JP2018065167A - 電解用アノードの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アノード鋳型と離型剤との密着性を向上させ、鋳型の寿命を維持することができる電解用アノードの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る電解用アノードの製造方法は、溶融粗金属をアノード鋳型に鋳込む鋳込み工程と、鋳込まれた溶融粗金属を冷却する冷却工程と、冷却されたアノード鋳型から、溶融粗金属からなる電解用アノードを剥ぎ取る剥取り工程と、電解用アノードが剥ぎ取られた後に、アノード鋳型に離型剤を散布する離型剤散布工程とを有し、離型剤は、粒度D50が15μm以下の粘土粉と粘結剤とを含有し、離型剤に対する粘結剤の添加量の割合[粘結剤添加量(mL)/離型剤重量(g)]が0.03(mL/g)以上0.05(mL/g)であり、アノード鋳型1m当たりに散布する離型剤の散布量[離型剤重量(g)/アノード鋳型の散布面積(m)]が80(g/m)以上110(g/m)以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、銅製錬に代表される非鉄製錬プロセスにおける電解工程で使用される電解用アノードの製造方法に関する。
従来、例えば銅やニッケル等の有価金属を含有する硫化精鉱のような非鉄金属原料から銅やニッケルといった有価金属を得るための非鉄製錬プロセスでは、原料を熔解し、酸化させる工程において、濃縮した目的金属を含む溶融状態にあるマットとスラグとに比重分離し、マットを次の工程において、更に酸化して、溶融粗金属とする。そして、得られた溶融粗金属は、次の鋳造工程において電解用アノードの形状に鋳造され、電解工程で電解製錬が行われることにより、更に純度の高い目的金属に仕上げられる。
例えば、非鉄金属製錬の一例である銅製錬においては、銅精鉱等の原料を熔錬炉、転炉、精製炉で順番に処理して銅品位を99%程度まで高めた溶融粗金属である粗銅(以下「精製粗銅」という)を鋳造して電解用アノードとし、これを続く電解工程に投入する。
電解工程では、上記アノードとカソードが電解槽中に交互に装入され、電解精製が行われる。アノードから溶け出した銅はカソード上に電着し、その後、電解精製の終了したカソードは電解槽から引き上げられ、洗浄され、所定の枚数に結束され、製品として保管される。なお、製品形状や電解槽サイズにも関連するが、アノード及びカソードのサイズは、1000mm〜1400mm程度の方形に収まるサイズが一般的である。この電解工程では、純度99.99%程度の電気銅を得ることができる。
従来、銅製錬プロセスにおける電解工程で使用される電解用アノードは、ターンテーブル上に複数のアノード鋳型を載置し、ターンテーブルを間欠的に回転しつつ鋳込、冷却、剥取りを行う。
例えば、図1にように、電解用アノード鋳造装置10は、ターンテーブル11の上に載置された複数のアノード鋳型20を間欠的に回転しつつ、鋳込、冷却、剥取りを順次行うことによって、電解用アノード30(図2参照)を形成することができるように構成されている。アノード鋳型20に傾注して鋳込まれた精製粗銅は、冷却されて固体化する。そして、固体化した精製粗銅は、アノード鋳型20から剥ぎ取られることにより、電解用アノード30となる。
この電解用アノードの製造の過程で、電解用アノード30となった精製粗銅を剥ぎ取った後のアノード鋳型20には、次の精製粗銅を鋳込む前に、アノード鋳型20からの電解用アノード30の剥離性を高めるために、粘土等の離型剤を水で溶いたものが鋳型内面に散布される。そして離型剤の水分を蒸発させた後、再び、精製粗銅がアノード鋳型20に鋳込まれるというサイクルを繰り返す。
