JP2003183308A - α−オレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

α−オレフィン重合体の製造方法

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JP2003183308A
JP2003183308A JP2001382506A JP2001382506A JP2003183308A JP 2003183308 A JP2003183308 A JP 2003183308A JP 2001382506 A JP2001382506 A JP 2001382506A JP 2001382506 A JP2001382506 A JP 2001382506A JP 2003183308 A JP2003183308 A JP 2003183308A
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polymerization
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olefin polymer
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JP2001382506A
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Kiyoshi Yugawa
潔 湯川
Toshihiko Sugano
利彦 菅野
Masaaki Ito
正顕 伊藤
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Japan Polychem Corp
Original Assignee
Japan Polychem Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】メタロセン触媒の存在する重合反応器にお
いてα−オレフィンを重合し、未反応のα−オレフィン
を該重合反応器に循環する工程を含むα−オレフィン重
合体の製造方法において、該重合反応器に供給する
(1)新規α−オレフィン中の水素濃度を0.01〜1
0ppmに、(2)循環α−オレフィン中の水素濃度を
0.01〜1000ppmに、かつ(3)該重合反応器
中の水素濃度を10〜5000ppmに制御することを
特徴とするα−オレフィン重合体の製造方法。 【効果】所望のメルトフローレート(又は分子量)を有
する重合体を安定かつ効率的に製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メタロセン触媒を
用いるα−オレフィン重合体の製造方法に関する。詳し
くは本発明は、メタロセン触媒を使用した循環系を有す
るα−オレフィンの連続重合法において、特定箇所の水
素濃度を同時に制御することにより所望のメルトフロー
レートを有する重合体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】α−オレフィンの重合触媒として、チタ
ン、バナジウムなどの遷移金属化合物をハロゲン、マグ
ネシウムを含む酸化物又はシリカ等に担持させ、これを
有機アルミニウム化合物と組み合わせたチーグラー型触
媒、並びにシクロペンタジエンを配位子とするジルコニ
ウム、ハフニウムなどのメタロセン系触媒を有機アルミ
ニウムオキシ化合物と組み合わせたメタロセン触媒が知
られている。これらの触媒を使用してα−オレフィンを
重合する方法において、得られる重合体の重要な製品指
標の一つにメルトフローレート(MFR)がある。これ
を制御する方法として、通常、反応温度、α−オレフィ
ン濃度、水素濃度などを調節する。チーグラー型触媒に
比べてメタロセン触媒では、少ない水素濃度で重合を行
ない、僅かな水素濃度の変化により製品MFRが大きく
変化するとされる。
【0003】メタロセン触媒は水素の分子量に対する影
響が大きいため、実用的な分子量のポリマーを確保する
ためには、低水素濃度下での重合を行う必要があること
は一般に知られている。しかしながら、商業プラントに
おける原料α-オレフィンモノマーは、特にエチレンに
ついては、重合被毒物となるアセチレンやジエン類を水
添によって除去するのが一般的であるので、過剰の水素
が添加されている場合が多い。残留する未反応水素の濃
度は、これまでのチーグラー型触媒では問題にならない
が、メタロセン触媒では高すぎ、所望の分子量のポリマ
ーが得られない場合がある。また、一旦重合に使用され
た後の回収未反応モノマー中には水素が含まれており、
再度重合に使用する際には、その水素濃度を考慮する必
要がある。さらにメタロセン触媒は重合時に水素を発生
することが知られており、その発生水素量が無視できな
い場合が多い。これらの水素を極力抑え、できれば水素
を積極的にフィードして、重合槽内の水素濃度をコント
ロールして、重合を行うことが望ましいと考えられる。
【0004】水素濃度を調節する方法として、重合装置
内に存在する水素の少なくとも一部を選択的に除去する
方法が提案されている(特開平9-216913号公報)。該方
法によれば、反応器にバイパス系を有する外部循環ライ
ンを設け、該ライン中に接触水素化能を持つ触媒が充填
される。実施例においては循環ガスから99.5%の水
素が除去され、系内の水素濃度は0.02体積%に保持
されたと記載されている。しかしながら、反応器に新た
に供給されるエチレン中の水素濃度、循環ガス中の水素
濃度は、明らかではない。
【0005】水素濃度を調節する別の方法として、重合
装置内のガスの少なくとも一部を抜き出し、該抜き出し
たガス中の水素をオレフィンに付加させて該ガスを水素
化処理し、その後前記水素化処理後のガスを再び重合反
応器に供給して、重合反応器内の水素濃度を低下させる
方法が提案されている(特開平10-204123号公報)。実
施例によれば、循環ガスの全流量の4%を取り出して処
理し、重合反応器内の水素濃度が0.6%から0.3%
に低下したと記載されている。しかしながら、反応器に
新たに供給される原料オレフィン中の水素濃度、循環ガ
ス中の水素濃度は、明らかではない。
【0006】また、特開平9-95511号公報には、特定の
触媒を用いるポリオレフインの気相重合法において、ポ
リオレフインの分子量を調節する方法が提案されてい
る。それによれば、反応系内に存在する水素とオレフィ
ン類の総和とのモル比が0.1×10-4〜15×10-4
の範囲になるように、反応器内の水素濃度を調節すると
