JP2018063397A - 摺動部材、定着装置、画像形成装置、および、摺動部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】長時間使用においても、駆動モーターの駆動トルクの上昇を抑制し、摺動部材の寿命の向上を図ることが可能な摺動部材、定着装置、画像形成装置、および、摺動部材の製造方法を提供する。【解決手段】この摺動部材120は、金属プレート121を含み、金属プレート121の表面には多数の凸部122を有し、凸部122は、定着ベルトが金属プレート121に向けて押圧部材により押圧された際に、定着ベルトの内面が、隣接する凸部122の間に露出する金属プレート121の表面に接触しない間隔で配置され、定着ベルトの内面と、金属プレート121の表面に設けられた凸部122との直接接触面積比Asが、0.5以下である。【選択図】図3
Description
この発明は、摺動部材、定着装置、画像形成装置、および、摺動部材の製造方法に関する。
画像形成装置においては、媒体(用紙等)に転写されたトナー画像は、画像定着装置を用いて加熱加圧されて媒体に定着される。この画像定着装置においては、加熱された定着ベルトと加圧ローラーとの間(ニップ部)をトナー画像が転写された媒体を搬送通過させることで、トナー画像の媒体への定着を行なう。加圧ローラーに対向する定着ベルトの内側には、定着ベルトを加圧ローラー側に押し付けるための摺動部材が設けられている。
この摺動部材は、一般的には、GC(ガラスクロス)基材にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン:polytetrafluoroethylene)層が形成させた構成を有している。PTFE層は、低摩擦性を有し、GC由来の凹凸により、ニップ部におけるベルト内面と摺動部材との直接接触面積比(As)が0.5以下と低い。潤滑材を使用する場合は、ニップ部が高荷重であっても、凹部が潤滑材の通り道となることで潤滑剤枯渇を抑制することで良好な摺動特性を示す。
定着装置に用いられる摺動部材を開示する特許文献としては、特開2009−93172号公報(特許文献1)、特開2009−251253号公報(特許文献2)が挙げられる。
従来のPTFEを用いた摺動部材は、PTFEが有する自己潤滑性がゆえ、高荷重、高速下において、へき開による摩耗が凸部で発生しやすい。その結果、凸部の消失、摩耗粉の発生により、駆動時間とともに駆動モーターの駆動トルクが上昇し、摺動部材の寿命が短くなるといった課題が発生する。
近年、商業印刷領域においても省エネ、低コストの要望が高まり、高荷重、高速度条件下においても、定着装置を構成する定着部品の交換頻度の低減、サービスコスト低減の観点より、定着装置の寿命の向上が求められている。
さらに、摺動部材の熱伝導性が低い場合には、たとえば摺動部の近傍に熱源を設置する構成の定着装置の場合、熱伝達性が悪くなる。連続通紙時のベルト端部温度上昇による端部破損が発生し、省エネ性、寿命の向上の観点より、高熱伝導性の摺動部材も求められている。
この発明は上記課題を解決するためになされたものである。第1の目的は、長時間使用においても、駆動モーターの駆動トルクの上昇を抑制し、摺動部材の寿命の向上を図ることが可能な摺動部材、定着装置、画像形成装置、および、摺動部材の製造方法を提供することにある。
第2の目的は、摺動部の近傍に熱源を有する定着装置において、高い熱伝導性および均熱性を有することにより、省エネ性の向上、ベルト端部破損の抑制により、長時間使用においても性能劣化が少ない摺動部材、定着装置、画像形成装置、および、摺動部材の製造方法を提供することにある。
この摺動部材においては、無限軌道を有する定着ベルトの内部に配置されて、定着ベルトの内面をローラーに向けて押圧する押圧部材と、上記定着ベルトと上記押圧部材との間に配置される摺動部材であって、当該摺動部材は、金属プレートを含み、上記金属プレートの表面には多数の凸部を有し、上記凸部は、上記定着ベルトが上記金属プレートに向けて上記押圧部材により押圧された際に、上記定着ベルトの内面が、隣接する上記凸部の間に露出する上記金属プレートの表面に接触しない間隔で配置され、上記定着ベルトの内面と、上記金属プレートの表面に設けられた上記凸部との直接接触面積比が、0.5以下である。
他の形態においては、少なくとも上記凸部の表面粗さRaが、0.1μm以下の鏡面である。
他の形態においては、少なくとも上記突起部には、上記定着ベルトの内表面より硬度の高い高硬度膜が被覆されている。
他の形態においては、上記高硬度膜は、表面粗さRaが、0.2μm以下の鏡面である。
他の形態においては、上記高硬度膜は、ダイヤモンドライクカーボン膜である。
他の形態においては、上記凸部は、半球状である。
他の形態においては、上記凸部は、半球状である。
他の形態においては、上記金属プレートは、上記定着ベルト側にR状に突き出た形状である。
他の形態においては、上記金属プレートは、上記定着ベルト側にR状に突き出た形状である。
他の形態においては、上記金属プレートは、アルミニウム、または、アルミニウム合金である。
他の形態においては、上記アルミニウム、または、上記アルミニウム合金プレートは、ホットチャンバー法によって得られたものである。
この定着装置においては、ローラーと、無限軌道を有する定着ベルトと、上記定着ベルトの内部に配置され、上記定着ベルトの内面を上記ローラーに向けて押圧する押圧部材と、上記定着ベルトと上記押圧部材との間に配置される上述のいずれかに記載の摺動部材と、を備える。
他の形態においては、上記定着ベルトは、ベルト基材を含み、上記ベルト基材は、電子線照射により架橋されたフッ素樹脂である。