このような製造方法によって製造される電解用アノードの形状の良し悪しは、次工程である電解工程におけるトラブルの発生頻度に大きな影響を及ぼす。例えば、電解用アノード30の表面は平滑であることが求められている。電解工程においては、生産性を上げるために、アノードとカソードの間隔は出来るだけ狭く設定されているが、アノード表面に不要な凸部等の出っ張りがあると、前記アノードとカソードの間隔が狭く設定された場合、前記アノードのショート発生率を増加させ、電解工程の電流効率を著しく悪化させてしまうからである。
電解用アノードの表面の平滑性を向上させる観点から、様々な手段が考案されている。例えば、特許文献1には、アノード鋳型に離型剤の水溶液を塗布、乾燥した後に、粗銅を注湯し、冷却固化後のアノードを鋳型から取り出す電解用アノードの鋳造方法であって、離型剤の水溶液として粘土粉と水ガラスを含有する混合水溶液を使用する電解用アノードの製造方法が開示されている。粘土粉と水ガラスを含む離型剤は、アノード鋳型との密着性が強化されていることから、アノード鋳型が平滑な面で形成され、電解用アノードの表面の平滑性も向上させることができるとされている。
また、特許文献2には、結晶水を含有する離型剤をアノード鋳型へ散布する前に、該離型剤を結晶水の分解温度以上の温度で保持する結晶水分解処理を行う、アノードの製造方法が開示されている。離型剤内の結晶水が結晶水分解処理により分解されるため、鋳込み工程でアノード表面に膨れが発生することが抑制され、電解用アノードの表面の平滑性を向上させている。なお、このアノード表面に発生する膨れは、離型剤内の結晶水が鋳込み工程で加熱され、発生した水蒸気がアノード表面に膨れを生じさせると考えられている。
特開平10−15659号公報 特開2015−139779号公報
しかしながら、離型剤として粘土粉を使用した場合、水ガラス等の粘結剤を用いた場合であっても、また結晶水分解処理が行われた粘土粉を使用した場合であっても、離型剤をアノード鋳型に均一に散布することが難しい。そのため、アノード鋳型の位置によっては、離型剤によって形成される離型層の層厚に差が生じ、層厚が小さい箇所では離型層が剥がれやすくなり、必ずしも、アノード鋳型と離型剤との密着性がよいとは言えなかった。
そして、アノード鋳型と離型剤との密着性が悪く離型層が剥がれやすいと、アノード鋳型の熱負荷が高くなる焼付けや割れが起こりやすくなり、アノード鋳型の寿命が低下する。このようなアノード鋳型の寿命低下は、資材コスト面、鋳型生産ペース、鋳型交換のための所要時間の増大等、実操業への適用に大きな障害となる。
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、アノード鋳型と離型剤との密着性を向上させ、鋳型の寿命を維持することができる電解用アノードの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、電解用アノードの製造において、アノード鋳型に散布する離型剤として用いる粘土粉の粒度と、離型剤に対する粘結剤の添加量の割合と、アノード鋳型に対する離型剤の散布量とを調整することにより、アノード鋳型と離型剤との密着性を向上させ、鋳型の寿命を維持することができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1)本発明の第1の発明は、溶融粗金属をアノード鋳型に鋳込む鋳込み工程と、前記アノード鋳型に鋳込まれた前記溶融粗金属を冷却する冷却工程と、前記冷却工程で冷却された前記アノード鋳型から、前記溶融粗金属からなる電解用アノードを剥ぎ取る剥取り工程と、前記電解用アノードが剥ぎ取られた後に、前記アノード鋳型に離型剤を散布する離型剤散布工程と、を有する電解用アノードの製造方法であって、前記離型剤は、粒度D50が15μm以下の粘土粉と、粘結剤とを含有し、前記離型剤に対する前記粘結剤の添加量の割合[粘結剤添加量(mL)/離型剤重量(g)]が0.03(mL/g)以上0.05(mL/g)であり、前記アノード鋳型1m当たりに散布する前記離型剤の散布量[離型剤重量(g