JP2018060832A - 磁心片及び磁心 - Google Patents

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Abstract

【課題】アモルファス薄帯片を用いた積層磁心を作製する際のアモルファス薄帯片の取り扱い性及びアモルファス薄帯片を用いた積層磁心の組み立て作業が飛躍的に改善される磁心片及び磁心を提供する。
【解決手段】閉磁路を構成する複数の磁心ブロックを有し、前記磁心ブロックは、複数の磁心片の積層体であり、前記磁心片は、複数のアモルファス薄帯片が積層された積層構造と、前記積層構造の積層方向における少なくとも一方の端面に配置された電磁鋼板と、を含み、前記積層構造及び前記電磁鋼板が積層面で固定化された磁心、及び磁心片である。
【選択図】図1

Description

本開示は、磁心片及び磁心に関する。
トランス、リアクトル、チョークコイル、モーター、ノイズ対策部品、レーザ電源、加速器用パルスパワー磁性部品、発電機等に用いられる磁心(コア)として、珪素鋼、ソフトフェライト、パーマロイ、Fe基アモルファス合金、Fe基ナノ結晶合金等の軟磁性材料が用いられている。その中では、板もしくは薄帯状の軟磁性材料を巻回して製造されたコアが知られている。
このようなコアは、長尺状の板もしくは薄帯が巻き回されて製造されることから、巻磁心又は巻コア等と呼ばれている。
巻磁心は、薄帯を所望とする内径及び外径となるように巻回し、巻き回すことより導入される歪を除去するための熱処理を行うことによって製造されることが通例である。ところが、薄帯が巻き回された形態では、製造上、巻磁心の大きさが制限される場合があるだけでなく、珪素鋼等とは特性の異なるアモルファス薄帯が有する優れた特性が十分に発揮されない。これは、アモルファス薄帯に対してアモルファス構造を維持するために行う熱処理の温度が珪素鋼より低いため、巻き回すことよって導入される歪を十分に取り除けないためと考えられる。すなわち、巻磁心の形態は、設計の自由度が乏しく、アモルファス薄帯の持つ優れた特性が損なわれやすいという問題がある。
磁心の形態としては、巻磁心以外に、薄帯の断片を積載した積層磁心が知られている。積層磁心に関する技術として、方向性電磁鋼板とアモルファス等の箔とを交互に積層した鉄心(例えば、特許文献1参照)、帯状の非晶質磁性材料を複数枚積層し、積層した非晶質磁性材料の積層端部に接着剤を含浸又は塗布することを含む鉄心の製造方法(例えば、特許文献2参照)、及び非晶質合金薄帯を複数枚積み重ね、珪素鋼板とほぼ同程度の厚さを有する単位積層板をつくり、この積層板同士を積み重ねて変圧器鉄心の積層体を形成する方法(例えば、特許文献3参照)、等が開示されている。
更に、広幅の非アモルファス板間に非アモルファス板より狭幅のアモルファス薄材を配置し、アモルファス薄材の端部から非アモルファス板が存在する領域に非アモルファス材料を配置し、この領域で積層構造の全体がボルト固定された積層アモルファスコアが開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特開平5−275255号公報 特開昭62−108513号公報 特開昭61−74314号公報 米国特許第4506248号明細書
しかしながら、特許文献1では、方向性電磁鋼板とアモルファス等の箔とを交互に配置しているため、アモルファス等の体積分率が低く、エネルギー損失を低く抑えることは困難である。
また、特許文献2では、帯状の非晶質磁性材料を複数枚(3〜5枚程度)積層し、積層体の端部を接着する技術であり、その後、変圧器へ組み込む際の磁心とコイルの組み立て容易性については考慮されていない。
特許文献3では、非晶質合金薄帯を複数積み重ねて積層体を製造する技術に関するものであるが、珪素鋼板と同程度の作業性を保持することを目的とするものである。これにより、作業性は、薄帯をそのまま取り扱う場合に比べ、珪素鋼板を用いる際の作業性に近づくと考えられるが、極めて薄いアモルファス薄帯が数千枚以上積み重ねて作製される磁心の製造プロセスの工程の簡易化までは実現し得ないのが実情である。加えて、その後の変圧器へ組み込む際の磁心とコイルの組み立て容易性については考慮されていない。
更に、特許文献4では、アモルファス薄材が積層された構造が開示されているが、アモルファス薄材が非アモルファス板に比べて狭幅であるためにアモルファス体積分率が低くなり、したがってエネルギー損失を低く抑えることは困難なことに加え、積層構造とした後の構造全体がボルトで機械的に固定されて一体化した構造となっており、アモルファス薄材を枚様に扱うものであり、磁心の組み立て作業は煩雑になる。
本発明の実施形態は、上記のような状況に鑑みてなされたものである。本発明の実施形態は、アモルファス薄帯片を用いた積層磁心を作製する際のアモルファス薄帯片の取り扱い性及びアモルファス薄帯片を用いた積層磁心の組み立て作業が飛躍的に改善される磁心片及び磁心を提供することを目的とする。
薄厚のアモルファス薄帯の断片を積み重ねて積層磁心を組み立てる際の作業性を飛躍的に改善するには、磁心を幾つかの構造部分(ブロック構造)に分割し、分割されたブロック構造を用いて組み立てる作業工程を設け、かつ、分割されたブロック構造の任意の形状及び大きさに適合し得る薄帯片単位を用意することが有意義である。