この画像形成装置は、上述のいずれかに記載の定着装置を備える。
この摺動部材の製造方法は、無限軌道を有する定着ベルトの内部に配置されて、定着ベルトの内面をローラーに向けて押圧する押圧部材と、上記定着ベルトと上記押圧部材との間に配置される摺動部材であって、当該摺動部材は、金属プレートを含み、上記金属プレートの表面には多数の凸部を有し、上記凸部は、上記定着ベルトが上記金属プレートに向けて上記押圧部材により押圧された際に、上記定着ベルトの内面が、隣接する上記凸部の間に露出する上記金属プレートの表面に接触しない間隔で配置され、上記定着ベルトの内面と、上記金属プレートの表面に設けられた上記凸部との直接接触面積比が、0.5以下である摺動部材の製造方法であって、金属プレートを製造する工程は、上記凸部を作製するための凹部を有する金型を用いて、ホットチャンバー法により作製される工程を含む。
この摺動部材の製造方法は、無限軌道を有する定着ベルトの内部に配置されて、定着ベルトの内面をローラーに向けて押圧する押圧部材と、上記定着ベルトと上記押圧部材との間に配置される摺動部材であって、当該摺動部材は、金属プレートを含み、上記金属プレートの表面には多数の凸部を有し、上記凸部は、上記定着ベルトが上記金属プレートに向けて上記押圧部材により押圧された際に、上記定着ベルトの内面が、隣接する上記凸部の間に露出する上記金属プレートの表面に接触しない間隔で配置され、上記定着ベルトの内面と、上記金属プレートの表面に設けられた上記凸部との直接接触面積比が、0.5以下である摺動部材の製造方法であって、金属プレートを製造する工程は、上記凸部を作製するための凹部を有する金型を用いて、ホットチャンバー法により作製される工程を含む。
他の形態においては、上記金属プレートを製造する工程は、さらに、上記金属プレートの表面を研磨工程にて鏡面仕上げを施す工程と、その後、高硬度膜を成膜する工程と、を含む。
この発明によれば、第1に、長時間使用においても、駆動モーターの駆動トルクの上昇を抑制し、摺動部材の寿命の向上を図ることが可能な摺動部材、定着装置、画像形成装置、および、摺動部材の製造方法を提供する。
第2に、摺動部の近傍に熱源を有する定着装置において、高い熱伝導性および均熱性を有することにより、省エネ性の向上、ベルト端部破損の抑制により、長時間使用においても性能劣化が少ない摺動部材、定着装置、画像形成装置、および、摺動部材の製造方法を提供する。
本発明に基づいた各実施の形態における、摺動部材、定着装置、画像形成装置、および、摺動部材の製造方法について、以下、図を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。また、図面においては、実際の寸法の比率に従って図示しておらず、構造の理解を容易にするために、構造が明確となるように比率を変更して図示している箇所がある。
(実施の形態1:画像形成装置10)
図1を参照して、本実施の形態における画像形成装置10の概略構成について説明する。図1は、画像形成装置10の概略構成を示す斜視図である。画像形成装置としては、たとえばMFP、プリンター、複写機、またはファクシミリなどが挙げられる。
図1を参照して、本実施の形態における画像形成装置10の概略構成について説明する。図1は、画像形成装置10の概略構成を示す斜視図である。画像形成装置としては、たとえばMFP、プリンター、複写機、またはファクシミリなどが挙げられる。
本実施の形態における画像形成装置10は、MFPであり、操作パネル1と、スキャナー部2と、ADF(Auto Document Feeder)4と、プリントエンジン部6と、排紙トレイ8と、複数の給紙トレイ9とを主に備えている。
ADF4は、画像形成装置10の最上部に設けられている。ADF4は、読み取り対象となる原稿をスキャナー部2に送る。スキャナー部2は、ADF4の下に設けられている。スキャナー部2は、原稿を光学的に読取って画像データを得る。排紙トレイ8は、スキャナー部2の下部であって、プリントエンジン部6の上面に設けられている。排紙トレイ8には、画像が形成された用紙が排出される。
プリントエンジン部6は、画像形成装置10の中央部に設けられている。プリントエンジン部6は、画像データに基づいて用紙上に画像を印刷する画像定着装置を含む。複数の給紙トレイ9は、プリントエンジン部6の下部に設けられている。複数の給紙トレイ9の各々には、画像形成の対象となる用紙が収納されている。操作パネル1は、スキャナー部2の前面側(ユーザーが対向する側)に装着されている。操作パネル1は、各種情報を表示し、各種操作を受け付ける。
(定着装置100)
図2を参照して、プリントエンジン部6に採用される定着装置100の構成について説明する。図2は、定着装置100の概略構成を示す横断面図である。定着装置100は、定着ローラー110と内部に加熱装置140hを有する加熱ローラー140とを含む。定着ローラー110の表面は、ポリイミド等を用いた弾性変形可能な材料で構成されている。加熱ローラー140には、無限軌道を有する定着ベルト150が巻き掛けられている。
図2を参照して、プリントエンジン部6に採用される定着装置100の構成について説明する。図2は、定着装置100の概略構成を示す横断面図である。定着装置100は、定着ローラー110と内部に加熱装置140hを有する加熱ローラー140とを含む。定着ローラー110の表面は、ポリイミド等を用いた弾性変形可能な材料で構成されている。加熱ローラー140には、無限軌道を有する定着ベルト150が巻き掛けられている。