)/アノード鋳型の散布面積(m)]が80(g/m)以上110(g/m)以下である、電解用アノードの製造方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記粘結剤が水ガラスである、電解用アノードの製造方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記粘土粉は、結晶水を含有する結晶水含有粘土粉を、示差熱−熱重量分析により測定される前記結晶水の分解温度以上の温度で保持する結晶水分解処理することによって得る、電解用アノードの製造方法である。
本発明によれば、アノード鋳型と離型剤との密着性を向上させ、鋳型の寿命を維持することができる電解用アノードの製造方法を提供することができる。
電解用アノードの製造方法において使用する電解用アノード鋳造装置の構成を模式的に示す概略図である。 電解用アノードの平面図である。 電解用アノード鋳造装置を構成するアノード鋳型の斜視図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
≪1.電解用アノード鋳造装置≫
本発明は、例えば図1に示すような構成の電解用アノード鋳造装置10において実施することができる。なお、以下では、一具体例として、銅製錬プロセスの一部に本発明に係る電解用アノードの製造方法を適用した場合について説明する。
<1−1.装置構成>
図1に示す通り、本発明の電解用アノードの製造方法を実施可能な、電解用アノード鋳造装置10は、ターンテーブル11、冷却装置13、剥取機14、離型剤散布部15、及びアノード鋳型20等を備える。
電解用アノード鋳造装置10において、ターンテーブル11は、図1の矢印Rの方向に間欠的に回転可能に設置されており、ターンテーブル11上には、複数個のアノード鋳型20が載置されている。そして、電解用アノード鋳造装置10においては、更に、アノード鋳型20に、溶融粗金属として、精製粗銅を傾注する樋部12、アノード鋳型20に鋳込まれた精製粗銅を冷却してその固体化を促進する冷却装置13、精製粗銅が固体化してなる電解用アノード30をアノード鋳型20から剥ぎ取る剥取機14、そして、剥ぎ取り時の剥離性を高めるための離型剤をアノード鋳型20内に散布する離型剤散布部15等が設置されている。なお、簡略化のために、図1ではアノード鋳型20の個数を5個としたが、通常、アノード鋳型の個数は20個程度で実施される。
そして、このような電解用アノード鋳造装置10は、ターンテーブル11の上に載置された複数個のアノード鋳型20を、矢印Rの方向に間欠的に回転しつつ、鋳込み工程、冷却工程、剥取り工程、離型剤散布工程を行う。
本発明の電解用アノードの製造方法では、この離型剤散布工程において、離型剤として用いる粘土粉の粒度と、離型剤に対する粘結剤の添加量の割合と、アノード鋳型20に対する離型剤の散布量とを調整することにより、アノード鋳型20と離型剤との密着性を向上させ、鋳型の寿命を維持することができる。
<1−2.電解用アノード>
図2に示す通り、本発明の電解用アノードの製造方法によって製造可能な電解用アノード30は、後の電解工程において電解液に浸漬されるアノード本体と、アノード本体を電解槽に垂下するための一対の垂下用耳部とを有する。
電解用アノード30の本体の大きさと形状については、一般的には、1000mm×1000mm程度の概略矩形状とされる。そして、電解用アノード30は、後述するように、その表面の平滑性を十分に向上させたものであるため、後の電解工程における、電解用アノード30の表面の不均一性に起因するアノード間のショート発生率を十分に低減させることができ、銅精錬プロセスの生産性向上に大きく寄与することができる。
≪2.電解用アノードの製造方法≫
<2−1.各工程について>
本発明の電解用アノードの製造方法は、電解用アノード鋳造装置10において、以下にその詳細を説明する鋳込み工程、冷却工程、剥取り工程、及び離型剤散布工程を、繰返し行うことにより、電解用アノード30を鋳造する製造方法である。
