JP2017066320A - オレフィン(共)重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン(共)重合体の製造方法 Download PDF

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晋爾 岡田
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正顕 伊藤
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Abstract

【課題】不純物の二酸化炭素を含有する工業用オレフィンを、トリイソブチルアルミニウムを用いたオレフィンの重合原料に使用する場合に、アルカリ水溶液による化学反応やアルカリ金属水酸化物を貼着した吸着剤を用いずに、高い生産性と低臭気の重合体を安定的に得ることができる、オレフィンの重合方法を開発する。【解決手段】二酸化炭素を含むオレフィンを活性アルミナと金属酸化物からなる吸着剤と接触させる精製オレフィンの製造工程と、前記精製オレフィンと、オレフィン重合用触媒とトリイソブチルアルミニウムと接触させるオレフィンの重合工程、とを含むオレフィン(共)重合体の製造方法【選択図】なし

Description

本発明は、精製オレフィンの製造工程と前記精製オレフィンを用いる重合工程を含むオレフィン(共)重合体の製造方法に関する。詳しくは、原料オレフィン中に不純物の二酸化炭素を含有する場合に、特定の吸着剤を用いて精製したオレフィンと、オレフィン重合用触媒とトリイソブチルアルミニウムとを用いて低臭気のオレフィン(共)重合体を得るオレフィン(共)重合体の製造方法に関するものである。
一般に、チーグラー・ナッタ触媒を用いてオレフィンの単独重合又はオレフィン間の共重合を行うと、分子量分布や組成分布が広い(共)重合体が得られる特徴を呈する。オレフィンの単独重合の場合には低分子量成分を多く含み広い分子量分布を有する重合体が得られ、オレフィン間の共重合の場合には広い分子量分布に加えて、低結晶性成分を多く含み広い組成分布の共重合体が得られる。かかる特異性において、これらの成分は物性低下や成形加工上の問題を引き起こし、また、該成分量が多くなると臭気、外観、触感(ベタツキ等)等の問題が発生し、品質に悪影響を及ぼす。さらに、チーグラー・ナッタ触媒は後述するメタロセン触媒と異なり、連鎖移動剤である水素との反応性が低いために、分子量が低い(共)重合体を製造するためには大量の水素を供給することが必要となり、またそれにより重合活性も低下する。
近年、これらの欠点が少ないメタロセン触媒が開発されている。メタロセン触媒は連鎖移動剤である水素との反応性がよく、重合活性を低下させるほどの水素を供給しなくても分子量が低い(共)重合体を重合することが可能である。またチーグラー・ナッタ触媒に較べて活性点が均一であるため、均一な重合体が製造できる利点があり、分子量分布や組成分布が狭くてベタツキ成分の少ない良好なオレフィン(共)重合体を与えることが知られている。
その一方で、メタロセン触媒は原料オレフィン中の不純物に対して極めて敏感であり、重合活性や重合体の品質が原料オレフィンの純度に大きく左右されるため、メタロセン触媒を用いてオレフィン(共)重合体を工業的に生産するには難点が多い。
さらに近年、石油化学工業の基礎原料として、特にポリエチレンとポリプロピレン製造用のモノマー等として、エチレンとプロピレンの需要が急速に高まり、エチレンプラントのロードアップや重質油の流動接触分解(Fluid Catalytic Cracking Process)等によって工業用エチレンやプロピレンの確保が行われている。
工業用エチレンは、ナフサ、原油、天然ガス等を用いて得られるが、例えばクラッキング等の高温反応工程においては、希釈剤として添加される水等との副反応により微量の一酸化炭素及び二酸化炭素が副産物として発生し、一般に製造直後のエチレン中には微量の一酸化炭素、二酸化炭素及びその他の不純物が含まれる。次いで、エチレン留分の分離のために、蒸留塔等の分離装置を用いて精製を行なう工程で、メタン等と共に一酸化炭素は充分に除去されうる。しかし、二酸化炭素は充分に除去することが難しく、エチレン中には数ppm(容量)〜数百ppm(容量)程度の二酸化炭素が含まれる。原料エチレン中の不純物は、オレフィン重合用触媒に対する触媒毒であることが多く、種々の精製が行われる。
また、工業用プロピレンについて、近年プロピレンを選択的に製造する有効な方法として、メタノール及び/又はジメチルエーテルを反応させてプロピレンを製造する方法、いわゆるMTOプロセス(メタノールからオレフィンを製造するプロセス)が注目を浴びている(特許文献1)。一方で、メタノールを製造する方法としては、天然ガス由来の炭化水素を用いてメタノールを製造する方法が主流であるが、天然ガスに変えて、石炭ガス、石炭コークス炉ガス等の石炭由来のガスを用いてメタノールを製造する方法がある。石炭由来のガスを用いて得られるプロピレンは、石炭由来のガスから生成される合成ガス中の二酸化炭素等の不純物を微量含んでしまう可能性があり、こういったプロピレンを少量でも混合して使用した場合にもオレフィンの重合においては種々の問題が懸念されるため、不純物を極力少なくする必要性と要求が高まってきている。
一方、ポリオレフィン製品は、成形加工性、耐衝撃性、耐溶剤性に優れると共に軽量かつ安価であり、衛生的な材料として広範な用途、例えば包装用フィルム、シート、トレイ等に用いられている。しかしながら、食品・医療用途においては、主としてポリオレフィンの低分子量成分に由来すると考えられている、一般的に「プラスチック臭」とか「ポリオレフィン臭」と呼ばれる特有の臭気が問題となる場合が多く、臭気改善の要求が強い。
臭気の原因については、前述の原料オレフィンの重合によって生じる低分子量成分に由来するものと、原料オレフィン中の不純物(触媒被毒物質)と重合助触媒成分との反応によって生じる生成物に起因するものの2つの理由が知られている。
臭気の改善に関する発明としては、重合工程より後の工程において(A)重合したポリオレフィンを炭化水素溶媒で洗浄する方法、(B)ポリオレフィン中に含まれる炭化水素溶媒、残モノマーを充分に分離、乾燥させる方法、(C)乾燥工程で水蒸気を用いる方法、(D)脱気設備を備えつけた押出機により減圧脱気する方法、(E)さらに脱気設備を備えつけた押出機に水を添加して脱気効率を高める方法、(F)ペレットを加熱処理する方法等が挙げられる。例えば、特開平5−194648号公報等に記載の臭気の改良されたポリプロピレン樹脂においては、水を添加した押出機から脱気する方法、及びホッパードライヤーを用いる方法等が挙げられている。しかしながら、該方法は含まれている臭気成分を取除くという消極的な手法であり、また着目している成分も臭気の一つである低分子量炭化水素のみであって充分なものとはいえない。
一方、原料オレフィン中の不純物(触媒被毒物質)と重合助触媒成分との反応によって生じる生成物に関しては、原料オレフィン中の不純物を予め除去し、重合助触媒成分との反応によって生じる臭気の原因物質を生成させない技術が提案されている。原料オレフィン中に含まれる微量な不純物を選択的に除去する方法としては、大別すると、物理吸着による方法(「物理的除去法」という)と、化学反応により除去する方法(「化学的除去法」という)とに分けられる。
オレフィン中の二酸化炭素を除去する、化学的除去法としては、特開平7−133314号公報(特許文献2)には、二酸化炭素と特定の有機アルミニウム化合物とが反応することにより、重合工程中において悪臭物質であるイソ吉草酸が生成し、ポリオレフィン中に混入することによって不快臭が発生することが記載されている。該公報では、原料オレフィンの精製工程において塩基性物質を用いること、周期表1A族元素の水酸化物を用いること、具体的にはエチレンガスを水酸化ナトリウムの水溶液中に通すことにより、二酸化炭素の量を0.2ppmまで低減することを開示している。
