以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
なお、以下で説明する「Lab(Lab値)」は、例えばCIELAB(CIE 1976 L*a*b*)色空間(の値)を意味する。以下では説明の便宜のため、「L*a*b*」を単に「Lab」と表す。
図1〜図28は、本発明の撮像ユニット、測色装置、画像形成装置、測色システムおよび測色方法の第1実施例を示す図であり、図1は、本発明の撮像ユニット、測色装置、画像形成装置、測色システムおよび測色方法の第1実施例を適用した画像形成装置1の概略斜視図である。
図1において、画像形成装置1は、本体筐体2が、本体フレーム3上に配設されている。本体筐体2内には、図1に両矢印Aで示す主走査方向に主ガイドロッド4と副ガイドロッド5が張り渡されている。主ガイドロッド4は、キャリッジ6を移動可能に支持している。キャリッジ6には、副ガイドロッド5に係合してキャリッジ6の姿勢を安定化させる連結片6aが設けられている。
画像形成装置1は、主ガイドロッド4に沿って無端ベルト状のタイミングベルト7が配設されている。タイミングベルト7は、駆動プーリ8と従動プーリ9との間に張り渡されている。駆動プーリ8は、主走査モータ10によって回転駆動される。従動プーリ9は、タイミングベルト7に対して所定の張りを与える状態で配設されている。駆動プーリ8は、主走査モータ10によって回転駆動されることで、その回転方向に応じて、タイミングベルト7を主走査方向に回転移動させる。
キャリッジ6は、タイミングベルト7に連結されており、タイミングベルト7が駆動プーリ8によって主走査方向に回転移動されることで、主ガイドロッド4に沿って主走査方向に往復移動する。
画像形成装置1は、本体筐体2内の主走査方向両端部位置に、カートリッジ部11と維持機構部12が収納されている。カートリッジ部11は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各インクをそれぞれ収納するカートリッジが、交換可能に収納されている。カートリッジ部11の各カートリッジは、キャリッジ6が搭載する記録ヘッド20の対応する色の記録ヘッド20y、20m、20c、20k(図2参照)と、図示しないパイプで連結されている。各カートリッジは、パイプを通して対応する記録ヘッド20y、20m、20c、20kに対してインクを供給する。なお、以下の説明において、記録ヘッド20y、20m、20c、20kを総称するときには、記録ヘッド20という。
画像形成装置1は、後述するように、キャリッジ6を主走査方向に移動させながら、プラテン14(図2参照)上を、主走査方向と直交する副走査方向(図1の矢印B方向)に間欠的に搬送される記録媒体Pにインクを吐出することで、記録媒体Pに画像を記録出力する。
すなわち、本実施例の画像形成装置1は、記録媒体Pを副走査方向に間欠的に搬送し、記録媒体Pの副走査方向の搬送が停止している間に、キャリッジ6を主走査方向に移動させながら、キャリッジ6に搭載された記録ヘッド20のノズル列からプラテン14上の記録媒体P上にインクを吐出して、記録媒体Pに画像を形成する。
維持機構部12は、記録ヘッド20の吐出面の清掃、キャッピング、不要なインクの吐出等を行って、記録ヘッド20からの不要なインクの排出や記録ヘッド20の信頼性の維持を図っている。
画像形成装置1は、記録媒体Pの搬送部分を開閉可能に、カバー13が設けられている。画像形成装置1のメンテナンス時やジャム発生時に、カバー13を開けることで、本体筐体2内部のメンテナンス作業やジャム記録媒体Pの除去等の作業を行うことができる。
キャリッジ6は、図2に示すように、記録ヘッド20y、20m、20c、20kを搭載している。記録ヘッド20y、20m、20c、20kは、それぞれ上記カートリッジ部11の対応する色のカートリッジにパイプで連結されて、それぞれ対応する色のインクを、対向する記録媒体Pに吐出する。すなわち、記録ヘッド20yは、イエロー(Y)インクを、記録ヘッド20mは、マゼンタ(M)インクを、記録ヘッド20cは、シアン(C)インクを、記録ヘッド20kは、ブラック(K)インクを、それぞれ吐出する。
記録ヘッド20は、その吐出面(ノズル面)が、図1の下方(記録媒体P側)に向くように、キャリッジ6に搭載されており、記録媒体Pにインクを吐出する。
画像形成装置1は、タイミングベルト7、すなわち、主ガイドロッド4に平行に、少なくともキャリッジ6の移動範囲に亘ってエンコーダシート15が配設されている。キャリッジ6には、エンコーダシート15を読み取るエンコーダセンサ21が取り付けられている。画像形成装置1は、エンコーダセンサ21によるエンコーダシート15の読み取り結果に基づいて主走査モータ10の駆動を制御することで、キャリッジ6の主走査方向の移動を制御する。
キャリッジ6に搭載されている記録ヘッド20は、図3に示すように、それぞれの記録ヘッド20y、20m、20c、20kが、複数のノズル列で構成されている。プラテン14上を搬送される記録媒体P上にノズル列からインクを吐出することで、記録媒体Pに画像が形成される。キャリッジ6の1回の走査で記録媒体Pに形成できる画像の幅を広く確保するため、画像形成装置1は、キャリッジ6に、上流側の記録ヘッド20と下流側の記録ヘッド20とを搭載している。また、黒の印字速度を向上させるために、カラーのインクを吐出する記録ヘッド20y、20m、20cの2倍の数の記録ヘッド20kがキャリッジ6に搭載されている。さらに、記録ヘッド20y、20mは、キャリッジ6の往復動作で色の重ね順を合わせて、往路と復路とで色が変わらないようにするために、主走査方向に分割されて隣接する状態で配置されている。記録ヘッド20の各記録ヘッド20y、20m、20c、20kの配置は、図3に示す配置に限るものではない。
キャリッジ6には、図2に示したように、撮像ユニット(撮像装置)30が取り付けられている。撮像ユニット30は、後述する色調整処理時に被写体(測色対象物)を測色するために、被写体を撮像する。
撮像ユニット30は、平面図である図4、図4のA−A矢視断面図である図5、図5のB−B矢視断面図である図6及び図4のC−C矢視断面図である図7に示すように、基板31に、基板31側の面が開放されている四角の箱形状の枠体32が、締結部材33によって固定されている。基板31は、図1に示したキャリッジ6に固定されている。なお、枠体32は、四角の箱形状に限るものではなく、例えば、開口部32b、32cの形成されている底面部32aを有する円筒の箱形状や楕円筒の箱形状等であってもよい。
撮像ユニット30は、基板31の枠体32側の面であってその中央部に、イメージセンサ部34が配設されている。イメージセンサ部(センサ部)34は、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の2次元イメージセンサ35とレンズ36を備えている。
