以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の第1実施形態を図1〜図14に基づいて説明する。
本実施形態の暖房機能付き(但し冷房機能も付属している)ヒートポンプ給湯機1の主要なユニットの外観構成を図1に示す。図1において、本実施形態のヒートポンプ給湯機1は、貯湯タンク2(後述の図2等参照)を備えた貯湯ユニット100と、室外機としてのヒートポンプユニット300と、室内機としてのエアコンユニット200とを有している。
本実施形態のヒートポンプ給湯機1全体の回路構成を図2に示す。図2に示すように、前記貯湯ユニット100は、冷媒を流通させる冷媒通路としての冷媒側の流路15bと水通路としての水側の流路15aとを有し、高温高圧の冷媒と貯湯タンク2内の湯水とを熱交換する凝縮器として機能する水冷媒熱交換器15と、沸上ポンプ19と、を備えている。すなわち、前記水冷媒熱交換器15の前記水側の流路15aと前記貯湯タンク2とが湯水配管としての加熱往き管5及び加熱戻り管6によって環状に接続され、前記貯湯ユニット100内で湯水循環回路としての加熱循環回路4が形成されている。
加熱往き管5は、前記貯湯タンク2の下部に接続され、加熱戻り管6は、前記貯湯タンク2の上部に接続されている。前記沸上ポンプ19は、前記加熱往き管5の途中に設けられ、前記水側の流路15aを介し前記加熱往き管5からの湯水を前記加熱戻り管6へ流通させつつ、貯湯タンク2の湯水を循環させる。なお、前記加熱往き管5には、前記水冷媒熱交換器15の前記水側の流路15aに流入する入水温度T1(湯水の入口温度)を検出する入水温度センサ23が設けられ、前記加熱戻り管6には、前記水側の流路15aから前記貯湯タンク2に向かって流出する沸上温度Tbを検出する沸上温度センサ24が設けられている。
貯湯タンク2の側面には、貯湯タンク2内の湯水の温度(貯湯温度)をそれぞれ検出し前記湯水の加熱状況(言い替えれば貯湯状況)を検知するための貯湯温度センサ12が上下にわたり複数設けられている。前記貯湯タンク2の下部にはまた、貯湯タンク2に水を給水する給水管7が接続され、前記貯湯タンク2の上部にはまた、貯湯されている高温水を出湯する出湯管8が接続され、給水管7からは給水バイパス管9が分岐して設けられている。さらに、出湯管8からの湯と給水バイパス管9からの水とを混合して給湯設定温度の湯とする混合弁10と、混合弁10で混合後の給湯温度を検出する給湯温度センサ11と、が設けられている。
一方、前記水冷媒熱交換器15における熱交換(詳細は後述)によって前記貯湯タンク2内の湯水を加熱可能な冷媒循環回路30が、前記ヒートポンプユニット300、前記貯湯ユニット100、及び前記エアコンユニット200にわたって設けられている。前記冷媒循環回路30は、前記ヒートポンプユニット300内に配置されたヒーポン回路部30Aと、前記貯湯ユニット100内に配置された貯湯回路部30Bと、前記エアコンユニット200内に配置されたエアコン回路部30Cとを含んでいる。
前記ヒーポン回路部30Aは、前記冷媒の流路となる冷媒配管18を備えており、冷媒を圧縮する圧縮機14と、四方弁31と、前記冷媒と外気との熱交換により凝縮器又は蒸発器として選択的に機能(詳細は後述)するヒートポンプ熱交換器としての室外熱交換器17とが、前記冷媒配管18によって接続されている。なお、室外熱交換器17には、前記室外熱交換器17に外気を通じるための室外ファン67が設けられている。
詳細には、前記冷媒配管18は、圧縮機14の吐出側となる配管部18aと、沸上運転時(後述の図6参照)等において前記四方弁31を介し前記配管部18aに接続される配管部18bとを含んでいる。前記配管部18bは、ヒートポンプユニット300外への出口となる接続口68aにおいて、前記ヒートポンプユニット300と前記貯湯ユニット100とを接続する連通管路101に連通している。
また前記冷媒配管18は、前記圧縮機14の吸入側となる配管部18cと、沸上運転時(後述の図6参照)等において前記室外熱交換器17の圧縮機14側(言い替えれば前記沸上運転時等における出口側、以下同様。後述の図6等参照)を前記四方弁31を介し前記配管部18cに接続する配管部18dと、前記室外熱交換器17の反圧縮機14側(言い替えれば前記沸上運転時等における入口側、以下同様。後述の図6等参照)に接続される配管部18eとを含んでいる。前記配管部18eは膨張弁113を備えており、前記接続口68aとは別の接続口68bにおいて、前記ヒートポンプユニット300と前記貯湯ユニット100とを接続する連通管路102に連通している。
前記四方弁31は4つのポートを備える弁であり、前記冷媒配管18のうち(冷媒主経路を構成する)前記配管部18b,18d用の2つのポートのそれぞれに対して、残りの前記配管部18a,18c用の2つのポートのいずれを接続するかを切り替える。前記配管部18a,18c用の2つのポートどうしは、ループ状に配置された前記配管部18a,18cからなる冷媒副経路によって接続されており、この冷媒副経路上に前記圧縮機14が設けられている。例えば四方弁31は、後述する図6の状態に切り替えられた場合(以下適宜、「暖房側への切替」等と称する)は、前記圧縮機14の吐出側である前記配管部18aを前記水冷媒熱交換器15の入口側である前記配管部18bに連通させ、後述する図8の状態に切り替えられた場合(以下適宜、「冷房側への切替」等と称する)は、前記配管部18aを前記室外熱交換器17側である前記配管部18dに連通させる。
なお、前記の圧縮機14、四方弁31、室外熱交換器17、室外ファン67、及び膨張弁113等は、前記ヒートポンプユニット300の筐体に内包されている(図1参照)。
前記貯湯回路部30Bは、前記冷媒の流路となる冷媒配管25を備えており、前記水冷媒熱交換器15の前記冷媒側の流路15bが、前記冷媒配管25に接続されている。
詳細には、前記冷媒配管25は、貯湯ユニット100外への出口となる接続口75aにおいて前記連通管路101に連通する配管部25aと、前記配管部25aの端部D(以下、単に、「分岐点D」という)から分岐して接続されるとともに、反配管部25a側が前記水冷媒熱交換器15(詳細には前記冷媒側の流路15b)の入口側に接続される配管部25bと、前記水冷媒熱交換器15(詳細には前記冷媒側の流路15b)の出口側に接続される配管部25cとを含んでいる。前記配管部25bは、前記四方弁31と前記水冷媒熱交換器15の入口側である前記配管部25bを開閉可能な第1二方弁としての二方弁121を備えており、前記配管部25cは第1減圧器として全閉機能付きの膨張弁111を備えている。
また前記冷媒配管25は、前記配管部25b同様、前記配管部25aの前記分岐点Dから分岐して接続される配管部25d1と、この配管部25d1の反分岐点D側に接続される配管部25d2とを含んでいる。前記配管部25d2の反配管部25a側は、貯湯ユニット100外への出口となる接続口95aにおいて、前記貯湯ユニット100と前記エアコンユニット200とを接続する連通管路104に連通している。
さらに前記冷媒配管25は、前記配管部25cの反水冷媒熱交換器15側の端部E(以下、単に「合流点E」という。合流挙動については後述)から分岐して接続される配管部25e2と、この配管部25e2の反合流点E側に接続されるとともに、反配管部25e2側が、前記接続口75aとは別の接続口75bにおいて前記連通管路102に連通する配管部25e1と、前記配管部25dと前記配管部25e2とを連通する配管部25fと、前記配管部25e2同様に前記配管部25cの前記合流点Eから分岐して接続されるとともに、貯湯ユニット100外への出口となる接続口95bにおいて、前記貯湯ユニット100と前記エアコンユニット200とを接続する連通管路103に連通する配管部25gとを含んでいる。前記配管部25d1は、配管部25d1を開閉可能な第2二方弁としての二方弁122を備えており、前記配管部25e2は、配管部25e2を開閉可能な二方弁123を備えており、前記配管部25fは、配管部25fを開閉可能な二方弁124を備えており、前記配管部25gは第2減圧器として全閉機能付きの膨張弁112を備えている。この結果、前記二方弁123は、前記膨張弁113と前記膨張弁112との間の管路を開閉する機能を備え、前記膨張弁111は、前記水冷媒熱交換器15の出口側と前記膨張弁112との間の管路を開閉する機能を備える。また、前記連通管路101は、前記二方弁121,122と前記四方弁31とを連通する機能を備え、前記連通管路102は、前記二方弁123,124と前記膨張弁113とを連通する機能を備える。言い換えれば、貯湯ユニット100とヒートポンプユニット300とは、前記連通管路101,102によって接続されている(図1も参照)。
なお、前記の二方弁121,122,123,124、膨張弁111,112、水冷媒熱交換器15、及び貯湯タンク2等は、前記貯湯ユニット100の筐体に内包されている(図1参照)。なお、前記膨張弁112は後述の配管部26b(すなわち前記エアコンユニット200の筐体内)に設けても良い。
前記エアコン回路部30Cは、前記冷媒の流路となる冷媒配管26を備えており、前記冷媒と室内空気との熱交換により凝縮器又は蒸発器として選択的に機能(詳細は後述)する室内熱交換器27が前記冷媒配管26に接続されている。なお、室内熱交換器27には、前記室内熱交換器27に室内空気を通じるための室内ファン77(冷房運転時及び沸上・冷房運転時において冷却ファンとして機能)が設けられている。
詳細には、前記冷媒配管26は、エアコンユニット200外への出口となる接続口76aにおいて前記連通管路104に連通するとともに、反連通管路104側が前記室内熱交換器27の前記接続口76a側(言い替えれば暖房運転時等における入口側、以下同様。後述の図10等参照)に接続される配管部26aと、前記接続口76aとは別の接続口76bにおいて前記連通管路103に連通するとともに、反連通管路103側が前記室内熱交換器27の前記接続口76b側(言い替えれば暖房運転時等における出口側、以下同様。後述の図10等参照)に接続される配管部26bとを含んでいる。この結果、前記二方弁122は、前記室内熱交換器27の反膨張弁112側である前記配管部26aと圧縮機14との間の管路を開閉する機能を備え、前記二方弁124は、前記室内熱交換器27の反膨張弁112側である前記配管部26aと前記膨張弁113との間の管路を開閉する機能を備える。また、前記連通管路103は、前記膨張弁112と前記室内熱交換器27の前記膨張弁112側とを連通する機能を備え、前記連通管路104は、前記二方弁122,124と前記室内熱交換器27の反膨張弁112側とを連通する機能を備える。言い換えれば、貯湯ユニット100とエアコンユニット200とは、前記連通管路103,104によって接続されている(図1も参照)。
