JP6851404B2 - 消音換気構造 - Google Patents

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Description

本発明は、クランクボックス型の消音換気構造に係る。詳しくは、本発明は、化粧板と壁との間に設けられ、通気性を維持したまま高い消音効果を有するクランクボックス型の消音換気構造に関する。
従来、通風性が求められる換気スリーブ、及びガラリ等の換気構造は、空気と同時に音も通過させてしまうことから、騒音対策が求められる場合がある。従来の換気構造においては、消音性能を得るために構造内に吸音材を設置することが行われている(特許文献1、2、及び3参照)。
特許文献1に記載の技術は、建物内外の換気を行うクランクボックス型の消音換気装置である。この消音換気装置は、内面に吸音材を貼り付けた中空の消音容器と、消音容器の屋外側換気口には、同軸同内径の共鳴音吸音材、及び給気筒からなる減音装置とにより構成される。この消音換気装置は、室内の空気流動抵抗を高めることなく遮音性を向上することができるとしている。
特許文献2に記載の技術は、建物内外の換気を行う屈曲形状の通気路を多段状に配設し、通気路を通過する騒音音波の音圧を低減させるようにしたガラリ構造の消音装置である。この消音装置は、隣り合う通気路同士を隔てる、屈曲形状に形成された羽根体と、羽根体の内側の空間に吸音材を収容する消音室と、通気路に臨む羽根体の表面に設けられ、通気路の一方の第1通風口から進入する騒音音波を消音室の内部に導く板状部材(曲面形状の音波反射板)とを備えている。このガラリ構造の消音装置では、通気路の長さを短くすることができると共に、通気路と消音室を壁面全体にわたって多段状に積層させることができ、遮音性を備えながら優れた通気性を得ることができるとしている。
特許文献3に記載の技術も、特許文献2と同様に、建物内外の換気を行う屈曲形状の通気路を多段状に配設し、通気路を通過する騒音音波の音圧を低減させるようにしたガラリ構造の消音装置である。この消音装置は、騒音音波を反射する曲面形状の第1、及び第2の音波反射板と、それぞれ吸音材を収容し、第1、及び第2の音波反射板によって反射された騒音音波を導入して音圧を低減させる第1、及び第2の消音室と、を備え、第1の消音室と第2の消音室とは通気路内に連続して配置されている。このガラリ構造の消音装置でも、特許文献2の消音装置と同様に、通気路の長さを短くすることが可能になると共に、通気路と消音室を壁面全体にわたって多段状に積層させることができ、遮音性を備えながら優れた通気性を得ることができるとしている。
特開2013−164229号公報 特開2008−144996号公報 特開2008−122023号公報
ところで、換気構造において、消音性能を得るために吸音材を設置することが有効であるが、消音性能を高め、高い消音性能を得るために吸音材を多く設置してしまうと、通風性が損なわれるという問題があった。
また、特許文献1に記載の技術では、内面に吸音材を貼り付けた中空の消音容器の他に、消音容器の屋外側換気口に取り付ける減音装置が必要である。このため、化粧板と外周壁との間の空間に消音容器に加えて少なくとも減音装置の共鳴音吸音材を取り付けるスペースが必要となるため、化粧板と外周壁との間の空間が狭い場合、通気性が十分に確保できないという問題があった。また、共鳴音吸音材による共鳴吸音の場合、消音性能が充分でないという問題があった。
また、特許文献2、及び3に開示の技術では、ガラリ構造が前提であり、化粧板と外周壁(コンクリート壁)との間に、消音室(羽根体)間の通気路を多段状に重ねて配設することは空間制約から難しいという問題があった。また、特許文献2、及び3に開示の技術では、曲面形状の音波反射板を用いたり、パンチングプレートを用いたりしているため、コスト高となるという問題があった。
したがって、化粧板と外周壁(コンクリート壁)との間に設置されるクランクボックス型の消音換気構造において、高い消音性能と通風性を両立させるためには、同一体積の吸音材を用いながら、より高い効率で音を吸収することが求められていた。
本発明は、上記従来技術の問題点及び課題を解決し、化粧板と壁とに配置する消音換気構造において、通気性を維持したまま消音性能を高めることができ、従来の吸音材、及び気柱共鳴構造よりも高い消音効果を有するクランクボックス型の消音換気構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様の消音換気構造は、2つの空間を隔てる化粧板と壁とを連通するように設けられるクランクボックス型の消音換気構造であって、化粧板と壁との間の空間に配置される中空の消音容器と、消音容器の対向する2つの側面にそれぞれ接続され、それぞれ消音容器内の空間と連通する少なくとも2つの開口管部と、消音容器の内部に備えられた吸音材と、吸音材の表面の一部を被覆する被覆材と、を有し、消音容器の一方の側面の開口管部は、化粧板を連通するように配置され、消音容器の他方の側面の開口管部は、壁を連通するように配置され、一方の側面の開口管部と、他方の側面の開口管部とは、消音容器の長手方向に異なる位置に配置され、被覆材は、吸音材の表面の他の一部を露出させて、消音容器内の空間と接触する少なくとも1つの接触面を構成するものであり、少なくとも1つの接触面は、消音容器の共振モードの波長をλ、消音容器の長手方向の長さをL、正の整数をnとして、共振モードの波長λnをλn=2L/nとし、かつλnの音波が可聴域に該当するとき、消音容器内の長手方向の端部からλn/8の範囲内に存在する
ここで、吸音材は、開口管部を除く消音容器の内面に貼り付けられており、被覆材は、遮音性のある材質であることが好ましい。
また、正の整数nは、3以下であることが好ましい。
また、少なくとも1つの接触面は、吸音材の表面の全面積に対して、1%〜50%の面積を占めることが好ましい。
また、吸音材は、開口管部を除く消音容器の内面の全面積に対して、50%以上の面積に貼り付けられていることが好ましい。
また、吸音材の体積は、消音容器の体積の1%〜50%であることが好ましい。
また、吸音材は、開口管部を除く消音容器の内面の全面に貼り付けられていることが好ましい。
また、更に、消音容器内の空間に開口する開口部を有する少なくとも1つの管状体を有し、管状体の内部には吸音材が充填されており、管状体の開口部は、吸音材の表面の一部を露出させて、露出部分を消音容器内の空間と接触する接触面として構成することが好ましい。
上記目的を達成するために、本発明の第2の態様の消音換気構造は、2つの空間を隔てる化粧板と壁とを連通するように設けられるクランクボックス型の消音換気構造であって、化粧板と壁との間の空間に配置される中空の消音容器と、消音容器の対向する2つの側面にそれぞれ接続され、それぞれ消音容器内の空間と連通する少なくとも2つの開口管部と、消音容器内の空間に開口する開口部を有する少なくとも1つの管状体と、管状体の内部に備えられた吸音材と、を有し、消音容器の一方の側面の開口管部は、化粧板を連通するように配置され、消音容器の他方の側面の開口管部は、壁を連通するように配置され、一方の側面の開口管部と、他方の側面の開口管部とは、消音容器の長手方向に異なる位置に配置され、管状体の開口部は、吸音材の表面の一部を露出させて、露出部分を消音容器内の空間と接触する接触面として構成する。
ここで、接触面は、消音容器の共振モードの波長をλ、消音容器の長手方向の長さをL、正の整数をnとして、共振モードの波長λnをλn=2L/nとし、かつλnの音波が可聴域に該当するとき、少なくともいずれかの波長λnの音波の音圧の腹からλn/8の範囲内に存在すること、又は消音容器内の長手方向の端部からλn/8の範囲内に存在することが好ましい。
また、正の整数nは、3以下であることが好ましい。
また、接触面は、開口管部を除く消音容器の内面の全面積に対して、1%〜50%の面積を占めることが好ましい。
また、吸音材の体積は、消音容器の体積の1%〜50%であることが好ましい。
また、管状体は、消音容器内に配置されることが好ましい。
また、管状体は、消音容器外に配置され、管状体の開口部は、消音容器の少なくとも1つの側面に開口していることが好ましい。
