以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る計量装置の平面図であり、図2は、その正面図である。
この実施形態の計量装置1は、計量対象である被計量物を矢符A方向へ搬送するベルトコンベヤからなる集合コンベヤ2と、この集合コンベヤ2の搬送方向に沿って2列に配設された複数台、この例では12台のベルトコンベヤからなる計量コンベヤ31〜312と、図2に示す架台4上に支持された装置本体部5と、被計量物の所定重量範囲、袋詰めする被計量物の所定数や後述のストリングアウト設定長などの運転制御用パラメータの設定や作動状況の表示などを行うタッチパネル式の操作設定表示器6などを備えている。
各計量コンベヤ31〜312の側方には、図1に示すように、シグナルタワーからなる報知部としての表示灯81〜812がそれぞれ設けられており、この表示灯81〜812の点滅等によって各種の報知、例えば、所定重量範囲にない被計量物が載置されている計量コンベヤ31〜312の報知などを行うことができる。なお、9は非常停止スイッチである。
集合コンベヤ2は、所定重量範囲にある被計量物が供給された計量コンベヤ31〜312の所定数から排出された被計量物、あるいは、組合せ演算によって排出組合せに選択された計量コンベヤ31〜312から排出された被計量物を、図1に示される矢符A方向へ搬送して、後段の装置、例えば、包装機(図示せず)へ排出し、排出された被計量物は、包装機で袋詰めされる。
被計量物は、特に限定されないが、壊れやすいあるいは傷つきやすい菓子類等の被計量物、例えば、平たい大判の煎餅などに好適である。
計量コンベヤ31〜312は、集合コンベヤ2の両側に、該集合コンベヤ2の搬送方向に沿って6台ずつ2列に直線状に配設されており、その搬送方向は、矢符Bで示されるように、集合コンベヤ2の搬送方向Aに直交する方向である。計量コンベヤ31〜312と集合コンベヤ2とは、そのコンベヤ間の段差が小さくなっており、計量コンベヤ31〜312から排出される被計量物が、集合コンベヤ2上へ移載されるときの衝撃を少なくすることができる。
2列の計量コンベヤ31〜312を挟むように、その両側、すなわち、図1において、計量コンベヤ31〜36の下側、及び、計量コンベヤ37〜312の上側には、図示しない投入台がそれぞれ配置されており、これら投入台上に、被計量物が溜められている。
作業者は、投入台上に溜められている被計量物の1個を、搬送停止状態の空の計量コンベヤ31〜312上に手作業、すなわち、手動で供給載置する。
各計量コンベヤ31〜312は、その下方にそれぞれ設置された各駆動モータによって駆動されるように構成されている。各計量コンベヤ31〜312及び駆動モータ等が、装置本体部5内に設置されたロードセルなどの各重量センサ(図示せず)によってそれぞれ支持されている。各重量センサからの荷重信号が、後述の制御部に与えられ、この制御部によって、計量コンベヤ31〜312上の被計量物の重量が算出されると共に、各計量コンベヤ31〜312に供給された被計量物の排出が制御される。
図3は、この実施形態の計量装置1の概略構成を示すブロック図であり、図1,図2に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
この計量装置1は、各計量コンベヤ31〜312及び集合コンベヤ2をそれぞれ駆動する第1,第2コンベヤ駆動回路部10,11、各表示灯81〜812を駆動する表示灯駆動回路部12、A/D変換部13、各部を制御する制御部14及びI/O回路部15等を備えている。
各計量コンベヤ31〜312は、上記のようにロードセル等の重量センサ161〜1612によって支持されており、これら重量センサ161〜1612によって計量コンベヤ31〜312上の被計量物の重量が検出され、その検出信号(アナログ荷重信号)は、上記A/D変換部13でデジタル荷重信号に変換され、制御部14に送られる。
制御部14は、CPU等からなる演算制御部17と、RAM及びROM等のメモリからなる記憶部18とを有している。記憶部18には、運転用プログラム、動作パラメータのデータ、計量データ等が記憶される。
制御部14は、演算制御部17が記憶部18に記憶されている運転用プログラムを実行することにより、計量装置1の全体の制御を行うと共に、後述の判定、組合せ演算、あるいは、被計量物の単体重量値の集計等の各処理を行う。すなわち、制御部14は、判定部、組合せ演算部、集計部としての機能を備えている。