しかしながら、この方法では二酸化炭素の除去は充分ではなく、またガスを用いた精製しか実施できず、また接触後のガスには多量の水分を含んでしまうためさらに水分の除去が必要になること、また使用する水酸化ナトリウムは強塩基であるために取り扱いが難しく、また精製後の水酸化ナトリウムは炭酸水素ナトリウムへと化学変化してしまうため再生不可能であり商業的に適応する場合には、取扱い、経済的に問題がある。
また、特開2004−67730号公報(特許文献3)には、特定の有機アルミニウム化合物を過剰量使用することにより、具体的にはジイソブチルアルミニウムハイドライドを使用することにより、イソ吉草酸が生成する反応自体をおこさないようにすること、代わりに不快臭の少ないギ酸を生成させることが開示されている。
しかしながらこの方法では、メタロセン触媒に対して変性作用の少なく適度なスカベンジ能力を有するトリイソブチルアルミニウムを使用することができず、過剰量のアルミニウムハイドライド化合物を用いることにより、重合活性の低下、分子量の低下、メタロセン触媒自体の変質等が懸念される。
オレフィン中の二酸化炭素を除去する、物理的除去法としては、特開平6−31158号公報(特許文献4)には、液相炭化水素中の溶存一酸化炭素、溶存酸素及び/又は溶存二酸化炭素を除去するに際して、吸着剤としてラネー銅を用いることを特徴とする液相炭化水素中の溶存ガス吸着剤が開示されている。また、特開平7−33687号公報(特許文献5)には、少なくとも微量の一酸化炭素、酸素、炭酸ガスのいずれかを含有するオレフィン類を気相条件下低温度でラネー銅と接触させることにより、微量の一酸化炭素、酸素及び炭酸ガスを接触吸着除去することを特徴とするオレフィン類の精製方法が開示されている。
しかしながら、一定期間使用することによって吸着能力の低下したラネー銅は、再使用するために空気、酸素等の分子状酸素ガスの存在下に80〜200℃の温度で焼成し、次いで水素等の還元性ガスで50〜150℃の温度で還元する操作が必要となり作業性の面において合理化の余地が残されている。
また、特開2001−302564号公報(特許文献6)には、アルカリ金属成分及びアルカリ土類金属成分からなる群より選択された少なくとも1種の成分を水酸化物基準でアルミナ当たり2重量%以上の量で添着させた活性アルミナから成る処理剤に、不純物として炭酸ガスを含むオレフィンを接触させることを特徴とするオレフィンの精製方法が開示されている。
しかしながら、使用済みの処理剤には、活性アルミナ中にアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩が蓄積している。そのため、再度処理剤として使用するには、このものを硝酸あるいは塩酸等で分解し、必要により洗浄した後、アルカリ金属成分及び/又はアルカリ土類金属成分を再度、添着することが必要なため更なる改良が望まれている。
米国特許第6888038号 特開平7−133314号 特開2004−67730号公報 特開平6−31158号公報 特開平7−33687号公報 特開2001−302564号公報
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、不純物の二酸化炭素を含有するオレフィンから、低臭気のオレフィン(共)重合体を高い生産性で得ることができるオレフィン(共)重合体の製造方法を開発することを、発明が解決すべき課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、従来技術とは全く異なる視点に立って、アルカリ水溶液や水素ガス等を用いる化学的手段による精製方法によらずに、種々の吸着剤により、オレフィンから二酸化炭素を除去する精製手法を勘案試行して、特定の吸着剤を採用することにより、本発明の課題を解決し得ることを見出して、二酸化炭素を含む原料オレフィンを活用する本発明のオレフィン(共)重合の製造方法を創出するに至った。
本発明は、発明の主要な特徴として、活性アルミナと金属酸化物からなる吸着剤を用いることで、オレフィン中、特にエチレン、プロピレン中の、臭気及び重合用触媒に対する被毒物質の原因となる不純物としての二酸化炭素を、従来よりも効率的かつ確実に除去して重合活性を大幅に増大させる手法を、オレフィン(共)重合に利用するものである。
すなわち、本発明の第一の発明によれば、二酸化炭素を含むオレフィンと、活性アルミナと金属酸化物とからなる吸着剤とを接触させ、二酸化炭素を除去する精製オレフィンの製造工程と、前記精製オレフィンと、オレフィン重合用触媒とトリイソブチルアルミニウムとを接触させるオレフィンの重合工程、とを含むことを特徴とするオレフィン(共)重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の別の発明によれば、前記の発明において、前記金属酸化物は、アルカリ金属の酸化物及び/又はアルカリ土類金属の酸化物であることを特徴とするオレフィン(共)重合体の製造方法が、さらに、本発明の別の発明によれば、前記の発明において、前記金属酸化物は、酸化ナトリウムであること特徴とするオレフィン(共)重合体の製造方法が、また、本発明の別の発明によれば、前記の発明において、前記吸着剤は、酸化ナトリウムの含有量が10wt%以下であることを特徴とするオレフィン(共)重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の別の発明によれば、前記の発明において、前記吸着剤を、100〜300℃で前処理する工程を含むことを特徴とするオレフィン(共)重合体の製造方法が、さらに、本発明の別の発明によれば、前記の発明において、前記精製オレフィンの製造工程は、オレフィンと吸着剤とを接触させる温度が、0〜100℃であることを特徴とするオレフィン(共)重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の別の発明によれば、前記の発明において、オレフィン重合用触媒は、メタロセン触媒であることを特徴とするオレフィン(共)重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の別の発明によれば、前記の発明において、前記オレフィンは、エチレン及び/又はプロピレンであって、さらに当該精製エチレン及び/又は精製プロピレンを重合することを特徴とするオレフィン(共)重合体の製造方法が、さらに、本発明の別の発明によれば、前記の発明において、前記オレフィン(共)重合体は、エチレン含有量が6wt%以下のエチレン・プロピレン共重合体であることを特徴とするオレフィン(共)重合体の製造方法が提供される。
本発明によれば、不純物の二酸化炭素を含有する原料オレフィンを用いても、オレフィン重合用触媒とトリイソブチルアルミニウムと接触させる重合工程において、アルカリ水溶液による化学反応やアルカリ金属水酸化物を添着した吸着剤を用いずに、重合活性が増大し、オレフィン(共)重合体の臭気低減が可能となる。さらに、金属銅による吸着反応によらないため、H供給設備等の付帯設備を設ける必要がなく余分な製造及び維持コストがかからないため低コストで高品質の(共)重合体の製造が可能となる。
本発明は、二酸化炭素を含むオレフィンと、活性アルミナと金属酸化物とからなる吸着剤とを接触させ、二酸化炭素を除去する精製オレフィンの製造工程と、前記精製オレフィンと、オレフィン重合用触媒とトリイソブチルアルミニウムとを接触させるオレフィンの重合工程、とを含むことを特徴とするオレフィン(共)重合体の製造方法である。
以下においては、本発明を詳細に説明する。
本発明の精製オレフィンの製造工程は、前記二酸化炭素を含むオレフィンと前記吸着剤とを接触させ、オレフィンに含まれる二酸化炭素を除去する工程である。オレフィンに含まれる二酸化炭素を除去するとは、必ずしも完全に除去することのみを表すものではない。
〔I〕オレフィン
本発明のオレフィンは、二酸化炭素を含むオレフィンである。本発明のオレフィンは、ナフサ分解、重質油の流動接触分解等の各種の手段により取得される工業用オレフィンが使用できる。このような工業用エチレンやプロピレン等を含めたオレフィンを、原料オレフィンとして、本発明のオレフィン(共)重合体の製造方法に供することができる。工業用オレフィンには、通常、一酸化炭素、二酸化炭素、アセチレンやメチルアセチレンを始め多種の不純物が含まれている。