定着ローラー110に対向する定着ベルト150の内側には、定着ベルト150を定着ローラー110側に押圧するために摺動部材120が配置されている。摺動部材120は、押圧部材130によって定着ローラー110側に押圧されている。
上記構成を有する定着装置100においては、定着ベルト150と定着ローラー110との間においてニップ部が形成され、定着ベルト150の回転に伴ない加熱ローラー140も従動回転し、媒体(用紙等)Pを搬送(図中矢印F方向に示すベルト搬送方向)しながら、ニップ部で媒体(用紙等)上のトーナー画像の加熱定着が行なわれる。
(摺動部材120)
図3から図6を参照して、摺動部材120の構成について説明する。図3は、摺動部材120の構成を示す概念図、図4は、図3中のIVで囲まれた領域の部分拡大図、図5は、摺動部材120の平面図、図6は、凸部の寸法を示す図である。
図3から図6を参照して、摺動部材120の構成について説明する。図3は、摺動部材120の構成を示す概念図、図4は、図3中のIVで囲まれた領域の部分拡大図、図5は、摺動部材120の平面図、図6は、凸部の寸法を示す図である。
図3を参照して、摺動部材120は、紙面に対して垂直方向に延びるように設けられている。摺動部材120は、摺動面(上面)が湾曲状(R形状)に設けられた基材121と、基材121の底面に設けられたセラミックヒーター等からなる加熱部材123とを有する。本実施の形態では、基材121には、アルミを用いている。加熱部材123は、必須の構成ではない。基材121の表面には、凸部122が設けられている。この凸部122の表面は、低摩擦係数材料の高硬度膜で被覆されている。
高硬度膜は、低摩擦係数材料として、たとえば、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜等が用いられる。低摩擦係数材料を用いることで、定着ベルト150の内面との接触時におけるせん断応力を低減させることができる。DLCは、グラファイト構造(sp2型結晶)にダイヤモンド構造(sp3型結晶)を部分的に有した構造であり、低い摩擦係数、高い耐摩耗性を有する。
図4および図5を参照して、凸部122は平面視において円形の半球状であり、凸部122の直径Wは、約500μm、隣接する凸部122との間隔はPは、約500μm、凸部122の高さHは、約20μmから50μmであるとよい。図5に示すように、平面視においては、千鳥格子状に配置されている。なお、凸部122の好ましい形状、大きさ(W)、高さ(H)、および、配置間隔(P)については、後述する。
高硬度膜に低摩擦係数材料を用い、せん断応力(固体接触面の凝着力を切るための面内に働く力))を低減させる方法としては、以下の(1)から(6)の要件が挙げられる。
(1)基材121の摺動面(上面)を定着ベルト側に突出するR形状とし、摺動面のせん断応力(塑性変形)を小とし、せん断力(固体接触面の凝着力を切る力)を小とする。(2)突出し量(厚み)を小とし、厚み方向の塑性変形量を小とし、スリップを小とする。(3)摺動面に凸部を付け、摺動面の接触面積を下げ、非接触部(空間)を作る。(4)材質の摩擦係数を下げ、摺動部の付着力を下げる。(5)凸部の表面粗さを低くし(鏡面)、摺動部の接触面積(As)を下げる。(6)摺動部の強度(剛性、硬度)を高め、塑性変形を小とし、耐摩耗性を向上させる。
(1)から(3)の要件は、基材121の材質、形状を選択することで対応できる。(4)から(6)の要件において、最も優れた高硬度膜の材料は、ダイヤモンドもしくはDLCである。(5)、(6)を満たす材質としては、めっき(硬質Cr、ニッケルなど)がある。
(3)については、画像に影響が出ない程度の大きさで、かつ、荷重によって凸部が潰れたり相手面(対向の弾性部材も含む)が変形して密着しない適度のサイズが必要でありる。凸部の大きさとしては、高さ(Rz)が約20μmから50μm程度、幅(Sm)が約400μmから600μm程度、凸部はR形状が好ましい。
(Asの評価方法)
ここで、Asの評価方法について説明する。Asは、定着ベルト150の内面と摺動部材120の凸部122との直接接触面積比を示す。
ここで、Asの評価方法について説明する。Asは、定着ベルト150の内面と摺動部材120の凸部122との直接接触面積比を示す。
摺動部材120に油性マジックを一様に塗り、定着装置100に摺動部材120を装着し、所定時間の駆動後、摺動部材120を取り出し、塗布したマジックの削れた部分の投影面積を光学顕微鏡写真より算出し、摺動部材120の投影面積よりその比率を算出する。
Asを「定着ベルトの内面と摺動部材の凸部との直接接触面積比」、Saを「定着ベルトの内面と摺動部材の凸部との直接接触面積」、および、Sbを「摺動部材の凸部の投影面積」と定義する。
Asは0.5以下、好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.2以下であるとよい。Asを0.5以下とすることで、定着ベルトと摺動部材との直接接触面積が低下し、特に起動時のトルクを抑制でき、摺動部材の摩耗を低減できるため、寿命が向上する。
(Asを0.5以下とするための好ましい凸部122の形状、大きさ)
凸部122はAsを低減させる目的より半球状が好ましい。平面状にすると、平面部が全て接触し、Asが増大する。突起を角状にすると、Asは低減するが、定着ベルトの内面を傷つける懸念がある。
凸部122はAsを低減させる目的より半球状が好ましい。平面状にすると、平面部が全て接触し、Asが増大する。突起を角状にすると、Asは低減するが、定着ベルトの内面を傷つける懸念がある。