また、前記の室内熱交換器27及び室内ファン77等は、前記エアコンユニット200の筐体に内包されている(図1参照)。
なお、以上の説明において前記したように、前記配管部18b及び配管部25aが前記圧縮機14の吐出側に接続される吐出側管路として機能し、配管部25b,25cが前記吐出側管路に対し所定の分岐点Dから分岐して接続され、前記水冷媒熱交換器15及び膨張弁111が配設された第1管路として機能し、配管部25d1,25d2,26a,26b,25gが、前記吐出側管路に対し前記分岐点Dから分岐して接続され、前記室内熱交換器27及び膨張弁112が配設された第2管路として機能し、配管部25e2,25e1,18eが、前記水冷媒熱交換器15より下流側の前記第1管路と前記室内熱交換器27より下流側の前記第2管路とが合流する合流点Eを、前記室外熱交換器17の入口側に接続する第3管路として機能し、配管部18d,18cが、前記室外熱交換器17の出口側を前記圧縮機14の吸入側に接続する吸入側管路として機能する
前記冷媒循環回路30内には、冷媒として例えばR32冷媒が用いられ、ヒートポンプサイクルを構成している。なお、冷媒はHFC冷媒やHFO冷媒、二酸化炭素冷媒であってもよい。そして、前記ヒーポン回路部30Aの前記冷媒配管18において、前記配管部18aには、圧縮機14から吐出される冷媒吐出温度Toutを検出する吐出温度センサ20が設けられ、前記配管部18cには、圧縮機14へ吸入される冷媒の冷媒吸入温度Tinを検出する吸入温度センサ32が設けられている。なお、前記室外熱交換器17の空気入口側には、外気温度Tairを検出する外気温度センサ22が設けられ、かつ室外熱交換器17内には、ヒーポン熱交温度Tex(蒸発器として作用している時の蒸発冷媒温度)を検出する熱交温度センサ35が設けられている。これらのセンサ20,32,22,35の検出結果は、ヒートポンプユニット300に設けられたヒーポン制御部410に入力され、さらに適宜、貯湯ユニット100に設けられた貯湯制御部420やエアコンユニット200に設けられたエアコン制御部430へも入力される(ヒーポン制御部410を介し受信しても良いし、センサ20,32,22から直接受信してもよい)。
また、前記貯湯回路部30Bの前記冷媒配管25において、前記配管部25cには、前記冷媒側の流路15bから流出し前記膨張弁111に向かう冷媒流出温度T2を検出する流出温度センサ21が設けられている。なお、前記水冷媒熱交換器15には、前記冷媒が前記冷媒側の流路15bにおいて凝縮する際の冷媒凝縮温度を検出する凝縮温度センサ33が設けられている。これらのセンサ21,33の検出結果は、貯湯ユニット100に設けられた貯湯制御部420に入力され、さらに適宜、ヒートポンプユニット300に設けられた前記ヒーポン制御部410やエアコンユニット200に設けられた前記エアコン制御部430へも入力される(貯湯制御部420を介し受信しても良いし、センサ21,33から直接受信してもよい)。
また、前記エアコン回路部30Cの前記冷媒配管26に関して、前記室内熱交換器27には、空調対象空間の室内温度Trを検出する室内温度センサ34が設けられている。このセンサ34の検出結果は、エアコンユニット200に設けられたエアコン制御部430に入力され、さらに適宜、ヒートポンプユニット300に設けられた前記ヒーポン制御部410や貯湯ユニット100に設けられた前記貯湯制御部420へも入力される(エアコン制御部430を介し受信しても良いし、センサ34から直接受信してもよい)。
そして、前記貯湯ユニット100の前記貯湯制御部420、前記ヒートポンプユニット300の前記ヒーポン制御部410、及び、前記エアコンユニット200の前記エアコン制御部430は、互いに通信可能に接続されており、前記各センサの検出結果に基づき、相互に連携しつつ、前記貯湯ユニット100、前記ヒートポンプユニット300、前記エアコンユニット200内の各機器・アクチュエータの動作を制御する。特に、前記二方弁121,122,123,124及び前記膨張弁111,112,113の開閉動作や開度を制御し、冷媒の流れる経路を切り替えることにより、貯湯タンク2内の湯水を加熱して(加熱された湯水の供給)沸上を行う沸上運転、前記空調対象空間の室内冷房を行う冷房運転、前記空調対象空間の室内暖房を行う暖房運転、前記沸上と前記冷房とを並行して行う沸上・冷房運転、及び、前記沸上と前記暖房とを並行して行う沸上・暖房運転を選択的に実行することができる。
このとき、前記エアコンユニット200は、リモコン等の適宜の操作部60(以下単に「リモコン60」と称する)によって操作可能である。すなわち、リモコン60は、例えば前記エアコン制御部430に対し情報送受信可能に接続されており、ユーザは、このリモコン60を適宜に手動操作することにより、前記の沸上運転、冷房運転、及び、暖房運転のいずれの運転を行うかを指示することができる。なお、沸上・冷房運転(又は沸上・暖房運転)については、ユーザによりリモコン60を介し前記冷房運転(又は暖房運転)の指示があったとき、貯湯タンク2内における貯湯状況(未加熱水の量など)に応じて、適宜、自動的に沸上・冷房運転(又は沸上・暖房運転)に切り替えられるものである。さらに、このリモコン60における適宜の操作により、前記沸上運転時における沸上モード(例えば強力沸上モード、通常沸上モード、等)や、前記冷房運転又は暖房運転時におけるエアコン運転モード(例えば強力モード、通常モード、節電モード等)やエアコン設定温度Tcon等も指示することができる。これらのリモコン60からの指示内容は、エアコンユニット200に設けられた前記エアコン制御部430に入力され、さらに適宜、ヒートポンプユニット300に設けられた前記ヒーポン制御部410や貯湯ユニット100に設けられた前記貯湯制御部420へも入力される(エアコン制御部430を介し受信しても良いし、リモコン60から直接受信してもよい)。
次に、前記ヒートポンプユニット300に備えられた前記ヒーポン制御部410について説明する。ヒーポン制御部410は、詳細な図示を省略するが、各種のデータやプログラムを記憶する記憶部と、演算・制御処理を行う制御部とを備えている。このヒーポン制御部410の機能的構成を図3により説明する。
図3に示すように、前記ヒーポン制御部410は、四方弁制御部410Aと、圧縮機制御部410Bと、膨張弁制御部410Cと、室外ファン制御部410Dとを機能的に備えている。
四方弁制御部410Aには、前記リモコン60により指示された、いずれの運転を行うかの運転指示(沸上運転、冷房運転、暖房運転)と、前記貯湯温度センサ12により検出された前記貯湯温度とが入力される。四方弁制御部410Aは、前記運転指示と、前記貯湯温度に対応した前記湯水の加熱状況(貯湯状況)とに応じて、実際にヒートポンプ給湯機1をどのような運転態様(沸上運転、冷房運転、沸上・冷房運転、暖房運転、沸上・暖房運転)で運転するかを決定し、対応する運転情報を、前記圧縮機制御部410B、膨張弁制御部410C、室外ファン制御部410D、及び、貯湯制御部420、エアコン制御部430に出力する。また四方弁制御部410Aは、上記決定された運転態様に対応する開閉信号を四方弁31へ出力し、四方弁31を切り替える(詳細な制御内容は後述)。
圧縮機制御部410Bには、前記外気温度センサ22により検出された前記外気温度Tairと、前記室内温度センサ34により検出された前記室内温度Trと、前記リモコン60により設定された前記エアコン設定温度Tcon及び前記沸上モードとが入力される(直接入力される場合のほか、前記の間接的な入力も含む。以下同様)。圧縮機制御部410Bは、前記のようにして四方弁制御部410Aから入力される(沸上運転、冷房運転、沸上・冷房運転、暖房運転、及び沸上・暖房運転のいずれの運転が行われるかを表す)前記運転情報に応じて、入力された前記の温度及び設定のうち少なくとも1つに基づき、前記圧縮機14の回転数を制御する(詳細な制御内容は後述)。なおこのときの圧縮機14の回転数(制御値としての目標回転数)は、後述の貯湯制御部420の膨張弁制御部420Bにも出力される(図示省略)。
膨張弁制御部410Cには、前記吐出温度センサ20により検出された前記冷媒吐出温度Toutと、前記流出温度センサ21により検出された前記冷媒流出温度T2と、前記吸入温度センサ32により検出された前記冷媒吸入温度Tinと、前記熱交温度センサ35により検出された前記ヒーポン熱交温度Texとが入力される。膨張弁制御部410Cは、前記四方弁制御部410Aからの前記運転情報に応じて、前記の入力された温度のうち少なくとも1つに基づき、前記膨張弁113の開度を制御する(詳細な制御内容は後述)。
室外ファン制御部410Dには、前記外気温度センサ22により検出された前記外気温度Tairと、前記リモコン60により設定された前記エアコン運転モードとが入力される。室外ファン制御部410Dは、前記四方弁制御部410Aからの前記運転情報に対応しつつ、前記外気温度Tair及び前記運転モードに応じて、前記室外ファン67に対し、目標回転数N2(以下適宜、単に「室外ファン回転数N2」という。図示も同様)に対応した駆動制御信号を出力し、これによって室外ファン67の回転数を可変に制御する(詳細な制御内容は後述)。
なお、前記運転態様の決定は、貯湯制御部420やエアコン制御部430で行っても良い。この場合は、それら貯湯制御部420やエアコン制御部430から、決定された運転態様に対応した前記運転情報がヒーポン制御部410に入力され、その入力された運転情報に応じて四方弁制御部410A、圧縮機制御部410B、膨張弁制御部410C、室外ファン制御部410Dが各種制御を行う。
次に、前記貯湯ユニット100に備えられた前記貯湯制御部420について説明する。貯湯制御部420は、前記ヒーポン制御部410同様、記憶部と制御部とを備えており、その機能的構成を図4により説明する。
図4に示すように、前記貯湯制御部420は、ポンプ制御部420Aと、膨張弁制御部420Bと、二方弁制御部420Cと、検出手段としての実沸上能力算出部420Dと、第1補正手段としての膨張弁開度補正部420Eとを機能的に備えている。
ポンプ制御部420Aには、前記ヒーポン制御部410からの前記運転情報と、前記沸上温度センサ24により検出された前記沸上温度Tbとが入力される。ポンプ制御部420Aは、前記のようにしてヒーポン制御部410から入力される(沸上運転、冷房運転、沸上・冷房運転、暖房運転、及び沸上・暖房運転のいずれの運転が行われるかを表す)前記運転情報に応じて、入力された前記沸上温度Tbに基づき、前記沸上ポンプ19の回転数を制御する(詳細な制御内容は後述)。なおこのときの沸上ポンプ19の回転数Np(制御値としての目標回転数。以下適宜、単に「目標回転数Np」という)は、前記実沸上能力算出部420Dにも出力される。