上記した課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
本発明の第1の態様である磁心は、
<1> 閉磁路を形成する複数の磁心ブロックを備え、前記磁心ブロックは、複数の磁心片の積層体であり、前記磁心片は、複数のアモルファス薄帯片が積層された積層構造と、前記積層構造の積層方向における両方の端面のそれぞれの少なくとも一部に配置された電磁鋼板と、を含み、前記積層構造及び前記電磁鋼板が積層面で固定化されている。
第1の態様の磁心は、磁心ブロックが複数の磁心片を用いて構成されているので、極めて薄いアモルファス薄帯片の取り扱いが容易になるだけでなく、任意の形状及び大きさの積層磁心における組み立て作業性が飛躍的に改善される。つまり、第1の態様では、複数のアモルファス薄帯片を積み重ね、アモルファス薄帯片の積層部分の積層方向における両方の端面の少なくとも一部に電磁鋼板を配置し、かつ、積層部分及び電磁鋼板が積層面にて固定化された磁心片が、アモルファス薄帯片の一単位として用いられる。これにより、磁心に求められる任意の形状及び大きさに適用し得、製造時の積み精度、及びアモルファス薄帯片に必要な強度を安定的に確保することが可能である。
アモルファス薄帯の積層方向を法線とする面ではなく、積層されたアモルファス薄帯及び電磁鋼板からなる積層面で固定化するので、樹脂又は接着剤等に起因する応力による特性劣化が小さい。
なお、「積層面」とは、アモルファス薄帯の積層方向を法線とする面ではなく、積層された複数のアモルファス薄帯及び電磁鋼板の各厚みに相当する側面が集まって形成される面を指す。
前記<1>に記載の第1の態様の磁心では、
<2> 前記閉磁路は、四つの前記磁心ブロックが四角環状に接合されて形成されており、互いに隣り合う二つの磁心ブロック間に、それぞれの磁心片の、複数の積層構造を磁心ブロックの長手方向にずらして階段状に形成された段差における、前記長手方向に対して傾斜角θで傾斜した傾斜面が互いに接合する接合部を有する態様が好ましい。
前記<2>に記載の第1の態様の磁心では、
<3> 前記接合部において、磁心ブロックの長手方向に積層構造をずらすことで階段状に形成された段差における傾斜面は、磁心ブロックの長手方向に対して30°〜60°の傾斜角(すなわち、45°に対して−15°〜+15°の振れ角)で傾斜させて形成されている態様がより好ましい。
例えば四つの磁心ブロックを四角環状に接合することで、四角環構造を有する磁心(コア)を作製することができる。この場合、各磁心ブロックにおける磁化容易方向が長手方向にある場合、磁化容易方向と直角に接合する接合部における磁心ブロック同士の接合箇所(繋ぎ目)では、一方の磁心ブロック中で長手方向(磁化容易方向)と直角方向に磁束が流れることとなり、鉄損と皮相電力が増加しやすい。この点に関し、二つの磁心ブロックのそれぞれの磁心片の、磁心ブロックの長手方向に対して傾斜角θで傾斜した傾斜面が互いに接合し、磁心片間において、階段状に設けられた傾斜面同士が互いに接合されていることにより、一方の磁心ブロックの磁束が他方の磁心ブロックの磁束と交差するのを防ぎ、エネルギー損失を低く抑えることができる。
前記<1>に記載の第1の態様の磁心では、
<4> 互いに隣り合う二つの磁心ブロック間に、それぞれの磁心片が前記積層方向における端面で互いに接合する接合部を有し、前記接合部において、一方の磁心ブロックにおける磁心片の電磁鋼板と、他方の磁心ブロックにおける磁心片の電磁鋼板と、が対向配置されて接している態様が好ましい。
接合部では、二つの磁心ブロックが互いに重なった状態にあるため、一方の磁心ブロックの電磁鋼板と、他方の磁心ブロックの電磁鋼板と、が互いに向き合う状態であると、滑り性を保持しやすく、磁心ブロック間における磁心片の抜き差しが容易になり、磁心の組み立て又は解体が容易に行える。
前記<1>に記載の第1の態様の磁心において、
<5> 前記磁心片は、二つの前記積層構造と、前記二つの積層構造の、互いに対向する側とは反対側の各端面に配置された二つの第1の電磁鋼板と、前記二つの積層構造の間に配置された第2の電磁鋼板と、を有し、
前記二つの積層構造は、一方の積層構造の長手方向の一端と他方の積層構造の長手方向の一端とが、前記長手方向において互いに重なる位置から前記長手方向にずらされ、前記二つの積層構造が一部で重なる状態で配置され、前記二つの積層構造の積層部分における積層端面を含む平面において前記積層構造と前記第1の電磁鋼板と前記第2の電磁鋼板とが固定化されている態様が好ましい。
このような態様では、所定数のアモルファス薄帯片を束ねて電磁鋼板で挟んだ構造を有し、かつ、一方の積層構造の長手方向の一端と他方の積層構造の長手方向の一端とが、前記長手方向において、互いに重なる位置から前記長手方向に所定の距離ずらされ、前記二つの積層構造が一部で重なる状態で配置されるので、極めて薄厚のアモルファス薄帯片の取り扱いが容易であり、かつ、磁心片同士の接合が容易に行える。また、あらかじめ積み重ねられた単位をもって磁心ブロックが製造されるので、積み精度に優れ、生産性にも優れたものとなる。
また、二つの積層構造の間に配置される第2の電磁鋼板は、磁心片の長手方向の全長に相当する積層構造の表面全体に配置し得る大きさの1枚の電磁鋼板で構成されてもよいし、二つの積層構造の各々の端面の全面に配置し得る大きさの2枚の電磁鋼板を用いて構成されてもよい。