Asを低減させる目的より、半球状の凸部122の直径は約400μmから約600μm、高さ約20μmから約50μmが好ましい。凸部122の高さが約50μmを超えると、凸部122のトナー画像への影響が懸念され、約20μm未満の場合、凹部(隣接する凸部122同士の間)にも定着ベルトの内面が接触する懸念があり、Asを低減できなくなる。定着ベルトの内面の凹部への接触を防ぎAsを低減する目的より、凸部122は平面視で円形であることが好ましい。好ましい凸部122間の距離(間隔)は、半球状の凸部122の軸方向の間隔が600μm以下、半球状の凸部122の周方向の間隔が600μm以下がよい。
このように、Asの低減(0.5以下)を目的とすることから、(a)定着ベルトの内面が凸部間の凹部に接触しない、(b)定着ベルトの内面との直接接触部が凸部122の一部分とする、ことが導かれ、まとめると、凸部122の形状は、平面視において円形の半球状がよく、凸部122の高さは、約20μmから約50μm、凸部122の直径は、約400μmから約600μm、凸部122の間隔は、約600μm以下がよい。
(凸部122を有する基材121の製造方法)
アルミニウム合金を基材121として用いる場合は、ホットチャンバー(HC)法(連続鋳造法)にて作製する。通常の射出成形と同様に、金型に凸部122のパターンを作製し、HC法により金型に溶かしたアルミニウム合金を流し込むことで作製できる。
アルミニウム合金を基材121として用いる場合は、ホットチャンバー(HC)法(連続鋳造法)にて作製する。通常の射出成形と同様に、金型に凸部122のパターンを作製し、HC法により金型に溶かしたアルミニウム合金を流し込むことで作製できる。
アルミニウム合金以外の高融点金属、たとえば、SUS、チタン合金、ニッケル、低合金鋼などを基材121として用いる場合は、メタルインジェクションモールド(MIM)法によって作製することが出来る。アルミニウム合金に限定されず純度100%アルミニウム(純アルミ)であってもよい。
成形性、加工性、生産性の観点より、基材121への凸部122の形成としては、HC法がより好ましく、製造面からは、アルミは、熱伝導率が高く、成形しやすい。融点は、約660℃、熱伝導率λは、100w/m℃から210w/m℃であり、熱伝導性、融点、コストの観点より、アルミニウム合金が好適に用いられる。たとえば、図7に示すように、合金名DMS−1であれば、熱伝導率は、210w/m℃、合金名HT−1であれば、熱伝導率は、170w/m℃程度となる。
(研磨処理)
摺動部材120の定着ベルトに対する摩擦トルクを低減するには、Asの低減のみならず、接触部の表面粗さを小さくし、鏡面加工することが好ましい。表面粗さRaが好ましくは0.2以下、より好ましくは0.1以下であるとよい。表面に高硬度膜を被膜すれば鏡面性が得られるが、下地の表面粗さを反映するため、より鏡面性を上げるためには、下地の鏡面性を上げる必要がある。
摺動部材120の定着ベルトに対する摩擦トルクを低減するには、Asの低減のみならず、接触部の表面粗さを小さくし、鏡面加工することが好ましい。表面粗さRaが好ましくは0.2以下、より好ましくは0.1以下であるとよい。表面に高硬度膜を被膜すれば鏡面性が得られるが、下地の表面粗さを反映するため、より鏡面性を上げるためには、下地の鏡面性を上げる必要がある。
そこで、高硬度膜を被覆する前の凸部122を有する基材121の表面に対して鏡面加工を施すとよい。具体的な鏡面加工の方法は、鏡面研磨加工となり、たとえば、バフ研磨法、フィルム研磨法、ベルト研磨法などがあげられる。鏡面性の精度と均一性より、研磨剤を用いたバフ研磨法が好適である。表面粗さ(Ra)を、0.1μm以下に仕上げるように研磨を行なうとよい。より好ましくは、表面粗さ(Ra)は、0.01μm以下であるとよい。
(高硬度コート)
定着ベルト150の内面に設けられる層(PI層)の硬度は、一般的には、100Hvから200Hvであり、アルミニウム合金の硬度は50Hvから160Hvであるため、摺動部材の突起部がアルミニウム合金のみの場合、摩耗が著しくなり、長寿命化を確保できない。これより、高硬度のコート層が摺動部材の少なくとも突起部に形成されれば、駆動モーターの駆動トルクの上昇を抑制し、摺動部材の寿命の向上を図ることが可能となる。
定着ベルト150の内面に設けられる層(PI層)の硬度は、一般的には、100Hvから200Hvであり、アルミニウム合金の硬度は50Hvから160Hvであるため、摺動部材の突起部がアルミニウム合金のみの場合、摩耗が著しくなり、長寿命化を確保できない。これより、高硬度のコート層が摺動部材の少なくとも突起部に形成されれば、駆動モーターの駆動トルクの上昇を抑制し、摺動部材の寿命の向上を図ることが可能となる。
高硬度のコート層としては、金属プレート、特にアルミニウムプレートに被覆可能であれば特に限定されるものではない。たとえば、硬質クロムめっき(800Hvから900Hv)、ニッケルめっき(400Hvから1,000Hv)などのめっき、ダイヤモンドライクカーボン(DLC 1,000Hv以上)、MoS2(二硫化モリブデン)と金属の複合材(500Hv以上)などのコーティングが挙げられる。こららの中でも、低摩擦性も併せ持つ、DLCコーティング(0.05μmから0.12μm)、MoS2系コーティング(0.02μmから0.06μm)コーティングが好ましく、量産実績、ドライ・オイル潤滑のどちらにも適合可能で汎用性が高いなどの点より、DLCコーティングがより好ましい。
図8に示す、オーエスジーコーティングサービス(株)社製の製品名、DLC−SUPERHARDを用いた場合には、6000Hvの硬度が得られ、DLC−LUBUC(登録商標)αを用いた場合には、2500Hvの硬度が得られ、DLC−LUBUC(登録商標)βを用いた場合には、1500Hvの硬度が得られる。
