以下では、図1〜4に基づき、本発明の一実施例について説明する。但し、以下で説明する本実施例は、2つの経糸ビームが上下方向に離間して配置された例である。また、その本実施例において、各イージング機構における支持軸(イージングロール)を支持するための支持構造体は、両イージングロールの上下方向における間隔を調整可能に構成されている、すなわち、両イージングロールの上下方向における相対位置を変更可能に構成されているものとする。なお、以下の説明では、ワープラインに沿った経糸の延在方向を前後方向と称する。その上で、以下では、その前後方向における経糸が進行する方向を「前方(前側)」とし、経糸が進行する方向とは反対の方向を「後方(後側)」とする。
織機1において、織機フレーム10は、織幅方向に離間した一対のサイドフレーム11、11が梁材で連結されて構成されている。また、各サイドフレームは、主体的な部分である本体フレーム12と、経糸ビーム21、22を支持する部分である送出フレーム13とで構成されている。すなわち、織機フレーム10は、一対の本体フレーム12、12及び一対の送出フレーム13、13を含んでいる。
それらのうち、一対の本体フレーム12、12は、綜絖枠(図示略)、筬15及び巻取装置90等が配置される部分である。そして、各本体フレーム12は、巻取装置90が配置される前側部分12aと、その前側部分12aから後方へ向けて延在する後側部分12bとで構成されている。但し、本体フレーム12は、織機1が設置される設置面に対し前側部分12aのみで接地しており、後側部分12bは、その下面と前記設置面との間に空間が存在するように形成されている。
また、一対の送出フレーム13、13について、前記のように本実施例の経糸送出し装置20においては、2つの経糸ビーム21、22は、上下方向に離間して配置される。そこで、一対の送出フレーム13、13は、2つの経糸ビーム21、22のうちの下側に位置する経糸ビーム(以下、「下経糸ビーム」とも言う。)21を支持する一対の部分送出フレーム(以下、「下側送出フレーム」とも言う。)13a、13aと、上側に位置する経糸ビーム(以下、「上経糸ビーム」とも言う。)22を支持する一対の部分送出フレーム(以下、「上側送出フレーム」とも言う。)13b、13bとで構成されている。
各下側送出フレーム13aは、本体フレーム12における後側部分12bの下方の空間に配置され、前記設置面に接地した状態で設けられると共に、その上面において本体フレーム12の後側部分12bに当接するかたちでその後側部分12bに対し連結されている。但し、各下側送出フレーム13aは、そのように本体フレーム12に対し連結された状態では、前後方向に関し、その後側の部分が本体フレーム12(後側部分12b)よりも後方に位置するように設けられている。
また、各下側送出フレーム13aは、下経糸ビーム21を支持するビームガイド(以下、「下側ビームガイド」とも言う。)14aを備えている。その下側ビームガイド14aは、各下側送出フレーム13aにおいて、その下側送出フレーム13aの内側の側面に取り付けられるかたちで設けられている。また、各下側ビームガイド14aは、前後方向に関し、その支持する下経糸ビーム21の軸心(回転中心)が本体フレーム12の後側部分12bにおける後側の端面付近となるような位置において下側送出フレーム13aに設けられている。従って、下経糸ビーム21は、一対の下側送出フレーム13a、13a間において、下側ビームガイド14a、14aを介して両下側送出フレーム13a、13aに支持される。
各上側送出フレーム13bは、本体フレーム12における後側部分12bの上面に載置されるかたちで設けられ、その下面において後側部分12bに対し連結されている。但し、その後側部分12b上での各上側送出フレーム13bの配置は、前後方向に関し、各下側送出フレーム13aの存在範囲の位置となっている。
また、各上側送出フレーム13bは、上経糸ビーム22を支持するビームガイド(以下、「上側ビームガイド」とも言う。)14bを備えている。その上側ビームガイド14bは、各上側送出フレーム13bにおいて、その上側送出フレーム13bの内側の側面に取り付けられるかたちで設けられている。また、各上側ビームガイド14bは、前記のように上側送出フレーム13bが本体フレーム12(後側部分12b)上に設けられた状態で上側送出フレーム13bにおける上端部に位置するように設けられている。従って、上経糸ビーム22は、一対の上側送出フレーム13b、13b間において、上下方向における上側送出フレーム13b、13bの前記上端部付近で、上側ビームガイド14b、14bを介して両上側送出フレーム13b、13bに支持される。
但し、各上側送出フレーム13bは、前記のように本体フレーム12上に設けられた状態での上下方向における寸法が前後方向における寸法よりも大きい形態を有し、その上端部に位置する上側ビームガイド14b、14bによって支持される上経糸ビーム22が、その支持状態で下側送出フレーム13a、13aに支持される下経糸ビーム21に対し上下方向において離間するような、長手方向(上下方向)の寸法を有するように形成されている。それにより、下経糸ビーム21と上経糸ビーム22とは、一対の送出フレーム13、13に支持された状態において、上下方向に離間して(位置を異ならせて)配置された状態となる。
因みに、図1に示す状態では、下経糸ビーム21と上経糸ビーム22とは、前後方向においても配置が若干異なるように、一対の送出フレーム13、13に支持されている。しかし、その前後方向における配置の差異は上下方向における配置の差異と比べて非常に小さいことから、本発明が前提とする織機に関しては、本実施例は、下経糸ビーム21と上経糸ビーム22とが上下方向に位置を異ならせて配置されている、すなわち、上下方向に位置を異ならせて配置された2つの経糸ビームを備える経糸送出し装置についての例として説明される。