される。しかしながら、反応器に新たに供給される原料
オレフィン中の水素濃度、循環ガス中の水素濃度につい
て、触れるところがない。
【0007】また、特開2000-44612号公報には、メタロ
セン触媒を用いるエチレンを主成分とするオレフィンの
気相重合において、反応器に供給する水素濃度及び炭素
数3〜8の飽和炭化水素濃度を特定値に調節する方法が
記載され、水素濃度/エチレン濃度は、10〜2000
ppmである旨請求項2に記載されている。実施例によ
れば、循環ガス中の水素濃度は、88〜220ppmで
あり、高い水素濃度条件を特徴としている。しかし原料
ガスに対する水素濃度や循環ガス中の水素濃度を同時に
制御することについては記載されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、メタ
ロセン触媒を使用した循環系を有するα−オレフィンの
連続重合法において、未反応α-オレフィンを有効に回
収し、所望のメルトフローレートあるいは分子量を有す
る重合体を効率的に製造することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、メタロセ
ン触媒の存在する重合反応器においてα−オレフィンを
重合し、未反応のα−オレフィンを該重合反応器に循環
する工程を含むα−オレフィン重合体の製造方法におい
て、所望のメルトフローレート(又は分子量)を有する
重合体を安定かつ効率的に製造すべく種々検討を重ねた
結果、重合系の3点における水素濃度を同時に特定範囲
に制御することにより前記目的が達成されることを知得
し、本発明に到達した。
【0010】即ち、本発明は、メタロセン触媒の存在す
る重合反応器においてα−オレフィンを重合し、未反応
のα−オレフィンを該重合反応器に循環する工程を含む
α−オレフィン重合体の製造方法において、該重合反応
器に供給する(1)新規α−オレフィン中の水素濃度を
0.01〜10ppmに、(2)循環α−オレフィン中
の水素濃度を0.01〜1000ppmに、かつ(3)
該重合反応器中の水素濃度を10〜5000ppmに制
御することを特徴とするα−オレフィン重合体の製造方
法に存する。
【0011】
【発明の実施の形態】1.メタロセン触媒 まず本発明において、α-オレフィンの重合触媒として
メタロセン触媒が使用される。メタロセン触媒としては
公知の触媒が使用できるが、例えば以下に述べる成分
[A]、[B]、及び必要に応じて使用する[C]を組
み合わせて得られるものを挙げることができる。 成分[A]メタロセン錯体:共役五員環配位子を少なく
とも一個有する周期表第4〜6族の遷移金属化合物 成分[B]助触媒:メタロセン錯体[A]と反応させる
ことにより、該メタロセン錯体[A]を活性化すること
のできる化合物 成分[C]有機アルミニウム化合物
【0012】メタロセン触媒は、担体に担持又は不担持
で使用できるが、担持型のメタロセン触媒を使用するこ
とが好ましい。メタロセン触媒を担持する担体の具体例
としては、シリカ、アルミナ等の無機酸化物もしくはポ
リプロピレン系重合体等の有機物を挙げることができ、
成分[A]を粉末状体に担持したもの、あるいは必要に
応じてさらに成分[C]有機アルミニウム化合物と接触
させたものなどが挙げられる。また、予備重合処理がさ
れていても、されていなくてもよい。担持メタロセン触
媒の特に好ましい例としては、担体が助触媒の機能を兼
ねたイオン交換性層状ケイ酸塩であるものが挙げられ
る。具体的には、以下に述べる成分[A]、成分
[B]、及び必要に応じて添加される成分[C]を組み
合わせて得られる。 成分[A]メタロセン錯体:共役五員環配位子を少なく
とも一個有する周期表第4〜6族の遷移金属化合物 成分[B]助触媒:イオン交換性層状ケイ酸塩 成分[C]有機アルミニウム化合物
【0013】上記の成分[A]としては、具体的には、
次の一般式[1]で表される化合物を使用することがで
きる。 Q(C54-a1 a)(C54-b2 b)MXY [1] 上記の一般式[1]において、Qは二つの共役五員環配
位子を架橋する結合性基を表す。Mは周期表第4〜6族
遷移金属を表し、中でもチタン、ジルコニウム、ハフニ
ウムが好ましい。XおよびYは、それぞれ独立して、水
素、ハロゲン基、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数
1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素
含有炭化水素基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基
または炭素数1〜20の珪素含有炭化水素基を示す。R
1およびR2はそれぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化
水素基、ハロゲン基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭
化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、珪素含有
炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基
またはホウ素含有炭化水素基を示す。また、隣接する2
個のR1または2個のR2がそれぞれ結合してC4〜C10
環を形成していてもよい。aおよびbは、0≦a≦4、
0≦b≦4を満足する整数である。
【0014】2個の共役五員環配位子の間を架橋する結
合性基Qは、例としてアルキレン基、アルキリデン基、
シリレン基、ゲルミレン基等が挙げられる。これらは水
素原子がアルキル基、ハロゲン等で置換されたものであ
ってもよい。結合性基Qはなくともよい。メタロセン錯
体として、具体的には次の化合物を挙げることができ
る。 (1)メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムジクロリド (2)イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)
(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムジクロリド (3)メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロ
リド (4)エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニ
ル)ジルコニウムジクロリド (5)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テ
トラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロ
リド (6)ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラ
ヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド (7)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オ
クタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド (8)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,
5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド (9)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−
(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコ
ニウムジクロリド (10)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4
−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロ
リド (11)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4
−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド (12)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4
−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロ
リド (13)ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)
(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド また、チタニウム化合物、ハフニウム化合物などの他の
第4、5、6族遷移金属化合物についても上記と同様の
化合物が挙げられる。本発明の触媒成分および触媒につ
いては、これらの化合物を併用してもよい。
【0015】成分[B]イオン交換性層状ケイ酸塩は、
天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。イ
オン交換性層状ケイ酸塩として粘土化合物を使用するこ
とができ、その具体例としては、例えば、白水春雄著
「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されてい
る次のような層状珪酸塩が挙げられる。 (1)1:1型層が主要な構成層であるディッカイト、
ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト、メタハロ
イサイト、ハロイサイト等のカオリン族、クリソタイ
ル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族。 (2)2:1型層が主要な構成層であるモンモリロナイ
ト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サ
ポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメク
タイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、
雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタ
パルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベン
トナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群。
【0016】本発明で使用する珪酸塩は、上記(1)、
(2)の混合層を形成した層状珪酸塩であってもよい。
本発明においては、主成分の珪酸塩が2:1型層構造を
有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族で
あることが更に好ましく、モンモリロナイトであること
が特に好ましい。本発明で使用する珪酸塩は、特に処理
を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処
理により状態を調整することが可能であり、また好まし
い。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を
除去する表面処理と粘土の構造に影響を与える処理のい
ずれをも用いることができる。
【0017】具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類
処理等が挙げられる。酸処理は表面の不純物を取り除く
他、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出
させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理
では珪酸塩の結晶構造が破壊され、構造の変化をもたら
す。また塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分
子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離を
変えることができる。イオン交換性を利用し、層間の交
換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと置換することに
より、層間が拡大した状態の層状物質を得ることもでき
る。酸処理で用いられる酸は、好ましくは塩酸、硫酸、
硝酸、シュウ酸、リン酸、酢酸から選択される。処理に
用いる塩類および酸は、2種以上であってもよい。塩類
処理と酸処理を組み合わせる場合においては、塩類処理
を行った後、酸処理を行う方法、酸処理を行った後塩類
処理を行う方法、および塩類処理と酸処理を同時に行う
方法がある。