また、管状体は、壁及び化粧板の少なくとも一方の側に突出した状態で壁及び化粧板の少なくとも一方に埋まっていることが好ましい。
また、管状体は、遮音性のある材質で構成されていることが好ましい。
また、管状体の一端側の開口部の中心から管状体の他端側の端部までの管状体の内部空間の長手方向の長さをLdとし、消音容器の長手方向における開口部の幅をLoとし、消音容器の共鳴モードの次数が1である共鳴モードの周波数の波長をλとする時、長手方向の長さをLdは、下記式(1)、及び(2)を満足することが好ましい。
Ld>Lo …(1)
0.011×λ<Ld<0.25×λ …(2)
また、消音容器の長手方向に平行な断面において、管状体の内部空間の長手方向の長さに直交する方向の内部空間の幅をLwとする時、内部空間の幅Lwは、下記式(3)を満足することが好ましい。
0.001×λ<Lw<0.061×λ …(3)
また、管状体の開口部の面積をS1とし、管状体の内部空間の内面の全表面積をSdとし、管状体の一端側の開口部の中心から管状体の他端側の端部までの管状体の内部空間の長手方向の長さをLdとし、消音容器の共鳴モードの次数が1である共鳴モードの周波数の波長をλとする時、面積Sdに対する面積S1の割合S1/Sd、及び長手方向の長さをLdは、下記式(4)、及び(2)を満足することが好ましい。
0<S1/Sd<40% …(4)
0.011×λ<Ld<0.25×λ …(2)
本発明によれば、化粧板と壁とに配置する消音換気装置において、通気性を維持したまま消音性能を高めることができ、従来の吸音材、及び気柱共鳴構造よりも高い消音効果を有するクランクボックス型の消音換気構造を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る消音換気構造の一例を示す模式的断面図である。 図1に示す消音換気構造の消音容器の振動モードを表わす模式図及び模式的に示すグラフである。 本発明の他の実施形態に係る消音換気構造の一例を示す模式的断面図である。 本発明の他の実施形態に係る消音換気構造の他の一例を示す模式的断面図である。 本発明の他の実施形態に係る消音換気構造の他の一例を示す模式的断面図である。 図5に示す消音換気構造の消音容器の複数の共振モードを模式的に示すグラフである。 本発明の他の実施形態に係る消音換気構造の他の一例を示す模式的断面図である。 参考例の消音換気構造を示す模式的断面図である。 比較例1の消音換気構造を示す模式的断面図である。 本発明の実施例において用いた基本計算モデルを示す説明図である。 本発明の実施例1、参考例、及び比較例1の周波数と音圧の絶対値の2乗の平均値との関係を示すグラフである。 本発明の他の実施形態に係る消音換気構造の他の一例を示す模式的断面図である。 比較例2−1の消音換気構造を示す模式的断面図である。 比較例2−2の消音換気構造を示す模式的断面図である。 本発明の実施例2、参考例、比較例2−1、及び比較例2−2の周波数と音圧の絶対値の2乗の平均値との関係を示すグラフである。 本発明の実施例3に係る消音換気構造を示す模式的断面図である。 本発明の実施例3−1〜3−5、及び参考例の周波数と音圧の絶対値の2乗の平均値との関係を示すグラフである。 図9に示す消音換気構造の消音容器の音圧分布の一例を示す模式図である。 図9に示す消音換気構造の消音容器の音圧分布の他の一例を示す模式図である。 本発明の実施例3−1〜3−5の消音容器の端部及び管状体開口部中心間の距離と音圧の絶対値の2乗の平均値との関係を示すグラフである。 本発明の他の実施形態に係る消音換気構造の他の一例を示す模式的断面図である。 音響管4マイク測定法を実施する音響特性測定系の模式図である。
以下に、本発明に係る消音換気構造を詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の第1の実施形態の消音換気構造は、2つの空間を隔てる化粧板と壁とを連通するように設けられるクランクボックス型の消音換気構造であって、化粧板と壁との間の空間に配置される中空の消音容器と、消音容器の対向する2つの側面にそれぞれ接続され、それぞれ消音容器内の空間と連通する少なくとも2つの開口管部と、消音容器の内部に備えられた吸音材と、吸音材の表面の一部を被覆する被覆材と、を有し、消音容器の一方の側面の開口管部は、化粧板を連通するように配置され、消音容器の他方の側面の開口管部は、壁を連通するように配置され、一方の側面の開口管部と、他方の側面の開口管部とは、消音容器の長手方向に異なる位置に配置され、被覆材は、吸音材の表面の他の一部を露出させて、消音容器内の空間と接触する少なくとも1つの接触面を構成することを特徴とする。
また、本発明の第2の実施形態の消音換気構造は、2つの空間を隔てる化粧板と壁とを連通するように設けられるクランクボックス型の消音換気構造であって、化粧板と壁との間の空間に配置される中空の消音容器と、消音容器の対向する2つの側面にそれぞれ接続され、それぞれ消音容器内の空間と連通する少なくとも2つの開口管部と、消音容器内の空間に開口する開口部を有する少なくとも1つの管状体と、管状体の内部に備えられた吸音材と、を有し、消音容器の一方の側面の開口管部は、化粧板を連通するように配置され、消音容器の他方の側面の開口管部は、壁を連通するように配置され、一方の側面の開口管部と、他方の側面の開口管部とは、消音容器の長手方向に異なる位置に配置され、管状体の開口部は、吸音材の表面の一部を露出させて、消音容器内の空間と接触する接触面を構成することを特徴とする。
本発明は、化粧板と壁との間に配置されるクランクボックス型の消音換気構造において、クランクボックス型構造の内部の吸音材の一部を被覆することによって、又は内部に吸音材を備え、開口部を有する管状体をクランクボックス型構造の内部に接続することによって、通気性を維持したまま消音性能を高めることができる。
従来の吸音材では低周波数音の低減効果が十分ではないが、本発明では低周波音が従来のものよりも優れる。
本発明は、吸音材の一部を被覆することによって、又は内部に吸音材を備える管状体の開口を消音容器内に向けることによって、消音性能を高めることができる。本発明は、吸音材を、遮音性のある材質で被覆し、一部に開口を設けることで、吸音材に流れ込む音の粒子速度が大きくなり、これにより吸音材への音の吸収を大きくするという原理に基づいている。
こうして、本発明は、従来の吸音材、及び気柱共鳴構造よりも高い消音効果を有するクランクボックス型の消音換気構造を実現することができる。
その結果、本発明の消音換気構造は、装置、及び機器のダクト、換気スリーブ、及び住宅用換気装置等の建築材料等に適用することができる。
(消音換気構造)
以下に、本発明に係る消音換気構造を添付の図面に示す好適実施形態を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態の消音換気構造)
図1は、本発明の第1実施形態に係る消音換気構造の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示す本発明の第1実施形態の消音換気構造10は、クランクボックス型の消音換気構造であって、直方体形状の消音容器12と、消音容器12の内面に貼り付けられた吸音材14と、吸音材14の表面の一部を被覆する被覆材16と、消音容器12の一方(屋内側)の側面に接続される第1開口管部18と、消音容器12の他方(屋外側)の側面に接続される第2開口管部20とを有する。
消音換気構造10は、住宅等の建築物の内部空間(屋内空間)22と外部空間(屋外空間)24との2つの空間を隔てる化粧板26と壁(例えば、外周壁、コンクリート壁)28とを連通するように設けられる。即ち、消音換気構造10は、2つの空間22、及び24を連通するように設けられる。
(消音容器)
消音容器12は、縦長の直方体形状を成す中空容器であり、内面に貼り付けられた吸音材14によって消音効果を得るものである。消音容器12は、化粧板26と壁28との間の空間30に配置される。
消音容器12の下方には、化粧板26側にある(屋内側の)側面に開口する第1開口13aを備える。この第1開口13aには、屋内側の第1開口管部18が接続される。
