次に、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳述する。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る風呂システム1は、浴槽2と、上水道から供給される水を加熱し湯水を生成する熱源機としての給湯器3と、給湯器3で加熱生成された湯水を洗浄液と混合して浴槽2の洗浄ノズル25に供給する浴槽洗浄装置4と、浴槽洗浄装置4の動作を設定指示する操作端末5と、給湯器3の動作を設定指示する操作端末7とで構成されている。
浴槽2には、浴槽2内に貯留された風呂水を外部へ排出するための排水口20と、給湯器3から供給される湯水を浴槽2内に導出させる浴槽金具23と、排水口20を閉塞可能な排水栓24と、給湯器3から供給される湯水を浴槽2の内周へ向けて噴射させる洗浄ノズル25とが設けられている。
浴槽金具23は、外部の湯張り配管15を介して浴槽洗浄装置4の湯張り分岐管路42に接続されている。図示しないが、浴槽金具23は、浴槽洗浄装置4から湯張り配管15を通じて供給される湯水を浴槽2内へ導出する湯出口を備えている。
尚、本実施の形態では、浴槽金具23に湯張り分岐管路42が接続され、後述する湯張り運転や差し湯運転の際、浴槽金具23から浴槽2内へ湯水が供給されるように構成されているが、浴槽金具23を備えておらず、浴槽2の近傍に設けられたカランに湯張り分岐管路42が接続され、上記カランから浴槽2内へ湯水が供給されるように構成されたものとしてもよい。
排水栓24は、図示しない弁駆動部に接続されており、浴槽洗浄装置4に組み込まれた洗浄湯張り制御回路4Cからの指示に応じて自動で開閉するように構成されている。また、排水栓24の近傍または上記弁駆動部の近傍には、排水栓24の開閉状態を検出する排水検知手段としての開閉センサ28が設けられている。
洗浄ノズル25は、外部の洗浄配管16を介して浴槽洗浄装置4の出湯管路41に接続されている。図示しないが、洗浄ノズル25は、浴槽洗浄装置4から洗浄配管15を通じて供給される湯水を浴槽2の内周面全体へ向けて放射状に噴射する噴射口を備えている。
給湯器3は、図示しないガス配管から供給される燃料ガスを燃焼させて燃焼排ガスを生成するバーナ31と、バーナ31から放出される燃焼排ガス中の熱を回収し、上水道から給水配管11を通じて供給される水を加熱する熱交換器32とを備えている。
熱交換器32の水入口は、入水管路33を介して外部の給水配管11に接続されている。一方、熱交換器32の湯出口は、出水管路34を介して外部の給湯配管12に接続されている。尚、給水配管11は、上水道に繋がっており、給湯配管12は、カランやシャワーなどの温水利用先Kに繋がっている。
入水管路33には、給水配管11から熱交換器32への水の流量を検出する給水量センサ35と、給水配管11から入水管路33に供給された水を出水管路34に分流させる分流弁36とが上流側よりこの順序で配設されている。
給湯器3の動作制御回路(給湯制御回路)3Cは、操作端末7の操作状態を監視する操作判定部、給水量センサ35の検知流量が所定流量以上を示したか否かを監視する出湯判定部、分流弁36の開度の調整を行う分流弁制御部、バーナ31の点火や消火、燃焼量の調整動作を制御するバーナ制御部、熱交換器32で加熱生成された湯水を予め設定された出湯温度に調整して外部へ供給する給湯動作の実行部等の回路構成を有している。
尚、本実施の形態では、熱源機として出湯温度の調整機能を備えた給湯器3が用いられ、操作端末7によって給湯器3による給湯動作の開始や停止、出湯温度の設定などを指示できるように構成されているが、出湯温度を任意に変更できない温度固定の給湯器やソーラ温水器などの熱源機を用いて本発明の実施の形態に係る風呂システム1を構築してもよい。