これらオレフィンを重合に使用する際には、オレフィン中に含有される二酸化炭素は、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは50〜500ppmである。仮に、オレフィン中に1000ppmを超える濃度で二酸化炭素が含有されている場合には、予め蒸留やPSA(Pressure Swing Adsorption)法等の他の手段によって粗精製して、二酸化炭素の濃度を1000ppm以下に低下させておくことが望ましい。
本発明に使用される精製オレフィンの二酸化炭素の含有量は、好ましくは体積で0.01〜10ppmであり、より好ましくは0.05〜7ppm、さらに好ましくは0.1〜5ppmである。上記範囲にあると、高い重合活性で臭気が少ないオレフィン(共)重合体が得られる。本発明において精製オレフィンとは、後述する活性アルミナと金属酸化物とからなる吸着剤と接触させる後のオレフィンを指す。
本発明に使用するオレフィンとしては、例えば炭素数2〜40の、直鎖状、分岐状、又は環状のオレフィンが挙げられ、具体的にはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−メチル−1.4,5.8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、スチレン、ビニルシクロヘキサン、1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン及びシクロヘキサジエン等が挙げられる
〔II〕吸着剤
(1)吸着剤の組成
本発明で用いられる吸着剤は、活性アルミナと金属酸化物とからなる。本発明で用いられる吸着剤は、本発明の効果を著しく損なわない限り、活性アルミナと金属酸化物以外の成分を含んでいてもよい。
吸着剤を構成する活性アルミナとは、例えば、水酸化アルミナを結晶性の低い多孔質の酸化アルミニウムに転移させて吸着能力を持たせたものをいい、比表面積及び細孔容積が高く、優れた吸着能力を有する。活性アルミナは、市販品を用いてもよいし、公知の方法により製造してもよい。
上記活性アルミナの平均細孔径(直径)は通常1〜100nm、好ましくは1〜80nmである。平均細孔径が上記の範囲であると、二酸化炭素を含む種々の不純物を効率的に吸着させることができるので好ましい。活性アルミナの平均粒径は特に制限はない。
好ましい活性アルミナとしては、特に制限されるものではないが、γ−アルミナ等が挙げられる。
平均細孔径の測定方法は、窒素吸脱着法による吸着及び脱離等温線の測定等が用いられる。本測定においては、窒素ガスを使用する脱離等温線の測定を用いる。
脱離等温線は相対圧を減少させた場合に得られる曲線である。脱離等温線の方が、吸着等温線に比べて、同一の吸着ガス量に対してより低い相対圧力を示し、結果的により低い自由エネルギー状態を示すために、より真の熱力学的安定に近い状態であると一般的に考えられている。
分析装置としては、カンタークロム社(オートソーブ)、日本ベル社(ベルソープ)、コールター社(40オムニソープ)等の市販品が使用可能である。細孔分布の計算方法としては、BJH法が最も一般的である。
測定方法の一例を以下具体的に示す。温度77Kで、圧力は相対圧P/P(Pは、大気圧である)が0.02〜1の範囲で測定する。BJH法により、横軸を細孔直径(単位:オングストローム,Å)、縦軸に細孔容積の微分値(単位:cm/g)で表現する。測定回数は通常1回で充分である。
吸着剤を構成する金属酸化物は、常温で固体であることが好ましい。
金属酸化物は、好ましくはアルカリ金属の酸化物及び/又はアルカリ土類金属の酸化物である。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、バリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム等が挙げられる。金属酸化物は、より好ましくはアルカリ金属の酸化物であり、さらに好ましくは、酸化ナトリウムである。
本発明で用いられる吸着剤は、活性アルミナと金属酸化物の合計100重量%中、通常、活性アルミナ70〜95重量%及び金属酸化物5〜30重量%、好ましくは活性アルミナ80〜95重量%及び金属酸化物5〜20重量%の混合物からなる。また、活性アルミナと酸化ナトリウムの合計100重量%中、好ましくは活性アルミナ90重量%以上及び酸化ナトリウム10重量%以下、より好ましくは活性アルミナ90〜95重量%及び酸化ナトリウム5〜10重量%の混合物が好ましい。
(2)吸着剤の形状
本発明において用いられる吸着剤の形状は、特に制限は無く、ペレット状、粉末状、粒状の他、円滴状、円盤状等に成形されたものでもよい。吸着材の形状は、使用態様に応じて適宜選択すればよく、その大きさも、使用条件に応じて適宜選択できる。
当該吸着剤は、市販品を用いてもよい。ユニオン昭和製CG−731(商品名)等を使用することができる。
(3)吸着剤の前処理(活性化処理)
本発明の活性アルミナと金属酸化物からなる吸着剤は前処理として加熱活性化処理されていることが好ましい。すなわち、本発明の製造方法は、吸着剤を前処理する工程を含んでいることが好ましい。吸着剤を前処理することにより、オレフィンの精製の効率を高めることができる。吸着剤の前処理(活性化処理)は、吸着剤の結晶崩れの影響が生じない条件で、オレフィンの精製の効率アップのメリットと前処理に要するコストのデメリットを考慮して行うとよい。
前処理温度は、好ましくは100〜300℃であり、より好ましくは200〜300℃、さらに好ましくは250〜300℃である。前処理時間は、所定温度到達後、好ましくは0.1〜100時間、より好ましくは0.5〜50時間、さらに好ましくは1〜25時間である。前処理は、不活性ガス流通下で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等が使用できる。
〔III〕接触条件
オレフィンと吸着剤との接触温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜60℃、さらに好ましくは20〜50℃である。処理温度が高過ぎると液化オレフィンの場合には気化し処理操作が効率的でなくなる。また、気体オレフィンの場合には副反応が生じる懸念がある。同様に処理温度が低過ぎると除去効率が低くなる。
オレフィンと吸着剤との接触圧力としては、常圧で行なうことができるが、0.2〜5MPa、好ましくは、0.5〜4MPaの圧力下においても行なうことができる。
オレフィンと吸着剤との接触時間は、オレフィン中の二酸化炭素濃度、活性アルミナと金属酸化物からなる吸着剤の使用量、接触温度、接触圧力等により適宜選択される。通常は1分〜100時間である。
オレフィンと吸着剤との接触方法としては、通常はオレフィンをガス状で接触させるが、これに限定されるものではなく、液状で接触させても良い。オレフィンと吸着剤との接触方法としては、通常はオレフィンを流通接触させるが、これに限定されるものではなく、回分接触させてもよい。
活性アルミナと金属酸化物からなる吸着剤は、通常は充填塔に充填して用いる。充填態様としては、接触塔の形状に応じて適宜選択すればよく、一般的には固定床が用いられるが、移動床、流動床等として充填することもできる。
〔IV〕追加の精製
オレフィンに二酸化炭素以外の不純物(例えば、HO、CO、COS等)が含まれている場合には、当該吸着剤を充填した充填塔の前後に別途、モレキュラーシーブ、金属酸化物等の吸着剤及び精製触媒を充填した充填塔を併用しそれらの不純物を除去することができる。
活性アルミナと金属酸化物からなる吸着剤と併用する、追加可能な吸着剤及び精製触媒としては、モレキュラーシーブ(MS)3A,4A,5A,13X等の合成ゼオライト、酸化銅、酸化亜鉛等の金属酸化物、パラジウム等の貴金属原子を担持した吸着剤及び精製触媒等が挙げられる。
具体的には、オレフィン重合用触媒との接触前の、オレフィンとの接触において、活性アルミナと金属酸化物からなる吸着剤の接触と、追加可能な吸着剤及び精製触媒の接触という、いわゆる併用接触による実施態様の例を示すと以下のとおりになる。