消音容器12の上方には、壁28側にある(屋外側の)側面に開口する第2開口13bを備える。この第2開口13bには、屋外側の第2開口管部20が接続される。
即ち、屋内側の音が出易い第1開口13aと、屋外側の音の入り易い第2開口13bとは同一軸線上にはなく、上下にその位置をずらして(即ち、消音容器の長手方向に異なる位置に)配置される。
なお、図1に示す例では、下方に第1開口13aを、上方に第2開口13bを設けているが、逆に、上方に第1開口13aを、下方に第2開口13bを設けても良い。
また、図1に示す例では、第1開口13aは、消音容器12の屋内側の側面に1つ設けられているが、2つ以上設けられていても良い。第2開口13bも、第1開口13aと同様に、屋外側の側面に1つ設けられているが、2つ以上設けられていても良い。
図1に示す例では、消音容器12は、縦長の直方体形状を成す中空容器であるが、本発明は、これに限定されない。消音容器12は、化粧板26と壁28との間の空間30に配置でき、縦長であれば、どのような形状の中空容器であっても良い。例えば、断面が円形、楕円形、又は多角形の中空容器等を挙げることができる。
消音容器12の材料は、換気装置等に用いられ、入射する音を振動等によって増幅したり、外部に伝播したりすることが無ければ、特に制限的ではなく、どのような材料を用いても良い。例えば、アルミニウム、チタン、マグネシウム、タングステン、鉄、スチール、クロム、クロムモリブデン、ニクロムモリブデン、これらの合金等の金属材料、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリアミドイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等の樹脂材料、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)、カーボンファイバ、及びガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)、建造物の壁材と同様なコンクリート、モルタル等を挙げることができる。
なお、消音容器12としては、クランクボックス型の消音換気構造に用いられる消音容器であれば、従来公知の消音容器を用いることができる。
(吸音材)
吸音材14は、その内部を通過する音の音エネルギーを熱エネルギーに変換することで吸音するものである。
吸音材14は、第1開口13a、及び第2開口13bを除く、消音容器12の内面の全面に貼り付けられている。
吸音材14としては、特に限定はなく、従来公知の吸音材が適宜利用可能である。例えば、発泡ウレタン、軟質ウレタンフォーム、木材、セラミックス粒子焼結材、フェノールフォーム等の発泡材料、及び微小な空気を含む材料;グラスウール、ロックウール、マイクロファイバー(3M社製シンサレート等)、フロアマット、絨毯、メルトブローン不織布、金属不織布、ポリエステル樹脂不織布、金属ウール、フェルト、インシュレーションボード、及びガラス不織布等のファイバー、及び不織布類材料;木毛セメント板;シリカナノファイバー等のナノファイバー系材料;石膏ボード;種々の公知の吸音材が利用可能である。
図1に示す例では、吸音材14は、第1開口13a、及び第2開口13bを除く消音容器12の内面の全面に貼り付けられているが、本発明はこれに限定されず、吸音材14による消音効果が得られれば良く、吸音材14は、第1開口13a、及び第2開口13bを除く消音容器12の内面の全面積に対して、50%以上の面積に貼り付けられていることが好ましい。ここで、消音容器12の内面の面積は、消音容器12の各部の寸法を測長して計算すれば良い。吸音材14は、例えば表面が凸凹している場合などの厳密な計算が難しいので、吸音材14の面積は、被覆されていない消音容器12の内面の面積を求め、全表面積から引き算して算出すればよい。
(被覆材)
被覆材16は、吸音材14の表面の一部を被覆するものである。その結果、被覆材16は、吸音材14の表面の他の一部(被覆された部分以外)を露出させて、露出部分を消音容器12内の空間と接触する接触面32として構成するものである。
図1に示す例では、接触面32は、消音容器12の天井面に貼り付けられた上側部分の吸音材14の表面の接触面32a、消音容器12の底面に貼り付けられた下側部分の吸音材14の表面の接触面32b、消音容器12の対向する2つの側面に貼り付けられた吸音材14の表面の中央部分の2つの接触面32c、32cからなることが好ましい。
したがって、被覆材16は、4つの接触面32a、32b、32c、及び32cを除く、吸音材14の表面を被覆する。
ここで、接触面32は、吸音材14の表面の全面積に対して、1%〜50%の面積を占めることが好ましい。その理由は、接触面32がこの範囲内の面積であれば、吸音材14の表面の全面積を被覆材16によって全く被覆しない従来の場合に比べて消音効果を向上させることができるからである。
吸音材14の一部が被覆されていることにより、吸音材14の接触面付近での音圧を高くすることができ、また、吸音材14の内部で音圧の高い領域と低い領域との音圧差を、吸音材14が被覆されていない場合に比較して顕著にすることができる。例えば、被覆領域における接触面32から奥側の部分では音圧が低くなる。音圧が高い領域と低い領域とが形成されると、その間の領域では粒子速度が大きくなる。粒子速度が抵抗体(吸音材14)の中で大きくなると、損失が大きくなる。このため、消音効果を高めることができる。
なお、本発明においては、吸音材14は、例えば表面が凸凹している場合などの厳密な計算が難しいので、吸音材14の接触面32の面積は、被覆材16の開口部分の面積と定義する。ここで、被覆材16の開口部分の面積は、被覆材16の開口枠を含む平面、又は滑らかな曲面で近似した面の面積と定義する。
ところで、図2に示すように、消音容器12内に入り込んだ音が消音容器12内において伝播する時、所定の共振(固有)周波数で共振し、定常波となる。この共振モードの共振周波数の音は、消音容器12から外に出易い音である。この共振モード(2次)に置いては、図2に示すように、消音容器12の上下、及び中央において、消音容器12内の定常波の音圧の腹ANとなる。なお、参照符号Nは、音圧の節を表わす。
本発明においては、音圧の節N、及び腹ANについては、消音容器12内において計測用マイクを1cm間隔でトレースしながら音圧を計測し、音圧が極大となる位置を音圧の腹ANと、極小となる位置を音圧の節Nと定義する。
このため、接触面32(32a、32b、32c、及び32c)を、消音容器12の上下、及び中央に設けることにより、この共振モードの共振周波数の音の音圧の腹ANとなる部分に吸音材14の表面が露出した接触面32を配置して、効率よく吸音することができ、高い消音効果を得ることができる。
4マイク法では、図22に示す音響特性測定系80のように、アルミニウム製音響管(管体82)内に被覆材16として用いられる遮音性のある材質の材料90を配置し、音響管(管体82)に配置された4つのマイクロフォン86を用いて伝達関数法による音響特性の測定を行う。
この手法は、「ASTM E2611-09: Standard Test Method for Measurement of Normal Incidence Sound Transmission of Acoustical Materials Based on the Transfer Matrix Method」に従うものである。音響管としては、例えば日本音響エンジニアリング株式会社製のWinZacと同一の測定原理であるものとして、アルミニウム製の管体82を用いる(WinZacについては、ウェブ資料「https://www.noe.co.jp/en/download/pdf/winzac.pdf」を参考にすることができる。)。管体82の下側には内部にスピーカ86を収納した円筒状の函体88を配置し、函体88の上面に管体82を載置した。スピーカ86から所定音圧の音を出力し、4本のマイクロフォン84で測定する。この方法で広いスペクトル帯域において音響透過損失を測定することができる。