実沸上能力算出部420Dには、前記沸上温度センサ24により検出された前記沸上温度Tbと、前記入水温度センサ23により検出された前記入水温度T1と、前記ポンプ制御部420Aからの前記沸上ポンプ19の目標回転数Npとが入力される。実沸上能力算出部420Dは、少なくとも後述の沸上・暖房運転時において、前記入力された沸上温度Tb、入水温度T1、目標回転数Npに基づき、前記水冷媒熱交換器15における実熱交換能力としての実沸上能力Waを(例えば適宜の周期で)算出する。すなわち、実沸上能力Waは、前記沸上温度Tb、前記入水温度T1、及び、前記加熱循環回路4の循環流量q、前記目標回転数Npを用いて、
Wa=(Tb−T1)×q
q=Np×A+B
で表される。なお、A,Bは適宜の定数である。また目標回転数Npに代えて適宜の手法で検出した実際の沸上ポンプ19の回転数を用いても良い。
膨張弁制御部420Bは、前記ヒーポン制御部410からの前記運転情報と、前記外気温度センサ22により検出された前記外気温度Tairと、前記リモコン60により設定された前記エアコン運転モードと、前記ヒーポン制御部410の前記圧縮機制御部410Bから入力された前記圧縮機14の回転数(前記目標回転数。但し公知の手法で検出された実際の圧縮機14の回転数を入力しても良い)と、前記流出温度センサ21により検出された前記冷媒流出温度T2と、前記吸入温度センサ32により検出された前記冷媒吸入温度Tinと、前記吐出温度センサ20により検出された前記冷媒吐出温度Toutとが入力される。膨張弁制御部420Bは、前記ヒーポン制御部410からの前記運転情報に応じて、前記の入力された温度やモード設定や回転数のうち少なくとも1つに基づき、前記膨張弁111,112の開度を制御する(詳細な制御内容は後述)。
また、膨張弁制御部420Bは、第1分流制御手段としての分流制御部420B1と、第1記憶手段としての補正後開度記憶部420B2とを備えている。前記分流制御部420B1は、後述の沸上・暖房運転時において、前記ヒーポン制御部410からの前記運転情報に応じて、前記の入力された温度やモード設定や回転数のうち少なくとも1つに基づき、前記膨張弁111の開度が前記水冷媒熱交換器15の沸上要求能力(第1要求熱交換能力に相当)に応じた所望の第1目標開度となり、かつ前記膨張弁112の開度が前記室内熱交換器27の暖房要求能力(第2要求熱交換能力に相当)に応じた所望の第2目標開度となるように、制御する(詳細な制御内容は後述)。
前記膨張弁開度補正部420Eには、前記実沸上能力算出部420Dにより算出された前記水冷媒熱交換器15における実沸上能力Waが入力され、後述の沸上・暖房運転時において、入力された前記実沸上能力Waに応じて前記分流制御部420B1での前記第1目標開度及び前記第2目標開度のうち少なくとも一方を補正する(詳細内容は後述)。なお、この補正された後の前記第1目標開度や前記第2目標開度は、前記補正後開度記憶部420B2に記憶され、保持される。
二方弁制御部420Cには、前記ヒーポン制御部410からの前記運転情報が入力される。二方弁制御部420Cは、前記運転情報に基づき、前記二方弁121,122,123,124の開閉動作を制御する(詳細な制御内容は後述)。
なお、前記と同様、運転態様の決定を、貯湯制御部420内(例えば前記二方弁制御部420C)やエアコン制御部430で行っても良い。この場合は、それら二方弁制御部420Cやエアコン制御部430で決定した運転態様に対応する運転情報に応じて、ポンプ制御部420A、膨張弁制御部420B、二方弁制御部420Cが各種制御を行う。
次に、前記エアコンユニット200に備えられた前記エアコン制御部430について説明する。エアコン制御部430は、前記ヒーポン制御部410及び貯湯制御部420同様、記憶部と制御部とを備えており、その機能的構成を図5により説明する。
図5に示すように、前記エアコン制御部430は、室内ファン制御部430Aを機能的に備えている。
室内ファン制御部430Aには、前記ヒーポン制御部410からの前記運転情報と、前記室内温度センサ34により検出された前記室内温度Trと、前記リモコン60により設定された前記エアコン設定温度Tconとが入力される。室内ファン制御部430Aは、前記ヒーポン制御部410からの前記運転情報に対応しつつ、前記室内温度Tr及びエアコン設定温度Tconに応じて、前記室内ファン77に対し、目標回転数N1(以下適宜、単に「室内ファン回転数N1」という。図示も同様)に対応した駆動制御信号を出力し、これによって室内ファン77の回転数を可変に制御する(詳細な制御内容は後述)。
なお、前記と同様、運転態様の決定を、エアコン制御部430内や貯湯制御部420で行っても良い。この場合は、それらエアコン制御部430や貯湯制御部420で決定した運転態様に対応する運転情報に応じて、室内ファン制御部430Aが前記制御を行う。
前記したように、本実施形態のヒートポンプ給湯機1は、沸上運転、冷房運転、暖房運転、沸上・冷房運転、沸上・暖房運転の5種類の運転を選択的に実行することができる。以下、各運転の詳細を順次説明する。
まず、図6を用いて、沸上運転について説明する。この図6に示す沸上運転時においては、前記四方弁制御部410Aにより、前記四方弁31は、前記配管部18aを前記配管部18bに連通させると共に前記配管部18cを前記配管部18dに連通させる位置(前記した暖房側)に切り替えられる。また前記二方弁制御部420Cにより、二方弁121が開き状態、二方弁122が閉じ状態、二方弁123が開き状態、二方弁124が閉じ状態に切り替えられる。さらに前記膨張弁制御部420Bにより前記膨張弁111が全開状態かつ前記膨張弁112が全閉状態に制御され、前記膨張弁制御部410Cにより前記膨張弁113が開き状態(詳細には後述の△H制御が行われている)に制御される。
この結果、圧縮機14の吐出側の配管部18a→配管部18b→連通管路101→配管部25a→配管部25b→水冷媒熱交換器15の冷媒側の流路15b→配管部25c(膨張弁111)→配管部25e2→配管部25e1→連通管路102→配管部18e(膨張弁113)→室外熱交換器17→配管部18d→圧縮機14の吸入側の配管部18cの冷媒経路が形成される。これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機14で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、凝縮器として機能する水冷媒熱交換器15の前記冷媒側の流路15bにおいて前記水側の流路15aを流れる水と熱交換を行って前記水に熱を放出し加熱しながら高圧の液体に変化する。こうして液体となった冷媒は全開状態の前記膨張弁111を経て前記膨張弁113において減圧されて低温・低圧の液体となって蒸発しやすい状態となり、蒸発器として機能する前記室外熱交換器17において外気と熱交換を行って蒸発してガスに変化することで吸熱し、低温・低圧のガスとして再び圧縮機14へと戻る。このとき、貯湯タンク2下部に接続された前記加熱往き管5から取り出された低温水(未加熱水)が、水冷媒熱交換器15の前記水側の流路15aにおいて前記凝縮する冷媒から受熱して高温まで加熱された後、貯湯タンク2上部に接続された加熱戻り管6から貯湯タンク2内に戻されることで、貯湯タンク2内に順次高温水(加熱水)が積層状に貯湯される。
以上の作動において、前記圧縮機14の前記目標回転数(以下適宜、沸上運転時については「目標回転数Nb」と称する)は、前記圧縮機制御部410Bの制御により、外気温度Tairに基づき決定される。すなわち、例えば図7(a)の右下がり特性線で示すように、外気温度Tairが低い場合は目標回転数Nbが大きくなるように制御され、外気温度Tairが高い場合は目標回転数Nbが小さくなるように制御される。また前記室外ファン67における前記室外ファン回転数N2は、前記室外ファン制御部410Dの制御により、外気温度Tairに基づき決定される。すなわち、外気温度Tairが低い場合はファン回転数が大きくなるように制御され、外気温度Tairが高い場合はファン回転数が小さくなるように制御される(図示省略)。ここで、前記圧縮機14の目標回転数Nbおよび室外ファン回転数N2は、外気温度Tairの高低によらず予め定められた一定の沸上能力となるようにそれぞれの回転数が定められている。
図6に戻り、また沸上ポンプ19の回転数は、前記ポンプ制御部420Aの制御により、前記沸上温度Tbが所定の目標温度となるように、フィードバック制御される。すなわち、沸上温度Tbが目標温度より低い場合はポンプ回転数が小さくなる(流量が低下する)ように制御され、沸上温度Tbが目標温度より高い場合はポンプ回転数が大きくなる(流量が増大する)ように制御される。なお、室内ファン77は、前記室内ファン制御部430Aの制御により回転停止される。
そして、前記膨張弁113の開度は、前記膨張弁制御部410Cにより、沸上運転の運転状態に応じて可変に制御される。詳細には、前記冷媒吐出温度Toutと前記冷媒流出温度T2との温度差△H=Tout−T2が、所定の目標温度差△Hmとなるように、膨張弁113の開度を所定の周期でフィードバック制御する(△H制御)。すなわち、前記膨張弁制御部410Cは、△H<△Hmの場合は膨張弁113の開度を閉じる方向に制御し、△H>△Hmの場合は、膨張弁113の開度を開く方向に制御し、△H=△Hmの場合は、膨張弁113の開度を現状のまま維持する。あるいは、この△H制御に代え、前記冷媒吐出温度Toutが所定の一定値となるように、膨張弁113の開度をフィードバック制御してもよい(吐出制御)。この場合、前記膨張弁制御部410Cは、冷媒吐出温度Toutが低すぎる場合は膨張弁113の開度を閉じる方向に制御し、冷媒吐出温度Toutが高すぎる場合は膨張弁113の開度を開く方向に制御する。
次に、図8を用いて、冷房運転について説明する。この図8に示す冷房運転時においては、前記四方弁制御部410Aにより、前記四方弁31は、前記配管部18aを前記配管部18dに連通させると共に前記配管部18cを前記配管部18bに連通させる位置(前記暖房側とは異なる冷房側)に切り替えられる。また前記二方弁制御部420Cにより、二方弁121が閉じ状態、二方弁122が開き状態、二方弁123が開き状態、二方弁124が閉じ状態に切り替えられる。さらに前記膨張弁制御部420Bにより前記膨張弁111が全閉状態に制御されかつ前記膨張弁112が開き状態(詳細には後述のフィードフォワード制御が行われている)に制御され、前記膨張弁制御部410Cにより前記膨張弁113が全開状態に制御される。