制御部14は、第1コンベヤ駆動回路部10を介して各計量コンベヤ31〜312の駆動を制御し、第2コンベヤ駆動回路部11を介して集合コンベヤ2の駆動を制御する、すなわち、被計量物の排出制御を行う。また、制御部14は、I/O回路部15を介して後段の包装機からの排出命令信号を取込み、被計量物の排出が完了すると、包装機へ排出完了信号を出力する。制御部14は、操作設定表示器6から設定操作に応じた信号が入力されると共に、操作設定表示器6へ表示するデータ等の表示信号を出力する。
この実施形態では、壊れやすいあるいは傷つきやすい菓子類等の被計量物、例えば、平たい大判の煎餅の各1枚の重量が所定重量範囲、例えば、8g〜12gにあるか否かをチェックし、所定重量範囲にある煎餅の所定数、例えば8枚を、後段の包装機で袋詰めする場合に適用して説明する。
作業者は、操作設定表示器6を操作して、大判の煎餅1枚についての所定重量範囲、袋詰めする所定数、組合せ演算の許容重量範囲や後述のストリングアウト設定長などの運転制御用パラメータを計量装置1に設定する。
作業者は、大判の煎餅の1枚を、搬送停止状態の空の計量コンベヤ31〜312へ手作業で供給載置する。
計量装置1の制御部14は、各計量コンベヤ31〜312にそれぞれ対応する各重量センサ161〜1612の荷重信号に基づいて、各計量コンベヤ31〜312に供給された1枚の煎餅の重量値を算出し、算出した煎餅の重量値が、所定重量範囲にあるか否かを判定する。
制御部14は、煎餅の重量値が、所定重量範囲にないと判定したときには、その煎餅が供給されている計量コンベヤ31〜312に対応する表示灯81〜812を点滅させて、作業者に報知する。
作業者は、点滅している表示灯81〜812に対応する計量コンベヤ31〜312に供給されている煎餅を別の煎餅と入れ替える、すなわち、交換する。
計量コンベヤ31〜312の煎餅が集合コンベヤ2へ排出されて、空の計量コンベヤ31〜312が生じると、作業者は、空となった搬送停止状態のコンベヤ31〜312へ煎餅1枚を手作業で供給し、表示灯81〜812が点滅したら、対応する計量コンベヤ31〜312の煎餅を別の煎餅と入れ替えるという作業を繰り返す。
制御部14は、所定重量範囲の煎餅が供給された計量コンベヤ31〜312が、所定数に達すると、その所定数の計量コンベヤ31〜312を、後述の排出タイミングで駆動し、所定重量範囲の煎餅を、駆動されている集合コンベヤ2上で等間隔となるように排出し、集合コンベヤ2によって後段の包装機へ搬送されて袋詰めされる。
すなわち、制御部14は、所定重量範囲の煎餅が供給された計量コンベヤ31〜312が所定数に達すると、その所定重量範囲の被計量物の所定数を、計量コンベヤ31〜312から集合コンベヤ2へ排出するという第1の排出制御を行い、集合コンベヤ2によって包装機へ搬送する。これによって、包装機では、所定重量範囲の被計量物の所定数、この例では、8g〜12gの煎餅の8枚が袋詰めされる。
この実施形態では、制御部14は、煎餅1枚の重量値である、単体重量値(単重値)を集計する集計部としての機能を有しており、計量された全ての煎餅の単体重量値を集計すると共に、所定重量範囲の煎餅の単体重量値を集計する。制御部14は、集計した全ての煎餅の単体重量値に基づいて、後述のように第1集計データを算出すると共に、所定重量範囲の煎餅の単体重量値に基づいて、第2集計データを算出する。算出された各集計データは、出力部としての操作設定表示器6によって表示されて出力される。
制御部14は、全ての煎餅の単体重量値の内、所定重量範囲の煎餅の単体重量値が、一定数集計されると、その一定数の単体重量値の平均値と、上記所定数とに基づいて、次のようにして目標組合せ重量を算出する。なお、この一定数は、操作設定表示器6を操作して設定することができる。
単体重量値の平均値×所定数=目標組合せ重量
この目標組合せ重量に対する許容重量範囲は、設定する必要はなく、組合せ演算では、この目標組合せ重量に等しい、あるいは、最も近い組合せを排出組合せとして選択する。
制御部14は、組合せ演算部としての機能を有し、目標組合せ重量が決定されると、それ以降は、組合せ演算を行う。
すなわち、制御部14は、上記のようにして、目標組合せ重量が決定された後に、所定重量範囲の煎餅が供給された計量コンベヤ31〜312が、所定数を超えると、その所定数を超える計量コンベヤ31〜312に供給されている煎餅の重量値を、種々に組合せた組合せ重量値が、目標組合せ重量値に等しい、あるいは、目標組合せ重量に最も近い重量値となる前記所定数の計量コンベヤ31〜312の排出組合せを1つ選択し、選択された排出組合せの各計量コンベヤ31〜312を、後述の排出タイミングで駆動し、所定数の煎餅を、駆動されている集合コンベヤ2上で等間隔となるように排出し、集合コンベヤ2によって後段の包装機へ搬送する。