(1)モレキュラーシーブに接触後、活性アルミナと金属酸化物からなる吸着剤に接触
(2)金属酸化物又は金属酸化物の複合酸化物に接触後、活性アルミナと金属酸化物からなる吸着剤に接触
(3)活性アルミナと金属酸化物からなる吸着剤に接触後、金属酸化物又は金属酸化物の複合酸化物に接触
(4)金属酸化物又は金属酸化物の複合酸化物に接触後、活性アルミナと金属酸化物からなる吸着剤に接触、次いで金属酸化物又は金属酸化物の複合酸化物に接触
以上の追加可能な吸着剤及び精製触媒による接触処理は、オレフィンに含まれる不純物は何であるか等の性状を考慮して種々の組み合わせの変更及び回数等を、任意に多段に設定できる。
というのも、活性アルミナと金属酸化物からなる吸着剤による接触は、主に二酸化炭素の含有量を順次低下させるのに対して、この追加可能な吸着剤及び精製触媒は、例えばそれ以外の有機化合物又は無機化合物(例えば、HO、CO)のような不純物を順次低下させることにも有益であり、全体のあらゆる不純物を除去することにより、重合活性を全体的に維持又は向上するために有用である。
ということは、オレフィンを、予め活性アルミナと金属酸化物からなる吸着剤による接触前後に、モレキュラーシーブに接触、金属酸化物又は金属酸化物の複合酸化物等で接触する併用接触も有益である。また、追加可能な吸着剤及び精製触媒部分を任意に多段に併設すること、その接触前後を任意に変えるいずれの態様も本発明の技術範囲に含まれる。
本発明のオレフィンの重合工程は、前記精製オレフィンの製造工程で得られる精製オレフィンを、オレフィン重合用触媒とトリイソブチルアルミニウムとを接触させる工程である。ここで、オレフィンの重合には、前記精製オレフィンのみを用いることに限られず、任意にその他のオレフィンを併用してもよい。
〔V〕オレフィン重合用触媒
オレフィン重合用触媒としては、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒、ポストメタロセン触媒等が挙げられる。
(1)チーグラー・ナッタ触媒
チーグラー・ナッタ触媒の例としては、下記の触媒成分(A)、触媒成分(B)を含む触媒が挙げられる。
触媒成分(A):チタン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分として含有する固体成分(A1)
触媒成分(B):有機アルミニウム化合物
触媒成分(A)は、チタン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分として含有する固体成分(A1)に、必要に応じて成分(A2)、成分(A3)又は成分(A4)を接触させてなるものである。
固体成分(A1)は、チタン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分として含有する固体成分である。任意成分として電子供与体等を含有することができる。ここで、「必須成分として含有する」ということは、挙示の三成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で任意の成分を任意の形態で含んでもよいということを示すものである。チタン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分として含有する固体成分は公知のものである。
成分(A2)としては、特開平3−234707号公報及び特開2003−292522号公報に開示されたビニルシラン化合物等を用いることができる。ビニルシラン化合物はモノシラン(SiH)の水素原子の少なくとも一つがビニル基類で置換され、残りの水素原子の一部ないし全部がその他の遊離基に置き換えられた構造を持つ化合物であり、下記一般式(3)で表すことができる。
[CH=CH−]SiX (OR・・・(1)
(一般式(1)中、Xはハロゲン、Rは水素又は炭化水素基、Rは水素、炭化水素基又は有機ケイ素基を表す。a≧1,0≦b≦3,0≦c≦3,0≦d≦2,a+b+c+d=4である。)
ビニルシラン化合物は単独で用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。
成分(A3)としては、アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A3a)、少なくとも二つのエーテル結合を有するエーテル化合物(A3b)が挙げられる。
アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A3a)としては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることができる。一般的には、下記一般式(2)にて表される化合物を用いることが望ましい。
Si(OR・・・(2)
(一般式(2)中、Rは炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基、Rは水素、ハロゲン、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基、Rは炭化水素基を表す。0≦f≦2,1≦g≦3,f+g=3である。)
有機ケイ素化合物は単独で用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。
少なくとも二つのエーテル結合を有するエーテル化合物(A3b)としては、特開平3−294302号公報及び特開平8−333413号公報に開示された化合物等を用いることができる。一般的には、下記一般式(3)にて表される化合物を用いることが望ましい。
O−C(R−C(R−C(R−OR・・・(3)
(一般式(3)中、R及びRは水素、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基、Rは炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基を表す。)
少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物は単独で用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。
成分(A4)としては、特開2004−124090号公報に開示された有機アルミニウム化合物等を用いることができる。一般的には、下記一般式(4)にて表される化合物を用いることが望ましい。
AlX(OR10・・・(4)
(一般式(4)中、Rは炭化水素基、Xはハロゲン又は水素、R10は炭化水素基又はAlによる架橋基を表す。h≧1、0≦i≦2、0≦j≦2、h+i+j=3である。)
有機アルミニウム化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、メチルアルミノキサン等を挙げることができる。中でも、トリエチルアルミニウムが好ましい。有機アルミニウム化合物は単独の化合を用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。
触媒成分(A)は、(A1)、(A2)、(A3)、(A4)の各構成成分を、例えば、接触温度を−50〜200℃程度、好ましくは−10〜100℃、より好ましくは0〜70℃、さらに好ましくは10℃〜60℃として、回転ボールミルや振動ミル等の機械的な方法又は不活性希釈剤の存在下に撹拌により接触させる方法、好ましくは不活性希釈剤の存在下に撹拌により接触させる方法等により接触させることによって得ることができる。
触媒成分(B)の有機アルミニウム化合物としては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることができる。好ましくは、触媒成分(A)を調製する際に用いることができる成分(A4)の有機アルミニウム化合物における例示と同じ群から選択することができる。この際、触媒成分(B)の有機アルミニウム化合物と成分(A4)の有機アルミニウム化合物は、同一であっても異なってもよい。また、単独の化合を用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。