浴槽洗浄装置4は、洗浄液を貯留可能な洗浄液タンク40と、給湯器3から供給される湯水を洗浄配管16へ導く出湯管路41と、給湯器3から出湯管路41に供給される湯水を湯張り配管15へ導く湯張り分岐管路42と、給水配管11から出湯管路41へ水を導く温調給水管路43と、洗浄液タンク40内の洗浄液を出湯管路41へ導く洗浄液混合管路44とを備えており、出湯管路41の上流端に給湯配管12が接続され、下流端に洗浄配管16が接続される。
湯張り分岐管路42は、出湯管路41の中間部から分岐して延設されており、下流端に湯張り配管15が接続される。温調給水管路43は、出湯管路41の中間部から分岐して延設されており、上流端に給水配管11が接続される。洗浄液混合管路44は、出湯管路41における湯張り分岐管路42の分岐部46より下流側に合流接続されており、上流端に洗浄液タンク40が接続される。
洗浄液混合管路44には、洗浄液タンク40から出湯管路41への洗浄液の導出を遮断可能な洗浄液開閉弁61が配設されている。出湯管路41における洗浄液混合管路44の合流部45は、略中央が縮径するベンチュリ管構造となっており、洗浄液開閉弁61が開かれた状態で出湯管路41に湯水が導入されると、合流部45の縮径部で生じる負圧によって洗浄液タンク40内の洗浄液が出湯管路41に引き込まれ、湯水と混合される。
出湯管路41における湯張り分岐管路42への分岐部46には、給湯配管12から出湯管路41に供給される湯水を洗浄配管16側と湯張り配管15側とで切り替えて導出可能な洗浄湯張り切替弁62が配設されている。また、出湯管路41における洗浄湯張り切替弁62の上流側には、出湯管路41における洗浄液や湯水の逆流を防止する逆流防止弁63と、出湯管路41から洗浄配管16および湯張り配管15への湯水の導出を遮断可能な出湯開閉弁64と、洗浄配管16又は湯張り配管15への湯水の導出量を検出する水量検知手段としての水量センサ65と、給湯配管12から出湯管路41への湯水の導入量を調整可能な湯量調整弁66Aと、出湯管路41から給湯配管12への湯水の逆流を防止する逆流防止弁67Aとが、下流側よりこの順序で配設されている。
温調給水管路43は、出湯管路41における水量センサ65と湯量調整弁66Aとの間に合流接続されている。また、温調給水管路43には、給水配管11から温調給水管路43への水の導入量を調整可能な水量調整弁66Bと、出湯管路41から給水配管11への湯水の逆流を防止する逆流防止弁67Bとが、下流側よりこの順序で配設されている。即ち、出湯管路41における温調給水管路43との合流部47には、湯量調整弁66Aおよび水量調整弁66Bからなる湯水混合部66が設けられており、これら湯量調整弁66Aおよび水量調整弁66Bの開度を調整することによって合流部47の下流側へ供給する湯水の混合比率を調整し、洗浄配管16又は湯張り配管15への出湯温度を調整できるようになっている。また、出湯管路41における上記合流部47より下流側には、洗浄配管16又は湯張り配管15への出湯温度を検出する出湯温検知手段としての出湯温センサ68が設けられている。
浴槽洗浄装置4の動作制御回路(洗浄湯張り制御回路)4Cは、操作端末5の操作状態を監視する操作判定部、洗浄湯張り切替弁62の流路の切り替えを行う運転切替制御部、出湯開閉弁64の開閉や湯水混合部66の開度の調整を行う出湯制御部、洗浄液開閉弁61の開閉を行う洗浄液供給制御部、排水栓24の開閉を行う排水制御部、湯張り実行中の経過時間や湯張り終了後の経過時間、排水栓24の開時間(排水時間)等を計測する排水計時手段としての計時部、水量センサ65の検知流量の積算値に基づいて湯張り配管15への湯水の導出量(湯張り量)を判定する湯張り量判定部等の回路構成を有している。