この結果、圧縮機14の吐出側の配管部18a→配管部18d→室外熱交換器17→配管部18e(膨張弁113)→連通管路102→配管部25e1→配管部25e2→配管部25g(膨張弁112)→連通管路103→配管部26b→室内熱交換器27→配管部26a→連通管路104→配管部25d2→配管部25d1→配管部25a→連通管路101→配管部18b→圧縮機14の吸入側の配管部18cの冷媒経路が形成される。これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機14で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、室外ファン67の回転駆動とともに凝縮器として機能する前記室外熱交換器17において外気と熱交換を行って熱を放出しながら高圧の液体に変化する。こうして液体となった冷媒は全開状態の前記膨張弁113を経て前記膨張弁112において減圧されて低温・低圧の液体となって蒸発しやすい状態となり、室内ファン77の回転駆動とともに蒸発器として機能する前記室内熱交換器27において室内空気から吸熱して蒸発しガスに変化することで空調対象空間を冷却し、低温・低圧のガスとして再び圧縮機14へと戻る。
以上の作動において、前記圧縮機14の回転数は、前記圧縮機制御部410Bの制御により、室内温度Trとエアコン設定温度Tconとの差に基づき決定される。すなわち、Tcon−Trの値が大きい場合は圧縮機回転数が大きくなるように制御され、Tcon−Trの値が小さい場合は圧縮機回転数が小さくなるように制御される。また前記室外ファン67における前記室外ファン回転数N2は、前記室外ファン制御部410Dの制御により、エアコン運転モードが例えば強力モードの場合はファン回転数が大きくなるように制御され、通常モードや節電モードの場合はファン回転数が小さくなるように制御される。さらに各エアコン運転モードにおいて、外気温度Tairが低い場合はファン回転数が小さくなるように、外気温度Tairが高い場合はファン回転数が大きくなるように制御される。また前記室内ファン77における前記室内ファン回転数N1は、前記室内ファン制御部430Aの制御により、前記Tcon−Trの値が大きい場合はファン回転数が大きくなるように、前記Tcon−Trの値が小さい場合はファン回転数が小さくなるように制御される。沸上ポンプ19は、前記ポンプ制御部420Aの制御により回転停止される。
そして、前記膨張弁112の開度は、前記膨張弁制御部420Bにより、冷房運転の運転状態に応じて可変に制御される。すなわち、前記外気温度Tair及び前記エアコン運転モードと、圧縮機14の回転数とに基づき決定される。すなわち、前記膨張弁制御部420Bは、前記複数のエアコン運転モード(例えば強力モード、通常モード、節電モード等)のそれぞれにおいて、前記外気温度Tairの高低と、前記圧縮機制御部410Bからの圧縮機回転数の高低とを加味して、膨張弁112の開度をフィードフォワード制御する(詳細は省略)。
次に、図9を用いて、沸上・冷房運転について説明する。この図9に示す沸上・冷房運転時においては、前記四方弁制御部410Aにより、前記四方弁31は、(前記冷房側ではなく)前記暖房側に切り替えられる。また前記二方弁制御部420Cにより、二方弁121が開き状態、二方弁122が閉じ状態、二方弁123が閉じ状態、二方弁124が開き状態に切り替えられる。さらに前記膨張弁制御部420Bにより前記膨張弁111が全開状態に制御されるとともに前記膨張弁112が開き状態(詳細には後述の△H制御が行われている)に制御され、前記膨張弁制御部410Cにより前記膨張弁113が全開状態に制御される。
この結果、冷媒経路は、圧縮機14の吐出側の配管部18a→配管部18b→連通管路101→配管部25a→配管部25b→水冷媒熱交換器15の冷媒側の流路15b→配管部25c(膨張弁111)→配管部25g(膨張弁112)→連通管路103→配管部26b→室内熱交換器27→配管部26a→連通管路104→配管部25d2→配管部25f→配管部25e1→連通管路102→配管部18e(膨張弁113)→室外熱交換器17→配管部18d→圧縮機14の吸入側の配管部18cとなる。
これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機14で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、まず前記水冷媒熱交換器15(凝縮器として機能)で前記同様に凝縮して前記水側の流路15aを流れる水を加熱することで貯湯タンク2内へ順次高温水(加熱水)を供給し、液体となった冷媒は全開状態の前記膨張弁111を経て前記膨張弁112において減圧されて低温・低圧の液体となって蒸発しやすい状態となり、室内ファン77の回転駆動とともに蒸発器として機能する前記室内熱交換器27において室内空気から吸熱して蒸発しガスに変化することで空調対象空間を冷却し、さらに前記膨張弁113を経て、室外ファン67の回転駆動とともに蒸発器として機能する前記室外熱交換器17において外気と熱交換を行って蒸発してガスに変化することで吸熱し、低温・低圧のガスとして再び圧縮機14へと戻る。
以上の作動において、前記圧縮機14の回転数は、前記圧縮機制御部410Bの制御により、前記冷房運転時と同様の、室内温度Trとエアコン設定温度Tconとの差に基づき決定される。また前記室外ファン67の回転数は、前記室外ファン制御部410Dの制御により、前記冷房運転時と同様、各エアコン運転モードにおいて外気温度Tairが低い場合はファン回転数が大きくなるように、外気温度Tairが高い場合はファン回転数が小さくなるように制御されるが、適宜の手法によって冷房運転時よりは低回転数に制御される。
また沸上ポンプ19の回転数は、前記ポンプ制御部420Aの制御により、前記沸上運転と同様、前記沸上温度Tbが目標温度より低い場合はポンプ回転数が小さくなり、沸上温度Tbが目標温度より高い場合はポンプ回転数が大きくなるように制御される。また前記室内ファン77における前記室内ファン回転数N1は、前記室内ファン制御部430Aの制御により、前記冷房運転時と同様、室内温度Trとエアコン設定温度Tconとの差に基づき、Tcon−Trの値が大きい場合はファン回転数が大きくなるように、Tcon−Trの値が小さい場合はファン回転数が小さくなるように制御される。
そして、前記膨張弁112の開度は、前記膨張弁制御部420Bにより、沸上・冷房運転の運転状態に応じて可変に制御される。詳細には、前記沸上運転時の膨張弁制御部410Cによる膨張弁113への制御と同様、前記冷媒吐出温度Toutと前記冷媒流出温度T2との温度差△H=Tout−T2が、所定の目標温度差△Hmとなるように、膨張弁112の開度を所定の周期でフィードバック制御する(△H制御)。すなわち、前記膨張弁制御部420Bは、△H<△Hmの場合は膨張弁112の開度を閉じる方向に制御し、△H>△Hmの場合は、膨張弁112の開度を開く方向に制御し、△H=△Hmの場合は、膨張弁112の開度を現状のまま維持する。あるいは、この△H制御に代え、前記冷媒吐出温度Toutが所定の一定値となるように、膨張弁112の開度をフィードバック制御してもよい(吐出制御)。この場合、前記膨張弁制御部420Bは、冷媒吐出温度Toutが低すぎる場合は膨張弁112の開度を閉じる方向に制御し、冷媒吐出温度Toutが高すぎる場合は膨張弁112の開度を開く方向に制御する。
次に、図10を用いて、暖房運転について説明する。この図10に示す暖房運転時においては、前記四方弁制御部410Aにより、前記沸上運転と同様、前記四方弁31は、前記暖房側に切り替えられる。また前記二方弁制御部420Cにより、前記冷房運転時と同様、二方弁121が閉じ状態、二方弁122が開き状態、二方弁123が開き状態、二方弁124が閉じ状態に切り替えられる。さらに前記膨張弁制御部420Bにより前記膨張弁111が全閉状態かつ前記膨張弁112が全開状態に制御され、前記膨張弁制御部410Cにより前記膨張弁113が開き状態(詳細には後述のSH制御が行われている)に制御される。
この結果、圧縮機14の吐出側の配管部18a→配管部18b→連通管路101→配管部25a→配管部25d1→配管部25d2→連通管路104→配管部26a→室内熱交換器27→配管部26b→連通管路103→配管部25g(膨張弁112)→配管部25e2→配管部25e1→連通管路102→配管部18e(膨張弁113)→室外熱交換器17→配管部18d→圧縮機14の吸入側の配管部18cの冷媒経路が形成される。これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機14で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、凝縮器として機能する室内熱交換器27において室内空気と熱交換を行って熱を放出し空調対象空間を加熱しながら高圧の液体に変化する。こうして液体となった冷媒は全開状態の前記膨張弁112を経て前記膨張弁113において減圧されて低温・低圧の液体となって蒸発しやすい状態となり、蒸発器として機能する前記室外熱交換器17において外気と熱交換を行って蒸発してガスに変化することで吸熱し、低温・低圧のガスとして再び圧縮機14へと戻る。
以上の作動において、前記圧縮機14の前記目標回転数(以下適宜、暖房運転時については「目標回転数Nh」と称する)は、前記圧縮機制御部410Bの制御により、エアコン設定温度Tcon−前記室内温度Tr(=温度差△T。以下適宜,単に「温度差△T」という)の値が大きい場合は目標回転数が大きくなるように、前記温度差△T(=Tcon−Tr)の値が小さい場合は目標回転数が小さくなるように制御される。具体的には、この例では、図7(b)に示すように、前記温度差△Tの範囲を、△T≦2[℃]、2<△T≦5[℃]、5<△T≦10[℃]、10<T[℃]の4つに区分する。
そして、前記温度差△Tが4つの区分のうち最も小さい△T≦2[℃]の範囲である場合には、圧縮機制御部410Bは、圧縮機14の前記目標回転数Nhを20[rpm]となるように制御する。また、前記温度差△Tが4つの区分のうち2番目に小さい2<△T≦5[℃]の範囲である場合には、圧縮機制御部410Bは、圧縮機14の前記目標回転数Nhを30[rpm]となるように制御する。また、前記温度差△Tが4つの区分のうち2番目に大きい5<△T≦10[℃]の範囲である場合には、圧縮機制御部410Bは、圧縮機14の前記目標回転数Nhを40[rpm]となるように制御する。そして、前記温度差△Tが4つの区分のうち最も大きい10<△T[℃]の範囲である場合には、圧縮機制御部410Bは、圧縮機14の前記目標回転数Nhを50[rpm]となるように制御する。
図10に戻り、また前記室外ファン67における前記室外ファン回転数N2は、前記室外ファン制御部410Dの制御により、外気温度Tairとエアコン運転モードに基づき決定される。すなわち、複数用意されたエアコン運転モード(例えば強力モード、通常モード、節電モード等)のそれぞれにおいて、外気温度Tairが低い場合はファン回転数が大きくなるように制御され、外気温度Tairが高い場合はファン回転数が小さくなるように制御される。