撮像ユニット30は、枠体32が、その基板31とは反対側の面部(以下、底面部という。)32aの下面が、所定の間隔dを有してプラテン14上の記録媒体Pと対向する状態で、キャリッジ6に取り付けられている。該底面部(対向面)32aには、中心線Loを中心として、主走査方向にそれぞれ略長方形状の開口部32bと開口部32cが、所定幅の正反射吸収用の底面部32aaを挟んで、形成されている。なお、この底面部32aaは、正反射光を吸収する所定の表面処理等が施されていてもよい。
間隙dは、後述するように、2次元イメージセンサ35に対する焦点距離を考慮して、小さい方が好ましい。記録媒体Pの平面性との関係から、枠体32の下面と記録媒体Pとが接触しない大きさ、例えば、1mm〜2mm程度に設定されている。
開口部32cは、後述するように、記録媒体Pに形成されている撮像対象体(被写体)である基準シートKS(図10参照)の基準色パッチKP(図10参照)及び測色調整シートCS(図5参照)の測色調整色パッチCP(図5参照)を撮像するのに用いられる。開口部32cは、少なくとも、撮像対象の画像を全て撮像可能な大きさであればよい。枠体32と撮像対象との間に間隙dがあるため、開口部32cの周辺に発生する影を考慮して、撮像対象の撮像領域の大きさよりも若干大きめの開口状態で形成されている。
開口部32bは、その記録媒体P側の面に開口部32bの周囲に沿って所定幅の凹部32dが形成されている。該凹部32dに基準チャートKCが着脱可能にセットされている。枠体32の開口部32bの凹部32dには、基準チャートKCの記録媒体P側の面を覆って、基準チャートKC該凹部32dに保持させる保持板32eが着脱可能に取り付けられている。開口部32bは、基準チャートKCと保持板32eによって塞がれた状態となっている。保持板32eは、その記録媒体P側の面が、滑らかな平坦面となっている。
基準チャートKCは、上記基準シートKSの基準色パッチKP及び色調整処理における撮像対象である測色調整シートCSの測色調整色パッチCPの撮像測色値との比較対象として、撮像ユニット30により基準色パッチKPや測色調整色パッチCPと同時に撮影される。すなわち、撮像ユニット30は、枠体32の底面部32aに設けられた開口部32cを通して枠体32の外部の基準シートKSの基準色パッチKPや測色調整シートCSの測色調整色パッチCPの撮像と同時に、枠体32の底面部32aの開口部32b周囲に形成されている凹部32dに装着されている基準チャートKC上の色パッチを、比較対象として撮像する。なお、撮像ユニット30は、2次元イメージセンサ35が画素を順次走査して画像を読み取る。このため、厳密には、基準シートKSの基準色パッチKPや測色調整シートCSの測色調整色パッチCPと基準チャートKCを同時には読み取らないが、1フレーム内に基準色パッチKPや測色調整色パッチCPと基準チャートKCの画像を取得することができることから、同時取得として表現する。
この基準チャートKCは、その枠体32内部側の面(上面)に、図8に示すように、後述する基準シートKSと同様に、測色用の複数の基準色パッチ列Pa〜Pd、ドット径計測用パターン列Pe、距離計測用ラインlk及びチャート位置特定用マーカmkが形成されている。
測色用のパッチ列Pa〜Pdは、YMCの1次色の色パッチを階調順に配列したパッチ列Paと、RGBの2次色の色パッチを階調順に配列したパッチ列Paと、グレースケールのパッチを階調順に配列したパッチ列(無彩色の階調パターン)Pcと、3次色のパッチを配列したパッチ列Pdと、がある。ドット径計測用パターン列Peは、大きさが異なる円形パターンを大きさ順に配列された幾何学形状測定用のパターン列である。
距離計測用ラインlkは、測色用のパッチ列Pa〜Pdやドット径計測用パターン列Peを囲む矩形の枠線として形成されている。チャート位置特定用マーカmkは、距離計測用ラインlkの四隅の位置に設けられていて、各パッチ位置を特定するためのマーカである。
後述する測色制御部106(図9及び図10参照)は、撮像ユニット30から取得した基準チャートKCの画像データから距離計測用ラインlkとその四隅のチャート位置特定用マーカmkを特定することで、基準チャートKCの位置及び各パターンの位置を特定する。
測色用の基準色パッチ列Pa〜Pdを構成する各パッチは、後述する基準チャートKCの基準色パッチKPと同様に、分光器BS(図11参照)を用いて、標準色空間であるLab色空間における表色値(Lab値)が予め計測されている。この表色値が、後述する測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを測色する際の基準値となる。
なお、基準チャートKCに配置されている測色用のパッチ列Pa〜Pdの構成は、図7に示す配置例に限定されるものではなく、任意のパッチ列を用いることができ、例えば、可能な限り色範囲を広く特定することのできるパッチを用いてもよいし、また、YMCKの1次色のパッチ列Paや、グレースケールのパッチ列Pcは、画像形成装置1に使用されるインクの測色値のパッチで構成されていてもよい。また、基準チャートKCのRGBの2次色のパッチ列Paは、画像形成装置1で使用されるインクで発色可能な測色値のパッチで構成されていてもよく、さらに、JapanColor等の測色値が定められた基準色票を用いてもよい。
なお、本実施例では、一般的なパッチ(色票)の形状のパッチ列を有する基準チャートを用いているが、基準チャートは、必ずしもこのようなパッチ列を有する形態でなくてもよい。基準チャートは、測色に利用可能な複数の色が、それぞれの位置を特定できるように配置された構成であればよい。
この基準チャートKCは、枠体32の底面部32aに形成されている開口部32bの記録媒体P側の面の外周に形成されている凹部32dに配設されている。このため、記録媒体P等の撮像対象と同様の焦点距離で、イメージセンサ部34の2次元イメージセンサ35によって撮像することができる。
また、基準チャートKCは、枠体32の底面部32aに形成されている開口部32bの記録媒体P側の面の外周に形成されている凹部32dに、着脱可能にセットされて、記録媒体P側の面が、該凹部32dに着脱可能に取り付けられている保持板32eで着脱可能に保持されている。このため、枠体32内に侵入したゴミ等が基準チャートKC表面に付着しても、保持板32eと基準チャートKCを取り外して、基準チャートKCを清浄に清掃した後に、再度、取り付けることができ、基準チャートKCの測定精度を向上させることができる。
再び、図4から図7に戻って、撮像ユニット30は、このイメージセンサ部34の中心を通る副走査方向の中心線Lo上であって、イメージセンサ部34の中心からそれぞれ副走査方向に所定量だけ等間隔で離れた位置の基板31に、一対の照明光源37が配設されている。照明光源37としては、LED(Light Emitting Diode)等が用いられている。この照明光源37は、中心線Lo上、すなわち、正反射吸収用の底面部32aaの真上に配設されている。この正反射吸収用の底面部32aaは、図6に示すように、照明光源37の正反射領域SAよりも広い幅に形成されている。