前記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の第1の態様の磁心において、
<6> 前記磁心片における前記積層構造と前記電磁鋼板とは、エポキシ系樹脂を用いて固定化されている態様が好ましい。
磁心片における、積層構造を形成する複数のアモルファス薄帯片と電磁鋼板とは、積み重ねただけでは位置ずれを起こす等により所定の形状を保ち難いが、エポキシ系樹脂を用いて少なくとも一部が固定化されることで、長期間にわたって安定的に所望とする形状を維持することができる。
前記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の第1の態様の磁心において、
<7> 前記積層構造は、前記電磁鋼板の短手方向の表面全体に配置されている態様が好ましい。
積層されている複数のアモルファス薄帯片の、長手方向と直交する短手方向(幅長)の長さが、電磁鋼板の、長手方向と直交する短手方向(幅長)の長さと同等以上であるので、組立性が向上する。更に、磁心におけるアモルファスの体積分率が高くなり、エネルギー損失がより低く抑えられる。
本発明の第2の態様である磁心片は、
<8> 複数のアモルファス薄帯片が積層された積層構造と、前記積層構造の積層方向における両方の端面の少なくとも一部に配置された電磁鋼板と、を含み、前記積層構造及び前記電磁鋼板が積層面で固定化されている。
第2の態様の磁心片は、積層構造をなす複数のアモルファス薄帯片と、積層構造の積層方向における両方の端面に配置された電磁鋼板と、が固定化されている。これにより、極めて薄いアモルファス薄帯が取り扱いやすくなり、任意の形状及び大きさの磁心の製造(組み立て作業)を効率良く行うことができる。
本発明の実施形態によれば、アモルファス薄帯片を用いた積層磁心を作製する際のアモルファス薄帯片の取り扱い性及びアモルファス薄帯片を用いた積層磁心の組み立て作業が飛躍的に改善される磁心片及び磁心が提供される。
本実施形態の積層コアを概念的に示す斜視図である。 積層コアを形成する奇数層の四角環構造を示す平面図である。 積層コアを形成する偶数層の四角環構造を示す平面図である。 複数のアモルファス薄帯片の積層単位体である積層パケットの一例を示す斜視図である。 (A)は図3の概略平面図であり、(B)は図3の概略側面図である。 図3の積層パケットを複数繋ぎ合わせた形態を示す概略側面図である。 複数のアモルファス薄帯片の積層単位体である積層パケットの他の例を示す斜視図である。 (A)は図6の概略平面図であり、(B)は図6の概略側面図である。 図6の積層パケットを複数繋ぎ合わせた形態を示す概略側面図である。 (A)は積層パケットの概略平面図であり、(B)は積層パケットの概略側面図である。 図9の積層パケットを複数繋ぎ合わせた形態を示す概略側面図である。 (A)は積層パケットの概略平面図であり、(B)は積層パケットの概略側面図である。 図11の積層パケットを複数繋ぎ合わせた形態を示す概略側面図である。 四つの積層パケットを接合した2種の四角環を交互に重ねて磁心とすることを説明するための概略説明図である。 接合部をステップラップ構造にする際に好適な積層パケットの一例を示す図であり、(A)は積層パケットを水平な机面に載置し、積層パケットを積層方向上方から観察した際の平面図であり、(B)は(A)を側部から観察した際の側面図である。 四つの積層パケットの接合部をステップラップ構造にして接合した積層コアを示す平面図である。 接合部のステップラップ構造を説明するための概略断面図である。 複数のアモルファス薄帯片の積層単位体である積層パケットの他の例を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の一実施形態の磁心は、閉磁路を構成する複数の磁心ブロックを有し、前記磁心ブロックは、複数の磁心片の積層体であり、前記磁心片は、複数のアモルファス薄帯片が積層された積層構造と、前記積層構造の積層方向における両方の端面のそれぞれの少なくとも一部に配置された電磁鋼板と、を含み、積層構造及び電磁鋼板が積層面で固定化されたものである。
本発明の実施形態に係る磁心は、閉磁路を構成する複数の磁心ブロックを形成するための磁心片を備えている。アモルファス薄帯片を磁心片単位として用いるので、極めて薄厚なアモルファス薄帯片の取り扱いが容易であることに加え、任意の形状及び大きさの磁心に対する組み立て作業性が飛躍的に改善される。
本明細書において、「アモルファス薄帯」とは、アモルファス相を有する長尺状の合金薄帯を意味する。また、「アモルファス薄帯片」とは、長尺状のアモルファス合金薄帯から短冊状に切り出された金属片(断片)を意味する。
磁心(以下、積層コアともいう。)とは、複数のアモルファス薄帯片を積み重ねて例えば四角環状に形成された積層磁心のことを指し、長尺状のアモルファス薄帯が巻回された巻磁心と区別されるものである。
磁心ブロックとは、磁心の形状が例えば四辺形(正方形又は矩形等)である場合、複数の磁心片(以下、積層パケットともいう。)がその外縁の少なくとも一部(例えば磁心片の長手方向の端部)において互いに重なるように積層されることで、四辺形の四つの辺をなす構造部分を指し、クランプ等で一時的に拘束固定された状態のもの、及び樹脂等で固定化された状態のものが含まれる。