具体的には、この手法を用いて、遮音性のある材質の材料90を、直径2cmの音響管(管体82)を隙間なく遮るように、図22のごとく配置して、測定を行い、その透過率Tを求め、透過損失TL=10*log10(1/T)を得ることができる。上述したように、この透過損失TLの値が、200Hz〜8000Hzに渡って5dB以上であるものを遮音性のある材質と定義する。
被覆材16としては、遮音性のある材質、即ち音を通さない材質であれば良く、例えば、音に対して振動しない程度の厚みを有するアルミニウム、チタン、マグネシウム、タングステン、鉄、スチール、クロム、クロムモリブデン、ニクロムモリブデン、これらの合金等の金属材料、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリアミドイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等の樹脂材料、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)、カーボンファイバ、及びガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)、建造物の壁材と同様なコンクリート、モルタル等を挙げることができる。
本発明では、接触面32(32a、32b、32c、及び32c)は、好ましくはその中心位置は、消音容器12の共振モードの共振周波数の音の波長をλ、消音容器12の長手方向の長さをL、正の整数(次数)をnとして、共振モードの波長λnをλn=2L/nとし、かつλnの音波が可聴域に該当するとき、少なくとも1つの波長λnの音波に関して、消音容器12内の音圧の腹ANからλn/8の範囲内に存在することが好ましい。その理由は、共振モードの波長λnがλn=2L/nを満たし、かつ可聴域に該当する波長の音が、抜けてきやすい音になるので、消さなければならない音になるからであり、接触面32が音圧の腹ANに近い方が、消音効果が高く、音圧の腹ANから離れると消音効果が弱くなるからである。
また、接触面32(32a、32b)は、好ましくはその中心位置は、共振モードの波長λnをλn=2L/nとし、かつλnの音波が可聴域に該当するとき、消音容器12内の長手方向の端部から(両端部からそれぞれ)λn/8の範囲内に存在することが好ましい。その理由は、接触面32が音圧の腹ANとなる消音容器12内の長手方向の端部に(両端部にそれぞれ)近い方が、消音効果が高いからである。
ここで、正の整数nは、3以下であることが好ましい。即ち、特に共振モードの波長λnがλn=2L/nを満たし、かつ可聴域に対応する波長に該当する音の中でも、共振モードの次数、n=1,2,3というような、比較的低い周波数の音が抜けてきやすく、低い周波数の音の方が、消す必要があるからである。しかも、低い周波数の音の方が、吸音材14のみで簡単には消し難い問題があるからである。
(開口管部)
2つの第1、及び第2開口管部18、及び20は、消音容器12の対向する2つの側面にそれぞれ接続され、それぞれ消音容器12内の空間と連通する。
即ち、第1開口管部18は、消音容器12の屋内側の側面の第1開口13aに接続され、消音容器12内の空間と連通する。また、第1開口管部18は、化粧板26を連通するように配置される。即ち、第1開口管部18は、化粧板26の少なくとも一部を貫通するように配置されていても良いし、化粧板26に設けられた貫通開口に接続するように配置されても良い。
また、第2開口管部20は、消音容器12の屋外側の側面の第2開口13bに接続され、消音容器12内の空間と連通する。また、第2開口管部20は、壁28を連通するように配置される。即ち、第2開口管部20は、壁28の少なくとも一部を貫通するように配置されていても良いし、壁28に設けられた貫通開口に接続するように配置されても良い。
第1開口管部18と、第2開口管部20とは、それぞれ消音容器12の長手方向に異なる位置に配置される第1開口13aと、第2開口13bに接続されるので、消音容器12の長手方向に異なる位置に配置されることになる。ここで、第1開口13a、及び第2開口13bの少なくとも一方が、複数開口されている場合には、それに応じて、第1開口管部18、及び第2開口管部20の少なくとも一方が、複数の開口に複数接続されていることは言うまでもない。
(第2実施形態の消音換気構造)
図3は、本発明の第2実施形態に係る消音換気構造の一例を模式的に示す断面図である。
図3に示す本発明の第2実施形態の消音換気構造40は、図1に示す本発明の第1実施形態の消音換気構造10と、吸音材14が消音容器12の内面に貼り付けられていない点を除いて、同様の構成を有するものであるので、同一の構成要素には、同一の番号を付し、その詳細な説明は省略する。
消音換気構造40は、クランクボックス型の消音換気構造であって、直方体形状の消音容器12と、消音容器12内の空間に開口する開口部44を有する管状体42と、管状体42の内部に備えられた吸音材14と、消音容器12の一方(屋内側)の側面に接続される第1開口管部18と、消音容器12の他方(屋外側)の側面に接続される第2開口管部20とを有する。
消音換気構造40は、消音換気構造10と同様に、住宅等の建築物の内部空間(住宅内)22と外部空間(住宅外)22との2つの空間を隔てる化粧板26と壁(例えば、外周壁、コンクリート壁)28とを連通するように設けられる。即ち、消音換気構造10は、2つの空間22、及び24を連通するように設けられる。
(管状体)
管状体42は、図3に示す例では、消音容器12内の底面及び屋外側の側面に接するように配置される。管状体42は、消音容器12内の空間に開口する開口部44を有する。
管状体42の内部には吸音材14が充填されて備えられる。
開口部44は、消音容器12内の底面側に位置する。開口部44は、管状体42から吸音材14の表面の一部を露出させており、吸音材14の露出部分を消音容器12内の空間と接触する接触面32として構成する。
ところで、消音容器12内の空間と接触する管状体42の側面は、被覆材16を構成するともいえる。ここで、管状体42は、遮音性のある材質で構成されていることが好ましい。
ここで、管状体42の形状は、消音容器12内の所定の位置に配置でき、開口部44を有し、内部に吸音材14を充填できれば、特に制限的ではない。管状体42の形状は、例えば、四角柱管形状、円筒柱管形状、及び多角形管形状等を挙げることができる。
また、管状体42の材料は、吸音材14を充填できれば、特制限的ではない。管状体42の材料は、音を通さない材料であることが好ましく、例えば、音に対して振動しない程度の厚みを有するアルミニウム、チタン、マグネシウム、タングステン、鉄、スチール、クロム、クロムモリブデン、ニクロムモリブデン、これらの合金等の金属材料、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリアミドイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等の樹脂材料、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)、カーボンファイバ、及びガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)、建造物の壁材と同様なコンクリート、モルタル等を挙げることができる。
なお、管状体42の開口部44の長手方向の位置、及びその中心位置は、接触面32の長手方向の位置、及びその中心位置に等しいので、本発明の第2実施形態の消音換気構造40においても、本発明の第1実施形態の消音換気構造10と同様に、共振モードの波長λnがλn=2L/nとし、かつλnの音波が可聴域に該当するとき、消音容器12内の音圧の腹ANからλn/8の範囲内に存在すること、又は消音容器12内の長手方向の端部からλn/8の範囲内に存在することが好ましい。その理由は、管状体42の開口部44(即ち、接触面32)が音圧の腹ANに近い方が、消音効果が高く、音圧の腹ANから離れると消音効果が弱くなるからである。
また、正の整数nは、3以下であることが好ましい。その理由は、共振モードの次数が低い3以下の比較的低い周波数の音が抜けてきやすいため、積極的に消す必要があるからである。