さらに、撮像ユニット30は、撮像領域の開口部32cと基準チャートKCの配置条件が、レンズ36の中心と照明光源37を結ぶ中心線Loに対して、略対称に配置されている。このため、2次元イメージセンサ35の撮像条件を線対称で同一にすることができ、基準チャートKCを用いた2次元イメージセンサ35の色調整処理や測色処理の精度を向上させることができる。
そして、本実施例の画像形成装置1は、図9に示すようにブロック構成されている。画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、主走査ドライバ104、記録ヘッドドライバ105、測色制御部106、紙搬送部107及び副走査ドライバ108等を備えているとともに、上述のようにキャリッジ6に搭載されている記録ヘッド20、エンコーダセンサ21及び撮像ユニット30等を備えている。
ROM102は、画像形成装置1としての基本プログラム及び色調整処理プログラム等のプログラム及び必要なシステムデータ等を記憶する。CPU101は、ROM102内のプログラムに基づいて、RAM103をワークメモリとして利用しつつ、画像形成装置1の各部を制御して、画像形成装置1としての基本処理を実行する。また、CPU101は、撮像ユニット30が撮像したRGB値に基づいて、測色制御部106での測色処理で求められた測色値に基づいて、画像形成時における色調整処理を実行する。
CPU101は、キャリッジ6及び紙搬送部107の制御においては、エンコーダセンサ21からのエンコーダ値に基づいて主走査ドライバ104の駆動を制御して、キャリッジ6の主走査方向の移動を制御する。また、CPU101は、副走査ドライバ108を介して、図示しない副走査モータや搬送ローラ等の紙搬送部107の駆動を制御する。さらに、CPU101は、記録ヘッドドライバ105を介して、記録ヘッド20によるインクの吐出タイミング及びインク吐出量を制御する。また、CPU101は、測色制御部106を介して、撮像ユニット30の照明光源37の点灯駆動を制御する。
撮像ユニット30は、上述したように、画像を記録出力する際の画像データの色を、ユーザの意図する色に正確に再現する色調整用の測色値を生成するために、後述するように、測色時に記録媒体Pに記録ヘッド20によって形成された測色調整色パッチCPを撮像して、撮像したRGB値をCPU101に出力する。なお、本実施形態では、測色制御部106を撮像ユニット30とは別個の構成としているが、測色制御部106を撮像ユニット30と一体の構成としてもよい。例えば、撮像ユニット30の基板31に、測色制御部106として機能する制御回路を実装するようにしてもよい。
そして、撮像ユニット30及び測色制御部106は、図10に示すようにブロック構成されている。撮像ユニット30は、上記照明光源37、イメージセンサ部34を備えているとともに、画像処理部110及びインターフェイス部111等を備えている。なお、本実施形態では、画像処理部110をイメージセンサ部34とは別個の構成としているが、イメージセンサ部34の2次元イメージセンサ35に画像処理部110の機能を持たせるようにしてもよい。画像処理部110は、A/D変換部112、シェーディング補正部113、ホワイトバランス補正部114、γ補正部115及び画像フォーマット変換部116を備えている。
撮像ユニット30は、イメージセンサ部34が被写体と基準チャートKCを同時に撮像したアナログのRGB画像データを画像処理部110に出力する。画像処理部110は、イメージセンサ部34から送られてくるアナログのRGB画像データに対して必要な画像処理を施して測色制御部106に出力する。
画像処理部110のA/D変換部112は、イメージセンサ部34から入力されるアナログのRGB画像データをデジタル変換してシェーディング補正部113に出力する。
シェーディング補正部113は、A/D変換部112から入力されるRGB画像データに対して、イメージセンサ部34の撮像範囲に対する照明光源37からの照明光の照度ムラに起因する画像データの誤差の補正を行って、ホワイトバランス補正部114に出力する。
ホワイトバランス補正部114は、シェーディング補正後のRGB画像データに対してホワイトバランスを補正して、γ補正部115に出力する。
γ補正部115は、ホワイトバランス補正部114から入力される画像データに対して、イメージセンサ部34の感度のリニアリティを補償するように補正して、画像フォーマット変換部116に出力する。
画像フォーマット変換部116は、γ補正後の画像データを任意のフォーマットに変換して、インターフェイス部111を介して測色制御部106に出力する。
インターフェイス部111は、測色制御部106から送られた各種設定信号、タイミング信号及び光源駆動信号を撮像ユニット30が取得し、また、撮像ユニット30から測色制御部106へ画像データを送るためのインターフェイスである。
測色制御部106は、フレームメモリ121、タイミング信号発生部122、光源駆動制御部123、演算部124及び不揮発性メモリ125を備えており、演算部124は、測色値算出部126を備えている。
フレームメモリ121は、撮像ユニット30から送られてきた画像データを一時的に記憶するメモリであり、保管した画像データを演算部124に出力する。
不揮発性メモリ125は、図11に示すように、分光器(測色装置)BSによって、基準シートKSに配列形成されている複数の基準色パッチKPの測色結果の測色値であるLab値とXYZ値のうち、少なくともいずれか(図11では、Lab値とXYZ値の双方)が、基準測色値として、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1にパッチ番号に対応して格納されている。
さらに、画像形成装置1は、基準測色値が不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に格納されている状態で、かつ、画像形成装置1の初期状態において、上記基準シートKSをプラテン14上にセットして、キャリッジ6の移動を制御して、該基準シートKSの分光器BSで読み取ったのと同じ基準色パッチKPを撮像ユニット30によって読み取る。画像形成装置1は、読み取った撮像基準RGB値を、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に、パッチ番号に対応させて、すなわち、基準測色値に対応させて格納する。また、撮像ユニット30は、基準チャートKCの各パッチを撮像してRGB値を取得して、該基準チャートKCの各パッチのRGB値を初期基準RGB値RdGdBdとして、演算部124の制御下で不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に格納している。
基準測色値と撮像基準RGB値及び初期基準RGB値RdGdBdが不揮発性メモリ125に格納されると、測色値算出部126が、不揮発性メモリ125に格納されている基準測色値のXYZ値と撮像基準RGB値の対、すなわち、同じパッチ番号のXYZ値と撮像基準RGB値の対に対して、相互に変換する基準値線形変換マトリックスを算出する。測色値算出部126は、算出した基準値線形変換マトリックスを不揮発性メモリ125に格納する。