さらに、洗浄湯張り制御回路4Cは、給湯器3で加熱された湯水を洗浄ノズル25から噴射させて浴槽2内を洗浄する浴槽洗浄動作の実行部、給湯器3で加熱された湯水を浴槽2に所定量供給して風呂水を貯める湯張り動作の実行部、給湯器3で加熱された湯水を浴槽2に所定量追加供給して風呂水を加熱する差し湯動作の実行部、差し湯動作によって浴槽2に湯水を追加供給した場合の風呂水の予測温度Taを算出する予測温度演算部、予測温度Taが基準温度(ここでは、予め設定された風呂水の上限温度Tm)以下である場合は差し湯動作を許可し、基準温度より高い場合は差し湯動作を制限する差し湯許否判定部、出湯温センサ68の検知温度Tnや水量センサ65の検知流量Wn、後述する放熱時間Sc、放熱係数Cに基づいて湯張り後の風呂水温度(以下、「風呂温度」という)Tbを算出する風呂温度演算部、水量センサ65の検知流量Wnの積算値(以下、「注湯量」という)ΣWnや後述する開時間Sd、排水流量Qdに基づいて湯張り後の風呂水量Wbを算出する風呂水量演算部、差し湯動作が制限されている旨を操作端末5から報知させる報知制御部等の回路構成を有している。尚、差し湯動作を許可するか制限するかを判定する基準温度は、差し湯によって湯水が浴槽2の内外へ散出されたり浴槽2内に貯留されたりしたときに、使用者に強い不快感を与えない程度の温度(例えば、50℃以下)であれば、上限温度Tmと異なる温度に設定されてもよい。
操作端末5は、浴槽洗浄装置4の運転スイッチ50、湯張り運転の開始を指示する湯張りスイッチ51、浴槽洗浄運転の開始を指示する浴槽洗浄スイッチ52、差し湯運転の開始を指示する差し湯スイッチ53、設定湯張り温度T1や設定湯張り量W1、設定差し湯温度T2、設定差し湯量W2などの設定を加減するための加減スイッチ54、設定湯張り温度T1や設定差し湯温度T2などの動作条件を表示する表示部55、および、風呂システム1の動作状態を音声にて報知する音声出力部56を備えており、浴槽洗浄装置4に有線又は無線で接続されている。
尚、本実施の形態では、設定差し湯温度T2および設定差し湯量W2は、操作端末5側で任意に変更できるように構成されているが、浴槽洗浄装置4に設けられた初期設定用の切替スイッチにて変更できるように構成されたものとしてもよいし、設定差し湯温度T2が単一温度に固定されており、任意に変更できないように構成されたものとしてもよい。また、風呂水の上限温度Tmは、単一温度に固定されており、任意に変更できないように構成されているが、操作端末5や浴槽洗浄装置4に設けられた初期設定用の切替スイッチにて任意に変更できるように構成されたものとしてもよい。
上記風呂システム1による湯張り運転および差し湯運転時の制御動作を、図2のフローチャートに従って説明する。尚、図示しないが、給湯器3の操作端末7にて運転スイッチのオン操作がなされることで、給湯制御回路3Cの主制御プログラムが起動し、給湯運転が実行可能な状態となる。さらに、浴槽洗浄装置4の操作端末5にて運転スイッチ50のオン操作がなされることで、湯張り洗浄回路4Cの主制御プログラムが起動し、湯張り運転や差し湯運転、浴槽洗浄運転等が実行可能な状態となる。また、操作端末5の運転スイッチ50のオン操作がなされると、表示部55に設定湯張り温度T1および設定湯張り量W1が表示される。
操作端末5にて運転スイッチ50のオン操作がなされると、何れかの動作スイッチ51,52,53(ここでは、湯張りスイッチ51又は差し湯スイッチ53)のオン操作がなされたか否かの監視を開始する(ST1〜ST2)。