触媒成分(B)の有機アルミニウム化合物の具体例としては、一般式(5)で表されるものである。
11 AlX(OR12 ・・・(5)
(一般式(5)中、R11及びR12は炭素数2〜10の炭化水素基、Xはハロゲン又は水素原子を表す。k≧1、0≦m≦2、0≦n≦2、k+m+n=3である。)
触媒成分(B)の例としてはトリエチルアルミニウムが挙げられる。
触媒成分(B)の使用量は、触媒成分(A)を構成するチタン原子に対するモル比(有機アルミニウム化合物のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは1〜1,000であり、より好ましくは10〜500である。
(2)メタロセン触媒
メタロセン触媒の例としては、一般に、共役五員環配位子を有する周期律表第4〜6族の遷移金属化合物からなるメタロセン錯体(W)、助触媒(X)を含む触媒が挙げられる。
メタロセン錯体(W)としては、代表的なものとして共役五員環配位子を有する周期律表第4〜6族の遷移金属化合物のメタロセン錯体が挙げられる。これらのうち、下記一般式(1)で表される架橋メタロセン錯体であることが好ましい。
Figure 2017066320
式(1)中、Mは、周期律表第4〜6族から選ばれる遷移金属の金属原子である。F及びGは、補助配位子であり、助触媒(X)と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させるものである。E及びE‘は、置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基又はアズレニル基である。Qは、EとE‘を架橋する基である。E及びE‘は、さらに副環上に置換基を有していてもよい。
E及びE‘としては、インデニル基又はアズレニル基が好ましく、特にアズレニル基が好ましい。
Qは、二つの共役五員環等の配位子間を任意の位置で架橋する結合性基を表し、アルキレン基、シリレン基又はゲルミレン基であるのが好ましい。
Mは、周期律表第4〜6族から選ばれる遷移金属の金属原子、好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等である。ジルコニウム又はハフニウムが好ましい。
F及びGは、補助配位子であり、助触媒(X)と反応して、オレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させ、したがって、この目的が達成される限りF及びGは、配位子の種類が制限されるものではなく、各々水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基等が例示できる。これらのうち好ましいものは炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子である。
助触媒(X)は、メタロセン錯体(W)を活性化する成分で、メタロセン錯体の補助配位子と反応して当該錯体を、オレフィン重合能を有する活性種に変換させ得る化合物であり、具体的には、下記(X−1)〜(X−4)のものが挙げられる。
(X−1)アルミニウムオキシ化合物
(X−2)メタロセン錯体(W)と反応して、メタロセン錯体(W)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物又はルイス酸
(X−3)固体酸
(X−4)イオン交換性層状珪酸塩
助触媒(X)は、pKaが−8.2以下の酸点を持ち、その量がそれを中和するために助触媒(X)1g当たり、2,6−ジメチルピリジンを0.001ミリモル以上要するものであることが好ましく、さらに好ましくは0.01ミリモル以上のものである。
pKaが−8.2以下の酸点の量は、特開2002−53609号公報に記載の方法で測定する。
ここで、酸とは、物質の分類のカテゴリーの一つであり、ブレンステッド酸又はルイス酸である物質を指すと定義する。また、酸点とはその物質が酸としての性質を示す構成単位であると定義し、その量は、滴定法等の分析手段により、単位重量当たりの中和に要する2,6−ジメチルピリジン量のモル量で把握される。pKaが−8.2以下の酸点は、「強酸点」と呼ばれる。
本発明で用いる助触媒(X)は、強い酸点を特定量以上含有することによって重合活性が格段に向上する。
(X−1)のアルミニウムオキシ化合物がメタロセン錯体を活性化できることは、周知であり、そのような化合物としては、具体的には次の一般式(2)〜(4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2017066320
上記の(2)〜(4)の各一般式中、Rは、水素原子又は炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10、中でも炭素数1〜6の炭化水素基を示す。また、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。また、pは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。
上記一般式のうち、(2)及び(3)で表される化合物は、アルミノキサンとも称される化合物であって、これらの中では、メチルアルミノキサン又はメチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。上記のアルミノキサンは、各群内及び各群間で複数種併用することも可能である。そして、上記のアルミノキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。
上記一般式(4)で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと、一般式:RB(OH)で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。一般式中、R及びRは、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基を示す。
(X−2)の化合物は、メタロセン錯体(W)と反応して、メタロセン錯体(W)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物又はルイス酸であり、このようなイオン性化合物としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオン等の陽イオンと、トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等の有機ホウ素化合物との錯化物等が挙げられる。
また、上記のようなルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等が例示される。さらに、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム等の金属ハロゲン化物等が例示される。
なお、上記のルイス酸のある種のものは、メタロセン錯体(W)と反応して、メタロセン錯体(W)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。
(X−3)の固体酸としては、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、モリブデン酸、ニオブ酸、チタン酸、タングステン酸やこれらの複合酸、ヘテロポリ酸等が挙げられる。
(X−4)のイオン交換性層状化合物は、粘土鉱物の大部分を占めるものであり、好ましくはイオン交換性層状珪酸塩である。
イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に「珪酸塩」と略記する場合がある。)は、イオン結合等によって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、かつ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)が含まれることが多いが、それらを含んでいてもよい。
