参照)は、箱体4及び入口部6aの構成において第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。
本発明の第4実施形態に係る吸音パネル100(図7及び図8参照)は、箱体4及び入口部6aの構成において第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。
本実施形態では、側部4b2に貫通孔4xが形成されていない。また、各側部4b2に、第3実施形態に係る第2突出部2p2の一部となる延出部2p22が設けられている。延出部2p22は、各側部4b2の外面から、当該外面と直交する方向に延出している。箱体4を背面板2と側面板3とで構成される容器内に配置すると、延出部2p22と、第3実施形態に係る第1突出部2p1の側方にあるリブ片2p21とが接触し、延出部2p22とリブ片2p21とで第3実施形態に係る第2突出部2p2が形成される。
本実施形態では、第3実施形態と同様、箱体4の側方の空間が、第2突出部2p2によって区画され、複数の入口部6aを形成している。
第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の構成による上記と同様の効果を得ることができると共に、さらに以下のような効果を得ることができる。
第3実施形態と同様、リブ2pが第1突出部2p1と第2突出部2p2とを含み、箱体4の側方の空間が、第2突出部2p2によって区画され、複数の入口部6aを形成している。したがって、第3実施形態で述べた効果と同様の効果(即ち、より低い周波数帯域の音に対する吸音率を向上させることができると共に、吸音対象となる周波数帯域が同じ条件において、吸音パネル100の小型化を図ることができるという効果)を得ることができる。
<第5実施形態>
本発明の第5実施形態に係る吸音パネル100(図9及び図10参照)は、リブ2pの配置(及び、これにより複数の共鳴管路6において管路長に違いが生じている点)において第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。
本発明の第5実施形態に係る吸音パネル100(図9及び図10参照)は、リブ2pの配置(及び、これにより複数の共鳴管路6において管路長に違いが生じている点)において第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。
本実施形態では、吸音パネル100の長手方向(図9の左右方向)に延在する1本のリブ2pが、吸音パネル100の幅方向(図9の上下方向)中央ではなく、当該中央よりも吸音パネル100の幅方向の他端側(図9の下側)に配置されている。これにより、吸音パネル100の幅方向に隣接して配置される2つの共鳴管路6の管路長が互いに異なっている。
第5実施形態によれば、第1実施形態と同様の構成による上記と同様の効果を得ることができると共に、さらに以下のような効果を得ることができる。
吸遮音室5と背面板2とで挟まれた領域に、管路長が互いに異なる複数の共鳴管路6が形成されている。この場合、共鳴管路6毎に共鳴周波数が異なることとなり、幅広い周波数帯域(例えば、複数の音源)の音に対する吸音率を向上させることができる。
<第6実施形態>
本発明の第6実施形態に係る吸音パネル100(図11参照)は、リブ2p、箱体4、入射部5a、入口部6a及び共鳴管路6の構成において第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。
本発明の第6実施形態に係る吸音パネル100(図11参照)は、リブ2p、箱体4、入射部5a、入口部6a及び共鳴管路6の構成において第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。
本実施形態では、吸音パネル100の幅方向(図11の上下方向)中央に1本、その両側に2本、計3本のリブ2pが吸音パネル100の長手方向(図11の左右方向)にそれぞれ延在している。吸音パネル100の幅方向に延在するリブ2pは、上記3本のリブ2pのうち吸音パネル100の幅方向中央に設けられたリブ2p以外の2本のリブ2pの外面から延びている。
本実施形態では、2つの箱体4が、吸音パネル100の長手方向に並び、かつ、それぞれ側面板3から離隔している。箱体4に対応して、2つの入射部5aが設けられている。入口部6aは、正面板1の四辺に沿って、2つの入射部5aを囲むように設けられている。共鳴管路6は、吸遮音室5と背面板2とで挟まれた領域において、吸音パネル100の長手方向に延在する共鳴管路6(例えば、図11に示す共鳴管路6x)と、吸音パネル100の幅方向に延在する共鳴管路6(例えば、図11に示す共鳴管路6y)とがあり、これらの管路長は互いに異なっている。
第6実施形態によれば、第1実施形態と同様の構成による上記と同様の効果を得ることができると共に、さらに以下のような効果を得ることができる。