その後、操作端末5にて湯張りスイッチ51のオン操作がなされた場合は(ST1のステップでYes)、操作端末5の音声出力部56から「湯張りを開始する」旨を音声にて出力させると共に、浴槽2の排水栓24を閉じ、設定湯張り温度T1に調整された設定湯張り量W1の湯水を浴槽2内に供給する湯張り動作を実行する(ST3〜ST5)。
ST5のステップの湯張り動作は、まず、洗浄湯張り切替弁62を「湯張り側」に切り替えると共に、出湯開閉弁64を開く。これにより、浴槽洗浄装置4内に、給湯配管12から湯張り配管15へ繋がる湯張り経路が開通され、給水配管11から給湯器3の熱交換器32への通水が開始される。また、熱交換器32への通水が開始された結果、給水量センサ35の検知流量が所定水量以上になれば、バーナ31を点火させ、熱交換器32に導入される水の加熱を開始すると共に、給湯器3から給湯配管12へ予め設定された出湯温度(例えば、75℃)の湯水が導出されるようバーナ31の燃焼量を調整する。これにより、給湯器3から浴槽洗浄装置4へ出湯温度の湯水が供給される。そしてさらに、浴槽洗浄装置4から湯張り配管15へ導出される湯水の温度、即ち、出湯温センサ68の検知温度Tnが設定湯張り温度T1になるよう浴槽洗浄装置4の湯水混合部66にて湯水の混合比率を調整する。これにより、設定湯張り温度T1に調整された湯水が浴槽金具23を通じて浴槽2に導出される。
上記湯張り動作が開始されると、水量センサ65の検知流量Wnの所定時間(例えば、1秒)毎の積算値(注湯量)ΣWnが設定湯張り量W1(例えば、100リットル)に達したか否かの監視を行う(ST6)。そして、注湯量ΣWnが設定湯張り量W1に達した場合は(ST6のステップでYes)、出湯開閉弁64を閉じて湯張り経路への通水を遮断し、浴槽2への湯張り動作を終了する。これにより、浴槽2内には、設定湯張り温度T1で且つ設定湯張り量W1の湯水が貯留される。
湯張り動作が終了すれば(ST6のステップでYes)、操作端末5の音声出力部56から「湯張りが終了した」旨を音声にて出力させた上で、排水栓24が開かれるか、或いは、差し湯スイッチ53のオン操作がなされるまで、湯張り動作終了後の経過時間(以下、「放熱時間」という)Scの計測を行う(ST7〜ST10)。
湯張り動作の終了後、排水栓24が開かれた場合は(ST9のステップでYes)、排水栓24の開時間Sdの計測を開始すると共に、上記開時間Sdが経過した時点における風呂温度Tbおよび風呂水量Wbを算出する(ST11〜ST12)。
風呂温度Tbは、出湯温センサ68の検知温度Tn、水量センサ65の検知流量Wn、湯張り時の注湯量ΣWn、放熱時間Sc、および、浴槽2の放熱係数C(例えば、1℃/時)をパラメータとして、以下の式(1)により算出される。尚、放熱係数Cは、浴槽2の形状や構造、周囲の雰囲気温度などを考慮し、試験的に実測された値に基づいて設定されるが、例えば、介護施設のように短時間で何度も風呂水の入れ替えが行われるような場合は、時間の経過に伴う放熱を考慮しないで、即ち、放熱係数Cを0として風呂温度Tbを算出してもよい。
Tb={Σ(Tn×Wn)/ΣWn}−C×Sc ・・・(1)
風呂水量Wbは、湯張り時の注湯量ΣWn、排水栓24の開時間Sd、および、浴槽2からの単位時間あたりの排水流量Qd(例えば、30リットル/分)をパラメータとして、以下の式(2)により算出される。尚、排水流量Qdは、設置環境を想定して試験的に実測された値に基づいて設定されるが、排水口20の口径や形状、排水先の流路抵抗等から算出された値に基づいて設定されたものであってもよいし、排水先の流路に設けられた流量センサの検知流量を用いて設定してもよい。
Wb=ΣWn−Qd×Sd ・・・(2)