また、図9に示すように、基材121には、低SiAl合金(A3003,A5052,A5056)を用いることで、DLCを被覆した場合には、良好な表面粗さを得ることができる。DLCの被覆には、化学蒸着法(CVD法)が用いられる。
(表面粗さ)
表面粗さ測定機(東京精密社製、SURFCOM 480A)を用い、カットオフ値は、0.8、測定箇所は10カ所、一カ所当たりの測定長は0.3として、凸部122の表面粗さを測定し、計測データを合算して測定長を3mmとして、Raを算出する。
表面粗さ測定機(東京精密社製、SURFCOM 480A)を用い、カットオフ値は、0.8、測定箇所は10カ所、一カ所当たりの測定長は0.3として、凸部122の表面粗さを測定し、計測データを合算して測定長を3mmとして、Raを算出する。
(ビッカース硬度)
ビッカース硬度計(NEC社製、MH−4000)を用い、圧子として三角錐ダイヤモンドを使用し、測定(押し込み)深さ1μm、押し込み速度10.5nm/secにて測定を行なう。
ビッカース硬度計(NEC社製、MH−4000)を用い、圧子として三角錐ダイヤモンドを使用し、測定(押し込み)深さ1μm、押し込み速度10.5nm/secにて測定を行なう。
(摺動部材120の形状)
図10および図11に、摺動部材120の基材121を示す。図10および図11には、形状の異なる基材121(主に基材の厚さ、R形状の大きさ)を例示している。基材121は、図示の垂直方向に延びる形態であり、図示の右方向から左方向に向かって定着ベルト150が摺動する。
図10および図11に、摺動部材120の基材121を示す。図10および図11には、形状の異なる基材121(主に基材の厚さ、R形状の大きさ)を例示している。基材121は、図示の垂直方向に延びる形態であり、図示の右方向から左方向に向かって定着ベルト150が摺動する。
定着ベルト150の内面との密着性を低減させる目的でベルト搬送方向(図2中のF方向)に対し、入口側および/又は出口側がR形状を有することが好ましい。入口側および/又は出口側をR形状とすることで、定着ベルト150の内面との隙間が確保でき、定着ベルト150の内面との密着性を低減でき、空気や定着ベルト150の内面に塗布された潤滑剤が摺動部材120に入り込みやすくなり、定着ベルト150の内面との凝着力を低減することで摩擦力が低下し、摩擦トルクの低減を図る。
(定着ベルト150)
定着ベルト150は、図12に示すように、基材ベルト150aと離型層150bとの2層構成、または、図13に示すように、基材ベルト150a、弾性層150c、および、離型層150bの3層構成などのものが用いられる。基材ベルト150aは、耐熱性と機械的強度を併せ持つ材料であれば、特に限定されないが、熱硬化性ポリイミドが一般的に用いられている。
定着ベルト150は、図12に示すように、基材ベルト150aと離型層150bとの2層構成、または、図13に示すように、基材ベルト150a、弾性層150c、および、離型層150bの3層構成などのものが用いられる。基材ベルト150aは、耐熱性と機械的強度を併せ持つ材料であれば、特に限定されないが、熱硬化性ポリイミドが一般的に用いられている。
さらに、近年ではポリマーのシートやチューブに電子線を直接照射することでポリマー分子鎖を架橋させて、耐熱性や機械的強度を向上させる技術が提案されている。たとえば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)チューブ、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブを電子線架橋させれば、基材ベルトと離型層とが1層で形成された定着ベルト得られる。PTFEチューブを電子線架橋させ、その上に弾性層、離型層を構成すれば、従来の3層の定着ベルトも1層で作製することができる。従来のポリイミド基材テープに比べ、耐熱性、機械的強度は略同等で、低摩擦性が飛躍的に向上できるため、本実施の形態の定着ベルトには好適なベルト基材となる。
(摺動部材の製造)
以下、図14を参照して、具体的な摺動部材の製造について説明する。
以下、図14を参照して、具体的な摺動部材の製造について説明する。
「摺動部材 No.1」としての基材121(金属プレート)の製造について説明する。図14に示すように、基材121の長手方向の長さ(L1)は、360mm、短手方向の長さ(W1)は、30mm、上面(摺動面)には、R25の曲面を設け、入口側と出口側とには、5Rの曲面を設けている。断面形状としては、図10に示す形状と同じである。このような形状の基材121の製造が可能な金型を製作した。さらに、基材121の上面に以下の仕様の半球状の凸部122を作製するための凹部を有する金型に作製した。
(凸部の仕様)
高さ0.03mm、直径0.5mm、間隔0.5mm、凸部122の形成範囲は、長さ(L2)350mm(両端(S1)5mm以外)、幅(S2)20mm(入口側10mmから出口側まで)の領域である。
高さ0.03mm、直径0.5mm、間隔0.5mm、凸部122の形成範囲は、長さ(L2)350mm(両端(S1)5mm以外)、幅(S2)20mm(入口側10mmから出口側まで)の領域である。
アルミニウム合金(A3003)をホットチャンバー法により融点(約700℃)以上で上記金型に流し込み、冷却後、脱型し、微細な半球状の凸部122を多数有するアルミニウム合金(A3003)の基材121を作製した。
(基材121の鏡面研磨加工)
半球状の凸部122が形成された基材121をマイクログラインダーを用いバフ研磨法にて粗研磨、中研磨、仕上げ研磨1,2を段階的に行ない、凸部122の表面粗さRaが0.01となるよう鏡面研磨加工を施した。