磁心片(積層パケット)とは、複数枚のアモルファス薄帯片と複数枚の電磁鋼板とを積層した積層物であり、磁心の製造に用いられる単位片のことである。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
以下、図面を参照して、本発明の磁心の実施形態について具体的に説明し、本発明の磁心片の実施形態についても詳述する。但し、本発明の磁心及び磁心片の実施形態は、以下に示す実施形態に制限されるものではない。
(第1実施形態)
本発明の磁心の第1実施形態について、図1〜図13を参照して説明する。
第1実施形態は、複数のアモルファス薄帯片が積層された二つの積層構造と、二つの積層構造の、互いに対向する側とは反対側の各端面に配置された二つの第1の電磁鋼板と、二つの積層構造の間に配置された第2の電磁鋼板と、を有する磁心片(以下、積層パケットともいう。)を単位片とし、積層パケットを積み重ねて作製された四角環構造の積層コア(磁心)を一例に詳細に説明する。
本実施形態の積層コア100は、図1に示すように、四つの磁心ブロック10A、10B、10C及び10Dを備え、四つの磁心ブロックが互いに90°の角度をなして四角環状に配置され、四つの磁心ブロックはそれぞれ長手方向の端面で接合されている。四つの磁心ブロックは、それぞれ互いに隣り合う二つの磁心ブロック間において、各磁心ブロックの積層パケット同士が90°の角度をなすように接合されて四角環構造が形成されている。四つの磁心ブロックを四角環状に接合することで、閉磁路を形成している。
また、四つの磁心ブロックは、それぞれ、アモルファス薄帯片が積層された磁心片である積層パケットを積み重ねた積層体となっている。
本実施形態における積層パケットは、複数のアモルファス薄帯片が積層された二つの積層構造(図3中の符号23)と、二つの積層構造の、互いに対向する側とは反対側の各端面に配置された二つの第1の電磁鋼板(図3中の符号25A)と、二つの積層構造の間に配置された単一の第2の電磁鋼板(図3中の符号25B)と、を積み重ねて形成されたものである。なお、図3は、本実施形態の積層パケット(磁心)を示している。
なお、図1は、本実施形態の積層コア100を概念的に示す斜視図である。図1では、四角環状に配置されている四つの磁心ブロック10A、10B、10C及び10Dの配置面をxy平面(x軸及びy軸を含む平面)とし、xy平面の法線方向をz軸方向とする。
また、四つの磁心ブロック10A、10B、10C及び10Dは、外観上、全て長さL−w1、幅w1、及び高さTが同一の形状(直方体)を有しており、積層コア100は、長さLの正方形の四角環となっている。
本実施形態の積層コア100は、同一の積層パケットを複数個用い、複数個の積層パケットを正方形の環の形状に配置して各積層パケットの長手方向両端を互いに接合することで作製されている。すなわち、積層コア100は、四つの積層パケットを接合して正方形の環状体を得、1つの環状体を1層としてz方向に積み重ねたものである。
本実施形態の積層コア100は、正方形に形成されている例であるが、正方形に限られず、長方形等の他の四辺形とすることができる。
本実施形態のように、積層パケットを用いて積層コアを作製する場合には、環状体の奇数番目の層(奇数層)と偶数番目の層(偶数層)とで積み方を変える必要はないが、場合により、図2A及び図2Bに示すように、奇数層(第1層、第3層・・・)と偶数層(第2層、第4層・・・)とで積み方を変えることもできる。具体的には、積層コア100をなす環状体は、奇数層と偶数層とを図13に示すように交互に重ねて形成されてもよい。
奇数層は、図2Aに示すように、積層パケット20Aの一端上に積層パケット20Dの一端を重ね、積層パケット20Dの他端上に積層パケット20Cの一端を重ね、積層パケット20Cの他端上に積層パケット20Bの一端を重ね、積層パケット20Bの他端上に積層パケット20Aの他端を重ねた四角環構造を有している。
また、偶数層は、図2Bに示すように、奇数層における重ね方向とは逆方向に重ねて四角環構造としている。具体的には、積層パケット30Aの一端上に積層パケット30Bの一端を重ね、積層パケット30Bの他端上に積層パケット30Cの一端を重ね、積層パケット30Cの他端上に積層パケット30Dの一端を重ね、積層パケット30Dの他端上に積層パケット30Aの他端を重ねた四角環構造を有している。
積層コア100は、図13に示すように、上記した奇数層と偶数層とを交互に所望の積層数(積層パケット数)になるように積層(例えば図13のように第1層(奇数層)C1、第2層(偶数層)C2,第3層(奇数層)C3・・・が順に積層)されて作製されたものである。本実施形態の積層コア100では、四角環の4辺のそれぞれに11個の積層パケットが積層された構造となっている。
本実施形態の積層コア100を形成している磁心ブロック10A、10B、10C及び10Dは、それぞれ図3に示す構造の積層パケット20を重ねて形成されている。
積層パケットは、積層コアをなす四つの磁心ブロックを形成している複数のアモルファス薄帯片が積層された積層単位体である。本発明の一実施形態では、複数のアモルファス薄帯片の積層単位体が用いられるので、極めて薄厚のアモルファス薄帯片の取り扱いが容易になり、積み精度に優れた磁心ブロックを作製することができる。