図3に示す例では、1つの管状体42が消音容器12内における壁28の側かつ底面側の隅に配置されているが、管状体42の開口部44(接触面32)の位置が消音容器12内の音圧の腹AN、又は消音容器12内の長手方向の端部からλn/8の範囲内にあれば、1つ以上の管状体42を、化粧板26の側、壁28の側、天井側の端部、又は底面側の端部を含むいずれかの位置に配置しても良い。
また、接触面の面積、及び吸音材の体積は、本発明の第1実施形態の消音換気構造10と同様に規定されることが好ましい。
図3に示す消音換気構造40は、管状体42を消音容器12内に配置しているが、本実施形態はこれに限定されず、図4に示す消音換気構造40Aのように、管状体42(42a、42b)を消音容器12外に配置しても良い。
消音換気構造40Aにおいては、管状体42(42a、42b)は、消音容器12の外に、消音容器12の長手方向と管状体42(42a、42b)の長手方向とを揃えて配置され、壁28の側に突出した状態で壁28に埋まっている。
管状体42(42a、42b)の開口部44は、消音容器12の壁28の側の側面に開口している。管状体42(42a、42b)内の吸音材14の表面は、開口部44において接触面32を構成する。
図4に示す消音換気構造40Aにおいて、管状体42aの開口部44は、消音容器12内の長手方向の端部近傍(端部からλ/8の範囲内)にあり、管状体42bの開口部44は、消音容器12内の中央(音圧の腹ANからλ/8の範囲内)にある。その理由は、管状体42の開口部44(即ち、接触面32)が音圧の腹ANに近い方が、消音効果が高く、音圧の腹ANから離れると消音効果が弱くなるからである。
しかしながら、本発明は上記の構成に限定されず、管状体42の開口部44(接触面32)の位置が消音容器12内の音圧の腹AN、又は消音容器12内の長手方向の端部からλ/8の範囲内にあれば、1つ以上の管状体42を、消音容器12内の長手方向の中央、天井側の端部、又は底面側の端部等を含むいずれの位置において化粧板26内、及び/又は壁28内のいずれかに埋め込んで配置しても良い。
例えば、図5に示す消音換気構造40Bのように、管状体42aの開口部44が消音容器12内の長手方向の底面側の端部からλ/8の範囲内に位置するように、1つの管状体42aを壁28内に埋め込み、管状体42cの開口部44が消音容器12内の長手方向の中央(音圧の腹ANからλ/8の範囲内)に位置するように、もう1つの管状体42cを、両長手方向を揃えて化粧板26内に埋め込んでも良い。
この消音換気構造40Bにおいても、管状体42(42a、42c)内には、吸音材14が充填され、開口部44にある吸音材14の表面は、接触面32を構成する。
図5に示す消音換気構造40Bにおいては、消音容器12内に長手方向に沿って共振モードの次数nが2(n=2)である定常波が記載されており、消音容器12内の長手方向の天井側の端部、中央、及び底面側の端部が、音圧の腹ANとなっていることが示されている。
図6には、図5に示す消音換気構造40Bの消音容器12における複数の共振モードが示されている。
共振モードの次数nが1(n=1)の場合、消音容器12内の長手方向の天井側の端部、及び底面側の端部が、音圧の腹ANとなっており、消音容器12内の長手方向の中央は、音圧の腹ANと腹ANの中間の節Nとなっていることが示されている。
共振モードの次数nが2(n=2)の場合、図5に示した通りであり、消音容器12内の長手方向の天井側の端部、中央、及び底面側の端部が、音圧の腹ANとなっていることが示され、音圧の腹ANと腹ANの中間が節Nとなっていることが示されている。
共振モードの次数nが3(n=3)の場合、消音容器12内の長手方向の長さをLとする時、消音容器12内の長手方向の天井側の端部、この端部からL/3の位置、2L/3の位置、及び底面側の端部が、音圧の腹ANとなっていることが示され、音圧の腹ANと腹ANの中間が節Nとなっていることが示されている。
図5に示す消音換気構造40Bは、共振モードの次数nが1(n=1)、及び2(n=2)の場合も効率よく吸音でき、共振モードの次数nが2(n=2)の場合に最も効率よく吸音できることが分かる。
以上詳述したように、吸音材を用いた従来の消音換気構造では低周波数音の低減効果が十分ではないのに対し、吸音材を用いた本発明の消音換気構造は、低周波音の低減効果が従来のものよりも優れていることが分かる。
また、図7に示す消音換気構造40Cのように、管状体46(46a、46b)を、その長手方向を消音容器12の長手方向に直交するように消音容器12外に配置して、サイドブランチ型としても良い。この時、管状体46aは、図示されていないが、消音容器12内の底面側の端部において、壁28と直交するように壁28の側に突出した状態で壁28内に埋まっている。また、管状体46bは、図示されていないが、消音容器12内の天井側の端部において、化粧板26と直交するように化粧板26の側に突出した状態で化粧板26内に埋まっている。
管状体46(46a、46b)の開口部48は、消音容器12の壁28、及び化粧板26の側の側面に開口している。管状体46(46a、46b)内の吸音材14の表面は、開口部48において接触面32を構成する。
図7に示す消音換気構造40Cにおいては、管状体46aの開口部48(接触面32)は、消音容器12内の長手方向の底面側の端部近傍(端部からλ/8の範囲内)にあり、管状体46bの開口部48(接触面32)は、消音容器12内の長手方向の天井側の端部近傍(端部からλ/8の範囲内)にある。即ち、管状体46(46a、46b)の開口部48(接触面32)は、音圧の腹ANからλ/8の範囲内にあることが好ましい。その理由は、管状体46(46a、46b)の開口部48(接触面32)が音圧の腹ANに近い方が、消音効果が高いからである。また、正の整数nは、3以下であることが好ましい。その理由は、共振モードの次数が低い3以下の比較的低い周波数の音が抜けてきやすいため、積極的に消す必要があるからである。
しかしながら、本発明は上記構成に限定されず、管状体46の開口部48(接触面32)の位置が消音容器12内の音圧の腹AN、又は消音容器12内の長手方向の端部からλ/8の範囲内にあれば、1つ、又は3つ以上の管状体46を、消音容器12内の長手方向の天井側の端部、又は底面側の端部を含むいずれかの位置において化粧板26内、及び/又は壁28内のいずれかに突出した状態で埋め込んで配置しても良い。
また、本発明の第2実施形態においては、例えば、図5、及び図7に示すように、消音換気構造40Bの管状体42、及び消音換気構造40Cの管状体46の内部空間の長手方向の長さをLdとし、消音容器12の長手方向における管状体42の開口部44、及び管状体46の開口部48(接触面32)の幅をLoとすると、管状体42、及び46の内部空間の長手方向の長さLdは、それぞれ開口部44、及び48(接触面32)の幅Loよりも大きい。
即ち、長さLdは、下記式(1)を満足することが好ましい。
Ld>Lo …(1)
ここで、管状体42、及び46の内部空間の長手方向の長さをLdは、管状体42、及び46の内部空間内の音波の進行方向の長さということもでき、シミュレーションにより求めることができる。
図5に示す例においては、管状体42の内部空間は、その長手方向(したがって、消音容器12内の音波の進行方向)に延在しているため、内部空間内の音波の進行方向は、管状体42の内部空間の長手方向(即ち、消音容器12の長手方向、したがって図中上下方向)である。従って、長さLdは、管状体42の内部空間の長手方向において、管状体42の一端側(図中上側)の開口部44(接触面32)の中心位置から管状体42の他端側の端部(内部空間の端面)までの長さである。なお、位置によって管状体42の内部空間の長手方向の長さが異なる場合には、長さLdは、各位置での長さの平均値である。
また、位置によって開口部44(接触面32)の幅が異なる場合には、開口部44(接触面32)の幅Loは、各位置での幅の平均値である。