以上で説明したように構成された織機フレーム10(一対の送出フレーム13、13)によって2つの経糸ビーム21、22が支持される織機1において、経糸送出し装置20は、2つの経糸ビーム21、22のそれぞれに対応させて設けられた2つのイージング機構を備えている。すなわち、経糸送出し装置20は、下経糸ビーム21に対応する下側イージング機構30aと、上経糸ビーム22に対応する上側イージング機構30bとを備えている。なお、本実施例では、その各イージング機構30a、30bは、イージングスプリングの付勢力によって経糸の開口運動に伴う張力変動を緩和する所謂消極イージング機構である。その各イージング機構30a、30bについて、詳しくは、以下の通りである。
通常、織機におけるイージング機構は、織機フレームに対し回動可能に支持された支持軸を含み、その支持軸に取り付けられた一対の支持アームによってイージングロールがその両端部において支持されることにより、イージングロールが織機フレームに対し揺動可能に支持されるように構成されている。また、一般的な消極イージング機構は、支持軸に連結されたイージング部を含み、そのイージング部は、イージングロールに掛かる経糸の張力を受けるイージングスプリングを含んでいる。
なお、単一の経糸ビームから引き出された経糸によって製織が行われる一般的な織機においては、経糸送出し装置は、その経糸ビームから引き出された経糸をイージングロールへ向けて案内するためのガイドロールを備えている。また、そのガイドロールは、織機フレームに取り付けられたブラケット等により、その軸部において織機フレームに支持されている。そして、本実施例においても、織機1において、経糸送出し装置20は、下経糸ビーム21から引き出された経糸を案内するガイドロール(以下、「下側ガイドロール」とも言う。)40a及びその下側ガイドロール40aを支持するための支持ブラケット50を含み、その下側ガイドロール40aが一対の支持ブラケット50、50によって織機フレーム10に支持されるように構成されている。
より詳しくは、織機フレーム10における各本体フレーム12(後側部分12b)には、その後側の端面に対し、後方へ向けて延びるようなかたちで支持ブラケット50が取り付けられている。その各支持ブラケット50は、後側部分12bに取り付けられる基部51と、基部51よりも後方で下側ガイドロール40aを支持する軸支部52とを有し、それらが一体成型されて構成されている。また、下側ガイドロール40aは、経糸が巻き掛けられる部分である円筒状の案内部40a1と、その案内部40a1の両端から突出するようにして案内部40a1と一体的に設けられた一対の軸部40a2、40a2とで構成されている。そして、下側ガイドロール40aは、その各軸部40a2が各支持ブラケット50における軸支部52に軸受等を介して支持されることで、織機フレーム10における一対の本体フレーム12、12に対し回転可能に支持されている。また、そのように支持された状態において、下側ガイドロール40aは、その軸線が織幅方向と平行を為す状態となっている。
また、前記のように下側ガイドロール40aを支持する各支持ブラケット50は、本体フレーム12に対する取り付け位置を上下方向において調整可能となっている。具体的には、各支持ブラケット50は、その基部51に形成された取付孔に挿通されるボルト55が本体フレーム12に螺挿されることで、前記のように本体フレーム12に対し取り付けられている。なお、その取付孔は、上下方向に並べられるかたちで2つ形成されている。そして、その各取付孔は、支持ブラケット50の本体フレーム12に対する取り付け状態において、上下方向に延在する長孔として形成されている。従って、本体フレーム12に対する支持ブラケット50の上下方向における取り付け位置は、その長孔の範囲において変更可能となっている。
その上で、経糸送出し装置20は、各支持ブラケット50の本体フレーム12に対する取り付け位置を変更するための位置調整機構100を備えている。その各位置調整機構100は、本体フレーム12(後側部分12b)における後側の端面に取り付けられた固定部101を有している。また、その固定部101は、支持ブラケット50よりも下方の位置に配置されている。さらに、固定部101は、その取り付け状態において上下方向に貫通するように形成された雌ネジ孔を有している。
また、各位置調整機構100は、固定部101の前記雌ネジ孔に螺挿されるジャッキボルト102を有している。さらに、各位置調整機構100は、支持ブラケット50に設けられた受け部103であって、固定部101に螺挿されたジャッキボルト102と上下方向において対向するように設けられた受け部103を有している。従って、各位置調整機構100において、ジャッキボルト102と受け部103とは、当接し得る状態となっている。
その位置調整機構100の作用について、支持ブラケット50の位置を調整するにあたっては、先ず、支持ブラケット50を本体フレーム12に取り付けている(固定している)ボルト55が緩められる。それにより、支持ブラケット50は、取付孔が前記のように長孔であることにより、本体フレーム12に対し上下方向において変位可能な状態となる。また、その状態では、位置調整機構100においてジャッキボルト102の端面が受け部103の下面に当接する、すなわち、支持ブラケット50がジャッキボルト102によって支持された状態となる。その上で、位置調整機構100において固定部101に対するジャッキボルト102の螺挿量を変化させることにより、支持ブラケット50は、その螺挿量に応じて上下方向の位置が変更(調整)される。そして、その変更後の位置において、ボルト55により本体フレーム12に対する支持ブラケット50の位置を固定することで、支持ブラケット50は、その上下方向の位置が調整された状態となる。
そして、そのような経糸送出し装置20において、下側イージング機構30aは、その下側イージング機構30aにおけるイージングロールである第1のイージングロール33を支持するための一対の支持アーム32、32を備えている。その一対の支持アーム32、32は、下側ガイドロール40aにおける両軸部40a2、40a2に対し相対回転不能に取り付けられている。従って、一対の支持アーム32、32は、下側ガイドロール40aの軸部40a2、40a2により、織機フレーム10に対し揺動可能に支持されている。