積層パケット20は、図3に示すように、複数のアモルファス薄帯片21が積層された積層構造を有する二つの薄片束23と、二つの薄片束23の、互いに対向する側とは反対側の各端面に配置された二つの電磁鋼板(第1の電磁鋼板)25Aと、二つの薄片束23の間に配置された電磁鋼板(第2の電磁鋼板)25Bと、二つの薄片束23及び電磁鋼板25A、25Bを固定する樹脂層27と、を備えている。
この状態では、複数のアモルファス薄帯片が積層された薄片束23と、薄片束23の積層方向に重ねて配置された電磁鋼板25A、25Bと、が積層面に形成した樹脂層27によって固定化されている。
薄片束23は、複数のアモルファス薄帯片が積層されたものであり、二つの薄片束におけるアモルファス薄帯片の積層数は同一である。本実施形態では、1つの薄片束には30枚のアモルファス薄帯片が積層されている。したがって、本実施形態の積層パケット20におけるアモルファス薄帯片の積層数は60枚である。なお、アモルファス薄帯片のサイズは、長さ426mm×幅142mmである。
電磁鋼板25Aは、アモルファス薄帯片の薄片束23と幅方向(短手方向)が同一寸法となっている。すなわち、アモルファス薄帯片の薄片束23は、電磁鋼板の短手方向の表面全体に配置されている。
電磁鋼板25Bは、2つの薄片束23の間に配置され、2つの薄片束23の一方の表面全体に接すると共に、他方の表面と一部において接している。したがって、電磁鋼板25Bは、2つの薄片束23の間に配置されているが、2つの薄片束が互いに重なる部分以外の薄片束上において露出した状態にある。
電磁鋼板の主平面の表面粗さは、JIS B0601−2001に準拠して測定される算術平均粗さにて0.10μm〜0.20μmの範囲であることが好ましく、0.1μm〜0.15μmの範囲であることがより好ましい。
電磁鋼板の表面粗さが0.20μm以下であると、電磁鋼板同士が接している場合等において滑り性が良好になり、製造効率を高める点で有利である。
ここで、図4を参照して積層パケット20について更に説明する。
図4(A)は、図3に示す積層パケット20を水平な机面に載置し、電磁鋼板25Aを上方より平面視した際の平面図である。また、図4(B)は、図3に示す積層パケット20を側部からみた側面図である。なお、図4では、図3中の樹脂層27を図示していない。
本実施形態の積層パケット20は、図4(A)のように、一方を他方に対して長手方向端部(長さy1又はy2(L−w1)の方向における端部)の端面の位置が揃わないようにずらして配置された二つの薄片束23によって、図1に示す長さLの四角環の1辺をなしている。
本実施形態の積層パケット20は、積層パケット20を側部からみた図4(B)に示されるように、電磁鋼板25A/薄片束23/電磁鋼板25B/薄片束23/電磁鋼板25Aの積層部分を有している。積層部分は、樹脂層27によって固定化されている。そして、本実施形態では、図5に示すように、電磁鋼板25A/薄片束23/電磁鋼板25B/薄片束23/電磁鋼板25Aの積層部分において、電磁鋼板25Bの一部が二つの薄片束23により共有されている。
二つの薄片束23の一方は、図4(B)に示すように、電磁鋼板25Aが配置されている側と反対側に電磁鋼板25Bが配置されている。二つの薄片束23は、電磁鋼板25Bの面方向に互いにずらして配置されている。これにより、一方の薄片束23では、電磁鋼板25Bの表面の一部が露出し、他方の薄片束23では、電磁鋼板25Aが配置されている側と反対側の表面が露出した状態になっている。
また、図3に示す積層パケット20を使用する場合、図5に示すように複数の積層パケット20を組み合わせることで段差なく繋ぎ合わせることができる。
積層パケットの変形例として、図6〜図8に示すように、二つの薄片束(積層構造)23の間に、二つの薄片層の互いに向き合う両表面の全面に配置される、薄片束23より長尺の単一の電磁鋼板25Cを挟んで積層したものでもよい。
具体的には、図6のように、電磁鋼板25A/薄片束23/電磁鋼板25C/薄片束23/電磁鋼板25Aの積層部分を有する積層パケット120でもよい。積層パケット120の積層部分は、樹脂層27によって固定化されている。
この場合、図7に示すように、電磁鋼板25Cは、一方を他方に対して長手方向端部の端面の位置が揃わないようにずらして配置された2つの薄片束で規定される合計の長さ(図7中の距離L)、つまり積層パケット120の長手方向の全長と同一の長さと幅長とを有している。電磁鋼板25Cは、電磁鋼板25A/薄片束23/電磁鋼板25C/薄片束23/電磁鋼板25Aの積層部分において電磁鋼板25Cが二つの薄片束23により共有され、積層部分以外の部分(二つの薄片束23が重なっていない部分)では、電磁鋼板25Cが一方の薄片束及び他方の薄片束の表面の一部を覆って配置され、電磁鋼板25Cが露出する状態にある。
図6に示す積層パケット120を使用する場合、図8に示すように、積層構造の異なる積層パケット121を用意することで複数の積層パケットを繋ぎ合わせた形態を得ることができる。
更に、積層パケットの他の変形例として、図9〜図10に示すように、二つの薄片束(積層構造)23間に二枚の電磁鋼板が配置された構造であってもよい。