〔鋳込み工程〕
鋳込み工程は、精製粗銅を、図1及び図3に示すアノード鋳型20に鋳込む工程である。この工程では、精製粗銅を、樋部12を介して、一定量ずつアノード鋳型20の鋳型凹部21に傾注することにより、精製粗銅を電解用アノード30の形状に鋳込む。
〔冷却工程〕
冷却工程は、アノード鋳型20の鋳型凹部21に鋳込まれた精製粗銅を冷却する工程である。この工程では、鋳込み工程での鋳型凹部21に鋳込まれた精製粗銅に、冷却装置13により冷却水を散布する手段等により、鋳型凹部21内の精製粗銅の固体化を促進する。また、この工程では、同時にアノード鋳型20の温度も、適切な温度にまで低減するように冷却する。
〔剥取り工程〕
剥取り工程は、冷却工程で冷却されたアノード鋳型20の鋳型凹部21から、固体化した電解用アノード30を剥ぎ取る工程である。電解用アノード30の剥ぎ取り方法として、例えば、予め鋳型凹部21内に設置されている押し上げピン等(図示せず)によって鋳型凹部21から電解用アノード30の一部である耳部分(垂下用耳部)を押し上げ、押し上げられた当該部分を剥取機14により引掛けて剥取る方法により行うことができる。
〔離型剤散布工程〕
離型剤散布工程は、電解用アノード30が剥ぎ取られた後のアノード鋳型20の鋳型凹部21内に所定の割合で離型剤を散布する工程である。上述した剥取り工程において電解用アノード30が剥ぎ取られた後、次の鋳込み工程を好ましい態様で行うために、この離型剤散布工程において離型剤を散布する。そして、アノード鋳型20に散布された離型剤は、充分に水分を蒸発させて離型層として形成される。離型層が形成されたアノード鋳型20は、次サイクルの鋳込み工程を行うために、精製粗銅の鋳込み位置まで回送され、新たな精製粗銅が鋳込まれる。
<2−2.離型剤について>
ここで、離型剤散布工程にてアノード鋳型20に散布される離型剤は、粘土粉と、粘結剤と、水とが混合され、スラリーとして使用される。具体的に、本発明においては、粒度D50が15μm以下の粘土粉により構成される離型剤を用いることを特徴としている。以下、粘土粉及び粘結剤について、それぞれ説明する。
(1)離型剤の構成
(粘土粉)
離型剤は、主として粘土粉により構成される。具体的に、その粘土粉は、特に限定されないが、カオリナイト、ハロイサイト、モンモリロナイト、イライト、バーミキュライト等の鉱物のうちの1種以上を主成分として含む。
粘土粉は、その粒度D50が15μm以下であることを特徴としている。また、好ましくは、1μm以上10μm以下であり、より好ましくは4μm以上9μm以下である。なお、「粒度D50」とは、粒度分布曲線における体積積算50%となる粒径であり、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定することができる。
離型剤を構成する粘土粉の粒度D50が15μmを超えると、アノード鋳型20に形成される離型層の強度が低下し、これにより、離型剤とアノード鋳型20との密着性が低下して、鋳型の寿命が低下する。特に、後述するように、離型剤に使用される粘土粉が、結晶水を含有する結晶水含有粘土粉を焼成して結晶水を除去した焼成粘土粉である場合には、粒度が粗大化する傾向がある。したがって、このような焼成粘土粉を用いる場合には、粒度D50が15μm以下となるように粉砕処理することが好ましい。
なお、粘土粉の粒度D50の下限値としては、特に制限されないが、1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましい。
また、粘土粉としては、所定の温度で焼成処理を施して結晶水が除去された粘土粉、いわゆる「焼成粘土粉」であることが好ましい。焼成粘土粉は、粘土粉に含有される結晶水の分解温度以上の温度で保持して焼成する結晶水分解処理により得ることができる。