その上で、第1のイージングロール33は、その両端部において、一対の支持アーム32、32を介し、下側ガイドロール40aにおける軸部40a2、40a2に対し揺動可能に支持されており、織機フレーム10に対し揺動可能に設けられている。但し、第1のイージングロール33は、そのように支持された状態で、上下方向に関し、下側ガイドロール40aよりも上方に位置している。
なお、下側ガイドロール40aにおける両軸部40a2、40a2は、案内部40a1によって連結され、案内部40a1を介して一体化された状態となっている。すなわち、下側ガイドロール40aにおける案内部40a1は、経糸を案内するために設けられた部材であるが、第1のイージングロール33を支持する軸の一部としても機能している。従って、その一対の支持アーム32、32が取り付けられる両軸部40a2、40a2及び両軸部40a2、40a2を連結することで軸の一部として機能する案内部40a1から成る下側ガイドロール40aは、下側イージング機構30aにおける第1のイージングロール33を支持するための第1の支持軸31とみなすことができる。言い換えれば、本実施例の経糸送出し装置20は、その下側ガイドロール40aが下側イージング機構30aにおける第1の支持軸31として兼用されるように構成されている。
従って、その下側イージング機構30aとしては、その構成は、第1のイージングロール33を支持する第1の支持軸31が各本体フレーム12に取り付けられた支持ブラケット50を介して織機フレーム10に対し支持されるかたちとなっている。また、前述のように下側ガイドロール40aはその軸線が織幅方向と平行を為す状態で設けられていることから、その第1の支持軸31は、その支持状態において、その軸線を織幅方向に向けて設けられていると言える。
因みに、織機においてガイドロールとしては、案内部を貫通するように設けられた貫通軸に案内部が軸受等を介して支持されるように構成されたものがあり、下側ガイドロール40aは、そのように構成されたものであっても良い。そして、そのように構成されたガイドロールが本実施例における下側ガイドロール40aとして用いられる場合には、そのガイドロール全体ではなく、そのガイドロールにおける前記貫通軸が第1の支持軸31として機能する(兼用される)こととなる。
また、経糸送出し装置20において、下側ガイドロール40aは、その一対の軸部40a2、40a2の一方がその一方の軸部40a2を支持する支持ブラケット50よりも織幅方向における外側まで延在するように構成されている。すなわち、下側イージング機構30aにおける第1の支持軸31は、その一端側が自身を支持する支持ブラケット50よりも前記外側に延在するように設けられている。その上で、下側イージング機構30aは、支持ブラケット50よりも前記外側で、その第1の支持軸31の一端に対し連結されるイージング部60を備えている。
そのイージング部60は、第1の支持軸31の一端に対しその一端で相対回転不能に取り付けられると共に下方に向けて延在するように設けられるイージングレバ61と、その一端において織機フレーム10(本体フレーム12)に対し回動可能に支持されると共にその支持位置から後方へ向けて延在してその他端においてイージングレバ61の他端に連結されるイージングロッド62とを含む。但し、そのイージングレバ61とイージングロッド62との連結は、両者の連結位置がイージングロッド62の軸上で変位可能となるようなかたちで行われている。さらに、イージング部60は、イージングスプリング63を含み、そのイージングスプリング63がイージングレバ61とイージングロッド62との間に介装されるように構成されている。
その構成により、イージング部60は、経糸に対し所定の張力を付与すべくイージングスプリング63によって第1のイージングロール33を揺動方向に付勢すると共に、経糸の張力変動に伴う第1のイージングロール33の揺動をイージングスプリング63によって受けてその経糸の張力変動を緩和し得る作用を奏するものとなっている。
また、上側イージング機構30bについて、その上側イージング機構30bは、下側イージング機構30aと同様に、織機フレーム10に対し回転可能に支持される第2の支持軸34、第2の支持軸34に対し相対回転不能に取り付けられる一対の支持アーム35、35、及びその両端部において一対の支持アーム35、35に支持されるイージングロール(第2のイージングロール)36とを備えている。従って、第2のイージングロール36は、一対の支持アーム35、35を介し、第2の支持軸34によって揺動可能に支持されている。なお、上側イージング機構30bにおける第2の支持軸34は、下側ガイドロール40aの一部を兼ねる下側イージング機構30aにおける第1の支持軸31とは異なり、第2のイージングロール36を支持するための専用の軸として設けられている。
その上で、その上側イージング機構30bにおける第2の支持軸34の織機フレーム10に対する支持は、下側イージング機構30aにおける第1の支持軸31を支持する一対の支持ブラケット50、50によって行われている。
より詳しくは、織機フレーム10における各本体フレーム12に取り付けられた各支持ブラケット50には、上側イージング機構30bにおける第2の支持軸34を支持するための支持メタル70が取り付けられている。その各支持メタル70は、板状であって板厚方向に見て略長方形状(正確には、一方の短辺が半円形状)を為す部材として形成されている。そして、各支持メタル70は、その長辺方向における一端側(前記一方の短辺側とは反対の側)の部分であって支持ブラケット50に対し取り付けられる部分である取付部71と、その他端側の部分であって第2の支持軸34を支持する部分である軸支部72とで構成されている。
但し、その軸支部72は、前記板厚方向に見て円形に形成されており、前記板厚方向に貫通するように形成された貫通孔72aであって第2の支持軸34を支持するための貫通孔72aを有している。なお、図示の例では、軸支部72は、取付部71よりも大きい板厚を有するように形成されている。また、取付部71には、前記板厚方向と直交する両端面に開口するように前記板厚方向に貫通して形成された取付孔であって、支持メタル70を支持ブラケット50に取り付けるための取付孔が、短辺方向に並べられるかたちで2つ形成されている。