珪酸塩は、各種公知のものが使用できる。具体的には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族;バーミキュライト等のバーミキュライト族;雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族;パイロフィライト、タルク等のパイロフィライト−タルク族;Mg緑泥石等の緑泥石族、セピオライト、パリゴルスカイト等である。
珪酸塩は、上記の混合層を形成した層状珪酸塩であってもよい。主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であるのが好ましく、スメクタイト族であることがより好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。
珪酸塩については、天然品又は工業原料として入手したものは、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すのが好ましい。具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。好ましくは酸処理である。これらの処理を互いに組み合わせて用いてもよい。これらの処理条件には特に制限はなく、公知の条件が使用できる。
また、これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常、吸着水及び層間水が含まれるため、不活性ガス流通下で加熱脱水処理する等して、水分を除去してから使用するのが好ましい。なお、これらの化学処理の程度によってはイオン交換性が小さくなっている場合があるが、化学処理前の原料がイオン交換性層状珪酸塩であれば、特に問題ない。
メタロセン触媒は、担体に担持して用いることができる。メタロセン触媒において用いられる担体としては、各種公知の無機又は有機の微粒子状固体を挙げることができる。
無機固体の例示としては、多孔質酸化物が挙げられ、必要に応じて100〜1,000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して用いられる。
具体的には、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO等、又はこれらの混合物、例えばSiO−MgO、SiO−Al、SiO−TiO、SiO−V、SiO−Cr、SiO−TiO−MgO等が挙げられる。これらのうち、SiO又はAlを主成分とするものが好ましい。
また、上記助触媒(X)が固体のものであれば、担体兼助触媒として使用することが可能であり、かつ好ましい。担体兼助触媒の具体例としては、(X−3)固体酸や(X−4)イオン交換性層状珪酸塩等が挙げられる。共重合体の粒子性状を向上させるためには、各種公知の造粒を行うのが好ましい。
有機の微粒子状固体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体、ビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)重合体等の固体を例示することができる。
担体の平均粒径は、通常5〜300μm、好ましくは10〜200μm、より好ましくは30〜100μmである。担体の比表面積は、通常50〜1,000m/g、好ましくは100〜500m/gである。担体の細孔容積は、通常0.1〜2.5cm/g、好ましくは0.2〜0.5cm/gである。
また、担体兼助触媒として使用する助触媒(X)についても上記と同じ範囲の平均粒径及び比表面積のものが好ましい。
メタロセン錯体(W)と助触媒(X)と担体の接触において、接触順番に制限は無いが、例えば、下記のような方法がある。
(i)メタロセン錯体(W)と助触媒(X)を接触させた後に、担体を接触させる。
(ii)メタロセン錯体(W)と担体を接触させた後に、助触媒(X)を接触させる。
(iii)担体と助触媒(X)を接触させた後に、メタロセン錯体(W)を接触させる
(なお、イオン交換性層状珪酸塩等の固体の助触媒を担体兼助触媒として使用する場合、担体と助触媒(X)は、もともと接触担持されていることになるため、この接触順番となる)。
(iv)メタロセン錯体(W)と助触媒(X)と担体を、同時に接触させる。
この中で好ましいのは(iii)の順番である。
また、必要に応じて、有機アルミニウム化合物を使用することができる。有機アルミニウム化合物を使用する場合についても、上記のいずれの段階で有機アルミニウム化合物を接触させてもよい。好ましくは、担体と助触媒(X)を接触させた後に、有機アルミニウム化合物を接触させ、その後、メタロセン錯体(W)を接触させる方法である。
メタロセン錯体(W)と有機アルミニウム化合物を接触させる(その場合、助触媒(X)が存在していてもよい)温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜80℃、特に好ましくは30〜60℃である。この温度範囲より低い場合は、反応が遅くなるし、また、高い場合は、メタロセン錯体(W)の分解反応が進行する。
また、メタロセン錯体(W)と有機アルミニウム化合物を接触させる(その場合、助触媒(X)が存在していてもよい)場合には、有機溶媒を溶媒として存在させるのが好ましい。この場合のメタロセン錯体(W)の有機溶媒中での濃度は、高い方が良く、好ましくは3mM以上、より好ましくは4mM以上、特に好ましくは6mM以上である。
上記の触媒成分のうちメタロセン錯体(W)と助触媒(X)の使用量は、それぞれの組み合わせの中で最適な量比で用いられる。
助触媒(X)がアルミニウムオキシ化合物の場合は、Al/遷移金属のモル比は、通常10〜100,000、好ましくは100〜20,000、より好ましくは100〜10,000である。一方、助触媒(X)としてイオン性化合物又はルイス酸を用いた場合は、対遷移金属のモル比は、0.1〜1,000、好ましくは1〜100、より好ましくは2〜10である。
オレフィン重合用触媒は、(共)重合体の粒子性状の改良のために、予めオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合して用いることが好ましい。予備重合に使用するオレフィンは、特に限定はないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等を使用することが可能であり、特にプロピレンを使用するのが好ましい。
予備重合時のオレフィンの供給方法は、オレフィンを反応槽に定速的に又は定圧状態になるように維持する供給方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせる等、任意の方法が可能である。
予備重合時間は、特に限定されないが、5分〜24時間であるのが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量がオレフィン重合用触媒1重量部に対し、好ましくは0.01〜100重量部、より好ましくは0.1〜50重量部である。予備重合を終了した後に、触媒の使用形態に応じ、そのまま使用することが可能であるが、必要ならば乾燥を行ってもよい。
予備重合温度は、特に制限されないが、通常0℃〜100℃、好ましくは10〜70
℃、より好ましくは20〜60℃、である。この範囲を下回ると反応速度が低下したり、活性化反応が進行しないという弊害が生じる可能性があり、上回ると予備重合ポリマーが溶解したり、予備重合速度が速すぎて粒子性状が悪化したり、副反応のため活性点が失活するという弊害が生じる可能性がある。
予備重合時には、有機溶媒等の液体中で予備重合を実施することもでき、むしろそうするのが好ましい。予備重合時の固体触媒の濃度は、特に制限されないが、好ましくは50g/L以上、より好ましくは60g/L以上、特に好ましくは70g/L以上である。濃度が高い方が触媒の活性化が進行し、高活性触媒となる。
さらに、上記各成分の接触の際、又は接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の重合体やシリカ、チタニア等の無機酸化物固体を共存させることも可能である。