すなわち、制御部14は、目標組合せ重量が決定された後に、所定重量範囲の煎餅が供給された計量コンベヤ31〜312が、所定数を超えると、組合せ演算を行って排出組合せに選択された所定数の計量コンベヤ31〜312から集合コンベヤ2へ排出するという第2の排出制御を行い、集合コンベヤ2によって包装機へ搬送する。これによって、包装機では、組合せ演算によって選択された所定重量範囲の被計量物の所定数、この例では、8g〜12gの煎餅の8枚が袋詰めされる。
更に、この実施形態では、所定重量範囲の煎餅の単体重量値が、一定数集計される度に、その一定数の単体重量値の平均値を算出し、上記のように目標組合せ重量を算出して更新し、更新した目標組合せ重量に基づいて、組合せ演算を実行する。
また、この実施形態では、作業者が、操作設定表示器6を操作することによって、集計した全ての煎餅の単体重量値に基づいて算出される第1集計データ及び集計した所定重量範囲の煎餅の単体重量値に基づいて算出される第2集計データを、操作設定表示器6に表示することができる。第1集計データには、後述のように、全ての煎餅の単体重量値の平均値などを含んでおり、作業者は、表示される集計データに基づいて、煎餅の単体重量値の平均値の変化の傾向などを把握することが可能となる。これによって、作業者は、把握した情報を、当該計量装置よりも上流側の煎餅を生産するラインにフィードバックして、均一な煎餅が生産できるようにしている。
次に、計量コンベヤ31〜312の被計量物を、集合コンベヤ2によって等間隔で搬送されるように、集合コンベヤ2に排出するための動作について説明する。
図4は、本実施形態の計量装置1における計量コンベヤ31〜312及び集合コンベヤ2の配置を示す模式図である。この図4では、計量コンベヤ31〜312を、代表的に計量コンベヤ3として示している。
各計量コンベヤ3には、図4中のかっこ書きで示されるように、集合コンベヤ2の排出端2aに近い方から順にコンベヤ番号が付されており、各計量コンベヤ3に対するコンベヤ番号は、記憶部18に記憶されている。なお、集合コンベヤ2の排出端2aに対して同一位置(集合コンベヤ2の搬送方向に対する位置が同一)にあって、集合コンベヤ2を挟んで対向配置されている計量コンベヤ3については、いずれか一方に小さいコンベヤ番号を付し、他方に次のコンベヤ番号を付している。また、集合コンベヤ2の機長方向(搬送方向)に隣接する計量コンベヤ3間の中心間距離をL、集合コンベヤ2の排出端2aからこの排出端2aに最も近い計量コンベヤ3の中心までの距離をMとする。また、図4では、コンベヤ番号が(1)、(2)の計量コンベヤ3の中心位置を0として、集合コンベヤ2の機長方向における位置を搬送位置として示している。各計量コンベヤ3は、被計量物を集合コンベヤ2のある方向へ搬送し、その排出端3aから被計量物を排出する。
ここで、本実施形態で使用する用語等について説明する。
図4に示すように、例えば、コンベヤ番号(6)、(8)、(10)、(12)の4つの計量コンベヤ3が、被計量物を排出する計量コンベヤ3と決定され、これら4つの計量コンベヤ3から同時に被計量物Pが排出された場合を想定する。この場合、4つの計量コンベヤ3から排出されて、集合コンベヤ2上を搬送される被計量物Pの先頭から最後尾までの長さ(被計量物搬送長であり、以下、「ストリングアウト長」という)をSOrとし、各々の計量コンベヤ3から排出された被計量物Pの集合コンベヤ2上での搬送方向の長さ(以下、「被計量物個別長」という)が同一のSIであるとし、集合コンベヤ2上を搬送される先頭と最後尾の被計量物Pの中心間距離(以下、「被計量物広がり長」という)をSLとすると、
SOr=SL+SI
となる。すなわち、ストリングアウト長SOrは、被計量物広がり長SLに被計量物個別長SIを加えた長さとなる。
上記のように、被計量物を排出することが決定された4つの全ての計量コンベヤ3から同時に被計量物を排出させる場合には、被計量物広がり長SLは、先頭の被計量物を排出する計量コンベヤ3と最後尾の被計量物を排出する計量コンベヤ3とのコンベヤ中心間距離に等しくなるため、被計量物を排出することが決定された計量コンベヤ3が異なれば、被計量物広がり長SLも異なる場合が多々ある。したがって、ストリングアウト長SOrも変動し、一定の長さを維持することはできない。
