JP2018062476A - オレフィンの精製方法、ポリオレフィンの製造方法 - Google Patents

オレフィンの精製方法、ポリオレフィンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】不純物の硫化カルボニルを含有するオレフィンから、より効率高く硫化カルボニルを除去できるオレフィンの精製方法及び硫化カルボニルが除去されたオレフィンを用いるポリオレフィンの製造方法を提供すること。【解決手段】硫化カルボニルを不純物として含むオレフィンを、活性アルミナ、金属酸化物及び水を構成成分とする吸着剤に接触させ、硫化カルボニルを除去することを特徴とするオレフィンの精製方法。前記オレフィンの精製方法により精製されたオレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィンの精製方法及び精製されたオレフィンを用いるポリオレフィンの製造方法に関する。詳しくは、原料オレフィン中に不純物の硫化カルボニルを含有する場合に、硫化カルボニルを除去するオレフィンの精製方法及び硫化カルボニルが除去されたオレフィンを用いるポリオレフィンの製造方法に関する。
ポリオレフィンの原料となるオレフィンには、硫化カルボニル(COS)等の不純物が含有されていることがある。これら不純物はオレフィンの重合において、触媒毒となり、触媒効率の低下といった問題を引き起こす。そのため、これら不純物を除去するための検討が以前より行われてきた。
ガス中のCOSを除去する方法としては、メタノール及びエタノールの製造、オキソ法によるアルデヒド製造、ロジウム触媒を使用するグリコールの製造などに用いられる合成ガスを酸化亜鉛からなり且つアルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物を5重量%以下の濃度で含有する吸着剤床に150〜240℃の温度で接触させる方法が提案されている。しかしながら、ここでの精製対象となる物質はプロピレンでは無く、合成ガスである。またその用途もポリマー原料とは異なる(特許文献1参照)。
炭素数2〜6の炭化水素を液状状態で酸化亜鉛と0〜100℃で接触処理する方法が提案されている(特許文献2参照)。プロピレンを予め液状状態にする操作もしくは条件が必要となるため簡便とはいえず、改善の余地があった。
同様に、プロピレンを液状状態で、かつ、0〜80℃の温度で酸化銅・酸化亜鉛複合酸化物に接触処理させる方法が提案されている(特許文献3参照)。この方法は、プロピレン中に含有されるCO及びCOSを同時に除去することを特徴とするが、プロピレンを液状状態で処理する方法であるため、プロピレンを液状状態にする操作もしくは条件が必要となる。
プロピレンをパラジウム・酸化アルミニウムの複合物に接触させる方法(特許文献4)等が提案されている。この方法はプロピレン中のCOSを除去することを特徴とするが、パラジウムが高価であることから、精製コストが高くなり、工業的に有利な条件とは言えず、改善の余地があった。
特開昭56−151789号公報 特開昭63−60945号公報 特開平5−70375号公報 特開2012−206944号公報
特許文献2、3の方法では、原料オレフィンを液状状態で処理する必要があるため、ポリオレフィンの製造プロセスとして有望な気相重合プロセスへの適用は困難である。さらに、特許文献1から4の方法では、硫化カルボニルの除去能力に改善の余地があった。
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、不純物の硫化カルボニルを含有するオレフィンから、より効率高く硫化カルボニルを除去できるオレフィンの精製方法及び硫化カルボニルが除去されたオレフィンを用いるポリオレフィンの製造方法を提供することを、発明が解決すべき課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、従来技術とは全く異なる視点に立って、種々の吸着剤により、オレフィンから硫化カルボニルを除去する精製手法を勘案試行して、特定の吸着剤を用いることにより、本発明の課題を解決し得ることを見出して、新規なオレフィンの精製方法を創出するに至った。
本発明は、発明の主要な特徴として、活性アルミナ、金属酸化物及び水からなる吸着剤を用いることで、オレフィン中、重合用触媒に対する被毒物質の原因となる不純物としての硫化カルボニルを、従来よりも効率的かつ確実に除去して重合活性を大幅に増大させる手法である。
すなわち、本発明の第一の発明によれば、硫化カルボニルを不純物として含むオレフィンを、活性アルミナ、金属酸化物及び水を構成成分とする吸着剤に接触させ、硫化カルボニルを除去することを特徴とするオレフィンの精製方法が提供される。
また、本発明の別の発明によれば、前記の発明において、前記金属酸化物は、アルカリ金属の酸化物及び/又はアルカリ土類金属の酸化物であることを特徴とするオレフィンの精製方法が、さらに、本発明の別の発明によれば、前記の発明において、前記金属酸化物は、酸化ナトリウムであること特徴とするオレフィンの精製方法が、また、本発明の別の発明によれば、前記の発明において、前記吸着剤は、酸化ナトリウムの含有量が1wt%以上10wt%以下であることを特徴とするオレフィンの精製方法が提供される。
また、本発明の別の発明によれば、前記の発明において、前記吸着剤は、不活性ガス雰囲気下、100〜300℃の温度で前処理されたものであることを特徴とするオレフィンの精製方法が、さらに、本発明の別の発明によれば、前記の発明において、前記吸着剤とオレフィンとの接触温度は、0〜100℃であることを特徴とするオレフィンの精製方法が提供される。
また、本発明の別の発明によれば、前記の発明において、硫化カルボニルを不純物として含むオレフィンは、気相のプロピレンガスであることを特徴とするオレフィンの精製方法が、さらに、本発明の別の発明によれば、前記の発明において、硫化カルボニルを不純物として含むオレフィンは、エチレンであることを特徴とするオレフィンの精製方法が提供される。