画像形成装置1は、上記処理を初期状態で実行して、実行結果である基準測色値と撮像基準RGB値及び初期基準RGB値RdGdBdを不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に登録した後、基準値線形変換マトリックスを算出して、不揮発性メモリ125に格納する。
さらに、本実施例の画像形成装置1は、後述するように、色調整処理時に、経時変化等している記録ヘッド20によって記録媒体Pに形成された被写体としての測色調整色パッチCPと枠体32の内部に配置された基準チャートKCとをイメージセンサ部34で同時に撮像して、測色調整色パッチCP及び基準チャートKCを含む画像データを測色制御部106に出力する。測色制御部106は、撮像ユニット30から取得した色調整処理時にイメージセンサ部34が撮像した測色調整色パッチCPを、基準シートKSの基準色パッチ(以下、初期基準色パッチという。)を撮像ユニット30で読み取ったときに、同時に読み取って記憶した基準チャートKCのパッチPa〜Peの初期基準RGB値RdGdBdに変換した後に、該初期基準RGB値RdGdBdに対して、測色調整色パッチCPのうち線形性を有する部分を取り出して線形変換して測色値を求める測色処理を行なう。
すなわち、演算部124は、測色制御部106の動作を制御するとともに、測色値算出部126が、測色処理を実行して、測色処理の処理結果である測色値をCPU101に出力する。CPU101が、該測色値を用いて画像データを色調整処理して、色調整処理した画像データに基づいて記録ヘッド20を制御することで、色再現性を向上させた状態で画像形成する。
本実施例の画像形成装置1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−RW(Compact Disc Rewritable)、DVD(Digital Versatile Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本実施例の測色方法を実行する測色プログラムを読み込んでROM102または不揮発性メモリ125等に導入することで、後述する色再現性を安価にかつ安定して実現する測色方法を実行する測色装置を備えた画像形成装置1として構築されている。この測色プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の画像形成装置1は、色再現性を安価にかつ安定して実現する測色方法を実行する。
本実施例の画像形成装置1は、図11に示したように、分光器BSによって、基準シートKSに配列形成されている複数の基準色パッチの測色結果を、Lab値とXYZ値のうち、少なくともいずれかを、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1にパッチ番号に対応して基準測色値として格納されている。
また、画像形成装置1は、メモリテーブルTb1に基準測色値が不揮発性メモリ125に格納されている状態で、かつ、画像形成装置1が製造またはオバーフォール等によって初期状態であるときに、上記基準シートKSを画像形成装置1のプラテン14上にセットして、キャリッジ6の移動を制御して撮像ユニット30によって該基準シートKSの分光器BSで読み取ったのと同じ基準パッチを読み取る。同時に、画像形成装置1は、図12に示すように、枠体32の内部に配置された基準チャートKCの各パッチ(初期基準色パッチ)を撮像する。
基準シートKSの基準パッチと基準チャートKCの各パッチとが撮像ユニット30によって撮像されると、基準シートKSの基準パッチを撮像した画像データを画像処理部110で処理したRGB値である撮像基準RGB値、すなわち、デバイスに依存するデバイス依存信号を、演算部124が、図11に示したように、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に、パッチ番号に対応させて、すなわち、基準測色値に対応させて格納する。また、演算部124は、基準チャートKCの初期基準色パッチを読み取って画像処理部110で処理したRGB値である初期基準RGB値RdGdBdを、図13(a)に示すように、不揮発性メモリ125に格納する。
なお、演算部124は、撮像ユニット30が読み取った基準チャートKCの初期基準色バッチの画像データのうち、所定領域、例えば、図12に破線で示す領域(測色対象領域)毎に平均値を算出して、初期基準RGB値RdGdBdとしている。このように測色対象領域の多数の画素を平均化して初期基準RGB値RdGdBdを算出すると、ノイズの影響を低減させることができるとともに、bit分解能を向上させることができる。また、図13(b)は、初期基準RGB値RdGdBdをプロットした散布図であり、図13(a)は、初期基準RGB値RdGdBdをLab値に変換した基準Lab値Ldadbd及びXYZ値に変換した基準XYZ値xdydzdも不揮発性メモリ125に登録されている状態を示している。
基準測色値と撮像基準RGB値及び初期基準RGB値RdGdBdが不揮発性メモリ125に格納されると、測色値算出部126が、不揮発性メモリ125に格納されている基準測色値のXYZ値と撮像基準RGB値の対、すなわち、同じパッチ番号のXYZ値と撮像基準RGB値の対に対して、相互に変換する基準値線形変換マトリックスを算出する。測色値算出部126は、算出した基準値線形変換マトリックスを不揮発性メモリ125に格納する。
この状態で、外部から入力される画像データや印刷設定等に基づいて、CPU101が、キャリッジ6の主走査移動制御、紙搬送部107による記録媒体Pの搬送制御及び記録ヘッド20の駆動制御を行って、記録媒体Pを間欠的に搬送させつつ、記録ヘッド20の各記録ヘッド20y、20m、20c、20kからのインク吐出を制御して、画像を記録媒体Pに記録出力する。
このとき、記録ヘッド20y、20m、20c、20kからのインクの吐出量が、機器固有の特性や経時変化等によって変化することがある。このインクの吐出量が変化すると、ユーザが意図する画像の色とは異なった色で画像形成されることとなって、色再現性が劣化する。
そこで、画像形成装置1は、所定の色調整処理タイミングで、測色値を求めて該測色値に基づいて色調整を行なう色調整処理を実行する。
すなわち、画像形成装置1は、色調整処理タイミングになると、複数の色パッチ(測色調整色パッチ)CPを、図14に示すように、記録ヘッド20によって記録媒体Pに形成して測色調整シートCSとして記録出力する。この測色調整シートCSは、複数の測色調整用の色パッチである測色調整色パッチCPが、記録ヘッド20によって形成出力されたものである。測色調整シートCSは、画像形成装置1の色調整処理タイミングにおける出力特性、特に、記録ヘッド20の出力特性を反映した測色調整色パッチCPが形成されている。なお、測色調整色パッチCPの色パッチデータは、予め不揮発性メモリ125等に格納されている。