また前記室内ファン77における前記室内ファン回転数N1は、前記室内ファン制御部430Aの制御により、前記温度差△T、つまり室内温度Trとエアコン設定温度Tconとの差に基づき決定される。すなわち、Tcon−Trの値が大きい場合はファン回転数が大きくなるように制御され、Tcon−Trの値が小さい場合はファン回転数が小さくなるように制御される。なお、沸上ポンプ19は、前記ポンプ制御部420Aの制御により回転停止される。
そして、前記膨張弁113の開度は、前記膨張弁制御部410Cにより、暖房運転の運転状態に応じて可変に制御される。詳細には、前記冷媒吸入温度Tinと前記ヒーポン熱交温度Texとの温度差Tin−Texが所定の一定値となるように、膨張弁113の開度をフィードバック制御する(SH制御)。すなわち、前記膨張弁制御部410Cは、Tin−Texが小さすぎる場合は膨張弁113の開度を閉じる方向に制御し、Tin−Texが大きすぎる場合は膨張弁113の開度を開く方向に制御する。
次に、図11を用いて、沸上・暖房運転について説明する。この図11に示す沸上・暖房運転時においても、前記四方弁制御部410Aにより、前記四方弁31は、前記暖房側に切り替えられる。また前記二方弁制御部420Cにより、二方弁121が開き状態、二方弁122が開き状態、二方弁123が開き状態、二方弁124が閉じ状態に切り替えられる。さらに前記膨張弁制御部410Cにより前記膨張弁113が開き状態(詳細には後述の吐出制御が行われている)に制御され、前記膨張弁111及び前記膨張弁112は、前記膨張弁制御部420Bの前記分流制御部420B1により、冷媒を所望の割合(分流比)で水冷媒熱交換器15側及び室内熱交換器27側に配分し供給するための分流制御(詳細は後述)によって開度が可変に制御される。
この結果、冷媒経路は、圧縮機14の吐出側の配管部18a→配管部18b→連通管路101→配管部25aを経て前記分岐点Dで2つに分かれ、一方は、分岐点D→配管部25b→水冷媒熱交換器15の冷媒側の流路15b→配管部25c(膨張弁111)を経て前記合流点Eに至り、他方は、分岐点D→配管部25d1→配管部25d2→連通管路104→配管部26a→室内熱交換器27→配管部26b→連通管路103→配管部25g(膨張弁112)を経て前記合流点Eに至り、合流点Eで前記水冷媒熱交換器15からの経路と合流する。その後の経路は、合流点E→配管部25e2→配管部25e1→連通管路102→配管部18e(膨張弁113)→室外熱交換器17→配管部18d→圧縮機14の吸入側の配管部18cとなる。
これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機14で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後に前記のように分流し、前記一方の流れは前記水冷媒熱交換器15(凝縮器として機能)で前記同様に凝縮して前記水側の流路15aを流れる水を加熱することで貯湯タンク2内へ順次高温水(加熱水)を供給し、前記他方の流れは室内熱交換器27(凝縮器として機能)において前記同様に凝縮して室内空気に熱を放出することで空調対象空間を加熱する。前記の熱交換器15,27での凝縮で高圧の液体に変化した冷媒は前記膨張弁113において減圧されて低温・低圧の液体となった後前記室外熱交換器17(蒸発器として機能)において蒸発して外気から吸熱し、低温・低圧のガスとして再び圧縮機14へと戻る。
以上の作動において、前記圧縮機14の回転数は、前記圧縮機制御部410Bの制御により、外気温度Tairに基づき決定される前記沸上運転時の目標回転数Nb(前記図7(a)参照)と、前記温度差△T(=エアコン設定温度Tcon−室内温度Tr)に基づき決定される前記暖房運転時の目標回転数Nh(前記図7(b)参照)とを合算した和である、目標回転数Nbh(=Nb+Nh)となるように制御される。すなわち、図7(c)に示すように、この例では、図示のように4つ用意された特性線(下から順番に破線、一点鎖線、点線、二点鎖線)において、前記温度差△Tが大きくなるにつれて、より大回転数側の特性線となるように、使用する特性線を段階的に切り替える。
具体的には、図7(c)に示すように、前記温度差△Tが前記△T≦2[℃]の範囲である場合には、圧縮機制御部410Bは、前記目標回転数Nbhを、制御基準としての実線(図7(a)の実線と同一)で示す前記沸上運転時の目標回転数Nbに対し、図7(b)に示した20[rpm]を加えた図7(c)中の破線で示す特性となるように(すなわちNbh=Nb+20となるように)制御する。また、前記温度差△Tが前記2<△T≦5[℃]の範囲である場合には、圧縮機制御部410Bは、前記目標回転数Nbhを、実線で示す前記沸上運転時の目標回転数Nbに対し、図7(b)に示した30[rpm]を加えた図7(c)中の一点鎖線で示す特性となるように(すなわちNbh=Nb+30となるように)制御する。さらに、前記温度差△Tが前記5<△T≦10[℃]の範囲である場合には、圧縮機制御部410Bは、前記目標回転数Nbhを、実線で示す前記沸上運転時の目標回転数Nbに対し、図7(b)に示した40[rpm]を加えた図7(c)中の点線で示す特性となるように(すなわちNbh=Nb+40となるように)制御する。さらに、前記温度差△Tが前記10<△T[℃]の範囲である場合には、圧縮機制御部410Bは、前記目標回転数Nbhを、実線で示す前記沸上運転時の目標回転数Nbに対し、図7(b)に示した50[rpm]を加えた図7(c)中の二点鎖線で示す特性となるように(すなわちNbh=Nb+50となるように)制御する。
図11に戻り、また前記室外ファン回転数N2は、前記室外ファン制御部410Dの制御により、前記暖房運転時と同様、外気温度Tairとエアコン運転モードに基づき、各エアコン運転モードにおいて、外気温度Tairが低い場合はファン回転数が大きくなるように、外気温度Tairが高い場合はファン回転数が小さくなるように制御される。
また沸上ポンプ19の回転数は、前記ポンプ制御部420Aの制御により、前記沸上運転時と同様、前記沸上温度Tbが目標温度より低い場合はポンプ回転数が小さくなり、沸上温度Tbが目標温度より高い場合はポンプ回転数が大きくなるように制御される。また前記室内ファン回転数N1は、前記室内ファン制御部430Aの制御により、前記暖房運転時と同様、前記温度差△T(=Tcon−Tr)に基づき、Tcon−Trの値が大きい場合はファン回転数が大きくなるように、Tcon−Trの値が小さい場合はファン回転数が小さくなるように制御される。
そして、前記膨張弁111,112の開度(前記第1目標開度及び前記第2目標開度)は、前記したように、前記膨張弁制御部420Bにより前記分流制御によって可変に制御される。この分流制御の制御内容(但し膨張弁開度補正部420Eによる後述の補正が行われる前の姿)の詳細を、図12(a)及び図12(b)により説明する。
図12(a)に、前記膨張弁制御部420Bの前記分流制御部420B1により実行される前記膨張弁111の開度制御の制御マップの一例を示す。図12(a)及び図12(b)に示すマップでは、縦軸に第1要求熱交換能力としての沸上要求能力(この例では、対応する指標としての前記沸上時の目標回転数Nb)を下向き増加方向にとり、横軸に第2要求熱交換能力としての暖房要求能力(この例では、対応する指標としての前記暖房時の目標回転数Nh)を下向き増加方向にとったときの、各状態における目標開度の値(例えば全閉状態が「0」で全開状態が「500」となる相対値)を表している。
図12(a)に示すように、例えば沸上・暖房運転時における前記暖房要求能力が最小レベルで前記沸上要求能力も最小レベルであった場合には、膨張弁111の前記第1目標開度は開度「250」(例えば全開と全閉のちょうど中間となる開度)となるように制御される。この暖房要求能力が最小レベルのままで前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁111の前記第1目標開度は少し大きな開度「300」となるように制御され、さらに前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁111の前記第1目標開度はさらに少し大きな開度「350」となるように制御され、さらに前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁111の前記第1目標開度はさらに少し大きな開度「400」となるように制御され、さらに前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁111の前記第1目標開度はさらに少し大きな開度「450」(全開状態に近い状態)となるように制御される。このように膨張弁111の開度が徐々に大きくなることにより、水冷媒熱交換器15側及び室内熱交換器27側への分流における、水冷媒熱交換器15側への分流比が増大するように制御される。
同様に、前記暖房要求能力が最小レベルより1ランク高い状態で前記沸上要求能力が最小レベルであった場合には、膨張弁111の前記第1目標開度は前記開度「250」より小さい開度「200」となるように制御される。これにより、前記分流における室内熱交換器27側への分流比が(前記開度「250」の場合に比べると)やや増大する。この状態のままで前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁111の前記第1目標開度は少し大きな開度「250」となるように制御され、その後、前記沸上要求能力が1ランクずつ高くなるに連れて、膨張弁111の前記第1目標開度は「300」「350」「400」と徐々に大きくなるように制御され、水冷媒熱交換器15側への分流比が増大する。
さらに前記同様に、前記暖房要求能力が最小レベルより2ランク高い状態で前記沸上要求能力が最小レベルであった場合には、膨張弁111の前記第1目標開度は前記開度「200」よりさらに小さい開度「150」となるように制御される。これにより、前記室内熱交換器27側への分流比が(前記開度「200」の場合に比べ)さらに増大する。この状態のままで前記沸上要求能力が1ランクずつ高くなるに連れて、膨張弁111の前記第1目標開度は「200」「250」「300」「350」と徐々に大きくなるように制御され、水冷媒熱交換器15側への分流比が増大する。
さらに前記同様に、前記暖房要求能力が最小レベルより3ランク高い状態で前記沸上要求能力が最小レベルであった場合には、膨張弁111の前記第1目標開度は前記開度「150」よりさらに小さい開度「100」となるように制御される。これにより、前記室内熱交換器27側への分流比が(前記開度「150」の場合に比べ)さらに増大する。この状態のままで前記沸上要求能力が1ランクずつ高くなるに連れて、膨張弁111の前記第1目標開度は「150」「200」「250」「300」と徐々に大きくなるように制御され、水冷媒熱交換器15側への分流比が増大する。