また、本発明の別の発明によれば、前記の発明において、オレフィンを、(イ)モレキュラーシーブを構成成分とする吸着剤及び/又は(ロ)金属酸化物を構成成分とする吸着剤に接触させる接触処理を併用することを特徴とするオレフィンの精製方法が提供される。
また、本発明の別の発明によれば、前記の発明により精製されたオレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法を提供する。
本発明によれば、オレフィン中の硫化カルボニルをより効率高く除去することが可能となる。また、原料オレフィンを液状状態で処理する必要がなくなるため、ポリオレフィンの製造プロセスとして有望な気相重合プロセスへの適用が可能となり、低コストで(共)重合体の製造が可能となる。
本発明は、硫化カルボニルを含むオレフィンを、活性アルミナ、金属酸化物及び水を構成成分とする吸着剤に接触させ、硫化カルボニルを除去するオレフィンの精製方法である。 以下においては、本発明を詳細に説明する。
本発明において、硫化カルボニルを除去するとは、必ずしも完全に除去することのみを表すものではない。
〔I〕オレフィン
本発明のオレフィンは、硫化カルボニルを不純物として含むものである。本発明のオレフィンは、ナフサ分解、重質油の流動接触分解等の各種の手段により取得される工業用オレフィンが使用できる。このような工業用エチレンやプロピレン等を含めたオレフィンを、原料オレフィンとして、本発明に供することができる。工業用オレフィンには、通常、一酸化炭素、二酸化炭素、アセチレン、メチルアセチレン、硫化カルボニルを始め多種の不純物が含まれている。
これらオレフィンを精製する際には、オレフィン中に含有される硫化カルボニルは、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは50〜500ppmである。仮に、オレフィン中に1000ppmを超える濃度で硫化カルボニルが含有されている場合には、予め蒸留やPSA(Pressure Swing Adsorption)法等の他の手段によって粗精製して、硫化カルボニルの濃度を1000ppm以下に低下させておくことが望ましい。
本発明による精製後のオレフィン(以下「精製オレフィン」ということがある。)の硫化カルボニルの含有量は、好ましくは体積で0.01〜5ppmであり、より好ましくは0.01〜1ppm、さらに好ましくは0.01〜0.8ppmである。上記範囲にあると、高い重合活性で臭気が少ないオレフィン(共)重合体が得られる。本発明において精製オレフィンとは、後述する活性アルミナ、金属酸化物及び水とからなる吸着剤と接触させる後のオレフィンを指す。
本発明に使用するオレフィンとしては、例えば炭素数2〜40の、直鎖状、分岐状、若しくは環状のオレフィン又はα−オレフィンが挙げられ、具体的にはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−メチル−1.4,5.8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、スチレン、ビニルシクロヘキサン、1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン及びシクロヘキサジエン等が挙げられる。本発明は、エチレン、気相のプロピレンガスを精製するのに好適である。
〔II〕吸着剤
(1)吸着剤の組成
本発明で用いられる吸着剤は、活性アルミナ、金属酸化物及び水とからなる。本発明で用いられる吸着剤は、本発明の効果を著しく損なわない限り、活性アルミナ、金属酸化物及び水以外の成分を含んでいてもよい。
吸着剤を構成する活性アルミナとは、例えば、水酸化アルミナを結晶性の低い多孔質の酸化アルミニウムに転移させて吸着能力を持たせたものをいい、比表面積及び細孔容積が高く、優れた吸着能力を有する。活性アルミナは、市販品を用いてもよいし、公知の方法により製造してもよい。
上記活性アルミナの平均細孔径(直径)は通常1〜100nm、好ましくは1〜80nmである。平均細孔径が上記の範囲であると、硫化カルボニルを含む種々の不純物を効率的に吸着させることができるので好ましい。活性アルミナの平均粒径は特に制限はない。
好ましい活性アルミナとしては、特に制限されるものではないが、γ−アルミナ等が挙げられる。
平均細孔径の測定方法は、窒素吸脱着法による吸着及び脱離等温線の測定等が用いられる。本測定においては、窒素ガスを使用する脱離等温線の測定を用いる。
脱離等温線は相対圧を減少させた場合に得られる曲線である。脱離等温線の方が、吸着等温線に比べて、同一の吸着ガス量に対してより低い相対圧力を示し、結果的により低い自由エネルギー状態を示すために、より真の熱力学的安定に近い状態であると一般的に考えられている。
分析装置としては、カンタークロム社(オートソーブ)、日本ベル社(ベルソープ)、コールター社(40オムニソープ)等の市販品が使用可能である。細孔分布の計算方法としては、BJH法が最も一般的である。
測定方法の一例を以下具体的に示す。温度77Kで、圧力は相対圧P/P(Pは、大気圧である)が0.02〜1の範囲で測定する。BJH法により、横軸を細孔直径(単位:オングストローム,Å)、縦軸に細孔容積の微分値(単位:cm/g)で表現する。測定回数は通常1回で充分である。
吸着剤を構成する金属酸化物は、常温で固体であることが好ましい。
金属酸化物は、好ましくはアルカリ金属の酸化物及び/又はアルカリ土類金属の酸化物である。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、バリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム等が挙げられる。金属酸化物は、より好ましくはアルカリ金属の酸化物であり、さらに好ましくは、酸化ナトリウムである。
本発明で用いられる吸着剤は、活性アルミナと金属酸化物と水の合計100重量%中、通常、活性アルミナ75〜98.9重量%及び金属酸化物1〜10重量%及び水0.1〜15重量%からなる混合物であり、好ましくは活性アルミナ88〜94.9重量%及び金属酸化物5〜10重量%及び水0.1〜2重量%の混合物からなる混合物が好ましい。
(2)吸着剤の形状