湯張り動作の終了後、差し湯スイッチ53のオン操作がなされた場合は(ST10のステップでYes)、設定差し湯温度T2が湯張り時に設定可能な範囲の上限温度Tm(例えば、48℃)より高いか否かを判定する(ST13)。その結果、設定差し湯温度T2が上限温度Tm以下であれば(ST13のステップでNo)、差し湯動作を行っても使用者に不快感を与えるほど高温の湯水は浴槽2内に供給されないとして、操作端末5の音声出力部56から「差し湯を開始する」旨を音声にて出力させ、さらに排水栓24が開いていれば閉じ、給湯器3から設定差し湯温度T2に調整された設定差し湯量W2の湯水を浴槽2内に供給する差し湯動作を実行する(ST14〜ST16)。
ST16のステップの差し湯動作は、まず、洗浄湯張り切替弁62を「湯張り側」に切り替えると共に、出湯開閉弁64を開く。これにより、湯張り動作と同様、給湯器3から浴槽洗浄装置4へ出湯温度の湯水が供給される。そしてさらに、出湯温センサ68の検知温度Tnが設定差し湯温度T2(例えば、60℃)となるよう浴槽洗浄装置4の湯水混合部66にて湯水の混合比率を調整する。これにより、設定差し湯温度T2に調整された湯水が浴槽金具23を通じて浴槽2に導出される。
上記差し湯動作が開始されると、水量センサ65によって検出される注湯量ΣWnが設定差し湯量W2(例えば、20リットル)に達したか否かの監視を行う(ST17)。そして、注湯量ΣWnが設定差し湯量W2に達した場合は(ST17のステップでYes)、出湯開閉弁64を閉じて上記湯張り経路への通水を遮断し、浴槽2への差し湯動作を終了する。これにより、浴槽2内に貯留された風呂水が加熱される。このように、本実施の形態に係る風呂システム1では、浴槽2内の風呂水を給湯器3に循環させて加熱する追焚機能を有していないため、上記のように高温差し湯を行うことによって風呂水を加熱する。
一方、差し湯スイッチ53のオン操作がなされたときに(ST10のステップでYes)、設定差し湯温度T2が上限温度Tmより高い場合は(ST13のステップでYes)、設定差し湯温度T2の湯水を浴槽2に追加供給したときの風呂水の予測温度Taを算出した上で、予測温度Taが上限温度Tm以下であるか否かを判定する(ST18〜ST19)。
予測温度Taは、風呂温度Tb、風呂水量Wb、設定差し湯温度T2、および、設定差し湯量W2をパラメータとして、以下の式(3)により算出される。
Ta=(Tb×Wb+T2×W2)/(Wb+W2) ・・・(3)
上記のようにして算出された予測温度Taが上限温度Tm以下である場合は(ST19のステップでYes)、差し湯動作を行っても使用者に不快感を与えるほど高温の湯水は浴槽2内に供給されないとして、設定差し湯温度T2が上限温度Tm以下である場合と同様、ST14からST17のステップを実行する。即ち、差し湯動作を許可する。
一方、予測温度Taが上限温度Tmより高い場合は(ST19のステップでNo)、差し湯動作を行った際に浴槽2内に導出される湯水によって使用者に不快感を与える可能性がある。従って、この場合は、操作端末5の音声出力部56から「差し湯を制限する」旨を音声にて出力させ、浴槽2への湯水の供給を禁止する差し湯制限動作を実行する(ST20〜ST21)。
ST21のステップの差し湯制限動作は、出湯開閉弁64を閉状態に維持し、湯張り配管15への湯水の導出を禁止する。これにより、差し湯によって浴槽2内外へ高温の湯水が散出されたり、入浴に適した温度を大幅に超えた高温の湯水が浴槽2内に貯留されたりするのを未然に防止することができる。
尚、風呂システム1の運転が開始された時点の風呂温度Tbおよび風呂水量Wbの初期値は、何れも0に設定されている。従って、湯張りスイッチ51のオン操作がなされる前に、差し湯スイッチ53のオン操作がなされたとき(ST2のステップでYes)、設定差し湯温度T2が上限温度Tmより高ければ(ST13のステップでYes)、上記式(3)より、予測温度Taは設定差し湯温度T2となり、上限温度Tmより高くなる(ST19のステップでNo)。従って、この場合も差し湯制限を報知すると共に、差し湯動作を制限する(ST20〜ST21)。