具体的には、図9のように、複数のアモルファス薄帯片が積層された二つの薄片束(積層構造)23と、二つの薄片束の、互いに対向する側とは反対側の一方面に配置された二つの第1の電磁鋼板25Aと、二つの薄片束が互いに対向する側の他方面に各薄片束にそれぞれ配置された第2の電磁鋼板25Bと、を積み重ねた積層パケット220でもよい。この場合、それぞれ二枚の電磁鋼板で挟んだ薄片束23は、電磁鋼板25Bの面方向に互いにずらして配置されることにより、積層パケットの薄帯片が重なっていない部分の電磁鋼板25Bの表面の一部が露出する状態になっている。
積層パケット220は、図9のように、電磁鋼板で挟んだ二つの薄帯片23の一方を他方に対して長手方向端部(長さy1又はy2の方向における端部)の端面の位置が揃わないようにずらして作製されている。積層パケット220は、積層パケットを側部からみた図9(B)に示されるように、電磁鋼板25A/薄片束23/電磁鋼板25B/電磁鋼板25B/薄片束23/電磁鋼板25Aの積層構造を有している。この場合、積層構造における二枚の電磁鋼板25Bは、二枚重ねた状態で共有されている。
図9に示す積層パケット220を使用する場合、図10に示すように複数の積層パケット220を組み合わせて繋ぎ合わせた形態とすることができる。
また、積層パケットの他の変形例として、図11〜図12に示すように、二つの薄片束23間には電磁鋼板を設けず、互いに対向する側とは反対側の各端面に電磁鋼板25Aが配置された構造となっていてもよい。本変形例によると、後述の実施例2にて説明するステップラップ形状とし、鉄損を低く抑える点で好ましい。
具体的には、図11のように、複数のアモルファス薄帯片が積層された二つの薄片束(積層構造)23と、二つの薄片束の、互いに対向する側とは反対側の一方面に配置された二つの第1の電磁鋼板25Aと、を積み重ねた積層パケット320でもよい。この場合、一方面に電磁鋼板が配置された二つの薄片束23は、一方を他方に対して長手方向端部(長さy1又はy2の方向における端部)の端面の位置が揃わないように面方向に互いにずらして配置されることにより、積層パケットの薄片束が重なっていない部分の薄片束の表面の一部が露出する状態になっている。
積層パケット320は、積層パケットを側部からみた図11に示されるように、電磁鋼板25A/薄片束23/薄片束23/電磁鋼板25Aの積層構造を有している。
図11に示す積層パケット320を使用する場合、図12に示すように複数の積層パケット320を組み合わせて繋ぎ合わせた形態とすることが可能である。
ここで、アモルファス薄帯を形成するアモルファス合金(組成)について説明する。
アモルファス合金薄帯については、国際公開第2013/137117号公報、国際公開第2013/137118号公報、国際公開第2016/084741号公報等に記載の合金の組成を適宜参照することができる。
アモルファス合金薄帯の中でも、Fe基アモルファス合金が好ましい。Fe基アモルファス合金とは、Feを主成分とするアモルファス合金を指す。なお、「主成分」とは、含有比率が最も高い成分を指す。
Fe基アモルファス合金としては、Fe、Si及びBを含み、Fe、Si及びBの総含有量を100原子%とした場合に、Feの含有量が50原子%以上(好ましくは60原子%以上、より好ましくは70原子%以上)であるFe基アモルファス合金が特に好ましい。
アモルファス合金薄帯を形成するアモルファス合金の特性、特にトランスとして必要とされる特性を得るためには、薄帯長手方向に磁化容易方向を持つように熱処理されたアモルファス薄帯が有効である。そのようなアモルファス薄帯を得るための方法として、熱処理する場合に、例えば、張架した状態で熱処理(テンションアニール)する方法、又は薄帯長手方向に磁場をかけた状態で熱処理する方法、張架しながら薄帯長手方向に磁場をかけた状態で熱処理する方法、等が好適である。
また、熱処理は、複数のアモルファス薄帯片を積層した積層物を金属板間に挟んで仮留めして炉に入れ、積層物のまま熱処理してもよい。
アモルファス薄帯片の表面の表面粗さは、JIS B0601−2001に準拠して測定される算術平均粗さにて0.20μm〜0.50μmの範囲であることが好ましく、0.20μm〜0.40μmの範囲であることがより好ましい。
表面粗さが0.20μm以上であると、アモルファス薄帯を積層したときの層間絶縁を確保する観点で有利である。表面粗さが0.40μm以下であると、積層磁心の占積率を高める点で有利である。
一般的に冷間圧延とその後に表面被膜を形成することで製造される電磁鋼板は、液体急冷法により作製するアモルファス薄帯より表面精度が高い、すなわち表面粗さは小さい。
電磁鋼板の表面粗さとアモルファス薄帯片の表面粗さとの差の絶対値としては、0.4μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがより好ましい。両者の表面粗さの差の絶対値が0.2μm以下であると、積層鉄心の占積率を高くできる点で有利である。
樹脂層27は、例えば電磁鋼板25A/薄片束/電磁鋼板25B/薄片束/電磁鋼板25A等の積層部分における積層面(薄帯片及び電磁鋼板の各厚みに相当する側面が集まって形成される面)に付設されており、積層部分において電磁鋼板及び薄片側を固定している。
樹脂層27は、エポキシ系樹脂を用いて形成されている。