ここで、離型剤として使用する粘土粉において、結晶水を含有する粘土粉(結晶水含有粘土粉)を使用した場合、電解用アノード30の表面に、御椀を伏せたような形の出っ張りである「膨れ」が発生しやすくなることが知られている。なお、このような電解用アノード30の表面に発生する「膨れ」の原因は、次のように考えられる。すなわち、一般的な電解用アノードの製造において、離型剤散布時におけるアノード鋳型20の温度は170℃〜180℃程度となり、離型剤(スラリー)に含まれる水分のうち、付着水は蒸発するが、粘土粉に含有される結晶水は分解されずに次工程である再度の鋳込み工程時まで残存してしまう。そして、結晶水が残存する粘土粉が付着したアノード鋳型20に精製粗銅を注湯すると、精製粗銅の熱により残存結晶水が分解し、発生した水蒸気がアノード表面に膨れを生じさせるものと考えられる。
このことから、結晶水含有粘土粉に対して結晶水分解処理によって焼成を行うことによって、鋳込み工程への結晶水の持ち込みを抑制し、電解用アノードの表面の膨れを防ぐことができる。
結晶水分解処理において、結晶水の分解温度とは、示差熱−熱重量分析により求めた分解温度をいう。この示差熱−熱重量分析による結晶水の分解温度の測定は、具体的には、JIS K0129による測定方法によって測定することができる。なお、この結晶水の分解温度は、測定する機器に由来するバラツキや、示差熱−熱重量分析以外の方法で測定した場合の測定方法に由来する違いがあることから、示差熱−熱重量分析により測定した結晶水の分解温度に対して、5%程度低い温度で保持しても、アノード表面の膨れの発生を抑制することができる。
また、結晶水分解処理時において、離型剤を保持する温度としては、結晶水の分解温度以上であって、かつ結晶水の分解温度+300℃以下であることが好ましい。結晶水分解処理時における離型剤の保持温度が結晶水の分解温度未満であると、処理後においても離型剤中に結晶水が残存する。この場合、続く再度の製造工程における膨れの抑制効果を十分に得ることができない。一方で、離型剤に含まれる結晶水の保持温度が結晶水の分解温度+300℃よりも高い温度であると、離型剤中の結晶水は完全に分解しているものの、粘土粉が焼結してしまい、上述した特定の粒度に粉砕しにくくなるため好ましくない。
また、結晶水分解処理時において、粘土粉を保持する時間としては、10分〜120分であることが好ましい。この保持時間が10分に満たないと、上述した温度範囲で焼成しても、離型剤中に結晶水が残存してしまうことがある。一方で、保持時間が120分を超えると、離型剤中の結晶水は完全に分解するものの、効果はそれ以上向上せず、エネルギーコストが過剰にかかるため好ましくない。
結晶水分解処理の具体的な方法としては、例えば、電気炉やキルン等、同一プラント内の既存の各種加熱炉を使用して、結晶水含有粘土粉を所定温度範囲で保持することによる方法が挙げられる。ただし、この処理を一連のプロセス或いは同一の設備内で行うことは必須ではない。
(粘結剤)
離型剤は、上述した粘土粉と共に、粘結剤を含有する。粘結剤とは、離型剤(スラリー)に所定の粘度を付すものであり、かつ離型剤とアノード鋳型20との密着性を高める役割に寄与するものである。
粘結剤としては、特に制限されないが、水ガラスを用いることが好ましい。水ガラスを粘結剤として離型剤に含有させることにより、その離型剤とアノード鋳型20との密着性をより一層に高めることができる。具体的に、水ガラスを含む離型剤がアノード鋳型20に塗布されると、水ガラスは高温状態のアノード鋳型20により急速に乾燥され、その水ガラスがバインダーとなってアノード鋳型20表面に強固な離型層(粘土粉の層)を形成し、離型剤とアノード鋳型20との密着性を向上させる。
なお、水ガラスとは、下記組成で示される二酸化ケイ素とアルカリとを融解した二酸化ケイ素−アルカリ系ガラスの濃厚水溶液(水分10質量%以上30質量%以下)であり、無色乃至僅かに着色した粘性の大きな液体で、空気中に放置するとガラス状になる。