一方、湯張りスイッチ51のオン操作がなされる前に、差し湯スイッチ53のオン操作がなされた場合であっても(ST2のステップでYes)、設定差し湯温度T2が上限温度Tm以下であれば(ST13のステップでNo)、差し湯動作を行っても使用者に不快感を与えるほど高温の湯水が浴槽2内に供給されないとして、差し湯開始を報知すると共に、差し湯動作を許可する(ST14〜ST17)。
このように、上記風呂システム1では、差し湯動作によって浴槽2に湯水を追加供給した場合の風呂水の予測温度Taを算出し、予測温度Taが基準より高い場合は、差し湯動作を制限するから、差し湯によって浴槽2内外へ高温の湯水が散出されたり、入浴に適した温度を大幅に超えた高温の湯水が浴槽2内に貯留されたりするなど、差し湯時の高温出湯に起因する不具合を適切に防止することができる。しかも、このものでは、浴槽金具23に温度センサ等の部品を新たに設けたり、電気配線を延設したりする必要もないから、既設の浴槽2や給湯器3を用いて差し湯制限機能を備えた風呂システム1を構築することもできる。これにより、汎用性が高く、且つ、差し湯制限機能に優れた風呂システム1を提供できる。
また、上記風呂システム1では、湯張り時の出湯温センサ68の検知温度Tnおよび水量センサ65の検知流量Wnに基づいて湯張り後の風呂温度Tbを算出し、且つ、湯張り時の上記検知流量Wnの積算値(注湯量)ΣWnに基づいて湯張り後の風呂水量Wbを算出し、これら風呂温度Tbおよび風呂水量Wb、並びに、設定差し湯温度T2、設定差し湯量W2を用いて差し湯後の風呂水の予測温度Taを算出するから、差し湯動作を許可するか制限するかをより適切に判定することができる。また、上記のように算出された予測温度Taに基づいて差し湯動作を制限することができるから、浴槽2内に風呂水が貯留されているか否かを検出する圧力センサやフローセンサなどの残湯検知手段を備えていない簡素な構成の熱源機を用いても、差し湯制限機能を備えた風呂システム1を構築することができる。これにより、汎用性および差し湯制限機能により優れた風呂システム1を提供できる。
しかも、上記風呂システム1では、湯張り時に水量センサ65によって検出される注湯量ΣWnや排水栓24の開時間Sd、浴槽2からの排水流量Qdに基づいて差し湯前の風呂水量Wbを算出するから、湯張りが行われた後に排水栓24が開栓され、浴槽2内の風呂水が少なくなっていても、差し湯動作を許可するか制限するかを適切に判定することができる。これにより、差し湯制限機能により優れた風呂システム1を提供できる。
また、上記風呂システム1では、設定差し湯温度T2が予め設定された風呂水の上限温度Tm以下であれば、差し湯時の高温出湯に起因する不具合が生じる可能性は低いため、差し湯動作を許可する。また、設定差し湯温度T2が上限温度Tmより高くても、予測温度Taが上限温度Tm以下であれば、同様に上記不具合が生じる可能性は低いため、差し湯動作を許可する。一方、設定差し湯温度T2が上限温度Tmより高く、且つ、予測温度Taも上限温度Taより高い場合は、差し湯時の高温出湯に起因する不具合が生じる可能性が高いため、差し湯動作を制限する。これにより、より適切に差し湯動作を制限することができ、差し湯制限機能により優れた風呂システム1を提供できる。
また、上記風呂システム1では、差し湯動作が制限された(ここでは、浴槽2への湯水の供給が禁止された)場合に、差し湯制限機能が働いている旨を操作端末5から報知するから、使用者が故障と誤認するのを防止できる。よって、使い勝手も向上する。