本発明において用いられる吸着剤の形状は、特に制限は無く、ペレット状、粉末状、粒状の他、円滴状、円盤状等に成形されたものでもよい。吸着剤の形状は、使用態様に応じて適宜選択すればよく、その大きさも、使用条件に応じて適宜選択できる。
当該吸着剤は、市販品を用いてもよい。ユニオン昭和製CG−731(商品名)等を使用することができる。
(3)吸着剤の前処理(活性化処理)
本発明の活性アルミナ、金属酸化物及び水からなる吸着剤は前処理として加熱活性化処理されていることが好ましい。すなわち、本発明の製造方法は、吸着剤を前処理する工程を含んでいることが好ましい。吸着剤を前処理することにより、オレフィンの精製の効率を高めることができる。吸着剤の前処理(活性化処理)は、吸着剤の結晶崩れの影響が生じない条件で、オレフィンの精製の効率アップのメリットと前処理に要するコストのデメリットを考慮して行うとよい。
前処理の温度は、好ましくは100〜300℃であり、より好ましくは200〜300℃、さらに好ましくは220〜280℃である。前処理の時間は、所定温度到達後、好ましくは0.1〜100時間、より好ましくは0.5〜50時間、さらに好ましくは1〜25時間である。前処理は、不活性ガス雰囲気下、好ましくは不活性ガス流通下で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等が使用できる。
〔III〕接触条件
オレフィンと吸着剤との接触温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜60℃、さらに好ましくは20〜50℃である。前記範囲であると、除去効率、副反応の抑制の観点から好ましい。
オレフィンと吸着剤との接触圧力としては、常圧で行なうことができるが、好ましくは0.2〜5MPa、より好ましくは、0.5〜4MPaの圧力下においても行なうことができる。
オレフィンと吸着剤との接触時間は、オレフィン中の硫化カルボニル濃度、活性アルミナ、金属酸化物及び水からなる吸着剤の使用量、接触温度、接触圧力等により適宜選択される。通常は1分〜100時間である。
オレフィンと吸着剤との接触方法としては、通常はオレフィンをガス状で接触させるが、これに限定されるものではなく、液状で接触させても良い。オレフィンと吸着剤との接触方法としては、通常はオレフィンを流通接触させるが、これに限定されるものではなく、回分接触させてもよい。
活性アルミナ、金属酸化物及び水からなる吸着剤は、通常は充填塔に充填して用いる。充填態様としては、充填塔の構造に応じて適宜選択すればよく、一般的には固定床が用いられるが、移動床、流動床等として充填することもできる。
〔IV〕追加の精製
オレフィンに硫化カルボニル以外の不純物(例えば、HO、CO、CO等)が含まれている場合には、当該吸着剤を充填した充填塔の前後に別途、モレキュラーシーブ、金属酸化物等を構成成分とする吸着剤及び精製触媒を充填した充填塔を併用しそれらの不純物を除去することができる。
活性アルミナ、金属酸化物及び水からなる吸着剤と併用する、追加可能な吸着剤及び精製触媒としては、モレキュラーシーブ(MS)3A,4A,5A,13X等の合成ゼオライト、酸化銅、酸化亜鉛等の金属酸化物、パラジウム等の貴金属原子を担持した吸着剤及び精製触媒等が挙げられる。
具体的には、活性アルミナ、金属酸化物及び水からなる吸着剤の接触と、追加可能な吸着剤及び精製触媒の接触という、いわゆる併用接触による実施態様の例を示すと以下のとおりになる。
(1)モレキュラーシーブに接触後、活性アルミナ、金属酸化物及び水からなる吸着剤に接触
(2)金属酸化物又は金属酸化物の複合酸化物に接触後、活性アルミナ、金属酸化物及び水からなる吸着剤に接触
(3)活性アルミナ、金属酸化物及び水からなる吸着剤に接触後、金属酸化物又は金属酸化物の複合酸化物に接触
(4)金属酸化物又は金属酸化物の複合酸化物に接触後、活性アルミナ、金属酸化物及び水からなる吸着剤に接触、次いで金属酸化物又は金属酸化物の複合酸化物に接触
追加可能な吸着剤及び精製触媒による接触処理は、オレフィンに含まれる不純物は何であるか等の性状を考慮して種々の組み合わせの変更及び回数等を、任意に多段に設定できる。
というのも、活性アルミナ、金属酸化物及び水からなる吸着剤による接触は、主に硫化カルボニルの含有量を順次低下させるのに対して、この追加可能な吸着剤及び精製触媒は、例えばそれ以外の有機化合物又は無機化合物(例えば、HO、CO)のような不純物を順次低下させることにも有益であり、全体のあらゆる不純物を除去することにより、重合活性を全体的に維持又は向上するために有用である。
ということは、オレフィンを、活性アルミナ、金属酸化物及び水からなる吸着剤による接触前後に、モレキュラーシーブに接触、金属酸化物又は金属酸化物の複合酸化物等で接触する併用接触も有益である。また、追加可能な吸着剤及び精製触媒部分を任意に多段に併設すること、その接触前後を任意に変えるいずれの態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
〔V〕オレフィン重合体の製造方法
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、前記オレフィンの精製方法で得られる精製オレフィンを、オレフィン重合用触媒によって重合するものである。ここで、オレフィンの重合には、前記精製オレフィンのみを用いることに限られず、任意にその他のオレフィンを併用してもよい。
(1)オレフィン重合用触媒
オレフィン重合用触媒としては、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒、ポストメタロセン触媒等が挙げられる。
(i)チーグラー・ナッタ触媒
チーグラー・ナッタ触媒の例としては、下記の触媒成分(A)、触媒成分(B)を含む触媒が挙げられる。
触媒成分(A):チタン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分として含有する固体成分(A1)
触媒成分(B):有機アルミニウム化合物