O・nSiO・mH
(但し、Mは、Na、K等から選ばれるアルカリ金属、nは0.5〜4である。)
ここで、離型剤に対する粘結剤の添加量の割合[粘結剤添加量(mL)/離型剤重量(g)]としては、0.03(mL/g)以上0.05(mL/g)とする。これにより、アノード鋳型20の寿命の維持に必要な最低限の離型層の層厚を確保できると共に、剥ぎ取り工程時までに必要な電解用アノード30の冷却量を確保することができる。
[粘結剤添加量(mL)/離型剤重量(g)]で表される割合が0.03(mL/g)未満であると、アノード鋳型20に形成される離型層が薄くなりやすく、アノード鋳型20と離型層の密着性が低下し、アノードの鋳型の寿命が短くなる。一方、0.05(mL/g)を超えると、アノード鋳型20に形成される離型層が厚くなりやすく、伝熱抵抗の増加によって、後述する冷却工程で電解アノードの冷却が不足しやすくなる。その結果、従来の冷却時間では剥ぎ取り工程時に電解アノードが曲がって不良品となりやすくなる。
(2)離型剤の散布量
本発明において、離型剤散布工程にて散布する離型剤の散布量は、アノード鋳型1m当たりに散布する離型剤の散布量[離型剤重量(g)/アノード鋳型の散布面積(m)]として、80(g/m)以上110(g/m)以下とする。離型剤の散布量をこのような範囲とすることにより、アノード鋳型20の寿命の維持に必要な最低限の離型層の層厚を確保できると共に、剥ぎ取り工程時までに必要な電解用アノード30の冷却量を確保することができる。
離型剤の散布量[離型剤重量(g)/アノード鋳型の散布面積(m)]が80(g/m)未満であると、アノード鋳型20に形成される離型層が薄くなりやすく、アノード鋳型20と離型層の密着性が低下し、アノードの鋳型の寿命が短くなる。一方、離型剤の散布量が110(g/m)を超えると、アノード鋳型20に形成される離型層が厚くなりやすく、伝熱抵抗の増加によって、後述する冷却工程で電解アノードの冷却が不足しやすくなる。その結果、従来の冷却時間では、剥ぎ取り工程時に電解アノードが曲がって不良品となりやすくなる。
また、離型剤散布工程においては、離型剤のスラリーを鋳型凹部21に散布してから、次サイクルで鋳型凹部21に精製粗銅を注ぐまでに乾燥時間を確保することが好ましい。具体的に、その乾燥時間としては60秒〜160秒程度が好ましい。この工程段階におけるアノード鋳型20の温度としては170℃〜180℃程度であるため、鋳型凹部21に散布された離型剤のスラリーに含まれる水分を乾燥させるためにはおよそ60秒〜160秒の時間が必要となる。なお、乾燥時間が60秒よりも短いと、散布された離型剤に水分が残ってしまうことがあり、一方で、乾燥時間が160秒を超えると、電解用アノード30の生産量が低下してしまうことがある。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(焼成粘土粉の作製)
離型剤として用意した結晶水含有粘土粉に含まれる結晶水の分解温度は、JIS KO129による示差熱−熱重量分析による測定で、900℃であった。よって、この結晶水含有粘土粉を900℃で10分間保持することにより結晶水分解処理を施し、焼成粘土粉とした。分解した結晶水分量は、結晶水含有粘土粉の質量に対して9質量%であった。この焼成粘土粉の粒度D50を測定したところ、粒度D50=15.6μmであり、処理前の結晶水含有粘土粉よりも粗大化していた。
次に、その焼成粘土粉を、ボールミルを用いて粒度D50=8.6μmまで粉砕した。なお、粒度D50は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(マクロトラック社製、型番9320−X100)により測定した。
(離型剤の調製)