そして、各支持メタル70は、取付部71において、その取付部71における前記両端面のうちの一方を支持ブラケット50(より詳しくは、支持ブラケット50における基部51)の内側の側面に当接させた状態で、支持ブラケット50に対し取り付けられる。但し、その取り付け状態において、各支持メタル70は、前記長辺方向を上下方向と一致させると共に、軸支部72が取付部71よりも上方に位置するような状態とされる。また、各支持メタル70の支持ブラケット50に対する取り付けは、取付部71に形成された取付孔に挿通したボルトを支持ブラケット50に対し螺挿することによって行われる。
このように、経糸送出し装置20は、上側イージング機構30bにおける第2の支持軸34を支持するための一対の支持メタル70、70を備え、その各支持メタル70が織機フレーム10に支持された支持ブラケット50に取り付けられる、すなわち、一対の支持メタル70、70が支持ブラケット50、50を介して織機フレーム10に支持されるように構成されている。
その上で、上側イージング機構30bにおける第2の支持軸34は、その両端部において、そのように織機フレーム10に支持された一対の支持メタル70、70に対し軸受等を介して回転可能に支持されている。言い換えれば、第2の支持軸34は、一対の支持ブラケット50、50及び一対の支持メタル70、70により、織機フレーム10に対し回転可能に支持されている。なお、そのように支持された状態において、第2の支持軸34は、その軸線が織幅方向と平行を為す状態、すなわち、その軸線が織幅方向を向いた状態となっている。
そして、第2の支持軸34が前記のように支持された上側イージング機構30bにおいて、第2のイージングロール36を支持するための一対の支持アーム35、35は、第2の支持軸34に対し相対回転不能に取り付けられている。そして、第2のイージングロール36は、その両端部において一対の支持アーム35、35を介し第2の支持軸34によって揺動可能に支持されている。なお、上側イージング機構30bにおける第2のイージングロール36は、そのように支持された状態で、上下方向に関し、下側イージング機構30aにおける第1のイージングロール33よりも上方に位置している。
また、上側イージング機構30bにおいて、第2の支持軸34は、そのような支持状態で、その一端側が支持メタル70が取り付けられる支持ブラケット50よりも織幅方向における外側まで延在するように設けられている。その上で、上側イージング機構30bは、支持ブラケット50よりも前記外側で、その第2の支持軸34の一端に対し連結されるイージング部80を備えている。
そのイージング部80は、第2の支持軸34の一端に対し相対回転不能に取り付けられると共に前方へ向けて延在するように設けられるイージングレバ81と、その一端において織機フレーム10(上側送出フレーム13b)に対し回動可能に支持されると共にその支持位置から下方に向けて延在してその他端においてイージングレバ81の他端に連結されるイージングロッド82とを含む。但し、そのイージングレバ81とイージングロッド82との連結は、両者の連結位置がイージングロッド82の軸上で変位可能となるようなかたちで行われている。さらに、イージング部80は、イージングスプリング83を含み、そのイージングスプリング83がイージングレバ81とイージングロッド82との間に介装される構成となっている。
その構成により、イージング部80は、経糸に対し所定の張力を付与すべくイージングスプリング83によって第2のイージングロール36を揺動方向に付勢すると共に、経糸の張力変動に伴う第2のイージングロール36の揺動をイージングスプリング83によって受けてその経糸の張力変動を緩和し得る作用を奏するものとなっている。
また、経糸送出し装置20は、上経糸ビーム22に対応して設けられるガイドロール(以下、「上側ガイドロール」)40bを備えている。なお、上側ガイドロール40bは、織機フレーム10に対し軸受等を介して回転可能に支持されている。但し、上側ガイドロール40bは、そのように織機フレーム10に支持された状態で、上下方向に関し、第2のイージングロール36よりも上方であって上経糸ビーム22よりも下方に位置している。その上で、上側ガイドロール40bは、上経糸ビーム22から引き出された経糸を上側イージング機構30bにおける第2のイージングロール36へ向けて案内している。
以上のように、本実施例の経糸送出し装置20においては、下側イージング機構30aにおける第1の支持軸31が一対の支持ブラケット50、50の軸支部52において支持されており、上側イージング機構30bにおける第2の支持軸34が支持ブラケット50の基部51に取り付けられた一対の支持メタル70、70の軸支部72において支持されている。すなわち、その経糸送出し装置20は、一対の支持ブラケット50、50及びその一対の支持ブラケット50に組み付けられた一対の支持メタル70、70により、第1の支持軸31及び第2の支持軸34を支持するように構成されている。
従って、本実施例の経糸送出し装置20においては、各支持ブラケット50及び各支持メタル70の組み合わせが、本発明における支持構造体に相当する。すなわち、その経糸送出し装置20は、支持ブラケット50と支持メタル70とを一体化して構成された単一の支持構造体を一対備えている。さらに、そのように構成された各支持構造体においては、第1の支持軸31を支持する支持ブラケット50の軸支部52がその支持構造体における第1の支持部に相当し、第2の支持軸34を支持する支持メタル70がその支持構造体における第2の支持部に相当する。