さらに前記同様に、前記暖房要求能力が最大レベルで前記沸上要求能力が最小レベルであった場合には、膨張弁111の前記第1目標開度は前記開度「100」よりさらに小さい開度「50」となるように制御される。これにより、前記室内熱交換器27側への分流比が(前記開度「100」の場合に比べ)さらに増大する。この状態のままで前記沸上要求能力が1ランク高くなるに連れて、膨張弁111の前記第1目標開度は「100」「150」「200」「250」と徐々に大きくなるように制御され、水冷媒熱交換器15側への分流比が増大する。
図12(b)に、前記膨張弁制御部420Bにより実行される前記膨張弁112の開度制御の制御マップの一例を示す。図12(b)に示すマップでは、前記同様、縦軸に沸上要求能力(沸上時の目標回転数Nb)、横軸に暖房要求能力(前記暖房時の目標回転数Nh)を下向き増加方向にとって表している。
図12(b)に示すように、例えば沸上・暖房運転時における前記暖房要求能力が最小レベルで前記沸上要求能力も最小レベルであった場合には、膨張弁112の前記第2目標開度は開度「250」となるように制御される。この暖房要求能力が最小レベルのままで前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁112の前記第2目標開度は少し小さな開度「200」となるように制御され、さらに前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁112の前記第2目標開度はさらに少し小さな開度「150」となるように制御され、さらに前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁112の前記第2目標開度はさらに少し小さな開度「100」となるように制御され、さらに前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁112の前記第2目標開度はさらに少し大きな開度「50」となるように制御される。このように膨張弁112の開度が徐々に小さくなることにより、水冷媒熱交換器15側及び室内熱交換器27側への分流における、水冷媒熱交換器15側への分流比が増大するように制御される。
同様に、前記暖房要求能力が最小レベルより1ランク高い状態で前記沸上要求能力が最小レベルであった場合には、膨張弁112の前記第2目標開度は前記開度「250」より大きい開度「300」となるように制御される。これにより、前記分流における室内熱交換器27側への分流比が(前記開度「250」の場合に比べると)やや増大する。この状態のままで前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁112の前記第2目標開度は少し小さな開度「250」となるように制御され、その後、前記沸上要求能力が1ランクずつ高くなるに連れて、膨張弁112の前記第2目標開度は「200」「150」「100」と徐々に小さくなるように制御され、水冷媒熱交換器15側への分流比が増大する。
さらに前記同様に、前記暖房要求能力が最小レベルより2ランク高い状態で前記沸上要求能力が最小レベルであった場合には、膨張弁112の前記第2目標開度は前記開度「300」よりさらに大きい開度「350」となるように制御される。これにより、前記室内熱交換器27側への分流比が(前記開度「300」の場合に比べ)さらに増大する。この状態のままで前記沸上要求能力が1ランクずつ高くなるに連れて、膨張弁112の前記第2目標開度は「300」「250」「200」「150」と徐々に小さくなるように制御され、水冷媒熱交換器15側への分流比が増大する。
さらに前記同様に、前記暖房要求能力が最小レベルより3ランク高い状態で前記沸上要求能力が最小レベルであった場合には、膨張弁112の前記第2目標開度は前記開度「350」よりさらに大きい開度「400」となるように制御される。これにより、前記室内熱交換器27側への分流比が(前記開度「350」の場合に比べ)さらに増大する。この状態のままで前記沸上要求能力が1ランクずつ高くなるに連れて、膨張弁112の前記第2目標開度は「350」「300」「250」「200」と徐々に小さくなるように制御され、水冷媒熱交換器15側への分流比が増大する。
さらに前記同様に、前記暖房要求能力が最大レベルで前記沸上要求能力が最小レベルであった場合には、膨張弁112の前記第2目標開度は前記開度「400」よりさらに大きな開度「450」(全開状態に近い状態)となるように制御される。これにより、前記室内熱交換器27側への分流比が(前記開度「400」の場合に比べ)さらに増大する。この状態のままで前記沸上要求能力が1ランク高くなるに連れて、膨張弁112の前記第2目標開度は「400」「350」「300」「250」と徐々に小さくなるように制御され、水冷媒熱交換器15側への分流比が増大する。
ところで、前記のような沸上・暖房運転において、本願発明者等の検討によれば、水冷媒熱交換器15側及び室内熱交換器27側への分流に影響する因子は、前記沸上要求能力及び前記暖房要求能力のみではなく、例えば、前記冷媒循環回路30を構成する前記冷媒配管18,25,26等の長さや、各膨張弁111,112,113ごとの弁開度のばらつきや、経年によって各熱交換器15,17,27で生じ得る詰まり、等の外部因子があることが知見された。これらの影響によって分流バランスに狂いが生じると、例えば前記水冷媒熱交換器15での熱交換量が低下した場合には加熱循環回路4における沸上温度が低くなり、貯湯タンク2内においていわゆる湯切れが生じるおそれがあり、また室内熱交換器27での熱交換量が低下した場合には、暖房能力不足が生じるおそれがある。
そこで、これに対応して、本実施形態では、前記実沸上能力算出部420Dを設けて前記のように水冷媒熱交換器15における実際の熱交換能力である前記実沸上能力Waを算出(検出)し、この算出された実沸上能力に応じて、前記膨張弁開度補正部420Eによって前記第1目標開度及び前記第2目標開度のうち少なくとも一方が補正される。
具体的には、図13に示すように、前記検出された前記実沸上能力Waが予め定められた前記沸上要求能力から期待される沸上能力の正常範囲(この例では3〜5[kW])の上限値(この例では5[kW])よりも大きかった場合に、前記実沸上能力Waが過剰(過大)であるとみなして、前記実沸上能力Waが前記上限値以下となるように(言い換えれば前記正常範囲内となるように)、前記第1目標開度の減少補正による沸上側の冷媒量減少(又は前記第2目標開度の増大補正による暖房側の冷媒量増大、あるいは両方を実行してもよい)を行う。また、前記検出された前記実沸上能力Waが前記正常範囲の下限値(この例では3[kW])よりも小さかった場合に前記実沸上能力Waが不足(過小)であるとみなして、前記実沸上能力Waが前記下限値以上となるように(言い換えれば前記正常範囲内となるように)、前記第1目標開度の増大補正による沸上側の冷媒量増大(又は前記第2目標開度の減少補正による暖房側の冷媒量減少、あるいは両方を実行してもよい)を行う。
次に、前記の手法を実現するために前記膨張弁開度補正部420Eが実行する制御手順を、図14のフローチャートにより説明する。図14において、まずステップS5で、膨張弁開度補正部420Eは、ヒートポンプ給湯機1が運転開始状態となったか否かを判定する。具体的には、運転開始状態とは、例えば、操作者による適宜のヒートポンプ給湯機1の運転開始操作がなされることで停止状態から起動される場合、若しくは、後述の待機状態から復帰してヒートポンプ給湯機1の運転が再び開始される場合(詳細は後述)、である。運転開始状態となるまではステップS5の判定が満たされず(S5:No)ループ待機し、運転開始状態となるとステップS5の判定が満たされ(S5:Yes)、ステップS10に移る。
ステップS10では、膨張弁開度補正部420Eは、前記補正後開度記憶部420B2に補正後の第1目標開度又は補正後の第2目標開度が記憶(詳細は後述)されているか否かを判定する。記憶されていればステップS10の判定が満たされて(ステップS10:YES)、ステップS15で前記補正後開度記憶部420B2からそれら補正後の第1目標開度又は第2目標開度を読み出してステップS20に移る。記憶されていなければステップS10の判定が満たされず(ステップS10:NO)、そのままステップS20に移る。
ステップS20では、膨張弁開度補正部420Eは、前記実沸上能力算出部420Dにおいて前記の手法によりこの時点で算出されている前記実沸上能力Waを取得する。その後、ステップS25に移る。
ステップS25では、膨張弁開度補正部420Eは、前記ステップS20で取得された実沸上能力Waが過剰であるか、すなわち予め定められた正常範囲(この例では3〜5[kW])の上限値(この例では5[kW])よりも大きいか否かを判定する。上限値より大きかった場合はステップS25の判定が満たされ(S25:YES)、ステップS30に移る。
ステップS30では、膨張弁開度補正部420Eは、この時点で前記分流制御部420B1において前記制御マップ(図12(a)参照)を用いて決定されている前記膨張弁111の前記第1目標開度を、それまでよりもマイナス側に所定値だけ(例えば公知のパルス出力による駆動の場合にはマイナス10パルス。以下同様)補正するとともに、同様に前記分流制御部420B1において前記制御マップ(図12(b)参照)を用いて決定されている前記膨張弁112の前記第2目標開度を、それまでよりもプラス側に所定値だけ(例えば公知のパルス出力による駆動の場合にはプラス10パルス。以下同様)補正する。そして、膨張弁開度補正部420Eは、これら補正後の第1目標開度及び第2目標開度を、前記膨張弁制御部420Bに出力する。これにより、膨張弁制御部420Bの前記分流制御部420B1が、この膨張弁開度補正部420Eから入力された補正後の第1目標開度及び第2目標開度を用いて、膨張弁111,112の開度を制御する。その後、後述のステップS45に移る。
一方、前記ステップS25において、前記ステップS20で取得された実沸上能力Waが前記上限値以下であった場合はステップS25の判定が満たされず(S25:NO)、ステップS35に移る。
ステップS35では、膨張弁開度補正部420Eは、前記ステップS20で取得された実沸上能力Waが過小であるか、すなわち予め定められた正常範囲(この例では3〜5[kW])の下限値(この例では3[kW])よりも小さいか否かを判定する。下限値より小さかった場合はステップS35の判定が満たされ(S35:YES)、ステップS40に移る。