【0018】塩類および酸による処理条件は、特には制
限されないが、通常、塩類および酸の濃度は、0.1〜
80重量%、処理温度は室温〜沸点、処理時間は、5分
〜24時間の条件を選択して、イオン交換性層状珪酸塩
からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物を構成
している物質の溶出を制御することにより、本発明に適
する珪酸塩を製造することが可能である。また、塩類お
よび酸は、一般的には水溶液で用いられる。処理条件と
しては、酸処理あるいは酸と塩の共存下処理を少なくと
も一度行うことが好ましく、酸濃度が1〜12モル/リ
ットル、好ましくは2〜8モル/リットルで行う。この
様に、比較的に酸濃度が高い条件下で、処理温度、処理
時間の制御により、所望の珪酸塩を得ることが可能であ
り、好ましい方法である。硫酸を使用した場合で例える
と、好ましくは、18〜58重量%の濃度となる。
【0019】本発明では、好ましくは上記酸処理または
酸と塩の共存処理を行うが、処理前、処理間、処理後に
粉砕や造粒等で形状制御を行ってもよい。また、アルカ
リ処理や有機物処理などの化学処理を併用してもよい。
これら珪酸塩には、通常吸着水および層間水が含まれ
る。本発明においては、これらの吸着水および層間水を
除去して使用するのが好ましい。ここで吸着水とは、珪
酸塩化合物粒子の表面あるいは結晶破面に吸着された水
で、層間水は結晶の層間に存在する水である。本発明で
は、加熱処理によりこれらの吸着水および/または層間
水を除去して使用することができる。
【0020】珪酸塩の吸着水および層間水の加熱脱水処
理方法は特に制限されないが、加熱脱水、気体流通下の
加熱脱水、減圧下の加熱脱水および有機溶媒との共沸脱
水等の方法が用いられる。加熱の際の温度は、珪酸塩の
種類にもより一概に規定できないが、層間水が残存しな
いように、100℃以上、好ましくは150℃以上であ
るが、構造破壊を生じるような高温条件(加熱時間にも
よるが例えば800℃以上)は好ましくない。また、気
体流通下の加熱脱水の場合、通常、不活性ガスを用いる
が、空気による熱処理も可能である。加熱時間は珪酸塩
化合物粒子の熱処理温度との関係で選択されるが、一般
には、通常1分以上、好ましくは1時間以上である。そ
の際、除去した後の珪酸塩の水分含有率が、温度200
℃、圧力1mmHgの条件下で2時間脱水した場合の水
分含有率を0重量%とした時、3重量%以下、好ましく
は1重量%以下であることが好ましい。以上のように、
本発明において、珪酸塩として特に好ましいものは、塩
類処理および/または酸処理を行って得られた水分含有
率が1重量%以下のイオン交換性層状珪酸塩である。な
お、成分[B」として、イオン交換性層状ケイ酸塩につ
いて詳しく説明したが本発明で使用できる成分[B]は
これに限定されるものではなく、(1)有機アルミニウ
ムオキシ化合物、(2)成分[A]と反応して成分
[A]をカチオンに交換することが可能なイオン性化合
物、(3)ルイス酸、(4)珪酸塩を除くイオン交換性
層状化合物なども使用できる。例えば、メチルアルミノ
キサン、トリメチルアルミニウムとメチルボロン酸の
2:1の反応物、塩化アルミニウム、テトラフェニルホ
ウ素、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)リン、シ
リカーアルミナなどが挙げられる。
【0021】成分[C]は有機アルミニウム化合物であ
る。本発明で成分[C]として用いられる有機アルミニ
ウム化合物は、一般式(AlR4 p3-pqで示される化
合物が適当である。本発明では、この式で表される化合
物を単独で、複数種混合してあるいは併用して使用する
ことができることはいうまでもない。また、この使用は
触媒調製時だけでなく、予備重合あるいは重合時にも可
能である。この式中、R4は炭素数1〜20の炭化水素
基を示し、Xは、ハロゲン、水素、アルコキシ基、アミ
ノ基を示す。pは1〜3までの、qは1〜2までの整数
である。R4としてはアルキル基が好ましく、またX
は、それがハロゲンの場合には塩素が、アルコキシ基の
場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場
合には炭素数1〜8のアミノ基が好ましい。これらのう
ち、好ましくは、p=3、q=1のトリアルキルアルミ
ニウムおよびジアルキルアルミニウムヒドリドである。
さらに好ましくは、R4が炭素数1〜8であるトリアル
キルアルミニウムである。
【0022】本発明に使用されるメタロセン触媒は、本
重合が行われる前に予備重合処理することが望ましい。
予備重合に供されるモノマーとしては、エチレン、プロ
ピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィ
ン、1,3−ブタジエン等のジエン化合物、スチレン、
ジビニルベンゼン等のビニル化合物を用いることができ
る。この予備重合は、不活性溶媒中で穏和な条件で行う
ことが好ましく、固体触媒1gあたり、0.01〜10
00g、好ましくは0.1〜100gの重合体が生成す
るように行うことが望ましい。
【0023】2.α-オレフィン 本発明で原料として使用されるα-オレフィンとして
は、エチレン、プロピレンを主体とし、更には1−ブテ
ン、1−ヘキセン、1−オクテンなど炭素数3〜20の
α-オレフィンも使用できる。特に、エチレンの単独重
合体、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレ
ン・プロピレンブロック共重合体の製造に有効に適用で
きる。α-オレフィン重合体として、いずれの重合体を
製造する場合にも、重合反応器に新規に供給するα-オ
レフィンは、その水素濃度は、0.01〜10モルpp
m(以下単にppmという)、好ましくは0.01〜
0.1ppmに調整する。理想的には水素濃度の下限値
はゼロともいえるが、長期の連続運転などを考慮すれば
実用的には上記の範囲から選択される。
【0024】α-オレフィン中の水素濃度を上記の範囲
に調整する方法としては、(a)オレフィンに対する接
触水素化能を持つ水素添加触媒を使用する方法、(b)
水素分離膜によって水素に富むガスを選択的に透過分離
する方法、(c)水素を選択的に吸着する固体吸着剤を
使用する方法、(d)水素を選択的に吸着する液体吸着
剤を使用する方法等があるが、工業的には(a)が好ま
しい。水素添加触媒としては、白金、パラジウム、ニッ
ケル、クロムなどの金属成分を1種または2種以上組み
合わせたものが好適である。これらはアルミナ、シリカ