本実施形態では、ストリングアウト長SOrが所望の値となるように、被計量物を排出することが決定された各計量コンベヤ1から被計量物を排出するための、各計量コンベヤ1の搬送動作の開始タイミング(起動タイミング)を算出し、その起動タイミングに基づいて各計量コンベヤ3の搬送動作、すなわち、搬出動作を開始させるようにしている。以下に具体的な動作例を説明する。
なお、本実施形態では、作業者が各計量コンベヤ3に被計量物を載せる位置を、例えば計量コンベヤ3の機長方向の真ん中の位置とするように作業マニュアル等で定められているものとする。そして、各計量コンベヤ3の搬送速度は同一に設定されており、各々の計量コンベヤ3の起動時(搬送動作開始時)からその計量コンベヤ3上の被計量物が集合コンベヤ2上へ排出されるまでに要する時間は同一の時間と考える。したがって、各計量コンベヤ3から集合コンベヤ2へ被計量物が排出される排出タイミング(排出順及び排出時間間隔)の関係と各計量コンベヤ3の起動タイミング(起動順及び起動時間間隔)の関係とは等しくなる。
図5は、本実施形態の排出動作を示すフローチャートである。これは、被計量物を排出する計量コンベヤ3が決定された後の排出処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、被計量物を排出することが決定された計量コンベヤ3の個数を上記所定数であるn個とする。また、集合コンベヤ3の搬送速度をVとする。
予め操作設定表示器6を用いて所望するストリングアウト設定長SO及び被計量物個別長SIが制御部14に入力されており、これらのSO、SIの値は記憶部18に記憶されている。また、集合コンベヤ搬送速度Vの値等も記憶部18に記憶されている。
この動作例は、被計量物を排出することが決定された各計量コンベヤ3から排出される被計量物が、集合コンベヤ2で搬送されるときに、ストリングアウト設定長SOの間に、被計量物の中心が均等な間隔(m)で並ぶようにするための一例である。そのため、ストリングアウト設定長SOに応じた被計量物広がり長SLと個数nとから、集合コンベヤ2上で互いに隣接して搬送される被計量物の中心間距離mを算出し、その中心間距離mを実現できるように、各計量コンベヤ3の排出動作である搬送動作の開始タイミング(起動タイミング)を求め、その起動タイミングで計量コンベヤ3を起動させる。以下、詳しく説明する。
図5に示されるステップn21では、被計量物広がり長SLを、ストリングアウト設定長SOから被計量物個別長SIを減算することにより算出する(SL=SO−SI)。このステップn21は、一度行えば、その結果の被計量物広がり長SLを記憶しておくことで、再度行う必要はなく、次からはステップn22の処理から行えばよい。
ステップn22では、被計量物広がり長SLと個数nとを用いて、集合コンベヤ2上で互いに隣接して搬送される被計量物の中心間距離mを、
m=SL/(n−1)
の式により算出する。
次のステップn23では、被計量物が排出されることが決定されている計量コンベヤ3に、コンベヤ番号が小さいものから順に、1,2,・・・,nとなるように、搬送順番号を付す。この搬送順番号は、各計量コンベヤ3から排出された被計量物が、集合コンベヤ2で搬送されるときの並び順を示し、集合コンベヤ3での搬送時において先頭で搬送される被計量物を排出する計量コンベヤ3の搬送順番号を1とする。
次のステップn24では、搬送順番号が1の計量コンベヤ3と、搬送順番号がk(k=2,3,・・・,n)の計量コンベヤ3との間のコンベヤ中心間距離Mkを算出する。
例えば、図4に示すコンベヤ番号(1)、(2)、(7)の3個の計量コンベヤ3が、被計量物を排出する計量コンベヤ3に決定されている場合、コンベヤ番号(1)、(2)、(7)の計量コンベヤ3のそれぞれは、順番に1,2,3の搬送順番号が付される(ステップn23)。そして、コンベヤ中心間距離M2は、搬送順番号が2(コンベヤ番号(2))の計量コンベヤ3と、搬送順番号が1(コンベヤ番号(1))の計量コンベヤ3とのコンベヤ中心間距離であり、この場合、M2=0になる。また、コンベヤ中心間距離M3は、搬送順番号が3(コンベヤ番号(7))の計量コンベヤ3と、搬送順番号が1(コンベヤ番号(1))の計量コンベヤ3とのコンベヤ中心間距離であり、この場合、M3=3Lになる。