アモルファス薄帯片を積層し、アモルファス薄帯の積層構造における積層面の少なくとも一部に硬化性の樹脂(例えば、エポキシ系樹脂)を塗布して硬化させることにより、樹脂層が形成されていることが好ましい。樹脂が硬化されることにより、複数のアモルファス薄帯片及び電磁鋼板が固定されるので、アモルファス薄帯片の積み精度が向上し、積層パケットの形状を良好に維持し易い。
アモルファス薄帯の積層構造において、アモルファス薄帯の積層方向を法線とする主要面に硬化性の樹脂を付与せず、積層面に硬化性の樹脂を塗布等して樹脂層を形成することで、硬化に伴う収縮等で生じやすい歪みを低く抑え、応力による特性劣化が抑制される。
積層パケットは、例えば以下のようにして製造することができる。
長尺状のアモルファス合金薄帯に張力を印加しながら連続熱処理した後、所望のサイズに裁断(切断、打ち抜き)及び積層し、得られた積層物の積層面にエポキシ系樹脂等を付与して樹脂層を付設することにより固定化する。
また、別の方法として、まず所望の組成のアモルファス合金薄帯を作製して所望とするサイズに裁断し、裁断されたアモルファス薄帯片を複数枚重ね、積層物とした状態で金属板間に挟み込み、仮留めして固定する。その後、炉内に入れ、熱処理を施し、冷却した後、積層物の積層面にエポキシ系樹脂等を付与して樹脂層を付設して固定化してもよい。
樹脂層の形成には、硬化性の樹脂を用いることができ、例えば、エポキシ系樹脂は好適に用いられる。エポキシ系樹脂の例としては、エポキシ樹脂を含有するA液と、硬化剤を含有するB液と、からなる2液混合型のエポキシ樹脂組成物をもちいてもよい。
樹脂層を形成する方法としては、特に制限はなく、公知の塗布方法を用いることができ、例えば、複数のアモルファス薄帯片と電磁鋼板とを積層した際の積層面の一部に、ブラシ又はヘラ等の塗布部材を用いて塗布する方法が好適である。
樹脂層27の厚みは、特に制限はなく、固定された積層部分に求められる強度、長期間にわたる耐久性等を考慮して適宜選択すればよい。
上記した実施形態では、図3及び図6のように、複数のアモルファス薄帯片を積層してなる二つの薄片束を、一方の薄片束の一端が他方の薄片束の一端から薄片束長手方向の他端に向けて所定距離ずれた状態で配置した形態の磁心片(積層パケット)を中心に説明したが、このような形態に限られるものではなく、任意の積層単位を選択して一単位(積層単位体)としてもよい。
具体的な例として、図17に示すように、複数のアモルファス薄帯片21を積層した積層構造23とこの積層構造23を挟む二つの電磁鋼板25Aとを樹脂層27で固定した形態の磁心片(積層パケット420)としてもよい。
(第2実施形態)
本発明の磁心の第2実施形態について図14〜図16を参照して説明する。
本実施形態は、上記の第1実施形態の積層コア(磁心)を形成する磁心ブロックにおける積層パケット同士が接合する接合部を階段形状に形成し、積層パケット同士が長手方向に対して45°傾斜した傾斜面で互いに接合されることで積層されたステップラップ構造としたものである。
なお、第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
積層パケット(磁心片)140は、図14に示すように、5つの薄片束30と、5つの薄片束30を挟むように配置された一対の電磁鋼板35と、を備えている。この状態では、五つの薄片束30及び二つの電磁鋼板35は、薄片層及び電磁鋼板が重ねられて形成される積層面にエポキシ系樹脂を塗布し硬化されることで形成された不図示の樹脂層によって固定化されている。
なお、図14(A)は、積層パケットを水平な机面に載置し、積層パケットを積層方向上方から観察した際の平面図であり、図14(B)は、積層パケットを側部から観察した際の側面図である。図14では、積層パケットの各薄片束を形成しているアモルファス合金薄帯及び樹脂層を図示していない。
積層パケット140は、図14に示すように、五つの薄片束30をそれぞれあらかじめ定められた距離t1ずつずらして積層することにより形成されており、薄片束の積層方向の両方の端面には、二つの電磁鋼板35が、それぞれ薄片束と同様に長手方向に距離t1ずつずらして積層された積層構造とされている。積層された薄片束30の各々は、複数のアモルファス薄帯片が積層されたものである。
薄片束30は、図14(A)に示すように、長手方向の長さが長さLである長方形の両端が、長手方向に対して45°の傾斜角(θ1=45°,θ2(=180°−θ1)=135°)をもって切断されて形成された、下底及び上底の長さがそれぞれL1、L2の台形状とされている。図示しないが、電磁鋼板についても同様である。
傾斜角θ1は、0°を超えて90°未満の鋭角の範囲から選択され、傾斜角θ2は、90°を超えて180°未満の鈍角の範囲から選択される角度とすることができ、中でも、傾斜角θ1は30°〜60°の鋭角(45°に対して−15°〜+15°の振れ角)の範囲が好ましい。
次に、四角環を形成する積層パケット同士が接合する接合部を説明する。
本実施形態における接合部は、ステップラップ構造による接合形態となっている。磁心ブロックを形成する四角環は、上記のように、四つの積層パケットをそれぞれの長手方向両端を互いに接合することで形成されている。
積層パケットの各々は、台形状の薄片束30を距離t1ずつずらして配置することにより、図14(A)のように、長手方向両端には、θ1、θ2の傾斜角で斜めに形成された薄片束による階段状の段差が形成されている。