そして、画像形成装置1は、後述するように、この測色調整シートCSの複数の測色調整色パッチCPを撮像したRGB値を測色対象RGB値(測色用RGB値)として、この測色対象RGB値を初期基準RGB値RdGdBdに変換して、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に登録されている基準測色値のうち、該初期基準RGB値RdGdBdを変換した測色値に対して距離的に近い基準測色値(近傍基準測色値)を選択する。画像形成装置1は、測色対象RGB値を、選択した近傍基準測色値に変換する測色値を求め、該測色値に基づいて色変換を行った後の画像データに基づいて、記録ヘッド20によって画像を出力する。これにより、画像形成装置1による形成画像の色再現性を向上させる。
そこで、画像形成装置1は、図14に示すように、この測色調整シートCSがプラテン14上にセットされた状態、または、測色調整シートCSを記録した段階で排紙することなくプラテン14上に保持された状態で、このプラテン14上の測色調整シートCSの複数の測色調整色パッチCPを、キャリッジ6の移動を制御して撮像ユニット30によって撮像すると同時に、撮像ユニット30によって基準チャートKCのパッチを撮像する。測色調整シートCSの測色調整色パッチCPと基準チャートKCのパッチが撮像ユニット30によって同時に撮像されると、画像処理部110が、測色調整シートCSの測色調整色パッチCPの画像データと基準チャートKCのパッチの画像データに対して、必要な画像処理を行なった後、測色調整シートCSの測色調整色パッチCPの画像データ(RGB値)を測色対象RGB値、すなわち、デバイスに依存するデバイス依存信号として、また、基準チャートKCのパッチの画像データ(RGB値)を測色時基準RGB値RdsGdsBdsとして、測色制御部106に送る。測色制御部106は、図14に示すように、フレームメモリ121に一時保管する(ステップS11)。
測色制御部106は、演算部124の測色値算出部126が、フレームメモリ121に保管された測色対象RGB値を、後述する基準RGB間線形変換マトリックスを用いて、初期化測色対象RGB値RsGsBsに変換する(ステップS12、S13)。
測色制御部106の演算部124は、変換した初期化測色対象RGB値RsGsBsを、測色対象RGB値として(ステップS14)、後述する基本測色処理を実行して、Lab測色値を取得する(ステップS15)。
そして、本実施例の画像形成装置1は、演算部124の測色値算出部126が、上記基準RGB間線形変換マトリックスを、図15及び図16に示すようにして求める。
すなわち、演算部124の測色値算出部126は、図15に示すように、初期時に撮像ユニット30で基準シートKSの基準色パッチKPを撮像したときに同時に基準チャートKCのパッチを撮像して不揮発性メモリ125に格納されている初期基準RGB値RdGdBdと、測色時に撮像ユニット30で測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを撮像したときに、同時に、基準チャートKCのパッチを撮像して不揮発性メモリ125に格納されている測色時基準RGB値RdsGdsBdsを、不揮発性メモリ125から読み出す。測色値算出部126は、測色時基準RGB値RdsGdsBdsを初期基準RGB値RdGdBdに変換する基準RGB間線形変換マトリックスを求め、求めた基準RGB間線形変換マトリックスを不揮発性メモリ125に格納する。
すなわち、図16において、図16(a)に白抜き点で示されている点が初期基準RGB値RdGdBdをrgb空間でプロットした点であり、塗りつぶし点が、測色時基準RGB値RdsGdsBdsをrgb空間でプロットした点である。図16(a)から分かるように、測色時基準RGB値RdsGdsBdsの値が初期基準RGB値RdGdBdの値から変動している。これらのrgb空間上での変動方向は、図16(b)に矢印で示すように、概ね同じであるが、色相によってずれの方向が異なる。このように同じ基準チャートKCのパッチを撮像してもRGB値が変動する原因としては、照明光源37の経時変化、2次元イメージセンサ35の経時変化等がある。
このように、同じ基準チャートKCのパッチを撮像したときに変動している状態で、測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを撮像したときの測色対象RGB値を用いて測色値を求めると、変動分だけ測色値に誤差が発生するおそれがある。
そこで、本実施例の画像形成装置1は、初期基準RGB値RdGdBdと、測色時基準RGB値RdsGdsBdsとの間で最小2乗法等の推定法を用いて、測色時基準RGB値RdsGdsBdsを初期基準RGB値RdGdBdに変換する基準RGB間線形変換マトリックスを求める。また、画像形成装置1は、この基準RGB間線形変換マトリックスを用いて、撮像ユニット30で測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを撮像して不揮発性メモリ125に格納されている測色対象RGB値を、初期化測色対象RGB値RsGsBsに変換する。そして、画像形成装置1は、変換した初期化測色対象RGB値RsGsBsを、測色対象RGB値として、後述する基本測色処理を実行して、Lab測色値を取得する。
この基準RGB間線形変換マトリックスは、1次だけでなく、さらに高次の非線形マトリックスであってもよい。rgb空間とXYZ空間間で非線形性が高い場合には、高次のマトリックスとすることで、変換精度を向上させることができる。
そして、上記撮像ユニット30は、被写体としての基準シートKSの基準色パッチKPと測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを、底面部32aに形成されている開口部32cを通して撮像する際に、同時に、枠体32の底面部32aの開口部32cに配置されている基準シートKSのパッチを撮像する。これにより、常に、同じ位置関係で、基準シートKSのパッチを被写体としての基準シートKSの基準色パッチKPと測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを撮像することができ、安定した状態で撮像することができる。
さらに、開口部32cを通した被写体としての基準シートKSの基準色パッチKP、測色調整シートCSの測色調整色パッチCP及び基準チャートKCは、図6及び図7に示したように、照明光源37の正反射領域SAから外れる状態で配置されている。基準色パッチKP、測色調整色パッチCP及び基準チャートKCから2次元イメージセンサ35への入射光には、正反射光が含まれていない。なお、図6では、正反射領域SAが基準チャートKCの配置されている開口部32bと測色調整色パッチCP等を撮像するための開口部32cとの間の底面部32aaにのみ、正反射領域SAが存在する状態を示している。図7は、該底面部32aaで、正反射が発生している状態が示されている。