コンベヤ中心間距離Mkは、例えば、全ての計量コンベヤ3について任意の2つの計量コンベヤ3の中心間距離を記憶部18に記憶しておいて、該当する2つの計量コンベヤ3の中心間距離を記憶部18から読み出すことにより求める。あるいは、図4に示される各計量コンベヤ3の中心の搬送位置を記憶部18に記憶しておいて、該当する2つの計量コンベヤ3の中心の搬送位置の差を算出することにより求めるようにしてもよい。例えば、コンベヤ番号(1)、(2)の計量コンベヤ1の中心の搬送位置は共に「0」であり、コンベヤ番号(7)の計量コンベヤ1の中心の搬送位置は「3L」である。
なお、ここで求めるコンベヤ中心間距離Mkを、正確に言えば、搬送順番号が1の計量コンベヤ3の排出端3aの位置(その中心位置)と搬送順番号がkの計量コンベヤ3の排出端3aの位置(その中心位置)との距離である。
次のステップn25では、集合コンベヤ2上で隣接して搬送される被計量物の中心間距離がステップn22で算出した中心間距離mとなるように、各計量コンベヤ3の排出タイミングを決定する。この排出タイミングの決定方法を以下に詳しく説明する。
まず、搬送順番号が1の計量コンベヤ3の排出時刻t1を基準にして、他の計量コンベヤ3の排出時刻tk(k=2,3,・・・,n)を算出する。
ここで、搬送順番号がkの計量コンベヤ3から排出される被計量物と、搬送順番号が1の計量コンベヤ3から排出される被計量物との、集合コンベヤ2上での被計量物の中心間距離をAkとすると、先に算出した隣接搬送される被計量物の中心間距離mを実現するためには、Ak=(k−1)mとなる。
また、搬送順番号がkの計量コンベヤ3と搬送順番号が1の計量コンベヤ3との間のコンベヤ中心間距離は前述のMkである。
ここで、例えば、コンベヤ中心間距離Mkが被計量物中心間距離Akよりも短い場合を考えると、これらの差を集合コンベヤ搬送速度Vで割った値、すなわち、(Ak−Mk)/Vの時間だけ、搬送順番号がkの計量コンベヤ3を、搬送順番号が1の計量コンベヤ3よりも遅らせて被計量物を排出させることにより、これらの計量コンベヤ3から排出される被計量物の中心間距離をAkにすることができる。逆に、コンベヤ中心間距離Mkが被計量物中心間距離Akよりも長い場合を考えると、−(Ak−Mk)/Vの時間だけ、搬送順番号がkの計量コンベヤ3を、搬送順番号が1の計量コンベヤ3よりも早く被計量物を排出させることにより、これらの計量コンベヤ3から排出される被計量物の中心間距離をAkにすることができる。
すなわち、コンベヤ中心間距離Mkと被計量物中心間距離Akとの大小関係に関わらず、搬送順番号が1の計量コンベヤ3の排出時刻に、(Ak−Mk)/Vの時間を加えた時刻を、搬送順番号がkの計量コンベヤ3の排出時刻にすれば、これらの計量コンベヤ3から排出される被計量物の中心間距離をAkにすることができる。ここで、前述のように、Ak=(k−1)mである。
したがって、搬送順番号が1の計量コンベヤ3の排出時刻t1(t1は任意の値であり、0でもよい)を基準にして、他の搬送順番号がkの計量コンベヤ3の排出時刻tk(k=2,3,・・・,n)を、次の(I)式を用いて算出する。
tk=t1+〔(k−1)m−Mk〕/V・・・(I)
例えば、前述同様、図4に示すコンベヤ番号(1)、(2)、(7)の3個の計量コンベヤ1が、被計量物を排出する計量コンベヤ3に決定されている場合を考えると、搬送順番号が2(コンベヤ番号(2))の計量コンベヤ3の排出時刻t2は、k=2、M2=0であるので、
t2=t1+m/V
となる。この時刻t2は、搬送順番号が1(コンベヤ番号(1))の計量コンベヤ3の排出時刻t1より、m/Vだけ遅い時刻となる。
また、搬送順番号が3(コンベヤ番号(7))の計量コンベヤ3の排出時刻t3は、k=3、M3=3Lであるので、
t3=t1+(2m−3L)/V
となる。この時刻t3は、(2m−3L)が正の値の場合には、搬送順番号が1の計量コンベヤ3の排出時刻t1より、(2m−3L)/Vだけ遅い時刻となり、(2m−3L)が負の値の場合には、搬送順番号が1の計量コンベヤ3の排出時刻t1より、−(2m−3L)/Vだけ早い時刻となる。
ここで、仮に、ストリングアウト設定長がSO=2L+SIであったとすると、SL=2Lとなり、個数n=3であるので、
m=SL/(n−1)=2L/(3−1)=L
となる。m=Lであるので、前述のt2,t3は、
t2=t1+m/V=t1+L/V
t3=t1+(2m−3L)/V=t1−L/V
となる。
以上のようにして算出した排出時刻t1〜t3の値が小さい順となるように、対応する計量コンベヤ1の排出順を決める。そして、後述のように各計量コンベヤ1の排出時間間隔を算出する。