このような積層パケットを四つ用意し、例えば図15に示すように、まず、積層パケット140Aの、接合部となる二つの領域(w2×w2四方の領域)のうちの一方の領域の視認面の上に、積層パケット140Bの、接合部となる二つの領域(w2×w2四方の領域)のうちの他方の領域の非視認面(裏面)を重ね、積層パケット140Bの一方の領域の視認面の上に、積層パケット140Cの、接合部となる二つの領域(w2×w2四方の領域)のうちの他方の領域の非視認面(裏面)を重ね、積層パケット140Cの一方の領域の視認面の上に、積層パケット140Dの、接合部となる二つの領域(w2×w2四方の領域)のうちの他方の領域の非視認面(裏面)を重ね、積層パケット140Dの一方の領域の上に積層パケット140Aの他方の領域の非視認面を重ねた四角環構造とすることができる。
本実施形態では、四つの積層パケットA〜Dが接合されて形成された四角環構造を複数個積み重ねることにより、所望の形状を有する磁心(積層コア)を作製することができる。本実施形態では、四角環構造を積み重ねて作製された積層コアの四つの辺をなす構造部分が磁心ブロックであり、具体的には、図示しないが、四角環構造が積まれることで例えば積層パケット140Aが積まれて形成された積層部分が磁心ブロックである。
例えば、積層パケット140Aの前記二つの領域のうちの一方の領域の視認面の上に、積層パケット140Bの前記二つの領域のうちの他方の領域の非視認面(裏面)を重ねる場合、視認面に形成されている階段状の段差部と、非視認面に形成されている階段状の段差部と、が互いに向き合って複数の接合面が形成される。つまり、図16のように、例えば積層パケット140Aと積層パケット140Bとの間におけるアモルファス薄帯片の接合場所Rが階段状にずれて存在する構造(ステップラップ構造)となる。
このようなステップラップ構造は、接合場所が順次ずれて存在するため、接合場所で局所的に磁束が集中する現象が生じにくく、鉄損及び皮相電力を低く抑えられる。
10A、10B、10C、10D・・・磁心ブロック
20、20A、20B、20C、20D、30A、30B、30C、30D、120、120A、140、140A、140B、140C、140D、210、220、320、420・・・積層パケット(磁心片)
21・・・アモルファス薄帯片
23,30・・・薄片束
25A、25B、25C、35・・・電磁鋼板
27・・・樹脂層(エポキシ樹脂の層)
100・・・積層コア(磁心)

Claims (8)

  1. 閉磁路を形成する複数の磁心ブロックを備え、
    前記磁心ブロックは、複数の磁心片の積層体であり、
    前記磁心片は、複数のアモルファス薄帯片が積層された積層構造と、前記積層構造の積層方向における両方の端面のそれぞれの少なくとも一部に配置された電磁鋼板と、を含み、前記積層構造及び前記電磁鋼板が積層面で固定化された、磁心。
  2. 前記閉磁路は、四つの前記磁心ブロックが四角環状に接合されて形成されており、
    互いに隣り合う二つの磁心ブロック間に、それぞれの磁心片の、複数の積層構造を磁心ブロックの長手方向にずらして階段状に形成された段差における、前記長手方向に対して傾斜角θで傾斜した傾斜面が互いに接合する接合部を有する請求項1に記載の磁心。
  3. 前記接合部における前記傾斜面は、磁心ブロックの長手方向に対して30°〜60°の傾斜角で傾斜させて形成されている請求項2に記載の磁心。
  4. 互いに隣り合う二つの磁心ブロック間に、それぞれの磁心片が前記積層方向における端面で互いに接合する接合部を有し、前記接合部において、一方の磁心ブロックにおける磁心片の電磁鋼板と、他方の磁心ブロックにおける磁心片の電磁鋼板と、が対向配置されて接している、請求項1に記載の磁心。
  5. 前記磁心片は、二つの前記積層構造と、前記二つの積層構造の、互いに対向する側とは反対側の各端面に配置された二つの第1の電磁鋼板と、前記二つの積層構造の間に配置された第2の電磁鋼板と、を有し、
    前記二つの積層構造は、一方の積層構造の長手方向の一端と他方の積層構造の長手方向の一端とが、前記長手方向において互いに重なる位置から前記長手方向にずらされ、前記二つの積層構造が一部で重なる状態で配置され、前記積層構造の前記長手方向と直交する短手方向における積層面を含む平面において前記積層構造と前記第1の電磁鋼板と前記第2の電磁鋼板とが固定化されている、請求項1に記載の磁心。
  6. 前記磁心片における前記積層構造と前記電磁鋼板とは、エポキシ系樹脂を用いて固定化されている、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の磁心。
  7. 前記積層構造は、前記電磁鋼板の短手方向の表面全体に配置されている請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の磁心。
  8. 複数のアモルファス薄帯片が積層された積層構造と、前記積層構造の積層方向における両方の端面のそれぞれの少なくとも一部に配置された電磁鋼板と、を含み、前記積層構造及び前記電磁鋼板が積層面で固定化された、磁心片。
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