したがって、イメージセンサ部34の撮像する基準色パッチKP、測色調整色パッチCP及び基準チャートKCの画像に照明光源37の正反射光による不良画像が含まれることを防止することができ、高精度に測色することができる。
また、撮像ユニット30は、開口部32cを通して記録媒体Pの撮像面に照射する照明光と、基準チャートKCを照射する照明光とは、同一の照明光源37からの照明光であり、同じ照明条件で基準チャートKCと記録媒体Pの撮像面を同時に撮像することができる。また、照明光源37は、基準チャートKCと記録媒体Pの略中間位置である中心線Lo上に配置され、かつ、レンズ36に対して中心線Lo上において対称に2個配置されている。このため、基準チャートKCと記録媒体Pの撮像領域を略同一条件で、均一に照明することができる。
さらに、撮像ユニット30は、撮像領域の開口部32cと基準チャートKCの配置条件が、レンズ36の中心と照明光源37を結ぶ中心線Loに対して、略対称に配置されている。このため、2次元イメージセンサ35の撮像条件を線対称で同一にすることができ、基準チャートKCを用いた2次元イメージセンサ35の色調整処理や測色処理の精度を向上させることができる。
そして、画像形成装置1は、上述のようにして初期測色対象RGB値RsGsBsを求めて、測色対象RGB値とすると、図17及び図18に示すように、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に登録されている基準測色値のうち、該測色対象RGB値に変換した測色値に対して距離的に近い近傍の基準測色値(近傍基準測色値)を選択する。画像形成装置1は、測色対象RGB値を、選択した近傍基準測色値に変換する測色値を求める基本測色処理を実行し、該測色値に基づいて色変換を行った後の画像データに基づいて、記録ヘッド20によって画像を出力する。これにより、画像形成装置1による形成画像の色再現性を向上させる。
すなわち、画像形成装置1は、図17に示すように、測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを撮像して上述のように初期測色対象RGB値RsGsBsを求めて、測色対象RGB値として、不揮発性メモリ125に格納すると(ステップS21)、上記基準値線形変換マトリックスを用いて(ステップS22)、第1XYZ値に変換して(ステップS23)、不揮発性メモリ125に格納する(ステップS24)。例えば、図17では、測色値算出部126は、撮像ユニット30の測色対象RGB値(3、200、5)を、(20、80、10)の第1XYZ値(第1測色値)に変換して、不揮発性メモリ125に格納している。
測色値算出部126は、第1XYZ値を、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1を参照して、または、既知の変換式を用いて、第1Lab値(第1測色値)に変換して(ステップS25)、不揮発性メモリ125に格納する(ステップS26)。例えば、図17では、測色値算出部126は、第1XYZ値(20、80、10)を、撮像測色値である第1Lab値(75、−60、8)に変換している。
次に、測色値算出部126は、図17にLab空間で示すように、不揮発性メモリ125に格納されているメモリテーブルTb1の複数色の色パッチの基準測色値(Lab値)を検索して、該基準測色値(Lab値)のうち、Lab空間上において第1Lab値に対して距離の近い色パッチ(近傍色パッチ)の組みを選択する(ステップS27)。例えば、図17のLab空間の図では、60個の色パッチを選択してLab空間上にプロットしている図が示されている。距離の近いパッチを選択する方法としては、例えば、第1Lab値と、複数の色パッチの基準測色値(Lab値)における全点との距離を算出し、第1測色値である第1Lab値に対して距離の近い色パッチの基準Lab値(図17では、ハッチングの施されている基準Lab値)を選択する方法を適用できる。
次に、測色値算出部126は、図17に示すように、メモリテーブルTb1を参照して、選択組の第1Lab値と対になっている撮像基準RGB値、すなわち、選択組の第1Labと同じパッチ番号の撮像基準RGB値(選択RGB値)と基準XYZ値の組み合わせを選択する(ステップS28)。測色値算出部126は、選択した組み合わせ(選択組)の撮像基準RGBと基準XYZの組同士で変換するための選択RGB値線形変換マトリックスを、最小二乗法を用いて求めて、求めた選択RGB値線形変換マトリックスを不揮発性メモリ125に格納する(ステップS29)。
測色値算出部126は、測色対象である測色調整シートCSの各測色調整色パッチCPを撮像ユニット30で撮像した測色対象RGB値を、該選択RGB値線形変換マトリックスを用いて第2測色値である第2XYZ値を求める(ステップS30)。測色値算出部126は、第2XYZ値を既知の変換式を用いて第2Lab値に変換して(ステップS31)、最終的な測色値として取得する(ステップS32)。
測色値算出部126は、この求めた測色値を用いて色変換を行った画像データに基づいて画像調整し、画像調整した画像データに基づいて記録ヘッド20を駆動させて画像形成する。
すなわち、本実施例の画像形成装置1は、色調整処理タイミングにおける記録ヘッド20の出力特性を反映している測色調整シートCSの複数の測色調整色パッチCPを撮像して取得したときの測色対象RGB値を、基準値線形変換マトリックスを用いて初期状態で基準シートKSを撮像したときの第1Lab値を求める。画像形成装置1は、メモリテーブルTb1に登録されている複数色のパッチの基準Labのうち、Lab空間上において第1Lab値に対して距離の近い基準Lab値とのパッチの組みを選択して、選択した基準Lab値に対応する測色対象RGB値を、選択RGB値線形変換マトリックスを用いてLab値に変換することで、Lab測色値を求めている。そして、測色値算出部126は、この求めた測色値を用いて色変換を行った画像データに基づいて画像調整し、画像調整した画像データに基づいて記録ヘッド20を駆動させて画像形成する。
このように、本実施例の画像形成装置1は、撮像ユニット30が、被写体と対向する対向面に、該被写体を撮像するための開口部32cと該開口部32cを通して撮像される被写体と同時に撮像されて所定の色基準を提供する基準チャートKCとが所定方向に並んで設けられている所定の箱形状の枠体32と、開口部32cに対向する被写体からの反射光と基準チャートKCからの反射光を受光して該被写体と該基準チャートKCとを同時に撮像するイメージセンサ部(センサ部)34と、被写体及び基準チャートKCへの照射光の反射光のうちイメージセンサ部34に入射される反射光が正反射領域外となる位置に配設されている照明光源37と、を備えている。