ステップS40では、膨張弁開度補正部420Eは、この時点で前記分流制御部420B1において前記制御マップ(図12(a)参照)を用いて決定されている前記膨張弁111の前記第1目標開度を、それまでよりもプラス側に所定値だけ(前記のパルス駆動では例えばプラス10パルス)補正するとともに、同様に前記分流制御部420B1において前記制御マップ(図12(b)参照)を用いて決定されている前記膨張弁112の前記第2目標開度を、それまでよりもマイナス側に所定値だけ(前記のパルス駆動では例えばマイナス10パルス)補正する。そして、膨張弁開度補正部420Eは、これら補正後の第1目標開度及び第2目標開度を、前記膨張弁制御部420Bに出力する。これにより、膨張弁制御部420Bの前記分流制御部420B1が、この膨張弁開度補正部420Eから入力された補正後の第1目標開度及び第2目標開度を用いて、膨張弁111,112の開度を制御する。その後、後述のステップS45に移る。
一方、前記ステップS35において、前記ステップS20で取得された実沸上能力Waが前記下限値以上であった場合(すなわち前記正常範囲内であった場合)はステップS35の判定が満たされず(S35:NO)、ステップS45に移る。
ステップS45では、ヒートポンプ給湯機1が運転終了状態となったか否かを判定する。すなわち、上述のような制御の下で沸上・暖房運転を行って暖房負荷が小さくなると、ヒートポンプ給湯機1を動作させずとも、前記室内温度Trが前記エアコン設定温度Tcon以上に達する場合がある。この場合は、公知の制御によりヒートポンプ給湯機1が停止され、待機状態となる(すなわち、いったんヒートポンプ給湯機1の運転が終了される)。ステップS45では、膨張弁開度補正部420Eは、ヒートポンプ給湯機1がこの待機状態となったか否かを判定するものである。運転終了状態(すなわち待機状態)となっていない間はステップS45の判定が満たされず(S45:No)、前記ステップS20に戻り、前記したステップS20→ステップS25→・・→ステップS45の流れを繰り返す。ヒートポンプ給湯機1が運転終了状態(すなわち待機状態)となっていた場合はステップS45の判定が満たされ(ステップS45:YES)、ステップS5に戻る。このときのステップS5における前記運転開始状態となったか否かの判定は、前記待機状態が解除されたか否かの判定となる。すなわち、前記のようにして前記室内温度Trが前記エアコン設定温度Tcon以上に達して待機状態となった後、再び、前記室内温度Trが前記エアコン設定温度Tconを下回ると、公知の制御によりヒートポンプ給湯機1の運転が再び開始される。したがってこのときのステップS5では、膨張弁開度補正部420Eは、ヒートポンプ給湯機1がこのようにして待機状態から復帰して運転再開されたか否かを判定するものである。運転が再開されてステップS5の判定が満たされると前記したステップS5→ステップS10→ステップS15→ステップS20・・の流れを繰り返す。
なお、図示を省略しているが、以上の各手順における任意のタイミングで操作者による適宜のヒートポンプ給湯機1の運転終了操作がなされた場合には、このフローは終了され、ヒートポンプ給湯機1が停止する。その際、膨張弁開度補正部420Eは、その時点での第1目標開度及び第2目標開度(ステップS30やステップS40で適宜補正されたもの)を、前記膨張弁制御部420Bに出力し、膨張弁制御部420Bの前記補正後開度記憶部420B2がその膨張弁開度補正部420Eから入力された(適宜に補正された)第1目標開度及び第2目標開度を記憶する。この結果、これ以降、再度図14のフローが開始されたときには、前記ステップS10の判定が満たされる(ステップS10:YES)ことで、前記ステップS15において前記補正後開度記憶部420B2からその記憶された(補正済みの)第1目標開度及び第2目標開度が読み出されて使用される。
以上説明したように、本実施形態によれば、前記のような制御が行われることにより、例えば前記実沸上能力Waが過大である場合には、いずれかの前記外部因子の影響で前記分流バランスが(本来の水冷媒熱交換器15及び室内熱交換器27における沸上要求能力及び暖房要求能力に対応したバランスよりも)水冷媒熱交換器15側に偏っていると推定されることから、室内熱交換器27側への分流比を増大させることができる。また前記実沸上能力Waが過小である場合には、いずれかの前記外部因子の影響で前記分流バランスが室内熱交換器27側に偏っていると推定されることから水冷媒熱交換器15側への分流比を増大させることができる。これにより、前記水冷媒熱交換器15の前記沸上要求能力と前記室内熱交換器27の前記暖房要求能力とに対応した、本来の適正な分流バランスを実現することができる。この結果、前記湯切れや暖房能力不足が生じるのを防止することができる。
また、本実施形態では特に、分流バランスが水冷媒熱交換器15側に偏り水冷媒熱交換器15の実沸上能力Waが過大(すなわち前記正常範囲の上限値超過)となっている場合も、分流バランスが室内熱交換器27側に偏り水冷媒熱交換器15の実沸上能力Waが過小(すなわち前記正常範囲の下限値未満)となっている場合も、前記第1目標開度や前記第2目標開度の増大・減少補正によって前記実沸上能力Waを前記正常範囲(前記の例では3〜5[kW])内に戻すように制御することで、確実に分流バランスを適正化することができる。
また、本実施形態では特に、補正がなされた後の前記第1目標開度及び前記第2目標開度が(前記の例では前記手動操作による運転終了時に)前記補正後開度記憶部420B2に記憶される。これにより、それ以降に沸上・暖房運転が行われる場合において、図14の前記ステップS15でその記憶された補正後の第1目標開度及び第2目標開度が読み出されることで、前記分流制御部420B1は、その補正後の第1目標開度及び第2目標開度を用いて第1膨張弁111及び第2膨張弁112の開度を制御することができる。これを繰り返すことで、いわゆる学習効果によってさらに高精度な分流制御を行うことができるとともに、経年劣化等によるさらなる外部因子の影響に対しても対応することができる。
また、本実施形態では特に、水冷媒熱交換器15側の管路に膨張弁111に加えて二方弁121を設け、室内熱交換器27側の管路に膨張弁112に加え二方弁122を設ける。これにより、それぞれの管路において分流バランスの制御(前記補正前の分流バランス制御)を確実に行うことができる。
本発明の第2実施形態を図15〜図18に基づいて説明する。前記第1実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜、説明を省略又は簡略化する。
前記第1実施形態では、図13を用いて前記したように、前記実沸上能力Waが前記正常範囲の上限値(5[kW])よりも大きかった場合に、前記膨張弁111の前記第1目標開度の減少補正による沸上側の冷媒量減少や前記膨張弁112の前記第2目標開度の増大補正による暖房側の冷媒量増大を行い、逆に前記実沸上能力Waが前記正常範囲の下限値(3[kW])よりも小さかった場合に、前記膨張弁111の前記第1目標開度の増大補正による沸上側の冷媒量増大や前記膨張弁112の前記第2目標開度の減少補正による暖房側の冷媒量減少を行った。これらに代えて、本実施形態では、前記実沸上能力Waが前記正常範囲の上限値(5[kW])よりも大きかった場合には前記室内ファン77の目標回転数(室内ファン回転数N1)の増大補正による暖房側の冷媒量増大(冷媒密度増大)を行い、前記実沸上能力Waが前記正常範囲の下限値(3[kW])よりも小さかった場合には前記室内ファン回転数N1の減少補正による暖房側の冷媒量減少(冷媒密度減少)を行う。すなわち、本実施形態では前記室内ファン回転数N1が前記実沸上能力Waに応じて補正される(図15も参照)。
本実施形態のヒートポンプ給湯機1に備えられる貯湯制御部420の機能的構成を図16に示す。図16に示すように、本実施形態では、前記貯湯制御部420は、ポンプ制御部420Aと、膨張弁制御部420Bと、二方弁制御部420Cとを機能的に備えている(図4に示した前記実沸上能力算出部420D及び前記膨張弁開度補正部420Eは設けられていない)。
前記ポンプ制御部420Aは、前記第1実施形態と同様、前記運転情報に応じて、前記沸上温度Tbに基づき、前記沸上ポンプ19の目標回転数Npを決定し、前記沸上ポンプ19を制御する。そして本実施形態では、この目標回転数Npは、室内ファン制御部430Aにも出力される。
前記膨張弁制御部420Bは、前記第1実施形態と同様、前記運転情報に応じて、前記の入力された温度やモード設定や回転数のうち少なくとも1つに基づき、前記膨張弁111,112の開度を制御する。このとき、膨張弁制御部420Bは、第2分流制御手段としての分流制御部420B1を備えている(図4に示した補正後開度記憶部420B2は設けられていない)。前記分流制御部420B1は、前記第1実施形態と同様、沸上・暖房運転時において、前記図12(a)及び図12(b)に示した制御マップを用いて(但し第1実施形態のようなその後の補正は行われない)、前記膨張弁111の開度が前記水冷媒熱交換器15の前記沸上要求能力に応じた所望の開度となり、かつ前記膨張弁112の開度が前記室内熱交換器27の前記暖房要求能力に応じた所望の開度となるように、制御する。なお、前記二方弁制御部420Cの機能は前記第1実施形態と同様である。
本実施形態のヒートポンプ給湯機1に備えられるエアコン制御部430の機能的構成を図17に示す。図17に示すように、本実施形態では、前記エアコン制御部430は、前記第1実施形態と同様の、ファン制御手段としての室内ファン制御部430Aに加え、検出手段としての実沸上能力算出部430Cと、第2補正手段としての室内ファン回転数補正部430Bとを機能的に備えている。
室内ファン制御部430Aには、前記第1実施形態と同様、前記運転情報と、前記室内温度Trと、前記エアコン設定温度Tconとが入力され、第1実施形態と同様、前記運転情報に対応しつつ、前記室内温度Tr及びエアコン設定温度Tconに応じて、前記室内ファン77に前記室内ファン回転数N1を出力する。このとき特に、室内ファン制御部430Aは、沸上・暖房運転時においては、前記室内ファン回転数補正部430Bによる補正後(後述)の前記室内ファン回転数N1となるように、室内ファン77の回転数を制御する。
実沸上能力算出部430Cには、前記第1実施形態の実沸上能力算出部420Dと同様、前記沸上温度センサ24により検出された前記沸上温度Tbと、前記入水温度センサ23により検出された前記入水温度T1と、前記ポンプ制御部420Aからの前記沸上ポンプ19の目標回転数Npとが入力される。実沸上能力算出部430Cは、少なくとも沸上・暖房運転時において、前記入力された沸上温度Tb、入水温度T1、目標回転数Npに基づき、前記実沸上能力Waを(前記実沸上能力算出部420Dと同様の手法で)算出する。
前記室内ファン回転数補正部430Bには、前記実沸上能力算出部430Cにより算出された前記水冷媒熱交換器15における実沸上能力Waが入力され、沸上・暖房運転時において、入力された前記実沸上能力Waに応じて前記目標回転数N1を補正する(詳細内容は後述)。なお、この補正された後の前記目標回転数は、室内ファン制御部430Aに設けられた第2記憶手段としての補正後回転数記憶部430A1に記憶され、保持される。