半球状の凸部122が形成された基材121をマイクログラインダーを用いバフ研磨法にて粗研磨、中研磨、仕上げ研磨1,2を段階的に行ない、凸部122の表面粗さRaが0.01となるよう鏡面研磨加工を施した。
粗研磨では、バフにサイザイルバフを用い、研磨剤としてサイザー46を使用した。中研磨では、バフにサイザイルバフを用い、研磨剤としてプリンスライムを使用した。仕上げ研磨1では、バフに綿バフを用い、研磨剤としてアロックスを使用した。仕上げ研磨2では、バフに綿バフを用い、研磨剤として液体コンパウンドLC−303を使用した。
(高硬度膜の被覆)
UBM(UnBalanced Magnetoron)スパッタ法にて鏡面研磨加工を施した半球状の凸部122を有する基材121の上面に高硬度膜として、DLC膜を被覆した。6インチ径UBMスパッタ源(ターゲット:カーボン)を用い、Arガス圧:0.4Pa、投入DC電力:約6W/cm2、成膜速度:約30nm/min、基板バイアス電圧:0から200Vの範囲で印加し、膜厚が約2μmになるようDLC膜の成膜を行なった。
UBM(UnBalanced Magnetoron)スパッタ法にて鏡面研磨加工を施した半球状の凸部122を有する基材121の上面に高硬度膜として、DLC膜を被覆した。6インチ径UBMスパッタ源(ターゲット:カーボン)を用い、Arガス圧:0.4Pa、投入DC電力:約6W/cm2、成膜速度:約30nm/min、基板バイアス電圧:0から200Vの範囲で印加し、膜厚が約2μmになるようDLC膜の成膜を行なった。
DLC膜の前処理として、基材121に対して、DLC膜と基材121との密着性を向上させる下地層の形成を行なった。基材121の上に下地層として、W(タングステン)密着層(膜厚:約50nm)およびWとCの塑性を連続的に変化させたW−C傾斜組成層(膜厚:約200nm)をスパッタ法にて作製した。高硬度膜の膜厚は、高分解能TEM観察およびEDXによる元素同定の組合せにより測定した。高硬度膜の成膜後の凸部122の表面粗さ(Ra)は、0.1であった。
(As(定着ベルト150の内面と凸部122との直接接触面積比)の測定)
図15に、No.1からNo.8、および比較例のR1からR4の摺動部材120のAsを示す。得られたNo.1の摺動部材120のAsを測定したところ、「0.22」であった。
図15に、No.1からNo.8、および比較例のR1からR4の摺動部材120のAsを示す。得られたNo.1の摺動部材120のAsを測定したところ、「0.22」であった。
(摺動部材 No.2からNo.8、R1からR4の作製)
図15中に記載の仕様以外は、摺動部材No1と同様の製造方法にて摺動部材No.2からNo.8、R1からR4を作製した。DLC膜の膜厚は約2μm、被膜前後のRa、Asは、図15中に記載のとおりである。
図15中に記載の仕様以外は、摺動部材No1と同様の製造方法にて摺動部材No.2からNo.8、R1からR4を作製した。DLC膜の膜厚は約2μm、被膜前後のRa、Asは、図15中に記載のとおりである。
(定着装置100での耐久評価)
図15に記載の各摺動部材に対し、図15に記載のベルト基材、潤滑剤を図2に示した定着装置100と同じ構成の「2軸上ベルトパッド定着テスター」の摺動部に装着して、通紙耐久評価を行なった。「2軸上ベルトパッド定着テスター」の駆動速度は400mm/s、定着温度は160℃、ニップ荷重は500N、ニップ幅は20mmである。評価結果を、実施例1から実施例9、比較例10から比較例14として、図16に示す。
図15に記載の各摺動部材に対し、図15に記載のベルト基材、潤滑剤を図2に示した定着装置100と同じ構成の「2軸上ベルトパッド定着テスター」の摺動部に装着して、通紙耐久評価を行なった。「2軸上ベルトパッド定着テスター」の駆動速度は400mm/s、定着温度は160℃、ニップ荷重は500N、ニップ幅は20mmである。評価結果を、実施例1から実施例9、比較例10から比較例14として、図16に示す。
図16中で、実施例9は、ベルト基材に電子線照射により架橋させたPTFEチューブを用い、潤滑剤は使用していないドライ潤滑系にて評価を行なった。比較例14は、「magicolor(登録商標)4750DN」の定着装置に標準装備されているPTFE系摺動部材を用いて評価を行なった。
(評価結果)
図17に、実施例1から実施例9、および、比較例10から比較例14における定着装置の耐久結果を示す。図18は、図17と同じ内容で、比較例10から比較例14の耐久結果のみを拡大して表示しており、図19は、図17と同じ内容で、実施例1から実施例9、および、比較例13、比較例14の耐久結果のみを拡大して表示したものである。
図17に、実施例1から実施例9、および、比較例10から比較例14における定着装置の耐久結果を示す。図18は、図17と同じ内容で、比較例10から比較例14の耐久結果のみを拡大して表示しており、図19は、図17と同じ内容で、実施例1から実施例9、および、比較例13、比較例14の耐久結果のみを拡大して表示したものである。
図15から図19を参照して、実施例1から実施例9は、初期から2,000K枚時までのモーター駆動トルクが0.18から0.75Nmの範囲で安定して推移しており、耐久時のモーター駆動トルク変化が小さく、高い長寿命性能を示した。
比較例10から比較例12は、初期のトルクが高く耐久が進むにつれてモーター駆動トルクが上昇した。比較例13、および、比較例14は、初期トルクは低いものの耐久が進むにつれてモーター駆動トルクが急上昇した。比較例10から比較例14は、異音が発生し、評価途中(1,000K枚前後)で定着ローラーが破損したたため、定着ローラーを交換して評価を継続させた。