第5実施形態と同様、吸遮音室5と背面板2とで挟まれた領域に、管路長が互いに異なる複数の共鳴管路6が形成されている(図11の共鳴管路6x,6y参照)。この場合、共鳴管路6毎に共鳴周波数が異なることとなり、幅広い周波数帯域(例えば、複数の音源)の音に対する吸音率を向上させることができる。
<第7実施形態>
本発明の第7実施形態に係る吸音パネル100(図12参照)は、リブ2p、箱体4、入射部5a、入口部6a及び共鳴管路6の構成において第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。
本発明の第7実施形態に係る吸音パネル100(図12参照)は、リブ2p、箱体4、入射部5a、入口部6a及び共鳴管路6の構成において第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。
本実施形態では、吸音パネル100の長手方向(図12の左右方向)に延在するリブがなく、吸音パネル100の幅方向(図12の上下方向)に延在する複数のリブが吸音パネル100の長手方向に沿って千鳥状に配置されている。
本実施形態では、2つの箱体4が、吸音パネル100の長手方向の中央かつ吸音パネル100の幅方向の一方側(図12の上側)に設けられた入口部6aを避けるように、吸音パネル100の長手方向に並んで配置されている。また、当該入口部6aを共有する2つの共鳴管路6が、吸音パネル100の長手方向に並んで配置されている。各共鳴管路6は、吸遮音室5と背面板2とで挟まれた領域において、入口部6aに接続する一端から背面板2に沿った一方向(図12の下方向)に延在する第1管路部61と、第1管路部61の他端に接続して当該他端から上記一方向と逆の方向(図12の上方向)に延在する第2管路部62とを有する。
第7実施形態によれば、第1実施形態と同様の構成による上記と同様の効果を得ることができると共に、さらに以下のような効果を得ることができる。
吸遮音室5と背面板2とで挟まれた領域に、入口部6aに接続する一端から背面板2に沿った一方向(図12の下方向)に延在する第1管路部61と、第1管路部61の他端に接続して当該他端から上記一方向と逆の方向(図12の上方向)に延在する第2管路部62とを有する共鳴管路6が形成されている。この場合、共鳴管路6の長さを長くすることができるため、より低い周波数帯域の音に対する吸音率を向上させることができる。
<第8実施形態>
本発明の第8実施形態に係る吸音パネル100(図13参照)は、区画板8を設けることにより共鳴管路6が二層構造となっている点において第3実施形態と異なり、それ以外は第3実施形態と同様である。
本発明の第8実施形態に係る吸音パネル100(図13参照)は、区画板8を設けることにより共鳴管路6が二層構造となっている点において第3実施形態と異なり、それ以外は第3実施形態と同様である。
第8実施形態によれば、第1実施形態と同様の構成による上記と同様の効果を得ることができると共に、さらに以下のような効果を得ることができる。
吸遮音室5と背面板2とで挟まれた領域に、当該吸音パネル100の厚み方向(図13の上下方向)に並ぶ2つの共鳴管路6が形成されている。この場合、共鳴管路6毎に共鳴周波数が異なることとなり、幅広い周波数帯域(例えば、複数の音源)の音に対する吸音率を向上させることができる。
本願発明者は、本発明の比較例、第1実施例及び第2実施例に係る吸音パネルのそれぞれについて吸音率を測定した。その結果を図14に示す。
比較例に係る吸音パネルは、特許文献1のように、正面板と背面板との間の空間において吸音材と共鳴管とが交互に配置され、共鳴管路が吸音材と同一層に配置された構成を有する。第1実施例に係る吸音パネルは、第1実施形態の吸音パネル100(図3参照)と同様の構成(即ち、貫通孔1xの直径が比較的小さく(例えば0.5〜1mm程度)、正面板1が音減衰性を有する構成)を有する。第2実施例に係る吸音パネルは、第1実施形態の吸音パネル100(図3参照)において正面板1を第2実施形態のものに置換した構成(即ち、貫通孔1xの直径が比較的大きく(3mm超)、正面板1が音減衰性を有さない構成)を有する。
図14から、低周波数帯域(特に250Hz以下の帯域)において、比較例よりも第1実施例及び第2実施例の方が、吸音率が高いことがわかる。また、第1実施例(正面板が音減衰性を有する構成)の方が、第2実施例(正面板が音減衰性を有さない構成)よりも、低周波数帯域(特に250Hz以下の帯域)における幅広い帯域の音に対して高い吸音率が得られることがわかる。具体的には、第2実施例の場合、250Hz以下の帯域において吸音率が0.5以上となるのは125Hzの1帯域のみである。これに対し、第1実施例の場合、250Hz以下の帯域において吸音率が0.5以上となるのは80〜200Hzの5帯域である。
さらに、図14から、第1実施例及び第2実施例は、低周波数帯域(特に250Hz以下の帯域)において比較例よりも高い吸音率が得られると共に、高周波数帯域の音(ファン等を音源とする音)においても比較例と同等の吸音率が得られることがわかる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