因みに、そのように構成された支持構造体について、支持ブラケット50は、軸支部52及び基部51で構成され、その基部51において織機フレーム10に対し取り付けられている。従って、その支持構造体は、第1の支持軸31を支持する構成に関しては、第1の支持部(軸支部)52が基部51によって織機フレーム10に支持されるように構成されているとみなすことができる。一方で、前記のように第2の支持軸34を支持する支持メタル70は、支持ブラケット50における基部51に対し取り付けられている。従って、その支持構造体は、第2の支持軸34を支持する構成に関しては、第2の支持部(支持メタル)70が基部51によって織機フレーム10に支持されるように構成されているとみなすことができる。これらのことから、その支持構造体は、第1の支持部52、第2の支持部70、及び各支持部を支持する共通の基部51を有し、各支持部が基部51によって織機フレーム10に対し支持されるように構成されているとみなすことができる。
また、経糸送出し装置20において、各支持ブラケット50は、前述のように、その基部51による織機フレーム10に対する取り付け位置を上下方向に調整可能となっており、織機フレーム10に対し上下方向に変位可能となっている。従って、前記のように第1の支持部52及び第2の支持部70が基部51によって織機フレーム10に対し支持されるように構成されているとみなされる本実施例の支持構造体は、織機フレーム10に対し上下方向に変位可能となっている。
そして、以上のように構成された本実施例の経糸送出し装置20による作用は、以下の通りである。
先ず、経糸送出し装置20においては、製織時における経糸の開口動作に伴う経糸の捌きが悪いのを解消することを目的として、第1のイージングロール33及び第2のイージングロール36の上下方向における位置を調整する作業が行われる場合がある。そして、その作業において、その第1のイージングロール33及び第2のイージングロール36の上下方向における位置の調整は、各イージングロール33、36を支持する第1の支持軸31及び第2の支持軸34の上下方向における位置を調整することによって行われる。
その上で、経糸送出し装置20においては、その調整にあたり、前述のような位置調整機構100を用いた支持ブラケット50の上下方向の位置調整が行われる。すなわち、支持ブラケット50における基部51の織機フレーム10に対する取り付け位置が上下方向において調整される。それにより、前記のようにその基部51とその基部51に支持された第1の支持部52及び第2の支持部70とで構成された支持構造体は、第1の支持部52と第2の支持部70とが基部51と一体化されていることに伴って、その両支持部の位置関係を維持したままの状態で、上下方向における位置が調整される。その結果として、各支持部に支持される支持軸31、34延いてはイージングロール33、36は、その位置関係を維持したままの状態で、上下方向における位置が調整される。
このように、その経糸送出し装置20によれば、その位置調整の前後でその位置関係が維持されていることが求められる2つのイージングロール33、36の上下方向における位置調整が、両イージングロール33、36(第1、第2の支持軸31、34)を支持する支持構造体の織機フレーム10に対する取り付け位置を上下方向に調整するだけで実現され得るため、その位置調整が容易に行える。
なお、本実施例においては、各支持メタル70の支持ブラケット50に対する取り付けについて、各支持メタル70における取り付けのための取付孔は、その取り付け状態において上下方向に延在する長孔として形成されている。従って、各支持メタル70は、その長孔の範囲において、支持ブラケット50に対する取り付け位置を上下方向に変更可能となっている。その上で、経糸送出し装置20は、各支持メタル70の支持ブラケット50に対する取り付け位置を変更するための間隔調整機構110を備えている。
その各間隔調整機構110は、支持ブラケット50における基部51の内側の側面(支持メタル70が取り付けられる側面)に取り付けられた固定部111を有している。その固定部111は、支持メタル70よりも下方の位置に配置されている。さらに、固定部111は、その取り付け状態において上下方向に貫通するように形成された雌ネジ孔を有している。また、各間隔調整機構110は、固定部111の前記雌ネジ孔に螺挿されるジャッキボルト112を有している。さらに、各間隔調整機構110は、支持メタル70に設けられた受け部113であって、固定部111に螺挿されたジャッキボルト112と上下方向において対向するように設けられた受け部113を有している。従って、各間隔調整機構110において、ジャッキボルト112と受け部113とは、当接し得る状態となっている。
その間隔調整機構110の作用について、支持メタル70の位置を調整するにあたっては、先ず、支持メタル70を支持ブラケット50に対し取り付けているボルト75が緩められる。それにより、支持メタル70は、取付孔が前記のように長孔であることにより、支持ブラケット50に対し上下方向において変位可能な状態となる。また、その状態では、間隔調整機構110においてジャッキボルト112の端面が受け部113の下面に当接する、すなわち、支持メタル70がジャッキボルト112によって支持された状態となる。その上で、間隔調整機構110において固定部111に対するジャッキボルト112の螺挿量を変化させることにより、支持メタル70は、その螺挿量に応じて上下方向に位置が変化(調整)される。そして、支持メタル70は、間隔調整機構110によって上下方向に調整された位置において、取付孔に挿通されたボルト75を締結して支持ブラケット50に再度取り付けられた状態とされることで、その上下方向の位置が調整された状態となる。
なお、経糸送出し装置20においては、前記したように共通の支持構造体に支持される2つのイージングロール33、36の上下方向における間隔が、経糸の種類等を踏まえた上で、他の製織要素との関連で製織が適切に行えるように設定される。そのため、経糸送出し装置20においては、経糸の種類等の変更に伴って前記間隔を調整する作業が行われる場合がある。
そして、その調整について、本実施例の経糸送出し装置20においては、前記間隔の調整は、第2のイージングロール36を支持する第2の支持軸34の上下方向における位置を調整する、すなわち、支持ブラケット50に対する支持メタル70の上下方向の位置を調整することによって行われる。具体的には、支持メタル(第2の支持部)70の支持ブラケット50における基部51に対する取り付け位置が前記した間隔調整機構110を用いて上下方向において調整される。それにより、支持構造体においては、基部51との関係においてその上下方向の位置が定められた第1の支持部52に対し、第2の支持部70の上下方向における位置が調整される。そして、その結果として、第2の支持部70に支持される第2の支持軸34(第2のイージングロール36)と第1の支持部52に支持される第1の支持軸31(第1のイージングロール33)との上下方向における間隔が調整された状態となる。