例えば、t1=0とすると、t2=L/V、t3=−L/Vとなるので、これを小さい順に並べると、t3、t1、t2となる。すなわち、計量コンベヤ1の被計量物の排出順は、搬送順番号が3,1,2の順に決まる。次に搬送順番号が3と1との計量コンベヤ3の排出時間間隔を、t1−t3=L/Vとして算出し、搬送順番号が1と2との計量コンベヤ3の排出時間間隔を、t2−t1=L/Vとして算出する。
すなわち、最初に、搬送順番号が3(コンベヤ番号(7))の計量コンベヤ3から被計量物を排出し、そのL/Vの時間後に、搬送順番号が1(コンベヤ番号(1))の計量コンベヤ3から被計量物を排出し、そのL/Vの時間後に、搬送順番号が2(コンベヤ番号(2))の計量コンベヤ3から被計量物を排出することが決められる。
なお、上記のような排出時間間隔を算出する代わりに、最初に排出する計量コンベヤ3に対する遅延時間を算出するようにしてもよい。すなわち、最初に排出する搬送順番号が3の計量コンベヤ3に対する搬送順番号が1の計量コンベヤ3の遅延時間を、t1−t3=L/Vとして算出し、搬送順番号が3の計量コンベヤ3に対する搬送順番号が2の計量コンベヤ1の遅延時間を、t2−t3=2L/Vとして算出するようにしてもよい。
以上のようにして求められる排出タイミング(排出順及び排出時間間隔)に基づいて、被計量物が排出される場合の例を説明する。
ここで、図4の搬送位置を参照すれば、まず、コンベヤ番号(7)の計量コンベヤ3から搬送位置が3Lの位置に被計量物が排出される。次にL/Vの時間後に、コンベヤ番号(1)の計量コンベヤ3から搬送位置が0の位置に被計量物が排出される。このとき、コンベヤ番号(7)の計量コンベヤ3から排出された被計量物は、V×L/V=Lだけ矢印Aの方向へ進んでいるので、搬送位置が2Lの位置になる。したがって、コンベヤ番号(7)とコンベヤ番号(1)との計量コンベヤ3から排出された被計量物の中心間距離は2Lである。そして、さらに、L/Vの時間後に、コンベヤ番号(2)の計量コンベヤ3から搬送位置が0の位置に被計量物が排出される。このとき、コンベヤ番号(7)の計量コンベヤ3から排出された被計量物は、上記2Lの位置からさらにV×L/V=Lだけ矢印Aの方向へ進んでいるので、搬送位置がLの位置になり、同様に、コンベヤ番号(1)の計量コンベヤ3から排出された被計量物は搬送位置が−Lの位置になる。
したがって、コンベヤ番号(7)とコンベヤ番号(2)との計量コンベヤ3から排出された被計量物の中心間距離はLとなり、また、コンベヤ番号(1)とコンベヤ番号(2)との計量コンベヤ3から排出された被計量物の中心間距離もLとなる。
すなわち、先頭の被計量物と最後尾の被計量物との中心間距離は2Lとなり、ストリングアウト長は2L+SIとなり、ストリングアウト設定長SOを満足するとともに、各計量コンベヤ1から排出された被計量物は集合コンベヤ2上で均等な間隔(被計量物中心間距離がmで均等)で搬送されることになる。
このように被計量物が、まとまることなく均等な間隔で被計量物を排出することができるので、計量装置1の後段の包装機の被計量物の受入口において被計量物が詰るのを防止することができる。
上記では、各計量コンベヤ3の排出タイミングを求める方法を説明したが、前述したように、各計量コンベヤ3の排出タイミング(排出順及び排出時間間隔)の関係と各計量コンベヤ3の起動タイミング(起動順及び起動時間間隔)の関係とは等しくなるので、上記の排出タイミングを求める方法を、そのまま各計量コンベヤ3の起動タイミングを求める方法として用いることができる。すなわち、先に述べた(I)式において、t1を、搬送順番号が1の計量コンベヤ1の起動時刻(t1は任意の値であり、例えば0とする)とし、tkを、搬送順番号がkの計量コンベヤ1の起動時刻とし、その起動時刻tkを算出する。さらにその結果に基づいて、排出順及び排出時間間隔を求めた場合と同様にして、計量コンベヤ3の起動順及び起動時間間隔を求めればよい。なお、起動時間間隔を求める代わりに、最初に起動する計量コンベヤ3に対する他の計量コンベヤ3を起動させる遅延時間を求めるようにしてもよい。
次に、本実施形態の計量装置の動作を、図6及び図7のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