触媒成分(A)は、チタン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分として含有する固体成分(A1)に、必要に応じて成分(A2)、成分(A3)又は成分(A4)を接触させてなるものである。
固体成分(A1)は、チタン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分として含有する固体成分である。任意成分として電子供与体等を含有することができる。ここで、「必須成分として含有する」ということは、挙示の三成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で任意の成分を任意の形態で含んでもよいということを示すものである。チタン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分として含有する固体成分は公知のものである。
成分(A2)としては、特開平3−234707号公報及び特開2003−292522号公報に開示されたビニルシラン化合物等を用いることができる。ビニルシラン化合物はモノシラン(SiH)の水素原子の少なくとも一つがビニル基類で置換され、残りの水素原子の一部ないし全部がその他の遊離基に置き換えられた構造を持つ化合物であり、下記一般式(1)で表すことができる。
[CH=CH−]SiX (OR・・・(1)
(一般式(1)中、Xはハロゲン、Rは水素又は炭化水素基、Rは水素、炭化水素基又は有機ケイ素基を表す。a≧1,0≦b≦3,0≦c≦3,0≦d≦2,a+b+c+d=4である。)
ビニルシラン化合物は単独で用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。
成分(A3)としては、アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A3a)、少なくとも二つのエーテル結合を有するエーテル化合物(A3b)が挙げられる。
アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A3a)としては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることができる。一般的には、下記一般式(2)にて表される化合物を用いることが望ましい。
Si(OR・・・(2)
(一般式(2)中、Rは炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基、Rは水素、ハロゲン、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基、Rは炭化水素基を表す。0≦f≦2,1≦g≦3,f+g=3である。)
有機ケイ素化合物は単独で用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。
少なくとも二つのエーテル結合を有するエーテル化合物(A3b)としては、特開平3−294302号公報及び特開平8−333413号公報に開示された化合物等を用いることができる。一般的には、下記一般式(3)にて表される化合物を用いることが望ましい。
O−C(R−C(R−C(R−OR・・・(3)
(一般式(3)中、R及びRは水素、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基、Rは炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基を表す。)
少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物は単独で用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。
成分(A4)としては、特開2004−124090号公報に開示された有機アルミニウム化合物等を用いることができる。一般的には、下記一般式(4)にて表される化合物を用いることが望ましい。
AlX(OR10・・・(4)
(一般式(4)中、Rは炭化水素基、Xはハロゲン又は水素、R10は炭化水素基又はAlによる架橋基を表す。h≧1、0≦i≦2、0≦j≦2、h+i+j=3である。)
有機アルミニウム化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、メチルアルミノキサン等を挙げることができる。中でも、トリエチルアルミニウムが好ましい。有機アルミニウム化合物は単独の化合を用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。
触媒成分(A)は、(A1)、(A2)、(A3)、(A4)の各構成成分を、例えば、接触温度を−50〜200℃程度、好ましくは−10〜100℃、より好ましくは0〜70℃、さらに好ましくは10℃〜60℃として、回転ボールミルや振動ミル等の機械的な方法又は不活性希釈剤の存在下に撹拌により接触させる方法、好ましくは不活性希釈剤の存在下に撹拌により接触させる方法等により接触させることによって得ることができる。
触媒成分(B)の有機アルミニウム化合物としては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることができる。好ましくは、触媒成分(A)を調製する際に用いることができる成分(A4)の有機アルミニウム化合物における例示と同じ群から選択することができる。この際、触媒成分(B)の有機アルミニウム化合物と成分(A4)の有機アルミニウム化合物は、同一であっても異なってもよい。また、単独の化合を用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。
触媒成分(B)の有機アルミニウム化合物の具体例としては、一般式(5)で表されるものである。
11 AlX(OR12 ・・・(5)
(一般式(5)中、R11及びR12は炭素数2〜10の炭化水素基、Xはハロゲン又は水素原子を表す。k≧1、0≦m≦2、0≦n≦2、k+m+n=3である。)
触媒成分(B)の例としてはトリエチルアルミニウムが挙げられる。