このように、その経糸送出し装置20によれば、単一の支持構造体によって第1のイージングロール33を支持する第1の支持軸31及び第2のイージングロール36を支持する第2の支持軸34が支持される構成でありながらも、前記間隔を経糸の種類等に合わせて適宜なものに調整することが可能となる。
以上では、本発明による織機に備えられた経糸送出し装置の一実施形態(以下、「前記実施例」と言う。)について説明したが、本発明は前記実施例において説明したものに限定されるものではなく、以下のような別の実施形態(変形例)での実施も可能である。
(1)支持構造体について、前記実施例では、その支持構造体は、織機フレーム10に対し取り付けられて第1の支持軸31を支持する支持ブラケット50及び支持ブラケット50に対し取り付けられて第2の支持軸34を支持する支持メタル70(第2の支持部)の2つの部材を組み合わせて構成されている。また、その支持ブラケット50は、前述のように織機フレーム10に対し取り付けられる基部51と、第1の支持軸31を支持する軸支部52(第1の支持部)とを含み、それらが一体成型されるかたちで構成されている。すなわち、前記実施例の支持構造体は、第1の支持部、第2の支持部、及び両支持部を支持する共通の基部を有し、第1の支持部と基部とが一体成型された部材(一体成型部材)中に含まれると共に、第1の支持部及び基部とは別部材として設けられた第2の支持部がその一体成型部材に取り付けられる(支持される)ように構成されている。
しかし、本発明の経糸送出し装置において、その支持構造体は、第1の支持部を基部及び第2の支持部とは別部材として設けると共に、基部及び第2の支持部を含む一体成型部材に第1の支持部が取り付けられるように構成されていても良い。さらに、支持構造体は、第1の支持部、第2の支持部及び基部がそれぞれ別部材として設けられ、それらが一体的に組み合わされて単一の構造体を成すように構成されていても良い。
なお、前記実施例では、支持構造体は、2つのイージングロールの上下方向における間隔を調整可能とするために、第1の支持部を含む支持ブラケット50に対する第2の支持部としての支持メタル70の取り付け位置が上下方向において変更可能であるように構成されている。すなわち、その支持構造体は、第1の支持部と第2の支持部とが上下方向に関し相対変位可能となるように構成されている。しかし、本発明の経糸送出し装置においては、支持構造体における第1の支持部と第2の支持部とが上下方向に関し相対変位可能となっていることは必須ではない。従って、前記実施例のように支持構造体が支持ブラケット50と支持メタル70とで構成されている場合であっても、その支持ブラケット50に対する支持メタル70の取り付け位置が上下方向において変更不能であるように、支持構造体が構成されていても良い。
また、支持構造体が基部及び第2の支持部を含む一体成型部材に第1の支持部を取り付けて構成されている場合においても、その支持構造体は、一体成型部材における基部に対する第1の支持部の取り付け位置が上下方向において変更可能であるように構成されていても良いし、その取り付け位置が上下方向において変更不能であるように構成されていても良い。
さらに、それぞれが別部材として設けられた第1の支持部、第2の支持部及び基部を一体的に組み合わせて支持構造体が構成されている場合においても、その支持構造体は、第1の支持部及び第2の支持部の基部に対する上下方向における取り付け位置について、第1の支持部及び第2の支持部のいずれか一方又は両方が基部に対し変更可能であるように構成されていても良いし、あるいは、その両方が基部に対し変更不能であるように構成されていても良い。また、支持構造体は、第1の支持部、第2の支持部及び基部が一体成型されたかたちで構成されていても良い。
(2)イージングロールを支持する支持軸について、前記実施例では、下側イージングロール33を支持する第1の支持軸31は、下側ガイドロール40aを兼ねる軸となっており、上側イージングロール36を支持する第2の支持軸34は、専用の軸となっている。従って、本発明の経糸送出し装置において備えられる2つの支持軸、すなわち、2つの経糸ビームのそれぞれに対応させるかたちで設けられた2つのイージング機構の支持軸について、前記実施例では、その2つの支持軸のうちの一方の支持軸がガイドロールを兼ねる軸であり、他方の支持軸が専用の軸であるように、その経糸送出し装置が構成されている。
しかし、本発明の経糸送出し装置は、前記実施例とは逆に、その2つの支持軸のうちの前記一方の支持軸が専用の軸であり、前記他方の支持軸がガイドロールを兼ねる軸であるように構成されていても良い。また、その経糸送出し装置は、その両方の支持軸が専用の軸であるように構成されていても良い。なお、それらの場合には、その経糸送出し装置において、対応するイージング機構における支持軸が専用の軸である経糸ビームから引き出される経糸を案内するためのガイドロールは、前記実施例における上経糸ビーム22に対応する構成と同様に、支持軸とは別の専用のガイドロールとして設けられる。さらに、本発明の経糸送出し装置は、その両方の支持軸がガイドロールを兼ねる軸であるように構成されていても良い。
また、前記実施例において、第2の支持軸34は、織幅方向に亘って延在する軸体となっている。すなわち、専用の軸として設けられる支持軸(専用支持軸)は、前記実施例では、織幅方向に亘って延在する軸体となっている。しかし、本発明の経糸送出し装置において、その専用支持軸は、織幅方向において離間して設けられる一対の軸部で構成されていても良い。但し、その専用支持軸を構成する一対の軸部は、それぞれが支持構造体に支持されると共に、イージングロールを支持するための一対の支持アームの一方又は他方がそれぞれに取り付けられるように設けられる。