したがって、枠体32内に取り付けられた照明光源37からの正反射光が該枠体32外の被写体及び該枠体32内の基準チャートKCの画像と重なってイメージセンサ部34に入射されることを防止することができ、被写体と基準チャートKCを常に安定した位置関係で撮像することができる。
また、撮像ユニット30は、その照明光源37が、正反射領域が、開口部32cを通した被写体の撮像領域と基準チャートKCの撮像領域との中間領域である底面部32aaに重なる位置に配設されている。
したがって、簡単かつ安価な構成で、照明光源37からの正反射光が該枠体32外の被写体及び該枠体32内の基準チャートKCの画像と重なってイメージセンサ部34に入射されることを防止することができ、被写体と基準チャートKCを安価にかつ常に安定した位置関係で撮像することができる。
さらに、撮像ユニット30は、照明光源37が、所定長さを有する中間領域である底面部32aaの該長さ方向の中心に対して、該長さ方向に対称の位置に一対配設されている。
したがって、照明光源37の正反射光が該枠体32外の被写体及び該枠体32内の基準チャートKCの画像と重なってイメージセンサ部34に入射されることを防止することができる。また、被写体と基準チャートKCに均等に照明光を照射することができ、被写体と基準チャートKCを高精度にかつ常に安定した位置関係で撮像することができる。
なお、上記説明においては、撮像ユニット30は、一対の照明光源37を、開口部32cを通した被写体としての基準シートKSの基準色パッチKP、測色調整シートCSの測色調整色パッチCP及び基準チャートKCが、照明光源37の正反射領域SAから外れる状態で配置することで、イメージセンサ部34の撮像する画像に照明光源37の正反射の影響を防止している。照明光源37の正反射の影響を防止する構成は、上記構成に限るものではない。例えば、図19〜図21に示す撮像ユニット50のように、正反射光を遮蔽する遮光部材51を設けてもよい。ここで、図19は、撮像ユニット50の平面図、図20は、図19の撮像ユニット50のA−A矢視断面図、図21は、図20の撮像ユニット50のB−B矢視断面図である。図19〜図21において、図4〜図7の撮像ユニット30と同様の構成部分には、同一の符号を付与して、その詳細な説明を省略する。
すなわち、イメージセンサ部34の真下であって、該イメージセンサ部34と底面部32aとの略中間位置に、遮光部材51が、イメージセンサ部34の中心を通る副走査方向の中心線Loに延在する状態で、枠体32の副走査方向の相対向する側面に亘って配設されている。この遮光部材51は、その副走査方向中心位置、すなわち、イメージセンサ部34の中心の真下位置の底面部32a側の面に、照明光源37aが取り付けられることで、照明光源37aを保持している。
遮光部材51は、図21に示すように、照明光源37aから底面部32aに向かって出射されて底面部32aで反射される正反射光のイメージセンサ部34への入射を遮光するのに必要であって、基準チャートKCからの反射光及び開口部32cを通した被写体からの反射光が、イメージセンサ部34に入射されるのを阻害することのない幅を有している。
また、撮像ユニット50は、開口部32cを閉止する状態で、該開口部32cを通した記録媒体Pと2次元イメージセンサ35との光路中に光路長変更部材52が配設されている。光路長変更部材52は、屈折率n(nは、任意の値)の透過部材が用いられている。光路長変更部材52は、図20に示すように、開口部32cよりも大きい外形形状を有し、枠体32内に配置されている。光路長変更部材52の固定位置は、枠体32の内部の開口部32cの位置に限るものではない。開口部32cと2次元イメージセンサ35との光路中であれば、例えば、枠体32の撮像面側の位置、枠体32の内側であって開口部32cから離れた位置等であってもよい。なお、屈折率nの光路長変更部材52を光が通過すると、該光は、光路長変更部材52の屈折率nに応じて光路長が延びて、画像が浮き上がった状態で2次元イメージセンサ35に入射され、この画像の浮上がり量Cは、光路長変更部材52の長さをLpとすると、以下に示す式(1)により求めることができる。
C=Lp(1−1/n)・・・(1)
また、基準チャートKC以外の撮像ユニット50の焦点面の焦点距離L、すなわち、光路長変更部材52及び開口部32cを通して撮像される記録媒体Pの表面までの焦点距離は、次式(2)により求めることができる。
L=Lc+Lp(1−1/n)・・・(2)
ここで、Lcは、レンズ36の撮像対象側の頂部と基準チャートKCとの間の距離、nは、光路長変更部材52の屈折率である。
したがって、例えば、光路長変更部材52の屈折率nを1.5とした場合、L=Lc+Lp(1−1/1.5)=Lc+Lp(1/3)となり、光路長変更部材52の長さLpの約1/3だけ光路長を長くすることができる。なお、Lp=9[mm]とすると、L=Lc+3[mm]となって、基準チャートKCの結像位置と、記録媒体Pの撮像面の焦点位置を一致させることができ、基準チャートKCと記録媒体Pの撮像面を共役関係に設定することができる。
また、基準チャートKCを照射する照明光と、光路長変更部材52及び開口部32cを通して記録媒体Pの撮像面に照射する照明光とは、同一の照明光源37aからの照明光である。このため、撮像ユニット50は、上記撮像ユニット30の場合と同様に、同じ照明条件で基準チャートKCと記録媒体Pの撮像面を同時に撮像することができる。また、照明光源37aは、基準チャートKCと記録媒体Pの略中間位置である中心線Lo上に配置され、かつ、レンズ36の真下位置に、遮光部材51に取り付けられている。このため、基準チャートKCと記録媒体Pの撮像領域を略同一条件で、均一に照明することができる。
さらに、撮像ユニット50は、撮像領域の開口部32cと基準チャートKCの配置条件が、レンズ36の中心と照明光源37aを結ぶ中心線Loに対して、略対称に配置されている。このため、2次元イメージセンサ35の撮像条件を線対称で同一にすることができ、基準チャートKCを用いた2次元イメージセンサ35の色調整処理や測色処理の精度を向上させることができる。
このように、撮像ユニット50は、照明光源37aが、イメージセンサ部34から対向面である底面部32a側へ垂直方向に所定距離離れた位置であって、該底面部32a方向に照射光を出射する状態で配設されて、該照明光源37aから出射された照明光の正反射光のイメージセンサ部34への入射を遮蔽する遮光部材51が配設されている。
したがって、照明光源37aの正反射光がイメージセンサ部34へ入射されることを確実に防止することができ、被写体と基準チャートKCを常に安定した位置関係で高精度に撮像することができる。
さらに、撮像ユニット50は、照明光源37aが、遮光部材51の底面部32a側の面に取り付けられている。
したがって、照明光源37aの正反射光がイメージセンサ部34へ入射されることを簡単な構成で確実に防止することができ、被写体と基準チャートKCを常に安価にかつ安定した位置関係で高精度に撮像することができる。