などの担体に担持させて担持型触媒とし、固定充填層と
して使用することが好ましい。
【0025】3.重合反応 重合反応は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、
トルエン、シクロヘキサン等の不活性炭化水素や液化α
−オレフィン等の溶媒存在下、あるいは不存在下に行わ
れる。好ましい重合形態は、溶媒不存在下での気相重合
である。温度は−50〜250℃の範囲であり、圧力は
特に制限されない。重合反応は1段反応でもよく、重合
温度、重合圧力、モノマー組成、分子量調節剤の濃度等
を変えて多段階でおこなってもよい。重合終了後、得ら
れたα−オレフィン系重合体を、不活性溶剤や液状α−
オレフィンなどを用いて、洗浄を行ってもよい。
【0026】本発明で必須とされる重合反応形態は、重
合反応器においてα−オレフィンを重合し、未反応のα
−オレフィンを該重合反応器に循環する工程を含むこと
である。例えば、重合反応器を複数個接続し、そのいず
れか1つ以上の反応器で未反応のα−オレフィンを該重
合反応器に循環する方法が挙げられる。具体的には、重
合反応器を2個接続し、第2段目の反応器から得られる
未反応のα−オレフィンを該第2段目の反応器に循環す
る方法が挙げられる。特に、重合反応器を2個接続し、
第1段目の反応器で実質的にプロピレンの単独重合を行
い、第2段目の反応器で、エチレンと炭素数3〜20の
α−オレフィンとの共重合反応を行なうプロピレン・α
−オレフィンブロック共重合体の製造方法に好適に採用
される。更に具体的には、重合反応器を2個接続し、第
2段目の反応器において、エチレンとプロピレンとの共
重合反応を行ない、重量平均分子量20万以上のエチレ
ン・プロピレンゴム成分を得る方法に好適に適用でき
る。
【0027】重合反応系の水素濃度は、得られる重合体
の分子量、メルトフローレートなどを制御するうえに極
めて重要である。重合形式や他の重合条件によっても左
右されるが、本発明においては、重合反応系の水素濃度
は、10〜5000ppm、好ましくは30〜4000
ppmの範囲から選択される。当該水素濃度は、前記し
た新規供給されるα−オレフィン中の水素濃度と、未反
応のα−オレフィンを含有する循環ガス中の水素濃度の
2つに影響されるので、いずれか一つ、又は両方を制御
する方法がとられる。メタロセン触媒を用いる重合反応
系において、水素が発生し未反応のα-オレフィン中の
水素濃度が新規供給のα-オレフィン中の水素濃度を上
回ることがある。従って、重合反応系の水素濃度を所定
値に保持するため、未反応α-オレフィンの一部もしく
は全部を水素除去装置に導入し、しかる後、元の重合反
応器に循環することが好ましい。
【0028】水素除去装置としては、先に述べた新規供
給α−オレフィン中の水素濃度を調節するための装置と
同様なものが使用できる。すなわち、前記した(a)〜
(d)の方法が採用できるが、(a)オレフィンに対す
る接触水素化能を持つ水素添加触媒を使用する方法が好
ましい。かかる水素添加触媒は、未反応のα−オレフィ
ンガスの循環系に直接設けることもできるが、外部循環
系にバイパス系を設けて、そのバイパス系に設けたもの
が好ましい。この場合は、外部循環系の流量とバイパス
系の流量との比率を制御することにより、水素濃度の調
節を行なうことができる。そして本発明においては、元
の重合反応器に循環されるα−オレフィン中の水素濃度
は、最終的に0.01〜1000ppm、好ましくは
0.1〜500ppmに制御される。理想的には水素濃
度の下限値はゼロともいえるが、長期の連続運転などを
考慮すれば実用的には上記の範囲から選択される。
【0029】次に、重合・洗浄・乾燥等の各工程の連続
プロセスの一例について図面を用いて説明する。図1
中、1は液相重合槽、2はスラリー循環ポンプ、3は液
力分級器、4は濃縮器、5は向流ポンプ、6は二重管式
熱交換器、7は流動フラッシュ槽、8は熱交換器、9、
14及び23はガスブロアー、10は置換システム、1
1は気相重合槽、12及び18はサイクロン、15は蒸
留塔、16及び17は水添塔、19及び22はホッパ
ー、20はスクリューフィーダー、21は乾燥器を表わ
す。
【0030】具体的に、図1はプロピレン・エチレンブ
ロック共重合体の製造プロセスの一例である。液相重合
槽1には、プロピレンと触媒(好ましくは、予備重合触
媒と有機アルミニウム化合物との組合せ)が供給され、
液化プロピレン中で、プロピレンの単独重合体を製造す
る。液相重合槽1で製造されたプロピレンの単独重合体
は、液力分級器3を経由して、流動フラッシュ槽7に導
かれる。流動フラッシュ槽7では、未反応の液化プロピ
レンモノマーをフラッシュさせる。次いで、プロピレン
単独重合体および同伴されるプロピレンガス、水素は置
換プロセス10に導入される。ここでポリマーに同伴す
るガス中の水素濃度が高い場合には、内圧を一旦大気圧
までパージ後、窒素によって再び加圧し、ポリマーに同
伴するガスを置換することにより、ポリマーに同伴する
水素を除去する操作を行ってもよい。置換操作終了後、
ポリマーは気相重合槽11に導かれる。同時に気相重合
槽11には、新規にエチレン及びプロピレンを供給し、
エチレン・プロピレン共重合体からなるゴム成分の製造
(EPR重合)が行われる。新規エチレンは水添塔16
により、その中の水素濃度を所定範囲(0.01〜10
ppm)に調節することが本発明の特徴の一つである。
なお、図1では、新規に供給されるプロピレン中には水
素が含まれていないことがあらかじめ確認されていたの
で、プロピレンは水添塔を経由することなくそのまま気
相重合槽11に導入されているが、もし水素が含まれて
いる場合は、エチレンと同様、水添などの方法によって
水素濃度を所定範囲に調整した後、用いられることと
なる。
【0031】気相重合槽11から粉末状のブロック共重
合体がサイクロン18を経由して抜き出され、ホッパー
19に貯蔵され、以下製品化工程で製品化される。本発
明において、もう一つの特徴は、気相重合槽11から抜
き出される未反応のエチレン及びプロピレンを分離し、
バルブ操作によりその一部もしくは全部が水添塔17に
導かれ、水素濃度の低減化を図ることにより、気相重合
槽11に循環されるエチレン中の水素濃度を所定範囲
(0.01〜1000ppm)に保持することにある。
上記したように、新規エチレンの水素濃度を0.01〜
10ppmに、かつ循環エチレンの水素濃度を0.01
〜1000ppmに調節し、最終的に気相重合槽11の
水素濃度を10〜5000ppmに調節することが本発