本発明において、精製オレフィンとオレフィン重合用触媒とを接触するに際して、トリイソブチルアルミニウムが存在することを特徴とする。
トリイソブチルアルミニウムの使用量は、mol比でオレフィンに対して5ppm〜500ppmである。
〔V〕オレフィンの重合
本発明のオレフィンの重合は、オレフィン重合用触媒とモノマーが効率良く接触するならば、あらゆる様式の方法を採用することができる。具体的な重合形態として、炭化水素溶媒を用いるスラリー重合、液化させたモノマー中でのバルク重合、又は実質的に溶媒を用いない気相重合等に適用される。
スラリー重合の場合、重合溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素溶媒が用いられる。
重合反応は連続式重合、半連続式重合、回分式重合に適用される。さらに、重合反応は反応条件の異なる二段以上分けて行う多段重合法も可能である。
重合時の条件としては、重合温度は、通常、30〜150℃、好ましくは50〜100℃、である。また、重合圧力は、常圧〜5MPa、好ましくは常圧〜4MPaである。本発明の重合時にはポリマーの分子量を調節する目的で水素を用いることができる。
また、用いられるモノマーとしては、活性アルミナと金属酸化物とからなる吸着剤と接触させ、二酸化炭素を除去した精製オレフィンを使用するが、それだけには限定されず、本発明の効果を損なわない範囲で、他の精製方法によって精製されたモノマー、精製していないモノマーを付加的に使用することもできる。用いられるモノマーとしては、エチレン、プロピレン単独の場合だけでなく、エチレン及びプロピレンと共重合可能なモノマー、例えば共重合において、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等も使用することができる。
本発明のオレフィン(共)重合体の製造方法としては、具体的には、活性アルミナと金属酸化物とからなる吸着剤と接触させ、二酸化炭素を除去した精製エチレンを重合して、エチレン単独重合体を製造する方法、活性アルミナと金属酸化物とからなる吸着剤と接触させ、二酸化炭素を除去した精製プロピレンを重合して、プロピレン単独重合体を製造する方法、活性アルミナと金属酸化物とからなる吸着剤と接触させ、二酸化炭素を除去した精製エチレンと活性アルミナと金属酸化物とからなる吸着剤と接触させ、二酸化炭素を除去した精製プロピレンとを共重合して、エチレン・プロピレン共重合体を製造する方法、活性アルミナと金属酸化物とからなる吸着剤と接触させ、二酸化炭素を除去した精製エチレンと他の精製方法によって精製された又は精製していないプロピレンとを共重合して、エチレン・プロピレン共重合体を製造する方法、活性アルミナと金属酸化物とからなる吸着剤と接触させ、二酸化炭素を除去した精製プロピレンと他の精製方法によって精製された又は精製していないエチレンとを共重合して、エチレン・プロピレン共重合体を製造する方法等が挙げられる
〔VI〕オレフィン(共)重合体
本発明において、オレフィン(共)重合体とは、オレフィン単独重合体、オレフィン共重合体等を表す。
本発明において、オレフィン(共)重合体として、エチレン含有量が6wt%以下、好ましくは0.2〜5wt%のエチレン・プロピレン共重合体とすることができる。ここで、モノマーであるエチレン及びプロピレンは、少なくとも一方が、活性アルミナと金属酸化物とからなる吸着剤と接触して精製されている。
本発明のオレフィン(共)重合体は、メルトフローレート(MFR)(g/10min)は、0.1〜1,000程度のものが任意に重合できる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の実施例と比較例との対照において、本発明の構成要件の合理性と有意性及び本発明の卓越性を実証するものである。
本発明によって得られた重合体の物性測定は次の方法で実施した。
(1)13C−NMRによるエチレン含有量
エチレン含有量は、プロトン完全デカップリング法により、以下の条件に従って、13C−NMRスペクトルを解析することにより求める値である。
機種:日本電子(株)製 GSX−400又は同等の装置(炭素核共鳴周波数100MHz以上) 溶媒:o−ジクロロベンゼン+重ベンゼン(4:1(体積比)) 濃度:100mg/mL 温度:130℃ パルス角:90°
パルス間隔:15秒 積算回数:5,000回以上
スペクトルの帰属は、例えば、Macromolecules 17,1950(1984)等を参考に行えばよい。上記条件により測定されたスペクトルの帰属は、表1の通りである。表1中Sαα等の記号はCarmanら(Macromolecules 10,536(1977))の表記法に従い、Pはメチル炭素、Sはメチレン炭素、Tはメチン炭素をそれぞれ表わす。
Figure 2017066320
以下、「P」を共重合体連鎖中のプロピレン単位、「E」をエチレン単位とすると、連鎖中にはPPP、PPE、EPE、PEP、PEE、及びEEEの6種類のトリアッドが存在し得る。Macromolecules 15,1150 (1982)等に記されているように、これらトリアッドの濃度と、スペクトルのピーク強度とは、以下の(1)〜(6)の関係式で結び付けられる。
[PPP]=k×I(Tββ) …(1)
[PPE]=k×I(Tβδ) …(2)
[EPE]=k×I(Tδδ) …(3)
[PEP]=k×I(Sββ) …(4)
[PEE]=k×I(Sβδ) …(5)
[EEE]=k×{I(Sδδ)/2+I(Sγδ)/4} …(6)
ここで、[ ]はトリアッドの分率を示し、例えば[PPP]は全トリアッド中のPPPトリアッドの分率である。
したがって、
[PPP]+[PPE]+[EPE]+[PEP]+[PEE]+[EEE]=1 …(7)
である。
また、kは定数であり、Iはスペクトル強度を示し、例えば、I(Tββ)はTββに帰属される28.7ppmのピークの強度を意味する。上記(1)〜(7)の関係式を用いることにより、各トリアッドの分率が求まり、さらに下式により、エチレン含有量が求まる。
エチレン含有量(モル%)=([PEP]+[PEE]+[EEE])×100
なお、少量のプロピレン異種結合(2,1−結合及び/又は1,3−結合)が含まれ、それにより、微小なピークを生じる場合がある。正確なエチレン含有量を求めるにはこれら異種結合に由来するピークも考慮して計算に含める必要があるが、異種結合由来のピークの完全な分離・同定が困難であり、また異種結合量が少量であることから、本発明のエチレン含有量は実質的に異種結合を含まない場合の解析と同じく式(1)〜(7)の関係式を用いて求めることとする。
エチレン含有量のモル%から重量%への換算は以下の式を用いて行う。
エチレン含有量(重量%)=(28×X/100)/{28×X/100+42×(1−X/100)}×100 ここで、Xはモル%表示でのエチレン含有量である。
(2)メルトフローレート(MFR):JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠して求めた。
(3)イソ吉草酸の含有量の定量
試料1gをヘッドスペースガスクロ用のバイアルに量り取り、175℃のオーブンで30分間加熱した。バイアルに固相マイクロ抽出用ファイバーを挿入し、試料から発生した揮発成分をファイバーに捕集し、GC/MS測定で捕集した成分を測定した。イソ吉草酸の含有量の定量には、濃度が既知であるイソ吉草酸の標準試料をGC/MS測定して得られる検量線を用いた。
(4)官能試験方法
80℃、3時間、窒素気流中で乾燥した重合体の粉体10gを速やかに100ccのすり栓付きガラス容器に入れ、喫煙の嗜好を持たない検定員10名によって臭気の程度を以下の判定基準で評価した。
○:不快臭を申告した検定員が0名
△:不快臭を申告した検定員が1〜2名
×:不快臭を申告した検定員が3〜10名
[実施例1]
[固体触媒の製造]
(i)珪酸塩の化学処理