上記風呂システム1では、水量センサ65によって検出される注湯量ΣWnや排水栓24の開時間Sd、浴槽2からの排水流量Qdをパラメータとして差し湯前の風呂水量Wbを算出すると共に、出湯温センサ68の検知温度Tnおよび水量センサ65の検知流量Wnに基づいて湯張り後の風呂温度Tbを算出し、これら風呂温度Tbおよび風呂水量Wb、並びに、設定差し湯温度T2、設定差し湯量W2を用いて差し湯後の風呂水の予測温度Taを算出するように構成されたものを説明したが、湯張り動作後の排水栓24の開時間Sdが所定時間S1以上であれば、風呂水量Wbを0に設定して予測温度Taを算出するように構成されたものとしてもよい。
具体的には、図3のフローチャートに示すように、湯張り動作の終了後、排水栓24が開かれた場合は(ST9のステップでYes)、排水栓24の開時間Sdの計測を開始すると共に、上記開時間Sdが経過した時点における風呂温度Tbを算出する(ST11,ST31)。風呂温度Tbは、上記ST12のステップと同様、式(1)により算出される。
さらに、上記開時間Sdが所定時間S1(例えば、10分)に達していない場合は、開時間Sdが経過した時点における風呂水量Wbを算出する(ST32〜ST33)。風呂水量Wbは、上記ST12のステップと同様、式(2)により算出される。
一方、差し湯スイッチ53のオン操作がなされるまでの間に、開時間Sdが所定時間S1に達した場合は(ST32のステップでNo)、差し湯を可能とする量の風呂水が浴槽2内に残留していないとして、風呂水量Wbを「0」に設定する(ST34)。従ってこの場合、上記式(3)より、Ta=T2となる。即ち、浴槽2からの排水流量Qdを予め設定したり流量センサによって検出したりしなくても、予測温度Taが算出される。
このように、上記風呂システム1では、湯張り後の排水栓24の開時間Sdが所定時間S1以上になれば、差し湯を可能とする量の風呂水が浴槽2内に残留していないとして、風呂水量Wbを0として予測温度Taを算出するから、浴槽2からの排水流量Qdを設定する流量設定手段や排水流量Qdを検出する流量センサを備えていない簡素な構成の風呂システムであっても、差し湯動作を許可するか制限するかを適切に判定することができる。
上記風呂システム1では、予測温度Taが上限温度Tmより高いと判定された場合に、浴槽2への湯水の供給を遮断して差し湯を禁止するものを説明したが、予測温度Taが上限温度Tmより高いと判定された場合に、浴槽2への湯水の供給量(差し湯量)を設定差し湯量W2より少なくするように構成されたものとしてもよいし、浴槽2へ供給する湯水の温度(差し湯温度)を設定差し湯温度T2より低くするように構成されたものとしてもよい。
具体的には、図3のフローチャートに示すように、上記式(3)により算出された予測温度Taが上限温度Tmより高い場合は(ST19のステップでNo)、操作端末5の音声出力部56から「差し湯を制限する」旨を音声にて出力させ、さらに排水栓24が開いていれば閉じ、設定差し湯量W2より少ない制限差し湯量W3(予測温度Taが上限温度Tm以下となる量、例えば、5リットル)の湯水、或いは、設定差し湯温度T2より低い制限差し湯温度T3(予測温度Taが上限温度Tm以下となる温度、例えば、50℃)に調整された湯水を浴槽2内に供給する差し湯制限動作を実行する(ST20,ST35〜ST37)。これにより、上記実施の形態と同様の作用効果を奏する。
上記風呂システム1では、浴槽洗浄機能を備えた風呂システム1を説明したが、本発明は、図4に示すように、浴槽2Eと、上水道から供給される水を加熱し湯水を生成する熱源機としての給湯器3Eと、給湯器3Eの動作を設定指示する操作端末7Eとで構成された、浴槽洗浄機能を備えていない風呂システム1Eにも適用できる。