粉砕して得られた粒度D50=8.6μmの焼成粘土粉と、粘結剤である水ガラスとを、工業用水に添加撹拌し、表1に示す条件となる離型剤を調製した。水ガラスには、JIS K1408、3号に規定される珪酸ソーダを使用した。
(電解用アノードの作製)
上述のようにして得られた離型剤を、アノード鋳型に均一に散布して90秒乾燥させ、離型剤層を形成する離型剤散布工程を経た後、上述した鋳込み工程、冷却工程、剥取り工程を経て電解用アノードを作製した。なお、アノード鋳型1つ当たり、1日に製造される電解用アノードの枚数を、80枚とした。
[比較例1]
離型剤として使用する粘土粉として、焼成粘土粉を粉砕せず使用したこと、すなわち粒度D50=15.6μmの粘土粉を使用したこと以外は、実施例1と同様にして電解用アノード鋳造を行った。
[比較例2〜5]
離型剤における水ガラスの添加量、離型剤の塗布量を、表1に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして電解用アノード鋳造を行った。
[評価]
アノード鋳型に焼き付きが発生した時点を「アノード鋳型の寿命」に到達したとして、それまでの期間を測定した。また、製造した電解用アノード電極の表面における膨れを測定した。なお、電解用アノード電極の膨れ高さは、任意に選択された電解用アノード10枚における最も高い膨れの高さの平均値とする。
Figure 2018065167
表1から分かるように、実施例1のアノード鋳型では、寿命を1か月以上確保できた。また、実施例1のアノード鋳型では、離型剤の密着性に優れていることから、アノード鋳型が平滑な面で形成され、かつ、表面に膨れが発生するのを抑制することができた。
これに対し、粘土粉の粒度が過大である比較例1のアノード鋳型では、離型層の強度が弱く、離型層とアノード鋳型との密着性が弱く、寿命が短くなった。また、離型剤の散布量が過小である比較例2、粘結剤の添加量が過小である比較例3のアノード鋳型においても、アノード鋳型に形成された離型層が薄くなり、離型層とアノード鋳型との密着性が弱く、アノード鋳型の寿命が短くなった。一方、離型剤の散布量が過大である比較例4、粘結剤の添加量が過大である比較例5のアノード鋳型においては、離型層が厚くなり、伝熱抵抗の増加によって電解アノードの冷却が不足しやすくなり、剥ぎ取り工程時に電解用アノードが曲がって不良品となってしまった。
10 アノード鋳造設備
11 ターンテーブル
12 樋部
13 冷却装置
14 剥取機
15 離型剤散布部
20 アノード鋳造用鋳型
21 鋳型凹部
30 電解用アノード

Claims (3)

  1. 溶融粗金属をアノード鋳型に鋳込む鋳込み工程と、
    前記アノード鋳型に鋳込まれた前記溶融粗金属を冷却する冷却工程と、
    前記冷却工程で冷却された前記アノード鋳型から、前記溶融粗金属からなる電解用アノードを剥ぎ取る剥取り工程と、
    前記電解用アノードが剥ぎ取られた後に、前記アノード鋳型に離型剤を散布する離型剤散布工程と、を有する電解用アノードの製造方法であって、
    前記離型剤は、粒度D50が15μm以下の粘土粉と、粘結剤とを含有し、
    前記離型剤に対する前記粘結剤の添加量の割合[粘結剤添加量(mL)/離型剤重量(g)]が0.03(mL/g)以上0.05(mL/g)であり、
    前記アノード鋳型1m当たりに散布する前記離型剤の散布量[離型剤重量(g)/アノード鋳型の散布面積(m)]が80(g/m)以上110(g/m)以下である、
    電解用アノードの製造方法。
  2. 前記粘結剤が水ガラスである、請求項1に記載の電解用アノードの製造方法。
  3. 前記粘土粉は、結晶水を含有する結晶水含有粘土粉を、示差熱−熱重量分析により測定される前記結晶水の分解温度以上の温度で保持する結晶水分解処理することによって得る、
    請求項1又は2に記載の電解用アノードの製造方法。
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