図6に示すように、作業者は、操作設定表示器6を操作して、被計量物の1個についての所定重量範囲、袋詰めする被計量物の数である所定数、及び、被計量物を排出するための上記ストリングアウト設定長SO等を設定する(ステップn1)。制御部14は、運転スイッチがONされたか否かを判断し(ステップn2)、運転スイッチがONされると、制御部14は、集合コンベヤ2を起動する(ステップn3)。
作業者は、手作業で、被計量物の1個を搬送停止状態の空の計量コンベヤ31〜312上に載置する。載置した被計量物の重量が、所定重量範囲外であるときには、後述のステップn7のように報知されるので、被計量物と入れ替える、すなわち、交換する。
制御部14は、計量コンベヤ31〜312上の被計量物を計量し(ステップn4)、被計量物の1個の重量値である単体重量値(単重値)を取得して集計する(ステップn5)。この単体重量値の集計では、全ての被計量物の単体重量値を集計すると共に、所定重量範囲の被計量物の単体重量値を集計する。
次に、計量コンベヤ31〜312上に、所定重量範囲外の被計量物が有るか否かを判断する(ステップn6)。
ステップn6で、計量コンベヤ31〜312上に、所定重量範囲外の被計量物が無いときには、ステップn8に移り、所定重量範囲外の被計量物が有るときには、所定重量範囲外の被計量物が載置されている計量コンベヤ31〜312に対応する表示灯81〜812を、例えば、点滅させて報知し(ステップn7)、ステップn8に移る。作業者は、報知された所定重量範囲外の被計量物を、上記のように新しい被計量物と入れ替える。
ステップn8では、所定重量範囲の被計量物が載置された計量コンベヤ31〜312が所定数有るか否かを判断し、所定数無いときには、ステップn4に戻り、所定数有るときには、ステップn9に移る。
ステップn9では、上記のように、所定数の計量コンベヤ31〜312から均等な搬送間隔となるように、被計量物を排出して図7のステップn10に移る。これによって、計量コンベヤ31〜312から、所定重量範囲の被計量物の所定数が、集合コンベヤ2に排出され、集合コンベヤ2によって、後段の包装機へ搬送される。
ステップn10では、上記ステップn5で集計した所定重量範囲の単体重量値(単重値)に基づいて、排出された被計量物の単体重量値の平均値を算出し、この単体重量値の平均値に、所定数を乗算して目標組合せ重量を算出する。作業者は、集合コンベヤ2へ被計量物を搬出して空となった搬送停止状態の計量コンベヤ31〜312上に、被計量物の1個を載置し、載置した被計量物が、所定重量範囲外の被計量物である旨が報知されると、新しい被計量物と入れ替える。
制御部14は、計量コンベヤ31〜312上の被計量物を計量し(ステップn11)、被計量物の1個の重量値である単重値を取得して集計する(ステップn12)。この単重値の集計では、上記のように、全ての被計量物の単体重量値を集計すると共に、所定重量範囲の被計量物の単体重量値を集計する。
次に、計量コンベヤ31〜312上に、所定重量範囲外の被計量物が有るか否かを判断する(ステップn13)。
ステップn13で、計量コンベヤ31〜312上に、所定重量範囲外の被計量物が無いときには、ステップn15に移り、所定重量範囲外の被計量物が有るときには、所定重量範囲外の被計量物が載置されている計量コンベヤ31〜312に対応する表示灯81〜812を、例えば、点滅させて報知し(ステップn14)、ステップn15に移る。作業者は、報知された所定重量範囲外の被計量物を、新しい被計量物と入れ替える。
ステップn15では、所定重量範囲の被計量物が載置された計量コンベヤ31〜312の数が所定数を超えているか否かを判断し、所定数を超えていないときには、ステップn11に戻り、所定数を超えているときには、ステップn16に移る。
ステップn16では、その所定数を超える計量コンベヤ31〜312に供給されている被計量物の重量値に基づいて組合せ演算を行って目標組合せ重量と等しい、あるいは、最も目標組合せ重量に近い所定数の計量コンベヤ31〜312の排出組合せを1つ選択し、上記のように、所定数の計量コンベヤ31〜312から均等な搬送間隔となるように、被計量物を排出してステップn17に移る。これによって、排出組合せに選択された計量コンベヤ31〜312から、所定重量範囲の被計量物の所定数が、集合コンベヤ2に排出され、集合コンベヤ2によって、後段の包装機へ搬送される。