摺動部材No.1からNo.8を搭載した実施例1から9は、摺動部材R1からR4およびPTFE系を搭載した比較例10から14に対し、2倍以上の長寿命性能が確認された。
図15から図19に示す評価結果から、摺動部材のAsを0.5以下とし、表面粗さRaが0.1以下となる高硬度膜の凸部への形成が、定着装置の高ライフ化に効果的であることが確認できた。
(実施例)
以下、実施例1および実施例2として、上記実施の形態における「As」の決定プロセスについて説明する。なお、各実施例の説明中において、「As」は、直接接触面積比A/Sを表す。「A」は接触面積(mm2)を表す。「S」はニップ部投影面積を表し、各実施例では25mm2である。「接触比」は、一凸あたりの直接接触する面の直径比を表す。「R」は、一凸の直接接触する面の平均直径を表す。「A/一凸」は、一凸の直接接触する面面積を表す。「接触面積」は、25mm2あたりの直接接触面積を表す。
以下、実施例1および実施例2として、上記実施の形態における「As」の決定プロセスについて説明する。なお、各実施例の説明中において、「As」は、直接接触面積比A/Sを表す。「A」は接触面積(mm2)を表す。「S」はニップ部投影面積を表し、各実施例では25mm2である。「接触比」は、一凸あたりの直接接触する面の直径比を表す。「R」は、一凸の直接接触する面の平均直径を表す。「A/一凸」は、一凸の直接接触する面面積を表す。「接触面積」は、25mm2あたりの直接接触面積を表す。
(実施例1)
図20から図26を参照して、実施例1について説明する。図20は実施例1の評価に用いた凸部の配列を示す平面図、図21は、実施例1の評価に用いた凸部の配列を示す側面図、図22は、摺動部材における入口側から出口側でのニップ荷重を示す図、図23から図26は、凸部の直径が、400μm、500μm、600μm、1000μmの場合の「As」を示す図である。
図20から図26を参照して、実施例1について説明する。図20は実施例1の評価に用いた凸部の配列を示す平面図、図21は、実施例1の評価に用いた凸部の配列を示す側面図、図22は、摺動部材における入口側から出口側でのニップ荷重を示す図、図23から図26は、凸部の直径が、400μm、500μm、600μm、1000μmの場合の「As」を示す図である。
図20および図21を参照して、実施例1では、基材121の大きさ(ニップ部投影面積)は(W1×W1)は、5mm×5mm(25mm2)である。凸部122は千鳥格子状に配置されている。凸部122の配置ピッチPは、凸部の直径Dに応じて、隣接する凸部の間に形成される凹部に定着ローラーの内面が接触しない凸部の最小構成となるように設定されている。図22に示すように、摺動部材における入口側から出口側でのニップ荷重は、出口側の近傍でピーク値を持つ。
図23を参照して、凸部122の直径Dが、400μmの場合には、「As」は、0.023〜0.392の値となる。
図24を参照して、凸部122の直径Dが、500μmの場合には、「As」は、0.025〜0.393の値となる。
図25を参照して、凸部122の直径Dが、600μmの場合には、「As」は、0.023〜0.362の値となる。
図26を参照して、凸部122の直径Dが、1000μmの場合には、「As」は、0.493〜0.770の値となる。
以上の結果から、図20に示す凸部122の配置を採用する場合には、「As」の数値範囲が0.5以下となる、凸部122の直径Dが、400μmから600μmが好ましいと言える。
(実施例2)
図27から図31を参照して、実施例2について説明する。図27は実施例2の評価に用いた凸部の配列を示す平面図、図28は、実施例2の評価に用いた凸部の配列を示す側面図、図29から図31は、凸部の直径が、400μm、500μm、600μmの場合における、「As」を求めたものである。
図27から図31を参照して、実施例2について説明する。図27は実施例2の評価に用いた凸部の配列を示す平面図、図28は、実施例2の評価に用いた凸部の配列を示す側面図、図29から図31は、凸部の直径が、400μm、500μm、600μmの場合における、「As」を求めたものである。
図27および図28を参照して、実施例2では、基材121の大きさ(ニップ部投影面積)は(W1×W1)は、5mm×5mm(25mm2)である。凸部122は行列状に規則正しく配置されている。凸部122の配置ピッチPは、凸部の直径Dに応じて、隣接する凸部の間に形成される凹部に定着ローラーの内面が接触しない凸部の最小構成となるように設定されている。
図29を参照して、凸部122の直径Dが、400μmの場合には、「As」は、0.045〜0.724の値となる。
図30を参照して、凸部122の直径Dが、500μmの場合には、「As」は、0.049〜0.785の値となる。
図31を参照して、凸部122の直径Dが、600μmの場合には、「As」は、0.071〜1.131の値となる。
以上の結果から、図27に示す凸部122の配置を採用する場合には、「As」の数値範囲が0.5以上となるケースが散見されることから、好ましくは、図20に示す凸部122の配置パターンの方が好ましいと言える。
(実施の形態2:定着装置の他の構成)
図2に定着装置100の一例を示したが、必ずしもこの構成の定着装置100に限定されるものではない。図32から図35に他の定着装置の概略構成について説明する。図32に示す定着装置100Aは、基本的構成は、図2に示す定着装置100と同じであるが、押圧部材130の内部にさらに加熱装置140hが設けられている。