なお、この場合、撮像ユニット50は、基準チャートKCと記録媒体P等の被写体のイメージセンサ部34への焦点距離が、精度上無視できるときには、図22〜図27に示すように、光路長変更部材52を備えていなくてもよい。この場合においても、図26に示すように、照明光源37aが取り付けられている遮光部材51は、照明光源37aから底面部32aに照射される光の正反射領域SAの反射光(正反射光)がイメージセンサ部34に入射されるのに必要十分な幅を有している。
このようにすると、正反射光の撮像画像への影響をより一層安価かつ確実に防止することができる。
また、遮光部材51は、上述のように、副走査方向に枠体32の内側面間に張り渡された所定幅の板形状のものに限られない。例えば、図27に示すように、遮光部材53は、枠体32のイメージセンサ部34と底面部32aとの照明光源37aを配設する略中間位置において、枠体32内部全体を基板31と平行に閉止する平板形状に形成されているとともに、基準チャートKCからの反射光をイメージセンサ部34に入射させるのに必要十分な開口部53bと、開口部32cを通した被写体からの反射光をイメージセンサ部34に入射させるのに必要十分な開口部53cと、が形成されている。そして、遮光部材53は、開口部53bと開口部53cの間に位置する遮光部材部分であって、イメージセンサ部34の真下の位置に、照明光源37aが取り付けられている。
この遮光部材53は、枠体32と一体的に形成してもよいし、枠体32に接着、固定等の方法で、取り付けられていてもよい。
さらに、上記説明においては、測色処理を、画像形成装置1の測色制御部106が行なっているが、測色処理は、画像形成装置1内部で実行する必要はない。例えば、図28に示すように、画像形成システム(測色システム)200として、画像形成装置210が、外部装置220に接続されていて、画像形成装置210で撮像した画像データを、該外部装置220に出力し、該外部装置220が測色処理を伴う色調整処理を行って、色調整後の画像データを画像形成装置210に出力して、画像形成装置210が、外部装置220からの画像データに基づいて画像形成してもよい。
すなわち、画像形成装置210は、エンジン211、操作表示部212、I/F部213及びその他のI/F部214等を備えており、各部は、バス215により接続されている。また、外部装置220は、例えば、通常のハードウェア構成とソフトウェア構成のコンピュータ等を用いることができ、ソフトウェアとして本発明の測色処理を伴う色調整処理を実行する測色プログラムを含む色調整プログラムを導入することで、測色処理を伴う色調整処理を実行する。外部装置220は、CPU221、メモリ部222、画像処理部223、通信I/F部224及びI/F部225等を備えており、各部は、バス226により接続されている。メモリ部222は、ROM227、RAM228及びハードディスク(HDD)229等を備えている。
画像形成装置210は、I/F部213により回線230により外部装置220に接続されており、回線230は、専用線、LAN(Local Area Network)等のネットワーク、インターネット等であって、有線であっても、無線であってもよい。
画像形成装置210は、外部装置220の制御下で、外部装置220から送られてくる画像データに基づいてエンジン211で、記録媒体に画像を形成出力する。エンジン211は、インク噴射方式等で記録媒体に画像を形成し、操作表示部212は、各種操作キー及びLCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイ等を備えていて、画像形成装置210の動作に必要な各種操作が操作キーによって行われる。操作表示部212は、画像形成装置210からユーザに通知する各種情報をディスプレイに表示出力する。その他のI/F部214は、拡張ユニットの接続等に使用される。
エンジン211は、上記実施例で説明したと同様の主走査方向に移動するキャリッジを備えている。該キャリッジに、上記撮像ユニット30が取り付けられている。画像形成装置210は、外部装置220のCPU221の制御下で、外部装置220から送られてくる測色調整色パッチCPの色パッチデータに基づいて記録媒体に、該測色調整色パッチCPを形成して測色調整シートCSを生成する。画像形成装置210は、生成した測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを撮像ユニットで読み取って、I/F部213を介して外部装置220に送信する。
外部装置220は、画像形成装置210の動作制御を行う画像形成制御プログラムや本発明の測色処理を伴う色調整処理を行なう色調整プログラム及び必要なデータがハードディスク229またはROM227に格納されている。CPU221がROM227またはハードディスク229内のプログラムに基づいて画像形成装置210を制御することで、画像形成装置210としての基本処理を実行させるとともに、本発明の測色処理を伴う色調整処理を実行する。
ハードディスク229は、上記プログラムを格納するとともに、色調整処理を実行するのに必要な各種データ、特に、上記実施例で説明した基準シートKSに配列形成されている複数の基準色パッチKPの測色結果のLab値とXYZ値のうち、少なくともいずれか、該基準シートKSの基準色パッチKPを画像形成装置210の撮像ユニットで読み取ったときの撮像基準RGB値、基準値線形変換マトリックス、近傍点のテーブルと選択RGB値線形変換マトリックス、基準シートKSと同時に読み取った基準チャートKCの各色パッチの初期基準RGB値RdGdBd、測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを読み取ったときに同時に読み取った基準チャートKCの基準パッチの測色時基準RGB値RdsGdsBds及び測色時基準RGB値RdsGdsBdsを初期基準RGB値RdGdBdに変換する基準RGB間線形変換マトリックスが格納される。
通信I/F部224は、ネットワーク等の回線を介してスキャナ装置、複合装置、他の外部装置等の画像処理装置に接続されており、画像形成装置210に画像出力させる画像データを受信する。
画像処理部223は、画像データに対して画像形成装置210のエンジン211で形成出力するのに必要な各種画像処理を施す。
CPU221は、上述のように、画像形成装置210の動作を制御するとともに、測色制御部106の演算部124、特に、測色値算出部126が実行する測色処理を実行して測色値を求め、該測色値に基づいて画像データに対して色調整を施して、画像形成装置210に出力する。
なお、図28の画像形成システム200では、画像形成装置210の動作を外部装置220が制御しているが、画像形成装置210自体がCPU等のコントローラを備えて、画像形成動作自体については、該コントローラが制御を行い、測色値を求める測色処理のみ、または、測色処理を含む色調整処理についてのみ外部装置220が実行してもよい。
このように、少なくとも画像形成装置210の外部装置で測色処理または測色処理を含む色調整処理を実行すると、安価な画像形成装置210においても安価にかつ適切に色再現性を向上させることができる。