明のもう一つの特徴である。かくして所望のMFR(例
えば、0.1〜200g/10分)、かさ密度を有する
重合体を効率的に製造することができる。尚、本発明に
おけるMFRとは、JIS−K6758(2.16kg
荷重)によるもので、ポリプロピレン系樹脂にあっては
230℃、ポリエチレン系樹脂にあっては190℃で測
定されるものである。
【0032】
【実施例】下記の実施例は、本発明をさらに具体的に説
明するためのものである。本発明はその要旨を逸脱しな
い限りこれら実施例によって制約を受けるものではな
い。なお、以下の触媒合成工程および重合工程は、すべ
て精製窒素雰囲気下で行った。また溶媒は、モレキュラ
ーシーブMS−4Aで脱水したものを用いた。
【0033】実施例における各物性値の測定方法および
装置を以下に示す。 1.水素濃度 モノマー中および重合槽内の水素濃度はガスクロマトグ
ラフィー(Aligent社製、AligentマイクロG
C)を用いて測定した。 2.分子量 ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(ウォ-タ-
ズ社製GPC150C型の装置と昭和電工製AD80M/Sの
カラムを3本使用)により、溶媒にオルトジクロロベン
ゼンを用い、測定温度140℃で行った。
【0034】3.メルトフローレート(MFR) JIS−K6758(230℃、2.16kg荷重)に
準拠し、メルトインデクサー(テクノセブン社製)を用
いて測定した。 4.ゴム成分 昇温溶出分別装置(三菱化学社製、CFC-T-102L)を用い
たクロス分別法により、40℃以下のオルトジクロロベ
ンゼンに対する溶出成分の重量分率として定義した。 5.かさ密度 ASTM D1895−69に準拠して測定した。
【0035】触媒の製造 (1)ジメチルシリレンビス(2-エチル-4-(2-フルオロ-
4-ビフェニル)-4H-アズレニル)ハフニウムジクロリドの
ラセミ体の合成(錯体の合成): (a)ラセミ・メソ混合物の合成;2−フルオロ−4−
ブロモビフェニル(4.63g,18.5mmol)を
ジエチルエーテル(40mL)とヘキサン(40mL)
の混合溶媒に溶かし、t−ブチルリチウムのペンタン溶
液(22.8mL,36.9mmol,1.62N)を
−78℃で滴下し、−5℃で2時間撹拌した。この溶液
に2−メチルアズレン(2.36g,16.6mmo
l)を加え室温で1.5時間撹拌した。0℃に冷却しテ
トラヒドロフラン(40mL)を加えた。N−メチルイ
ミダゾール(40μL)とジメチルジクロロシラン
(1.0mL,8.30mmol)を加え、室温まで昇
温し、室温で1時間撹拌した。この後、希塩酸を加え、
分液した後有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下
溶媒を留去すると、ジメチルシリレンビス(2−メチル
−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−1,4−
ジヒドロアズレン)の粗精製物(6.3g)が得られ
た。次に、上記で得られた粗精製物をジエチルエーテル
(23mL)に溶かし、−78℃でn−ブチルリチウム
のヘキサン溶液(10.3mL,16.6mmol,
1.56mol/L)を滴下し、徐々に昇温して室温で
2時間撹拌した。さらに、トルエン(185mL)を加
え、−78℃に冷却し、四塩化ハフニウム(2.65
g,8.3mmol)を加え、徐々に昇温し室温で一夜
撹拌した。得られたスラリー溶液から減圧下大部分の溶
媒を留去し、濾過したのち、トルエン(4mL)、ヘキ
サン(9mL)、エタノール(20mL)、ヘキサン
(10mL)で洗浄すると、ジクロロ{1,1’−ジメ
チルシリレンビス[2−メチル−4−(2−フルオロ−
4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ハフニウム
のラセミ・メソ混合物(1.22mg,収率16%)が
得られた。
【0036】(b)ラセミ体の精製;上記で得られたラ
セミ・メソ混合物(1.1g)をジクロロメタン(30
mL)に懸濁し、高圧水銀灯(100W)を用いて30
分光照射した。この溶液を減圧下溶媒を留去した。得ら
れた固体にジクロロメタン(40mL)を加え懸濁さ
せ、濾過した。ヘキサン(3mL)で洗浄し、減圧下乾
燥するとラセミ体(577mg,52%)が得られた。
【0037】(2)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理 攪拌翼、還流装置を取り付けた5Lセパラブルフラスコ
に、イオン交換水500gを投入し、更に水酸化リチウム1
水和物249g(5.93mol)を投入して攪拌した。別に、硫酸5
81g(5.93mol)をイオン交換水500gで希釈し、滴下ロート
を用いて上記水酸化リチウム水溶液に滴下した。このと
き硫酸の一部は中和反応に消費され系中で硫酸リチウム
塩が生成し、さらに硫酸過剰になることにより酸性溶液
となる。そこへ、更に市販の造粒モンモリロナイト(水
澤化学社製、ベンクレイSL、平均粒径:28.0μm)を3
50g添加後攪拌した。その後30minかけて108℃まで昇温
し150min維持した。その後、1時間かけて50℃まで冷却
した。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータ
を接続した装置にて、減圧ろ過を実施した。ケーキを回
収し、純水を5.0l加え再スラリー化し、ろ過を行った。
この操作をさらに4回繰り返した。ろ過は、いずれも数
分かからずに終了した。最終の洗浄液(ろ液)のpHは、
5であった。回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜
乾燥した。その結果、275gの化学処理体を得た。蛍光X
線により組成分析を行ったところ、主成分であるケイ素
に対する構成元素のモル比は、Al/Si=0.21、Mg/Si=0.04
6、Fe/Si=0.022であった。
【0038】(3)予備重合触媒の調製 以下の操作は、不活性ガス下、脱酸素、脱水処理された
溶媒、モノマーを使用して実施した。先に製造した化学
処理されたイオン交換性層状珪酸塩造粒体を減圧下、20
0℃、4時間乾燥した。内容積10Lのオートクレーブに上
記で得た化学処理モンモリロナイト200gを導入し、ヘプ
タン1160ml、さらにトリエチルアルミニウムのヘプタン
溶液(0.6mmol/ml)840ml(0.5mol)を30minかけて投入
し、25℃で1時間攪拌した。その後、スラリーを静止沈