・吸遮音室及び共鳴管路の構成は、音源の配置や周波数特性に合わせて適宜変更してよい。
・正面板や箱体の側部に音減衰性を付与するための手段として、上述の実施形態では貫通孔の直径や板の開口率を設定することを例示したが、これに限定されない。例えば、正面板や箱体の側部を金属多孔質材料(金属繊維、金属焼結材等)、繊維系材料、セラミック多孔質材料等で形成することで、正面板や箱体の側部に音減衰性を付与してもよい。
・共鳴管路は、背面板に沿った面内の全体ではなく一部に設けられてもよい。
・正面板や箱体の側部に音減衰性を付与するための手段として、上述の実施形態では貫通孔の直径や板の開口率を設定することを例示したが、これに限定されない。例えば、正面板や箱体の側部を金属多孔質材料(金属繊維、金属焼結材等)、繊維系材料、セラミック多孔質材料等で形成することで、正面板や箱体の側部に音減衰性を付与してもよい。
・共鳴管路は、背面板に沿った面内の全体ではなく一部に設けられてもよい。
1 正面板
1x 貫通孔
2 背面板
2p リブ(突出部)
2p1 第1突出部
2p2 第2突出部
3 側面板
4 箱体
4a 底部(仕切板)
4b1,4b2 側部
4x 貫通孔
5 吸遮音室
5a 入射部
5x 吸音材(吸遮音材)
5y 遮音材(吸遮音材)
6,6x,6y 共鳴管路
6a 入口部
61 第1管路部
62 第2管路部
100 吸音パネル
A 吸音方向
1x 貫通孔
2 背面板
2p リブ(突出部)
2p1 第1突出部
2p2 第2突出部
3 側面板
4 箱体
4a 底部(仕切板)
4b1,4b2 側部
4x 貫通孔
5 吸遮音室
5a 入射部
5x 吸音材(吸遮音材)
5y 遮音材(吸遮音材)
6,6x,6y 共鳴管路
6a 入口部
61 第1管路部
62 第2管路部
100 吸音パネル
A 吸音方向
Claims (10)
- 通音性を有する正面板と、
前記正面板と空間を介して対向し、遮音性を有する背面板と、
前記空間の前記正面板側に配置された入射部を有すると共に少なくとも一部が前記背面板から離隔するように前記空間に設けられ、吸音性及び遮音性の少なくとも一方を有する吸遮音材が配置される吸遮音室と、
前記空間の前記正面板側に配置された入口部であって前記正面板に沿った面内において前記入射部と並ぶ入口部から、前記空間の前記背面板側において前記吸遮音室と前記背面板とで挟まれた領域まで延在する、中空の共鳴管路と、
を備えたことを特徴とする吸音パネル。 - 前記吸遮音室の全体が前記背面板から離隔しており、前記空間の前記背面板側の前記背面板に沿った面内全体に前記共鳴管路が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の吸音パネル。
- 前記背面板における前記正面板と対向する面から前記正面板に向けて突出した突出部と、
前記突出部の先端に配置され、前記空間において前記正面板及び前記背面板のそれぞれと対向し、前記吸遮音室と前記共鳴管路とを仕切る仕切板と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の吸音パネル。 - 前記仕切板からなる底部と前記底部の周縁から前記正面板に向けて延出した側部とを有し、内部に前記吸遮音室が形成される箱体を備えたことを特徴とする請求項3に記載の吸音パネル。
- 前記箱体の内部に前記吸遮音材として吸音材が配置され、
前記箱体の側部の少なくとも一部が通音性及び音減衰性を有することを特徴とする請求項4に記載の吸音パネル。 - 前記突出部は、先端に前記箱体の底部が配置された第1突出部と、前記第1突出部の側方において前記第1突出部よりも前記正面板に向けてさらに突出して先端に前記正面板が配置された第2突出部とを含み、
前記箱体の側方の空間が、前記第2突出部によって区画され、複数の前記入口部を形成することを特徴とする請求項4又は5に記載の吸音パネル。 - 前記正面板の少なくとも一部が音減衰性をさらに有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸音パネル。
- 前記吸遮音室と前記背面板とで挟まれた領域に、管路長が互いに異なる複数の前記共鳴管路が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸音パネル。
- 前記吸遮音室と前記背面板とで挟まれた領域に、前記入口部に接続する一端から前記背面板に沿った一方向に延在する第1管路部と前記第1管路部の他端に接続して前記他端から前記一方向と逆の方向に延在する第2管路部とを有する前記共鳴管路が形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸音パネル。
- 前記吸遮音室と前記背面板とで挟まれた領域に、当該吸音パネルの厚み方向に並ぶ複数の前記共鳴管路が形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の吸音パネル。
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