なお、本発明の経糸送出し装置において、そのイージング機構は、前記実施例のような消極イージング機構に限らず、駆動装置等によってイージングロールを積極的に揺動させる所謂積極イージング機構であっても良い。また、そのイージング機構は、前記実施例のような支持軸の一端(片側)で連結される1つのイージング部を含むように構成されるイージング機構に限らず、支持軸の両端に連結されるべく2つのイージング部を含むように構成されていても良い。そして、支持軸が前記のように織幅方向において離間した一対の軸部で構成される場合には、イージング機構は、そのように2つのイージング部を含み、各軸部に対しイージング部が連結されるように構成されているのが望ましい。さらに、その場合には、そのイージング機構は、前記の積極イージング機構である方が望ましい。
(3)織機フレームについて、前記実施例では、経糸送出し装置における2つの経糸ビームが上下方向に位置を異ならせて配置された織機において、その織機フレーム10における各サイドフレーム11は、それぞれが別体に設けられた本体フレーム12と送出フレーム13とから成っている。また、その送出フレーム13は、それぞれが別体に設けられた下経糸ビーム21に対応する下側送出フレーム13aと上経糸ビーム22に対応する上側送出フレーム13bとで構成されている。その上で、各サイドフレーム11は、その本体フレーム12と下側送出フレーム13a及び上側送出フレーム13bとが一体的に組み合わされるようなかたちで構成されている。
しかし、本発明の織機フレームにおいて、その各サイドフレームは、送出フレームにおける下経糸ビームに対応する部分と上経糸ビームに対応する部分とが別体に設けられる場合において、その2つの部分のうちの一方が本体フレームと一体成型され、本体フレームがその一方の部分を含むように構成されていても良い。そして、その場合、送出フレームにおける前記2つの部分のうちの他方の部分に相当する部分送出フレームは、前記した一方の部分を含む本体フレームに対し一体的に組み合わされる。なお、その構成の場合、送出フレームは、本体フレームの一部と前記他方の部分に相当する部分送出フレームとで構成されていることとなる。
また、前記実施例では、織機フレーム10における各サイドフレーム11において、その送出フレーム13を構成する別体の下側送出フレーム13aと上側送出フレーム13bとは、その両者間に本体フレーム12の一部が介在するように設けられている。しかし、各サイドフレームにおける送出フレームは、そのように各経糸ビームに対応させてそれぞれが別体に設けられた2つの部分送出フレームから構成される場合において、例えば前述した特許文献1に開示されているように、その2つの部分送出フレームが上下方向において直接的に連結されるようなかたちで構成されていても良い。なお、その場合、各サイドフレームは、その送出フレームをその前側の端面において本体フレームにおける後側の端面に対し当接させた状態で、両者が一体的に組み合わされるようなかたちで構成される。
さらに、各サイドフレームにおいて、その送出フレームは、以上で説明したような別体に設けられた2つの部分送出フレームを組み合わせた構成に限らず、前記2つの部分を含むようなかたちで一体成型された構成とされていても良い。また、各サイドフレームは、全体として一体成型され、前記実施例で言うところの本体フレーム及び送出フレーム(下側送出フレーム、上側送出フレーム)に相当する部分を含む単一のフレームとして形成されていても良い。
なお、前記実施例では、支持構造体は織機フレーム10における本体フレーム12に対し取り付けられているが、前記のように送出フレームよりも前方に位置する本体フレームが別体の送出フレームに対し連結されて又は送出フレームと一体成型されて各サイドフレームが構成される場合には、支持構造体は、送出フレームの後側の端面に対し取り付けられることとなる。また、前記実施例のように本体フレームの後側の端面が後方に露出するようなかたちで各サイドフレームが構成されている場合においても、支持構造体は、送出フレームの後側の端面に対し取り付けられていても良い。但し、その支持構造体は、それらのように送出フレームに対し取り付けられる場合には、その送出フレームに対し上下方向における取り付け位置を調整可能に設けられる。それにより、支持構造体は、織機フレームに対し上下方向に変位可能に設けられた状態とされる。
(4)経糸送出し装置に設けられる2つの経糸ビームについて、前記実施例では、両経糸ビーム21、22は、主として上下方向に位置が異なるように配置されている。しかし、本発明の経糸送出し装置においては、その2つの経糸ビームは、例えば図5に示すように主として前後方向に位置が異なるように配置されていても良い。なお、図5に示す経糸送出し装置の構成については、詳しくは以下の通りである。但し、図5において、前記実施例と構成が同じ部分に対しては同じ符号が付されており、以下では、その説明については省略する。
図5に示す経糸送出し装置20’において、織機フレーム10’における各サイドフレーム11’は、前記実施例と同じ構成の本体フレーム12と、その本体フレーム12とは別体の送出フレーム13’とで構成されている。また、各送出フレーム13’は、前記実施例と同様に、それぞれが別体に設けられた2つの部分送出フレームで構成されている。
なお、その2つの部分送出フレームについて、その一方である部分送出フレーム13aは、その構成及び本体フレーム12に対する配置に関し、前記実施例の下側送出フレーム13aと同じである。一方で、その他方である部分送出フレーム13cは、前記したように2つの経糸ビーム21、22を前後方向において位置が異なるように配置すべく、部分送出フレーム13aの後方の位置であって部分送出フレーム13aから離間した位置に配置されている。このように、本発明における織機フレームは、前記実施例のように一体的に組み合わされたものや前記のように一体成型されたものに限らず、各サイドフレームの一部分がそれ以外の部分に対し離間して設けられるように構成されたものも含む。なお、以下では、前記一方の部分送出フレーム13aを前側送出フレームと言い、その後方に配置される前記他方の部分送出フレーム13cを後側送出フレームと言う。