また、図7に示す例においは、管状体46の内部空間は、消音容器12の長手方向と直交する方向に突出しているため、内部空間内の音波の進行方向は、突出方向(図中左右方向)である。従って、長さLdは、突出方向における開口部48(接触面32)から内部空間の他端面(図中右端面、又は左端面)までの長さである。なお、位置によって管状体46の内部空間の長手方向の長さが異なる場合には、長さLdは、各位置での深さの平均値である。
また、位置によって開口部48(接触面32)の幅が異なる場合には、開口部48(接触面32)の幅Loは、各位置での幅の平均値である。
また、消音換気構造40B、及び40Cの消音容器12の共鳴モードの次数が1(n=1)である共鳴モードの周波数の波長(即ち、第一共鳴(n=1)の共鳴周波数における音波の波長)λとすると、管状体42、及び46の内部空間の長手方向の長さLdは、0.011×λ<Ld<0.25×λを満たす。
即ち、長さLdは、下記式(2)をも満足することが好ましい。
0.011×λ<Ld<0.25×λ …(2)
上記式(2)から分かるように、長さLdは、λ/4よりも小さく、管状体42、及び46は、共鳴によって消音するものではない。
なお、長さLdは、0.016×λ<Ld<0.25×λを満たすことがより好ましく、0.021×λ<Ld<0.25×λを満たすのが更に好ましい。
なお、共鳴型の管状体を用いて消音容器12の最低共鳴周波数(n=1)の音を消音する場合には、少なくとも共鳴周波数の波長λの1/4の長さが必要となり、管状体のサイズが大型化してしまう。そのため、高い通気性と防音性能とを両立することが難しいという問題があった。
また、共鳴型の管状体は、特定の周波数(周波数帯域)の音を選択的に消音するものである。そのため、消音容器12の共鳴周波数に合わせた設計が必要となり、汎用性が低いという問題があった。
また、消音容器12の共鳴は、複数の周波数で発生するが、共鳴型の管状体は、特定の周波数の音を消音する。そのため、消音対象となる共鳴音は1つの周波数のみとなり、また、共鳴型の管状体が消音する周波数帯域は狭いので、他の周波数の共鳴音は消音できないという問題があった。
これに対して、本実施形態は、管状体42、及び46内の内部空間の長手方向の長さLdが、消音容器12内を進行する音の進行方向における開口部44、及び48(接触面32)の幅の幅Loよりも大きく、消音容器12の第一共鳴(n=1)の共鳴周波数における音波の波長をλとすると、内部空間の長手方向の長さLdが、上記式(1)、及び(2)を満たす管状体42、及び46内を、消音容器12の第一共鳴の音場空間に接続して配置するものである。
管状体42、及び46は、管状体42、及び46の壁面近傍における流体の粘性、壁面の凹凸(表面粗さ)、及び管状体42、及び46内に配置された吸音材14等によって音エネルギーを熱エネルギーに変換して消音を行う。この壁面近傍における流体の粘性、壁面の凹凸(表面粗さ)、及び管状体42、及び46内に配置された吸音材14はエネルギーの変換機構と言える。
ここで、管状体42、及び46の開口部44、及び48の幅Loが、管状体42、及び46の内部空間の長手方向の長さLdよりも小さいことによって、消音容器12内の音波が管状体46内に流入する際に、音圧を保ったまま気体(空気)分子の移動速度が速くなる。上述の変換機構による音エネルギーから熱エネルギーへの変換効率は、音圧および気体分子の移動速度に依存する。そのため、音圧を保ったまま気体分子の移動速度が速くなることによって、上述の変換機構による音エネルギーから熱エネルギーへの変換効率が高くなる。
この消音の原理は音波の波長に依存しないので、管状体42、及び46の内部空間の長手方向の長さLdが消音容器12の第一共鳴の共鳴周波数における波長λの1/4よりも小さくても、高い防音性能を発現することができる。従って、管状体42、及び46を小型化して消音容器12の通気性を維持しつつ、高い防音性能を得ることができる。
また、管状体42、及び46による消音の原理は音波の波長に依存しないので、消音容器12の長さおよび形状等が異なる場合でも、防音性能を発現することができ、消音容器12に合わせた設計が不要であり汎用性が高い。
また、管状体42、及び46による消音の原理は音波の波長に依存しないので、広い周波数帯域の音を消音することができる。
また、上述したように、防音性能および通気性の観点から、管状体42、及び46の内部空間の長手方向の長さLdは、上記式(2)(即ち、0.011×λ<Ld<0.25×λ)を満たすことが好ましく、また、0.016×λ<Ld<0.25×λを満たすことがより好ましく、0.021×λ<Ld<0.25×λを満たすことが更に好ましい。
また、消音容器12内の音の進行方向に平行な断面において、管状体42、及び46の内部空間の長手方向の長さに直交する方向の内部空間の幅をLwとする時、この内部空間の幅Lwは、下記式(3)を満足することが好ましい。
0.001×λ<Lw<0.061×λ …(3)
なお、管状体42、及び46の内部空間の幅Lwは、0.001×λ<Lw<0.051×λを満たすことがより好ましく、0.001×λ<Lw<0.041×λを満たすことが更に好ましい。なお、図7においては、管状体46の内部空間の幅Lwは、図中左右方向の長さであり、開口部48(接触面32)の幅Loと一致している。
また、本実施形態は、管状体42、及び46の内部空間の内壁の表面積Sdに対する開口部44、及び48の面積S1の比率S1/Sdを0<S1/Sd<40%とすることで、吸音材14等の変換機構の表面積に対して音波が入射する面の面積の割合を小さくして、高い音圧Pを保ったまま吸音材14等の変換機構に流入する音波に対応する気体分子の移動速度を速くして防音性能を高めることができる。
気体分子の移動速度を速くする観点では開口部44、及び48の面積S1(比率S1/Sd)は小さいほど好ましいが、開口部44、及び48の面積S1が小さすぎると音波が内部空間内に流入しにくくなるため防音性能が低くなってしまう。以上の観点から、内部空間の内壁の表面積Sdに対する開口部44、及び48の面積S1は、0.1%<S1/Sd<40%であることが好ましい。
即ち、面積Sdに対する面積S1の割合S1/Sdは、下記式(4)を満足することが好ましい。
0<S1/Sd<40% …(4)
なお、割合S1/Sdは、0.3%<S1/Sd<35%であることがより好ましく、0.5%<S1/Sd<30%であることがより好ましい。
なお、内部空間の内壁の表面積Sdは、分解能を1mmとして測定する。すなわち、1mm未満の凹凸等の微細構造を有する場合には、これを平均化して表面積Sdを求めればよい。
本発明の消音換気構造を実施例に基づいて具体的に説明する。
以下の実施例に示す材料、寸法、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
(参考例)
まず、吸音材が全く貼り付けられていない図8に示す参考例のクランクボックス型の消音換気構造50をシ2次元のミュレーション構造として作製した。図8に示すように、消音容器12は、厚みは無視できる、音を完全に反射する理想的な剛体からなる板材で構成され、長手方向(縦方向)の長さ70cm、かつ幅方向(厚さ方向)の長さ10cmの縦長の長方形形状であった。
図1に示す消音容器12の左側の側面には、消音容器12の短手方向の中心線上、かつ長手方向の底面側の端部から20cm上方の点を中心とする幅10cmの第1開口13aが開けられていた。この第1開口13aには、幅10cm、長さ5cm、かつ厚みは無視できる、音を完全に反射する理想的な剛体からなる第1開口管部18が接続されていた。
また、図1に示す消音容器12の右側の側面には、消音容器12の短手方向の中心線上、かつ長手方向の天井側の端部から20cm下方の点を中心とする直径10cmの第2開口13bが開けられていた。この第2開口13bには、内径10cm、長さ5cm、かつ厚みは無視できる、音を完全に反射する理想的な剛体からなる第2開口管部20が接続されていた。
(比較例1)
次に、図8に示す参考例の消音換気構造50の消音容器12の内面全面に、第1開口13a、及び第2開口13bを除いて、厚さ20mmの流れ抵抗20000[Pa・S/m]のグラスウールからなる吸音材14を貼り付けて、図9に示す比較例1のクランクボックス型の消音換気構造52を2次元のシミュレーション構造として作製した。