詳述すると、浴槽2Eには、上記実施の形態と同様、排水口20、浴槽金具23、排水栓24および開閉センサ28が設けられているが、洗浄ノズルは設けられていない。また、洗浄金具23は、湯張り配管15を介して給湯器3Eの湯張り分岐管路30に接続されている。排水栓24は、図示しない弁駆動部に接続され、給湯器3Eに組み込まれた給湯制御回路3Cからの指示に応じて自動で開閉するように構成されている。
給湯器3Eは、上記実施の形態と同様、バーナ31、熱交換器32および給湯制御回路3Cを備えている。また、給水配管11が接続される入水管路33には、給水量センサ35および分流弁36が設けられている。湯張り分岐管路30は、給湯配管12が接続される出水管路34の中間部から分岐して延設されており、下流端に湯張り配管15が接続される。分流弁36は、出水管路34における湯張り分岐管路30の分岐部より上流側に接続されている。尚、給水配管11は、上水道に繋がっており、給湯配管12は、カランやシャワーなどの温水利用先Kに繋がっている。
湯張り分岐管路30には、熱交換器32から出水管路34に導出される湯水を、湯張り分岐管路30の通水を遮断可能な湯張り開閉弁39と、湯張り配管15への湯水の導出量を検出する水量検知手段としての水量センサ37と、湯張り配管15への出湯温度を検出する出湯温検知手段としての出湯温センサ38とが、上流側よりこの順序で配設されている。
給湯制御回路3Cは、上記実施の形態と同様、操作判定部、出湯判定部、分流弁制御部、バーナ制御部、給湯動作の実行部等の回路構成を有している。さらに、給湯制御回路3Cは、湯張り開閉弁39の開閉を行う湯張り制御部、排水栓24の開閉を行う排水制御部、湯張り実行中の経過時間や湯張り終了後の経過時間、排水栓24の開時間(排水時間)等を計測する排水計時手段としての計時部、水量センサ37の検知流量の積算値に基づいて湯張り配管15への湯水の導出量(湯張り量)を判定する湯張り量判定部、熱交換器32で加熱された湯水を浴槽2Eに所定量供給して風呂水を貯める湯張り動作の実行部、熱交換器32で加熱された湯水を浴槽2Eに所定量追加供給して風呂水を加熱する差し湯動作の実行部、差し湯動作によって浴槽2Eに湯水を追加供給した場合の風呂水の予測温度Taを算出する予測温度演算部、予測温度Taが上限温度Tm以下である場合は差し湯動作を許可し、上限温度Tmより高い場合は差し湯動作を制限する差し湯許否判定部、出湯温センサ38の検知温度Tnおよび水量センサ37の検知流量Wnに基づいて湯張り後の風呂温度Tbを算出する風呂温度演算部、水量センサ37の検知流量Wnの積算値(注湯量)ΣWnに基づいて湯張り後の風呂水量Wbを算出する風呂水量演算部、差し湯動作が制限されている旨を操作端末7Eから報知させる報知制御部等の回路構成を有している。
操作端末7Eは、上記実施の形態で説明した浴槽洗浄装置4の操作端末5と同様、運転スイッチ70、湯張りスイッチ71、差し湯スイッチ73、加減スイッチ74、表示部75および音声出力部76を備えているが、浴槽洗浄スイッチは設けられていない。また、操作端末7Eは、給湯器3Eに有線又は無線で接続されている。
上記風呂システム1Eでは、給湯器3Eの給湯制御回路3Cによって上記実施の形態に係る風呂システム1と同様の湯張り動作および差し湯動作が実行される。尚、差し湯動作を制限する場合は、湯張り開閉弁39を閉状態に維持して浴槽2Eへの湯水の供給を遮断する、浴槽2Eへの湯水の供給量(差し湯量)を設定差し湯量W2より少ない制限差し湯量W3に設定する、或いは、浴槽2Eへ供給する湯水の温度(差し湯温度)を設定差し湯温度T2より低い制限差し湯温度T3に調整する。これにより、上記実施の形態と同様の作用効果を奏する。