降させ、上澄み1300mlを抜き出した後に2600mlのヘプタ
ンにて2回洗浄し最終的にヘプタン全量が1200mlになる
ようにヘプタンを足して調整した。次に、2Lフラスコ
にジメチルシリレンビス(2-エチル-4-(2-フルオロ-4-ビ
フェニル)-4H-アズレニル)ハフニウムジクロリド5.93g
(6mol)とヘプタン516mlを投入しよく攪拌した後にトリ
イソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/ml)を
84ml(11.8g)を室温にて加え、60min攪拌した。続い
て、先にオートクレーブ中に調製したモンモリロナイト
スラリーに上記溶液を導入し、60min攪拌した。続い
て、更にヘプタンを全容積が5Lになるまで導入して、30
℃に保持した。そこにプロピレンを100g/hrの定速で、4
0℃で4時間導入し、引き続き50℃で2時間維持した。サ
イホンにて予備重合触媒スラリーを回収し、上澄み除去
後、40℃にて減圧下乾燥した。この操作により触媒1g当
たりポリプロピレンが2.0gを含む予備重合触媒が得ら
れた。
【0039】<実施例1>プロピレン・エチレンブロッ
ク共重合体の製造 図1に示したように、内容積0.4 m3の攪拌装置付き液相
重合槽1と、0.5 m3の攪拌式気相重合槽11との間に、沈
降液力分級器3、濃縮器4 (液体サイクロン) 、および向
流ポンプ5 からなる分級システム、および、二重管式熱
交換器6と流動フラッシュ槽7からなる脱ガスシステムを
組み込んだプロセスにより、プロピレン・エチレンブロ
ック共重合体の連続製造を実施した。液相重合槽1に
は、液化プロピレン、水素、トリイソブチルアルミニウ
ム(TIBA)を連続的にフィードした。なお、液化プロピ
レン、TIBAのフィード量は、それぞれ、90 kg/hr、21.2
g/hrであり、液化プロピレン中の水素濃度は検出限界
(0.1ppm)以下であった。水素は、反応器気相部のモル
濃度が300ppmになるように連続的にフィードした。さら
に、上記 で得られた予備重合触媒成分を、予備重合触
媒成分中に含まれる固体触媒成分として、2.3 g/hr
となるようにフィードした。また、重合温度が65℃とな
るように、重合槽1を冷却した。
【0040】この重合槽で重合したスラリーは、スラリ
ーポンプ2を用いて液力分級器3に約12 m3/hrの体積流量
でフィードした。液力分級器3の下部からは、大粒径粒
子を比較的多く含むスラリーを抜き出し、残りのスラリ
ーは、液力分級器3の上部から、濃縮器4に供給した。濃
縮器4の上部からは、固体粒子がほとんど存在しない上
澄液を取り出し、これをポンプ5を用いて、液力分級器
下部に向流として供給した。一方、濃縮器4下部から抜
き出した小粒径粒子を比較的多く含むスラリーは、液相
重合槽1に循環させた。液力分級器3の下部から抜き出し
たスラリーの抜き出しレートは、該スラリーに含まれる
ポリプロピレン粒子として、約17.0kg/hrであっ
た。該ポリプロピレン粒子の液相重合槽1ならび循環ラ
インにおける平均滞留時間は1.25時間であった。
【0041】また、該ポリプロピレン粒子の平均触媒効
率(CE)は7400g/g、MFRは58.3g/10分であっ
た。なお、CEは予備重合触媒成分中に含まれるポリプロ
ピレン以外の固体成分1gあたりのポリプロピレン収量
(g) で定義する。先述の液力分級器3下部より抜き出さ
れたスラリーは、後流の二重管式熱交換器6を経て、流
動フラッシュ槽7にフィードされた。流動フラッシュ槽7
においては、下部より加熱したプロピレンガスをフィー
ドしながら、槽内温度を65°C、圧力を1.6 MPaGに維持
した。ここで得られた固体状ポリプロピレン粒子を、置
換システム10へ送った。置換システム10では、一定量の
ポリマーとモノマーガスを受け入れた後、ガスを0 MPaG
までパージし、さらに窒素で1.9MPaGまで昇圧した
後、ポリマーを気相重合槽11へ送り出した。
【0042】気相重合槽11では、プロピレンとエチレン
の共重合(EPR重合)を行った。混合効果を高めるた
め、補助的に撹拌翼を設けた気相重合槽11では、ガス・
ブロアー14によって、エチレン、プロピレン、水素の混
合ガスを循環させた。循環ラインに設置したサイクロン
12で微粒子を完全に除去した混合ガスの一部を反応系外
に抜き出した。さらにこの抜き出した混合ガスを蒸留塔
15に導きプロピレンとエチレンに分離した。塔頂から
得られたエチレンの一部(約50%)を気相重合槽11
へ循環フィードし、残部(約50%)を重合反応系外へ
パージした。なお、このとき循環エチレン中の一部を内
部に水素化触媒(日産ズードヘミー社製、G−74D)
を充填した水添塔17で水添して、水素濃度は80 ppmと
なるようにした。
【0043】一方、気相重合槽へ供給する新規エチレン
(フレッシュエチレン)ライン途中には、内部に水素化
触媒(日産ズードヘミー社製、G−74D)を充填した
水添塔16を設置し、エチレン中に含まれる水素の除去
を行った。フィードされるフレッシュのプロピレンおよ
びエチレン中の水素濃度は、どちらも検出限界(0.1pp
m)以下であった。エチレンとプロピレンは、エチレン
とプロピレンの分圧の和が1.4MPaG、かつ、プロピレ
ンのモル分率が40 mol%で一定になるようにフィードし
た。さらに、活性水素化合物としてエタノールをフィー
ドした。エタノールのフィード量は、気相重合槽11に
供給される重合体粒子に随伴して供給されるTIBA中
のアルミニウムに対して、0.46m.r.となるよう
にした。重合温度は65°Cで、気相重合槽11から抜き出
したプロピレン・エチレンブロック共重合体の抜き出し
レートが、約20.1 kg/hr(内訳は、ポリプロピレン
粒子部分:約17.0kg/hr、EPR重合部分:約3.
1 kg/hr)になるように調節した。気相重合槽11中の水
素濃度は62ppm、平均滞留時間は、1.5 hrであった。
気相重合槽11から抜き出された重合体粒子を分析したと
ころ、かさ密度は0.485 g/cc、 EPR含量は15.4重量
%、ゴム部分の分子量は44万であった。なお、プロピ
レン・エチレンブロック共重合体の平均CEは、8700
g/gであった。
【0044】<実施例2>実施例1において、循環エチ
レンを全量水添塔17で水添した以外は実施例1と同様
にして、重合を行った。このとき循環エチレン中の水素
濃度は検出限界(0.1 ppm)以下、気相重合槽11内の
水素濃度は、32ppmであった。気相重合槽11から抜
き出された重合体粒子を分析したところ、かさ密度は0.