触媒成分(B)の使用量は、触媒成分(A)を構成するチタン原子に対するモル比(有機アルミニウム化合物のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは1〜1,000であり、より好ましくは10〜500である。
(ii)メタロセン触媒
メタロセン触媒の例としては、一般に、共役五員環配位子を有する周期表第4〜6族の遷移金属化合物からなるメタロセン錯体(W)、助触媒(X)を含む触媒が挙げられる。
メタロセン錯体(W)としては、代表的なものとして共役五員環配位子を有する周期表第4〜6族の遷移金属化合物のメタロセン錯体が挙げられる。これらのうち、下記一般式(1)で表される架橋メタロセン錯体であることが好ましい。
Figure 2018062476
式(1)中、Mは、周期表第4〜6族から選ばれる遷移金属の金属原子である。F及びGは、補助配位子であり、助触媒(X)と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させるものである。E及びE‘は、置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基又はアズレニル基である。Qは、EとE‘を架橋する基である。E及びE‘は、さらに副環上に置換基を有していてもよい。
E及びE‘としては、インデニル基又はアズレニル基が好ましく、特にアズレニル基が好ましい。
Qは、二つの共役五員環等の配位子間を任意の位置で架橋する結合性基を表し、アルキレン基、シリレン基又はゲルミレン基であるのが好ましい。
Mは、周期表第4〜6族から選ばれる遷移金属の金属原子、好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等である。ジルコニウム又はハフニウムが好ましい。
F及びGは、補助配位子であり、助触媒(X)と反応して、オレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させ、したがって、この目的が達成される限りF及びGは、配位子の種類が制限されるものではなく、各々水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基等が例示できる。これらのうち好ましいものは炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子である。
助触媒(X)は、メタロセン錯体(W)を活性化する成分で、メタロセン錯体の補助配位子と反応して当該錯体を、オレフィン重合能を有する活性種に変換させ得る化合物であり、具体的には、下記(X−1)〜(X−4)のものが挙げられる。
(X−1)アルミニウムオキシ化合物
(X−2)メタロセン錯体(W)と反応して、メタロセン錯体(W)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物又はルイス酸
(X−3)固体酸
(X−4)イオン交換性層状珪酸塩
助触媒(X)は、pKaが−8.2以下の酸点を持ち、その量がそれを中和するために助触媒(X)1g当たり、2,6−ジメチルピリジンを0.001ミリモル以上要するものであることが好ましく、さらに好ましくは0.01ミリモル以上のものである。
pKaが−8.2以下の酸点の量は、特開2002−53609号公報に記載の方法で測定する。
ここで、酸とは、物質の分類のカテゴリーの一つであり、ブレンステッド酸又はルイス酸である物質を指すと定義する。また、酸点とはその物質が酸としての性質を示す構成単位であると定義し、その量は、滴定法等の分析手段により、単位重量当たりの中和に要する2,6−ジメチルピリジン量のモル量で把握される。pKaが−8.2以下の酸点は、「強酸点」と呼ばれる。
本発明で用いる助触媒(X)は、強い酸点を特定量以上含有することによって重合活性が格段に向上する。
(X−1)のアルミニウムオキシ化合物がメタロセン錯体を活性化できることは、周知であり、そのような化合物としては、具体的には次の一般式(2)〜(4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2018062476
上記の(2)〜(4)の各一般式中、Rは、水素原子又は炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10、中でも炭素数1〜6の炭化水素基を示す。また、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。また、pは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。
上記一般式のうち、(2)及び(3)で表される化合物は、アルミノキサンとも称される化合物であって、これらの中では、メチルアルミノキサン又はメチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。上記のアルミノキサンは、各群内及び各群間で複数種併用することも可能である。そして、上記のアルミノキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。
上記一般式(4)で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと、一般式:RB(OH)で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。一般式中、R及びRは、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基を示す。
(X−2)の化合物は、メタロセン錯体(W)と反応して、メタロセン錯体(W)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物又はルイス酸であり、このようなイオン性化合物としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオン等の陽イオンと、トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等の有機ホウ素化合物との錯化物等が挙げられる。