3リットルの撹拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコを使用し、蒸留水1130ml、続いて濃硫酸(96%)750gをゆっくりと添加し、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL;平均粒径25μm,粒度分布10〜60μm,組成(重量%):Al8.45、Mg2.14、Fe2.34、Si32.8、Na2.62)を300g分散させ、90℃まで1時間かけ昇温し、5.5時間その温度を維持した後、1時間で50℃まで冷却した。このスラリーを減圧濾過し、ケーキを回収した。さらに、このケーキを蒸留水で最終洗浄液のpHが3.5を越えるまで洗浄し、窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。
(ii)固体触媒の調製
以下の操作は、不活性ガス下、脱酸素、脱水処理された溶媒、モノマーを使用して実施した。先に化学処理したモンモリロナイトを減圧下、200℃で、2時間乾燥を実施した。内容積500mlのガラス製反応器に上記で得た化学処理モンモリロナイト20.0gを秤量し、ヘプタン73.7ml、トリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液126.3ml(50.0mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。その後、ヘプタンで洗浄し、最後にスラリー量を200.0mlに調製した。
次に、特開平11−240909号公報の実施例1と同様の合成法に従って合成したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ジルコニウム218mg(0.3mmol)に混合ヘプタンを87ml添加し、充分撹拌した後に、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.706M)を4.25ml加え、室温にて1時間反応させた。その後、先に調製した珪酸塩スラリーに加え、1時間攪拌後、混合ヘプタンを追加して500mlに調製した。
続いて、窒素で充分置換を行った内容積1.0リットルの攪拌式オートクレーブに、先に調製した珪酸塩/メタロセン錯体スラリーを導入した。温度が40℃に安定したところで、不純物除去後の精製プロピレンを10g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後、プロピレンの供給を停止し、50℃に昇温後、さらに2時間維持した。サイホンにて予備重合触媒スラリーを回収し、上澄みを約300ml除き、45℃にて減圧下乾燥した。この操作により触媒1g当たりポリプロピレンが1.9gを含む予備重合触媒が得られた。
[エチレンの活性アルミナと固体金属酸化物からなる吸着剤処理]
内径78mm、高さ1300mmの充填塔に、活性アルミナと酸化ナトリウムから成るCG−731(ユニオン昭和製)を4kg充填した。CG−731は、95重量%までの活性アルミナ、10重量%までの酸化ナトリウム、および15重量%までの水を含んでいた。次に、この充填塔を250℃、窒素流通下で6時間乾燥を行った。そして、この充填塔に二酸化炭素100ppm含有するエチレンを400g/時の流速で、20℃の温度にて流通させエチレン・プロピレンの共重合に用いた。
[エチレン・プロピレンの共重合]
内容積3Lの攪拌式オートクレーブ内を二酸化炭素含有量が検出限界以下の別途精製したプロピレンで充分置換した後に、室温下、トリイソブチルアルミニウム・ヘプタン溶液(2.02M)2.81mlを添加し、水素25ml、精製エチレン16.5g、続いて精製液体プロピレン750gを導入し、槽内温度を70℃に昇温した。槽内温度を70℃で維持したまま、上記で得られた予備重合触媒のノルマルヘプタンスラリー(10mg−触媒/ml)を1ml、触媒として10mg(予備重合ポリマーの重量は除く)をアルゴンにて圧入し、70℃にて1時間重合した。規定時間重合後、オートクレーブ内にエタノール10mlをアルゴンにて圧入し、残ガスをパージした。得られたポリマーは、110℃にて1時間乾燥した。その結果、約220gのポリマーが得られた。MFRは3.5(g/10分)、エチレン含有量は1.9(重量%)であった。重合結果を表2に示した。
[実施例2]
水素を100mlに変更したこと以外は、実施例1と同様に実験を行った。
[比較例1]
エチレンを一切の精製触媒処理を行わないこと以外は、実施例1と同様に実験を行った。
[比較例2]
エチレンを一切の精製触媒処理を行わないこと以外は、実施例2と同様に実験を行った。
Figure 2017066320
この結果、上記表2から明らかなように、本発明のオレフィンの重合方法を用いた実施例1,2では、本発明のオレフィンと吸着剤との接触条件を満足しているため、オレフィン重合用触媒の重合活性が増大し、触媒コストの低減ができ、また、臭気についても安定していた。
一方、本発明の接触条件を満たさない比較例1,2においてはエチレン中の二酸化炭素の影響で重合活性が低く、臭気についても不快臭を呈する結果となり本発明の実施例に劣るものであった。
以上の本発明の実施例と比較例との対照において、本発明の構成要件の合理性と有意性及び本発明の卓越性が実証されている。
以上のとおり、本発明のオレフィンの重合方法は、触媒を被毒する不純物の二酸化炭素を含有した場合であっても、トリイソブチルアルミニウムを用いたオレフィンの重合において、アルカリ水溶液による化学反応やアルカリ金属水酸化物を添着した吸着剤を用いずに、オレフィン重合用触媒の重合活性が増大し、臭気の低減が可能となる。さらに、金属銅による吸着反応に依らないため、H供給設備等の付帯設備を設ける必要がなく余分な製造及び維持コストがかからないため低コストで安定的に高品質の重合体が製造可能となるためオレフィンの重合方法に好適である。

Claims (9)

  1. 二酸化炭素を含むオレフィンと、活性アルミナと金属酸化物とからなる吸着剤とを接触させ、二酸化炭素を除去する精製オレフィンの製造工程と、前記精製オレフィンと、オレフィン重合用触媒とトリイソブチルアルミニウムとを接触させるオレフィンの重合工程、とを含むことを特徴とするオレフィン(共)重合体の製造方法。
  2. 前記金属酸化物は、アルカリ金属の酸化物及び/又はアルカリ土類金属の酸化物であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン(共)重合体の製造方法。
  3. 前記金属酸化物は、酸化ナトリウムであること特徴とする請求項1又は2に記載のオレフィン(共)重合体の製造方法。
  4. 前記吸着剤は、酸化ナトリウムの含有量が10wt%以下であることを特徴とする請求項3に記載のオレフィン(共)重合体の製造方法。
  5. 前記吸着剤を、100〜300℃で前処理する工程を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のオレフィン(共)重合体の製造方法。
  6. 前記精製オレフィンの製造工程は、オレフィンと吸着剤とを接触させる温度が、0〜100℃であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のオレフィン(共)重合体の製造方法。
  7. オレフィン重合用触媒は、メタロセン触媒であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のオレフィン(共)重合体の製造方法。
  8. 前記オレフィンは、エチレン及び/又はプロピレンであって、さらに当該精製エチレン及び/又は精製プロピレンを重合することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のオレフィン(共)重合体の製造方法。
  9. 前記オレフィン(共)重合体は、エチレン含有量が6wt%以下のエチレン・プロピレン共重合体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のオレフィン(共)重合体の製造方法。
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