(実施例1)
次に、図9に示す比較例1の消音換気構造52の消音容器12の内面全面に貼り付けられた吸音材14の表面の一部を、厚みは無視できる、音を完全に反射する理想的な剛体からなる被覆材16で被覆して、図1に示す本発明の実施例1のクランクボックス型の消音換気構造10を2次元のシミュレーション構造として作製した。
被覆材16は、図1に示す消音換気構造10の消音容器12の4つの側面(天井面、及び底面を除く)に、長手方向の中心から上下に4cmずつ、合計8cmを除いて被覆した。
その結果、図1に示す消音換気構造10の消音容器12の長手方向の天井側の端部における消音容器12の空間に接触する接触面32aは、幅方向6cmの吸音材14の表面であった。また、消音容器12の長手方向の底面側の端部における消音容器12の空間に接触する接触面32bは、幅方向6cmの吸音材14の表面であった。
また、消音容器12の長手方向の天井側の中央における消音容器12の空間に接触する接触面32cは、2つの長手方向8cmの吸音材14の表面であった。
こうして作製された実施例1の消音換気構造10、参考例の消音換気構造50、及び比較例1の消音換気構造52について、図10に示す基本2次元計算モデルを用いて、有限要素法計算ソフトCOMSOL MultiPhysics ver.5.3(COMSOL社)の音響モジュールを用いた有限要素法による2次元のシミュレーション計算を行った。
このような2次元シミュレーションモデルを用いて、図10に示すように、壁で仕切られた一方の(左側)空間の半球状の面(半径1m)の外側から音波を入射させた。その音波を消音換気構造10の第1開口管部18を通して消音容器12内に入射させた。次に、消音容器12内に入射した音波を第2開口管部20から他方の(右側)空間に出射させた。その結果として、この右側の空間の半球状の面(半径1m)に到達する音波を検出した。
こうして、右側の空間の半球状の面の各位置(i)における音圧pをm点測定し、音圧pの絶対値の2乗|pの平均値aspを下記式(5)によって算出した。mは測定点の数である。
Figure 0006851404
なお、音圧pは、半円弧(l)上の位置の関数として与えられることから、音圧の絶対値の2乗|p|を半円弧(l)にそって積分し、下記式(6)で表される音圧の絶対値の2乗の線積分値ispを求めても良い。
こうして求めた音圧の絶対値の2乗の線積分値ispを、半径rの半円弧の長さL(=πr)で割り算して、下記式(7)で表される音圧の絶対値の2乗|p|の平均値aspを算出すればよい。
Figure 0006851404

asp=isp/(πr/2)=2×isp/(πr) …(7)
こうして得られた実施例1、参考例、及び比較例1の、1/1オクターブバンド周波数に対する音圧の絶対値の2乗の線積分値aspを図11に示す。
図11から明らかなように、実施例1は、125Hzから1000Hzにおいて、参考例、及び比較例1より音圧の絶対値の2乗の線積分値aspが低くなっており、入射音を低減でき、消音できていることが分かる。特に、250Hz近傍のピークは、参考例、及び比較例1に比べて実施例1の方が十分に低く入射音を低減できていることが分かる。これらの結果から、本発明の有効性を示されたと言える。
(実施例2)
次に、図8に示す参考例の消音換気構造50の消音容器12の右側面の長手方向の端部近傍を開口し、消音容器12の空間に開口する開口部44を有し、内部に吸音材14が充填された管状体42dを取り付けて、図12に示す実施例2のクランクボックス型の消音換気構造40Dを2次元のシミュレーション構造として作製した。管状体42dは、厚みは無視出来る、音を完全に反射する理想的な剛体からなる板材で構成され、長手方向の長さ150mm、かつ幅方向(厚さ方向)の長さ20mmの縦長の長方形形状であった。吸音材14は、流れ抵抗20000[Pa・S/m]のグラスウールからなり、管状体42d内に完全に充填されており、長手方向の長さ150mm、かつ幅方向の厚み20mmの縦長の長方形形状であった。
図12に示すように、管状体42dは、消音容器12の長手方向の底面の端部から10mmだけ上方に押し上げられた位置に取り付けられていた。管状体42dの開口部44の中心位置は、消音容器12の長手方向の底面の端部から20mm上方に位置していた。管状体42dの開口部44は、長手方向の幅20mmであった。
(比較例2−1)
図13に示す比較例2−1のクランクボックス型の消音換気構造54を2次元のシミュレーション構造として作製した。図13に示す消音換気構造54は、図12に示す実施例2の消音換気構造40Dにおいて、管状体42d内の吸音材14を除いて、開口部58を持つ気柱共鳴管56としたものということができた。したがって、気柱共鳴管56、及び開口部58の寸法、並びに気柱共鳴管56、及び開口部58の配置位置は、それぞれ図12に示す実施例2の消音換気構造40Dにおける管状体42d、及び開口部44の寸法、並びに管状体42d、及び開口部44の配置位置と同じであった。
(比較例2−2)
図14に示す比較例2−2のクランクボックス型の消音換気構造60を2次元のシミュレーション構造として作製した。図14に示す消音換気構造60は、図12に示す実施例2の消音換気構造40Dにおいて、管状体42dの開口部44を広げ、管状体42dの消音容器12側の面全体を開口部64とする凹部62とし、凹部62内に厚さ20mmの吸音材14を隙間なく貼り付けたものであった。したがって、凹部62の寸法は、吸音材14の寸法に等しく、長手方向の長さ150mm、かつ幅方向(厚さ方向)の深さ20mmの縦長の長方形形状であった。また、開口部64の寸法も、長手方向の長さ150mmであった。吸音材14は、流れ抵抗20000[Pa・S/m]のグラスウールからなり、吸音材14の寸法は、凹部62の寸法に等しかった。なお、吸音材14の全表面は、消音容器12の空間と接触する接触面66であった。接触面66の寸法は、開口部64の寸法に等しかった。
こうして作製された実施例2の消音換気構造40D、比較例2−1の消音換気構造54、及び比較例2−2の消音換気構造60について、図10に示す基本2次元計算モデルを用いて、有限要素法計算ソフトCOMSOL MultiPhysics ver.5.3(COMSOL社)の音響モジュールを用いた有限要素法による2次元シミュレーション計算を行い、各位置における音圧の絶対値の2乗|p|を平均し、上記式(1)で表される音圧の絶対値の2乗の平均値aspを求めた。
こうして得られた実施例2、比較例2−1、及び比較例2−2の、周波数に対する音圧の絶対値の2乗の平均値aspを図15に示す。
図15から明らかなように、300Hz近傍のピークは、実施例2の場合が、比較例2−1、及び比較例2−2の場合に比べて、最も低減している。
次に、515Hz近傍のピークは、実施例2が比較例2−1に比べて明らかに低減している。また、比較例2−2に対しては、ピークがシフト(スプリット)しているにすぎず、低減しているとは言えない。
したがって、効果としては本発明の第2の実施形態に該当する実施例2が最も消音効果が高いと言える。
750Hz近傍のピークについては実施例2が、比較例2−1と並び、消音効果が高い。
以上、n=1、2、及び3の3つのピークに関して、全てにおいて実施例2が最も総合的に高い消音効果が得られていることから、本発明の有効性が示されたと言える。
(実施例3−1〜3−5)
図16に示す実施例3−1〜3−5のクランクボックス型の消音換気構造40Dをそれぞれ2次元のシミュレーション構造として作製した。図16に示す消音換気構造40Dは、図12に示す実施例2のクランクボックス型の消音換気構造40Dにおける管状体42dの開口部44の中心位置が、消音容器12の長手方向の底面の端部から20mm上方に位置していたのに対し、xmm上方に位置しているとしている点で異なっているものであった。
したがって、x=20mmである実施例3−1は、図12に示す実施例2の消音換気構造40Dと同じであった。
次に、実施例3−2は、x=80mmであった。実施例3−3は、x=140mmであった。実施例3−2は、x=200mmであった。実施例3−3は、x=300mmであった。