また、上記のようなルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等が例示される。さらに、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム等の金属ハロゲン化物等が例示される。
なお、上記のルイス酸のある種のものは、メタロセン錯体(W)と反応して、メタロセン錯体(W)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。
(X−3)の固体酸としては、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、モリブデン酸、ニオブ酸、チタン酸、タングステン酸やこれらの複合酸、ヘテロポリ酸等が挙げられる。
(X−4)のイオン交換性層状化合物は、粘土鉱物の大部分を占めるものであり、好ましくはイオン交換性層状珪酸塩である。
イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に「珪酸塩」と略記する場合がある。)は、イオン結合等によって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、かつ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)が含まれることが多いが、それらを含んでいてもよい。
珪酸塩は、各種公知のものが使用できる。具体的には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族;バーミキュライト等のバーミキュライト族;雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族;パイロフィライト、タルク等のパイロフィライト−タルク族;Mg緑泥石等の緑泥石族、セピオライト、パリゴルスカイト等である。
珪酸塩は、上記の混合層を形成した層状珪酸塩であってもよい。主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であるのが好ましく、スメクタイト族であることがより好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。
珪酸塩については、天然品又は工業原料として入手したものは、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すのが好ましい。具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。好ましくは酸処理である。これらの処理を互いに組み合わせて用いてもよい。これらの処理条件には特に制限はなく、公知の条件が使用できる。
また、これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常、吸着水及び層間水が含まれるため、不活性ガス流通下で加熱脱水処理する等して、水分を除去してから使用するのが好ましい。なお、これらの化学処理の程度によってはイオン交換性が小さくなっている場合があるが、化学処理前の原料がイオン交換性層状珪酸塩であれば、特に問題ない。
メタロセン触媒は、担体に担持して用いることができる。メタロセン触媒において用いられる担体としては、各種公知の無機又は有機の微粒子状固体を挙げることができる。
無機固体の例示としては、多孔質酸化物が挙げられ、必要に応じて100〜1,000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して用いられる。
具体的には、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO等、又はこれらの混合物、例えばSiO−MgO、SiO−Al、SiO−TiO、SiO−V、SiO−Cr、SiO−TiO−MgO等が挙げられる。これらのうち、SiO又はAlを主成分とするものが好ましい。
また、上記助触媒(X)が固体のものであれば、担体兼助触媒として使用することが可能であり、かつ好ましい。担体兼助触媒の具体例としては、(X−3)固体酸や(X−4)イオン交換性層状珪酸塩等が挙げられる。共重合体の粒子性状を向上させるためには、各種公知の造粒を行うのが好ましい。
有機の微粒子状固体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体、ビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)重合体等の固体を例示することができる。
担体の平均粒径は、通常5〜300μm、好ましくは10〜200μm、より好ましくは30〜100μmである。担体の比表面積は、通常50〜1,000m/g、好ましくは100〜500m/gである。担体の細孔容積は、通常0.1〜2.5cm/g、好ましくは0.2〜0.5cm/gである。
また、担体兼助触媒として使用する助触媒(X)についても上記と同じ範囲の平均粒径及び比表面積のものが好ましい。
メタロセン錯体(W)と助触媒(X)と担体の接触において、接触順番に制限は無いが、例えば、下記のような方法がある。
(i)メタロセン錯体(W)と助触媒(X)を接触させた後に、担体を接触させる。
(ii)メタロセン錯体(W)と担体を接触させた後に、助触媒(X)を接触させる。
(iii)担体と助触媒(X)を接触させた後に、メタロセン錯体(W)を接触させる
(なお、イオン交換性層状珪酸塩等の固体の助触媒を担体兼助触媒として使用する場合、担体と助触媒(X)は、もともと接触担持されていることになるため、この接触順番となる)。
(iv)メタロセン錯体(W)と助触媒(X)と担体を、同時に接触させる。
この中で好ましいのは(iii)の順番である。
また、必要に応じて、有機アルミニウム化合物を使用することができる。有機アルミニウム化合物を使用する場合についても、上記のいずれの段階で有機アルミニウム化合物を接触させてもよい。好ましくは、担体と助触媒(X)を接触させた後に、有機アルミニウム化合物を接触させ、その後、メタロセン錯体(W)を接触させる方法である。