485 g/cc、 EPR含量は15.2重量%、ゴム部分の分子
量は50万であった。
【0045】<実施例3>実施例1において、循環エチ
レンを水添塔17を通すことなく、そのまま全量を重合
反応槽11に戻して、以下は実施例1と同様にして、重
合を行った。このとき循環エチレン中の水素濃度は27
0ppm、気相重合槽11内の水素濃度は、155pp
mであった。気相重合槽11から抜き出された重合体粒子
を分析したところ、かさ密度は0.482 g/cc、 EPR
含量は15.9重量%、ゴム部分の分子量は33万であ
った。
【0046】<比較例1>実施例2で、気相重合槽11
へフィードするエチレンを、水添塔16を通さずに、直
接気相重合槽11へフィードした以外は実施例2と同様
にして、重合を行った。このとき、フレッシュエチレン
中の水素濃度は800 ppmであった。その結果、気相重合
槽11中の水素濃度は570 ppmとなった。気相重合槽11か
ら抜き出された重合体粒子を分析したところ、かさ密度
は0.475 g/cc、 EPR含量は16.4重量%、ゴム部分の
分子量は16万であった。本比較例は、循環エチレン中
の水素濃度は検出限界(0.1 ppm)以下であったが、新
規供給エチレン中の水素濃度が高く、結果として気相重
合槽11の水素濃度が高くなり分子量の大きいゴム成分
を作ることができなかったことを示す。気相重合槽の水
素濃度の上限は、好ましくは500ppm程度、ゴム部
分の分子量は20万以上が実用的といえる。
【0047】
【発明の効果】メタロセン触媒の存在する重合反応器に
おいてα−オレフィンを重合し、未反応のα−オレフィ
ンを該重合反応器に循環する工程を含むα−オレフィン
重合体の製造方法において、所望のメルトフローレート
(又は分子量)を有する重合体を安定かつ効率的に製造
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プロピレン系重合体の連続製造プロセスの一例
である。
【符号の説明】
1:液相重合槽 2:スラリー循環ポンプ 3:液力分級器 4:濃縮器 5:向流ポンプ 6:二重管式熱交換器 7:流動フラッシュ槽 8:熱交換器 9、14、23:ガスブロアー 10:置換システム 11:気相重合槽 12、18:サイクロン 15:蒸留塔 16、17:水添塔 19、22:ポッパー 20:スクリューフィーダー 21:乾燥器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 正顕 三重県四日市市東邦町1番地 日本ポリケ ム株式会社触媒開発センター内 Fターム(参考) 4J011 AA06 AB01 BA06 MA03 MA09 NB04

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メタロセン触媒の存在する重合反応器にお
    いてα−オレフィンを重合し、未反応のα−オレフィン
    を該重合反応器に循環する工程を含むα−オレフィン重
    合体の製造方法において、該重合反応器に供給する
    (1)新規α−オレフィン中の水素濃度を0.01〜1
    0ppmに、(2)循環α−オレフィン中の水素濃度を
    0.01〜1000ppmに、かつ(3)該重合反応器
    中の水素濃度を10〜5000ppmに制御することを
    特徴とするα−オレフィン重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】α−オレフィン重合体のメルトフローレー
    ト(MFR)を0.1〜200g/10分の範囲に制御
    することを特徴とする請求項1に記載のα−オレフィン
    重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】重合反応器が気相重合反応器であることを
    特徴とする請求項1又は2に記載のα−オレフィン重合
    体の製造方法。
  4. 【請求項4】重合反応器に供給する新規α−オレフィン
    を水素添加触媒で処理することにより水素濃度を0.0
    1〜10ppmに制御することを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか1項に記載のα−オレフィン重合体の製造
    方法。
  5. 【請求項5】未反応のα−オレフィンの全部又は一部を
    水素除去装置で処理した後、α−オレフィン重合反応器
    に循環することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1
    項に記載のα−オレフィン重合体の製造方法。
  6. 【請求項6】重合反応器を複数個接続し、そのいずれか
    1つ以上の反応器で未反応のα−オレフィンを該重合反
    応器に循環することを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    か1項に記載のα−オレフィン重合体の製造方法。
  7. 【請求項7】重合反応器を2個接続し、第2段目の反応
    器から得られる未反応のα−オレフィンを該第2段目の
    反応器に循環することを特徴とする請求項1〜5のいず
    れか1項に記載のα−オレフィン重合体の製造方法。
  8. 【請求項8】重合反応器を2個接続し、第1段目の反応
    器で実質的にプロピレンの単独重合を行い、第2段目の
    反応器で、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィン
    との共重合反応を行なうことを特徴とする請求項6又は
    7に記載のα−オレフィン重合体の製造方法。
  9. 【請求項9】重合反応器を2個接続し、第2段目の反応
    器において、エチレンとプロピレンとの共重合反応を行
    ない、重量平均分子量20万以上のエチレン・プロピレ
    ンゴム成分を得ることを特徴とする請求項6〜8のいず
    れか1項に記載のα−オレフィン重合体の製造方法。
  10. 【請求項10】メタロセン触媒が、共役五員環配位子を
    少なくとも一個有する周期表第4〜6族の遷移金属化合
    物、イオン交換性層状ケイ酸塩、及び必要に応じて、有
    機アルミニウム化合物を組み合わせたものであることを
    特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載のα−オレ
    フィン重合体の製造方法。
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