図2に定着装置100の一例を示したが、必ずしもこの構成の定着装置100に限定されるものではない。図32から図35に他の定着装置の概略構成について説明する。図32に示す定着装置100Aは、基本的構成は、図2に示す定着装置100と同じであるが、押圧部材130の内部にさらに加熱装置140hが設けられている。
図33に示す定着装置100Bは、円環状の軌道を有する定着ベルト150の内部に摺動部材120が配置されている。
図34に示す定着装置100Cは、円環状の軌道を有する定着ベルト150の内部に摺動部材120が配置されている。押圧部材130の内部にさらに加熱装置140hが設けられ、摺動部材120が押圧部材130を介して加熱装置140hにより加熱されている。
図35に示す定着装置100Dは、円環状の軌道を有する定着ベルト150の内部に摺動部材120が配置されている。摺動部材120の内部に、加熱装置120hが設けられている。
図36に示す定着装置100Eの基本的構成は、図2に示す定着装置100と同じであるが、摺動部材120の内部に、加熱装置120hが設けられている。
以上、上記各実施の形態における摺動部材、定着装置、画像形成装置、および、摺動部材の製造方法によれば、高圧、高速仕様の定着装置の長時間使用においても、駆動モーターの駆動トルクの上昇を抑制し、摺動部材の寿命の向上を図ることを可能とする。また、小型化、軽量、省エネ性、低コスト化などの達成への寄与も期待できる。
さらに、摺動部の近傍に熱源を有する定着装置において、高い熱伝導性および均熱性を有することにより、省エネ性の向上、ベルト端部破損の抑制により、長時間使用においても性能劣化を少なくすることを可能とする。
今回開示された各実施の形態および各実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 操作パネル、2 スキャナー部、6 プリントエンジン部、8 排紙トレイ、9 給紙トレイ、10 画像形成装置、100,100A,100B,100C,100D,100E 定着装置、110 定着ローラー、120 摺動部材、120h,140h 加熱装置、121 基材、122 凸部、123 加熱部材、130 押圧部材、140 加熱ローラー、150 定着ベルト、150a 基材ベルト、150b 離型層、150c 弾性層。
Claims (15)
- 無限軌道を有する定着ベルトの内部に配置されて、前記定着ベルトの内面をローラーに向けて押圧する押圧部材と、前記定着ベルトと前記押圧部材との間に配置される摺動部材であって、
当該摺動部材は、金属プレートを含み、
前記金属プレートの表面には多数の凸部を有し、
前記凸部は、前記定着ベルトが前記金属プレートに向けて前記押圧部材により押圧された際に、前記定着ベルトの内面が、隣接する前記凸部の間に露出する前記金属プレートの表面に接触しない間隔で配置され、
前記定着ベルトの内面と、前記金属プレートの表面に設けられた前記凸部との直接接触面積比が、0.5以下である、摺動部材。 - 少なくとも前記凸部の表面粗さRaが、0.1μm以下の鏡面である、請求項1に記載の摺動部材。
- 少なくとも前記突起部には、前記定着ベルトの内表面より硬度の高い高硬度膜が被覆されている、請求項1または請求項2に記載の摺動部材。
- 前記高硬度膜は、表面粗さRaが、0.2μm以下の鏡面である、請求項3に記載の摺動部材。
- 前記高硬度膜は、ダイヤモンドライクカーボン膜である、請求項3または請求項4に記載の摺動部材。
- 前記凸部は、半球状である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の摺動部材。
- 前記金属プレートの前記定着ベルト搬送方向の入口側およびまたは出口側がR形状を有する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の摺動部材。
- 前記金属プレートは、前記定着ベルト側にR状に突き出た形状である、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の摺動部材。
- 前記金属プレートは、アルミニウム、または、アルミニウム合金である、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の摺動部材。
- 前記アルミニウム、または、前記アルミニウム合金プレートは、ホットチャンバー法によって得られたものである、請求項9に記載の摺動部材。
- ローラーと、
無限軌道を有する定着ベルトと、
前記定着ベルトの内部に配置され、前記定着ベルトの内面を前記ローラーに向けて押圧する押圧部材と、
前記定着ベルトと前記押圧部材との間に配置される請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の摺動部材と、
を備える、定着装置。 - 前記定着ベルトは、ベルト基材を含み、
前記ベルト基材は、電子線照射により架橋されたフッ素樹脂である、請求項11に記載の定着装置。 - 請求項11または請求項12に記載の定着装置を備える、画像形成装置。
- 請求項1に記載の摺動部材の製造方法であって、
前記金属プレートを製造する工程は、前記凸部を作製するための凹部を有する金型を用いて、ホットチャンバー法により作製される工程を含む、摺動部材の製造方法。 - 前記金属プレートを製造する工程は、
さらに、前記金属プレートの表面を研磨工程にて鏡面仕上げを施す工程と、
その後、高硬度膜を成膜する工程と、
を含む、摺動部材の製造方法。
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-
2016
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