メタロセン錯体(W)と有機アルミニウム化合物を接触させる(その場合、助触媒(X)が存在していてもよい)温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜80℃、特に好ましくは30〜60℃である。この温度範囲より低い場合は、反応が遅くなるし、また、高い場合は、メタロセン錯体(W)の分解反応が進行する。
また、メタロセン錯体(W)と有機アルミニウム化合物を接触させる(その場合、助触媒(X)が存在していてもよい)場合には、有機溶媒を溶媒として存在させるのが好ましい。この場合のメタロセン錯体(W)の有機溶媒中での濃度は、高い方が良く、好ましくは3mM以上、より好ましくは4mM以上、特に好ましくは6mM以上である。
上記の触媒成分のうちメタロセン錯体(W)と助触媒(X)の使用量は、それぞれの組み合わせの中で最適な量比で用いられる。
助触媒(X)がアルミニウムオキシ化合物の場合は、Al/遷移金属のモル比は、通常10〜100,000、好ましくは100〜20,000、より好ましくは100〜10,000である。一方、助触媒(X)としてイオン性化合物又はルイス酸を用いた場合は、対遷移金属のモル比は、0.1〜1,000、好ましくは1〜100、より好ましくは2〜10である。
(iii)予備重合
オレフィン重合用触媒は、(共)重合体の粒子性状の改良のために、予めオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合して用いることが好ましい。予備重合に使用するオレフィンは、特に限定はないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等を使用することが可能であり、特にプロピレンを使用するのが好ましい。
予備重合時のオレフィンの供給方法は、オレフィンを反応槽に定速的に又は定圧状態になるように維持する供給方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせる等、任意の方法が可能である。
予備重合時間は、特に限定されないが、5分〜24時間であるのが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量がオレフィン重合用触媒1重量部に対し、好ましくは0.01〜100重量部、より好ましくは0.1〜50重量部である。予備重合を終了した後に、触媒の使用形態に応じ、そのまま使用することが可能であるが、必要ならば乾燥を行ってもよい。
予備重合温度は、特に制限されないが、通常0℃〜100℃、好ましくは10〜70
℃、より好ましくは20〜60℃、である。この範囲を下回ると反応速度が低下したり、活性化反応が進行しないという弊害が生じる可能性があり、上回ると予備重合ポリマーが溶解したり、予備重合速度が速すぎて粒子性状が悪化したり、副反応のため活性点が失活するという弊害が生じる可能性がある。
予備重合時には、有機溶媒等の液体中で予備重合を実施することもでき、むしろそうするのが好ましい。予備重合時の固体触媒の濃度は、特に制限されないが、好ましくは50g/L以上、より好ましくは60g/L以上、特に好ましくは70g/L以上である。濃度が高い方が触媒の活性化が進行し、高活性触媒となる。
さらに、上記各成分の接触の際、又は接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の重合体やシリカ、チタニア等の無機酸化物固体を共存させることも可能である。
(2)オレフィンの重合
オレフィンの重合は、オレフィン重合用触媒とモノマーが効率良く接触するならば、あらゆる様式の方法を採用することができる。具体的な重合形態として、炭化水素溶媒を用いるスラリー重合、液化させたモノマー中でのバルク重合、又は実質的に溶媒を用いない気相重合等に適用される。
スラリー重合の場合、重合溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素溶媒が用いられる。
重合反応は連続式重合、半連続式重合、回分式重合に適用される。さらに、重合反応は反応条件の異なる二段以上分けて行う多段重合法も可能である。
重合時の条件としては、重合温度は、通常、30〜150℃、好ましくは50〜100℃、である。また、重合圧力は、常圧〜5MPa、好ましくは常圧〜4MPaである。本発明の重合時にはポリマーの分子量を調節する目的で水素を用いることができる。
また、用いられるモノマーとしては、活性アルミナ、金属酸化物及び水とからなる吸着剤と接触させ、硫化カルボニルを除去した精製オレフィンを使用するが、それだけには限定されず、本発明の効果を損なわない範囲で、他の精製方法によって精製されたモノマー、精製していないモノマーを付加的に使用することもできる。用いられるモノマーとしては、エチレン、プロピレン単独の場合だけでなく、エチレン及びプロピレンと共重合可能なモノマー、例えば共重合において、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等も使用することができる。
本発明のオレフィン(共)重合体の製造方法としては、具体的には、活性アルミナ、金属酸化物及び水とからなる吸着剤と接触させ、硫化カルボニルを除去した精製エチレンを重合して、エチレン単独重合体を製造する方法、活性アルミナ、金属酸化物及び水とからなる吸着剤と接触させ、硫化カルボニルを除去した精製プロピレンを重合して、プロピレン単独重合体を製造する方法、活性アルミナ、金属酸化物及び水とからなる吸着剤と接触させ、硫化カルボニルを除去した精製エチレンと活性アルミナ、金属酸化物及び水とからなる吸着剤と接触させ、硫化カルボニルを除去した精製プロピレンとを共重合して、エチレン・プロピレン共重合体を製造する方法、活性アルミナ、金属酸化物及び水とからなる吸着剤と接触させ、硫化カルボニルを除去した精製エチレンと他の精製方法によって精製された又は精製していないプロピレンとを共重合して、エチレン・プロピレン共重合体を製造する方法、活性アルミナ、金属酸化物及び水とからなる吸着剤と接触させ、硫化カルボニルを除去した精製プロピレンと他の精製方法によって精製された又は精製していないエチレンとを共重合して、エチレン・プロピレン共重合体を製造する方法等が挙げられる