次に、集計した被計量物の単体重量値(単重値)に基づく集計データの表示を要求する操作が、作業者によってされたか否かを判断し(ステップn17)、操作がされていないときには、ステップn19に移り、操作がされたときには、後述のように、集計した全ての被計量物の単体重量値(単重値)に基づく第1集計データ及び集計した所定重量範囲の被計量物の単体重量値に基づく第2集計データを算出して操作設定表示器6に表示してステップn19に移る(ステップn18)。
ステップn19では、運転スイッチがOFFされたか否かを判断し、OFFされていないときには、ステップS10に戻り、OFFされているときには、集合コンベヤ2を停止させて終了する(ステップn20)。
このように本実施形態によれば、制御部14は、被計量物の単体重量値の平均値が算出されて、目標組合せ重量が決定されるまでは、所定重量範囲の被計量物が供給された計量コンベヤ31〜312が所定数になると、その所定数の計量コンベヤ31〜312から被計量物を、集合コンベヤ2へ排出させる第1の排出制御を行い、これによって、集合コンベヤ2は、所定重量範囲の被計量物の所定数を、等間隔で後段の包装機へ搬送して排出する。
制御部14は、被計量物の単体重量の平均値が算出されて、目標組合せ重量が決定された以降は、所定重量範囲の被計量物が供給された計量コンベヤ31〜312が所定数を超えると、その所定数を超える計量コンベヤ31〜312に供給されている被計量物の重量値に基づいて組合せ演算を行って排出組合せを選択し、排出組合せに選択された所定数の計量コンベヤ31〜312から被計量物を、集合コンベヤ2へ排出させる第2の排出制御を行い、これによって、集合コンベヤ2は、排出組合せに選択された所定重量範囲の被計量物の所定数を、等間隔で後段の包装機へ搬送して排出する。
上記のように、所定重量範囲及び所定重量範囲外の全ての被計量物の単体重量値(単重値)を集計し、作業者が操作設定表示器6を操作して、集計データの表示を要求すると、図8に示すように、計量コンベヤ31〜312で計量した全ての被計量物の単体重量値(単重データ)に基づく第1集計データとして、全ての被計量物の単体重量値の平均値、標準偏差、最小値、最大値を算出して操作設定表示器6に表示することができる。また、所定重量範囲、この例では、8g〜12gの被計量物の単体重量値(単重データ)に基づく第2集計データとして、所定重量範囲の被計量物の単体重量値の平均値、標準偏差、最小値、最大値を算出して操作設定表示器6に表示することができる。更に、それらの度数分布図を作成して表示することができる。
この図8の例では、全被計量物の単体重量値の平均値は、11.5gである。1包装当りの目標組合せ重量として、80.0gを目指すのであれば、被計量物の単体重量値の平均値は、10.0gに近い程良い。被計量物の加工、成型ラインの作業者は、図8のデータを参考にして、均一な被計量物を生産するように努力する。例えば、前工程の大判の煎餅を製造する職人が、煎餅1枚当りの材料をやや減らす等の調整を行い、大幅な歩留まりの向上を行うことができる。なお、集計データは、図8に限らず、その一部のみのデータであってもよく、また、他のデータ、例えば、全被計量物の総重量や総数、所定重量範囲の被計量物の総重量や総数、あるいは、全ての被計量物に占める所定重量範囲の被計量物の割合などであってもよい。
上記実施形態では、所定重量範囲外の被計量物については、作業者が入れ替えるようにしたが、他の実施形態として、所定重量範囲外の被計量物が載置された計量コンベヤ31〜312を逆回転させて、所定重量範囲外の被計量物を排除してもよい。
また、所定重量範囲外の被計量物が載置された計量コンベヤ31〜312の数が、複数となって所定重量範囲外の被計量物が溜まったような場合には、集合コンベヤ2を一時的に逆回転させた状態で、所定重量範囲外の被計量物が載置された計量コンベヤ31〜312を駆動して、所定重量範囲外の被計量物を集合コンベヤ2に排出し、集合コンベヤ2によって逆方向へ排出させてもよい。
上記実施形態では、表示灯81〜812によって、被計量物の重量が所定重量範囲でないことを報知したが、表示灯に限らず、操作設定表示器などによる画面表示、あるいは、音声などによって報知してもよく、それらを組合せて報知してもよい。
上記実施形態では、単体重量値を集計し、単体重量値の平均値を算出した後、目標組合せ重量を算出し、その後は、組合せ演算を行って排出組合せの計量コンベヤ31〜312から被計量物を排出したが、本発明の他の実施形態として、組合せ演算を行うことなく、所定重量範囲の被計量物が供給された計量コンベヤ31〜312の数が所定数になる度に、その所定数31〜312の計量コンベヤから被計量物を排出するようにしてもよい。