そして、その前側送出フレーム13a及び後側送出フレーム13cのそれぞれに備えられたビームガイド14a及びビームガイド14cにより、経糸ビーム21が一対の前側送出フレーム13a、13aによって支持され、経糸ビーム22が一対の後側送出フレーム13c、13cによって支持されている。その結果として、その2つの経糸ビーム21、22は、前後方向において位置を異ならせて配置された状態となる。
因みに、図示の例では、その2つの経糸ビーム21、22は、上下方向に関し位置が若干異なるように配置されている。但し、その上下方向における配置の差異は、前後方向における配置の差異と比べて非常に小さいため、この例は、2つの経糸ビーム21、22が(主として)前後方向に関し位置が異なるように配置された例であるとみなされる。なお、織機フレームが図5に示すように構成されている場合であっても、2つの経糸ビーム21、22が上下方向に関し同じ位置に配置されるように、経糸送出し装置が構成されていても良い。
そして、図示の例では、経糸ビーム21に対応するイージング機構30aの支持軸31及び経糸ビーム22に対応するイージング機構30cの支持軸34’は、支持ブラケット50’を主体とする支持構造体によって支持されている。但し、その支持構造体は、前記実施例と同じ構成であると共に支持ブラケット50’に取り付けられる支持メタル70であって、第2の支持部に相当して支持軸34’を支持するための支持メタル70を含んでいる。また、図示の例では、イージング機構30cにおける支持軸34’は、イージング機構30cにおけるガイドロール40cを兼ねる軸として設けられている。
また、その支持ブラケット50’は、前記実施例と同様に、支持軸31を支持するための部分である第1の支持部52’と織機フレーム10’に取り付けられる部分である基部51’とが一体成型されるようなかたちで構成されている。但し、その支持ブラケット50’は、第1の支持部52’よりも後方に延在する部分であって第1の支持部52’及び基部51’と一体成型された延在部分を有している。そして、第2の支持部(支持メタル)70は、支持軸34’が第1の支持部52’に支持される支持軸31よりも後方且つ上方に位置するように、支持ブラケット50’における延在部分に対し取り付けられている。それにより、イージング機構30cにおけるイージングロール36’は、イージング機構30aにおけるイージングロール33よりも後方且つ上方において配置された状態となる。
なお、図示の例では、前記のように後側の経糸ビーム22に対応するイージングロール36’が前側の経糸ビーム21に対応するイージングロール33よりも後方且つ上方に位置するように経糸送出し装置が構成されているが、これは、後側の経糸ビーム22から引き出される経糸の経路が前側の経糸ビーム21から引き出される経糸の経路と交差し、その交差位置において両経糸が摺接するのを防止するためである。このように、2つの経糸ビームが前後方向において位置が異なるように配置される経糸送出し装置においては、後側の経糸ビームに対応するイージングロールは、前側の経糸ビームに対応するイージングロールよりも後方且つ上方に配置されるのが望ましい。
但し、前記のような経糸同士の摺接が許容される場合には、例えば図5に示す構成において、前方に位置するイージングロール33が後側の経糸ビーム22に対応し、後方且つ上方に位置するイージングロール36’が前側の経糸ビーム21に対応するように、経糸送出し装置20’が構成されていても良い。すなわち、前側の経糸ビーム21から引き出された経糸がイージング機構30cのイージングロール36’に巻き掛けられ、後側の経糸ビーム22から引き出された経糸がイージング機構30aのイージングロール33に巻き掛けられていても良い。
また、図5の例では、支持構造体は、前記実施例と同様に織機フレーム10’における各サイドフレーム11’の本体フレーム12に対し取り付けられているが、その各サイドフレーム11’の送出フレーム13’における後側送出フレーム13cに対し取り付けられていても良い。その場合には、支持構造体は、その基部51’が第1の支持部52’よりも後方に位置する向きとされると共に、後側送出フレーム13cの前側の端面に対し上下方向における取り付け位置を調整可能に取り付けられる。
また、図5の例では、織機フレーム10’における各サイドフレーム11’において、その送出フレーム13’を構成する別体の前側送出フレーム13a及び後側送出フレーム13cは、前後方向に離間して配置されている。しかし、経糸送出し装置における2つの経糸ビームが前後方向に位置を異ならせるように配置された織機において、その送出フレームは、その前側送出フレーム13aに相当する部分送出フレームと後側送出フレーム13cに相当する部分送出フレームとが一体的に組み合わされるかたちで構成されていても良い。また、その送出フレームは、その前側送出フレーム13aに相当する部分と後側送出フレーム13cに相当する部分とを含むかたちで一体成型された構成とされていても良い。
また、以上では、経糸送出し装置における2つの経糸ビームが上下方向又は前後方向に位置を異ならせるように配置された例について説明したが、本発明の経糸送出し装置においては、2つの経糸ビームは、上下方向及び前後方向の両方向において位置を異ならせるように配置されていても良い。
具体的には、例えば図5の例における後側送出フレーム13cを図示の例よりもさらに上方に延在するかたちとし、その上端部において経糸ビーム22が支持される構成とすれば良い。なお、その構成の場合には、経糸ビーム22に対応するイージング機構30cにおける支持軸34’は、専用の軸として設けられ、それに伴い、その経糸ビーム22に対応するガイドロールは、専用のガイドロールとして、上下方向に関しイージングロール36’と経糸ビーム22との間に設けられる。
また、本発明は、上記のいずれの実施形態にも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々に変更することが可能である。