(3)オレフィン(共)重合体
本発明において、オレフィン(共)重合体とは、オレフィン単独重合体、オレフィン共重合体等を表す。
本発明において、オレフィン(共)重合体として、エチレン含有量が6wt%以下、好ましくは0.2〜5wt%のエチレン・プロピレン共重合体とすることができる。ここで、モノマーであるエチレン及びプロピレンは、少なくとも一方が、活性アルミナ、金属酸化物及び水とからなる吸着剤と接触して精製されている。
本発明のオレフィン(共)重合体は、230℃、荷重2.16kgのメルトフローレート(MFR)(g/10min)は、0.1〜1,000程度のものが任意に重合できる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の実施例と比較例との対照において、本発明の構成要件の合理性と有意性及び本発明の卓越性を実証するものである
[実施例1]
標準ガスとして、硫化カルボニル100ppm含有のヘリウムガスをプロピレンガスにて希釈し、硫化カルボニルを10ppm含むプロピレンガスを調製した。
吸着剤(精製触媒)としてユニオン昭和製GC−731を用い、吸着剤0.3gを内径7mm、長さ52mmのSUS304製のカラムに仕込み、240℃、Heガス流通下で前処理を行った。吸着剤の組成は、アルミナ92.5%、酸化ナトリウム7.2%、水0.1%、残部0.2%であった。その後、吸着剤に、30℃にて60cc/minの速度で10分間硫化カルボニル含有の標準ガスを流した。10分経過時の通過ガスをサンプリングボトルに採取し、He気流下、on−lineでGC/MSへ導入した。GCカラムとしてパックドカラム(shincarbonST)を用いた。吸着剤通過後のガス中の硫化カルボニル濃度を表1に示す。
[比較例1]
吸着剤(精製触媒)として、パラジウム、酸化アルミニウムを構成成分とする0.5%Pdアルミナペレット(エヌ・イーケムキャト製)を用いた以外は、実施例1と同様に実験を行った。
[比較例2]
吸着剤(精製触媒)として、酸化銅、酸化亜鉛を構成成分とするN218(日揮触媒化成製)を用いた以外は、実施例1と同様に実験を行った。
Figure 2018062476
この結果、上記表1から明らかなように、本発明のオレフィンの精製方法を用いた実施例1では、硫化カルボニルの濃度を大幅に下げることができる。
一方、比較例1,2においては硫化カルボニルの濃度を満足に下げることができない。
以上の本発明の実施例と比較例との対照において、本発明の構成要件の合理性と有意性及び本発明の卓越性が実証されている。
本発明の精製方法は、オレフィン中の硫化カルボニルを簡便かつ極めて効率的に除去できる。そのため、精製されたオレフィンは重合体製造用原料として使用した場合に、重合用触媒、特にメタロセン触媒の被毒が極めて少ないため、飛躍的に安定した触媒効率での生産が可能となる。使用する触媒の持続性が高く維持できるため、ポリプロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、プロピレンブロック共重合体等々の製造や、プロピレンを接触反応原料として用いる有機化合物(例えばフェノールやアクリル酸等々)の製造におけるコストを大幅に低減できる。重合用モノマー材料や接触反応原料としての利用が格段に広がる。

Claims (10)

  1. 硫化カルボニルを不純物として含むオレフィンを、活性アルミナ、金属酸化物及び水を構成成分とする吸着剤に接触させ、硫化カルボニルを除去することを特徴とするオレフィンの精製方法。
  2. 前記金属酸化物は、アルカリ金属の酸化物及び/又はアルカリ土類金属の酸化物であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィンの精製方法。
  3. 前記金属酸化物は、酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載のオレフィンの精製方法。
  4. 前記吸着剤は、酸化ナトリウムの含有量が1wt%以上10wt%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィンの精製方法。
  5. 前記吸着剤は、不活性ガス雰囲気下、100〜300℃の温度で前処理されたものであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のオレフィンの精製方法。
  6. 前記吸着剤とオレフィンとの接触温度は、0〜100℃であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のオレフィンの精製方法。
  7. 硫化カルボニルを不純物として含むオレフィンは、気相のプロピレンガスであることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のオレフィンの精製方法。
  8. 硫化カルボニルを不純物として含むオレフィンは、エチレンであることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のオレフィンの精製方法。
  9. 精製方法として、オレフィンを、(イ)モレキュラーシーブを構成成分とする吸着剤及び/又は(ロ)金属酸化物を構成成分とする吸着剤に接触させる接触処理を併用することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載のオレフィンの精製方法。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれかに記載のオレフィンの精製方法により精製されたオレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
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