こうして作製された実施例3−1〜3−5の消音換気構造40Dについて、図10に示す基本2次元計算モデルを用いて、有限要素法計算ソフトCOMSOL MultiPhysics ver.5.3(COMSOL社)の音響モジュールを用いた有限要素法による2次元シミュレーション計算を行い、各位置における音圧の絶対値の2乗|p|を平均し、上記式(1)で表される音圧の絶対値の2乗の平均値aspを求めた。
こうして得られた実施例3−1〜3−5、及び参考例の、周波数に対する音圧の絶対値の2乗の平均値aspを図17に示す。
また、所定の空間内、及び消音換気構造40D内の周波数300Hzの音の音圧分布(音圧レベル(dB):log10(|p|))を図18に示す。また、所定の空間内、及び消音換気構造40D内の周波数515Hzの音の音圧分布(音圧レベル(dB):log10(|p|))を図19に示す。
図18から、300Hzの音では、消音容器12の長手方向の中心を0とする時、消音容器12の長手方向の天井の端部(+0.35m)、及び消音容器12の長手方向の底面の端部(−0.35m)の2つの位置において、音圧の腹ANとなっていることが分かる。一方、515Hzの音では、消音容器12の長手方向の中心を0とする時、消音容器12の長手方向の中心(0m)、消音容器12の長手方向の天井の端部(+0.35m)、及び消音容器12の長手方向の底面の端部(−0.35m)の3つの位置において、音圧の腹ANとなっていることが分かる。
また、実施例3−1〜3−5の消音容器12の長手方向の底面の端部と管状体42dの開口部44の中心との距離に対する実施例3−1〜3−5の音圧の絶対値の2乗の線積分値aspの300Hz近傍、及び515Hz近傍のピークの最大値を図20に示す。
図20において、消音容器12の長手方向の底面の端部を0mmとする時、0mm〜143mmの範囲は、300Hzの音圧の腹ANからλ/8の範囲に相当する。この範囲内に収まっていれば、300Hzの音における消音効果が高いと言える。
一方、図20において、消音容器12の長手方向の底面の端部を0mmとする時、0mm〜83mm、及び267mm〜400mmの範囲は、515Hzの音圧の腹ANからλ/8の範囲に相当する。これらの範囲内に収まっていれば、515Hzの音における消音効果が高いと言える。
以上の図17〜図20から、300Hz近傍の消音効果は、消音容器12の長手方向の底面の端部からの距離が大きくなる実施例3−1から実施例3−5になるにつれて、即ち音圧の腹から離れるにつれて室内空間側の音圧が高くなる。即ち消音効果が小さくなる。このことから管状体42dの開口部44(=吸音材14の表面である接触面32)の位置が音圧の腹ANに近い方が高い効果が得られることが分かる。
同様に、515Hz近傍の透過音圧のピークは、管状体42dの開口(=吸音材の表面である接触面32)の位置が音圧の腹ANに近い場合に低い。即ち、高い消音効果が得られていることが分かる。
故に本発明の有効性が示されたと言える。
以上の実施例1、2、及び3−1〜3−5から、本発明の効果は明らかである。
以上、本発明の消音換気構造について、種々の実施形態及び実施例を挙げて詳細に説明したが、本発明は、これらの実施形態及び実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのはもちろんである。
例えば、図21に示すように、消音容器12の外側に配置された連続する2つの管状体42b(42)を化粧板26に埋め込むことなく、化粧板26から離間させて配置しても良い。また、消音容器12の外側に配置された連続する2つの管状体42c(42)を壁28に埋め込むことなく、壁28に接するように配置しても良い。即ち、1つ以上の管状体42を化粧板26、又は壁28に埋め込むことなく、化粧板26、又は壁28から離間させて、もしくは化粧板26、又は壁28に接するように配置しても良い。したがって、消音容器12は、化粧板26、及び壁28の少なくとも一方から離間して配置されていても良い。
また、上述したように、第1開口管部18は、化粧板26に設けられた貫通開口68に接続するように配置されても良い。また、第2開口管部20は、その一部が壁28を貫通して壁28に設けられた貫通開口70内に配置されていても良い。
更に、管状体42の内部に充填される吸音材14として複数の吸音材を積層しても良い。なお、複数の吸音材は、1種類の吸音材を複数積層したものであっても良いし、複数種類の吸音材を積層したものであっても良いし、両者を混合したものであっても良い。
10、40,40A,40B.40C,40D,50,52,54,60 消音換気構造
12 消音容器
13a 第1開口
13b 第2開口
14 吸音材
16 被覆材
18 第1開口管部
20 第2開口管部
22 内部空間(屋内空間)
24 外部空間(屋外空間)
26 化粧板
28 壁(外周壁、コンクリート壁)
30 空間
32、32a、32b、32c、66 接触面
42、42a、42b、42c、42d、46,46a、46b 管状体
44、48、58、64 開口部
56 気柱共鳴管
62 凹部
68、70 貫通開口
80 音響特性測定系
82 管体
84 マイクロフォン
86 スピーカ
88 函体
90 遮音性のある材質の材料
AN 音圧の腹
N 音圧の節
asp 音圧の絶対値の2乗の平均値
isp 音圧の絶対値の2乗の線積分値
n 共振モードの次数(正の整数)

Claims (8)

  1. 2つの空間を隔てる化粧板と壁とを連通するように設けられるクランクボックス型の消音換気構造であって、
    前記化粧板と前記壁との間の空間に配置される中空の消音容器と、
    前記消音容器の対向する2つの側面にそれぞれ接続され、それぞれ前記消音容器内の空間と連通する少なくとも2つの開口管部と、
    前記消音容器の内部に備えられた吸音材と、
    前記吸音材の表面の一部を被覆する被覆材と、を有し、
    前記消音容器の一方の側面の前記開口管部は、前記化粧板を連通するように配置され、
    前記消音容器の他方の側面の前記開口管部は、前記壁を連通するように配置され、
    前記一方の側面の前記開口管部と、前記他方の側面の前記開口管部とは、前記消音容器の長手方向に異なる位置に配置され、
    前記被覆材は、前記吸音材の表面の他の一部を露出させて、露出部分を前記消音容器内の空間と接触する少なくとも1つの接触面として構成するものであり、
    前記少なくとも1つの接触面は、前記消音容器の共振モードの波長をλ、前記消音容器の長手方向の長さをL、正の整数をnとして、共振モードの波長λnをλn=2L/nとし、かつλnの音波が可聴域に該当するとき、
    前記消音容器内の長手方向の端部からλn/8の範囲内に存在する消音換気構造。
  2. 前記吸音材は、前記開口管部を除く前記消音容器の内面に貼り付けられており、
    前記被覆材は、遮音性のある材質である請求項1に記載の消音換気構造。
  3. 前記正の整数nは、3以下である請求項1、又は2に記載の消音換気構造。
  4. 前記少なくとも1つの接触面は、前記吸音材の表面の全面積に対して、1%〜50%の面積を占める請求項1〜のいずれか1項に記載の消音換気構造。
  5. 前記吸音材は、前記開口管部を除く前記消音容器の内面の全面積に対して、50%以上の面積に貼り付けられている請求項1〜のいずれか1項に記載の消音換気構造。
  6. 前記吸音材の体積は、前記消音容器の体積の1%〜50%である請求項1〜のいずれか1項に記載の消音換気構造。
  7. 前記吸音材は、前記開口管部を除く前記消音容器の内面の全面に貼り付けられている請求項1〜のいずれか1項に記載の消音換気構造。
  8. 更に、前記消音容器の少なくとも1つの側面に前記消音容器内の空間に開口する開口部を有する少なくとも1つの管状体を有し、
    前記管状体の内部には前記吸音材が充填されており、
    前記管状体の前記開口部は、前記吸音材の表面の一部を露出させて、露出部分を前記消音容器内の空間と接触する前記少なくとも1つの接触面として構成する請求項1〜のいずれか1項に記載の消音換気構造。
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