なお、ヒーポン制御部410の構成及び機能は前記第1実施形態と同様である。
本実施形態の前記室内ファン回転数補正部430Bによる前記目標回転数N1の補正について、前記の図13及び図18により説明する。前記したように、本実施形態では、前記実沸上能力算出部430Cを設けて前記実沸上能力Waを算出(検出)し、この算出された実沸上能力Waに応じて、前記室内ファン回転数補正部430Bによって前記室内ファン77の目標回転数N1が補正される。
具体的には、図13に示すように、前記検出された前記実沸上能力Waが予め定められた正常範囲(この例では3〜5[kW])の上限値(この例では5[kW])よりも大きかった場合に、前記実沸上能力Waが過剰(過大)であるとみなして、前記実沸上能力Waが前記上限値以下となるように(言い換えれば前記正常範囲内となるように)、前記目標回転数N1の増大補正を行う。これにより、室内熱交換器27の冷媒凝縮能力が増大して液冷媒の割合が増大(冷媒密度が増大)するとともに、水冷媒熱交換器15側の冷媒密度を減少させる。また逆に、前記検出された前記実沸上能力Waが前記正常範囲の下限値(この例では3[kW])よりも小さかった場合に、前記実沸上能力Waが不足(過小)であるとみなして、前記実沸上能力Waが前記下限値以上となるように(言い換えれば前記正常範囲内となるように)、前記目標回転数N1の減少補正を行う。これにより、室内熱交換器27の冷媒凝縮能力が低下してガス冷媒の割合が増大(冷媒密度が減少)するとともに、水冷媒熱交換器15側の冷媒密度を増大させる。
次に、前記の手法を実現するために前記室内ファン回転数補正部430Bが実行する制御手順を、図18のフローチャートにより説明する。
図18において、まずステップS105で、前記第1実施形態の図14のステップS5と同様にして、室内ファン回転数補正部430Bは、ヒートポンプ給湯機1が運転開始状態となったか否かを判定する。運転開始状態となるまではステップS105の判定が満たされず(S105:No)ループ待機し、運転開始状態となるとステップS105の判定が満たされ(S105:Yes)、ステップS110に移る。
ステップS110では、室内ファン回転数補正部430Bは、前記補正後回転数記憶部430A1に補正後の目標回転数N1が記憶(詳細は後述)されているか否かを判定する。記憶されていればステップS110の判定が満たされて(ステップS110:YES)、ステップS115で前記補正後回転数記憶部430A1からその補正後の目標回転数N1を読み出してステップS120に移る。記憶されていなければステップS110の判定が満たされず(ステップS110:NO)、そのままステップS120に移る。
ステップS120では、前記図14の前記ステップS20と同様、室内ファン回転数補正部430Bは、前記実沸上能力算出部430Cにおいて前記の手法によりこの時点で算出されている前記実沸上能力Waを取得する。その後、ステップS125に移る。
ステップS125では、室内ファン回転数補正部430Bは、前記図14の前記ステップS25と同様、前記ステップS120で取得された実沸上能力Waが過剰であるか、すなわち予め定められた正常範囲の上限値(前記の例では5[kW])よりも大きいか否かを判定する。上限値より大きかった場合はステップS125の判定が満たされ(S125:YES)、ステップS130に移る。
ステップS130では、室内ファン回転数補正部430Bは、この時点で室内ファン制御部430Aにより前記のように室内温度Tr及びエアコン設定温度Tconに応じて決定されている前記目標回転数N1を、それまでよりもマイナス側に所定値だけ(例えばマイナス50[rpm]。以下同様)補正する。そして、室内ファン回転数補正部430Bは、この補正後の目標回転数N1を、前記室内ファン制御部430Aに出力する。これにより、室内ファン制御部430Aが、この室内ファン回転数補正部430Bから入力された補正後の目標回転数N1となるように、室内ファン77の回転数を制御する。その後、後述のステップS145に移る。
一方、前記ステップS125において、前記ステップS120で取得された実沸上能力Waが前記上限値以下であった場合はステップS125の判定が満たされず(S125:NO)、ステップS135に移る。
ステップS135では、室内ファン回転数補正部430Bは、前記図14の前記ステップS35と同様、前記ステップS120で取得された実沸上能力Waが過小であるか、すなわち予め定められた正常範囲の下限値(前記の例では3[kW])よりも小さいか否かを判定する。下限値より小さかった場合はステップS135の判定が満たされ(S135:YES)、ステップS140に移る。
ステップS140では、室内ファン回転数補正部430Bは、この時点で室内ファン制御部430Aにより前記のように室内温度Tr及びエアコン設定温度Tconに応じて決定されている前記目標回転数N1を、それまでよりもプラス側に所定値だけ(例えばプラス50[rpm]。以下同様)補正する。そして、室内ファン回転数補正部430Bは、この補正後の目標回転数N1を、前記室内ファン制御部430Aに出力する。これにより、室内ファン制御部430Aが、この室内ファン回転数補正部430Bから入力された補正後の目標回転数N1となるように、室内ファン77の回転数を制御する。その後、後述のステップS145に移る。
一方、前記ステップS135において、前記ステップS120で取得された実沸上能力Waが前記下限値以上であった場合(すなわち前記正常範囲内であった場合)はステップS135の判定が満たされず(S135:NO)、ステップS145に移る。
ステップS145では、前記図14の前記ステップS45と同様にして、ヒートポンプ給湯機1が運転終了状態となったか否かを判定する。室内ファン回転数補正部430Bは、ヒートポンプ給湯機1が前記した待機状態となったか否かを判定する。運転終了状態(すなわち待機状態)となっていない間はステップS145の判定が満たされず(S145:No)、前記ステップS120に戻り、前記したステップS120→ステップS125→・・→ステップS145の流れを繰り返す。ヒートポンプ給湯機1が運転終了状態(すなわち待機状態)となっていた場合はステップS145の判定が満たされ(ステップS145:YES)、ステップS105に戻る。このときのステップS105における前記運転開始状態となったか否かの判定は、前記図14の前記ステップS5と同様、前記待機状態が解除されたか否かの判定である。運転が再開されてステップS105の判定が満たされると前記したステップS105→ステップS110→ステップS115→ステップS120・・の流れを繰り返す。
なお、本実施形態においても、前記第1実施形態と同様、以上の各手順における任意のタイミングで操作者による適宜のヒートポンプ給湯機1の運転終了操作がなされた場合には、このフローは終了され、ヒートポンプ給湯機1が停止する。その際、室内ファン回転数補正部430Bは、その時点での第1目標回転数及び第2目標回転数(ステップS130やステップS140で適宜補正されたもの)を、前記室内ファン制御部430Aに出力し、室内ファン制御部430Aの前記補正後回転数記憶部430A1がその室内ファン回転数補正部430Bから入力された(適宜に補正された)目標回転数N1を記憶する。この結果、これ以降、再度図18のフローが開始されたときには、前記ステップS210の判定が満たされる(ステップS210:YES)ことで、前記ステップS215において前記補正後回転数記憶部430A1からその記憶された(補正済みの)目標回転数が読み出されて使用される。
以上説明したように、本実施形態においても、前記のような制御が行われることにより、第1実施形態と同様、例えば前記実沸上能力Waが過大である場合には室内熱交換器27側への分流比を増大させることができ、前記実沸上能力Waが過小である場合には水冷媒熱交換器15側への分流比を増大させることができる。これにより、前記水冷媒熱交換器15の前記沸上要求能力と前記室内熱交換器27の前記暖房要求能力とに対応した、本来の適正な分流バランスを実現することができる。この結果、前記湯切れや暖房能力不足が生じるのを防止することができる。
また、本実施形態では特に、分流バランスが水冷媒熱交換器15側に偏り水冷媒熱交換器15の実沸上能力Waが過大(すなわち前記正常範囲の上限値超過)となっている場合も、分流バランスが室内熱交換器27側に偏り水冷媒熱交換器15の実沸上能力Waが過小(すなわち前記正常範囲の下限値未満)となっている場合も、前記目標回転数N1の増大・減少補正によって前記実沸上能力Waを前記正常範囲(前記の例では3〜5[kW])内に戻すように制御することで、確実に分流バランスを適正化することができる。
また、本実施形態では特に、補正がなされた後の前記目標回転数N1が(前記の例では前記手動操作による運転終了時に)前記補正後回転数記憶部430A1に記憶される。これにより、それ以降に沸上・暖房運転が行われる場合において、図18の前記ステップS115でその記憶された補正後の目標回転数N1が読み出されることで、前記室内ファン制御部430Aは、その補正後の目標回転数N1となるように室内ファン77の回転数を制御することができる。これを繰り返すことで、いわゆる学習効果によってさらに高精度な分流制御を行うことができるとともに、経年劣化等によるさらなる外部因子の影響に対しても対応することができる。
なお、本発明は上記2つの実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、図11に示したように、配管部25b,25cにおいて沸上・暖房運転の際の水冷媒熱交換器15の上流側に前記二方弁121を配置し下流側に前記膨張弁111を配置すると共に、配管部25d1,25d2,26a,26b,25gにおいて沸上・暖房運転の際の室内熱交換器27の上流側に前記二方弁122を配置し下流側に前記膨張弁112を配置した(図11参照)。
このような配置に対し、例えば図19に示すように、配管部25b,25cにおいて、二方弁121を全閉機能付きの膨張弁121aに入れ替えて配置し、この膨張弁121aで前記のように分流比率を制御したり、配管部25d1,25gにおいて、二方弁122を全閉機能付きの膨張弁122aに入れ替えて配置し、この膨張弁122aで前記のように分流比率を制御するようにしてもよい。あるいは、前記の2つの入れ替えを何れか片方のみ行うようにしてもよい。
さらに、本発明は以上の態様に限定されることなく、例えば、前記二方弁121〜124のうち少なくとも1つを、閉止機能付きの膨張弁で置き換えても良い。また、前記膨張弁111〜113に代え、減圧器としてエジェクターを用いても良い。